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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】ワイパおよび車両
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/46 20060101AFI20240614BHJP
   B60S 1/40 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
B60S1/46 D
B60S1/40 100B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022577315
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2021066069
(87)【国際公開番号】W WO2021255006
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】202010551262.2
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】ハオイー、ホン
(72)【発明者】
【氏名】ドニ、グランジャン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ、チェン
(72)【発明者】
【氏名】チンロン、プー
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-083742(JP,U)
【文献】特開2017-206118(JP,A)
【文献】特開昭54-006250(JP,A)
【文献】実開昭61-094464(JP,U)
【文献】中国実用新案第206704156(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00-1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のワイパ(1、1’、1’’)であって、
長手形状に接続されたワイパアームホルダ(10)、延長アーム(20)、およびワイパアーム端部材(40)を備えるワイパアーム(2)であって、外向き揺動方向(B)および戻り方向(Z)に往復揺動するように駆動可能である、ワイパアーム(2)と、
ブレード保持部(61)およびブレードラバーストリップ(63)を備えるワイパブレード(60)であって、前記ワイパブレード(60)が前記ワイパアーム(2)の前記ワイパアーム端部材(40)において前記ブレード保持部(61)によって保持され、前記ブレード保持部(61)が前記ブレードラバーストリップ(63)を保持する、ワイパブレード(60)と、
前記ワイパアーム(2)の前記ワイパアーム端部材(40)に接続された第1のノズル(50)と、
洗浄流体を加圧下で前記ワイパアーム(2)の延長方向に前記第1のノズル(50)まで運ぶための第1の導管(71)と
を備える、ワイパ(1、1’、1’’)において、
前記第1の導管(71)が、前記第1のノズル(50)と接続するための端部(71B)を備え、前記第1の導管(71)が、前記ワイパアーム端部材(40)と前記ブレード保持部(61)との間に配置され、前記ワイパブレード(60)を通り、前記ワイパブレード(60)の第1の長手側まで延び
前記ブレード保持部(61)の、前記ブレードラバーストリップ(63)から離れる方向を向いている側に凹部(64)が設けられ、前記第1の導管(71)が、前記凹部(64)を通過し、前記ワイパブレード(60)の第1の長手側まで延びることを特徴とする、ワイパ(1、1’、1’’)。
【請求項2】
前記第1のノズル(50)が、スパウトを装備した本体(51)、ならびに前記本体(51)から突出する導管継手(52)およびノズル保持部(53)を備えることを特徴とする、請求項に記載のワイパ(1、1’、1’’)。
【請求項3】
前記ワイパアーム端部材(40)が、前記第1の長手側に向かって突出する第1のウェブ(44A)を備え、前記第1のウェブ(44A)が、前記ノズル保持部(53)を保持するために使用されることを特徴とする、請求項に記載のワイパ(1、1’、1’’)。
【請求項4】
前記第1のウェブ(44A)が、前記ワイパアーム端部材(40)に階段状に配置されることを特徴とする、請求項に記載のワイパ(1、1’、1’’)。
【請求項5】
前記ワイパアーム端部材(40)が第2のウェブ(44B)をさらに備え、前記第1のウェブ(44A)および前記第2のウェブ(44B)が互いにある距離を置いて並んで配置され、前記導管継手(52)が前記第2のウェブ(44B)の下方に位置することを特徴とする、請求項に記載のワイパ(1、1’、1’’)。
【請求項6】
前記ワイパアーム端部材(40)が、ジグザグ形状であり、前記延長アーム(20)と接続するための第1のセグメント(41)と、前記ワイパブレード(60)を保持するための第2のセグメント(43)と、前記第1のセグメント(41)と前記第2のセグメント(43)との間に配置される中間セグメント(42)と、を備え、前記第1のセグメント(41)および前記第2のセグメント(43)が、前記ワイパアーム(2)の長手延長方向を横切る方向にオフセットされ、前記第1のウェブ(44A)および前記第2のウェブ(44B)が前記中間セグメント(42)内に配置されることを特徴とする、請求項に記載のワイパ(1、1’、1’’)。
【請求項7】
前記第2のセグメント(43)がU字形フックの形を取ることを特徴とする、請求項に記載のワイパ(1、1’、1’’)。
【請求項8】
前記ノズル保持部(53)が、前記第1のウェブ(44A)に挿入されるソケットの形を取ることを特徴とする、請求項に記載のワイパ(1、1’、1’’)。
【請求項9】
