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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】太陽電池及び光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20240614BHJP
   H01L 31/0216 20140101ALI20240614BHJP
   H01L 31/068 20120101ALI20240614BHJP
【FI】
H01L31/04 260
H01L31/04 240
H01L31/06 300
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023200782
(22)【出願日】2023-11-28
(62)【分割の表示】P 2023053019の分割
【原出願日】2023-03-29
【審査請求日】2023-12-05
(31)【優先権主張番号】202211587455.9
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】512083920
【氏名又は名称】晶科能源股分有限公司
【氏名又は名称原語表記】JINKO SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1,Jinko Road, Shangrao Economic Development Zone Jiangxi 334100 CN
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】ワウ ショウ
(72)【発明者】
【氏名】楊潔
(72)【発明者】
【氏名】鄭霈霆
(72)【発明者】
【氏名】パー カー
(72)【発明者】
【氏名】陳金金
(72)【発明者】
【氏名】方霊新
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112164728(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112201700(CN,A)
【文献】中国実用新案第211182223(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属パターン領域及び非金属パターン領域を有する第1表面を備える基板と、
前記第1表面の前記金属パターン領域に位置し、かつ、前記基板から離れる方向に沿って積層された第1トンネル層及び第1ドーピング導電層を備える第1パッシベーションコンタクト構造と、
前記基板から離れる方向に沿って積層された第2トンネル層と第2ドーピング導電層を備える第2パッシベーションコンタクト構造と、を含み、
そのうち、前記第2パッシベーションコンタクト構造は、前記第1表面の前記非金属パターン領域に位置する第1部分及び第1パッシベーションコンタクト構造に位置する第2部分を含み、前記第2パッシベーションコンタクト構造の前記第1部分の上面は前記第2パッシベーションコンタクト構造の前記第2部分の上面より前記基板から離れていなく、
前記第1ドーピング導電層のドーピング元素のタイプと前記第2ドーピング導電層のドーピング元素のタイプとは同じであり、且つ前記基板のドーピング元素のタイプと同じであ
前記第1トンネル層の厚さは2nm~5nmである、
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記第1ドーピング導電層のドーピング元素濃度は前記第2ドーピング導電層のドーピング元素濃度以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記第1ドーピング導電層のドーピング曲線の傾きは前記第2ドーピング導電層のドーピング曲線の傾きよりも小さく、前記ドーピング曲線は、ドーピング濃度がドーピング深さによって変化することを示す、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第1ドーピング導電層のドーピング元素濃度は5×1018atoms/cm~1×1021atoms/cmであり、前記第2ドーピング導電層のドーピング元素濃度は5×1018atoms/cm~9×1020atoms/cmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第1ドーピング導電層の厚さは前記第2ドーピング導電層の厚さ以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第1ドーピング導電層の厚さは、5nm~500nmであり、前記第2ドーピング導電層の厚さは1nm~200nmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第1トンネル層の厚さは前記第2トンネル層の厚さ以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第2トンネル層の厚さは0.2nm~10nmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記基板は前記第1表面に対向して設けられる第2表面を含み、
前記第1表面の前記非金属パターン領域における高さは前記第1表面の前記金属パターン領域における高さよりも低く、前記非金属パターン領域における高さおよび前記金属パターン領域における高さは、前記第2表面に対して使われるものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記第1表面の前記非金属パターン領域における高さと前記第1表面の前記金属パターン領域における高さとの差は0.1μm~10μmである、
ことを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記第2パッシベーションコンタクト構造の第1部分の上面は、前記第2パッシベーションコンタクト構造の第2部分の上面よりも低い、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記第2パッシベーションコンタクト構造は、前記第1部分と前記第2部分に隣接する第3部分をさらに含み、前記第1部分が前記第1表面の非金属パターン領域を覆い、前記第2部分が前記第1パッシベーションコンタクト構造の側面と上面を覆い、ここで、前記第3部分が前記第1部分に比べて傾斜している、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記第3部分の前記基板に向かう表面と前記非金属パターン領域の第1表面との挟角は、90°~160°である、
ことを特徴とする請求項12に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記第1パッシベーションコンタクト構造は、前記基板から離れる方向に沿って順次積層された複数のサブ第1パッシベーションコンタクト構造を含み、各前記サブ第1パッシベーションコンタクト構造は、前記基板から離れる方向に沿って順次積層された1つの第1トンネルサブ層及び1つの第1ドーピング導電サブ層を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項15】
前記第2パッシベーションコンタクト構造は、前記基板から離れる方向に沿って順次積層された複数のサブ第2パッシベーションコンタクト構造を含み、各前記サブ第2パッシベーションコンタクト構造は、前記基板から離れる方向に沿って順次積層された1つの第2トンネルサブ層及び1つの第2ドーピング導電サブ層を含む、
ことを特徴とする請求項14に記載の太陽電池。
【請求項16】
前記第2パッシベーションコンタクト構造は、前記基板から離れる方向に沿って順次積層された複数のサブ第2パッシベーションコンタクト構造を含み、各前記サブ第2パッシベーションコンタクト構造は、前記基板から離れる方向に沿って順次積層された1つの第2トンネルサブ層及び1つの第2ドーピング導電サブ層を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項17】
前記第1パッシベーションコンタクト構造は、複数のサブ第1パッシベーションコンタクト構造を含み、各前記サブ第1パッシベーションコンタクト構造は、前記基板から離れる方向に沿って順次積層された1つの第1トンネルサブ層及び1つの第1ドーピング導電サブ層を含み、
前記第2パッシベーションコンタクト構造は複数のサブ第2パッシベーションコンタクト構造を含み、各前記サブ第2パッシベーションコンタクト構造は、前記基板から離れる方向に沿って順次積層された1つの第2トンネルサブ層及び1つの第2ドーピング導電サブ層を含み、
前記複数のサブ第1パッシベーションコンタクト構造と前記複数のサブ第2パッシベーションコンタクト構造とが前記基板から離れる方向に沿って交互に積層されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項18】
