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特許7504409RNAウィルス感染を処置する為のフェニル-N-キノリン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】RNAウィルス感染を処置する為のフェニル-N-キノリン誘導体
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/47 20060101AFI20240617BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20240617BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20240617BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
A61K31/47
A61K31/4709
A61P31/14
A61P31/16
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021500215
(86)(22)【出願日】2019-07-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2019068459
(87)【国際公開番号】W WO2020011810
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】18305910.4
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515048803
【氏名又は名称】アビバックス
(73)【特許権者】
【識別番号】500531141
【氏名又は名称】セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク
(73)【特許権者】
【識別番号】515085211
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ド モンペリエ
(73)【特許権者】
【識別番号】506413937
【氏名又は名称】アンスティテュート キュリー
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(72)【発明者】
【氏名】シェラー,ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】タツィ,ジャマル
(72)【発明者】
【氏名】マユトー-ベツァー,フロランス
(72)【発明者】
【氏名】ナジマン,ロマン
(72)【発明者】
【氏名】サント,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】アポリ,セシル
【審査官】金子 亜希
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第16/135053(WO,A1)
【文献】国際公開第16/135055(WO,A1)
【文献】国際公開第15/001518(WO,A1)
【文献】国際公開第12/080953(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0197625(US,A1)
【文献】Bioorg Med Chem Lett,2011年,22(2),1107-1110
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/47
A61K 31/4709
A61P 31/14
A61P 31/16
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染の処置及び/又は予防の為に使用される剤であって、下記の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つを含み、前記ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされる前記RNAウィルス感染が、RSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染及びインフルエンザウィルス感染の中から選択される、前記剤
【化1】
ここで、
mは、0、1又は2であり、
R3は、塩素原子又は水素原子を表し、
Rは、(C1~C4)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基、ハロゲン原子、(C1~C5)アルコキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基、又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基を表し、
R1は、
(i) CF3基、
(ii) (C1~C10)アルキル基、ここで、該(C1~C10)アルキル基の炭素原子の1つは、酸素原子によって置換されていてもよく、及び該(C1~C10)アルキル基は、-CF3基、ハロゲン原子、ピリジル基、フェニル基、(C3~C6)シクロアルキル基、(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基又はヒドロキシ基の1以上によって置換されていてもよい、
(iii) (C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基、ここで、該これらの基は、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、又は、
(iv) フェニル基又はナフチル基、ここで、該これらの基は、(C1~C4)アルキル基、ハロゲン原子、-COOR’基、(C1~C5)アルコキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
を表し、並びに、
R2は、水素原子、(C1~C10)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基を表し、ここで、該(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基は、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
