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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】板金用引出し具
(51)【国際特許分類】
   B21D 1/06 20060101AFI20240617BHJP
   B60S 5/00 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B21D1/06 B
B60S5/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023028928
(22)【出願日】2023-02-08
(62)【分割の表示】P 2018145443の分割
【原出願日】2018-07-13
(65)【公開番号】P2023071809
(43)【公開日】2023-05-23
【審査請求日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2018084530
(32)【優先日】2018-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】524202742
【氏名又は名称】石原 光政
(74)【代理人】
【識別番号】100088753
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 豊
(72)【発明者】
【氏名】石原 光政
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-081517(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0085578(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0097869(US,A1)
【文献】特開2003-211374(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0157489(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 1/06
B60S 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センターシャフト(22)と、
該センターシャフトの先端部に配設し板金面に溶着可能なビット(25)を備えた第1の操作手段(20)と、
該第1の操作手段を引き上げる第2の操作手段(30)と、
前記ビットに通電する通電機構(100)と、
前記第2の操作手段を支承する脚体(130)とを具備してなる板金用引出し具であって、
該脚体に支承される前記第2の操作手段に支持され、照光ユニット(70)を収容するハウジング(10)と、
該ハウジングに収容され板金面を照光する前記照光ユニットとを具備し、
前記照光ユニットが、
前記ハウジングに内蔵された光源(74)と、
該光源に電力を供給する電源(80)と、
前記光源より供給される光を拡散する光拡散板(90)とを備え、
前記照光ユニットを収容した前記ハウジングを前記第2の操作手段を介して前記脚体により支持することにより、前記脚体が板金面に当接する際に、前記照光ユニットを板金面から所定距離を離隔するように保持したことを特徴とする板金用引出し具。
【請求項2】
センターシャフト(22)と、
該センターシャフトの先端部に配設し板金面に溶着可能なビット(25)を備えた第1の操作手段(20)と、
該第1の操作手段を引き上げる第2の操作手段(30)と、
前記ビットに通電する通電機構(100)と、
前記第2の操作手段を支承する脚体(130)とを具備してなる板金用引出し具であって、
該脚体に支承される前記第2の操作手段に支持され、照光ユニット(70)を収容するハウジング(10)と、
該ハウジングに収容され板金面を照光する前記照光ユニットとを具備し、
前記照光ユニットが、
前記ハウジングに内蔵された光源(74)と、
該光源に電力を供給する電源(80)と、
前記光源より供給される光を拡散する光拡散板(90)とを備え、
前記照光ユニットを収容した前記ハウジングを前記第2の操作手段を介して前記脚体により支持することにより、前記脚体が板金面に当接する際に、前記照光ユニットを板金面から所定距離を離隔するように保持し、
前記光源より供給される光を前記光拡散板を通過させ、得られる拡散光を、前記ビット近傍の限定領域を照射する拡散光として供給可能とすることを特徴とする板金用引出し具。
【請求項3】
センターシャフト(22)と、
該センターシャフトの先端部に配設し板金面に溶着可能なビット(25)を備えた第1の操作手段(20)と、
該第1の操作手段を引き上げる第2の操作手段(30)と、
前記第1の操作手段を支持する支持部材(60)と、
前記ビットに通電する通電機構(100)と、
前記第2の操作手段を支承する脚体(130)とを具備してなる板金用引出し具であって、
該脚体に支承される前記第2の操作手段に支持され、照光ユニット(70)を収容するハウジング(10)と、
該ハウジングに収容され板金面を照光する前記照光ユニットとを具備し、
前記照光ユニットが、
前記ハウジングに内蔵された光源(74)と、
該光源に電力を供給する電源(80)と、
前記光源より供給される光を拡散する光拡散板(90)とを備え、
前記照光ユニットを収容した前記ハウジングを前記第2の操作手段を介して前記脚体により支持することにより、前記脚体が板金面に当接する際に、前記照光ユニットを板金面から所定距離を離隔するように保持し、