前記第1表面の前記金属パターン領域の粗さは、前記第1表面の前記非金属パターン領域の粗さよりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項19】
前記第1ドーピング導電層と電気的に接続される第1電極をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項20】
それぞれが請求項1~19のいずれか1項に記載の太陽電池を複数接続してなる複数の電池ストリングと、
前記複数の電池ストリングの表面を覆うために用いられる封止層と、
前記封止層の前記複数の電池ストリングから離れた表面を覆うために用いられるカバープレートと、を含む、
ことを特徴とする光起電力モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は、太陽電池の技術分野に関し、特に太陽電池及び光起電力モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は良好な光電変換能力を有し、トンネル酸化層パッシベーションコンタクト電池(TOPCON)において、太陽電池中の基板表面のキャリア再結合を抑制しかつ基板に対するパッシベーション性能を高めるために、基板の1つの表面にトンネル酸化層及びドーピング導電層を作製する。そのうち、トンネル酸化層は良好な化学的パッシベーション効果を有し、ドーピング導電層は良好なフィールドパッシベーション効果を有する。また、太陽電池によって発生された光生成キャリアを輸送かつ収集するために、焼結工程を利用して金属パターン領域に塗布された金属ペーストを処理し、金属ペーストをドーピング導電層にバーンスルーして、正面電極を形成し、正面電極がドーピング導電層と電気的に接触され、ドーピング導電層におけるキャリアを収集する。
【0003】
しかしながら、従来の太陽電池には光電変換効率が低いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の実施例には、少なくとも太陽電池の光電変換効率を向上させることに有利である太陽電池および光起電力モジュールが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施例で提供された太陽電池は、金属パターン領域及び非金属パターン領域を有する第1表面を備える基板と、前記第1表面の前記金属パターン領域に位置し、かつ、前記基板から離れる方向に沿って積層された第1トンネル層及び第1ドーピング導電層を備える第1パッシベーションコンタクト構造と、前記基板から離れる方向に沿って積層された第2トンネル層と第2ドーピング導電層を備える第2パッシベーションコンタクト構造と、を含み、そのうち、前記第2パッシベーションコンタクト構造は、前記第1表面の前記非金属パターン領域に位置する第1部分及び第1パッシベーションコンタクト構造に位置する第2部分を含み、前記第2パッシベーションコンタクト構造の前記第1部分の上面は前記第2パッシベーションコンタクト構造の前記第2部分の上面より前記基板から離れていない。
【0006】
また、前記第1ドーピング導電層のドーピング元素濃度は前記第2ドーピング導電層のドーピング元素濃度以上である。
【0007】
また、第1ドーピング導電層のドーピング曲線の傾きは前記第2ドーピング導電層のドーピング曲線の傾きよりも小さく、前記ドーピング曲線は、ドーピング濃度がドーピング深さによって変化することを示す。
【0008】
また、第1ドーピング導電層のドーピング元素濃度は5×1018atoms/cm~1×1021atoms/cmであり、前記第2ドーピング導電層のドーピング元素濃度は5×1018atoms/cm~9×1020atoms/cmである。
【0009】
また、第1ドーピング導電層の厚さは前記第2ドーピング導電層の厚さ以上である。
【0010】
また、第1ドーピング導電層の厚さは、5nm~500nmであり、前記第2ドーピング導電層の厚さは1nm~200nmである。
【0011】
また、第1トンネル層の厚さは前記第2トンネル層の厚さ以下である。
【0012】
また、第1トンネル層の厚さは0.1nm~5nmであり、前記第2トンネル層の厚さは0.2nm~10nmである。
【0013】
また、前記基板は前記第1表面に対向して設けられる第2表面を含み、前記第1表面の前記非金属パターン領域における高さは前記第1表面の前記金属パターン領域における高さよりも低く、前記非金属パターン領域における高さおよび前記金属パターン領域における高さは、前記第2表面に対して使われるものである。
【0014】
また、前記第1表面の前記非金属パターン領域における高さと前記第1表面の前記金属パターン領域における高さとの差は0.1μm~10μmである。
【0015】
また、前記第2パッシベーションコンタクト構造の第1部分の上面は、前記第2パッシベーションコンタクト構造の第2部分の上面よりも低い。
【0016】
また、前記第2パッシベーションコンタクト構造は、前記第1部分と前記第2部分に隣接する第3部分をさらに含み、前記第1部分が前記第1表面の非金属パターン領域を覆い、前記第2部分が前記第1パッシベーションコンタクト構造の側面と上面を覆い、ここで、前記第3部分が前記第1部分に比べて傾斜している。
【0017】
また、第3部分の前記基板に向かう表面と前記非金属パターン領域の第1表面との挟角は、90°~160°である。
【0018】
また、第1パッシベーションコンタクト構造は、前記基板から離れる方向に沿って順次積層された複数のサブ第1パッシベーションコンタクト構造を含み、各前記サブ第1パッシベーションコンタクト構造は、前記基板から離れる方向に沿って順次積層された1つの第1トンネルサブ層及び1つの第1ドーピング導電サブ層を含む。
【0019】
また、第2パッシベーションコンタクト構造は、前記基板から離れる方向に沿って順次積層された複数のサブ第2パッシベーションコンタクト構造を含み、各前記サブ第2パッシベーションコンタクト構造は、前記基板から離れる方向に沿って順次積層された1つの第2トンネルサブ層及び1つの第2ドーピング導電サブ層を含む。
【0020】
また、前記第1パッシベーションコンタクト構造は、複数のサブ第1パッシベーションコンタクト構造を含み、各前記サブ第1パッシベーションコンタクト構造は、前記基板から離れる方向に沿って順次積層された1つの第1トンネルサブ層及び1つの第1ドーピング導電サブ層を含み、前記第2パッシベーションコンタクト構造は複数のサブ第2パッシベーションコンタクト構造を含み、各前記サブ第2パッシベーションコンタクト構造は、前記基板から離れる方向に沿って順次積層された1つの第2トンネルサブ層及び1つの第2ドーピング導電サブ層を含み、前記複数のサブ第1パッシベーションコンタクト構造と前記複数のサブ第2パッシベーションコンタクト構造とが前記基板から離れる方向に沿って交互に積層されている。
【0021】
また、前記第1表面の前記金属パターン領域の粗さは、前記第1表面の前記非金属パターン領域の粗さよりも大きい。
【0022】
また、前記第1ドーピング導電層と電気的に接続される第1電極をさらに含む。
【0023】
それに対応して、本願の実施例では、光起電力モジュールをさらに提供し、当該光起電力モジュールは、それぞれが上記の太陽電池を複数接続してなる複数の電池ストリングと、前記複数の電池ストリングの表面を覆うために用いられる封止層と、前記封止層の前記複数の電池ストリングから離れた表面を覆うために用いられるカバープレートと、を含む。
【発明の効果】
【0024】
本願の実施例で提供される技術案は、少なくとも以下の利点を有する。
【0025】
本願の実施例で提供される技術案では、本願の実施例で提供された太陽電池は、金属パターン領域に第1パッシベーションコンタクト構造と、第1パッシベーションコンタクト構造を覆う第2パッシベーションコンタクト構造とを設けることにより、第1パッシベーションコンタクト構造と第2パッシベーションコンタクト構造が積層された後の厚さが大きくなり、実際に金属電極を形成する過程において、金属電極は第1パッシベーションコンタクト構造と第2パッシベーションコンタクト構造を貫通しにくくなり、金属電極が基板まで貫通する確率を下げる。また、金属電極と第1パッシベーションコンタクト構造及び第2パッシベーションコンタクト構造との接触面積を増やし、接触抵抗を減らし、キャリアに対する金属電極の収集能力を高めるのに役立つ。
【0026】