該OR1基は、フェニル上でNH-基に対してパラ位又はメタ位にあり、
R’、Ra及びRbは独立して、水素原子、(C1~C5)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表し、並びに、
Rc及びRdは独立して、水素原子、Li、Na、K、N(Ra)4又はベンジル基を表し、
ここで、
R2及びR3が両方とも水素原子である場合には、上記Rはメトキシ基と異なり、並びにOR1はメトキシ基又はベンジルオキシ基と異なる。
【請求項2】
mが0又は1である、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
Rが、(C1~C4)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表す、請求項1又は2に記載の剤。
【請求項4】
R1が、
(i) CF3基、
(ii) (C1~C10)アルキル基、ここで、該(C1~C10)アルキル基の炭素原子1つは、酸素原子によって置換されていてもよく、及び、該(C1~C10)アルキル基は、-CF3基、ピリジル基、フェニル基、(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基又はヒドロキシ基の1以上によって置換されていてもよい、
(iii) (C3~C6)シクロアルキル基若しくは(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基、又は
(iv) フェニル基又はナフチル基、ここで、該これらの基は、(C1~C4)アルキル基、ハロゲン原子、COOR’基、(C1~C5)アルコキシ基又は-OH基から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよく、R’は(C1~C5)アルキル基であり、且つ、OR1基は、該フェニル上で-NH-基に対してパラ位又はメタ位にある、
を表す、
請求項1~3のいずれか1項に記載の剤。
【請求項5】
R2が、水素原子、(C1~C10)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表す、請求項1~4のいずれか1項に記載の剤。
【請求項6】
mが0又は1であり、及びRがメチル基であり、並びに、
R1が、
(i) CF3基、
(ii) (C1~C6)アルキル基、ここで、該(C1~C6)アルキル基の炭素原子の1つは、酸素原子によって置換されていてもよく、及び該(C1~C6)アルキル基は、-CF3基、ピリジル基、フェニル基、(C3~C6)ヘテロシクロアルキル又はヒドロキシ基によって置換されていてもよく、又は、
(iii) (C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基、
(iv) フェニル基又はナフチル基、ここで、該これらの基は、(C1~C4)アルキル基、-COOR’基、(C1~C4)アルコキシ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
を表し、
R2が、水素原子又は(C1~C4)アルキル基を表し、
R’が、(C1~C2)アルキル基を表す、
請求項1~5のいずれか1項に記載の剤。
【請求項7】
R2が、(C1~C10)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基を表し、該(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基は、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
請求項1~4のいずれか1項に記載の剤。
【請求項8】
前記式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つが下記から選択されるものである、請求項1~7のいずれか1項に記載の剤
【表1】
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされる前記RNAウィルス感染が、RSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、及びデングウィルス感染中から選択される請求項1~8のいずれか1項に記載の
【請求項10】
ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染の処置及び/又は予防の為に使用される剤であって、下記の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つを含む前記剤
【化2】
ここで、
mは、0、1又は2であり、
R3は、塩素原子又は水素原子を表し、
Rは、(C1~C4)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基表し、
R1は、
(i) CF3基、
(ii) (C1~C10)アルキル基、ここで、該(C1~C10)アルキル基の炭素原子の1つは、酸素原子によって置換されていてもよく、及び該(C1~C10)アルキル基は、-CF3基、ハロゲン原子、ピリジル基、フェニル基、(C3~C6)シクロアルキル基、(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基又はヒドロキシ基の1以上によって置換されていてもよい、
(iii) (C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基、ここで、該これらの基は、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、又は、
(iv) フェニル基又はナフチル基、ここで、該これらの基は、(C1~C4)アルキル基、ハロゲン原子、-COOR’基、(C1~C5)アルコキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
を表し、並びに、
