(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】Claudin18.2結合部分及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20240617BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240617BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240617BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240617BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240617BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240617BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240617BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240617BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20240617BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240617BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240617BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240617BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K19/00
C07K14/705
C12N15/62 Z
A61K39/395 N
A61K48/00
A61P35/00
(21)【出願番号】P 2022538447
(86)(22)【出願日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 CN2020139143
(87)【国際公開番号】W WO2021129765
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/129095
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】524009059
【氏名又は名称】レジェンド バイオテック アイルランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】シャオフー ファン
(72)【発明者】
【氏名】キウチュアン ゾアン
(72)【発明者】
【氏名】シュ ファン
(72)【発明者】
【氏名】キンシャン ザング
(72)【発明者】
【氏名】マンマン シュー
(72)【発明者】
【氏名】メン フェン
【審査官】藤山 純
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/242505(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/219089(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/174617(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109762067(CN,A)
【文献】特表2018-513146(JP,A)
【文献】国際公開第2018/157147(WO,A1)
【文献】JIANG, H et al.,Claudin 18.2-specific chimeric antigen receptor engineered T cells for the treatment of gastric cancer ,J Natl Cancer Inst.,111(4),2019年04月01日,pp.409-418
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
C12N 1/00- 7/08
A61K 39/395
A61K 48/00
A61P 35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Claudin18.2に特異的に結合する結合部分であって、
(1)配列番号1もしくは配列番号113のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号24もしくは配列番号126のアミノ酸配列を含むCDR3、
(2)配列番号2もしくは配列番号114のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号25もしくは配列番号127のアミノ酸配列を含むCDR3、
(3)配列番号3もしくは配列番号115のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号26もしくは配列番号128のアミノ酸配列を含むCDR3、
(4)配列番号4もしくは配列番号116のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号27もしくは配列番号129のアミノ酸配列を含むCDR3、
(5)配列番号5もしくは配列番号117のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号28もしくは配列番号130のアミノ酸配列を含むCDR3、
(6)配列番号6もしくは配列番号118のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号29もしくは配列番号131のアミノ酸配列を含むCDR3、
(7)配列番号7もしくは配列番号119のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号30もしくは配列番号132のアミノ酸配列を含むCDR3、
(8)配列番号8もしくは配列番号120のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号31もしくは配列番号133のアミノ酸配列を含むCDR3、
(9)配列番号1もしくは配列番号121のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号32もしくは配列番号134のアミノ酸配列を含むCDR3、
(10)配列番号5もしくは配列番号122のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号33もしくは配列番号135のアミノ酸配列を含むCDR3、
(11)配列番号9もしくは配列番号123のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号34もしくは配列番号136のアミノ酸配列を含むCDR3、
(12)配列番号10もしくは配列番号124のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号35もしくは配列番号137のアミノ酸配列を含むCDR3、
(13)配列番号5もしくは配列番号122のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号36もしくは配列番号138のアミノ酸配列を含むCDR3、または
(14)配列番号11もしくは配列番号125のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号37もしくは配列番号139のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む、単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片を含む、前記結合部分。
【請求項2】
Claudin18.2に特異的に結合する結合部分であって、
(i)配列番号38に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(ii)配列番号39に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(iii)配列番号40に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(iv)配列番号41に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(v)配列番号42に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(vi)配列番号43に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(vii)配列番号44に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(viii)配列番号45に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(ix)配列番号46に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(x)配列番号47に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xi)配列番号48に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xii)配列番号49に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xiii)配列番号50に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xiv)配列番号51に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xv)配列番号77に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xvi)配列番号78に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xvii)配列番号79に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xviii)配列番号80に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xix)配列番号81に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xx)配列番号82に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xxi)配列番号83に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xxii)配列番号84に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、または
(xxiii)配列番号85に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を含む、単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片を含む、前記結合部分。
【請求項3】
前記CDR1、CDR2、またはCDR3が、Kabat番号付けスキーム、IMGT番号付けスキーム、AbM番号付けスキーム、Chothia番号付けスキーム、Contact番号付けスキーム、またはそれらの組み合わせに従って決定される、請求項
2に記載の結合部分。
【請求項4】
配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、及び/または配列番号85に記載される1つ以上のFR領域をさらに含む、請求項1~
3のいずれか1項に記載の結合部分。
【請求項5】
前記単一ドメイン抗体または抗原結合断片が、ラクダ科、キメラ
、またはヒト化である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の結合部分。
【請求項6】
前記単一ドメイン抗体または抗原結合断片が、VHHドメインを含む、請求項1~
5のいずれか1項に記載の結合部分。
【請求項7】
前記単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片が、配列番号38~51及び77~85のうちのいずれか1つに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する、アミノ酸配列を含む、請求項1~
6のいずれか1項に記載の結合部分。
【請求項8】
前記単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片が、IgG、IgM、もしくはIgA重鎖定常領域またはその断片を含む、請求項1~
7のいずれか1項に記載の結合部分。
【請求項9】
前記単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片が、薬剤に遺伝的に融合または化学的にコンジュゲートされる、請求項1~
8のいずれか1項に記載の結合部分。
【請求項10】
請求項1~
8のいずれか1項に記載の結合部分をコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項11】
請求項
10に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項12】
請求項
10に記載のポリヌクレオチドまたは請求項
11に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項13】
キメラ抗原受容体(CAR)であって、
(a)請求項1~
9のいずれか1項に記載の結合部分を含む、細胞外抗原結合ドメインと、
(b)膜貫通ドメインと、
(c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む、ポリペプチドを含む、前記CAR。
【請求項14】
前記細胞外抗原結合ドメインが、1つ以上の追加の抗原結合ドメイン(複数可)をさらに含む、請求項
13に記載のCAR。
【請求項15】
前記細胞外抗原結合ドメインが、1つの追加の抗原結合ドメインをさらに含む、または前記細胞外抗原結合ドメインが、2つの追加の抗原結合ドメインをさらに含む、請求項
13に記載のCAR。
【請求項16】
前記膜貫通ドメインが、CD8α、CD4、CD28、CD137、CD80、CD86、CD152、及びPD1からなる群から選択される分子に由来する、請求項
13~
15のいずれか1項に記載のCAR。
【請求項17】
前記膜貫通ドメインが、CD8αに由来する、請求項
16に記載のCAR。
【請求項18】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、免疫エフェクター細胞の一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む、請求項
13~
17のいずれか1項に記載のCAR。
【請求項19】
前記一次細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3-ゼータに由来する、請求項
18に記載のCAR。
【請求項20】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、共刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む、請求項
18または
19に記載のCAR。
【請求項21】
前記共刺激シグナル伝達ドメインが、CD27、CD28、CD137、OX40、CD30、CD40、CD3、LFA-1、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83のリガンド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される共刺激分子に由来する、請求項
20に記載のCAR。
【請求項22】
前記共刺激シグナル伝達ドメインが、CD137に由来する、請求項
21に記載のCAR。
【請求項23】
前記細胞外抗原結合ドメインのC末端と前記膜貫通ドメインのN末端との間に位置するヒンジドメインをさらに含む、請求項
13~
22のいずれか1項に記載のCAR。
【請求項24】
前記ヒンジドメインが、CD8αに由来する、請求項
23に記載のCAR。
【請求項25】
前記ポリペプチドのN末端に位置するシグナルペプチドをさらに含む、請求項
13~
24のいずれか1項に記載のCAR。
【請求項26】
前記シグナルペプチドが、CD8αに由来する、請求項
25に記載のCAR。
【請求項27】
前記ポリペプチドが、N末端からC末端まで、シグナルペプチド、VHHドメインを含む抗原結合ドメイン、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、及び共刺激シグナル伝達ドメインを含む、請求項
13~
26のいずれか1項に記載のCAR。
【請求項28】
前記ポリペプチドが、N末端からC末端まで、CD8αに由来するシグナルペプチド、VHHドメインを含む抗原結合ドメイン、CD8αに由来するヒンジドメイン、CD8αに由来する膜貫通ドメイン、CD137細胞質ドメイン、及びCD3-ゼータの細胞質ドメインを含む、請求項
27に記載のCAR。
【請求項29】
前記ポリペプチドが、N末端からC末端まで、配列番号67のシグナルペプチド、VHHドメインを含む抗原結合ドメイン、配列番号68のヒンジドメイン、配列番号69の膜貫通ドメイン、配列番号70のCD137細胞質ドメイン、及び配列番号72のCD3-ゼータの細胞質ドメインを含む、請求項
28に記載のCAR。
【請求項30】
前記ポリペプチドが、配列番号53~66及び86~93に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する、アミノ酸配列を含む、請求項
13に記載のCAR。
【請求項31】
請求項
13~
30のいずれか1項に記載のCARをコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項32】
請求項
31に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項33】
請求項
31に記載のポリヌクレオチドまたは請求項
32に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項34】
請求項
13~
30のいずれか1項に記載のCARを組み換えて発現する、遺伝子操作された免疫細胞。
【請求項35】
前記遺伝子操作された免疫細胞が、T細胞である、請求項
34に記載の遺伝子操作された免疫細胞。
【請求項36】
請求項1~
9のいずれか1項に記載の結合部分、請求項
13~
30のいずれか1項に記載のキメラ抗原受容体、請求項
10もしくは
31に記載のポリヌクレオチド、請求項
11もしくは
32に記載のベクター、請求項
12もしくは
33に記載の宿主細胞、または請求項
34もしくは
35に記載の遺伝子操作された免疫細胞
を含む、薬学的組成物。
【請求項37】
それを必要とする対象においてClaudin18.2発現腫瘍またはがんを治療する
ことにおいて使用するための、請求項
36に記載の薬学的組成物
。
【請求項38】
前記Claudin18.2発現腫瘍またはがんが、胃、食道、胃食道、膵臓、卵巣、もしくは肺腫瘍またはがんである、請求項
37に記載の
薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、その内容が参照によりその全体で本明細書に組み込まれる、2019年12月27日に出願された国際特許出願第PCT/CN第2019/129095号の優先権の利益を主張する。
配列表
本出願は、124,111バイトのサイズを有する、2020年12月24日に作成された「14651-011-228_SEQ_LISTING.txt」と題されたテキストフォーマットとして本出願とともに提出された配列表を参照により組み込む。
本開示は、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体、キメラ抗原受容体、遺伝子操作された免疫エフェクター細胞、及びそれらの使用方法に関する。本開示は、治療的使用のための細胞の活性化及び増殖に関し、特に、キメラ抗原受容体ベースのT細胞免疫療法に関する。
【背景技術】
【0002】
胃癌(GC)は、5年生存率が5%~20%である、世界のがん関連死亡の主要な原因のうちの1つである(Ferlay J.et al.,International journal of cancer 136(5):E359-386(2015))。初期の疾患症状がほとんど非特異的であるため、定期的なスクリーニングにアクセスできない国では、GCまたは胃食道接合部(GEJ)癌のほとんどの患者は、進行段階で診断される(Maconi G.et al.,(2008)World J Gastroenterol 14(8):1149-1155)。白金及びフルオロピリミジン誘導体の化学療法が、現在、切除不能または転移性GC/GEJ癌のための第一選択療法として推奨されている。しかしながら、疾患の進行が、そのような治療を受けた患者において最終的に観察され、無進行生存期間の中央値は5~7ヶ月であり、全生存期間の中央値は9~11ヶ月であった(Roberto I.et al.,PLoS One 9(9):e108940(2014)、Kim H.S.et al.,Annals of Oncology 24(11):2850-2854(2013))。
【0003】
クローディン18.2(Claudin18.2)は、上皮細胞の接合部に発現され、傍細胞障壁を確立し、細胞間の分子の流れを制御し、細胞シグナル伝達及び上皮細胞の極性維持において重要な役割を果たす、四量体膜タンパク質のクローディンファミリーのメンバーである、Claudin18のスプライス変異体である(Singh et al.,J Oncol.2010:541957(2010))。Claudin18.2の発現は、正常組織における胃粘膜の緊密な接合部に厳密に制限され、超分子複合体に埋もれており、したがって、正常組織内のClaudin18.2は、大部分が静脈内(IV)抗体にアクセスできない。しかしながら、Claudin18.2は、がん細胞表面上に露出するようになり、その発現は、最大80%のGC腫瘍で見出され、また、膵臓癌、食道癌、卵巣癌、及び非小細胞肺癌(NSCLC)などの肺癌、結腸癌、肝臓癌、頭頸部癌、胆嚢癌、ならびにそれらの転移などの他の多くの種類の腫瘍でも異常に活性化される(Sahin U.et al.,Clinical Cancer Research 14(23):7624-7634(2018))。抗Claudin18.2抗体及びキメラ抗原受容体(CAR)が、長年研究されてきたが、依然として、改良されたClaudin18.2結合治療分子及び遺伝子操作されたClaudin18.2標的細胞の必要性がある。例えば、より効果的または効率的なCAR-T細胞療法で使用するための安定した小さなサイズのClaudin18.2結合分子を開発する必要性がある。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、1つ以上の抗Claudin18.2単一ドメイン抗体(sdAb)またはその抗原結合断片を含む、Claudin18.2に特異的に結合する結合部分、1つ以上の抗Claudin18.2 sdAbまたはその抗原結合断片(VHH断片など)を含む、キメラ抗原受容体(CAR)、遺伝子操作された免疫エフェクター細胞、及び、例えば、がん免疫療法におけるそれらの使用方法を提供する。
【0005】
一態様では、本開示は、(i)配列番号1~11及び113~125からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR1領域と、(ii)配列番号12~23からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR2領域と、(iii)配列番号24~37及び126~139からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3領域とを含む、単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片を含む、Claudin18.2に特異的に結合する結合部分、またはCDR1、CDR2、及びCDR3のそれぞれにおいて、最大5個のアミノ酸置換、欠失、及び/または挿入(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つのアミノ酸置換、欠失、及び/または挿入)からなる、それらの変異体を提供する。
【0006】
いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、以下のうちのいずれか1つを含む、単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片を含む:(1)配列番号1または配列番号113のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号24または配列番号126のアミノ酸配列を含むCDR3、(2)配列番号2または配列番号114のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号25または配列番号127のアミノ酸配列を含むCDR3、(3)配列番号3または配列番号115のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号26または配列番号128のアミノ酸配列を含むCDR3、(4)配列番号4または配列番号116のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号27または配列番号129のアミノ酸配列を含むCDR3、(5)配列番号5または配列番号117のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号28または配列番号130のアミノ酸配列を含むCDR3、(6)配列番号6または配列番号118のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号29または配列番号131のアミノ酸配列を含むCDR3、(7)配列番号7または配列番号119のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号30または配列番号132のアミノ酸配列を含むCDR3、(8)配列番号8または配列番号120のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号31または配列番号133のアミノ酸配列を含むCDR3、(9)配列番号1または配列番号121のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR2、配列番号32または配列番号134のアミノ酸配列を含むCDR3、(10)配列番号5または配列番号122のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号33または配列番号135のアミノ酸配列を含むCDR3、(11)配列番号9または配列番号123のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号34または配列番号136のアミノ酸配列を含むCDR3、(12)配列番号10または配列番号124のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号35または配列番号137のアミノ酸配列を含むCDR3、(13)配列番号5または配列番号122のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号36または配列番号138のアミノ酸配列を含むCDR3、(14)配列番号11または配列番号125のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号37または配列番号139のアミノ酸配列を含むCDR3。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、CDR中に最大約5つのアミノ酸置換、欠失及び/または挿入(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つのアミノ酸置換、欠失及び/または挿入)を含む、これらのClaudin18.2結合部分の変異体である。
【0007】
いくつかの実施形態では、本発明で提供されるClaudin18.2結合部分は、配列番号38~51及び77~85からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片を含む結合部分からのCDR1、CDR2、及びCDR3を含む。いくつかの実施形態では、本発明で提供されるものは、(i)配列番号38に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、(ii)配列番号39に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、(iii)配列番号40に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、(iv)配列番号41に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、(v)配列番号42に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、(vi)配列番号43に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、(vii)配列番号44に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、(viii)配列番号45に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、(ix)配列番号46に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、(x)配列番号47に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、(xi)配列番号48に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、(xii)配列番号49に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、(xiii)配列番号50に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、(xiv)配列番号51に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、(xv)配列番号77に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、(xvi)配列番号78に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、(xvii)配列番号79に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、(xviii)配列番号80に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、(xix)配列番号81に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、(xx)配列番号82に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、(xxi)配列番号83に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、または(xxii)配列番号84に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、もしくは(xxiii)配列番号85に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を含む、単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片を含む、Claudin18.2に特異的に結合する結合部分である。いくつかの実施形態では、CDR1、CDR2、またはCDR3は、Kabat番号付けスキーム、IMGT番号付けスキーム、AbM番号付けスキーム、Chothia番号付けスキーム、Contact番号付けスキーム、またはそれらの組み合わせに従って決定される。
【0008】
いくつかの実施形態では、結合部分は、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83,配列番号84、及び/または配列番号85に記載される1つ以上のFR領域をさらに含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、配列番号38~51及び77~85のうちのいずれか1つに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、単一ドメイン抗体または抗体結合断片を含む。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、単一ドメイン抗体である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、VHHドメインである。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、重鎖のみ抗体(HCAb)であり、HCAbは、配列番号38~51及び77~85のうちのいずれか1つに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、VHHドメインを含む。
【0010】
本明細書では、Claudin18.2結合に関して上記に記載の結合部分と競合する結合部分も提供される。本明細書に開示される例示的なClaudin18.2結合部分は、そのClaudin18.1に対する親和性よりも少なくとも50倍高い親和性でClaudin18.2に結合する。
【0011】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される結合部分は、リンカー(複数可)によって接続された少なくとも2つの抗Claudin18.2単一ドメイン抗体または抗原結合断片(VHH断片など)を含み、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体または抗原結合断片は、同じ抗原エピトープに結合する。いくつかの実施形態では、結合部分は、リンカー(複数可)によって接続された少なくとも2つの抗Claudin18.2単一ドメイン抗体または抗原結合断片(VHH断片など)を含み、これらの単一ドメイン抗体または抗原結合断片は、異なる抗原エピトープに結合する。
【0012】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の結合部分は、可変領域のC末端、例えば、VHHドメイン/断片に連結された定常領域を含む。いくつかの実施形態では、定常領域は、免疫グロブリン重鎖定常領域、または免疫グロブリン重鎖定常領域のヒンジ-CH2-CH3ドメインなどの免疫グロブリン重鎖定常領域の一部である。いくつかの実施形態では、本開示の定常領域は、IgG、IgM、もしくはIgA重鎖定常領域またはその一部である。いくつかの実施形態では、定常領域は、IgG1、IgG2、もしくはIgG4重鎖定常領域、またはIgG1、IgG2、もしくはIgG4重鎖定常領域のヒンジ-CH2-CH3ドメインなどのその一部である。いくつかの実施形態では、本開示の定常領域は、ヒトもしくはラクダ科IgG1、IgG2、またはIgG4重鎖定常領域のヒンジ-CH2-CH3ドメインである。一実施形態では、定常領域は、配列番号76に記載されるアミノ酸配列を有するヒトIgG1定常領域である。
【0013】
いくつかの実施形態では、本発明で提供される結合部分は、ラクダ科、キメラ、ヒト、もしくはヒト化単一ドメイン抗体、またはその抗原結合断片である。
【0014】
本開示はまた、(i)抗Claudin18.2単一ドメイン抗体または抗原結合断片と、(ii)抗体軽鎖またはその一部分とを含み、これらの2つが、ジスルフィド結合によってClaudin18.2に結合する、結合部分も提供する。いくつかの実施形態では、結合部分は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、(scFv)2、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、またはIgG4抗体を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片は、薬剤に遺伝的に融合されるか、または化学的にコンジュゲートされる。本開示はまた、細胞毒素などの治療薬に連結された本明細書に記載のClaudin18.2結合部分を含む、免疫複合体を提供する。本開示はさらに、異なるClaudin18.2エピトープに結合する第2の結合部分、または異なる抗原に結合する第2の結合部分を含む、該Claudin18.2結合部分と異なる結合特異性を有する第2の官能部分(例えば、第2の結合部分)に連結された、本明細書に記載のClaudin18.2結合部分を含む、二重特異性分子を提供する。また、異なるClaudin18.2エピトープまたは異なる抗原に結合する第2の結合部分、及び異なるClaudin18.2エピトープまたは異なる抗原に結合する第3の結合部分などの、該Claudin18.2結合部分とは異なる結合特異性を有する2つ以上の官能部分(例えば、2つ以上の結合部分)に連結された、本明細書に記載のClaudin18.2結合部分を含む、多重特異性分子も提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のClaudin18.2結合部分は、腫瘍溶解性ウイルスによって発現されるか、または腫瘍溶解性ウイルスと併用される。
【0016】
本開示はまた、本明細書に記載のClaudin18.2結合部分をコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含むベクター、及びベクターを含有する宿主細胞も提供する。いくつかの実施形態では、ベクターは、発現ベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターは、レンチウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターは、非ウイルスベクターである。
【0017】
別の態様では、本出願は、本明細書に記載のClaudin18.2結合部分を含むキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。いくつかの実施形態では、Claudin18.2 CARは、(a)本明細書に記載のClaudin18.2結合部分を含む細胞外抗原結合ドメインと、(b)膜貫通ドメインと、(c)細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、Claudin18.2 CARは、(a)VHHドメインなどの本明細書に記載の抗Claudin18.2単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片を含む細胞外抗原結合ドメインと、(b)膜貫通ドメインと、(c)細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、Claudin18.2 CARは、細胞外抗原結合ドメイン内のVHHドメイン等の1つ以上の抗Claudin18.2単一ドメイン抗体または抗原結合断片を含む、Claudin18.2結合部分を含む。いくつかの実施形態では、Claudin18.2 CARは、リンカー(複数可)によって接続された1つ以上の抗Claudin18.2単一ドメイン抗体または抗原結合断片を含み、これらの単一ドメイン抗体または抗原結合断片は、同じ抗原エピトープに結合する。いくつかの実施形態では、Claudin18.2 CARは、リンカー(複数可)によって接続された1つ以上の抗Claudin18.2単一ドメイン抗体または抗原結合断片を含み、これらの単一ドメイン抗体または抗原結合ドメインは、異なる抗原エピトープに結合する。いくつかの実施形態では、Claudin18.2 CARは、リンカー(複数可)によって接続された少なくとも2つのVHHドメインを含み、VHHドメインは、同じ抗原エピトープに結合する。いくつかの実施形態では、Claudin18.2 CARは、リンカー(複数可)によって接続された少なくとも2つのVHHドメインを含み、これらのVHHドメインは、異なる抗原エピトープに結合する。
【0020】
いくつかの実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、1つ以上の追加の抗原結合ドメイン(複数可)をさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、1つの追加の抗原結合ドメインをさらに含む。他の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、2つの追加の抗原結合ドメインをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、Claudin18.2 CARは、N末端に位置するシグナルペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、CD8α、GM-CSF受容体α、及びIgG1重鎖からなる群から選択される分子に由来する。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、CD8αに由来する。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号67のアミノ酸配列を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、Claudin18.2 CARは、細胞外抗原結合ドメインのC末端と膜貫通ドメインのN末端との間に位置するヒンジドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、CD8αに由来する。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号68のアミノ酸配列を含む。
【0023】
上記に記載のCARのうちのいずれか1つによる、いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8α、CD4、CD28、CD137、CD80、CD86、CD152、及びPD1からなる群から選択される分子に由来する。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8αまたはCD28に由来する。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号69のアミノ酸配列を含む。
【0024】
細胞内シグナル伝達ドメインは、一次細胞内シグナル伝達ドメイン及び/または共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫エフェクター細胞(T細胞など)の一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)含有ドメインである。いくつかの実施形態では、ITAM含有ドメインは、配列番号72のアミノ酸配列を含む、CD3-ゼータの細胞質ドメインである。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、CD137、OX40、CD30、CD40、CD3、LFA-1、ICOS、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83のリガンド(CD83及びMD-2など)、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される共刺激分子に由来する。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28の細胞質ドメイン及び/またはCD137の細胞質ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CD28の細胞質ドメイン及びCD137の細胞質ドメインは、それぞれ、配列番号71及び配列番号70のアミノ酸配列を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、Claudin18.2 CARは、N末端からC末端まで、シグナルペプチド、VHHドメインなどの本明細書に記載の抗Claudin18.2単一ドメイン抗体もしくはその抗原結合断片を含むClaudin18.2結合部分、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、及び/または共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、N末端からC末端まで、CD8αに由来するシグナルペプチド、抗Claudin18.2 VHHドメイン、CD8αに由来するヒンジドメイン、CD8αまたはCD28に由来する膜貫通ドメイン、CD137細胞質ドメイン、及びCD3-ゼータの細胞質ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、N末端からC末端まで、配列番号67のシグナルペプチド、配列番号38~51及び77~85の群から選択されるアミノ酸配列を有する上記に記載のVHHドメイン、配列番号68のヒンジドメイン、配列番号69の膜貫通ドメイン、配列番号70のCD137細胞質ドメイン、及び配列番号72のCD3-ゼータの細胞質ドメインを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、CARは、配列番号53~66及び86~93のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する、アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号53~66及び86~93のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0027】
本出願は、本明細書に記載のCARをコードする核酸を提供する。本出願はまた、上記に記載の核酸を含む、ベクターも提供する。いくつかの実施形態では、ベクターは、発現ベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターは、ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、または非ウイルスベクターである。
【0028】
本出願は、上記に記載のCAR、または上記に記載の核酸、もしくは上記に記載のベクターを含む、遺伝子操作された免疫細胞を提供する。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、T細胞、NK細胞、末梢血単核細胞(PBMC)、造血幹細胞、多能性幹細胞、または胚幹細胞などの免疫エフェクター細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、またはγδT細胞などのT細胞である。
【0029】
本出願は、治療的有効量の本明細書に記載の結合部分、免疫複合体、二重特異性分子、多重特異性もしくは多価分子、腫瘍溶解性ウイルス、CAR、及び/または遺伝子操作された免疫細胞と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物をさらに対象とする。
【0030】
また、対象に治療的有効量の本明細書に記載の薬学的組成物を投与することによって、Claudin18.2発現腫瘍またはがんの治療を必要とする対象においてClaudin18.2発現腫瘍またはがんを治療する方法も本明細書で提供される。
【0031】
Claudin18.2発現腫瘍またはがんは、胃、食道、胃食道、膵臓、卵巣、結腸、肝臓、頭頸部、胆嚢、及び肺腫瘍またはがんを含むが、これらに限定されない、固形もしくは非固形腫瘍またはがんである。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現腫瘍またはがんは、胃腫瘍またはがんである。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現腫瘍またはがんは、胃食道腫瘍またはがんである。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0032】
いくつかの実施形態では、腫瘍またはがんを治療するための遺伝子操作された免疫細胞は、自己由来である。いくつかの実施形態では、腫瘍またはがんを治療するための遺伝子操作された免疫細胞は、同種異系である。
【0033】
また、上記に記載のクローディン18.2(Claudin18.2)結合部分、CAR、遺伝子操作された免疫エフェクター細胞、単離された核酸、またはベクターのうちのいずれか1つを含む、使用方法、キット、及び製品も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】PANC1.huCLDN18.1.Luc及びPANC1.huCLDN18.2.Luc細胞上の本開示のキメラ抗Claudin18.2抗体の結合力を示す。
【0035】
【
図2】Claudin18.2陽性または陰性細胞株に対してLIC182501-LIC182510 CARを担持するT細胞のインビトロ細胞傷害性を示す。「UnT」は、対照としての役割を果たす非形質導入T細胞を示す。
【0036】
【
図3】Claudin18.2陽性または陰性細胞株に対してLIC182511-LIC182514 CARを担持するT細胞のインビトロ細胞傷害性を示す。「UnT」は、対照としての役割を果たす非形質導入T細胞を示す。
【0037】
【
図4】NUGC4細胞移植異種移植モデルにおけるClaudin18.2 CAR-T細胞のインビボ抗腫瘍有効性を示す。マウスが、腫瘍体積(部分a)及びエンドポイント腫瘍重量(部分b)の変化によって腫瘍成長を監視するために評価された。****は、p<0.0001を示し、**は、0.001<p<0.01を示し、*は、0.01<p<0.05を示す。
【0038】
【
図5】ヒト化抗Claudin18.2キメラ抗体に特徴的である結合を示す。キメラ抗体は、用量依存的様式で、PANC1.huCLDN18.1.Luc細胞ではなく、PANC1.huCLDN18.2.Lucへの強力な結合を示した。「CLDN18.2」は、PANC1.huCLDN18.2.Luc細胞を示し、「CLDN18.1」は、PANC1.huCLDN18.1.Luc細胞を示す。
【0039】
【
図6】それぞれ、PANC1.huCLDN18.2.Luc細胞株、PANC1.huCLDN18.1.Luc細胞株、及びNUGC4.Luc細胞株に対する、ヒト化Claudin18.2 CAR-T細胞ならびにそれらの親CAR-T細胞のインビトロ細胞傷害性アッセイの結果を示す。175DX CAR-Tは、ベンチマーク対照としての役割を果たす。CD19 CAR-Tは、陰性対照としての役割を果たす。「UnT」は、対照としての役割を果たす非形質導入T細胞を示す。
【0040】
【
図7】それぞれ、PANC1.huCLDN18.2.Luc細胞株、PANC1.huCLDN18.1.Luc細胞株、及びNUGC4.Luc細胞株とのヒト化Claudin18.2 CAR-T細胞ならびにそれらの親CAR-T細胞の共培養のIFNγ放出を示す。部分dは、CAR-T細胞の自発的なIFNγ放出を示す。175DX CAR-Tは、ベンチマーク対照としての役割を果たす。CD19 CAR-Tは、陰性対照としての役割を果たす。「UnT」は、対照としての役割を果たす非形質導入T細胞を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本開示は、Claudin18.2に結合する新規の単一ドメイン抗体(例えば、VHHドメイン)、それを含むキメラ抗原受容体または遺伝子操作された細胞、及びそれらの改良された特性に部分的に基づく。
【0042】
5.1.定義
本明細書に記載または参照される技法及び手順は、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(3d ed.2001)、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.eds.,2003)、Therapeutic Monoclonal Antibodies:From Bench to Clinic (An ed.2009)、Monoclonal Antibodies:Methods and Protocols (Albitar ed.2010)、及びAntibody Engineering Vols 1 and 2 (Kontermann and Dubel eds.,2d ed.2010)に記載の広く利用されている方法論などの従来の方法論を使用して、当業者によって一般に十分に理解される、及び/または一般的に採用されるものを含む。本明細書で別途定義されない限り、本説明で使用される技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有する。本明細書を解釈する目的のために、以下の用語の説明が適用され、適切である度に、単数形で使用される用語はまた、複数形も含み、逆もまた同様であろう。記載された用語の任意の説明が参照により本明細書に組み込まれた任意の文書と矛盾する場合、以下に記載の用語の説明が優先されるものとする。
【0043】
本明細書で使用される場合の「結合部分」という用語は、Claudin18.2などの抗原に特異的に結合する分子または分子の一部を指す。結合部分は、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、脂質、または低分子量化合物であり得る。いくつかの実施形態では、結合部分は、抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、結合部分は、抗体またはその抗原結合断片である。Claudin18.2結合部分はまた、既知の結合パートナーを有する受容体、リガンド、アプタマー、及び他の分子を含む。結合部分は、一価であり得、これは、Claudin18.2などの抗原と特異的に相互作用する1つの結合部位を含有することを意味する。結合部分はまた、二価であり得、これは、Claudin18.2などの抗原と特異的に相互作用する2つの結合部位を含有することを意味する。結合部分は、多価であり得、これは、Claudin18.2などの抗原と特異的に相互作用する複数の結合部位を含有することを意味する。二価結合部分または多価結合部分は、Claudin18.2分子などの単一抗原上の1つ以上のエピトープと相互作用し得る。いくつかの実施形態では、二価結合部分または多価結合部分は、2つ以上のClaudin18.2分子と相互作用し得る。
【0044】
「抗体」、「免疫グロブリン」、または「Ig」という用語は、本明細書では同義的に使用され、最も広義で使用され、例えば、下記に説明されるように、少なくとも2つのインタクトな抗体、一本鎖抗体、及びそれらの断片(例えば、ドメイン抗体)から形成される、モノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、中和抗体、完全長またはインタクトなモノクローナル抗体を含む)、ポリエピトープまたはモノエピトープ特異性を有する抗体組成物、ポリクローナルまたは一価抗体、多価抗体、多重特異性抗体(例えば、所望の生物学的活性を示す限り、二重特異性抗体)を特異的に網羅する。抗体は、ヒト、ヒト化、キメラ、及び/または親和性成熟抗体、ならびに他の種、例えば、マウス、ウサギ、ラマ等からの抗体であり得る。「抗体」という用語は、具体的な分子抗原に結合することが可能であり、ポリペプチド鎖の2つの同一の対から構成される、ポリペプチドの免疫グロブリンクラス内のB細胞のポリペプチド産物を含むことを意図しており、各対は、1つの重鎖(約50~70kDa)及び1つの軽鎖(約25kDa)を有し、各鎖の各アミノ末端部分は、約100~約130個以上のアミノ酸の可変領域を含み、各鎖の各カルボキシ末端部分は、定常領域を含む。例えば、Antibody Engineering(Borrebaeck ed.,2d ed.1995)、及びKuby,Immunology(3d ed.1997)を参照のこと。抗体はまた、合成抗体、組換え産生抗体、ラクダ科種(例えば、ラマもしくはアルパカ)またはそれらのヒト化変異体由来を含む単一ドメイン抗体、イントラボディ、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、及び上記のうちのいずれかの機能的断片(例えば、抗原結合断片)も含むが、これらに限定されず、これは、断片が由来した抗体の結合活性の一部またはすべてを保持する、抗体重鎖または軽鎖ポリペプチドの一部を指す。機能的断片(例えば、抗原結合断片)の非限定的な例は、一本鎖Fv(scFv)(例えば、単一特異性、二重特異性などを含む)、Fab断片、F(ab’)断片、F(ab)2断片、F(ab’)2断片、ジスルフィド結合Fv(dsFv)、Fd断片、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、及びミニボディを含む。具体的には、本明細書で提供される抗体は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、例えば、抗原に結合する抗原結合部位(例えば、抗体の1つ以上のCDR)を含有する抗原結合ドメインまたは分子を含む。そのような抗体断片は、例えば、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual(1989)、Mol.Biology and Biotechnology:A Comprehensive Desk Reference (Myers ed.,1995)、Huston et al.,1993,Cell Biophysics 22:189-224、Pluckthun and Skerra,1989,Meth.Enzymol.178:497-515、及びDay,Advanced Immunochemistry(2d ed.1990)で見出されることができる。本明細書で提供される抗体は、免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)、または任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)であり得る。抗体は、アゴニスト抗体またはアンタゴニスト抗体であり得る。抗体は、アゴニストでもアンタゴニストでもない場合がある。
【0045】
「抗原」は、抗体が選択的に結合することができる構造である。標的抗原は、ポリペプチド、炭水化物、核酸、脂質、ハプテン、または他の天然に存在する化合物もしくは合成化合物であり得る。いくつかの実施形態では、標的抗原は、ポリペプチドである。ある特定の実施形態では、抗原は、細胞と会合し、例えば、細胞上または細胞内に存在する。
【0046】
「インタクトな」抗体は、抗原結合部位、ならびにCL、及び少なくとも重鎖定常領域、すなわち、CH1、CH2、及びCH3を含むものである。定常領域は、ヒト定常領域またはそのアミノ酸配列変異体を含み得る。ある特定の実施形態では、インタクトな抗体は、1つ以上のエフェクター機能を有する。
【0047】
「sFv」または「scFv」とも略される「一本鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖に接続されたVH及びVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にする、VHドメインとVLドメインとの間のポリペプチドリンカーをさらに含む。sFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)を参照のこと。
【0048】
「重鎖のみ抗体」または「HCAb」という用語は、重鎖を含むが、4鎖抗体で通常見出される軽鎖を欠く、機能的抗体を指す。ラクダ科動物(ラクダ、ラマ、またはアルパカなど)は、HCAbを産生することが知られている。
【0049】
本明細書で使用される場合の「単一ドメイン抗体」または「sdAb」は、単一の単量体可変抗体ドメインを指し、抗原結合(例えば、Claudin18.2に結合する単一ドメイン抗体)が可能である。単一ドメイン抗体は、本明細書に記載されるようなVHHドメインを含む。単一ドメイン抗体の例は、ラクダ科種(ラマなど)に由来するものなどの軽鎖が自然に欠けている抗体、従来の4鎖抗体に由来する単一ドメイン抗体、ヒト化重鎖のみ抗体、遺伝子操作された抗体、及び抗体に由来するもの以外の単一ドメイン足場を含むが、これらに限定されない。単一ドメイン抗体は、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、ヤギ、ウサギ、及びウシを含むが、これらに限定されない任意の種に由来し得る。例えば、単一ドメイン抗体は、本明細書に記載されるように、ラクダ科種、例えば、ラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカ、及びグアナコで生育される抗体に由来し得る。ラクダ科以外の他の種が、軽鎖を自然に欠けている重鎖分子を産生し得、そのような他の種に由来するVHHは、本開示の範囲内である。いくつかの実施形態では、本発明で提供される単一ドメイン抗体(例えば、VHH)は、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4の構造を有する。単一ドメイン抗体は、本明細書に記載されるように別の分子(例えば、薬剤)に遺伝的に融合または化学的にコンジュゲートされ得る。単一ドメイン抗体は、より大きな結合分子(例えば、多重特異性抗体またはキメラ抗原受容体)の一部であり得る。
【0050】
「結合する」または「結合」という用語は、例えば、複合体を形成することを含む、分子間の相互作用を指す。相互作用は、例えば、水素結合、イオン結合、疎水性相互作用、及び/またはファンデルワールス相互作用を含む、非共有結合性相互作用であり得る。複合体はまた、共有もしくは非共有結合、相互作用、または力によってともに保持された2つ以上の分子の結合を含むこともできる。抗体上の単一抗原結合部位と抗原などの標的分子の単一エピトープとの間の総非共有結合性相互作用の強度は、そのエピトープに対する抗体または機能的断片の親和性である。一価抗原への結合分子(例えば、抗体)の解離速度(koff)対会合速度(kon)の比率(koff/kon)は、親和性に反比例する解離定数KDである。KD値が低いほど、抗体の親和性が高くなる。KDの値は、抗体及び抗原の異なる複合体について変化し、kon及びkoffの両方に依存する。本明細書で提供される抗体の解離定数KDは、本明細書で提供される任意の方法、または当業者に周知である任意の他の方法を使用して決定されることができる。1つの結合部位における親和性は、必ずしも抗体と抗原との相互作用の真の強度を反映するわけではない。多価抗原などの複数の繰り返し抗原決定基を含有する複合抗原が、複数の結合部位を含有する抗体と接触するとき、1つの部位における抗原との抗体の相互作用は、第2の部位における反応の確率を増加させるであろう。多価抗体と抗原との間のそのような複数の相互作用の強度は、アビディティと呼ばれる。
【0051】
本明細書に記載の結合分子に関連して、「に結合する」、「に特異的に結合する」、及び類似用語などの用語もまた、本明細書では同義的に使用され、ポリペプチドなどの抗原に特異的に結合する抗原結合ドメインの結合分子を指す。抗原に結合もしくは特異的に結合する結合分子または抗原結合ドメインは、例えば、イムノアッセイ、Octet(登録商標)、Biacore(登録商標)、または当業者に既知である他の技法によって同定されることができる。いくつかの実施形態では、結合分子または抗原結合ドメインは、ラジオイムノアッセイ(RIA)及び酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などの実験技法を使用して決定されるような任意の交差反応性抗原よりも高い親和性で抗原に結合するときに、抗原に結合または特異的に結合する。典型的には、特異的または選択的反応は、少なくとも2倍のバックグラウンド信号または雑音となり、10倍を超えるバックグラウンドであり得る。例えば、結合特異性に関する考察については、Fundamental Immunology 332-36(Paul ed.,2d ed.1989)を参照のこと。ある特定の実施形態では、「非標的」タンパク質への結合分子または抗原結合ドメインの結合の程度は、例えば、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析またはRIAによって決定されるような、その特定の標的抗原への結合分子または抗原結合ドメインの結合の約10%未満である。抗原に結合する結合分子または抗原結合ドメインは、結合分子が、例えば、抗原を標的化する際の治療及び/または診断薬として有用であるように、十分な親和性で抗原に結合することが可能であるものを含む。ある特定の実施形態では、抗原に結合する結合分子または抗原結合ドメインは、1μM、800nM、600nM、550nM、500nM、300nM、250nM、100nM、50nM、10nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、0.9nM、0.8nM、0.7nM、0.6nM、0.5nM、0.4nM、0.3nM、0.2nM、または0.1nM以下の解離定数(KD)を有する。ある特定の実施形態では、結合分子または抗原結合ドメインは、異なる種からの抗原間で保存される抗原のエピトープに結合する。
【0052】
半最大有効濃度としても知られている「EC50」という用語は、特定の曝露時間後にベースラインと最大値との間の中間の応答を誘導する抗体の濃度を指す。
【0053】
半最大阻害濃度としても知られている「IC50」という用語は、抗体の不在に対して特定の生物学的または生化学的機能を50%阻害する抗体の濃度を指す。
【0054】
ある特定の実施形態では、結合分子または抗原結合ドメインは、所望の生物学的活性を示す限り、重鎖及び/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するか、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同である一方で、鎖(複数可)の残りの部分が、別の種に由来するか、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同である、「キメラ」配列、ならびにそのような抗体の断片を含むことができる(米国特許第4,816,567号、及びMorrison et al.,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851-55を参照のこと)。キメラ配列は、ヒト化配列を含み得る。
【0055】
ある特定の実施形態では、結合分子または抗原結合ドメインは、天然CDR残基が、所望の特異性、親和性及び容量を有するラクダ科、マウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類などの非ヒト種(例えばドナー抗体)の対応するCDR由来の残基によって置き換えられる、ヒト免疫グロブリン(例えば、レシピエント抗体)由来の配列を含む、非ヒト(例えば、ラクダ科、マウス、非ヒト霊長類)抗体の「ヒト化」形態の部分を含むことができる。いくつかの事例では、ヒト免疫グロブリン配列の1つ以上のFR領域残基が、対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体では見出されない残基を含むことができる。これらの修飾は、抗体性能をさらに洗練するために行われる。ヒト化抗体重鎖または軽鎖は、CDRのすべてまたは実質的にすべてが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FRのすべてまたは実質的にすべてが、ヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つ以上の可変領域の実質的にすべてを含むことができる。ある特定の実施形態では、ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的には、ヒト免疫グロブリンのものを含むであろう。さらなる詳細については、Nature 321:522-25(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323-29(1988)、Presta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-96(1992)、Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4285-89(1992)、米国特許第6,800,738号、同第6,719,971号、同第6,639,055号、同第6,407,213号、及び同第6,054,297号を参照のこと。