一方、第2パッシベーションコンタクト構造が非金属パターン領域の第1表面を覆うように設けられることで、第2パッシベーションコンタクト構造は非金属パターン領域の第1表面に対しパッシベーション作用を果たし、非金属パターン領域から金属パターン領域へのキャリアの輸送能力を高める。また、第2パッシベーションコンタクト構造が、第1パッシベーションコンタクト構造の上面と非金属パターン領域の第1表面を同時に覆い、第2パッシベーションコンタクトが連続した膜層となり、第2パッシベーションコンタクト構造の横方向輸送性能を強め、キャリアの輸送能力をさらに高める。また、非金属パターン領域に位置する第2パッシベーションコンタクト構造の上面が金属パターン領域に位置する第2パッシベーションコンタクト構造の上面より高くないように設定されることで、非金属パターン領域の第2パッシベーションコンタクト構造の厚さを小さく保ち、第2パッシベーションコンタクト構造が入射光に対して強い寄生吸光能力を生じさせることを防ぎ、非金属パターン領域の第1表面の入射光に対する吸収利用率を高めるのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0027】
一つ又は複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明され、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、特に断りのない限り、添付の図面における図は比例上の制限を形成しない。
図1図1は、本願の一実施例によって提供された第1の太陽電池の断面構造を示す図である。
図2図2は、本願の一実施例によって提供された太陽電池のドーピング曲線図である。
図3図3は、本願の一実施例によって提供された第2の太陽電池の断面構造を示す図である。
図4図4は、本願の一実施例によって提供された第3の太陽電池の断面構造を示す図である。
図5図5は、本願の一実施例によって提供された第4の太陽電池の断面構造を示す図である。
図6図6は、本願の一実施例によって提供された第5の太陽電池の断面構造を示す図である。
図7図7は、本願の一実施例によって提供された第6の太陽電池の断面構造を示す図である。
図8図8は、本願の一実施例によって提供された第7の太陽電池の断面構造を示す図である。
図9図9は、本願の別の実施例によって提供された光起電力モジュールの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
従来技術からわかるように、従来の太陽電池には光電変換効率が低いという問題がある。
【0029】
分析によると、従来の太陽電池の光電変換効率が低い原因の1つは、金属電極が金属パターン領域のドーピング導電層と電気的に接続される必要があり、焼結工程のプロセスウィンドウを増やすため、金属パターン領域の厚さを大きくすることで、金属電極がドーピング導電層を貫通する確率を下げることができることにあることがわかる。ただし、ドーピング導電層の厚さが大きくなると、入射光に対する寄生吸収能力が強くなり、入射光の利用率を下げ、太陽電池の光電変換性能をさらに高めることができない。
【0030】
本願の実施例には太陽電池が提供され、太陽電池は、金属パターン領域及び非金属パターン領域を有する第1表面を備える基板と、第1表面の金属パターン領域に位置する第1パッシベーションコンタクト構造と、第1表面の非金属パターン領域に位置する第1部分及び第1パッシベーションコンタクト構造に位置する第2部分を含む第2パッシベーションコンタクト構造と、を備え、金属パターン領域に第1パッシベーションコンタクト構造と、第1パッシベーションコンタクト構造を覆う第2パッシベーションコンタクト構造とを設けることにより、第1パッシベーションコンタクト構造と第2パッシベーションコンタクト構造が積層された後の厚さが大きくなり、金属電極は第1パッシベーションコンタクト構造と第2パッシベーションコンタクト構造を貫通しにくくなり、金属電極が基板まで貫通する確率を下げる。一方、第2パッシベーションコンタクト構造が、第1パッシベーションコンタクト構造の上面と非金属パターン領域の第1表面を同時に覆い、第2パッシベーションコンタクトが連続した膜層となり、第2パッシベーションコンタクト構造の横方向輸送性能を強め、非金属パターン領域から金属パターン領域へのキャリアの輸送能力を高め、開放電圧と短絡電流を向上させる。また、非金属パターン領域に位置する第2パッシベーションコンタクト構造の上面が金属パターン領域に位置する第2パッシベーションコンタクト構造の上面より高くないように設定されることで、非金属パターン領域の第2パッシベーションコンタクト構造の厚さを小さく保ち、第2パッシベーションコンタクト構造が入射光に対して強い寄生吸光能力を生じさせることを防ぎ、第1表面の非金属パターン領域の入射光に対する吸収利用率を高めるのに役立つ。
【0031】
以下、本願の各実施例について図面を結合して詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本願をよりよく理解させるために、本願の各実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部及び以下の各実施例に基づく種々の変更や修正がなくても、本願が保護を要求している技術案を実現することができる。
【0032】
図1は、本願の一実施例によって提供された第1の太陽電池の断面構造を示す図である。
【0033】
図1に示すように、太陽電池は、金属パターン領域及び非金属パターン領域を有する第1表面を備える基板100と、第1表面の金属パターン領域に位置し、かつ、基板100から離れる方向に沿って積層された第1トンネル層111及び第1ドーピング導電層112を備える第1パッシベーションコンタクト構造110と、第1パッシベーションコンタクト構造110の上面と第1表面の非金属パターン領域を覆う第2パッシベーションコンタクト構造120であって、非金属パターン領域に位置する第2パッシベーションコンタクト構造120の上面が金属パターン領域に位置する第2パッシベーションコンタクト構造120の上面より高くなく、第2パッシベーションコンタクト構造120は、基板100から離れる方向に沿って積層された第2トンネル層121と第2ドーピング導電層122を備える第2パッシベーションコンタクト構造120と、を含む。
【0034】
第2パッシベーションコンタクト構造120が第1パッシベーションコンタクト構造110の上面と非金属パターン領域の第1表面を同時に覆うように設けられることで、金属パターン領域における第1パッシベーションコンタクト構造110と第2パッシベーションコンタクト構造120が積層された後の厚さは大きくなるだけでなく、実際に金属電極を製造する時に金属電極が基板100まで貫通する確率を下げ、再結合中心の発生を減らし、太陽電池の良好な光電変換性能を確保する。さらに、非金属パターン領域のキャリアは第2パッシベーションコンタクト構造120を介して金属パターン領域に輸送できるようにし、キャリアの収集と横方向輸送性能の向上に役立つ。
【0035】
明らかになるように、本願の実施例では、基板100に近い第1パッシベーションコンタクト構造110を部分的なパッシベーションコンタクト構造にし、基板100から遠く離れる第2パッシベーションコンタクト構造120を第1表面全体に正対して設置する。基板100に近い第1パッシベーションコンタクト構造110が第1表面全面を覆い、基板100から遠く離れる第2パッシベーションコンタクト構造120が金属パターン領域に正対して設置されることと比べて、キャリア輸送性能を確保するとともに、入射光の吸収をさらに高めることができる。
【0036】
基板100に近い第1パッシベーションコンタクト構造110が第1表面全面を覆い、基板100から遠く離れる第2パッシベーションコンタクト構造120が金属パターン領域に正対して設置されると、入射光の寄生吸収を減らすために、上層に設けられる第2ドーピング導電層122の厚さを小さくする必要があり、金属電極の貫通を防ぐために、第1ドーピング導電層112の厚さを大きくする必要があり、これによって、上面が露出する非金属パターン領域の第1パッシベーションコンタクト構造110の入射光に対する寄生吸収能力が高くなってしまい、入射光利用率の向上に不利である。金属電極の貫通を防ぐように上層に位置する第2ドーピング導電層122の厚さを大きくすると、入射光に対する第2ドーピング導電層122の寄生吸収を増やすことを引き起こしてしまう。したがって、この構造によって、第1ドーピング導電層112と第2ドーピング導電層122の厚さを均衡にすることが難しくなり、入射光の利用率とキャリアの輸送能力を同時に高めることができないという問題を招いてしまう。
【0037】
これに対し、本願の実施例では、上層に位置する第2パッシベーションコンタクト構造120が第1パッシベーションコンタクト構造110及び第1表面を同時に覆うようにし、第2ドーピング導電層122の入射光に対する寄生吸収を減らし、第2ドーピング導電層122の厚さを小さく設定することができる一方、金属電極が第1パッシベーションコンタクト構造110及び第2パッシベーションコンタクト構造120を貫通することを防ぐために、基板100に近い第1パッシベーションコンタクト構造110の厚さを大きく設定することができる。第1パッシベーションコンタクト構造110は第2パッシベーションコンタクト構造120によって覆われたため、第1パッシベーションコンタクト構造110の厚さを大きくしても、入射光に対する寄生吸収を増やすことはない。これによって、キャリア輸送性能を確保しながら、入射光の吸収率を高めることができる。