R2は、水素原子、(C1~C10)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基を表し、ここで、該(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基は、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
該OR1基は、フェニル上でNH-基に対してパラ位又はメタ位にあり、
R’、Ra及びRbは独立して、水素原子、(C1~C5)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表し、並びに、
Rc及びRdは独立して、水素原子、Li、Na、K、N(Ra)4又はベンジル基を表し、
ここで、
R2及びR3が両方とも水素原子である場合には、上記Rはメトキシ基と異なり、並びにOR1はメトキシ基又はベンジルオキシ基と異なる。
【請求項11】
mが0又は1である、請求項10に記載の剤。
【請求項12】
R1が、
(i) CF3基、
(ii) (C1~C10)アルキル基、ここで、該(C1~C10)アルキル基の炭素原子1つは、酸素原子によって置換されていてもよく、及び、該(C1~C10)アルキル基は、-CF3基、ピリジル基、フェニル基、(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基又はヒドロキシ基の1以上によって置換されていてもよい、
(iii) (C3~C6)シクロアルキル基若しくは(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基、又は
(iv) フェニル基又はナフチル基、ここで、該これらの基は、(C1~C4)アルキル基、ハロゲン原子、COOR’基、(C1~C5)アルコキシ基又は-OH基から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよく、R’は(C1~C5)アルキル基であり、且つ、OR1基は、該フェニル上で-NH-基に対してパラ位又はメタ位にある、
を表す、
請求項10又は11に記載の剤。
【請求項13】
R2が、水素原子、(C1~C10)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表す、請求項1012のいずれか1項に記載の剤。
【請求項14】
mが0又は1であり、及びRがメチル基であり、並びに、
R1が、
(i) CF3基、
(ii) (C1~C6)アルキル基、ここで、該(C1~C6)アルキル基の炭素原子の1つは、酸素原子によって置換されていてもよく、及び該(C1~C6)アルキル基は、-CF3基、ピリジル基、フェニル基、(C3~C6)ヘテロシクロアルキル又はヒドロキシ基によって置換されていてもよく、又は、
(iii) (C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基、
(iv) フェニル基又はナフチル基、ここで、該これらの基は、(C1~C4)アルキル基、-COOR’基、(C1~C4)アルコキシ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
を表し、
R2が、水素原子又は(C1~C4)アルキル基を表し、
R’が、(C1~C2)アルキル基を表す、
請求項1013のいずれか1項に記載の剤。
【請求項15】
R2が、(C1~C10)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基を表し、該(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基は、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
請求項1014のいずれか1項に記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RNAウィルス感染、最も好ましくは、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、を予防し及び/又は処置する為に有用な化合物に関する。
【0002】
本発明はさらに、幾つかの新規な化合物、特に、RNAウィルス感染、最も好ましくは、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、を予防し及び/又は処置する為に有用な幾つかの新規な化合物、に関する。
【0003】
本発明はさらに、上記の新規な化合物を含む医薬組成物、及びそれらを得る為の化学合成方法に関する。
【背景技術】
【0004】
ウィルスは、世界中の病気の主な原因の1つである。ウィルスは一般に、それらが完全に自律的な複製メカニズムを有していない為に、生細胞内でのみ複製する小さな非生物の感染性病原体として定義される。形状及びサイズは多様であるが、ウィルスは典型的には、ウィルス粒子(「ビリオン」として知られている)からなり、少なくとも1つの核酸分子と、任意的にウィルスの種類に依存して、1以上のタンパク質又は核タンパク質とを含むタンパク質コートから作られる。
【0005】
ウィルスは完全に自律的な複製メカニズムを有していないので、ウィルス自身の複数のコピーを複製し且つ生成する為に、感染された細胞又は宿主の機構及び代謝に必然的に依存しなければならない。
【0006】
ウィルスの複製サイクルは種の間で大きく異なるけれども、ウィルスのライフサイクルは、下記の基本的な6つの工程、すなわち、付着、侵入、脱コーティング、複製、組み立て、そして放出、を含むことが一般的に認識されている。
【0007】
標的ウィルスの性質に依存して、これらのメカニズムの1以上を妨害しうる治療分子が設計されてきている。
【0008】
それらの中で、複製工程はまた、ウィルスゲノムの増殖だけでなく、ウィルスタンパク質合成のウィルスメッセンジャーRNAの合成、及び宿主の転写又は翻訳機構の調節又は使用を含む。しかしながら、ゲノムのタイプ(一本鎖、二本鎖、RNA、DNAなど)がこの複製工程を劇的に特徴付けることがまた明らかである。例えば、ほとんどのDNAウィルスは核内で集合するが、ほとんどのRNAウィルスは細胞質内でのみ展開する。また、一本鎖RNAウィルス、例えばインフルエンザ、が宿主のRNAスプライシング及び成熟機構を使用しているという証拠が増えてきている。
【0009】
