(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】海洋波エネルギーハーベスティングシステム
(51)【国際特許分類】
F03B 13/14 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
F03B13/14
(21)【出願番号】P 2023522436
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(86)【国際出願番号】 EP2021078301
(87)【国際公開番号】W WO2022079096
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-06-08
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(73)【特許権者】
【識別番号】518008275
【氏名又は名称】ルクセンブルク インスティトゥート オブ サイエンス アンド テクノロジー(リスト)
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポレセル,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ソアレス,ブリュノ
(72)【発明者】
【氏名】ジェラール,マチュー
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104110347(CN,A)
【文献】国際公開第2020/110472(WO,A1)
【文献】特公昭41-020135(JP,B1)
【文献】特開平07-223583(JP,A)
【文献】国際公開第2019/103510(WO,A1)
【文献】特開昭62-182480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 13/00-13/26
F03B 17/00-17/06
F03D 1/00-80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海の波(4)などの波(4)から電力を発生するように構成されたシステム(2)であって、システム(2)は、
水密エンクロージャ(12)を備える浮力体(10)を備えており、水密エンクロージャ(12)には、
浮力体(10)に対して回転するように構成された入力シャフト(26)を含む発電機(24)、
発電機(24)に結合された第1のアーム(30)、
第2のアーム(32)、
第2のアーム(32)を第1のアーム(30)に回転可能に結合する旋回ジョイント(34)であって、前記旋回ジョイント(34)は第1のアーム(30)によって発電機(24)にリンクされる、旋回ジョイント(34)
が配置され
、
システムは主要軸(8)に沿って延び、浮力体(10)は平衡配向を備え、入力シャフト(26)は第1の回転軸(28)を備え、旋回ジョイント(34)は第2の回転軸(36)を備え、前記回転軸(28;36)は、主要軸に実質的に平行に延び、アーム(30;32)は、主要軸に対して実質的に垂直に延びる、システム(2)。
【請求項2】
システムは主要軸(8)に沿って延び、浮力体(10)は平衡配向を備え、入力シャフト(26)は、第1の回転軸(28)を備え、旋回ジョイント(34)は、第2の回転軸(36)を備え、前記回転軸(28;36)は、主要軸に対して実質的に垂直に延び、アーム(30;32)は、主要軸に対して実質的に平行に延びる、請求項
1に記載のシステム(2)。
【請求項3】
第1のアーム(30)が第1の長さL1を備え、第2のアーム(32)が第1の長さL1より短い第2の長さL2を備える、請求項1から
2のいずれか一項に記載のシステム(2)。
【請求項4】
長さ比L1/L2は、1から5まで、または2から3までの範囲である、請求項
3に記載のシステム(2)。
【請求項5】
第1のアーム(30)が第1の重量W1を備え、第2のアーム(32)が第1の重量W1よりも重い第2の重量W2を備える、請求項1から
4のいずれか一項に記載のシステム(2)。
【請求項6】
重量比W2/W1が0.8から5の範囲である、請求項
5に記載のシステム(2)。
【請求項7】
システム(2)が全体の重量Woを備え、比Wo/(W1+W2)が2から6の範囲である、請求項
5から
6のいずれか一項に記載のシステム(2)。
【請求項8】
第1のアーム(30)は、第1の長さL1および第1の重量W1を有し、第2のアーム(32)は、第2のより短い長さL2および第2のより重い重量W2を有し、重量比(W2/W1)を長さ比(L1/L2)で割った慣性比φは、1から4、好ましくは2から3の範囲である、請求項1から
7のいずれか一項に記載のシステム(2)。
【請求項9】
第1のアーム(30)に沿って、前記第1のアーム(30)は、旋回ジョイント(34)に第1の重りブロック(42)を備え、第2のアーム(32)に沿って、前記第2のアーム(32)は、旋回ジョイント(34)の反対側に第2の重りブロック(44)を備える、請求項1から
8のいずれか一項に記載のシステム(2)。
【請求項10】
発電機(24)は、内側回転子と、第1のアーム(30)を内側回転子に結合するギアボックス(38)とを備え、前記ギアボックス(38)は、少なくとも30の増倍比を備える、請求項1から
9のいずれか一項に記載のシステム(2)。
【請求項11】
システム(2)は、主要軸(8)と、主要軸(8)を中心とする浮力体(10)の回転を低減するように構成された手段とを備える、請求項1から
10のいずれか一項に記載のシステム(2)。
【請求項12】
システム(2)は、浮力体(10)を、特に波面(6)に対して事前定義された配向に向けるように構成される、釣り合い重り、またはバラスト(18)、または固定手段などの手段を備える、請求項1から
11のいずれか一項に記載のシステム(2)。
【請求項13】
システム(2)は浮遊ライン(14)を備え、アーム(30;32)はシステムの主軸(8)に沿って前記浮遊ライン(14)の上方に配置される、請求項1から
12のいずれか一項に記載のシステム(2)。
【請求項14】
システム(2)は重心(16)を備え、第1のアーム(30)および第2のアーム(32)のうちの少なくとも1つは、システムの主軸(8)に沿って前記重心(16)から離れて配置される、請求項1から
13のいずれか一項に記載のシステム(2)。
【請求項15】
発電機(24)は、入力シャフトを浮力体(10)に回転可能に結合する回転リンク(40)を備え、前記回転リンク(40)は、少なくとも0.016Ns/mの減衰係数を備える、請求項1から
14のいずれか一項に記載のシステム(2)。
【請求項16】
発電機(24)は、増倍ファクタが少なくとも30のギアボックス(38)を備え、特に入力シャフトにおいて、少なくとも10mN.m、好ましくは24mN.mのコギングトルクを備える、請求項1から
15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
請求項1から
16のいずれか一項に記載のシステム(2)を備える自律浮遊分析ステーションであって、好ましくは、システム(2)の主要軸(8)に沿って、第1のアーム(30)および第2のアーム(32)よりもシステム(2)の浸水可能端の近くに配置された水路(20)を備える、自律浮遊分析ステーション。
【請求項18】
システム(2)は、その主要軸(8)に沿って、アーム(30;32)よりもシステム(2)の浸水可能端から離れて配置されたアンテナ(22)を含む通信モジュールを備える、請求項
16に記載の自律浮遊分析ステーション。
【請求項19】
浮力体(10)を備えたシステム(2)のギアボックス(38)および入力シャフト(26)を含む発電機(24)をアクティブ化するために、直列に旋回可能に結合された2つのアーム(30;32)の使用であって、前記システム(2)は、波エネルギーを用いて電気エネルギーを発生するように構成され、システム(2)は、請求項1から
16のいずれか一項に従う、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋エネルギーハーベスタの分野にある。より正確には、本発明は、波から電力への機械的エネルギーの変換によって電力を発生する浮遊システムの分野にある。
【背景技術】
【0002】
海洋と海は、無限のグリーンエネルギー源と見なされる。それらは、潮による水の流れを示し、これが水力タービンをアクティブ化するように構成される。さらに、それらの波は、水面でエネルギーハーベスタに供給するのに便利である。例えば、波エネルギーハーベスタは、浮遊体の水平なセットを整列させることができる。波が水面上の整列したセットに沿って走るとき、浮遊体は互いに対して旋回する。発電機は、隣接する浮遊体の傾きの違いを利用して、電気エネルギーを連続的に発生する。この電気エネルギーは、その場で使用、貯蔵、または電力ネットワークに注入される。しかし、この技術には長い自由表面が必要である。また、可動部品が塩分や腐食性の環境にさらされる。
