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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】原子炉圧力容器の解体方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/30 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
G21F9/30 T
G21F9/30 535C
G21F9/30 531H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023115592
(22)【出願日】2023-07-14
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390014568
【氏名又は名称】東芝プラントシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】弁理士法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西崎 雅則
(72)【発明者】
【氏名】吉田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】進藤 大和
(72)【発明者】
【氏名】富田 文夫
(72)【発明者】
【氏名】加茂 勇樹
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-066999(JP,A)
【文献】特開平08-062368(JP,A)
【文献】特開2006-038730(JP,A)
【文献】特開2019-168457(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0336084(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続配管が接続されるノズルを有する原子炉圧力容器を熱遮蔽壁で周囲を覆われた状態で解体する原子炉圧力容器の解体方法であって、
前記熱遮蔽壁の外周に沿って前記接続配管を切断する工程と、
前記原子炉圧力容器を運搬可能な大きさの前記接続配管の切り残し部を有していない切断片と前記接続配管の切り残し部を有する切断片を形成する工程と、
前記接続配管の切り残し部を有していない切断片を原子炉格納容器から撤去する第1撤去工程と、
前記接続配管の切り残し部を有する切断片を切り残し部を有していない前記切断片を撤去した後の空隙方向に移動させることにより、前記切り残し部を前記熱遮蔽壁から引き抜く工程と、
前記接続配管の切り残し部を有する前記切断片を前記原子炉格納容器から撤去する第2撤去工程と、
を含む原子炉圧力容器の解体方法。
【請求項2】
前記原子炉圧力容器は、円筒形状であり、
前記原子炉圧力容器を輪切りにした周方向における前記第1撤去工程で撤去する切断片の長さは、前記原子炉圧力容器から突出する前記切り残し部の長さよりも長い、
請求項1に記載の原子炉圧力容器の解体方法。
【請求項3】
前記原子炉圧力容器および前記ノズルは、保温材で覆われており、
前記切断片を形成する工程では、前記保温材を切断せず、前記原子炉圧力容器のみを切断し、
前記第1撤去工程および前記第2撤去工程では、前記保温材を前記原子炉圧力容器および前記接続配管の切り残し部から分離する工程を含む、
請求項1または2に記載の原子炉圧力容器の解体方法。
【請求項4】
前記熱遮蔽壁で周囲を覆われた状態で前記保温材を切断する工程と、
切断した前記保温材を撤去する工程と、
を含む、
請求項3に記載の原子炉圧力容器の解体方法。
【請求項5】
前記保温材を撤去する工程は、前記熱遮蔽壁で周囲を覆われた状態で、前記第2撤去工程の後に行われる、
請求項4に記載の原子炉圧力容器の解体方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉圧力容器の解体方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所の廃止措置において、高い放射線量を有する原子炉圧力容器は、遠隔操作により解体される。一般的には、円筒形状の原子炉圧力容器を運搬可能な大きさに輪切りにし、クレーンで吊り上げて撤去する解体方法が採用されている。
【0003】
原子炉圧力容器の周囲には、γ線の遮蔽壁である熱遮蔽壁が設けられている。原子炉圧力容器には、配管が接続される複数のノズルが熱遮蔽壁を貫通した状態で設けられている。原子炉圧力容器内部の構造物を解体する際、ノズルに接続された配管は、熱遮蔽壁の外周に沿って切断され、閉止される。そのため、原子炉圧力容器の周囲には、切り残された配管が熱遮蔽壁に貫通した状態で残る。この状態では、輪切りにされた原子炉圧力容器を遠隔操作によりクレーンで吊り上げて撤去する際に、切り残された配管が熱遮蔽壁に引っかかる。そのため、切り残された配管が熱遮蔽壁に引っかからないように、原子炉圧力容器から切り残された配管とノズル部分をくり抜いて撤去した上で、原子炉圧力容器を解体する工法が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-311195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、切り残された配管とノズル部分を原子炉圧力容器から撤去する場合は、熱遮蔽壁を介さずに容器近傍で作業することとなるため、作業者の被ばく量が増大するという問題がある。
