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  • 特許-スタンプセット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】スタンプセット
(51)【国際特許分類】
   B41K 3/00 20060101AFI20240617BHJP
   B41F 17/30 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B41K3/00 Z
B41F17/30 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020137807
(22)【出願日】2020-08-18
(65)【公開番号】P2022034151
(43)【公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390017891
【氏名又は名称】シヤチハタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】230117259
【弁護士】
【氏名又は名称】綿貫 敬典
(72)【発明者】
【氏名】古谷 眞
(72)【発明者】
【氏名】大▲崎▼ 友也
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-126164(JP,A)
【文献】特開平09-011441(JP,A)
【文献】登録実用新案第3188371(JP,U)
【文献】特開2002-337329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41K 3/00
B41F 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印判と、該印判の両側で突出するレールを有する本体と、を有しており、
該本体上に球体の被捺印物を配置し、本体に備えられた前記レール上で、該球体の被捺印物を手動で転がして所定箇所に捺印を行うことが可能なスタンプセット。
【請求項2】
前記球体の被捺印物を本体上で支持しながら転がす為のレールを備えた捺印具を更に有し、前記捺印具は前記本体とは別体として構成されている事を特徴とする請求項1に記載のスタンプセット。
【請求項3】
前記本体と、前記球体の被捺印物を本体上で支持しながら転がす為のレールを備えた捺印具と、のいずれか一方又は両方のレールの前記被捺印物と接する部分に滑り止めが設けられている請求項1または2に記載のスタンプセット。
【請求項4】
前記印判が本体に対して着脱自在である請求項1から3に記載のスタンプセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状の被捺印物への捺印に用いられるスタンプセットに関する。
【背景技術】
【0002】
捺印にスタンプセットを用いるのは従来からなされているが、多くは紙など平面上に捺印するものである。これに対して、特許文献1に記載されているように、球体に捺印するスタンプセットが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3188371号公報
【0004】
ところで球体に捺印する場合は、平面上に捺印する場合とは勝手が違う。特許文献1に記載のスタンプセットは印判の両側に滑り止めを有する捺印治具を配置して使用するものであるが、手で球体を転がして捺印しようとしても、真っ直ぐに捺印することは困難であった。また、球体が前後左右に空回りすることで印影のブレなどが発生する虞もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような背景でなされた発明であり、本発明が解決しようとする課題は、球体に対して平面視で真っ直ぐに捺印できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、印判と、該印判の両側で突出するレールを有する本体と、を有しており、該本体上に球体の被捺印物を配置し、本体に備えられた前記レール上で、該球体の被捺印物を手動で転がして所定箇所に捺印を行うことが可能なスタンプセットとする。
【0007】
また、前記球体の被捺印物を本体上で支持しながら転がす為のレールを備えた捺印具を更に有し、前記捺印具は前記本体とは別体として構成されている構成とすることが好ましい。
【0008】
また、前記本体と、前記球体の被捺印物を本体上で支持しながら転がす為のレールを備えた捺印具と、のいずれか一方又は両方のレールの前記被捺印物と接する部分に滑り止めが設けられている構成とすることが好ましい。
【0009】
また、前記印判が本体に対して着脱自在である構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明を用いると、球体に対して平面視で真っ直ぐに捺印できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態のスタンプセットの印判付き本体の斜視図である。
図2図1のII-II断面である。
図3】スタンプセットの使用例を表す図である。
図4図1に示す印判と本体を分離した分解斜視図である。
図5図4に示す印判のV-V断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に発明を実施するための形態を示す。図1から図4に示されていることから理解されるように、本実施形態のスタンプセット1は、印判5と、該印判5の両側で突出するレール21を有する本体2と、を有しており、該本体2上に球体の被捺印物8を配置し、該球体の被捺印物8を本体2に備えられたレール21上で転がして所定箇所に捺印を行うことが可能である。このため、球体に対して平面視で真っ直ぐに捺印できる。
【0013】