【0003】
代替として、波ハーベスタは、発電機に結合された旋回アームを備える。しかしながら、そのような発電機は、アームの運動を妨げるコギングトルクを備え、それによりアームの振り子運動がブロックされるので、エネルギー出力を低減する。大事なことを言い忘れていたが、アームの回転スピードが遅い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の欠点の少なくともいくつかを克服するシステムを提示することである。特に、本発明の目的は、海の波からの電力発生を改善するシステムを提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、海の波などの波から電力を発生するように構成されたシステムが提供される。このシステムは、水密エンクロージャを備える浮力体を備え、水密エンクロージャには以下が配置される:
浮力体に対して回転するように構成された入力シャフトを含む発電機;発電機に結合された第1のアーム;第2のアーム;第2のアームを第1のアームに回転可能に結合する旋回ジョイントであって、前記旋回ジョイントは第1のアームによって発電機にリンクされる、旋回ジョイント。
【0006】
システムは、好ましくは主要軸(principal axis)に沿って延びることができる。浮力体は好ましくは平衡配向を備え、入力シャフトは好ましくは第1の回転軸を備え、旋回ジョイントは好ましくは第2の回転軸を備え得る。回転軸は、主要軸に対して実質的に平行に延び;アームは、主要軸に対して実質的に垂直に延びる。
【0007】
好ましくは、システムは主要軸に沿って延びることができる。浮力体は好ましくは平衡配向を備え、入力シャフトは好ましくは第1の回転軸を備え、旋回ジョイントは好ましくは第2の回転軸を備え得る。回転軸は、主要軸に対して実質的に垂直に延び;アームは、主要軸に対して実質的に平行に延びる。
【0008】
本発明の別の態様によれば、海の波などの波から電力を発生するように構成されたシステムが提供され;システムは:浮力体;浮力体に対して回転するように構成された入力シャフトを含む発電機;発電機に結合された第1のアーム;第2のアーム;第2のアームを第1のアームに回転可能に結合する旋回ジョイントであって、前記旋回ジョイントは第1のアームに沿って入力シャフトから離れた旋回ジョイントを備え、および/または前記旋回ジョイントは、第1のアームによって発電機にリンクされ;および/または第2のアームは、第1のアームによって発電機にリンクされる。
【0009】
好ましくは、浮力体は平衡配向を備え、入力シャフトは第1の回転軸を備え、旋回ジョイントは第2の回転軸を備え、前記回転軸は垂直であり;アームは水平である。
【0010】
好ましくは、浮力体は主要軸に沿って延びることができる。
【0011】
好ましくは、浮力体は平衡配向を備え、入力シャフトは第1の回転軸を備え、旋回ジョイントは第2の回転軸を備え、前記回転軸は水平、すなわち、本体の主要軸に対して実質的に垂直に延び得;アームは垂直、すなわち本体の主要軸に実質的に平行である。
【0012】
好ましくは、第1のアームは第1の長さL1を備え得、第2のアームは第1の長さL1より短いことがある第2の長さL2を備え得る。
【0013】
好ましくは、長さ比L1/L2は:1から5まで;または2から3までの範囲であり得る。
【0014】
好ましくは、第1のアームは第1の重量W1を備え、第2のアームは第1の重量W1よりも重いことがある第2の重量W2を備える。
【0015】
好ましくは、重量比W2/W1は:0.8から5の範囲であり得る。
【0016】
好ましくは、システムは全体の重量Woを含み、比Wo/(W1+W2)は2から6の範囲であり得る。
【0017】
好ましくは、重量比δ/長さ比μの慣性比φは、1から4、好ましくは2から3の範囲であってもよい。
【0018】
好ましくは、第1のアームは、第1の長さL1および第1の重量W1を有し得、第2のアームは、第2のより短い長さL2と、第2のより重い重量W2とを有することができ、重量比(W2/W1)を長さ比(L1/L2)で割った慣性比φは、1から4、好ましくは2から3の範囲であり得る。
【0019】
好ましくは、第1のアームに沿って、前記第1のアームは旋回ジョイントに第1の重りブロックを備え得、および/または第2のアームに沿って、前記第2のアームは旋回ジョイントの反対側に第2の重りブロックを備え得る。
【0020】
好ましくは、発電機は、内側回転子と、第1のアームを内側回転子に結合するギアボックスとを備えることができ、前記ギアボックスは、少なくとも30の増倍(multiplication)比を備えることができる。
【0021】
好ましくは、システムは、主軸(main axis)もしくは主要軸などの垂直軸、垂直軸および/または主軸もしくは主要軸、および垂直軸および/または主軸の周りの浮力体の回転を低減するように構成された手段を備えることができる。
【0022】
システムは、好ましくは、主要軸と、主要軸を中心とする浮力体の回転を低減するように構成された手段とを備えることができる。
【0023】
好ましくは、システムは、釣り合い重り、またはバラスト、または固定手段などの手段を備えることができ;これは、特に波面に関して、浮力体を事前定義された配向に向けるように構成することができる。
【0024】
好ましくは、システムは浮遊ラインを備え得、アームは前記浮遊ラインの上方にあり得る。
【0025】
システム(2)が浮遊ライン(14)を備え、アーム(30;32)は、システムの主軸(8)に沿って前記浮遊ライン(14)の上方に配置される、請求項1から13のいずれか1項に記載のシステム(2)。
【0026】
好ましくは、システムは重心を備え、第1のアームおよび第2のアームの少なくとも1つは、前記重心から垂直方向に離れていてもよい。
【0027】
システムは好ましくは重心を備え得、第1のアームおよび第2のアームの少なくとも1つは、システムの主軸または主要軸に沿って前記重心から離れて配置される。
【0028】
好ましくは、発電機は、入力シャフトを浮力体に回転可能に結合する回転リンクを備えることができ、前記回転リンクは、少なくとも0.016Ns/mの減衰係数を備えることができる。
【0029】
好ましくは、発電機は、少なくとも30の増倍ファクタを有するギアボックスを備えることができ、少なくとも:10mN.m;好ましくは24mN.mのコギングトルクを含んでもよい。
【0030】
好ましくは、本体は、アームが配置される水密エンクロージャを備えることができる。
【0031】
好ましくは、第2のアームは自由アームであり、発電機とは独立して自由に回転する自由端を備えることができる。
【0032】
好ましくは、回転軸は互いに平行であり得る。
【0033】
好ましくは、アームは動くために同じ平面内で接続および制限され、および/またはアームは相互に平行であり、および/またはアームは平行平面内で動くように構成され得る。
【0034】
好ましくは、発電機は、入力シャフトの回転が発電機に電気エネルギーを生成するように構成されてもよい。
【0035】
好ましくは、本体は、40cmの外径、および/または1kgから10kg、または1kgから5kgの範囲の重量を備え得る。
【0036】
好ましくは、システムは下半分と上半分を備え、アームは上半分に配置され得る。
【0037】
好ましくは、システムは、垂直旋回軸の周りに慣性を備えることができる。
【0038】
好ましくは、アンテナは発電機の上方;および/または浮力体の上半分に配置され得る。
【0039】
入力シャフトは、本発明の本質的な態様ではない。
【0040】
本発明の別の態様は、以下を備えるエネルギーリカバリーシステムを提供することである:
浮遊体;
システム、特に浮遊体の平衡配向を規定するように構成された任意選択の手段であって、前記手段は、任意選択として釣り合い重りを備える、手段;
垂直方向;
発電機;
第1の回転軸;
発電機に結合された第1のアーム;
第1のアームを第2のアームに結合する第2の回転軸;
第1の回転軸からオフセットされた第2の回転軸において第1のアームに取り付けられ、任意選択として第1のアームから離れたところに自由端を有する第2のアーム。
【0041】
本発明の別の態様は、波エネルギーを用いて電力を発生するように構成されたシステムを提供することであり、システムは:
浮力体
回転軸を含む発電機;
例えば直接的または間接的に入力シャフトに取り付けられた第1のアーム;
第1のアームに回転可能に取り付けられた第2のアーム;を備え、
第1のアームは第2のアームに取り付けられた旋回ジョイントを備え、前記旋回ジョイントは回転シャフトから離れている。
【0042】
本発明の別の態様は、波エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成されたシステムを提供することであり、このシステムは特に、機械的エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成されたエネルギー変換器であり、システムは:
