(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】ベンゾセレノフェン系化合物、これを含む薬学的組成物及び抗体-薬物複合体
(51)【国際特許分類】
C07D 421/06 20060101AFI20240614BHJP
C07D 421/14 20060101ALI20240614BHJP
A61K 31/403 20060101ALI20240614BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240614BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20240614BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240614BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240614BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
C07D421/06 CSP
C07D421/14
A61K31/403
A61K31/5377
A61K31/496
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P35/02
A61K39/395 C
A61K39/395 L
(21)【出願番号】P 2022546665
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(86)【国際出願番号】 KR2021001082
(87)【国際公開番号】W WO2021153984
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】10-2020-0011222
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522304165
【氏名又は名称】エイムドバイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180699
【氏名又は名称】成瀬 渓
(74)【代理人】
【識別番号】100192603
【氏名又は名称】網盛 俊
(72)【発明者】
【氏名】イム,ドンリョル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミン チョル
(72)【発明者】
【氏名】メトレ,アモル
(72)【発明者】
【氏名】ナム,ド‐ヒョン
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0034638(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0041562(KR,A)
【文献】RSC Advances,2019年,9(50),29023-29036
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAPlus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるベンゾセレノフェン系(benzoselenophene-based)化合物。
【化1】
前記化学式1において、
R
1は、少なくとも1つの窒素原子を含む置換又は非置換のC
3-10ヘテロシクロアルキル基、あるいは、少なくとも1つの窒素原子を含む置換又は非置換のC
3-10ヘテロアリール基であり、
R
2及びR
3は、それぞれ独立に、水素、フッ素、塩素、ブロム、ヨード、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
前記ヘテロシクロアルキル基及び前記ヘテロアリール基は、O及びSより選択される1つ以上のヘテロ元素を含む又は含まず、
Xは、ハロゲン元素であり、
官能基が置換されているとき、置換基は、アシル基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルボキシレート基、アミノカルボニル基、モノ及びジアルキルアミノカルボニル基、シアノ基、アジド基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、チオール基、アルキルチオール基、アリールチオール基、アルキルチオカルボニル基、チオカルボキシレート基、
C
1-12
アルキル基
、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基
、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、ベンジルオキシ基、ベンジル基、スルフィニル基、アルキルスルフィニル基、スルホニル基、スルフェート基、スルホネート基、スルホンアミド基、ホスフェート基、ホスホネート基、ホスフィネート基、オキソ基、グアニジン基、イミノ基、及びホルミル基より選択される1つ以上を含む。
【請求項2】
R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素、メチル基、又はエチル基である、請求項1に記載のベンゾセレノフェン系化合物。
【請求項3】
R
1は、ピロリジニル基(pyrrolidinyl group)、ピペリジニル基(piperidinyl group)、ピペラジニル基(piperazinyl group)、4-メチルピペラジン-1-イル基(4-methylpiperazin-1-yl group)、モルフォリノ基(morpholino group)、
【化2】
を含み、
前記Yは、-CH
2-又は-C
2H
4-を含み、
前記Zは、-CHR-、-NR、-O-、又は-S-を含み、
前記Rは、水素又はC
1-3アルキル基を含む、請求項1に記載のベンゾセレノフェン系化合物。
【請求項4】
前記ベンゾセレノフェン化合物は、下記化合物3又は下記化合物4である、請求項1に記載のベンゾセレノフェン系化合物。
【化3】
【請求項5】
下記化学式1で表されるベンゾセレノフェン系化合物又はその薬剤学的に許容可能な塩を含み、
増殖性疾患の予防又は治療用であり、
前記増殖性疾患は、新生物、腫瘍、癌、白血病、乾癬、骨疾患、線維増殖性障害、及び粥状動脈硬化症より選択される1つ以上を含む、薬学的組成物。
【化4】
前記化学式1において、
R
1は、少なくとも1つの窒素原子を含む置換又は非置換のC
3-10ヘテロシクロアルキル基、あるいは、少なくとも1つの窒素原子を含む置換又は非置換のC
3-10ヘテロアリール基であり、
R
2及びR
3は、それぞれ独立に、水素、フッ素、塩素、ブロム、ヨード、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
前記ヘテロシクロアルキル基及び前記ヘテロアリール基は、O及びSより選択される1つ以上のヘテロ元素を含む又は含まず、
Xは、ハロゲン元素であり、
官能基が置換されているとき、置換基は、アシル基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルボキシレート基、アミノカルボニル基、モノ及びジアルキルアミノカルボニル基、シアノ基、アジド基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、チオール基、アルキルチオール基、アリールチオール基、アルキルチオカルボニル基、チオカルボキシレート基、
C
1-12
アルキル基
、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基
、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、ベンジルオキシ基、ベンジル基、スルフィニル基、アルキルスルフィニル基、スルホニル基、スルフェート基、スルホネート基、スルホンアミド基、ホスフェート基、ホスホネート基、ホスフィネート基、オキソ基、グアニジン基、イミノ基、及びホルミル基より選択される1つ以上を含む。
【請求項6】
前記ベンゾセレノフェン系化合物又はその薬剤学的に許容可能な塩がプロドラッグ(prodrug)である、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記癌は、固形腫瘍、血液癌、結腸直腸癌、子宮癌、子宮筋腫、髄膜腫、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、胃腸管癌、大腸癌、腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、肝癌、腎癌、膀胱癌、膵臓癌、脳癌、脳転移癌、肉腫、骨肉腫、カポジ肉腫、及び黒色腫より選択される1つ以上を含む、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素、メチル基、又はエチル基である、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
R
1は、ピロリジニル基(pyrrolidinyl group)、ピペリジニル基(piperidinyl group)、ピペラジニル基(piperazinyl group)、4-メチルピペラジン-1-イル基(4-methylpiperazin-1-yl group)、モルフォリノ基(morpholino group)、
【化5】
を含み、
前記Yは、-CH
2-又は-C
2H
4-を含むものであり、
前記Zは、-CHR-、-NR、-O-、又は-S-を含み、
前記Rは、水素又はC
1-3アルキル基を含む、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記ベンゾセレノフェン化合物は、下記化合物3又は下記化合物4である、請求項5に記載の薬学的組成物。
【化6】
【請求項11】
抗体、
前記抗体及び薬物を結合するためのリンカー及び
下記化学式1で表されるベンゾセレノフェン系化合物又はその薬剤学的に許容可能な塩を含
み、
前記リンカーは、下記化学式1におけるОR
5
基の酸素原子に結合されている、抗体-薬物複合体(antibody-drug conjugate)又はその薬剤学的に許容される塩。
【化7】
前記化学式1において、
R
1は、少なくとも1つの窒素原子を含む置換又は非置換のC
3-10ヘテロシクロアルキル基、あるいは、少なくとも1つの窒素原子を含む置換又は非置換のC
3-10ヘテロアリール基であり、
R
2及びR
3は、それぞれ独立に、水素、フッ素、塩素、ブロム、ヨード、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
前記ヘテロシクロアルキル基及び前記ヘテロアリール基は、O及びSより選択される1つ以上のヘテロ元素を含む又は含まず、
Xは、ハロゲン元素であり、
官能基が置換されているとき、置換基は、アシル基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルボキシレート基、アミノカルボニル基、モノ及びジアルキルアミノカルボニル基、シアノ基、アジド基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、チオール基、アルキルチオール基、アリールチオール基、アルキルチオカルボニル基、チオカルボキシレート基、
C
1-12
アルキル基
、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基
、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、ベンジルオキシ基、ベンジル基、スルフィニル基、アルキルスルフィニル基、スルホニル基、スルフェート基、スルホネート基、スルホンアミド基、ホスフェート基、ホスホネート基、ホスフィネート基、オキソ基、グアニジン基、イミノ基、及びホルミル基より選択される1つ以上を含む。
【請求項12】
前記抗体-薬物複合体又はその薬剤学的に許容される塩がプロドラッグ
として用いられる、請求項11に記載の抗体-薬物複合体又はその薬剤学的に許容される塩。
【請求項13】
前記抗体は、増殖性疾患に対して免疫特異的に作用できる抗体、変形抗体、又はこれらの抗原結合断片を含む、請求項11に記載の抗体-薬物複合体又はその薬剤学的に許容される塩。
【請求項14】
前記増殖性疾患は、新生物、腫瘍、癌、白血病、乾癬、骨疾患、線維増殖性障害、及び粥状動脈硬化症より選択される1つ以上を含む、請求項13に記載の抗体-薬物複合体又はその薬剤学的に許容される塩。
【請求項15】
前記癌は、固形腫瘍、血液癌、結腸直腸癌、子宮癌、子宮筋腫、髄膜腫、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、胃腸管癌、大腸癌、腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、肝癌、腎癌、膀胱癌、膵臓癌、脳癌、脳転移癌、肉腫、骨肉腫、カポジ肉腫、及び黒色腫より選択される1つ以上を含む,請求項14に記載の抗体-薬物複合体又はその薬剤学的に許容される塩。
【請求項16】
前記抗体は、アレムツズマブ(alemtuzumab)、アポリズマブ(apolizumab)、アセリズマブ(aselizumab)、アトリズマブ(atlizumab)、バピネオズマブ(bapineuzumab)、ベバシズマブ(bevacizumab)、ビバツヅマブメルタンシン(bivatuzumab mertansine)、カンツズマブメルタンシン(cantuzumab mertansine)、セデリズマブ(cedelizumab)、セルトリズマブペゴル(certolizumab pegol)、セツキシマブ(cetuximab)、シドフシツズマブ(cidfusituzumab)、シドツズマブ(cidtuzumab)、ダクリズマブ(daclizumab)、エクリズマブ(eculizumab)、エファリズマブ(efaliZuMab)、エプラツズマブ(epratuzumab)、エルリズマブ(erlizumab)、エルツマキソマブ(ertumaxomab)、フェルビズマブ(felvizumab)、フォントリズマブ(fontolizumab)、ゲムツズマブ(gemtuzumab)、ゲムツズマブオゾガマイシン(gemtuzumab ozogamicin)、イブリツモマブチウキセタン(ibritumomab tiuxetan)、イノツズマブオゾガマイシン(inotuzumab ozogamicin)、イピリムマブ(ipilimumab)、ラベツズマブ(labetuzumab)、リンツズマブ(lintuzumab)、マツズマブ(matuzumab)、メポリズマブ(mepolizumab)、モタビズマブ(motavizumab)、モトビズマブ(motovizumab)、ナタリズマブ(natalizumab)、ニモツズマブ(nimotuzumab)、ノロビズマブ(nolovizumab)、ヌマビズマブ(numavizumab)、オクレリズマブ(ocrelizumab)、オマリズマブ(omalizumab)、パリビズマブ(palivizumab)、パニツムマブ(panitumumab)、パスコリズマブ(pascolizumab)、ペクフシツズマブ(pecfusituzumab)、ペクツズマブ(pectuzumab)、ペルツズマブ(pertuzumab)、パキセリズマブ(pexelizumab)、ラリビズマブ(ralivizumab)、ラニビズマブ(ranibizumab)、レスリビズマブ(reslivizumab)、レスリズマブ(reslizumab)、レシビズマブ(resyvizumab)、リツキシマブ(rituximab)、ロベリズマブ(rovelizumab)、ルプリズマブ(ruplizumab)、シブロツズマブ(sibrotuzumab)、シプリズマブ(siplizumab)、ソンツズマブ(sontuzumab)、タカツズマブテトラキセタン(tacatuzumab tetraxetan)、タドシズマブ(tadocizumab)、タリズマブ(talizumab)、テフィバズマブ(tefibazumab)、トシリズマブ(tocilizumab)、トラリズマブ(toralizumab)、トシツモマブ(tositumomab)、トラスツズマブ(trastuzumab)、ツコツズマブセルモロイキン(tucotuzumab celmoleukin)、ツクシツズマブ(tucusituzumab)、ウマビズマブ(umavizumab)、ウルトキサズマブ(urtoxazumab)、及びビジリズマブ(visilizumab)より選択されるものを含む、請求項11に記載の抗体-薬物複合体又はその薬剤学的に許容される塩。