以下、ゴルフボールに捺印をする例を用いて、実施形態のスタンプセット1について説明する。実施形態のスタンプセット1は、印判5の両側で突出するレール21を備えているが、両レール21に接するようにゴルフボールを配置すると、このレール21の間の空間に部分的にゴルフボールが嵌るような状態になる。この状態でレール21上のゴルフボールを転がすと、所定箇所に捺印を行うことができる。このレール21はゴルフボールの進行方向を真っ直ぐにすることができる。
【0014】
実施形態においては、印判5の両側で突出するレール21は、一続きの突出部により構成されている。この突出部は、平行な二直線の両端が各々半円により接続される角丸長方形のような形態となっている。このようにすれば、レール21上を転がるゴルフボールの進行方向に障壁を持つ構造とすることができる。このような障壁を設けると、ゴルフボールが所定の範囲を超えて転がることを規制することができるため、ゴルフボールが本体2から脱落しにくくなる。
【0015】
実施形態の本体2に設けられたレール21は、被捺印物8と接する部分に滑り止め22が設けられている。このため、ゴルフボールを動かした際に空回りすることを抑制できる。なお、実施形態の滑り止め22はレール21の長手方向と交差する方向に延びる複数の溝を形成することにより設けられている。ただし滑り止め22となっているのは、この溝の端部であり、溝が複数設けられることにより山谷が繰り返され滑り止めとして機能する。
【0016】
実施形態において印判5の印字体は、非多孔性印材のスチレンブタジエンゴムからなり、インキを転写して捺印するゴム印タイプのものを採用している。印材はインキとの相性、被捺印物の材質、硬度等を考慮してスチレンブタジエンゴム以外にも様々な材質が使用可能である。例えば、ブタジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレン・プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン・酢酸ビニルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多流化ゴム等が挙げられる。印字体として非多孔性印材を適用する事により、スタンプ台等で転写した際、印字面に一定量のインキを塗布する事が可能である為、捺印荷重に依らずゴルフボール表面に適量のインキを塗布する事ができ、滲みのない綺麗な印影を残すことが可能である。印判5に多孔質印材を用いる事も可能であるが、捺印荷重が強すぎる場合にインキが過剰に吐き出される為、印影滲みの観点から非多孔性印材を採用する方が好ましい。
また、印判5の印字面は表面に凹凸のない所謂ベタ印ではなく、表面に微細な複数の突起を有するドット処理が施されており(図示なし)、その為、捺印時に空気の逃げ道が確保され、印影の中抜けを防止している。
【0017】
また、図5に示すように、印判5の印字体の下側には印字体より硬度が低いクッション材51を配し、更に印字体天面は印判5の本体部よりも僅かに突出するように構成している。こうする事でゴルフボール表面に捺印する際、印字体に適度な柔軟性が付与され、ゴルフボールのディンプルにインキを均一に塗布する事が可能である。捺印性の観点からクッション材の厚みは0.5~1.5mm、突出高さHは1.5~3.0mmが好ましい。
【0018】
またインキは、ゴルフボールの様な非吸収材に押印するため、速乾性インキ、紫外線硬化インキ等が好適に用いられる。紫外線硬化インキの場合、印判5に気密構造を必要としない点で速乾性インキより取り扱いに優れており、本実施形態では紫外線硬化インキを採用している。ゴルフボールに捺印した印影は天日干し若しくは紫外線ランプを照射させる事で重合を促し硬化させる。
被捺印面がテニスボール等の吸収面である場合は、顔料系、染料系、油性系、水性系を問わず従来公知のインキが適宜使用可能である。
【0019】
また、球体の被捺印物8を本体2上で支持しながら転がす為のレール71を備えた捺印具7を更に有しているものとすることもできる。図3に示すことから理解されるように、実施形態においては、ゴルフボールを動かすために捺印具7を利用することができる。この捺印具7は本体2がゴルフボールと接するのと同様、平行に延びる直線的な二つのレール71を備えている。両レール71にゴルフボールが接する状態にすると、このレール71の間の空間に部分的にゴルフボールが嵌るような状態になる。実施形態における捺印具7のレール71は本体2のレール21を構成する突出部と同様な構成である。
【0020】
この捺印具7のレール71には、本体2のレール21と同様、滑り止め72が設けられている。この滑り止め72は本体2の滑り止め22と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。捺印具7にも滑り止め72を設けていると、本体2だけに滑り止め22を設けるよりも、更にゴルフボールの空転を抑制することができる。
【0021】
また、図4に示すことから理解されるように、実施形態においては、印判5が本体2に対して着脱自在である。印判5を本体2から外すことができるため、所望の形態を捺印できる印判5に変更することができる。例えば太さの違う線や破線のように変更前とは形態の違う線などを選択することができる。また、自給式の印判5の場合、インキの補充を容易に行うことができる。
【0022】
ところで実施形態においては、印判5の中心線の延長上に切り欠き24が設けられている。この切り欠き24は位置合わせ用のものであり、ゴルフボールを本体2上において捺印する前に、捺印する個所の目安として利用することができる。
【0023】
以上、実施形態を中心として本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、転写するための形状を一つの帯状としているが、複数の形状が分散配置されているものでもよい。また、帯状の印字面内側に個人名、団体名を印字しても良い。
【0024】
実施形態の印面部はゴム状の部材を用いて構成され、スタンプ台を用いて印面部の形状を球体に転写できる構成であるが、インキを含侵させたものを備えるようにしたインキ自給式の構造を採用しても良い。
【符号の説明】
【0025】
1 スタンプセット
2 本体
5 印判
8 被捺印物
H 突出高さ
図1
図2
図3
図4
図5