【0006】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、熱遮蔽壁で覆われた状態で原子炉圧力容器を解体することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための実施形態に係る原子炉圧力容器の解体方法は、接続配管が接続されるノズルを有する原子炉圧力容器を熱遮蔽壁で周囲を覆われた状態で解体する原子炉圧力容器の解体方法である。実施形態に係る原子炉圧力容器の解体方法は、熱遮蔽壁の外周に沿って接続配管を切断する工程と、原子炉圧力容器を運搬可能な大きさの接続配管の切り残し部を有していない切断片と接続配管の切り残し部を有する切断片を形成する工程と、接続配管の切り残し部を有していない切断片を原子炉格納容器から撤去する第1撤去工程と、接続配管の切り残し部を有する切断片を切り残し部を有していない切断片を撤去した後の空隙方向に移動させることにより、切り残し部を熱遮蔽壁から引き抜く工程と、接続配管の切り残し部を有する切断片を原子炉格納容器から撤去する第2撤去工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る原子炉格納容器の構成図である。
図2】実施形態に係る原子炉圧力容器の部分拡大図である。
図3】実施形態に係る原子炉圧力容器の断面図である。
図4】実施形態に係る原子炉圧力容器の解体方法を示すフローチャートである。
図5】実施形態に係る原子炉圧力容器の解体方法について説明するための図である。
図6】実施形態に係る原子炉圧力容器の解体方法について説明するための図である。
図7】実施形態に係る原子炉圧力容器の解体方法について説明するための図である。
図8】実施形態に係る原子炉圧力容器の解体方法について説明するための図である。
図9】実施形態に係る原子炉圧力容器の解体方法について説明するための図である。
図10】実施形態に係る原子炉圧力容器の解体方法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る原子炉圧力容器の解体方法について、図を参照して説明する。説明にあたっては、相互に直行するX軸、Y軸、Z軸からなるXYZ座標系を適宜用いる。
【0010】
図1は、本実施形態に係る原子炉圧力容器(以下、RPV)10を格納する原子炉格納容器2の構成図である。図2は、図1において破線で囲われた部分の拡大図である。RPV10は、周囲を熱遮蔽壁(以下、RSW)30およびRPV保温材40で覆われ、原子炉格納容器2内に格納された状態で、原子炉建屋1に設置されている。
【0011】
RPV10は、核燃料を収容するために用いる鉄製の容器である。RPV10は、各種の配管(図示略)と接続されるRPVノズル20に接続された複数の接続配管22を周囲に有している。RPV10の+Z側は、上端部15で覆われている。RSW30は、γ線を遮蔽するための壁である。RSW30は、鉄、コンクリート等で形成されている。RPV保温材40は、RPV10から発せられる熱の断熱を目的として設けられている。RPV保温材40は、アルミニウムを含む素材で形成されている。接続配管22は、RPV保温材40に覆われた状態でRSW30を貫通している。
【0012】
RPV10を解体する際、接続配管22は、RSW30の外周に沿って切断される。図3は、図2に示す切断面Kで接続配管22を切断した場合の図1におけるAA断面図である。RPV10の周囲には、RPV10の外周からRSW30の外周までの長さで、接続配管22の切り残し部21が残る。
【0013】
次に、実施形態に係る原子炉圧力容器(RPV)10の解体方法について、図4に示されるフローチャートを参照しながら説明する。RPV10は、クレーン等を遠隔操作することにより解体される。
【0014】
最初に、RSW30の外周に沿って接続配管22を切断する(ステップS11)。図3に示されるように、RPV10の周囲には、RPV保温材40に覆われRSW30を貫通した状態の接続配管22の切り残し部21が残る。
【0015】
次に、RPV10を運搬可能な大きさの切断片に切断する。具体的には、図5に線Bで示されるように、RPV10の側面に切り込みを入れ、切り込みを入れた部分を切断して切断片11を形成する(ステップS12)。この切断片11には、RPVノズル20と接続配管22の切り残し部21が含まれないようにする。RPV10は周囲をRSW30で覆われているので、RPV10の外側からRPV10の側面に切り込みを入れることはできない。ステップS12の作業では、RPV10の+Z側からRPV10の内側に切断機を入れ、内側からRPV10を切断する。RPV10を切断する際、RPV保温材40を切断しないようにする。
【0016】
図6に示されるように、切断片11を除去した後の空隙のX軸方向の長さL1は、RPV10の周囲に残されたRPVノズル20と接続配管22の切り残し部21のX軸方向の長さL2よりも長く設定される。図5に示すように、切断片11は、円柱状のRPV10の中心を通る対向する位置で2片切断する。図5に示される長さL3は、運搬可能な大きさと重量を考慮して決める。
