(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/12 20060101AFI20240614BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
H01Q1/12 Z
H05K7/20 N
H05K7/20 R
(21)【出願番号】P 2022559235
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 JP2021039864
(87)【国際公開番号】W WO2022092220
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-18
(31)【優先権主張番号】P 2020181911
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大川 佳英
(72)【発明者】
【氏名】山元 泉太郎
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-316672(JP,A)
【文献】特開平06-105919(JP,A)
【文献】実開平04-131054(JP,U)
【文献】特開昭60-114701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/12
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ部と、
接続部と、
支柱と
を備え、
前記接続部は、前記アンテナ部と前記支柱とを接続し、
前記支柱は、前記アンテナ部の上方に位置し、前記アンテナ部に対向して位置する流入口および該流入口よりも前記アンテナ部から離れて位置する流出口にわたる流路を有する
アンテナ装置。
【請求項2】
前記流路は、前記支柱を高さ方向に貫通する貫通孔を含む
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記支柱は、前記流路に沿って延びる放熱部を有する
請求項1または2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記放熱部は、該放熱部を除く前記支柱の他の部位よりも熱伝導率が高い
請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記支柱および前記放熱部のうちの少なくとも一方は、内部に前記流路に沿うヒートパイプを有する
請求項3または4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記接続部は、前記支柱における前記放熱部と接続されている
請求項3~5のいずれか1つに記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記接続部の横断面の面積は、前記支柱の横断面の面積よりも小さい
請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記接続部は、前記流路と同じ方向に延びる複数の棒状体である
請求項1~7のいずれか1つに記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記棒状体は、中空の管状体である
請求項8に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外に設置されるアンテナ装置が知られている。かかるアンテナ装置は、例えば支柱や架台を用いて、電柱や路上などに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-159444号公報
【文献】特開2018-48461号公報
【文献】実用新案登録第3205663号公報
【発明の概要】
【0004】
実施形態の一態様に係るアンテナ装置は、アンテナ部と、接続部と、支柱とを備える。前記接続部は、前記アンテナ部と前記支柱とを接続する。前記支柱は、前記アンテナ部の上方に位置し、前記アンテナ部に対向して位置する流入口および該流入口よりも前記アンテナ部から離れて位置する流出口にわたる流路を有する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】
図1Aは、実施形態に係るアンテナ装置の概略を示す斜視図である。
【
図1B】
図1Bは、実施形態に係るアンテナ装置の概略を示す側面図である。
【
図4】
図4は、支柱による放熱を説明するための断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態の第1変形例に係るアンテナ装置の概略を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態の第2変形例に係るアンテナ装置の概略を示す断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態の第3変形例に係るアンテナ装置の概略を示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態の第4変形例に係るアンテナ装置の概略を示す断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態の第5変形例に係るアンテナ装置の概略を示す断面図である。