【0038】
つまり、本願の実施例では、金属電極が基板100まで貫通する確率を下げるための第1パッシベーションコンタクト構造110と、入射光に対する寄生吸収を低減するとともにキャリアの横方向輸送の作用を強めるための第2パッシベーションコンタクト構造120とを積層するように設置することで、太陽電池の光電変換性能を全体的に高めることができる。
【0039】
基板100は入射光を受光して光生成キャリアを生成するために用いられ、いくつかの実施例では、基板100はシリコン基板であってもよく、シリコン基板の材料は単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンまたは微結晶シリコンの少なくとも1種であってもよい。いくつかの実施例では、基板100の材料は炭化珪素、有機材料または多成分化合物であってもよい。多成分化合物は、ペロブスカイト、ガリウム砒素、テルル化カドミウム、セレン化銅インジウムなどを含むが、これらに限定されない。
【0040】
いくつかの実施例では、太陽電池はTOPCON(Tunnel Oxide Passivated Contact、トンネル酸化層パッシベーション接触)電池であり、基板100は第1表面に対向して設けられる第2表面を含み、基板100の第1表面と第2表面はいずれも入射光を受光したり光を反射させたりするために用いられる。いくつかの実施例では、基板100内にドーピング元素を備え、ドーピング元素のタイプはN型またはP型であり、N型元素はリン(P)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)またはヒ素(As)などのV族元素であってもよく、P型元素はホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)またはインジウム(In)などのIII族元素であってもよい。例えば、基板100がP型の基板である場合、その内部のドーピング元素のタイプは、P型である。あるいは、基板100がN型の基板である場合、その内部のドーピング元素のタイプは、N型である。
【0041】
第1ドーピング導電層112及び第2ドーピング導電層122はフィールドパッシベーション作用を有し、少数キャリアを界面から脱出させ、少数キャリアの濃度を下げ、基板100の界面におけるキャリア再結合の速度を低くし、それによって太陽電池の開放電圧、短絡電流及びバッキングファクターを大きくし、太陽電池の光電変換性能を改善する。
【0042】
いくつかの実施例では、さらに、第1ドーピング導電層112と電気的に接続される第1電極130を含む。第1電極130は第2パッシベーションコンタクト構造120を貫通して第1ドーピング導電層112と電気的に接触される。基板100に発生した光生成キャリアは基板100から第1ドーピング導電層112および第2ドーピング導電層122に輸送され、さらに第1電極130に輸送される。第1電極130は光生成キャリアの収集に用いられる。第1電極130は金属パターン領域に設けられ、実際の製造過程において、第1ドーピング導電層112と電気的に接触するために、第1電極130は大きな焼結深さを持つ必要がある。金属パターン領域には第1パッシベーションコンタクト構造110と第2パッシベーションコンタクト構造120が設けられているため、第1電極130は第1ドーピング導電層112を貫通して第1トンネル層111または基板100と接触しにくくなり、工程の信頼性と製造された太陽電池の歩留まりを高めている。
【0043】
また、第1電極130が第2パッシベーションコンタクト構造120を貫通して、第1電極130と第2パッシベーションコンタクト構造120及び第1パッシベーションコンタクト構造110との間の接触面積が大きくなるため、第1電極130と第1ドーピング導電層112及び第2ドーピング導電層122との間の金属接触再結合損失を低減しており、さらに第1電極130と第1ドーピング導電層112及び第2ドーピング導電層122との間のキャリア接触再結合を低減することができる。第2ドーピング導電層122および第1ドーピング導電層112はいずれもキャリアを輸送する役割を果たしているため、第1電極130は第1ドーピング導電層112および第2ドーピング導電層122から輸送されたキャリアを同時に収集し、収集されたキャリア数を増やし、短絡電流および太陽電池の光電変換性能を高めることができる。
【0044】
いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層112のドーピング元素のタイプと第2ドーピング導電層122のドーピング元素のタイプとは同じであり、且つ基板100のドーピング元素のタイプと同じであり、これによって、キャリアは基板100から第1ドーピング導電層112および第2ドーピング導電層122にスムーズに輸送されることができる。また、第1電極130と第1ドーピング導電層112および第2ドーピング導電層122との間の金属接触再結合損失を低減し、さらに第1電極130と第1ドーピング導電層112および第2ドーピング導電層122との間のキャリア接触再結合損失を下げ、短絡電流および太陽電池の光電変換性能を高めることができる。
【0045】
いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層112のドーピング元素濃度は第2ドーピング導電層122のドーピング元素濃度以上である。いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層112のドーピング元素濃度と第2ドーピング導電層122のドーピング元素濃度はいずれも基板100のドーピング元素濃度より大きく、これによって、第1ドーピング導電層112および第2ドーピング導電層122は基板100に比べて高濃度ドーピング領域を形成し、この高濃度ドーピング領域が基板100と高低接合を形成し、この高低接合によって、キャリアにバリア効果を生じさせ、基板100におけるキャリアの第1ドーピング導電層112および第2ドーピング導電層122への輸送速度と数量を増やし、第1電極130は効果的にキャリアを収集することができる。
【0046】
いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層112のドーピング元素濃度を第2ドーピング導電層122のドーピング元素濃度よりも大きくすることができる。第1ドーピング導電層112は金属パターン領域に位置し、且つ第1電極130と電気的に接触しており、第1ドーピング導電層112のドーピング元素濃度をより大きく設定することで、キャリアのバリア効果をさらに高めることができ、基板100におけるキャリアのトンネル確率を高め、第1ドーピング導電層112のキャリア濃度を増やし、第1電極130がより多くのキャリアを収集するのに役立つ。
【0047】
第2ドーピング導電層122は非金属パターン領域の第1表面に覆われており、第2ドーピング導電層122のドーピング元素濃度をより小さくすることで、非金属パターン領域の第1表面でのオージェ再結合の発生を減らすことができ、さらに非金属パターン領域の第1表面に位置するキャリアの再結合を減らし、非金属パターン領域表面に対するパッシベーション効果を向上させ、キャリア数をさらに増やし、開放電圧及び短絡電流を高めるのに役立つ。
【0048】
図1及び図2に示すように、いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層112のドーピング曲線の傾きは第2ドーピング導電層122のドーピング曲線の傾きよりも小さい。ドーピング曲線の傾きは、第1ドーピング導電層112におけるドーピング元素および第2ドーピング導電層122におけるドーピング元素のドーピング濃度がドーピング深さによって変化する曲線の傾きである。いくつかの実施例では、電気化学的容量-電圧法(Electrochemical Capacitance Voltage,ECV)と二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry,SIMS)によって、活性化されたドーピング元素濃度と注入されたドーピング元素総濃度がドーピング深さによって変化するドーピング曲線を測定することができる。マーク1は第1ドーピング導電層112のドーピング元素濃度がドーピング深さによって変化するドーピング曲線を示し、マーク2は第2ドーピング導電層122のドーピング元素濃度がドーピング深さによって変化するドーピング曲線を示す。
【0049】
第1ドーピング導電層112のドーピング曲線の傾きを小さく設定する。つまり、第1ドーピング導電層112におけるドーピング深さが増えるにつれて、第1ドーピング導電層112におけるドーピング元素濃度の変化が小さい。即ち、第1ドーピング導電層112におけるドーピング元素濃度の低下が緩やかであるため、第1ドーピング導電層112におけるドーピング元素濃度が均一になり、第1ドーピング導電層112のドーピング元素濃度が大きくなる。