【0056】
ある特定の実施形態では、結合分子または抗原結合ドメインは、「完全ヒト抗体」または「ヒト抗体」の部分を含むことができ、この用語は、本明細書では同義的に使用され、ヒト可変領域、例えば、ヒト定常領域を含む抗体を指す。結合分子は、単一ドメイン抗体配列を含み得る。具体的な実施形態では、この用語は、ヒト起源の可変領域及び定常領域を含む抗体を指す。「完全ヒト」抗体はまた、ある特定の実施形態では、ポリペプチドに結合し、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン核酸配列の天然に存在する体細胞変異体である核酸配列によってコードされる、抗体を包含することもできる。「完全ヒト抗体」という用語は、Kabat et al.によって説明されるように、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に対応する可変及び定常領域を有する抗体を含む(Kabat et al.(1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242を参照のこと)。「ヒト抗体」は、ヒトによって産生される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を保有し、及び/またはヒト抗体を作製するための技法のうちのいずれかを使用して作製されたものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特異的に除外する。ヒト抗体は、ファージ表示ライブラリ(Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.227:381(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581(1991))及び酵母表示ライブラリ(Chao et al.,Nature Protocols 1:755-68(2006))を含む、当該技術分野で既知の様々な技法を使用して産生されることができる。ヒトモノクローナル抗体の調製にも利用可能であるものは、Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy 77(1985)、Boerner et al.,J.Immunol.147(1):86-95(1991)、及びvan Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74(2001)に記載の方法である。ヒト抗体は、抗原投与に応答してそのような抗体を産生するように修飾されているが、その内因性遺伝子座が無効化されているトランスジェニック動物、例えば、マウスに抗原を投与することによって調製されることができる(例えば、Jakobovits,Curr.Opin.Biotechnol.6(5):561-66(1995)、Bruggemann and Taussing,Curr.Opin.Biotechnol.8(4):455-58(1997)、ならびにXENOMOUSE(商標)技術に関する米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号を参照のこと)。また、例えば、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されるヒト抗体に関するLi et al、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 103:3557-62(2006)も参照のこと。
【0057】
ある特定の実施形態では、結合分子または抗原結合ドメインは、「組換えヒト抗体」の部分を含むことができ、この語句は、宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現される抗体、組換え組み合わせヒト抗体ライブラリから単離される抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子のためのトランスジェニック及び/またはトランス染色体である動物(例えば、マウスもしくはウシ)から単離される抗体などの、組換え手段によって調製、発現、作成、もしくは単離されるヒト抗体(例えば、Taylor,L.D.et al.,Nucl.Acids Res.20:6287-6295(1992))を参照のこと)、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを伴う任意の他の手段によって調製、発現、作成、もしくは単離される抗体を含むことができる。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有することができる(Kabat,E.A.et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242を参照のこと)。しかしながら、ある特定の実施形態では、そのような組換えヒト抗体は、インビトロ変異誘発(または、ヒトIg配列に対してトランスジェニックな動物が使用されるときは、インビボ体細胞変異誘発)を受け、したがって、組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系VH及びVL配列に由来し、関連しているが、ヒト抗体生殖細胞系レパートリー内にインビボで自然には存在し得ない配列である。
【0058】
ある特定の実施形態では、結合分子または抗原結合ドメインは、「モノクローナル抗体」の一部を含むことができ、本明細書で使用される場合のこの用語は、実質的に均質な抗体の集団から取得される抗体を指し、例えば、集団を含む個々の抗体は、少量で存在し得る可能性のある天然に存在する変異、またはアミノ酸イオメリザチオもしくは脱アミド化、メチオニン酸化、またはアスパラギンもしくはグルタミン脱アミド化などの周知の翻訳後修飾を除いて同一であり、各モノクローナル抗体は、典型的には、抗原上の単一のエピトープを認識するであろう。具体的な実施形態では、本明細書で使用される場合の「モノクローナル抗体」は、単一のハイブリドーマまたは他の細胞によって産生される抗体である。「モノクローナル」という用語は、抗体を作製するための任意の特定の方法に限定されない。例えば、本開示で有用なモノクローナル抗体は、Kohler et al.Nature,256:495(1975)によって最初に説明されたハイブリドーマ方法論によって調製され得るか、または細菌もしくは真核動物もしくは植物細胞における組換えDNA法を使用して作製され得る(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clackson et al.,Nature 352:624-28(1991)及びMarks et al.,J.Mol.Biol.222:581-97(1991)に記載の技法を使用して、抗体ライブラリから単離され得る。クローン細胞株及びそれによって発現されるモノクローナル抗体の調製のための他の方法は、当該技術分野で周知である。例えば、Short Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.eds.,5th ed.2002)を参照のこと。
【0059】
典型的な4鎖抗体単位は、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖からなるヘテロ四量体糖タンパク質である。IgGの場合、4鎖単位は、一般に、約150,000ダルトンである。各L鎖が、1つの共有ジスルフィド結合によってH鎖に連結される一方で、2つのH鎖は、H鎖アイソタイプに応じて、1つ以上のジスルフィド結合によって相互に連結される。各H鎖及びL鎖はまた、規則的に離間した鎖内ジスルフィド架橋も有する。各H鎖は、N末端において、可変ドメイン(VH)を有し、続いて、α鎖及びγ鎖のそれぞれについて3つの定常ドメイン(CH)、ならびにμ及びεアイソタイプについて4つのCHドメインを有する。各L鎖は、N末端において、可変ドメイン(VL)を有し、続いて、その反対端において定常ドメイン(CL)を有する。VLは、VHと整列され、CLは、重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)と整列される。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間の界面を形成すると考えられている。VH及びVLの対合は、ともに単一の抗原結合部位を形成する。異なるクラスの抗体の構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology 71(Stites et al.eds.,8th ed.1994)、及びImmunobiology(Janeway et al.eds.,5th ed.2001)を参照のこと。
【0060】
「Fab」または「Fab領域」という用語は、抗原に結合する抗体領域を指す。従来のIgGは、通常、Y型IgG構造の2つのアームのうちの1つの上にそれぞれ存在する、2つのFab領域を含む。各Fab領域は、典型的には、重鎖及び軽鎖の各々の1つの可変領域及び1つの定常領域からなる。より具体的には、Fab領域内の重鎖の可変領域及び定常領域は、VH及びCH1領域であり、Fab領域内の軽鎖の可変領域及び定常領域は、VL及びCL領域である。Fab領域内のVH、CH1、VL、及びCLは、本開示による抗原結合能を付与するために様々な方法で配列されることができる。例えば、VH及びCH1領域は、1つのポリペプチド上にあり得、VL及びCL領域は、従来のIgGのFab領域と同様に、別個のポリペプチド上にあり得る。代替として、VH、CH1、VL、及びCL領域は、すべて同じポリペプチド上にあり、以下の節でより詳細に記載されるように、異なる順序で配向されることができる。
【0061】
「可変領域」、「可変ドメイン」、「V領域」、または「Vドメイン」という用語は、一般に軽鎖または重鎖のアミノ末端に位置し、重鎖に約120~130個のアミノ酸、及び軽鎖に約100~110個のアミノ酸の長さを有し、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合及び特異性において使用される抗体の軽鎖または重鎖の一部を指す。重鎖の可変領域は、「VH」と称され得る。軽鎖の可変領域は、「VL」と称され得る。「可変」という用語は、可変領域のある特定のセグメントが抗体間で配列において大きく異なるという事実を指す。V領域は、抗原結合を媒介し、その特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を定義する。しかしながら、可変性は、可変領域の110個のアミノ酸スパンにわたって均一に分布していない。代わりに、V領域は、それぞれ長さが約9~12個のアミノ酸である「超可変領域」と呼ばれる、より大きな可変性(例えば、極端な可変性)のより短い領域によって分離された、約15~30個のアミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる、あまり可変ではない(例えば、比較的不変の)伸長からなる。重鎖及び軽鎖の可変領域は、それぞれ、βシート構造を接続するループを形成し、場合によっては、βシート構造の一部を形成する、3つの超可変領域によって接続される、βシート構成を主に採用する4つのFRを含む。各鎖内の超可変領域は、FRによって近接してともに保持され、他の鎖からの超可変領域とともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(例えば、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest(5th ed.1991)を参照のこと)。定常領域は、抗体を抗原に結合することに直接関与しないが、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)及び補体依存性細胞傷害性(CDC)への抗体の関与などの様々なエフェクター機能を示す。可変領域は、異なる抗体間で配列が大きく異なる。具体的な実施形態では、可変領域は、ヒト可変領域である。
【0062】
「Kabatによる可変領域残基の番号付け」または「Kabatのようなアミノ酸位置の番号付け」という用語、及びその変形は、上記のKabat et al.の抗体のコンパイルの重鎖可変領域または軽鎖可変領域に使用される番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを使用して、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはCDRの短縮または挿入に対応する、より少ないまたは追加のアミノ酸を含有し得る。例えば、重鎖可変ドメインは、残基52の後に単一のアミノ酸挿入物(Kabatによると残基52a)、及び残基82の後に3つの挿入された残基(例えば、Kabatによると残基82a、82b、及び82c等)を含み得る。残基のKabat番号付けは、抗体の配列と「標準的な」Kabat番号付け配列との相同性の領域におけるアラインメントによって、所与の抗体について決定され得る。Kabat番号付けシステムは、一般に、可変ドメイン内の残基(およそ軽鎖の残基1~107及び重鎖の残基1~113)(例えば、Kabat et al.(上記))を指すときに使用される。「EU番号付けシステム」または「EUインデックス」は、一般に、免疫グロブリン重鎖定常領域内の残基を指すときに使用される(例えば、Kabat et al.(上記)に報告されているEUインデックス)。「KabatのようなEUインデックス」とは、ヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを指す。他の番号付けシステムは、例えば、AbM、Chothia、Contact、IMGT、及びAHonによって記載されている。
【0063】
単一ドメイン抗体(例えば、VHH)のアミノ酸残基は、Riechmann and Muyldermans,J.Immunol.Methods 2000 Jun.23;240 (1-2):185-195の記事においてラクダ科からのVHHドメインに適用されるように、Kabat et al.(“Sequence of proteins of immunological interest”,US Public Health Services,NIH Bethesda,Md.,Publication No.91)によって与えられるVHドメインのための一般的番号付けに従って番号付けされる。この番号付けによれば、VHHのFR1は、1~30位にアミノ酸残基を含み、VHHのCDR1は、31~35位にアミノ酸残基を含み、VHHのFR2は、36~49位にアミノ酸を含み、VHHのCDR2は、50~65位にアミノ酸残基を含み、VHHのFR3は、66~94位にアミノ酸残基を含み、VHHのCDR3は、95~102位にアミノ酸残基を含み、VHHのFR4は、103~113位にアミノ酸残基を含む。この点で、VHドメイン及びVHHドメインに関して当該技術分野で周知であるように、CDRの各々におけるアミノ酸残基の総数は、変化し得、Kabat番号付けによって示されるアミノ酸残基の総数に対応しない場合がある(すなわち、Kabat番号付けによる1つ以上の位置は、実際の配列では占有されない場合があり、または実際の配列は、Kabat番号付けによって許容される数よりも多くのアミノ酸残基を含有し得る)ことに留意されたい。例えば、KabatによるVHHドメインのための例示的な番号付けについては、Deschacht et al.,2010.J Immunol 184:5696-704を参照のこと。
【0064】
抗体に関して使用されるときの「重鎖」という用語は、約50~70kDaのポリペプチド鎖を指し、アミノ末端部分は、約120~130個以上のアミノ酸の可変領域を含み、カルボキシ末端部分は、定常領域を含む。定常領域は、重鎖定常領域のアミノ酸配列に基づいて、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、及びミュー(μ)と称される5つの明確に異なるタイプ(例えば、アイソタイプ)のうちの1つであり得る。明確に異なる重鎖は、サイズが異なり、α、δ、及びγが、約450個のアミノ酸を含有する一方で、μ及びεは、約550個のアミノ酸を含有する。軽鎖と組み合わせられると、これらの明確に異なるタイプの重鎖は、それぞれ、IgGの4つのサブクラス、すなわち、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む、抗体の5つの周知のクラス(例えば、アイソタイプ)、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMを生じさせる。
【0065】
抗体に関して使用されるときの「軽鎖」という用語は、約25kDaのポリペプチド鎖を指し、アミノ末端部分は、約100~約110個以上のアミノ酸の可変領域を含み、カルボキシ末端部分は、定常領域を含む。軽鎖のおよその長さは、211~217個のアミノ酸である。定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)またはラムダ(λ)と称される2つの明確に異なるタイプが存在する。
【0066】
本明細書で使用される場合、「超可変領域」、「HVR」、「相補性決定領域」、及び「CDR」という用語は、同義的に使用される。「CDR」とは、免疫グロブリン(Igもしくは抗体)VH βシートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの超可変領域(H1、H2、もしくはH3)のうちの1つ、または抗体VL βシートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの超可変領域(L1、L2、もしくはL3)のうちの1つを指す。したがって、CDRは、フレームワーク領域配列内に散在する可変領域配列である。
【0067】
CDR領域は、当業者に周知であり、周知の番号付けシステムによって定義されている。例えば、Kabat相補性決定領域(CDR)は、配列可変性に基づき、最も一般的に使用されている(例えば、Kabat et al.(上記)を参照のこと)。Chothiaは、代わりに、構造ループの位置を指す(例えば、Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-17(1987)を参照のこと)。Kabat番号付け規則を使用して番号付けされたときのChothia CDR-H1ループの終了は、ループの長さに応じて、H32~H34の間で変化する(これは、Kabat番号付けスキームが、挿入をH35A及びH35Bに配置するためであり、35Aも35Bも存在しない場合、ループは、32で終了し、35Aのみが存在する場合、ループは、33で終了し、35A及び35Bの両方が存在する場合、ループは、34で終了する)。AbM超可変領域は、Kabat CDRとChothia構造ループとの間の妥協を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用される(例えば、Antibody Engineering Vol.2(Kontermann and Dubel eds.,2d ed.2010)を参照のこと)。「接触」超可変領域は、利用可能な複合結晶構造の分析に基づく。開発され、広く採用されている別の普遍的番号付けシステムは、ImMunoGeneTics (IMGT) Information System(登録商標)(Lafranc et al.,Dev.Comp.Immunol.27(1):55-77(2003))である。IMGTは、ヒト及び他の脊椎動物の免疫グロブリン(IG)、T細胞受容体(TCR)、及び主要組織適合複合体(MHC)を専門とする統合情報システムである。本明細書では、CDRは、アミノ酸配列及び軽鎖または重鎖内の位置の両方の観点で参照される。免疫グロブリン可変ドメインの構造内のCDRの「位置」が種間で保存され、ループと呼ばれる構造に存在するため、構造的特徴に従って可変ドメイン配列を整列させる番号付けシステムを使用することにより、CDR及びフレームワーク残基が容易に同定される。この情報は、典型的にはヒト抗体からのアクセプターフレームワークへの1つの種の免疫グロブリンからのCDR残基の移植及び置き換えで使用されることができる。追加の番号付けシステム(AHon)が、Honegger and Pluckthun,J.Mol.Biol.309:657-70(2001)によって開発されている。例えば、Kabat番号付け及びIMGT固有番号付けシステムを含む番号付けシステム間の対応が、当業者に周知である(例えば、Kabat(上記)、Chothia and Lesk(上記)、Martin(上記)、Lefranc et al.(上記)を参照のこと)。これらの超可変領域またはCDRのそれぞれからの残基が、以下の表1に例示される。
【表1】
【0068】
所与のCDRの境界は、同定に使用されるスキームに応じて変化し得る。したがって、別途特定されない限り、可変領域などの所与の抗体またはその領域の「CDR」及び「相補的決定領域」、ならびに抗体またはその領域の個々のCDR(例えば、CDR-H1、CDR-H2)は、上記で本明細書に記載の既知のスキームのうちのいずれかによって定義されるような相補的決定領域を包含すると理解されるべきである。いくつかの事例では、IMGT、Kabat、Chothia、またはContact方法によって定義されるようなCDRなどの特定のCDRまたは複数のCDRの同定のためのスキームが特定される。他の場合では、CDRの特定のアミノ酸配列が与えられる。CDR領域はまた、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによって定義され得ることに留意されたい。したがって、「具体的なVHまたはVHHに記載されるCDR1」等の用語は、上記に記載の例示的なCDR番号付けシステムによって定義されるような任意のCDR1を含むが、それによって限定されない。可変領域(例えば、VHH、VH、またはVL)が与えられると、当業者は、領域内のCDRが異なる番号付けシステムまたはそれらの組み合わせによって定義され得ることを理解するであろう。
【0069】
超可変領域は、VL内の24~36または24~34(L1)、46~56または50~56(L2)、及び89~97または89~96(L3)、ならびにVH内の26~35または26~35A(H1)、50~65または49~65(H2)、及び93~102、94~102、または95~102(H3)のような「伸長超可変領域」を含み得る。
【0070】
「定常領域」または「定常ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、Fc受容体との相互作用などの様々なエフェクター機能を示す軽鎖及び重鎖のカルボキシ末端部分を指す。この用語は、抗原結合部位を含有する、可変領域である、免疫グロブリンの他の部分と比較して、より保存されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分子の一部を指す。定常領域は、重鎖のCH1、CH2、及びCH3領域、ならびに軽鎖のCL領域を含有し得る。
【0071】
「フレームワーク」または「FR」という用語は、CDRに隣接する可変領域残基を指す。FR残基は、例えば、キメラ、ヒト化、ヒト、ドメイン抗体(例えば、単一ドメイン抗体)、ダイアボディ、線状抗体、及び二重特異性抗体に存在する。FR残基は、超可変領域残基またはCDR残基以外の可変ドメイン残基である。
【0072】
「Fc領域」という用語は、本明細書では、例えば、天然配列Fc領域、組換えFc領域、及びバリアントFc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は、変化し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、多くの場合、Cys226位におけるアミノ酸残基から、またはPro230から、そのカルボキシル末端まで伸長するように定義される。Fc領域のC末端リジン(EU番号付けシステムによると残基447)は、例えば、抗体の産生もしくは精製中に、または抗体の重鎖をコードする核酸を組換え操作することによって除去され得る。したがって、インタクトな抗体の組成物は、すべてのK447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、及びK447残基の有無にかかわらず抗体の混合物を有する抗体集団を含み得る。「機能的Fc領域」は、天然配列Fc領域の「エフェクター機能」を保有する。例示的な「エフェクター機能」としては、C1q結合、CDC、Fc受容体結合、ADCC、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方調節などが挙げられる。そのようなエフェクター機能は、一般に、Fc領域が結合領域または結合ドメイン(例えば、抗体可変領域またはドメイン)と組み合わせられることを要求し、当業者に既知である様々なアッセイを使用して評価されることができる。「バリアントFc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾(例えば、置換、付加、または欠失)により、天然配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、バリアントFc領域は、天然配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換、例えば、天然配列Fc領域内または親ポリペプチドのFc領域内の約1~約10個のアミノ酸置換、もしくは約1~約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書のバリアントFc領域は、天然配列Fc領域及び/または親ポリペプチドのFc領域との少なくとも約80%相同性、もしくはそれらとの少なくとも約90%相同性、例えば、それらとの少なくとも約95%相同性を保有することができる。
【0073】
本明細書で使用される場合、「エピトープ」は、当該技術分野における用語であり、結合分子(例えば、単一ドメイン抗体配列を含む抗体)が特異的に結合することができる抗原の局在化領域を指す。エピトープは、直線状エピトープ、または立体構造、非直線状、もしくは不連続エピトープであり得る。ポリペプチド抗原の場合、例えば、エピトープは、ポリペプチドの連続アミノ酸であり得る(「直線状」エピトープ)か、またはエピトープは、ポリペプチドの2つ以上の非連続領域からのアミノ酸を含むことができる(「立体構造」、「非直線状」、もしくは「不連続」エピトープ)。一般に、直線状エピトープは、二次、三次、もしくは四次構造に依存し得るか、または依存しない場合があることが、当業者によって理解されるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、結合分子は、天然三次元タンパク質構造で折り畳まれているかどうかにかかわらず、アミノ酸の群に結合する。他の実施形態では、結合分子は、エピトープを認識し、結合するために、エピトープを構成するアミノ酸残基が特定の立体配座(例えば、屈曲、捻転、回転、または折り畳み)を示すことを要求する。
【0074】
「遮断」抗体または「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原の生物学的活性を阻害または低減するものである。いくつかの実施形態では、遮断抗体またはアンタゴニスト抗体は、抗原の生物学的活性を実質的または完全に阻害する。
【0075】
「アゴニスト」または活性化抗体は、それが結合する抗原によるシグナル伝達を増強または開始するものである。いくつかの実施形態では、アゴニスト抗体は、天然リガンドの存在なしでシグナル伝達を引き起こすか、または活性化する。
【0076】
ペプチド、ポリペプチド、または抗体配列に関して、「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」及び「相同性」は、配列同一性最大パーセントを達成するために、配列のアラインメントを行い、必要に応じてギャップを導入した後の、配列同一性の一部としていずれの保存的置換も考慮しない、特定のペプチドもしくはポリペプチド配列におけるアミノ酸残基と同一である、候補配列におけるアミノ酸残基の百分率として定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアラインメントは、当該技術分野の技術範囲内である種々の方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMEGALIGN(商標)(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成され得る。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。
【0077】
「特異性」という用語は、抗原の特定のエピトープに対する抗原結合タンパク質(CARまたはsdAbなど)の選択的認識を指す。例えば、自然抗体は、単一特異性である。本明細書で使用される場合の「多重特異性」という用語は、抗原結合タンパク質(CARまたはsdAbなど)が、2つ以上の抗原結合部位を有し、そのうちの少なくとも2つが、異なる抗原に結合することを表す。本明細書で使用される場合の「二重特異性」という用語は、抗原結合タンパク質(CARまたはsdAbなど)が、2つの異なる抗原結合特異性を有することを表す。本明細書で使用される場合の「単一特異性」CARという用語は、各々が同じ抗原に結合する、1つ以上の結合部位を有する、抗原結合タンパク質(CARまたはsdAbなど)を表す。
【0078】
本明細書で使用される場合の「価」という用語は、抗原結合タンパク質(CARまたはsdAbなど)内の特定の数の結合部位の存在を表す。天然抗体、例えば、全長抗体は、2つの結合部位を有し、二価である。したがって、「三価」、「四価」、「五価」、及び「六価」という用語は、それぞれ、抗原結合タンパク質(CARまたはsdAbなど)内の2つの結合部位、3つの結合部位、4つの結合部位、5つの結合部位、及び6つの結合部位の存在を表す。
【0079】
本明細書で使用される場合の「キメラ抗原受容体」または「CAR」は、1つ以上の抗原特異性をT細胞などの免疫エフェクター細胞上に移植するために使用され得る、遺伝子操作された受容体を指す。いくつかのCARはまた、「人工T細胞受容体」、「キメラT細胞受容体」、または「キメラ免疫受容体」としても知られている。いくつかの実施形態では、CARは、1つ以上の抗原(腫瘍抗原など)に特異的な細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、ならびにT細胞及び/または他の受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。「CAR-T細胞」とは、CARを発現するT細胞を指す。
【0080】
「ポリペプチド」及び「ペプチド」ならびに「タンパク質」という用語は、本明細書で同義的に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは、直鎖状または分岐状であり得、修飾アミノ酸を含み得、非アミノ酸によって中断され得る。この用語はまた、自然に、または介入によって修飾されたアミノ酸ポリマー、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作もしくは修飾を包含する。また、定義内には、例えば、非天然アミノ酸を含むが、これらに限定されないアミノ酸の1つ以上の類似体、ならびに当該技術分野で既知の他の修飾を含有するポリペプチドも含まれる。本開示のポリペプチドは、抗体または免疫グロブリンスーパーファミリーの他のメンバーに基づき得るため、ある特定の実施形態では、「ポリペプチド」は、一本鎖として、または2本以上の関連鎖として生じ得ることが理解される。
【0081】
本明細書で同義的に使用される場合の「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、及び/またはそれらの類似体、またはDNAもしくはRNAポリメラーゼによって、または合成反応によってポリマーに組み込まれ得る任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体などの修飾ヌクレオチドを含み得る。本明細書で使用される場合の「オリゴヌクレオチド」とは、概して長さが約200個よりも少ないヌクレオチドであるが、必ずしもそうではない、短くて概して一本鎖の合成ポリヌクレオチドを指す。「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、相互排他的ではない。ポリヌクレオチドについての上記の説明は、オリゴヌクレオチドに同等かつ完全に適用可能である。本開示の結合分子を産生する細胞は、親ハイブリドーマ細胞、ならびに抗体をコードする核酸が導入されている細菌及び真核宿主細胞を含み得る。別途特定されない限り、本明細書に開示される任意の一本鎖ポリヌクレオチド配列の左端は、5’末端であり、二本鎖ポリヌクレオチド配列の左端方向は、5’方向と称される。新生RNA転写産物の5’~3’付加の方向は、転写方向と称され、RNA転写産物の5’末端に対して5’である、RNA転写産物と同一の配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「上流配列」と称され、RNA転写産物の3’末端に対して3’である、RNA転写産物と同一の配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「下流配列」と称される。
【0082】
「単離された核酸」は、他のゲノムDNA配列、ならびに天然配列に自然に付随するリボソーム及びポリメラーゼ等のタンパク質または複合体から実質的に分離される、核酸、例えば、RNA、DNA、または混合核酸である。「単離された」核酸分子は、核酸分子の天然源に存在する他の核酸分子から分離されたものである。さらに、cDNA分子などの「単離された」核酸分子は、組換え技法によって産生されたときに、他の細胞材料もしくは培地を実質的に含まないか、または化学的に合成されたときに、化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まないものであり得る。具体的な実施形態では、単一ドメイン抗体または本明細書に記載されるような抗体をコードする1つ以上の核酸分子が、単離または精製される。この用語は、それらの天然に存在する環境から除去された核酸配列を包含し、組換えまたはクローニングされたDNA単離物、及び化学的に合成された類似体、または異種系によって生物学的に合成された類似体を含む。実質的に純粋な分子は、分子の単離された形態を含み得る。具体的には、本明細書に記載のCARまたはsdAbをコードする「単離された」核酸分子は、それが産生された環境内で通常会合している少なくとも1つの混入核酸分子から同定及び分離される核酸分子である。
【0083】
「制御配列」という用語は、特定の宿主生物における操作可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列を指す。原核生物に好適である制御配列は、例えば、プロモーター、任意に、オペレーター配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、及びエンハンサーを利用することが知られている。
【0084】
本明細書で使用される場合、「作用可能に連結された」という用語及び類似の語句(例えば、遺伝的に融合された)は、核酸またはアミノ酸に関して使用されるときに、それぞれ、相互と機能的関係で配置された核酸配列またはアミノ酸配列の作用的連結を指す。例えば、作用可能に連結されたプロモーター、エンハンサー要素、オープンリーディングフレーム、5’及び3’UTR、ならびにターミネーター配列は、核酸分子(例えば、RNA)の正確な産生をもたらす。いくつかの実施形態では、作用可能に連結された核酸要素は、オープンリーディングフレームの転写、及び最終的にポリペプチドの産生(すなわち、オープンリーディングフレームの発現)をもたらす。別の例として、作用可能に連結されたペプチドは、機能ドメインが、各ドメインの意図された機能を付与するために相互から適切な距離で配置されるものである。
【0085】
「ベクター」という用語は、核酸配列を宿主細胞に導入するために、例えば、本明細書に記載されるように結合分子(例えば、抗体)をコードする核酸配列を含む、核酸配列を担持するか、または含むために使用される物質を指す。使用に適用可能なベクターとしては、例えば、宿主細胞の染色体への安定した組み込みのために操作可能な選択配列またはマーカーを含み得る、発現ベクター、プラスミド、ファージベクター、ウイルスベクター、エピソーム、及び人工染色体が挙げられる。加えて、ベクターは、1つ以上の選択可能なマーカー遺伝子及び適切な発現制御配列を含むことができる。例えば、含まれ得る選択可能なマーカー遺伝子は、抗生物質もしくは毒素への耐性を提供し、栄養要求欠乏を補完し、または培養培地内にない重要な栄養素を供給する。発現制御配列は、当該技術分野で周知である、構成的及び誘導性プロモーター、転写エンハンサー、転写ターミネーター、ならびに同等物を含むことができる。2つ以上の核酸分子が共発現される(例えば、抗体重鎖及び軽鎖の両方、または抗体VH及びVL)とき、両方の核酸分子は、例えば、単一の発現ベクターに、または別個の発現ベクターに挿入されることができる。単一ベクター発現に関して、コード核酸は、1つの共通発現制御配列に作用可能に連結されるか、または1つの誘導性プロモーター及び1つの構成的プロモーターなどの異なる発現制御配列に連結されることができる。核酸分子の宿主細胞への導入は、当該技術分野で周知の方法を使用して確認されることができる。そのような方法には、例えば、mRNAのノーザンブロットもしくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、遺伝子産物の発現のための免疫ブロッティング、または導入された核酸配列もしくはその対応する遺伝子産物の発現を試験するための他の好適な分析方法が含まれる。核酸分子は、所望の産物を産生するために十分な量で発現されることが当業者によって理解され、発現レベルは、当該技術分野で周知の方法を使用して十分な発現を取得するように最適化され得ることがさらに理解される。
【0086】
本明細書で使用される場合の「宿主」という用語は、哺乳動物(例えば、ヒト)などの動物を指す。
【0087】
本明細書で使用される「宿主細胞」という用語は、核酸分子及びそのような細胞の子孫または潜在的な子孫でトランスフェクトされ得る特定の対象細胞を指す。そのような細胞の子孫は、後続の世代で生じ得る変異もしくは環境的影響、または宿主細胞ゲノムへの核酸分子の組み込みにより、核酸分子でトランスフェクトされた親細胞と同一ではない場合がある。
【0088】
本明細書で使用される場合、「自己由来」という用語は、それが後に個体に再導入される同じ個体に由来する任意の材料を指すよう意図されている。
【0089】
「同種異系」とは、同じ種の異なる個体に由来する移植片を指す。
【0090】
本明細書で使用される場合の「トランスフェクトされた」または「形質転換された」または「形質導入された」という用語は、外因性核酸が宿主細胞に移入または導入されるプロセスを指す。「トランスフェクト」または「形質転換」または「形質導入」細胞は、外因性核酸でトランスフェクト、形質転換、または形質導入された細胞である。この細胞は、初代対象細胞及びその子孫を含む。
【0091】
本明細書で使用される場合の「薬学的に許容される」という用語は、動物、より具体的にはヒトでの使用のために、連邦政府もしくは州政府の規制機関によって承認されている、または米国薬局方、ヨーロッパ薬局方、もしくは他の一般的に認識されている薬局方に記載されていることを意味する。
【0092】
「賦形剤」は、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、溶媒、またはカプセル化材料などの薬学的に許容される材料、組成物、またはビヒクルを意味する。賦形剤としては、例えば、カプセル化材料、または吸収促進剤、酸化防止剤、結合剤、緩衝剤、担体、コーティング剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、延長剤、充填剤、香味剤、湿潤剤、潤滑剤、香料、防腐剤、推進剤、放出剤、滅菌剤、甘味料、可溶化剤、湿潤剤、及びそれらの混合物等の添加剤が挙げられる。「賦形剤」という用語はまた、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全もしくは不完全)またはビヒクルを指すこともできる。
【0093】
いくつかの実施形態では、賦形剤は、薬学的に許容される賦形剤である。薬学的に許容される賦形剤の例としては、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝剤、アスコルビン酸を含む酸化防止剤、低分子量(例えば、約10個よりも少ないアミノ酸残基)ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸、単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物、EDTAなどのキレート剤、マンニトールもしくはソルビトールなどの糖アルコール、ナトリウムなどの塩形成対イオン、及び/またはTWEEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、ならびにPLURONICS(商標)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。薬学的に許容される賦形剤の他の例は、Remington and Gennaro,Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th ed.1990)に記載されている。
【0094】
一実施形態では、各成分は、医薬製剤の他の原料と適合するという意味で「薬学的に許容される」ものであり、合理的な利益/リスク比に見合っている、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、または他の問題もしくは合併症を伴わずにヒト及び動物の組織または臓器と接触した使用のために好適である。例えば、Lippincott Williams&Wilkins:Philadelphia,PA,2005;Handbook of Pharmaceutical Excipients,6th ed.、Rowe et al.,Eds.;The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association:2009、Handbook of Pharmaceutical Additives,3rd ed.;Ash and Ash Eds.;Gower Publishing Company:2007、Pharmaceutical Preformulation and Formulation,2nd ed.;Gibson Ed.;CRC Press LLC:Boca Raton FL,2009を参照のこと。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、採用される用量及び濃度においてそれに曝露されている細胞または哺乳動物にとって無毒である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、pH緩衝水溶液である。
【0095】
いくつかの実施形態では、賦形剤は、水、及びピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油、ならびに同等物などの石油、動物、植物、または、合成由来のものを含む油などの滅菌液体である。水は、組成物(例えば、薬学的組成物)が静脈内投与されるときの例示的な賦形剤である。生理食塩水ならびにデキストロース及びグリセロール水溶液もまた、特に注射可能な溶液のための液体賦形剤として、採用されることができる。賦形剤はまた、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール、及び同等物を含むこともできる。組成物はまた、所望される場合、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含有することもできる。組成物は、溶液、懸濁液、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、持続放出製剤、及び同等物の形態をとることができる。製剤を含む経口組成物は、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの医薬品グレードの標準賦形剤を含むことができる。
【0096】
医薬化合物を含む組成物は、例えば、単離または精製形態で、好適な量の賦形剤とともに、結合分子(例えば、抗体)を含有し得る。
【0097】
本明細書で使用される場合の「有効量」または「治療的有効量」という用語は、所望の転帰をもたらすために十分である、薬剤と、本明細書で提供される単一ドメイン抗体または薬学的組成物とを含む、単一ドメイン抗体または治療分子の量を指す。
【0098】
「対象」及び「患者」という用語は、本明細書で同義的に使用される。本明細書で使用される場合、ある特定の実施形態では、対象は、非霊長類または霊長類(例えば、ヒト)などの哺乳動物である。具体的な実施形態では、対象は、ヒトである。一実施形態では、対象は、疾患または障害と診断された哺乳動物、例えば、ヒトである。別の実施形態では、対象は、疾患または障害を発症する危険性がある哺乳動物、例えば、ヒトである。
【0099】
「投与する」または「投与」は、粘膜、皮内、静脈内、筋肉内送達、及び/または本明細書に記載されるか、もしくは当該技術分野で既知の任意の他の物理的送達方法によって、身体の外側に存在する物質を患者に注射するか、または別様に物理的に送達する行為を指す。
【0100】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」、及び「治療すること」という用語は、1つ以上の療法の投与から生じる疾患または状態の進行、重症度、及び/または持続時間の低減もしくは改善を指す。治療することは、患者が依然として基礎疾患に悩まされ得るにもかかわらず、改善が患者に観察されるように、基礎疾患と関連付けられる1つ以上の症状の減少、緩和、及び/または軽減があったかどうかを評価することによって決定され得る。「治療すること」という用語は、疾患を管理すること、及び疾患を改善することの両方を含む。「管理する」、「管理すること」、及び「管理」という用語は、対象が必ずしも疾患の治癒をもたらさない療法から導き出す、有益な効果を指す。
【0101】
「予防する」、「予防すること」、及び「予防」という用語は、疾患、障害、状態、または関連する症状(複数可)(例えば、糖尿病もしくはがん)の発病(もしくは再発)の可能性を低減させることを指す。
【0102】
本明細書で使用される場合、がんの発症を「遅延させること」は、疾患の発症を延期する、阻害する、減速する、妨害する、安定させる、及び/または先送りすることを意味する。この遅延は、治療されている疾患及び/または個体の病歴に応じて、様々な長さであり得る。当業者に明白であるように、十分または有意な遅延は、事実上、個体が疾患を発症しないという点で、予防を包含することができる。がんの発症を「遅延させる」方法は、本方法を使用しないことと比較すると、所与の時間枠内の疾患発症の確率を低減させる、及び/または所与の時間枠内の疾患の程度を低減させる方法である。そのような比較は、典型的には、統計的に有意な数の個体を使用した臨床研究に基づく。がんの発症は、コンピュータ軸断層撮影(CATスキャン)、磁気共鳴画像法(MRI)、腹部超音波検査、凝固検査、動脈造影、または生検を含むが、これらに限定されない標準的な方法を使用して、検出可能であり得る。発症はまた、最初に検出不可能であり得、発生、再発、及び発病を含む、がんの進行も指し得る。
【0103】
「約」及び「およそ」という用語は、所与の値または範囲の20%以内、15%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、またはそれ未満を意味する。
【0104】
本開示及び特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数形を含む。
【0105】
実施形態が、「を含む」という用語を用いて記載される場合、「からなる」及び/または「から本質的になる」という観点で記載される別様に類似する実施形態も提供されることが理解される。また、実施形態が、「から本質的になる」という語句を用いて本明細書に記載される場合、「からなる」という観点で記載される別様に類似する実施形態も提供されることも理解される。
【0106】
「AとBとの間」または「A~Bの間」などの語句で使用される場合の「間」という用語は、A及びBの両方を含む範囲を指す。
【0107】
本明細書で「A及び/またはB」などの語句で使用される場合の「及び/または」という用語は、A及びBの両方、AまたはB、A(単独)、ならびにB(単独)を含むことを意図する。同様に、「A、B、及び/またはC」などの語句で使用される場合の「及び/または」という用語は、以下の実施形態のそれぞれ、すなわち、A、B、及びC、A、B、またはC、AまたはC、AまたはB、BまたはC、A及びC、A及びB、B及びC、A(単独)、B(単独)、ならびにC(単独)を包含することを意図する。
【0108】
5.2.Claudin18.2結合部分
Claudin18.2は、細胞表面タンパク質のClaudinファミリーのメンバーである、Claudin18のアイソフォーム2である。Claudinは、細胞間の分子の流れを制御する傍細胞障壁を形成する、緊密な細胞接合部の重要な構成要素である。異なるClaudinが、異なる組織上で発現され、それらの改変した機能は、これらの組織のがんの形成に関連付けられている。正常組織では、Claudin18.2の発現は、胃粘膜の上皮細胞に限定される。Claudin18.2の発現は、胃癌及びその転移における悪性形質転換時に保持される。Claudin18.2の異所性活性化はまた、膵臓、食道、卵巣、及び肺腫瘍でも見出されている。
【0109】
ヒトClaudin18.2タンパク質は、261個のアミノ酸を有する(NCBI、NP_001002026.1)。Claudin18.2は、細胞質にN末端及びC末端を伴うテトラスパン膜貫通タンパク質である。Claudin18.2は、溶質のための傍細胞裂孔の締め付け、及び傍細胞イオン孔の形成などの機能に関連付けられている、2つの細胞外ループを有する。
【0110】
本明細書で提供されるClaudin18.2結合部分は、Claudin18.2、その断片、またはその変異体に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、ヒトClaudin18.2に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、Claudin18.2の細胞外ドメインに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、Claudin18.2の第1の細胞外ループに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、Claudin18.2の第2の細胞外ループに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、Claudin18.2の第1及び第2の細胞外ループの両方に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、Claudin18.1に対する抗体の親和性よりも少なくとも20倍高い親和性でClaudin18.2に結合する。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、Claudin18.1に対する抗体の親和性よりも少なくとも50倍高い親和性でClaudin18.2に結合する。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、Claudin18.1に対する抗体の親和性よりも少なくとも100倍高い親和性でClaudin18.2に結合する。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、Claudin18.1に検出可能に結合しない。
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるClaudin18.2結合部分(例えば、抗体)は、約1.0μM以下、約100.0nM以下、約40.0nM以下、約20.0nM以下、約10.0nM以下、約1.0nM以下、約0.1nM以下、50.0pM以下、10.0pM以下、または1.0pM以下の解離定数(KD)でClaudin18.2(例えば、ヒトClaudin18.2)に結合する。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分(例えば、抗体)は、約1.0μM以下、約100.0nM以下、約40.0nM以下、約20.0nM以下、約10.0nM以下、約1.0nM以下、または約0.1nM以下の半最大有効濃度(EC50)でClaudin18.2(例えば、ヒトClaudin18.2)に結合する。
【0112】
いくつかの実施形態では、本発明で提供されるClaudin18.2結合部分は、1つ以上のClaudin18.2活性を変調する。いくつかの実施形態では、本発明で提供されるClaudin18.2結合部分は、アンタゴニスト抗体である。
【0113】
5.2.1.Claudin18.2に結合する単一ドメイン抗体
いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、重鎖のみ抗体(HCAb)であり、抗原結合断片は、重鎖のみ抗体(HCAb)の可変領域、すなわち、VHH断片、または完全もしくは部分的な重鎖定常領域を伴うVHH断片である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、リンカー(複数可)によって接続された少なくとも2つのVHH断片を含み、VHH断片は、同じ抗原エピトープに結合する。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、リンカー(複数可)によって接続された少なくとも2つのVHH断片を含み、これらのVHH断片は、異なる抗原エピトープに結合する。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、完全または部分的な重鎖定常領域に連結された1つ以上のVHHドメインを含む。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域は、免疫グロブリン重鎖定常領域または免疫グロブリン重鎖定常領域のヒンジCH2-CH3ドメインなどの免疫グロブリン重鎖定常領域の一部である。いくつかの実施形態では、本開示の重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、もしくはIgG4重鎖定常領域、またはIgG1、IgG2、もしくはIgG4重鎖定常領域のヒンジ-CH2-CH3ドメインなどのその一部である。いくつかの実施形態では、本開示の重鎖定常領域は、ヒトもしくはラクダ科IgG1、IgG2、またはIgG4重鎖定常領域のヒンジ-CH2-CH3ドメインである。
【0114】
いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、(i)抗Claudin18.2単一ドメイン抗体または抗原結合断片と、(ii)抗体軽鎖またはその一部とを含む、結合部分であって、これらの2つがジスルフィド結合によって連結されてClaudin18.2に結合する、結合部分を提供する。いくつかの実施形態では、結合部分は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、(scFv)2、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、またはIgG4抗体である。
【0115】
いくつかの実施形態では、本発明で提供される結合部分は、ラクダ科、キメラ、ヒト、もしくはヒト化単一ドメイン抗体、またはその抗原結合断片である。
【0116】
いくつかの実施形態では、抗体は、単離される。いくつかの実施形態では、抗体は、実質的に純粋である。
【0117】
いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、単一特異性結合部分である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、二重特異性結合部分である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、多重特異性結合部分である。
【0118】
いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、一価結合部分を含む。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、二価結合部分を含む。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、多価結合部分を含む。いくつかの実施形態では、二価結合部分は、2つの単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、二価結合部分は、第1の単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片と、第2の単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片とを含む。いくつかの実施形態では、第1の単一ドメイン抗体または抗原結合断片は、リンカーによって第2の単一ドメイン抗体または抗原結合断片に連結される。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、N末端からC末端まで、第1の単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片と、リンカーと、第2の単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片とを含む。いくつかの実施形態では、第2の単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片は、第1の単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片のタンデムリピートである。いくつかの実施形態では、第1の単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片及び第2の単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片は、Claudin18.2上の異なるエピトープを認識する。いくつかの実施形態では、第1の単一ドメイン抗体または抗原結合断片及び第2の単一ドメイン抗体または抗原結合断片は、Claudin18.2上の同じエピトープを認識する。
【0119】
本明細書に記載の抗体(sdAbなど)は、当該技術分野で既知である、または以下で(例えば、第5.2.6節で)より詳細に記載されるような任意の方法を使用して調製され得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、ヒト化抗体である。ヒト化抗体を生成するための様々な方法が、当該技術分野で既知であり、以下で(例えば、第5.2.2節で)より詳細に記載される通りである。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源からその配列に導入された1つ以上のアミノ酸残基を含む。
【0121】
抗体のCDRは、様々な方法/システムを使用して、当業者によって定義される。これらのシステム及び/または定義は、長年にわたって開発及び改良されており、Kabat、Chothia、IMGT、AbM、及びContactを含む。Kabatの定義は、配列の可変性に基づき、一般的に使用されている。Chothiaの定義は、構造的ループ領域の位置に基づく。IMGTシステムは、配列の可変性及び可変ドメインの構造内の位置に基づく。AbMの定義は、KabatとChothiaの間の妥協である。Contactの定義は、利用可能な抗体結晶構造の分析に基づく。いくつかの実施形態では、様々なシステムによる例示的なCDRは、上記の表1に定義される通りである。しかしながら、特異的抗体の可変ドメインCDRまたは複数のCDRの言及は、当業者に既知であるようなすべてのCDR定義を包含することが理解されるであろう。
【0122】
本明細書で提供されるClaudin18.2結合部分は、本明細書で提供される抗Claudin18.2単一ドメイン抗体、及びそのヒト化バージョン、ならびにその抗原結合断片を含み、CDR1、CDR2、CDR3が、Deschacht et al.,2010.J Immunol 184:5696-704を参照してKabat番号付けに従って定義され、可変領域配列または配列ID番号が、以下の表2に要約される。
【0123】
いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、本明細書に記載の抗体のうちのいずれか1つの1つ、2つ、及び/または3つのCDRを含む、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、1つ、2つ、及び/または3つのCDR、もしくは表2からの可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、VHHドメインのC末端に連結された定常領域を含有する。
【0124】
本開示の例示的な抗Claudin18.2抗体は、IMAB362の重鎖可変領域(V
H)及び軽鎖可変領域(V
L)を伴う一本鎖可変断片(scFv)を含有するベンチマークと比較して、Claudin18.2に対するより高い結合能を示す。
【表2】
【0125】
本出願の一態様は、配列番号38~51及び77~85のうちのいずれか1つのCDR領域を含む抗Claudin18.2 sdAbを提供する。したがって、いくつかの実施形態では、本発明で提供されるものは、以下の構造、すなわち、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含む、Claudin18.2に結合する単一ドメイン抗体であり、CDR配列は、表2の単一ドメイン抗体内のものから選択される。
【0126】
