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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】ジメチルスルホキシミン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 277/54 20060101AFI20240614BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240614BHJP
   C07D 333/36 20060101ALI20240614BHJP
   C07D 409/12 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 31/381 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 31/4436 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
C07D277/54
A61P19/06
A61P29/00
C07D333/36 CSP
C07D409/12
A61K31/381
A61K31/4436
A61K31/426
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022575974
(86)(22)【出願日】2021-06-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 CN2021098601
(87)【国際公開番号】W WO2021249337
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】202010528855.7
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010779149.X
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514138020
【氏名又は名称】シーセン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Cisen Pharmaceutical Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Tongji Industrial Park, New & High-tech Development Zone of Jining, Shangdong Province 272073 China
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】ウェンユアン チエン
(72)【発明者】
【氏名】リャオ ヨンカン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ チャンチン
(72)【発明者】
【氏名】シー チョンイン
(72)【発明者】
【氏名】シアオ ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】シューホイ チェン
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/166619(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/023147(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/034686(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)で表される化合物又はその薬学に許容される塩。
【化1】
(ただし、Xは、O及びNRbから選択され、
1及びR4は、それぞれ独立してH、C1-3アルキル、フェニル及び5~6員ヘテロアリールから選択され、前記C1-3アルキル、フェニル及び5~6員ヘテロアリールは、任意選択で1、2又は3つのRaにより置換され、
2及びR3は、それぞれ独立してH、NH2、ハロゲン及びC1-3アルキルから選択され、
又はR1、R2は、その連結した炭素原子と共にC4-5シクロアルキル及びC4-5シクロアルケニルを形成し、
又はR3、R4は、その連結した炭素原子と共にC4-5シクロアルキル及びC4-5シクロアルケニルを形成し、
5は、H、F、Cl、D及びCNから選択され、
各Raそれぞれ独立してH、C1-3アルコキシ及びCNから選択され、
bは、H、CN及びC1-3アルキルから選択され、
環Aは、5員ヘテロアリールから選択され、
前記5~6員ヘテロアリール及び5員ヘテロアリールは、1、2、3又は4つの独立して-NH-、-O-、-S-及びNから選択される、ヘテロ原子又はヘテロ原子団を含む。)
【請求項2】
前記化合物は、式(II-1)又は(II-2)で表される構造を有する、請求項1に記載の化合物又はその薬学に許容される塩。
【化2】
(ただし、環A、R1、R2、R3、R4及びR5は、請求項1で定義された通りである。)
【請求項3】
前記化合物は、式(I-a)又は(II-a)で表される構造を有する、請求項1に記載の化合物又はその薬学に許容される塩。
【化3】
(ただし、環A、Ra及びR5は、請求項1で定義された通りである。)
【請求項4】
前記化合物は、式(I-b)又は(II-b)で表される構造を有する、請求項1に記載の化合物又はその薬学に許容される塩。
【化4】
(ただし、環A及びR5は、請求項1で定義された通りである。)
【請求項5】
前記化合物は、式(I-c)又は(II-c)で表される構造を有する、請求項1に記載の化合物又はその薬学に許容される塩。
【化5】
(ただし、環A、Ra及びR5は、請求項1で定義された通りである。)
【請求項6】
前記化合物は、式(III)で表される構造を有する、請求項1に記載の化合物又はその薬学に許容される塩。
【化6】
(ただし、
1は、N及びCHから選択され、
X及びR5は、請求項1で定義された通りである。)
【請求項7】
aは、H、OCH3及びCNから選択される、請求項1~3又は5のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学に許容される塩。
【請求項8】
1は、
【化7】
から選択される、請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学に許容される塩。
【請求項9】
2は、Hから選択される、請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学に許容される塩。
【請求項10】
3は、Hから選択される、請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学に許容される塩。
【請求項11】
4は、
【化8】
から選択される、請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学に許容される塩。
【請求項12】
1、R2は、その連結した炭素原子と共に
【化9】
を形成する、請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学に許容される塩。
【請求項13】
3、R4は、その連結した炭素原子と共に
【化10】
を形成する、請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学に許容される塩。
【請求項14】
構造単位
【化11】
から選択される、請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学に許容される塩。
【請求項15】
環Aは、チエニル及びチアゾリルから選択される、請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学に許容される塩。
【請求項16】
環Aは、
【化12】
から選択される、請求項15に記載の化合物又はその薬学に許容される塩。
【請求項17】
下記式から選択される、化合物又はその薬学に許容される塩。
【化13】
【請求項18】
下記式から選択される、請求項17に記載の化合物又はその薬学に許容される塩。
【化14】
【請求項19】
NLRP3に関連する疾患を治療するための医薬の製造における、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項20】
前記NLRP3に関連する疾患を治療するための医薬は炎症に関連する疾患を治療するための医薬である、請求項19に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は下記の優先権を主張する。
CN202010528855.7、出願日は2020年06月11日であり、
CN202010779149.X、出願日は2020年08月05日である。
【0002】
本発明は、一連のジメチルスルホキシミン誘導体に関し、具体的には式(II)で表される化合物及びその薬学的に許容される塩に関する。
【背景技術】
【0003】
炎症は、様々の疾患の発生、発達の基礎であり、炎症反応のバランスを維持し、感染、自己免疫疾患及び癌の予防と治療に非常に重要である。インフラマソーム(inflammasome)は、炎症関連疾患の発生と発達において重要な役割を果たしており、ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン(nucleotide-binding oligomerization domain、NOD)様受容体ファミリーのpyrinドメインを含むタンパク質3(NOD-like receptor family、pyrin domain-containing protein3、NLRP3)インフラマソームは、多種の病原関連分子パターン(pathogen-associated molecular patterns、PAMPs)及び損傷関連分子パターン(damage-associated molecular patterns、DAMPs)によって活性化することができ、更にカスパーゼ-1(caspase-1)を活性化することができ、成熟型炎症誘発性因子インターロイキンIL-1β及びIL-18を放出し、体の炎症反応を引き起こし、当該反応は外来病原体を防御するために使用できるが、通常のNLRP3インフラマソームの異常又は慢性的な活性化は下流に悪影響を及ぼし、多くの病気の発症と進行を引き起こす。
【0004】