【0050】
第2ドーピング導電層122のドーピング曲線の傾きが大きく、第2ドーピング導電層122におけるドーピング深さが増えるにつれて、第2ドーピング導電層122におけるドーピング元素濃度が大きく低下し、第2ドーピング導電層122のドーピング元素濃度が小さくなる。
【0051】
いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層112のドーピング元素濃度は5×1018atoms/cm~1×1021atoms/cmであり、例えば、5×1018atoms/cm~7×1018atoms/cm、7×1018atoms/cm~9×1018atoms/cm、9×1018atoms/cm~1×1019atoms/cm、1×1019atoms/cm~5×1019atoms/cm、5×1019atoms/cm~1×1020atoms/cm、1×1020atoms/cm~5×1020atoms/cmまたは5×1020atoms/cm~1×1021atoms/cmであってもよい。いくつかの実施例では、第2ドーピング導電層122のドーピング元素濃度は5×1018atoms/cm~9×1020atoms/cmであり、例えば、5×1018atoms/cm~7×1018atoms/cm、7×1018atoms/cm~1×1019atoms/cm、1×1019atoms/cm~5×1019atoms/cm、5×1019atoms/cm~9×1019atoms/cm、9×1019atoms/cm~1×1020atoms/cm、1×1020atoms/cm~5×1020atoms/cmまたは5×1020atoms/cm~9×1020atoms/cmであってもよい。上記の範囲内において、第1ドーピング導電層112のドーピング元素濃度が大きいため、金属パターン領域に対応する基板100におけるキャリアのトンネル能力を増やし、第1電極130のキャリアに対する収集能力を高めることができる。また、第1ドーピング導電層112のドーピング元素濃度が大きすぎないため、第1ドーピング導電層112のドーピング元素濃度が大きすぎることによるキャリアのオージェ再結合増大問題を防ぐことができる。また、第2ドーピング導電層122のドーピング元素濃度をこの範囲内に設定することで、第2ドーピング導電層122のドーピング濃度が小さくなり、第2ドーピング導電層122の非金属パターン領域の第1表面に対する表面パッシベーション能力を保つことができる。
【0052】
いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層112のドーピング元素濃度は第2ドーピング導電層122のドーピング元素濃度と同じであってもよい。
【0053】
いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層の厚さは第2ドーピング導電層122の厚さ以上である。
【0054】
いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層112の厚さが第2ドーピング導電層122の厚さより大きく、第1ドーピング導電層112の厚さを大きく設定することで、第1電極130が基板100まで貫通する確率を下げることができるだけでなく、第1ドーピング導電層112と第1電極130との接触面積を増やし、接触抵抗を減らし、キャリアを第1電極130へ輸送する輸送損失を低減し、第1電極130のキャリアに対する収集能力を高めるのに役立つ。
【0055】
第2ドーピング導電層122は第1ドーピング導電層112及び非金属パターン領域の第1表面に位置しており、第2ドーピング導電層122の厚さを小さくすることで、第2ドーピング導電層122の入射光に対する寄生吸収を減らし、基板100の入射光に対する吸収利用率を向上させ、さらに光電変換性能を高めることができる。第1ドーピング導電層112は第2ドーピング導電層122に覆われているため、第1ドーピング導電層112は入射光に直接接触せず、第1ドーピング導電層112の厚さを大きく設定することができる。また、第1ドーピング導電層112は金属パターン領域のみに設けられているため、第1ドーピング導電層112を介した入射光の数量が少なく、入射光に対して強い寄生吸収を生じさせることがない。キャリア収集能力を強めることを実現すると同時に、入射光に対する吸収利用率を高めることができる。
【0056】
いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層の厚さは、5nm~500nmであり、例えば、5nm~10nm、10nm~50nm、50nm~80nm、80nm~100nm、100nm~150nm、150nm~200nm、200nm~250nm、250nm~300nm、300nm~350nm、350nm~400nm、400nm~450nmまたは450nm~500nmであってもよい。いくつかの実施例では、第2ドーピング導電層122の厚さは1nm~200nmであり、例えば、1nm~5nm、5nm~10nm、10nm~30nm、30nm~50nm、50nm~80nm、80nm~100nm、100nm~130nm、130nm~150nm、150nm~170nm、170nm~185nmまたは185nm~200nmであってもよい。上記の範囲内において、第1ドーピング導電層112の厚さが大きく、第1電極130が第1ドーピング導電層112を貫通する確率を効果的に下げることができる。また、第1ドーピング導電層112の厚さは大きすぎることもなく、第1ドーピング導電層112は金属パターン領域の第1表面に過大な応力を生じさせず、金属パターン領域の第1表面に大きすぎる表面欠陥を生じさせることを防ぎ、キャリア再結合中心の発生を低下させ、キャリア数を高めることができる。
【0057】
第2ドーピング導電層122の厚さを上記の範囲内に設定し、第2ドーピング導電層122の厚さを小さくすることで、第2ドーピング導電層122の入射光に対する寄生吸収を減らし、基板100の入射光に対する吸収率を高めることができる。
【0058】
いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層112の厚さを第2ドーピング導電層122の厚さと等しくしてもよい。
【0059】
いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層の材料は、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、炭化ケイ素のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施例では、第2ドーピング導電層122の材料はアモルファスシリコン、多結晶シリコン、炭化ケイ素のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層112の材料は第2ドーピング導電層122の材料と同じであってもよい。いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層112の材料は第2ドーピング導電層122の材料と異なっていてもよい。
【0060】
第1トンネル層111と第2トンネル層121は、第1表面の界面パッシベーションを実現するために用いられ、化学的パッシベーション効果を発揮し、具体的には、第1表面のダングリングボンドを飽和させることにより、第1表面の界面欠陥準位密度を下げ、第1表面の再結合中心を減らすことができる。
【0061】
いくつかの実施例では、第1トンネル層111の厚さは第2トンネル層121の厚さ以下である。
【0062】
いくつかの実施例では、第1トンネル層111の厚さを第2トンネル層121の厚さより小さくしてもよい。第1トンネル層111は金属パターン領域の第1表面に直接接触しており、多数キャリアのトンネルを実現し、キャリアの選択的な輸送を実現することができる。第1トンネル層111の厚さを小さく設定することで、金属パターン領域に対応する基板100のキャリアが第1トンネル層111を通過しやすくなり、キャリアのトンネル確率を向上させ、さらにキャリアの輸送効率を高めることができる。また、第1トンネル層111の厚さを小さく設定することで、実際に第1トンネル層111を堆積させた場合、堆積によって得られる第1トンネル層111の均一度が高くなり、第1トンネル層111と第1表面との接触断面の形態を改善し、キャリアのトンネルに役立つ。
【0063】
また、第2トンネル層121の厚さを大きく設定することで、実際に第1電極130を製造する過程において、第1電極130を形成するための導電性ペーストが第2トンネル層121をバーンスルーしにくくなり、導電性ペーストの腐食敏感度を制御することができる。即ち、第2トンネル層121の厚さが大きいほど、導電性ペーストが第2トンネル層121をバーンスルーしにくくなり、導電性ペーストの腐食敏感度が低下する。これによって、第1電極130が基板100まで貫通する確率をさらに低減し、キャリア再結合中心の発生を減らすことができる。