いくつかの実施形態では、配列番号38~51及び77~85のうちのいずれか1つのアミノ酸配列の1つ、2つ、または3つすべてのCDRを含む、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号38に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号38に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号38に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号38に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号38に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号38に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号38に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号39に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号39に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号39に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号39に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号39に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号39に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有するCDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号39に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号40に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号40に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号40に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号40に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号40に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号40に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号40に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号41に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号41に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号41に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有するCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号41に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号41に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号41に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号41に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号42に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号42に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号42に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号42に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号42に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号42に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号42に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号43に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号43に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号43に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号43に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号43に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号43に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号43に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号44に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号44に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号44に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号44に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号44に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号44に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号44に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号45に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号45に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号45に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号45に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号45に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号45に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号45に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号46に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号46に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号46に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号46に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号46に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号46に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号46に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号47に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号47に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号47に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号47に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号47に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号47に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号47に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号48に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号48に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号48に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号48に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号48に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号48に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号48に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号49に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号49に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号49に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号49に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号49に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号49に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号49に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号50に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号50に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号50に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号50に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号50に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号50に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号50に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号51に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号51に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号51に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号51に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号51に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号51に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号51に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号77に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号77に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号77に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号77に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号77に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号77に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号77に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号78に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号78に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号78に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号78に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号78に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号78に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号78に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号79に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号79に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号79に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号79に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号79に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号79に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号79に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号80に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号80に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号80に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号80に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号80に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号80に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号80に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号81に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号81に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号81に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号81に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号81に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号81に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号81に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号82に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号82に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号82に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号82に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号82に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号82に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号82に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号83に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号83に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号83に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号83に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号83に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号83に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号83に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号84に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号84に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号84に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号84に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号84に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号84に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号84に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0149】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号85に記載されるCDR1のアミノ酸配列を有する、CDR1を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号85に記載されるCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR2を有する。他の実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号85に記載されるCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号85に記載されるCDR1及びCDR2のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR2を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号85に記載されるCDR1及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号85に記載されるCDR2及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR2及びCDR3を有する。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号85に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を有する。CDR配列は、周知の番号付けシステムに従って決定されることができる。いくつかの実施形態では、CDRは、IMGT番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat番号付けによるものである。いくつかの実施形態では、CDRは、AbM番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、Contact番号付けによるものである。他の実施形態では、CDRは、様々な番号付けシステムの組み合わせ、例えば、Kabat番号付けシステム及びChothia番号付けシステムの組み合わせ、またはKabat番号付けシステム及びIMGT番号付けシステムの組み合わせによるものである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号1または配列番号113のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号24または配列番号126のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号113のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号126のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号2または配列番号114のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号25または配列番号127のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号114のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号127のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号3または配列番号115のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号26または配列番号128のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号115のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号128のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号4または配列番号116のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号27または配列番号129のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号116のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号129のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号5または配列番号117のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号28または配列番号130のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号117のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号130のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号6または配列番号118のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号29または配列番号131のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号118のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号131のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号7または配列番号119のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号30または配列番号132のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号119のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号132のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号8または配列番号120のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号31または配列番号133のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号120のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号133のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号1または配列番号121のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号32または配列番号134のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号121のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号134のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号5または配列番号122のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号33または配列番号135のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号122のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号135のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号9または配列番号123のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号34または配列番号136のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号123のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号136のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号10または配列番号124のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号35または配列番号137のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号124のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号137のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号5または配列番号122のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号36または配列番号138のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号122のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号138のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0163】
いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号11または配列番号125のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号37または配列番号139のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号125のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号139のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、表2の単一ドメイン抗体の1つ以上のフレームワーク領域(複数可)をさらに含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号38の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号39の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号40の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号41の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号42の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号43の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号44の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号45の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号46の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号47の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号48の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号49の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号50の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号51の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号77の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号78の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号79の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号80の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号81の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号82の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号83の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号84の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、配列番号85の配列を含むVHHドメインに由来する1つ以上のフレームワーク領域(複数可)を含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、本発明で提供される単一ドメイン抗体は、ヒト化単一ドメイン抗体である。いくつかの実施形態では、ヒト化単一ドメイン抗体は、以下の第6節で例示される方法または以下の節で説明される方法を使用して生成されることができる。
【0166】
本明細書に記載のフレームワーク領域は、CDR番号付けシステムの境界に基づいて決定される。換言すれば、CDRが、例えば、Kabat、IMGT、またはChothiaによって決定される場合、フレームワーク領域は、N末端からC末端まで、形式において可変領域内のCDRを取り囲むアミノ酸残基、すなわち、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4である。例えば、FR1は、例えば、Kabat番号付けシステム、IMGT番号付けシステム、またはChothia番号付けシステムによって定義されるようなCDR1アミノ酸残基に対してN末端のアミノ酸残基として定義され、FR2は、例えば、Kabat番号付けシステム、IMGT番号付けシステム、またはChothia番号付けシステムによって定義されるようなCDR1アミノ酸残基とCDR2アミノ酸残基との間のアミノ酸残基として定義され、FR3は、例えば、Kabat番号付けシステム、IMGT番号付けシステム、またはChothia番号付けシステムによって定義されるようなCDR2アミノ酸残基とCDR3アミノ酸残基との間のアミノ酸残基として定義され、FR4は、例えば、Kabat番号付けシステム、IMGT番号付けシステム、またはChothia番号付けシステムによって定義されるようなCDR3アミノ酸残基に対してC末端のアミノ酸残基として定義される。
【0167】
いくつかの実施形態では、配列番号38のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号38のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号39のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号39のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号40のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号40のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号41のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号42のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号42のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号43のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号43のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号44のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号44のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号45のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号45のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号46のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号46のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号47のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号47のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号48のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号48のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号49のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号49のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号50のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号50のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号51のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号51のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号77のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号77のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号78のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号78のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号79のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号79のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号80のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号80のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号81のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号81のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号82のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号82のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号83のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号83のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号84のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号84のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、配列番号85のアミノ酸配列を有するVHHドメインを含む、単離された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号85のアミノ酸配列を含むポリペプチドが提供される。
【0168】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、表2の抗体を含む上記に記載の抗体のうちのいずれか1つに対してある特定の同一性率を伴うアミノ酸配列を含む。
【0169】
2つの配列(例えば、アミノ酸配列または核酸配列)間の同一性率の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成されることができる。2つの配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの非限定的な例は、Karlin and Altschul,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:5873 5877(1993)にあるように修正された、Karlin and Altschul,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.87:2264 2268(1990)のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403(1990)のNBLAST及びXBLASTプログラムに組み込まれる。BLASTヌクレオチド検索は、本明細書に記載の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を取得するために、例えば、スコア=100、語長=12について設定されたNBLASTヌクレオチドプログラムパラメータを用いて実施されることができる。BLASTタンパク質検索は、本明細書に記載のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を取得するために、例えば、スコア50、語長=3に設定されたXBLASTプログラムパラメータを用いて実施されることができる。比較目的のためのギャップ入りアライメントを取得するために、Gapped BLAST が、Altschul et al.,Nucleic Acids Res.25:3389 3402(1997)に記載されるように利用されることができる。代替として、PSI BLASTが、分子間の遠隔関係(Id.)を検出する反復検索を実施するために使用されることができる。BLAST、Gapped BLAST、及びPSI Blastプログラムを利用するとき、それぞれのプログラムの(例えば、XBLAST及びNBLASTの)デフォルトパラメータが使用されることができる(例えば、ワールドワイドウェブ、ncbi.nlm.nih.gov上のNational Center for Biotechnology Information(NCBI)を参照のこと)。配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの別の非限定的な例は、Myers and Miller,CABIOS 4:11-17(1998)のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、GCG配列アライメントソフトウェアパッケージの一部である、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれる。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用するとき、PAM120重量残基表、12のギャップ長ペナルティ、及び4のギャップペナルティが、使用されることができる。2つの配列間の同一性率は、ギャップを許容するかどうかにかかわらず、上記に記載のものと同様の技法を使用して決定されることができる。同一性率を計算する際に、典型的には、完全一致のみが計数される。
【0170】
いくつかの実施形態では、(a)配列番号1~11及び113~125から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR1と、(b)配列番号12~23から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR2と、(c)配列番号24~37及び126~139から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または100%の配列同一性を有するCDR3とを含む、抗Claudin18.2 sdAbが提供される。いくつかの実施形態では、少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性のうちのいずれか1つを有するCDRは、参照配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗Claudin18.2 sdAbは、Claudin18.2に結合する能力を保持する。いくつかの実施形態では、(a)配列番号1~11及び113~125から選択されるアミノ酸配列に対して、約1、2、3、4、または5個のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失のうちのいずれか1つを有するCDR1と、(b)配列番号12~23から選択されるアミノ酸配列に対して、約1、2、3、4、または5個のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失のうちのいずれか1つを有するCDR2と、(c)配列番号24~37及び126~139から選択されるアミノ酸配列に対して、約1、2、3、4、または5個のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失のうちのいずれか1つを有するCDR3とを含む、3つのCDRを含む、抗Claudin18.2 sdAbが提供される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、親和性成熟である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、ラクダ科である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、ヒト化される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、(1)配列番号1~11及び113~125からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR1、または1、2、3、4、もしくは5個のアミノ酸置換、挿入、もしくは欠失を含むその変異体、(2)配列番号12~23からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR2、または1、2、3、4、もしくは5個のアミノ酸置換、挿入、もしくは欠失を含むその変異体、及び/または(3)配列番号24~37及び126~139からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3、または1、2、3、4、もしくは5アミノ酸置換、挿入、もしくは欠失を含むその変異体を含む、可変ドメイン(VHHドメインなど)を含むsdAbを含む。いくつかの実施形態では、CDR(VHH CDR1、VHH CDR2、及び/またはVHH CDR3)は、1つのアミノ酸置換、挿入、または欠失を含む。いくつかの実施形態では、CDR(VHH CDR1、VHH CDR2、及び/またはVHH CDR3)は、2つのアミノ酸置換、挿入、または欠失を含む。いくつかの実施形態では、CDR(VHH CDR1、VHH CDR2、及び/またはVHH CDR3)は、3つのアミノ酸置換、挿入、または欠失を含む。いくつかの実施形態では、CDR(VHH CDR1、VHH CDR2、及び/またはVHH CDR3)は、4つのアミノ酸置換、挿入、または欠失を含む。いくつかの実施形態では、CDR(VHH CDR1、VHH CDR2、及び/またはVHH CDR3)は、5つのアミノ酸置換、挿入、または欠失を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、保存的置換である。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、抗体ヒト化のために行われる。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換、挿入、または欠失は、親和性成熟のために行われる。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換、挿入、または欠失は、抗体最適化のために行われる。
【0172】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号38のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号39のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号40のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号41のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号42のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号43のアミノ酸配列に対して少なくとも少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号45のアミノ酸配列に対して少なくとも少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号46のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号47のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号48のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号49のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号50のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号51のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号77のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号78のアミノ酸配列に対して少なくとも少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号79のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号80のアミノ酸配列に対して少なくとも少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号81のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号82のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号83のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号84のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、配列番号85のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するVHHドメインを含み、単一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する。いくつかの実施形態では、少なくとも約75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性のうちのいずれか1つを有するVHH配列は、参照配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗Claudin18.2単
一ドメイン抗体は、Claudin18.2に結合する能力を保持する。いくつかの実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、配列番号38~51及び77~85から選択されるアミノ酸配列で置換、挿入、及び/または欠失されている。いくつかの実施形態では、置換、挿入、または欠失は、CDR外の領域(すなわち、FR内)で生じる。
【0173】
いくつかの実施形態では、機能的エピトープは、例えば、本明細書で提供される抗Claudin18.2単一ドメイン抗体との相互作用のために必要なClaudin18.2タンパク質中のアミノ酸を同定するために、組み合わせアラニンスキャンによってマッピングされることができる。いくつかの実施形態では、Claudin18.2に結合された抗Claudin18.2単一ドメイン抗体の立体構造及び結晶構造が、エピトープを同定するために採用され得る。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書で提供される抗Claudin18.2単一ドメイン抗体のうちのいずれかと同じエピトープに特異的に結合する抗体を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、配列番号38のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号39のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号40のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号41のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号42のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号43のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号44のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号45のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号46のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号47のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号48のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号49のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号50のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号51のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号77のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号78のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号79のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号80のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号81のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号82のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号83のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号84のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号85のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と同じエピトープに結合する、抗体が提供される。
【0174】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、本明細書に記載の抗Claudin18.2単一ドメイン抗体のうちのいずれか1つと競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗Claudin18.2抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、競合的結合は、ELISAアッセイを使用して決定され得る。例えば、いくつかの実施形態では、配列番号38のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号39のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号40のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号41のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号42のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号43のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号44のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号45のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号46のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号47のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号48のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号49のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号50のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号51のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号77のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号78のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号79のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号80のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号81のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号82のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号83のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号84のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。いくつかの実施形態では、配列番号85のアミノ酸配列を含む抗Claudin18.2単一ドメイン抗体と競合的にClaudin18.2に特異的に結合する、抗体が提供される。
【0175】
いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、抗体を含む。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、ラクダ科、キメラ、またはヒ化抗体を含む。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、単一ドメイン抗体である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、sdAbの抗原結合断片または可変領域である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、本明細書に記載のsdAbからのCDR1、CDR2、及び/またはCDR3を有する抗体を含む。いくつかの実施形態では、Claudin18.2結合部分は、本明細書に記載の抗Claudin18.2抗体の変異体を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2抗体の変異体は、1~30個の保存的アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2抗体の変異体は、1~25個の保存的アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2抗体の変異体は、1~20個の保存的アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2抗体の変異体は、1~15個の保存的アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2抗体の変異体は、1~10個の保存的アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2抗体の変異体は、1~5個の保存的アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2抗体のバリアントは、1~3個の保存的アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、保存的アミノ酸置換は、抗体のVHH CDR内にある。いくつかの実施形態では、保存的アミノ酸置換は、抗体のVHH CDR内にない。いくつかの実施形態では、保存的アミノ酸置換は、抗体のフレームワーク領域内にある。
【0176】
いくつかの実施形態では、上記に記載の抗Claudin18.2 sdAbのうちのいずれか1つを含む、抗Claudin18.2抗体または抗原結合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2抗体は、ラクダ科、キメラ、ヒト化、またはヒト抗体を含む、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2抗体は、抗体断片、例えば、VHH断片である。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2抗体は、IgG1またはIgG4などの任意の抗体クラスまたはアイソタイプのFc領域を含む全長重鎖のみ抗体である。いくつかの実施形態では、Fc領域は、必要とされる場合、低減または最小限化されたエフェクター機能を有する。他の例示的なClaudin18.2結合分子が、以下の節でより詳細に記載される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、本明細書で提供されるClaudin18.2結合部分のうちのいずれかをコードする単離された核酸である。核酸配列及びベクターに関するより詳細な説明が、以下に提供される。
【0177】
いくつかの実施形態では、上記の実施形態のうちのいずれかによる抗Claudin18.2抗体(抗Claudin18.2単一ドメイン抗体など)または抗原結合タンパク質は、以下の第5.2.2~5.2.7節に記載されるように、特徴のうちのいずれかを単独で、または組み合わせて組み込んでもよい。上述の様々な態様もまた、以下の節でより詳細にさらに記載される。
【0178】
5.2.2.ヒト化単一ドメイン抗体
本明細書に記載の単一ドメイン抗体は、ヒト化単一ドメイン抗体を含む。ラクダ科種由来の単一ドメイン抗体をヒト化するための一般的な方略が、記載されており(例えば、Vincke et al.,J.Biol.Chem.,284(5):3273-3284(2009)を参照のこと)、本明細書に開示されるようなヒト化VHHドメインを産生するために有用であり得る。ラクダ科種由来のヒト化単一ドメイン抗体の設計は、残基11、37、44、45、及び47(Kabatによる残基番号付け)などのVHH内の特徴的な残基を含み得る(Muyldermans,Reviews Mol Biotech 74:277-302(2001)。
【0179】
本明細書に開示されるヒト化単一ドメイン抗体などのヒト化抗体はまた、CDR移植(欧州特許第EP239,400号、国際公開第WO91/09967号、ならびに米国特許第5,225,539号、同第5,530,101号、及び同第5,585,089号)、化粧張りまたは表面再形成(欧州特許第EP592,106号及び同第EP519,596号、Padlan,Molecular Immunology 28(4/5):489-498(1991)、Studnicka et al.,Protein Engineering 7(6):805-814(1994)、ならびにRoguska et al.,PNAS 91:969-973(1994))、鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)、ならびに例えば、米国特許第6,407,213号、米国特許第5,766,886号、WO9317105、Tan et al.,J.Immunol.169:1119 25(2002)、Caldas et al.,Protein Eng.13(5):353-60(2000)、Morea et al.,Methods 20(3):267 79(2000)、Baca et al.,J.Biol.Chem.272(16):10678-84(1997)、Roguska et al.,Protein Eng.9(10):895 904(1996)、Couto et al.,Cancer Res.55(23 Supp):5973s-5977s(1995)、Couto et al.,Cancer Res.55 (8):1717-22(1995)、Sandhu JS,Gene 150(2):409-10(1994)、ならびにPedersen et al.,J.Mol.Biol.235(3):959-73(1994)に開示される技法を含むが、これらに限定されない、当該技術分野で既知の種々の技法を使用して産生されることもできる。それぞれが参照によりその全体で本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2005/0042664A1号(2005年2月24日)も参照のこと。
【0180】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される単一ドメイン抗体は、ヒトClaudin18.2を含むClaudin18.2に結合するヒト化単一ドメイン抗体であり得る。例えば、本開示のヒト化単一ドメイン抗体は、配列番号38~51及び77~85に記載の1つ以上のCDRを含み得る。非ヒト抗体をヒト化するための様々な方法が、当該技術分野で既知である。例えば、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源からその中に導入された1つ以上のアミノ酸残基を有することができる。これらの非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合、典型的には「インポート」可変ドメインから得られる、「インポート」残基と称される。ヒト化は、例えば、ヒト抗体の対応する配列に超可変領域配列を置換することによって、Jones et al.,Nature 321:522-25(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323-27(1988)、及びVerhoeyen et al.,Science 239:1534-36(1988))の方法に従って実施され得る。具体的な一実施形態では、本明細書で提供される単一ドメイン抗体のヒト化は、以下の第6節に記載されるように実施される。
【0181】
場合によっては、ヒト化抗体は、親非ヒト抗体のCDRのアミノ酸配列がヒト抗体フレームワーク上に移植される、CDR移植によって構築される。例えば、Padlan et al.は、CDR内の残基の約3分の1のみが実際に抗原に接触することを決定し、これらを「特異性決定残基」またはSDRと称した(Padlan et al.,FASEB J.9:133-39(1995))。SDR移植の技法では、SDR残基のみが、ヒト抗体フレームワーク上に移植される(例えば、Kashmiri et al.,Methods 36:25-34(2005)を参照のこと)。
【0182】
ヒト化抗体の作製で使用されるヒト可変ドメインの選択は、抗原性を低減するために重要であり得る。例えば、いわゆる「最良適合」方法に従って、非ヒト抗体の可変ドメインの配列は、既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリ全体に対してスクリーニングされる。非ヒト抗体の配列に最も近いヒト配列は、ヒト化抗体のためのヒトフレームワークとして選択され得る(Sims et al.,J.Immunol.151:2296-308(1993)、及びand Chothia et al.,J.Mol.Biol.196:901-17(1987))。別の方法は、軽鎖または重鎖の特定のサブグループのすべてのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークが、いくつかの異なるヒト化抗体に使用され得る(Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4285-89(1992)、及びPresta et al.,J.Immunol.151:2623-32(1993))。場合によっては、フレームワークは、最も豊富なヒトサブクラス、すなわち、VL6サブグループI(VL6I)及びVHサブグループIII(VHIII)のコンセンサス配列に由来する。別の方法では、ヒト生殖系列遺伝子は、フレームワーク領域の源として使用される。
【0183】
超ヒト化と呼ばれる、CDRの比較に基づく代替のパラダイムでは、FR相同性は無関係である。本方法は、機能的ヒト生殖系列遺伝子レパートリーとの非ヒト配列の比較からなる。マウス配列と同じまたは密接に関連する正準構造をコードするこれらの遺伝子が、次いで、選択される。次に、非ヒト抗体と正準構造を共有する遺伝子内で、CDR内で相同性が最も高いものが、FRドナーとして選択される。最後に、非ヒトCDRは、これらのFR上に移植される(例えば、Tan et al.,J.Immunol.169:1119-25(2002)を参照のこと)。
【0184】
抗体が抗原及び他の好ましい生物学的特性に対するそれらの親和性を保持してヒト化されることが、さらに一般的に望ましい。この目標を達成するために、1つの方法によれば、ヒト化抗体は、親及びヒト化配列の三次元モデルを使用する、親配列及び種々の概念的なヒト化生成物の分析のプロセスによって調製される。三次元免疫グロブリンモデルが、一般的に利用可能であり、当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の可能性の高い三次元立体構造を図示及び表示する、コンピュータプログラムが利用可能である。これらは、例えば、WAM(Whitelegg and Rees,Protein Eng.13:819-24(2002))Modeller(Sali and Blundell,J.Mol.Biol.234:779-815(1993))、及びSwiss PDB Viewer(Guex and Peitsch,Electrophoresis 18:2714-23(1997))を含む。これらの表示の調査は、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可能性のある役割の分析、例えば、候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響を与える残基の分析を可能にする。このようにして、FR残基は、標的抗原(複数可)に対する親和性の増加などの所望の抗体特性が達成されるように、レシピエント及びインポート配列から選択され、組み合わせられることができる。一般に、超可変領域残基は、抗原結合に影響を与えることに直接的かつ最も実質的に関与する。
【0185】
抗体ヒト化のための別の方法は、ヒトストリングコンテンツ(HSC)と称される抗体ヒト性のメトリックに基づく。この方法は、マウス配列をヒト生殖系列遺伝子のレパートリーと比較し、差異は、HSCとしてスコア化される。標的配列は、次いで、複数の多様なヒト化変異体を生成するために、全体的な同一性尺度を使用するのではなく、そのHSCを最大限化することによって、ヒト化される(Lazar et al.,Mol.Immunol.44:1986-98(2007))。
【0186】
上記に記載の方法に加えて、経験的方法が、ヒト化抗体を生成及び選択するために使用され得る。これらの方法には、ヒト化変異体の大規模ライブラリの生成、及び濃縮技術または高スループットスクリーニング技法を使用した最良のクローンの選択に基づくものが含まれる。抗体変異体は、ファージ、リボソーム、及び酵母表示ライブラリから、ならびに細菌コロニースクリーニングによって単離され得る(例えば、Hoogenboom,Nat.Biotechnol.23:1105-16(2005)、Dufner et al.,Trends Biotechnol.24:523-29(2006)、Feldhaus et al.,Nat.Biotechnol.21:163-70(2003)、及びSchlapschy et al.,Protein Eng.Des.Sel.17:847-60(2004)を参照のこと)。
【0187】
FRライブラリアプローチでは、残基変異体の集団が、FR内の特定の位置において導入され、その後にライブラリのスクリーニングが続き、移植されたCDRを最も支持するFRを選択する。置換される残基は、CDR構造に潜在的に寄与すると同定された「Vernier」残基(例えば、Foote and Winter,J.Mol.Biol.224:487-99(1992)を参照のこと)、またはBaca et al.J.Biol.Chem.272:10678-84(1997)によって同定されたより限定的な標的残基のセットからのいくつかまたはすべてを含み得る。
【0188】
FRシャッフリングでは、FR全体は、選択された残基変異体の組み合わせライブラリを作成する代わりに、非ヒトCDRと組み合わせられる(例えば、Dall’Acqua et al.,Methods 36:43-60(2005)を参照のこと)。ワンステップFRシャッフリングプロセスが、使用され得る。そのようなプロセスは、結果として生じる抗体が、増強された発現、増加した親和性、及び熱安定性を含む、改善した生化学的及び物理化学的特性を示したため、効率的であることが示されている(例えば、Damschroder et al.,Mol.Immunol.44:3049-60(2007)を参照のこと)。
【0189】
「ヒューマニアリング」方法は、必須最小特異性決定因子(MSD)の実験的同定に基づき、ヒトFRのライブラリへの非ヒト断片の順次置換及び結合の評価に基づく。この方法論は、典型的には、エピトープ保持及び明確に異なるヒトVセグメントCDRを伴う複数のサブクラスからの抗体の同定をもたらす。
【0190】
