(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】車載器
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20240617BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240617BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240617BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20240617BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B60R11/02 C
H05K5/02 A
H05K7/20 B
H05K7/00 B
H04N5/64 541J
(21)【出願番号】P 2020147150
(22)【出願日】2020-09-01
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 景
(72)【発明者】
【氏名】中川 洋平
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-171952(JP,A)
【文献】特開2005-119491(JP,A)
【文献】特開2004-175346(JP,A)
【文献】特開2017-177838(JP,A)
【文献】特開2020-038230(JP,A)
【文献】特開昭60-252040(JP,A)
【文献】特開2012-208418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
H05K 5/02
H05K 7/00
H05K 7/20
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体の前面サイズより大きい画面サイズを有するディスプレイと、
前記装置本体と前記ディスプレイとを連結する連結部と
を具備し、
前記ディスプレイに電力を供給する電源回路は、前記装置本体の内部に配置さ
れ、
前記連結部は、
前記装置本体の内部に収納され、金属により形成された底シャーシと、
前記底シャーシに前後方向にスライド可能に取り付けられるスライドベースと
を有し、
前記電源回路は、前記底シャーシの前記スライドベースの側に配置され、
前記スライドベースは、前記底シャーシに対する前記前後方向のスライドにおいて前記電源回路に対向する位置に切欠き部を有する、
車載器。
【請求項2】
前記装置本体は、金属により形成された筐体を有し、
前記電源回路と、前記装置本体の筐体との間に配置される放熱シートをさらに備える、 請求項
1に記載の車載器。
【請求項3】
前記ディスプレイは、略平板状の筐体フレームを有し、
前記筐体フレームの背面は、前記連結部により支持され、
前記ディスプレイの背面には、外部からの熱を遮蔽する遮熱層が設けられている、
請求項1
又は請求項
2に記載の車載器。
【請求項4】
前記ディスプレイは、金属により形成された略平板状の筐体フレームを有する、
請求項1から請求項
3のうちのいずれか一項に記載の車載器。
【請求項5】
前記筐体フレームの背面は、前記連結部により支持され、
前記筐体フレームは、背面のうちの前記連結部との連結位置を含む第1の領域にリブを有する、
請求項
3又は請求項
4に記載の車載器。
【請求項6】
前記ディスプレイは、少なくとも前記第1の領域を覆うように前記筐体フレームの背面側に配置される、樹脂により形成された樹脂カバーを有し、
前記筐体フレームの背面のうちの前記樹脂カバーにより覆われていない第2の領域には、外部からの熱を遮蔽する遮熱層が設けられている、
請求項
5に記載の車載器。
【請求項7】
前記遮熱層は、前記筐体フレームの背面の前記樹脂カバーにより覆われている領域のうち前記第1の領域の他の領域にさらに設けられている、
請求項
6に記載の車載器。
【請求項8】
前記遮熱層は、前記第1の領域を含む、前記筐体フレームの背面の前記樹脂カバーにより覆われている領域にさらに設けられている、
請求項
6に記載の車載器。
【請求項9】
前記遮熱層は、前記樹脂カバーの背面にさらに設けられている、
請求項
6から請求項
8のうちのいずれか一項に記載の車載器。
【請求項10】
前記装置本体と前記ディスプレイとを電気的に接続するフレキシブルケーブルと、
第1の主面が前記フレキシブルケーブルの前記装置本体と前記ディスプレイとの間の一部区間に固定され、前記第1の主面とは反対側の第2の主面が前記装置本体に固定されるスペーサと
をさらに備える、
請求項
1に記載の車載器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置本体の前面サイズより大きい画面サイズのディスプレイを備えた車載器が提案されている。例えば、従来の車載器としての情報再生装置では、コンソール内の2DINサイズ用ボックスに再生装置本体部が埋め込まれており、7インチ以上のサイズの画像表示装置が再生装置本体部に着脱自在に取り付けられている(特許文献1参照)。これにより、情報再生装置のサイズを、ドライブ本体のサイズの制約から解放して、自由な大きさや形にすることが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の車載器としての情報再生装置では、コンソール内の再生装置本体部やディスプレイ自体の発熱により生じた熱を車室空間へ放熱する構成としていた。このため、例えば車両外部からの日射に起因して車室空間の雰囲気温度が上昇した場合にディスプレイからの放熱量が低下し、ディスプレイの温度上昇による画面焼き付きの発生が懸念される場合があった。
【0005】