前記第1のウェブ(44A)および前記第2のウェブ(44B)が、少なくとも部分的に上下にオフセットされることを特徴とする、請求項に記載のワイパ(1、1’、1’’)。
【請求項10】
前記第1の長手側が、前記外向き揺動方向(B)に対応する外向き揺動側であり、前記ワイパブレード(60)が、前記ワイパアーム(2)の前記外向き揺動側に配置され、前記第1のノズル(50)が、前記ワイパブレード(60)の前記外向き揺動側に配置され、前記第1のノズル(50)と接続するために使用される前記第1の導管(71)の前記端部(71B)が、前記ワイパブレード(60)の前記外向き揺動側まで延びることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のワイパ(1、1’、1’’)。
【請求項11】
前記第2のセグメント(43)の前記U字形フック状部分に対して、前記第1のウェブ(44A)および前記第2のウェブ(44B)が、前記車両のワイプされるべきフロントガラスに向かって下方に偏向されることを特徴とする、請求項に記載のワイパ(1、1’、1’’)。
【請求項12】
前記第1のウェブ(44A)および前記第2のウェブ(44B)が下方に偏向される角度が、前記フロントガラスが取り付けられる傾斜角度に対応することを特徴とする、請求項11に記載のワイパ(1、1’、1’’)。
【請求項13】
車両用のワイパ(1、1’、1’’)であって、
長手形状に接続されたワイパアームホルダ(10)、延長アーム(20)、およびワイパアーム端部材(40)を備えるワイパアーム(2)であって、外向き揺動方向(B)および戻り方向(Z)に往復揺動するように駆動可能である、ワイパアーム(2)と、
ブレード保持部(61)およびブレードラバーストリップ(63)を備えるワイパブレード(60)であって、前記ワイパブレード(60)が前記ワイパアーム(2)の前記ワイパアーム端部材(40)において前記ブレード保持部(61)によって保持され、前記ブレード保持部(61)が前記ブレードラバーストリップ(63)を保持する、ワイパブレード(60)と、
前記ワイパアーム(2)の前記ワイパアーム端部材(40)に接続された第1のノズル(50)と、
洗浄流体を加圧下で前記ワイパアーム(2)の延長方向に前記第1のノズル(50)まで運ぶための第1の導管(71)と
を備える、ワイパ(1、1’、1’’)において、
前記第1の導管(71)が、前記第1のノズル(50)と接続するための端部(71B)を備え、前記第1の導管(71)が、前記ワイパアーム端部材(40)と前記ブレード保持部(61)との間に配置され、前記ワイパブレード(60)を通り、前記ワイパブレード(60)の第1の長手側まで延び、
前記第1の導管(71)を保持するための保持アーム(45)が、前記ワイパアーム端部材(40)上に一体的に形成されることを特徴とする、ワイパ(1、1’、1’’)。
【請求項14】
前記ワイパブレード(60)の第2の長手側に対して異なる方向に洗浄流体を噴霧するためのスパウトが設けられた第2のノズル(80)を備え、前記第2の長手側は、前記第1の長手側に面することを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のワイパ(1、1’、1’’)。
【請求項15】
前記第1のノズル(50)が、洗浄流体を異なる方向に噴霧するためのスパウトを備えることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のワイパ(1、1’、1’’)。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載のワイパ(1、1’、1’’)を備えることを特徴とする、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパおよび車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両にとって重要なワイパは、運転者の視線に影響を与えるフロントガラス(windscreen)上の雨水および他の汚染物質を掃除するために使用され、それによって運転の安全性を確保する。
【0003】
従来のワイパでは、ワイパアセンブリおよび洗浄アセンブリが互いに分離され、洗浄アセンブリはフロントハッチの下に隠されている。フロントガラスを洗浄する必要があるとき、洗浄アセンブリがフロントガラスの表面上に洗浄流体(cleaning fluid)を噴霧し、次いで、ワイパアセンブリが動作し始める。洗浄流体はフロントガラスの全表面上に噴霧されるので、洗浄のために多量の洗浄流体が必要とされ得る。
【0004】
例えば、中国実用新案第206704156号明細書によって開示されるように、ワイパアーム上に配置されたノズルを有するワイパも知られている。開示された散水ワイパ構造は、ワイパアーム、ワイパアーム上に配置された導管、散水体、散水体をワイパアームの端部に接続するためのワイパアームコネクタ、およびカバーを備える。散水体は、複数のノズル開口部を備える。カバーは、散水体の上に覆い隠す形で締め付けられ、ワイパアームコネクタは、散水体の下に締め付けられる。
【0005】
上記の散水ワイパ構造では、散水体を覆うためのカバーは、ワイパアームの、ワイパアームの揺動方向(swing direction)の側に配置されており、これは、ワイパで覆われるフロントガラス上の面積を逆に増大させる。
【0006】
したがって、できるだけ少ない洗浄流体で考え得る最良のワイピング効果(wiping effect)を達成することができ、かつできるだけコンパクトである散水ワイパ構造が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】中国実用新案出願第206704156号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の一目的は、上述の課題を少なくとも部分的に解決することができるワイパを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、車両用のワイパが提案され、ワイパは、