前記光源より供給される光を前記光拡散板を通過させ、得られる拡散光を、前記ビット近傍の限定領域において陰影が生じない拡散光として供給可能とすることを特徴とする板金用引出し具。
【請求項4】
センターシャフト(22)と、
該センターシャフトの先端部に配設し板金面に溶着可能なビット(25)を備えた第1の操作手段(20)と、
該第1の操作手段を引き上げる第2の操作手段(30)と、
前記第1の操作手段を支持する支持部材(60)と、
前記ビットに通電する通電機構(100)と、
前記第2の操作手段を支承する脚体(130)と、
前記通電機構に電気を供給する電源コード(3)とを具備してなる板金用引出し具であって、
前記脚体に支承される前記第2の操作手段に支持され、照光ユニット(70)を収容するハウジング(10)と、
該ハウジングに収容され板金面を照光する前記照光ユニットとを具備し、
前記照光ユニットが、
前記ハウジングに内蔵された光源(74)と、
該光源に電力を供給する電源(80)と、
前記光源より供給される光を拡散する光拡散板(90)とを備え、
前記照光ユニットを収容した前記ハウジングを前記第2の操作手段を介して前記脚体により支持することにより、前記脚体が板金面に当接する際に、前記照光ユニットを板金面から所定距離を離隔するように保持し、
前記光源より供給される光を前記光拡散板を通過させ、得られる拡散光を前記ビット近傍の板金面に照射可能とし、前記拡散光を前記ビット近傍の限定小領域において、
前記センターシャフと前記ビットによる陰影が生じない拡散光として供給可能とすることを特徴とする板金用引出し具。
【請求項5】
センターシャフト(22)と、
該センターシャフトの先端部に配設し板金面に溶着可能なビット(25)を備えた第1の操作手段(20)と、
該第1の操作手段を引き上げる一対の腕杆(43A,43B)を備えた第2の操作手段(30)と、
導通部材により形成された通電部本体(101)を備え、前記ビットに通電する通電機構(100)と、
前記第2の操作手段を支承する脚体(130)とを具備してなる板金用引出し具であって、
該脚体に支承される前記第2の操作手段に支持され、照光ユニット(70)を収容するハウジング(10)と、
該ハウジングに収容され板金面を照光する前記照光ユニットとを具備し、
前記照光ユニットが、
前記ハウジングに内蔵された光源(74)と、
該光源に電力を供給する電源(80)と、
前記光源より供給される光を拡散する光拡散板(90)とを備え、
前記照光ユニットを収容した前記ハウジングを前記第2の操作手段を介して前記脚体により支持することにより、前記脚体が板金面に当接する際に、前記照光ユニットを板金面から所定距離を離隔するように保持したことを特徴とする板金用引出し具。
【請求項6】
センターシャフト(22)と、
該センターシャフトの先端部に配設し板金面に溶着可能なビット(25)を備えた第1の操作手段(20)と、
該第1の操作手段を引き上げる一対の腕杆(43A,43B)を備えた第2の操作手段(30)と、
導通部材により形成された通電部本体(101)を備え、前記ビットに通電する通電機構(100)と、
前記第2の操作手段を支承する脚体(130)とを具備してなる板金用引出し具であって、
該脚体に支承される前記第2の操作手段に支持され、照光ユニット(70)を収容するハウジング(10)と、
該ハウジングに収容され板金面を照光する前記照光ユニットとを具備し、
前記照光ユニットが、
前記ハウジングに内蔵された光源(74)と、
該光源に電力を供給する電源(80)と、
前記光源より供給される光を拡散する光拡散板(90)とを備え、
前記照光ユニットを収容した前記ハウジングを前記第2の操作手段を介して前記脚体により支持することにより、前記脚体が板金面に当接する際に、前記照光ユニットを板金面から所定距離を離隔するように保持し、
前記光源より供給される光を前記光拡散板を通過させ、得られる拡散光を、前記ビット近傍の限定領域を照射する拡散光として供給可能とすることを特徴とする板金用引出し具。
【請求項7】
センターシャフト(22)と、
該センターシャフトの先端部に配設し板金面に溶着可能なビット(25)を備えた第1の操作手段(20)と、
該第1の操作手段を引き上げる一対の腕杆(43A,43B)を備えた第2の操作手段(30)と、
前記第1の操作手段を支持する支持部材(60)と、
導通部材により形成された通電部本体(101)を備え、前記ビットに通電する通電機構(100)と、
前記第2の操作手段を支承する脚体(130)とを具備してなる板金用引出し具であって、
該脚体に支承される前記第2の操作手段に支持され、照光ユニット(70)を収容するハウジング(10)と、
該ハウジングに収容され板金面を照光する前記照光ユニットとを具備し、
前記照光ユニットが、
前記ハウジングに内蔵された光源(74)と、
該光源に電力を供給する電源(80)と、
前記光源より供給される光を拡散する光拡散板(90)とを備え、
前記照光ユニットを収容した前記ハウジングを前記第2の操作手段を介して前記脚体により支持することにより、前記脚体が板金面に当接する際に、前記照光ユニットを板金面から所定距離を離隔するように保持し、
前記光源より供給される光を前記光拡散板を通過させ、得られる拡散光を、前記ビット近傍の限定領域において陰影が生じない拡散光として供給可能とすることを特徴とする板金用引出し具。
【請求項8】
センターシャフト(22)と、
該センターシャフトの先端部に配設し板金面に溶着可能なビット(25)を備えた第1の操作手段(20)と、
該第1の操作手段を引き上げる一対の腕杆(43A,43B)を備えた第2の操作手段(30)と、
前記第1の操作手段を支持する支持部材(60)と、
