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特許7504286ユーザ装置からのデータ伝送を開始する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】ユーザ装置からのデータ伝送を開始する方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 8/26 20090101AFI20240614BHJP
   H04W 68/00 20090101ALI20240614BHJP
   H04W 4/70 20180101ALI20240614BHJP
   H04W 80/00 20090101ALI20240614BHJP
【FI】
H04W8/26
H04W68/00
H04W4/70
H04W80/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023513923
(86)(22)【出願日】2021-08-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-12
(86)【国際出願番号】 EP2021073332
(87)【国際公開番号】W WO2022043294
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】20192939.5
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523067768
【氏名又は名称】テリット シンテリオン ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100086368
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 誠
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ブロイアー
(72)【発明者】
【氏名】ライナー ディッペル
【審査官】中村 信也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0037226(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0200178(US,A1)
【文献】ZTE,Device Triggering for offline MTC device, 3GPP TSG-SA WG2#85 S2-112330,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_85_XiAN/Docs/S2-112330.zip>,2011年05月11日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非IP通信サービスのためのコアネットワークに無線セルラ無線アクセスネットワークを介して登録されているユーザ装置を、アプリケーション機能を実行し前記無線セルラ無線アクセスネットワーク経由でアプリケーションデータを提供する際に動作させる方法であって、
前記アプリケーション機能を実行している間に前記アプリケーションデータを生成すること、
-前記アプリケーション機能と関連付けられたアプリケーションサーバにより開始されるページングメッセージ及びそれに続く無線リンク制御(RLC)メッセージを非IP通信プロトコルスタックに従って受信すること、
-前記無線セルラ無線アクセスネットワークを介したIP通信サービスを利用する前記ユーザ装置から前記アプリケーションサーバへの前記アプリケーションデータの伝送要求を前記RLCメッセージから取り出すこと、
-前記IP通信サービスに使用されるIP通信プロトコルスタックのネットワークプロトコル層上のインターネットプロトコルに従って、前記アプリケーションサーバのネットワークアドレスを前記RLCメッセージから取り出すこと、
-前記IP通信プロトコルスタックの使用を有効にすること、
前記IP通信サービスを前記コアネットワークに前記無線セルラ無線アクセスネットワークを介して要求すること、
-前記IP通信プロトコルスタックの前記ネットワークプロトコル層上の前記インターネットプロトコルに従う前記ユーザ装置の動的ネットワークアドレスを前記コアネットワークから取得すること、及び
-前記ユーザ装置の取得された前記動的ネットワークアドレス及び前記アプリケーションサーバの前記ネットワークアドレスを使用して、前記IP通信サービスを利用し前記無線セルラ無線アクセスネットワーク経由で前記アプリケーションデータを前記アプリケーションサーバに提供することを含む方法。
【請求項2】
前記ネットワークに前記IP通信サービスを前記無線セルラ無線アクセスネットワークを介して要求することが、
-前記IP通信プロトコルスタックを使用して、前記ユーザ装置のモビリティ管理を担当するコアネットワークアクセスノードとの接続を開設し、アップリンクIP通信サービスのためのベアラ情報の提供を前記ユーザ装置に前記無線セルラ無線アクセスネットワークを介して要求し、前記動的ネットワークアドレスの提供を要求すること、
-前記ベアラ情報及び前記動的ネットワークアドレスを前記コアネットワークアクセスノードから前記無線セルラ無線アクセスネットワーク経由で受信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アプリケーションデータを前記アプリケーションサーバに提供することが、
-前記ベアラ情報が示すベアラ、宛先アドレスである前記アプリケーションサーバの前記ネットワークアドレスを使用し、前記アプリケーションデータを前記アプリケーションサーバに前記無線セルラ無線アクセスネットワーク経由かつ割り当てられたコアネットワークサービングゲートウェイノード経由で送信する際に、発信元アドレスである前記ユーザ装置の前記動的ネットワークアドレスを使用することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ページングメッセージの後に前記RLCメッセージを前記アプリケーションサーバから受信すると、チャレンジ・レスポンスプロトコルに従ってチャレンジを前記RLCメッセージから取り出すことを更に含み、
前記アプリケーションデータを前記アプリケーションサーバに提供することが、前記チャレンジ・レスポンスプロトコルに従って所定の有効なレスポンスを提供することを含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記非IP通信サービスのための前記コアネットワークに前記無線セルラ無線アクセスネットワークを介して登録することが、
-PDNタイプを非IPに指定する、パケット・データ・ネットワーク(以下PDNという)接続要求を前記コアネットワークに提供することを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
非IP通信サービスのためのコアネットワークに無線セルラ無線アクセスネットワークを介して登録されているユーザ装置からアプリケーションデータを回収する際にアプリケーションサーバを動作させる方法であって、
-選択された前記ユーザ装置を前記無線セルラ無線アクセスネットワークを介してページングするために、ネットワークプロトコル層上のインターネットプロトコルを前記非IP通信サービスに使用することを排除する非IP通信プロトコルスタックに従ってページングメッセージの提供を制御するように、かつ前記ページングメッセージに続くRLCメッセージの提供を、前記ページングメッセージに続く前記RLCメッセージで前記ユーザ装置に転送するために制御するようにコアネットワークノードを開始させるページング指示を前記コアネットワークノードに送信すること、
-前記IP通信サービスを利用して、要求した前記アプリケーションデータを前記ユーザ装置から前記無線セルラ無線アクセスネットワーク経由で受信することを含む方法。
【請求項7】
前記ページング指示を前記コアネットワークに送信することが、
-コアネットワークサービス制御公開機能(以下SCEFという)ノードに、非IPデータ配信を介した前記ユーザ装置への前記ページングメッセージの提供を、前記非IP通信プロトコルスタックを使用し前記無線セルラ無線アクセスネットワークを介して開始するように指示するページング開始指示を、アプリケーションプログラムインターフェイスプロトコルを使用して前記コアネットワークSCEFノードに提供することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ページング開始指示を前記コアネットワークSCEFノードに提供することが、