浮遊体;
好ましくは、システム、浮遊体それぞれの平衡配向を規定する釣り合い重り;
第1の回転軸を有する入力シャフトを含む発電機;
少なくとも2つのセグメントを有する関節チェーン
を備え、前記関節チェーンは、入力シャフトおよび/または第1の回転軸に取り付けられた第1の端部と、第1の端部の反対側の自由端である第2の端部とを備える。
【0043】
本発明の別の態様は、波エネルギーリカバリーのために構成されたシステムを提供することであり、システムは:
浮力体
システム/本体の平衡配向を規定する釣り合い重り;
第1の回転軸を含む発電機;
入力シャフトに取り付けられたクランク;
第2の回転軸;
第2の回転軸においてクランクに回転可能に取り付けられたロッカーであって、クランクは任意選択で第1のアームを形成し、ロッカーは任意選択で第2のアームを形成する、ロッカー
を、備える。
【0044】
本発明の別の態様は、海の波などの波から電力を発生するように構成されたシステムを提供することであり;システムは:
浮力体;
コギングトルク;浮力体に対して回転するように構成された入力シャフトとを含む発電機;
海の波によって発電機のコギングトルクに打ち勝つように構成された一対の結合されたアーム;を備え、任意選択で、アームの無秩序な軌道を使用する。
【0045】
本発明の別の態様は、本発明によるシステムを備える自律浮遊分析ステーションを提供することであり、自律浮遊分析ステーションは、好ましくは、第1のアームおよび第2のアームの下に水路を備える。
【0046】
本発明のさらなる態様によれば、自律浮遊分析ステーションが提供される。ステーションは、本発明の態様によるシステムを備える。自律浮遊分析ステーションは、好ましくは、システムの主要軸に沿って、第1のアームおよび第2のアームよりもシステムの浸水可能端の近くに配置された水路を備える。
【0047】
好ましくは、システムは、アームの上方にアンテナを含む通信モジュールを備える。
【0048】
システムは、好ましくは、その主要軸に沿って、アームよりもシステムの浸水可能端から離れて配置されたアンテナを含む通信モジュールを備えることができる。
【0049】
本発明の別の態様は、浮力体、入力シャフトを備えた発電機、第1のアーム、第1のアームに旋回可能に結合された第2のアームを含むシステムによるエネルギー発生プロセスを提供することであり;エネルギー発生プロセスは、以下のステップ:水中で、特に波のある水中で、第1の配向に従って浮力体を向けるステップ;第1の配向に対して浮力体を傾けるステップ;浮力体に対して第2のアームを動かすステップ;電気エネルギーを生成するために、第1のアームの回転を通して、第2のアームの運動を発電機に伝達するステップを含み;システムは、好ましくは本発明に従う。
【0050】
好ましくは、伝達するステップにおいて、第1のアームに対する第2のアームの第2の回転スピードは、浮力体に対する第1のアームの第1の回転スピードよりも高くてもよい。
【0051】
好ましくは、伝達するステップにおいて、第1のアームに対する第2のアームの第2の回転加速度は、浮力体に対する第1のアームの第1の回転加速度よりも大きくてもよい。
【0052】
好ましくは、傾けるステップにおいて、浮力体は、少なくとも8°、好ましくは垂直方向または平衡配向に対して傾斜し得る。
【0053】
好ましくは、傾けるステップは、0.1Hzから1Hzの範囲の波の周波数を含むことができる。
【0054】
好ましくは、伝達するステップにおいて、浮力体に対する第2のアームの第2の回転スピードは、浮力体に対する第1のアームの第1の回転スピードよりも高くてもよい。
【0055】
好ましくは、伝達するステップにおいて、浮力体に対する第2のアームの第2の回転加速度は、浮力体に対する第1のアームの第1の回転加速度よりも大きくてもよい。
【0056】
好ましくは、回転スピードは、最大回転スピードまたは平均回転スピードであり得る。
【0057】
好ましくは、回転加速度は、最大回転加速度または平均回転加速度であり得る。
【0058】
本発明の別の態様は、浮力体を有するシステムのギアボックスおよび/または入力シャフトを含む発電機をアクティブ化するために、直列に旋回可能に結合された2つのアームの使用を提供することであり、前記システムは、波エネルギーを用いて電気エネルギーを発生するように構成され;システムは、好ましくは本発明の態様に従う。
【0059】
本発明の別の態様は、浮力体を備えたシステムの入力シャフトを備えた発電機をアクティブ化するために、直列に旋回可能に結合された2つのアームの使用を提供することであり、前記システムは、波エネルギーを用いて電気エネルギーを発生するように構成され;システムは、好ましくは本発明の態様に従う。
【0060】
本発明の異なる態様は、互いに組み合わせることができる。さらに、本発明の各態様の好ましい特徴は、反対のことが明示的に言及されない限り、本発明の他の態様と組み合わせることができる。
【0061】
本発明の技術的利点
本発明は、小さな波を用いて動き、振動する従属アームの特定の組み合わせを提供する。本発明による構成は、アーム、特に電力変換器の回転スピードおよび回転加速度を増加させる。したがって、知られているシステムと比較して、電力発生が増加する。提案されたシステムは、海の波の運動エネルギーを使用可能な電力に変換するのにより効率的である。発電機を作動させる、または実際に電力を生成するコンポーネントは、動作中に海水と接触しないため、腐食が制限され、メンテナンスの必要性が低減される。これは、デバイスが外洋に配備されている場合に特に役立つ。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態は、本発明の範囲を限定しない図によって示されている。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】本発明の好ましい実施形態によるシステムの側面切断図の概略図である。
【
図2】本発明の好ましい実施形態によるシステムの側面切断図の概略図である。
【
図3】本発明の好ましい実施形態によるシステムの横断切断上面図の概略図である。
【
図4】本発明の好ましい実施形態によるエネルギー発生プロセスのブロック図の概略図である。
【
図5】本発明の好ましい実施形態によるシステムについての、波の周波数および長さ比μに応じてのRMS平均角速度グラフの概略図である。
【
図6A】単純な振り子についての、波の周波数および波の振動のピッチ角に応じてのRMS平均角速度の概略図である。
【
図6B】本発明の好ましい実施形態によるシステムについての、波の周波数および波の振動のピッチ角に応じてのRMS平均角速度の概略図である。
【
図7A】単純な振り子についての、波の周波数および波の振動のピッチ角に応じてのRMS平均角加速度の概略図である。
【
図7B】本発明の好ましい実施形態によるシステムについての、波の周波数および波の振動のピッチ角に応じてのRMS平均角加速度の概略図である。
【
図8A】単純な振り子についての、波の周波数およびピッチ角に対して生成されたトルクマッピングの概略図である。
【
図8B】本発明の好ましい実施形態によるシステムについての、波の周波数およびピッチ角に対して生成されたトルクマッピングの概略図である。
【
図9A】単純な振り子についての、波の周波数とピッチ角に応じて、生成されるRMSAC電力の概略である。
【
図9B】本発明の好ましい実施形態による、垂直回転軸を有するシステムについての、波の周波数とピッチ角に応じて、生成されるRMSAC電力の概略図である。
【
図10A】単純な振り子についての、波の周波数とピッチ角の振幅に応じて、生成されるRMSAC電力の概略図である。
【
図10B】本発明の好ましい実施形態による、水平回転軸を備えたシステムについての、波の周波数とピッチ角の振幅に応じて、生成されるRMSAC電力の概略図である。
【
図11】単一のアームシステムと、本発明の好ましい実施形態によるシステムとの間の異なるスーパーキャパシタ値に対する充電時間の比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
このセクションでは、本発明を図示の例に限定することなく、好ましい実施形態および図面に基づいて本発明の態様をさらに詳細に説明する。本発明の異なる実施形態を通じて、同様のまたは同じ概念を説明するために、同様の参照番号が使用される。
【0065】
現在の説明では、コギングトルクは、回転子の永久磁石と発電機の固定子スロットとの間の電磁相互作用から生じるトルクと見なすことができ、発電機は一般に電気機械と見なすことができる。
【0066】
本明細書に記載された特定の実施形態について記載された特徴は、反対のことが明示的に言及されない限り、他の実施形態の特徴と組み合わせることができることに留意されたい。本発明に特有の特徴に焦点を当てるために、当技術で一般に知られている特徴については明示的に言及しない。例えば、本発明によるシステムは、コンピュータユニットを含むことができるが、そのようなコンピュータは、図面上で明示的に参照されておらず、説明でも参照されていない。