【0017】
次に、RPVノズル20と接続配管22の切り残し部21を有していない切断片11を原子炉格納容器2から撤去する(ステップS13)。具体的には、図7に示されるように、クレーンで切断片11を+Z方向に持ち上げる。RPV10の周囲を覆うRPV保温材40は、一体に繋がっている。したがって、切断片11を吊り上げると、切断片11はRPV保温材40から分離される。切断片11は、原子炉格納容器2から所定の場所に運搬され、所定の処分用容器に収納される。RPVノズル20と接続配管22の切り残し部21を有していない切断片11を撤去する工程を第1撤去工程とする。図6に示すように、切断片11を除去した後の空隙のX軸方向の長さL1は、切断片の長さである。RPV10の周囲に残されたRPVノズル20と接続配管22の切り残し部21のX軸方向の長さL2は、原子炉圧力容器から突出する切り残し部の長さである。したがって、第1撤去工程で撤去する切断片の長さは、原子炉圧力容器から突出する切り残し部の長さよりも長い。
【0018】
次に、図8に線Cで示されるように、RPV10の側面に切り込みを入れ、切り込みを入れた部分を切断して切断片12を形成する(ステップS14)。この切断片12は、RPVノズル20と接続配管22の切り残し部21を含んでいる。ステップS14の作業では、RPV10の+Z側からRPV10の内側に切断機を入れ、内側からRPV10を切断する。RPV10を切断する際、RPV保温材40を切断しないようにする。
【0019】
次に、切断片11を撤去した後の空隙方向に、RPVノズル20と接続配管22の切り残し部21を有する切断片12を移動させることにより、切り残し部21をRSW30から引き抜く(ステップS15)。具体的には、図9および図10に示されるように、クレーンで切断片12を+X方向に移動させる。切断片11のX軸方向の長さL1は、切断片12に残された接続配管22の切り残し部21のX軸方向の長さL2よりも長い。したがって、切断片12を+X方向に移動させることにより、切り残し部21をRSW30から引き抜くことができる。RPV10の周囲を覆うRPV保温材40は、一体に繋がっている。したがって、切断片12を+X方向に移動させることにより、RPVノズル20と接続配管22の切り残し部21を有する切断片12はRPV保温材40から分離される。
【0020】
次に、RPVノズル20と接続配管22の切り残し部21を有している切断片12を原子炉格納容器2から撤去する(ステップS16)。具体的には、図9に示されるように、クレーンで切断片12を+Z方向に持ち上げる。切断片12は、原子炉格納容器2から所定の場所に運搬され、所定の格納容器に収納される。RPVノズル20と接続配管22の切り残し部21を有する切断片12を撤去する工程を第2撤去工程とする。
【0021】
次に、ステップS16で撤去した切断片12と対向するRPV10の 部分について、ステップS13からステップS16の作業を行う(ステップS17)。具体的には、切断片12と同様にして、図10に示される切断片13を形成する。クレーンで切断片13を-X方向に移動させることにより、RSW30から接続配管22の切り残し部21を引き抜く。そして、クレーンで切断片13を+Z方向に持ち上げる。切断片13を原子炉格納容器2から所定の場所に運搬し、所定の処分用容器に収納する。
【0022】
以下、ステップS11からステップS17の作業を繰り返すことにより、RPV10を解体する。
【0023】
RPV10を解体した後、RSW30の内側に残されたRPV保温材40を所定の大きさの切断片にして撤去する(ステップS18)。RPV保温材40は、原子炉格納容器2から所定の場所に運搬し、所定の処分用容器に収納される。
【0024】
以上に説明したように、本実施形態に係る原子炉圧力容器の解体方法は、周囲にRPVノズル20と接続配管22の切り残し部21を有していない切断片11を原子炉格納容器2から撤去する第1撤去工程と、周囲にRPVノズル20と接続配管22の切り残し部21を有する切断片12を、切り残し部21を有していない切断片11を撤去した後の空隙方向に移動させることにより、切り残し部21を熱遮蔽壁(RSW)30から引き抜く工程と、切り残し部21を有する切断片12を吊り上げて原子炉格納容器2から撤去する第2撤去工程と、を含む。第1撤去工程で撤去する切断片11の図6に示されるX軸方向の長さL1は、切り残し部21のX軸方向の長さL2よりも長いので、切り残し部21を熱遮蔽壁(RSW)30から容易に引き抜くことができる。したがって、熱遮蔽壁(RSW)30でRPV10を覆った状態で、原子炉圧力容器(RPV)10を解体することができる。これにより、作業者の被ばく量を低減することができる。
【0025】
一般的な原子炉圧力容器(RPV)10の解体方法では、RPV10を輪切りして運搬可能な大きさの切断片にする。そして、切断片をクレーンで順次撤去することによりRPV10を解体する。しかし、RPV10の周囲には、RPVノズル20と接続配管22の切り残し部21が残っている。切り残し部21を有する切断片を引き上げようとすると、切り残し部21がRSW30およびRPV保温材40に引っかかり、撤去が出来ない。切り残し部21を先行して撤去する場合、熱遮蔽壁を介さずに容器近傍で作業することとなるため、作業者の被ばく量が増大する。