【請求項17】
前記リンカーは、切断可能リンカー又は切断不可能性のリンカーを含む、請求項11に記載の抗体-薬物複合体又はその薬剤学的に許容される塩。
【請求項18】
R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素、メチル基、又はエチル基である、請求項11に記載の抗体-薬物複合体又はその薬剤学的に許容される塩。
【請求項19】
R
1は、ピロリジニル基(pyrrolidinyl group)、ピペリジニル基(piperidinyl group)、ピペラジニル基(piperazinyl group)、4-メチルピペラジン-1-イル基(4-methylpiperazin-1-yl group)、モルフォリノ基(morpholino group)、
【化8】
を含み、
前記Yは、-CH
2-又は-C
2H
4-を含み、
前記Zは、-CHR-、-NR、-O-、又は-S-を含み、
前記Rは、水素又はC
1-3アルキル基を含み、請求項11に記載の抗体-薬物複合体又はその薬剤学的に許容される塩。
【請求項20】
前記ベンゾセレノフェン化合物は、下記化合物3又は下記化合物4である、請求項11に記載の抗体-薬物複合体又はその薬剤学的に許容される塩。
【化9】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ベンゾセレノフェン系化合物、前記ベンゾセレノフェン系化合物の製造方法、前記ベンゾセレノフェン系化合物を含む薬学的組成物及び抗体-薬物複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
デュオカルマイシンは、非常に効能のある坑癌治療物質として知られている。しかし、デュオカルマイシンは、動物実験の過程で正常細胞にも毒素として作用し、実験動物を殺害してしまう事例があったので、その物質自体で人間に使用することはできず、腫瘍細胞に特異的に作用して腫瘍細胞のみを死滅させ、血液内での安定性及び高い活性を維持するための研究が活発に行われている。
【0003】
抗体療法は、癌、免疫学的障害及び血管形成性障害のある患者を標的治療するために利用されている。癌治療の際、腫瘍細胞を死滅あるいは抑制する細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤などの薬物を局所伝達するために抗体-薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate、ADC)、即ち免疫複合体を使用すれば[参照:Payne,G.(2003)CanCer Cell 3:207-212;Trail et al(2003)CanCer Immunol.Immunother.52:328-337;Syrigos and Epenetos(1999)AntiCanCer ResearCh 19:605-614;NiCulesCu-Duvaz and Springer(1997)Adv.Drug Del.Rev.26:151-172;US4975278]、理論的には前記薬物部分を腫瘍に標的化伝達することができ、腫瘍細胞内に薬物を蓄積させることができる。
【0004】
しかし、既存の活性に優れた誘導体の場合、水溶性に限界があり、抗体のような標的指向性タンパク質と結合した際、凝集現象が生じ、安定した抗体-薬物複合体を合成するのに問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、ベンゾセレノフェン系化合物、前記ベンゾセレノフェン系化合物の製造方法、前記ベンゾセレノフェン系化合物を含む薬学的組成物及び抗体-薬物複合体を提供することを目的としている。
【0006】
特に、本願は、ベンゾセレノフェンに新規水溶性基を導入して水溶性及び活性が非常に増加した新規なベンゾセレノフェン誘導体を製造し、前記ベンゾセレノフェン誘導体を抗癌剤として利用することに関する。本願の新規水溶性ベンゾセレノフェン誘導体は、抗体-薬物複合体として適用が可能であり、プロドラッグとして機能することができる。また、前記水溶性ベンゾセレノフェン誘導体は、抗体だけでなくタンパク質、リガンド、ナノ粒子、及びアプタマのような標的指向性物質に接合して使用しても良く、これはプロドラッグとして機能することができる。
【0007】
しかし、本願が解決しようとする課題は、上記したような課題に限定されるものではなく、言及されていない他の課題は、以下の記載から通常の技術者にとって明確に理解できるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の第1の側面は、下記化学式1で表されるベンゾセレノフェン系(benzoselenophene-based)化合物を提供する。
【化1】
前記化学式1において、
R
1は、置換又は非置換のC
3-10ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC
5-10アリール基、あるいは置換又は非置換のC
3-10ヘテロアリール基であり、
R
2及びR
3は、それぞれ独立に、水素、フッ素、塩素、ブロム、ヨード、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
前記ヘテロシクロアルキル基及び前記ヘテロアリール基は、N、O、及びSより選択される1つ以上のヘテロ元素を含み、
Xは、ハロゲン元素である。
【0009】
本願の第2の側面は、(a)下記化学式2で表されるカルボン酸を下記化学式3で表されるアミンと反応させて中間生成物を製造し、(b)前記中間生成物と下記化学式4で表されるアミンを反応させて下記化学式1で表されるベンゾセレノフェン系化合物を得ることを含む、ベンゾセレノフェン系化合物の製造方法を提供する。
【化2】
前記化学式1、前記化学式2、前記化学式3、及び前記化学式4において、
R
1は、置換又は非置換のC
3-10ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC
5-10アリール基、あるいは置換又は非置換のC
3-10ヘテロアリール基であり、
R
2及びR
3は、それぞれ独立に、水素、フッ素、塩素、ブロム、ヨード、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
R
6は、置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
前記ヘテロシクロアルキル基及び前記ヘテロアリール基は、N、O、及びSより選択される1つ以上のヘテロ元素を含み、
Xは、ハロゲン元素である。
【0010】
本願の第3の側面は、下記化学式1で表されるベンゾセレノフェン系化合物又はその薬剤学的に許容可能な塩を含み、増殖性疾患の予防又は治療用の薬学的組成物を提供する。
【化3】
前記化学式1において、
R
1は、置換又は非置換のC
3-10ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC
5-10アリール基、あるいは置換又は非置換のC
3-10ヘテロアリール基であり、
R
2及びR
3は、それぞれ独立に、水素、フッ素、塩素、ブロム、ヨード、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
前記ヘテロシクロアルキル基及び前記ヘテロアリール基は、N、O、及びSより選択される1つ以上のヘテロ元素を含み、
Xは、ハロゲン元素である。
【0011】
本願の第4の側面は、抗体と、リンカーと、下記化学式1で表されるベンゾセレノフェン系化合物又はその薬剤学的に許容可能な塩と、を含む、抗体-薬物複合体(antibody-drug conjugate)又はその薬剤学的に許容される塩を提供する。
【化4】
前記化学式1において、
R
1は、置換又は非置換のC
3-10ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC
5-10アリール基、あるいは置換又は非置換のC
3-10ヘテロアリール基であり、
R
2及びR
3は、それぞれ独立に、水素、フッ素、塩素、ブロム、ヨード、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
前記ヘテロシクロアルキル基及び前記ヘテロアリール基は、N、O、及びSより選択される1つ以上のヘテロ元素を含み、
Xは、ハロゲン元素である。
【0012】
本願の第5の側面は、第4の側面に係る抗体-薬物複合体又はその薬剤学的に許容される塩を含む、坑癌用組成物を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本願の具現例によれば、新規水溶性基を導入して水溶性及び活性が非常に増加した新規なベンゾセレノフェン誘導体を製造することができ、前記ベンゾセレノフェン誘導体は抗癌剤として利用されることができる。本願の新規水溶性ベンゾセレノフェン誘導体は、抗体-薬物複合体として適用が可能であり、プロドラッグとして機能することができる。また、前記水溶性ベンゾセレノフェン誘導体は、抗体だけでなくタンパク質、リガンド、ナノ粒子、及びアプタマのような標的指向性物質に接合して使用しても良く、これはプロドラッグとして機能することができる。
【0014】
本願の具現例に係るベンゾセレノフェン系化合物は、癌細胞に対するIC50がnM又はpM単位で非常に強力な坑癌効果を有する物質であり、抗体-薬物複合体を利用した新薬開発に活用されることができる。
【0015】
本願の具現例に係るベンゾセレノフェン系化合物、これを含む薬学的組成物及び抗体-薬物複合体は、癌に対する治療効果が顕著なものであって、特に、脳癌、脳転移癌、非小細胞肺癌、及び黒色腫に対して坑癌効果及び治療効果に非常に優れている。
【0016】
本願の具現例に係る水溶性及び活性に優れたベンゾセレノフェン系化合物を含むDNAアルキル化誘導体を合成することができ、これを抗癌剤又はその前駆体として活用することができる。
【0017】
本願の具現例に係るベンゾセレノフェン化合物誘導体は、抗体-薬物複合体又はタンパク質-複合体に接合し、ターゲットに標的指向的に作用して特異的治療を通じた選択的効果を保有することができる。
【0018】
本願の具現例に係るベンゾセレノフェン誘導体(前駆体、プロドラッグ)、ベンゾセレノフェン誘導体-リンカー、ベンゾセレノフェン誘導体-リンカー-リガンド複合体は、それ自体で安定するが、癌のような増殖性疾患(特に、脳癌、脳転移癌、黒色腫、非小細胞肺癌)に対する標的化、特異的治療、及び/又は薬効の極大化が可能であるという点で、産業上有用性がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本願の一実施例により製造されたトラスツズマブ-Glucuronide-化合物3ADCのSEC分析結果を示したものである。
【
図2】本願の一実施例により製造されたトラスツズマブ-Glucuronide-化合物3ADCのHIC分析結果を示したものである。
【
図3】本願の一実施例により製造されたトラスツズマブ-Glucuronide-化合物3ADCのPLRP分析結果を示したものである。
【
図4】本願の一実施例により製造された化合物3のin vitro cell lineの活性分析に関する表である。
【
図5】本願の一実施例により製造された化合物3(DS-24)のin vivo cell lineの活性分析に関するグラフである。
【
図6】本願の一実施例により製造された化合物3のNCI細胞株における癌腫別相関関係の分析結果である。
【
図7a】MCF-7及びNCI-N87細胞のADC(DS-24)に対する細胞生存率に対する投入量-反応曲線に対する非線形回帰分析を示したグラフである。
【
図7b】結果であるIC
50値を示したデータである。
【
図8a】ADC(DS-24)のBT474腫瘍スフェロイド阻害効能を確認するためのセッティングである。
【
図8b】投入量-反応曲線に対する非線形回帰分析を示したグラフである。
【
図8c】結果であるIC
50値を示したデータである。
【
図9a】NCI-N87異種移植動物モデルにおけるADC(DS-24)の坑癌効能及び投与個体であるヌードマウスの体重変化に関するデータである。
【
図9b】NCI-N87異種移植動物モデルにおけるADC(DS-24)の坑癌効能及び投与個体であるヌードマウスの体重変化に関するデータである。
【
図10a】NCI-N87異種移植動物モデルにおけるADC(DS-24)の全血球分析(CBC検査)による毒性分析による塩症細胞の数値及び貧血関連の数値を示したものである。
【
図10b】NCI-N87異種移植動物モデルにおけるADC(DS-24)の全血球分析(CBC検査)による毒性分析による塩症細胞の数値及び貧血関連の数値を示したものである。
【
図11a】膠芽腫細胞株U87MGに対する化合物3(DS-24)の他7種のペイロードの細胞生存率の抑制効能を確認したデータである。
【
図11b】多発性骨髄腫細胞株KMS11に対する化合物3(DS-24)の他7種のペイロードの細胞生存率の抑制効能を確認したデータである。
【
図11c】膀胱癌細胞株RT112に対する化合物3(DS-24)の他7種のペイロードの細胞生存率の抑制効能を確認したデータである。
【
図12a】膠芽腫患者来由細胞の6種に対する化合物3(DS-24)の他7種のペイロードの細胞生存率の抑制効能を確認したデータである。
【
図12b】膠芽腫患者来由細胞の6種に対する化合物3(DS-24)の他7種のペイロードの細胞生存率の抑制効能を確認したデータである。
【
図12c】膠芽腫患者来由細胞の6種に対する化合物3(DS-24)の他7種のペイロードの細胞生存率の抑制効能を確認したデータである。
【
図12d】膠芽腫患者来由細胞の6種に対する化合物3(DS-24)の他7種のペイロードの細胞生存率の抑制効能を確認したデータである。
【
図12e】膠芽腫患者来由細胞の6種に対する化合物3(DS-24)の他7種のペイロードの細胞生存率の抑制効能を確認したデータである。
【
図12f】膠芽腫患者来由細胞の6種に対する化合物3(DS-24)の他7種のペイロードの細胞生存率の抑制効能を確認したデータである。
【