NLRP3インフラマソームは、ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン様受容体(nucleotide-binding oligomerization domain-like receptors、NLRs)ファミリーメンバーであるNLRP3、アダプタータンパク質ASC(apoptosis-associated speck-like protein containing a CARD)及びエフェクタータンパク質Caspase-1で構成される、分子量が約700kDaの大分子の多タンパク質複合体である。顆粒球、マクロファージ、樹状細胞、B細胞などの免疫細胞及び、上皮細胞及び角細胞などの非免疫細胞のいずれも検出されることができ、そのコアタンパク質NLRP3は、C-末端の11つのロイシンリッチリピート(LRR)、中間のNACHTドメイン及びN-末端のPyrinドメイン(PYD)から構成される。NLRP3は、PYDドメインを介してアダプタータンパク質ASCと相互作用し、次に、ASCはそのCARDドメインを介してpro-Caspase-1を募集及び活性化して、タンパク質複合体であるNLRP3インフラマソームを形成する。募集されたpro-Caspase-1は、自己切断、加水分解によってヘテロテトラマーを形成し、即ちCaspase-1の活性形態である。活性化されたCaspase-1は、サイトカイン前駆体であるpro-IL-1βとpro-IL-18を切断して成熟した炎症性サイトカインIL-1βとIL-18を生成し、さらに細胞外に分泌されることにより、炎症反応の発生を促進させる。
【0005】
NLRP3インフラマソームの活性化には、プライミング(priming)と活性化(activation)の2つの信号が必要である。開始段階では、TLR又はTNF受容体によって転写因子NF-κBを活性化させることにより、NLRP3及びIL-1β/IL-18前駆体の発現を上昇させ、活性化段階の材料備蓄を提供する。活性化段階では、高血糖、高脂血症、尿酸結晶、コレステロール結晶、βアミロイド及び微生物毒素などの様々な外因性微生物又は内因性危険シグナルが活性化因子として作用することができる。これらの活性化因子は、ミトコンドリアの損傷、カリウム流出及び細胞内カルシウムイオン濃度の増加を誘導することにより、NLRP3インフラマソームの構築を効果的に誘導し、NLRP3インフラマソームを活性化して炎症反応を媒介する。
【0006】
多くの研究により、NLRP3インフラマソームは、様々な炎症性疾患の発生と発達に密接に関連していることが確認された。最初の報告では、NLRP3インフラマソームは、家族性地中海熱及びMuckle-Wells症候群などのいくつかの家族性遺伝性疾患の発症に関連していることを指摘した。研究により、このような患者の染色体1でNLRP3をコードするCias1遺伝子が突然変異したため、NLRP3が自己抑制されず活性化され続け、NLRP3インフラマソームを形成することにより、持続的にpro-IL-1β及びpro-IL-18を成熟したIL-1β及びIL-18に切断し、大量の分泌を引き起こして、体内過度の炎症反応を引き起こすことを発見した。痛風患者の関節及び周囲の尿酸結晶がマクロファージに貪食された後、カリウム流出を促進し、ミトコンドリアを誘導して大量の活性酸素ROSを産生することにより、NLRP3インフラマソームを活性化し、IL-1βの成熟及び分泌を促進することができる。成熟IL-1βは、標的細胞のIL-1受容体に結合し、下流のシグナル伝達因子を活性化して、大量の炎症性メディエーターを生成して炎症反応を悪化させる。β-アミロイドタンパク質は、ミクログリアのNLRP3インフラマソームを活性化し、脳の炎症を引き起こし、神経損傷及び死亡を引き起こして、アルツハイマー病などの神経変性疾患を引き起こすことができる。内皮細胞及びマクロファージは、血液からコレステロールを摂取して、小さなコレステロール結晶を形成し、NLRP3インフラマソームを活性化して、アテローム性動脈硬化症の発生と発症に重要な役割を果たしている。体内の長期高濃度のグルコースは、島細胞を刺激してNLRP3インフラマソームを活性化し、成熟IL-1βを生成し、一連の炎症反応を引き起こし、IL-1β依存性の細胞損傷と死亡を誘発し、島細胞の機能不全を悪化させ、最終的には2型糖尿病の発生と発達につながる。
【0007】
多くのNLRP3アンタゴニストは、WO2016131098、WO2019025467、WO2019121691及びWO2018015445などの特許出願で報告されている。ジアリルスルホニル尿素の誘導体であるMCC950は、NLRP3インフラマソームの活性を阻害することにより、マウス脳脊髄炎(experimental autoimmune encephalomyelitis、EAE)の重症度を低下させることができる。もう一つの小分子アンタゴニストであるCY-09は、NLRP3インフラマソームの構築と活性化を特異的にブロックし、マウスクリオピリン関連自己炎症症候群(cryopyrin-associated auto-inflammatory syndrome、cAPS)及びII型糖尿病モデルにおいて有意な治療効果を示している。IFM-Tre社のNLRP3アンタゴニストIFM-2427は、色々な臨床第I試験を実施している。
【0008】
【化1】
【0009】
NLRP3インフラマソームの活性化機序を研究し、標的NLRP3低分子アンタゴニストを開発することで、関連する炎症性疾患の潜在的な治療手段を提供することは、非常に重要な意義及び幅広い展望を有している。現在、炎症性疾患の治療のために新規なNLRP3アンタゴニストを開発することは、まだ必要である。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、式(II)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【化2】
ただし、Xは、O及びNRbから選択され、
1及びR4は、それぞれ独立してH、C1-3アルキル、フェニル及び5~6員ヘテロアリールから選択され、所述C1-3アルキル、フェニル及び5~6員ヘテロアリールは、任意選択で1、2又は3つのRaにより置換され、
2及びR3は、それぞれ独立してH、NH2、ハロゲン及びC1-3アルキルから選択され、
又はR1、R2は、その連結した炭素原子と共にC4-5シクロアルキル及びC4-5シクロアルケニルを形成し、
又はR3、R4は、その連結した炭素原子と共にC4-5シクロアルキル及びC4-5シクロアルケニルを形成し、
5は、H、F、Cl、D及びCNから選択され、
各Raは、それぞれ独立してH、C1-3アルコキシ及びCNから選択され、
bは、H、CN及びC1-3アルキルから選択され、
環Aは、5員ヘテロアリールから選択され、
前記5~6員ヘテロアリール及び5員ヘテロアリールは、1、2、3又は4つの独立して-NH-、-O-、-S-及びNから選択される、ヘテロ原子又はヘテロ原子団を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】APLVにおける炎症性サイトカインIL-6の阻害実験の結果である。
図2】APLVにおける炎症性サイトカインIL-1βの阻害実験の結果である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一部の形態において、上記化合物は、式(II-1)又は(II-2)で表される構造を有し、
【化3】
ただし、環A、R1、R2、R3、R4及びR5は、本発明で定義された通りである。
【0013】
本発明の一部の形態において、上記化合物は、式(I-a)又は(II-a)で表される構造を有し、
【化4】
ただし、環A、Ra及びR5は、本発明で定義された通りである。
【0014】
本発明の一部の形態において、上記化合物は、式(I-b)又は(II-b)で表される構造を有し、
【化5】
環A及びR5は、本発明で定義された通りである。
【0015】
本発明の一部の形態において、上記化合物は、式(I-c)又は(II-c)で表される構造を有し、
【化6】
環A、Ra及びR5は、本発明で定義された通りである。
【0016】
本発明の一部の形態において、上記化合物は、式(III)で表される構造を有し、
【化7】
ただし、
1は、N及びCHから選択され、
X及びR5は、本発明で定義された通りである。
本発明の一部の形態において、上記Raは、H、OCH3及びCNから選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0017】
本発明の一部の形態において、上記R1は、
【化8】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0018】
本発明の一部の形態において、上記R1は、
【化9】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0019】
本発明の一部の形態において、上記R2は、Hから選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0020】
本発明の一部の形態において、上記R3は、Hから選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0021】
本発明の一部の形態において、上記R4は、
【化10】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0022】
本発明の一部の形態において、上記R1、R2は、その連結した炭素原子と共に
【化11】
を形成し、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0023】
本発明の一部の形態において、上記R3、R4は、その連結した炭素原子と共に
【化12】
を形成し、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0024】
本発明の一部の形態において、上記R1、R2は、その連結した炭素原子と共に
【化13】
を形成し、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0025】
本発明の一部の形態において、上記R3、R4は、その連結した炭素原子と共に
【化14】
を形成し、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0026】
本発明の一部の形態において、上記構造単位
【化15】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0027】
本発明の一部の形態において、上記構造単位
【化16】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0028】
本発明の一部の形態において、上記環Aは、チエニル及びチアゾリルから選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0029】
本発明の一部の形態において、上記環Aは、
【化17】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0030】
本発明の一部の形態において、上記環Aは、
【化18】
から選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0031】
本発明は、式(II)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【化19】
ただし、
Xは、O及びNRbから選択され、
1及びR4は、それぞれ独立してH、C1-3アルキル、フェニル及び5~6員ヘテロアリールから選択され、前記C1-3アルキル、フェニル及び5~6員ヘテロアリールは、任意選択で1、2又は3つのRaにより置換され、
2及びR3は、それぞれ独立してH、NH2、ハロゲン及びC1-3アルキルから選択され、