従って、複製工程における所与のタイプのゲノムの影響を考慮して、ウィルスのボルティモア(Baltimore)分類が開発された。この分類は、ゲノムのウィルスタイプに依存してウィルスを科(または「群」)にクラスター化する。2018年と同様に、現在のウィルス分類は、下記の7つの異なる群で構成されている。
第I群:二本鎖DNAウィルス(dsDNA);
第II群:一本鎖DNAウィルス(ssDNA);
第III群:二本鎖RNAウィルス(dsRNA);
第IV群:(+)ストランド又はセンスウィルス((+)ssRNA);
第V群:(-)ストランド又はアンチセンスRNAウィルス((-)ssRNA);
第VI群:DNA中間体を有する一本鎖RNAウィルス(ssRNA-RT);
第VII群:RNA中間体を有する二本鎖DNAウィルス(dsDNA-RT)。
【0010】
その分類に従うと、第VI群に属するウィルスは、厳密な感覚で、RNAウィルスでない。同じ理由で、第VII群に属するウィルスは、厳密な感覚で、DNAウィルスでない。第VI群に属するウィルスファミリー(virus family)の十分に研究された例の1つは、HIVを含むレトロウィルス科(レトロウィルス)である。第VII群に属するウィルスファミリーの十分に研究された例の1つは、B型肝炎ウィルス(HBV:Hepatitis B virus)を含むヘパドナウィルス科である。
【0011】
第IV群に関連するウィルスの代表として、ピコルナウィルス(Picornaviruses)(A型肝炎ウィルス(Hepatitis A virus)、エンテロウィルス(enteroviruses)、ライノウィルス(rhinoviruses)、ポリオウィルス(poliovirus)、及び口蹄疫ウィルス(foot-and-mouth virus)などの周知のウィルスを含むウィルスファミリー)、SARSウィルス、C型肝炎ウィルス(Hepatitis C virus)、黄熱病ウィルス(yellow fever virus)、及び風疹ウィルス(rubella virus)が挙げられうる。トガウィルス(Togaviridae)科がまた第IV群に属し、且つその既知の属はアルファーウィルスであり、該アルファーウィルスはチクングニアウィルス(Chikungunya virus)を包含する。フラビウィルス(Flaviridae)がまた、第IV群に属するファミリーであり、蚊によって媒介される有名なウィルス、すなわちデング熱ウィルス(Dengue virus)を包含する。
【0012】
第V群に関連するウィルスの代表として、エボラウィルスを包含するフィロビリダエウィルス(Filoviridae virus)科、呼吸器合胞体ウィルス(RSV:Respiratory Syncytial virus)を包含するパラミクソウィルス(Paramyxoviridae)科、ラブドビリダエ(Rhabdoviridae)科、A型インフルエンザウィルス、B型インフルエンザウィルス及びC型インフルエンザウィルスを包含するオルトミクソウィルス(Orthomyxoviridae)科が挙げられうる。
【0013】
本発明の枠組みに特に焦点を合わせられたウィルスファミリー内のグループは、RNAウィルス、特に一本鎖RNAウィルス、より特にはボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルス、を包含するウィルスである。
【0014】
RNAウィルス感染、特に一本鎖RNAウィルス、より特にはボルティモア分類の第IV群及び第V群に属するウィルスからのRNAウィルス感染、によって生じる疾病の処置法はほとんど無い。処置は症状を和らげることに焦点が合わせられている。それ故に、RNAウィルス感染、例えば第IV群及び第V群からのRNAウィルス感染処置する為の新規な抗ウィルス薬、特には小さな化学分子、を特定する必要性がなおある。
【発明の概要】
【0015】
定義
【0016】
本明細書において使用される場合、語「患者」は、動物、例えば繁殖、会社若しくは保存の目的の為の貴重な動物、又は好ましくは、本明細書に記載されている1以上の疾病及び状態に苦しんでいる若しくは苦しむ可能性のあるヒト又はヒトの子供、のいずれかを云う。
【0017】
特に、本出願で使用される場合、語「患者」は、哺乳動物、例えばげっ歯類、猫、犬、霊長類又はヒトを云い、好ましくは、該対象はヒトであり且つまた、鳥に及ぶ。
【0018】
本明細書に記載された疾病及び状態の処置を必要としている患者の特定は、当業者の能力及び知識の十分に範囲内である。当分野における獣医師又は医師は、臨床検査、身体検査、医学的/家族歴又は生物学的及び診断的検査を使用することによって、そのような処置を必要とする患者を容易に特定することができる。
【0019】
本発明の文脈において、本明細書において使用される場合、語「処置する」又は「処置」は、RNAウィルス感染、より特には第IV群又は第V群由来のRNAウィルス感染、に起因する疾病若しくはそのような疾病の1以上の症状の進行を逆転、緩和、阻害し、又は該疾病若しくは症状を予防することを意味する。
【0020】
本明細書において使用される場合、「有効量」は、本明細書に記載された疾病及び状態、すなわちRNAウィルス感染、より特には第IV群及び第V群由来のRNAウィルス感染、の症状を予防し、軽減し、排除し、処置し、又は制御する際に有効である本発明の化合物の量を云う。語「制御する」は、本明細書に記載された疾病及び状態の進行を遅らせる、中断する、阻む又は停止する可能性があるすべてのプロセスを云うことが意図されるが、必ずしも全ての疾病及び状態の症状の完全な排除を示すわけではなく、予防的処置を包含することが意図される。
【0021】
語「有効量」は、「予防有効量」並びに「処置有効量」を包含する。
【0022】
本明細書において使用される場合、語「予防する」は、所与の現象の発症、すなわち、本発明においてRNAウィルス感染、より特には第IV群又は第V群由来のRNAウィルス感染、に起因する疾病、の危険性を軽減し又は該発症を遅らせることを意味する。
【0023】
本明細書において使用される場合、「予防する」はまた、「発症の可能性を低減する」又は「再発症の可能性を低減する」を包含する。
【0024】