導通部材により形成された通電部本体(101)を備え、前記ビットに通電する通電機構(100)と、
前記第2の操作手段を支承する脚体(130)と、
前記通電機構に電気を供給する電源コード(3)とを具備してなる板金用引出し具であって、
前記脚体に支承される前記第2の操作手段に支持され、照光ユニット(70)を収容するハウジング(10)と、
該ハウジングに収容され板金面を照光する前記照光ユニットとを具備し、
前記照光ユニットが、
前記ハウジングに内蔵された光源(74)と、
該光源に電力を供給する電源(80)と、
前記光源より供給される光を拡散する光拡散板(90)とを備え、
前記照光ユニットを収容した前記ハウジングを前記第2の操作手段を介して前記脚体により支持することにより、前記脚体が板金面に当接する際に、前記照光ユニットを板金面から所定距離を離隔するように保持し、
前記光源より供給される光を前記光拡散板を通過させ、得られる拡散光を前記ビット近傍の板金面に照射可能とし、前記拡散光を前記ビット近傍の限定小領域において、
前記センターシャフと前記ビットによる陰影が生じない拡散光として供給可能とすることを特徴とする板金用引出し具。
【請求項15】
前記第2の操作手段(30)が、左右に延出された一対の腕杆(43A,43B)を備え、該腕杆と前記通電部本体(101)とが一体的に形成され、前記腕杆が前記脚体(130)に支承され、前記通電部本体を前記ハウジング(10)の前記空所(10A)に収めた状態で、前記ハウジングに形成された前記第2の挿通孔(12)に挿通した前記支持用ねじ(69)の先端が前記通電部本体に形成されたねじ孔(104)に螺合し、この状態で、前記支持用ねじ(69)の他端が前記第2の挿通孔内に留まり、前記ハウジングが前記通電部本体に支持されていることを特徴とする請求項14に記載の板金用引出し具。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板金時に板金面の凹部を引き出す板金用引出し具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、板金時に板金面の凹部を引き出す板金用引出し具として、板金面に溶着するビット先端に細やかな力を加えながら引き出し作業を行なう板金用引出し具(特許文献1)が本願発明者により提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5716889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す板金用引出し具は、センターシャフトと、センターシャフトの先端部に配設し板金面に溶着可能なビットを備えた第1の操作手段と、第1の操作手段を引き上げる第2の操作手段と、第1の操作手段を支持する支持部材と、ビットに通電する通電機構と、第2の操作手段を支承する脚体と、通電機構に電気を供給する電源コードを具備し、電源コードの他端側を溶接機に接続して使用するものであり、ビットに通電し、このビット先端を板金修正面に溶着して板金修正面の凹部の引き上げ、さらに凹部の引き上げ後にビットの溶着の解除、という一連の板金作業を行なことを可能としている。
【0005】
ところで、板金作業の作業場は一般に十分な明かりが保証されていないことが多く、暗い作業場においても板金作業を効率よく短時間で行なうことを可能とするために、少なくとも、(1)板金作業時に十分に明るさが保証されていること、(2)作業者が目視にて板金面の凹凸を明瞭に把握できること、が作業環境上望まれる。
【0006】
また、板金用引出し具を使用する板金作業場には、ごみ、金属粉塵、土埃等が少なからず存在しているため、(1)ビットに通電する通電機構に、ごみ、金属粉塵、土埃が混入・付着しないこと、(2)電気系統に接触不良等のトラブルが発生しないことが求められる。
【0007】
この点、特許文献1に示す板金用引出し具にあっては、板金引出し具自体が板金面を照光する手段を具備していないため、さらに、ビットに通電する通電機構の電気系統の保護が必ずしも十分ではないため、
(1)作業場が暗いと板金面の凹凸が見えにくく板金作業を効率よく行なうことができない、
(2)外部に照光手段を設けて、例えば、斜め前方より板金面を照光してもセンターシャフトやビットによる陰影が板金面に生じ易く(例えば、図23参照)、特に、陰影が板金面の凹凸と重なる場合には板金面の小さな起伏が見えにくくなり板金を円滑に行うことが難しくなって板金作業に悪影響を及ぼす(例えば、図24参照)、
(3)ビットに通電する通電機構の電気系統に、ごみ、金属粉塵、土埃が混入・付着して電気系統のトラブル(例えば、通電機構に形成された第1の貫通孔よりごみ、金属粉塵、土埃が混入し、第1の貫通孔に挿通されるセンターシャフトと通電機構の構成メンバーである通電チップとの当接部に、ごみ、金属粉塵、土埃が付着して生起される接触不良)を惹起する
等のおそれがある。
【0008】
従って本発明の目的は、板金作業時に十分な明るさが保証され、板金を必要とするビット近傍の板金面の起伏を明瞭に見ることができ、作業場が暗い場合でも板金を必要とする凹凸箇所を照光しながら板金作業を効率よく行なうことができる板金用引出し具を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、板金面を照光しても、センターシャフトやビットによる陰影が板金箇所に生じることが回避され、板金作業を行なう際に十分な明るさが保証され、溶着ビットの近傍を陰影がない状態で照光しながら板金作業を行なえる板金用引出し具を提供することにある。
【0010】