本開示は、ディスプレイの温度上昇を抑制することができる車載器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車載器は、装置本体と、ディスプレイと、連結部とを備える。前記ディスプレイは、前記装置本体の前面サイズより大きい画面サイズを有する。前記連結部は、前記装置本体と前記ディスプレイとを連結する。前記ディスプレイに電力を供給する電源回路は、前記装置本体の内部に配置される。前記連結部は、前記装置本体の内部に収納され、金属により形成された底シャーシと、前記底シャーシに前後方向にスライド可能に取り付けられるスライドベースとを有する。前記電源回路は、前記底シャーシの前記スライドベースの側に配置される。前記スライドベースは、前記底シャーシに対する前記前後方向のスライドにおいて前記電源回路に対向する位置に切欠き部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る車載器によれば、ディスプレイの温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車載器の斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る車載器の右側面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る車載器の上面を示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る車載器の後方斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る連結部を下側から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る連結部を下側から見た分解斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るディスプレイの前後スライドの説明図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るディスプレイの前後スライドの説明図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る連結部の要部の分解斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る装置本体の一部を示す分解斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係るDCDC基板の説明図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係るスライドベースの切欠き部の説明図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係るスライドベースの切欠き部の説明図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係るディスプレイの要部の分解斜視図である。
【
図16】
図16は、実施形態に係るフレームの背面にスライダ、ボタンユニット及びTFT基板を取り付けた状態を示す背面図である。
【
図19】
図19は、実施形態に係る上下スライド機構の要部の分解斜視図である。
【
図20】
図20は、実施形態に係るロック機構を説明するための側断面図である。
【
図21】
図21は、実施形態に係るロック機構を説明するための側断面図である。
【
図22】
図22は、実施形態に係るディスプレイの上下スライドの説明図である。
【
図23】
図23は、実施形態に係るディスプレイの上下スライドの説明図である。
【
図24】
図24は、実施形態に係るディスプレイのチルト回動の説明図である。
【
図25】
図25は、実施形態に係るディスプレイのチルト回動の説明図である。
【
図26】
図26は、実施形態に係るチルト機構の要部の分解斜視図である。
【
図27】
図27は、実施形態に係る連結部を側面側から見た断面図である。
【
図29】
図29は、実施形態に係るディスプレイを水平方向に回転させたときのフレキシブルケーブルの説明図(斜視図)である。
【
図30】
図30は、実施形態に係るディスプレイを奥方向にスライドさせたときのフレキシブルケーブルの説明図(側面断面図)である。
【
図31】
図31は、
図30の状態におけるフレキシブルケーブル及びスペーサの説明図(斜視図)である。
【
図32】
図32は、
図30の状態におけるフレキシブルケーブル及びスペーサの説明図(底面図)である。
【
図33】
図33は、
図3に示す車載器の連結部のA-A線に沿った分解断面図である。
【
図35】
図35は、
図3に示す車載器の連結部の別の一例に係るA-A線に沿った分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る車載器の実施形態について説明する。本実施の形態では、自動車に搭載される映像再生装置や音楽再生装置、ナビゲーション装置などとして用いられる車載器の場合を例示する。
【0010】
本発明の実施の形態の車載器1の構成を、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る車載器1の斜視図である。
図2は、実施形態に係る車載器1の右側面図である。
図3は、実施形態に係る車載器1の上面を示す平面図である。
図4は、実施形態に係る車載器1の後方斜視図である。
【0011】
車載器1は、
図1に示すように、車両のコンソールパネル2の収納ボックス3に取り付けられている。収納ボックス3のサイズは、例えば2DINサイズ(ドイツ工業規格であるDIN規格に準じたサイズ)である。車載器1は、
図2~
図4に示すように、装置本体4、ディスプレイ5及び連結部6を備えている。装置本体4は、コンソールパネル2の収納ボックス3内に収納されている。ディスプレイ5は、装置本体4の前面サイズ(2DINサイズ)より大きい画面サイズを有している。ディスプレイ5の画面サイズは、例えば9インチである。連結部6は、装置本体4とディスプレイ5とを連結する。
【0012】
なお、図面を用いた説明での上下、左右、前後、手前、奥、正面等の表現は、コンソールパネル2の収納ボックス3に取り付けられた車載器1に関してユーザが対面する面を正面としたときのものである。つまり、
図1に示す状態において、装置本体4の正面と、ディスプレイ5の背面とは対向している。