又はR1、R2は、その連結した炭素原子と共にC4-5シクロアルキルを形成し、
又はR3、R4は、その連結した炭素原子と共にC4-5シクロアルキルを形成し、
5は、H、F、Cl、D及びCNから選択され、
aは、H、C1-3アルコキシ及びCNから選択され、
bは、H、CN及びC1-3アルキルから選択され、
環Aは、5員ヘテロアリールから選択され、
前記5~6員ヘテロアリール及び5員ヘテロアリールは、1、2、3又は4つの独立して-NH-、-O-、-S-及びNから選択される、ヘテロ原子又はヘテロ原子団を含む。
【0032】
本発明の一部の形態において、上記化合物は、式(II-1)又は(II-2)で表される構造を有し、
【化20】
ただし、環A、R1、R2、R3、R4及びR5は、本発明で定義された通りである。
【0033】
本発明は、更に式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【化21】
ただし、
1及びR4は、それぞれ独立してH、C1-3アルキル、フェニル及び5~6員ヘテロアリールから選択され、前記C1-3アルキル、フェニル及び5~6員ヘテロアリールは、任意選択で1、2又は3つのRaにより置換され、
2及びR3は、それぞれ独立してH、NH2、ハロゲン及びC1-3アルキルから選択され、
又はR1、R2は、その連結した炭素原子と共にC4-5シクロアルキルを形成し、
又はR3、R4は、その連結した炭素原子と共にC4-5シクロアルキルを形成し、
5は、H、F、Cl、D及びCNから選択され、
aは、H、C1-3アルコキシ及びCNから選択され、
環Aは、5員ヘテロアリールから選択され、
前記5~6員ヘテロアリール及び5員ヘテロアリールは、1、2、3又は4つの独立して-NH-、-O-、-S-及びNから選択される、ヘテロ原子又はヘテロ原子団を含む。
【0034】
本発明の一部の形態は、更に上記の変量を任意の組み合わせることにより形成される。
【0035】
本発明は、更に下記の式で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【化22】
【0036】
本発明の一部の形態において、上記の化合物又はその薬学的に許容される塩は、下記式の化合物から選択される。
【化23】
【0037】
本発明の一部の形態として、NLRP3に関連する疾患を治療するための医薬の製造における、前記の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用である。
【0038】
本発明の一部の形態において、上記の使用は、前記NLRP3アンタゴニストに関連する医薬は炎症に関連する疾患を治療するための医薬であることを特徴とする。
【0039】
技術効果
本発明の化合物は、NLRP3アンタゴニストとして、良好なNLRP3阻害活性を示し、良好な経口バイオアベイラビリティ及びより高い曝露量を有し、体内で優れた薬効を有し、MSU誘発C57BL/6マウスAir Pouch痛風モデルに対してより優れた治療効果を有し、痛風などの他の炎症性サイトカインに関連する疾患の治療に期待され、応用の可能性が高い。
【0040】
定義及び説明
別途に説明しない限り、本明細書で用いられる以下の用語及び連語は以下の意味を含む。一つの特定の用語又は連語は、特別に定義されない場合、不確定又は不明瞭ではなく、普通の定義として理解されるべきである。本明細書で商品名が出た場合、相応の商品又はその活性成分を指す。
【0041】
本明細書で用いられる「薬学的許容される塩」は、それらの化合物、材料、組成物及び/又は剤形に対するもので、これらは信頼できる医学判断の範囲内にあり、ヒト及び動物の組織との接触に適し、毒性、刺激性、アレルギー反応又はほかの問題又は合併症があまりなく、合理的な利益/リスク比に合う。
【0042】
用語「薬学的に許容される塩」とは、本発明の化合物の塩で、本発明で発見された特定の置換基を有する化合物と比較的に無毒の酸又は塩基とで製造される。本発明の化合物に比較的に酸性の官能基が含まれる場合、単独の溶液又は適切な不活性溶媒において十分な量の塩基でこれらの化合物と接触することで塩基付加塩を得ることができる。薬学的許容される塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミン又はマグネシウム塩あるいは類似の塩を含む。本発明で化合物に比較的塩基性の官能基が含まれる場合、単独の溶液又は、適切な不活性溶媒において十分な量の酸でこれらの化合物と接触することで酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の実例は、無機酸塩及び有機酸塩、さらにアミノ酸(例えばアルギニンなど)の塩、及びグルクロン酸のような有機酸の塩を含み、上記無機酸は、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素イオン、リン酸、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸、硫酸水素イオン、ヨウ化水素酸、亜リン酸などを含み、上記有機酸は、例えば酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸やメタンスルホン酸などの類似の酸を含む。本発明の一部の特定的の化合物は、塩基性及び酸性の官能基を含有するため、任意の塩基付加塩又は酸付加塩に転換することができる。
【0043】
本発明の薬学的許容される塩は、酸基又は塩基性基を含む母体化合物から通常の方法で合成することができる。通常の場合、このような塩の製造方法は、水又は有機溶媒あるいは両者の混合物において、遊離酸又は塩基の形態のこれらの化合物を化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させて製造する。
【0044】
本発明の化合物は、特定の幾何又は立体異性体の形態が存在してもよい。本発明は、全てのこのような化合物を想定し、シス及びトランス異性体、(-)-及び(+)-エナンチオマー、(R)-及び(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、及びそのラセミ混合物並びに他の混合物、例えばエナンチオマー又は非エナンチオマーを多く含有する混合物を含み、全てのこれらの混合物は本発明の範囲内に含まれる。アルキル等の置換基に他の不斉炭素原子が存在してもよい。全てのこれらの異性体及びこれらの混合物はいずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0045】
別途に説明しない限り、用語「エナンチオマー」又は「光学異性体」とは互いに鏡像の関係にある立体異性体である。
【0046】
別途に説明しない限り、用語「シス-トランス異性体」又は「幾何異性体」とは二重結合又は環構成炭素原子の単結合が自由に回転できないことによるものである。
【0047】
別途に説明しない限り、用語「ジアステレオマー」とは分子が二つ又は複数のキラル中心を有し、かつ分子同士は非鏡像の関係にある立体異性体である。
【0048】
別途に説明しない限り、「(+)」は右旋性を意味し、「(-)」は左旋性を意味し、「(±)」はラセミ体を意味する。
【0049】
【0050】
別途に説明しない限り、用語「1つの異性体に富む」、「異性体豊富な」、「1つのエナンチオマーに富む」又は「エナンチオマー豊富な」とは、1つの異性体又はエナンチオマーの含有量が100%未満で、且つこの異性体又はエナンチオマーの含有量が60%以上、又は70%以上、又は80%以上、又は90%以上、又は95%以上、又は96%以上、又は97%以上、又は98%以上、又は99%以上、又は99.5%以上、又は99.6%以上、又は99.7%以上、又は99.8%以上、又は99.9%以上であることを意味する。
【0051】
別途に説明しない限り、用語「異性体過剰率」又は「エナンチオマー過剰率」とは、2つの異性体又は2つのエナンチオマーの相対百分率の間の差を意味する。例えば、1つの異性体又はエナンチオマーの含有量が90%であり、もう1つの異性体又はエナンチオマーの含有量が10%である場合、異性体又はエナンチオマー過剰率(ee値)は80%である。
【0052】
光学活性な(R)-及び(S)-異性体ならびにD及びL異性体は、不斉合成又はキラル試薬又はほかの通常の技術を用いて調製することができる。本発明のある化合物の一つの鏡像異性体を得るには、不斉合成又はキラル補助剤を有する誘導作用によって調製することができるが、ここで、得られたジアステレオマー混合物を分離し、かつ補助基を分解させて単離された所要の鏡像異体性を提供する。あるいは、分子に塩基性官能基(例えばアミノ)又は酸性官能基(例えばカルボキシル)が含まれる場合、適切な光学活性な酸又は塩基とジアステレオマーの塩を形成させ、さらに本分野で公知の通常方式の方法によってジアステレオマーの分割を行った後、回収して単離された鏡像異体を得る。また、エナンチオマーとジアステレオマーの分離は、通常、クロマトグラフィー法によって行われ、上記クロマトグラフィーはキラル固定相を使用し、かつ任意の化学誘導法(例えば、アミンからカルバミン酸塩を生成させる)併用する。本発明の化合物は、化合物を構成する一つまた複数の原子には、非天然の原子同位元素が含まれてもよい。例えば三重水素(3H)、ヨウ素-125(125I)又はC-14(14C)のような放射性同位元素で化合物を標識することができる。又、例えば重水素を水素に置換して重水素化薬物を形成することができ、重水素と炭素で形成された結合は、通常の水素と炭素で形成された結合よりも強く、重水素化されていない薬物と比較して、重水素化された薬物には、毒性の副作用が軽減され、薬物の安定性が増し、治療効果が向上され、薬物の生物学的半減期が延ばされるという利点がある。本発明の化合物の同位体組成の変換は、放射性であるかいやかに関わらず、本発明の範囲に含まれる。
【0053】
用語「置換された」は特定の原子における任意の一つ又は複数の水素原子が置換基で置換されたことで、特定の原子価状態が正常でかつ置換後の化合物が安定していれば、置換基は重水素及び水素の変形体を含んでもよい。置換基がケト基(即ち=O)である場合、2つの水素原子が置換されたことを意味する。ケト基置換は、芳香族基で生じない。用語「任意に置換される」は、置換されてもよく、置換されなくてもよく、別途に定義しない限り、置換基の種類と数は化学的に安定して実現できれば任意である。
【0054】
変量(例えばR)のいずれかが化合物の組成又は構造に1回以上現れた場合、その定義はいずれの場合においても独立である。そのため、例えば、一つの基が0~2個のRで置換された場合、上記基は任意に2個以下のRで置換され、かついずれの場合においてもRは独立して選択肢を有する。また、置換基及び/又はその変形体の組み合わせは、このような組み合わせであれば安定した化合物になる場合のみ許容される。
【0055】
連結基の数が0の場合、例えば、-(CRR)0-は、当該連結基が単結合であることを意味する。
【0056】
置換基の数が0の場合、当該置換基が存在しないことを表し、例えば、-A-(R)0は当該構造が実際に-Aとなることを表す。
【0057】
置換基がない場合、当該置換基が存在しないことを表し、例えば、A-XのXがない場合、当該構造が実際にAとなることを表す。
【0058】