【0026】
また、本実施形態に係る原子炉圧力容器の解体方法では、RPV保温材40は、原子炉圧力容器10を原子炉格納容器2内から撤去後に解体して撤去される。RPV保温材40は、原子炉圧力容器10と異なる素材で形成されている。原子炉圧力容器10の撤去工程とRPV保温材40の撤去工程とを分けることにより、異なる素材の切断粉が混在することを防止できる。これにより、のちの廃棄物分別工程の作業時間を短縮することができる。
【0027】
なお、上記の説明では、切断片11を撤去後に図8に線Cで示される切り込みを入れて切断片12を形成する場合について説明した。しかし、解体方法をこれに限定する必要はない。例えば、ステップS13とステップS14の順番を入れ替えてもよい。具体的には、RPV10を図5に示される長さL3で輪切りにした後、Z軸方向の切り込みを入れて、2個の切断片11と切断片12と切断片13を形成し、切断片11を撤去後に切断片12と切断片13を撤去してもよい。
【0028】
また、上記の説明では、RPV10を2個の切断片11と切断片12と切断片13の4個の切断片に切断する場合について説明したが、輪切りにしたRPV10を分割する切断片の数を限定する必要はない。例えば、切断片の数は3個、5個、6個等であってもよい。この場合も、RPVノズル20と接続配管22の切り残し部21を有さない切断片を先に撤去し、撤去後の空隙方向にRPVノズル20と接続配管22の切り残し部21を有する切断片を移動させることにより、RPVノズル20と接続配管22の切り残し部21をRSW30から引き抜く。これにより、切り残し部21がRSW30に引っかかることを抑制でき、解体作業時間を短縮することができる。また、原子炉圧力容器(RPV)10を熱遮蔽壁(RSW)30で覆った状態で解体することができるので、作業者の被ばく量を低減することができる。
【0029】
上記の説明では、解体前のRPVノズル20に接続された接続配管22がRSW30を貫通している場合について説明した。しかし、RPVノズル20がRSW30を貫通しており、RSW30の外側でRPVノズル20に接続配管22が接続されている場合もある。この場合、RPV10の周囲にRPVノズル20の切り残し部が残る。また、接続配管22を切断することなく、RPVノズル20から接続配管22を引き抜く場合もある。この場合も、短いRPVノズル20がRPV10の周囲に残る。従来の解体方法では、配管の切り残し部もしくはRPVノズル20がRSW30に引っかかるため、クレーン操作により配管の切り残し部もしくはRPVノズル20をRSW30から引き抜くことが困難である。したがって、RSW30を解体しながらRPV10を解体することになる。もしくは、RPV10の解体時間が長くなる。しかし、実施形態に係る解体方法によれば、クレーン操作により接続配管22の切り残し部もしくはRPVノズル20をRSW30から引き抜くことができるので、RSW30でRPV10の周囲を覆った状態でRPV10を解体することができる。また、原子炉圧力容器の解体作業時間を短くすることができる。
【0030】
また、上記の説明では、RSW30を解体しない状態で、RPV10を撤去した後にRPV保温材40を撤去する場合について説明した。RSW30とRPV保温材40との間の隙間が大きい場合、その隙間に切断機を挿入して、RSW30を解体しない状態で、RPV保温材40を切断して撤去し、その後、RPV10を撤去してもよい。また、RSW30を解体しない状態で、RPV10とRPV保温材40を交互に解体して撤去してもよい。ただし、RPV10の切断片とRPV保温材40の切断片が混ざらないように留意する。
【0031】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施しうるものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
1…原子炉建屋
2…原子炉格納容器
10…原子炉圧力容器(RPV)
11,12,13…切断片
15…上端部
20…RPVノズル
21…切り残し部
22…接続配管
30…熱遮蔽壁(RSW)
40…RPV保温材
【要約】
【課題】熱遮蔽壁で覆われた状態で原子炉圧力容器を解体する。
【解決手段】実施形態に係る原子炉圧力容器の解体方法は、接続配管が接続されるノズルを有する原子炉圧力容器を熱遮蔽壁で周囲を覆われた状態で解体する原子炉圧力容器の解体方法である。実施形態に係る原子炉圧力容器の解体方法は、熱遮蔽壁の外周に沿って接続配管を切断する工程と、原子炉圧力容器を運搬可能な大きさの接続配管の切り残し部を有していない切断片と接続配管の切り残し部を有する切断片を形成する工程と、接続配管の切り残し部を有していない切断片を原子炉格納容器から撤去する第1撤去工程と、接続配管の切り残し部を有する切断片を切り残し部を有していない切断片を撤去した後の空隙方向に移動させることにより、切り残し部を熱遮蔽壁から引き抜く工程と、接続配管の切り残し部を有する切断片を原子炉格納容器から撤去する第2撤去工程と、を含む。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10