-前記コアネットワークがショートメッセージサービス(以下SMSという)をサポートしないことを確認すること、
-ページングSMSメッセージをSMSゲートウェイ交換器ノードに提供することを含み、
-前記ページングSMSメッセージが、前記SMSゲートウェイ交換器ノードに前記ページング開始指示を生成させ前記コアネットワークSCEFノードに提供させる指示を含むSMSメッセージである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ページングメッセージを前記ユーザ装置に送信することが、
-前記コアネットワークがショートメッセージサービス(以下SMSという)をサポートしないことを確認すること、
-ページングSMSメッセージをSMSゲートウェイ交換器ノードに提供することを含み、
-前記ページングSMSメッセージが、コアネットワークサービングゲートウェイサポートノード(以下SGSNという)に非IPデータ配信を介した前記ユーザ装置への前記ページングメッセージの提供を、前記非IP通信プロトコルスタックを使用し前記無線セルラ無線アクセスネットワークを介して開始するように指示するページング開始要求を前記SMSゲートウェイ交換器ノードに生成させ前記コアネットワークSGSNに提供させる指示を含むSMSメッセージである、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
アプリケーション機能を実行し、アプリケーションデータを無線セルラ無線アクセスネットワーク経由で提供するためのユーザ装置であって、
前記アプリケーション機能を実行しながら前記アプリケーションデータを生成するように構成されたアプリケーションユニットと、
-通信制御ユニットであって、
-ネットワークプロトコル層上のインターネットプロトコルを非IP通信サービスに使用することを排除する非IP通信プロトコルスタックの使用を有効にし、
前記非IP通信サービスのためだけのコアネットワークに前記無線セルラ無線アクセスネットワークを介して登録する際に前記ユーザ装置の動作を制御し、
-前記アプリケーション機能と関連付けられたアプリケーションサーバにより開始されるページングメッセージ及びそれに続くRLCメッセージを前記非IP通信プロトコルスタックに従って受信すると、
-前記無線セルラ無線アクセスネットワークを介したIP通信サービスを利用する前記ユーザ装置から前記アプリケーションサーバへの前記アプリケーションデータの伝送要求を前記RLCメッセージから取り出し、
-前記IP通信サービスに使用されるIP通信プロトコルスタックの前記ネットワークプロトコル層上の前記インターネットプロトコルに従って前記アプリケーションサーバのネットワークアドレスを前記RLCメッセージから取り出し、
-前記IP通信プロトコルスタックの使用を有効にし、
前記IP通信サービスを前記コアネットワークに前記無線セルラ無線アクセスネットワークを介して要求し、前記IP通信プロトコルスタックの前記ネットワークプロトコル層上の前記インターネットプロトコルに従う前記ユーザ装置の動的ネットワークアドレスを前記コアネットワークから取得する際に前記ユーザ装置の動作を制御し、
-前記無線セルラ無線アクセスネットワークを介した前記IP通信サービス、前記ユーザ装置の取得された前記動的ネットワークアドレス、及び前記アプリケーションサーバの前記ネットワークアドレスを用いて前記アプリケーションデータを前記アプリケーションサーバに提供する際に、前記ユーザ装置の動作を制御するように構成されている通信制御ユニットと、を備えたユーザ装置。
【請求項11】
アプリケーションデータをユーザ装置から無線セルラ無線アクセスネットワークを介して回収するためのアプリケーションサーバであって、前記アプリケーションサーバが、
-サーバ制御ユニットであって、
-ネットワークプロトコル層上のインターネットプロトコルを非IP通信サービスに使用することを排除する非IP通信プロトコルスタックに従うページングメッセージ及びそれに続くRLCメッセージの、選択された前記ユーザ装置への前記無線セルラ無線アクセスネットワークを介した提供をコアネットワークノードに開始するように指示するページング指示であって、前記ユーザ装置に前記RLCメッセージで転送するために、
-前記無線セルラ無線アクセスネットワークを介した前記ユーザ装置と前記アプリケーションサーバとの間のIP通信サービス及び前記ユーザ装置により確認される前記ユーザ装置の動的ネットワークアドレスを用いる前記ユーザ装置から前記アプリケーションサーバへの前記アプリケーションデータの伝送要求、及び
-前記IP通信サービスに使用されるIP通信プロトコルスタックの前記ネットワークプロトコル層上の前記インターネットプロトコルに従う前記アプリケーションサーバのネットワークアドレス
を含むページング指示を生成し前記コアネットワークノードに送信する際に前記サーバの動作を制御し、
-前記IP通信サービスを利用して、要求した前記アプリケーションデータを前記ユーザ装置から前記無線セルラ無線アクセスネットワーク経由で受信する際に、前記サーバの動作を制御するように構成されているサーバ制御ユニットを備えるアプリケーションサーバ。
【請求項12】
請求項10に記載のユーザ装置と請求項11に記載のアプリケーションサーバとを備え、
前記ユーザ装置によりアプリケーションデータを生成し前記アプリケーションサーバを介して回収する無線セルラ無線アクセスネットワーク。
【請求項13】
-SMSゲートウェイ交換器ノードを更に備え、
-前記アプリケーションサーバが、
-前記コアネットワークがショートメッセージサービス(以下SMSという)をサポートしないことを確認し、
-ページングSMSメッセージを前記SMSゲートウェイ交換器ノードに提供するように構成されており、
-前記SMSゲートウェイ交換器ノードが、前記ページングSMSメッセージを受信すると、
-コアネットワークサービス制御公開機能(以下SCEFという)ノードに、非IPデータ配信を介した前記ページングメッセージの前記ユーザ装置への提供を、前記非IP通信プロトコルスタックを使用し前記無線セルラ無線アクセスネットワークを介して開始するように指示するページング開始指示を、アプリケーションプログラムインターフェイスプロトコルを使用して生成し前記コアネットワークSCEFノードに提供するように構成されている、請求項12に記載の無線セルラ無線アクセスネットワーク。
【請求項14】
前記SMSゲートウェイ交換器ノードを更に備え、
-前記アプリケーションサーバが、
-前記コアネットワークが前記ショートメッセージサービス(以下SMSという)をサポートしないことを確認し、
前記ページングSMSメッセージを前記SMSゲートウェイ交換器ノードに提供するように構成されており、
-前記SMSゲートウェイ交換器ノードが、前記ページングSMSメッセージを受信すると、
-コアネットワークサービングゲートウェイサポートノード(以下SGSNという)に、非IPデータ配信を介した前記ページングメッセージの前記ユーザ装置への提供を前記非IP通信プロトコルスタックを使用し前記無線セルラ無線アクセスネットワークを介して開始するように指示するページング開始要求を生成し前記コアネットワークSGSNに提供するように構成されている、請求項13に記載の無線セルラ無線アクセスネットワーク。
【請求項15】
コンピュータのプログラマブルプロセッサに請求項1に記載の方法又は請求項6に記載の方法を実行するように指示する実行可能コードを含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非IP通信サービスのためのコアネットワークに無線セルラ無線アクセスネットワークを介して登録されているユーザ装置を、アプリケーション機能を実行しアプリケーションデータを無線セルラ無線アクセスネットワーク経由で提供する際に動作させる方法に関する。本発明はまた、アプリケーションサーバを、非IP通信サービスのためのコアネットワークに無線セルラ無線アクセスネットワークを介して登録されているユーザ装置からアプリケーションデータを回収する際に動作させる方法にも関する。本発明は更に、アプリケーション機能を実行し、アプリケーションデータを無線セルラ無線アクセスネットワーク経由で提供するためのユーザ装置、アプリケーションデータをユーザ装置から無線セルラ無線アクセスネットワークを介して回収するためのアプリケーションサーバ、及びアプリケーションデータを生成し、非IP通信サービスのためのコアネットワークに無線セルラ無線アクセスネットワークを介して登録されているユーザ装置から回収するための装置にも関する。本発明は最後に、コンピュータのプログラマブルプロセッサに上述の方法のうちの所与の1つを実行するように指示する実行可能コードを含むコンピュータプログラムにも関する。
【背景技術】