そのうち一つの変量が単結合の場合、それで連結する2つの基が直接連結し、例えばA-L-ZにおけるLが単結合を表す場合、この構造は実際にA-Zになる。
【0059】
置換基の結合が環上の2つ以上の原子に交差結合できる場合、置換基は環上の任意の原子を通して結合することができ、例えば、構造単位
【化24】
は、置換基Rがシクロヘキシルまたはシクロヘキサジエンの任意の位置で置換できることを示す。挙げられた置換基に対してどの原子を通して置換される置換基に結合されることであるかが明示しない場合、このような置換基はその任意の原子を通して結合することができ、例えば、置換基としてのピリジニル基は、ピリジン環の任意の炭素原子を通して置換基に結合してもよい。
【0060】
挙げられた連結基がその連結方向を明示しない場合、その連結方向は任意であり、例えば、
【化25】
における連結基Lは-M-W-であり、この時-M-W-は左から右への読み取る順序と同じ方向に環Aと環Bを構成
【化26】
することができ、また、左から右への読み取る順序と逆方向に環Aと環Bを構成
【化27】
することもできる。上記連結基、置換基及び/又はその変形体の組み合わせは、このような組み合わせであれば安定した化合物になる場合のみ許容される。
【0061】
【化28】
中の直線の破線結合は、当該基内の窒素原子の両端が他の基に結合されていることを意味する。
【化29】
中の波線は、当該フェニル基の1と2位置の炭素原子を介して他の基に結合されていることを意味する。
【化30】
は、当該ピペリジニル基の任意の結合可能な部位が1つの化学結合によって他の基に結合できることを意味し、少なくとも
【化31】
の四つの結合形態を含み、H原子が-N-に描かれていても、
【化32】
この結合形態の基が含まれるが、1つの化学結合が接続されると、その部位のHは1つ減少して対応する一価ピペリジン基になる。
【0062】
別途に定義しない限り、用語「芳香環」は、その原子間の非局在化π電子の雲によって覆われた共役π電子系を持つ環状基を指す。構造式において、原子の原子価状態と共有結合の形成規則を満たす場合、単結合と二重結合が交互になる形式で記載することができ、また
【化33】
で領域外π電子雲を表すこともできる。例えば、構造式
【化34】
で表される構造は同じであり、構造式
【化35】
で表される構造は同じである。それは、単環式、縮合二環式又は縮合三環式環系であってもよく、ここで、各環はいずれも芳香族である。別途に説明しない限り、前記環は、O、S及びNから独立に選択される0、1又は複数のヘテロ原子を任意に含む。
【0063】
別途に説明しない限り、環内の原子数は一般に環員の数として定義され、例えば、「5~7員環」とは、その周囲に配置された5~7個の原子の「環」を指す。
【0064】
別途に定義しない限り、用語「C1-3アルキル」は直鎖又は分枝鎖の1~3個の炭素原子から構成された飽和炭化水素基を表す。前記C1-3アルキルにはC1-2とC2-3アルキルなどが含まれ、それは1価(例えばメチル)、2価(例えばメチレン)及び多価(例えばメチン)であってもよい。C1-3アルキルの実例は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n-プロピル及びイソプロピルを含む)を含むが、これらに限定されない。
【0065】
別途に定義しない限り、用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、それ自体又は別の置換基の一部として、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を意味する。
【0066】
別途に定義しない限り、用語「C1-3アルコキシ」は一つの酸素原子を介して分子の残り部分に連結した1~3個の炭素原子を含むアルキルを表す。前記C1-3アルコキシには、C1-2、C2-3、C3及びC2アルコキシなどが含まれる。C1-3アルコキシの実例はメトキシ、エトキシ、プロポキシ(n―プロポキシ又はイソプロポキシを含む)などを含むが、これらに限定されない。
【0067】
別途に定義しない限り、「C3-5シクロアルキル」は3~5個の炭素原子から構成された環状飽和炭化水素基であり、それは単環式環系を表し、上記C3-5シクロアルキルにはC3-4又はC4-5シクロアルキルなどが含まれ;それは1価、2価又は多価であってもよい。C3-5シクロアルキルの実例はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルなどを含むが、これらに限定されない。
【0068】
別途に定義しない限り、「C4-5シクロアルキル」は4~5個の炭素原子から構成された環状飽和炭化水素基であり、それは単環式環系を表し、それは1価、2価又は多価であってもよい。C4-5シクロアルキルの実例はシクロブチル、シクロペンチルなどを含むが、これらに限定されない。
【0069】
別途に定義しない限り、「C4-5シクロアルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む4~5個の炭素原子で構成された部分の不飽和環状炭化水素基であり、それは単環式環系である。上記C4-5シクロアルケニルにはC4とC5シクロアルケニルなどが含まれ、それは一価、二価及び多価であってもよい。C4-5シクロアルケニルの実例は、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニルなどを含むが、これらに限定されない。
【0070】
別途に定義しない限り、本発明の用語「5~6員ヘテロ芳香環」と「5~6員ヘテロアリール」は交換的に使用することができ、用語「5~6員ヘテロアリール」は5~6個の環原子から構成された共役π電子系を持つ単環式基であり、その1、2、3又は4個の環原子は独立してO、S及びNのヘテロ原子から選ばれ、残りは炭素原子である。ここで、窒素原子は任意に四級化されており、窒素及び硫黄ヘテロ原子は任意に酸化される(即ち、NO及びS(O)p、pは1又は2である)。5~6員ヘテロアリールは、ヘテロ原子又は炭素原子を通して分子の他の部分に連結される。前記5~6員ヘテロアリールは5員又は6員ヘテロアリールを含む。前記5~6員ヘテロアリールの実例は、ピロリル(N-ピロリル、2-ピロリル、及び3-ピロリルなどを含む)、ピラゾリル(2-ピラゾリル及び3-ピラゾリルなどを含む)、イミダゾリル(N-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリルな及び5-イミダゾリルなどを含む)、オキザゾリル(2-オキサゾリル、4-オキサゾリル及び5-オキザゾリルなどを含む)、トリアゾリル(1H-1、2、3-トリアゾリル、2H-1、2、3-トリアゾリル、1H-1、2、4-トリアゾリル及び4H-1、2、4-トリアゾリルなど)、テトラゾリル、イソキサゾリル(3-イソキサゾリル、4-イソキサゾリル及び5-イソキサゾリルなど)、チアゾリル(2-チアゾリル、4-チアゾリル及び5-チアゾリルなどを含む)、フラニル(2-フラニル及び3―フラニルなどを含む)、チエニル(2-チエニル及び3-チエニルなどを含む)、ピリジル(2-ピリジル、3-ピリジル及び4-ピリジルなどを含む)、ピラジニル又はピリミジニル(2-ピリミジニル又は4-ピリミジニルなどを含む)を含むが、これらに限定されない。
【0071】
別途に定義しない限り、本発明の用語「5員ヘテロアリール」は5個の環原子から構成された共役π電子系を持つ単環式基であり、その1、2、3又は4個の環原子は独立してO、S及びNのヘテロ原子から選ばれ、残りは炭素原子である。ここで、窒素原子は任意に四級化されており、窒素及び硫黄ヘテロ原子は任意に酸化される(即ち、NO及びS(O)p、pは1又は2である)。5員ヘテロアリールは、ヘテロ原子又は炭素原子を通して分子の他の部分に連結される。5員ヘテロアリールの実例は、ピロリル(N-ピロリル、2-ピロリル、及び3-ピロリルなどを含む)、ピラゾリル(2-ピラゾリル及び3-ピラゾリルなどを含む)、イミダゾリル(N-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリルな及び5-イミダゾリルなどを含む)、オキザゾリル(2-オキサゾリル、4-オキサゾリル及び5-オキザゾリルなどを含む)、トリアゾリル(1H-1、2、3-トリアゾリル、2H-1、2、3-トリアゾリル、1H-1、2、4-トリアゾリル及び4H-1、2、4-トリアゾリルなど)、テトラゾリル、イソキサゾリル(3-イソキサゾリル、4-イソキサゾリル及び5-イソキサゾリルなど)、チアゾリル(2-チアゾリル、4-チアゾリル及び5-チアゾリルなどを含む)、フラニル(2-フラニル及び3―フラニルなどを含む)又はチエニル(2-チエニル及び3-チエニルなどを含む)を含むが、これらに限定されない。
【0072】
本発明の化合物は当業者に熟知の様々な合成方法によって製造することができ、以下に挙げられた具体的な実施形態、他の化学合成方法と合わせた実施形態及び当業者に熟知の同等の代替方法を含み、好適な実施形態は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0073】
本発明の化合物は、当業者に周知の従来の方法によって確認することができ、本発明が化合物の絶対配置に関する場合、絶対配置は、当業者の従来の技術的手段によって確認することができる。例えば、単結晶X線回折(SXRD)であり、培養された単結晶はBruker D8 venture回折計によって収集され、光源はCuKα放射線であり、走査方法:φ/ω走査であり、関連データを収集した後、更に直接法(Shelxs97)により結晶構造解析を行って、絶対配置を確認することができる。
【0074】
本発明に使用されたすべての溶媒は市販品から得ることができる。
【0075】
本発明は下記略号を使用する:DMSOはジメチルスルホキシドを表し、CO2は二酸化炭素を表し、ATPはアデノシン三リン酸を表し、LPSはリポ多糖を表し、CBAはサイトカインミクロスフェア検出技術を表し、PMAは12-O-テトラデカノイルホルボール-13-アセタートを表し、NEAAは非必須アミノ酸を表し、FBSはウシ胎児血清を表し、IL-1βはインターロイキン-1βを表し、Human IL-1β Flex Setはヒトインターロイキン-1β検出キットを表す。
【0076】
化合物は本分野の通常の名称又はChemDraw(登録商標)ソフトによって名付けられ、市販化合物はメーカーのカタログの名称が使用された。
【実施例
【0077】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明の不利な制限を意味するものではない。本発明は本明細書で詳細に説明されており、その特定の実施形態も開示されており、当業者にとって、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の特定の実施形態において様々な変更及び修正を行うことができることは明らかである。
【0078】
実施例1
【化36】
【0079】
ステップ1:化合物1-1(3.2g、12.2mmol)及びトリエチルアミン(1.9g、18.4mmol)をジクロロメタン(100mL)に溶解させ、化合物1-2(2.66g、13.46mmol)を加え、反応を25℃で2時間撹拌した。反応完了後反応溶液を濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)で分離して化合物1-3を得た。MS ESI 計算値C1816BrNO22 [M+H,M+H+2]+ 422, 424,実測値422, 424。