【
図11】
図11は、アンテナ装置の放熱性を比較する図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本願の開示するアンテナ装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの開示が限定されるものではない。
【0007】
[実施形態]
まず、実施形態に係るアンテナ装置の構成について、
図1A、
図1Bを用いて説明する。
図1Aは、実施形態に係るアンテナ装置の概略を示す斜視図である。
図1Bは、実施形態に係るアンテナ装置の概略を示す側面図である。
図1Bは、支柱の1面をその垂直な方向から平面的に見た図である。
【0008】
図1A、
図1Bに示すように、アンテナ装置1は、アンテナ部10と、支柱20と、接続部30とを備える。なお、説明を分かりやすくするために、
図1A、
図1Bには、鉛直上向きを正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、後述の説明に用いる他の図面でも示す場合がある。また、以下の説明では、便宜的に、Z軸正方向側を「上」と呼称する場合がある。また、
図1A、
図1Bに示すアンテナ装置1と同様の構成については同じ符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0009】
アンテナ部10は、例えば、配線基板に実装されたアンテナ素子を有する。アンテナ素子は、例えば、絶縁基板と、パッチと、回路部とを有する。絶縁基板は、例えば、誘電体材料その他の絶縁材料を含む。パッチは、例えば、銅などの導電材料を材料とする導体膜である。回路部は、例えば、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)などの集積回路を含む。パッチおよび回路部は、例えば、給電線を介して電気的に接続される。
【0010】
また、アンテナ部10は、例えば、アンテナ素子を支持する支持部材や、放熱部材をさらに有してもよい。放熱部材は、例えば、TIM(Thermal Interface Material)を含み、アンテナ素子で発生する熱を放熱させる。
【0011】
かかるアンテナ部10は、略球体状の筐体に収容されている。これにより、アンテナ部10は、
図1A、
図1Bに示すように略球形状の外観を有している。
【0012】
支柱20は、アンテナ部10の上に位置している。支柱20は、接続部30を介してアンテナ部10を支持する。支柱20は、Z軸方向に長い四角柱形状を有している。支柱20は、アンテナ部10に近い第1端20a側が下、アンテナ部10から離れた第2端20b側が上になるように固定される。
【0013】
接続部30は、アンテナ部10と支柱20との間に位置し、アンテナ部10と支柱20とを接続する。
【0014】
ここで、
図1A~
図3を用いて、支柱20および接続部30の構成についてさらに説明する。
図2は、
図1BのII-II断面図である。
図3は、
図1BのIII-III断面図である。なお、
図3には、支柱20の外形とアンテナ部10の外形との関係をわかりやすくするために、アンテナ部10の外形に相当する形状の円を付している。
【0015】
図2および
図3に示すように、支柱20は、複数の流路22を有している。複数の流路22はそれぞれ、支柱20の内部を第1端20aから第2端20bまで貫通する貫通孔である。また、複数の流路22は、X軸方向およびY軸方向に並んで位置しており、隣り合う流路22の間には、流路22を区画する隔壁23が位置している。言い換えると、支柱20は、アンテナ部10の上方に位置している。支柱20は、アンテナ部10に対向して位置する流入口および該流入口よりもアンテナ部10から離れて位置する流出口にわたる流路22を有する。ここで、流入口の位置は第1端20aである。流出口の位置は第2端20bである。
【0016】
また、支柱20は、放熱部24を有している。放熱部24は、複数の流路22と並行して支柱20の第1端20aから第2端20bまで延びている。言い換えると、放熱部24は、流路22に沿って延びるように配置されている。
【0017】
放熱部24は、例えば、格子状に並ぶ複数の流路22を有している。放熱部24は、複数の流路22のうち、一部の流路22を塞ぐように支柱20の高さ方向(Z軸方向)に延びており、放熱部24と隣り合う複数の流路22が、放熱部24の周囲を囲むようにそれぞれ位置している。また、放熱部24は、支柱20の外縁に位置しており、支柱20の周壁21の一部を兼ねていてもよい。
【0018】
支柱20は、接続部30を介してアンテナ部10を支持するとともに、アンテナ部10の放熱に寄与する放熱機能を有している。
【0019】
接続部30は、
図2に示すように、当該接続部30を断面視すると、例えば、接続部30を構成する部材が孤立した状態で存在している。つまり、接続部30は、アンテナ部10および支柱20の両部材に部分的に接続されている。この点につき、
図4を用いて説明する。
【0020】