図13a】NCI-N87に対するDS-24の濃度による細胞生存率をそれぞれ示したグラフである。
【
図13b】NCI-N87に対するDS-26の濃度による細胞生存率をそれぞれ示したグラフである。
【
図14a】SK-OV3に対するDS-24の濃度による細胞生存率をそれぞれ示したグラフである。
【
図14b】SK-OV3に対するDS-26の濃度による細胞生存率をそれぞれ示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、添付した図面を参照しながら、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本願の具現例及び実施例を詳しく説明する。ところが、本願は様々な異なる形態に具現されることができ、ここで説明する具現例及び実施例に限定されるものではない。そして、図面において、本発明を明確に説明するために、説明とは関係ない部分は省略しており、明細書全体に亘って類似した部分に対しては類似した図面符号を付けている。
【0021】
本願の明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているという場合、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。
【0022】
本願の明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているという場合、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0023】
本願の明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0024】
本明細書において使用される程度の用語「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造及び物質許容誤差が提示される場合、その数値で、またはその数値に近接した意味として使用され、本願の理解を助けるために、適確であるか絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。
【0025】
本願の明細書全体において使用される程度の用語「~するステップ」又は「~のステップ」は、「~のためのステップ」を意味するものではない。
【0026】
本願の明細書全体において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ(たち)」の用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群より選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであり、前記構成要素からなる群より選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0027】
本願の明細書全体において、「A及び/又はB」の記載は、「A又はB、あるいはA及びB」を意味する。
【0028】
本願の明細書全体において、「アルキル」又は「アルキル基」という用語は、1~12個の炭素原子、1~10個の炭素原子、1~8個の炭素原子、又は1~5個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基、及びこれらの全ての可能な異性質体を含む。例えば、前記アルキル又はアルキル基は、メチル基(Me)、エチル基(Et)、n-プロピル基(nPr)、iso-プロピル基(iPr)、n-ブチル基(nBu)、iso-ブチル基(iBu)、tert-ブチル基(tert-Bu、tBu)、sec-ブチル基(sec-Bu、secBu)、n-ペンチル基(nPe)、iso-ペンチル基(isoPe)、sec-ペンチル基(secPe)、tert-ペンチル基(tPe)、neo-ペンチル基(neoPe)、3-ペンチル基、n-ヘキシル基、iso-ヘキシル基、ヘプチル基、4,4-ジメチルペンチル基、オクチル基、2,2,4-トリメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、及びこれらの異性質体などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0029】
以下では、本願の具現例を詳しく説明するが、本願がこれに限定されるものではない。
【0030】
本願の第1の側面は、下記化学式1で表されるベンゾセレノフェン系(benzoselenophene-based)化合物を提供する。
【化5】
前記化学式1において、
R
1は、置換又は非置換のC
3-10ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC
5-10アリール基、あるいは置換又は非置換のC
3-10ヘテロアリール基であり、
R
2及びR
3は、それぞれ独立に、水素、フッ素、塩素、ブロム、ヨード、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
前記ヘテロシクロアルキル基及び前記ヘテロアリール基は、N、O、及びSより選択される1つ以上のヘテロ元素を含み、
Xは、ハロゲン元素である。
【0031】
本願の一具現例において、前記官能基が置換された場合、前記置換基は、アシル基、アミノ基(アミノ基、モノ及びジアルキルアミノ基、モノ及びジアリールアミノ基、及びアルキルアリールアミノ基を含む)、アシルアミノ基(カルバモイル基、及びウレイド基を含む)、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルボキシレート基、アミノカルボニル基、モノ及びジアルキルアミノカルボニル基、シアノ基、アジド基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、チオール基、アルキルチオール基、アリールチオール基、アルキルチオカルボニル基、チオカルボキシレート基、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、低級アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、ベンジルオキシ基、ベンジル基、スルフィニル基、アルキルスルフィニル基、スルホニル基、スルフェート基、スルホネート基、スルホンアミド基、ホスフェート基、ホスホネート基、ホスフィネート基、オキソ基、グアニジン基、イミノ基、及びホルミル基より選択される1つ以上を含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0032】
本願の一具現例において、R1は、窒素を1つ以上含む、C3-10ヘテロシクロアルキル基又はC3-10ヘテロアリール基を含むものであり、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素、メチル基、又はエチル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0033】
本願の一具現例において、Xは、F、Cl、Br、又はIであっても良いが、これに限定されるものではない。また、本願の一具現例において、Xは、Clであっても良い。
【0034】
本願の一具現例において、本願のベンゾセレノフェン系化合物は、ベンゾセレノフェン母体とアミド結合で連結される-CHR2CHR1R3に2つのsp3炭素を主骨格として含むことによって、分子自体の柔軟性(flexibility)が増加しても良い。また、R1は、N、O、又はSを含む5角又は6角形の環の様々な誘導体を含むことが好ましい。また、R1は、ヘテロ原子を含むか含まない二重環を含んでいても良く、これは、坑癌メカニズムにおいて、DNAのマイナーグルーブ(minor groove)結合が容易であり得る。
【0035】
本願の一具現例において、R
1は、ピロリジニル基(-NC
4H
8、pyrrolidinyl group)、ピペリジニル基(-NC
5H
10、piperidinyl group)、ピペラジニル基(-N
2C
4H
9、piperazinyl group)、4-メチルピペラジン-1-イル基(-N
2C
5H
11、4-methylpiperazin-1-yl group)、モルフォリノ基(-NOC
4H
8、morpholino group)、
【化6】
を含み、前記Yは、-CH
2-又は-C
2H
4-を含み、前記Zは、-CHR-、-NR、-O-、又は-S-を含み、前記Rは、水素又はC
1-3アルキル基を含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0036】
本願の一具現例において、R1は、ピロリジニル基(-NC4H8、pyrrolidinyl group)、ピペリジニル基(-NC5H10、piperidinyl group)、ピペラジニル基(-N2C4H9、piperazinyl group)、4-メチルピペラジン-1-イル基(-N2C5H11、4-methylpiperazin-1-yl group)、又はモルフォリノ基(-NOC4H8、morpholino group)であっても良い。
【0037】
本願の一具現例において、R2及びR3は、全て水素であっても良い。
【0038】
本願の一具現例において、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素、メチル基、エチル基、又はプロピル基であっても良い。
【0039】
本願の一具現例において、前記ベンゾセレノフェン系化合物は、下記を含んでいても良い。
【化7】
【0040】
本願の第2の側面は、(a)下記化学式2で表されるカルボン酸を下記化学式3で表されるアミンと反応させて中間生成物を製造し、(b)前記中間生成物と下記化学式4で表されるアミンを反応させて下記化学式1で表されるベンゾセレノフェン系化合物を得ることを含む、ベンゾセレノフェン系化合物の製造方法を提供する。
【化8】
前記化学式1、前記化学式2、前記化学式3、及び前記化学式4において、
R
1は、置換又は非置換のC
3-10ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC
5-10アリール基、あるいは置換又は非置換のC
3-10ヘテロアリール基であり、
R
2及びR
3は、それぞれ独立に、水素、フッ素、塩素、ブロム、ヨード、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
R
6は、置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
前記ヘテロシクロアルキル基及び前記ヘテロアリール基は、N、O、及びSより選択される1つ以上のヘテロ元素を含み、
Xは、ハロゲン元素である。
【0041】
本願の第1の側面と重複する部分については詳細な説明を省略しているが、本願の第1の側面について説明した内容は、本願の第2の側面でその説明が省略されているとしても同様に適用され得る。
【0042】
本願の一具現例において、前記官能基が置換された場合、前記置換基は、アシル基、アミノ基(単純アミノ基、モノ及びジアルキルアミノ基、モノ及びジアリールアミノ基、及びアルキルアリールアミノ基を含む)、アシルアミノ基(カルバモイル基、及びウレイド基を含む)、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルボキシレート基、アミノカルボニル基、モノ及びジアルキルアミノカルボニル基、シアノ基、アジド基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、チオール基、アルキルチオール基、アリールチオール基、アルキルチオカルボニル基、チオカルボキシレート基、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、低級アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、ベンジルオキシ基、ベンジル基、スルフィニル基、アルキルスルフィニル基、スルホニル基、スルフェート基、スルホネート基、スルホンアミド基、ホスフェート基、ホスホネート基、ホスフィネート基、オキソ基、グアニジン基、イミノ基、及びホルミル基より選択される1つ以上を含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0043】
本願の一具現例において、R1は、窒素を1つ以上含む、C3-10ヘテロシクロアルキル基又はC3-10ヘテロアリール基を含み、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素、メチル基、又はエチル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0044】
本願の一具現例において、Xは、F、Cl、BR、又はIであっても良いが、これに限定されるものではない。また、本願の一具現例において、Xは、Clであっても良い。
【0045】
本願の一具現例において、本願のベンゾセレノフェン系化合物は、ベンゾセレノフェン母体とアミド結合で連結される-CHR2CHR1R3に主骨格として2つのsp3炭素を含むことによって、分子自体の柔軟性(flexibility)が増加しても良い。また、R1は、小さい置換基を有する3次アミンあるいはN、O、又はSを含む5角又は6角形の環の様々な誘導体を含むことが好ましい。また、R1は、ヘテロ原子を含むか含まない二重環を含んでいても良く、これは、坑癌メカニズム上、DNAのマイナーグルーブ(minor groove)結合が容易であり得る。
【0046】
本願の一具現例において、R
1は、ピロリジニル基(-NC
4H
8、pyrrolidinyl group)、ピペリジニル基(-NC
5H
10、piperidinyl group)、ピペラジニル基(-N
2C
4H
9、piperazinyl group)、4-メチルピペラジン-1-イル基(-N
2C
5H
11、4-methylpiperazin-1-yl group)、モルフォリノ基(-NOC
4H
8、morpholino group)、
【化9】
を含み、前記Yは、-CH
2-又は-C
2H
4-を含み、前記Zは、-CHR-、-NR、-O-、又は-S-を含み、前記Rは、水素又はC
1-3アルキル基を含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0047】
本願の一具現例において、R1は、ピロリジニル基(-NC4H8、pyrrolidinyl group)、ピペリジニル基(-NC5H10、piperidinyl group)、ピペラジニル基(-N2C4H9、piperazinyl group)、4-メチルピペラジン-1-イル基(-N2C5H11、4-methylpiperazin-1-yl group)、又はモルフォリノ基(-NOC4H8、morpholino group)であっても良い。
【0048】
本願の一具現例において、R2及びR3は、全て水素であっても良い。
【0049】
本願の一具現例において、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素、メチル基、エチル基、又はプロピル基であっても良い。
【0050】