長手形状に接続されたワイパアームホルダ、延長アーム、およびワイパアーム端部材を備えるワイパアームであって、外向き揺動方向および戻り方向に往復揺動するように駆動可能である、ワイパアームと、
ブレード保持部およびブレードラバーストリップを備えるワイパブレードであって、ワイパブレードがワイパアームのワイパアーム端部材においてブレード保持部に保持され、ワイパ保持部がブレードラバーストリップを保持する、ワイパブレードと、
ワイパアームのワイパアーム端部材に接続された第1のノズルと、
洗浄流体を加圧下でワイパアームの延長方向に第1のノズルまで運ぶための第1の導管と
を備え、
第1のノズルと接続するために使用される第1の導管の端部が、ワイパアーム端部材とブレード保持部との間でワイパブレードを通り、ワイパブレードの第1の長手側まで延びる。
【0010】
この設計解決策により、洗浄流体は、目標とする方法で、ワイパアームに配置されたワイパブレードの長手側に向けられ得る。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、ブレード保持部の、ブレードラバーストリップから離れる方向を向いている側、すなわち上側に凹部が設けられ、第1の導管は、凹部を貫通し、ワイパブレードの第1の長手側まで延びる。これにより、導管の案内に悪影響を及ぼすことなく、ブレード保持部の上側とワイパアームのフロントガラスに面する側との間の距離をできるだけ小さく保つことが可能になり、したがって、この領域では、ワイパは全体として、フロントガラスに垂直な方向の高さが低く、コンパクトな構造となる。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、第1のノズルは、スパウト(spout)が設けられた本体、ならびに本体から突出する導管継手およびノズル保持部を備える。好ましくは、導管継手およびノズル保持部は本体から直接突出する。これは、導管継手および本体内に設計された洗浄流体用のチャネルに特に有利であり、これらのチャネルは互いに直接流通することができ、その結果、導管継手側のチャネルの端部に洗浄流体入口が形成され、スパウト側の他端に洗浄流体出口が形成され、例えば、ノズルの射出成形が追加のプラグなしで保証されるので、費用効果の高い製造が達成される。第1のノズルは、取り付けられた後、洗浄流体を噴霧するためにワイパブレードの第1の長手側に配置される。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、ワイパアーム端部材は、第1の長手側の方向に突出する第1のウェブを特に階段状に備え、第1のウェブはノズル保持部を保持するために使用される。ここで、「階段状に設けられ」という表現は、第1のウェブがワイパアーム端部材の本体に対して、例えばワイパ全体の高さ方向に変位させられる、すなわち互い違いに配置されることを意味すると理解され得る。さらに、ワイパアーム端部材は第2のウェブをさらに備えることができ、第1のウェブおよび第2のウェブは互いにある距離を置いて並んで配置され、導管継手は第2のウェブの下方に位置する。したがって、特に第2のウェブが設けられる場合、第1のウェブが第2のウェブから分離されることにより、空気が通過することができるチャネルが、車両の走行中にノズルの取付け位置に形成され、これにより、特にノズル上の空気流の負荷およびノズルからの噴流流体との干渉の減少が可能になる。第1のウェブおよび第2のウェブは、ノズルおよび導管の取り付けを容易にするために同じ方向に向けられてもよい。配置された第2のウェブは、導管と導管継手との間の接続を保護することもできる。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、ワイパアーム端部材は、ジグザグ形状であり、延長アームと接続するための第1のセグメントと、ワイパブレードを保持するための第2のセグメントと、第1のセグメントと第2のセグメントとの間に配置された中間セグメントと、を備え、第1のセグメントおよび第2のセグメントは、ワイパアームの長手延長を横切る方向に互い違いに配置され、第1のウェブおよび第2のウェブは中間セグメント内に配置される。例えば、必要に応じて、第2のセグメントは、外向き揺動方向に関して第1のセグメントの前に配置され得る、したがって、第1のウェブおよび第2のウェブを外向き揺動方向にわずかに突出させることにより、ノズルを簡単に取り付けることができる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、第2のセグメントはU字形フックの形を取る。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、ノズル保持部は、第1のウェブに挿入されるソケットの形を取る。ソケットは、好ましくは止まり穴であり、開放側にベルマウスの形を取り、これにより、ウェブを挿入するのが容易になり、射出成形プロセスで離型するのも容易になる。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、第1のウェブおよび第2のウェブは、少なくとも部分的に上下に互い違いに配置される。例えば、互い違いの程度は、挿入されたノズル保持部の上部が第2のウェブの上部と同一平面になるようなものであってもよく、その結果、審美的に魅力的な形状および良好な空気力学的効果が達成され得る。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、第1の長手側は、外向き揺動方向に対応する外向き揺動側であり、ワイパブレードは、ワイパアームの外向き揺動側に配置され、第1のノズルは、ワイパブレードの外向き揺動側に配置され、第1のノズルと接続するための第1の導管の端部は、ワイパブレードの外向き揺動側まで延びる。