【0080】
ステップ2:化合物1-3(2.8g、22.6mmol)をジオキサン(30mL)に溶解させ、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル(282.6mg、947.1μmol)、化合物1-4(661.6mg、7.1mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(682.6mg、7.1mmol)及びトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(433.6mg、473.5μmol)を加え、80℃で1時間撹拌した。反応完了後、反応溶液を冷却させて濾過し、濾液を濃縮した後、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)で分離して化合物1-5を得た。MS ESI 計算値C2022233 [M+H]+ 435,実測値435。
【0081】
ステップ3:化合物1-5(1.0g、2.3mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解させ、0℃で硫酸(98%の濃度、3.5mL)を滴下し、反応を25℃で1時間撹拌した後、反応溶液を氷水(50mL)に注ぎ、次にジクロロメタン(150mL)で抽出し、有機相を濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)で分離して化合物1-6を得た。MS ESI 計算値C610233 [M+H]+ 255,実測値255。
ステップ4:水素化ナトリウム(30.3mg、758.3μmol、60%の純度)を化合物1-6(150.0mg、589.7μmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に加え、0℃で10分間撹拌し、更に化合物1-7(123.3mg、619.2μmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液を系に加えて25℃で0.5時間撹拌した。反応完了後、希塩酸(1mol/L、1mL)でクエンチングさせた後、酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、有機相を濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:エタノール=10:1)で分離して化合物1を得た。MS ESI 計算値C1923343 [M+ H]+ 454,実測値454。 1H NMR (400 MHz, CD3CN) δ ppm 8.42 (brs, 1H), 8.19 (s, 1H), 8.09 (s, 1H), 7.01 (d, J=4.0 Hz, 1H), 6.38 (d, J=4.0 Hz, 1H), 3.23 (s, 6H), 2.87 (brt, J=7.4 Hz, 4H), 2.66 (brt, J=7.4 Hz, 4H), 2.00 - 2.07 (m, 4H)。
【0082】
実施例2
【化37】
【0083】
ステップ1:化合物2-1(500.0mg、2.3mmol)及び化合物2-2(357.0mg、2.3mmol)をジオキサン(40mL)/水(8mL)に溶解させ、更に[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(191.1mg、234.0μmol)及び炭酸カリウム(646.8mg、4.7mmol)を加え、反応を100℃で2時間撹拌した後、室温に冷却させ、水(50mL)及び酢酸エチル(150mL)を加えて抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1)で精製して化合物2-3を得た。 MS ESI 計算値C15182O [M+H]+ 243,実測値243。
【0084】
ステップ2:化合物2-3(95.0mg、392.1mmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解させ、25℃でトリホスゲン(50.0mg、168.6μmol)及びトリエチルアミン(119.m0g、1.2mmol)を加え、25℃で0.5時間撹拌した。反応完了後、反応溶液を濾過して化合物2-4のテトラヒドロフラン溶液を得、直接に次のステップに使用した。MS ESI 計算値 C161622 [M+H]+ 269,実測値269。
【0085】
ステップ3:水素化ナトリウム(39.3mg、982.9μmol、60%の純度)を化合物1-6(100.0mg、393.2μmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に加え、0℃で10分間撹拌した後、化合物2-4(105.49mg、393.16μmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液を系に加えて25℃で0.5時間撹拌した。反応完了後、希塩酸(1mol/L、1mL)でクエンチングさせ、更に酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、有機相を濃縮し、粗生成物を分取高速液体クロマトグラフィー(カラム:Welch Xtimate C18 150×25mm×5μm;移動相:[水(10mMの炭酸水素アンモニウム)-アセトニトリル];アセトニトリル%:15%~40%、9.5分)で分離して化合物2を得た。 MS ESI 計算値 C2226453 [M+H]+ 523,実測値523。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm 8.04 (d, J=5.3 Hz, 1H), 7.41-7.43 (m, 2H), 7.17-7.19 (m, 1H), 6.85-6.87 (m, 2H), 6.75 (s, 1H), 6.40 (d, J=4.3 Hz, 1H), 3.94 (s, 3H), 3.13 (s, 6H), 3.04 - 3.13 (m, 1H), 1.21 (d, J=6.8 Hz, 6H)。
【0086】
実施例3
【化38】
【0087】
ステップ1:化合物3-1(9.0g、67.1mmol)をジクロロメタン(50mL)に溶解させ、0℃でトリフルオロメタンスルホン酸無水物(37.8g、134.1mmol)及びピリジン(15.9g、201.23mmol)をゆっくりと加え、反応を25℃で1時間撹拌した後、水(50mL)を加えてクエンチングさせ、ジクロロメタン(100mL)で抽出し、有機相を濃縮した後粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=20:1)で精製して化合物3-2を得た。
【0088】
ステップ2:化合物3-2(10.0g、37.5mmol)及びtert-ブチルカルバメート(8.8g、75.1mmol)をジオキサン(150mL)に溶解させ、窒素ガスの保護下で炭酸セシウム(24.48g、75.12mmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(4.3g、7.5mmol)及びトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(3.4g、3.7mmol)を加え、反応を80℃で1時間撹拌した。反応完了後水(50mL)を加えて反応をクエンチングさせ、酢酸エチル(150mL)で抽出し、有機相を濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)で精製して化合物3-3を得た。MS ESI 計算値 C1419NO2 [M+H]+ 234,実測値234。
【0089】
ステップ3:化合物3-3(6.0g、25.7mmol)をジクロロメタン(50mL)に溶解させ、25℃でトリフルオロ酢酸(17.6g、154.3mmol)を滴下し、反応を25℃で1時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム(200mL)を加えてクエンチングさせ、次に、ジクロロメタン(200mL)で抽出し、有機相を濃縮した後化合物3-4を得、直接に次のステップに使用した。MS ESI 計算値 C911N [M+H]+ 134,実測値134。
【0090】
ステップ4:化合物3-4(2.6g、19.5mmol)及びトリエチルアミン(2.6g、25.4mmol)をジクロロメタン(30mL)に溶解させた後、無水酢酸(2.3g、22.5mmol)を滴下し、反応を25℃で16時間撹拌した。反応完了後、水(50mL)を加えてクエンチングさせ、次にジクロロメタン(150mL)で抽出し、有機相を濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=2:1)で精製して化合物3-5を得た。MS ESI 計算値 C1113NO [M+H]+ 176,実測値176。
【0091】
ステップ5:化合物3-5(2.9g、16.5mmol)をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解させ、p-トルエンスルホン酸(1.6g、9.1mmol)及び酢酸パラジウム(185.7mg、827.5μmol)を加え、20℃で0.5時間撹拌した後、N-ブロモスクシンイミド(3.2g、18.2mmol)を加え、反応を20℃で2時間撹拌を続けた。反応完了後、水(50mL)を加えてクエンチングさせ、酢酸エチル(150mL)で抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=2:1)で精製して化合物3-6を得た。MS ESI 計算値C1112BrNO [M , M+2]+ 254, 256,実測値254, 256。
【0092】
ステップ6:化合物3-6(2.3g、9.1mmol)をエタノール(20mL)及び濃塩酸(7mL、37%の濃度)に溶解させ、反応を80℃で12時間撹拌した。反応完了後、飽和炭酸水素ナトリウム(200mL)を加えてクエンチングさせ、次に酢酸エチル(200mL)で抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=2:1)で精製して化合物3-7を得た。MS ESI 計算値 C910BrN [M , M+2]+ 212, 214,実測値212, 214。
【0093】
ステップ7:化合物3-7(200.0mg、943.0μmol)及び化合物2-2(158.6mg、1.0mmol)をジオキサン(16mL)/水(4mL)に溶解させた後、炭酸カリウム(325.8mg、2.3mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(69.0mg、94.3μmol)を加え、反応を窒素ガスの保護下で、80℃で2時間撹拌した後濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)で精製して化合物3-8を得た。 MS ESI 計算値C15162O [M+H]+ 241,実測値241。