本願の一具現例において、前記(a)で生成される中間生成物は、pH調整によりR6が水素に置換され、カルボン酸の形態であるか、あるいはカルボキシレート塩の形態であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0051】
本願の一具現例において、前記化学式4で表されるアミン化合物は、従来公知の下記のように表されるseco-MCBIに酸処理などを施すことで得られるものであっても良いが、これに限定されるものではない。
【化10】
【0052】
本願の一具現例において、前記ベンゾセレノフェン系化合物は、下記を含んでいても良い。
【化11】
【0053】
本願の第3の側面は、下記化学式1で表されるベンゾセレノフェン系化合物又はその薬剤学的に許容可能な塩を含み、増殖性疾患の予防又は治療用の薬学的組成物を提供する。
【化12】
前記化学式1において、
R
1は、置換又は非置換のC
3-10ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC
5-10アリール基、あるいは置換又は非置換のC
3-10ヘテロアリール基であり、
R
2及びR
3は、それぞれ独立に、水素、フッ素、塩素、ブロム、ヨード、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
前記ヘテロシクロアルキル基及び前記ヘテロアリール基は、N、O、及びSより選択される1つ以上のヘテロ元素を含み、
Xは、ハロゲン元素である。
【0054】
本願の第1の側面及び第2の側面と重複する部分については詳細な説明を省略しているが、本願の第1の側面及び第2の側面について説明した内容は、本願の第3の側面でその説明が省略されているとしても同様に適用され得る。
【0055】
本願の一具現例において、前記ベンゾセレノフェン系化合物又はその薬剤学的に許容可能な塩がプロドラッグ(prodrug)であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0056】
本願の一具現例において、前記ベンゾセレノフェン系化合物又はその薬剤学的に許容可能な塩は、溶媒中であるいは体内に投与された際に活性型(active form)を形成しても良いが、これに限定されるものではない。
【0057】
本願の一具現例において、前記増殖性疾患は、新生物、腫瘍、癌、白血病、乾癬、骨疾患、線維増殖性障害、及び粥状動脈硬化症より選択される1つ以上を含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0058】
本願の一具現例において、前記癌は、固形腫瘍、血液癌、結腸直腸癌、子宮癌、子宮筋腫、髄膜腫、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、胃腸管癌、大腸癌、腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、肝癌、腎癌、膀胱癌、膵臓癌、脳癌、脳転移癌、肉腫、骨肉腫、カポジ肉腫、及び黒色腫より選択される1つ以上を含んでいても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例による薬学的組成物は、予防又は治療の対象として、癌腫に限られない疾患に適用が可能であっても良い。
【0059】
本願の一具現例において、前記官能基が置換された場合、前記置換基は、アシル基、アミノ基(単純アミノ基、モノ及びジアルキルアミノ基、モノ及びジアリールアミノ基、及びアルキルアリールアミノ基を含む)、アシルアミノ基(カルバモイル基、及びウレイド基を含む)、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルボキシレート基、アミノカルボニル基、モノ及びジアルキルアミノカルボニル基、シアノ基、アジド基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、チオール基、アルキルチオール基、アリールチオール基、アルキルチオカルボニル基、チオカルボキシレート基、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、低級アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、ベンジルオキシ基、ベンジル基、スルフィニル基、アルキルスルフィニル基、スルホニル基、スルフェート基、スルホネート基、スルホンアミド基、ホスフェート基、ホスホネート基、ホスフィネート基、オキソ基、グアニジン基、イミノ基、及びホルミル基より選択される1つ以上を含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0060】
本願の一具現例において、R1は窒素を1つ以上含む、C3-10ヘテロシクロアルキル基又はC3-10ヘテロアリール基を含み、前記R4及びR5は、それぞれ独立に、水素、メチル基、又はエチル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0061】
本願の一具現例において、Xは、F、Cl、Br、又はIであっても良いが、これに限定されるものではない。また、本願の一具現例において、Xは、Clであっても良い。
【0062】
本願の一具現例において、本願のベンゾセレノフェン系化合物は、ベンゾセレノフェン母体とアミド結合で連結される-CHR2CHR1R3に主骨格として2つのsp3炭素を含むことによって、分子自体の柔軟性(flexibility)が増加しても良い。また、R1は、N、O、又はSを含む5角又は6角形の環の様々な誘導体を含むことが好ましい。例えば、R1は、ヘテロ原子を含むか含まない二重環を含んでいても良く、これは、坑癌メカニズム上、DNAのマイナーグルーブ(minor groove)結合が容易であり得る。
【0063】
本願の一具現例において、R
1は、ピロリジニル基(-NC
4H
8、pyrrolidinyl group)、ピペリジニル基(-NC
5H
10、piperidinyl group)、ピペラジニル基(-N
2C
4H
9、piperazinyl group)、4-メチルピペラジン-1-イル基(-N
2C
5H
11、4-methylpiperazin-1-yl group)、モルフォリノ基(-NOC
4H
8、morpholino group)、
【化13】
を含み、前記Yは、-CH
2-又は-C
2H
4-を含み、前記Zは、-CHR-、-NR、-O-、又は-S-を含み、前記Rは、水素又はC
1-3アルキル基を含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0064】
本願の一具現例において、R1は、ピロリジニル基(-NC4H8、pyrrolidinyl group)、ピペリジニル基(-NC5H10、piperidinyl group)、ピペラジニル基(-N2C4H9、piperazinyl group)、4-メチルピペラジン-1-イル基(-N2C5H11、4-methylpiperazin-1-yl group)、又はモルフォリノ基(-NOC4H8、morpholino group)であっても良い。
【0065】
本願の一具現例において、R2及びR3は、全て水素であっても良い。
【0066】
本願の一具現例において、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素、メチル基、エチル基、又はプロピル基であっても良い。
【0067】
本願の一具現例において、前記ベンゾセレノフェン系化合物は、下記を含んでいても良い。
【化14】
【0068】
本願の第4の側面は、抗体と、リンカーと、下記化学式1で表されるベンゾセレノフェン系化合物又はその薬剤学的に許容可能な塩と、を含む、抗体-薬物複合体(Antibody-drug conjugate)又はその薬剤学的に許容される塩を提供する。
【化15】
前記化学式1において、
R
1は、置換又は非置換のC
3-10ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC
5-10アリール基、あるいは置換又は非置換のC
3-10ヘテロアリール基であり、
R
2及びR
3は、それぞれ独立に、水素、フッ素、塩素、ブロム、ヨード、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素、あるいは置換又は非置換のC
1-5アルキル基であり、
前記ヘテロシクロアルキル基及び前記ヘテロアリール基は、N、O、及びSより選択される1つ以上のヘテロ元素を含み、
Xは、ハロゲン元素である。
【0069】
本願の第1の側面乃至第3の側面と重複する部分については詳細な説明を省略しているが、本願の第1の側面乃至第3の側面について説明した内容は、本願の第4の側面でその説明が省略されているとしても同様に適用され得る。
【0070】
本願の一具現例において、前記抗体-薬物複合体又はその薬剤学的に許容される塩がプロドラッグ(prodrug)であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0071】
本願の一具現例において、前記抗体-薬物複合体又はその薬剤学的に許容される塩は、溶媒中であるいは体内に投与された際に活性型(active form)を形成しても良いが、これに限定されるものではない。
【0072】
本願の一具現例において、前記抗体は、増殖性疾患に対して免疫特異的に作用できる抗体、変形抗体、又はこれらの抗原結合断片を含んでいても良いが、これに限定されるものではない。ここで、前記「抗体」は、多クローン抗体(polyclonal antibody)及び単クローン抗体(単一クローン抗体、monoclonal antibody)を全て含む概念であり、好ましくは単クローン抗体であっても良く、完全なる全抗体(whole antibody)の形態を有していても良い。前記全抗体は、2つの全長の軽鎖及び2つの全長の重鎖を有する構造であって、不変領域を含む構造であり、それぞれの軽鎖は重鎖とジスルフィド結合により連結されている。また、本願の一具現例において、前記抗体は、単一クローン抗体、多特異的抗体、人間抗体、人間化抗体、キメラ抗体、単鎖Fvs(scFV)、単鎖抗体、Fab断片、F(ab')断片、ジスルフィド結合Fvs(dsFV)、及び抗イディオタイプ(抗Id)抗体、又は前記抗体のエピトープ結合断片などを含むが、これに限定されるものではない。本願の具現例による抗-c-Met抗体の全抗体は、IgA、IgD、IgE、IgM、及びIgGの形態を含む概念であり、IgGは亜型(subtype)であって、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む。また、ここで、前記「変形抗体」は、二重抗体を含むものであり、前記二重抗体は、それぞれの他の抗原を認識する抗体又は抗体結合断片を有する単一物質の抗体を意味し、それに該当する抗体は、癌関連抗原又は免疫チェックポイントタンパク質抗原に特異的な抗体、あるいは免疫効能細胞関連抗原に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む形態を意味するものであり、限られた抗体構造に限定されるものではない。また、ここで、前記「抗原結合断片」は、抗原と結合できる機能を保有している断片を意味し、Fab、Fab'、F(ab')2、scFv(scFv)2、scFv-Fc、及びFvなどを含む概念である。
【0073】
本願の一具現例において、前記増殖性疾患は、新生物、腫瘍、癌、白血病、乾癬、骨疾患、線維増殖性障害、及び粥状動脈硬化症より選択される1つ以上を含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0074】
本願の一具現例において、前記増殖性疾患は特に癌であっても良く、前記癌は、固形腫瘍、血液癌、結腸直腸癌、子宮癌、子宮筋腫、髄膜腫、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、胃腸管癌、大腸癌、腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、肝癌、腎癌、膀胱癌、膵臓癌、脳癌、脳転移癌、肉腫、骨肉腫、カポジ肉腫、及び黒色腫より選択される1つ以上を含んでいても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例による薬学的組成物は、予防又は治療の対象として、癌腫に限られない疾患に適用が可能であっても良い。
【0075】
本願の一具現例において、前記抗体は、下記より選択される1つ以上の腫瘍関連抗原又は細胞表面受容体に結合する抗体であっても良いが、これに限定されるものではない。また、従来公知の下記の様々な抗原に結合しても良いが、これに限定されるものではない。
【0076】
(1)BMPR1B(bone morphogenetic protein receptor-type 1B);(2)E16(LAT1、SLC7A5);(3)STEAP1(six transmembrane epithelial antigen of prostate);(4)0772P(CA125、MUC16);(5)MPF(MPF、MSLN、SMR、megakaryocyte potentiating factor、mesothelin);(6)Napi3b[NAPI-3B、NPTIIb、SLC34A2、solute carrier family 34(リン酸ナトリウム)、member 2、typeIIナトリウム依存性リン酸輸送体(sodium-dependent phosphate transporter 3b)];(7)Sema 5b(FLJ10372、KIAA1445、Mm.42015、SEMA5B、SEMAG、Semaphorin 5b H log、semaドメイン、seven thrombospondin repeats(type 1 and type 1-like)、膜貫通ドメイン(transmembrane domain、TM)及びshort cytoplasmicドメイン、(semaphorin)5B);(8)PSCA hlg(2700050C12Rik、C530008O16Rik、RIKEN cDNA 2700050C12、RIKEN cDNA 2700050C12 gene);(9)ETBR(Endothelin type B受容体);(10)MSG783(RNF24、hypothetical protein FLJ20315);(11)STEAP2[HGNC_8639、IPCA-1、PCANAP1、STAMP1、STEAP2、STMP、前立腺癌関連遺伝子1(prostate cancer associated gene 1)、前立腺癌関連タンパク質1(prostate cancer associated protein 1)、six transmembrane epithelial antigen of prostate 2、six transmembrane prostate protein];(12)TrpM4[BR22450、FLJ20041、TRPM4、TRPM4B、一過性受容体電位カチオンチャネル(transient receptor potential cation channel)、subfamily M、member 4];(13)CRIPTO[CR、CR1、CRGF、CRIPTO、TDGF1、奇形癌腫由来成長因子(teratocarcinoma-derived growth