図4は、支柱による放熱を説明するための断面図である。
図4では、1本の接続部30のみを示しているが、他の接続部30も同様の構成を成している。この場合、アンテナ部10で発生した熱が接続部30を介して支柱20の放熱部24に伝達されると、放熱部24の周りに位置する流路22内の温度が上昇する。流路22内の温度上昇に伴い、流路22内の空気は、矢印2に示すように流路22内を下から上に支柱20の高さ方向(Z軸方向)に移動するとともに、支柱20の下端に位置する流路22の第1端20aから外気が継続的に取り入れられる。実施形態に係るアンテナ装置1によれば、このような煙突効果が生じることにより、アンテナ部10の放熱性を高めることができる。
【0021】
図4に示すように、支柱20を構成している周壁21(最も外側に位置する部材)は支柱20の長手方向に厚みが変化した部分を有していてもよい。例えば、周壁21の厚みの薄い部分と厚みの厚い部分とが支柱20の長手方向に交互に形成されていてもよい。また、支柱20を構成する周壁21は内部の隔壁23よりも厚みが薄くてもよい。支柱20を構成する周壁21は内部の隔壁23よりも厚みの薄い部分を多く有していてもよい。周壁21、隔壁23の厚みを部分的に変えることで、支柱20を変形させることが容易になる。このことで、支柱20を、例えば、これを設置する建造物の壁面が湾曲、または屈曲していても、その形状に沿わせることが容易になる。ここで、建造物とは、家屋、ビルディング以外に、電柱、信号機、街路樹なども含む意である。
【0022】
支柱20は、例えば、アルミニウム合金その他の金属製の部材であってもよい。支柱20は、例えば、押出成型やその他の手法により一体に形成されたものであってもよく、部位ごとに個別に形成されたものを適切に加工したものであってもよい。
【0023】
また、接続部30は、支柱20の放熱部24とアンテナ部10との間に位置する中実の棒状体である。すなわち、接続部30は、アンテナ部10と支柱20とを部分的に接続している。この場合、接続部30は、支柱20における放熱部24と接続されていてもよい。
【0024】
このため、接続部30の横断面の面積は、支柱20の横断面の面積よりも小さくなる。これにより、接続部30の周囲において、支柱20の第1端20a側から外気が流路22内へ入りやすくなり、放熱性がさらに高まる。また、接続部30によるアンテナ装置1の総重量の増大を抑えることができる。ここで、接続部30の横断面とは、
図1Bにおいて、II-II線で示した面のことである。
【0025】
接続部30は、例えば、アルミニウム合金その他の金属製の部材であってもよい。接続部30は、例えば、押出成型やその他の手法により支柱20と一体に形成されたものであってもよく、個別に形成した棒状体を溶接または接着等により支柱20および/またはアンテナ部10と接合したものであってもよい。
【0026】
また、アンテナ部10と支柱20との間隔を規定する接続部30の長さL(
図1B参照)は、例えば、1cm~10cm、特に1cm~5cm、さらに1.5cm~3cmとすることができる。長さLをこのように規定することにより、アンテナ装置1の放熱性を高めることができる。かかる長さLは、上記した範囲に限らず、例えば接続部30の数、位置および大きさ等に応じて適宜設定することができる。
【0027】
また、流路22および放熱部24の数、位置および大きさは、例えば支柱20の材質や形状等に応じて適宜変更することができる。
【0028】
また、
図3に示す例では、Z軸方向から見た支柱20の外形がアンテナ部10の外形に内接するように位置している。しかしながら、支柱20の外形は、アンテナ部10の外形よりも大きくてもよく、小さくてもよい。支柱20の外形が、
図3に示すように、矩形状であり、アンテナ部10の外形が円形状である場合に、例えば、アンテナ部10の外形が支柱20の外形に入るほど小さいサイズである場合には、Z軸のアンテナ部10側から支柱20の流路22に外気が流入しやすくなる。これによりアンテナ部10の放熱性がさらに高まる。
【0029】
[変形例]
次に、
図5~
図10を用いて、アンテナ装置1の変形例について説明する。
図5は、実施形態の第1変形例に係るアンテナ装置の概略を示す断面図である。
図5は、
図3と同じ位置における断面を示している。
図5も、
図3と同様に、支柱20の外形とアンテナ部10の外形との関係をわかりやすくするために、アンテナ部10の外形に相当する形状の円を付している。
【0030】
図5に示すアンテナ装置1は、支柱20の放熱部24に代えて、放熱部40を備える点で実施形態に係るアンテナ装置1と相違する。放熱部40は、例えば周壁21および隔壁23といった支柱20の他の部位よりも熱伝導率が高い。このため、アンテナ部10の放熱性をさらに高めることができる。放熱部40の材料としては、例えば、銅など、支柱20の材料よりも熱伝導率が高い金属材料を使用することができる。
【0031】
なお、接続部30の材料は、放熱部40と同じであってもよい。接続部30を放熱部40と同じ材料で作成することにより、放熱性がさらに高まる。
【0032】
図6は、実施形態の第2変形例に係るアンテナ装置の概略を示す断面図である。
図6は、
図3と同じ位置における断面を示している。