「ヒト工学」方法は、それでもなお元の非ヒト抗体の所望の結合特性を保持するヒトにおいて、低減した免疫原性を伴う修飾抗体を産生するように、抗体のアミノ酸配列に特異的変化を起こすことによって、非ヒト抗体または抗体断片を改変することを伴う。一般に、本技法は、非ヒト抗体のアミノ酸残基を、「低リスク」、「中リスク」、または「高リスク」残基として分類することを伴う。本分類は、置換が結果として生じる抗体の折り畳みに影響を及ぼすリスクに対して(例えば、ヒトにおける免疫原性のために)特定の置換を行うことの予測される利益を評価する、全体的リスク/報酬計算を使用して実施される。非ヒト抗体配列の所与の位置(例えば、低または中リスク)において置換される特定のヒトアミノ酸残基は、非ヒト抗体の可変領域からのアミノ酸配列を特異的またはコンセンサスヒト抗体配列の対応する領域と整列させることによって、選択されることができる。非ヒト配列内の低または中リスク位置におけるアミノ酸残基は、アラインメントに従って、ヒト抗体配列内の対応する残基に置換されることができる。ヒト工学タンパク質を作製するための技法は、Studnicka et al.,Protein Engineering 7:805-14(1994)、米国特許第5,766,886号、同第5,770,196号、同第5,821,123号、及び同第5,869,619号、ならびにPCT公開第WO 93/11794号にさらに詳細に記載されている。
【0191】
複合ヒト抗体は、例えば、Composite Human Antibody(商標)技術(Antitope Ltd.,Cambridge,United Kingdom)を使用して生成されることができる。複合ヒト抗体を生成するために、可変領域配列は、T細胞エピトープを回避する様式で、複数のヒト抗体可変領域配列の断片から設計され、それによって、結果として生じる抗体の免疫原性を最小限にする。
【0192】
脱免疫化抗体は、T細胞エピトープが除去された抗体である。脱免疫化抗体を作製するための方法が記載されている。例えば、Jones et al.,Methods Mol Biol.525:405-23(2009),xiv、及びDe Groot et al.,Cell.Immunol.244:148-153(2006))を参照のこと。脱免疫化抗体は、T細胞エピトープ枯渇可変領域及びヒト定常領域を含む。簡潔に述べると、抗体の可変領域が、クローン化され、T細胞エピトープが、続いて、T細胞増殖アッセイにおいて抗体の可変領域に由来する重複ペプチドを試験することによって同定される。T細胞エピトープは、ヒトMHCクラスIIへのペプチド結合を同定するために、インシリコ方法を介して同定される。変異が、ヒトMHCクラスIIへの結合を無効にするために、可変領域内に導入される。変異可変領域が、次いで、脱免疫化抗体を生成するために利用される。
【0193】
いくつかのより具体的な実施形態では、ヒト化単一ドメイン抗体は、以下の第6節で例示される方法に従って産生される。より具体的な実施形態では、本発明で提供されるヒト化単一ドメイン抗体は、配列番号77~85を含む。
【0194】
5.2.3.単一ドメイン抗体変異体
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のClaudin18.2に結合する単一ドメイン抗体のアミノ酸配列修飾(複数可)が企図される。例えば、特異性、熱安定性、発現レベル、エフェクター機能、グリコシル化、減少した免疫原性、または溶解性を含むが、これらに限定されない、抗体の結合親和性及び/または他の生物学的特性を最適化することが望ましくあり得る。したがって、本明細書に記載のClaudin18.2に結合する単一ドメイン抗体に加えて、本明細書に記載のClaudin18.2に結合する単一ドメイン抗体の変異体が調製され得ることが企図される。例えば、単一ドメイン抗体変異体は、適切なヌクレオチド変化をコードDNAに導入することによって、及び/または所望の抗体もしくはポリペプチドの合成によって、調製されることができる。当業者は、アミノ酸変化が単一ドメイン抗体の翻訳後プロセスを改変し得ることを理解するであろう。
【0195】
化学修飾
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される単一ドメイン抗体は、例えば、単一ドメイン抗体への任意の種類の分子の共有結合によって、化学的に修飾される。抗体誘導体は、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護/遮断基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドもしくは他のタンパク質への結合、または1つ以上の免疫グロブリンドメイン(例えば、FcもしくはFcの一部)へのコンジュゲーションによって化学的に修飾された抗体を含み得る。多数の化学修飾のうちのいずれかは、特異的化学切断、アセチル化、製剤化、ツニカマイシンの代謝合成などを含むが、これらに限定されない、既知の技法によって実行され得る。加えて、抗体は、1つ以上の非古典的アミノ酸を含有し得る。
【0196】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体は、抗体がグリコシル化される程度を増加または減少させるように改変される。抗体へのグリコシル化部位の付加または欠失は、1つ以上のグリコシル化部位が作成または除去されるように、アミノ酸配列を改変することによって、便宜的に達成され得る。
【0197】
本明細書で提供される単一ドメイン抗体がFc領域に融合されるとき、それに付着した炭水化物は、改変され得る。哺乳類細胞によって産生される天然抗体は、典型的には、一般にFc領域のCH2ドメインのAsn297にN結合によって付着した分岐状の二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.TIBTECH 15:26-32(1997)を参照のこと。オリゴ糖は、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、ならびに二分岐オリゴ糖構造の「ステム」内のGlcNAcに付着したフコースを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される結合分子内のオリゴ糖の修飾は、ある特定の改善した特性を伴う変異体を作成するために行われ得る。
【0198】
他の実施形態では、本明細書で提供される単一ドメイン抗体がFc領域に融合されるとき、本明細書で提供される抗体変異体は、該Fc領域に(直接的または間接的に)付着したフコースを欠く炭水化物構造を有し得る。例えば、そのような抗体内のフコースの量は、1%~80%、1%~65%、5%~65%、または20%~40%であり得る。フコースの量は、例えば、WO2008/077546に記載されるように、MALDI-TOF質量分析によって測定されるようなAsn297に付着したすべての糖構造(例えば、複合体、ハイブリッド、及び高マンノース構造)の総和に対して、Asn297における糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297は、Fc領域内の約297位に位置するアスパラギン残基(Fc領域残基のEU番号付け)を指すが、Asn297はまた、抗体の軽微な配列変動により、297位の上流または下流の約±3個のアミノ酸、すなわち、294位~300位の間に位置し得る。そのようなフコシル化変異体は、改善したADCC機能を有し得る。例えば、米国特許公開第US2003/0157108号及び同第US2004/0093621号を参照のこと。「脱フコシル化」または「フコース欠乏」抗体変異体に関連する刊行物の例としては、US2003/0157108、WO2000/61739、WO2001/29246、US2003/0115614、US2002/0164328、US2004/0093621、US2004/0132140、US2004/0110704、US2004/0110282、US2004/0109865、WO2003/085119、WO2003/084570、WO2005/035586、WO2005/035778、WO2005/053742、WO2002/031140、Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239-1249(2004)、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)が挙げられる。脱フコシル化抗体を産生することが可能な細胞株の例としては、タンパク質フコシル化が欠損したLec13 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986)、米国特許出願第US 2003/0157108号、及びWO 2004/056312(特に実施例11で) )、ならびにα-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞などのノックアウト細胞株(例えば、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)、Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680-688(2006)、及びWO2003/085107)が挙げられる。
【0199】
本明細書で提供される単一ドメイン抗体を含む結合分子は、例えば、Fc領域に付着した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分される、二分されたオリゴ糖をさらに提供される。そのような変異体は、低減したフコシル化及び/または改善したADCC機能を有し得る。そのような変異体の例は、例えば、WO 2003/011878(Jean-Mairet et al.)、米国特許第6,602,684号(Umana et al.)、及び米国特許第2005/0123546号(Umana et al.)に記載されている。Fc領域に付着したオリゴ糖に少なくとも1つのガラクトース残基を伴う変異体もまた、提供される。そのような変異体は、改善したCDC機能を有し得る。そのような変異体は、例えば、WO1997/30087、WO1998/58964、及びWO1999/22764に記載されている。
【0200】
本単一ドメイン抗体及びFc領域を含む分子では、1つ以上のアミノ酸修飾が、Fc領域に導入され、それによって、Fc領域変異体を生成し得る。Fc領域変異体は、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含む、ヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域)を含み得る。
【0201】
いくつかの実施形態では、本出願は、すべてではないがいくつかのエフェクター機能を保有し、これにより、インビボでの結合分子の半減期が重要であるが、ある特定のエフェクター機能(補体及びADCCなど)が不必要または有害である用途のための望ましい候補となる、変異体を企図する。インビトロ及び/またはインビボ細胞傷害性アッセイが、CDC及び/またはADCC活性の低減/枯渇を確認するために行われることができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイが、結合分子がFcγR結合を欠く(したがって、ADCC活性を欠く可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持することを確実にするために、行われることができる。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom,I.et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 83:7059-7063(1986))、及びHellstrom,I et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 82:1499-1502(1985)を参照のこと)、同第5,821,337号(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351-1361(1987)を参照のこと)に記載されている。代替として、非放射性アッセイ方法が、採用され得る(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA)、及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照のこと)。そのようなアッセイのための有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。代替として、または加えて、目的の分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynes et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:652-656(1998)に開示されるものなどの動物モデルにおいて評価され得る。C1q結合アッセイもまた、抗体がC1qに結合することができず、したがって、CDC活性を欠くことを確認するために、実行され得る。例えば、WO2006/029879及びWO2005/100402におけるC1q及びC3c結合ELISAを参照のこと。補体活性化を評価するために、CDCアッセイが実施され得る(例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)、Cragg,M.S.et al.,Blood 101:1045-1052(2003)、及びCragg,M.S.and M.J.Glennie,Blood 103:2738-2743(2004)を参照のこと)。FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期決定もまた、当該技術分野で既知の方法を使用して実施されることができる(例えば、Petkova,S.B.et al.,Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006)を参照のこと)。
【0202】
低減したエフェクター機能を伴う結合分子としては、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、及び329のうちの1つ以上の置換を伴うものが挙げられる(米国特許第6,737,056号)。そのようなFc変異体には、アラニンへの残基265及び297の置換を伴ういわゆる「DANA」Fc変異体を含む、アミノ酸位置265、269、270、297、及び327位のうちの2つ以上に置換を伴うFc変異体が含まれる(米国特許第7,332,581号)。
【0203】
FcRへの改善した減少した結合を伴う、ある特定の変異体が記載される。(例えば、米国特許第6,737,056号、WO2004/056312、及びShields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)を参照のこと。)
【0204】
いくつかの実施形態では、変異体は、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298位、333位、及び/または334位における置換(残基のEU番号付け)を伴うFc領域を含む。いくつかの実施形態では、例えば、米国特許第6,194,551号、WO 99/51642、及びIdusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184(2000)に記載されるように、改変された(すなわち、改善したか、または減少したかのいずれかである)C1q結合及び/または補体依存性細胞傷害(CDC)をもたらす改変がFc領域で行われる。
【0205】
半減期の増加及び母体IgGの胎児への移行を担う新生児Fc受容体(FcRn)への結合の改善を伴う結合分子Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994))が、US2005/0014934A1(Hinton et al.)に記載されている。これらの分子は、Fc領域のFcRnへの結合を改善する、1つ以上の置換をその中に伴うFc領域を含む。そのようなFc変異体は、Fc領域残基238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、または434のうちの1つ以上における置換、例えば、Fc領域残基434の置換を伴うものを含む(米国特許第7,371,826号)。また、Fc領域変異体の他の例に関して、Duncan&Winter,Nature 322:738-40(1988)、米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、及びWO 94/29351も参照のこと。
【0206】
いくつかの実施形態では、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換される、システイン操作抗体を作成することが望ましくあり得る。いくつかの実施形態では、置換残基は、抗体のアクセス可能な部位において生じる。これらの残基をシステインで置換することによって、反応性チオール基は、それによって、抗体のアクセス可能な部位に位置付けられ、本明細書にさらに記載されるように、抗体を薬物部分またはリンカー・薬物部分などの他の部分にコンジュゲートして、免疫複合体を作成するために使用され得る。
【0207】
置換、欠失、または挿入
変形例は、元の抗体またはポリペプチドと比較してアミノ酸配列に変化をもたらす、単一ドメイン抗体またはポリペプチドをコードする1つ以上のコドンの置換、欠失、または挿入であり得る。置換変異誘発のための目的の部位としては、CDR及びFRが挙げられる。
【0208】
アミノ酸置換は、セリンによるロイシンの置き換え、例えば、保存的アミノ酸置き換えなどの、1つのアミノ酸を、同様の構造的及び/または化学的特性を伴う別のアミノ酸で置き換えることの結果であり得る。当業者に既知の標準的な技法が、例えば、アミノ酸置換をもたらす部位指向性変異誘発及びPCR媒介性変異誘発を含む、本明細書で提供される分子をコードするヌクレオチド配列に変異を導入するために、使用されることができる。挿入または欠失は、任意に、約1~5個のアミノ酸の範囲であり得る。ある特定の実施形態では、置換、欠失、または挿入は、元の分子に対して、25個よりも少ないアミノ酸置換、20個よりも少ないアミノ酸置換、15個よりも少ないアミノ酸置換、10個よりも少ないアミノ酸置換、5個よりも少ないアミノ酸置換、4個よりも少ないアミノ酸置換、3個よりも少ないアミノ酸置換、または2個よりも少ないアミノ酸置換を含む。具体的な実施形態では、置換は、1つ以上の予測される非必須アミノ酸残基において行われる保存的アミノ酸置換である。許容される変形例は、配列にアミノ酸の挿入、欠失、または置換を体系的に行い、親抗体によって示される活性について結果として生じる変異体を試験することによって決定され得る。
【0209】
アミノ酸配列挿入には、長さが1つの残基から複数の残基を含有するポリペプチドまでに及ぶアミノ及び/またはカルボキシル末端融合、ならびに単一もしくは複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を伴う抗体が挙げられる。
【0210】
保存的アミノ酸置換によって生成される単一ドメイン抗体が、本開示に含まれる。保存的アミノ酸置換では、アミノ酸残基は、同様の電荷を伴う側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられる。上記に記載のように、同様の電荷を伴う側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが、当該技術分野で定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を伴うアミノ酸が含まれる。代替として、変異が、飽和変異誘発などによって、コード配列のすべてまたは一部に沿ってランダムに導入されることができ、結果として生じた突然変異体は、活性を保持する突然変異体を同定するように、生物学的活性についてスクリーニングされることができる。変異誘発後、コードされたタンパク質が、発現されることができ、タンパク質の活性が、決定されることができる。保存的(例えば、同様の特性及び/または側鎖を伴うアミノ酸基内で)置換が、特性を維持するか、または特性を有意に変化させないように行われ得る。例示的な置換が、以下の表3に示される。
【表3】
【0211】
アミノ酸は、それらの側鎖の特性の類似性に従ってグループ化され得る(例えば、Lehninger,Biochemistry 73-75(2d ed.1975)を参照のこと):(1)非極性:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M)、(2)非荷電極性:Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q)、(3)酸性:Asp(D)、Glu(E)、及び(4)塩基性:Lys(K)、Arg(R)、His(H)。代替として、天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいてグループに分けられ得る:(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、(3)酸性:Asp、Glu、(4)塩基性:His、Lys、Arg、(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro、及び(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。例えば、単一ドメイン抗体の適切な立体配座を維持することに関与しない任意のシステイン残基もまた、分子の酸化安定性を改善し、異常な架橋を防止するために、例えば、アラニンまたはセリン等の別のアミノ酸で置換され得る。非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴うであろう。
【0212】
置換変異体の1つのタイプは、親抗体(例えば、ヒト化抗体またはヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基を置換することを伴う。一般に、さらなる研究のために選択された結果として生じる変異体(複数可)は、親抗体に対して、ある特定の生物学的特性(例えば、親和性の増加、免疫原性の低減)における修飾(例えば、改善)を有するであろう、及び/または親抗体のある特定の生物学的特性を実質的に保持しているであろう。例示的な置換変異体は、例えば、本明細書に記載のものなどのファージ表示ベースの親和性成熟技法を使用して便宜的に生成され得る、親和性成熟抗体である。簡潔に述べると、1つ以上のCDR残基が変異し、変異型抗体がファージ上に表示され、特定の生物活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
【0213】
改変(例えば、置換)が、例えば、抗体親和性を改善するために、CDRで行われ得る。そのような改変は、CDR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照のこと)、及び/またはSDR(a-CDR)で行われ得、結果として生じる変異型抗体またはその断片は、結合親和性について試験される。二次ライブラリから構築及び再選択することによる親和性成熟は、例えば、Hoogenboom et al.によってMethods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))に記載されている。親和性成熟のいくつかの実施形態では、多様性が、種々の方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、またはオリゴヌクレオチド指向性変異誘発)のうちのいずれかによって、成熟のために選択される可変遺伝子に導入される。二次ライブラリが、次いで、作成される。ライブラリは、次いで、所望の親和性を伴う任意の抗体変異体を同定するためにスクリーニングされる。多様性を導入する別の方法は、いくつかのCDR残基(例えば、一度に4~6個の残基)がランダム化される、CDR指向性アプローチを伴う。抗原結合に関与するCDR残基は、例えば、アラニンスキャニング変異誘発またはモデリングを使用して、特異的に同定され得る。親和性成熟に関するより詳細な説明が、以下の節で提供される。
【0214】
いくつかの実施形態では、置換、挿入、または欠失は、そのような変化が抗体の抗原に結合する能力を実質的に低減させない限り、1つ以上のCDR内で生じ得る。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的改変(例えば、本明細書で提供されるような保存的置換)が、CDRで行われ得る。本明細書で提供される変異型VHH配列のいくつかの実施形態では、各CDRは、改変されていないか、または1つ、2つ、もしくは3つ以下のアミノ酸置換を含有するかのいずれかである。
【0215】
変異誘発のために標的化され得る抗体の残基または領域の同定のための有用な方法は、Cunningham and Wells,Science,244:1081-1085(1989)によって記載されているように「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法では、残基または標的残基(例えば、Arg、Asp、His、Lys、及びGluなどの荷電残基)の群が、同定され、抗体の抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを決定するために、中性または負荷電アミノ酸(例えば、アラニンもしくはポリアラニン)によって置き換えられる。さらなる置換が、初期置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸位置において導入され得る。代替として、または加えて、抗体と抗原との間の接触点を同定するための抗原・抗体複合体の結晶構造がある。そのような接触残基及び隣接残基は、置換の候補として標的化されるか、または排除され得る。変異体が、所望の特性を含有するかどうかを決定するためにスクリーニングされ得る。
【0216】
アミノ酸配列挿入には、長さが1つの残基から100個以上の残基を含むポリペプチドまでに及ぶアミノ及び/またはカルボキシル末端融合物、ならびに単一もしくは複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を伴う抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入変異体としては、抗体の血清半減期を増加させる酵素(例えば、ADEPT用)またはポリペプチドへの抗体のNまたはC末端への融合が挙げられる。
【0217】
変形例は、オリゴヌクレオチド媒介性(部位指向性)変異誘発、アラニンスキャニング、及びPCR変異誘発などの当該技術分野で既知の方法を使用して作製され得る。部位指向性変異誘発(例えば、Carter,Biochem J.237:1-7(1986);及びZoller et al.,Nucl.Acids Res.10:6487-500(1982)を参照のこと)、カセット変異誘発(例えば、Wells et al.,Gene 34:315-23(1985))、または他の既知の技法が、単一ドメイン抗体変異体DNAを産生するためにクローン化されたDNA上で実施されることができる。
【0218】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるClaudin18.2結合部分の変異体は、親結合部分と同様の程度、同じ程度、またはより高い程度に標的(例えば、Claudin18.2)を認識する能力を保持することができる。いくつかの実施形態では、変異体は、親結合部分とアミノ酸配列が少なくとも約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%同一であり得る。いくつかの実施形態では、変異体は、本明細書に開示される抗体と少なくとも約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%同一であるアミノ酸配列を有することができる。
【0219】
5.2.4.インビトロ親和性成熟
いくつかの実施形態では、親抗体と比較して、親和性、安定性、または発現レベルなどの改善した特性を有する抗体変異体が、インビトロ親和性成熟によって調製され得る。天然のプロトタイプと同様に、インビトロ親和性成熟は、変異及び選択の原理に基づく。抗体のライブラリは、生物(例えば、ファージ、細菌、酵母、または哺乳類細胞)の表面上に、またはそれらのコードmRNAもしくはDNAと会合して(例えば、共有結合的または非共有結合的に)表示される。表示された抗体の親和性選択は、抗体をコードする遺伝情報を担持する生物または複合体の単離を可能にする。ファージ表示などの表示方法を使用した2回または3回の変異及び選択は、通常、低ナノモル範囲内の親和性を伴う抗体断片をもたらす。親和性成熟抗体は、標的抗原に対するナノモルまたはさらにピコモルの親和性を有することができる。
【0220】
ファージ表示は、抗体の表示及び選択のための普及している方法である。抗体は、バクテリオファージコートタンパク質への融合物としてFdまたはM13バクテリオファージの表面上に表示される。選択は、「パニング」と称されるプロセスである、ファージ表示抗体が標的に結合することを可能にするための抗原への曝露を伴う。抗原に結合されたファージは、回収され、細菌に感染させ、さらなる選択ラウンドのためのファージを産生するために使用される。例えば、Hoogenboom,Methods.Mol.Biol.178:1-37(2002)、及びBradbury and Marks,J.Immunol.Methods 290:29-49(2004)を参照のこと。
【0221】
酵母表示システム(例えば、Boder et al.,Nat.Biotech.15:553-57(1997)、及びChao et al.,Nat.Protocols 1:755-68(2006)を参照のこと)では、抗体は、Aga1pへのジスルフィド結合を通して酵母細胞壁に付着する、酵母アグルチニンタンパク質Aga2pの接着サブユニットに融合され得る。Aga2pを介したタンパク質の表示は、タンパク質を細胞表面から遠ざけ、酵母細胞壁上の他の分子との潜在的な相互作用を最小限化する。磁気分離及びフローサイトメトリーが、ライブラリをスクリーニングし、親和性または安定性が改善した抗体を選択するため使用される。目的の可溶性抗原への結合は、ビオチン化抗原及びフルオロフォアにコンジュゲートされたストレプトアビジン等の二次試薬を用いた酵母の標識によって決定される。抗体の表面発現の変動は、単鎖抗体(例えば、scFv)に隣接するヘマグルチニンまたはc-Mycエピトープタグのいずれかの免疫蛍光標識を通して測定されることができる。発現は、表示されたタンパク質の安定性と相関することが示されており、したがって、抗体は、改善した安定性ならびに親和性のために選択されることができる(例えば、Shusta et al.,J.Mol.Biol.292:949-56(1999)を参照のこと)。酵母表示の追加の利点は、表示されたタンパク質が、小胞体シャペロン及び品質制御機構を利用して、真核酵母細胞の小胞体内で折り畳まれることである。成熟が完了すると、抗体親和性は、酵母の表面上に表示されながら便宜的に「滴定」され、各クローンの発現及び精製の必要性を排除することができる。酵母表面表示の理論的制限は、他の表示方法のものよりも潜在的に小さい機能ライブラリサイズであるが、最近のアプローチは、酵母細胞の交配系を使用して、サイズが1014であると推定される組み合わせ多様性を作成する(例えば、米国特許公開2003/0186374及びBlaise et al.,Gene 342:211-18(2004)を参照のこと)。
【0222】
リボソーム表示では、抗体-リボソーム-mRNA(ARM)複合体が、無細胞系において選択のために生成される。抗体の特定のライブラリをコードするDNAライブラリは、終止コドンを欠くスペーサー配列に遺伝的に融合される。このスペーサー配列は、翻訳されると、依然としてペプチジルtRNAに付着しており、リボソームトンネルを占有し、したがって、目的のタンパク質がリボソームから突出し、折り畳むことを可能にする。mRNA、リボソーム、及びタンパク質の結果として生じる複合体は、表面結合リガンドに結合し、リガンドとの親和性捕捉を通して抗体及びそのコードmRNAの同時単離を可能にすることができる。リボソーム結合mRNAは、次いで、cDNAに戻るように逆転写され、これは次いで、変異誘発を受け、次の選択ラウンドで使用されることができる(例えば、Fukuda et al.,Nucleic Acids Res.34:e127(2006)を参照のこと)。mRNA表示では、抗体とmRNAとの間の共有結合が、ピューロマイシンをアダプター分子として使用して確立される(Wilson et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:3750-55(2001))。
【0223】
これらの方法が完全にインビトロで実施されるため、それらは、他の選択技術と比べて2つの主な利点を提供する。第一に、ライブラリの多様性は、細菌細胞の形質転換効率によってではなく、試験管に存在するリボソーム及び異なるmRNA分子の数のみによって制限される。第二に、ライブラリが任意の多様化ステップ後に形質転換されてはならないため、ランダム変異が、例えば、非プルーフリーディングポリメラーゼによって、各選択ラウンド後に容易に導入されることができる。
【0224】
いくつかの実施形態では、哺乳類表示システムが使用され得る。
【0225】
多様性はまた、標的化された様式で、またはランダム導入を介して、抗体ライブラリのCDRに導入され得る。前者のアプローチは、高レベルもしくは低レベルの変異誘発を介して抗体のすべてのCDRを順次標的化すること、または体細胞超変異の単離されたホットスポット(例えば、Ho et al.,J.Biol.Chem.280:607-17(2005)を参照のこと)または実験基準もしくは構造的理由で親和性に影響を及ぼすことが疑われる残基を標的化することを含む。多様性はまた、DNAシャッフリングまたは同様の技法を介した天然に多様である領域の置き換えによって導入され得る(例えば、Lu et al.,J.Biol.Chem.278:43496-507(2003)、米国特許第5,565,332号及び同第6,989,250号を参照のこと)。代替技法は、フレームワーク領域残基内に延びる超可変ループを標的化し(例えば、Bond et al.,J.Mol.Biol.348:699-709(2005)を参照のこと)、CDRにおけるループ欠失及び挿入を採用するか、またはハイブリダイゼーションベースの多様化を使用する(例えば、米国特許公開第2004/0005709号を参照のこと)。CDRにおいて多様性を生成する追加の方法は、例えば、米国特許第7,985,840号に開示されている。抗体ライブラリ及び/または抗体親和性成熟を生成するために使用され得るさらなる方法は、例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,685,897号及び同第8,603,930号、ならびに米国公開第2014/0170705号、同第2014/0094392号、同第2012/0028301号、同第2011/0183855号、及び同第2009/0075378号に開示されている。
【0226】
ライブラリのスクリーニングは、当該技術分野で既知の様々な技術によって達成されることができる。例えば、単一ドメイン抗体は、固体支持体、カラム、ピン、またはセルロース/ポリ(フッ化ビニリデン)膜/他のフィルター上に固定化され、吸着プレートに添着された宿主細胞上に発現され、もしくは細胞選別で使用される、またはストレプトアビジンでコーティングされたビーズを用いた捕捉のためにビオチンにコンジュゲートされ、もしくは表示ライブラリをパンニングするための任意の他の方法で使用されることができる。
【0227】
インビトロ親和性成熟方法の概説については、例えば、Hoogenboom,Nature Biotechnology 23:1105-16(2005)、Quiroz and Sinclair,Revista Ingeneria Biomedia 4:39-51(2010)、及びそれらの参照文献を参照のこと。
【0228】
5.2.5.単一ドメイン抗体の修飾
単一ドメイン抗体の共有結合修飾は、本開示の範囲内に含まれる。共有結合的修飾は、単一ドメイン抗体の標的アミノ酸残基を、単一ドメイン抗体の選択された側鎖またはNもしくはC末端残基と反応することが可能である有機誘導体化剤と反応させることを含む。他の修飾は、それぞれ、対応するグルタミニル及びアスパラギニル残基へのグルタミニル及びアスパラギニル残基の脱アミド化、プロリン及びリジンのヒドロキシル化、セリルまたはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化(例えば、Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties 79-86(1983)を参照のこと)、N末端アミンのアセチル化、ならびに任意のC末端カルボキシル基のアミド化を含む。
【0229】
本開示の範囲内に含まれる単一ドメイン抗体の他の種類の共有結合的修飾は、上記に記載の抗体またはポリペプチドの天然グリコシル化パターンを改変すること(例えば、Beck et al.,Curr.Pharm.Biotechnol.9:482-501(2008)、及びWalsh,Drug Discov.Today 15:773-80(2010)を参照のこと)、及び例えば、米国特許第4,640,835号、同第4,496,689号、同第4,301,144号、同第4,670,417号、同第4,791,192号、または同第4,179,337号に記載の様式で、抗体を、種々の非タンパク質性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレンのうちの1つに連結することを含む。本開示のClaudin18.2に結合する単一ドメイン抗体はまた、半減期を延長するため、及び/または既知のFc媒介性エフェクター機能を付与するために、1つ以上の免疫グロブリン定常領域またはその一部(例えば、Fc)に遺伝的に融合またはコンジュゲートされ得る。
【0230】
本開示のClaudin18.2に結合する単一ドメイン抗体はまた、別の異種ポリペプチドまたはアミノ酸配列、例えば、エピトープタグに融合されたClaudin18.2に結合する単一ドメイン抗体(例えば、Terpe,Appl.Microbiol.Biotechnol.60:523-33(2003)を参照のこと)またはIgG分子のFc領域(例えば、Aruffo,Antibody Fusion Proteins 221-42(Chamow and Ashkenazi eds.,1999)を参照のこと)を含む、キメラ分子を形成するように修飾され得る。Claudin18.2に結合する単一ドメイン抗体はまた、以下により詳細に記載されるように、Claudin18.2結合キメラ抗原受容体(CAR)を生成するために使用され得る。
【0231】
本開示のClaudin18.2及び異種ポリペプチドに結合する単一ドメイン抗体を含む、融合タンパク質もまた、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、抗体が遺伝的に融合または化学的にコンジュゲートされる異種ポリペプチドは、細胞表面発現Claudin18.2を有する細胞に抗体を標的化するために有用である。
【0232】
Claudin18.2抗原に結合する抗体のパネルもまた、本明細書で提供される。具体的な実施形態では、抗体のパネルは、異なる会合速度、異なる解離速度、Claudin18.2抗原に対する異なる親和性、及び/またはClaudin18.2抗原に対する異なる特異性を有する。いくつかの実施形態では、パネルは、約10~約1000個以上の抗体を含むか、またはそれらからなる。抗体のパネルは、例えば、ELISA等のアッセイのために、96ウェルプレートまたは384ウェルプレートで使用されることができる。
【0233】
5.2.6.単一ドメイン抗体の調製
単一ドメイン抗体を調製する方法が記載されている。例えば、Els Pardon et al,Nature Protocol,9(3):674(2014)を参照のこと。単一ドメイン抗体(VHHなど)は、ラクダ科種(ラクダまたはラマなど)を免疫化し、そこからハイブリドーマを取得することによって、または当該技術分野で既知の分子生物学技法及び選択されていないライブラリの個々のクローンを用いたELISAによる後続の選択を使用して、もしくはファージ表示を使用することによって、単一ドメイン抗体のライブラリをクローニングすることによってなど、当該技術分野で既知の方法を使用して取得され得る。
【0234】
本明細書で提供される単一ドメイン抗体は、単一ドメイン抗体をコードする核酸を含有するベクターで形質転換またはトランスフェクトされた細胞を培養することによって産生され得る。本開示の抗体のポリペプチド成分をコードするポリヌクレオチド配列が、標準的な組換え技法を使用して取得されることができる。所望のポリヌクレオチド配列が、ハイブリドーマ細胞またはB細胞などの抗体産生細胞から単離され、配列決定され得る。代替として、ポリヌクレオチドは、ヌクレオチドシンセサイザーまたはPCR技法を使用して合成されることができる。取得されると、ポリペプチドをコードする配列は、宿主細胞内で異種ポリヌクレオチドを複製及び発現することが可能な組換えベクターに挿入される。当該技術分野で利用可能かつ既知である多くのベクターが、本開示の目的のために使用されることができる。適切なベクターの選択は、主に、ベクターに挿入される核酸及びベクターで形質転換される特定の宿主細胞のサイズに依存するであろう。本開示の抗体を発現するために好適な宿主細胞としては、グラム陰性またはグラム陽性生物を含む、Archaebacteria及びEubacteriaなどの原核生物、糸状菌または酵母などの真核微生物、昆虫または植物細胞などの無脊椎動物細胞、及び哺乳類宿主細胞株などの脊椎動物細胞が挙げられる。宿主細胞は、上記に記載の発現ベクターで形質転換され、プロモーターを誘導する、形質転換体を選択する、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適宜に修飾された従来の栄養培地内で培養される。宿主細胞によって産生される抗体は、当該技術分野で既知であるような標準的なタンパク質精製方法を使用して精製される。
【0235】
ベクター構築、発現、及び精製を含む、抗体産生のための方法は、Pluckthun et al.,Antibody Engineering:Producing antibodies in Escherichia coli:From PCR to fermentation 203-52(McCafferty et al.eds.,1996)、Kwong and Rader,E.coli Expression and Purification of Fab Antibody Fragments,in Current Protocols in Protein Science(2009)、Tachibana and Takekoshi,Production of Antibody Fab Fragments in Escherichia coli,in Antibody Expression and Production(Al-Rubeai ed.,2011)、及びTherapeutic Monoclonal Antibodies:From Bench to Clinic(An ed.,2009)にさらに記載されている。
【0236】
当然ながら、当該技術分野で周知である代替方法は、抗Claudin18.2単一ドメイン抗体を調製するために採用され得ることが企図される。例えば、適切なアミノ酸配列またはその部分は、固相技法を使用する直接ペプチド合成によって産生され得る(例えば、Stewart et al.,Solid-Phase Peptide Synthesis(1969)、及びMerrifield,J.Am. Chem.Soc.85:2149-54(1963)を参照のこと)。インビトロタンパク質合成は、手動技法を使用して、または自動化によって実施され得る。抗Claudin18.2抗体の様々な部分が、別個に化学的に合成され、所望の抗Claudin18.2抗体を産生するために化学的または酵素的方法を使用して組み合わせられ得る。代替として、抗体は、例えば、米国特許第5,545,807号及び同第5,827,690号に開示されるように、抗体を発現するように操作されたトランスジェニック動物の細胞または乳などの体液から精製され得る。
【0237】
具体的には、本明細書で提供される単一ドメイン抗体または他のClaudin18.2結合剤は、ラマを免疫化し、単一B細胞選別を実施し、V遺伝子抽出を行い、VHH-Fc融合物などのClaudin18.2結合剤をクローニングし、次いで、小規模発現及び精製を実施することによって生成され得る。ELISA陽性、BLI陽性、及び100nM未満のKDを選択することのうちの1つ以上を含む、Claudin18.2に結合する単一ドメイン抗体及び他の分子の追加のスクリーニングが、実施されることができる。これらの選択基準は、以下の第6節に記載されるように組み合わせられることができる。加えて、個々のVHH結合剤(及びClaudin18.2に結合する他の分子)が、Claudin18.2を発現する細胞に結合するそれらの能力についてアッセイされることができる。そのようなアッセイは、Claudin18.2を発現する細胞を用いたFACS分析を使用し、蛍光標識されたVHH分子の平均蛍光強度(MFI)を測定して、実施されることができる。上述の様々な態様が、以下により詳細に記載される。
【0238】
ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体は、一般に、関連する抗原及びアジュバントの複数の皮下(sc)または腹腔内(ip)注射によって動物で生育される。二官能性または誘導体化剤、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を通したコンジュゲーション)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を通した)、グルタルアルデヒド、コハク酸無水物、SOCl2、またはR1N=C=NR(式中、R及びR1は、独立して低級アルキル基である)を使用して、免疫化される種において免疫原性であるタンパク質、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、または大豆トリプシン阻害剤に関連抗原をコンジュゲートすることが有用であり得る。採用され得るアジュバントの例としては、フロイントの完全アジュバント及びMPL-TDMアジュバント(モノホスホリル脂質A、合成トレハロースジコリノミコレート)が挙げられる。免疫化プロトコルは、過度の実験を伴わずに当業者によって選択され得る。
【0239】
例えば、動物は、例えば、(それぞれ、ウサギまたはマウスについて)100μgまたは5μgのタンパク質もしくはコンジュゲートを3つの体積のフロイントの完全アジュバントと組み合わせ、複数の部位において溶液を皮内注射することによって、抗原、免疫原性コンジュゲート、または誘導体に対して免疫化される。1ヶ月後、動物は、複数の部位における皮下注射によって、フロイントの完全アジュバント中のペプチドまたはコンジュゲートの元の量の1/5~1/10で強化される。7~14日後、動物は、出血させられ、血清が、抗体価についてアッセイされる。動物は、力価の安定期まで強化される。コンジュゲートはまた、タンパク質融合物として組換え細胞培養で作製されることもできる。また、ミョウバンなどの凝集剤が、免疫応答を増強するために好適である。
【0240】
モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、実質的に均質な抗体の集団から取得され、すなわち、集団を含む個々の抗体は、少量で存在し得る天然に存在する変異及び/または翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化)を除いて同一である。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、離散抗体の混合物ではないものとして抗体の特徴を示す。
【0241】
例えば、モノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature,256:495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ方法を使用して作製され得るか、または組換えDNA法によって作製され得る(米国特許第4,816,567号)。
【0242】
ハイブリドーマ法では、適切な宿主動物が、免疫化に使用されるタンパク質に特異的に結合するであろう抗体を産生するか、または産生することが可能であるリンパ球を誘発するように免疫化される。代替として、リンパ球は、インビトロで免疫化され得る。リンパ球は、次いで、ハイブリドーマ細胞を形成するために、ポリエチレングリコールなどの好適な融合剤を使用して骨髄腫細胞と融合される(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59-103 (Academic Press,1986)。
【0243】
免疫化剤は、典型的には、抗原性タンパク質またはその融合変異体を含むであろう。Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,Academic Press(1986),pp.59-103。不死化細胞株は、通常、形質転換された哺乳類細胞である。このようにして調製されたハイブリドーマ細胞は、好ましくは、非融合親骨髄腫細胞の増殖または生存を阻害する1つ以上の物質を含有する、好適な培養培地に播種され、増殖される。好ましい不死化骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定した高レベルの産生を支持し、HAT培地等の培地に感受性があるものである。
【0244】
ハイブリドーマ細胞が増殖している培養培地が、抗原に対して指向されたモノクローナル抗体の産生についてアッセイされる。ハイブリドーマ細胞が培養される培養培地は、所望の抗原に対して指向されたモノクローナル抗体の存在についてアッセイされることができる。そのような技法及びアッセイは、当該技術分野で既知である。例えば、結合親和性は、Munson et al.,Anal.Biochem.,107:220(1980)のScatchard分析によって決定され得る。
【0245】
所望の特異性、親和性、及び/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンは、限定的な希釈手順によってサブクローン化され、標準的な方法によって増殖され得る(Goding、上記)。この目的のための好適な培養培地としては、例えば、D-MEMまたはRPMI-1640培地が挙げられる。加えて、ハイブリドーマ細胞は、哺乳動物における腫瘍としてインビボで増殖され得る。
【0246】
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、例えば、タンパク質A-セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、または親和性クロマトグラフィーなどの従来の免疫グロブリン精製手順によって、培養培地、腹水、または血清から好適に分離される。
【0247】
モノクローナル抗体はまた、米国特許第4,816,567号に記載のもの、及び上記に記載されるようなものなどの組換えDNA法によって作製され得る。モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することが可能であるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離され、配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましい供給源としての役割を果たす。単離されると、DNAは、発現ベクターの中に配置され得、これらは次いで、そのような組換え宿主細胞内でモノクローナル抗体を合成するために、E.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または別様に免疫グロブリンタンパク質を産生しない骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトされる。抗体をコードするDNAの細菌内の組換え発現についての概説記事としては、Skerra et al.,Curr.Opinion in Immunol.,5:256-262(1993)、及びPliickthun,Immunol.Revs.130:151-188(1992)が挙げられる。
【0248】
さらなる実施形態では、抗体は、McCafferty et al.,Nature,348:552-554(1990).Clackson et al.,Nature,352:624-628(1991)、及びMarks et al.,J.Mol.Biol.,222:581-597(1991)に記載の技法を使用して生成される抗体ファージライブラリから単離されることができる。後続の出版物は、鎖シャッフリングによる高親和性(nM範囲)ヒト抗体の産生(Marks et al.,Bio/Technology,10:779-783(1992))、ならびに非常に大きなファージライブラリを構築するための方略としての組み合わせ感染及びインビボ組換え(Waterhouse et al.,Nucl.Acids Res.,21:2265-2266(1993))を記載している。したがって、これらの技法は、モノクローナル抗体の単離のための従来的なモノクローナル抗体ハイブリドーマ技法の実行可能な代替である。
【0249】
DNAは、例えば、コード配列を置換することによって(米国特許第4,816,567号、Morrison,et al.,Proc.Natl Acad.Sci.USA,81:6851(1984)を参照のこと)、または非免疫グロブリンポリペプチドのためのコード配列のすべてもしくは一部をコード配列に共有結合させることによって、修飾され得る。そのような非免疫グロブリンポリペプチドは、抗原に対する特異性を有する1つの抗原結合部位と、異なる抗原に対する特異性を有する別の抗原結合部位とを含む、キメラ二価抗体を作成するために置換されることができる。
【0250】
キメラまたはハイブリッド抗体はまた、架橋剤を伴うものを含む、合成タンパク質化学における既知の方法を使用して、インビトロで調製され得る。例えば、免疫毒素が、ジスルフィド交換反応を使用して、またはチオエーテル結合を形成することによって構築され得る。この目的のための好適な試薬の例としては、イミノチオレート及びメチル-4-メルカプトブチルイミデートが挙げられる。
【0251】
原核細胞における組換え産生
本開示の抗体をコードするポリ核酸配列は、標準的な組換え技法を使用して取得されることができる。所望のポリ核酸配列は、ハイブリドーマ細胞などの抗体産生細胞から単離され、配列決定され得る。代替として、ポリヌクレオチドは、ヌクレオチドシンセサイザーまたはPCR技法を使用して合成されることができる。取得されると、ポリペプチドをコードする配列は、原核宿主内で異種ポリヌクレオチドを複製及び発現することが可能な組換えベクターに挿入される。当該技術分野で利用可能かつ既知である多くのベクターが、本開示の目的のために使用されることができる。適切なベクターの選択は、主に、ベクターに挿入される核酸及びベクターで形質転換される特定の宿主細胞のサイズに依存するであろう。各ベクターは、その機能(異種ポリヌクレオチドの増幅もしくは発現、またはその両方)及びそれが存在する特定の宿主細胞とのその適合性に応じて、種々の成分を含有する。ベクター成分としては、一般に、複製起点、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位(RBS)、シグナル配列、異種核酸挿入物、及び転写終結配列が挙げられるが、これらに限定されない。
【0252】
一般に、宿主細胞と適合する種に由来するレプリコン及び制御配列を含有するプラスミドベクターが、これらの宿主に関連して使用される。ベクターは、通常、複製部位、ならびに形質転換細胞において表現型選択を提供することが可能であるマーキング配列を担持する。例えば、E.coliは、典型的には、E.coli種に由来するプラスミドである、pBR322を使用して形質転換される。特定の抗体の発現に使用されるpBR322誘導体の例は、Carter et al.の米国特許第5,648,237号に記載されている。
【0253】
加えて、宿主微生物と適合するレプリコン及び制御配列を含有するファージベクターが、これらの宿主に関連して形質転換ベクターとして使用されることができる。例えば、GEM(商標)-11などのバクテリオファージが、E.coli LE392などの感受性宿主細胞を形質転換するために使用され得る組換えベクターを作製する際に利用され得る。
【0254】
本出願の発現ベクターは、ポリペプチド成分のそれぞれをコードする、2つ以上のプロモーター・シストロン対を含み得る。プロモーターは、シストロンの発現を変調する、シストロンの上流(5’)に位置する非翻訳調節配列である。原核生物プロモーターは、典型的には、誘導性及び構成性の2つのクラスに分類される。誘導性プロモーターは、培養条件の変化、例えば、栄養素の存在もしくは不在、または温度の変化に応答して、その制御下にあるシストロンの増加したレベルの転写を開始するプロモーターである。
【0255】
種々の潜在的な宿主細胞によって認識される多数のプロモーターが周知である。選択されたプロモーターは、制限酵素消化を介して源DNAからプロモーターを除去し、単離されたプロモーター配列を本出願のベクターに挿入することによって、本抗体をコードするシストロンDNAに操作可能に連結されることができる。天然プロモーター配列及び多くの異種プロモーターの両方が、標的遺伝子の増幅及び/または発現を指示するために使用され得る。いくつかの実施形態では、異種プロモーターは、天然標的ポリペプチドプロモーターと比較して、発現された標的遺伝子のさらなる転写及びより高い収率を一般的に可能にするため、利用される。
【0256】
原核宿主とともに使用するために好適なプロモーターとしては、PhoAプロモーター、-ガラクタマーゼ及びラクトースプロモーターシステム、トリプトファン(trp)プロモーターシステム、ならびにtacまたはtrcプロモーターなどのハイブリッドプロモーターが挙げられる。しかしながら、細菌において機能的である他のプロモーター(他の既知の細菌またはファージプロモーター等)も同様に好適である。それらの核酸配列が、公開されており、それによって、当業者が、任意の要求される制限部位を供給するためにリンカーまたはアダプターを使用して、標的ペプチドをコードするシストロンにそれらを操作可能にライゲーションすることを可能にする(Siebenlist et al.Cell 20:269(1980))。
【0257】
一態様では、組換えベクター内の各シストロンは、膜にわたる発現されたポリペプチドの転座を指示する分泌シグナル配列成分を含む。一般に、シグナル配列は、ベクターの成分であり得るか、またはベクターに挿入される標的ポリペプチドDNAの一部であり得る。本発明の目的のために選択されるシグナル配列は、宿主細胞によって認識及び処理される(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断されるものであるべきである。異種ポリペプチドに天然に存在するシグナル配列を認識及び処理しない原核宿主細胞について、シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、Ipp、または熱安定性エンテロトキシンII(STII)リーダー、LamB、PhoE、PelB、OmpA、及びMBPからなる群から選択される、原核シグナル配列によって置換されることができる。
【0258】
いくつかの実施形態では、本開示による抗体の産生は、宿主細胞の細胞質内で生じ得、したがって、各シストロン内の分泌シグナル配列の存在を要求しない。ある特定の宿主株(例えば、E.coli trxB-株)は、ジスルフィド結合形成に有利な細胞質条件を提供し、それによって、発現されたタンパク質サブユニットの適切な折り畳み及び集合を可能にする。
【0259】
本開示の抗体を発現するために好適な原核宿主細胞としては、グラム陰性またはグラム陽性生物などのArchaebacteria及びEubacteriaが挙げられる。有用な細菌の例としては、Escherichia(例えば、E.coli)、Bacilli(例えば、B.subtilis)、Enterobacteria、Pseudomonas種(例えば、P.aeruginosa)、Salmonella typhimurium、Serratia marcescans、Klebsiella、Proteus、Shigella、Rhizobia、Vitreoscilla、またはParacoccusが挙げられる。いくつかの実施形態では、グラム陰性細胞が使用される。一実施形態では、E.coli細胞が、宿主として使用される。E.coli株の例としては、株W3110(Bachmann,Cellular and Molecular Biology,vol.2 (Washington,D.C.:American Society for Microbiology,1987),pp.1190-1219;ATCC Deposit No.27,325)、及び遺伝子型W3110 AfhuA(AtonA)ptr3 lac Iq lacL8 AompT A(nmpc-fepE)degP41 kanRを有する株33D3(米国特許第5,639,635号)を含むその誘導体を含む。E.coli 294(ATCC 31、446)、E.coli B、E.coli 1776(ATCC 31、537)、及びE.coli RV308(ATCC 31、608)などの他の株及びそれらの誘導体もまた、好適である。これらの例は、限定的ではなく、例証的である。定義された遺伝子型を有する上述の細菌のうちのいずれかの誘導体を構築するための方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、Bass et al.,Proteins,8:309-314(1990)に記載されている。一般に、細菌の細胞内のレプリコンの複製可能性を考慮して、適切な細菌を選択する必要がある。例えば、E.coli、Serratia、またはSalmonella種は、pBR322、pBR325、pACYC177、またはpKN410などの周知のプラスミドがレプリコンを供給するために使用されるときに、宿主として好適に使用されることができる。
【0260】
典型的には、宿主細胞は、最小量のタンパク質分解酵素を分泌するべきであり、追加のプロテアーゼ阻害剤が、望ましくは細胞培養物に組み込まれ得る。
【0261】
宿主細胞は、上記に記載の発現ベクターで形質転換され、プロモーターを誘導する、形質転換体を選択する、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適宜に修飾された従来の栄養培地内で培養される。形質転換とは、DNAが、染色体外要素として、または染色体必須要素によってのいずれかで複製可能であるように、DNAを原核宿主に導入することを意味する。使用される宿主細胞に応じて、形質転換が、そのような細胞に適切な標準的な技法を使用して行われる。塩化カルシウムを採用するカルシウム処理は、一般に、実質的な細胞壁障壁を含有する細菌細胞に使用される。形質転換のための別の方法は、ポリエチレングリコール/DMSOを採用する。使用されるさらに別の技法は、エレクトロポレーションである。
【0262】
本出願の抗体を産生するために使用される原核細胞は、当該技術分野で既知であり、選択された宿主細胞の培養のために好適である培地で増殖される。好適な培地の例としては、必要な補助剤を加えたルリアブロス(LB)が挙げられる。いくつかの実施形態では、培地はまた、発現ベクターを含有する原核細胞の成長を選択的に可能にするために、発現ベクターの構築に基づいて選択される選択剤も含有する。例えば、アンピシリンが、アンピシリン耐性遺伝子を発現する細胞の増殖のために培地に添加される。
【0263】
炭素、窒素、及び無機リン酸塩源以外の任意の必要な補助剤もまた、単独で、または複合窒素源などの別の補助剤もしくは培地との混合物として導入される適切な濃度で含まれ得る。任意に、培養培地は、グルタチオン、システイン、シスタミン、チオグリコール酸塩、ジチオエリスリトール、及びジチオスレイトールからなる群から選択される1つ以上の還元剤を含有し得る。原核宿主細胞は、好適な温度及びpHにおいて培養される。
【0264】
誘導性プロモーターが本出願の発現ベクターで使用される場合、タンパク質発現が、プロモーターの活性化のために好適な条件下で誘導される。本出願の一態様では、PhoAプロモーターが、ポリペプチドの転写を制御するために使用される。したがって、形質転換された宿主細胞は、誘導のためにリン酸制限培地で培養される。好ましくは、リン酸制限培地は、C.R.A.P培地である(例えば、Simmons et al.,J.Immunol.Methods 263:133-147(2002)を参照のこと)。種々の他の誘導剤が、当該技術分野で既知であるように、採用されるベクター構築物に従って使用され得る。
【0265】
本開示の発現された抗体は、宿主細胞のペリプラズムの中に分泌され、そこから回収される。タンパク質回収は、典型的には、一般に、浸透圧ショック、超音波処理、または溶解などの手段によって、微生物を破壊することを伴う。細胞が破壊されると、細胞残渣または細胞全体が、遠心分離または濾過によって除去され得る。タンパク質は、例えば、親和性樹脂クロマトグラフィーによってさらに精製され得る。代替として、タンパク質は、培養培地の中に輸送され、その中で単離されることができる。細胞は、培養物から除去され得、培養上清は、産生されるタンパク質のさらなる精製のために濾過及び濃縮され得る。発現されたポリペプチドは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)及びウェスタンブロットアッセイなどの一般的に知られている方法を使用して、さらに単離及び同定されることができる。
【0266】
代替として、タンパク質産生は、発酵プロセスによって大量に行われる。様々な大規模供給バッチ発酵手順が、組換えタンパク質の産生のために利用可能である。本開示の抗体の産生収率及び品質を改善するために、様々な発酵条件が、修正されることができる。例えば、シャペロンタンパク質は、細菌宿主細胞で産生される異種タンパク質の適切な折り畳み及び溶解性を促進することが実証されている。Chen et al.J Bio Chem 274:19601-19605(1999)、米国特許第6,083,715号、米国特許第6,027,888号、Bothmann and Pluckthun,J.Biol.Chem.275:17100-17105(2000)、Ramm and Pluckthun,J.Biol.Chem.275:17106-17113(2000)、Arie et al.,Mol.Microbiol.39:199-210(2001)。
【0267】
発現された異種タンパク質(特に、タンパク質分解感受性であるもの)のタンパク質分解を最小限化するために、タンパク質分解酵素が欠損したある特定の宿主株が、例えば、米国特許第5,264,365号、米国特許第5,508,192号、Hara et al.,Microbial Drug Resistance,2:63-72(1996)に記載されるように、本発明に使用されることができる。タンパク質分解酵素が欠損し、1つ以上のシャペロンタンパク質を過剰発現するプラスミドで形質転換されたE.coli株が、本出願の抗体をコードする発現系で宿主細胞として使用され得る。
【0268】
本明細書で産生される抗体は、さらなるアッセイ及び使用のために実質的に均質である調製物を取得するために、さらに精製されることができる。当該技術分野で既知の標準的なタンパク質精製方法が、採用されることができる。以下の手順は、好適な精製手順、すなわち、免疫親和性またはイオン交換カラム上の分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上またはDEAEなどの陽イオン交換樹脂上のクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、硫酸アンモニウム沈殿、及び、例えば、Sephadex G-75を使用したゲル濾過の例示である。固相上に固定化されたタンパク質Aが、例えば、いくつかの実施形態では、本開示の結合分子の免疫親和性精製のために使用されることができる。タンパク質Aが固定化される固相は、好ましくは、ガラスまたはシリカ表面を含むカラム、より好ましくは、制御された細孔ガラスカラムまたはケイ酸カラムである。いくつかの実施形態では、カラムは、汚染物質の非特異的付着を防止しようとして、グリセロールなどの試薬でコーティングされている。固相は、次いで、固相に非特異的に結合された汚染物質を除去するために洗浄される。最後に、目的の抗体は、溶出によって固相から回収される。
【0269】
真核細胞内の組換え産生
真核生物発現について、ベクター成分は、一般に、以下のうちの1つ以上、すなわち、シグナル配列、複製起点、1つ以上のマーカー遺伝子、及びエンハンサー要素、プロモーター、ならびに転写終結配列を含むが、これらに限定されない。
【0270】
真核宿主で使用するためのベクターは、成熟タンパク質またはポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有するシグナル配列または他のポリペプチドをコードする挿入物であり得る。選択される異種シグナル配列は、好ましくは、宿主細胞によって認識及び処理される(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。哺乳類細胞発現では、哺乳類シグナル配列、ならびにウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルが、利用可能である。そのような前駆体領域のためのDNAは、リーディングフレーム内で本出願の抗体をコードするDNAにライゲーションされることができる。