【0013】
図5は、実施形態に係る連結部6を下側から見た斜視図である。
図6は、実施形態に係る連結部6を下側から見た分解斜視図である。また、
図7及び
図8は、実施形態に係るディスプレイ5の前後スライドの説明図である。
【0014】
図5~
図8に示すように、連結部6は、ディスプレイ5を装置本体4に対して前後方向にスライド移動させる前後スライド移動機構19を備えている。前後スライド移動機構19は、ディスプレイ5のリフトカバー59に接続される。前後スライド移動機構19は、大部分が装置本体4の内部に収納されており、一部分が装置本体4から外部に突出している。ここでは、装置本体4から外部に突出している部分をネック部20と呼ぶ。ネック部20には、上側から目隠しカバー21が取り付けられている。ネック部20の下側には、パッド部材22が取り付けられている。パッド部材22は、樹脂により形成されており、振動吸収性及び放熱性を有している。
【0015】
図9は、実施形態に係る連結部6の要部の分解斜視図である。連結部6は、
図9に示すように、第1ベース部61、第2ベース部62及び第3ベース部63を備えている。第1ベース部61は、装置本体4に取り付けられる。第2ベース部62は、第1ベース部61の中に納まるように第1ベース部61に取り付けられる。第3ベース部63は、第2ベース部62の上に取り付けられる。
【0016】
第1ベース部61は、底面61-1と、底面61-1から上向きに形成される左右一対の側壁面61-2を備えている。第1ベース部61により、ディスプレイ5の首振りの回転軸を車両に対して垂直にすることで、首振り時のディスプレイ傾きを抑制することができる。また、第2ベース部62は、上面62-1と、上面62-1から下向きに形成される前壁面62-2と左右一対の側壁面62-3を備えている。第2ベース部62のセンターシャフト62-4は、ディスプレイ5の首振り機構の回転軸である。また、第1ベース部61と第2ベース部62との間には、3点のシャフト62-5が配置されている。これにより、ディスプレイ5の首振り時のガタを抑制することができる。第3ベース部63に、ディスプレイ5が取り付けられる。
【0017】
この場合、装置本体4の底部には、前後スライド移動機構19の底シャーシ191が収納されている。底シャーシ191は、装置本体4の金属製の筐体に熱的に接触している。底シャーシ191は、例えば金属により形成されている。なお、底シャーシ191は、装置本体4の筐体の一部として構成されていてもよい。底シャーシ191は、
図9に示すように、スライドベース193の移動方向を規定するガイド192を有している。前後スライド移動機構19のスライドベース193は、底シャーシ191に対して、前後方向(
図2における左右方向)にスライド可能に取り付けられている。スライドベース193は、
図9に示すように、レール194を有している。スライドベース193は、レール194が底シャーシ191のガイド192によりスライド可能に支持されることにより、前後方向に移動することができる。第1ベース部61は、スライドベース193にビス195で固定されている。このように、第1ベース部61は、装置本体4に対して前後方向にスライド可能に取り付けられている。
【0018】
また、ネック部20の下面には、装置本体4の前後方向(
図7及び
図8における左右方向)に延びる左右一対のネジ受け溝25が形成されている。このネジ受け溝25に装置本体4のネジ穴26を介して固定ネジ27を螺着することにより、ディスプレイ5が前後スライド移動しないように固定される。
【0019】
ディスプレイ5を後方向(奥方向、
図7における右方向)にスライド移動させる場合には、固定ネジ27を取り外して固定を解除し、ユーザがディスプレイ5を手動で押し込む。そうすると、スライドベース193が底シャーシ191に対して後方向にスライドして、ディスプレイ5が後方向にスライド移動する(
図7参照)。ディスプレイ5のスライド移動が完了したら、固定ネジ27を螺着してスライド移動しないように固定する。
【0020】
ディスプレイ5を前方向(手前方向、
図8における左方向)にスライド移動させる場合には、固定ネジ27を取り外して固定を解除し、ユーザがディスプレイ5を手動で引き出す。そうすると、スライドベース193が底シャーシ191に対して前方向にスライドして、ディスプレイ5が前方向にスライド移動する(
図8参照)。ディスプレイ5のスライド移動が完了したら、固定ネジ27を螺着してスライド移動しないように固定する。
【0021】
図10は、実施形態に係る装置本体4の一部を示す分解斜視図である。
図11は、実施形態に係るDCDC基板43の説明図である。
【0022】
図10に示すように、装置本体4のメイン基板41には、DCDCシールド42が取り付けられている。DCDCシールド42には、DCDC基板43が取り付けられている。DCDC基板43は、ディスプレイ5に所定の電圧の直流電力を供給するように構成された電源回路である。つまり、実施形態に係るディスプレイ5の電源回路は、装置本体4の内部に搭載されている。また、DCDC基板43のDCDCシールド42とは反対側の面には、放熱シート44が貼り付けられている。放熱シート44を設けることにより、DCDC基板43で発生した熱を効率的に底シャーシ191へ放熱することができる。
【0023】
図12及び
図13は、実施形態に係るスライドベース193の切欠き部197の説明図である。
図12及び
図13では、装置本体4のメイン基板41を省略している。
【0024】
図9、
図12及び
図13に示すように、スライドベース193には、切欠き部197が設けられている。
図12及び
図13に示すように、DCDC基板43及び放熱シート44が搭載されたメイン基板41は、DCDC基板43がスライドベース193の切欠き部197に挿入され、かつ、放熱シート44が底シャーシ191のスライドベース193側の面に接触するように配置されている。このとき、放熱シート44は、DCDC基板43の熱を底シャーシ191に放熱可能にDCDC基板43と底シャーシ191とを接続している。したがって、DCDC基板43の熱は、放熱シート44を介して底シャーシ191に放熱される。換言すれば、DCDC基板43は、装置本体4の金属製の筐体へ放熱可能に装置本体4の筐体内部に配置されている。これにより、DCDC基板43で発生した熱は、放熱シート44を介して、DCDC基板43から底シャーシ191へ放熱される。