【0067】
「水平」および「垂直」という用語は、システムに関連して厳密に解釈されるべきではない。実際、このシステムは本質的に傾き、波によって駆動されるピッチ角とロール角を示す。したがって、「水平」および「垂直」という用語を解釈する際には、システムの傾きに対応する許容範囲を採用する必要がある。「水平」配向は、一般に、局所的な水面に実質的に平行な配向を指し、「垂直」は、それに対して実質的に垂直な配向を指す。
【0068】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるシステム2を示す。システム2は、海洋環境において波4によって電力を発生するように構成されている。
【0069】
システム2は、水面6を横切る浮遊システムである。波4は、水面6で傾斜変動を生成し、システム2に対して動く。風は波の振幅を増加させ、それらのプロファイルをシャープにする。システム2は浮力があるため、波がそれを掃引すると波4によって持ち上げられる。それらの形状および運動のために、波4は、システム2を不安定にし、システム2を動かし、垂直軸Vとしても指定される垂直方向Vに対して傾斜させる。
【0070】
システム2の傾斜は、垂直軸Vとシステム2の主軸または主要軸8との間で測定される。主軸8は、水面6が平坦である、すなわち波がないとき、垂直軸Vに平行である。そのとき、システム2は平衡配向にある。主軸8は、システム2の最長寸法に沿って延び得る。図示の実施形態では、主軸はシステムの高さに沿って延びる。主軸は上端から下端まで延び、下端は、システムが水面に浮いているときに水に浸されるシステムの浸水可能端である。以下で、特徴Xが特徴Yよりも「低い」と述べられている場合、これは、特徴Xがシステムの浸水可能端から特徴Yよりも小さい距離に配置されていることを意味する。
【0071】
傾斜角γは、その環境に対するシステム2の傾斜を規定する。傾斜角γは、垂直軸Vと主軸8の間である。現在の図では、傾斜角γは8°に設定される。傾斜角γは、ピッチ角αとロール角β(図示せず)の組み合わせである。
【0072】
システム2は浮力体10を示す。浮力体10は、エンクロージャ12を規定し得る。エンクロージャ12は水密であり、システム2が水面6にとどまる能力を保証する。それはさらに、使用時に腐食性海水環境からシステム2のコンポーネントを保護する。本体は、システム2のウォーターライン14を規定することができる。ウォーターライン14は、浮遊ライン14として指定することもできる。それはまた、システム2の重心16の位置に接続されてもよい。
【0073】
システム2の機器がウォーターライン14および重心16に影響を及ぼすことは、当業者には理解されるであろう。
【0074】
システム2は、システム2が浮いているときに、システム2を事前定義された特権的な配向に向けるための手段を備えることができる。前記手段は平衡手段であってもよい。この配向または基準配向は、垂直軸Vおよび主軸8が平行である場合、垂直配向であり得る。例として、平衡手段は浮力体10の下にバラスト18を備える。代替として、平衡手段は、浮力体10内、特にその下半分、好ましくはその底部に釣り合い重り18を備える。これらのソリューションは、海洋の潮の干満に照らして便利である。さらなる代替として、平衡手段は、環境の固定点に取り付けられたロープに固定されるように意図された固定手段を備えることができる。固定手段は、固定穴を備えることができる。
【0075】
任意選択として、システム2は水路20を含む。水路20は、浮力体10内にチャネルまたは貫通孔を形成することができ、それによって水サンプルを収集するように構成される。水路20は、システム2を横切る貫通通路であってもよい。それは、好ましくはシステムの主要軸に沿ってウォーターライン14の下に配置される。それで、水の分析を行うことができる。水質汚染が検出され得る。特定の粒子が観察され得る。一部の生物種が観察され得る。
【0076】
別の任意選択として、システム2は、例えば、水路20で分析された水、水面6の動きの状態(穏やかな海または荒れた海)、および/またはシステム2のジオロケーションに関連するデータを送信するための通信手段を備える。水状態は、組み込みの加速度計モジュールおよび/またはジャイロスコープモジュールを通して提供され得る。通信手段は、アンテナ22を備えることができる。アンテナ22は、浮力体10の上部にあってもよい。アンテナ22は、システム2の頂上を形成することができる。通信手段は、アンテナ22に関連付けられたワイヤレス通信モジュールおよびマイクロコントローラを備えてもよい。
【0077】
本発明によるシステムは、水分析用の浮遊ステーションに組み込むことができる。ステーションは自律浮遊分析ステーションであってもよい。
【0078】
このステーションは、水中の汚染物質の検出、海の波の状態など、さまざまな種類の分析のために構成されている。波の状態には、加速度計および/またはジャイロスコープによる波の動きの強度が含まれる。ステーションは、海中のブイのロケーション信号を提供するためのロケーションモジュールをさらに備えることができる。ロケーション信号は、以下のうちの少なくとも1つによって計算することができる:磁力計モジュール、コンパスモジュール、GPS信号、およびそれらの組み合わせ。
【0079】
エネルギーを提供するために、システム2は発電機24を備える。発電機24は、浮力体10内、特にエンクロージャ12内に配置される。発電機24は、回転発電機であってもよい。それは特に、第1の回転軸28の周りを回転する入力シャフト26を備える。入力シャフト26が第1の回転軸28回りに回転すると、発電機24が発電する。発電機24は、固定子および回転子を備えることができる。後者には、コイルと永久磁石をそれぞれ装備することができる。結果として得られる回転電気機械は、対抗する電気力を示し得る。回転子は、入力シャフト26に直接的または間接的に結合される。
【0080】
さらに、システム2は、エンクロージャ12内に一対のアーム30および32を装備する。アーム(30;32)は直列に配置される。アームは異なる構成で表されており:第1の構成は実線で提供され、第2の構成は破線で提供される。システム2が波の影響を受けてスイングすると、アームは浮力体10に対して旋回し、それぞれの慣性によって互いに対しても旋回する。アーム30および32は細長い要素である。アームは慣性手段である。それらはレバーを形成し得る。それらは機械的なリンクであり得る。
【0081】
アームは、入力シャフト26に取り付けられた第1のアーム30と、第1のアーム30に取り付けられた第2のアーム32とを備える。回転軸28を中心とした第1のアーム30の回転は、発電機24に電力を発生させる。旋回ジョイント34は、アーム30および32を回転可能に接続する。したがって、第2のアーム32の運動および機械力は、第1のアーム30を通して入力シャフト26に伝達される。第2のアーム32の運動は、第1のアーム30の回転角度を増加させ、変換されるエネルギーを増加させる。これらの運動はまた、入力シャフト26を中心とする第1のアーム30の回転加速度を増加させる。第1のアーム30は、発電機に結合されているので、主アームと見なすことができるが、第2のアームは、その自由度のために補助アームと見なすことができる。
【0082】
旋回ジョイント34は、第2の回転軸36を備える。第2の回転軸36は、第1の回転軸28と平行であり、第1の回転軸から離れていてもよい。回転軸28および36はオフセットされている。第1および第2の回転軸28および36は、システム2の主軸8に対して垂直であってもよい。これらの回転軸28および36は、概ね水平である。アームは横方向であり、好ましくは回転軸28および36に対して垂直である。第1のアーム30は、少なくとも第1の回転軸28から第2の回転軸36まで延びる。
【0083】
発電機24は、ギアボックスとも指定されるギアリング(図示せず)を備えることができる。ギアリングは、発電機24の磁気部分および/または電気部分よりも小さくてもよい。入力シャフト26は、ギアボックスの入力を形成することができる。ギアリングは、少なくとも:10、または30、または50、または110、または150の増倍比を含んでもよい。ギアボックスは、発電機24の内側回転子に、特に磁石で結合することができる。したがって、回転子の回転角度は、第1のアーム30の回転角度に対して増倍される。より多くの電力が生成される。
【0084】
発電機24は、コギングトルクを受け得る。第2のアーム32は、水のうねりのために無秩序に動く。次に、第1のアーム30を介してトルクピークを発電機24に伝える。それで、任意選択でギアボックスによって乗算されるコギングトルクに打ち勝つことが容易になる。それで、より小さい波により、第2のアーム32が発電機24をアクティブ化することができる。表面に小さな起伏を画定する波、または低減された傾斜角γを引き起こす波は、第2のアームのポテンシャルにより、依然として発電機24をアクティブ化する。したがって、システム2は、より多くの波形構成で電力を発生するように構成される。システム2はより効率的である。数か月または数年という長期間、電気的に自律した状態を保つ。電池管理が容易になる。