【0271】
一般に、複製起点成分は、哺乳類発現ベクターには必要とされない(SV40起点は、典型的には、初期プロモーターを含有するというだけで使用され得る)。
【0272】
発現及びクローニングベクターは、選択可能なマーカーとも称される選択遺伝子を含有し得る。選択遺伝子は、抗生物質もしくは他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、もしくはテトラサイクリンへの耐性を付与するタンパク質をコードし、栄養要求欠乏を補完し、または複合培地から利用可能ではない重要な栄養素を供給し得る。
【0273】
選択スキームの一例は、宿主細胞の増殖を阻止するための薬物を利用する。異種遺伝子で正常に形質転換されている細胞は、薬剤耐性を付与するタンパク質を産生し、したがって、選択レジメンを生き延びる。そのような優性選択の例は、ネオマイシン、マイコフェノール酸、及びハイグロマイシンという薬物を使用する。
【0274】
哺乳類細胞のための好適な選択可能なマーカーの別の例は、本出願の抗体をコードする核酸を取り込む能力がある細胞の同定を可能にするものである。例えば、DHFR選択遺伝子で形質転換された細胞は、最初に、DHFRの競合拮抗剤であるメトトレキサート(Mtx)を含有する培地内で形質転換体のすべてを培養することによって同定される。野生型DHFRが採用されるときの例示的な適切な宿主細胞は、DHFR活性が欠損したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である。代替として、DNA配列をコードするポリペプチド、野生型DHFRタンパク質、及びアミノグリコシド3’-ホスホトランスフェラーゼ(APH)などの別の選択マーカーと形質転換または共形質転換された宿主細胞(特に、内因性DHFRを含有する野生型宿主)が、アミノグリコシド系抗生物質などの選択マーカーの選択剤を含有する培地内の細胞増殖によって選択されることができる。
【0275】
発現及びクローニングベクターは、通常、宿主生物によって認識され、所望のポリペプチド配列をコードする核酸に操作可能に連結されるプロモーターを含有する。真核性遺伝子は、転写が開始される部位から約25~30個の塩基の上流に位置するAT豊富領域を有する。多くの遺伝子の転写の開始から70~80個の塩基の上流で見出される別の配列が、含まれ得る。ほとんどの真核生物の3’末端は、コード配列の3’末端へのポリA尾部の付加のためのシグナルであり得る。これらの配列のすべては、真核生物発現ベクターに挿入され得る。
【0276】
哺乳類宿主細胞内のベクターからのポリペプチド転写は、プロモーターが宿主細胞系と適合するという前提で、例えば、ポリオウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2など)、ウシ乳頭腫ウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス及びシミアンウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムからのプロモーターによって、異種哺乳類プロモーター、例えば、アクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーターから、熱ショックプロモーターから、制御されることができる。
【0277】
高等真核生物による本開示の抗体をコードするDNAの転写は、多くの場合、エンハンサー配列をベクターに挿入することによって増加される。多くのエンハンサー配列が、現在、哺乳類遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、及びインスリン)から既知である。例としては、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(bp100~270)、サイトメガロウイルス早期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。真核生物プロモータの活性化のための要素を増強することについては、Yaniv,Nature 297:17-18(1982)も参照のこと。エンハンサーは、ポリペプチドコード配列に対して5’または3’位においてベクターにスプライシングされ得るが、好ましくは、プロモーターから5’の部位に位置する。
【0278】
真核宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、または他の多細胞生物由来の有核細胞)で使用される発現ベクターは、転写の終結のため、及びmRNAを安定させるために必要な配列も含有する。そのような配列は、真核生物またはウイルスDNAもしくはcDNAの5’、時として、3’の非翻訳領域から一般的に利用可能である。これらの領域は、ポリペプチドをコードするmRNAの非翻訳部分においてポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含有する。1つの有用な転写終結成分は、ウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。
【0279】
本明細書のベクター内でDNAをクローニングまたは発現するために好適な宿主細胞は、脊椎動物宿主細胞を含む、本明細書に記載の高等真核生物細胞を含む。培養(組織培養)における脊椎動物細胞の繁殖は、日常的な手順となっている。有用な哺乳類宿主細胞株の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7、ATCC CRL 1651)、ヒト胚腎臓株(懸濁培養物内の増殖のためにサブクローン化された293または293細胞、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977))、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10)、チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO、Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))、マウスセルトリ細胞(TM4,Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980))、サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2)、イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34)、バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442)、ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75)、ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065)、マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL 51)、TR1細胞(Mather et al.Annals,N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982))、MRC5細胞、FS4細胞、及びヒト肝臓癌株(Hep G2)である。
【0280】
宿主細胞は、抗体産生のための上記に記載の発現またはクローニングベクターで形質転換され、プロモーターを誘導する、形質転換体を選択する、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適宜に修飾された従来の栄養培地内で培養される。
【0281】
本出願の抗体を産生するために使用される宿主細胞は、種々の培地で培養され得る。Ham’s F10(Sigma)、最小必須培地((MEM)、(Sigma)、RPMI-1640(Sigma)、及びDulbeccoの修飾イーグル培地((DMEM)、Sigma)などの市販の培地が、宿主細胞を培養するために好適である。加えて、Ham et al.,Meth.Enz.58:44(1979)、Barnes et al.,Anal.Biochem.102:255(1980)、米国特許第4,767,704号、同第4,657,866号、同第4,927,762号、同第4,560,655号、もしくは同第5,122,469号、WO 90/03430、WO 87/00195、または米国特許再発行30,985に記載の培地のうちのいずれかが、宿主細胞のための培養培地として使用され得る。これらの培地のうちのいずれかは、必要に応じて、ホルモン及び/または他の成長因子(インスリン、トランスフェリン、もしくは表皮成長因子など)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びリン酸塩など)、緩衝液(HEPESなど)、ヌクレオチド(アデノシン及びチミジンなど)、抗生物質(GENTAMYCIN(商標)薬物など)、微量元素(マイクロモル範囲内の最終濃度で通常存在する無機化合物として定義される)、ならびにグルコースまたは同等のエネルギー源で補充され得る。任意の他の必要な補助剤もまた、当業者に既知であろう適切な濃度で含まれ得る。温度、pH、及び同等物などの培養条件は、発現のために選択された宿主細胞とともに以前に使用されたものであり、当業者に明白であろう。
【0282】
組換え技法を使用するとき、抗体は、ペリプラズム空間内で細胞内に産生されるか、または培地の中に直接分泌されることができる。抗体が細胞内に産生される場合、第1のステップとして、宿主細胞または溶解断片のいずれかである粒子状残渣が、例えば、遠心分離または限外濾過によって除去される。抗体が培地の中に分泌される場合、そのような発現系からの上清は、一般に、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを使用して、最初に濃縮される。PMSFなどのプロテアーゼ阻害剤が、タンパク質分解を阻害するために前述のステップのうちのいずれかに含まれ得、抗生物質が、偶発的汚染物質の増殖を防止するために含まれ得る。
【0283】
細胞から調製されるタンパク質組成物は、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、及び親和性クロマトグラフィーを使用して精製されることができ、親和性クロマトグラフィーが好ましい精製技法である。親和性リガンドが付着しているマトリックスは、ほとんどの場合、アガロースであるが、他のマトリックスが利用可能である。制御された細孔ガラスまたはポリ(スチレン-ジビニル)ベンゼンなどの機械的に安定したマトリックスは、アガロースで達成され得るよりも速い流速及び短い処理時間を可能にする。イオン交換カラム上の分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上のクロマトグラフィー、陰イオンまたは陽イオン交換樹脂上のヘパリンSEPHAROSE(商標)クロマトグラフィー(ポリアスパラギン酸カラムなど)、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、及び硫酸アンモニウム沈殿などのタンパク質精製のための他の技術もまた、回収される抗体に応じて利用可能である。任意の予備精製ステップ(複数可)に続いて、目的の抗体及び汚染物質を含む混合物は、低pHの疎水性相互作用クロマトグラフィーを受け得る。
【0284】
5.2.7.単一ドメイン抗体を含む結合分子
別の態様では、本発明で提供されるものは、本明細書で提供される単一ドメイン抗体(例えば、Claudin18.2に対するVHHドメイン)を含む結合分子である。以下の第5.3節に記載されるように本明細書で提供されるキメラ抗原受容体(CAR)に加えて、いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるClaudin18.2に対する単一ドメイン抗体は、他の結合分子の一部である。本開示の例示的な結合分子が、本明細書に記載される。
【0285】
融合タンパク質
様々な実施形態では、本明細書で提供される単一ドメイン抗体は、別の薬剤、例えば、タンパク質ベースの実体に遺伝的に融合または化学的にコンジュゲートされることができる。単一ドメイン抗体は、薬剤に化学的にコンジュゲートされるか、または別様に薬剤に非共有結合的にコンジュゲートされ得る。薬剤は、ペプチドまたは抗体(もしくはその断片)であり得る。
【0286】
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、融合タンパク質を生成するために、異種タンパク質またはポリペプチド(もしくはその断片、例えば、約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450、または約500個のアミノ酸、もしくは500個超のアミノ酸のポリペプチド)に組換え融合または化学的にコンジュゲートされる(共有結合もしくは非共有結合コンジュゲーション)単一ドメイン抗体(例えば、VHHドメイン)、及びその使用である。具体的には、本明細書で提供されるものは、本明細書で提供される単一ドメイン抗体の抗原結合断片(例えば、CDR1、CDR2、及び/またはCDR3)と、異種タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドとを含む、融合タンパク質である。
【0287】
さらに、本明細書で提供される抗体は、精製を促進するために、ペプチドなどのマーカーまたは「タグ」配列に融合されることができる。特定の実施形態では、マーカーまたはタグアミノ酸配列は、ヘキサ-ヒスチジンペプチド、ヘマグルチニン(「HA」)タグ、及び「FLAG」タグである。
【0288】
(ポリペプチドを含む)部分を抗体に融合またはコンジュゲートするための方法が、既知である(例えば、Arnon et al.,Monoclonal Antibodies for Immunotargeting of Drugs in Cancer Therapy,in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy 243-56(Reisfeld et al.eds.,1985)、Hellstrom et al.,Antibodies for Drug Delivery,in Controlled Drug Delivery 623-53 (Robinson et al.eds.,2d ed.1987)、Thorpe,Antibody Carriers of Cytotoxic Agents in Cancer Therapy:A Review,in Monoclonal Antibodies:Biological and Clinical Applications 475-506(Pinchera et al.eds.,1985)、Analysis,Results,and Future Prospective of the Therapeutic Use of Radiolabeled Antibody in Cancer Therapy,in Monoclonal Antibodies for Cancer Detection and Therapy 303-16(Baldwin et al.eds.,1985)、Thorpe et al.,Immunol.Rev.62:119-58(1982)、米国特許第5,336,603号、同第5,622,929号、同第5,359,046号、同第5,349,053号、同第5,447,851号、同第5,723,125号、同第5,783,181号、同第5,908,626号、同第5,844,095号、及び同第5,112,946号、EP 307,434、EP 367,166、EP 394,827、PCT公開WO 91/06570、WO 96/04388、WO 96/22024、WO 97/34631、及びWO 99/04813、Ashkenazi et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:10535-39(1991)、Traunecker et al.,Nature,331:84-86(1988)、Zheng et al.,J.Immunol.154:5590-600(1995)、ならびにVil et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:11337-41(1992)を参照のこと)。
【0289】
融合タンパク質は、例えば、遺伝子シャッフリング、モチーフシャッフリング、エクソンシャッフリング、及び/またはコドンシャッフリング(集合的に「DNAシャッフリング」と称される)の技法を通して生成され得る。DNAシャッフリングは、例えば、より高い親和性及びより低い解離速度を伴う抗体を含む、本明細書で提供されるような単一ドメイン抗体の活性を改変するために採用され得る(例えば、米国特許第5,605,793号、同第5,811,238号、同第5,830,721号、同第5,834,252号、及び同第5,837,458号、Curr.Opinion Biotechnol.8:724-33(1997)、Harayama,Trends Biotechnol.16(2):76-82(1998)、Hansson et al.,J.Mol.Biol.287:265-76(1999)、ならびにLorenzo and Blasco,Biotechniques 24(2):308-13(1998)を参照のこと)。抗体、またはコードされた抗体は、組換えの前に、エラープローンPCR、ランダムヌクレオチド挿入、または他の方法によるランダム変異誘発を受けることによって改変され得る。本明細書で提供される抗体をコードするポリヌクレオチドは、1つ以上の異種分子の1つ以上の成分、モチーフ、切片、部分、ドメイン、断片等と組換えられ得る。
【0290】
いくつかの実施形態では、本発明で提供される単一ドメイン抗体(例えば、VHHドメイン)が、抗体ヘテロ複合体を形成するために第2の抗体にコンジュゲートされる。
【0291】
様々な実施形態では、単一ドメイン抗体は、薬剤に遺伝的に融合される。遺伝子融合は、単一ドメイン抗体と薬剤との間にリンカー(例えば、ポリペプチド)を配置することによって達成され得る。リンカーは、可撓性リンカーであり得る。
【0292】
様々な実施形態では、単一ドメイン抗体は、単一ドメイン抗体を治療分子に連結するヒンジ領域を用いて、治療分子に遺伝的にコンジュゲートされる。
【0293】
また、本明細書で提供される様々な融合タンパク質を作製するための方法も、本明細書で提供される。上記の第5.2.6節に記載の様々な方法もまた、本明細書で提供される融合タンパク質を作製するために利用され得る。
【0294】
具体的な実施形態では、本明細書で提供される融合タンパク質は、組換え発現される。本明細書で提供される融合タンパク質の組換え発現は、タンパク質またはその断片をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を要求し得る。本明細書で提供されるタンパク質またはその断片をコードするポリヌクレオチドが取得されると、分子の産生のためのベクターは、当該技術分野で周知の技法を使用する組換えDNA技術によって産生され得る。したがって、コードヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドを発現させることによってタンパク質を調製するための方法が、本明細書に記載される。当業者に周知である方法が、コード配列ならびに適切な転写及び翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築するために使用されることができる。これらの方法としては、例えば、インビトロ組換えDNA技法、合成技法、及びインビボ遺伝子組換えが挙げられる。また、本明細書で提供される融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列、またはその断片、もしくはプロモーターに操作可能に連結されたCDRを含む、複製可能なベクターも提供される。
【0295】
発現ベクターは、従来の技法によって宿主細胞に移入されることができ、次いで、トランスフェクトされた細胞は、本明細書で提供される融合タンパク質を産生するために、従来の技法によって培養される。したがって、また、本明細書で提供される融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞、または異種プロモーターに操作可能に連結されたその断片も本明細書で提供される。
【0296】
種々の宿主発現ベクター系が、本明細書で提供される融合タンパク質を発現するために利用され得る。そのような宿主発現系は、目的のコード配列が産生され、続いて、精製され得る、ビヒクルを表すが、適切なヌクレオチドコーディング配列で形質転換またはトランスフェクトされたときに、本明細書で提供される融合タンパク質をインサイチュで発現し得る細胞も表す。これらには、コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、もしくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、E.coli及びB.subtilis)、コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、Saccharomyces Pichia)、コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)を感染された昆虫細胞系、組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV、タバコモザイクウイルス、TMV)を感染されたか、もしくはコード配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系、または哺乳類細胞のゲノム(例えば、メタロチオネインプロモーター)もしくは哺乳類ウイルス(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)に由来するプロモーターを含有する組換え発現構築物を含む哺乳類細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、NS0、及び3T3細胞)が含まれるが、これらに限定されない。特に、組換え抗体分子全体の発現のためのEscherichia coliなどの細菌細胞、または真核生物細胞が、組換え融合タンパク質の発現に使用されることができる。例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳類細胞は、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要な中間初期遺伝子プロモーター要素などのベクターと併せて、抗体またはその変異体のための有効な発現系である。具体的な実施形態では、本明細書で提供される融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、または組織特異的プロモーターによって調節される。
【0297】
細菌系では、いくつかの発現ベクターは、発現されている融合タンパク質のために意図された用途に応じて、有利に選択され得る。例えば、大量のそのような融合タンパク質が産生されるとき、融合タンパク質の薬学的組成物の生成のために、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を指示するベクターが望ましくあり得る。そのようなベクターとしては、コード配列が、融合タンパク質が産生されるようにlac Zコード領域を伴うフレーム内のベクターに個別にライゲーションされ得る、E.coli発現ベクターpUR278(Ruther et al.,EMBO 12:1791(1983))、pINベクター(Inouye&Inouye,Nucleic Acids Res.13:3101-3109(1985)、Van Heeke&Schuster,J.Biol.Chem.24:5503-5509(1989))、及び同等物が挙げられるが、これらに限定されない。pGEXベクターもまた、グルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)を伴う融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現するために使用され得る。一般に、そのような融合タンパク質は、可溶性であり、マトリックスグルタチオンアガロースビーズへの吸着及び結合、続いて、遊離グルタチオンの存在下での溶出によって、溶解細胞から容易に精製されることができる。pGEXベクターは、クローン化された標的遺伝子産物がGST部分から放出され得るように、トロンビンまたは第Xa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計される。
【0298】
哺乳類宿主細胞では、いくつかのウイルスベースの発現系が利用され得る。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合、目的のコード配列は、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーター及び三部分リーダー配列にライゲーションされ得る。このキメラ遺伝子は、次いで、インビトロまたはインビボ組換えによってアデノウイルスゲノムに挿入され得る。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域ElまたはE3)内の挿入は、生存可能であり、感染した宿主において融合タンパク質を発現することが可能である組換えウイルスをもたらすであろう(例えば、Logan&Shenk,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8 1:355-359(1984)を参照のこと)。特異的開始シグナルもまた、挿入されたコード配列の効率的な翻訳のために要求され得る。これらのシグナルには、ATG開始コドン及び隣接配列が含まれる。さらに、開始コドンは、挿入物全体の翻訳を確実にするために、所望のコード配列のリーディングフレームと同相でなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナル及び開始コドンは、天然及び合成の両方の種々の起源のものであり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサー要素、転写ターミネーターなどを含むことによって増強され得る(例えば、Bittner et al.,Methods in Enzymol.153:51-544(1987)を参照のこと)。
【0299】
加えて、挿入された配列の発現を変調するか、または所望される特異的様式で遺伝子産物を修飾及び処理する、宿主細胞株が選択され得る。タンパク質産物のそのような修飾(例えば、グリコシル化)及び処理(例えば、切断)は、タンパク質の機能にとって重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質及び遺伝子産物の翻訳後処理及び修飾のための特徴的かつ特異的な機構を有する。適切な細胞株または宿主系が、発現される外来タンパク質の正しい修飾及び処理を確実にするために選択されることができる。この目的のために、一次転写産物の適切な処理、グリコシル化、及び遺伝子産物のリン酸化のための細胞機構を保有する真核宿主細胞が、使用され得る。そのような哺乳類宿主細胞としては、CHO、VERY、BHK、Hela、COS、MDCK、293、3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O及びT47D、NS0(任意の免疫グロブリン鎖を内因的に産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O、ならびにHsS78Bst細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0300】
組換えタンパク質の長期的な高収率産生のために、安定した発現が利用されることができる。例えば、融合タンパク質を安定的に発現する細胞株が、操作され得る。ウイルス複製起点を含有する発現ベクターを使用するのではなく、宿主細胞は、適切な発現制御要素(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位等)及び選択可能なマーカーによって制御されるDNAで形質転換されることができる。外来DNAの導入に続いて、遺伝子操作された細胞は、濃縮培地で1~2日間増殖させられ得、次いで、選択培地に切り替えられる。組換えプラスミド中の選択可能なマーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞が、プラスミドをそれらの染色体に安定的に組み込み、増殖して、順にクローン化され、細胞株に増殖され得る増殖巣を形成することを可能にする。この方法は、有利には、融合タンパク質を発現する細胞株を操作するために使用され得る。そのような遺伝子操作された細胞株は、結合分子と直接または間接的に相互作用する組成物のスクリーニング及び評価において特に有用であり得る。
【0301】
単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler et al.,Cell 11:223(1977))、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska&Szybalski,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:202(1992))、及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼLowy et al.,Cell 22:8-17(1980))遺伝子が、それぞれ、tk-、hgprt-、またはaprt -細胞で採用されることができる。また、代謝拮抗剤耐性が、以下の遺伝子、すなわち、メトトレキサートに対する耐性を付与するdhfr(Wigler et al.,Natl.Acad.Sci.USA 77:357(1980);O’Hare et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1527(1981))、ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(Mulligan&Berg,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072(1981))、アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo(Wu and Wu,Biotherapy 3:87-95(1991)、Tolstoshev,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573-596(1993)、Mulligan,Science 260:926-932(1993)、及びMorgan and Anderson,Ann.Rev.Biochem.62:191-217(1993)、May,TIB TECH 11(5):l55-2 15(1993))、及びハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro(Santerre et al.,Gene 30:147(1984))のための選択の基礎として使用されることができる。組換えDNA技術の分野で一般的に既知である方法は、所望の組換えクローンを選択するために日常的に適用され得、そのような方法は、例えば、参照によりそれらの全体で本明細書に組み込まれる、Ausubel et al.(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,NY(1993)、Kriegler,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY(1990)、及びin Chapters 12 and 13,Dracopoli et al.(eds.),Current Protocols in Human Genetics,John Wiley&Sons,NY(1994)、Colberre-Garapin et al.,J.Mol.Biol.150:1(1981)に記載されている。
【0302】
融合タンパク質の発現レベルは、ベクター増幅によって増加させることができる(概説については、Bebbington and Hentschel,The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning,Vol.3 (Academic Press,New York,1987)を参照のこと)。融合タンパク質を発現するベクター系内のマーカーが増幅可能であるとき、宿主細胞の培養に存在する阻害剤のレベルの増加は、マーカー遺伝子のコピー数を増加させるであろう。増幅領域が融合タンパク質遺伝子と会合しているため、融合タンパク質の産生も増加するであろう(Crouse et al.,Mol.Cell.Biol.3:257(1983)を参照のこと)。
【0303】
宿主細胞は、本明細書で提供される複数の発現ベクターと同時トランスフェクトされ得る。ベクターは、それぞれのコードポリペプチドの等しい発現を可能にする、同一の選択可能なマーカーを含有し得る。代替として、複数のポリペプチドをコードし、それらを発現することが可能である、単一のベクターが使用され得る。コード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含み得る。
【0304】
本明細書で提供される融合タンパク質が組換え発現によって産生されると、それは、ポリペプチド(例えば、免疫グロブリン分子)の精製のための当該技術分野で既知である任意の方法によって、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特に、タンパク質Aの後の特異的抗原に対する親和性による、サイズ調整カラムクロマトグラフィー、及びカッパ選択親和性クロマトグラフィー)、遠心分離、差分溶解性、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準的な技法によって精製され得る。さらに、本明細書で提供される融合タンパク質分子は、精製を容易にするために、本明細書に記載される、または別様に当該技術分野で既知である異種ポリペプチド配列に融合されることができる。
【0305】
免疫複合体
いくつかの実施形態では、本開示はまた、化学療法剤もしくは薬、成長阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物、もしくは動物起源の酵素活性毒素、またはそれらの断片)、または放射性同位体などの1つ以上の細胞傷害性剤にコンジュゲートされた本明細書に記載の抗体(抗Claudin18.2単一ドメイン抗体)のうちのいずれかを含む、免疫複合体も提供する。
【0306】
いくつかの実施形態では、免疫複合体は、抗体が、マイタンシノイド(米国特許第5,208,020、同第5,416,064号、及び欧州特許第EP 0 425 235 B1号を参照のこと)、モノメチルアウリスタチン薬物部分DE及びDF(MMAE及びMMAF)などのアウリスタチン(米国特許第5,635,483号及び同第5,780,588号、ならびに同第7,498,298号を参照のこと)、ドラスタチン、カリケアマイシンまたはその誘導体(米国特許第5,712,374号、同第5,714,586号、同第5,739,116号、同第5,767,285号、同第5,770,701号、同第5,770,710号、同第5,773,001号、及び同第5,877,296号、Cancer Res.53:3336-3342(1993)、ならびにLode et al.,Cancer Res.58:2925-2928(1998)を参照のこと)、ダウノマイシンまたはドキソルビシンなどのアントラサイクリン(Kratz et al.,Current Med.Chem.13:477-523(2006)、Jeffrey et al.,Bioorganic&Med.Chem.Letters 16:358-362(2006)、Torgov et al.,Bioconj.Chem.16:717-721(2005)、Nagy et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:829-834(2000)、Dubowchik et al.,Bioorg.&Med.Chem.Letters 12:1529-1532(2002)、King et al.,J.Med.Chem.45:4336-4343(2002)、及び米国特許第6,630,579号を参照のこと)、メトトレキサート、ビンデシン、ドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセル、及びオルタタキセル等のタキサン、トリコテセン、ならびにCC1065を含むが、これらに限定されない、1つ以上の薬物にコンジュゲートされる、抗体・薬物複合体(ADC)である。
【0307】
いくつかの実施形態では、免疫複合体は、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、エキソトキシンA鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデカシンA鎖、α-サルシン、シナアブラギリタンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウタンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、ツルレイシ阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ阻害剤、ゲロニン、マイトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びトリコテセンを含むが、これらに限定されない、酵素活性毒素またはその断片にコンジュゲートされた本明細書に記載されるような抗体を含む。
【0308】
いくつかの実施形態では、免疫複合体は、放射性複合体を形成するように放射性原子にコンジュゲートされた本明細書に記載されるような抗体を含む。種々の放射性同位体が、放射性複合体の産生のために利用可能である。例は、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体を含む。放射性複合体が検出に使用されるとき、それは、シンチグラフ検査のための放射性原子、例えば、tc99mもしくはI123、または再びヨウ素123、ヨウ素131、インジウム111、フッ素19、炭素13、窒素15、酸素17、ガドリニウム、マンガン、もしくは鉄などの核磁気共鳴(NMR)映像法(磁気共鳴映像法、MRIとしても知られている)のためのスピン標識を含み得る。
【0309】
抗体及び細胞傷害性剤のコンジュゲートは、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、アジプイミド酸ジメチルHCl)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジルなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(トルエン2,6-ジイソシアネート)、及びビス-活性フルオレイン化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)等の種々の二官能性タンパク質結合剤を使用して作製され得る。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al.,Science 238:1098(1987)に記載されるように調製されることができる。炭素14で標識された1-イソチオシアネートベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、抗体への放射性ヌクレオチドのコンジュゲーションのための例示的なキレート剤である。WO94/11026を参照のこと。
【0310】
リンカーは、細胞内のコンジュゲートされた薬剤の放出を促進する「切断可能なリンカー」であり得るが、非切断可能なリンカーもまた、本明細書で企図される。本開示のコンジュゲートで使用するためのリンカーとしては、酸不安定性リンカー(例えば、ヒドラゾンリンカー)、ジスルフィド含有リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー(例えば、アミノ酸を含むペプチドリンカー、例えば、シトルリン・バリンなどのバリン及び/またはシトルリン、もしくはフェニルアラニン・リジン)、光解離性リンカー、ジメチルリンカー、チオエーテルリンカー、または多剤輸送体媒介耐性を回避するように設計された親水性リンカーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0311】
本明細書の免疫複合体またはADCは、(例えば、Pierce Biotechnology,Inc.,Rockford,IL.,U.S.Aから)市販されているBMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、及びスルホ-SMPB、ならびにSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート)を含むが、これらに限定されない。
【0312】
他の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、例えば、診断分子にコンジュゲートまたは組換え融合される。そのような診断及び検出は、例えば、抗体を、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼなどの様々な酵素、ストレプトアビジン/ビオチンまたはアビジン/ビオチンなどの補欠分子族、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、またはフィコエリトリンなどの蛍光物質、ルミノールなどの発光材料、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、またはアエクオリンなどであるが、これらに限定されない生物発光物質、225Ac-γ放出、Auger放出、β放出、α放出、またはポジトロン放出放射性同位体などの化学発光物質を含むが、これらに限定されない検出可能な物質に結合することによって、達成されることができる。
【0313】
5.3.キメラ抗原受容体
本出願の一態様は、sdAbまたはその抗原結合断片(例えば、VHHドメイン)などの本明細書に記載のClaudin18.2結合部分を含む細胞外抗原結合ドメインを含む、キメラ抗原受容体(CAR)を提供する。上記に記載の抗Claudin18.2 sdAbまたは抗原結合断片のうちのいずれか1つは、本明細書に記載のCARで使用されることができる。本VHHドメイン(すなわち、VHHベースのCAR)を含む例示的なCARが例示され、それらの優れた効果が、以下の第6節に記載されるように実証される。
【0314】
CARは、(a)抗Claudin18.2 sdAbまたはその抗原結合断片を含む細胞外抗原結合ドメインと、(b)膜貫通ドメインと、(c)細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、ラクダ科、キメラ、またはヒト化であり得る。いくつかの実施形態では、CARは、1つ以上の抗Claudin18.2 sdAbまたはその抗原結合断片を含む。各成分及び追加の領域が、以下により詳細に記載される。
【0315】
5.3.1.細胞外抗原結合ドメイン
本明細書に記載のCARの細胞外抗原結合ドメインは、1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のうちのいずれか1つなど)の単一ドメイン抗体を含む。単一ドメイン抗体は、ペプチド結合を介して、またはペプチドリンカーを介して相互に直接融合されることができる。
【0316】
単一ドメイン抗体
本開示のCARは、1つ以上の単一ドメイン抗体を含む、細胞外抗原結合ドメインを含む。sdAbは、同じまたは異なる起源のものであり得、同じまたは異なるサイズのものであり得る。例示的なsdAbとしては、重鎖のみ抗体(例えば、VHHまたはVNAR)からの重鎖可変ドメイン、軽鎖を天然に欠いている結合分子、従来の4鎖抗体に由来する単一ドメイン(VHまたはVLなど)、ヒト化重鎖のみ抗体、ヒト重鎖セグメントを発現するトランスジェニックマウスまたはラットによって産生されるヒト単一ドメイン抗体、ならびに抗体に由来するもの以外の操作されたドメイン及び単一ドメイン足場が挙げられるが、これらに限定されない。本開示で上記に記載の単一ドメイン抗体を含む、当該技術分野で既知である、または本開示によって開発された任意のsdAbが、本明細書に記載のCARを構築するために使用され得る。sdAbは、マウス、ラット、ヒト、ラクダ、ラマ、ヤツメウナギ、魚、サメ、ヤギ、ウサギ、及びウシを含むが、これらに限定されない任意の種に由来し得る。本明細書で企図される単一ドメイン抗体はまた、ラクダ科及びサメ以外の種由来の天然に存在する単一ドメイン抗体分子も含む。
【0317】
いくつかの実施形態では、sdAbは、軽鎖を欠いている重鎖抗体(本明細書では「重鎖のみ抗体」とも称される)として知られている天然に存在する単一ドメイン抗原結合分子に由来する。そのような単一ドメイン分子は、例えば、WO 94/04678及びHamers-Casterman,C.et al.,Nature 363:446-448(1993)に開示されている。明確にする理由のために、軽鎖を天然に欠いている重鎖分子に由来する可変ドメインは、本明細書では、それを4鎖免疫グロブリンの従来のVHと区別するためにVHHとして知られている。そのようなVHH分子は、ラクダ科種、例えば、ラクダ、ラマ、ビクーナ、ヒトコブラクダ、アルパカ、及びグアナコで生育される抗体に由来し得る。ラクダ科以外の他の種が、軽鎖を天然に欠いている重鎖分子を産生し得、そのようなVHHは、本出願の範囲内である。加えて、VHHのヒト化バージョンならびに他の修飾及び変異体も企図され、本開示の範囲内である。
【0318】
ラクダ科由来のVHH分子は、IgG分子よりも約10倍小さい。それらは、単一ポリペプチドであり、非常に安定しており、極度のpH及び温度条件に耐性を示すことができる。さらに、それらは、プロテアーゼ作用に耐性を示すことができ、従来の4鎖抗体には当てはまらない。さらに、VHHのインビトロ発現は、高収率の適切に折り畳まれた機能的VHHをもたらす。加えて、ラクダ科で生成された抗体は、抗体ライブラリの使用により、またはラクダ科以外の哺乳動物の免疫化により、インビトロで生成された抗体によって認識されるエピトープ以外のエピトープを認識することができる(例えば、WO9749805を参照されたい)。したがって、1つ以上のVHHドメインを含む多重特異性または多価CARは、従来の4鎖抗体に由来する抗原結合断片を含む多重特異性または多価CARよりも効率的に標的と相互作用し得る。VHHは、空洞または溝などの「異常な」エピトープに結合することが知られているため、そのようなVHHを含むCARの親和性は、従来の多重特異性ポリペプチドよりも療法的治療のために好適であり得る。
【0319】
いくつかの実施形態では、sdAbは、軟骨魚に見られる免疫グロブリンの可変領域に由来する。例えば、sdAbは、サメ血清に見られる新規抗原受容体(NAR)として既知の免疫グロブリンアイソタイプに由来し得る。NARの可変領域(「IgNAR」)に由来する単一ドメイン分子を産生する方法は、WO 03/014161及びStreltsov,Protein Sci.14:2901-2909(2005)に記載されている。
【0320】
いくつかの実施形態では、sdAbは、組換え、CDRグラフト、ヒト化、ラクダ化、脱免疫化、及び/またはインビトロ生成された(例えば、ファージディスプレイによって選択された)ものである。いくつかの実施形態では、フレームワーク領域のアミノ酸配列は、フレームワーク領域内の特定のアミノ酸残基の「ラクダ化」によって改変され得る。ラクダ化は、重鎖抗体のVHHドメイン内の対応する位置(複数可)で生じるアミノ酸残基のうちの1つ以上による、従来の4鎖抗体からの(天然に存在する)VHドメインのアミノ酸配列内の1つ以上のアミノ酸残基の置き換えまたは置換を指す。これは、当業者に明確となるであろう、当該技術分野で既知の様式で実施されることができる。そのような「ラクダ化」置換は、好ましくは、本明細書で定義されるように、VH-VL界面を形成し、及び/またはVH-VL界面に存在するアミノ酸位置において、及び/またはいわゆるラクダ科の特徴的な残基において挿入される(例えば、WO 94/04678、Davies and Riechmann FEBS Letters 339:285-290(1994)、Davies and Riechmann,Protein Engineering 9(6):531-537(1996)、Riechmann,J.Mol.Biol.259:957-969(1996)、及びRiechmann and Muyldermans,J.Immunol.Meth.231:25-38(1999)を参照のこと)。
【0321】
いくつかの実施形態では、sdAbは、ヒト重鎖セグメントを発現するトランスジェニックマウスまたはラットによって産生されるヒト単一ドメイン抗体である。例えば、US20090307787、米国特許第8,754,287号、US20150289489、US20100122358、及びWO2004049794を参照のこと。いくつかの実施形態では、sdAbは、親和性成熟である。
【0322】
いくつかの実施形態では、特定の抗原または標的に対する天然に存在するVHHドメインが、ラクダ科VHH配列の(天然または免疫)ライブラリから取得されることができる。そのような方法は、当該技術分野で既知の1つ以上のスクリーニング技術を使用して、該抗原もしくは標的、またはその少なくとも1つの部分、断片、抗原決定基、もしくはエピトープを使用して、そのようなライブラリをスクリーニングすることを伴い得るか、または伴わない場合がある。かかるライブラリ及び技術は、例えば、WO99/37681、WO01/90190、WO03/025020、及びWO03/035694に記載されている。代替として、例えば、WO 00/43507に記載されるようなランダム変異誘発及び/またはCDRシャッフリングなどの技術によって(天然または免疫)VHHライブラリから取得されるVHHライブラリなどの(天然または免疫)VHHライブラリに由来する改良された合成または半合成ライブラリが、使用され得る。
【0323】
いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、従来の4鎖抗体から生成される。例えば、EP 0 368 684、Ward et al.,Nature,341 (6242):544-6(1989)、Holt et al.,Trends Biotechnol.,21(11):484-490(2003)、WO 06/030220、及びWO 06/003388を参照のこと。
【0324】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される細胞外抗原結合ドメインは、少なくとも1つの結合ドメインを含み、少なくとも1つの結合ドメインは、本明細書で提供されるようなClaudin18.2に結合する単一ドメイン抗体、例えば、上記の第5.2節に記載の抗Claudin18.2単一ドメイン抗体を含む。
【0325】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、(a)抗Claudin18.2 sdAbを含む細胞外抗原結合ドメインと、(b)膜貫通ドメインと、(c)細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、ポリペプチドを含むCARであり、抗Claudin18.2 sdAbは、例えば、表2のVHHドメインと、表2のそれらのVHHドメインのうちのいずれかに1つ、2つ、または3つすべてのCDRを有するものとを含む、上記の第5.2節に記載されるような抗Claudin18.2 sdAbである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、ラクダ科、キメラ、ヒト、またはヒト化である。
【0326】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、(a)抗Claudin18.2 sdAbを含む細胞外抗原結合ドメインと、(b)膜貫通ドメインと、(c)細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、ポリペプチドを含むCARであり、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、または配列番号85のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、本明細書で提供されるものは、(a)抗Claudin18.2 sdAbを含む細胞外抗原結合ドメインと、(b)膜貫通ドメインと、(c)細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、ポリペプチドを含むCARであり、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、または配列番号85に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する、アミノ酸配列を含む。
【0327】
他の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、2つ以上の抗原結合ドメインを含む。これらの2つ以上の抗原結合ドメインのうち、少なくとも1つは、本明細書で提供されるようなClaudin18.2に結合するVHHである。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の結合ドメイン(複数可)もまた、Claudin18.2に結合するVHH(複数可)である。他の実施形態では、1つ以上の追加の結合ドメイン(複数可)は、1つ以上の追加の異なる抗原(複数可)、例えば、1つ以上の追加の異なる抗原(複数可)を標的とする、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の追加の単一ドメイン抗体結合領域(sdAb)に結合する。
【0328】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、(a)Claudin18.2に特異的に結合する2つ以上の単一ドメイン抗体(sdAb)を含む細胞外抗原結合ドメインと、(b)膜貫通ドメインと、(c)細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、ポリペプチドを含む多価(例えば、二価及び三価)CARである。いくつかの実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、本明細書で提供されるClaudin18.2に特異的に結合する2つの単一ドメイン抗体(sdAb)を含む。他の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、本明細書で提供されるClaudin18.2に特異的に結合する3つの単一ドメイン抗体(sdAb)を含む。いくつかの実施形態では、2つ以上の抗Claudin18.2 sdAbは、例えば、表2のVHHドメイン及び表2のそれらのVHHドメインのうちのいずれかに1つ、2つ、または3つすべてのCDRを有するものを含む、上記の第5.2節に記載のこれらの抗Claudin18.2 sdAbから選択される。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、ラクダ科、キメラ、ヒト、またはヒト化である。他の実施形態では、2つ以上の抗Claudin18.2 sdAbはそれぞれ、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、または配列番号85に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する、アミノ酸配列を含む抗Claudin18.2 sdAbから独立して選択される。
【0329】
他の実施形態では、本明細書で提供されるものは、(a)Claudin18.2に特異的に結合する第1の単一ドメイン抗体(sdAb)を含む細胞外抗原結合ドメインと、(b)膜貫通ドメインと、(c)細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、ポリペプチドを含む多重特異性(二重特異性及び三重特異性など)CARである。いくつかの実施形態では、CARは、第2の抗原(第2の腫瘍抗原など)に特異的に結合する第2の単一ドメイン抗体(sdAb)をさらに含む。いくつかの実施形態では、CARは、第2の抗原(第2の腫瘍抗原など)に特異的に結合する第2の単一ドメイン抗体(sdAb)と、第3の抗原(第3の腫瘍抗原など)に特異的に結合する第3の単一ドメイン抗体(sdAb)とをさらに含む。
【0330】
いくつかの実施形態では、本開示のCARによって標的化される追加の抗原(複数可)は、細胞表面分子である。単一ドメイン抗体は、特別な病状と関連付けられる標的細胞上の細胞表面マーカーとして作用する抗原を認識するように選択され得る。いくつかの実施形態では、標的抗原は、腫瘍抗原である。腫瘍は、免疫応答、具体的には、T細胞媒介免疫応答に対する標的抗原としての機能を果たすことができるいくつかのタンパク質を発現する。CARによって標的化される抗原は、単一の病的細胞上の抗原または疾患にそれぞれ寄与する異なる細胞上で発現される抗原であり得る。CARによって標的化される抗原は、疾患に直接または間接的に関与し得る。
【0331】
腫瘍抗原は、免疫応答、具体的には、T細胞媒介免疫応答を誘発し得る腫瘍細胞によって産生されるタンパク質である。本発明の追加の標的化された抗原の選択は、治療される特定の種類のがんに依存するであろう。例示的な腫瘍抗原としては、例えば、神経膠腫関連抗原、がん胎児性抗原(CEA)、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、アルファフェトプロテイン(AFP)、レクチン反応性AFP、サイログロブリン、RAGE-1、MN-CAIX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2(AS)、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、M-CSF、プロスターゼ、前立腺特異的抗原(PSA)、PAP、NY-ESO-1、LAGE-la、p53、プロステイン、PSMA、HER2/neu、スルビビン及びテロメラーゼ、前立腺癌腫瘍抗原-1(PCTA-1)、MAGE、ELF2M、好中球エラスターゼ、エフリンB2、CD19、インスリン成長因子(IGF)-I、IGF-II、IGF-I受容体、ならびにメソテリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0332】
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、悪性腫瘍に関連する1つ以上の抗原癌エピトープを含む。悪性腫瘍は、免疫攻撃に対する標的抗原としての機能を果たすことができるいくつかのタンパク質を発現する。これらの分子としては、黒色腫におけるMART-1、チロシナーゼ、及びgp100、ならびに前立腺癌における前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)及び前立腺特異的抗原(PSA)などの組織特異的抗原が挙げられるが、これらに限定されない。他の標的分子は、がん遺伝子HER2/Neu/ErbB-2などの形質転換関連分子の群に属する。標的抗原のさらに別の群は、がん胎児性抗原(CEA)などのがん胎児抗原である。
【0333】
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、腫瘍特異的抗原(TSA)または腫瘍関連抗原(TAA)である。TSAは、腫瘍細胞に特有であり、体内の他の細胞に生じない。TAA関連抗原は、腫瘍細胞に特有ではなく、代わりに、抗原に対する免疫学的寛容の状態を誘導することができない条件下で正常細胞上でも発現される。腫瘍上での抗原の発現は、免疫系が抗原に応答することを可能にする条件下で生じ得る。TAAは、免疫系が未熟であり、応答することができない場合に胎児発育中に正常細胞で発現する抗原であり得るか、またはそれらは、通常非常に低レベルで正常細胞上に存在するが、はるかにより高いレベルで、腫瘍細胞で発現する抗原であり得る。
【0334】
TSAまたはTAA抗原の非限定的な例としては、MART-1/MelanA(MART-I)、gp 100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2、及びMAGE-1、MAGE-3、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、pl5などの腫瘍特異的多系列抗原などの分化抗原、CEAなどの過剰発現された胚抗原、p53、Ras、HER2/neuなどの過剰発現されたがん遺伝子及び変異腫瘍抑制遺伝子、BCR-ABL、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RARなどの染色体転座から生じる独特の腫瘍抗原、ならびにエプスタイン・バーウイルス抗原EBVAならびにヒト乳頭腫ウイルス(HPV)抗原E6及びE7などのウイルス抗原が挙げられる。
【0335】
他の大きいタンパク質に基づく抗原としては、TSP-180、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、RAGE、NY-ESO、pl85erbB2、pl80erbB-3、c-met、nm-23HI、PSA、TAG-72、CA 19-9、CA 72-4、CAM 17.1、NuMa、K-ras、ベータ-カテニン、CDK4、Mum-1、p15、p16、43-9F、5T4、791Tgp72、アルファ-フェトプロテイン、ベータ-HCG、BCA225、BTAA、CA 125、CA 15-3\CA 27.29\BCAA、CA 195、CA 242、CA-50、CAM43、CD68\P1、CO-029、FGF-5、G250、Ga733\EpCAM、HTgp-175、M344、MA-50、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS 1、SDCCAG16、TA-90\Mac-2結合タンパク質\サイクロフィリンC関連タンパク質、TAAL6、TAG72、TLP、及びTPSが挙げられる。
【0336】
本明細書で提供される1つ以上の抗原結合ドメイン(複数可)に加えて、本明細書で提供されるCARは、以下のうちの1つ以上、すなわち、リンカー(例えば、ペプチドリンカー)、膜貫通ドメイン、ヒンジ領域、シグナルペプチド、細胞内シグナル伝達ドメイン、及び共刺激シグナル伝達ドメインをさらに含み得、そのそれぞれは、以下でより詳細に説明される。
【0337】
いくつかの実施形態では、CARは、新生受容体を小胞体の中に指向する細胞外ドメインのN末端におけるシグナルペプチドと、受容体を結合のためにより利用可能にする、細胞外抗原結合ドメインのC末端におけるヒンジペプチドとを含有する。シグナルペプチドは、CD8α、GM-CSF受容体α、及びIgG1重鎖からなる群から選択される分子に由来し得る。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、CD8αに由来する。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号67のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、CD8αに由来する。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号68のアミノ酸配列を含む。CARの膜貫通ドメインは、CD8α、CD4、CD28、CD137、CD80、CD86、CD152、及びPD1からなる群から選択される分子に由来する。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8αまたはCD28に由来する。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号69のアミノ酸配列を含む。CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、一次細胞内シグナル伝達ドメイン及び/または共刺激シグナル伝達ドメインを含むことができる。いくつかの実施形態では、CARは、好ましくは、一次細胞内シグナル伝達ドメインと、1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインとを含む。一次細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)含有ドメインであり得る。ITAM含有ドメインは、例えば、配列番号72のアミノ酸配列を有するCD3-ゼータの細胞質ドメインであり得、そのリン酸化が、T細胞活性化をもたらす。共刺激シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、CD137、OX40、CD30、CD40、CD3、LFA-1、ICOS、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83のリガンド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される共刺激分子に由来し得る。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28の細胞質ドメイン及び/またはCD137の細胞質ドメインを含む。CD28の細胞質ドメイン及びCD137の細胞質ドメインは、それぞれ、配列番号71及び配列番号70のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本開示は、N末端からC末端まで、順に、配列番号67のシグナルペプチド、配列番号38~51及び77~85の群から選択される抗Claudin18.2 VHHについて上記に記載のVHHドメイン、配列番号68のヒンジドメイン、配列番号69の膜貫通ドメイン、配列番号70のCD137細胞質ドメイン、及び配列番号72のCD3-ゼータの細胞質ドメインを含む、Claudin18.2 CARを提供する。いくつかの実施形態では、Claudin18.2 CARは、単一特異性である。他の実施形態では、Claudin18.2 CARは、多重特異性である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2 CARは、一価である。他の実施形態では、Claudin18.2 CARは、多価である。
【0338】
ペプチドリンカー
本明細書に記載の多重特異性または多価CARにおける様々な単一ドメイン抗体は、ペプチドリンカーを介して相互に融合され得る。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、いずれのペプチドリンカーも用いることなく相互に直接融合される。異なる単一ドメイン抗体(例えば、VHH)を接続するペプチドリンカーは、同じであるか、または異なり得る。CARの異なるドメインもまた、ペプチドリンカーを介して相互に融合され得る。
【0339】
CAR内の各ペプチドリンカーは、単一ドメイン抗体及び/または種々のドメインの構造的及び/または機能的特徴に応じて、同じもしくは異なる長さ及び/または配列を有し得る。各ペプチドリンカーは、独立して選択及び最適化され得る。CARで使用されるペプチドリンカー(複数可)の長さ、可撓度、及び/または他の特性は、1つ以上の特定の抗原またはエピトープに対する親和性、特異性、またはアビディティを含むが、これらに限定されない、特性に何らかの影響を及ぼし得る。例えば、より長いペプチドリンカーが、2つの隣接するドメインが相互に立体的に妨害しないことを確実にするために選択され得る。いくつかの実施形態では、短いペプチドリンカーが、CARの膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に配置され得る。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、隣接するドメインが相互に対して自由に移動することができるように、可撓性残基(グリシン及びセリンなど)を含む。例えば、グリシン-セリンダブレットは、好適なペプチドリンカーであり得る。
【0340】