【0002】
多くのマシンツーマシン通信アプリケーションでは、ユーザ装置(UE)が1つ以上の遠隔アプリケーションサーバにセルラ無線アクセスネットワーク経由でデータを定期的に伝送しなければならない。
【0003】
例として、電気エネルギー消費計量デバイスが、計量デバイスの各ユーザと関連付けられた消費データをアプリケーションサーバに伝送する。これは、係員や顧客が読み取りを行うことに頼ることなく提供した電気エネルギーの代金を請求することを可能にする。かかる消費データ伝送は、要求に応じてモバイルネットワークオペレータ(MNO)のネットワークを通してアプリケーションサーバによって行われる。
【0004】
第1の既知の代替解決策は、ユーザ装置の接続オプションを固定(静的)IPアドレスの使用に制限することを含む。この場合、計量デバイスはリスナーモードで動作する可能性があり、アプリケーションサーバは要求に応じてデータを回収することができる。
【0005】
しかしながら、計量デバイスの固定IPアドレスを使用する場合、顧客は通常、自身のモバイルネットワークオペレータ(MNO)によって追加料金が請求される。更に、何らかの理由で接続を確立できない場合、アプリケーションサーバは計量デバイスに接続の開始を知らせることができない。この問題に対処するために、計量デバイスにアプリケーションサーバとの接続を周期的に確立させることが知られている。ただし、接続の確立をサーバからの要求に応じて行うのではなく、計量デバイスにインストールされたアプリケーションによって周期的に行うことは、かかる周期的な接続が潜在的に無駄な、ひいては望ましくないデータトラフィックを発生させるために望ましくない。
【0006】
更に計量用途では、計量デバイスをいつ読み取るべきかが事前に知られていないことが多い。例えば所有権又はレンタル状況の変更によるユーザ変更などのイベントが周期的スケジュールに結び付けられない可能性があり、予測不可能である。一方、日ごと又は週ごとなど、あらゆるイベントをカバーするほど高頻度で周期的に読み出すことは、ユーザ及びサービスプロバイダに追加費用を生じさせる。
【0007】
第2の既知の代替解決策は、ユーザ装置側での動的IPアドレスの使用を含む。しかしながら、ユーザ装置からアプリケーションサーバへのデータ転送の開始を要求するために、アプリケーションサーバがユーザ装置の動的IPアドレスを確認することは一般に不可能である。したがって、現在はユーザ装置が動的IPアドレスを有しており、アプリケーションサーバがデータ伝送要求を希望する場合、アプリケーションサーバは、ユーザ装置にテキストメッセージ(広くSMS(「ショートメッセージサービス」)とも呼ばれる)をトリガとして送信する。SMSを受信したことに応答して、UEはその動的IPアドレスを使用してアプリケーションサーバに接続し、消費データを転送する。
【0008】
しかしながら、SMSの能力及び利用可能性は普遍的ではない。例えば狭帯域のモノのインターネット(NB-IoT)通信規格を実装する5GネットワークにはSMS機能がない。NB-IoT通信は、セルラ無線通信ネットワークを使用した幅広いマシンツーマシン(M2M)サービスを可能にするように標準化された低電力広域ネットワーク(LPWAN)無線技術規格である。NB-IoTはLTE(4G)規格のサブセットを使用するが、帯域幅を200kHzの単一狭帯域に制限する。NB-IoTはダウンリンク通信にOFDM変調を使用し、アップリンク通信にSC-FDMAを使用する。したがって、NB-IoTは、上記のネットワーク化された計量デバイスの例を含む低価格M2M市場に特に適している。したがって、UEからアプリケーションサーバへのデータの伝送をSMSトリガを使用して要求する上記の解決策は、そうでない場合に電子計量を含むM2Mアプリケーションによる使用に特に適している5G NB-IoTネットワークで利用することができない。
【0009】
SMSはまた、ネットワークが一般にこのサービスを提供する場合でも一時的に利用できない場合がある。
【発明の概要】
【0010】
したがって、データ伝送のSMSベースのトリガリングが利用できない場合又はときに、動的IPアドレスを使用するユーザ装置からアプリケーションサーバへのサーバ主導のデータ伝送を可能にすることが望ましい。
【0011】
本発明は、以下で概説されるいくつかの態様を包含する。第1の態様において、本発明は、非IP通信サービスのためのコアネットワークに無線セルラ無線アクセスネットワークを介して登録されているユーザ装置を、アプリケーション機能を実行しアプリケーションデータを無線セルラ無線アクセスネットワーク経由で提供する際に動作させる方法に関する。第2の態様によれば、本発明はまた、非IP通信サービスのためのコアネットワークに無線セルラ無線アクセスネットワークを介して登録されているユーザ装置からアプリケーションデータを回収する際にアプリケーションサーバを動作させる方法にも関する。第3の態様によれば、本発明は更に、アプリケーション機能を実行し無線セルラ無線アクセスネットワーク経由でアプリケーションデータを提供するためのユーザ装置に関する。第4の態様において、本発明は、無線セルラ無線アクセスネットワークを介してユーザ装置からアプリケーションデータを回収するためのアプリケーションサーバに関する。第5の態様によれば、本発明は、アプリケーションデータを生成し、非IP通信サービスのためのコアネットワークに無線セルラ無線アクセスネットワークを介して登録されているユーザ装置から回収するための装置に関する。第6及び第7の態様において、本発明は最後に、コンピュータのプログラマブルプロセッサに上述の方法のうちの所与の1つを実行するように指示する実行可能コードを含むコンピュータプログラムにも関する。
【0012】
以下は本発明の様々な態様のより詳細な説明に移る。
【0013】
本発明の第1の態様によれば、非IP通信サービスのためのコアネットワークに無線セルラ無線アクセスネットワークを介して登録されているユーザ装置を、アプリケーション機能を実行し無線セルラ無線アクセスネットワーク経由でアプリケーションデータを提供する際に動作させる方法が提供される。方法は、
-アプリケーション機能を実行している間にアプリケーションデータを生成すること、
-非IP通信プロトコルスタックに従って、アプリケーション機能と関連付けられたアプリケーションサーバにより開始されるページングメッセージ及び後続の無線リンク制御(RLC)メッセージを受信すること、
-無線セルラネットワークを介したIP通信サービスを利用するユーザ装置からアプリケーションサーバへのアプリケーションデータの伝送要求をRLCメッセージから取り出すこと、
-IP通信サービスに使用されるIP通信プロトコルスタックのネットワークプロトコル層上のインターネットプロトコルに従って、アプリケーションサーバのネットワークアドレスをRLCメッセージから取り出すこと、
-IP通信プロトコルスタックの使用を有効にすること、
-IP通信サービスをコアネットワークに無線セルラ無線アクセスネットワークを介して要求すること、
-IP通信プロトコルスタックのネットワークプロトコル層上のインターネットプロトコルに従うユーザ装置の動的ネットワークアドレスをコアネットワークから取得すること、及び
-ユーザ装置の確認した動的ネットワークアドレス及びアプリケーションサーバのネットワークアドレスを使用して、IP通信サービスを利用し無線セルラ無線アクセスネットワーク経由でアプリケーションデータをアプリケーションサーバに提供することを含む。
【0014】
第1の態様の方法は、SMS機能がない場合に実行可能な、IP通信サービスを介したユーザ装置からアプリケーションサーバへのアプリケーションデータのサーバ主導の伝送を可能にする解決策を提案する。具体的には、方法は、IP通信プロトコルスタックを使用してデータを受信及び提供するために動的IPアドレスなどの動的ネットワークアドレスを使用するユーザ装置からの5G NB IoTネットワークを介したサーバ主導のデータ伝送を実行する際の使用に適している。方法は、最初は非IP通信サービスを利用し無線セルラ無線アクセスネットワークを介してユーザ装置を動作させることを含む。これは、ユーザ装置に要求されるデータ伝送にアプリケーションサーバの宛先ネットワークアドレスを提供するRLCメッセージが後に続くページングを使用したサーバ主導のデータ伝送のトリガリングを可能にする。
【0015】
ページング及び関連するRLCメッセージを受信すると、ユーザ装置は、IP通信プロトコルスタックの使用を内部で有効にし、インターネットプロトコルに基づいて動的ネットワークアドレスを取得するために無線セルラネットワークを介したコアネットワークとの適切な制御通信を実行することによって、非IP通信サービスを利用することからIP通信サービスを利用することに切り替わる。この動的ネットワークアドレス、つまり動的IPアドレスを使用して、ユーザ装置はその後、無線セルラ無線アクセスネットワークを介したアプリケーションサーバへのアプリケーションデータの要求された転送を確立する。