【0064】
いくつかの実施例では、第1トンネル層111の厚さは0.1nm~5nmであり、例えば、0.1nm~0.5nm、0.5nm~0.8nm、0.8nm~1nm、1nm~1.5nm、1.5nm~2nm、2nm~2.5nm、2.5nm~3nm、3nm~3.5nm、3.5nm~4nm、4nm~4.5nmまたは4.5nm~5nmであってもよい。いくつかの実施例では、第2トンネル層121の厚さは0.2nm~10nmであり、例えば、0.2nm~0.5nm、0.5nm~0.8nm、0.8nm~1.2nm、1.2nm~2nm、2nm~2.5nm、2.5nm~3nm、3nm~3.5nm、3.5nm~4nm、4nm~4.5nm、4.5nm~5nm、5nm~6nm、6nm~7nm、7nm~8nm、8nm~9nmまたは9nm~10nmであってもよい。上記の範囲内において、第1トンネル層111の厚さが小さくなり、金属パターン領域に対応する基板100のキャリアのトンネルを強めるのに役立つ一方、この範囲内において、第1トンネル層111の厚さは小さすぎることもなく、第1トンネル層111の厚さが小さすぎて堆積工程にて空洞が形成される問題を防ぐことができる。
【0065】
上記の範囲内において、第2トンネル層121の厚さが大きいため、第2トンネル層121の厚さを大きく調整することで、第1電極130の製造に用いられる導電性ペーストのバーンスルー敏感度を制御し、第1電極130が基板100までバーンスルーする確率を下げることができる。
【0066】
いくつかの実施例では、第1トンネル層111の厚さは第2トンネル層121の厚さと同じであってもよい。
【0067】
いくつかの実施例では、第1トンネル層111の材料は第2トンネル層121の材料と同じであってもよい。
【0068】
いくつかの実施例では、第1トンネル層111の材料は第2トンネル層121の材料と異なっている。第1トンネル層111と第2トンネル層121の材料を異なるように制御することで、第1トンネル層111と第2トンネル層121がそれぞれ持っている機能を強め、例えば、キャリアの第1トンネル層111に対するトンネル効果を強め、第2トンネル層121の第1電極130バーンスルーに対するバリア作用を強めることができる。
【0069】
いくつかの実施例では、第1トンネル層111の材料は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、酸窒化シリコン、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施例では、第2トンネル層121の材料は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、酸窒化シリコン、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンのうちの少なくとも1つを含む。
【0070】
いくつかの実施例では、第1トンネル層111の材料の密度は第2トンネル層121の材料の密度よりも小さい。第1トンネル層111の材料の密度が小さいことによって、キャリアが第1トンネル層111を通過する確率を高めることができる。一方、第2トンネル層121の材料の密度を大きく設定することで、第1電極130を製造するための導電性ペーストのバーンスルー能力をさらに減らし、第1電極130の貫通確率を下げることができるだけでなく、第2トンネル層121における欠陥準位密度を低減し、第2トンネル層121の非金属パターン領域の第1表面に対するパッシベーション性能を高めることができる。これに基づいて、いくつかの実施例では、第1トンネル層111の材料は窒化シリコンであってもよく、第2トンネル層121の材料は酸化シリコンであってもよい。
【0071】
図3に示すように、いくつかの実施例では、第1表面は、非金属パターン領域11における高さが金属パターン領域10における高さよりも低い。つまり、第1表面は非金属パターン領域11と金属パターン領域10との間に段差のある構造が形成されている。非金属パターン領域11の第1表面が金属パターン領域10の第1表面と面一になっているのに対して、第1表面の表面積が大きくなっているため、非金属パターン領域11の第1表面及び第1パッシベーションコンタクト構造110の上面に覆われる第2トンネル層121と第2ドーピング導電層122の表面積を増やすことができる。これによって、基板100の第1表面の断面積を増やさずに、第2トンネル層121の面積を増加させ、キャリアのトンネルにより大きなトンネル経路を提供し、キャリアの輸送数量を増やすことができる。ここでの断面積とは、基板100の第1表面に平行な方向における断面積を指す。
【0072】
なお、ここでいう非金属パターン領域の第1表面の高さおよび金属パターン領域の第1表面の高さは、いずれも基板100の第2表面に対して使われるものである。言い換えれば、非金属パターン領域11に対応する基板の厚さは金属パターン領域10に対応する基板の厚さよりも小さい。
【0073】
いくつかの実施例では、非金属パターン領域11の第1表面の高さと金属パターン領域10の第1表面の高さとの差dは0.1μm~10μmであり、例えば、0.1μm~0.2μm、0.2μm~1μm、1μm~1.5μm、1.5μm~2μm、2μm~2.5μm、2.5μm~3μm、3μm~3.1μm、3.1μm~3.2μm、3.2μm~3.5μm、3.5μm~3.8μm、3.8μm~3.9μm、3.9μm~4μm、4μm~4.5μm、4.5μm~5μm、5μm~5.5μm、5.5μm~6μm、6μm~6.5μm、6.5μm~7μm、7μm~7.5μm、7.5μm~8μm、8μm~8.5μm、8.5μm~9μmまたは9μm~10μmであってもよい。この高さ範囲内において、非金属パターン領域の第1表面と金属パターン領域の第1表面との高さの差dが大きくなり、第1表面の表面積を増やし、さらに第2トンネル層121と第2ドーピング導電層122の面積を増加させ、キャリアにより大きなトンネル経路を提供し、キャリアの輸送を強めるのに役立つ一方、非金属パターン領域の第1表面と金属パターン領域の第1表面との高さの差dも大きすぎず、実際にこの高さの差を形成する過程において、基板100に対して過大な損失を生じさせて基板100の第1表面の欠陥準位密度を増やすという問題を防ぎ、基板100の第1表面におけるキャリアの再結合が少ないことを確保する。
【0074】
図3に示すように、いくつかの実施例では、非金属パターン領域11に位置する第2パッシベーションコンタクト構造120の上面を金属パターン領域10に位置する第2パッシベーションコンタクト構造120の上面よりも低くしてもよい。言い換えれば、非金属パターン領域11の第1表面に位置する第2パッシベーションコンタクト構造120の上面は、金属パターン領域10に位置する第2パッシベーションコンタクト構造120の上面よりも低い。これによって、非金属パターン領域11に位置する第2パッシベーションコンタクト構造120が厚すぎて、非金属パターン領域11の第1表面に応力損傷を与えることを防ぎ、非金属パターン領域11の第1表面に表面欠陥が生じることを避け、さらに多すぎるキャリア再結合中心の発生を避けることができる。一方、第2ドーピング導電層122の厚さが大きすぎないようにし、第2ドーピング導電層122の入射光に対する寄生吸収を減らすことができる。
【0075】
図4に示すように、いくつかの実施例では、第2パッシベーションコンタクト構造は、隣接する第1部分、第2部分及び第3部分を含み、第1部分が第1表面の非金属パターン領域11を覆い、第2部分が第1パッシベーションコンタクト構造110の側面と上面を覆い、ここで、第3部分が第1部分に比べて傾斜している。即ち、第2パッシベーションコンタクト構造120は連続的な膜層であり、これによって、キャリアの第2パッシベーションコンタクト構造120での横方向輸送を強めることができる。
【0076】
いくつかの実施例では、第1表面は遷移領域12を含み、遷移領域12が金属パターン領域10と非金属パターン領域11との間に位置し、金属パターン領域10、非金属パターン領域11及び遷移領域12は段差のある構造を構成している。第3部分は遷移領域12に位置している。第3部分は第2パッシベーションコンタクト構造120の遷移部分とすることができる。第3部分が存在しているため、平面である第1表面と比べて、第2パッシベーションコンタクト構造120の面積が大きくなり、キャリアの輸送経路を増大させることができる。遷移領域12は金属パターン領域に近接して設置され、第1パッシベーションコンタクト構造110は金属パターン領域の第1表面に位置し、第3部分も金属パターン領域に近接している。これによって、第3部分のキャリアを第1電極130に輸送する距離が短くなり、輸送損失を減らし、キャリア数を増やすことができる。
【0077】