ペプチドリンカーは、任意の好適な長さであり得る。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、長さが少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、75、100個、またはそれ以上のうちのいずれかのアミノ酸である。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、長さが約100、75、50、40、35、30、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5個以下、またはそれよりも少ないもののうちのいずれかのアミノ酸である。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーの長さは、約1個のアミノ酸~約10個のアミノ酸、約1個のアミノ酸~約20個のアミノ酸、約1個のアミノ酸~約30個のアミノ酸、約5個のアミノ酸~約15個のアミノ酸、約10個のアミノ酸~約25個のアミノ酸、約5個のアミノ酸~約30個のアミノ酸、約10個のアミノ酸~約30個のアミノ酸長、約30個のアミノ酸~約50個のアミノ酸、約50個のアミノ酸~約100個のアミノ酸、または約1個のアミノ酸~約100個のアミノ酸のうちのいずれかである。
【0341】
ペプチドリンカーは、天然に存在する配列、または天然に存在しない配列を有し得る。例えば、重鎖のみ抗体のヒンジ領域に由来する配列が、リンカーとして使用され得る。例えば、WO1996/34103を参照のこと。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、可撓性リンカーである。例示的な可撓性リンカーとしては、グリシンポリマー(G)
n、グリシン-セリンポリマー(例えば、(GS)
n、(GSGGS)
n、(GGGS)
n、及び(GGGGS)
nを含み、nは、少なくとも1の整数である)、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、及び当該技術分野で既知である他の可撓性リンカーが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なペプチドリンカーが、以下の表4に列挙される。具体的な実施形態では、本明細書で提供される2つ以上の抗Claudin18.2 VHHドメインを接続するペプチドリンカーは、(GGGGS)
n(配列番号98)であり、nは、任意に、1、2、3、4、5、または6である。
【表4】
【0342】
例えば、それぞれの開示が参照により本明細書に組み込まれる、WO2016014789、WO2015158671、WO2016102965、US20150299317、WO2018067992、US7741465、Colcher et al.,J.Nat.Cancer Inst.82:1191-1197(1990)、及びBird et al.,Science 242:423-426(1988)に記載されるような、当該技術分野で既知である他のリンカーもまた、本明細書で提供されるCARに含まれ得る。
【0343】
5.3.2.膜貫通ドメイン
本開示のCARは、細胞外抗原結合ドメインに直接または間接的に融合され得る膜貫通ドメインを含む。膜貫通ドメインは、天然源または合成源のいずれかに由来し得る。本明細書で使用される場合、「膜貫通ドメイン」とは、細胞膜、好ましくは、真核細胞膜内で熱力学的に安定している任意のタンパク質構造を指す。本明細書に記載のCARで使用するために適合性のある膜貫通ドメインは、天然に存在するタンパク質から取得され得る。代替として、それは、合成の天然に存在しないタンパク質セグメント、例えば、細胞膜内で熱力学的に安定している疎水性タンパク質セグメントであり得る。
【0344】
膜貫通ドメインは、膜貫通ドメインの三次元構造に基づいて分類される。例えば、膜貫通ドメインは、アルファヘリックス、2つ以上のアルファヘリックスの複合体、ベータ-バレル、または細胞のリン脂質二重層にまたがることができる任意の他の安定した構造を形成し得る。さらに、膜貫通ドメインは、加えて、または代替的に、膜貫通ドメインが膜を通過する回数及びタンパク質の配向を含む膜貫通ドメイントポロジーに基づいて分類され得る。例えば、単回通過膜タンパク質は、細胞膜を1回横断し、複数回通過膜タンパク質は、細胞膜を少なくとも2回(例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、またはそれ以上の回数)横断する。膜タンパク質は、細胞の内外に対するそれらの末端及び膜通過セグメント(複数可)のトポロジーに応じて、I型、II型、またはIII型と定義され得る。I型膜タンパク質は、膜にまたがる単一の領域を有し、タンパク質のN末端が細胞の脂質二重層の細胞外側に存在し、タンパク質のC末端が細胞質側に存在するように配向される。II型膜タンパク質も膜にまたがる単一の領域を有するが、タンパク質のC末端が細胞の脂質二重層の細胞外側に存在し、タンパク質のN末端が細胞質側に存在するように配向される。III型膜タンパク質は、膜にまたがる複数のセグメントを有し、膜貫通セグメントの数ならびにN及びC末端の位置に基づいて、さらに下位分類され得る。
【0345】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCARの膜貫通ドメインは、I型単回通過膜タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、複数回通過膜タンパク質からの膜貫通ドメインもまた、本明細書に記載のCARで使用するために適合性があり得る。複数回通過膜タンパク質は、複合(少なくとも2、3、4、5、6、7、またはそれ以上の)アルファヘリックスまたはベータシート構造を含み得る。いくつかの実施形態では、複数回通過膜タンパク質のN末端及びC末端は、脂質二重層の反対側に存在し、例えば、タンパク質のN末端は、脂質二重層の細胞質側に存在し、タンパク質のC末端は、細胞外側に存在する。
【0346】
いくつかの実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、T細胞受容体、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA-1(CDl la、CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRFl)、CD160、CD19、IL-2Rβ、IL-2Rγ、IL-7Rα、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CDl ld、ITGAE、CD103、ITGAL、CDl la、LFA-1、ITGAM、CDl lb、ITGAX、CDl lc、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CDIOO(SEMA4D)、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46、NKG2D、及び/またはNKG2Cのアルファ、ベータ、またはゼータ鎖の膜貫通ドメインから選択される膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8α、CD4、CD28、CD137、CD80、CD86、CD152、及びPD1からなる群から選択される分子に由来する。
【0347】
いくつかの具体的な実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8αに由来する。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号69のアミノ酸配列を含むCD8αの膜貫通ドメインである。
【0348】
本明細書に記載のCARで使用するための膜貫通ドメインはまた、合成の天然に存在しないタンパク質セグメントの少なくとも一部を含むこともできる。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、合成の非天然アルファヘリックスまたはベータシートである。いくつかの実施形態では、タンパク質セグメントは、少なくとも約20個のアミノ酸、例えば、少なくとも約18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個、またはそれ以上のうちのいずれかのアミノ酸である。合成膜貫通ドメインの例は、当該技術分野で既知であり、例えば、その関連開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,052,906号及びPCT公開第WO2000/032776号にある。
【0349】
本明細書で提供される膜貫通ドメインは、膜貫通領域、及び膜貫通ドメインのC末端側に位置する細胞質領域を含み得る。膜貫通ドメインの細胞質領域は、3つ以上のアミノ酸を含み得、いくつかの実施形態では、脂質二重層内で膜貫通ドメインを配向させる助けとなる。いくつかの実施形態では、1つ以上のシステイン残基が、膜貫通ドメインの膜貫通領域に存在する。いくつかの実施形態では、1つ以上のシステイン残基が、膜貫通ドメインの細胞質領域に存在する。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインの細胞質領域は、正荷電アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインの細胞質領域は、アミノ酸、アルギニン、セリン、及びリジンを含む。
【0350】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインの膜貫通領域は、疎水性アミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるCARの膜貫通ドメインは、人工の疎水性配列を含む。例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、及びバリンのトリプレットが、膜貫通ドメインのC末端に存在し得る。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、主に疎水性のアミノ酸残基、例えば、アラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、またはバリンを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、疎水性である。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、ポリ-ロイシン-アラニン配列を含む。タンパク質またはタンパク質セグメントのハイドロパシー、または疎水性もしくは親水性特徴は、当該技術分野で既知である任意の方法、例えば、Kyte及びDoolittleのハイドロパシー分析によって評価されることができる。
【0351】
5.3.3.細胞内シグナル伝達ドメイン
本開示のCARは、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。細胞内シグナル伝達ドメインは、CARを発現する免疫エフェクター細胞の正常なエフェクター機能のうちの少なくとも1つの活性化に関与する。「エフェクター機能」という用語は、細胞の特殊化された機能を指す。例えば、T細胞のエフェクター機能は、細胞溶解活性またはサイトカインの分泌を含むヘルパー活性であり得る。したがって、「細胞質シグナル伝達ドメイン」という用語は、エフェクター機能シグナルを伝達し、細胞に特殊化された機能を実施するように指示するタンパク質の一部を指す。通常、細胞質シグナル伝達ドメイン全体が採用されることができるが、多くの場合、鎖全体を使用する必要はない。細胞質シグナル伝達ドメインの切断部分が使用される程度まで、そのような切断部分は、それがエフェクター機能シグナルを伝達する限り、インタクトな鎖の代わりに使用され得る。「細胞質シグナル伝達ドメイン」という用語は、したがって、エフェクター機能シグナルを伝達するために十分な細胞質シグナル伝達ドメインの任意の切断部分を含むように意図されている。
【0352】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫エフェクター細胞の一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、免疫エフェクター細胞の一次細胞内シグナル伝達ドメインから本質的になる細胞内シグナル伝達ドメインを含む。「一次細胞内シグナル伝達ドメイン」とは、刺激様式で作用して免疫エフェクター機能を誘導する、細胞質シグナル伝達配列を指す。いくつかの実施形態では、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ、またはITAMとして知られているシグナル伝達モチーフを含有する。本明細書で使用される場合の「ITAM」は、一般に、多くの免疫細胞で発現されるシグナル伝達分子の尾部分に存在する、保存されたタンパク質モチーフである。モチーフは、6~8個のアミノ酸によって分離されたアミノ酸配列YxxL/Iの2回の繰り返しを含み得、xは、独立して、保存されたモチーフYxxL/Ix(6-8)YxxL/Iを産生する任意のアミノ酸である。シグナル伝達分子内のITAMは、シグナル伝達分子の活性化に続いてITAM内のチロシン残基のリン酸化によって少なくとも部分的に媒介される、細胞内のシグナル伝達のために重要である。ITAMは、シグナル伝達経路に関与する他のタンパク質のドッキング部位としての機能も果たし得る。例示的なITAM含有一次細胞質シグナル伝達配列としては、CD3ζ、FcRγ(FCER1G)、FcRβ(Fcε Rib)、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、及びCD66dに由来するものが挙げられる。
【0353】
いくつかの実施形態では、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζに由来する。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζの細胞質シグナル伝達ドメインからなる。いくつかの実施形態では、CD3ζの一次細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号72のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、野生型CD3ζの細胞質シグナル伝達ドメインである。いくつかの実施形態では、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、Q65Kなどの1つ以上の変異を含有するCD3ζの細胞質シグナル伝達ドメインの機能的変異体である。
【0354】
5.3.4.共刺激シグナル伝達ドメイン
多くの免疫エフェクター細胞は、細胞増殖、分化、及び生存を促進するため、ならびに細胞のエフェクター機能を活性化するために、抗原特異的シグナルの刺激に加えて、共刺激を要求する。いくつかの実施形態では、CARは、少なくとも1つの共刺激シグナル伝達ドメインを含む。本明細書で使用される場合の「共刺激シグナル伝達ドメイン」という用語は、細胞内のシグナル伝達を媒介して、エフェクター機能などの免疫応答を誘導するタンパク質の少なくとも一部を指す。本明細書に記載のキメラ受容体の共刺激シグナル伝達ドメインは、シグナルを伝達し、T細胞、NK細胞、マクロファージ、好中球、または好酸球などの免疫細胞によって媒介される応答を変調する、共刺激タンパク質からの細胞質シグナル伝達ドメインであり得る。「共刺激シグナル伝達ドメイン」は、共刺激分子の細胞質部分であり得る。「共刺激分子」という用語は、共刺激リガンドと特異的に結合し、それによって、増殖及び生存などであるが、これらに限定されない、免疫細胞による共刺激応答を媒介する、免疫細胞(T細胞など)上の同族結合パートナーを指す。
【0355】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、単一の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、2つ以上(約2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のうちのいずれかなど)の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、同じ共刺激シグナル伝達ドメインのうちの2つ以上を含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、本明細書に記載のいずれか2つ以上の共刺激シグナル伝達タンパク質などの異なる共刺激タンパク質からの2つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次細胞内シグナル伝達ドメイン(CD3ζの細胞質シグナル伝達ドメインなど)及び1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメイン及び一次細胞内シグナル伝達ドメイン(CD3ζの細胞質シグナル伝達ドメインなど)は、任意選択的なペプチドリンカーを介して相互に融合される。一次細胞内シグナル伝達ドメイン及び1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインは、任意の好適な順序で配列され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインは、膜貫通ドメインと一次細胞内シグナル伝達ドメイン(CD3ζの細胞質シグナル伝達ドメインなど)との間に位置する。複数の共刺激シグナル伝達ドメインが、相加的または相乗的刺激効果を提供し得る。
【0356】
宿主細胞(例えば、免疫細胞)内の共刺激シグナル伝達ドメインの活性化は、サイトカインの産生及び分泌、食作用特性、増殖、分化、生存、及び/または細胞傷害性を増加または減少させるように細胞を誘導し得る。任意の共刺激分子の共刺激シグナル伝達ドメインは、本明細書に記載のCARで使用するために適合性があり得る。共刺激シグナル伝達ドメインのタイプ(複数可)は、エフェクター分子が発現されるであろう免疫エフェクター細胞のタイプ(例えば、T細胞、NK細胞、マクロファージ、好中球、または好酸球)、及び所望の免疫エフェクター機能(例えば、ADCC効果)などの因子に基づいて選択される。CARで使用するための共刺激シグナル伝達ドメインの例は、B7/CD28ファミリーのメンバー(例えば、B7-1/CD80、B7-2/CD86、B7-H1/PD-L1、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H6、B7-H7、BTLA/CD272、CD28、CTLA-4、Gi24/VISTA/B7-H5、ICOS/CD278、PD-1、PD-L2/B7-DC、及びPDCD6)、TNFスーパーファミリーのメンバー(例えば、4-1BB/TNFSF9/CD137、4-1BBリガンド/TNFSF9、BAFF/BLyS/TNFSF13B、BAFF R/TNFRSF13C、CD27/TNFRSF7、CD27リガンド/TNFSF7、CD30/TNFRSF8、CD30リガンド/TNFSF8、CD40/TNFRSF5、CD40/TNFSF5、CD40リガンド/TNFSF5、DR3/TNFRSF25、GITR/TNFRSF18、GITRリガンド/TNFSF18、HVEM/TNFRSF14、LIGHT/TNFSF14、リンホトキシン-α/TNF-β、OX40/TNFRSF4、OX40リガンド/TNFSF4、RELT/TNFRSF19L、TACI/TNFRSF13B、TL1A/TNFSF15、TNF-α、及びTNF RII/TNFRSF1B)、SLAMファミリーのメンバー(例えば、2B4/CD244/SLAMF4、BLAME/SLAMF8、CD2、CD2F-10/SLAMF9、CD48/SLAMF2、CD58/LFA-3、CD84/SLAMF5、CD229/SLAMF3、CRACC/SLAMF7、NTB-A/SLAMF6、及びSLAM/CD150)、ならびにCD2、CD7、CD53、CD82/Kai-1、CD90/Thy1、CD96、CD160、Claudin18.20、CD300a/LMIR1、HLAクラスI、HLA-DR、Ikaros、インテグリンα4/CD49d、インテグリンα4β1、インテグリンα4β7/LPAM-1、LAG-3、TCL1A、TCL1B、CRTAM、DAP12、デクチン-1/CLEC7A、DPPIV/CD26、EphB6、TIM-1/KIM-1/HAVCR、TIM-4、TSLP、TSLP R、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、及びNKG2Cなどの任意の他の共刺激分子を含むが、これらに限定されない、共刺激タンパク質の細胞質シグナル伝達ドメインであり得る。
【0357】
いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、CD137、OX40、CD30、CD40、CD3、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、及びCD83に特異的に結合するリガンド(CD83及びMD-2など)からなる群から選択される。
【0358】
いくつかの実施形態では、本開示のCAR内の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD137に由来する共刺激シグナル伝達ドメイン(すなわち、4-1BB)を含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζの細胞質シグナル伝達ドメイン、及びCD137の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号70のアミノ酸配列を含む、CD137の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本開示のCAR内の細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号71のアミノ酸配列を含む、CD28に由来する共刺激シグナル伝達ドメインを含む。
【0359】
また、共刺激シグナル伝達ドメインが免疫細胞の免疫応答を変調することが可能であるように、本明細書に記載の共刺激シグナル伝達ドメインのうちのいずれかの変異体も本開示の範囲内である。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、野生型対応物と比較して最大約10個のアミノ酸残基変異形(例えば、1、2、3、4、5、または8個)を含む。1つ以上のアミノ酸変異形を含む、そのような共刺激シグナル伝達ドメインは、変異体と称され得る。共刺激シグナル伝達ドメインのアミノ酸残基の変異は、変異を含まない共刺激シグナル伝達ドメインに対してシグナル伝達の増加及び免疫応答の刺激の増強をもたらし得る。共刺激シグナル伝達ドメインのアミノ酸残基の変異は、変異を含まない共刺激シグナル伝達ドメインに対してシグナル伝達の減少及び免疫応答の刺激の低減をもたらし得る。
【0360】
5.3.5.ヒンジ領域
本開示のCARは、細胞外抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に位置するヒンジドメインを含み得る。ヒンジドメインは、一般にタンパク質の2つのドメイン間に見られるアミノ酸セグメントであり、タンパク質の可撓性及びそれらのドメインの一方または両方の互いに対する移動を許容し得る。膜貫通ドメインに対する細胞外抗原結合ドメインのそのような可撓性及び移動を提供する任意のアミノ酸配列が、使用されることができる。
【0361】
ヒンジドメインは、約10~100個のアミノ酸、例えば、約15~75個のアミノ酸、20~50個のアミノ酸、または30~60個のアミノ酸のうちのいずれか1つを含有し得る。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、長さが少なくとも約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75個のアミノ酸のうちのいずれか1つであり得る。
【0362】
いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、天然に存在するタンパク質のヒンジドメインである。ヒンジドメインを含むことが当該技術分野で既知である任意のタンパク質のヒンジドメインは、本明細書に記載のキメラ受容体で使用するために適合性がある。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、天然に存在するタンパク質のヒンジドメインの少なくとも一部であり、キメラ受容体に可撓性を付与する。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、CD8αに由来する。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、CD8αのヒンジドメインの一部、例えば、CD8αのヒンジドメインの少なくとも15個(例えば、少なくとも約20、25、30、35、または40個)の連続アミノ酸を含有する断片である。いくつかの実施形態では、CD8αのヒンジドメインは、配列番号68のアミノ酸配列を含む。
【0363】
IgG、IgA、IgM、IgE、またはIgD抗体などの抗体のヒンジドメインもまた、本明細書に記載のpH依存性キメラ受容体系で使用するために適合性がある。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、抗体の定常ドメインCH1及びCH2を継合するヒンジドメインである。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、抗体のものであり、抗体のヒンジドメイン及び抗体の1つ以上の定常領域を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、抗体のヒンジドメイン及び抗体のCH3定常領域を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、抗体のヒンジドメインならびに抗体のCH2及びCH3定常領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG、IgA、IgM、IgE、またはIgD抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4抗体である。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、IgG1抗体のヒンジ領域ならびにCH2及びCH3定常領域を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、IgG1抗体のヒンジ領域及びCH3定常領域を含む。
【0364】
天然に存在しないペプチドもまた、本明細書に記載のキメラ受容体のためのヒンジドメインとして使用され得る。いくつかの実施形態では、Fc受容体の細胞外リガンド結合ドメインのC末端と膜貫通ドメインのN末端との間のヒンジドメインは、(GxS)nリンカーなどのペプチドリンカーであり、x及びnは、独立して、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、またはそれ以上を含む、3~12の整数であり得る。
【0365】
5.3.6.シグナルペプチド
本開示のCARは、ポリペプチドのN末端にシグナルペプチド(シグナル配列としても知られている)を含み得る。一般に、シグナルペプチドは、ポリペプチドを細胞内の所望の部位に標的するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、エフェクター分子を細胞の分泌経路に標的化し、脂質二重層の中へのエフェクター分子のライゲーション及び係留を可能にするであろう。本明細書に記載のCARで使用するために適合性がある、天然に存在するタンパク質のシグナル配列または合成の天然に存在しないシグナル配列を含むシグナルペプチドが、当業者に明白であろう。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、CD8α、GM-CSF受容体α、及びIgG1重鎖からなる群から選択される分子に由来する。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、CD8αに由来する。いくつかの実施形態では、CD8αのシグナルペプチドは、配列番号67のアミノ酸配列を含む。
【0366】
5.3.7.例示的なCAR
以下の表5に列挙されるものなどの例示的なCARが、以下の第6節に示されるように生成される。
【表5】
【0367】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号53のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号54のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号55のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号56のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号57のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号58のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号59のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号60のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号61のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号62のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号63のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号64のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号65のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号66のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号86のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号87のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号88のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号89のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号90のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号91のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号92のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号93のアミノ酸配列を含む、またはそれからなるCARである。
【0368】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるCARは、上記の表5のものなどの下記の第6節に例示されるCARのうちのいずれか1つに対してある特定の同一性率を伴うアミノ酸配列を含む。
【0369】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号53のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号54のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号55のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号56のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号57のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号58のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号59のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号60のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号61のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号62のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号63のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号64のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号65のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号66のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号86のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号87のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号88のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号89のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号90のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号91のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号92のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号93のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、Claudin18.2 CARである。
【0370】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、本明細書で提供されるClaudin18.2 CARのうちのいずれかをコードする単離された核酸である。核酸配列及びベクターに関するより詳細な説明が、以下に提供される。
【0371】
5.4.遺伝子操作された免疫エフェクター細胞
さらに別の態様では、本明細書で提供されるものは、本明細書に記載のCARのうちのいずれか1つを含む宿主細胞(免疫エフェクター細胞など)である。
【0372】
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、(a)1つ以上の抗Claudin18.2 sdAb(複数可)を含む細胞外抗原結合ドメインと、(b)膜貫通ドメインと、(c)細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、ポリペプチドを含むCARを含む、遺伝子操作された免疫エフェクター細胞(T細胞など)であり、抗Claudin18.2 sdAbは、例えば、表2のVHHドメインと、表2のそれらのVHHドメインのうちのいずれかに1つ、2つ、または3つすべてのCDRを有するものとを含む、上記の第5.2節に記載されるような抗Claudin18.2 sdAbである。いくつかの実施形態では、抗Claudin18.2 sdAbは、ラクダ科、キメラ、ヒト、またはヒト化である。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8α、CD4、CD28、CD137、CD80、CD86、CD152、及びPD1からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫エフェクター細胞(T細胞など)の一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζに由来する。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、CD137、OX40、CD30、CD40、CD3、LFA-1、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83のリガンド(CD83及びMD-2など)、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される共刺激分子に由来する。いくつかの実施形態では、CARは、細胞外抗原結合ドメインのC末端と膜貫通ドメインのN末端との間に位置するヒンジドメイン(CD8αヒンジドメインなど)をさらに含む。いくつかの実施形態では、CARは、ポリペプチドのN末端に位置するシグナルペプチド(CD8αシグナルペプチドなど)をさらに含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、N末端からC末端まで、CD8αシグナルペプチド、細胞外抗原結合ドメイン、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通ドメイン、CD137に由来する共刺激シグナル伝達ドメイン、及びCD3ζに由来する一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0373】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、(a)1つ以上の抗Claudin18.2 sdAb(複数可)を含む細胞外抗原結合ドメインと、(b)膜貫通ドメインと、(c)細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、ポリペプチドを含むCARを含む、遺伝子操作された免疫エフェクター細胞(T細胞など)であり、抗Claudin18.2 sdAbは、配列番号38~51及び77~85のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本発明で提供されるものは、(a)1つ以上の抗Claudin18.2 sdAb(複数可)を含む細胞外抗原結合ドメインと、(b)膜貫通ドメインと、(c)細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、ポリペプチドを含むCARを含む、遺伝子操作された免疫エフェクター細胞(T細胞など)であり、Claudin18.2 sdAbは、配列番号38~51及び77~85のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8α、CD4、CD28、CD137、CD80、CD86、CD152、及びPD1からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫エフェクター細胞(T細胞など)の一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζに由来する。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、CD137、OX40、CD30、CD40、CD3、LFA-1、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83のリガンド(CD83及びMD-2など)、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される共刺激分子に由来する。いくつかの実施形態では、CARは、細胞外抗原結合ドメインのC末端と膜貫通ドメインのN末端との間に位置するヒンジドメイン(CD8αヒンジドメインなど)をさらに含む。いくつかの実施形態では、CARは、ポリペプチドのN末端に位置するシグナルペプチド(CD8αシグナルペプチドなど)をさらに含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、N末端からC末端まで、CD8αシグナルペプチド、細胞外抗原結合ドメイン、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通ドメイン、CD137に由来する共刺激シグナル伝達ドメイン、及びCD3ζに由来する一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0374】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号53~66及び86~93からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCARを含む、遺伝子操作されたエフェクター細胞(T細胞など)である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、配列番号53~66及び86~93からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含むCARを含む、遺伝子操作されたエフェクター細胞(T細胞など)である。
【0375】
他の実施形態では、(a)Claudin18.2に特異的に結合する第1の単一ドメイン抗体(sdAb)と、1つ以上の追加の抗原結合ドメイン(複数可)とを含む、細胞外抗原結合ドメインと、(b)膜貫通ドメインと、(c)細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、ポリペプチドを含む多重特異性(二重特異性もしくは三重特異性など)または多価(二価もしくは三価)キメラ抗原受容体(CAR)を含む、遺伝子操作された免疫エフェクター細胞(T細胞など)が提供される。いくつかの実施形態では、追加の抗原結合ドメインは、Claudin18.2の異なるエピトープに結合する。他の実施形態では、追加の抗原結合ドメインは、CD22、CD19、CD20、CD33、CD38、BCMA、CS1、ROR1、GPC3、CD123、IL-13R、CD138、c-Met、EGFRvIII、GD-2、NY-ESO-1、MAGE A3、及び糖脂質F77などの異なる抗原に結合する。いくつかの実施形態では、第1のsdAb及び/または追加のsdAbは、ラクダ科、キメラ、ヒト、またはヒト化である。いくつかの実施形態では、第1の単一ドメイン抗体及び追加の単一ドメイン抗体は、ペプチド結合またはペプチドリンカーを介して相互に融合される。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8α、CD4、CD28、CD137、CD80、CD86、CD152、及びPD1からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫エフェクター細胞(T細胞など)の一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζに由来する。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、CD137、OX40、CD30、CD40、CD3、LFA-1、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83のリガンド(CD83及びMD-2など)、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される共刺激分子に由来する。いくつかの実施形態では、多重特異性CARは、細胞外抗原結合ドメインのC末端と膜貫通ドメインのN末端との間に位置するヒンジドメイン(CD8αヒンジドメインなど)をさらに含む。いくつかの実施形態では、多重特異性CARは、ポリペプチドのN末端に位置するシグナルペプチド(CD8αシグナルペプチドなど)をさらに含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、N末端からC末端まで、CD8αシグナルペプチド、細胞外抗原結合ドメイン、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通ドメイン、CD137に由来する共刺激シグナル伝達ドメイン、及びCD3ζに由来する一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0376】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された免疫エフェクター細胞は、T細胞、NK細胞、末梢血単核細胞(PBMC)、造血幹細胞、多能性幹細胞、または胚幹細胞である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された免疫エフェクター細胞は、自己由来である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された免疫エフェクター細胞は、同種異系である。
【0377】
また、2つ以上の異なるCARを含む(または発現する)、遺伝子操作された免疫エフェクター細胞も提供される。本明細書に記載のCARのうちのいずれか2つ以上は、組み合わせて発現され得る。CARは、異なる抗原を標的とし、それによって、相乗的または相加的効果を提供し得る。2つ以上のCARは、同じベクターまたは異なるベクター上でコードされ得る。
【0378】
遺伝子操作された免疫エフェクター細胞は、免疫チェックポイント阻害剤などの1つ以上の治療用タンパク質及び/または免疫調節剤をさらに発現し得る。例えば、参照によりそれらの全体で本明細書に組み込まれる、国際特許出願第PCT/CN2016/073489号及び同第PCT/CN2016/087855号を参照のこと。
【0379】
5.4.1.ベクター
本開示は、本明細書に記載のCARのうちのいずれか1つをクローニング及び発現するためのベクターを提供する。いくつかの実施形態では、ベクターは、哺乳類細胞などの真核生物細胞における複製及び組み込みに好適である。いくつかの実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターである。ウイルスベクターの例としては、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ワクシニアベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、及びそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。ウイルスベクター技術は、当該技術分野で周知であり、例えば、Sambrookら(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)、ならびに他のウイルス学及び分子生物学手引き書に記載されている。
【0380】
いくつかのウイルスベースの系が、哺乳類細胞への遺伝子導入のために開発されている。例えば、レトロウイルスは、遺伝子送達系に好都合なプラットフォームを提供する。異種核酸は、ベクターに挿入され、当該技術分野で既知の技術を使用してレトロウイルス粒子内にパッケージングされ得る。その後、組換えウイルスは、単離され、操作された哺乳類細胞にインビトロまたはエクスビボ送達され得る。いくつかのレトロウイルス系が当該技術分野で既知である。いくつかの実施形態では、アデノウイルスベクターが使用される。いくつかのアデノウイルスベクターが当該技術分野で既知である。いくつかの実施形態では、レンチウイルスベクターが使用される。いくつかの実施形態では、自己不活性化レンチウイルスベクターが使用される。例えば、免疫調節剤(免疫チェックポイント阻害剤など)コード配列を担持する自己不活性化レンチウイルスベクター及び/またはキメラ抗原受容体を担持する自己不活性化レンチウイルスベクターは、当該技術分野で既知のプロトコルでパッケージングされることができる。結果として生じるレンチウイルスベクターは、当該技術分野で既知の方法を使用して哺乳類細胞(初代ヒトT細胞など)を形質導入するために使用されることができる。レンチウイルスなどのレトロウイルスに由来するベクターは、それらが導入遺伝子の長期の安定した組み込み及び子孫細胞におけるその繁殖を可能にするため、長期遺伝子導入を達成するのに好適なツールである。レンチウイルスベクターは、低免疫原性も有し、非増殖細胞を形質導入することができる。
【0381】
いくつかの実施形態では、ベクターは、本明細書に記載のCARをコードする核酸のうちのいずれか1つを含む。核酸は、当該技術分野で既知の任意の分子クローニング法を使用して、例えば、制限エンドヌクレアーゼ部位及び1つ以上の選択可能なマーカーを使用して、ベクターにクローニングされ得る。いくつかの実施形態では、核酸は、プロモーターに操作可能に連結される。種々のプロモーターが、哺乳類細胞での遺伝子発現について調査されており、当該技術分野で既知のプロモーターのうちのいずれかが本開示で使用され得る。プロモーターは、構成的プロモーターまたは制御プロモーター、例えば、誘導性プロモーターとして大まかに分類され得る。
【0382】
いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸は、構成的プロモーターに操作可能に連結される。構成的プロモーターは、異種遺伝子(導入遺伝子とも称される)を宿主細胞で構成的に発現させる。本明細書で企図される例示的な構成的プロモーターとしては、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、ヒト伸長因子-1α(hEF1α)、ユビキチンCプロモーター(UbiC)、ホスホグリセロキナーゼプロモーター(PGK)、シミアンウイルス40初期プロモーター(SV40)、及びCMV初期エンハンサーと結合されたニワトリβ-アクチンプロモーター(CAGG)が挙げられるが、これらに限定されない。導入遺伝子発現の駆動におけるかかる構成的プロモーターの効率は、多数の研究において広く比較されている。例えば、Michael C.Milone et alは、初代ヒトT細胞でのキメラ抗原受容体発現を駆動するためのCMV、hEF1α、UbiC、及びPGKの効率を比較し、hEF1αプロモーターが、最高レベルの導入遺伝子発現を誘導するだけでなく、CD4及びCD8ヒトT細胞で最適に維持されるという結論を下した(Molecular Therapy,17(8):1453-1464(2009))。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸は、hEF1αプロモーターに操作可能に連結される。
【0383】
いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸は、誘導性プロモーターに操作可能に連結される。誘導性プロモーターは、制御プロモーターのカテゴリーに属する。誘導性プロモーターは、物理的条件、遺伝子操作された免疫エフェクター細胞の微環境、または遺伝子操作された免疫エフェクター細胞、誘導因子(すなわち、誘導剤)、もしくはそれらの組み合わせの生理学的状態などの1つ以上の条件によって誘導され得る。
【0384】
いくつかの実施形態では、誘導条件は、遺伝子操作された哺乳類細胞及び/または薬学的組成物を受ける対象において内在性遺伝子の発現を誘導しない。いくつかの実施形態では、誘導条件は、誘導因子、放射線照射(イオン化放射、光など)、温度(熱など)、レドックス状態、腫瘍環境、及び遺伝子操作された哺乳類細胞の活性化状態からなる群から選択される。
【0385】
いくつかの実施形態では、ベクターはまた、レンチウイルスベクターを通してトランスフェクトされた宿主細胞の集団からCARを発現する細胞を選択するために、選択可能なマーカー遺伝子またはレポーター遺伝子も含有する。選択可能なマーカー及びレポーター遺伝子はいずれも適切な制御配列と隣接して、宿主細胞での発現を可能にし得る。例えば、ベクターは、転写及び翻訳ターミネーター、開始配列、及び核酸配列の発現の制御に有用なプロモーターを含有し得る。
【0386】
いくつかの実施形態では、ベクターは、CARをコードする1つを超える核酸を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、第1のCARをコードする第1の核酸配列と、第2のCARをコードする第2の核酸配列とを含む、核酸を含み、第1の核酸は、自己切断型ペプチドをコードする第3の核酸配列を介して第2の核酸に操作可能に連結される。いくつかの実施形態では、自己切断型ペプチドは、T2A、P2A、及びF2Aからなる群から選択される。
【0387】
5.4.2.免疫エフェクター細胞
「免疫エフェクター細胞」は、免疫エフェクター機能を実施し得る免疫細胞である。いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を実施する。ADCCを媒介する免疫エフェクター細胞の例としては、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞、好中球、及び好酸球が挙げられる。
【0388】
いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞は、CD4+/CD8-、CD4-/CD8+、CD4+/CD8+、CD4-/CD8-、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、T細胞は、CARを発現し、Claudin18.2+腫瘍細胞などの標的細胞に結合することに応じて、IL-2、TFN、及び/またはTNFを産生する。いくつかの実施形態では、CD8+T細胞は、CARを発現し、標的細胞に結合することに応じて、抗原特異的標的細胞を溶解させる。
【0389】
いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞は、NK細胞である。他の実施形態では、免疫エフェクター細胞は、確立された細胞株、例えば、NK-92細胞であり得る。
【0390】
いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞は、造血幹細胞、多能性幹細胞、iPS、または胚幹細胞などの幹細胞から分化される。
【0391】
遺伝子操作された免疫エフェクター細胞は、CARをT細胞などの免疫エフェクター細胞に導入することによって調製される。いくつかの実施形態では、CARは、単離された核酸のうちのいずれか1つまたは上記に記載のベクターのうちのいずれか1つをトランスフェクトすることによって、免疫エフェクター細胞に導入される。いくつかの実施形態では、CARは、タンパク質を細胞膜に挿入しながら、細胞をCELL SQUEEZE(登録商標)などのマイクロ流体系に通過させることによって、免疫エフェクター細胞に導入される(例えば、米国特許出願公開第20140287509号を参照のこと)。
【0392】
ベクターまたは単離された核酸を哺乳類細胞に導入する方法が、当該技術分野で既知である。記載のベクターは、物理的、化学的、または生物学的方法によって免疫エフェクター細胞に移入されることができる。
【0393】
ベクターを免疫エフェクター細胞に導入するための物理的方法としては、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、粒子衝突、微量注入法、電気穿孔法、及び同等物が挙げられる。ベクター及び/または外因性核酸を含む細胞を産生するための方法が、当該技術分野で周知である。例えば、Sambrook et al.(2001) Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New Yorkを参照のこと。いくつかの実施形態では、ベクターは、電気穿孔法によって細胞に導入される。
【0394】
ベクターを免疫エフェクター細胞に導入するための生物学的方法は、DNA及びRNAベクターの使用を含む。ウイルスベクターは、遺伝子を哺乳類細胞、例えば、ヒト細胞に挿入するための最も広く使用されている方法である。
【0395】
ベクターを免疫エフェクター細胞に導入するための化学的手段には、巨大分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、ならびに水中油乳剤、ミセル、混合ミセル、及びリポソームを含む脂質に基づく系などのコロイド分散系が含まれる。インビトロで送達ビヒクルとして使用するための例示的なコロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。
【0396】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCARのうちのいずれかをコードするRNA分子は、従来の方法(例えば、インビトロ転写)によって調製され、次いで、mRNA電気穿孔法などの既知の方法を介して免疫エフェクター細胞に導入され得る。例えば、Rabinovich et al.,Human Gene Therapy 17:1027-1035(2006)を参照のこと。
【0397】
いくつかの実施形態では、形質導入またはトランスフェクトされた免疫エフェクター細胞は、ベクターまたは単離された核酸の導入後にエクスビボで繁殖される。いくつかの実施形態では、形質導入またはトランスフェクトされた免疫エフェクター細胞は、少なくとも約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、10日間、12日間、または14日間のうちのいずれかにわたって繁殖するように培養される。いくつかの実施形態では、形質導入またはトランスフェクトされた免疫エフェクター細胞は、遺伝子操作された哺乳類細胞を選択するようにさらに評価またはスクリーニングされる。
【0398】
レポーター遺伝子が、潜在的にトランスフェクトされた細胞を同定するため、及び調節配列の機能性を評価するために使用され得る。一般に、レポーター遺伝子は、レシピエント生物もしくは組織に存在せず、またはそれによって発現されず、発現がいくつかの容易に検出可能な特性、例えば、酵素活性により明らかになるポリペプチドをコードする遺伝子である。レポーター遺伝子の発現は、DNAがレシピエント細胞に導入された後の好適な時点でアッセイされる。好適なレポーター遺伝子は、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌アルカリ性ホスファターゼ、または緑色蛍光タンパク質遺伝子をコードする遺伝子を含み得る(例えば、Ui-Tei et al.FEBS Letters 479:79-82(2000))。好適な発現系が周知であり、既知の技法を使用して調製されるか、または商業的に入手され得る。
遺伝子操作された免疫エフェクター細胞内のCARをコードする核酸の存在を確認するための他の方法としては、例えば、サザンブロット法及びノーザンブロット法、RT-PCR及びPCRなどの当業者に周知の分子生物学的アッセイ、例えば、免疫学的方法(ELISA及びウェスタンブロット法など)によって、特定のペプチドの存在または不在を検出することなどの生化学的アッセイが挙げられる。
【0399】
5.4.3.T細胞源
いくつかの実施形態では、T細胞の増殖及び遺伝子修飾の前に、T細胞源が、対象から取得される。T細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織、及び腫瘍を含むいくつかの源から得られ得る。いくつかの実施形態では、当該技術分野で入手可能な任意の数のT細胞株が使用され得る。いくつかの実施形態では、T細胞は、Ficoll(商標)分離などの当業者に既知である任意の数の技法を使用して対象から収集される血液単位から取得されることができる。いくつかの実施形態では、個体の循環血液由来の細胞は、アフェレーシスによって得られる。アフェレーシス産物は、典型的には、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球細胞、赤血球細胞、及び血小板を含むリンパ球を含有する。いくつかの実施形態では、アフェレーシスによって回収された細胞は、洗浄されて血漿画分を除去し、細胞をその後の処理ステップに適切な緩衝液または培地中に置いてもよい。いくつかの実施形態では、細胞は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄される。いくつかの実施形態では、洗浄溶液は、カルシウムを欠き、マグネシウムを欠き得、またはすべてではないが多くの二価陽イオンを欠き得る。いくつかの実施形態では、カルシウムの不在下での初期活性化ステップが、活性化の拡大につながり得る。当業者であれば容易に理解するであろうように、洗浄ステップは、当業者に既知の方法によって、例えば、製造業者の指示に従って半自動「貫流」遠心分離機(例えば、Cobe 2991細胞処理装置、Baxter CytoMate、またはHaemonetics Cell Saver 5)を使用することによって達成され得る。洗浄後、細胞は、様々な生体適合性緩衝液、例えば、Ca2+を含まないPBS、Mg2+を含まないPBS、PlasmaLyte A、または他の生理食塩水溶液(緩衝液の有無にかかわらず)などに再懸濁され得る。あるいは、アフェレーシス試料の望ましくない成分が除去され、細胞が培養培地に直接再懸濁され得る。
【0400】
いくつかの実施形態では、T細胞は、赤血球細胞を溶解し、例えば、PERCOLL(商標)勾配による遠心分離または向流遠心分離水簸によって単球を枯渇させることによって、末梢血リンパ球から単離される。CD3+、CD28+、CD4+、CD8+、CD45RA+、及びCD45RO+T細胞などのT細胞の特定の下位集団は、陽性または陰性選択技法によってさらに単離され得る。例えば、いくつかの実施形態では、T細胞は、所望のT細胞の陽性選択に十分な時間にわたる、抗CD3/抗CD28(すなわち、3×28)コンジュゲートビーズ、例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 Tとのインキュベーションによって単離される。いくつかの実施形態では、時間は、約30分間である。さらなる一実施形態では、時間は、30分間~36時間以上の範囲及びそれらの間のすべての整数値である。さらなる一実施形態では、時間は、少なくとも1、2、3、4、5、または6時間である。いくつかの実施形態では、時間は、10~24時間である。いくつかの実施形態では、インキュベーション時間は、24時間である。白血病を有する患者からのT細胞の単離の場合、24時間などのより長いインキュベーション時間により、細胞収率が高まり得る。より長いインキュベーション時間を使用して、例えば、腫瘍組織または免疫が低下した個体から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を単離する際に、他の細胞型と比較してわずかなT細胞しか存在しない任意の状況下でT細胞を単離することができる。さらに、より長いインキュベーション時間の使用により、CD8+T細胞の捕捉効率が高まり得る。したがって、いくつかの実施形態では、単にT細胞がCD3/CD28ビーズに結合させられる時間を短縮もしくは延長することによって、及び/またはT細胞に対するビーズの比率を増加もしくは減少させることによって、T細胞の下位集団は、培養開始時またはプロセス中の他の時点で賛否について優先的に選択されることができる。加えて、ビーズまたは他の表面上の抗CD3及び/または抗CD28抗体の比率を増加または減少させることによって、T細胞の下位集団は、培養開始時または他の所望の時点で賛否について優先的に選択され得る。当業者であれば、複数回の選択ラウンドを使用することもできることを認識するであろう。いくつかの実施形態では、選択手順を実行し、活性化及び増殖プロセスで「選択されていない」細胞を使用することが望ましい場合がある。「選択されていない」細胞は、さらなる選択ラウンドにも供され得る。
【0401】
陰性選択によるT細胞集団の富化は、陰性選択された細胞に特有の表面マーカーに指向された抗体の組み合わせを用いて達成され得る。1つの方法は、陰性選択された細胞に存在する細胞表面マーカーに指向されたモノクローナル抗体のカクテルを使用する陰性磁気免疫付着またはフローサイトメトリーによる細胞選別及び/または選択である。例えば、陰性選択によりCD4+細胞を濃縮するために、モノクローナル抗体のカクテルは、典型的には、CD14、Claudin18.2、CD11b、CD16、HLA-DR、及びCD8に対する抗体を含む。ある特定の実施形態では、典型的にはCD4+、CD25+、CD62Lhi、GITR+、及びFoxP3+を発現する制御T細胞を濃縮するか、またはそれを陽性選択することが望ましい場合がある。代替として、ある特定の実施形態では、制御性T細胞は、抗CD25コンジュゲートビーズまたは他の同様の選択方法によって枯渇される。
【0402】
陽性または陰性選択による所望の細胞集団を単離するために、細胞及び表面(例えば、ビーズなどの粒子)の濃度を変化させることができる。ある特定の実施形態では、細胞とビーズの最大接触を確実にするために、ビーズ及び細胞が一緒に混合される体積を著しく減少させる(すなわち、細胞の濃度を増加させる)ことが望ましい場合がある。例えば、一実施形態では、20億個の細胞/mLの濃度が使用される。一実施形態では、10億個の細胞/mLの濃度が使用される。さらなる実施形態では、1億個を超える細胞/mLが使用される。さらなる実施形態では、1000万、1500万、2000万、2500万、3000万、3500万、4000万、4500万、または5000万個の細胞/mLの濃度が使用される。さらに別の実施形態では、7500万、8000万、8500万、9000万、9500万、または1億個の細胞/mLの濃度が使用される。さらなる実施形態では、1億2500万または1億5000万個の細胞/mLの濃度が使用されることができる。高濃度を使用することは、細胞収率、細胞活性化、及び細胞増殖の増加をもたらし得る。さらに、高細胞濃度の使用は、CD28陰性T細胞などの目的の標的抗原を弱く発現し得る細胞、または多くの腫瘍細胞が存在する試料(すなわち、白血病血液、腫瘍組織など)からの細胞のより効率的な捕捉を可能にし得る。かかる細胞集団は、治療値を有し得、取得することが望ましいであろう。いくつかの実施形態では、高濃度の細胞を使用することは、通常より弱いCD28発現を有するCD8+T細胞のより効率的な選択を可能にする。
【0403】
いくつかの実施形態では、より低い濃度の細胞を使用することが望ましい場合がある。T細胞と表面(例えば、ビーズなどの粒子)との混合物を著しく希釈することにより、粒子と細胞との間の相互作用が最小限に抑えられる。これにより、粒子と結合する多量の所望の抗原を発現する細胞が選択される。例えば、CD4+T細胞は、より高いレベルのCD28を発現し、希釈濃度でCD8+T細胞よりも効率的に捕捉される。いくつかの実施形態では、使用される細胞の濃度は、5×106/mLである。いくつかの実施形態では、使用される濃度は、約1×105/mL~1×106/mL、及びそれらの間の任意の整数値であり得る。
【0404】
いくつかの実施形態では、細胞は、回転子上で、2~10℃または室温のいずれかで、様々な速度で様々な長さの時間にわたってインキュベートされ得る。
【0405】
刺激用のT細胞は、洗浄ステップ後に凍結することもできる。理論によって拘束されるものではないが、凍結及び後続の解凍ステップは、細胞集団内の顆粒球を除去し、単球をある程度除去することによって、より均一な生成物を提供し得る。血漿及び血小板を除去する洗浄ステップ後、細胞は、凍結溶液中に懸濁され得る。多くの凍結溶液及びパラメータが、当該技術分野で既知であり、この状況で有用であろうが、1つの方法は、20%DMSO及び8%ヒト血清アルブミンを含有するPBS、または10%デキストラン40及び5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミン及び7.5%DMSO、もしくは31.25%Plasmalyte-A、31.25%デキストロース5%、0.45%NaCl、10%デキストラン40及び5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミン、ならびに7.5%DMSOを含有する培養培地、または例えば、Hespan及びPlasmalyte Aを含有する他の好適な細胞凍結培地を使用することを伴う。細胞は、次いで、1℃/分の速度で-80℃まで凍結され、液体窒素貯蔵タンクの気相中に貯蔵される。他の制御凍結方法、ならびに-20℃でまたは液体窒素中での即時の非制御凍結方法が使用され得る。
【0406】
いくつかの実施形態では、凍結保存細胞が解凍され、本明細書に記載されるように洗浄され、室温で1時間静置させた後、活性化する。
【0407】
また、本明細書に記載されるような細胞の増殖が必要とされ得る前の期間における対象からの血液試料またはアフェレーシス産物の収集も本開示で企図される。したがって、増殖される細胞の源は、必要な任意の時点で回収され、T細胞などの所望の細胞が単離され、本明細書に記載の疾患または状態などのT細胞療法の利益を享受するであろう任意の数の疾患または状態のためのT細胞療法での後の使用のために凍結される。一実施形態では、血液試料またはアフェレーシスは、一般に健常な対象から採取される。ある特定の実施形態では、血液試料またはアフェレーシスは、疾患を発症する危険性があるが、疾患をまだ発症していない一般に健常な対象から採取され、目的とする細胞が単離され、後の使用のために凍結される。ある特定の実施形態では、T細胞が増殖され、凍結され、後に使用され得る。ある特定の実施形態では、試料は、本明細書に記載の特定の疾患の診断直後であるが、任意の治療の前に患者から回収される。さらなる一実施形態では、細胞は、薬剤、例えば、ナタリズマブ、エファリズマブ、抗ウイルス剤、化学療法、放射線、免疫抑制剤、例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノール酸、及びFK506、抗体、または他の免疫除去剤(immunoablative agent)、例えば、CAMPATH、抗CD3抗体、シトキサン、フルダラビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228、及び放射線照射での治療を含むが、これらに限定されない、任意の数の関連治療法前に対象由来の血液試料またはアフェレーシスから単離される。これらの薬物は、カルシウム依存性ホスファターゼカルシニューリンを阻害する(シクロスポリン及びFK506)か、または成長因子誘導シグナル伝達のために重要であるp70S6キナーゼを阻害する(ラパマイシン)かのいずれかである(Liu et al.,Cell 66:807-815(1991)、Henderson et al.,Immun 73:316-321(1991)、Bierer et al.,Curr.Opin.Immun.5:763-773(1993))。さらなる一実施形態では、細胞は、患者のために単離され、骨髄もしくは幹細胞移植、フルダラビンなどのいずれかの化学療法薬を使用したT細胞除去療法、外部ビーム放射線療法(XRT)、シクロホスファミド、または抗体、例えば、OKT3もしくはCAMPATHと併せて(例えば、その前に、同時に、またはその後に)後の使用のために凍結される。