【0016】
したがって、本発明の方法は、データ転送の宛先アドレスとして提供されるアプリケーションサーバで終了するアプリケーションデータの即時伝送を可能にする非同期型の非IP/IP通信を提供する。方法は、5G NB IoT通信規格に基づいた使用に特に適しているが、かかる実施形態に限定されない。方法は一般にSMSに依存する必要なくユーザ装置からのサーバ主導のデータ転送を可能にする。したがって、方法は、他の通信規格下で、例えばSMSベースのトリガ機構が利用できないか又は上手く機能しない状況で用いられる可能性がある。
【0017】
本発明の方法は、非IPデバイスとして登録されているユーザ装置の動作を強化する。非IP通信サービスに登録されている間、ユーザ装置は定期的又は周期的に非IPデバイスとして動作することができ、例えばそのデータを転送するのにサービス制御公開機能(SCEF)を使用することができる。しかしながら、ページングメッセージ及び後続のRLCメッセージをアプリケーションサーバにより開始される適切なペイロードで受信すると、ユーザ装置はペイロードが示すネットワークアドレスへのIPトンネルを開設する。したがって、ユーザ装置は非対称トラフィック、すなわちダウンリンク方向の非IPトラフィック及びアップリンク方向のIPトラフィックを実行する。これは、アップリンクトラフィックが無線ネットワークオペレータのドメインで終了せず、多くの適用事例においてアプリケーションデータを提供するユーザ装置の所有者でもあるアプリケーションサーバで直接終了するという利点を有する。更に、SMSを使用しない要求に応じた非IPダウンリンクトリガリングは、ユーザ装置を例えばNB IoTネットワークで極めて低いコストで動作させることを可能にする。コストはまた、ユーザ装置の固定ネットワークアドレスを使用しないアプリケーションデータの伝送によって、及び単にアプリケーションサーバとのIPベースの接続を失うことを避けるために通常のトラフィックを実行する必要性を回避することによって低く保たれる。
【0018】
以下において方法の実施形態が説明される。
【0019】
一部の実施形態では、アプリケーション機能を実行する際に非IP通信サービスのためのコアネットワークに無線セルラ無線アクセスネットワークを介して登録するために、方法は更に、ページングメッセージを受信する前のいつでも、
-ネットワークプロトコル層上のインターネットプロトコルを使用することを排除する非IP通信サービスの非IP通信プロトコルスタックの使用を有効にすること、及び
-非IP通信サービスのためのコアネットワークに無線セルラ無線アクセスネットワークを介して登録することを含む。
【0020】
これらのステップはまた、好ましくはデータ転送前に実行された非IP動作に戻るために、IP通信サービスを利用し無線セルラネットワーク経由でアプリケーションデータをアプリケーションサーバに提供した後に実行される。ユーザ装置は、PDNタイプIPで示されるIP接続を要求する無線接続を開設することによってIPプロトコルスタックを使用する。代替的に、非IP接続を要求することは通常、PDNタイプ「非IP」を含む通信要求を送信することを含む。このPDNタイプは、一部の実施形態ではSCEFを介した非IPデータ配信(NIDD)に使用される。
【0021】
好ましくは、非IP通信サービスのためのコアネットワークに無線セルラ無線アクセスネットワークを介して登録することは、
-PDNタイプを非IPと指定する、パケット・データ・ネットワーク(以下PDNという)接続要求をコアネットワークに提供することを含む。
【0022】
したがって、データ配信のために非IP接続を要求することは、サービス制御公開機能SCEFを介した非IPデータ配信(NIDD)に使用されるPDNタイプ「非IP」を含む通信要求を送信することによって行われる。
【0023】
別の実施形態では、IP通信サービスを無線セルラネットワークを介してネットワークに要求することは、
-IP通信プロトコルスタックを使用して、ユーザ装置のモビリティ管理を担当するコアネットワークアクセスノードとの接続を開設し、アップリンクIP通信サービスのためのベアラ情報のプロビジョニングをユーザ装置に無線セルラネットワークを介して要求し、動的ネットワークアドレスのプロビジョニングを要求すること、
-ベアラ情報及び動的ネットワークアドレスをコアネットワークアクセスノードから無線セルラネットワーク経由で受信することを含む。
【0024】
ユーザ装置は、例えばPDNタイプ「IP」で示されたIP接続を要求する無線接続を開設することによってIPプロトコルスタックを使用する。したがって、ユーザ装置は、その通信モード及びプロトコルをIPモードに切り替え、PDOコンテキストに動的ネットワークアドレスが割り当てられることを要求するモビリティ管理エンティティ(MME)などのコアネットワーク内のモビリティ管理サーバとの接続を開設し、アプリケーションデータをオペレータネットワークにトンネリングするために受信したアプリケーションサーバのネットワークアドレスを使用する。
【0025】
ベアラ情報を受信した後に、アプリケーションデータをアプリケーションサーバに提供することは、好適には一部の実施形態において、
-ベアラ情報が示すベアラ、宛先アドレスであるアプリケーションサーバのネットワークアドレスを使用すること、及びアプリケーションデータをアプリケーションサーバに無線セルラネットワーク経由かつ割り当てられたコアネットワークサービングゲートウェイノード経由で送信する際に発信元アドレスであるユーザ装置の動的ネットワークアドレスを使用することを含む。
【0026】
一部の実施形態では、UEにRLCメッセージで伝えられる宛先アドレスは、ページングメッセージを開始するアプリケーションサーバのIPアドレスである。ただし、本明細書で使用される「アプリケーションサーバ」という用語は、アプリケーションサーバ機能が分散された実施形態も包含する。したがって、データ伝送を受信するアプリケーションサーバのネットワークアドレスは、データ伝送を要求するアプリケーションサーバのネットワークアドレスである必要がある。より具体的には、一部の実施形態では、ユーザ装置により実行されるアプリケーション機能と関連付けられたアプリケーションのオペレータの制御下にある第1のアプリケーションサーバノードがユーザ装置のページングをトリガし、ユーザ装置によりアプリケーションデータのデータ伝送に使用されるアプリケーションサーバの伝達されたネットワークアドレスは、第2のアプリケーションサーバノードのネットワークアドレスである。
【0027】
ユーザ装置が最近のPDPアクティベーションからの動的IPアドレスを既に有している状況では、ページングメッセージを受信することに応答した無線セルラネットワークとの制御通信は減少する可能性がある。
【0028】
他の実施形態は更に、ページングメッセージの後にRLCメッセージをアプリケーションサーバから受信すると、RLCメッセージからチャレンジ・レスポンスプロトコルに従ってチャレンジを取り出すことを含む。ここでアプリケーションデータをアプリケーションサーバに提供することは、チャレンジ・レスポンスプロトコルに従って所定の有効なレスポンスを提供することを含む。
【0029】
本発明の第2の態様によれば、非IP通信サービスのためのコアネットワークに無線セルラ無線アクセスネットワークを介して登録されているユーザ装置からアプリケーションデータを回収する際にアプリケーションサーバを動作させる方法が提供される。方法は請求項6に規定されている。
【0030】
第2の態様の方法は、
-選択されたユーザ装置を無線セルラ無線アクセスネットワークを介してページングするために、ページングメッセージのプロビジョニングをネットワークプロトコル層上のインターネットプロトコルを非IP通信サービスに使用することを排除する非IP通信スタックに従って制御すること、及びページングメッセージに続くRLCメッセージであって、ページングメッセージに続くRLCメッセージでユーザ装置に転送するために、
-無線セルラ無線アクセスネットワークを介したユーザ装置とアプリケーションサーバとの間のIP通信サービス及びユーザ装置により確認されるユーザ装置の動的ネットワークアドレスを用いるユーザ装置からアプリケーションサーバへのアプリケーションデータの伝送要求、及び
-IP通信サービスに使用されるIP通信プロトコルスタックのネットワークプロトコル層上のインターネットプロトコルに従うアプリケーションサーバのネットワークアドレス、
を含むRLCメッセージのプロビジョニングを制御することをコアネットワークノードに開始させるページング指示をコアネットワークノードに送信すること、