【0025】
切欠き部197は、底シャーシ191に対するスライドベース193の前後方向のスライドにおいて、スライドベース193のうちのDCDC基板43に対向する位置に設けられている。切欠き部197は、スライド移動によりスライドベース193が取り得る複数の位置においてDCDC基板43に対向する複数の位置の集合であると表現することもできる。具体的には、切欠き部197の位置及び大きさは、
図12及び
図13に示すように、スライドベース193が底シャーシ191に対して前後方向にスライドするとき、スライドベース193がDCDCシールド42及びDCDC基板43に干渉しないように決定される。したがって、切欠き部197は、DCDCシールド42及びDCDC基板43の外形より大きい。
【0026】
なお、
図10~
図13を参照して、装置本体4のメイン基板41にDCDCシールド42を介して固定されたDCDC基板43を、放熱シート44を介して底シャーシ191へ熱的に接触させる場合を例示したが、これに限らない。例えば車載器1は、DCDCシールド42を底シャーシ191にビス止めすることにより、放熱シート44を介して底シャーシ191へDCDC基板43を熱的に接触させる構成とすることもできる。
【0027】
なお、
図10~
図13を参照して、DCDC基板43が放熱シート44を介して底シャーシ191へ熱的に接触する場合を例示したが、車載器1は、放熱シート44を設けない構成とすることもできる。
【0028】
このように、実施形態に係る車載器1は、コンソールパネル2の収納ボックス3内に収納された装置本体4からディスプレイ5を独立させた構成を有する。この車載器1において、ディスプレイ5に電力を供給するDCDC基板43は、装置本体4に設けられている。具体的には、DCDC基板43は、装置本体4の底シャーシ191に放熱シート44を介して熱的に接触している。
【0029】
従来の車載器としての情報再生装置では、装置本体やディスプレイ自体の発熱により生じた熱を車室空間へ放熱する構成としていた。このため、例えば車両外部からの日射に起因して車室空間の雰囲気温度が上昇した場合にディスプレイからの放熱量が低下し、ディスプレイの温度上昇による画面焼き付きの発生が懸念される場合があった。
【0030】
また、車載器としての情報再生装置においては、視認性や応答速度、薄さ、軽さなどの観点から、有機ELディスプレイ(OLED)の利用には需要がある。しかしながら、OLEDは、温度上昇に伴う焼き付きが発生しやすいという問題があった。
【0031】
このような中、実施形態に係る車載器1によれば、動作時の発熱量が大きいDCDC基板43をディスプレイ5から離れた配置とすることができる。また、DCDC基板43は、発熱により生じた熱を、装置本体4の筐体である金属シャーシから放熱することができる。したがって、実施形態に係る技術によれば、ディスプレイ5の焼き付きの原因となり得るディスプレイ5の局所的な温度上昇を抑制することができる。ディスプレイ5の局所的な温度上昇を抑制することは、車載器1へのOLEDの適用を容易にすることができる。
【0032】
図14は、実施形態に係るディスプレイ5の要部の分解斜視図である。
図15は、実施形態に係るフレーム54の背面図である。
図16は、実施形態に係るフレーム54の背面にスライダ55、ボタンユニット56及びTFT基板57を取り付けた状態を示す背面図である。
図17は、
図16の状態にリアカバー58を取り付けた状態を示す背面図である。
図18は、
図17の状態にリフトカバー59を取り付けた状態を示す背面図である。
【0033】
ディスプレイ5は、
図14に示すように、カバーガラス51、OLEDモジュール52、両面テープ531,532、フレーム54、スライダ55、ボタンユニット56及びTFT基板57を備えている。ディスプレイ5は、
図2~4,12~14,17に示すように、リアカバー58を備えている。ディスプレイ5は、
図2~4,12~14,18に示すように、リフトカバー59を備えている。
【0034】
図14に示すように、カバーガラス51の背面側には、OLEDモジュール52が配置されている。カバーガラス51及びOLEDモジュール52の外周部は、両面テープ531によりフレーム54に固定されている。また、OLEDモジュール52のフレーム54側の面は、両面テープ532によりフレーム54に固定されている。両面テープ532は、熱伝導性を有し、OLEDモジュール52からの熱をフレーム54へ伝達することができる。
【0035】
OLEDモジュール52のフレーム54側の面には、OLED基板521が設けられている。OLED基板521は、ディスプレイ5の駆動回路である。ただし、上述したように、ディスプレイ5の電源回路であるDCDC基板43は、装置本体4の内部に設けられているため、このOLED基板521は、DCDC基板43から供給された電力を用いて動作する電源回路の他の駆動回路である。
【0036】
フレーム54は、金属により形成されている、略平板状の部材である。フレーム54は、ディスプレイ5の筐体フレームの一例である。フレーム54は、例えばマグネシウム合金製である。
図15に示すように、フレーム54の背面側の中央の領域R1には、ハニカム形状のリブ541が設けられている。中央の領域R1は、第1の領域の一例である。中央の領域R1は、樹脂製のリアカバー58で覆われる領域内の領域である。中央の領域R1は、
図15及び
図16に示すように、スライダ55が固定される位置542を含む領域である。スライダ55は、連結部6に移動可能に接続され、ディスプレイ5を支持する部材である。つまり、フレーム54の背面は、連結部6により支持される。このとき、スライダ55が固定される位置542は、連結部6との連結位置と表現することができる。また、中央の領域R1は、フレーム54の背面のうちの連結部6との連結位置を含む領域であると表現することができる。
【0037】