したがって、ワイパアームは、特にワイパアームのリセット位置で、すなわちワイパが動作していないときに、フロントガラスの取付け位置の根元において下方に配置され得る。したがって、ワイパアームは、走行中に車両のフロントハッチによって覆われてもよく、可能であれば、ワイパブレードはまた、フロントハッチの後縁の下に配置されてもよく、これは、車両全体の美的魅力および空力特性を改善するのに有益である。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、第2のセグメントに対して、第1のウェブおよび第2のウェブは、車両のワイプされるべきフロントガラスに向かって下方に偏向される。好ましくは、第1のウェブおよび第2のウェブが下方に偏向される角度は、フロントガラスが取り付けられる傾斜角度に対応する。これは、ノズルおよびウェブが取付け位置で車両内の運転者の見る方向の観察視線において作りだす障害をできるだけ少なくし、それにより運転の安全性をさらに確保する。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、第1の導管を保持するための保持アームが、ワイパアーム端部材上に一体的に形成される。これにより、追加の構成要素を配置する必要なく導管を所望の位置に保つことが可能になり、それにより、ワイパの動作中に導管が揺れたり緩んだりするのを防止する。例えば、保持アームは、ワイパアーム端部材の両側に対で配置されてもよく、対応する自由端は、フロントガラスを指して離間され、導管は、保持アームおよびワイパアーム端部材によって形成された収容空間内に弾性変形され得る。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、ワイパブレードの、第1の長手側に面する第2の長手側に向かって異なる方向に洗浄流体を噴霧することができるスパウトを備える第2のノズルが提供される。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、第1のノズルは、洗浄流体を異なる方向に噴霧することができるスパウトを備える。特に、上述した2つのノズルが組み合わされた場合、ワイパアームが外向き揺動方向および戻り方向に揺動するときに洗浄流体を別々に噴霧することができるため、より良好な洗浄効果を達成することが可能になる。
【0023】
第1のノズルおよび第2のノズルは、洗浄流体を異なる方向に噴霧することができるため、洗浄流体は、良好なワイピング効果が保証されつつ、少量で所望の位置に噴霧され得る。
【0024】
本発明の別の態様によれば、上述のワイパを備える車両が提案される。
【0025】
本発明は、添付の図面によって以下にさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明によるワイパの実施形態1を概略的に示す斜視図である。
図2】フロントガラス上でのワイパの揺動の概略図である。
図3図1に示すワイパの上面図である。
図4図3に示すワイパの部分拡大図である。
図5】本発明によるワイパのワイパブレードの説明図である。
図6】本発明によるワイパのワイパアームの底面図である。
図7図6に示すワイパアームのセグメントの部分拡大図である。
図8図6に示すワイパアームの別のセグメントの部分拡大図である。
図9図4の線E-Eに沿った断面図である。
図10図4の線F-Fに沿った断面図である。
図11図7の線G-Gに沿った断面図である。
図12】ワイパのノズルおよびワイパアームの分解図である。
図13】本発明によるワイパを概略的に示す別の斜視図である。
図14】フロントガラスに対する本発明によるワイパを概略的に示す取付図である。
図15】ワイパの第2のノズルおよびワイパアームを概略的に示す分解図である。
図16】第2のノズルの噴霧方向を概略的に示す図である。
図17】本発明によるワイパの実施形態2の概略図である。
図18】本発明によるワイパの実施形態3の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の諸実施形態について以下に明示的に説明する。当業者なら理解すべきであるように、記載された実施形態は、本発明の概念から逸脱することなく様々な方法で修正することができる。したがって、添付の図面および説明は、本質的に例証的かつ非限定的である。以下のテキストでは、同一の図面参照ラベルは、一般に、機能的に同一または類似の要素を示す。
【0028】
図1は、固定端から離れた側から見た本発明によるワイパ1の概略図を示し、固定端は、ワイパの駆動機構、例えばモータの駆動部(例えば、出力シャフト)に接続されている。ワイパ1はワイパアーム2およびワイパブレード60を備え、ワイパアームおよびワイパブレードは共に、長手方向に延びる長手形状を有し、フロントガラスGをワイプするための既知の方法で互いに着脱可能に接続され、必要に応じて交換され得る。
【0029】
ワイパ1は、洗浄流体をフロントガラスGに噴霧するための洗浄アセンブリをさらに備え、洗浄アセンブリは、ノズルと洗浄流体を案内するために使用される導管とを備え、ノズルは、ワイパアーム2の関連構成要素上に取り付けられ、導管は、流体をワイパアーム2の長手延長方向に案内する。
【0030】
図1に示すワイパ1の動作に関しては、図2を参照されたい。図2は、2つのワイパ1がフロントガラスGに車両の横方向に沿って同じ方向に配置されることを例示的に示す。フロントガラスGに配置されるワイパ1の数は、ワイプされるべきフロントガラスGのサイズに基づいて増減され得ることに留意すべきである。もちろん、ワイパ1は、フロントガラスGと対向して配置されてもよい。
【0031】