-IP通信サービスを利用して、要求したアプリケーションデータをユーザ装置から無線セルラ無線アクセスネットワーク経由で受信することを含む。
【0031】
第2の態様の方法は、アプリケーションデータの通信を実行する際に、本発明の第1の態様の方法に従って動作する1つ以上のユーザ装置デバイスと通信するアプリケーションサーバの動作を表す。したがって、第2の態様の方法は第1の態様の方法の利点を共有する。
【0032】
具体的には、アプリケーションデータ転送を実行するためのユーザ装置の固定ネットワークアドレス、具体的には固定IPアドレスに依存する必要なく、ユーザ装置からのデータ転送を開始するアプリケーションサーバを可能にする。ユーザ装置が非IPデバイスとして動作し、SMS機能がない場合でも、方法は、アプリケーションデータの転送のためにユーザ装置をトリガすることを達成する。方法は、アプリケーションサーバが、RLCメッセージ内にデータ転送の宛先アドレスとして提供されるアプリケーションサーバで終了するアプリケーションデータの即時伝送を開始することを可能にする。方法は、5G NB IoT通信規格下での使用に特に適しているが、これに限定されることが意図されていない。
【0033】
以下において第2の態様の方法の実施形態が説明される。
【0034】
一実施形態では、ページングメッセージをユーザ装置に送信することは、
-コアネットワークサービス制御公開機能(以下SCEFという)ノードに、非IPデータ配信を介したユーザ装置へのページングメッセージのプロビジョニングを、非IP通信プロトコルスタックを使用し無線セルラ無線アクセスネットワークを介して開始するように指示するページング開始指示を、アプリケーションプログラムインターフェイスプロトコルを使用してコアネットワークSCEFノードに提供することを含む。
【0035】
この実施形態の変形例では、ページング開始指示をコアネットワークSCEFノードに提供することは、
-コアネットワークがショートメッセージサービス(SMS)をサポートしないことを確認すること、
-ページングSMSメッセージをSMSゲートウェイ交換器ノードに提供することを含み、
-ページングSMSメッセージは、SMSゲートウェイ交換器ノードにページング開始指示を生成させSCEFノードに提供させる指示を含むSMSメッセージである。
【0036】
この変形例は新しいネットワークノード機能、すなわちSMSゲートウェイ交換器ノードを導入する。これは、ページングSMSメッセージの形態の「SMSトリガ」で動作してきたアプリケーションサーバがこの既知のトリガ方法を用い続けることを可能にする。したがって、新しいサーバ機能は、レガシー顧客アプリケーションサーバ機能に基づいて動作し、ダウンリンクの非IPページング(MS-ISDN)をトリガすることによってSMS要求を差し替え、それによってSMS機能のないNB-IoTに向かうときに変更が全く必要ない。
【0037】
コアネットワークがSMSをサポートしないことを検出したことに応答して、アプリケーションサーバは、ページングSMSメッセージをSMSゲートウェイ交換器ノードへリダイレクトする。SMSゲートウェイ交換器ノードは、ページングSMSメッセージを受信し、ページングSMSメッセージを受信したことに応答して、非同期通信を開始することによって各ユーザ装置の接触を実行する。
【0038】
SMSをサポートするレガシーネットワークに登録されているユーザ装置と、SMSをサポートしないネットワークに登録されているユーザ装置とが混在した展開の変形例では、SMSゲートウェイ交換器ノードは、SMSを介して「レガシーデバイス」のアドレスを指定する。
【0039】
我々はSMSゲートウェイ交換器を動作させることを請求する。すなわち
1.レガシーインストールベースの場合、通常のSMS手順がトリガされることになる。
2.SMSをサポートしないNB-IoTデバイスの場合、非IPダウンリンクが選択されることになる。
ULは常に同じ方法でIPによって直接受信される。
【0040】
SMSゲートウェイ交換器ノードを含む別の実施形態では、ページングメッセージをユーザ装置に送信することは、
-コアネットワークがSMSをサポートしないことを確認すること、
-ページングSMSメッセージをSMSゲートウェイ交換器ノードに提供することを含み、
-ページングSMSメッセージは、SMSゲートウェイ交換器ノードにページング開始要求を生成させコアネットワークサービングゲートウェイサポート(以下SGSNという)ノードに提供させる指示を含むSMSメッセージであり、ページング開始要求は、コアネットワークSGSNノードに、非IPデータ配信を介したユーザ装置へのページングメッセージのプロビジョニングを、非IP通信プロトコルスタックを使用し無線セルラ無線アクセスネットワークを介して開始するように指示する。
【0041】
本発明の第3の態様によれば、アプリケーション機能を実行し、アプリケーションデータを無線セルラ無線アクセスネットワーク経由で提供するためのユーザ装置が、請求項10に従って提供される。ユーザ装置は、
-アプリケーション機能を実行しながらアプリケーションデータを生成するように構成されたアプリケーションユニットと、
-通信制御ユニットであって、
-ネットワークプロトコル層上のインターネットプロトコルを使用することを排除する非IP通信プロトコルスタックの非IP通信サービスへの使用を有効にし、
-非IP通信サービスのためだけのコアネットワークに無線セルラ無線アクセスネットワークを介して登録する際にユーザ装置の動作を制御し、
-アプリケーション機能と関連付けられたアプリケーションサーバにより開始されるページングメッセージ及び後続のRLCメッセージを非IP通信プロトコルスタックに従って受信すると、
-無線セルラネットワークを介したIP通信サービスを利用するユーザ装置からアプリケーションサーバへのアプリケーションデータの伝送要求をRLCメッセージから取り出し、
-IP通信サービスに使用されるIP通信プロトコルスタックのネットワークプロトコル層上のインターネットプロトコルに従ってアプリケーションサーバのネットワークアドレスをRLCメッセージから取り出し、
-IP通信プロトコルスタックの使用を有効にし、
-IP通信サービスをコアネットワークに無線セルラネットワークを介して要求し、IP通信プロトコルスタックのネットワークプロトコル層上のインターネットプロトコルに従うユーザ装置の動的ネットワークアドレスをコアネットワークから取得する際に、ユーザ装置の動作を制御し、
-無線セルラネットワークを介したIP通信サービス、ユーザ装置の確認した動的ネットワークアドレス、及びアプリケーションサーバのネットワークアドレスを使用して、アプリケーションデータをアプリケーションサーバに提供する際にユーザ装置の動作を制御するように構成されている通信制御ユニットと、を備える。
【0042】
第3の態様のユーザ装置は、第1の態様の方法を実行するように構成されているため、その利点を共有する。ユーザ装置の実施形態は、以上で説明したように、第1の態様の方法の実施形態の各1つを実行するように構成されている。
【0043】
本発明の第4の態様によれば、アプリケーションデータをユーザ装置から無線セルラ無線アクセスネットワークを介して回収するためのアプリケーションサーバが請求項11に従って提供される。
【0044】
アプリケーションサーバは、
-サーバ制御ユニットであって、
-非IP通信サービスのためにネットワークプロトコル層上のインターネットプロトコルを使用することを排除する非IP通信スタックに従うページングメッセージ及び後続のRLCメッセージの、無線セルラ無線アクセスネットワークを介した選択されたユーザ装置へのプロビジョニングをコアネットワークノードに開始するように指示するページング指示であって、ユーザ装置にRLCメッセージで転送するために、
-無線セルラ無線アクセスネットワークを介したユーザ装置とアプリケーションサーバとの間のIP通信サービス及びユーザ装置により確認されるユーザ装置の動的ネットワークアドレスを用いるユーザ装置からアプリケーションサーバへのアプリケーションデータの伝送要求、及び
-IP通信サービスに使用されるIP通信プロトコルスタックのネットワークプロトコル層上のインターネットプロトコルに従うアプリケーションサーバのネットワークアドレス
を含むページング指示を生成し、コアネットワークノードに送信する際にサーバの動作を制御し、
-IP通信サービスを利用して、要求したアプリケーションデータをユーザ装置から無線セルラ無線アクセスネットワーク経由で受信する際にサーバの動作を制御するように構成されているサーバ制御ユニットを備える。
【0045】