【0085】
第1のアーム30は第2のアーム32より長く、例えば2倍長い。任意選択として、第2のアーム32は第1のアーム30より重く、例えば少なくとも:2倍または3倍重い。短く重い第2のアーム32は、揺れる能力を高め、第1のアーム30に突然の力を生成する。その場合、発電機24の固有のコギングトルクに打ち勝つことが静的により容易になる。第2のアーム構成はまた、入力シャフト26の回転スピードおよび回転加速度を増加させる。
【0086】
任意選択として、システムは洋上風力タービン(図示せず)と結合される。このシステムは、風力タービンの浮遊ベースを形成し、それによって2つのエネルギー発生ソリューションを組み合わせることができる。
【0087】
別の任意選択として、システムはソーラーパネル(図示せず)と結合される。システムの上部は、太陽にさらされるソーラーパネル設備の浮遊ベースを形成し、それによって2つのエネルギー発生ソリューションを組み合わせることができる。
【0088】
10cm×10cmのソーラーパネルが使用できる。波エネルギー源と太陽エネルギー源は、同じ電力レベル:約100mWを提供する。これらのエネルギー源は、同じオーダーの大きさのエネルギーレベルを提供し、二重振り子の電磁発電機が一日中働くという利点があり;独特には、波の動きが連続しているため、夜間にである。
【0089】
図2は、本発明の別の実施形態による、荒れた海で発電するためのシステム2を表す。現在のシステム2は、
図1に関連して説明したものと実質的に同様であるが、回転軸28および36が垂直であるという点で異なる。
図2の実施形態は
図1の実施形態とは異なるが、両方の実施形態で類似する特徴を指すために同じ参照番号が使用される。両方の実施形態における構成間の違いは、以下で説明される。
【0090】
システム2は、水面6に浮いているように描かれている。使用中、液面を動く波4の伝播により、左から右、前から後ろにスイングする。波4は、システム2の運動に影響を与える非対称プロファイルを示し得る。波がそれを横切るとき、システム2は一方向および反対方向に傾くことが理解される。波が横切った後、システム2は、例えば、振動、スインギングを、次の波がそれを励起するまで続けることができる。任意選択でシステム2よりも波が高くなり得る。
【0091】
システム2は、異なる高さ、異なる曲率、異なる勾配、異なる伝搬スピードの波4のために構成されている。波4は、風によって形成され得る。波4は、重力の変動によって部分的に形成され得る。波は、0.05Hzから1.2Hz、または0.1Hzから1Hzの範囲の周波数を示し得る。システム2の配向は、波4に遭うと変化する。そして、システム2の配向変動も、0.05Hzから1.2Hz、または0.1Hzから1Hzの範囲の周波数を示す。
【0092】
さらに、浮遊ライン14またはウォーターライン14もまた、波が近づくと上下に動く。この垂直運動は、特に回転軸28および36が垂直軸Vに対して傾斜しているときに、エネルギー発生に影響を与え得る。垂直運動はまた、重心16を通して観察される。
【0093】
アーム30および32は、水密エンクロージャ12内にウォーターライン14から離れて配置され、システムの使用時にそれらの位置が水面より上になるようにする。アーム(30;32)はウォーターライン14の上方に位置する。そこでは、システム2の傾斜運動が増幅される。システム2が傾斜角γから傾くと、アーム(30;32)で観察される運動インパルスが増幅される。より多くの電力が利用可能である。重心16に対する距離もまた、システム2が旋回および振動するときの運動増幅に影響を与える。
【0094】
平衡手段、特にバラスト18は、傾斜角γに対して波4と反対の作用を有する。波4はシステム2を傾け、傾斜角γを増加させるが、配向手段は、重力ベクトルに沿って主軸8を垂直軸Vに平行にする。波4は不均衡な構成を引き起こすが、平衡手段は平衡状態または安定した配向を課す。現在の図では、傾斜角γは15°に達している。表された傾斜角γは、波4の運動によるシステム2の最大傾斜に対応し得る。
【0095】
エンクロージャ12は、バラスト18と通信手段、特にアンテナ22との間に配置される。バラスト18およびアンテナ22は、システム2の主要軸に沿って、システム2の両端に垂直にある。水路20は、浮力体10と配向手段18との間の接続部にあってもよい。それは、エンクロージャ12から離れて垂直に配置することができる。
【0096】
エンクロージャ12は、発電機24、第1のアーム30および第2のアーム32を収容する。発電機24は、その回転子がその周りを回転する垂直回転軸28を備える。回転シャフト26とも指定されるシャフト26も、垂直回転軸28の周りを回転する。シャフト26は、電力に変換するために機械的エネルギーが供給される機械的入力を形成するため、入力シャフトと見なすことができる。
【0097】
発電機24は電磁発電機であってもよい。代替として、発電機はダイナモなどの電磁発電機である。さらなる代替として、発電機は、摩擦電気発電機、圧電発電機、またはエレクトレット発電機などの静電発電機である。他の発電機が考慮される。
【0098】
第1のアーム30は、発電機24に直接、またはギアリング手段を通して間接的に結合される。ギアリング手段は、発電機24を装備することができる。ギアリング手段、特にギアボックス38は、少なくとも5、または15、または30、または60、または110、または150の増倍比を含むことができる。増倍手段は、第1のアーム30に対する発電機回転子の回転スピードを増加させる。それはまた、第1のアーム30および入力シャフト26に適用される発電機24のコギングトルクなどのトルクを増加させる。コギングトルクは、発電機24内の磁気手段から生じ得る。低スピードでは、第1のアーム30はぎくしゃくした運動を示すことがある。
【0099】
第1および第2の回転軸28および36は、システム2の主軸8に平行であってもよい。第1のアーム30は、第1の回転軸28に対して本質的に垂直である。第2の回転軸36は、第1のアームと第2のアームとの間のインターフェースにおいて、後者に対して垂直である。次に、アーム(30;32)が旋回し、主軸8に垂直な平行面を掃引する。これらの平面は実質的に水平である。したがって、システム2は、矢印Aによって表される波の進行方向に関するシステムの配向とは無関係に電力を発生するように構成されている。システムは、波がどこから来るかに関係なく、波を用いて電力を生成するように構成される。
【0100】
現在の図では、シャフト26に取り付けられた第1のアーム30は、第2のアーム32の上方にある。旋回ジョイント34は、ヒンジ接続であってもよい。代替として、第2のアーム32は、第1のアーム30と垂直方向に同じ高さであってもよい。積層されるのではなく、第1のアーム30の垂直の厚み以内であってもよい。さらなる代替として、第2のアームは第1のアームの上方にあってもよい。
【0101】
発電機24は、ボール軸受などの回転リンク40を備えることができる。回転リンク40は、入力シャフト26を浮力体10に回転可能に接続する。回転リンク40は、少なくとも0.016Ns/mの減衰係数を備える。この係数は電力生成を低減する。第2のアーム32は、回転リンク40の減衰係数の影響に打ち勝つために、第1のアーム30をスピードアップする。
【0102】
システム2が垂直平衡配向に対して傾斜すると、アーム30および32は、それらの重量および重力のために動く。発生される電気エネルギーを増加させるために、アームには、特定の追加の重量を提供するための追加の質量が提供される。重量は、重りブロックまたは重り要素であり得る。第1のアーム30は第1の重りブロック42を含み、第2のアーム32は第2の重りブロック44を含み、これらは互いから離れている。第2のアーム32は、重りブロック42と44との間の距離を確保する。
【0103】
第1のアーム30は、第1の質量M1とも指定される第1の重量W1を備え;第2のアームは、第2の質量M2とも指定される第2の重量W2を備える。比W2/W1、または重量比δは:0.5から10、好ましくは0.8から5の範囲である。任意選択として、第2の重りブロック44は、第1の重りブロック42より重い。第1の重量W1と第2の重量W2の加算は、システム2の全体の重量Woのせいぜい半分を表す。比{Wo/(W1+W2)}の範囲は:2から10、または2から6である。それで、アームの累積重量は、システムの重量のわずかな部分を表す。アームの配向とそれらの運動は、一般的な平衡とシステムの配向に限定的な影響を与える。したがって、アーム構成によって電力生成が劣化することはない。
【0104】