本発明のもう一つ他目的は、照光部材をハウジングに集約してコンパクトな照光ユニットを構成し、光量を自由に調節でき板金を必要とする箇所を的確に照射できる板金用引出し具を提供することにある。
【0011】
本発明のさらにもう一つ他の目的は、電気系統に、ごみ、金属粉塵、土埃等が混入・付着することを遮断し、電気系統にトラブルが発生すること回避して、故障が少なく耐久性に優れ、しかも使い勝手のよい板金用引出し具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る板金用引出し具は、センターシャフトと、
該センターシャフトの先端部に配設し板金面に溶着可能なビットを備えた第1の操作手段と、
該第1の操作手段を引き上げる第2の操作手段と、
前記ビットに通電する通電機構と、
前記第2の操作手段を支承する脚体とを具備してなる板金用引出し具であって、
該脚体に支承される前記第2の操作手段に支持され、照光ユニットを収容するハウジングと、
該ハウジングに収容され板金面を照光する前記照光ユニットとを備えた板金用引出し具である。
【0013】
前記照光ユニットは、
前記ハウジングに内蔵された光源と、
該光源に電力を供給する電源と、
前記光源より供給される光を拡散する光拡散板とを備えていることが好適である。
【0014】
前記照光ユニットを収容した前記ハウジングを前記第2の操作手段を介して前記脚体により支持することにより、前記脚体が板金面に当接する際に、前記照光ユニットを板金面から所定距離を離隔するように保持することが好適である。
【0015】
本発明に係る板金用引出し具は、センターシャフトと、
該センターシャフトの先端部に配設し板金面に溶着可能なビットを備えた第1の操作手段と、
該第1の操作手段を引き上げる第2の操作手段と、
前記ビットに通電する通電機構と、
前記第2の操作手段を支承する脚体とを具備してなる板金用引出し具であって、
該脚体に支承される前記第2の操作手段に支持され、照光ユニットを収容するハウジングと、
該ハウジングに収容され板金面を照光する前記照光ユニットとを具備し、
前記照光ユニットが、
前記ハウジングに内蔵された光源と、
該光源に電力を供給する電源と、
前記光源より供給される光を拡散する光拡散板とを備え、
前記照光ユニットを収容した前記ハウジングを前記第2の操作手段を介して前記脚体により支持することにより、前記脚体が板金面に当接する際に、前記照光ユニットを板金面から所定距離を離隔するように保持し、
前記光源より供給される光を前記光拡散板を通過させ、得られる拡散光を、前記ビット近傍の限定領域を照射する拡散光として供給可能とする板金用引出し具とすることもできる。
【0016】
また、本発明に係る板金用引出し具は、センターシャフトと、
該センターシャフトの先端部に配設し板金面に溶着可能なビットを備えた第1の操作手段と、
該第1の操作手段を引き上げる第2の操作手段と、
前記第1の操作手段を支持する支持部材と、
前記ビットに通電する通電機構と、
前記第2の操作手段を支承する脚体とを具備してなる板金用引出し具であって、
該脚体に支承される前記第2の操作手段に支持され、照光ユニットを収容するハウジングと、
該ハウジングに収容され板金面を照光する前記照光ユニットとを具備し、
前記照光ユニットが、
前記ハウジングに内蔵された光源と、
該光源に電力を供給する電源と、
前記光源より供給される光を拡散する光拡散板とを備え、
前記照光ユニットを収容した前記ハウジングを前記第2の操作手段を介して前記脚体により支持することにより、前記脚体が板金面に当接する際に、前記照光ユニットを板金面から所定距離を離隔するように保持し、
前記光源より供給される光を前記光拡散板を通過させ、得られる拡散光を、前記ビット近傍の限定領域において陰影が生じない拡散光として供給可能とする板金用引出し具とすることもできる。
【0017】
さらにまた、本発明に係る板金用引出し具は、
センターシャフトと、
該センターシャフトの先端部に配設し板金面に溶着可能なビットを備えた第1の操作手段と、
該第1の操作手段を引き上げる第2の操作手段と、
前記第1の操作手段を支持する支持部材と、
前記ビットに通電する通電機構と、
前記第2の操作手段を支承する脚体と、
前記通電機構に電気を供給する電源コードとを具備してなる板金用引出し具であって、
前記脚体に支承される前記第2の操作手段に支持され、照光ユニットを収容するハウジングと、
該ハウジングに収容され板金面を照光する前記照光ユニットとを具備し、
前記照光ユニットが、
前記ハウジングに内蔵された光源と、
該光源に電力を供給する電源と、
前記光源より供給される光を拡散する光拡散板とを備え、
前記照光ユニットを収容した前記ハウジングを前記第2の操作手段を介して前記脚体により支持することにより、前記脚体が板金面に当接する際に、前記照光ユニットを板金面から所定距離を離隔するように保持し、
前記光源より供給される光を前記光拡散板を通過させ、得られる拡散光を前記ビット近傍の板金面に照射可能とし、前記拡散光を前記ビット近傍の限定小領域において、
前記センターシャフと前記ビットによる陰影が生じない拡散光として供給可能とする板金用引出し具とすることもできる。
【0018】
前記光源をLED光源により構成し、該LED光源を前記ハウジング内に配設された前記プリント基板に固定し、かつ、前記LED光源を前記プリント基板に複数個等間隔に配設したLED光源群として構成し、前記プリント基盤と前記拡散板を離隔対応して配設するとよい。
【0019】
前記ハウジングが電源収容部を備え、前記電源が電源収容部に収容され、前記電源収容部は、前記光源用電源の挿脱を可能とする開口部を有し、該開口部がカバーメンバにより塞がれるように形成することができる。
【0020】