第4の態様のアプリケーションサーバは、第2の態様の方法を実行するように構成されているため、その利点を共有する。アプリケーションサーバの実施形態は、以上で説明したような第2の態様の方法の実施形態の各1つを実行するように構成されている。
【0046】
本発明の第5の態様によれば、請求項12に係るアプリケーションデータを生成しユーザ装置から無線セルラ無線アクセスネットワークを介して回収するための装置が提供される。装置は、第3の態様又はその実施形態の1つに係るユーザ装置、及び第4の態様又はその実施形態の1つに係るアプリケーションサーバを備える。
【0047】
第5の態様の装置の特定の実施形態は更に、
-SMSゲートウェイ交換器ノードを備え、
-アプリケーションサーバは、
-コアネットワークがショートメッセージサービス(以下SMSという)をサポートしないことを確認し、
-ページングSMSメッセージをSMSゲートウェイ交換器ノードに提供するように構成されており、
-SMSゲートウェイ交換器ノードは、ページングSMSメッセージを受信すると、
-コアネットワークサービス制御公開機能(以下SCEFという)ノードに、非IPデータ配信を介したページングメッセージのユーザ装置へのプロビジョニングを、非IP通信プロトコルスタックを使用し無線セルラ無線アクセスネットワークを介して開始するように指示するページング開始指示を、アプリケーションプログラムインターフェイスプロトコルを使用して生成しコアネットワークSCEFノードに提供するように構成されている。
【0048】
上記の代替案として、装置の別の実施形態は更に、
-SMSゲートウェイ交換器ノードを備え、
-アプリケーションサーバは、
-コアネットワークがショートメッセージサービス(以下SMSという)をサポートしないことを確認し、
-ページングSMSメッセージをSMSゲートウェイ交換器ノードに提供するように構成されており、
-SMSゲートウェイ交換器ノードは、ページングSMSメッセージを受信すると、
-コアネットワークサービングゲートウェイサポートノード(以下SGSNという)に非IPデータ配信を介したユーザ装置へのページングメッセージのプロビジョニングを、非IP通信プロトコルスタックを使用し無線セルラ無線アクセスネットワークを介して開始するように指示するページング開始要求を生成しコアネットワークSGSNノードに提供するように構成されている。
【0049】
本発明の第6の態様が、コンピュータのプログラマブルプロセッサに第1の態様又はその実施形態の1つに係る方法を実行するように指示する実行可能コードを含むコンピュータプログラムによって構成される。第7の態様が、コンピュータのプログラマブルプロセッサに第2の態様又はその実施形態の1つに係る方法を実行するように指示する実行可能コードを含むコンピュータプログラムによって構成される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
以下は添付図面の説明に移る。
【0051】
図1】無線セルラ無線アクセスネットワークを介したユーザ装置からアプリケーションサーバへのアプリケーションデータの従来技術によるサーバ主導のプロビジョニング方法の図。
図2】IoTネットワークアーキテクチャの模式図。
図3】本発明に係る無線セルラ無線アクセスネットワークを介したユーザ装置からアプリケーションサーバへのアプリケーションデータのサーバ主導のプロビジョニング方法の第1の実施形態の図。
図4】本発明に係る無線セルラ無線アクセスネットワークを介したユーザ装置からアプリケーションサーバへのアプリケーションデータのサーバ主導のプロビジョニング方法の第2及び第3の実施形態の図。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、無線セルラ無線アクセスネットワークを介したユーザ装置からアプリケーションサーバへのアプリケーションデータの従来技術によるサーバ主導のプロビジョニング方法の図である。
【0053】
アプリケーションサーバASが、1つ以上のユーザ装置デバイスUEからアプリケーションサーバASへのアプリケーションデータの伝送を開始するように動作する。ユーザ装置UEは、非IP通信サービスのための無線セルラ無線アクセスネットワークRANでアプリケーションデバイスとして動作する。ユーザ装置UEはコアネットワークCNに登録されている。ユーザ装置UEが収集したアプリケーションデータを回収するために、アプリケーションサーバASは、ステップS110においてSMSをコアネットワークのサービングゲートウェイサポートノードSGSNに送信することによってユーザ装置UEと連絡を取る。SMSは、ユーザ装置UEに収集したアプリケーションデータを伝送するように指示し、アプリケーションサーバのIPアドレスをデータ伝送の宛先ネットワークアドレスとして提供するペイロードデータを含む。周知のように、SMSを配信するために、サービングゲートウェイサポートノードSGSNは、SMSをモビリティ管理エンティティMMEに転送し(ステップS120)、MMEは、ここでユーザ装置UEが動作する無線アクセスネットワークRANの基地局BSと呼ばれるeNodeBを確認し、ステップS130においてSMSを基地局BSに転送し、その結果SMSは最終的にステップS140において基地局BS経由でユーザ装置UEに配信される。SMSを受信すると、ユーザ装置UEはステップS150においてモビリティ管理エンティティMMEとの制御交換におけるパケットデータプロトコル(PDP)接続要求によってIP通信サービスをコアネットワークCNに要求する。動的IPアドレスを受信した後、ユーザ装置は、ステップS160においてアプリケーションデータをアプリケーションサーバASに基地局BS及びコアネットワークCN内のサービングゲートウェイサーバSGW経由で転送することを開始する。アプリケーションデータはアプリケーションサーバで終了する。すなわち、モバイルネットワークオペレータ(MNO)との更なる相互作用はアップリンクには不要である。
【0054】
ユーザ装置はIP通信サービスを利用するときはいつでも動的IPアドレスのみで動作するため、上記のプロセスは、アプリケーションサーバASがユーザ装置UEをトリガすることを可能にするためにSMSの利用可能性に依存する。したがって、上記のプロセスは、ネットワークが一時的にせよ永久的にせよSMS機能を提供しないときに使用されない可能性がある。後者は5G NB-IoT通信規格に適合するネットワークに適用される。
【0055】
本発明のプロセスは以下の考慮事項及び認識に基づいている。SMS機能がないがユーザ装置UEが動的IPアドレスを使用するユーザ装置からアプリケーションサーバASへのサーバ主導のデータ伝送を可能にするための1つの技術的解決策は、ユーザ装置UEにユーザ装置とアプリケーションサーバとの間のデータ接続を継続的に維持するように求めることである可能性がある。ただし、これはデータトラフィックを増やすことになり、結果として、ユーザ装置UEのオペレータの稼働中にコストを生み出すが利益を生み出さない可能性がある。更にこの解決策は、自身の制御下でデータを送信することを好むユーザ装置デバイスのオペレータに受け入れられる可能性が低くなる。
【0056】
一方、前述のように固定IPアドレスを使用することは、モバイルネットワークオペレータ(MNO)により課されるより高いコストを生み出す。ユーザ装置にアプリケーションサーバとの接続を断続的にのみ確立させることは、かかる接続が、アプリケーションデータが転送されない場合に潜在的に無駄な、ひいては望ましくないデータトラフィックを発生させるために望ましくない。したがって、アプリケーションデータの伝送は、アプリケーションサーバのみの要求に応じたもので、伝送の時点も同様にアプリケーションサーバの制御下にあるべきである。
【0057】
図2は、本発明の使用に適した例示的なIoTネットワークアーキテクチャの模式図である。ネットワークアーキテクチャは公知である。ユーザ装置デバイスUE、無線アクセスネットワークRAN及びコアネットワークは、MNOドメインのモバイルネットワークオペレータ(MNO)が動作させる。MNOドメインのコアネットワークノードから、モビリティ管理エンティティMME、サービングゲートウェイサポートノードSGSN及びサービングゲートウェイSGWのみが示されている。このコアネットワークノードは一般に知られているため更なる説明を要しない。IoTコアネットワークがコアネットワークの一部としてIoTドメインを構成する。IoTコアネットワークは通常、モバイル仮想ネットワークオペレータ(MVNO)又はMNO自身が動作させる。IoTドメインのネットワークノードから、パケットデータネットワークゲートウェイP-GW及びゲートウェイGRPRSサポートノードGGSNが示されている。サービス制御公開機能すなわちSCEFが、エンタープライズドメインのアプリケーションサーバ(AS)とのアプリケーションプログラミングインターフェイスを動作させる働きをする。SCEFは図2に示すようにIoTドメインのエッジに存在することがある。代替的に、SCEFは完全にIoTドメインの内部にあり、IoTドメインのエッジにある外部API管理プラットフォームとインターフェイスすることがある。