このように、ディスプレイ5の筐体であるフレーム54を金属製とすることにより、フレーム54を熱拡散板として作用させることができる。つまり、フレーム54によれば、ディスプレイ5の内部の熱拡散性を向上することができる。したがって、実施形態に係る車載器1によれば、ディスプレイ5の局所的な温度上昇を抑制することができる。
【0038】
また、ディスプレイ5の筐体を構成するフレーム54を金属製とすることにより、ディスプレイ5の強度を向上することができる。また、フレーム54は、ディスプレイ5の筐体を構成する外観部品であるため、金属製とすることにより、車載器1に高級感を与えることもできる。
【0039】
また、スライダ55が固定される位置を含む中央の領域R1にリブ541を設けることにより、連結部6との接続部分の強度を向上することができる。また、リブ541によりフレーム54の背面側の表面積が拡大されるため、フレーム54から周囲空気への熱伝達を促進することができる。また、リブ541により、フレーム54の正面側から背面側までの間の断面積がリブ541の高さに応じて増加されるため、フレーム54の内部の熱拡散性を向上することができる。
【0040】
図16に示すように、ボタンユニット56及びTFT基板57は、それぞれ、フレーム54の背面側に配置される。また、
図17に示すように、リアカバー58は、フレーム54の背面側に固定される。リアカバー58は、樹脂製の樹脂カバーである。上述したように、リブ541が設けられている中央の領域R1は、リアカバー58により覆われる領域内の領域であるから、リアカバー58は、少なくとも中央の領域R1を覆うようにフレーム54の背面側に配置されていると表現することもできる。これにより、リブ541による表面積の拡大に伴い外部からのふく射熱を吸収しやすい中央の領域R1への日射などの外部からの熱(例えば、熱ふく射)を遮断することができる。
【0041】
なお、
図15は、ハニカム状のリブ541を例示するが、これに限らない。リブ541は、上述したように、放熱面積の拡大や断面積の拡大による熱拡散性の向上、強度の向上が実現される形状であれば如何なる形状であってもよく、例えば直線を含む曲線状やトラス状、マス目状などの他の形状であっても構わない。一例として、直線を含む曲線状のリブ541の場合には、プレス加工によって形成することができるため、製造を簡易化することができる。
【0042】
フレーム54の背面側の周囲の領域R2には、外部からの熱(例えば、熱ふく射)を遮蔽する遮熱層が設けられる。遮熱層は、一例として、遮熱塗料を塗布することにより形成される。遮熱層は、別の一例として、遮熱フィルムを貼付することにより形成される。遮熱層は、好ましくは外部からの熱(例えば、熱ふく射)を反射することにより遮蔽する反射層である。周囲の領域R2は、第2の領域の一例である。周囲の領域R2は、樹脂製のリアカバー58で覆われていない領域である。ここで、リブ541は、周囲の領域R2には設けられていない。
【0043】
このように、フレーム54の背面側に遮熱層を設けることにより、樹脂製のフレームよりもふく射熱を吸収しやすい金属製のフレーム54への日射などの外部からの熱(例えば、熱ふく射)を遮断することができる。本実施の形態の車載器1では、
図1に示すように、ディスプレイ5は収納ボックス3に対して車室空間側に突出して配置され、ディスプレイ5の背面側にはフロントガラスが位置している。そのため、ディスプレイ5の背面は、フロントガラス越しに直射日光の影響を受けやすく、それに起因してディスプレイ5の温度が上昇する場合がある。特に、車両の駐車時などにおいて、車室内の空調設備が動作していない場合には、ディスプレイ5の温度が急激に上昇することがある。本開示の発明者はこの課題を見出し、ディスプレイ5の背面側に遮熱層を設けることを発案した。
【0044】
なお、フレーム54の背面側の周囲の領域R2だけでなく、樹脂製のリアカバー58の背面側にも遮熱層を設けるようにしてもよい。この場合、ディスプレイ5の背面側の外部に露出する領域には、遮熱層が設けられている。このように、ディスプレイ5の背面には、外部からの熱(例えば、熱ふく射)を遮蔽する遮熱層が設けられていてもよい。これにより、フロントガラス越しの直射日光がディスプレイ5の背面に入射する場合であっても、ディスプレイ5の温度上昇を抑制することができる。また、ディスプレイ5の背面の外部に露出する領域に遮熱層が設けられることで、ディスプレイ5の背面に材質の異なるフレーム54及びリアカバー58が露出する場合であっても、遮熱層により一体感のある外観を実現することができる。
【0045】
なお、遮熱層は、フレーム54の背面のうち樹脂製のリアカバー58で覆われる領域にさらに設けられていてもよい。つまり、遮熱層は、周囲の領域R2に限らず、中央の領域R1にさらに設けられていてもよい。なお、フレーム54の背面のリアカバー58で覆われる領域の一部又は全部に遮熱層が設けられる場合であっても、リアカバー58の背面側に遮熱層がさらに設けられていても構わない。
【0046】
一例として、遮熱層は、フレーム54の背面の全体に設けられる。換言すれば、遮熱層は、リブ541が設けられている中央の領域R1にさらに設けられていてもよい。これにより、リブ541が設けられている領域、すなわち表面積の拡大に伴い外部からの熱(例えば、熱ふく射)を吸収しやすい領域にも遮熱層が設けられるため、直射日光に起因するディスプレイ5の温度上昇をより効果的に抑制することができる。
【0047】
別の一例として、遮熱層は、フレーム54の背面のリアカバー58で覆われる領域のうち中央の領域R1の他の領域、すなわちリブ541が設けられていない領域に設けられる。この場合、リアカバー58は、リブ541が設けられている中央の領域R1の大きさより大きいとする。これにより、表面積の拡大に伴いフレーム54から外部へ放熱しやすい中央の領域R1にはフレーム54から外部への熱伝達を抑制し得る遮熱層が設けられないため、ディスプレイ5からの放熱性を担保しつつ、直射日光に起因するディスプレイ5の温度上昇をより効果的に抑制することができる。
【0048】