語「予防有効量」は、RNAウィルスによる、より特には第IV群又は第V群由来のRNAウィルスによる、疾病の遅延された発症を予防する際に、感染の前に、すなわちRNAウィルスへの、より特には第IV群又は第V群由来のRNAウィルスへの、暴露期間の前、その間及び/又はそのわずか後に投与される場合に、RNAウィルスによる、より特にはボルティモア分類の第IV群及び第V群由来のRNAウィルスによる、疾病の可能性を阻害し、予防し、減少させる際に、又はRNAウィルス感染、より特には第IV群及び第V群由来のRNAウィルス感染、を予防する際に、有効である本発明の化合物の濃度を云う。
【0025】
同様に、語「処置有効量」は、RNAウィルス感染を処理する際に有効である化合物の濃度、例えば、感染が発生した後に投与された場合に、検査後、RNAウィルス感染における減少をもたらす化合物の濃度、を云う。
【0026】
本明細書において使用される場合、語「薬学的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は合理的な利益/危険比に見合った他の問題の合併症なしに人間及び動物の組織との接触に適した化合物、物質、添加剤、組成物、又は剤形を云う。
【0027】
本明細書において使用される場合、「ウィルス感染又はウィルス関連状態」は、ウィルス、より特には、RNAゲノムを有するウィルス、特別には、ボルティモア分類に従う第IV群又は第V群に属するRNAウィルス、に関連する状態の感染を云う。ウィルスはさらに、異なる科(families)、目(orders)及び属(genus)に分類されうる。
【0028】
参考までに、本明細書において報告されている「ボルティモア分類」の内容は、http://ictvonline.org/virusTaxonomy.aspで、2018年3月12日にオンラインでリリースされている2017 International Committee of Taxonomy of Viruses(ICTV:International Committee of Taxonomy of Viruses)のデータベースに記載されているウィルス分類にさらに言及されている。この分類法は、本明細書中にその全体が組み込まれている。
【0029】
アルファーウィルスは特に、本発明によって考慮され得、且つ第IV群RNAウィルス及びトガウィルス科に関係し得、それは、ポジティブセンス(positive-sense)一本鎖RNAウィルス又は(+)ssRNAウィルスとして定義されることができる。2017年のウィルス分類に従うと、それらの目(order)は「未割り当て」である。トガウィルス科は、アルファーウィルス属とルビウィルス属を包含する。
【0030】
本発明で考慮されるアルファーウィルスの例は、下記を包含する:バーマフォレストウィルス(Barmah Forest virus)、チクングニアウィルス(Chikungunya virus)、マヤロウィルス(Mayaro virus)、オニョンニョンウィルス(O’nyong’nyong virus)、ロスリバーウィルス(Ross River virus)、セムリキフォレストウィルス(Semliki Forest virus)、ウナウィルス(Una virus)、東部ウマ脳炎ウィルス(Eastern equine encephalitis virus)、トネートウィルス(Tonate virus)、ベネズエラウマ脳炎ウィルス(Venezuelan equine encephalitis virus)及びウェスターウマ脳炎ウィルス(Wester equine encephalitis virus)。
【0031】
より好ましくは、本発明に従うアルファーウィルス感染又はアルファーウィルス関連状態は、チクングニアウィルス感染又はチクングニアウィルス関連状態である。
【0032】
より特には、チクングニアウィルス(CHIKV:Chikungunya virus)は、トガウィルス科、すなわちボルティモア分類の第IV群、に属するアルファーウィルス属、に属するRNAウィルス、である。チクングニア熱は、1952年にタンザニア南部で発生した際に最初に報告された蚊媒介性ウィルス性疾患である。CHIKVは、およそ12kbのヌクレオチド長のゲノムを有する、エンベロップのある、ポジティブセンスの一本鎖RNAウィルスである。CHIKVのゲノムは下記の通りに構成されている:5'-cap-nsPl-nsP2-nsP3-nsP4-(接合領域)-C-E3-E2-6k-El-poly(A)-3',その中で、最初の4つのタンパク質(nsPl-4)は非構造タンパク質であり、及び構造タンパク質はキャプシド(C)とエンベロープタンパク質(E)である。アフリカ、アジア、及びインド洋の島々から分離されたCHIKVの間には、明確な血清型の違いはない。El遺伝子配列に基づく系統発生分析は、CHIKVを3つの遺伝子型(系統)、すなわちアジア、東/中央/南アフリカ(ECSA:east/central/south African)、西アフリカ、にグループ化できる。アジアの遺伝子型は、ECSA及び西アフリカの遺伝子型とヌクレオチドレベルでそれぞれ-5%及び-15%異なっていた。アフリカの遺伝子型(ECSA対西アフリカ)は、-15%発散していた。3つの遺伝子型にわたるアミノ酸の同一性は、95.2~99.8%で変化した。
【0033】
チクングニアウィルスは、重度の罹患率に関連付けられた発生を引き起こしうる。
【0034】
チクングニア熱は、感染した蚊によって人間に感染するウィルス性疾患である。ネッタイシマカ(Ae.Aegypti)及びヒトスジシマカ(Ae.Albopictus)の両方が、チクングニア熱の大発生に関係していた。ネッタイシマカは熱帯と亜熱帯内に閉じ込められている一方、ヒトスジシマカはまた、温帯及び寒冷の温帯地域で発生する。ここ数十年で、ヒトスジシマカはアジアから広がり、アフリカ、ヨーロッパ及び南北アメリカの地域に定着してきた。
【0035】
チクングニアウィルスに感染した後、平均2~4日間の潜伏期間があり、その後疾病の症状が続く。そのような症状の中には、発熱及び重度の関節痛が挙げられうる。他の症状は、筋肉痛、頭痛、吐き気、背中の痛み、倦怠感、筋肉痛、及び発疹を包含する。チクングニア熱の重篤な臨床症状がまた発生する可能性があり、例えば、出血熱、結膜炎、羞明、肝炎、口内炎である。神経学的症状、例えば脳炎、熱性けいれん、髄膜症候群、及び急性脳症がまた報告された。
【0036】
関節痛はしばしば衰弱され、且つ持続時間は変わることができる。
【0037】