図6についても、支柱20の外形とアンテナ部10の外形との関係をわかりやすくするために、アンテナ部10の外形に相当する形状の円を付している。
図6に示すアンテナ装置1は、放熱部40に代えてヒートパイプ50を備える点で第1変形例に係るアンテナ装置1と相違する。
【0033】
図7は、
図6のVII-VII断面図である。
図7に示すように、ヒートパイプ50は、内部に中空部51を有している。中空部51には、冷却媒体52が封入されている。冷却媒体52は、ヒートパイプ50が熱せられることにより気化し、冷却されることにより凝縮する。ヒートパイプ50の材料は、例えば、銅であってもよい。また、冷却媒体52は、例えば、水であってもよく、代替フロン(例えば、HFC-134a)であってもよい。
【0034】
また、
図7に示すヒートパイプ50は、支柱20の第1端20aから第2端20bまで位置しており、接続部30には位置していない。しかしながら、ヒートパイプ50は、例えば、接続部30の内部から支柱20の第2端20bまで位置してもよい。また、ヒートパイプ50は、例えば、支柱20の第2端20bまでは位置しなくてもよい。かかる場合、ヒートパイプ50の上方には、例えば、放熱部24または放熱部40が支柱20の第2端20bまで位置してもよい。ヒートパイプ50は、支柱20および放熱部24のうちの少なくとも一方の内部において流路22に沿うように配置されている。
【0035】
また、上記した実施形態および各変形例に係るアンテナ装置1は、放熱部24,40およびヒートパイプ50のうちいずれか1つを有するとして説明したが、例えば放熱部24とヒートパイプ50など、2種以上の放熱機構を有してもよい。
【0036】
また、上記した実施形態および各変形例に係るアンテナ装置1では、接続部30は中実の棒状体であるとして説明したが、例えば、中空の管状体であってもよい。接続部30の内部を中空とすることにより、アンテナ装置1の軽量化に寄与することができる。また、上述したヒートパイプ50と同様に冷却媒体52を封入してもよく、これにより接続部30における放熱性をさらに高めることができる。
【0037】
図8、
図9は、実施形態の第3、第4変形例に係るアンテナ装置の概略を示す断面図である。
図8および
図9も、
図3と同じ位置における断面を示している。
図8および
図9についても、支柱20の外形とアンテナ部10の外形との関係をわかりやすくするために、アンテナ部10の外形に相当する形状の円を付している。
【0038】
図8に示すように、第3変形例に係るアンテナ装置1は、支柱20の断面(外形)の形状が円形である点で上記した各アンテナ装置1と相違する。第3変形例に係るアンテナ装置1を構成する支柱20は、円柱状の外観を有している。
図9に示した第4変形例に係るアンテナ装置1は、支柱20の断面(外形)の形状が六角形である点で上記した各アンテナ装置1と相違する。第4変形例に係るアンテナ装置1を構成する支柱20は、六角柱状の外観を有している。このように、支柱20は、Z軸方向に長い柱状を有していればよく、支柱20の形状は特に限定されるものではない。
【0039】
また、
図8に示すアンテナ装置1は、円筒形状の貫通孔である複数の流路22を有する。また、
図9に示すアンテナ装置1は、断面が六角形状の貫通孔である複数の流路22を有する。また、支柱20に形成されている流路22は、Z軸方向に延びる複数の流路22を有していればよい。流路22の形状および流路22の配列に伴う放熱部24の形状は特に限定されるものではない。例えば、支柱20が設置される建造物の壁面の形状によって変形した形状でもよい。建造物の壁面が例えば湾曲していれば、支柱20もその壁面に沿うように変形していてもよい。支柱20が建物の壁面に沿うような形状であると、支柱20が壁面から突出した部分が少なくなるため、物体の衝突等に因って支柱20が破損、変形する確率が低くなる。また、建物の外観との調和も保たれる。
【0040】
図10は、実施形態の第5変形例に係るアンテナ装置の概略を示す断面図である。
図10も、
図3と同じ位置における断面を示している。
図10についても、支柱20の外形とアンテナ部10の外形との関係をわかりやすくするために、アンテナ部10の外形に相当する形状の円を付している。
【0041】
図10に示すアンテナ装置1を構成する支柱20は、放熱部24、複数の第1フィン部材25および複数の第2フィン部材26を有する。支柱20は、放熱部24が中央に位置している。放熱部24の断面の形状は矩形状(
図10の場合、正方形状)である。複数の第1フィン部材25および複数の第2フィン部材26は、放熱部24の側面にほぼ等間隔で固定されている。
【0042】
複数の第1フィン部材25は、放熱部24の側面に、Y方向に向かって配置されている。複数の第2フィン部材26は、放熱部24の側面に、X方向に向かって配置されている。複数の第1フィン部材25は、放熱部24のX方向に垂直な側面に固定されている。複数の第2フィン部材26は、放熱部24のY方向に垂直な側面に固定されている。
【0043】