【0094】
ステップ8:化合物3-8(103.7mg、431.8μmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解させ、25℃でトリホスゲン(55.1mg、185.6μmol)及びトリエチルアミン(131.2mg、1.3mmol)を加え、25℃で0.5時間撹拌した。反応完了後、濾過して化合物3-9のテトラヒドロフラン溶液を得、直接に次のステップに使用した。MS ESI 計算値C161422 [M+H]+ 267,実測値267。
【0095】
ステップ9:水素化ナトリウム(39.3mg、982.9μmol、60%の純度)を化合物1-6(100.0mg、393.2μmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に加え、0℃で10分間撹拌した後、化合物3-9(104.7mg、393.2μmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液を系に加え、25℃で0.5時間撹拌した。反応完了後、希塩酸(1mol/L、1mL)でクエンチングさせ、次に酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、有機相を濃縮し、粗生成物を分取高速液体クロマトグラフィー(カラム:Welch Xtimate C18 150×25mm×5μm;移動相:[水(10mMの炭酸水素アンモニウム)-アセトニトリル];アセトニトリル%:15%~40%、9.5分)で分離して化合物3を得た。MS ESI 計算値 C2224453 [M+H]+ 521,実測値521。 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm 8.07 (d, J=5.3 Hz, 1H), 7.40 - 7.44 (m, 2H), 7.12 - 7.22 (m, 1H), 6.84 (d, J=4.3 Hz, 1H), 6.76 (s, 1H), 6.40 (d, J=4.3 Hz, 1H), 3.93 (s, 3H), 3.13 (s, 6H), 3.00 (t, J=7.4 Hz, 2H), 2.80 - 2.83 (m, 2H), 2.12 (t, J=7.4 Hz, 2H)。
【0096】
実施例4
【化39】
【0097】
ステップ1:0℃でジベンジルアミン(4.0g、20.1mmol)、トリエチルアミン(2.3g、22.9mmol)を順次に化合物4-1(5.0g、19.1mmol)のジクロロメタン(25mL)溶液にゆっくりと加え、反応を25℃で12時間撹拌した。反応溶液に水(25mL)を加え、ジクロロメタン(50mL×3)で抽出し、有機相を飽和食塩水(25mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濾過し、減圧濃縮した後カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=20:1~1:1)で分離・精製して化合物4-2を得、直接に次の反応に使用した。 MS ESI 計算値 C1816BrNO22 [M+H;M+H+2]+ 422;424,実測値422;424。
【0098】
ステップ2:化合物4-2(3.4g、8.1mmol)を1,4-ジオキサン(40mL)に溶解させ、化合物1-4(824.8mg、8.9mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(737.2mg、805.0μmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(931.5mg、1.6mmol)、炭酸セシウム(5.3g、16.1mmol)を順次に加え、窒素ガスで3回置換し、反応を110℃で12時間撹拌した後、25℃に冷却させて濾過し、濾液を濃縮した後カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1~0:1)で分離・精製して化合物4-3を得、直接に次の反応に使用した。 MS ESI 計算値 C2022233 [M+H]+ 435,実測値435。
【0099】
ステップ3:0℃で化合物4-3(2.4g、5.4mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液に濃硫酸(5.4g、54.0mmol、98%の濃度)を加え、反応を20℃で2時間撹拌した。反応溶液に約30gの氷を加え、水酸化ナトリウム固体でpH=5~6に調節した後、ジクロロメタン:メタノール=10:1の混合溶媒(30mL×3)で抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した後カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=30:1~10:1)で分離・精製して化合物4-4を得、直接に次の反応に使用した。 MS ESI 計算値 C610233 [M+H]+ 255,実測値255。
【0100】
ステップ4:化合物4-4(1.0g、3.9mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液を0℃冷却させて、水素化ナトリウム(346.0mg、8.7mmol、60%の純度)を加えて0.5時間撹拌し、tert-ブチルジメチルクロロシラン(711.1mg、4.7mmol)を加えた後25℃に昇温させて、12時間撹拌を続けた。反応を0℃に冷却させ、飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)を加えてクエンチングさせ、酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、有機相を飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧濃縮した後カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=3:1~0:1)で分離・精製して化合物4-5を得、直接に次の反応に使用した。MS ESI 計算値 C1224233Si [M+H]+ 369,実測値369。
【0101】
ステップ5:ジクロロトリフェニルホスフィン(2.0g、6.1mmol)をクロロホルム(20mL)に溶解させ、0℃でトリエチルアミン(1.1g、10.8mmol)を加え、15分間撹拌した後、化合物4-5(1.0g、2.7mmol)を加え、0℃で0.5時間撹拌した後、-40℃に予め冷却させた飽和アンモニアのテトラヒドロフラン溶液(20mL)に加え、25℃に自然に昇温させて12時間撹拌した。反応完了後直接に濃縮し、残留物を分取高速液体クロマトグラフィー(カラム:Welch Xtimate C18 250×70mm:10μm;移動相:[水(10mMの炭酸水素アンモニウム)-アセトニトリル];アセトニトリル%:30%~57%、30分)で精製して化合物4-6を得、直接に次の反応に使用した。 MS ESI計算値C1225323Si [M+H]+ 368,実測値368。
【0102】
ステップ6:化合物4-6(150.0mg、408.0μmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解させ、0℃で水素化ナトリウム(32.6mg、816.1μmol、60%の純度)を加えて0.5時間撹拌し、次に化合物1-7(81.3mg、408.0μmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液を加え、反応を25℃で1時間反応を続けた。反応溶液を0℃に冷却させ、水(2mL)を加えてクエンチングさせ、化合物4-7溶液を得、直接に次のステップに使用した。MS ESI計算値 C2538433Si [M+H]+ 567,実測値567。
【0103】
ステップ7:上記4-7溶液に希塩酸(1mol/L、10mL)を加え、25℃で0.5時間撹拌した。減圧濃縮して溶媒を除去し、残留物を分取高速液体クロマトグラフィー(カラム:Welch Xtimate C18 250×70mm#10μm;移動相:[水(10mMの炭酸水素アンモニウム)-アセトニトリル];アセトニトリル%:27%~47%、25分)で精製して化合物4を得た。MS ESI計算値C1924433 [M+H]+ 453,実測値453。
【0104】
ステップ8:化合物4(100mg)を分取超臨界流体クロマトグラフィー(カラム:Chiralcel OD-3 100mm×4.6mm I.D.,3μm);移動相:[A:二酸化炭素、B:メタノール(0.05%のジエチルアミン)]、勾配:B:5%~40%、4分;B%:40%、2.5分;B%:5%、1.5分)で分離して化合物4a(保持時間4.68分)及び化合物4b(保持時間5.24分)を得た。
【0105】
化合物4a, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ=8.26(s, 1H), 7.47(s, 2H), 7.29(d, J=4.0 Hz, 1H), 6.86(s, 1H), 6.28(d, J=4.0 Hz, 1H), 3.29(s, 6H), 2.78(t, J=7.4 Hz, 4H), 2.69(t, J=7.4 Hz, 4H), 1.93(t, J=7.4 Hz, 4H)。MS ESI計算値C1924433 [M+H]+ 453,実測値453。
【0106】
化合物4b, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ=8.30(s, 1H), 7.49(s, 2H), 7.30(d, J=4.0 Hz, 1H), 6.88(s, 1H), 6.30(d, J=4.0 Hz, 1H), 3.32(s, 6H), 2.79(t, J=7.4 Hz, 4H), 2.71(t, J=7.4 Hz, 4H), 1.94(t, J=7.4 Hz, 4H)。MS ESI計算値C1924433 [M+H]+ 453,実測値453。
【0107】
実施例5
【化40】
【0108】
ステップ1:水素化ナトリウム(43.5mg、1.1mmol、60%の純度)を化合物4-6(100.0mg、272.0μmol)のテトラヒドロフラン(10.0mL)溶液に加え、25℃で0.5時間撹拌した後、更に化合物3-9(72.4mg、272.0μmol)を系に加えて1時間撹拌を続け、化合物5-1の反応溶液を得、直接に次のステップに使用した。MS ESI 計算値 C2839543Si [M+H]+ 634,実測値634。
【0109】
ステップ2:上記化合物5-1の反応溶液に0℃で濃塩酸(5.0mL、37%の濃度)を滴下して10分間撹拌し、反応完了後、酢酸エチル(30mL)で抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1)で分離して化合物5を得た。MS ESI 計算値 C2225543 [M+H]+ 520, 実測値520。
【0110】