【0058】
図3は、本発明に係る無線セルラ無線アクセスネットワークを介したユーザ装置からアプリケーションサーバへのアプリケーションデータのサーバ主導のプロビジョニング方法の第1の実施形態の図である。実施形態は、非IP通信サービスのためのコアネットワークに無線セルラ無線アクセスネットワークを介して登録されているユーザ装置からアプリケーションデータを回収する際にアプリケーションサーバを動作させる方法を同時に示している。図3に示すネットワーク構造は図1と同様に模式的であるにすぎない。図2との関連でより詳細に説明されるネットワーク構造は、本実施形態を実施するのに適している。
【0059】
図3に示す方法によれば、ユーザ装置UEが、アプリケーションデータを生成するアプリケーション機能を実行するように動作する。アプリケーション機能の一例は計測機能である。1つの例示的な実施形態では、ユーザ装置は、家庭で消費される電力を測定するための固定式計量デバイスであり、無線通信デバイスを備える。年に1回などの事前定義された一定間隔で、又は家庭の居住者の変更などの事前のスケジューリングができない事前定義された機会に、計量デバイスの現在の測定値が、課金プロセスに必要なアプリケーションデータを供給するためにユーザ装置/計量デバイスのオペレータに提供されることになる。このため、ユーザ装置のオペレータは更に、エンタープライズドメインの1つ以上のアプリケーションサーバASを動作させる。
【0060】
方法が始まるとき、ユーザはそのアプリケーション機能を実行する際に、非IP通信サービスのためのコアネットワークに無線セルラ無線アクセスネットワークRANを介して登録される。
【0061】
プロセスは、ステップS310においてアプリケーションサーバがコアネットワークノードにページング指示を送信することによって開始される。本実施形態では、コアネットワークノードはIoTコアネットワークのSCEFである。ページング指示は、アプリケーションプログラムインターフェイスプロトコルを使用して提供され、選択されたユーザ装置UEを無線セルラ無線アクセスネットワークRANを介してページングするための、非IPデータ配信を介したページングメッセージのプロビジョニングを、非IP通信を用いて、ひいては非IP通信に従って開始するようにSCEFを開始する。したがって、図1の既知の方法と比較して、完全に異なるメカニズムがアプリケーションデータの転送を開始するのに使用される。
【0062】
ページングは、ユーザ装置に音声着信又は他のネットワーク発信トラフィックを通知するために通常用いられる技術である。本方法では、ページングは他の目的で使用され、他のネットワークノード及び他の制御情報のユーザ装置UEへのプロビジョニングを含む。具体的には、コアネットワーク内でユーザ装置UEへのページングを開始するのは、既知のページングプロセスと同様のコアネットワークのモバイル交換センター(MSC)ではなく、アプリケーションサーバASにより使用されるSCEFである。このためSCEFは、ステップS320において対応するページング指示をモビリティ管理エンティティMMEに送信する。後続のステップS330において、MMEは、ページングをSCEFがアプリケーションサーバASから最初に受信した無線インターフェイス上で使用されるページングアドレスであるユーザ装置UEのIMSI又はMSISDNとともに転送する。したがってMMEは、このステップS330においてページングを、以下で更に詳述される全ての更なる情報とともに、UEが登録されているRANの基地局BSに転送する。このRANは、ユーザ装置が固定式であるか可動性であるかによってアプリケーションサーバASによって知られていることも知られていないこともある。いずれにせよ、RANはモビリティ管理エンティティMMEによって知られている。次いで基地局BSは、ステップS340においてユーザ装置UEのページングを実行する。
【0063】
標準的な音声呼ページングプロセスから更にずれて、本実施形態に従って提供されるページング指示はまた、SCEFにページングメッセージに続く特定の無線リンク制御RLCメッセージのプロビジョニングを制御するように指示する。以下の情報は、ページングメッセージに続くRLCメッセージでユーザ装置に転送するために提供される:
-無線セルラ無線アクセスネットワークRANを介したユーザ装置UEとアプリケーションサーバASとの間のIP通信サービス及びユーザ装置により確認されるユーザ装置の動的ネットワークアドレスを用いるユーザ装置UEからアプリケーションサーバASへのアプリケーションデータの伝送要求、及び
-IP通信サービスに使用されるIP通信プロトコルスタックのネットワークプロトコル層上のインターネットプロトコルに従ってアプリケーションデータが配信されるアプリケーションサーバのネットワークアドレス。
【0064】
ユーザ装置間のIP通信サービスを利用するユーザ装置からアプリケーションサーバASへのアプリケーションデータの伝送要求を含む代わりに、RLCメッセージは、アプリケーションサーバとの接続チャネルの設定要求のみを含むことがある。これは、特に全てのページング規定コンテキスト設定が常にIP形式で行われ、したがって、制御情報が接続チャネルの設定要求を受信する際に黙示的であることがデバイスによって知られている場合に可能であり、結果として、アプリケーションデータの伝送要求に明示的に含めることを不要にする。
【0065】
より高度な方法において、メッセージは、共有秘密鍵に関連する情報を含むこともあり、共有秘密鍵はデバイスとサーバとの間の通信の暗号化に使用される秘密鍵からIDを導出することが意図されている。
【0066】
RLCメッセージのプロビジョニングは、図3では使用されるノードが同一であるためページングフローと視覚的に区別されない。RLCメッセージは基地局/eNodeBによって提供され、必要に応じてMMEから取得されるUE能力情報に基づいている。MMEはまたページングエンティティである。上記のプロセスは、一部の実施形態では固定式ユーザ装置デバイスでのみ用いられる。他の実施形態では、プロセスはモバイルユーザ装置デバイスで、又はモバイル及び固定式ユーザ装置デバイスの組み合わせで用いられる。少なくともコアネットワークはユーザ装置デバイスのMSISDNを知っているため、たとえ移動中であっても本発明の方法を用いてユーザ装置デバイスをアドレス指定することを可能にする。
【0067】
ページングメッセージを受信すると、ユーザ装置UEは、RRC接続を確立するための音声呼の既知のサービス要求手順を実行しない。代わりに、ユーザ装置UEは、無線セルラネットワークを介したIP通信サービスを利用するユーザ装置からアプリケーションサーバへのアプリケーションデータの伝送要求をRLCメッセージから取り出す。このステップは図3には示されていない。更に、ユーザ装置UEはRLCメッセージからアプリケーションサーバのIPネットワークアドレスを取り出す。次いでユーザ装置UEは、IP通信プロトコルスタックの使用を有効にすることによって非IPモードからIPモードに切り替わる。ユーザ装置UEは、ステップS350において、コアネットワークに、具体的にはモビリティ管理エンティティMMEに無線セルラネットワークを介してIP通信サービスを要求する。より具体的には、ユーザ装置UEは、アップリンクIP通信サービスのためのベアラ情報のユーザ装置からのプロビジョニングを要求する。このようにユーザ装置は、モビリティ管理エンティティMMEから動的IPアドレス及びベアラ情報を取得する。
【0068】
受信したベアラ情報が示すベアラ、宛先アドレスであるアプリケーションサーバASのIPアドレスを使用し、発信元アドレスであるユーザ装置自身の動的IPアドレスを使用して、ユーザ装置UEは、ステップS360においてアプリケーションデータをアプリケーションサーバASに無線セルラネットワークRAN経由及び割り当てられたコアネットワークサービングゲートウェイノードSGW経由で送信する。
【0069】
したがって、アプリケーションサーバASは、要求したアプリケーションデータをユーザ装置から無線セルラ無線アクセスネットワーク経由で受信して、本実施形態の非同期通信方法を完了する。
【0070】