人間の居住地に対する蚊の繁殖地の近接は、チクングニア熱の有意な危険因子である。
【0038】
チクングニアウィルスの分布は、主にアフリカ、インド及び東南アジアで生じる。ここ数十年で、チクングニア熱の蚊の媒介動物がヨーロッパ及び南北アメリカに広がった。2007年に、疾病の伝染が、イタリア北東部での局地的な発生で初めて報告された。その後、発生が、フランス及びクロアチアで記録されている。
【0039】
様々な血清型を示するデングウィルスがまた、本発明によって考慮され得、且つ第IV群のRNAウィルス及びフラビウィルス科に関係し、それらは、ポジティブセンス一本鎖RNA又は(+)ssRNAウィルスとして定義されることができる。より特には、デングウィルスは、ボルティモア分類の第IV群に属する(+)ssRNAウィルスである。それは、フラビウィルス科に属するフラビウィルス属の一部である。フラビウィルス科に関連する他のウィルスは、C型肝炎ウィルス及び黄熱病ウィルスである。
【0040】
モノネガウィルス(Mononegavirales)目のウィルスがまた、本発明によって特に考慮される。モノネガウィルス目は、ボルティモア分類の第V群に属するウィルスを包含する。2018年現在、この目は主に下記のウィルス科を包含する:ボルナウィルス科(Bornaviridae)、ミモナウィルス科(Mymonaviridae)、フィロウィルス科(Filoviridae)、ニャミウィルス科(Nyamiviridae)、パラミクソウィルス科(Paramyxoviridae)、ニューモウィルス科(Pneumoviridae)、ラブドウィルス科(Rhabdoviridae)、及びサンウィルス科(Sunviridae)。
【0041】
ヒト呼吸器合胞体ウィルス(HRSV:Human respiratory syncytial virus)は、気道感染症を引き起こす合胞体ウィルスである。それは、乳児期及び小児期の下気道感染症及び通院の主な原因である。HRSVウィルスは特に、本発明によって考慮され得、且つRNAウィルスの第V群に関係している。より特にはRSVウィルスは、ボルティモア分類の第V群に属する(-)ssRNAウィルスである。それは、モノネガウィルス目に属するパラミクソウィルス科の一部であるニューモウィルスである。モノネガウィルス目の他のウィルスの中で、本発明によって特に考慮されるものは、はしかウィルス(measles virus)、ムンプスウィルス(mumps virus)、ニパウィルス(Nipah virus)、狂犬病ウィルス(rabies virus)、及びヒトパラインフルエンザウィルス(human parainfluenza virus)(HPIV-1、HPIV-2、HPIV-3及びHPIVを包含する)を包含する。注目すべきことに、該パラミクソウィルス科の亜科は、2016年に更新されたモノネガウィルス目の分類法を参照することにより、パラミクソウィルス科に慣習的に統合された。
【0042】
パラミクソウィルス科の中で特に考慮されているウィルス属には、アクアパラミクソウィルス(Aquaparamyxovirus)属、アブラウィルス(Avulavirus)属、フェラウィルス(Ferlavirus)属、ヘニパウィルス(Henipavirus)属、モルビリウィルス(Morbillivirus)属、レスピロウィルス(Respirovirus)属、及びルブラウィルス(Rubulavirus)属を包含する。
【0043】
オルトミクソウィルス科のウィルスがまた、本発明によって特に考慮される。オルトミクソウィルス科は、2017年のウィルス分類に従うと「未割り当て(Unassigned)」目に属する。オルトミクソウィルス科で特に考慮されているウィルス属は、アルファインフルエンザウィルス(Alphainfluenzavirus)、ベタインフルエンザウィルス(Betainfluenzavirus)、デルテインフルエンザウィルス(Deltainfluenzavirus)、ガンマインフルエンザウィルス(Gammainfluenzavirus)、イサウィルス(Isavirus)、クアランジャウィルス(Quaranjavirus)、及びトゴトウィルス(Thogotovirus)を包含する。
【0044】
インフルエンザウィルスA、インフルエンザウィルスB、インフルエンザウィルスCは、特に本発明によって考慮され、且つネガティブセンスの一本鎖RNA又は(-)ssRNAウィルスとして定義されることができる第V群RNAウィルス及びオルトミクソウィルス科に関係しうる。イサウィルス及びトゴトウィルスがまた、オルトミクソウィルス目に属する。
【発明が解決しようとする課題】
【0045】
本発明者等らは、フェニル-N-キノリン化合物が、RNAウィルス、より特にはボルティモア分類の第IV群又は第V群に属する一本鎖RNAウィルス、に対して幅広いスペクトル活性を有することを驚くべきことに発見した。第IV群又は第V群はそれぞれ、(+)ssRNAウィルス及び(-)ssRNAウィルスを包含し、それらはまた、(+)ssRNAウィルス及び(-)ssRNAウィルスを包含し、それはまた、ポジティブ-センス一本鎖RNAウィルス及びネガティブ-センス一本鎖RNAウィルスを云う。
【0046】
参考までに、「ボルティモア分類」の内容は、2017年のウィルス分類(Virus Taxonomy)に関する第10回報告書に記載されているウィルスの分類と命名法に照らして考慮されている。
【課題を解決するための手段】
【0047】
本発明の明細書は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、特にチクングニアウィルス感染、デングウィルス感染、インフルエンザウィルス感染若しくはRSVウィルス感染、又はウィルス関連状態、の処置及び/又は予防における使用の為の下記の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つを開示する。
【0048】
【化1】
【0049】
ここで、
mは、0、1又は2であり、
R3は、塩素原子又は水素原子を表し、
Rは、(C1~C4)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基、ハロゲン原子、(C1~C5)アルコキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基を表し、