factor)];(14)CD21(CR2(補体受容体、Complement receptor 2) or C3DR[C3d/Epstein Barrウイルス受容体(virus receptor)]又はHS 73792);(15)CD79b(CD79B、CD79P、IGb(兔疫グロブリン関連ベータ、immunoglobulin-associated beta)、B29);(16)FcRH2(IFGP4、IRTA4、SPAP1A(ホスファターゼアンカータンパク質1aを含むSH-12ドメイン、SH-12 domain containing phosphatase anchor protein 1a)、SPAP1B、SPAP1C);(17)HER2;(18)NCA;(19)MDP;(20)IL20Rα;(21)Brevican;(22)EphB2R;(23)ASLG659;(24)PSCA;(25)GEDA;(26)BAFF-R(B細胞活性化因子受容体、B Cell-activating factor receptor、BLyS receptor 3、BR3);(27)CD22(B細胞受容体CD22-Bアイソフォーム、B-cell receptor CD22-B isoform);(28)CD79a(CD79A、CD79α、兔疫グロブリン関連アルファ、Immunoglobulin-associated alpha);(29)CXCR5(バーキットリンパ腫受容体1、Burkitt’s lymphoma receptor 1);(30)HLA-DOB(MHCクラスII分子のベータサブユニット、Beta subunit of MHC class II molecule(Ia antigen));(31)P2X5(Purinergic受容体P2Xリガンド開口型イオンチャネル、Purinergic receptor P2X ligand-gated ion channel 5);(32)CD72(B細胞分化抗原、B-cell differentiation antigen CD72、Lyb-2);(33)LY64[リンパ球抗原、Lymphocyte antigen 64(RP105)、LRRファミリのI型膜タンパク質(type I membrane protein of the leucine rich repeat(LRR)family)];(34)FcRH1(Fc受容体様タンパク質、Fc receptor-like protein 1);(35)IRTA2(免疫グロブリンスーパーファミリ受容体転座関連2、Immunoglobulin superfamily receptor translocation associated 2);(36)TENB2(推定上の膜貫通プロテオグリカン、putative transmembrane proteoglycan);(37)その他のHGF、EGFR、EGFRvIII、Her2、Her3、IGF-1R、VEGF、VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3、Ang2、Dll4、NRP1、FGFR、FGFR2、FGFR3、c-Kit、MUC1、MUC16、CD20、CD22、CD27、CD30、CD33、CD40、CD52、CD70、CD79、DDL3、Folate R1、Nectin 4、Trop2、gpNMB、Axl、BCMA、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、BTLA、4-1BB、ICOS、GITR、OX40、VISTA、TIM-3、LAG-3、KIR、B7.1、B7.2、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H6、B7-H7、EphA2、EphA4、EphB2、E-セレクチン(selectin)、EpCam、CEA、PSMA、PSA、c-MET など;並びに(38)免疫効能細胞関連抗原としてTCR/CD3、CD16(Fcγ RIIIa)CD44、CD56、CD69、CD64(Fcγ RI)、CD89、CD11b/CD18(CR3)。
【0077】
本願の一具現例において、前記抗体は、増殖性疾患の予防及び治療、特に、坑癌治療に使用可能な抗体であれば制限なく使用しても良く、例えば、アレムツズマブ(alemtuzumab)、アポリズマブ(apolizumab)、アセリズマブ(aselizumab)、アトリズマブ(atlizumab)、バピネオズマブ(bapineuzumab)、ベバシズマブ(bevacizumab)、ビバツヅマブメルタンシン(bivatuzumab mertansine)、カンツズマブメルタンシン(cantuzumab mertansine)、セデリズマブ(cedelizumab)、セルトリズマブペゴル(certolizumab pegol)、セツキシマブ(cetuximab)、シドフシツズマブ(cidfusituzumab)、シドツズマブ(cidtuzumab)、ダクリズマブ(daclizumab)、エクリズマブ(eculizumab)、エファリズマブ(efalizumab)、エプラツズマブ(epratuzumab)、エルリズマブ(erlizumab)、エルツマキソマブ(ertumaxomab)、フェルビズマブ(felvizumab)、フォントリズマブ(fontolizumab)、ゲムツズマブ(gemtuzumab)、ゲムツズマブオゾガマイシン(gemtuzumab ozogamicin)、イブリツモマブチウキセタン(ibritumomab tiuxetan)、イノツズマブオゾガマイシン(inotuzumab ozogamicin)、イピリムマブ(ipilimumab)、ラベツズマブ(labetuzumab)、リンツズマブ(lintuzumab)、マツズマブ(matuzumab)、メポリズマブ(mepolizumab)、モタビズマブ(motavizumab)、モトビズマブ(Motovizumab)、ナタリズマブ(natalizumab)、ニモツズマブ(nimotuzumab)、ノロビズマブ(nolovizumab)、ヌマビズマブ(numavizumab)、オクレリズマブ(ocrelizumab)、オマリズマブ(omalizumab)、パリビズマブ(palivizumab)、パニツムマブ(panitumumab)、パスコリズマブ(pascolizumab)、ペクフシツズマブ(pecfusituzumab)、ペクツズマブ(pectuzumab)、ペルツズマブ(pertuzumab)、パキセリズマブ(pexelizumab)、ラリビズマブ(ralivizumab)、ラニビズマブ(ranibizumab)、レスリビズマブ(reslivizumab)、レスリズマブ(reslizumab)、レシビズマブ(resyvizumab)、リツキシマブ(rituximab)、ロベリズマブ(rovelizumab)、ルプリズマブ(ruplizumab)、シブロツズマブ(sibrotuzumab)、シプリズマブ(siplizumab)、ソンツズマブ(sontuzumab)、タカツズマブテトラキセタン(tacatuzumab tetraxetan)、タドシズマブ(tadocizumab)、タリズマブ(talizumab)、テフィバズマブ(tefibazumab)、トシリズマブ(tocilizumab)、トラリズマブ(toralizumab)、トシツモマブ(tositumomab)、トラスツズマブ(trastuzumab)、ツコツズマブセルモロイキン(tucotuzumab celmoleukin)、ツクシツズマブ(tucusituzumab)、ウマビズマブ(umavizumab)、ウルトキサズマブ(urtoxazumab)、及びビジリズマブ(visilizumab)より選択されるものを含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0078】
本願の一具現例において、前記リンカーは、本技術分野で通常使用され、抗体-薬物複合体に有用なリンカーは、制限なく使用されても良い。ここで、前記リンカーは、抗体と薬物とを付着させる化学的な連結環であって、体内で循環されるか分布されるときは安定性を維持し、腫瘍内に浸透して細胞内へ入り込む場合にのみ選択的に切り出されて結合された薬物を放出しなければならない。通常、前記リンカーは、アタッチメント(attachment)-スペーサー( spacer )-リリース(realease)で構成され、常用化されたリンカーの構成のうち、アタッチメント、スペーサー及びリリースのうち1つ以上の構成要素を変形及び/又は改良して新しいリンカーを開発することができる。本願の一具現例において、前記リンカーは、本技術分野で常用されるリンカーだけでなく、新たに開発されるリンカーも制限なく使用されても良い。
【0079】
本願の一具現例において、前記リンカーは、化学的接合(chemical conjugation)又は酵素的接合(enzymatic conjugation)などにより薬物と接合されても良いが、これに限定されるものではない。具体的に、前記化学的接合は、リシンアミドカップリング(lysine amide coupling)、システインカップリング(cysteine coupling)、又は遺伝工学による非天然アミノ酸混入(non-natural amino acid incorporation by genetic engineering)を含んでも良いが、これに限定されるものではない。また、具体的に、前記酵素的接合は、ソルターゼを利用したペプチド転移(transpeptidation using sortase)、微生物トランスグルタミナーゼを利用したペプチド転移(transpeptidation using microbial transglutaminase)、又は N-グリカン工学(n-glycan engineering)を含んでも良いが、これに限定されるものではない。
【0080】
本願の一具現例において、前記リンカーは、一つ以上の追加切断が可能な切断可能リンカー(cleavable linker)又は切断不可能性のリンカー(non-cleavable linker)を含んでいても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例において、前記リンカーは、還元可能な(reducible)リンカーであるジスルフィドリンカー(disulfide linker)、酵素的に切断可能なリンカー(enzymatically cleavable linker)、化学的敏感性(chemical-labile)リンカーであるヒドラゾンリンカー、プロテアーゼ-敏感性(protease-labile)リンカー、又はグリコシダーゼ-敏感性(glycosidase-sensitive)リンカーなどの切断可能リンカー、又は切断不可能性の二機能のリンカー(non-clevable bifunctional linker)又は切断不可能性のスペーサーリンカー(non-cleavable spacer linker)などの切断不可能性のリンカーを含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0081】
本願の一具現例において、前記リンカーは、一つ以上の追加の切断可能なリンカー又は切断不可能なリンカーをさらに含んでも良く、好ましくは、下記からなる群より選択される:ヒドラジンリンカー、チオ尿素リンカー、自己犠牲(Self-immolative)リンカー、スクシンイミジルトランス-4-(マレイミジルメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(succinimidyl trans-4-(maleimidylmethyl)cyclohexane-1-carboxylate、SMCC)リンカー、ジスルフィドリンカー、セレノエーテル(selenoether)リンカー、アミドリンカー、チオエーテルリンカー及び/又はマレイミドリンカー。
【0082】
本願の一具現例において、当業者は、追加のリンカーが適することを理解できる。このようなリンカーは、切断が不可能であるか、pH変化、酸化還元電位(redox potential)又は特異的細胞内/細胞外の酵素によって切断され得る。切断可能なオリゴペプチドリンカーは、プロテアーゼ-又はマトリックスメタロプロテアーゼ(matrix metalloprotease)-切断可能なリンカーを含む。前記リンカーは、前記組合せを含み得ると理解される。例えば、前記リンカーは、バリン-シトルリン(valine-citruline)PABリンカーであっても良い。
【0083】
本願の一具現例において、前記リンカーは、切断可能リンカーとして、N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート [N-Succinimidyl-4-(2-pyridyldithio)pentanoate;SPP]、N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルジチオ)ブタノ-エイト [N-succinimidyl-4-(2-pyridyldithio)butanoate;SPDB]、sulfo-SPDB、MDS、DMDS、DSDM、又はNDMDSなどのジスルフィドリンカー;Phe-Lys-PABC、Val-Cit-PABC、Val-Ala-PABC、MHVCBC(valine-citrulline)、又はMHFKBC(phenylalanine-lysine)などの酵素的に切断可能なリンカー;MHH などのヒドラゾンリンカー;又はGBC(グルクロン酸、glucuronic acid)、GBCDN(グルクロン酸)、β-グルクロニドリンカーなどのグリコシダーゼ-敏感性リンカーを含むか、又は切断不可能性のリンカーとして、Mal-PEG-NHS、N-スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート[N-succinimidyl 4-(maleimidomethyl)cyclohexanecarboxylate、SMCC]、Mal-alkane linker、ビス-マレイミドポリエチレングリコール(bis-maleimidopolyethyleneglycol、BMPEO)、N-(β-マレイミドプロピルオキシ)スクシンイミドエステル [Ν-(β-maleimidopropyloxy)succinimide ester、BMPS]、ε-マレイミドカプロ酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(ε-maleimidocaproic acid N-hydroxysuccinimide ester、EMCS)、γ-マレイミドブチリック酸N-スクシンイミジルエステル(γ-Maleimidobutyric acid N-succinimidyl ester、GMBS)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(M-maleimidobenzoyl-N-hydroxysuccinimide ester、MBS)、4-(4-N-マレイミドフェニル)-ブチル酸ヒドラジド[4-(4-N-maleimidophenyl)-butyric acid hydrazide、MPBH]、N-スクシンイミジル3-(ブロモアセトアミド)プロピオネート[N-succinimidyl 3-(bromoacetamido)propionate、SBAP]、N-スクシンイミジルヨードアセテート(N-succinimidyl iodoacetate、SIA)、N-スクシンイミジル-4-(ヨードアセチル)-アミノベンゾエート[N-succinimidyl-4-(iodoacetyl)-aminobenzoate、SIAB]、N-スクシンイミジル-4-(p-マレイミドフェニル)ブチレート[N-succinimidyl 4-(p-maleimidophenyl)butyrate、SMPB]、又はスクシンイミジル-6-(マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエート[succinimidyl-6-(maleimidopropionamido)hexanoate、SMPH]などを含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0084】