また、遷移領域12の存在により第1表面の面積が増えるため、非金属パターン領域の第1表面の粗さを減らすことができ、非金属パターン領域の第1表面が平らかになり、実際に第2パッシベーションコンタクト構造120を製造する過程において、非金属パターン領域の第1表面に第2パッシベーションコンタクト構造120を均一に堆積させることができ、第2パッシベーションコンタクト構造120が平らかになり、第2パッシベーションコンタクト構造120の非金属パターン領域の第1表面に対する表面パッシベーション性能を高めるのに役立つ。
【0078】
上記の考えに基づいて、いくつかの実施例では、金属パターン領域の第1表面の粗さを非金属パターン領域の第1表面の粗さよりも大きくしてもよい。金属パターン領域の第1表面の粗さを大きくすることで、第1パッシベーションコンタクト構造110の表面および金属パターン領域の第2パッシベーションコンタクト構造120の表面に大きな面積を持たせ、第1電極130と第1パッシベーションコンタクト構造110および第2パッシベーションコンタクト構造120との接触面積を増やし、第1電極130の接触抵抗を減らし、キャリアの輸送性能を高めることができる。
【0079】
非金属パターン領域11の第1表面の粗さを小さく設定することで、非金属パターン領域11の第1表面に覆われる第2パッシベーションコンタクト構造120が平らになり、第2パッシベーションコンタクト構造120の非金属パターン領域11の第1表面に対する表面パッシベーション能力を高めることができる。
【0080】
第3部分が第1表面に垂直であるのに対して、非金属パターン領域11の第1表面と金属パターン領域10の第1表面との高さの差が一定である場合、第3部分が第1部分に対して傾斜するように設置されて、第3部分の表面積をより大きくする。したがって、第3部分の基板100に向かう表面と第1表面との挟角を調整することで、第3部分の表面積を調整することができる。これに基づいて、いくつかの実施例では、第2部分の基板100に向かう表面と非金属パターン領域の第1表面との挟角θは、90°~160°であり、例えば、90°~95°、95°~100°、100°~105°、105°~110°、110°~115°、115°~120°、120°~125°、125°~130°、130°~135°、135°~140°、140°~145°、145°~150°、150°~155°または155°~160°であってもよい。この範囲内において、第3部分は大きな表面積を持つことができる。且つ、この範囲内において、第3部分の基板100に向かう表面と第1表面との挟角が小さすぎず、段差のある構造の形成を確保する。
【0081】
いくつかの実施例では、第1パッシベーションコンタクト構造110は1層の第1トンネル層111と1層の第1ドーピング導電層112のみを含んでもよく、第1トンネル層111が第1表面に直接接触している。
【0082】
図5に示すように、いくつかの実施例では、第1パッシベーションコンタクト構造110は、基板100から離れる方向に沿って順次積層された複数のサブ第1パッシベーションコンタクト構造113を含んでもよく、各サブ第1パッシベーションコンタクト構造113は、基板100から離れる方向に沿って順次積層された第1トンネル層111及び第1ドーピング導電層112を含む。つまり、第1パッシベーションコンタクト構造110では、複数の第1トンネル層111および複数の第1ドーピング導電層112を含んでもよく、且つ複数の第1トンネル層111および複数の第1ドーピング導電層112が交互に積層して設置される。図5は、サブ第1パッシベーションコンタクト構造113の数が2つである形態で示している。
【0083】
いくつかの実施例では、第2パッシベーションコンタクト構造120は1層の第2トンネル層121と1層の第2ドーピング導電層122のみを含み、第2トンネル層121が第1パッシベーションコンタクト構造110の上面と非金属パターン領域の第1表面を覆うように設置することができる。いくつかの実施例では、第2パッシベーションコンタクト構造120が1層の第2トンネル層121と1層の第2ドーピング導電層122だけを含んだ場合、第1パッシベーションコンタクト構造110は複数のサブ第1パッシベーションコンタクト構造113を含んでもよいし、1層の第1トンネル層111と1層の第1ドーピング導電層112のみを含んでもよく、第2パッシベーションコンタクト構造120が第1パッシベーションコンタクト構造110を被覆することを満たせばよい。
【0084】
図6に示すように、いくつかの実施例では、第2パッシベーションコンタクト構造120は、基板100から離れる方向に沿って順次積層された複数のサブ第2パッシベーションコンタクト構造123を含んでもよく、各サブ第2パッシベーションコンタクト構造123は、基板100から離れる方向に沿って順次積層された第2トンネル層121及び第2ドーピング導電層122を含む。つまり、第2パッシベーションコンタクト構造120では、複数の第2トンネル層121および複数の第2ドーピング導電層122を含んでもよく、且つ複数の第2トンネル層121および複数の第2ドーピング導電層122が交互に積層して設置される。図6は、サブ第2パッシベーションコンタクト構造123の数が2つである形態で示している。
【0085】
図6に示すように、いくつかの実施例では、第2パッシベーションコンタクト構造120は複数のサブ第2パッシベーションコンタクト構造123を含んだ場合、第1パッシベーションコンタクト構造110は1層の第1トンネル層111と第1ドーピング導電層112のみを含んでもよい。図7に示すように、第1パッシベーションコンタクト構造110は複数のサブ第1パッシベーションコンタクト構造113を含んでもよく、第2パッシベーションコンタクト構造120は第1パッシベーションコンタクト構造110を被覆することを満たせばよい。
【0086】
図8に示すように、いくつかの実施例では、第1パッシベーションコンタクト構造110の数が複数であり、第2パッシベーションコンタクト構造120の数が複数であり、複数の第1パッシベーションコンタクト構造110と複数の第2パッシベーションコンタクト構造120とが基板100から離れる方向に沿って交互に積層されている。各第2パッシベーションコンタクト構造120は1つの第1パッシベーションコンタクト構造110の上面と側面を覆い、基板100に近い第2パッシベーションコンタクト構造120は非金属パターン領域の第1表面を覆い、残りの第2パッシベーションコンタクト構造120は隣接する第2パッシベーションコンタクト構造120の上面を覆う。
【0087】
いくつかの実施例では、複数の第1パッシベーションコンタクト構造110と複数の第2パッシベーションコンタクト構造120とが交互に積層された場合、第1パッシベーションコンタクト構造110は、1層の第1トンネル層111と1層の第1ドーピング導電層112のみを含んでもよいし、複数のサブ第1パッシベーションコンタクト構造113を含んでもよい。第2パッシベーションコンタクト構造120は、1層の第2トンネル層121及び1層の第2ドーピング導電層122のみを含んでもよいし、複数のサブ第2パッシベーションコンタクト構造123を含んでもよい。
【0088】
または、言い換えれば、第1パッシベーションコンタクト構造及び第2パッシベーションコンタクト構造に含まれたトンネル層及びドーピング導電層は1層または複数のサブ層を含むことができ、第1パッシベーションコンタクト構造及び第2パッシベーションコンタクト構造を積層してパッシベーションコンタクト構造の厚さを厚くすればよい。具体的な説明は下記の通りである。
【0089】
いくつかの実施例では、図1、3及び図4に示すように、第1パッシベーションコンタクト構造110は、1層の第1トンネル層111と1層の第1ドーピング導電層112のみを含んでもよく、第2パッシベーションコンタクト構造120は、1層の第2トンネル層121と1層の第2ドーピング導電層122のみを含んでもよい。
【0090】
いくつかの実施例では、第1パッシベーションコンタクト構造110は、複数のサブ第1パッシベーションコンタクト構造113を含んでもよく、各サブ第1パッシベーションコンタクト構造113は、基板100から離れる方向に沿って順次積層された1層の第1トンネルサブ層111及び1層の第1ドーピング導電サブ層112を含む。図5には、2つのサブ第1パッシベーションコンタクト構造113が示されている。第2パッシベーションコンタクト構造120は、1層の第2トンネル層121と1層の第2ドーピング導電層122のみを含んでもよい。
【0091】
いくつかの実施例では、第2パッシベーションコンタクト構造120は、複数のサブ第2パッシベーションコンタクト構造123を含んでもよく、各サブ第2パッシベーションコンタクト構造123は、基板100から離れる方向に沿って順次積層された1層の第2トンネルサブ層121及び1層の第2ドーピング導電サブ層122を含む。図6には、2つのサブ第2パッシベーションコンタクト構造123が示されている。第1パッシベーションコンタクト構造120は、1層の第1トンネル層111と1層の第1ドーピング導電層112のみを含んでもよい。
【0092】