R1は、
(i) CF3基、
(ii) (C1~C10)アルキル基、ここで、該(C1~C10)アルキル基の炭素原子の1つは任意的に、酸素原子によって置き替えられてもよく、及び該(C1~C10)アルキル基は任意的に、-CF3基、ハロゲン原子、特にフッ素原子、ピリジル基、フェニル基、(C3~C6)シクロアルキル基、(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基又はヒドロキシ基の1以上によって置換されていてもよい、
(iii) (C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、又は、
(iv) フェニル基又はナフチル基、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C4)アルキル基、ハロゲン原子、-COOR’基、(C1~C5)アルコキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
を表し、並びに、
R2は、水素原子、(C1~C10)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基を表し、ここで、該(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基は任意的に、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
該OR1基は、フェニル上でNH-基に対してパラ位又はメタ位にあり、
R’、Ra及びRbは独立して、水素原子、(C1~C5)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表し、並びに、
Rc及びRdは独立して、水素原子、Li、Na、K、N(Ra)4又はベンジル基を表す。
【0050】
上記された化合物は特に、ウィルス感染又はウィルス関連状態、特にボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染又はウィルス関連状態、より好ましくはチクングニアウィルス感染、デングウィルス感染、インフルエンザウィルス感染若しくはRSVウィルス感染、又はウィルス関連状態、を処置し又は予防する為に適している。
【0051】
第1の観点に従うと、本発明の主題は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、好ましくはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染及びインフルエンザウィルス感染、より特にはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染及びデングウィルス感染、さらにより好ましくはRSVウィルス感染、の処置及び/又は予防における使用の為の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関する。
【0052】
【化2】
【0053】
ここで、
mは、0、1又は2であり、
R3は、塩素原子又は水素原子を表し、
Rは、(C1~C4)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基、ハロゲン原子、(C1~C5)アルコキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基、又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基を表し、
R1は、
(i) CF3基、
(ii) (C1~C10)アルキル基、ここで、該(C1~C10)アルキル基の炭素原子の1つは任意的に、酸素原子によって置き替えられてもよく、及び該(C1~C10)アルキル基は任意的に、-CF3基、ハロゲン原子、特にフッ素原子、ピリジル基、フェニル基、(C3~C6)シクロアルキル基、(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基又はヒドロキシ基の1以上によって置換されていてもよい、
(iii) (C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、又は
(iv) フェニル基又はナフチル基、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C4)アルキル基、ハロゲン原子、-COOR’基、(C1~C5)アルコキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
を表し、並びに、
R2は、水素原子、(C1~C10)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基を表し、ここで、該(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基は任意的に、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
該OR1基は、フェニル上でNH-基に対してパラ位又はメタ位にあり、
R’、Ra及びRbは独立して、水素原子、(C1~C5)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表し、並びに、
Rc及びRdは独立して、水素原子、Li、Na、K、N(Ra)4又はベンジル基を表し、
ここで、
R2及びR3が両方とも水素原子である場合には、上記Rはメトキシ基と異なり、並びにOR1はメトキシ基又はベンジルオキシ基と異なる。
【0054】
一つの実施態様において、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染の処置及び/又は予防における使用の為の、上記で定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、ここで、mが0又は1である。
【0055】
他の実施態様に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染の処置及び/又は予防における使用の為の上記で定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、ここで、R3は、塩素原子又は水素原子を表す。