各ワイパ1は、フロントガラスG上で外向き揺動方向Bおよび戻り方向Zに往復揺動し、それにより、戻り一時停止位置Iおよび外向き揺動一時停止位置IIを占有することができ、したがって、各ワイパ1は、2つの一時停止位置の間のワイピング領域A1およびA2をそれぞれワイプする。複数のワイパが配置される場合、対応するワイピング領域が重複領域を有し得ることは明らかである。もちろん、ワイパ1のリセット位置、すなわち、ワイパが駆動される前に占有される位置は、戻り一時停止位置の下にあってもよく、したがって、車両の正面から見たときに、ワイパアセンブリは車両のフードによって覆われ、これは、車両が走行しておりかつワイパが動作する必要がないときにワイパに作用する風の抵抗を低減するのに有益である。
【0032】
説明を簡単にするために、ワイパ1およびその構成要素について、図1に印がつけられているように、フロントガラスGに面する側は下側Dと呼ばれ、フロントガラスGから離れる方向を向いている側は上側Uと呼ばれ、戻り一時停止位置Iに面し、戻り方向Zに対応する側は戻り側Rと呼ばれ、外向き揺動一時停止位置IIに面し、外向き揺動方向Bに対応する側は外向き揺動側Oと呼ばれる。
【0033】
ワイパアーム2は、一端部10Aで、すなわち上述の固定端で、ワイパアームの駆動機構の出力部に接続されたワイパアームホルダ10であって、駆動機構が、ワイパアーム2を、外向き揺動方向Bおよび戻り方向Zに往復揺動するように駆動するために、例えばモータであるか、または少なくともモータを備える、ワイパアームホルダ10と、ワイパアームホルダ10の他端10Bと回動可能に接続され、例えば枢動可能に接続され、ワイパアームの長手方向中間部がその上に形成される、延長アーム20と、ワイパブレード60を保持するための、ワイパアーム2の、ワイパアームホルダ10とは反対側の他方の側に配置されたワイパアーム端部材40と、を備える。ワイパブレード60は、ブレード保持部61およびブレードラバーストリップ63を備える。ワイパブレード60は、ワイパ保持部61の接続部62によってワイパアーム2のワイパアーム端部材40の自由端に保持され、ブレード保持部61はブレードラバーストリップ63を保持する。
【0034】
ワイパアームホルダ10は、通常、アルミニウムまたはアルミニウム合金からダイキャストで製造される。ワイパアームホルダ10の固定側の端部10Aには、駆動機構(図示せず)のシャフト用の筒穴11が設けられ、駆動機構の出力部として機能するシャフトは、筒穴11内に、相対的に回転不可能になるように固定され、したがって、駆動機構はシャフトを介してワイパアームに駆動運動を伝達し、それにより、ワイパアームは、上述の2つの一時停止位置の間で往復して揺動することができる。
【0035】
図1図3、および、図7から明らかなように、ワイパアームホルダ10は、端部10Aとは反対側の他端10Bにおいてピボット16を介して延長アーム20と回動可能に接続される。ピボット16は、ワイパアーム2の長手延長方向に対して横方向にワイパアームホルダ10および延長アーム20を挿通する。
【0036】
ワイパアームホルダ10内には、導管用のチャネル(図示せず)がさらに設けられる。チャネルは、長手方向に延びる、すなわち、端部10Aに面する一端から他端10Bまで延び、そして延長アーム20まで延びると考えることもでき、したがって、導管ユニット70は延長アーム20内に導入することができる。
【0037】
カバー13は、ワイパアームホルダ10の上側に配置される。例えば、カバー13は、一端で、ワイパアームホルダおよび延長アームの枢動位置に回動可能に配置され、側壁には、例えば、リブおよびフックの形を取る位置制限構造が設けられる。カバー13は、ワイパアームホルダおよび導管を覆うことができる。必要に応じて、カバー13は、筒穴11内の出力シャフトを覆うように筒穴11の上方に延びることができる。
【0038】
延長アーム20は細長い片と見なされてもよく、細長い片は、例えばシートメタル部材である。延長アーム20は、実質的にその長手方向延長長さ全体にわたってU字形断面を有し、U字形状の開口部は下側Dに面する。
【0039】
したがって、延長アーム20は、上壁部21Aならびに上壁部の両側の側壁21Bおよび21Cを備えることができる。取付け位置では、2つの側壁はそれぞれ、上壁部21Aの縁部からフロントガラスGに面する側に向かって延びる。
【0040】
上壁部21Aの形状は、車両が走行しているときに延長アームに作用する風の負荷を低減するために空気力学に従って設計されるべきである。
【0041】
延長アーム20の開いた下側には、セグメントの少なくとも一部分に下カバー30を装備することができる。
【0042】
ワイパアームホルダ10と延長アーム20との間の接合部において、ワイパアームホルダ10の他端10Bは、図7に示すように、延長アーム20の側壁21Bの内壁と側壁21Cの内壁との間に配置される。ワイパアームホルダ10と延長アーム20とを接続する上述のピボット16の両端は、ピボット16の両端の外径が延長アームの側壁の穿孔(図示せず)の内径よりも大きくなるような形で側壁21B、21Cの外壁に押し付けられ、それにより延長アーム20に対するワイパアームホルダ10の回動を実現することができる。
【0043】
延長アーム20内には、延長アーム20をフロントガラスの方向に偏向させるように延長アームに予荷重を加えるためのばね要素23が配置され、したがって、ワイパブレード60のラバーストリップ63はフロントガラスに突き当たる。ばね要素23の第1の端部23Aは、延長アームまたは延長アームに固定して接続された部材において保持され、ばね要素の第2の端部23Bはワイパアームホルダに接続され、ばね要素23が取り付けられた状態では、ばね要素は元の状態に対して長くされ、それによって予圧を加える。この目的のために、例えば、延長アーム20の一方の側壁21Cの縁部上には、他方の側壁21Bに向かって突出するウェブ22Aが配置され、このウェブには、ばね要素23の第1の端部23Aが掛けられる開口部22Bが設けられる。ワイパアームホルダ10の他端10Bには、延長アーム20の側壁21Bの内壁と側壁21Cの内壁との間にボルトシャフト17が配置され、ばね要素23の第2の端部23Bは、C字形部材24を介してボルトシャフト17上に引っ掛けられる。