いくつかの実施例では、第1パッシベーションコンタクト構造110は、複数のサブ第1パッシベーションコンタクト構造113を含んでもよく、各サブ第1パッシベーションコンタクト構造113は、基板100から離れる方向に沿って順次積層された1層の第1トンネルサブ層111及び1層の第1ドーピング導電サブ層112を含む。第2パッシベーションコンタクト構造120は、複数のサブ第2パッシベーションコンタクト構造123を含んでもよく、各サブ第2パッシベーションコンタクト構造123は、基板100から離れる方向に沿って順次積層された1層の第2トンネルサブ層121及び一層の第2ドーピング導電サブ層122を含む。図7には、2つのサブ第1パッシベーションコンタクト構造113及び2つののサブ第2パッシベーションコンタクト構造123が基板100から離れる方向に沿って順次積層されている場合が示されている。図8には、2つのサブ第1パッシベーションコンタクト構造113及び2つののサブ第2パッシベーションコンタクト構造123が基板100から離れる方向に沿って交互に積層されている場合が示されている。
【0093】
複数のサブ第1パッシベーションコンタクト構造113及び/又は複数のサブ第2パッシベーションコンタクト構造123が存在する場合、相応的に、複数の第1トンネルサブ層、複数の第1ドーピング導電サブ層、複数の第2トンネルサブ層及び複数の第2ドーピング導電サブ層が存在する。太陽電池の製造過程では、複数のサブ層を全体として考慮し、上記の各実施例におけるドーピング元素の種類、ドーピング元素濃度、ドーピング曲線の傾き、厚さ、材料の設定も、複数のサブ層を設置した実施例にも適用される。
【0094】
いくつかの実施例では、さらに、第2パッシベーションコンタクト構造120の基板100から離れる表面に位置する第1パッシベーション層140を含む。第1パッシベーション層140は、第1表面に対して良好なパッシベーション効果を発揮し、例えば、第1表面のダングリングボンドに対して良好な化学的パッシベーションを行い、第1表面の欠陥準位密度を低減し、第1表面のキャリア再結合を抑制することができる。
【0095】
いくつかの実施例では、第1パッシベーション層140は単層構造であってもよいし、いくつかの実施例では、第1パッシベーション層140は多層構造であってもよい。いくつかの実施例では、第1パッシベーション層140の材料は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、または酸窒化シリコンのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0096】
いくつかの実施例では、第1電極130は第1パッシベーション層140、第2パッシベーションコンタクト構造120を貫通して第1ドーピング導電層112と電気的に接触してもよい。
【0097】
いくつかの実施例では、さらに、基板100の第2表面に位置するエミッタ150を含む。エミッタ150のドーピング元素のタイプが基板100のドーピング元素のタイプと逆であり、基板100と一緒にPN接合を構成する。いくつかの実施例では、エミッタ150の材料は基板100の材料と同じであってもよい。
【0098】
いくつかの実施例では、さらに、エミッタ150の基板100から離れる表面に位置する第2パッシベーション層160を含む。第2パッシベーション層160は、基板100の第2表面に対して良好なパッシベーション効果を発揮し、第2表面の欠陥準位密度を下げ、基板100の裏面のキャリア再結合を良好に抑制するために用いられる。また、第2パッシベーション層160は良好な反射低減効果を持ち、入射光の反射を低減し、入射光の利用率を高めるのに役立つ。
【0099】
いくつかの実施例では、第2パッシベーション層160は単層構造であってもよいが、いくつかの実施例では、第2パッシベーション層160は多層構造であってもよい。いくつかの実施例では、第2パッシベーション層160の材料は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコンまたは酸窒化シリコンのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0100】
いくつかの実施例では、さらに、基板100の第2表面に位置し、第2パッシベーション層160を貫通してエミッタ150と電気的に接触する第2電極170を含む。
【0101】
上記の実施例によって提供された太陽電池では、金属パターン領域に第1パッシベーションコンタクト構造110および第1パッシベーションコンタクト構造110を覆う第2パッシベーションコンタクト構造120を設けることで、金属電極は積層された第1パッシベーションコンタクト構造110および第2パッシベーションコンタクト構造120を貫通しにくくなり、金属電極が基板100まで貫通する確率を下げることができる。一方、第2パッシベーションコンタクト構造120は、第1パッシベーションコンタクト構造110の上面と非金属パターン領域の第1表面を同時に覆い、第2パッシベーションコンタクトが連続した膜層となり、第2パッシベーションコンタクト構造120の横方向輸送性能を強め、非金属パターン領域から金属パターン領域へのキャリアの輸送能力を向上させ、開放電圧と短絡電流を高めることができる。また、非金属パターン領域に位置する第2パッシベーションコンタクト構造120の上面が金属パターン領域に位置する第2パッシベーションコンタクト構造120の上面より高くないように設定することで、非金属パターン領域の第2パッシベーションコンタクト構造120の厚さを小さく保つことができ、第2パッシベーションコンタクト構造120が入射光に対して強い寄生吸収能力を生じさせることを防ぎ、非金属パターン領域の第1表面の入射光に対する吸収利用率を高めるのに役立つ。
【0102】
それに対応して、本願の実施例の別の態様は、光起電力モジュールをさらに提供し、図9を参照すると、光起電力モジュールは、前述実施例で提供された太陽電池101を複数接続してなる電池ストリングと、電池ストリングの表面を覆うために用いられる封止層102と、封止層102の電池ストリングから離れた表面を覆うために用いられるカバープレート103と、を含む。太陽電池101は、全体または複数のスライスの形で電気的に接続されて複数の電池ストリングを形成し、複数の電池ストリングは、直列および/または並列に電気的に接続されている。
【0103】
具体的には、いくつかの実施例では、複数の電池ストリングにおける隣接する電池ストリング間は、伝導バンド104で電気的に接続されることができる。封止層102は、太陽電池101の第1表面及び裏面を覆っており、具体的には、封止層102は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)接着フィルム、ポリエチレンオクテン-エラストマー(POE)接着フィルム、またはポリエチレンテレフタレート(PET)接着フィルム、又はポリビニルブチラール(PVB)等の有機封止フィルムであってもよい。いくつかの実施例では、カバープレート103はガラスカバープレート、プラスチックカバープレート等の光透過性のあるカバープレート103であってもよい。具体的には、カバープレート103の封止層102に向かう表面を凹凸面にしてもよく、入射光線の利用率を高める。
【0104】
本願は、好適な実施例で上記のように開示されているが、特許請求の範囲を限定するものではなく、いずれの当業者であれば、本願の着想から逸脱することなく、若干の可能な変動および修正を加えることができるため、本願の保護範囲は、本願の請求項によって規定される範囲に従うべきである。
【0105】
当業者であれば、前記の各実施形態は本願を実現する具体的な実施例であるが、実用上では本願の精神と範囲を逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。いずれの当業者は、本願の精神と範囲を逸脱しない限り、それぞれ変更及び修正を行うことが可能であるため、本願の保護範囲は、請求項に限定された範囲を基準にすべきである。

【要約】      (修正有)
【課題】本願は、太陽電池の技術分野に関し、特に太陽電池及び光起電力モジュールに関する。
【解決手段】太陽電池は、金属パターン領域及び非金属パターン領域を有する第1表面を備える基板と、記第1表面の金属パターン領域に位置し、かつ、基板から離れる方向に沿って積層された第1トンネル層及び第1ドーピング導電層を備える第1パッシベーションコンタクト構造と、基板から離れる方向に沿って積層された第2トンネル層と第2ドーピング導電層を備える第2パッシベーションコンタクト構造と、を含み、第2パッシベーションコンタクト構造は、第1表面の非金属パターン領域に位置する第1部分及び第1パッシベーションコンタクト構造に位置する第2部分を含み、第2パッシベーションコンタクト構造の第1部分の上面は第2パッシベーションコンタクト構造の第2部分より基板から離れていない。本願は太陽電池の光電変換効率の向上に有利である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9