【0408】
いくつかの実施形態では、T細胞は、治療後に患者から直接得られる。この点について、ある特定のがん治療後、具体的には、免疫系を損傷する薬物での治療後、治療直後、患者が通常治療から回復する期間中、得られたT細胞の質が最適であるか、またはエクスビボで増殖するそれらの能力について改善され得ることが観察されている。同様に、本明細書に記載の方法を使用したエクスビボ操作後、これらの細胞は、移植の増強及びインビボ増殖に好ましい状態にあり得る。したがって、この回復期中のT細胞、樹状細胞、または造血系列の他の細胞を含む血液細胞を収集することが、本発明の文脈内で企図される。さらに、ある特定の実施形態では、動員(例えば、GM-CSFでの動員)及び前処置(conditioning)レジメンを使用して、特に、療法後の定義された期間中に、特定の細胞型の再増殖、再循環、再生、及び/または増殖が好ましい状態を対象に作り出すことができる。例証的な細胞型としては、T細胞、B細胞、樹状細胞、及び免疫系の他の細胞が挙げられる。
【0409】
5.4.4.T細胞の活性化及び増殖
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCARを用いたT細胞の遺伝子修飾の前または後に、T細胞は、例えば、米国特許第6,352,694号、同第6,534,055号、同第6,905,680号、同第6,692,964号、同第5,858,358号、同第6,887,466号、同第6,905,681号、同第7,144,575号、同第7,067,318号、同第7,172,869号、同第7,232,566号、同第7,175,843号、同第5,883,223号、同第6,905,874号、同第6,797,514号、同第6,867,041号、及び米国特許出願公開第20060121005号に記載されるような方法を一般に使用して、活性化及び増殖されることができる。
【0410】
一般に、T細胞は、CD3/TCR複合体関連シグナルを刺激する薬剤及びT細胞の表面上の共刺激分子を刺激するリガンドと結合した表面との接触によって増殖され得る。具体的には、T細胞集団は、本明細書に記載されるように、例えば、抗CD3抗体もしくはその抗原結合断片、または表面上に固定化された抗CD2抗体との接触によって、またはカルシウムイオノフォアと併せたタンパク質キナーゼC活性化因子(例えば、ブリオスタチン)との接触によって刺激され得る。T細胞の表面上のアクセサリー分子の共刺激のために、アクセサリー分子と結合するリガンドが使用される。例えば、T細胞集団は、T細胞の増殖を刺激するのに適切な条件下で抗CD3抗体及び抗CD28抗体と接触し得る。CD4+T細胞またはCD8+T細胞のいずれかの増殖を刺激するために、抗CD3抗体及び抗CD28抗体。抗CD3抗体の例としては、UCHT1、OKT3、HIT3a(BioLegend,San Diego,US)が挙げられ、当該技術分野で一般的に既知である他の方法も同様に使用されることができる(Graves J,et al.,J.Immunol.146:2102(1991)、Li B,et al.,Immunology 116:487(2005)、Rivollier A,et al.,Blood 104:4029(2004))。抗CD28抗体の例としては、9.3、B-T3、XR-CD28(Diaclone,Besancon,France)が挙げられ、当該技術分野で一般的に既知である他の方法も同様に使用されることができる(Berg et al.,Transplant Proc.30(8):3975-3977(1998)、Haanen et al.,J.Exp.Med.190(9):13191328(1999)、Garland et al.,J.Immunol Meth.227(1-2):53-63(1999))。
【0411】
いくつかの実施形態では、T細胞の一次刺激シグナル及び共刺激シグナルは、異なるプロトコルによって提供され得る。例えば、各シグナルを提供する薬剤は、溶液中に存在し得るか、または表面にカップリングし得る。表面にカップリングすると、薬剤は、同じ表面にカップリングし得る(すなわち、「シス」形成)か、または表面を分離し得る(すなわち、「トランス」形成)。あるいは、一方の薬剤が表面にカップリングし、他方の薬剤が溶液中に存在し得る。一実施形態では、共刺激シグナルを提供する薬剤は、細胞表面と結合し、一次活性化シグナルを提供する薬剤は、溶液中に存在するか、または表面と結合する。ある特定の実施形態では、両方の薬剤が溶液中に存在し得る。別の実施形態では、薬剤は、可溶性形態であり得、表面、例えば、Fc受容体もしくは抗体を発現する細胞、または薬剤と結合する他の結合剤に架橋し得る。この点に関して、例えば、本開示内のある特定の実施形態においてT細胞を活性化及び増殖させる際に使用するために企図される人工抗原提示細胞(aAPC)について、米国特許出願公開第20040101519号及び同第20060034810号を参照のこと。
【0412】
いくつかの実施形態では、T細胞は、薬剤でコーティングされたビーズと合わせられ、その後、ビーズとT細胞が分離され、次いで、T細胞が培養される。代替の一実施形態では、培養前に、薬剤でコーティングされたビーズと細胞は分離されず、一緒に培養される。さらなる一実施形態では、ビーズ及び細胞は、磁力などの力を加えることによって最初に濃縮され、細胞表面マーカーのライゲーションの増加がもたらされ、それにより細胞刺激を誘導する。
【0413】
一例として、細胞表面タンパク質は、抗CD3及び抗CD28が結合する常磁性ビーズ(3×28個のビーズ)をT細胞と接触させることによってライゲーションされ得る。一実施形態では、細胞(例えば、104~4×108個のT細胞)及びビーズ(例えば、1:100の推奨力価における抗CD3/CD28 MACSiBead粒子)が、緩衝液、好ましくは、PBS(カルシウム及びマグネシウムなどの二価陽イオンを伴わない)中で組み合わせられる。当業者は、任意の細胞濃度が使用され得ることを容易に理解することができる。例えば、標的細胞は、試料中では非常に稀であり、試料の0.01%を構成し得るか、または全試料(すなわち、100%)が目的とする標的細胞を含み得る。したがって、任意の細胞数が、本開示の文脈内である。ある特定の実施形態では、粒子及び細胞が一緒に混合される体積を著しく減少させて(すなわち、細胞濃度を増加させて)、細胞と粒子との最大接触を確実にすることが望ましい場合がある。例えば、一実施形態では、約20億個の細胞/mLの濃度が使用される。別の実施形態では、1億個超の細胞/mLが使用される。さらなる一実施形態では、1000万、1500万、2000万、2500万、3000万、3500万、4000万、4500万、または5000万個の細胞/mLの細胞濃度が使用される。なお別の実施形態では、7500万、8000万、8500万、9000万、9500万、または1億個の細胞/mLの細胞濃度が使用される。さらなる実施形態では、1億2500万または1億5000万個の細胞/mLの濃度が使用され得る。高濃度を使用することは、細胞収率、細胞活性化、及び細胞増殖の増加をもたらし得る。さらに、高細胞濃度の使用は、CD28陰性T細胞などの目的の標的抗原を弱く発現し得る細胞のより効率的な捕捉を可能にする。ある特定の実施形態では、かかる細胞集団は、治療値を有し得、取得することが望ましいであろう。例えば、高濃度の細胞の使用により、通常より弱いCD28発現を有するCD8+T細胞のより効率的な選択が可能になる。
【0414】
いくつかの実施形態では、混合物は、数時間(約3時間)~約14日間またはそれらの間の任意の時間単位の整数値にわたって培養され得る。別の実施形態では、混合物は、21日間にわたって培養され得る。一実施形態では、ビーズ及びT細胞は、約8日間にわたって一緒に培養される。別の実施形態では、ビーズ及びT細胞は、2~3日間にわたって一緒に培養される。T細胞の培養時間が60日間以上になり得るように、いくつかの刺激サイクルも所望され得る。T細胞培養のために適切な条件は、血清(例えば、ウシまたはヒト胎児血清)、インターロイキン-2(IL-2)、インスリン、IFN-γ、IL-4、IL-7、GM-CSF、IL-10、IL-12、IL-15、TGFβ、及びTNF-αを含む、増殖及び生存のために必要な因子、または当業者に既知の細胞の成長のための任意の他の添加剤を含有し得る、適切な培地(例えば、最小必須培地またはRPMI培地1640、もしくはX-vivo 15(Lonza))を含む。細胞成長のための他の添加物としては、界面活性剤、プラスマネート、ならびに還元剤、例えば、N-アセチル-システイン及び2-メルカプトエタノールが挙げられるが、これらに限定されない。培地は、アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、及びビタミンが添加され、無血清であるか、または適切な量の血清(もしくは血漿)または定義されたセットのホルモン、及び/またはT細胞の成長及び増殖のために十分な量のサイトカイン(複数可)を補充しているかのいずれかである、RPMI 1640、AIM-V、DMEM、MEM、α-MEM、F-12、X-Vivo 15、及びX-Vivo 20、オプティマイザーを含むことができる。抗生物質、例えば、ペニシリン及びストレプトマイシンは、実験培養物にのみ含まれ、対象に注入される細胞の培養物には含まれない。標的細胞は、成長を支援するのに必要な条件下、例えば、適切な温度(例えば、37℃)及び大気(例えば、空気+5%CO2)で維持される。様々な刺激時間に曝露されたT細胞は、異なる特徴を呈し得る。例えば、典型的な血液またはアフェレーシスされた末梢血単核細胞産物は、細胞傷害性またはサプレッサーT細胞集団(TC、CD8)より大きいヘルパーT細胞集団(TH、CD4+)を有する。CD3及びCD28受容体の刺激によるT細胞のエクスビボ増殖により、約8~9日目前に主にTH細胞からなるT細胞集団が産生されるが、約8~9日目後、T細胞集団は、次第により多くのTC細胞集団を含む。したがって、治療目的に応じて、対象に主にTH細胞からなるT細胞集団を注入することが有利であり得る。同様に、抗原特異的TC細胞サブセットが単離された場合、このサブセットをより大きな程度に増殖することが有益であり得る。
【0415】
さらに、CD4及びCD8マーカーに加えて、他の表現型マーカーが、細胞増殖プロセスの過程中に著しく変化するが、主に、再現可能に変化する。したがって、かかる再現性により、特定の目的のために活性化T細胞産物を調整する能力が有効になる。
【0416】
5.5.ポリヌクレオチド
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、本明細書に記載のポリペプチド(すなわち、Claudin18.2結合部分またはClaudin18.2結合CAR)をコードするポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドである。「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」という用語は、ポリペプチドのコード配列のみを含むポリヌクレオチド、ならびに追加のコード配列及び/または非コード配列を含むポリヌクレオチドを包含する。本開示のポリヌクレオチドは、RNAの形態またはDNAの形態であり得る。DNAは、cDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAを含み、一本鎖がコード鎖または非コード(アンチセンス)鎖であり得る場合、二本鎖または一本鎖であり得る。
【0417】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号38~51及び77~85から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、ヌクレオチド配列)を含む。他の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号53~66及び86~93から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、ヌクレオチド配列)を含む。
【0418】
本開示はまた、本明細書に記載のポリヌクレオチドの変異体も提供し、変異体は、例えば、本明細書に記載のClaudin18.2結合部分の断片、類似体、及び/または誘導体をコードする。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列と少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約96%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一、または少なくとも約99%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドを提供する。
【0419】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド配列と少なくとも約95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド」という語句は、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が参照配列とほぼ同一であるが、各100個のヌクレオチド当たり最大5つの点変異を伴うことを意味する。換言すれば、参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを取得するために、参照配列内のヌクレオチドの最大5%が、欠失されるか、もしくは別のヌクレオチドで置換されることができ、または参照配列内の全ヌクレオチドの最大5%であるいくつかのヌクレオチドが、参照配列に挿入されることができる。参照配列のこれらの変異は、参照ヌクレオチド配列の5’もしくは3’末端位置において、またはそれらの末端位置の間の任意の場所で、参照配列内のヌクレオチドの間に個別に散在するか、もしくは参照配列内の1つ以上の連続基内のいずれかで生じ得る。
【0420】
ポリヌクレオチド変異体は、コード領域、非コード領域、またはその両方に改変を含有することができる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド変異体は、サイレント置換、付加、または欠失を生じるが、コードされたポリペプチドの特性または活性を改変しない改変を含有する。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド変異体は、(遺伝子コードの縮退により)アミノ酸配列の変化をもたらさないサイレント置換を含む。ポリヌクレオチド変異体は、種々の理由により、例えば、特定の宿主のためのコドン発現を最適化する(例えば、ヒトmRNAにおけるコドンをE.coliなどの細菌宿主によって好まれるものに変化させる)ために、産生されることができる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド変異体は、配列の非コード領域またはコード領域に少なくとも1つのサイレント変異を含む。
【0421】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド変異体は、コードされたポリペプチドの発現(または発現レベル)を変調または改変するために産生される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド変異体は、コードされたポリペプチドの発現を増加させるために産生される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド変異体は、コードされたポリペプチドの発現を減少させるために産生される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド変異体は、親ポリヌクレオチド配列と比較して、コードされたポリペプチドの発現の増加を生じる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド変異体は、親ポリヌクレオチド配列と比較して、コードされたポリペプチドの発現の減少に寄与する。
【0422】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号38~51、53~66、及び77~93から選択されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドと少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約96%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一、または少なくとも約99%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む。また、配列番号38~51、53~66、及び77~93から選択されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドも提供される。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーションは、当業者に既知であるような高い厳密性の条件下で行われる。
【0423】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、宿主細胞からのポリペプチドの発現及び分泌を補助するポリヌクレオチド(例えば、ポリペプチドの輸送を制御するための分泌配列として機能するリーダー配列)に同じリーディングフレーム内で融合されたポリペプチド(例えば、抗体)のコード配列を含む。ポリペプチドは、ポリペプチドの「成熟」形態を形成するように宿主細胞によって切断されたリーダー配列を有することができる。
【0424】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、マーカーまたはタグ配列に同じリーディングフレーム内で融合されたポリペプチド(例えば、抗体)のコード配列を含む。例えば、いくつかの実施形態では、マーカー配列は、マーカーに融合されたポリペプチドの効率的な精製を可能にするヘキサ-ヒスチジンタグ(HISタグ)である。いくつかの実施形態では、マーカー配列は、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来し、哺乳類宿主(例えば、COS-7細胞)に好適であるヘマグルチニン(HA)タグである。いくつかの実施形態では、マーカー配列は、FLAG(商標)タグである。いくつかの実施形態では、マーカーは、他のマーカーまたはタグと併せて使用され得る。
【0425】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、単離される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、実質的に純粋である。
【0426】
また、本明細書に記載の核酸分子を含むベクターも提供される。一実施形態では、核酸分子は、組換え発現ベクターに組み込まれることができる。本開示は、本開示の核酸のうちのいずれかを含む組換え発現ベクターを提供する。本明細書で使用される場合、「組換え発現ベクター」という用語は、構築物が、mRNA、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ベクターが、細胞内でmRNA、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを発現させるために十分な条件下で細胞と接触させられるときに、宿主細胞によるmRNA、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドの発現を可能にする、遺伝的に修飾されたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド構築物を意味する。本明細書に記載のベクターは、全体として天然に存在するものではないが、ベクターの一部は、天然に存在し得る。記載される組換え発現ベクターは、一本鎖または二本鎖であり、合成されるか、または部分的に天然源から取得され得、天然、非天然、または改変されたヌクレオチドを含有し得る、DNA及びRNAを含むが、これらに限定されない、任意の種類のヌクレオチドを含むことができる。組換え発現ベクターは、天然に存在する、もしくは天然に存在しないヌクレオチド間結合、または両方のタイプの結合を含むことができる。天然に存在しない、もしくは改変されたヌクレオチドまたはヌクレオチド間結合は、ベクターの転写または複製を妨げない。
【0427】
一実施形態では、本開示の組換え発現ベクターは、任意の好適な組換え発現ベクターであり得、任意の好適な宿主を形質転換またはトランスフェクトするために使用されることができる。好適なベクターとしては、プラスミド及びウイルスなどの、繁殖及び増殖のために、もしくは発現のために、または両方のために設計されたものが挙げられる。ベクターは、pUCシリーズ(Fermentas Life Sciences,Glen Burnie,Md.)、pBluescriptシリーズ(Stratagene,LaJolla,Calif.)、pETシリーズ(Novagen,Madison,Wis.)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)、及びpEXシリーズ(Clontech,Palo Alto,Calif.)からなる群から選択されることができる。λGT10、λGT11、λEMBL4、及びλNM1149、λZapII(Stratagene)などのバクテリオファージベクターが、使用されることができる。植物発現ベクターの例としては、pBI01、pBI01.2、pBI121、pBI101.3、及びpBIN19(Clontech)が挙げられる。動物発現ベクターの例としては、pEUK-Cl、pMAM、及びpMAMneo(Clontech)が挙げられる。組換え発現ベクターは、ウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクター、例えば、ガンマレトロウイルスベクターであり得る。
【0428】
一実施形態では、組換え発現ベクターは、例えば、Sambrook et al.(上記)及びAusubel et al.(上記)に記載される標準的な組換えDNA技法を使用して調製される。環状または直鎖状である発現ベクターの構築物は、原核または真核宿主細胞内で機能的な複製系を含有するように調製されることができる。複製系は、例えば、ColE1、SV40、2μプラスミド、λ、ウシ乳頭腫ウイルス、及び同等物に由来し得る。
【0429】
組換え発現ベクターは、適宜、ベクターがDNAベースであるか、またはRNAベースであるかどうかを考慮して、ベクターが導入される宿主の種類(例えば、細菌、植物、真菌、または動物)に特異的である、転写ならびに翻訳開始及び終止コドンなどの調節配列を含み得る。
【0430】
組換え発現ベクターは、形質転換またはトランスフェクトされた宿主の選択を可能にする、1つ以上のマーカー遺伝子を含むことができる。マーカー遺伝子は、殺生物剤耐性、例えば、抗生物質、重金属などに対する耐性、原栄養性を提供するための栄養要求性宿主における相補性、及び同等物を含む。記載される発現ベクターのための好適なマーカー遺伝子としては、例えば、ネオマイシン/G418耐性遺伝子、ヒスチジノールx耐性遺伝子、ヒスチジノール耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、及びアンピシリン耐性遺伝子が挙げられる。
【0431】
組換え発現ベクターは、本開示のヌクレオチド配列に操作可能に連結された天然または規範的プロモーターを含むことができる。プロモーター、例えば、強い、弱い、組織特異的、誘導性、及び発達特異的プロモーターの選択は、当業者の通常の技能の範囲内である。同様に、ヌクレオチド配列をプロモーターと組み合わせることもまた、当業者の技能の範囲内である。プロモーターは、非ウイルスプロモーターまたはウイルスプロモーター、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、RSVプロモーター、SV40プロモーター、またはマウス幹細胞ウイルスの長末端反復で見出されるプロモーターであり得る。
【0432】
組換え発現ベクターは、一過性の発現のため、安定した発現のため、または両方のためのいずれかで設計されることができる。また、組換え発現ベクターは、構成的発現のために、または誘導性発現のために作製されることができる。
【0433】
さらに、組換え発現ベクターは、自殺遺伝子を含むように作製されることができる。本明細書で使用される場合、「自殺遺伝子」という用語は、自殺遺伝子を発現する細胞を死滅させる遺伝子を指す。自殺遺伝子は、遺伝子が発現される細胞上で、薬剤、例えば、薬物に対する感受性を付与し、細胞が薬剤と接触させられるか、またはそれに曝露されるときに、細胞を死滅させる遺伝子であり得る。自殺遺伝子は、当該技術分野で既知であり、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、シトシンデアミナーゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、及びニトロレダクターゼを含む。
【0434】
また、本明細書に記載の核酸分子を含む宿主細胞も提供される。宿主細胞は、異種核酸を含有する任意の細胞であり得る。異種核酸は、ベクター(例えば、発現ベクター)であり得る。例えば、宿主細胞は、細胞による物質の産生、例えば、遺伝子、DNAもしくはRNA配列、タンパク質、または酵素の細胞による発現のために、任意の方法で選択、修飾、形質転換、増殖、使用、または操作される、任意の生物由来の細胞であり得る。適切な宿主が、決定され得る。例えば、宿主細胞は、ベクター骨格及び所望の結果に基づいて選択され得る。一例として、プラスミドまたはコスミドが、いくつかのタイプのベクターの複製のために原核宿主細胞に導入されることができる。DH5α、JM109、及びKCBなどであるが、これらに限定されない細菌細胞、SURE(登録商標)コンピテント細胞、ならびにSOLOPACK Gold細胞が、ベクター複製及び/または発現のための宿主細胞として使用されることができる。加えて、E.coli LE392などの細菌細胞が、ファージウイルスのための宿主細胞として使用され得る。宿主細胞として使用され得る真核細胞としては、酵母(例えば、YPH499、YPH500、及びYPH501)、昆虫、及び哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない。ベクターの複製及び/または発現のための哺乳類真核宿主細胞の例としては、HeLa、NIH3T3、Jurkat、293、COS、Saos、PC12、SP2/0(American Type Culture Collection(ATCC),Manassas,VA、CRL-1581)、NS0(European Collection of Cell Cultures(ECACC),Salisbury,Wiltshire,UK、ECACC番号85110503)、FO(ATCC CRL-1646)、及びAg653(ATCC CRL-1580)マウス細胞株が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なヒト骨髄腫細胞株は、U266(ATCC CRL-TIB-196)である。他の有用な細胞株としては、CHO-K1SV(Lonza Biologics,Walkersville,MD)、CHO-K1 (ATCC CRL-61)、またはDG44などのチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に由来するものが挙げられる。
【0435】
5.6.薬学的組成物
一態様では、本開示はさらに、本開示の単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体を含む結合分子もしくは治療分子、または遺伝子操作された免疫エフェクター細胞を含む、薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、治療的有効量の本開示の単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体を含む結合分子もしくは治療分子、または遺伝子操作された免疫エフェクター細胞と、薬学的に許容される賦形剤とを含む。
【0436】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、治療的有効量の本明細書で提供される単一ドメイン抗体と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物である。
【0437】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、本明細書で提供される単一ドメイン抗体を含む、治療的有効量の治療分子(融合タンパク質、免疫複合体、及び多重特異性結合分子など)と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物である。
【0438】
他の実施形態では、本明細書で提供されるものは、本明細書で提供される単一ドメイン抗体を含む、治療的有効量のCARと、薬学的に許容される賦形剤戸を含む、薬学的組成物である。
【0439】
他の実施形態では、本明細書で提供されるものは、治療的有効量の本明細書で提供される遺伝子操作された免疫エフェクター細胞と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物である。
【0440】
他の実施形態では、本明細書で提供されるものは、例えば、ベクター内の治療的有効量の本明細書で提供される核酸と、例えば、遺伝子療法のために好適である、薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物である。
【0441】
具体的な実施形態では、「賦形剤」という用語はまた、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全もしくは不完全)、担体、またはビヒクルを指すこともできる。薬学的賦形剤は、水、及びピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油、ならびに同等物などの石油、動物、植物、または、合成由来のものを含む油などの滅菌液体であり得る。生理食塩水ならびにデキストロース及びグリセロール水溶液もまた、液体賦形剤として採用されることができる。好適な薬学的賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール、及び同等物が挙げられる。組成物はまた、所望される場合、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含有することもできる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、持続放出製剤、及び同等物の形態をとることができる。好適な薬学的賦形剤の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)Mack Publishing Co.,Easton,PAに記載されている。そのような組成物は、患者への適切な投与のための形態を提供するように、好適な量の賦形剤とともに、精製された形態などで、予防的または治療的有効量の本明細書で提供される活性成分を含有するであろう。製剤は、投与の様式に適するべきである。
【0442】
いくつかの実施形態では、賦形剤の選択は、特定の細胞、結合分子、及び/または抗体によって、及び/または投与方法によって部分的に決定される。したがって、種々の好適な製剤が存在する。
【0443】
典型的には、許容される担体、賦形剤、または安定剤は、採用される投薬量及び濃度においてレシピエントに非毒性であり、緩衝液、アスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE、メタ重亜硫酸ナトリウムを含む酸化防止剤、防腐剤、等張化剤、安定剤、金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体)、EDTAなどのキレート剤、及び/または非イオン性界面活性剤を含む。
【0444】
緩衝液は、特に安定性がpH依存性である場合、治療有効性を最適化する範囲内でpHを制御するために使用され得る。本開示とともに使用するための好適な緩衝剤は、有機酸及び無機酸の両方、ならびにそれらの塩を含む。例えば、クエン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、酢酸塩。さらに、緩衝液は、ヒスチジン及びトリメチルアミン塩、例えば、トリスを含み得る。
【0445】
防腐剤は、微生物成長を遅延させるために添加され得る。本発明とともに使用するための好適な防腐剤としては、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、ベンザルコニウムハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、塩化ベンゼトニウム、チメロサール、フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール、メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾールが挙げられる。
【0446】
時折「安定剤」としても知られている等張化剤が、組成物中の液体の等張性を調整または維持するために存在し得る。タンパク質及び抗体などの大きい荷電した生体分子とともに使用される場合、それらが、荷電したアミノ酸側鎖群と相互作用し、それにより分子間及び分子内相互作用の可能性を低減するため、それらは、多くの場合、「安定剤」と称される。例示的な等張化剤としては、多価糖アルコール、グリセリン、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、及びマンニトールなどの三価以上の糖アルコールが挙げられる。
【0447】
追加の例示的な賦形剤としては、(1)増量剤、(2)溶解度向上剤、(3)安定剤、及び(4)変性または容器の壁への付着を防止する薬剤が挙げられる。かかる賦形剤としては、多価糖アルコール(上に列挙されるもの);アミノ酸、例えば、アラニン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、オルニチン、ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸、トレオニン等;有機糖または糖アルコール、例えば、スクロース、ラクトース、ラクチトール、トレハロース、スタキオース、マンノース、ソルボース、キシロース、リボース、リビトール、ミオイニシトース(myoinisitose)、ミオイニシトール(myoinisitol)、ガラクトース、ガラクチトール、グリセロール、シクリトール(例えば、イノシトール)、ポリエチレングリコール;硫黄含有還元剤、例えば、尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α-モノチオグリセロール、及びチオ硫酸ナトリウム;低分子量タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、または他の免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;単糖(例えば、キシロース、マンノース、フルクトース、グルコース;二糖(例えば、ラクトース、マルトース、スクロース);三糖、例えば、ラフィノース;ならびに多糖、例えば、デキストリンまたはデキストランが挙げられる。
【0448】
非イオン性界面活性剤または洗剤(「湿潤剤」としても知られている)は、治療薬の可溶化を助けるために、ならびに撹拌によって誘導される凝集に対して治療用タンパク質を保護するために存在し得、これはまた、活性治療用タンパク質または抗体の変性を引き起こすことなく、製剤が剪断表面応力に曝露されることも可能にする。好適な非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート(20、40、60、65、80など)、ポリオキサマー(184、188など)、PLURONIC(登録商標)ポリオール、TRITON(登録商標)、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEEN(登録商標)-20、TWEEN(登録商標)-80など)、ラウロマクロゴール400、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油10、50、及び60、モノステアリン酸グリセロール、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロース、ならびにカルボキシメチルセルロースが挙げられる。使用され得る陰イオン性洗剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、及びジオクチルスルホン酸ナトリウムを含む。陽イオン性洗剤は、塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトニウムを含む。
【0449】
薬学的組成物がインビボ投与に使用されるために、それらは、好ましくは、無菌である。薬学的組成物は、滅菌濾過膜を通す濾過によって滅菌にされる。本明細書の薬学的組成物は、一般に、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針によって穿刺可能なストッパーを有する静脈注射用溶液袋またはバイアルの中に入れられることができる。
【0450】
投与経路は、好適な様式で長期間にわたる単回もしくは複数回ボーラスまたは注入、例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、病巣内、もしくは関節内経路による注射または注入、局所投与、吸入、または持続放出もしくは徐放手段によるものなどの既知の許容されている方法に従う。
【0451】
別の実施形態では、薬学的組成物は、制御放出または持続放出システムとして提供されることができる。一実施形態では、ポンプが、制御または持続放出を達成するために使用され得る(例えば、Sefton,Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201-40(1987)、Buchwald et al.,Surgery 88:507-16(1980)、及びSaudek et al.,N.Engl.J.Med.321:569-74(1989)を参照のこと)。別の実施形態では、ポリマー材料が、予防薬もしくは治療薬(例えば、本明細書に記載されるような融合タンパク質)または本明細書で提供される組成物の制御または持続放出を達成するために使用されることができる(例えば、Medical Applications of Controlled Release (Langer and Wise eds.,1974)、Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance (Smolen and Ball eds.,1984)、Ranger and Peppas,J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61-126(1983)、Levy et al.,Science 228:190-92(1985)、During et al.,Ann.Neurol.25:351-56(1989)、Howard et al.,J.Neurosurg.71:105-12(1989)、米国特許第5,679,377号、同第5,916,597号、同第5,912,015号、同第5,989,463号、及び同第5,128,326号、PCT公開第WO 99/15154号及び同第WO 99/20253号を参照のこと)。持続放出製剤で使用されるポリマーの例としては、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、及びポリオルトエステルが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、持続放出製剤で使用されるポリマーは、不活性であり、浸出可能な不純物を含まず、貯蔵上で安定しており、無菌であり、かつ生分解性である。さらに別の実施形態では、制御または持続放出システムは、特定の標的組織、例えば、鼻腔または肺に近接して配置されることができ、したがって、全身用量の一部のみを要求する(例えば、Goodson,Medical Applications of Controlled Release Vol.2,115-38(1984)を参照のこと)。制御放出システムは、例えば、Langer,Science 249:1527 -33(1990)によって論じられている。当業者に既知である任意の技法が、本明細書に記載されるような1つ以上の薬剤を含む持続放出製剤を生産するために使用されることができる(例えば、米国特許第4,526,938号、PCT公開第WO 91/05548号及び同第WO 96/20698号、Ning et al.,Radiotherapy&Oncology 39:179-89(1996)、Song et al.,PDA J.of Pharma.Sci.& Tech.50:372-97(1995)、Cleek et al.,Pro.Int’l.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.24:853-54(1997)、及びLam et al.,Proc.Int’l.Symp.Control Rel.Bioact.Mater.24:759-60(1997)を参照のこと)。
【0452】
本明細書に記載の薬学的組成物はまた、治療されている特定の適応症に必要に応じて、1つを超える活性化合物または薬剤も含有し得る。代替として、または加えて、本組成物は、細胞傷害性剤、化学療法剤、サイトカイン、免疫抑制剤、または成長阻害剤を含み得る。かかる分子は、意図される目的に有効な量で、組み合わせで好適に存在する。
【0453】
活性成分はまた、例えば、コアセルベーション技法によって、または界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセル、及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル内に、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子、及びナノカプセル)内に、またはマクロエマルション内に取り込まれ得る。かかる技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 18th editionに開示されている。
【0454】
様々な組成物及び送達系が既知であり、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、本明細書で提供される単一ドメイン抗体または治療分子を発現することが可能な組換え細胞内の封入、レトロウイルスまたは他のベクターの一部としての核酸の構築等を含むが、これらに限定されない、本明細書で提供される治療薬とともに使用されることができる。
【0455】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される薬学的組成物は、治療的有効量または予防的有効量などの疾患または障害を治療または予防するために有効な量で結合分子及び/または細胞を含有する。いくつかの実施形態における治療的または予防的有効性は、治療された対象の定期的な評価によって監視される。数日間以上にわたる反復投与については、状態に応じて、治療は、疾患症状の所望の抑制が生じるまで繰り返される。しかしながら、他の投薬計画も有用であり得、決定されることができる。
【0456】
単一の剤形を生産するために担体材料と組み合わせられ得る活性成分の量は、治療されている対象及び特定の投与様式に応じて変化し、一般に、治療効果を生じるその組成物の量であろう。一般に、100%のうち、この量は、薬学的に許容される担体と組み合わせて、活性成分の約0.01%~約99%、好ましくは、約0.1%~約70%、最も好ましくは、約1%~約30%に及ぶであろう。
【0457】
投薬計画は、最適な所望の応答(例えば、治療応答)を提供するように調整される。例えば、単回ボーラスが、投与されることができ、いくつかの分割用量が、経時的に投与されることができ、または用量は、治療状況の緊急性によって示されるように比例して低減もしくは増加されることができる。投与の容易性及び投薬量の均一性のために、投薬単位形態で非経口組成物を製剤化することが特に有利である。本明細書で使用される場合の投薬単位形態は、治療される対象のための単位投薬量として適している物理的に離散した単位を指し、各単位は、要求される薬学的担体と関連して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性成分を含有する。代替として、抗体は、持続放出製剤として投与されることができ、その場合、あまり頻繁ではない投与が要求される。
【0458】
組成物の投与については、投薬量は、宿主体重の約0.0001~100mg/kg、より通常は、0.01~5mg/kgに及び得る。例えば、投薬量は、0.3mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、5mg/kg体重、もしくは10mg/kg体重、または1~10mg/kgの範囲内であり得る。例示的な治療計画は、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、1ヶ月に1回、3ヶ月毎に1回、または3~6ヶ月毎に1回の投与を伴う。本発明の抗Claudin18.2抗体のための好ましい投薬計画は、静脈内投与を介した1mg/kg体重または3mg/kg体重を含み、抗体は、(i)6回の投与のために4週間毎、次いで、3ヶ月毎、(ii)3週間毎、(iii)3mg/kg体重を1回、続いて、3週間毎に1mg/kg体重のうちの1つを使用して投与される。いくつかの方法では、投薬量は、約1~1000μg/mL、及びいくつかの方法では約25~300μg/mLの血漿抗体濃度を達成するように調整される。薬学的組成物は、インプラント、経皮パッチ、及びマイクロカプセル化送達系を含む、制御放出製剤であり得る。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸などの生分解性の生体適合性ポリマーが、使用されることができる。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,1978を参照のこと。
【0459】
薬学的組成物が、本明細書に記載の遺伝子操作された免疫細胞のうちのいずれか1つを含む、いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも約104、105、106、107、108、または109個の細胞/個体体重kgのうちのいずれかの投薬量で投与される。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、約104~約105、約105~約106、約106~約107、約107~約108、約108~約109、約104~約109、約104~約106、約106~約108、または約105~約107個の細胞/個体体重kgのうちのいずれかの投薬量で投与される。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも1×105、2×105、3×105、4×105、5×105、6×105、7×105、8×105、9×105、1×106、2×106、3×106、4×106、5×106、6×106、7×106、8×106、9×106、1×107個の細胞/kgまたはそれ以上のうちのいずれかの用量で投与される。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも約3×105~約7×106個の細胞/kg、または約3×106個の細胞/kgの用量で投与される。
【0460】
治療用組成物は、(1)無針皮下注射デバイス(例えば、米国特許第5,399,163号、同第5,383,851号、同第5,312,335号、同第5,064,413号、同第4,941,880号、同第4,790,824号、及び同第4,596,556号)、(2)マイクロ注入ポンプ(米国特許第4,487,603号)、(3)経皮デバイス(米国特許第4,486,194号)、(4)注入装置(米国特許第4,447,233号及び同第4,447,224号)、ならびに(5)浸透圧デバイス(米国特許第4,439,196号及び同第4,475,196号)などの医療デバイスを介して投与されることができ、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0461】
5.7.方法及び用途
別の態様では、本明細書で提供されるものは、抗Claudin18.2 VHH、キメラ抗原受容体(CAR)、及び/または組換え受容体を発現する遺伝子操作された細胞を含む、本明細書で提供されるClaudin18.2結合分子を使用するための方法及びその用途である。
【0462】
5.7.1.治療方法及び用途
本開示はまた、Claudin18.2発現癌または腫瘍を治療する際に、本明細書に開示されるClaudin18.2結合部分、多重特異性もしくは多価分子、コンジュゲート、腫瘍溶解性ウイルス、CAR、遺伝子操作された免疫細胞、それをコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクター、発現ベクターを含有する細胞、または薬学的組成物を使用する方法またはその用途も提供する。理論によって拘束されるものではないが、Claudin18.2結合部分、多特異的または多価分子、コンジュゲート、腫瘍溶解性ウイルス、CAR、及び遺伝子操作された免疫細胞は、インビボでClaudin18.2発現癌細胞を特異的に標的とし、それによって、がん細胞を排除し、溶解させ、及び/または殺傷する治療効果を発揮し得る。
【0463】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるものは、治療的有効量の本明細書に開示されるClaudin18.2結合部分、多重特異性もしくは多価分子、コンジュゲート、腫瘍溶解性ウイルス、CAR、遺伝子操作された免疫細胞、それらをコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクター、発現ベクターを含有する細胞、または薬学的組成物を対象に投与することを含む、Claudin18.2発現腫瘍またはがんの治療を必要とする対象においてClaudin18.2発現腫瘍またはがんを治療する方法である。いくつかの実施形態では、治療され得るClaudin18.2発現癌または腫瘍は、固形腫瘍または非固形腫瘍である。非限定的な例として、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、胃、食道、胃食、肝臓、肺、結腸直腸、子宮内膜、乳、膵臓、精巣、子宮頸、卵巣癌もしくは腫瘍、または神経膠腫である。
【0464】
いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、胃癌または腫瘍である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、原発性胃腺癌である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、食道癌または腫瘍である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、胃食道癌または腫瘍である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、Claudin18.2発現を伴う任意のがんまたは腫瘍である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、Claudin18.2の異所性活性化を伴う任意のがんまたは腫瘍(例えば、膵臓、食道、卵巣、及び肺腫瘍)である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、原発性がんまたは腫瘍(例えば、胃腫瘍)である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、原発性がんまたは腫瘍の転移である。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、胃癌腺癌のリンパ節転移または遠隔転移である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、卵巣に位置する(例えば、クルーケンベルク腫瘍)。ある特定の実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、組織学的サブタイプと相関する。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、食道の腺癌(ただし、扁平上皮癌ではない)、粘液性(ただし、漿液性ではない)卵巣癌、または膵管腺癌(ただし、膵島癌ではない)である。
【0465】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、対象におけるClaudin18.2陽性腫瘍細胞の数を減少させることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法は、対象における腫瘍負荷を減少させることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるClaudin18.2結合部分は、CDC及びADCCを含む対象の天然防御機構を利用して、悪性またはがん細胞を排除するために使用されることができる。
【0466】
本明細書に開示される薬学的組成物の投与に対する患者の応答を監視するための方法は、当該技術分野で既知であり、本明細書に開示される方法に従って採用されることができる。いくつかの実施形態では、当該技術分野で既知の方法が、本明細書に開示される薬学的組成物の投与に対する患者の応答を監視するために採用されることができる。いくつかの実施形態では、当該技術分野で既知の方法が、病変サイズ、及び/またはリンパ節サイズを監視するために使用されることができる。
【0467】
非限定的な例として、いくつかの実施形態では、造影CTスキャンが、患者において病変及び/またはリンパ節を検出及び/または監視するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的組成物の投与は、患者においてCTスキャンによって検出される病変のサイズを縮小することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬学的組成物の投与は、異常なリンパ節の収縮を引き起こし得る。
【0468】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、対象においてがんを治療するか、または腫瘍負荷を低減するために使用されることができ、がんまたは腫瘍は、Claudin18.2発現癌または腫瘍である。一実施形態では、本明細書で提供される方法は、がんを治療するために使用される。がんを治療する方法は、がんと関連付けられる兆候または症状を改善する抗腫瘍効果を有し得ることが理解される。そのような兆候または症状には、腫瘍成長の阻害、腫瘍成長速度の減速、腫瘍サイズの縮小、腫瘍細胞数の削減、腫瘍の排除を含むが、これらに限定されない、腫瘍負荷の低減が含まれ、これらのすべては、当該技術分野で周知である日常的な腫瘍撮像技法を使用して測定されることができる。がんと関連付けられる他の兆候または症状としては、疲労、疼痛、体重減少、及び種々のがんと関連付けられる他の兆候または症状が挙げられるが、これらに限定されない。1つの非限定的な例では、本発明で提供される方法は、腫瘍負荷を低減することができる。したがって、本発明の薬学的組成物の投与は、対象において腫瘍細胞数を削減し、腫瘍サイズを縮小し、及び/または腫瘍を根絶することができる。腫瘍は、固形腫瘍であり得る。本発明の方法はまた、がんを有する対象の生存期間の増加または延長を提供することもできる。加えて、本発明の方法は、がんに対する対象における免疫応答の増加を提供することができる。
【0469】
本発明の方法では、治療的有効量のClaudin18.2結合部分(例えば、抗体)、またはバイオ医薬品(例えば、CAR-T細胞)を含有するClaudin18.2結合部分(例えば、抗体)が、がん治療を必要とする対象に投与される。対象は、哺乳動物であり得る。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。投与は、対象の状態を緩和する抗がん反応を誘発するものである。対象においてがんまたは腫瘍細胞を排除することが、生じ得るが、任意の臨床的改善が、利益を構成する。臨床的改善は、がんまたは腫瘍サイズの縮小及び進行速度の低下を含む。
【0470】
本開示の方法は、がんの既往歴があり、以前の療法に応答している対象を治療するために使用されることができる。以前の療法は、外科的切除、放射線療法、または従来の化学療法であり得る。対象は、臨床的に測定可能な腫瘍を有していない場合があるが、元の腫瘍部位の近くで、または転移によってのいずれかで、疾患進行のリスクがある。そのような対象は、当該技術分野で既知である初期治療の前または後に観察される特徴に応じて、高リスクまたは低リスク群にさらに細分化され得る。高リスク対象は、腫瘍が隣接組織に侵入している、またはリンパ節が関与している対象である。任意に、本開示のバイオ医薬品または組成物は、例えば、家族歴及び/または遺伝子検査に従って、がんに罹患しやすい対象においてがんの発生を防止するために投与され得る。
【0471】
投与を受ける対象は、疾患の進行形態を有し得、治療は、疾患の進行の緩和または逆転を抑制するものである。以前に他の方法によって治癒した対象は、本治療を使用して、再発のリスクを減少または遅延させ得る。加えて、難治性または再発性の悪性腫瘍が、本明細書に開示される薬学的組成物を使用して治療されることができる。
【0472】
所望の効果を生じるために有効な量のバイオ医薬品または組成物が、がんまたは腫瘍治療のために対象に投与され得る。有効量または治療的有効量は、治療時に有益または所望の臨床結果を提供するために十分な量である。有効量は、単回投与または一連の投与(1回以上の用量)で提供されることができる。有効量は、ボーラスで、または連続灌流によって提供されることができる。治療の観点から、有効量は、疾患の進行を緩和、改善、安定化、逆転、もしくは遅延させるか、または別様に疾患の病理学的結果を軽減するために十分である量である。有効量は、特定の対象について医師によって決定されることができる。いくつかの要因が、典型的には、有効量を達成するための適切な投薬量を決定するときに考慮される。これらの要因には、対象の年齢、性別、及び体重、治療されている状態、状態の重症度、ならびに投与されている本開示のバイオ医薬品の形態及び有効濃度が含まれる。
【0473】
作用機序が異なる薬剤を使用する併用療法は、相加的または相乗的な効果をもたらし得る。併用療法は、単剤療法で使用されるよりも低い用量の各薬剤を可能にし、それによって、毒性の副作用を低減し、及び/または本明細書に開示される薬剤の治療指数を増加させることができる。併用療法は、耐性がん細胞が発生する可能性を減少させることができる。
【0474】
したがって、本開示はまた、本開示のClaudin18.2結合部分またはCAR-T細胞などの本発明で提供される治療薬が、対象において腫瘍成長を阻害することに有効である1つ以上の追加の薬剤と同時投与される、併用療法の方法も提供する。一実施形態では、本発明は、抗OX40抗体、抗TIM-3抗体、抗CD137抗体、抗GITR抗体、抗LAG-3抗体、抗PD-L1抗体、及び抗PD-1抗体、及び/または抗CTLA-4抗体などの1つ以上の追加の抗体とともに本開示の対象Claudin18.2結合部分またはCAR-T細胞を対象に投与することを含む、対象において腫瘍成長を阻害するための方法を提供する。
【0475】
追加の療法は、本明細書に記載のバイオ医薬品または薬学的組成物の投与の前に、それと同時に、またはその後に、投与されることができる。併用投与は、単一の医薬製剤において、もしくは別個の製剤を使用するかのいずれかでの同時投与、またはいずれかの順序であるが、一般に、すべての活性薬剤がそれらの生物学的活性を同時に発揮することができるような期間内での連続投与を含み得る。当業者は、治療されている対象の必要性に基づいて、併用療法で使用される追加の薬剤のタイミング及び投薬を含む、本明細書に記載のClaudin18.2結合部分または関連するバイオ医薬品、及び追加の併用療法を投与するための適切な計画を容易に決定することができる。
【0476】
いくつかの具体的な実施形態では、本発明で提供されるものは、例えば、表2のCDRを伴うもの、配列番号38~51及び77~85のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むもの、及び配列番号38~51及び77~85のうちのいずれか1つに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものを含む、上記の第5.2節に記載されるようなClaudin18.2に結合する単一ドメイン抗体を含む結合分子を対象に投与することを含む、対象において疾患または障害を治療するための方法である。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、Claudin18.2関連疾患または障害である。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、Claudin18.2発現腫瘍またはがんである。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、固形腫瘍または非固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、胃癌または腫瘍である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、原発性胃腺癌である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、食道癌または腫瘍である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、胃食道癌または腫瘍である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、Claudin18.2発現を伴う任意のがんまたは腫瘍である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、Claudin18.2の異所性活性化を伴う任意のがんまたは腫瘍(例えば、膵臓、食道、卵巣、及び肺腫瘍)である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、原発性がんまたは腫瘍(例えば、胃腫瘍)である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、原発性がんまたは腫瘍の転移である。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、胃癌腺癌のリンパ節転移または遠隔転移である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、卵巣に位置する(例えば、クルーケンベルク腫瘍)。ある特定の実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、組織学的サブタイプと相関する。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、食道の腺癌(ただし、扁平上皮癌ではない)、粘液性(ただし、漿液性ではない)卵巣癌、または膵管腺癌(ただし、膵島癌ではない)である。
【0477】
他の実施形態では、本明細書で提供されるものは、例えば、第5.3節で提供されるCARを含む細胞を含む、第5.4節で提供されるような遺伝子操作された免疫エフェクター細胞(T細胞など)を対象に投与することを含む、疾患または障害を治療するための方法である。いくつかの実施形態では、対象に投与される遺伝子操作された免疫細胞は、(a)1つ以上の抗Claudin18.2 sdAb(複数可)を含む細胞外抗原結合ドメインと、(b)膜貫通ドメインと、(c)細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、CARを含み、抗Claudin18.2 sdAbは、例えば、表2のCDRを伴うもの、配列番号38~51及び77~85のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むもの、及び配列番号38~51及び77~85に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものを含み、上記の第5.2に記載される通りである。いくつかの実施形態では、対象に投与される遺伝子操作された免疫細胞は、配列番号53~66及び86~93からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または配列番号53~66及び86~93からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、CARを含む。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、Claudin18.2関連疾患または障害である。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、Claudin18.2発現腫瘍またはがんである。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、固形腫瘍または非固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、胃癌または腫瘍である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、原発性胃腺癌である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、食道癌または腫瘍である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、胃食道癌または腫瘍である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、Claudin18.2発現を伴う任意のがんまたは腫瘍である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、Claudin18.2の異所性活性化を伴う任意のがんまたは腫瘍(例えば、膵臓、食道、卵巣、及び肺腫瘍)である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、原発性がんまたは腫瘍(例えば、胃腫瘍)である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、原発性がんまたは腫瘍の転移である。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、胃癌腺癌のリンパ節転移または遠隔転移である。いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、卵巣に位置する(例えば、クルーケンベルク腫瘍)。ある特定の実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、組織学的サブタイプと相関する。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、Claudin18.2発現癌または腫瘍は、食道の腺癌(ただし、扁平上皮癌ではない)、粘液性(ただし、漿液性ではない)卵巣癌、または膵管腺癌(ただし、膵島癌ではない)である。
【0478】
5.7.2.診断及び検出方法ならびに用途
別の態様では、本明細書で提供されるものは、検出、予後、診断、病期分類、1つ以上の組織または細胞型への特定の治療の結合の決定、及び/またはClaudin18.2の検出及び/または抗体によって認識されるそのエピトープの存在などによる、対象における治療決定の通知のために、本明細書で提供される結合分子、例えば、Claudin18.2に結合するVHH及びそのようなVHHを含有する分子(コンジュゲート及び複合体など)の使用を伴う方法である。