【0044】
ボルトシャフト17は別途提供され、次いで他端10Bに取り付けられてもよい。あるいは、ボルトシャフト17は、他端10Bに一体的に形成されてもよい。C字形部材24の開放側は、延長アーム20の上壁部21Aに面する。
【0045】
ばね要素23が適切に取り付けられた状態では、ワイパアームホルダ10の他端10Bは、ばね要素の作用下で、その側面が延長アーム20の上壁部21Aに面している状態で延長アーム20に突き当たり、それによってワイパアームホルダ10および延長アーム20の初期位置を制限する。もちろん、他の制限解決策も実現可能である。他端10Bは、ワイパアームホルダ10の幅方向に第1の部分10B1および第2の部分10B2に分割可能であり、第1の部分10B1の前端部はU字形である。したがって、例えば、ワイパブレードを交換するために延長アームがピボット16を中心に図7の描画面内に回動させられるとき、すなわち、延長アームがフロントガラスから離れる向きに回動するように回動方向が図7の描画面の内側を指すとき、C字形部材24は、第1の部分10B1の前端部と接触することが妨げられる。換言すれば、設けられたばね要素は、ワイパアームホルダ10および延長アーム20の所定の方向への相対移動を妨げるべきではない。第2の部分10B2上には、導管用のチャネルの一部が形成される、換言すれば、導管は、第2の部分10B2を通って延長アームに入る。
【0046】
延長アーム20は、延長アームの他端部20Bにおいて、ワイパアーム端部材40に固定して接続される。例えば、延長アーム20は、図8に示すように、端部20Bにおいてワイパアーム端部材40の第1のセグメント41を少なくとも部分的に取り囲む。ワイパアーム端部材40について以下にさらに説明する。
【0047】
さらに、図6、とりわけ延長アーム20から特に明らかなように、ばね要素23は、延長アーム20の、ワイパアームホルダ10に面する側の部分セグメントを占めており、延長アーム20は、その全長方向に徐々に減少する幅を有する。
【0048】
ワイパアーム端部材40は、シートメタル部材であってもよい。特に、ワイパアーム端部材40はジグザグ形状を有し、したがって、基本的にクランク形状の細長い部材と見なすことができる。ワイパアーム端部材40は、延長アーム20と接続するための第1のセグメント41と、ワイパブレード60を保持するための第2のセグメント43と、第1のセグメント41と第2のセグメント43との間に配置された中間セグメント42と、を備える。第1のセグメント41および第2のセグメント43は、第2のセグメント43が外向き揺動方向Bに関して第1のセグメント41の前に配置されるように、ワイパアーム2の延長方向を横切る方向に互い違いに配置される。
【0049】
図示の例では、第2のセグメント43はU字形フックの形を取る。しかしながら、第2のセグメント43は、以下に限定されるものではないが、J字形フック、N字形フック、E字形フック、バヨネットチャック、内部ロックチャック、およびサイドロックチャックを含む他の形を取ることもできる。ワイパブレードの対応する接続部分は、対応する取付けセグメントと一致する構造を有する。
【0050】
ワイパ1のノズルは、ワイパアーム2に取り付けられる。与えられた例では、延長アーム20およびワイパアーム端部材40にそれぞれ取り付けられた2つのノズル50および80が示されており(図3参照)、第1のノズル50はワイパブレードに対してその外向き揺動側に配置され、第2のノズル80は戻り側に配置され、第1のノズル50および第2のノズル80はそれぞれ、ワイパブレードが外向き揺動方向Bおよび戻り方向Zに揺動するときに、洗浄流体、例えばガラス洗浄流体をワイパブレードの戻り側および外向き揺動側に向けてフロントガラス上に噴霧するために使用される。第1のノズル50には第1の導管71が装備され、第2のノズルには第2の導管72が装備され、第1の導管71および第2の導管72はワイパアーム2においてワイパアームの方向に保持され、導管の長さはノズルの取付け位置に応じて設定される。
【0051】
第1のノズル50は、スパウトを装備した本体51、ならびに本体51から突出する導管継手52およびノズル保持部53を備える。例えば、導管継手52およびノズル保持部53は、本体51と90°の角度を成すことができる。もちろん、他の角度も実現可能である。
【0052】
本体51は、スパウト、好ましくは複数のスパウトを備える。例えば、第1のノズル50は、ワイパブレードの一端に向けて流体を噴霧するための第1のスパウト51Aと、フロントガラスGに向けて流体を噴霧するための第2のスパウト51Bと、ワイパブレードの反対端に向けて流体を噴霧するための第3のスパウト56Cと、を備える。好ましくは、第1のノズル50の対応するスパウトの流体噴霧方向は調整可能である。
【0053】
洗浄流体を加圧下で第1のノズル50まで運ぶ第1の導管71の端部71Bは、第1のノズル50の導管継手52に、これらが緩まないように密封接続される。この目的のために、特に、導管継手52の前端部は円錐台の形状である。
【0054】
ノズル保持部53はソケットの形を取ることができる。
【0055】
図12から特に明らかなように、導管継手52およびノズル保持部53は、向きが同じであり、ワイパアームの長手方向に並んで配置される。
【0056】
第1のノズル50のこの構造により、導管継手52内に形成された流体流路と本体51内に形成された流体流路とが互いに直接流通することができ、これは、中間流路があるときに使用されるプラグを必要としないので、射出成形による第1のノズルの製造に特に有利である。