このプロセスの説明から理解されるように、ユーザ装置UEからのデータ伝送がユーザ装置の動的IPアドレスの使用を含むにもかかわらず、データ伝送の開始はSMSの使用を必要とせずにアプリケーションサーバASによって実行される。このようにアプリケーションサーバは、SMS機能が無線通信ネットワークによって提供されない場合も要求に応じてアプリケーションデータの伝送を制御することができる。したがって、プロセスはレガシーSMSサービスを提供しないNB-IoTネットワークに特に適している。プロセスはまた、アプリケーションサーバのオペレータがサービスプロバイダとして機能することを可能にし、したがって、MNOオペレータがサービスプロバイダとして機能することを回避する。
【0071】
また、ユーザ装置は、通常の非IPモード及びデータ伝送のためだけに動的IPアドレスを使用するIPモードを含むコスト削減動作モード及びエネルギー節約動作モードで動作することができる。なぜなら、ページングプロセスがアプリケーションサーバへのデータ伝送を開始するのに使用されるためである。アプリケーションデータの伝送が必要であるかどうかをチェックするために、アプリケーションサーバとの接続を維持する必要性又はアプリケーションサーバとの接続を周期的に確立する必要性はない。ユーザ装置UEは、MMEとのPDPコンテキストを開き、このコンテキストをアプリケーションデータを転送するために後で使用する。
【0072】
図3の方法を実行するためのユーザ装置UEは特定の特徴を有する。アプリケーション機能を実行しながらアプリケーションデータを生成するように構成されたアプリケーションユニットを備えることに加えて、ユーザ装置UEは、
-非IP通信サービスにネットワークプロトコル層上のインターネットプロトコルを使用することを排除する非IP通信プロトコルスタックの使用を有効にし、
-非IP通信サービスのためだけのコアネットワークに無線セルラ無線アクセスネットワークを介して登録する際にユーザ装置の動作を制御し、
-アプリケーション機能と関連付けられたアプリケーションサーバにより開始されるページングメッセージ及び後続のRLCメッセージを非IP通信プロトコルスタックに従って受信すると、
-無線セルラネットワークを介したIP通信サービスを利用するユーザ装置からアプリケーションサーバへのアプリケーションデータの伝送要求をRLCメッセージから取り出し、
-IP通信サービスに使用されるIP通信プロトコルスタックのネットワークプロトコル層上のインターネットプロトコルに従ってアプリケーションサーバのネットワークアドレスをRLCメッセージから取り出し、
-IP通信プロトコルスタックの使用を有効にし、
-IP通信サービスをコアネットワークに無線セルラネットワークを介して要求し、IP通信プロトコルスタックのネットワークプロトコル層上のインターネットプロトコルに従うユーザ装置の動的ネットワークアドレスをコアネットワークから取得する際に、ユーザ装置の動作を制御し、
-無線セルラネットワークを介したIP通信サービス、ユーザ装置の確認した動的ネットワークアドレス、及びアプリケーションサーバのネットワークアドレス用いてアプリケーションデータをアプリケーションサーバに提供する際にユーザ装置の動作を制御する
ように構成されている特定の通信制御ユニットを有する。
【0073】
またアプリケーションサーバASは、アプリケーションサーバから従来知られていない特定の能力を必要とする。具体的には、アプリケーションサーバは、
-ネットワークプロトコル層上のインターネットプロトコルを非IP通信サービスに使用することを排除する非IP通信スタックに従うページングメッセージ及び後続のRLCメッセージの、選択されたユーザ装置への無線セルラ無線アクセスネットワークを介したプロビジョニングをコアネットワークノードに開始するように指示するページング指示であって、ユーザ装置にRLCメッセージで転送するために、
-無線セルラ無線アクセスネットワークを介したユーザ装置とアプリケーションサーバとの間のIP通信サービス及びユーザ装置により確認されるユーザ装置の動的ネットワークアドレスを用いるユーザ装置からアプリケーションサーバへのアプリケーションデータの伝送要求、及び
-IP通信サービスに使用されるIP通信プロトコルスタックのネットワークプロトコル層上のインターネットプロトコルに従うアプリケーションサーバのネットワークアドレス
を含むページング指示を生成し、コアネットワークノードに送信する際にサーバの動作を制御し、
-IP通信サービスを利用して、要求したアプリケーションデータをユーザ装置から無線セルラ無線アクセスネットワーク経由で受信する際にサーバの動作を制御するように構成されているサーバ制御ユニットを有する。
【0074】
図4は、本発明に係る無線セルラ無線アクセスネットワークを介したユーザ装置からアプリケーションサーバへのアプリケーションデータのサーバ主導のプロビジョニング方法の第2及び第3の実施形態の図である。
【0075】
このプロセスは図3を参照して説明したものとほぼ同じである。したがって、以下の説明は、冗長な繰り返しを避けるために相違点に焦点を合わせることにする。
【0076】
図4の実施形態は、関連付けられたユーザ装置デバイスをトリガするのに使用されるコアネットワークがSMSをサポートするか否かにかかわらず、アプリケーションサーバが同一の開始プロセスを用いることを可能にする役割を果たす。このため、図4に示すように、本実施形態のネットワーク構造は、SMSゲートウェイ交換器ノードSMS-GW-RPである追加のネットワークノードによって強化される。
【0077】
図4は、異なる能力を備えた異なるSMSゲートウェイ交換器ノードの使用を含む2つの異なるプロセスの実施形態を示している。第1の実施形態では、SMSゲートウェイ交換器ノードは、ページングSMSメッセージを受信すると、アプリケーションプログラムインターフェイスプロトコルを使用してページング開始指示を生成し、コアネットワークサービス制御公開機能(以下SCEFという)ノードに提供するように構成されている。ページング開始指示は、図3との関連で説明されたコアネットワークSCEFノードに、非IPデータ配信を介したユーザ装置へのページングメッセージのプロビジョニングを、非IP通信プロトコルスタックを使用し無線セルラ無線アクセスネットワークを介して開始するように指示する。この実施形態は、アプリケーションサーバが本明細書ではページングSMSメッセージと呼ばれるレガシーSMSメッセージをページング指示として使用することを可能にする。したがって、APIを介してSCEFと直接通信する代わりに、アプリケーションサーバは、SMSゲートウェイ交換器ノードSMS-GW-RPに向けられるページングSMSを使用する。次いで、各ユーザ装置がSMSをサポートするレガシーネットワークで動作しているかSMSをサポートしないネットワークで動作しているかによって、SMSゲートウェイ交換器ノードSMS-GW-RPは、図3との関連で説明したように、ページングSMSをSGSNに転送するか、ページング指示を生成してSCEFに提供する。
【0078】
SMS-GW-RPは、レガシーデバイスに透過的で非IPデバイスを認識し非IPデバイスに対する要求を適宜変更する追加の機能である。SMSゲートウェイ交換器ノードSMS-GW-RPは、アプリケーションサーバの不可欠な一部として実装される可能性がある。他の実施形態では別個のノードである。これは、変更することなくレガシーアプリケーションサーバを使用できるという特別な利点を有する。
【0079】
要するに、非IP通信サービスのために登録されたユーザ装置UEがアプリケーション機能を実行する。アプリケーションデータを無線アクセスネットワーク経由で提供するために、方法が、非IP通信プロトコルに従ってページングメッセージ及び後続の無線リンク制御RLCメッセージを受信することを含む。ページングメッセージ及びRLCメッセージは、アプリケーション機能と関連付けられたアプリケーションサーバによって開始される。UEは、IP通信プロトコルスタックに従ってアプリケーションサーバのネットワークアドレスを取り出し、IP通信プロトコルスタックの使用を有効にする。次いでUEは、IP通信サービスをコアネットワークに無線セルラネットワークを介して要求し、インターネットプロトコルに従って動的ネットワークアドレスを取得し、その動的ネットワークアドレス及びアプリケーションサーバのネットワークアドレスを使用して、アプリケーションデータをアプリケーションサーバにIP通信サービスを利用し無線セルラネットワーク経由で提供する。
【0080】
したがって、ユーザ装置がネットワークに非IPデバイスとして登録されており、非IPページングでない限り、そのペイロードを配信するための宛先IPアドレスを含む非IP通信機能を適宜使用する非同期通信方法が開示されている。この例では、ユーザ装置は上記ページングに応答して提供されたサーバのIPアドレスへのIPトンネルを直接確立する。より高度な実施形態では、IPアドレスはユーザ装置にも知られており、ページングは追加のセキュリティのためのチャレンジ・レスポンスを含む。
図1
図2
図3
図4