前記ハウジングは前記通電機構を収容する空所を備え、前記ハウジングに隔壁を形成し、該隔壁により、前記空所と前記電源収容部を仕切るようにすることができる。
【0021】
前記第2の操作手段の基端部は前記ハウジングの前記空所に収容することが好ましい。
【0022】
前記照光ユニットは、照度調整用ボリューム部を備え、該照度調整用ボリューム部により前記LED光源の光量の調整を可能に形成するとよい。
【0023】
前記ハウジングは、前記脚体に支承された前記第2の操作手段に支持されることが好適であり、前記照光ユニットを収容した前記ハウジングを前記第2の操作手段を介して前記脚体により支持することにより、前記脚体が板金面に当接する際に、前記照光ユニットを板金面から所定距離を離隔するように保持する。
【0024】
前記ハウジングは、前記通電部本体を収容する前記空所と、前記センターシャフトが挿通する第1の挿通孔と、前記ハウジングを支持する支持用ねじが挿通する第2の挿通孔と、前記第2の操作手段を構成するセコンドレバーを支持する支持軸が挿通する第3の挿通孔と、前記照度調整ボリューム部の一端を露出させる貫通孔と、前記電源収容部と、前記光拡散板を収める下向き段部を備えるように形成できる。
【0025】
前記第2の操作手段は、左右に延出された一対の腕杆を備え、該腕杆と前記通電部本体とは一体的に形成され、前記腕杆は前記脚体に支承され、前記通電部本体を前記ハウジングの前記空所に収めた状態で、前記ハウジングに形成された前記第2の挿通孔に挿通した前記支持用ねじの先端が前記通電部本体に形成されたねじ孔に螺合し、この状態で、前記支持用ねじの他端が前記第2の挿通孔内に留まり、前記ハウジングが前記通電部本体に支持されるように形成できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、次の効果を奏する。
(1)板金作業時に十分な明るさが保証され、板金を必要とするビット近傍の板金面の起伏を明瞭に把握することができ、作業場が暗い場合でも板金を必要とする板金箇所を照光して板金作業を効率よく行なうことができる板金用引出し具が得られる。
(2)板金面を照光しても、センターシャフトやビットによる陰影が板金箇所に生じることを回避でき、板金作業を行なう際に十分な明るさが保障され、溶着ビットの近傍を陰影がない状態で照光して板金作業を行なうことができる板金用引出し具が得られる。
(3)照光ユニットを構成する照光部材をハウジングに集約してコンパクトな構成に形成でき、光量を自由に調節して板金を必要とする箇所を的確に照射できる板金用引出し具が得られる。
(4)ハウジングに、空所(第1スペース)と、空所と隔壁により仕切られた電源収容空間(第2スペース)を形成し、第1スペースに通電機構の通電部本体を収容し、他方、第2スペースに光源用電源を収容して、電気系統に、ごみ、金属粉塵、土埃が混入・付着することを遮断し、電気系統にトラブルが発生することを回避して、故障が少なく耐久性にすぐれ、しかも使い勝手のよい板金用引出し具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る板金用引出し具の斜視図であり、第1の操作手段を構成するハンドルを握る左手と第2の操作手段を握る右手を仮想線(一点鎖線)で示した斜視図である。
図2図1に示す板金用引出し具の背面を底面側から見上げた斜視図である。
図3図1に示す板金用引出し具の背面図である。
図4図1に示す板金用引出し具の右側面図である。
図5図1に示す板金用引出し具の底面図である。
図6図3のX-X断面図に通電時の電流の流れを入れた図である。
図7図1に示す板金用引出し具の本体と脚体を分離した状態の斜視図である。
図8図1に示す板金用引出し具の本体の構成部品を示す分解斜視図である。
図9図1に示す板金用引出し具の光拡散板を取り外した状態の底面図である。
図10】LED光源等を埋め込んだプリント基板の表面図である。
図11】LED光源等を埋め込んだプリント基板の裏面図である。
図12図10の右側面図である。
図13】LED光源等への配線を示す略図である。
図14】照光ユニットを構成しLED光源を備えた照光部の回路図である。
図15】光拡散板の表面図である。
図16】光拡散板の裏面図である。
図17図15の右側面図である。
図18】通電機構を組み込んだ板金用引出し具の要部を示す斜視図である。
図19】通電機構を組み込んだ板金用引出し具の要部を示し、通電機構の構成部品を分解して示す分解斜視図である。
図20図18のY-Y断面拡大略図である。
図21図1に示す板金用引出し具の照光ユニットを点灯させた状態を示す斜視図である。
図22図1に示す板金用引出し具の照光ユニットを点灯させた状態を示し、センターシャフトやビットによる陰影が板金箇所に生じていない状態を示す板金面の要部斜視図である。
図23図1に示す板金用引出し具から光拡散板を取り外し、照光ユニットを点灯させている状態を示し、センターシャフトやビットによる陰影が板金箇所に生じている状態を示す板金面の要部斜視図である。
図24図1に示す板金用引出し具から光拡散板を取り外し、照光ユニットを点灯させている状態を示し、センターシャフトやビットによる陰影が板金面の凹凸と重なり板金を必要とする面の起伏が見えにくくなっている状態を示す板金面の要部斜視図である。
図25図1に示す板金用引出し具の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0028】
以下に、本発明に係る実施例について、ハウジングに通電機構の通電部本体を収容し、照光ユニットをハウジングに組み込んで構成した板金用引出し具とともに、図面を参照して説明する。ここでは、光源としてLED(Light Emitting Diode)光源を、光源用電源として充電式の電池(バッテリー)を用いた例を示す。