ステップ3:化合物5(90mg)を分取クロマトグラフィー(カラム:Column:Cellulose-2 100mm×4.6mm I.D.,3μm;移動相A:二酸化炭素;B:[0.05%のジエチルアミン-メタノール];勾配:B%:50%~50%、25分)で分離して化合物5a(保持時間2.58分)及び化合物5b(保持時間3.82分)を得た。
【0111】
化合物5a,1H NMR(400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 8.26(brs, 1H), 8.12(d, J=5.3 Hz, 1H), 7.42(brs, 2H), 7.15 - 7.25(m, 1H), 7.06 - 7.14(m, 2H), 6.95(brd, J=4.8 Hz, 1H), 6.76(s, 1H), 6.25(d, J=4.0 Hz, 1H), 3.88(s, 3H), 3.32(s, 6H), 2.92(t, J=7.4 Hz, 2H), 2.79(brs, 2H), 1.96 - 2.03(m, 2H). MS ESI 計算値 C2225543 [M+H]+ 520,実測値520。
【0112】
化合物5b,1H NMR(400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 8.26(brs, 1H), 8.12(d, J=5.3 Hz, 1H), 7.42(brs, 2H), 7.15 - 7.21(m, 1H), 7.06 - 7.16(m, 2H), 6.95(brd, J=4.8 Hz, 1H), 6.76(s, 1H), 6.25(d, J=4.0 Hz, 1H), 3.88(s, 3H), 3.32(s, 6H), 2.92(brt, J=7.4 Hz, 2H), 2.79(brs, 2H), 1.98 - 2.03(m, 2H);MS ESI 計算値C2225543 [M+H]+ 520,実測値520。
【0113】
実施例6
【化41】
【0114】
ステップ1:炭酸カリウム(5.1g、37.0mmol)をベンジルチオール(1.5g、12.3mmol)のジメチルホルムアミド(30mL)溶液に加え、25℃で5分間撹拌した後、化合物6-1(3.0g、12.4mmol)を加えた。反応を100℃に昇温させて5時間撹拌を続けた後、25℃に冷却させ、水(60mL)を加えてクエンチングさせ、酢酸エチル(60mL×3)で抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濾過し、減圧濃縮して化合物6-2を得、直接に次の反応に使用した。1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ=7.51(s, 1H), 7.20 - 7.33(m, 5H), 4.35(s, 2H)。MS ESI 計算値C108BrNS2 [M+H; M+H+2]+ 286; 288 ,実測値286; 288。
【0115】
ステップ2:予め乾燥させた反応フラスコに化合物6-2(1.0g、3.5mmol)、酢酸(10mL)、水(5mL)及びジクロロヒダントイン(2.8g、14.0mmol)を加え、反応を40℃で1.5時間撹拌した。反応完了後、反応溶液に水(20mL)を加えてクエンチングさせ、ジクロロメタン(20mL×3)で抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水(30mL)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濾過し、濾液を減圧濃縮した。残留物に石油エーテル(1mL)及び酢酸エチル(1mL)を加え、10分間撹拌した後濾過し、濾液を減圧濃縮して化合物6-3を得、直接に次のステップに使用した。
【0116】
ステップ3:化合物6-3(800.0mg、3.1mmol)を1,2-ジクロロエタン(10mL)に溶解させ、ジベンジルアミン(2.4g、12.2mmol)を加えた。反応を80℃で12時間撹拌した後、25℃に冷却させ、反応溶液に水(40mL)を加えてクエンチングさせ、酢酸エチル(40mL×3)で抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濾過し、減圧濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=20:1)で分離して化合物6-4を得た。MS ESI計算値 C1715BrN222 [M+H;M+H+2]+ 423; 425,実測値423; 425。
【0117】
ステップ4:予め乾燥させた反応フラスコに化合物6-4(390.0mg、992.1μmol)、1,4-ジオキサン(10mL)、化合物1-4(138.6mg、1.5mmol)及び炭酸セシウム(969.7mg、2.9mmol)を加え、最後に4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(114.8mg、198.4μmol)及びトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(90.8mg、99.2μmol)を加えた。反応を窒素ガスの保護下で110℃で2時間撹拌し、25℃に冷却させ、反応溶液に水(20mL)を加えてクエンチングさせ、酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水(20mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濾過し、減圧濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1)で分離して化合物6-5を得た。MS ESI 計算値 C1921333 [M +H]+ 436,実測値436。
【0118】
ステップ5:化合物6-5(150mg、344.3μmol)をジクロロメタン(1mL)に溶解させ、濃硫酸(1mL、98%の濃度)を加えた。25℃で0.5時間反応させた。反応完了後、反応溶液を氷水(5mL)にゆっくりと注ぎ、2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液でpH=4~5に調節し、減圧濃縮して残留物を得、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=20:1)で分離して化合物6-6を得た。MS ESI 計算値C59333 [M+H]+ 256,実測値256。
【0119】
ステップ6:化合物6-6(220.0mg、86.1μmol)をテトラヒドロフラン(1mL)に溶解させ、0℃で水素化ナトリウム(10.3mg、258.4μmol、60%の純度)を加えて0.5時間撹拌した後、化合物1-7(20.6mg、103.3μmol)を加えた。反応を25℃に昇温させ、0.5時間撹拌を続けた後、水(0.5mL)を加えてクエンチングさせ、反応溶液を減圧濃縮し、残留物を分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1)で精製して化合物6を得た。 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm 7.10 (brs, 1H), 6.89(s, 1H), 3.27(s, 6H), 2.82(t, J=7.1 Hz, 4H), 2.69-2.76(m, 4H), 1.96-2.03(m, 4H);MS ESI 計算値 C1822443 [M+H]+ 455,実測値455。
【0120】
実施例7
【化42】
【0121】
ステップ1:化合物6-6(200.0mg、783.3μmol)をテトラヒドロフラン(20mL)に溶解させ、0℃で水素化ナトリウム(78.3mg、1.9mmol、60%の純度)を加えて0.5時間撹拌し、次にtert-ブチルジメチルクロロシラン(141.6mg、939.9μmol)を加え、25℃で1時間撹拌し、反応完了後、飽和塩化アンモニウム溶液(5mL)にクエンチングさせ、酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した後、残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=20:1)で分離して化合物7-1を得た。MS ESI 計算値C1123333Si [M+H]+ 370,実測値370。
【0122】
ステップ2:トリエチルアミン(260.7mg、2.5mmol)を25℃でジクロロトリフェニルホスフィン(429.3mg、1.3mmol)のクロロホルム(10mL)溶液を滴下し、10分間撹拌した後、0℃に冷却させて、化合物7-1(190.0mg、515.5μmol)のクロロホルム(3mL)溶液を加え、反応を0℃で0.5時間撹拌を続けた。当該系にアンモニアガスを15分間通した後、25℃に昇温させて1時間撹拌した。反応完了後、濃縮して化合物7-2を得、直接に次の反応に使用した。 MS ESI 計算値C1124423Si [M+H]+ 369,実測値369。
【0123】
ステップ3:水素化ナトリウム(78.13mg、1.95mmol、60%の純度)を化合物7-2(180.0mg、488.32μmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に加え、25℃で0.5時間撹拌した後、化合物1-7(97.3mg、488.3μmol)を系に加えて1時間撹拌を続けた。反応完了後、化合物7-3の反応溶液を得、直接に次のステップに使用した。MS ESI 計算値 C2437533Si [M+H]+ 568,実測値568。
【0124】
ステップ4:0℃で上記化合物7-3の反応溶液に濃塩酸(5.0mL、濃度37%)を滴下して10分間撹拌し、反応完了後、酢酸エチル(30mL)で抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1)で分離して化合物7を得た。MS ESI 計算値 C1823533 [M+H]+ 454,実測値454。
【0125】
ステップ5:化合物7(20mg)を分取超臨界流体クロマトグラフィー(カラム:Chiralpak AS-3 150mm×4.6mm I.D.,3μm);移動相:[A:二酸化炭素、B:エタノール(0.05%のジエチルアミン)];勾配:B%:5%~40%、5分;B%:40%、2.5分;B%:5%、2.5分)で分離して化合物7a(保持時間5.53分)及び7b(保持時間6.15分)を得た。
【0126】
化合物7a:1H NMR(400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 8.41(brs, 1H), 7.73(brs, 2H), 7.23(s, 1H), 6.87(s, 1H), 3.35(s, 6H), 2.78(brt, J=7.3 Hz, 4H), 2.67(brs, 4H), 1.86 - 1.97(m, 4H). MS ESI 計算値 C1823533 [M+H]+ 454, 実測値454。
【0127】
化合物7b:1H NMR(400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 8.42(brs, 1H), 7.73(brs, 2H), 7.23(s, 1H), 6.87(s, 1H), 3.35(brs, 6H), 2.78(brt, J=7.0 Hz, 4H), 2.68(brs, 4H), 1.93(brt, J=7.3 Hz, 4H). MS ESI 計算値 C1823533 [M+H]+ 454,実測値454。