本願の一具現例において、前記リンカーは、下記より選択されるものを含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0085】
BMPEO、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-N-スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート[long chain N-succinimidyl 4-(maleimidomethyl)cyclohexanecarboxylate、long chain SMCC]、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、N-(e-マレイミドカプロイルオキシ)スルホスクシンイミドエステル[N-(e-maleimidocaproyloxy)sulfosuccimido ester、sulfo-EMCS]、N-(Y-マレイミドブトリルオキシ)スルホスクシンイミドエステル[N-(y-maleimidobutryloxy)sulfosuccinimde ester、sulfo-GMBS]、N-(κ-マレイミドウンデカノイルオキシ)スルホスクシンイミドエステル[Ν-(κ-maleimidoundecanoyloxy)sulfosuccinimide ester、sulfo-kmus]、M-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル(m-maleimidobenzoyl-N-hydroxysulfosuccinimide ester、sulfo-MBS)、スルホスクシンイミジル(4-ヨード-アセチル)アミノベンゾエート[sulfosuccinimidyl(4-iodo-acetyl)aminobenzoate、sulfo-SIAB]、スルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート[sulfosuccinimidyl 4-(N-maleimido-methyl)cyclohexane-l-carboxylate、sulfo-SMCC]、スルホスクシンイミジル4-(p-マレイミドフェニル)ブチレート[sulfosuccinimidyl 4-(p-maleimidophenyl)butyrate、sulfo-SMPB]、スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート(succinimidyl-(4-vinylsulfone)benzoate、SVSB)、及びビス-マレイミド試薬(bis-maleimide reagents):ジチオビス-マレイミドエタン(dithiobis-maleimidoethane、DTME)、1,4-ビス-マレイミドブタン(1,4-bis-maleimidobutane、BMB)、1,4-ビスマレイミジル-2,3-ジヒドロキシブタン(1,4-bismaleimidyl-2,3-dihydroxybutane、BMDB)、ビス-マレイミドヘキサン(bis-maleimidohexane、BMH)、ビス-マレイミドエタン(bis-maleimidoethane、BMOE)、1,8-ビス-マレイミドジエチレングリコール[1,8-bis-maleimidodiethyleneglycol、BM(PEO)2]、及び1、11-ビス-マレイミドトリエチレングリコール[1,11-bis-maleimidotriethyleneglycol、BM(PEO)3]及び
【化16】
【0086】
前記リンカーにおいて、破線は前記抗体又は前記ベンゾセレノフェン系化合物に対する共有結合を示すものであり、前記nは、約1~約1,000の数である。
【0087】
本願の一具現例において、前記nは、約1~約1,000、約1~約900、約1~約800、約1~約700、約1~約600、約1~約500、約1~約400、約1~約300、約1~約200、約1~約100、約1~約50、約1~約40、約1~約30、約1~約20、約1~約10、約1~約5、約1~約3の数であっても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例において、前記nは、約1~約5、又は約1~約3の数であっても良い。
【0088】
本願の一具現例において、前記リンカーにおけるポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)部分のn数を調整することにより、例えば、約1,000又は約2,000の分子量を有するようにするか、4-arm、又は8-arm branched PEGを形成して水溶性が増加したベンゾセレノフェン系化合物を含むDNAアルキル化誘導体を合成し、抗癌剤又はその前駆体として活用しても良いが、これに限定されるものではない。
【0089】
本願の一具現例において、本願の抗体-薬物複合体は、癌細胞に対するIC50がnM又はpM単位で非常に強力な坑癌効果を持つ物質であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0090】
本願の一具現例において、前記リンカー及び前記ベンゾセレノフェン系化合物は、ペプチド結合によって連結されたものであっても良いが、これに限定されるものではない。
【0091】
本願の一具現例において、前記官能基が置換された場合、前記置換基は、アシル基、アミノ基(単純アミノ基、モノ及びジアルキルアミノ基、モノ及びジアリールアミノ基、及びアルキルアリールアミノ基を含む)、アシルアミノ基(カルバモイル基、及びウレイド基を含む)、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルボキシレート基、アミノカルボニル基、モノ及びジアルキルアミノカルボニル基、シアノ基、アジド基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、チオール基、アルキルチオール基、アリールチオール基、アルキルチオカルボニル基、チオカルボキシレート基、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、低級アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、ベンジルオキシ基、ベンジル基、スルフィニル基、アルキルスルフィニル基、スルホニル基、スルフェート基、スルホネート基、スルホンアミド基、ホスフェート基、ホスホネート基、ホスフィネート基、オキソ基、グアニジン基、イミノ基、及びホルミル基より選択される1つ以上を含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0092】
本願の一具現例において、R1は、窒素を1つ以上含む、C3-10ヘテロシクロアルキル基又はC3-10ヘテロアリール基を含み、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素、メチル基、又はエチル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0093】
本願の一具現例において、Xは、F、Cl、BR、又はIであっても良いが、これに限定されるものではない。また、本願の一具現例において、Xは、Clであっても良い。
【0094】
本願の一具現例において、本願のベンゾセレノフェン系化合物は、ベンゾセレノフェン母体とアミド結合で連結される-CHR2CHR1R3に主骨格として2つのSp3炭素を含むことによって、分子自体の柔軟性(flexibility)が増加しても良い。また、R1は、小さい置換基を有する第3次アミン又はN、O、又はSを含む5角又は6角形の環の様々な誘導体を含むことが好ましい。例えば、R1は、ヘテロ原子を含むか含まない二重環を含んでいても良く、これは、坑癌メカニズム上、DNAのマイナーグルーブ(minor groove)結合が容易である。
【0095】
本願の一具現例において、R
1は、ピロリジニル基(-NC
4H
8、pyrrolidinyl group)、ピペリジニル基(-NC
5H
10、piperidinyl group)、ピペラジニル基(-N
2C
4H
9、piperazinyl group)、4-メチルピペラジン-1-イル基(-N
2C
5H
11、4-methylpiperazin-1-yl group)、モルフォリノ基(-NOC
4H
8、morpholino group)、
【化17】
を含み、前記Yは、-CH
2-又は-C
2H
4-を含み、前記Zは、-CHR-、-NR、-O-、又は-S-を含み、前記Rは、水素又はC
1-3アルキル基を含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0096】
本願の一具現例において、R1は、ピロリジニル基(-NC4H8、pyrrolidinyl group)、ピペリジニル基(-NC5H10、piperidinyl group)、ピペラジニル基(-N2C4H9、piperazinyl group)、4-メチルピペラジン-1-イル基(-N2C5H11、4-methylpiperazin-1-yl group)、又はモルフォリノ基(-NOC4H8、morpholino group)であっても良い。
【0097】
本願の一具現例において、R2及びR3は、全て水素であっても良い。
【0098】
本願の一具現例において、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素、メチル基、エチル基、又はプロピル基であっても良い。
【0099】
本願の一具現例において、前記ベンゾセレノフェン系化合物は、下記を含んでいても良い。
【化18】
【0100】
本願の一具現例において、本願のベンゾセレノフェン系化合物及びリンカーの結合は、例えば下記のような方法により製造されても良く、これに限定されるものではない。
【化19】
【0101】
本願の一具現例において、前記抗体-薬物複合体における薬物-抗体の割合(Drug-to-antibody ratio、DAR)が約1~約8の範囲であっても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例において、前記抗体-薬物複合体における薬物-抗体の割合(DAR)は、約1~約8、約1~約6、約1~約5、約2~約8、約2~約6、約2~約5、約3~約8、約3~約6、又は約3~約5であっても良いが、これに限定されるものではない。また、本願の一具現例において、前記抗体-薬物複合体における薬物-抗体の割合(DAR)は、約2~約5であっても良い。
【0102】
本願の第5の側面は、第4の側面に係る抗体-薬物複合体又はその薬剤学的に許容される塩を含む、坑癌用組成物を提供する。
【0103】
本願の第1の側面乃至第4の側面と重複する部分については詳細な説明を省略しているが、本願の第1の側面乃至第4の側面について説明した内容は、本願の第5の側面でその説明が省略されているとしても同様に適用され得る。
【0104】
本願の一具現例において、前記坑癌用組成物が、固形腫瘍、血液癌、結腸直腸癌、子宮癌、子宮筋腫、髄膜腫、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、胃腸管癌、大腸癌、腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、肝癌、腎癌、膀胱癌、膵臓癌、脳癌、脳転移癌、肉腫、骨肉腫、カポジ肉腫、及び黒色腫より選択される1つ以上の疾病に対して坑癌活性を有するものであっても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例による薬学的組成物は、予防又は治療の対象として、癌腫に限られない疾患に適用が可能であっても良い。
【0105】
以下、本願について実施例を利用しながらより具体的に説明するが、下記実施例は本願の理解を助けるための例示に過ぎず、本願の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【0106】
[実施例]
1.中間生成物の合成
(1)5-(3-morpholinopropanamido)benzo[b]selenophene-2-carboxylic acid(化合物7)の製造
【化20】
3-モルホリノプロパン酸(3-morpholinopropanoic acid)(3当量)、EDC(3当量)、DMAP(2当量)をDMFに溶解して15分間攪拌した後、(エチル)(5-アミノベンゾ[b]セレノフェン-2-カルボキシレート)[(Ethyl)(5-Amino-benzo[b]selenophene-2-carboxylate)](化合物5、1当量)と24時間反応させた。反応の終結後、メチレンクロライド(methylene chloride、MC)/水を使用して分別漏斗でMC層を分離した後、MgSO
4で乾燥して濾過した。濾過された溶液を回転蒸発装置において溶媒を除去し、カラムした。収率:78%。
【0107】
1H NMR(500.1MHz、CDCl3)δ1.38(t、3H、J=7,2)、2.54-2.76(m、8H)、3.82(t、4H、J=4.4)、4.36(q、2H、J=7.2)、7.36(dd、1H、J=8.6、2.1)、7.77(d、1H、J=8.6)、8.21(s、1H)、8.26(d、1H、J=2.2)、10.87(bS、1H、NH);13C NMR(125.7MHz、CDCl3)δ14.4、32.3、52.9、54.2、61.7、67.1、117.6、119.7、126.1、134.2、136.3、137.7、138.8、141.9、163.9、170.5;HRMS(ESI);m/z calcd for C18H22N2O4Se[M+]:410.07;found:411.0824[M+H]+
【0108】
上記過程で得られた(エチル)(5-(3-モルホリノプロパンアミド)ベンゾ[b]セレノフェン-2-カルボキシレート)[(ethyl)(5-(3-morpholinopropanamido)benzo[b]selenophene-2-carboxylate)](1当量)をメタノールに溶かした後、3N NaOH 2mLを添加して24時間反応させる。反応の終結後、20%のHClを入れてpHを酸性に合わせた後、回転蒸発装置において溶媒を除去し、カラムした。収率:90%。
【0109】