【0029】
[照光ユニット70]
図1乃至図17において、照光ユニット70は、板金面を照光しハウジング10に収容される。
【0030】
前記照光ユニット70は、照光部本体71と光拡散板90を備えている。このうち、前記照光部本体71は、前記ハウジング10に内蔵されたLED光源74と、該LED光源に電力を供給する電池80を備えている。前記LED光源を固定したプリント基板72と前記光拡散板90は離隔対応して前記ハウジング内に配設されている。
【0031】
前記照光ユニット70は、照度調整用ボリューム部78を備え、該照度調整用ボリューム部により前記LED光源74の光量の調整が可能である。
【0032】
前記LED光源74は、6つのLED光源により構成され、該LED光源は並列に接続され、前記ハウジング内に配設された前記プリント基板72の円周方向に等間隔に配設されている(図11図14参照)。かくして、前記LED光源74は、LED光源群を構成している。符号70Aは2本のリード線(電源線)、70Bは3本のリード線(ボリューム線)である(図13参照)。このうち、前記リード線70Aは、一端は前記プリント基板72に接続され、他端(先端)は前記ハウジング10を仕切る横壁10Dの端部に穿設された案内孔(図示せず)に導かれ充電プラグ85を介して前記電池に接続される。また、前記リード線70Bは、一端は前記プリント基板72に接続され、他端(先端)は前記照度調整用ボリューム部78に接続される。
【0033】
前記プリント基板72は、外形形状が円形に形成され、中央にセンターシャフト22が挿通する挿通孔が形成されている。
【0034】
前記プリント基板72は、2個のコンデンサ75A,75Bと、駆動IC(FET)76と、可変抵抗器77を備えている。該可変抵抗器77により前記駆動IC(FET)76にかかる電圧を調整し前記LED光源74の光量(明るさ)を調節する。すなわち、前記照度調整用ボリューム部78を回す摘み(作動させるノブナット)79を操作して前記駆動IC(FET)76にかかる電圧を調整し、前記LED光源74の光量の調整が可能である。前記コンデンサ75A,75Bはノイズを吸収する。
【0035】
前記LED光源より供給される光を前記光拡散板を透過(通過)させて得られる拡散光300は、ビット25近傍の板金面に照射される。前記拡散光300は、前記ビット近傍の限定小領域において、板金用引出し具のセンターシャフト22と前記ビット25による陰影を生じさせない拡散光として供給される。
【0036】
前記光拡散板90は、半透明の樹脂部材により形成され、中央に前記センターシャフト22が挿通する挿通孔が形成されている。
【0037】
前記プリント基板72と前記光拡散板90には対応する同位置にねじ挿通孔が形成され、前記プリント基板と前記光拡散板は離隔対応した状態でねじ挿通孔に挿通した止めねじ94により前記ハウジングに止め着けられる。
【0038】
[ハウジング10]
図1乃至図8において、前記ハウジング10は、板金面を照光する前記照光ユニット70を収容している。前記ハウジング10は、前記ハウジングを仕切る前記縦壁10Cと横壁(底壁)10Dから形成される隔壁(10C、10D)を備えている。この隔壁により、前記ハウジングは、空所10Aと電源収容部17に仕切られる。
【0039】
前記ハウジング10には、通電部本体101及びばね24を収める得る前記空所10Aと、前記センターシャフト22が挿通する第1の挿通孔11と、前記ハウジングを支持する支持用ねじ69が挿通する第2の挿通孔12と、前記充電プラグ85の一端を露出させる第1の貫通孔13と、前記第2の操作手段30を構成するセコンドレバー50を支持する支持軸58が挿通する第3の挿通孔14と、前記照度調整ボリューム部78の一端を露出させる第2の貫通孔15と、前記第2の操作手段30に形成された腕杆43A,43Bの肩部を収める欠所16と、前記電池80を収容する電源収容部17と、前記光拡散板90を収める下向き段部19が形成されている。
【0040】
前記腕杆43A,43Bと、前記通電部本体101とは一体的に形成され、前記腕杆は脚体130に支承される。前記通電部本体を前記ハウジングの前記空所に収めた状態で、前記ハウジングに形成された前記第2の挿通孔に挿通した前記支持用ねじの先端が前記通電部本体に形成されたねじ孔104に螺合し、この状態で、前記支持用ねじの他端は前記第2の挿通孔内に留まり、前記ハウジングは前記通電部本体に支持される。
【0041】
かくして、前記ハウジング10は、前記脚体130に支承された前記第2の操作手段30に支持されている。しかして、前記照光ユニット70を収容した前記ハウジング10は前記第2の操作手段30を介して前記脚体130に支持され、前記脚体が板金面に当接する際に、前記照光ユニット70は板金面から所定距離を離隔するように保持される。
【0042】
前記電源収容部17には前記電池(光源用電源)の挿脱を可能とする開口部17Aが形成される。該開口部は、カバーメンバ18を止めねじ18Aによって止め着け塞がれる。
【0043】
符号59はEリングであり、前記セカンドレバー50が枢支された状態で前記支持軸58を支持する軸承部54において前記支持軸58を止め着け、前記支持軸の抜けを阻止する(図1図2図4図6図8参照)。
【0044】
前記充電プラグ85は、前記電池80が消耗したときに充電するための充電器のコードを差し込む充電プラグである。
【0045】
[通電機構100]
また、板金用引出し具1には通電機構100が組み込まれている。
【0046】