【0057】
第1のノズル50をワイパアーム2に、特にワイパアーム端部材40の外向き揺動側に保持するために、ワイパアーム端部材40は、外向き揺動側に突出する第1のウェブ44Aおよび第2の44Bを備え、両ウェブは互いにある距離を置いて並んで配置され、第1のウェブ44Aはノズル保持部53を保持するために使用され、導管継手52は第2のウェブ44Bの下に配置される。本明細書では、第1のウェブ44Aおよび第2のウェブ44Bは、ワイパアームの長手延長方向を横切る方向に突出していると見なすことができる。
【0058】
好ましくは、第1のウェブ44Aおよび第2のウェブ44Bは、図12から特に明らかなように、ワイパアーム端部材40の中間セグメント42に配置される。
【0059】
したがって、ワイパブレード60は、外向き揺動方向Bに対応するワイパアーム2の外向き揺動側にあると見なすことができ、第1のノズル50は、外向き揺動方向Bに対応するワイパブレード60の外向き揺動側に配置されるので、特にワイパのリセット位置では、ワイパアーム2は、フロントガラスの取付け位置の根元にできるだけ低く配置することができ、それにより、車両全体の美的魅力および空力特性の改善が可能になる。
【0060】
第1のウェブ44Aおよび第2のウェブ44Bは、互いにある距離を置いて配置される。換言すれば、両ウェブの間には切欠き44Cが残される。第1のノズル50が第1のウェブ44Aに、図12に示す方向Iに挿入された後、切欠き44Cは、ノズル保持部53の側面によって完全にはふさがれない。したがって、車両が走行しているとき、完全にはふさがれていない切欠きは、空気が流れることができるチャネルを形成し、それによってこの領域に作用する空気流の負荷を低減することができる。
【0061】
図4および図8は、第1のノズル50がワイパアーム端部材に適切に取り付けられた状態の異なる説明図を示す。第1のノズル50と接続するための第1の導管71の端部71Bは、ワイパアーム端部材40とブレード保持部61との間に、ワイパブレード60の外向き揺動側まで延びており、特に、第2のウェブ44Bの下で第1のノズル50の導管継手52に接続されることは明らかである。
【0062】
第1のウェブ44Aと第1のノズル50のノズル保持部53との間の接続の一例が図9の断面図に示されている。ソケットとして構成されたノズル保持部53には、フロントガラスに面する側の壁部に貫通孔54が設けられる。好ましくは、ノズル保持部53の開放側はテーパ開口部55である。第1のウェブ44A上には出っ張り48が形成される。適切に組み立てられると、出っ張り48は貫通孔54内にぴったり落ち、その結果、ノズルは第1のウェブ44A上に保持される。貫通孔54の数および出っ張り48の数は、必要に応じて設定され得る。もちろん、ボンド接着など、第1のウェブ44Aをノズル保持部53に接続するための他の方法も実現可能である。
【0063】
好ましくは、第1のノズル50のノズル保持部53の第1のウェブ44Aの少なくとも一部のセグメントが、第2のウェブ44Aに対して垂直方向に互い違いに配置され得る、特に、互い違いの間隔は、挿入されたノズル保持部の上部が第2のウェブの上部と同一平面になるように設定され、それによって設置後に良好な視覚効果を達成する。
【0064】
好ましくは、第1のウェブ44Aおよび第2のウェブ44Bが設けられるワイパアーム端部材40のセグメントは、移行セグメント46を介して、第2のセグメント43を形成するU字形フックにねじれた形で移行する。換言すれば、2つのウェブのどちらもU字形フックと空間的に平行ではない。U字形フックは、フロントガラスGに略平行であると見なされ、それにより、ワイパブレードをフロントガラスGに対して垂直に保つことができ、第1のウェブ44Aおよび第2のウェブ44Bは、フロントガラスGと角度αを成す。
【0065】
具体的には、第2のセグメント43に対して、第1のウェブ44Aおよび第2のウェブ44Bは、車両のワイプされるべきフロントガラスに向かって下方に偏向される。好ましくは、第1のウェブおよび第2のウェブが下方に偏向される角度は、図13および図14に示すように、フロントガラスが取り付けられる傾斜角度βに対応する。したがって、ワイパが車両のフロントガラス上に取り付けられたとき、車両内の運転者の観察方向Vに沿って見ると、ノズルおよびウェブは、観察視線において作りだす障害をできるだけ少なくし、これにより、ワイパによる運転者への干渉を低減することが可能になり、それにより運転の安全性を保証する。
【0066】
ワイパアーム端部材40上には、第1の導管71用の保持アーム45が一体的に形成されてもよい。保持アーム45は、ワイパアーム端部材の両側に対で配置されてもよく、対応する自由端は、フロントガラスを指して離間され、図8および図10に示すように、導管が保持アームおよびワイパアーム端部材によって形成された収容空間内に弾性変形され得る。
【0067】
フロントガラスGに垂直な方向のワイパのサイズを最小にするために、ワイパブレード60のブレード保持部61の上側に凹部64が設けられてもよく、第1の導管71は、図4および図5に示すように、凹部64を通過し、ワイパブレード60の外向き揺動側まで延びる。
【0068】
図3は、戻り方向に対応するワイパブレードの戻り側に取り付けられた第2のノズル80を示す。第2のノズル80は、ワイパアームの外向き揺動側の側壁21B上に取り付けられていることが示されているが、第2のノズル80は、第2のノズルからの噴射流体が遮断されない限り、側壁21C上にまたは他の適切な位置に取り付けられてもよい。第2のノズル80は、インタフェース84を介して第2の導管72の端部72Bに接続される。
【0069】
好ましくは、第2のノズル80は、図3に示すように、ワイパアーム2の固定端に面するワイパブレード60の端部60Aの隣に位置するワイパアーム2の場所に取り付けられる。
【0070】