1H NMR(500.1MHz、MeOD-d4)δ2.74-3.11(m、8H)、3.81(s、4H)、7.48(d、1H、J=8.4)、7.87(d、1H、J=8.9)、8.08(S、1H)、8.21(s、1H);
【0110】
13C NMR(125.7MHz、DMSO-d6)δ30.2、51.1、51.8、63.2、117.2、119.7、126.4、133.9、136.6、137.8、138.8、141.6、164.7、167.9;HRMS(ESI);m/z calcd for C16H18N2O4Se[M+]:382.04;found:383.0512[M+H]+
【0111】
(3)5-(3-(4-methylpiperazin-1-yl)propanamido)benzo[b]selenophene-2-carboxylic acid(化合物8)の製造
3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン酸[3-(4-methylpiperazin-1-yl)propanoic acid](3当量)、EDC(3当量)、及びDMAP(2当量)をDMFに溶解して15分間攪拌した後、(エチル)(5-アミノベンゾ[b]セレノフェン-2-カルボキシレート)[(Ethyl)(5-Amino-benzo[b]selenophene-2-carboxylate)](化合物5、1当量)と24時間反応させる。反応の終結後、MC(methylene chloride、メチレンクロライド)/水を使用して分別漏斗でMC層を分離した後、MgSO4で乾燥して濾過した。濾過された溶液を回転蒸発装置において溶媒を除去し、カラムした。収率:84%。
【0112】
1H NMR(500.1MHz、CDCl3)δ1.14(t、2H、J=7,1)、1.34(t、3H、J=7.2)、2.31(s、3H)、2.48-2.50(m、4H)、2.68-2.70(m、4H)、3.41(q、2H、J=7.1)、4.31(q、2H、J=7.1)、7.34(d、1H、J=8.7)、7.72(d、1H、J=8.6)、8.16(S、1H)、8.22(S、1H)、11.02(bs、1H、NH);
【0113】
13C NMR(125.7MHz、CDCl3)δ14.3、15.3、32.6、46.0、52.3、53.6、55.3、61.6、65.8、117.5、119.7、126.0、134.3、136.5、137.5、138.5、141.8、163.8、170.7;HRMS(ESI);m/z calcd for C19H25N3O3Se[M+]:423.11;found:424.1139[M+H]+
【0114】
上記過程で得られた(エチル)(5-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパンアミド)ベンゾ[b]セレノフェン-2-カルボキシレート)[(ethyl)(5-(3-(4-methylpiperazin-1-yl)propanamido)benzo[b]Selenophene-2-carboxylate)](1当量)をメタノールに溶かした後、3N NaOH 2mLを添加して24時間反応させる。反応の終結後、20%のHClを入れてpHを酸性に合わせた後、回転蒸発装置において溶媒を除去し、カラムした。収率:62%。
【0115】
1H NMR(500.1MHz、MeOD-d4)δ2.54-2.58(m、2H)、2.66(s、3H)、2.77-3.05(m、9H)、3.27(s、1H)、7.38(d、1H、J=8.6)、7.74(d、1H、J=8.6) 7.90(s、1H)、8.08(s、1H);
【0116】
13C NMR(125.7MHz、DMSO-d6)δ34.9、44.0、51.5、51.8、54.2、54.4、54.7、118.8、120.2、127.1、131.3、137.1、140.1、144.2、149.1、171.0、172.5;HRMS(ESI);m/z calcd for C17H21N3O3Se[M+]: 395.07;found:396.0826[M+H]+
【0117】
2.中間生成物とseco-MCBIの反応による最終生成物の製造
合成に利用されたseco-MCBI(化合物1)は、公知の方法を使用して合成した。また、酸処理をして得られた中間体にベンゾセレノフェンカルボン酸(benzoselenophene carboxylic acid)をカップリングして化合物3及び4を合成する過程は、下記のような方法で行った。
【化21】
【0118】
丸底フラスコに盛られたseco-MCBI(化合物1、30mg、0.09mmol)に、エチルアセテート中4mLのHCl飽和溶液を-78℃で添加して反応混合物を製造した。前記反応混合物を-78℃で30分間攪拌した後、室温で1時間攪拌した。薄層クロマトグラフィ(TLC)で塩の形成が観察された後、エチルアセテートを窒素流下において蒸発させた後、高真空下において1時間完全に乾燥した。前記生成された残留物を無水DMF(0.2mL)に溶解し、0℃で無水DMF(0.5mL)中前記化合物7又は8のうちいずれかで表されるカルボン酸(1.1当量)及びEDC(52mg、0.27mmol)の混合物に添加し、0℃で3時間攪拌した後、室温で5時間攪拌した。反応が完了した後、結果物を水で希薄してエチルアセテート(3×15mL)で抽出した。得られた有機層を塩水で洗浄して、MgSO4上で乾燥し、濾過して濃縮して製造された粗生成物(crude product)をカラムクロマトグラフィで精製することにより、所望の生成物を得た。
【0119】
3.最終生成物の分析結果
(1)(S)-N-(2-(1-(chloromethyl)-5-hydroxy-8-methoxy-2,3-dihydro-1H-benzo[e]indole-3-carbonyl)benzo[b]selenophen-5-yl)-3-morpholinopropanamide(化合物3)
【化22】
1H NMR(500.1MHz、Acetone-d6)δ10.28(s、1H)、9.31(s、1H)、8.48(s、1H)、8.21(s、1H)、8.14(d、J=9.2 Hz、1H)、7.99(m、1H)、7.76(brs、1H)、7.54(d、J=8.6 Hz、1H)、7.20(s、1H)、7.03(d、J=9.3 Hz、1H)、4.76(t、J=9.5 Hz、1H)、4.65(d、J=11.0 Hz、1H)、4.18(m、1H)、4.06(d、J=11.2 Hz、1H)、3.95(s、3H)、3.82-3.78(m、1H)、3.74(m、4H)、2.64-2.62(m、6H)
【0120】
13C NMR(500.1MHz、CDCl3+ Methanol-d4)δ171.3、164.2、159.7、155.4、143.5、142.7、142.3、138.3、136.6、132.0、130.6、126.2、126.0、120.2、118.9、118.4、116.2、106.5、101.8、98.8、66.7(2C)、56.7、55.7、54.6、53.4(2C)、46.2、45.3、43.0 HRMS calcd for(C30H30ClN3O5Se)628.1088[M+ H]+、Observed 628.1087
【0121】
4.Mal-リンカー-ペイロードの合成(化合物3-3)
(1)(S)-1-(chloromethyl)-8-Methoxy-3-(5-(3-morpholinopropanamido)benzo[b]selenophene-2-carbonyl)-2,3-dihydro-1H-benzo[e]indol-5-yl(4-nitrophenyl)carbonate(化合物3-1)の合成
化合物3を無水THFに溶かして、N2(g)を満たした後、0℃でTEA(6当量)及び4-ニトロフェニルクロロフォ-メ一卜(4-Nitrophenyl chloroformate、4当量)を入れて室温で12時間反応させた。THFを全て蒸発させた後、エーテル沈殿によりフェノール、pNPC、及びTEAなどを除去した後、クルード(crude)で次のステップを進行した。
【0122】
前記クルードをDMF:THF=1:4に溶かした後、t-ブチルメチル(2-(プロパ-2-イン-1-イルアミノ)エチル)カルバメート[tert-butyl methyl(2-(prop-2-yn-1-ylamino)ethyl)carbamate、6当量]及びTEA(2当量)を0℃で入れて、HPLCで反応をモニタリングした。反応が終結した後、MC:MeOHでカラムクロマトグラフィを行った。収率:95%。
【0123】
1H NMR(500.1MHz、Acetone)δ10.123(s、1H)、8.446(s、1H)、8.126-8.096(q、2H)、7.891-7.873(d、1H)、7.445-7.428(d、1H)、7.204-7.176(t、1H)、7.086-7.041(q、1H)、4.702-4.4(m、3H)、4.323(s、1H)、4.211-4.198(d、1H)、4.030-3.860(m、5H)、3.666-3.650(q、6H)、3.546-3.534(d、1H)、3.275(s、1H)、3.2~2.8(m、6H)、2.676-2.668(s、2H)、2.492-2.437(t、6H)、2.049-2.005(m、3H)、1.464-1.399(t、9H);13C NMR(500.1MHz、Acetone)δ170.94 163.15 160.05 156.53 155.98 155.06 154.78 149.13 148.89 145.41 143.78 143.06 138.08 137.46 132.41 131.10 126.50 125.32 122.68 121.21 119.97 118.81 117.82 109.80 109.74 102.40 80.44 79.92 79.82 74.26 67.47 56.46 55.95 55.07 54.01 47.41 47.09 46.54 46.13 45.63 42.92 38.16 37.65 37.33 35.28 34.92 34.17 28.73 28.67
【0124】
(2)(2R,3R,4R,5S,6S)-3,4,5-triacetoxy-6-(4-((((2-(((((S)-1-(chloromethyl)-8-methoxy-3-(5-(3-morpholinopropanamido)benzo[b]selenophene-2-carbonyl)-2,3-dihydro-1H-benzo[e]indol-5-yl)oxy)carbonyl)(prop-2-yn-1-yl)amino)ethyl)(methyl)carbamoyl)oxy)methyl)phenoxy)tetrahydro-2H-pyran-2-carboxylic acid(化合物3-2)の合成
前記化合物3-1をTFA(溶媒としてメチレンクロライド下に20%)に溶解して0℃から室温に昇温させ、HPLCで反応をモニタリングした後、MCで繰り返し乾燥した後、クルード(crude)で次の反応を進行した。
【0125】
前記クルードをDMF:THF1:1に溶かして、β-Glucuronide linker carbonate(3当量)及びTEA(2当量)を入れた。HPLCでモニタリングして反応物がなくなったときに反応を終結し、エチルアセテート(Ethyl acetate、EA):ヘキサン(Hexane)→EA:メタノール(methanol、MeOH)→MC:MeOHの順番でカラムしながら、HPLCでもモニタリングした。収率:60.9%
【0126】
1H NMR(500.1MHz、Acetone)δ10.9(s、1H)、8.4(d、1H)、8.1~8.0(t、2H)、7.9~7.7(m、2H)、7.45~7.32(t、1H)、7.3~7.2(d、1H)、7.2-7.1(t、1H)、7.1~6.85(m、2H)、5.5~5.3(m、1H)、5.2~4.9(m、4H)、4.7~4.5(m、2H)、4.5~4.35(m、1H)、4.3~4.25(s、1H)、4.25~4.1(s、1H)、4.0(d、1H)、3.9~3.7(m、4H)、3.7~3.4(m、9H)、3.0~2.8(m、4H)、2.7~2.6(m、2H)、2.55~2.3(m、6H)、1.3~1.1(m、4H)、0.85~0.7(m、3H)
【0127】
上記過程で得られた化合物(1当量)をメタノール/水(6:1)に溶かす。0℃の条件下でLiOH(hydrate、6eq)を入れて1時間攪拌する。HPLCで反応をモニタリングした後、酢酸でpH3まで酸性化して固体が生成された。固体を濾過し、僅かなアセトン及びMCで不純物を除去した。収率:99%。
【0128】
1H NMR(500.1MHz、DMSO)δ10.245(s、1H)、8.474(s、1H)、8.323(s、1H)、8.072-7.970(q、2H)、7.867-7.721(m、1H)、7.467(s、1H)、7.324-7.229(q、3H)、7.121(s、1H)、6.960-6.861(t、2H)、5.411(s、1H)、5.208(s、1H)、5.029-4.866(m、4H)、5.411(s、1H)、5.208(s、1H)、5.029-4.866(t、4H)、4.548-4.533(d、1H)、4.400(s、2H)、4.225-4.042(q、4H)、4.0~3.5(m、17H)、2.933(s、1H)、2.871(s、1H)、2.668-2.656(d、3H)、2.441(s、3H)、2.086(s、3H)、1.140(s、1H)
【0129】
(3)(2R,3R,4R,5S,6S)-3,4,5-triacetoxy-6-(4-((((2-(((((S)-1-(chloromethyl)-8-methoxy-3-(5-(3-morpholinopropanamido)benzo[b]selenophene-2-carbonyl)-2,3-dihydro-1H-benzo[e]indol-5-yl)oxy)carbonyl)((1-(15-(2,5-dioxo-2,5-dihydro-1H-pyrrol-1-yl)-13-oxo-3,6,9-trioxa-12-azapentadecyl)-1H-1,2,3-triazol-4-yl)methyl)amino)ethyl)(methyl)carbamoyl)oxy)methyl)phenoxy)tetrahydro-2H-pyran-2-carboxylic acid(化合物3-3)の合成
化合物3-2(1当量)及び2-(2-(2-(2-azidoethoxy)ethoxy)ethoxy)ethanamine(1.5当量)をDMSOに溶解させ、CuSO4(1当量)及びTHPTA(1当量)を緩衝溶液に溶かした後、化合物3-2のDMSO溶液に入れる。アスコルビン酸ナトリウム(10当量)を入れて20分後、HPLCでモニタリングし、反応が完了した後、HPLCを利用して分離した。収率:82%。
【0130】
1H NMR(500.1MHz、DMSO)δ10.396(s、1H)、8.451(s、1H)、8.073-8.056(d、1H)、8.073-8.056(q、2H)、7.728(m、3H)、7.511-7.493(d、1H)、7.282-7.205(t、3H)、7.103-7.085(d、1H)、7.000-6.940(m、2H)、5.754(s、0.5H)、5.1~4.9(m、3H)、4.9~4.7(m、2H)、4.6~4.5(s、4H)、4.4~4.3(s、1H)、4.2~3.9(m、7H)、3.9~3.8(s、3H)、3.75~3.6(s、2H)、3.6~3.4(m、8H)、3.2~3.1(s、9H)、3.0~2.8(m、6H)、2.6~2.45(m、6H)、2.14~2.05(s、4H)、1.8~1.7(s、2H)、1.3~1.2(s、1H)