図8図18乃至図20において、前記通電機構100は、前記センターシャフト22の先端部に配設され板金面に溶着可能な前記ビット25に通電する通電機構として形成される。
【0047】
前記通電機構100は、導通部材により形成された前記通電部本体101を備え、前記通電部本体は、前記センターシャフト22を挿通する第1の貫通孔102が中央に縦孔として形成されている。さらに、前記第1の貫通孔の形成方向と直交する方向に前記第1の貫通孔に連通する左右各一対の第2の貫通孔103A,103Bが横孔として形成されている。
【0048】
前記第2の貫通孔103A,103Bには通電子105が配設されている。前記通電部本体101の下部には、ばね24の上端部を収容保持する凹所101Aが形成されている。符号104は前記第2の貫通孔103の下部に形成したねじ孔である。前記支持用ねじ69は、前記通電部本体101を前記ハウジング10内で支持する。前記ねじ孔104は、前記通電部本体101を前記ハウジングの空所10Aに収めた状態で、前記ハウジング10に形成された前記挿通孔12に挿通した前記支持用ねじ69(の先端)が螺合する。この状態では、前記支持用ねじ69の他端は、前記挿通孔12内に留まり、前記ハウジングは前記通電部本体を支持している。
【0049】
前記通電子105は、前記センターシャフト22に当接する通電チップ106と、該通電チップを前記センターシャフト方向に付勢するコイルばね107を含んで構成され、前記通電チップを介して前記センターシャフトに電流を供給し前記ビットに通電する(図6図20参照)。
【0050】
前記通電チップ106は、円柱部材を斜めに切断して切断面が楕円に形成された先端面を有し、前記通電部本体内において、前記通電チップ106の先端面と前記センターシャフト22が線接触にて当接している(図20参照)。
【0051】
前記第2の貫通孔103は、前記のとおり、前記通電部本体の左右方向に各2箇所当て横孔として形成され(図8図18図19参照)、前記センターシャフト22を前記第1の貫通孔102に挿通した状態で各横孔に上記通電子105を配設し、上記センターシャフトを介して対向する上記通電チップ106が前記センターシャフト22に均一な押圧力で当接している。
【0052】
前記通電チップとコイルばねとの間には絶縁体により形成されたスペーサ108が介在し前記通電チップ106と該コイルばね107とは非導通状態に置かれる。かくして、前記コイルばね107に電流は流れず、コイルばね107は電流により焼損することが回避される(前記通電チップ106を介して前記コイルばね109には電気は流れない)。
【0053】
前記第2の貫通孔103に前記通電子105を挿入し、前記通電チップが前記センターシャフトに当接した状態で前記第2の貫通孔の開口部にねじ109を螺合し該開口部を閉鎖している。
【0054】
[照光ユニット70を組み込んだ板金用引出し具1]
図1乃至図7に、上記照光ユニット70を組み込んだ板金用引出し具1を示す。この板金用引出し具1では、前記照光ユニット70を板金用引出し具1の中央に配置されるハウジング10に組み込んでいる。
【0055】
この板金用引出し具1は、前記センターシャフト22と、前記センターシャフトの先端部に配設し板金面に溶着可能な前記ビット25を備えた第1の操作手段20と、手動操作が可能で、前記第1の操作手段20の引き上げるために形成された前記第2の操作手段30と、前記第1の操作手段20を支持するために形成された支持部材60と、前記第2の操作手段30を支承するために形成された前記脚体130と、前記ハウジング10と、前記照光ユニット70と、前記ビット25に通電する前記通電機構100と、前記通電機構100に電気を供給するための電源コード3とを備えている。前記第1の操作手段20は、前記センターシャフト22と、前記センターシャフト22の一端に設けたセンターシャフト回動用のハンドル21を具備している。
【0056】
前記板金用引出し具1は、上記のとおり、板金面を照光する前記照光ユニット70を収容する前記ハウジング10を備えている。
【0057】
前記照光ユニット70は、前記ハウジング10に内蔵された前記LED光源74と、該LED光源に電力を供給する前記電池80と、前記LED光源より供給される光を拡散する前記光拡散板90を備えている。前記LED光源は前記プリント基板72に固定されている。前記ハウジングおいて、前記プリント基板と前記光拡散板は離隔対応して配設される。
【0058】
前記光源より供給される光を前記光拡散板を透過させて得られる拡散光300は前記ビット近傍の板金面に照射可能とし、前記拡散光300を前記ビット近傍の限定小領域において前記センターシャフトと前記ビットによる陰影が生じない拡散光として供給する。
【0059】
前記第1の操作手段20は、真鍮製の前記センターシャフト22と、前記センターシャフト22の一端に設けたセンターシャフト回動用の前記ハンドル21を具備し、前記センターシャフト22の先端部に前記ビット25が配設されている。
【0060】
すなわち、前記第1の操作手段20を構成する前記センターシャフト22の一端部22Aは、前記ハンドル21に連設して形成した接続部21Bのねじ穴に螺着し、一方前記センターシャフト22の先端部22Bに形成された雌ねじ部が前記ビット25の基端部に設けた雄ねじ部に螺合する(図6参照)。
【0061】
このセンターシャフト22の略中央から基端部にかけてねじ部23が刻設され、このねじ部23が前記第2の操作手段30の前記支持部材60に螺合し、前記第1の操作手段20は前記第2の操作手段30に回動自在に支持される。
【0062】