第1の重りブロック42は、第1のアーム30の一端、例えば第1の回転軸28およびシャフト26の反対側にあってもよい。第1の重りブロック42は、第2の回転軸36にあってもよい。第2のアーム32を覆ってもよい。それは後者に沿って延び得る。次に、第1の重りブロック42は、第1の回転軸28に対する第1のアーム30の慣性を増加させる。第1の重りブロック42は、旋回ジョイント34にあってもよい。
【0105】
第2の重りブロック44は、第2のアーム32の自由端にあってもよい。重りブロック42および44は、第2のアーム32の両端にあってもよい。第2のアーム32は、少なくとも第1および第2の重りブロック(42;44)の間に延びるリンクを形成する。第2の重りブロック44は、第2の回転軸36に関して規定されるように、第2のアーム32の慣性を増加させる。
【0106】
ギアボックス38の増倍係数により、発電機24に対して第1のアーム30を維持するコギングトルクは、少なくとも:4mN.m;または20mN.m;または24mN.m;または30mN.m;または40mN.m;または80mN.m;または150mN.mである。したがって、この増倍されたコギングトルクは、第1のアーム30の運動を防止し、必然的に入力シャフト26の運動を防止する。この結果としてのコギングトルクが電力生成のハードルとなっている。それで、第1のアーム30は、発電機24をアクティブ化し、それによって電気エネルギーを発生するために、コギングトルクよりも大きな閾値トルクを加える必要がある。第2のアーム32の利益は、運動インパルスを伝達することによって、アクティベーショントルクを正確に高めることである。
【0107】
システム2は、主軸8の周りの回転を制限するための手段46を備えてもよい。この手段は、システム2の配向を垂直軸Vの周りに保つように構成された配向手段46であってもよい。配向手段46は、主軸8の周りに分散されてもよい。それらは直径方向に反対であり得る。配向手段46は、フィン46または水中翼を備えることができる。フィン46は、浮力体10から突出するブレードを形成することができる。フィン46は水中に延び、システム2が垂直軸Vを中心にスピンしようとするとき、それらの表面が反作用トルクに対抗するので、システム2の回転を遅くする。配向手段46は、波4がシステム2を動かすとき、アームの運動が助長されるように特に主軸8の周りの安定性を高める。したがって、より多くの電力が発生される。
【0108】
加えて、または円形または球形の代わりに、浮力体10は多角形のシェルを備えてもよい。浮力体10は、システムがスピンするのを抑える三角形または正方形の外形を呈することができる。シェルは、配向手段46の一部であってもよい。他の配向手段が考慮される。
【0109】
別の方法として、水路はシステムの浮遊ラインに配置される。そして、水路は水面6での粒子検出を容易にする。
【0110】
本発明によるシステム2は、電力を発生するための他のモジュールと組み合わせることができる。例示的な例として、システム2は風力タービンと組み合わされる。特に風力タービンのブレード付き回転子のために、第2の発電機を設けることができる。風力タービンは、浮力体の上にあってもよい。浮力体は、浮遊ベースを形成することができる。バラストは、風力タービンの垂直配向を維持するのに役立ち得る。風が吹くと波が起き、風力タービンが回る。風により引き起こされる相乗効果で電力出力が上昇する。パワーピークが観測される。
【0111】
さらに別の例示的な例として、システムは太陽電池と組み合わされる。太陽電池は、日の光で電力を提供する。太陽電池は、アーム30および32の上方、例えば浮力体の上部にあってもよい。
【0112】
図3は、本発明による電力を生成するためのシステム2の別の実施形態の概略図を提供する。現在のシステム2は、関連する
図1および2で説明したものと実質的に類似または同一であるため、同じ参照番号を使用して同様の概念および特徴を示す。わかりやすくするために、浮力体は省略される。発電機24は背景に示されている。一対のアーム(30;32)を有するシステム2は、二重振り子を有するシステムとも指定される。
【0113】
第1のアーム30は、第1の長さL1を備える。第1の長さL1は、前記アームの全長に対応し得るか、またはシャフト26から旋回ジョイント34まで測定され得る。第1の長さL1は、第1の回転軸28と第2の回転軸36との間の距離として規定され得る。第1の長さL1は、第1の回転軸28と第1の重りブロック42の第1の重心48との間の距離であってもよい。現在の図では、第1の重心48は、第1の回転軸28にあってもよい。第1の回転軸28は、ギアリング38の回転軸に対応し得る。代替として、軸28に沿って平面図内でオフセットされてもよい。
【0114】
第2のアーム32は、第2の長さL2を備える。第2の長さL2は、概ね、第2のアーム32の全長に対応し得る。第2の長さL2は、第2の回転軸36と第2の重りブロック44の重心50との間の距離として規定され得る。
【0115】
任意選択として、アームを形成する細長い構造要素が、重りブロック(42、44)の自身の重量を考慮して、無視できる重量を示すと考えることができる。各アームは、関連付けられた重りブロック(42、44)の重量の最大で:20%、または10%、または5%を表す重量を有するロッドを備えることができる。
【0116】
長さ比μとも指定されるμ比L1/L2は:1から10、または1から5、または2から3の範囲であり得る。第2のアーム32は第1のアーム30より短く、例えば少なくとも2倍短い。
【0117】
本発明の任意選択として、最短のアームが最も重い。重量比δ/長さ比μの慣性比φまたは比φの範囲は:1から10、または1から4、または2から3である。
【0118】
2つの質量を有する振動する二重振り子の挙動も、最先端の多数の研究の対象となっている[Cross,2005]。この後者のシステムには、小振幅の振動で線形結合によって近似できる軌跡の解析解がある。振動の大きな振幅では、これは振り子の動きの無秩序な挙動の出現をともない、もはや当てはまらない。この場合、段階的な積分法(Runge-Kutta、Verletなど)を使用して、数値解決ツールを使用して運動方程式を解く必要がある。
【0119】
減衰二重振り子の運動学的モデルに注目しよう。(x,y)基準座標系で、ニュートンの第2の法則を使用すると、以下の方程式が得られる:
方程式1:
【数1】
方程式2:
【数2】
方程式3:
【数3】
および方程式4:
【数4】
【0120】
T
iは腕「i」の張力、c
iはピボットポイント「i」の減衰係数である。x
1、y
1、x
2、およびy
2は、それぞれ第1の質量ブロックと第2の質量ブロックの位置である。これらの方程式を再整理すると、減衰二重振り子の結合された運動方程式が得られる:
方程式5:
【数5】
および方程式6:
【数6】
【0121】
これらの方程式は、次いで、変数θ
1、θ
2、
【数7】
、および
【数8】
に関する結合された1次微分方程式のシステムとして記述した後、常微分方程式ソルバーを使用して、数値的に解くことができる。
【0122】
次に、方程式5と方程式6に、海洋の波の曲線を模倣する角度摂動を追加できる。単純なモデルは、波のピッチとロールの摂動のみを考慮に入れることである。ピッチ角をα、ロール角をβと定義することにより、摂動のある減衰二重振り子の運動方程式は次のようになる:
方程式7:
【数9】
および方程式8:
【数10】
【0123】
二重振り子の慣性モーメントは、次のように定義される:
方程式9:
I=M1.L12+M2.{L12+L22+2.L1.L2.cos(θ1-θ2)}
【0124】
したがって、電磁発電機が位置する軸である第1の回転軸を中心とした中心旋回θ1に加えられたトルクτは、角加速度に比例し、次のように表される:
方程式10:
【数11】
【0125】
角度位置、速度、および加速度を見つけるためのこれらの方程式に基づくこの方程式の第1の数値モデリングは、次のような質量と棒の長さにおける、以下のパラメータを持つ単純な振り子と二重振り子に対して提案される:
単一のアームを有する単純な振り子:
W1=1kg、L1=0.15m
二重振り子:
W1=0.1kg、W2=0.9kg、W1+W2=1kg、L1+L2=0.15m
【0126】
上記の方程式は、システムの挙動を説明するために使用される。さらに、これらの方程式は、加速度と生成される電力を計算するために使用される。
【0127】
図4は、本発明による、エネルギー発生プロセスとも指定される、電力への海の波のエネルギー変換の変換プロセスの図を示す。エネルギー変換プロセスは、例えば、
図1から3のいずれか、およびそれらの組み合わせに従って説明したような、電力を生成するためのシステムを含む。
【0128】
このプロセスは、特に以下のように実行される以下のステップを含む:
・水中、特に波のある水中で、第1の配向に従ってシステムの浮力体を配向するステップ100;
・第1の配向に対して浮力体を傾けるステップ102;
・浮力体に対して第2のアームを動かすステップ104;
・電気エネルギーを生成するために、第1のアームの回転を通して、第2のアームの運動を発電機の入力シャフトに伝達するステップ106;