第2のノズル80には複数のスパウトが設けられてもよく、スパウトは異なる方向に向けられてもよい。与えられた例では、3つのスパウト81A、81B、および81Cが示されており、スパウト81Aは、フロントガラスGに対して垂直に向けられるが、スパウト81Bおよび81Cは、フロントガラスに対して異なる角度で斜めに向けられる。もちろん、他の数のスパウトも実現可能である。
【0071】
第2のノズル80のスパウトから出る洗浄流体の噴霧方向は図16に示されている。第2のノズル80は、第1のノズル50とは異なり、洗浄流体を全体として一方向に噴霧する、すなわち、洗浄流体を、ワイパブレード60の一端部60Aから他端60Bへ指す主方向に噴霧することは明らかである。この場合、ワイパが外向き揺動一時停止位置IIから戻り一時停止位置Iへ揺動するとき、特に車両が走行しているとき、噴霧された洗浄流体は、正面からの風の作用下でブレードラバーストリップ63に沿って他端60Bの方へ案内され、その結果、洗浄流体は、ブレードラバーストリップ63の全長を覆って良好なワイピング効果を達成することができる。
【0072】
好ましくは、第2のノズル80のスパウトのうちの1つが、フロントガラスに対して垂直に向けられ、少なくとも1つのスパウトが、ワイパブレードの他端60Bに向かって斜めに向けられる。
【0073】
図11および図15から明らかなように、第2のノズル80は、延長アーム20の側壁21Bにおいて締め付けられてもよい。この目的のために、第2のノズル80には、フック83を有するバヨネット82が設けられてもよく、バヨネット82は、側壁21Bの厚さに一致する幅を有する。側壁21Bには、切欠き26が前もって形成され、フック83は切欠き26に引っ掛けられる。フック83および切欠き26の数は必要に応じて設定され得る。もちろん、第2のノズル80は、他の方法で延長アームに保持されてもよい。
【0074】
したがって、第1のノズルが第2のノズルと組み合わされると、ワイパが外向き揺動方向および戻り方向に揺動するときに洗浄流体を別々に噴霧することができ、洗浄流体は、良好な洗浄効果を保証しながら、所望の場所に少量で噴霧することもできる。
【0075】
図17は、本発明によるワイパ1’の実施形態2の概略図を示し、ワイパ1’とワイパ1の主な違いは、ワイパアーム2のワイパアーム端部材40の構造である。以下の説明は、相違点のみに関連して行われる。他の部分の詳細については、前述の説明を参照されたい。
【0076】
図17から明らかなように、ワイパアーム端部材40もジグザグ形状である、換言すれば、ワイパアーム端部材40は、延長アーム20と接続するための第1のセグメント41と、ワイパブレード60を保持するための第2のセグメント43と、第1のセグメント41と第2のセグメント43との間に配置された中間セグメント42と、から成り、第1のセグメント41および第2のセグメント43は、ワイパアーム2の長手延長方向を横切る方向に互い違いに配置される。しかしながら、第2のセグメント43が外向き揺動方向Bに関して第1のセグメント41の前に配置される図3とは異なり、図17の第2のセグメント43は、外向き揺動方向Bに関して第1のセグメント41の後に配置される。
【0077】
この場合、互いに離間された第1のノズル50用のウェブは、戻り方向Zに対応する中間セグメント42の長手側に配置される。
【0078】
換言すれば、第1のノズル50は、ワイパアームが戻り方向Zに揺動するときに液体を噴霧するために使用される。
【0079】
第1のノズル50用の導管は、ワイパアームを通り、戻り方向Zに対応するワイパブレードの長手側まで延びる。
【0080】
同様に、ワイパアームが外向き揺動方向Bに揺動するときに液体を噴霧するための第2のノズル(本明細書では図示せず)が設けられてもよい。
【0081】
有利な空力特性を有する他の構造が、ワイパアーム端部材40の他の部分に設けられてもよい。
【0082】
図18は、本発明によるワイパ1’’の実施形態3の概略図を示し、ワイパ1’’とワイパ1の主な違いもまた、ワイパアーム2のワイパアーム端部材40の構造である。以下の説明は、相違点のみに関連して行われる。他の部分の詳細については、前述の説明を参照されたい。
【0083】
図18から分かるように、ノズル50のノズル保持部53を保持するために、ワイパアーム端部材40の中間セグメント42にただ1つのウェブ44Aが設けられる。ウェブ44Aはまた、ワイパブレード60の長手側に向かって突出する。ウェブ44Aは、特に中間セグメント42に階段状に配置される、換言すれば、ウェブ44Aは、ノズル50がワイパアーム端部材40上に取り付けられた後でノズル50のノズル保持部53の上部およびワイパアーム端部材40の上部が滑らかな移行部を形成するように中間セグメント42に対して変位させられ、それにより、審美的に魅力的な形状を形成するとともに、空力特性を改善する。
【0084】
ノズル50用の導管の端部71Bは、やはりノズル50の導管継手52に接続されるが、この導管継手52によって覆われない。
【0085】
本発明では、洗浄アセンブリの、上述のような第1のノズル50および第2のノズル80が代替的に使用されてもよく、両ノズル用の導管には、本明細書に示されていない洗浄流体貯蔵容器に接続するためのアダプタ71Aおよび72Aがそれぞれ設けられることに留意されたい。
【0086】
ワイパアーム端部材および延長アームは、間接的に、すなわち別の構成要素を介して接続されてもよい。
【0087】
本発明は、上記の構造に限定されるものではなく、他の様々な変形形態も使用することができる。本発明は、限られた数の実施形態を用いて既に説明されているが、当業者なら、本開示から利益を得て、本明細書に開示される本発明の保護の範囲から逸脱しない他の実施形態を設計できるであろう。したがって、本発明の保護の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18