このように、領域R1はリブ541が設けられた領域であるため、伝熱面積が大きくなる。領域R1は、伝熱面積が大きくなることにより、放熱しやすいとともに、直射日光などの外部からの熱を吸収しやすい。そのため、放熱を優先する設計とする場合には、リアカバー58で覆われる領域のうち領域R1には遮熱層を設けず、リアカバー58で覆われる領域のうち領域R1以外の領域には遮熱層を設けるようにしてもよい。一方、直射日光などの外部からの熱の遮断を優先する設計とする場合には、フレーム54の背面側の全面に遮熱層を設けてもよい。
【0049】
図18に示すように、リアカバー58の背面には、リフトカバー59が配置される。リフトカバー59は、ディスプレイ5を画面上下方向にスライド移動させる上下スライド機構7を内部に備えている。
図19は、実施形態に係る上下スライド機構7の要部の分解斜視図である。
図19に示すように、上下スライド機構7は、スライダベース71及びスライドレール72を備えている。左右一対のスライドレール72は、スライダベース71の両端に固定される。スライダベース71は、連結部6の第3ベース部63に固定される。スライドレール72は、画面上下方向に延びるレールである。スライドレール72には、ディスプレイ5のスライダ55がスライド可能に取り付けられている。この場合、スライダ55の左右両側(
図14における画面左右両側)が、左右一対のスライドレール72に保持されている。上述したように、スライダ55は、ディスプレイ5に固定されている。
【0050】
このリフトカバー59は、ディスプレイ5のスライド移動をロックするロック機構を内部に備えている。
図20及び
図21は、実施形態に係るロック機構を説明するための側断面図である。
図22及び
図23は、実施形態に係るディスプレイ5の上下スライドの説明図である。ディスプレイ5のスライダ55は、
図17に示すように、ラックベース551を備えている。ラックベース551には、
図17に示すように、第1係合部552が形成されている。
図19に示すように、スライダベース71はラックギア73を備えている。ラックギア73には第2係合部731が形成されている。
【0051】
図20に示すように、ラックギア73は、ノブ15を起こすように(
図20における左回りに)回動させることによってラックベース551に押し付けられるように構成されている。ラックギア73がラックベース551に押し付けられると、第1係合部552と第2係合部731とが係合して、スライダ55のスライダベース71に対するスライド移動がロックされる。このようにして、ディスプレイ5のスライド移動がロックされる。
【0052】
一方、
図21に示すように、ラックギア73は、ノブ15を倒すように(
図21における右回りに)回動させることによってラックベース551に対する押し付けが緩められるように構成されている。ラックギア73のラックベース551に対する押し付けが緩められると、第1係合部552と第2係合部731とが係合しなくなり、スライダ55のスライダベース71に対するスライド移動のロックが解除される。このようにして、ディスプレイ5のスライド移動のロックが解除される。
【0053】
また、
図17に示すように、スライダ55は、画面上下方向に延びる被係合ギア553を備えている。スライダベース71は、被係合ギア553に係合するダンパギア74を備えている。この場合、ラックベース551及びラックギア73は、ディスプレイ5の画面左右両側のうちの一方の側(
図17では左側)に配置され、被係合ギア553及びダンパギア74は、ディスプレイ5の画面左右両側のうちの他方の側(
図17では右側)に配置されている。
【0054】
ディスプレイ5を画面上方向にスライド移動させる場合には、ノブ15を倒してロックを解除し、ユーザがディスプレイ5を手動で押し上げる。そうすると、スライダ55がスライドレール72に対して上方向にスライドして、ディスプレイ5が画面上方向にスライド移動する(
図22参照)。このとき、ダンパギア74の作用により、ディスプレイ5はゆっくりと画面上方向にスライド移動する。ディスプレイ5のスライド移動が完了したら、ノブ15を起こしてスライド移動をロックする。
【0055】
一方、ディスプレイ5を画面下方向にスライドさせる場合には、ノブ15を倒してロックを解除し、ユーザがディスプレイ5を手動で引き下げる。そうすると、スライダ55がスライドレール72に対して下方向にスライドして、ディスプレイ5が画面下方向にスライド移動する(
図23参照)。このとき、ダンパギア74の作用により、ディスプレイ5はゆっくりと画面下方向にスライド移動する。ディスプレイ5のスライド移動が完了したら、ノブ15を起こしてスライド移動をロックする。
【0056】
図17に示すように、ラックベース551には、上下方向に溝554が設けられている。また、19に示すように、スライダベース71には、ラックベース551の溝554に対応する箇所に2つのガイドピン75が設けられている。これにより、ディスプレイ5が上下方向にスライドするとき、ガイドピン75が溝554に沿って動くことができる。これにより、ディスプレイ5は、左右に歪むことや回転することなく、上下方向に沿って摺動することができる。
【0057】
リフトカバー59は、ディスプレイ5をチルト方向に回動させるチルト機構8を内部に備えている。
図24及び
図25は、実施形態に係るディスプレイ5のチルト回動の説明図である。
図26は、実施形態に係るチルト機構8の要部の分解斜視図である。
図24~
図26に示すように、チルト機構8は、ヒンジ部81を有している。チルト機構8は、ヒンジ部81の回動部811を中心にして、ディスプレイ5の上部を装置本体4に対して接近するように傾けたり、装置本体4から離れるように傾けたりして、ディスプレイ5をチルト方向に回動させることができるように構成されている。
【0058】
ディスプレイ5を起こす方向(上向き方向、
図24における右回転方向)にチルト回動させる場合には、ユーザがディスプレイ5を手動で起こす。そうすると、ディスプレイ5がヒンジ部81の回動部811を中心に上向き方向にチルト回動する(
図24参照)。一方、ディスプレイ5を倒す方向(下向き方向、