【0131】
上記過程で得られた化合物をDMFに溶かした後、DIPEA(2当量)及び2,5-dioxopyrrolidin-1-yl-3-(2,5-dioxo-2,5-dihydro-1H-pyrrol-1-yl)propanoate(1.5当量)を入れて室温で2時間攪拌した。収率:23%。
【0132】
1H NMR(500.1MHz、DMSO)δ10.383(s、1H)、8.439(s、1H)、8.35-8.3(d、1H)、8.073-8.056(d、1H)、7.978-7.951(t、3H)、7.85-7.6(m、1H)、7.510-7.492(d、1H)、7.272-7.199(d、3H)、7.097-7.080(t、1H)、6.995-6.940(q、3H)、5.000~4.7(m、4H)、4.6~4.5(m、4H)、4.45~4.3(s、1H)、4.15~3.6(m、10H)、3.6~3.2(m、9H)、3.2~3.1(m、3H)、3.0~2.8(m、8H)、2.8~2.7(s、3H)、2.7~2.3(m、9H)、1.753(s、2H)、1.234(s、1H)
【0133】
5.トラスツズマブ(Trastuzumab)-ペイロード(化合物3、DS-24)の複合体合成
【化23】
抗体は、トラスツズマブ(TMAb)を利用し、ゲル透過クロマトグラフィを利用して精製後に使用した。使用された抗体には、HC-LCを連結するジスルフィド結合2個及びHC-HCを連結するジスルフィド結合2個を有し、全4個の鎖間ジスルフィド結合があり、前記抗体を穏やかな還元剤tris(2-Carboxyethyl)phosphine hydrochloride(TCEP)を利用して部分的還元した。DARは、約2~約5である場合、抗原-抗体反応に問題がなく毒性に優れて、TCEPの当量を調整して約2~約5のDAR平均値を得ようとした。
【0134】
TmAb(1当量)をPBS(pH=7.25)に溶かした後、TCEP(2.75当量)でインキュベータにおいて30分間還元した後、GPCでカラムして還元された抗体のみを得た。UV分光器で抗体の有無を確認した後、DTPA 1 mMを入れた。5mg/ml(DMSO 5%、PBS buffer 95%)に合わせてMal-リンカー-薬物(10当量)をDMSOに溶かし、2当量ずつ入れた。インキュベータ37℃で30分ごとにHICで確認した後、Mal-リンカー-薬物を追加でさらに入れる。反応が完了すれば、GPCを通過させて純粋なサンプルを得て、30mMヒスチジン(histidine)、80mMトレハロース(trehalose)、0.01%Tween(登録商標)20、及び50mM PBS(pH6)緩衝溶液で遠心分離を利用してフォーミュレーション(formulation)した後、凍結乾燥器で乾燥して保管した。
【0135】
6.合成された抗体-薬物複合体(ADC)の分析結果
(1)トラスツズマブ-Glucuronide-化合物3ADCのサイズ排除クロマトグラフィ(size exclusion chromatography、SEC)分析
SECは、サイズが大きいものから出るので、抗体より先に出る場合、凝集(aggregation)の有無を確認することができる。
図1に示したように、化合物3を含むADCを合成した結果、凝集が1%以下と測定され、凝集がほとんど起こらなかったことを確認した。
【0136】
(2)トラスツズマブ-Glucuronide-化合物3ADCの疎水性相互作用クロマトグラフィ(hydrophobic interaction chromatography、HIC)分析
図2に示したように、薬物対抗体比(drug-to-antibody ratio、DAR)=0であるサンプルにDAR=2、4、6、8などのサンプルが合されて一つで示され、これは、使用されたリンカー-薬物の極性が非常に高く、水溶性が良いことを意味する。
【0137】
(3)トラスツズマブ-Glucuronide-化合物3ADCのポリマー逆相(polymeric reversed-phase、PLRP)分析
PLRPは、還元された抗体の各部分を還元して(full reduction)スペクトルに別途に示すことにより、抗体のどの部分にリンカー-薬物が結合されたのか確認できる。
図3に示したように、前記ADCを還元した結果、軽鎖と重鎖とに分解された。
図3は、軽鎖に結合されていないもの(L0)、軽鎖に一つが結合したもの(L1)、重鎖に結合していないもの(H0)、及び重鎖にそれぞれ一つ、二つ、及び三つが結合したもの(H1、H2、及びH3)を定量的に分析したデータであって、これにより、DARが4.25であることが確認できた。
【0138】
7.化合物3及びこれを含むADCの坑癌の活性分析
(1)化合物3のin vitro cell lineの活性分析
NCI NTPプログラムにサンプルを依頼して化合物3の活性を確認した。
図4に示したように、化合物3は、様々なセルラインでGI
50(Growth inhibition 50%、NCINTP プログラムで活性を表す指標)がpM以下の非常に強い活性を示しており、特に、非小細胞肺癌(non-small lung cancer)、CNS癌、黒色腫(melanoma)、及び腎癌(renal cancer)に特に強い活性を見せている。
【0139】
(2)化合物3のin vivo cell lineの活性分析
化合物3(DS-24)のin vivo活性分析の結果、
図5のように非常に低い濃度でもin vivo活性があることが確認できた。
【0140】
(3)化合物3のNCI細胞株における癌腫別相関関係の分析(sensitivity difference between cancer types、TGI)
上記
図6の結果をもとに、NCI NTPプログラムにより坑癌効果を確認した細胞株の癌腫による反応性を統計的有意性があるか否か分析した。その結果、
図6に示されたように、白血病(Leukemia)対比非小細胞肺癌、CNS癌、及び黒色腫に対して腫瘍成長阻害(tumor growth inhibition)効能があることを確認した。また、Wilcoxon’s rank sum testを利用して、白血病及び黒色腫の間にp-value 0.0074(<0.05)の顕著なTGI差異を確認した。それをもとに、化合物3が抗体-薬物複合体に適用される場合、脳腫瘍及び脳転移癌(NSCLC)、肺癌、黒色腫などに相当な効能を奏すると判断される。
【0141】
(4)トラスツズマブ-Glucuronide-化合物3ADC[ADC(DS-24)]の活性分析
1)Her2発現によるADC(DS-24)の活性分析
下記のように合成されたADCは、DAR=4.25と分析され、2種のフォーミュレーション(ADC F1及びADC F2)に対して類似した活性を示した。トラスツズマブの抗原であるHer2が高発現されたSK-BR-3及びJIMT-1Cell lineで活性に優れて、対照群として使用されたHer2が低発現されたMCF-7では活性の低いことが分かる。168時間処理された場合、活性が高く示されたのは、使用したリンカーがMCF-7Cell lineで不安定であるためと判断される。
【化24】
【表1】
【0142】
2)MCF-7及びNCI-N87細胞のADC(DS-24)に対する細胞生存率分析
MCF-7及びNCI-N87細胞を0.02nM~100nMの7種の異なる濃度のADC(DS-24)で3日間処理した。
図7aは、投入量-反応曲線に対する非線形回帰分析を示し、
図7bは、結果であるIC
50値を示す。
【0143】
Her2-発現NCI-N87は、トラスツズマブ-化合物3ADCに敏感であるのに対し、Her2-陰性(Negative)であるMCF-7は抵抗力がある。具体的に、
図7a及び
図7bに示されたように、トラスツズマブ-Glucuronide-化合物3ADCをMCF-7及びNCI-N87に処理した後、細胞内のATPを測定して生存率を分析した結果、トラスツズマブの抗原を発現するNCI-N87では高い感受性を見せ、トラスツズマブの抗原を発現しないMCF7では低い感受性を見せた。
【0144】
3)ADC(DS-24)のBT474腫瘍スフェロイド阻害効能の確認
図8aに示したように、トラスツズマブの抗原を高く発現するHer2-発現BT474細胞株の3次元腫瘍スフェロイドを形成した後、0.02nM~100nMの7種の異なる濃度のトラスツズマブ、及びトラスツズマブ-Glucuronide-化合物3ADCを処理して2週後に観察した。
図8b及び
図8cに示されたように、投入量-反応曲線に対する非線形回帰分析を通じて、ADC(DS-24)の高い坑癌活性が確認でき、トラスツズマブのIC
50は18.19nMであり、ADC(DS-24)のIC
50は0.23nMと分析された。
【0145】
4)NCI-N87 異種移植動物モデルにおける ADC(DS-24) 効力及び体重変化
トラスツズマブの抗原を発現するNCI-N87細胞株をヌードマウスに異種移植した後、トラスツズマブ及びトラスツズマブ-Glucuronide-化合物2[ADC(DS-24)]をそれぞれ静脈内に投与した後、坑癌活性を観察した。ここで、トラスツズマブは、5mg/kgで週2回投与し、ADC(DS-24)は、1mg/kg及び5mg/kg用量でそれぞれ1回投与した。
【0146】
図9aに示されたように、トラスツズマブ投与群及びADC(DS-24)1mg/kg投与群では、ある程度の腫瘍形成抑制を見せたものの有意性がなく、ADC(DS-24)5mg/kg投与群で上記二つに比して有意に49日まで腫瘍のサイズが大きくならないことを確認した。
図9bに示されたように、投与期間の間マウスの体重に大きい変化はなかった。よって、ADC(DS-24)投与群では、深刻な体重変化などの副作用は発見されず、毒性が出ないことを確認した。
【0147】
5)NCI-N87異種移植動物モデルにおけるADC(DS-24)の全血球分析(CBC検査)による毒性分析
NCI-N87異種移植モデルの効能評価において、全個体の終了時点にマウスの血液を採血して血球分析装置を利用して抗体-薬物複合体が全般的にマウスの循環系にどのような影響を及ぼすのか確認するために、全血球分析を実施した。
【0148】
図10aに示されたように、対照群及び投与群において、白血球(white blood Cell、WBC)、好中球(neutrocyte、NEU)、リンパ球(lymphocyte、LYM)、単核球(monocyte、MONO)など塩症細胞の数値は正常範囲であった。
図10bに示されたように、赤血球(Red blood Cell)、ヘモグロビン(hemoglobin)、血色素(hematocrit)など貧血関連の数値は特異的な所見を見せず、平均赤血球容積(mean corpuscular volume、MCV)、平均赤血球血色素(mean corpuscular hemoglobin、MCH)及び血小板数(platelet count、PLT)も確認した。
【0149】
6)高効率スクリーニング(High-throughput screening)を通じたDS-24free-toxinの細胞株及び脳腫瘍患者来由細胞における効能評価
図11a、
図11b及び
図11cは、それぞれ膠芽腫細胞株U87MG、多発性骨髄腫細胞株KMS11、及び膀胱癌細胞株RT112に対する化合物3(DS-24)の他7種のペイロードの細胞生存率の抑制効能を確認したデータである。そして、
図12a、
図12b、
図12c、
図12d、
図12e、及び
図12fは、それぞれ膠芽腫患者来由細胞の6種に対する化合物3(DS-24)の他7種のペイロードの細胞生存率の抑制効能を確認したデータである。
【0150】
20μMを最高濃度と基準して、14種濃度に希薄して薬物を処理した後、2回繰り返し試験に対する濃度グラフを通じて薬物濃度による効果が比例するか検証した。薬物処理 7日後に細胞生存率を分析し、50%の細胞生存率を阻害するIC50を計算した。
【0151】
前記分析されたIC50を下記[表2]に示し、DM1、DM4、MMAE、及びMMAFの場合は、KMS11及びRT112に比べて膠芽腫患者来由細胞に対する細胞生存率の阻害効能が顕著に減少した。SN-38、Deruxtecan-linkerの場合は、全ての細胞で類似した効能を見せたが、細胞生存率の阻害効能が他のペイロードに比べて低いことが確認できた。DS-24の場合は、比較した物質の中で最も高い細胞生存率の阻害効能を見せた。
【0152】
特に、DS-24は、膠芽腫患者来由細胞と細胞株(U87MG)において比較した他のペイロードに比べて約100倍~1,000倍以上さらに低いIC
50を示した。よって、本願によるDS-24薬物が脳腫瘍及び膠芽腫に対して、他の薬物に比べて非常に効果的に細胞生存率を阻害すると考えられる。
【表2】
【0153】
8.化合物2対比化合物3の坑癌の活性分析
本発明者らは、従来に下記化合物2を製造して坑癌活性を分析したことがあり、本発明による下記化合物3が化合物2より顕著に優れた坑癌活性を保有することを確認し、具体的に、細胞成長抑制効果について分析(cell growth inhibition assay)した。
【化25】
【0154】
American Type Culture Collection(ATCC;Manassas、VA、USA)で購入したHer-2陽性である人間の胃癌細胞NCI-N87及び人間の卵巣癌細胞SK-OV3をウェル(well)当たり500個の細胞として、384-ウェルプレート(well plate)にシーディングした。2時間プレートした後、細胞は、5-配の毒素及び14-ポイントシリアル希薄シリーズ(14-point serial dilution series)で4回繰り返えし(quadruplicate)処理された。5%CO
2加湿培養基において37℃で3日間培養した後、firefly luciferase(ATPliteTM 1step、PerkinElmer、MA、USA)に基づいたアデノシントリホスフェートモニタリングシステムを利用して細胞生存力を確認した。IC
50値は、4回繰り返された実験(Graphpad Prism 5.0、CA、USA)の平均値で計算した。具体的な実験値は、下記[表3]の通りであり、
図13a及び
図13bにおいて、NCI-N87に対するDS-24及びDS-26の濃度による細胞生存率をそれぞれ示し、
図14a及び
図14bにおいて、SK-OV3に対するDS-24及びDS-26の濃度による細胞生存率をそれぞれ示した。
【表3】
【0155】
上述した本願の説明は例示のためのものであり、本願の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本願の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解できるはずである。それゆえ、上記した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素は分散して実施されても良く、同様に、分散したものと説明されている構成要素も結合された形態で実施されても良い。
【0156】
本願の範囲は、上記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態が本願の範囲に含まれると解釈されなければならない。