【0479】
いくつかの実施形態では、診断または検出の方法で使用するための抗Claudin18.2抗体(本明細書に記載の抗Claudin18.2単一ドメイン抗体のうちのいずれか1つなど)が提供される。さらなる態様では、生体試料中のClaudin18.2の存在を検出する方法が提供される。ある特定の実施形態では、本方法は、生体試料中のClaudin18.2タンパク質の存在を検出することを含む。ある特定の実施形態では、Claudin18.2は、ヒトClaudin18.2である。いくつかの実施形態では、本方法は、Claudin18.2発現疾患または障害と関連する診断及び/または予後方法である。いくつかの実施形態における方法は、抗体とともに生体試料をインキュベート及び/またはプローブすること、及び/または抗体を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、生体試料は、腫瘍もしくはがん組織またはその生検もしくは切片などの細胞もしくは組織またはその一部を含む。ある特定の実施形態では、接触は、試料中に存在するClaudin18.2への抗Claudin18.2抗体の結合を許容する条件下にある。いくつかの実施形態では、本方法は、そのような結合の存在もしくは不在またはレベルを検出することなどの、複合体が抗Claudin18.2抗体と試料中のClaudin18.2との間で形成されるかどうかを検出することをさらに含む。そのような方法は、インビトロまたはインビボ法であり得る。一実施形態では、抗Claudin18.2抗体は、例えば、Claudin18.2が患者の選択のためのバイオマーカーである場合、抗Claudin18.2抗体または遺伝子操作された抗原受容体を用いた療法の対象となる対象を選択するために使用される。
【0480】
いくつかの実施形態では、細胞、組織試料、溶解物、組成物、またはそれに由来する他の試料などの試料が、抗Claudin18.2抗体と接触させられ、抗体と試料(例えば、試料中のClaudin18.2)との間の複合体の結合または形成が、決定または検出される。試験試料中の結合が、同じ組織型の参照細胞と比較して実証または検出されるとき、それは、関連疾患または障害の存在、及び/または抗体を含有する治療薬が、試料が由来する組織もしくは細胞または他の生物学的材料と同じであるか、または同じ型である組織または細胞に特異的に結合するであろうことを示し得る。いくつかの実施形態では、試料は、ヒト組織に由来し、病的及び/または正常組織に由来し、例えば、治療される疾患または障害を有する対象に由来し、及び/またはそのような対象と同じ種であるが、治療される疾患または障害を有していない対象に由来し得る。場合によっては、正常組織または細胞は、治療される疾患または障害を有する対象に由来するが、それ自体は、所与の対象に存在するがんと同じまたは異なる臓器に由来する正常組織であるなど、病的細胞または組織ではない。
【0481】
具体的な抗体・抗原結合を検出するための当該技術分野で既知の様々な方法が、使用されることができる。例示的なイムノアッセイとしては、蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、比濁阻害イムノアッセイ(NIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、及びラジオイムノアッセイ(RIA)が挙げられる。インジケーター部位、または標識基が、アッセイ機器及び適合性のあるイムノアッセイ手順の可用性によってしばしば指示される、方法の様々な用途の必要性を満たすように使用されることができる。例示的な標識には、放射性核種(例えば、125I、131I、35S、3H、もしくは32P、及び/またはクロム(51Cr)、コバルト(57Co)、フッ素(18F)、ガドリニウム(153Gd、159Gd)、ゲルマニウム(68Ge)、ホルミウム(166Ho)、インジウム(115In、113In、112In、111In)、ヨウ素(125I、123I、121I)、ランタン(140La)、ルテチウム(177Lu)、マンガン(54Mn)、モリブデン(99Mo)、パラジウム(103Pd)、リン(32P)、プラセオジム(142Pr)、プロメチウム(149Pm)、レニウム(186Re、188Re)、ロジウム(105Rh)、ルテニウム(97Ru)、サマリウム(153Sm)、スカンジウム(47Sc)、セレン(75Se)、(85Sr)、硫黄(35S)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、スズ(113Sn、117Sn)、トリチウム(3H)、キセノン(133Xe)、イッテルビウム(169Yb、175Yb)、イットリウム(90Y))、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、またはβ-ガラクトシダーゼ)、蛍光部分もしくはタンパク質(例えば、フルオロセイン、ローダミン、フィコエリトリン、GFP、もしくはBFP)、または発光部分(例えば、Quantum Dot Corporation,Palo Alto,Calif.によって供給されるQdot(商標)ナノ粒子)を含む。上述の様々なイムノアッセイを実施する際に使用される様々な一般的技法が、既知である。
【0482】
ある特定の実施形態では、標識抗体(抗Claudin18.2単一ドメイン抗体など)が提供される。標識としては、直接検出される標識または部分(蛍光、発色団、高電子密度、化学発光、及び放射性標識など)、ならびに、例えば、酵素反応または分子相互作用を通して間接的に検出される酵素またはリガンドなどの部分が挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態では、抗体は、標識されず、その存在は、抗体のうちのいずれかに結合する標識抗体を使用して検出されることができる。
【0483】
5.8.キット及び製品
本明細書に記載の単一ドメイン抗体、キメラ抗原受容体、または遺伝子操作された免疫エフェクター細胞のうちのいずれかを含む、キット、単位投薬量、及び製品が、さらに提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の薬学的組成物のうちのいずれか1つを含むキットが提供され、好ましくは、その使用に関する指示を提供する。
【0484】
本出願のキットは、好適なパッケージング内に存在する。好適なパッケージングとしては、バイアル、ボトル、瓶、可撓性パッケージング(例えば、密封マイラーまたはプラスチック袋)等が挙げられるが、これらに限定されない。キットは、任意に、緩衝液及び解釈情報などの追加の成分を提供し得る。したがって、本出願は、バイアル(密封バイアルなど)、ボトル、瓶、可撓性パッケージングなどを含む製品も提供する。
【0485】
製品は、容器及び容器上のまたは容器に関連するラベルまたは添付文書を含み得る。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ等が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。一般に、容器は、本明細書に記載の疾患または障害(例えば、がん)を治療するために有効である組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺可能なストッパーを有する静脈注射用溶液袋またはバイアルであり得る)。ラベルまたは添付文書は、組成物が個体における特定の状態の治療のために使用されることを示す。ラベルまたは添付文書は、個体への組成物の投与に関する指示をさらに含む。ラベルは、再構成及び/または使用に関する指示を示し得る。薬学的組成物を保持する容器は、再構成された製剤の繰り返し投与(例えば、2~6回の投与)を可能にする複数回使用バイアルであり得る。添付文書とは、かかる治療薬の適応症、使用、投薬量、投与、禁忌、及び/またはその使用に関する警告についての情報を含む、治療薬の商業用パッケージに通例含まれる指示を指す。さらに、製品は、薬学的に許容される緩衝液、例えば、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液、及びデキストロース溶液を含む第2の容器をさらに含み得る。製品は、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的観点及びユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに含み得る。
【0486】
キットまたは製品は、薬局、例えば、病院薬局及び配合薬局での保管及び使用に十分な量でパッケージングされる、薬学的組成物の複数の単位用量及び使用に関する指示を含み得る。
【0487】
簡潔にするために、ある特定の略語が、本明細書で使用される。1つの例は、アミノ酸残基を表すための1文字の略語である。アミノ酸ならびにそれらに対応する3文字及び1文字の略語は、以下の通りである。
【表6】
【0488】
本開示は、一般に、多数の実施形態を説明するために肯定的な言葉を使用して本明細書に開示される。本開示はまた、物質もしくは材料、方法のステップ及び条件、プロトコル、手順、アッセイ、または分析などの特定の主題が、完全または部分的に除外される、実施形態も具体的に含む。したがって、本開示は、本開示が含まないものに関して本明細書では一般に表現されないが、それにもかかわらず、本開示に明示的に含まれない態様が、本明細書で開示される。
【0489】
本開示のいくつかの実施形態が、記載されている。それにもかかわらず、様々な修正が、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解されるであろう。したがって、以下の実施例は、特許請求の範囲に記載の開示の範囲を限定しないが、例証することを意図している。
【実施例】
【0490】
以下は、研究で使用される様々な方法及び材料の説明であり、本開示を作製及び使用する方法の完全な開示及び説明を当業者に提供するように提示され、本発明者らがその開示と見なすものの範囲を限定することを意図することもなく、以下の実験が実施され、実施され得る実験のすべてであることを表すことも意図していない。現在時制で書かれた例示的な説明は、必ずしも実施されたわけではなく、むしろ、説明は、本開示の教示と関連付けられるデータ及び同等物を生成するために実施され得ることを理解されたい。使用される数字(例えば、量、割合など)に関して正確性を確保するために努力がなされているが、いくつかの実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。
【0491】
6.1.実施例1-抗Claudin18.2抗体の生成
Claudin18.2に対する高い結合親和性を伴う結合部分を含有する抗体を開発するために、ラクダが、免疫化され、ファージ表示ライブラリが、抗Claudin18.2VHHリードを同定するために構築された。
【0492】
細胞株構築
Dubca.huCLDN18.2.Luc細胞株が、以下のように簡潔に記載される方法に従って社内で開発された。ヒトCLDN18.2コード配列(NM_001002026.2)が、合成され、転写ベクターpLVX-huCLDN18.2.Luc.Puroを取得するために、EcoRI制限部位とBamHI制限部位との間でpLVX-puro(Clontech、カタログ番号632164)にサブクローン化された。レンチウイルスが、psPAX2、pMD.2G、及びpLVX-huCLDN18.2.Luc.Puroを含むプラスミドの混合物を用いたLenti-X 293T宿主細胞の一過性のトランスフェクションによって、パッケージ化された。0.5×106個のDubca細胞(ATCC(登録商標)CRL2276(商標))が、100μLの取得されたLV-huCLDN18.2.Luc.PuroRレンチウイルスで形質導入された。そして、形質導入細胞は、2~3日毎に選択培養培地(10%のFBS及び2μg/mのLピューロマイシンで補充されたイーグル最小必須培地)を更新することによって、Dubca.huCLDN18.2.Luc細胞を取得するためにピューロマイシンを用いて選択された。3回の選択後、取得された細胞クローンは、トリプシン化によって採取された。取得された細胞は、十分に保存され、さらなる使用の準備ができていた。
【0493】
Dubca.huCLDN18.2.Luc細胞株上のヒトCLDN18.2の発現は、GenScriptからのマウス抗ヒトClaudin18.2抗体を使用して、フローサイトメトリーによって検証された。簡潔に述べると、2.0×105個のDubca.huCLDN18.2.Luc細胞またはDubca細胞が、抗ヒトClaudin18.2一次抗体とともに4℃で30分間インキュベートされ、続いて、DPBSを用いた3回の洗浄・遠心分離・上清枯渇・細胞洗浄サイクルを行った。洗浄後、細胞ペレットが、DPBSで再懸濁され、二次抗体(PE抗ヒトIgG Fc抗体、Biolegend、カタログ番号409304)とともに暗所にて4℃で30分間インキュベートされた。細胞は、次いで、DPBSを用いた3回の洗浄・遠心分離・上清枯渇・細胞洗浄サイクルによって処理された。細胞は、次いで、ヒトClaudin18.2の発現レベルを検出するために、Attune NXTフローサイトメトリー(Thermo Fisher)上で実行された。標識Dubca.huCLDN18.2の平均蛍光強度(MFI)は、Dubca細胞の蛍光強度よりも641.59倍高かった。
【0494】
いくつかの他の細胞株もまた、上記に記載のDubca.huCLDN18.2.Luc細胞株の生成及び調製手順に従って、ヒトCLDN18.1(NM_016369.3)またはヒトCLDN18.2タンパク質(NM_001002026.2)のいずれかを発現するように開発された。そのような細胞株は、KATOIII(ATCC番号HTB-103)及びNUGC4(JCRB0834)を含む胃癌細胞株、膵癌細胞株PANC1(ATCC番号CRL-1469(商標))、ならびにHEK293T(Clontech、カタログ番号632180)を含んだ。宿主細胞は、社内で調製されたレンチウイルスLV-huCLDN18.1.Luc.PuroまたはLV-huCLDN18.2.Luc.Puroストックで形質導入された。そして、形質導入細胞は、安定した細胞を取得するために、ピューロマイシンを用いて選択された。簡潔に述べると、KATOIIは、低レベルのヒトClaudin18.2を発現し得る、ヒト胃癌細胞株である。KATOIII.huCLDN18.2.Luc細胞株は、2Aペプチドによって連結されたヒトClaudin18.2及びホタルルシフェラーゼを共発現するように開発された。KATOIII.huCLDN18.1.Luc細胞株は、2Aペプチドによって連結されたヒトClaudin18.1及びホタルルシフェラーゼを共発現するように開発された。KATOIII.Luc細胞株は、ホタルルシフェラーゼを単独で過剰発現するように開発された。PANC1は、ヒトClaudin18.1またはヒトClaudin18.2タンパク質のいずれかを発現しない、膵臓癌細胞株である。ヒトClaudin18.1(NM_016369.3)またはヒトClaudin18.2(NM_001002026.2)を発現する細胞株が、PANC1細胞に基づいて開発され、それぞれ、PANC1.huCLDN18.1.Luc及びPANC1.huCLDN18.2.Lucと命名された。同様に、NUGC4.Luc細胞株が、ルシフェラーゼレポーターを発現するように開発された。HEK293T.huCLDN18.1.Luc及びHEK293T.huCLDN18.2.Luc安定細胞が、それぞれ、ヒトClaudin18.1及びルシフェラーゼ、ならびにヒトClaudin18.2及びルシフェラーゼを共発現するように開発された。
【0495】
動物免疫化及び免疫応答アッセイ
上記で調製されたようなDubca.huCLDN18.2細胞を含む免疫原が、アジュバントまたはPBSと混合され、成熟雄性フタコブラクダに注射された。動物は、毎回約1週間~2週間の間隔で、典型的にはCFA(完全フロイントアジュバント)の有無により、5回免疫化された。末梢血試料が、免疫化前段階で、及び各免疫化後に収集された。リンパ球が、約100mLの末梢血から勾配遠心分離によって単離され、RNALater(商標)で補充され、-80℃で貯蔵された。血清が、抗凝固血液試料の遠心分離によって取得され、-80℃で貯蔵された。
【0496】
複数回の免疫化後、抗原特異的抗体の力価は、HEK293T.CLDN18.2.Luc細胞結合によって測定され、データは、抗体力価が免疫化に伴って有意に増加したことを示唆した。
【0497】
VHHファージ表示ライブラリ構築
全RNAが、製造業者のプロトコルに従ってTRIZOL(登録商標)試薬(Thermofisher、カタログ番号15596026)を使用して、単離されたリンパ球から抽出され、製造業者のプロトコルに従ってPrimeScript(商標)第1鎖cDNA合成キット(Takara、カタログ番号6110A)を使用して、オリゴ(dT)20プライマーを用いてcDNAに逆転写された。正逆特異的縮重プライマー(中国特許CN105555310Bを参照のこと)が、2つのSfiI制限部位が導入されたVHH断片を増幅するように設計された。VHH断片は、2段階ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して増幅され、PCR産物は、SfiI及びゲルが精製された状態で消化され、次いで、ファージミドベクターpFL249(CN105555310Bを参照のこと)に挿入され、これらは、ファージ表示VHH免疫ライブラリを生成するようにE.coli細胞に電気泳動転写された。
【0498】
形質転換細胞のごく一部が、希釈され、100μg/mLのアンピシリンで補充された2枚のYTプレート上で縞状にされた。コロニーが、ライブラリサイズを計算するために計数された。陽性クローンが、ライブラリの質を評価するために、ランダムに選ばれ、配列決定された。残りの形質転換細胞が、100μg/mLのアンピシリン及び2%のグルコースで補充された245mmのYTプレート上で縞状にされた。芝生状のコロニーが、プレートから削り取られた。細胞の少量のアリコートが、ライブラリプラスミド単離に使用された。残りは、グリセロールで補充され、ストックとして-80℃で貯蔵された。
【0499】
ファージ表示パンニング
2回のパンニングラウンドが、下記に記載されるように実施された。上記で調製されたKATOIII.huCLDN18.2.Luc細胞、HEK293T.huCLDN18.2.Luc細胞、及びNUGC4.huCLDN18.2.Luc細胞が、それぞれ、ファージライブラリとともにインキュベートされた。広範囲にわたる洗浄後、結合されたファージ粒子が、1mg/mLのトリプシンを使用することによって溶出及び収集された。第2ラウンドの選択では、取得された通りのファージ粒子が、KATOIII.CLDN18.2.Luc細胞とともにインキュベートされ、結合されたファージが、1mg/mLのトリプシンを使用して溶出及び収集された。
【0500】
パニング後、結合されたファージ粒子が、100mMのトリメチルアミン(TEA)を使用して溶出及び収集され、溶出液は、1MのTris-HCl(pH7.4)によって中和された。溶出液の半分は、次いで、出力滴定のために指数関数的に成長するE.coli TG1細胞(OD600=0.4~0.6)に感染させるために使用された。
【0501】
ファージELISAが、標的抗原に特異的なクローンを同定するため実施された。個々の出力ファージクローンが、96ディープウェルプレート内で増殖させられ、M13KO7ヘルパーファージによって一晩救出された。抗原タンパク質に結合したクローンを同定するために、96ウェルELISAマイクロタイタープレートが、コーティング緩衝液中の組換えヒトHEK293T.huCLDN18.1.Luc及びHEK293T.huCLDN18.2.Luc細胞でそれぞれ、4℃において一晩コーティングされ、次いで、プレートは、ブロック緩衝液でブロックされた。ブロック後、一晩の細胞培養からの1ウェル当たり約50μLのファージ上清が、4℃における1.5時間のインキュベーションのためにプレートに添加された。プレートは、4回洗浄され、HRPをコンジュゲートした抗M13モノクローナル抗体が、4℃における45分のインキュベーションのためにプレートに添加された。プレートは、再び5回洗浄され、基質溶液が、発色のためにウェルに添加された。450nmにおける吸光度が、各ウェルについて測定された。
【0502】
HEK293T.huCLDN18.2.Luc細胞に結合するクローンをさらに同定するために、HEK293T.CLDN18.2.Luc細胞は、室温におけるブロック緩衝液で1時間ブロックされた。ブロック後、一晩の細胞培養からの1ウェル当たり約20μLのファージ上清が、室温における1時間のインキュベーションのために細胞溶液に添加された。細胞が4回洗浄された後、HRPをコンジュゲートした抗M13モノクローナル抗体が、室温における30分のインキュベーションのために添加された。細胞は、5回洗浄され、基質溶液が、次いで、現像のために添加された。吸光度が、450nmにおいて測定された。
【0503】
スクリーニング後、高い結合能を伴うクローンが、選択及び配列決定された。CDR及びVHH配列が、表2に要約された。
【0504】
6.2.実施例2-キメラ抗Claudin18.2抗体の調製
選択された抗体のVHHコード配列は、GenScript OptimumGene(商標)コドン最適化を用いてヒトコドン偏在発現のために最適化され、合成され、キメラ形式での一過性の発現のためにヒトIgG1Fcコード配列(配列番号76)に融合された。キメラ抗体コード配列は、pcDNA3.4ベースの哺乳類発現系プラスミドにクローン化され、プラスミドは、GenScriptカタログ化サービスによってタンパク質産生のために最大限に調製された。プラスミドが、ヒトIgG1Fcに融合されたIMAB362の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を伴う一本鎖可変断片(配列番号52)を含有する対照抗体175DX-hIgG1Fcを発現するように構築された。キメラモノクローナルIgG1抗体である、IMAB362(クラウジキシマブ、ゾルベツキシマブ)が、進行性胃食道癌がある患者の治療のための多数の臨床試験において研究されている(Sahin et al.,Journal of Hematology&Oncology,10:105(2017))。
【0505】
キメラ抗体は、キメラVHH-hIgG1Fcまたは175DX-hIgG1FcコードプラスミドでトランスフェクトされたExpi293F細胞(Thermofisher、カタログ番号A14527)において発現された。簡潔に述べると、トランスフェクションの1日前に、Expi293FTM細胞が、無血清Expi293TM発現培地(Thermo Fisher Scientific)を伴うErlenmeyerフラスコ(Corning)内で適切な密度において播種され、オービタルシェーカー(VWR Scientific)上で8%CO2とともに37℃で増殖させられた。トランスフェクションの日に、プラスミド及びExpiFectamine(商標)293試薬を含有するキメラ抗体コード配列が、最適な比率において混合され、次いで、トランスフェクションの準備ができた細胞を伴うフラスコの中に添加された。トランスフェクションの約16~18時間後、ExpiFectamine(商標)293トランスフェクションエンハンサー1及びExpiFectamine(商標)293トランスフェクションエンハンサー2が、各フラスコに添加された。
【0506】
6日目に、細胞培養液が、遠心分離され、続いて、濾過を行った。取得された細胞培養上清は、適切な流速において親和性精製カラム上に装填された。適切な緩衝液を用いた洗浄及び溶出後、溶出した画分は、プールされ、緩衝液は、最終製剤緩衝液に交換された。精製されたタンパク質は、分子量及び純度を決定するためにSDS-PAGE及びウェスタンブロットによって分析された。濃度は、A280法によって決定された。例示的なCAR及び対応する配列が、表5に示される。
【0507】
6.3.実施例3-キメラ抗Claudin18.2抗体の特性評価
抗Claudin18.2抗体は、細胞に基づくフローサイトメトリーによって、PANC1.huCLDN18.1.Luc及びPANC1.huCLDN18.2.Luc細胞への結合能について試験された。簡潔に述べると、DPBS(pH7.2)中の5.0×10
5個のPANC1.huCLDN18.1.LucまたはPANC1.huCLDN18.2.Luc細胞が、連続希釈された抗Claudin18.2 VHH-hIgG1Fcとともに4℃で45分間インキュベートされ、続いて、DPBSを用いた3回の洗浄・遠心分離・上清枯渇・細胞洗浄サイクルを行った。洗浄後、細胞ペレットが、DPBS中に再懸濁され、二次抗体(1:200、Alexa Fluor(商標)488 GOAT抗ヒトIgG(H+L)抗体、Invitrogen、カタログ番号A11013)とともに暗所にて4℃で30分間インキュベートされた。細胞は、次いで、DPBSを用いた3回の洗浄・遠心分離・上清枯渇・細胞洗浄サイクルを受けた。細胞は、次いで、抗体-PANC1.huCLDN18.1.LucまたはPANC1.huCLDN18.2.Luc結合レベルを検出するために、Attune NXTフローサイトメトリー上で実行された。各試験抗体の結合能が、(抗体結合を伴う細胞/全細胞)×100%で計算された結合率として記載された。実施例2で調製されたような175DX-hIgG1Fcが、アッセイでベンチマークとして使用された。結果は、
図1及び表6に示された。
【表7】
【0508】
図1及び表6に示されるように、本開示のキメラ抗体は、用量依存的様式で、PANC1.huCLDN18.1.Luc細胞ではなく、PANC1.huCLDN18.2.Lucへの強力な結合を示し、ヒトCLDN18.2へのそれらの結合特異性を示唆した。キメラ抗体は、ベンチマーク175DX-hIgG1Fcの結合力(EC
50=13.51nM)よりも約1.24~19.03倍高いPANC1.huCLDN18.2.Luc細胞への結合力(0.71nM~10.92nMに及ぶEC
50値)を有した。加えて、本開示の各キメラ抗体の最大結合%が、10
1nMの濃度においてほぼ100%であった一方で、ベンチマークの結合%は、同じ濃度において約40%であった。
【0509】
6.4.実施例4-キメラ抗原受容体(CAR)を含有する遺伝子操作されたT細胞の調製
N末端からC末端まで、CD8αヒンジドメイン(配列番号68)、CD8α膜貫通ドメイン(配列番号69)、CD137共刺激シグナル伝達ドメイン(配列番号70)、及びCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメイン(配列番号72)を含む、キメラ抗原受容体(CAR)骨格ポリペプチドをコードするヌクレオチド酸分子が、合成され、下流にあり、構成的hEF1αプロモーターに操作可能に連結された事前修飾レンチウイルスベクター(pLSINK-BBzBBB)にクローン化されたか、または下流にあり、インビトロ転写のためにT7プロモーターに連結されたクローニングベクター(PT7-0985)にクローン化された。ベクター内のマルチクローニング部位(MCS)は、上流にあり、CAR骨格配列に操作可能に連結されたCAR骨格ベクターの中への、抗Claudin18.2 VHH断片のN末端に融合されたCD8αシグナルペプチド(配列番号67)をコードする核酸配列に操作可能に連結されたKozak配列を含む核酸配列の挿入を可能にした。CD8αシグナルペプチド及び抗Claudin18.2 VHH断片をコードする核酸配列は、化学的に合成され、当該技術分野で既知の分子クローニング技法によって、MluI(5′-ACGCGT-3′)及びSpeI(5′-ACTAGT-3′)制限酵素切断部位を介してPT7-0985に、またはEcoRI(5′-GAATTC-3′)及びSpeI(5′-ACTAGT-3′)制限酵素切断部位を介してpLSINK-BBzBB CAR骨格にクローン化された。
【0510】
CAR構築物RNAが、mMESSAGE mMACHINE T7キットならびに&Poly(A)テーリングキット(Thermo Fisher AM1344及びAM1 350)を使用して、インビトロ転写によって調製された。簡潔に述べると、精製されたプラスミドが、キットの指示に従って、インビトロ転写反応及びインキュベーションに進められた。転写RNA(IVT-RNA)が、次いで、RNeasyミニキット(QIAGEN、カタログ番号75144)を使用して精製された。最後に、IVT-RNAが、10μL/バイアルにおいて液化され、即時に- 80℃で貯蔵されるか、またはCAR-T調製のために直接使用された。
【0511】
pMDLg.pRRE(Addgene#12251)、pRSV-REV(Addgene#12253)、及びpMD2.G(Addgene#12259)を含有する、レンチウイルスパッケージングプラスミド混合物が、ポリエーテルイミド(PEI)との事前に最適化された比においてCAR構築物を発現するベクターと予混合され、次いで、25℃で5分間インキュベートされた。次いで、HEK293細胞が、トランスフェクション混合物の中に添加された。その後、細胞が、37℃で5%CO2とともに細胞インキュベーター内で一晩インキュベートされた。上清が、4℃及び3000gで15分間遠心分離された後に収集され、0.45μmのPESフィルターを通して濾過され、続いて、レンチウイルス濃度について超遠心分離を行った。次いで、上清は、慎重に廃棄され、ウイルスペレットは、予冷されたDPBSで慎重にすすがれた。ウイルスは、適切に液化され、-80℃で貯蔵された。ウイルス力価は、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞株の形質導入を介した滴定方法によって決定された。
【0512】
白血球が、アフェレーシスによって健常ドナーから収集され、細胞濃度が、TexMACS GMP培地&1L(Miltenyi #170-076-309)中で5×106個の細胞/mLに調整された。白血球は、次いで、1:1(v/v)比において0.9%のNaCl溶液と混合された。3mLのリンホプレップ培地が、15mLの遠心分離管に添加され、6mLの希釈リンパ球混合物が、リンホプレップ培地の上にゆっくりと重層された。リンパ球混合物は、20℃で制動を伴わずに800gにおいて30分間遠心分離された。リンパ球軟膜が、次いで、200μLピペットを用いて収集された。採取された画分は、溶液の密度を低減させるために、0.9%のNaClまたはR10で少なくとも6倍希釈された。採取された画分は、次いで、250gにおいて20℃で10分間遠心分離された。上清が、完全に吸引され、10mLのR10が、細胞ペレットを再懸濁するために細胞ペレットに添加された。混合物は、250gにおいて20℃で10分間さらに遠心分離された。上清は、再び吸引された。300IU/mLのIL-2を伴う2mLの37℃に予熱されたTexMACS GMP培地&1L(Miltenyi #170-076-309)が、細胞ペレットに添加され、細胞ペレットは、穏やかに再懸濁された。細胞数が、トリパンブルー染色に続いて決定され、このPBMC試料は、以降の実験の準備ができていた。
【0513】
ヒトT細胞が、以下に記載されるような製造業者のプロトコルに従って、Miltenyi Pan T細胞単離キット(カタログ番号130-096-535)を使用してPBMCから精製された。細胞数が、最初に決定され、細胞懸濁液が、300gにおいて10分間遠心分離された。上清が、次いで、完全に吸引され、細胞ペレットが、合計107個の細胞当たり40μLのMACS緩衝液(8μMのEDTA+0.5%のFBSで補充されたDPBS)中に再懸濁された。合計107個の細胞当たり10μLのPan T細胞ビオチン-抗体カクテルが、添加され、徹底的に混合され、冷蔵庫(2~8℃)内で約5分間インキュベートされた。107個の細胞当たり30μLのMACS緩衝液が、次いで、添加された。107個の細胞当たり20μLのPan T細胞マイクロビーズカクテルが、添加された。細胞懸濁混合物は、十分に混合され、冷蔵庫(2~8℃)内でさらに10分間インキュベートされた。最低500μLが、磁気分離のために要求された。磁気分離のために、LSカラムが、好適なMACSセパレータの磁場内に配置された。カラムは、3mLの緩衝液ですすぐことによって調製された。細胞懸濁液は、次いで、カラム上に適用され、非標識細胞を含有するフロースルーが収集され、これは、濃縮T細胞画分を表した。追加のT細胞が、3mLの緩衝液でカラムを洗浄し、通過した非標識細胞を収集することによって、収集された。これらの非標識細胞は、再び、濃縮T細胞を表し、前の工程からのフロースルーと組み合わせられた。プールされた濃縮T細胞は、次いで、遠心分離され、TexMACS GMP培地&1L(Miltenyi # 170-076-309)+300IU/mLのIL-2中に再懸濁された。
【0514】
調製されたT細胞は、続いて、抗CD3/CD28 MACSiBead粒子が1:2のビーズ対細胞比において添加された製造業者のプロトコルに従って、ヒトT細胞TransAct(商標)(Miltenyi #130-111-160)を用いて48~96時間予め活性化された。
【0515】
予め活性化されたT細胞は、レンチウイルスストックを培養培地(TexMACS GMP培地)に直接添加することによって、10の感染多重度(MOI)においてレンチウイルスストックで形質導入された。48時間後、形質導入細胞は、次いで、37℃における5%CO2を伴う細胞培養インキュベーター内の導入遺伝子発現のために、細胞培養インキュベーターに移された。
【0516】
代替として、予め活性化されたT細胞は、以下に記載されるようなプロトコルを用いて、CAR IVT-RNAで電気穿孔された。予め活性化されたT細胞は、300gにおいて室温にて10分間の遠心分離によって採取された。上清を完全に除去した後、細胞ペレットが、Celetrix 103緩衝液中に再懸濁され、細胞濃度が、トリパンブルー染色によって評価され、120μL当たり400~600万個のヒトT細胞においてアリコートされた。電気穿孔混合物は、10μgのCAR-mRNAを予め活性化されたT細胞の各アリコートに添加することによって、調製された。電気穿孔法が、次いで、Celetrix電気穿孔装置を使用することによって、事前に最適化された電圧及びパルス(820V/20ms)において実施された。電気穿孔プロセスの直後に、細胞が、新しい予熱培地に移され、分析まで、5%CO2インキュベーターを用いて加湿した37℃で一晩培養された。
【0517】
IVT-RNA電気穿孔法の後の2~4日目に、電気穿孔されたT細胞が採取された。CAR発現レベルが、フローサイトメトリーによって評価された。簡潔に述べると、1×106個の電気穿孔されたT細胞が、各群から収集され、次いで、VHHベースのCAR-Tについて、FITC標識MonoRab (商標)ウサギ抗ラクダVHH抗体(iFluor 647)mAb(Genscriptカタログ番号A01994)とともに4℃で30分間インキュベートされた。インキュベーションの完了時に、細胞が採取され、DPBSで洗浄され、次いで、300gにおいて20℃で10分間遠心分離された。UnTは、CARで非形質導入されていないT細胞を表した。
【0518】
調製されたCAR-T細胞の発現レベルが、Attune NxTフローサイトメーター(Thermo Fisher)上で読み取られ、データが、表7に要約された。
【表8】
【0519】
6.5.実施例5-遺伝子操作されたCAR-T細胞の特性評価
細胞傷害性アッセイが、実施された。実施例4で調製されたCAR-T細胞が、それぞれ、10:1または2:1のエフェクター(CAR-T細胞)対標的細胞比(E:T)において、実施例1で調製されたPANC1.huCLDN18.2.Luc、PANC1.huCLDN18.1.Luc、NUGC4.Luc、及びKATOIII.Luc細胞とともに20~24時間同時インキュベートされた。腫瘍細胞上のCAR-T細胞の細胞傷害性をアッセイするために、One-glo発光ルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega #E6120)が、製造業者のプロトコルに従って調製され、ウェル内の残存ルシフェラーゼ活性を検出するために共培養細胞に添加された。残存ルシフェラーゼ活性は、ウェル内の生存標的細胞の数に直接的に相関した。特異的細胞傷害性は、以下の式によって計算された。特異的細胞傷害性%=100%×(1-(RLUsample-RLUmin)/(RLUUnT-RLUmin))。RLUsampleは、本開示の抗Claudin18.2 CARを有するCAR-T細胞を用いてウェル内で測定されたようなルシフェラーゼ活性を表した。RLUminは、細胞傷害性アッセイが開始されたときに、最終濃度1%におけるTriton X-100を添加されたウェル内で決定されたようなルシフェラーゼ活性を指し、RLUUnTは、CARで非形質導入されていないT細胞を伴うウェル内で決定されたようなルシフェラーゼ活性を指した。
【0520】
図2(部分a及びb)ならびに
図3(部分a及びb)に示されるように、LIC182501 CAR-T細胞~LIC182514 CAR-T細胞が、ヒトClaudin18.2を安定して過剰発現した(フローサイトメトリーによって決定されるように、約98.5%のヒトCLDN18.2発現レベル)PANC1.CLDN18.2.Luc細胞への強力な殺傷効果を示したが、これらのCAR-T細胞は、ヒトClaudin18.1を安定して過剰発現したPANC1.CLDN18.1.Luc細胞上で有意な細胞傷害性を示さなかった。LIC182501 CAR-T細胞~LIC182514 CAR-T細胞は、10:1のE/T比においてPANC1.CLDN18.2.Luc細胞上で高い細胞傷害性を示した。2:1のより低いE/T比において、LIC182501 CAR-T細胞(37.443%±2.951%)は、PANC1.CLDN18.2.Luc細胞上で本開示の他のVHHベースのCAR-Tよりも高い細胞傷害性を示した。
【0521】
KATOIII.Luc細胞は、低いCLDN18.2発現レベルを有する。低い抗原(CLDN18.2)レベルを発現する細胞を殺傷する能力は、より多くの患者が治療に関与することを可能にするという観点で、より多くの臨床的利益を提供し得る。
図2(部分d)に示されるように、10:1のE/T比において、LIC182501 CAR-T細胞~LIC182510 CAR-T細胞(43.26%±2.35%~56.22%±1.58%)は、KATOIII.Luc細胞上で良好な殺傷力を示した。2:1でのより低いE/T比において、LIC182501 CAR-T細胞~LIC182510 CAR-T細胞は、依然として、KATOIII.Luc細胞上で強力な殺傷力を示した(4.59%±2.84%~21.85%±12.4%)。
図3(部分d)に示されるように、10:1のE/T比において、LIC182513~LIC182514 CAR-T細胞は、LIC182511 CAR-T細胞及びLIC182512 CAR-T細胞よりもわずかに高い殺傷力を示した。2:1のE/T比において、LIC182512 CAR-T細胞及びLIC182514 CAR-T細胞は、LIC182511 CAR-T細胞及びLIC182513 CAR-T細胞よりも強い細胞傷害性を示した。
【0522】
図2(部分c)及び
図3(部分c)にも示されるように、試験されたCAR-T細胞のすべては、フローサイトメトリーによって決定されるような約67.1%のヒトCLDN18.2タンパク質発現であった、NUGC4.Luc細胞を殺傷することに強力であった。LIC182501 CAR-T細胞~LIC182510 CAR-T細胞(95.06%±0.43%~99.17%±0.12%)は、10:1のE/T比においてNUGC4細胞上で高い殺傷力を示した。2:1のより低いE/T比において、LIC182501 CAR-T細胞~LIC182509 CAR-T細胞(48.90%±1.13%~74.18%±2.78%)もまた、NUGC4細胞上でLIC182510 CAR-T細胞よりも高い殺傷力を示した。LIC182511~LIC182514 CAR-T細胞は、10:1のE/T比において同等の細胞傷害性力を示した。LIC182512 CAR-T細胞及びLIC182514 CAR-T細胞は、2:1のE/T比において少し高い細胞傷害性力を示す。
【0523】
6.6.実施例6-Claudin18.2 CAR-T細胞のインビボ抗腫瘍有効性研究
Claudin18.2 CAR-T細胞のインビボ抗腫瘍有効性が、NUGC4.Luc胃癌全身NCG(NOD-Prkdcem26Cd52Il2rgem26Cd22/NjuCrl)マウスモデルにおいて評価された。
【0524】
CAR-T細胞が、上記に記載されるようにレンチウイルス形質導入を使用して調製された。
【0525】
免疫不全マウスNCGが、マウス当たり3×106個のNUGC4.Luc細胞を皮下注射された。12日後、皮下異種移植腫瘍を伴うNCGマウスは、静脈内経路によってCLDN18.2特異的CAR-T細胞またはCD19特異的CAR-T細胞(1×106個/マウス)を注射された。CD19特異的CAR-T(CD19 CAR-T)は、FMC63(NCBIアクセス番号#ADM64594.1)からのscFv.及び試験された他のCARと同一のCARフレームワーク(CD8αシグナルペプチド-抗原結合ドメイン-CD8αヒンジ及び膜貫通ドメイン-CD137共刺激シグナル伝達ドメイン-CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む、ヒトCD19抗原を標的とするCAR-T細胞であった。これらのマウスは、T細胞の投与後約4週間にわたって抗腫瘍有効性を評価するために、腫瘍体積について監視された。一元配置分散分析が、GraphPad prism 6によって実施された複数の比較に使用された。
【0526】
図4(部分a)に示されるように、Claudin18.2 CAR-T細胞は、NUGC4細胞移植異種移植モデルに抗腫瘍効果を示すために有効であった。CD19 CAR-Tと比較して、Claudin18.2 CAR-Tは、この胃癌異種移植モデルにおいて腫瘍増殖を制御または排除するために有効であった。
図4(部分a)及び表8に示されるように、ベンチマークCAR-T(IMAB362に基づく175DX CAR-T)と比較して、LIC182508、LIC182511、LIC182513、及びLIC182514 CAR-T細胞を含む、VHHベースのCAR-T候補は、インビボで有意により強い抗腫瘍効果を示した。
【表9】
【0527】
インビボ研究の終わりに、腫瘍組織は、収集され、試験されたCAR-T候補の抗腫瘍有効性を評価するために加重された。
図4(部分b)に示されるように、LIC182508、LIC182511、LIC182513、LIC182514、及び175DX CAR-T救出マウスから収集された腫瘍の重量は、CD19 CAR-Tで治療されたマウスからのものよりも有意に少なかった。175DX CAR-Tと比較することによって、VHHベースのCAR-T細胞は、インビボで胃癌細胞を低減または排除することが有意に可能であった。
【0528】
要するに、データは、CLDN18.2特異的CAR-Tがインビボで胃癌成長を阻害するために有効であることを実証した。試験されたVHHベースのClaudin18.2 CAR-Tは、175DX CAR-Tよりも有意に強い抗腫瘍力を示すと思われた。
【0529】
6.7.実施例7-ヒト化キメラ抗Claudin18.2抗体の生成及び特性評価
Claudin18.2に対する高い結合親和性を伴う結合部分を含有する抗体をヒト化するために、抗Claudin18.2 VHH抗体アミノ酸残基が、Ce´ cile Vincke et al(J.Biol.Chem.2009,284:3273-3284)による説明に従って、またはVHH抗体のフレームワークを表面再形成する方法によってヒト化された。
【0530】
Cecile Vincke et al.によって設計された普遍的ヒト化VHHフレームワークh-NbBcII10FGLA(タンパク質データバンク(PDB)コード:3EAK)が、配列相同性に基づくヒト化設計のために採用された。正準構造及び残基置換の選好に従って、移植されたヒト化配列上の複数の部位が、ラクダ科VHH182513またはVHH182511配列から回収された。
【0531】
ラクダ科VHH182513及びVHH182511の相同モデリングは、モデリングソフトウェアMODELLERを使用して実施された。VHH182513の参照相同配列は、VHH182511のためのZn結合ラクダ科単一ドメイン抗体(PDBコード:6KSN)及びラクダ科VHH HL6抗体(PDBコード:1OP9)であった。ヒト生殖細胞系遺伝子とのアラインメントに従って、IGHV3-30*01が、VHH182513のためのヒトアクセプターとして選択され、IGHV3-23*05が、VHH182511のためのヒトアクセプターとして選択された。アミノ酸の相対的溶媒アクセス可能性は、タンパク質の三次元構造に従って計算される。VHHのアミノ酸のうちの1つが、溶媒に曝露された場合、それは、元のアミノ酸と置き換えられた。ヒト化抗Claudin18.2 VHH及びそれらの親VHHの配列ID番号が、表10に列挙される。
【0532】
ヒト化単一ドメイン抗体の選択されたクローンのコード配列が、GenScript OptimumGene(商標)コドン最適化を用いて、ヒトコドン偏在発現のためにコドン最適化された。結果として生じるコードDNA断片は、合成され、キメラ形式での一過性の発現のために、ヒトIgG1 Fc部分(配列番号76)をコードするヌクレオチドヌクレオチドに融合された。構築物は、分泌発現のために、合成シグナルペプチド(配列番号112:MGWSCIILFLVATATGVHS)の下流の個々のpcDNA3.4ベースのプラスミドにクローン化された。ヒト化キメラ抗Claudin18.2抗体は、実施例2に記載の方法を使用して取得された。PANC1.huCLDN18.1.LucまたはPANC1.huCLDN18.2.Luc細胞へのヒト化キメラ抗体の結合能が、測定された。結果は、
図5及び表9に示される。
【表10】
【0533】
妥当なタンパク質収率で正常に発現及び取得されたキメラ抗体が、huCLDN18.1と対比したhuCLDN18.2へのそれらの結合について試験された。
図5及び表9に示されように、キメラヒト化または非ヒト化VHH抗体は、用量依存的様式で、PANC1.huCLDN18.1.Luc細胞ではなく、PANC1.huCLDN18.2.Lucへの強力な結合を示し、huCLDN18.2へのそれらの結合特異性を示唆した。これらのキメラ抗体は、ベンチマーク175DX-hIgG1Fcの結合力(EC
50=49.22nM)よりも約1.93~171.98倍高いPANC1.huCLDN18.2.Luc細胞への結合力(0.2862nM~25.45nMに及ぶEC
50値)を有した。
【0534】
6.8.実施例8-ヒト化Claudin18.2 CAR-T細胞の調製及び特性評価
実施例4に記載のCAR骨格が使用され、実施例4に記載のCARを調製するプロセスに従った。LIC182513H4、LIC182513H7、LIC182513H8、LIC182513H9、LIC182513H10、LIC182511H6、LIC182511H8、及びLIC182511H9を含む、ヒト化抗Claudin18.2 VHHを伴うCAR構築物が、取得された(表10)。親CAR、すなわち、LIC182513及びLIC182511の配列ID番号もまた、表10に示される。
【表11】
【0535】
CAR-T細胞を生成するための形質導入のステップが、実施例4に示される。細胞形質導入から12日後、細胞が、300gにおいて室温にて10分間の遠心分離によって採取された。細胞ペレットが、細胞培養培地またはDPBSで再懸濁され、アリコートされ、300gにおいて室温にて10分間の別の遠心分離を受けた。細胞ペレットは、次いで、さらなる使用のために細胞培養培地またはDPBSを使用して再懸濁された。DPBS再懸濁細胞のアリコートが、フローサイトメトリーによってCAR発現レベル評価のために処理された。
【0536】
CAR-T細胞のインビトロ細胞傷害性アッセイ
CAR-T細胞が調製され、それぞれ、8:1または2:1のエフェクター(CAR-T細胞)対標的細胞比(E:T)において、PANC1.huCLDN18.2.Luc、PANC1.huCLDN18.1.Luc、及びNUGC4.Luc細胞とともに20~24時間同時インキュベートされた後に、細胞傷害性アッセイが実施された。非形質導入T細胞は、対照としての役割を果たす。175DX CAR-T細胞は、ベンチマーク対照としての役割を果たす。ヒトCD19抗原を標的とするCD19 CAR-T細胞は、陰性対照としての役割を果たす。
【0537】
図6(部分a~c)に示されるように、ヒト化CAR-T細胞は、ヒトClaudin18.2を安定して過剰発現したPANC1.huCLDN18.2.Luc細胞(
図6、部分aを参照のこと)及び同様にヒトClaudin18.2発現について陽性であった胃癌細胞株NUGC4.Luc(
図6、部分cを参照のこと)に強力な殺傷効果を示した。しかしながら、これらのヒト化CAR-Tは、ヒトClaudin18.2発現については陰性であるが、ヒトClaudin18.1発現については陽性である、PANC1.huCLDN18.1.Luc細胞上で有意な細胞傷害性を示さなかった(
図6、部分bを参照のこと)。これらの結果は、そのようなヒト化CAR-T細胞が、ヒトClaudin18.1に特異的であるが、ヒトClaudin18.2に特異的ではないことを示唆した。ベンチマーク対照(175DX CAR-T細胞)もまた、そのような傾向を示した。陰性対照CD19 CAR-T細胞は、CD19陰性であったこれら3つの標的細胞のうちのいずれにも細胞毒性を示さなかった。
【0538】
図6(部分a~c)に示されるように、特により低いE:T比(E:T=2:1)において、LIC182513、LIC182513H4、LIC182513H7、LIC182513H8、LIC182513H9、LIC182513H10、LIC182511、及びLIC182511H9 CAR-T細胞を含む、VHHベースのCAR-T細胞は、NUGC4.Luc(175DX CAR-Tについての14.00±4.64%と対比して、VHHベースのCAR-Tについては21.45±2.61%~61.68± 3.45%に及ぶ)及びPANC1.huCLDN18.2.Luc細胞(175DX CAR-Tについての30.10±3.78%と対比して、VHHベースのCAR-Tについては40.44±1.79%~65.44± 1.70%に及ぶ)上でより高い殺傷効率を示した。興味深いことに、LIC182513H4、LIC182513H7、LIC182513H8、LIC182513H9、及びLIC182513H10 CAR-T細胞を含む、LIC182513 CAR-T細胞のヒト化バージョンは、NUGC4.Luc(親CAR-Tについての21.45±2.61%と対比して、ヒト化VHHベースのCAR-Tについては32.08±4.45%~61.68±3.45%に及ぶ)及びPANC1.huCLDN18.2.Luc細胞(親CAR-Tについての42.14±1.05%と対比して、VHHベースのCAR-Tについては43.12±2.37%~65.44±1.70%に及ぶ)上でより高い標的上殺傷効率を示した。ヒト化後、LIC182511H9 CAR-Tは、その親クローンLIC182511 CAR-Tに関して、NUGC4.Luc細胞上で同等の殺傷効率、またはPANC1.huCLDN18.2.Luc細胞上でより少ない効力を示したが、残りのクローンは、その親クローンLIC182511 CAR-Tに効力改善を示さなかった。
【0539】
CAR-T細胞サイトカイン放出の評価
インビトロ共培養アッセイからの上清が、HTRFキット(Cisbio、カタログ番号62HIFNGPEG)を使用して、CAR特異的サイトカイン放出(インターフェロンガンマまたはIFNγ)の分析のために収集された。簡潔に述べると、HTRF試薬が、アッセイの前に少なくとも30分間、室温まで温められた。共培養アッセイからの16μL/ウェルの上清が、384ウェルアッセイプレート(Greiner Bio-One、#784075)に移され、続いて、キットのマニュアルに従って調製された4μL/ウェルの予混合HTRF試薬が添加された。プレートは、次いで、パラフィルムで密封され、室温で一晩インキュベートされた。翌日、プレートは、HTRF対応リーダーTecan Spark 10M上で読み取られた。IFNγ濃度が、キットによって提供された標準曲線によって取得されたシグナルを参照することによって計算された。
【0540】
図7(部分a及びc)に示されるように、これらのClaudin18.2 CAR-Tのすべては、PANC1.huCLDN18.2Luc細胞(CD19 CAR-Tについての208.00±28.05pg/mLと対比して、VHHベースのCAR-Tについては6597.11±112.14pg/mL~23019.15±242.28pg/mLに及ぶ)またはNUGC4.Luc細胞(CD19 CAR-Tについての155.10±6.86pg/mLと対比して、VHHベースのCAR-Tについては868.16±41.09pg/mL~5753.65±66.88pg/mLに及ぶ)との共培養時に、有意なIFNγ放出を示した。試験されたCAR-T細胞のすべては、UnTまたはCD19 CAR-Tによるものよりもわずかに高い自発的IFNγ放出を有した、LIC182513H10及びLIC182511H9 CAR-T細胞を除いて、低レベルの自発的IFNγ放出を示した(
図7、部分dを参照のこと)。そのような結果は、これらのVHHベースのCAR-T細胞が、ヒトClaudin18.2特異的な様式でIFNγを放出し得ることを示した。
【0541】
本明細書で引用されるすべての特許、公開出願、及び参考文献の教示は、参照によりそれらの全体で組み込まれる。
【0542】
例示的な実施形態が、特に示され、説明されているが、形態及び詳細の様々な変更が、添付の特許請求の範囲によって包含される実施形態の範囲から逸脱することなくそれに行われ得ることが当業者によって理解されるであろう。
【0543】
前述から、具体的な実施形態が例証の目的のために本明細書に記載されているが、様々な修正が本明細書で提供されるものの趣旨及び範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解されるであろう。上記で参照される参考文献のすべては、参照によりそれらの全体で本明細書に組み込まれる。
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
Claudin18.2に特異的に結合する結合部分であって、
(i)配列番号1~11及び113~125からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR1と、
(ii)配列番号12~23からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR2と、
(iii)配列番号24~37及び126~139からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片を含む、前記結合部分。
(態様2)
前記単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片が、
(1)配列番号1もしくは配列番号113のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号24もしくは配列番号126のアミノ酸配列を含むCDR3、
(2)配列番号2もしくは配列番号114のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号25もしくは配列番号127のアミノ酸配列を含むCDR3、
(3)配列番号3もしくは配列番号115のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号26もしくは配列番号128のアミノ酸配列を含むCDR3、
(4)配列番号4もしくは配列番号116のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号27もしくは配列番号129のアミノ酸配列を含むCDR3、
(5)配列番号5もしくは配列番号117のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号28もしくは配列番号130のアミノ酸配列を含むCDR3、
(6)配列番号6もしくは配列番号118のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号29もしくは配列番号131のアミノ酸配列を含むCDR3、
(7)配列番号7もしくは配列番号119のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号30もしくは配列番号132のアミノ酸配列を含むCDR3、
(8)配列番号8もしくは配列番号120のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号31もしくは配列番号133のアミノ酸配列を含むCDR3、
(9)配列番号1もしくは配列番号121のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号32もしくは配列番号134のアミノ酸配列を含むCDR3、
(10)配列番号5もしくは配列番号122のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号33もしくは配列番号135のアミノ酸配列を含むCDR3、
(11)配列番号9もしくは配列番号123のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号34もしくは配列番号136のアミノ酸配列を含むCDR3、
(12)配列番号10もしくは配列番号124のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号35もしくは配列番号137のアミノ酸配列を含むCDR3、
(13)配列番号5もしくは配列番号122のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号36もしくは配列番号138のアミノ酸配列を含むCDR3、または
(14)配列番号11もしくは配列番号125のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号37もしくは配列番号139のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、態様1に記載の結合部分。
(態様3)
Claudin18.2に特異的に結合する結合部分であって、
(i)配列番号38に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(ii)配列番号39に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(iii)配列番号40に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(iv)配列番号41に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(v)配列番号42に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(vi)配列番号43に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(vii)配列番号44に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(viii)配列番号45に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(ix)配列番号46に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(x)配列番号47に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xi)配列番号48に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xii)配列番号49に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xiii)配列番号50に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xiv)配列番号51に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xv)配列番号77に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xvi)配列番号78に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xvii)配列番号79に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xviii)配列番号80に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xix)配列番号81に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xx)配列番号82に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xxi)配列番号83に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、
(xxii)配列番号84に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3、または
(xxiii)配列番号85に記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ有する、CDR1、CDR2、及びCDR3を含む、単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片を含む、前記結合部分。
(態様4)
前記CDR1、CDR2、またはCDR3が、Kabat番号付けスキーム、IMGT番号付けスキーム、AbM番号付けスキーム、Chothia番号付けスキーム、Contact番号付けスキーム、またはそれらの組み合わせに従って決定される、態様3に記載の結合部分。
(態様5)
配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、及び/または配列番号85に記載される1つ以上のFR領域をさらに含む、態様1~4のいずれか1項に記載の結合部分。
(態様6)
前記単一ドメイン抗体または抗原結合断片が、ラクダ科、キメラ、ヒトまたはヒト化である、態様1~5のいずれか1項に記載の結合部分。
(態様7)
前記単一ドメイン抗体または抗原結合断片が、VHHドメインを含む、態様1~6のいずれか1項に記載の結合部分。
(態様8)
前記単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片が、配列番号38~51及び77~85のうちのいずれか1つに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する、アミノ酸配列を含む、態様1~7のいずれか1項に記載の結合部分。
(態様9)
前記単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片が、IgG、IgM、もしくはIgA重鎖定常領域またはその断片を含む、態様1~8のいずれか1項に記載の結合部分。
(態様10)
前記単一ドメイン抗体またはその抗原結合断片が、薬剤に遺伝的に融合または化学的にコンジュゲートされる、態様1~9のいずれか1項に記載の結合部分。
(態様11)
態様1~9のいずれか1項に記載の結合部分をコードする、ポリヌクレオチド。
(態様12)
態様11に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
(態様13)
態様11に記載のポリヌクレオチドまたは態様12に記載のベクターを含む、宿主細胞。
(態様14)
キメラ抗原受容体(CAR)であって、
(a)態様1~10のいずれか1項に記載の結合部分を含む、細胞外抗原結合ドメインと、
(b)膜貫通ドメインと、
(c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む、ポリペプチドを含む、前記CAR。
(態様15)
前記細胞外抗原結合ドメインが、1つ以上の追加の抗原結合ドメイン(複数可)をさらに含む、態様14に記載のCAR。
(態様16)
前記細胞外抗原結合ドメインが、1つの追加の抗原結合ドメインをさらに含む、または前記細胞外抗原結合ドメインが、2つの追加の抗原結合ドメインをさらに含む、態様14に記載のCAR。
(態様17)
前記膜貫通ドメインが、CD8α、CD4、CD28、CD137、CD80、CD86、CD152、及びPD1からなる群から選択される分子に由来する、態様14~16のいずれか1項に記載のCAR。
(態様18)
前記膜貫通ドメインが、CD8αに由来する、態様17に記載のCAR。
(態様19)
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、免疫エフェクター細胞の一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む、態様14~18のいずれか1項に記載のCAR。
(態様20)
前記一次細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3-ゼータに由来する、態様19に記載のCAR。
(態様21)
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、共刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む、態様19または20に記載のCAR。
(態様22)
前記共刺激シグナル伝達ドメインが、CD27、CD28、CD137、OX40、CD30、CD40、CD3、LFA-1、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83のリガンド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される共刺激分子に由来する、態様21に記載のCAR。
(態様23)
前記共刺激シグナル伝達ドメインが、CD137に由来する、態様22に記載のCAR。
(態様24)
前記細胞外抗原結合ドメインのC末端と前記膜貫通ドメインのN末端との間に位置するヒンジドメインをさらに含む、態様14~23のいずれか1項に記載のCAR。
(態様25)
前記ヒンジドメインが、CD8αに由来する、態様24に記載のCAR。
(態様26)
前記ポリペプチドのN末端に位置するシグナルペプチドをさらに含む、態様14~25のいずれか1項に記載のCAR。
(態様27)
前記シグナルペプチドが、CD8αに由来する、態様26に記載のCAR。
(態様28)
前記ポリペプチドが、N末端からC末端まで、シグナルペプチド、VHHドメインを含む抗原結合ドメイン、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、及び共刺激シグナル伝達ドメインを含む、態様14~27のいずれか1項に記載のCAR。
(態様29)
前記ポリペプチドが、N末端からC末端まで、CD8αに由来するシグナルペプチド、VHHドメインを含む抗原結合ドメイン、CD8αに由来するヒンジドメイン、CD8αに由来する膜貫通ドメイン、CD137細胞質ドメイン、及びCD3-ゼータの細胞質ドメインを含む、態様28に記載のCAR。
(態様30)
前記ポリペプチドが、N末端からC末端まで、配列番号67のシグナルペプチド、VHHドメインを含む抗原結合ドメイン、配列番号68のヒンジドメイン、配列番号69の膜貫通ドメイン、配列番号70のCD137細胞質ドメイン、及び配列番号72のCD3-ゼータの細胞質ドメインを含む、態様29に記載のCAR。
(態様31)
前記ポリペプチドが、配列番号53~66及び86~93に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する、アミノ酸配列を含む、態様14に記載のCAR。
(態様32)
態様14~31のいずれか1項に記載のCARをコードする、ポリヌクレオチド。
(態様33)
態様32に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
(態様34)
態様32に記載のポリヌクレオチドまたは態様33に記載のベクターを含む、宿主細胞。
(態様35)
態様14~31のいずれか1項に記載のCARを組み換えて発現する、遺伝子操作された免疫細胞。
(態様36)
前記遺伝子操作された免疫細胞が、T細胞である、態様35に記載の遺伝子操作された免疫細胞。
(態様37)
治療的有効量の態様1~10のいずれか1項に記載の結合部分、態様14~31のいずれか1項に記載のキメラ抗原受容体、態様11もしくは32に記載のポリヌクレオチド、態様12もしくは33に記載のベクター、態様13もしくは34に記載の宿主細胞、または態様35もしくは36に記載の遺伝子操作された免疫細胞と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物。
(態様38)
Claudin18.2発現腫瘍またはがんの治療を必要とする対象においてClaudin18.2発現腫瘍またはがんを治療するための方法であって、前記対象に、治療的有効量の態様37に記載の薬学的組成物を投与することを含む、前記方法。
(態様39)
前記Claudin18.2発現腫瘍またはがんが、胃、食道、胃食道、膵臓、卵巣、もしくは肺腫瘍またはがんである、態様38に記載の方法。
【配列表】