また、複数の第1フィン部材25の放熱部24とは反対側の端部は、放熱部24の側面から離れる方向に向いている。複数の第2フィン部材26の放熱部24とは反対側の端部は、放熱部24の側面から離れる方向に向いている。複数の第1フィン部材25の放熱部24の側面から端部までの長さは同等であるのがよいが、アンテナ部10の外形の形状に沿うように長さが変化していてもよい。例えば、2つの第1フィン部材25の間の空間が流路22となる。2つの第2フィン部材26の間の空間が流路22となる。つまり、
図10に示すアンテナ装置1は、流路22を挟んで隣り合う複数の第1フィン部材25および複数の第2フィン部材26を有する支柱20を備える。複数の第1フィン部材25は、Y軸方向に間隔をあけて位置している。また、各第1フィン部材25は、放熱部24からZX平面に沿って延びており、隣り合う第1フィン部材25の間に流路22が位置している。
【0044】
一方、複数の第2フィン部材26は、X軸方向に間隔をあけて位置している。また、各第2フィン部材26は、放熱部24および第1フィン部材25からYZ平面に沿って延びており、隣り合う第2フィン部材26の間に流路22が位置している。
【0045】
本変形例に係るアンテナ装置1は、複数の流路22が支柱20の外側に位置する点で上記した実施形態および変形例に係る各アンテナ装置1と相違する。このように、複数の流路22が支柱20の外側に位置する場合であっても、アンテナ装置1を適切に放熱させることができる。
【0046】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0047】
[実験例]
図11は、アンテナ装置の放熱性を比較する図である。
図11において、実験例1~3では、支柱20の形状の相違による放熱性能に対する影響を評価した。また、実験例1、4~9では、
図1Bに示す接続部30の長さLの相違による放熱性能に対する影響を評価した。また、実験例5、10では、ヒートパイプ50(
図6、
図7参照)の有無による放熱性能の相違を比較した。
【0048】
実験例1では、
図1A~
図3に示すアンテナ装置1において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の長さがそれぞれ105mm、105mmおよび1000mmの四角柱形状の支柱20を使用した。支柱20および接続部30の材料には、熱伝導率=222W/(m・K)のアルミニウム合金を使用した。また、隔壁23の厚み=1mm、XY平面に沿って断面視した流路22の寸法=14mm×14mmとし、
図1Bに示す接続部30の長さL=5cmとした。また、実験例4~9では、接続部30の長さLを変更したことを除き、実験例1と同じ寸法を有するアンテナ装置1を用意した。
【0049】
また、実験例2では、
図8に示すアンテナ装置1において、XY平面に沿う第1端20aおよび第2端20bが直径120mmの円形であり、Z軸方向の長さが1000mmの円柱形状の支柱20を使用した。また、XY平面に沿う流路22の断面形状を直径15mmの円形とし、
図1Bに示す接続部30の長さL=5cmとした。
【0050】
また、実験例3では、
図9に示すアンテナ装置1において、XY平面に沿う第1端20aおよび第2端20bが実験例2に係る支柱20と同程度の断面積を有する正六角形であり、Z軸方向の長さが1000mmの六角柱形状の支柱20を使用した。また、XY平面に沿う流路22の断面形状を、実験例2に係る流路22と同程度の断面積を有する正六角形とし、
図1Bに示す接続部30の長さL=5cmとした。
【0051】
また、実験例10では、実験例5に係るアンテナ装置1の放熱部24に代えて、熱伝導率=50000W/(m・K)のヒートパイプ50を適用したアンテナ装置1を使用した。
【0052】
なお、
図11では、各実験例に係るアンテナ装置1の通電条件を同じにしてアンテナ装置1の最高温度をそれぞれ測定した結果を示した。ここで、「最高温度」とは、アンテナ部10に収容されたアンテナ素子において、表面温度が最高となる部位における温度である。
【0053】
図11に示すように、実験例1~3を比較すると、四角柱形状の支柱20を使用した実験例1に係るアンテナ装置1では、実験例2、3に係るアンテナ装置1と比較して、アンテナ部10の最高温度が低減した。これは、第1端20aおよび第2端20bの面積が相違するほか、流路22に接する隔壁23の表面積が異なるためであると考えられる。なお、実験例2、3に係るアンテナ装置1においても、実使用に適した放熱性を有することが確認された。
【0054】
また、実験例1、4~9を比較すると、長さL=2cmとした実験例5に係るアンテナ装置1では、アンテナ部10の最高温度が最低となり、極小値を示すことが確認された。なお、実験例1、4、6~9に係るアンテナ装置1においても、実使用に適した放熱性を有することが確認された。
【0055】
また、実験例5、10を比較すると、ヒートパイプ50を適用した実験例10の方が、実験例5と比較してアンテナ部10の最高温度がさらに低下した。ヒートパイプ50を適用したアンテナ装置1の方が、ヒートパイプ50を適用しないアンテナ装置1と比較して高い放熱性を有することが確認できた。
【0056】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 アンテナ装置
10 アンテナ部
20 支柱
22 流路
24,40 放熱部
30 接続部
50 ヒートパイプ