【0128】
実施例8
【化43】
【0129】
ステップ1:化合物2-1(2.0g、9.3mmol)及び化合物8-1(2.2g、9.3mmol)をジオキサン(40mL)/水(8mL)に溶解させ、更に[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(762.8mg、934.1μmol)及び炭酸カリウム(2.6g、18.6mmol)を加え、反応を100℃で2時間撹拌した後25℃に冷却させ、水(50mL)及び酢酸エチル(150mL)を加えて抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=2:1)で分離して化合物8-2を得た。MS ESI 計算値 C15153 [M+H]+ 238,実測値238。
【0130】
ステップ2:化合物8-2(1.0g、4.2mmol)をテトラヒドロフラン(60mL)に溶解させ、25℃でトリホスゲン(537.7mg、1.8mmol)及びトリエチルアミン(1.3g、12.6mmol)を加え、25℃で0.5時間撹拌した。反応完了後、反応溶液を濾過して化合物8-3のテトラヒドロフラン溶液を得、直接に次のステップに使用した。MS ESI 計算値 C16133O [M+H]+ 264,実測値264。
【0131】
ステップ3:25℃で水素化ナトリウム(43.5mg、1.1mmol、60%の純度)を化合物4-6(100.0mg、272.0μmol)のテトラヒドロフラン(10.0mL)溶液に加えて0.5時間撹拌し、更に化合物8-3(71.1mg、272.0μmol)を系に加えて1時間撹拌を続けた。反応完了後、化合物8-4の反応溶液を得、直接に次のステップに使用した。MS ESI 計算値 C2836633Si [M+H]+ 629,実測値629。
【0132】
ステップ4:上記化合物8-4の反応溶液に0℃で濃塩酸(5mL、37%の濃度)を滴下し、10分間撹拌し、反応完了後、酢酸エチル(30mL)で抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濾過し、濃縮して得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=20:1)で分離して化合物8を得た。1H NMR(400 MHz, CD3OD) δ ppm 8.67(d, J=5.5 Hz, 1H), 7.90(brs, 1H), 7.87 - 8.01 (m, 1H), 7.62 - 7.74 (m, 1H), 7.23 - 7.33(m, 2H), 7.17 - 7.21 (m, 1H), 6.38(d, J=4.5 Hz, 1H), 3.34 - 3.40 (s, 6H), 2.91 - 3.06 (m, 4H), 2.12(brt, J=7.0 Hz, 2H). MS ESI 計算値 C2222633 [M+H]+ 515,実測値515。
【0133】
生物試験データ:
実験例1:THP-1細胞を用いたNLRP3アンタゴニストのIC50検出実験
実験に使用した本発明の化合物の化学名及び構造式は、各化合物の製造実施例に示された通りである。
1.実験原理:この実験では、ヒト単球細胞株THP1を使用して、細胞のIL-1β分泌に対するNLRP3アンタゴニストの阻害活性(IC50)を研究した。PMA(ホルボール12-ミリスタート13-アセタート)を用いて単球細胞株THP1を成熟マクロファージに分化させた後、Toll様受容体TLR4のアゴニストであるLPS(リポ多糖)で細胞を刺激し、NLRP3インフラマソームの転写活性とIL-1β前駆体のproIL-1βの発現を活性化させた。この時、NLRP3のアンタゴニストを加え、続いてATPを加えてNLRP3を更に成熟及び活性化させ、下流のcaspase-1を活性化させた。活性化されたcaspase-1は、pro-IL-1βを酵素切断ステップで処理して、分泌可能な成熟IL-1βにすることができる。NLRP3アンタゴニストは、ATPによるNLRP3の成熟と活性化、及び下流のcaspase-1の活性化を効果的に阻害し、それによってIL-1βの成熟と分泌を阻害することができる。
【0134】
2.実験材料:
2.1 試料は下記の表1に示された通りである。
【表1】
【0135】
2.2計器は下記の表2に示された通りである。
【表2】
【0136】
2.3実験ステップ:
(1)THP1細胞の密度を5×105細胞/mLに調節し、次にPMAを加えて最終濃度を100ng/mLに調節し、200μL/ウェルで96ウェル平底プレートに播種し、37℃、5%のCO2で一晩(可能であれば<16時間)刺激した。
【0137】
(2)翌日、上清を捨て、次にダルベッコのリン酸塩緩衝液で2回(200μL/回)丁寧に洗浄した。
【0138】
(3)LPSで細胞を刺激し、LPSの最終濃度は、100ng/mLであり、200μL/ウェルで96ウェルプレートに加え、37℃、5%のCO2で3時間培養した。
【0139】
(4)試験化合物をウェルに加え、スクリーニング濃度は、5μM、1μM、200nM、40nM、8nM、1.6nM、0.32nM、0.064nMであった。37℃で、5%のCO2インキュベーターで1時間培養した。
【0140】
(5)ATPを各ウェルに加え、最終濃度は5mMであり、37℃、5%のCO2で一晩(>18時間)培養した。
【0141】
(6)3日目に5μLの上清を取り出し、10倍に希釈し、上清中のIL-1βの含有量をCBAで検出した。
【0142】
3.実験結果:
化合物の活性の結果は表3を参照する。
【0143】
【表3】
【0144】
実験結論:本発明の化合物は、良好なNLRP3阻害活性を示した。
【0145】
実験例2:化合物の薬物動態評価
実験目的:マウスの体内における化合物の薬物動態を試験するためである。
実験材料:C57BL/6Jマウス(オス、6~8週齢)
実験操作:試験化合物を溶解して得られた透明な溶液を、オスC57BL/6Jマウスに、それぞれ尾静脈注射及び胃内投与(溶媒:10%のDMSO/10%のsolutol/80%の水)した(一晩絶食、6~8週齢)。試験化合物又は対照化合物を投与した後、静脈内注射群(IV)は0.0833、0.25、0.5、1、2、4、8及び24時間、胃内投与群(PO)は0.25、0.5、1、2、4、6、8及び24時間の時点で下顎静脈から血液を採取し、遠心分離して血漿を得た。LC-MS/MS法を使用して血漿の薬物の濃度を測定し、WinNonlinTM Version 6.3薬物動態学ソフトを使用し、非コンパートメントモデル線形対数ラダー法で薬物動態パラメーターを計算した。各パラメーターの意味:T1/2:半減期;Cmax:ピークに達する濃度;AUC0-inf:時間0から無限大時間までの血漿の薬物濃度-時間曲線下面積;F:バイオアベイラビリティ;Vd:見かけの分布体積;Cl:クリアランス;Tmax:ピークに達する時間。試験結果は表4に示された通りである。
【0146】
【表4】
【0147】
結論:本発明の化合物は、良好な経口バイオアベイラビリティ、高い曝露量を有し、良好な体内薬効の性質を有している。
【0148】
実験例3 MSUにより誘発されたC57BL/6マウス空気嚢の急性痛風モデルに対する化合物の治療効果の評価
【0149】
マウスの空気嚢(Air Pouch)は、ヒトの滑膜に似た袋状の空間であり、空気嚢に尿酸ナトリウム結晶(MSU)を注入すると、ヒトの痛風に似た急性炎症反応を引き起こす。気嚢洗浄液(APLV)中の炎症性サイトカインIL-6及びIL-1βを分析し、参照化合物としてMCC950を使用することにより、オスC57BL/6マウスのMSU誘導バルーン痛風モデルにおける本発明化合物の効果を測定した。
【0150】
実験目的:マウスAir Pouch痛風モデルにおける本発明化合物の急性痛風の治療効果を評価するためである。
【0151】
実験動物:C57BL/6マウス、オス、7~8週齢、Beijing Charles River Laboratory Animal Technology Co., Ltd.から購入した。
【0152】
実験デザイン:
図1に示すように、実験では健康なマウスに番号を付けて群分けし、当日(Day1)と4日目(Day4)に無菌空気をマウスの背中に注入し、気嚢を生成させた。7日目に、先に薬物を投与し、1時間後にMSU結晶溶液を空気嚢に注入し、7時間後に空気嚢洗浄液(APLV)を採取して分析した。群分け及び投与方法は表5に示された通りである。
【0153】
【表5】
【0154】
実験方法及びステップ:
1.1MSUの調製
1gの尿酸を6mLの1N水酸化ナトリウムを含む0.2Lの熱湯に溶解し、pHを7.4に調節した後、溶液を室温で徐々に冷却させ、次に4℃で一晩放置した。遠心分離によりMSU結晶を回収し、蒸発乾燥により乾燥させ、個々のバイアル(3mg)に分注し、オートクレーブにより滅菌した。
【0155】
1.2群分け、投与及びIL-6とIL-1βの検出
健康なC57BL/6マウスに番号を付けて群分けし、群分け当日(Day1)と4日目(Day4)に、5mLの無菌空気をマウスの背中に皮下注射し、気嚢を生成させた。7日目(Day7)に各群のマウスに溶媒又は試験品を投与し、1時間後にMSU結晶の懸濁液(食塩水、3mg/mL)を気嚢に注入した。6時間後、気嚢洗浄液(APLV)を採取し、ELISAキットを使用してAPLV中のIL-6及びIL-1βのレベルを測定した。結果により、平均値±SEMであることが示された。統計分析は、分散分析法(ANOVA)の一つの方法で実行され、次にDunnett検定を実行し、p<0.05の場合に有意差が認められた。
【0156】
試験結果
健康な対照群と比較して、MSU注射はマウスの気嚢に急性炎症反応を誘発し、APLVの炎症性サイトカインIL-6及びIL-1βの濃度が有意に高いことが証明された。化合物MCC950、化合物7a及びデキサメタゾンを投与して治療した後、APLVにおけるIL-6及びIL-1βのレベルが急速に低下した。ここで、化合物7aは、高、中、低の3つの用量において、IL-6の減少効果がデキサメタゾン(10mg/kgの投与量)よりいずれも優れており、15mg/kg及び50mg/kgの投与量でMCC950(50mg/kgの投与量)よりいずれもIL-6に対する低減効果が優れていることが確認された。化合物7aはIL-1βに対して有意な減少効果を有し、15mg/kg及び50mg/kgの投与量でのIL-1βに対する減少効果は、いずれもMCC950(50mg/kgの投与量)よりも有意に優れており、IL-1βレベルは極めて低く、デキサメタゾン(10mg/kg)と同等の効果を達成した。APLVにおける炎症性サイトカインIL-6の阻害実験の結果は図1に示された通りであり、APLVにおける炎症性サイトカインIL-1βの阻害実験の結果は図2に示された通りであり、pは有意差を表し、*:p<0.05;**:p<0.01;***p<0.001である。
【0157】
結論:本発明の化合物は、MSU誘発C57BL/6マウスAir Pouch痛風モデルに対して良好な治療効果を有し、痛風などの他の炎症性サイトカインに関連する疾患を治療する可能性を有している。
図1
図2