図25における左回転方向)にチルト回動させる場合には、ユーザがディスプレイ5を手動で引き倒す。そうすると、ディスプレイ5がヒンジ部81の回動部811を中心に下向き方向にチルト回動する(
図25参照)。
【0059】
図27は、実施形態に係る連結部6を側面側から見た断面図である。
図28は、実施形態に係る連結部6の斜視図である。
図29は、実施形態に係るディスプレイ5を水平方向に回転させたときのフレキシブルケーブル91の説明図(斜視図)である。
図30は、実施形態に係るディスプレイ5を奥方向にスライドさせたときのフレキシブルケーブル91の説明図(側面断面図)である。
図31は、
図30の状態におけるフレキシブルケーブル91及びスペーサ92の説明図(斜視図)である。
図32は、
図30の状態におけるフレキシブルケーブル91及びスペーサ92の説明図(底面図)である。
【0060】
図9に示すように、第2ベース部62は、第2ヒンジ部62-6及び第2ガイド穴62-7を備えている。第2ヒンジ部62-6には、センターシャフト62-4が挿入される第2軸穴62-8が形成される。センターシャフト62-4は、第3ベース部63に設けられた第2軸穴63-1にも挿入され、第3ベース部63が第2ベース部62に対して第2軸X2を中心に回動可能に取り付けられている(
図27~
図30参照)。第2ガイド穴62-7には、第3ベース部63に取り付けられるシャフト62-5が摺動自在に挿入される。第2ガイド穴62-7は、第2ベース部62に対して第3ベース部63が回動するときに、シャフト62-5の摺動をガイドするように円弧状に形成されている。このように、第3ベース部63は、第2ベース部62に対して第2軸X2を中心に回動可能に取り付けられている。ここで、第2軸X2は、第2ベース部62の高さ方向に沿った軸である。第2ベース部62の高さ方向は、第2ベース部62が第1ベース部761に対して回動していない状態で装置本体4の高さ方向と同じ方向である。また、第2ヒンジ部62-6は、第2ベース部62の中央に一つ設けられており、第2ガイド穴62-7は、第2ヒンジ部62-6を囲う三つの位置(左右及び後ろの位置)に設けられている(
図9参照)。
【0061】
図27~
図30に示すように、装置本体4とディスプレイ5とは、フレキシブルケーブル91によって電気的に接続されている。また、フレキシブルケーブル91と装置本体4との間には、スペーサ92が配置されている。
図31及び
図32に示すように、フレキシブルケーブル91の中央部は、スペーサ92の一方の主面に貼り付けられている。スペーサ92は、PET(PolyEthylene Terephthalate)などの樹脂により形成されている。スペーサ92は、略十字の形状をしている。スペーサ92の十字の短辺の両側には、嵌合孔921が設けられている。ここで、第1ベース部61には、フレキシブルケーブル91の中央部を固定するための第1固定部64が設けられている。フレキシブルケーブル91は、スペーサ92の嵌合孔921を第1固定部64に嵌合することによって、第1固定部64に固定される。また、第3ベース部63には、フレキシブルケーブル91のモニタ部側の端部を固定するための第2固定部65が設けられている。
【0062】
第1固定部64は、第1ベース部61の幅方向とフレキシブルケーブル91の幅方向が同じ方向になるように、第1ベース部61の上面にフレキシブルケーブル91の平坦面を固定する。また、第2固定部65は、第3ベース部63の幅方向とフレキシブルケーブル91の幅方向が同じ方向になるように、第3ベース部63(の上面)にフレキシブルケーブル91(の平坦面)を固定する。この場合、第1固定部64と第2固定部65に固定されている部分のフレキシブルケーブル91の平坦面の向きは、上下方向(
図27における上下方向)である。
【0063】
そして、
図27に示すように、フレキシブルケーブル91は、第1固定部64と第2固定部65との間(すなわち、フレキシブルケーブル91の第1固定部64と第2固定部65に固定されている部分の間)において、少なくとも2つの屈曲部Rを有している。
図27の例では、第1固定部64と第2固定部65との間の屈曲部Rは2つであり、第1固定部64と第2固定部65との間においてフレキシブルケーブル91はS字形状(第1ベース部61の幅方向からみてS字形状)を有している。
【0064】
また、装置本体4の内部の基板45には、フレキシブルケーブル91の装置本体4側の端部を固定するための第3固定部67が設けられている。さらに、装置本体4には、第1ベース部61が装置本体4に対して奥方向(
図27及び
図30における右方向)にスライドされたときに、スライドされた第1ベース部61に追従して屈曲するフレキシブルケーブル91の一部を収容する収容凹部66が設けられている。
【0065】
第3固定部67は、装置本体4の幅方向とフレキシブルケーブル91の幅方向が同じ方向になるように、装置本体4の内部の基板45の前面にフレキシブルケーブル91の平坦面を固定する。この場合、第3固定部67に固定されている部分のフレキシブルケーブル91の平坦面の向きは、前後方向(
図27における左右方向)である。
【0066】
そして、
図27に示すように、フレキシブルケーブル91は、第1固定部64と第3固定部67との間、すなわちフレキシブルケーブル91の第1固定部64に固定されている部分と第3固定部67に固定されている部分との間において、少なくとも2つの屈曲部Rを有している。
図27の第1ベース部61が装置本体4に対して手前方向にスライドされた場合では、第1固定部64と第3固定部67との間に2つの屈曲部Rが形成されている。また、
図30の第1ベース部61が装置本体4に対して奥方向にスライドされた場合では、第1固定部64と第3固定部67との間に4つの屈曲部Rが形成されている。
【0067】
このように、ディスプレイ5の回路基板からS字状に延伸するフレキシブルケーブル91と装置本体4との間にスペーサ92を設けることにより、フレキシブルケーブル91が装置本体4の金属製の筐体に接触しないようにすることができる。これにより、フレキシブルケーブル91により伝送される信号に生じるノイズを抑制することができる。
【0068】
図33は、
図3に示す車載器1の連結部6のA-A線に沿った分解断面図である。