・生成した電力を貯蔵するステップ108、または消費するステップ、注入するステップ。
【0129】
配向するステップ100において、浮力体を水中に入れる。システム、特に浮力体は、水中部分と浮上部分を備える。その主軸または主要軸は、垂直軸に沿って延び得る。任意選択として、システムは海底または船に取り付けることができる。さらなる任意選択として、システムを別のシステムに固定することもでき;前記システムは、類似または同一である。
図1によるシステムは、
図2によるシステムに取り付けることができる。配向するステップ100では、水面に波がなくてもよい。このプロセス中、波の振幅が変化することがある。波の周波数も変化し得る。周波数が不規則になり得る。
【0130】
傾けるステップ102では;波はシステムに近づき、横切り、去るように動く。比較すると、波は環境;特にシステムに対して動くのに対し、システムは一般にその慣性のために固定されたロケーションにあると考えることができる。次に、波がシステムを押して、平衡変化を生成する。システムは、
図1および2に示すように横に動く。
【0131】
傾けるステップ102において、浮力体は、少なくとも:8°、または15°、または20°傾斜する。浮力体の傾斜角は、垂直方向および/または平衡配向に対して測定される。
【0132】
システムの横方向の運動に応答して、およびそれ自体の慣性により、動かすステップ104で第2のアームが動く。平衡進化と重力は、別の平衡構成に到達するために、第2のアームをより低い位置に向かって回るように促す。
【0133】
伝達するステップ106では、発電機が電力を生成する。機械的エネルギーは電気エネルギーに変換される。
【0134】
伝達するステップ106において、第1のアームに対する第2のアームの第2の回転スピードは、浮力体に対する第1のアームの第1の回転スピードよりも大きい。この第2の回転スピードは、平均スピードまたは最高スピードである。
【0135】
伝達するステップ106において、第1のアームに対する第2のアームの第2の回転加速度は、浮力体に対する第1のアームの第1の回転加速度より大きい。伝達するステップ106において、浮力体に対する第2のアームの第2の回転加速度は、浮力体に対する第1のアームの第1の回転加速度よりも大きい。第2の回転加速度は、平均加速度または最大加速度である。
【0136】
例解として、伝達するステップ106において、直径40cm、重量3kgを備えるシステムは、100mWのピーク電力を送達することができる。したがって、システムはコンパクトさと電気出力を最適化する。製作にも便利である。
【0137】
伝達するステップは、電力生成のステップ;または機械的エネルギーを電力に変換するステップであると考えることができる。他の考察の下では、プロセスは、電力を生成するステップおよび/または機械的エネルギーを電力に変換するステップを、例えば前記伝達するステップ中またはその後に含むことができる。
【0138】
傾けるステップ102の間、および伝達するステップ106において、波は、0.1Hzから1Hzの範囲の波の周波数を含む。この周波数範囲は本質的に広く、さまざまな海の状態でさまざまな構成で電力を発生するシステムの能力を促進する。電気エネルギーを発生する確率は、現実的な動作条件で増加する。
【0139】
本発明によるシステムはまた、波の周波数および波の振幅の変動にも適応されている。システムは、不均一な波で電力を発生する。
【0140】
図5は、本発明によるシステムの、波の周波数(Hz)および長さ比μに応じての二乗平均平方根、RMS、平均角速度グラフの概略図を提供する。システムは、
図1から3のいずれかに関連して説明されたものと同様または同一であり得る。μ比はアーム長比μ:L1/L2に相当する。現在のグラフは、第1のアームでの第1の回転スピード、つまり発電機をアクティブ化するために使用される回転スピードを示す。
【0141】
任意選択でシミュレーションである現在の実験では、周波数fと比率μが探求される。二重振り子構成に対して、比率μ(L1/L2)と励起周波数fの両方の掃引が実行される。周波数は、0.1から1.2Hzの範囲で探求される。
【0142】
現在の実験では、最大傾斜角α_maxパラメータは3°に設定される。第1のアームの第1の重量W1は0.1kgである。第2のアームの第2の重量W2は0.9kgである。その場合、アームの全重量は1kgである。アームを整列させたときのアームの全長(L1+L2)は0.15mである。μ=2.5、L1=0.107m、L2=0.043mで最適値がある。励起周波数に対する最大平均RMS角速度θ’1が0.1Hzから0.85Hzの完全なロッキングのドメインに気付くことができる。さらに、これらのアームの長さによりコンパクトな設計が可能になり、自律型漂流ブイに適している。
【0143】
長さ比μの範囲が1.5から3.5のとき、回転スピードは少なくとも1.5rad/sである。長さ比μの範囲が2から3のとき、第1の回転スピード(
【数12】
)は、概ね少なくとも2rad/sである。それで、第1のアームの回転が基本的に速く、発電機がより多くの電力を提供する。これは、海洋の波の振動から角速度と角加速度への最高のエネルギーハーベスティング変換収率を得るための最適化段階である。
【0144】
本発明をより深く掘り下げるために、2.5の最適なμ比(L1/L2)で経時的に加速およびスピードを調査することも興味深い。現在の研究では、以下のパラメータが選択される:0.1Hzの波の周波数、および最大ピッチ角α_max=8°。
【0145】
比較のベンチマークとして、重さ1kg、長さ15cmを有する単一のアームは、ピーク・トゥ・ピーク角速度θ’
1_SP_p-p=10rad/sとθ’’
1_SP_p-p=20rad/s
2のピーク・トゥ・ピーク角加速度を可能にする。ラベリングSPは、単純な振り子構成(片アーム)を意味する。対照的に、2つの旋回可能に接続されたアームを有する本発明によるシステムは、ピーク・トゥ・ピーク角速度θ’
1_DP_p-p=40rad/s、および、
【数13】
のピーク・トゥ・ピーク角加速度を提供する。ラベリングDPは、二重振り子(2つのアーム)構成を意味する。
【0146】
後者の値は単純な振り子構成の値よりも高くなるが、2つのシステムの全重量と最大アーム伸長は同じである。本発明は、長さを分割し、重量を分散することによって、回転スピードおよび回転加速度を増加させる。発電機は、振幅と周波数における同じ海洋の波の動きに対して、二重振り子構成(
図1から3で参照されるように2つのアーム30と32を有する)においてより多くの電力を発生する。
【0147】
図6Aおよび6Bは、単一のアームを有するシステム(
図6A)、および本発明による2つのアームを有するシステム(
図6B)のRMS平均角速度(rad/s)の概略グラフを提供する。
図6Aおよび6Bのグラフは、システムの振動の周波数(Hz)および最大ピッチ角α_max(°)に応じている。現在のシステムは、
図2から3に関連して説明したものに対応している。
【0148】
2つのシステムでは、性能のベンチマークを実行するために、1kgの同一の全重量が維持される。0.15mのアーム伸長の同様の最大値が選択される。両方のシステムは、海洋の波の励起を模倣する最大ピッチ角α_max=8°を有する0.23Hzの正弦波低周波によって励起される。次に、システムのリアルタイムピッチ角α(t)は、以下の方程式で求めることができる。
方程式11:
α(t)=αmax.cos(2.π.f.t)
【0149】
図6Aと
図6Bの比較グラフから、二重振り子のソリューションでは、平均角速度が高い、より大きなドメインが観察され得る。本発明による2つのアームを有するシステムを有する
図6Bの状況では、5rad/sを超えるドメインがより広がっている。2rad/s未満のドメインはより小さい。後者の構成では、より一定でより高い電力が利用可能である。
【0150】
マクスウェル-ファラデーの誘導の法則は、経時的に一定の表面Sに対して、次を与える:
方程式12:
【数14】
ここで
【数15】
は、磁場
【数16】
が経時的に流れる表面の無限小ベクトル要素である。
【数17】
は磁場Bの方向ベクトルである。
【0151】
上記の方程式12から、第1の角速度
【数18】
は、起電力(emf)とも呼ばれる誘導電圧に直接影響を与えることが推測できる。これは、角速度θ’1(=dθ1/dt)が大きいほど、発電機の電気出力においてより多くの電力が発生されることを意味する。
【0152】
図7Aと7Bは、単一のアームを備えた単純な振り子システム(
図7A)と、本発明による2つのアームを備えた二重振り子システム(
図7B)とに対する、波の振動の周波数および傾斜角に応じてのRMS平均角加速度(rad/s
2)の概略グラフを提供する。本発明によるシステムは、
図2および/または3に関連して説明されたものに対応する。
【0153】