前記センターシャフト22には、ばね24が巻装している。ここでは、前記ばね24は、ばね上端部が前記通電部本体101の前記凹所101Aに、ばね下端部が支持部材60の頂面に位置し、前記センターシャフト22を巻装する(図2図3図6図8図18、及び図19参照)。このばね24は前記セカンドレバー50を下方向に付勢し、ばねの弾発力に抗しながら前記セカンドレバー50の引き上げを行ない板金作業を実行する。
【0063】
前記第2の操作手段30は、メインレバー40と、セカンドレバー50と、メインレバー40とセカンドレバー50との間に介在させた前記ばね24を含んで構成してある。
【0064】
前記メインレバー40は、絶縁部材を被覆して形成した取手部41と、この取手部41の配設方向と直交する方向に延出し前記脚体130によって支承される左右一対の前記腕杆43A,43Bを備えている。前記メインレバー40の後端に電源コード(ターミナルコード)3の一端が固定され、電源コードの他端は溶接機5に接続される。
【0065】
板金面修正作業時の電流の流れを図6に示す。通電時においては、溶接機5→電源コード3→メインレバー40→通電部本体101→通電チップ106→センターシャフト22→ビット25に電流が流れ通電される。
【0066】
前記セカンドレバー50は、前記取手部41と同様に、絶縁部材を被覆して形成した取手部51と、この取手部51の先端部側に形成したくり抜き部52と、前記セカンドレバー50を枢支する前記支持軸58を支持する軸承部54を備えている。
【0067】
前記セカンドレバー50は、前記第1の操作手段20を支持する前記支持部材60を備えている。この支持部材60には、中央貫通孔(貫通部)62が形成され、該中央貫通孔62には雌ねじ部が形成され、該雌ねじ部には前記センターシャフト22の前記雄ねじ部23が螺合する。
【0068】
前記支持部材60は、前記くりぬき部52内に収容され、前記支持部材60の両端部は前記くりぬき部52の両側のフレーム53に支持される。しかして、前記支持部材60の前記貫通孔(貫通部)62の雌ねじ部と前記センターシャフト22の雄ねじ部23が螺合し、前記第1の操作手段20は前記第2の操作手段30に回動自在に支持される。
【0069】
前記メインレバー40と、前記腕杆43A,43Bと、前記通電部本体101とは一体に形成されている。(図8参照)。
【0070】
かくして、前記板金用引出し具は、前記センターシャフトと、該センターシャフトの先端部に配設し板金面に溶着可能なビットを備えた第1の操作手段と、該第1の操作手段を支持するために形成された支持部材と、前記第1の操作手段の引き上げるために形成された第2の操作手段と、該第2の操作手段を支承するために形成された脚体と、通電機構に電気を供給するための電源コードと、前記ビットに通電する前記通電機構を備え、前記第1の操作手段は、前記センターシャフトと、前記センターシャフトの一端に設けたセンターシャフト回動用のハンドルを具備している。
【0071】
さらに、板金用引出し具は、板金面を照光する照光ユニットを収容するハウジングを備え、前記照光ユニットは、前記ハウジングに内蔵された光源と、該光源に電力を供給する光源用電源と、前記光源より供給される光を拡散する光拡散板を備え、前記プリント基板と前記光拡散板を離隔対応して前記ハウジングに配設する。前記照光ユニットを収容した前記ハウジングは前記第2の操作手段を介して前記脚体に支持され、前記脚体が板金面に当接する際に、前記照光ユニットは板金面から所定距離を離隔するように保持される。前記光源より供給される光を前記光拡散板を透過させ、得られる拡散光300を前記ビット近傍の板金面に照射可能とし、前記拡散光300を前記ビット近傍の限定小領域において前記センターシャフトと前記ビットによる陰影が生じない前記拡散光300として供給する。
【0072】
符号21Cは前記ハンドル21と前記シャフト22の緩みを止めるロックナット、65は板金面の凹凸を引き上げる際に引き上げ代を調整する引き代調整ボルト、67は作業者が操作手段を手で握る際に握リ巾を、前記セカンドレバー50を持ちやすい位置まで調整することを可能とする握リ巾調整ボルトである。135は蝶ナットであり、前記腕杆43A,43Bを前記脚体130の受部に挿入し前記腕杆と前記脚体を連結固定するために用いる。
【符号の説明】
【0073】
1 板金用引出し具
3 電源コード
5 溶接機
10 ハウジング
11 第1の挿通孔
12 第2の挿通孔
13 第1の貫通孔
14 第3の挿通孔
15 第2の貫通孔
16 欠所
17 電源収容部
18 カバーメンバ
19 光拡散板収容段部
20 第1の操作手段
21 ハンドル
22 センターシャフト
23 ねじ部
24 ばね
25 ビット
30 第2の操作手段
40 メインレバー
50 セカンドレバー
52 くりぬき部
53 フレーム
54 軸承部
58 支持軸
59 Eリング
60 支持部材
62 貫通孔
65 引き代調整ボルト
67 握リ巾調整ボルト
69 支持用ねじ
70 照光ユニット
71 照光部本体
72 プリント基板
73 貫通孔
74 LED光源
75 チップコンデンサ
76 駆動IC
77 可変抵抗器
78 照度調整用ボリューム部
79 つまみ
80 電池
85 充電プラグ
90 光拡散板
93 貫通孔
94 止めねじ
96 止めねじ
100 通電機構
101 通電部本体
101A 凹所
102 第1の貫通孔
103 第2の貫通孔
104 ねじ孔
105 通電子
106 通電チップ
107 ばね
108 スペーサ
109 ねじ
130 脚体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図22
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図25