図34は、
図3に示す車載器1の連結部6のA-A線に沿った断面図である。
図33及び
図34に示すように、装置本体4は、装置本体側電気コネクタ31、基板32、基板カバー33及びスイッチ34を有している。装置本体側電気コネクタ31は、図示しないディスプレイ側電気コネクタに着脱可能なコネクタである。基板32は、装置本体側電気コネクタ31を支持する。基板32は、基板カバー33により覆われている。スイッチ34は、基板32上に設けられ、装置本体側電気コネクタ31の通電と非通電とを切り替える。
【0069】
このうち装置本体側電気コネクタ31は、装置本体4の正面から突出するように設けられており、
図5及び
図6を参照して上述したネック部20に設けられている。装置本体側電気コネクタ31が装置本体4の正面から突出するように設けられていることで、ディスプレイ側電気コネクタとの連結時にこの連結状態を目視にて容易に確認することができる。これにより、連結状態が不完全なまま車載器1を使用してしまうことを防止できる。
【0070】
スイッチ34は、例えばレバー型スイッチであり、基板32に対して斜め上向きに延びるレバーを有している。スイッチ34のレバーが下向きに押圧されて基板32側に押し倒されると、装置本体側電気コネクタ31への通電が開始され、装置本体側電気コネクタ31からディスプレイ側電気コネクタへと電気が供給される。一方、スイッチ34のレバーに対する下向きの押圧が解消されると、レバー自体の復元力により元の角度に復帰し、装置本体側電気コネクタ31への通電が停止され、装置本体側電気コネクタ31からディスプレイ側電気コネクタへの電気の供給が停止される。
【0071】
上述した目隠しカバー21は、装置本体側電気コネクタ31とディスプレイ側電気コネクタとの連結部分を覆うように取り付けられていて、ビス38により固定されている。
【0072】
図33及び
図34に示すように、目隠しカバー21は、連結部分を覆うように取り付けられる時に、スイッチ34を押圧して装置本体側電気コネクタ31を通電状態に切り替えるボス35を有している。
【0073】
ボス35は、目隠しカバー21の内側から下向きに延びるように設けられている。本実施の形態では、ボス35には、軸線方向に延びるリブ37が設けられている。図示された例では、4本のリブ37が互いに90°をなす角度位置に設けられていて、ボス35の断面形状は十字形状を呈している。ボス35がリブ37を有していることで、ボス35の強度が向上され、目隠しカバー21の取り付け時にボス35を誤って基板カバー33等にぶつけて折損してしまうことが防止される。
【0074】
本実施の形態では、装置本体側電気コネクタ31とディスプレイ側電気コネクタとが連結された後、この連結部分を覆うように目隠しカバー21が取り付けられる時に、目隠しカバー21のボス35がスイッチ34を押圧して装置本体側電気コネクタ31を通電状態に切り替える。そのため、ディスプレイ側電気コネクタを装置本体側電気コネクタ31に連結する際には、装置本体側電気コネクタ31にはまだ電気が供給されておらず、装置本体側電気コネクタ31に誤って手が触れたとしても感電することがない。したがって、ディスプレイ5を装置本体4に取り付ける作業を、極めて安全に行うことができる。
【0075】
図33及び
図34に示すように、基板カバー33には、ボス35を案内する筒状のガイド部36が設けられている。ガイド部36の断面形状は、特に限定されず、円形状であってもいいし、一部が切り欠かれた円弧形状であってもよい。基板32上のスイッチ34は、ガイド部36の先端に位置決めされている。これにより、目隠しカバー21が連結部分を覆うように取り付けられる時に、目隠しカバー21のボス35は、基板カバー33のガイド部36によりスイッチ34に向かって案内される。これにより、ボス35の押圧位置がスイッチ34から外れてしまって、装置本体側電気コネクタ31が通電状態に切り替わらない、という事態が回避される。
【0076】
なお、
図33及び
図34に示すように、リブ37を有するボス35と一体に形成された目隠しカバー21を例示したが、これに限らない。
図35は、
図3に示す車載器1の連結部6の別の一例に係るA-A線に沿った分解断面図である。
【0077】
図35に示すように、目隠しカバー21と、装置本体4との間には、押圧部材211が配置されている。押圧部材211の上側は、装置本体側電気コネクタ31とディスプレイ側電気コネクタとの連結部分を覆うように目隠しカバー21が取り付けられている時に、目隠しカバー21の内側と接触する。つまり、
図35の目隠しカバー21は、装置本体側電気コネクタ31とディスプレイ側電気コネクタとの連結部分に押圧部材211を押し付けるように取り付けられていて、ビス38により固定されている。押圧部材211は、目隠しカバー21により連結部分に押し付けられる時に、スイッチ34を押圧して装置本体側電気コネクタ31を通電状態に切り替えるボス35を有している。ボス35は、基部212の下側から下向きに延びるように設けられている。ボス35には、上述したように、リブ37が設けられている。このように、スイッチ34を押圧するボス35は、目隠しカバー21とは異なる押圧部材211に設けられていてもよい。この構成であっても、上述と同様の効果が得られる。
【0078】
以上説明したように、実施形態に係る車載器1によれば、ディスプレイ5の温度上昇を抑制することができる。
【0079】
なお、本実施形態に係る技術は、少なくとも特開2017-177838号公報、特開2017-177848号公報及び特開2018-171952号公報の各々に開示されている技術と適宜組合せ可能である。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0081】
1 車載器
2 コンソールパネル
3 収納ボックス
4 装置本体
5 ディスプレイ
6 連結部
41 メイン基板
42 DCDCシールド
43 DCDC基板
44 放熱シート
51 カバーガラス
52 OLEDモジュール
531,532 両面テープ
54 フレーム
58 リアカバー
59 リフトカバー
191 底シャーシ
193 スライドベース
197 切欠き部