破線は、発電機とその任意選択のギアリングから生じるコギングトルクの影響を表している。この逆起電力は、動くために第1のアームが打ち勝つ必要があるトルクを形成する。コギングトルクを表す破線は、回転加速度レベルが無視できるエリアの境界にある。第1のアームによって伝達される第1のトルクが、始動トルクとも指定されるコギングトルクより小さい場合;その後、第1のアームが所定の位置に固定されたままになり、発電機をアクティブ化することができない。電力へのエネルギーハーベスティングは行われない。
【0154】
これは、発電機の回転を開始するには、第1の回転軸に適用された収穫された力が閾値を達成する必要があることを意味する。この閾値は、発電機の固定子と回転子を分離する磁力からもたらされるが、電磁発電機の軸と変換する動きの角加速度との間の任意のギアボックスを考慮することからももたらされる。この角加速度d2θ1/dt2(rad/s2)のRMS平均値が計算され、励起周波数f(Hz)と傾斜角、または海洋の波の振動レジームのピッチ角αに対してマッピングされた。
【0155】
ここでも、これらの比較グラフから、二重振り子構成による高い平均角加速度のより大きなドメインに気付くことができる。本発明によるシステムは、少なくとも20rad/s2のより広いドメインを提供する。本発明はまた、35rad/s2を超える重要な比率を提供する。より安定した、より高い電力が発生される。発電機のコギングトルクに打ち勝ちやすくなる。角加速度がより高いということは、発電機を始動するための機械的効率が向上し、回転スピードが安定している間に発電機内の渦電流による動的トルクに対して送達するための運動エネルギーが増加することを意味する。したがって、二重振り子構造は、単一の振り子構造と比較して、同様のより強力な発電機を効率的な方法で駆動する傾向がよりある。
【0156】
コギングトルク境界を比較することにより、本発明によるシステムは、より小さなピッチ角α振幅でコギングトルクに打ち勝つ。それで、本発明は、より多くの構成で、特により広い励起範囲で電力を生成する。システムは、より多くの状況で、拡張された傾斜範囲で電力を生成する。
【0157】
波の周波数に関して、本発明は、単一のアームデバイスよりも均一な挙動を示す。0.7Hzから1.2Hzの周波数範囲では、システムは4°から10°の最大ピッチ角αでより多くの電力を生成する。
【0158】
したがって、これは、本発明がより多くの構成で電力を生成することをさらに確認する。本発明はまた、より広い周波数範囲およびピッチ角範囲でより多くの電力を生成する。
【0159】
図8Aおよび8Bは、単一のアームを備えた単純な振り子(
図8A)、および本発明による2つのアームを備えた二重振り子システム(
図8B)の、波の周波数とピッチ角αの振幅に対して生成されたトルクマッピングの概略グラフを提供する。本発明によるシステムは、
図2および/または3に関連して説明されたものに対応する。マッピングには、トルク変動のあるエリアが含まれる。波励起周波数の範囲は0.1Hzから1.2Hzである。その間、最大ピッチ角αは0°から始まり、16°に達する。
【0160】
破線は、発電機とギアボックスに起因するコギングトルクを表す。現在の実施形態では、コギングトルクは、第1のアームに加えられる24.75mN.mである。
【0161】
比較グラフから明らかなように、本発明は、第1のアームによって発電機に伝達されるトルクを増加させる。参照単一のアームシステムでは、最大トルクは約500mN.mであるのに対し、本発明によるシステムは1500mN.mのトルクを提供する。したがって、本発明は、より多くの電力を生成するように構成されている。
【0162】
さらに、単一のアームを備えた参照システムは、ピッチ角αが最大4°に設定されているとき、0mN.mのトルクを示す。対照的に、本発明は、1°から始まるピッチ角振幅αに対して関心があるトルクを提供する。それで、本発明は、低減した励起角度、およびシステムの高さに対して小さい海洋の波の振幅を用いて電力を提供する。
【0163】
図9Aおよび9Bは、単一のアームを備えた単純な振り子(
図9A)、および本発明による2つのアームを備えた二重振り子システム(
図9B)に対して100オームの抵抗チャージを介してワイヤ上で測定された、生成されたRMS AC電力の概略図を提供する。
【0164】
本発明によるシステムは、
図2および/または3に関連して説明されたものに対応する。回転軸は概ね垂直で、アームは概ね水平で、概ね水平な軌道を描く。
【0165】
生成された電力を調査するために、励起周波数とピッチ角を変化させて、関心のある電力生成を持つドメインを識別する。調査された周波数は、0.25Hzから0.8Hzまで変化する。最大励起ピッチ角α_maxの範囲は3°から12°である。
【0166】
現実的な条件下では、好ましくない初期条件が与えられた場合、単純な振り子は、特定の波の周波数とピッチ角の振幅が与えられた場合、低振幅の振動状態にとどまり、はるかに少ない電力を生み出し得る。狭いドメインでは、少なくとも60mWの電力を生成できるが、これはいくつかの用途ではまだ十分ではない。
【0167】
二重振り子は、その無秩序な軌道の挙動のために、そのような振動状態を急速に終了し、初期条件が理想的であるかのように多くの電力を生み出す傾向がある。本発明によるシステムは、
図9Bのグラフの大部分で少なくとも75mWを生成する。大きなドメインは100mWを超えており、電子機器の自律的な電力供給を必要とするいくつかの用途には十分である。
【0168】
実際のテストベンチで得られたこれらの実験結果は、以前の数値モデリングとパラメータの最適化(質量比とアームの長さの比)の傾向を確認する。二重振り子構造は、低周波の海洋の波のさまざまな動きからエネルギーハーベスティングをする傾向がある。
【0169】
図10Aおよび10Bは、単一のアームを備えた単純な振り子(
図10A)、および本発明による2つのアームを備えた二重振り子システム(
図10B)に対して100オームの抵抗チャージを介してワイヤ上で測定された、生成されたRMS AC電力の概略図を提供する。本発明によるシステムは、
図1に関連して説明したものに対応する。
【0170】
生成された電力を調査するために、励起周波数f(Hz)とピッチ角α(°)を変化させて、関心のある電力生成を持つドメインを識別する。周波数範囲は0.25Hzから0.8Hzである。最大励起ピッチ角αの範囲は3°から12°である。
【0171】
比較グラフから、二重振り子は依然として動作フレームを広げて、波の外部機械的励起から、より広い範囲の周波数へのエネルギーハーベスティングをロックする傾向があることに気付くことができる。
【0172】
比較すると、生成された電力が少なくとも40mWであるドメインは、単一のアームよりも本発明の方が大きい。生成された電力が少なくとも30mWであるドメインに関して、同じ結論が適用される。独特なことに、本発明によるシステムは、少なくとも0.7Hzの周波数でより多くの電力を提供する。本発明はまた、少なくとも10°の励起角度に対する出力を改善する。
【0173】
図11は、異なる値のスーパーキャパシタに対して、振り子構造の2つのシステム間で3.3ボルトの値を達成するためのロード時間のギャップの図を提供する。実線は、2つの可動アーム30および32を備えた二重振り子構成で、本発明によるシステムの静電容量値に応じて3.3Vを達成するためのロード時間を示す。破線は、単一のアームを備えたシステムの静電容量に応じたロード時間を示し、例えば、整列した単一の振り子構成において、2つのアームがしっかりと維持される。それで、それらのインターフェースの旋回ジョイントがブロックされる。
【0174】
本発明は、スーパーキャパシタなどのエネルギー貯蔵デバイスの充電時間を低減することが観察された。少なくとも0.1F、または0.47F、または0.6Fの容量を持つスーパーキャパシタは、海分析ステーションおよびワイヤレス通信モジュールに電力を供給するための電気エネルギー貯蔵庫として役立つ。
【0175】
単一のアームシステムと比較して、本発明は充電時間を低減する。本発明は、より高い電圧、例えば少なくとも:3.3Vに到達するのがより速い。実験では、10°の最大ピッチ角α_maxで0.4Hzの波励起周波数を用い、0.47Fの容量を備えるスーパーキャパシタを用い;本発明によるシステムは、175秒で3.3Vの電圧に達する;一方、単一のアームの参照システムは285秒必要である。
【0176】
また、本発明が一般に充電レートを改善することも観察され得る。
【0177】
本発明は、静電容量に応じて充電スピードを改善する。現在の図から明らかなように、本発明に対応する曲線は、単一のアームシステムに関連する曲線よりも概ね傾きが少ない。この現象は、少なくとも0.1Fの容量を用いるとより明らかになる。
【0178】
海または海洋に関連して定義された特徴は、不均一な表面部分を有する任意の水域に一般化することができる。船の航行によって波が作られることがある。
【0179】
当業者には、本発明の範囲内のさまざまな変更および修正が明らかであるため、特定の好ましい実施形態の詳細な説明は、例示としてのみ与えられていることを理解されたい。保護の範囲は、次の一連の請求項によって定義される。