【0056】
他の実施態様に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染の処置及び/又は予防における使用の為の上記で定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、ここで、Rは、(C1~C4)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基を表す(すなわち、mが0でない場合)。
【0057】
他の実施態様に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染の処置及び/又は予防における使用の為の上記で定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、ここで、
R1が、
(i) CF3基、
(ii) (C1~C10)アルキル基、ここで、該(C1~C10)アルキル基の炭素原子の1つは任意的に、酸素原子によって置き替えられてもよく、及び該(C1~C10)アルキル基は任意的に、-CF3基、ピリジル基、フェニル基、(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基又はヒドロキシ基の1以上によって置換されていてもよい、
(iii) (C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基、又は
(iv) フェニル基又はナフチル基、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C4)アルキル基、ハロゲン原子、-COOR’基、(C1~C5)アルコキシ基又は-OH基から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
を表し、
R’は(C1~C5)アルキル基であり、及び該OR1基は、フェニル上でNH-基に対してパラ位又はメタ位にある、
を表す。
【0058】
他の実施態様に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染の処置及び/又は予防における使用の為の上記で定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、ここで、R2は、水素原子、(C1~C10)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表す。
【0059】
m、R、R1、R2及びR3について上記で定義された実施態様の任意の互いの組み合わせは、本発明の一部を形成する。
【0060】
特定の実施形態に従うと、本発明の主題は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、好ましくはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染及びインフルエンザウィルス感染、より特にはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染及びデングウィルス感染、なおより好ましくはRSVウィルス感染、の処置及び/又は予防における使用の為の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関する。
【0061】
【化3】
【0062】
ここで、
mは、0、1又は2であり、
R3は、塩素原子又は水素原子を表し、
Rは、(C1~C4)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基、ハロゲン原子、(C1~C5)アルコキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基、又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基を表し、
R1は、
(i) CF3基、
(ii) (C1~C10)アルキル基、ここで、該(C1~C10)アルキル基の炭素原子の1つは任意的に、酸素原子によって置き替えられてもよく、及び該(C1~C10)アルキル基は任意的に、-CF3基、ハロゲン原子、特にフッ素原子、ピリジル基、フェニル基、(C3~C6)シクロアルキル基、(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基又はヒドロキシ基の1以上によって置換されていてもよい、
(iii) (C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、又は
(iv) フェニル基又はナフチル基、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C4)アルキル基、ハロゲン原子、-COOR’基、(C1~C5)アルコキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
を表し、並びに、
R2は、(C1~C10)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基を表し、ここで、該(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基は任意的に、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
該OR1基は、フェニル上でNH-基に対してパラ位又はメタ位にあり、
R’、Ra及びRbは独立して、水素原子、(C1~C5)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表し、並びに、
Rc及びRdは独立して、水素原子、Li、Na、K、N(Ra)4又はベンジル基を表す。
【0063】
特定の実施形態に従うと、本発明の主題は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染の処置及び/又は予防における使用の為の上記で定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、ここで、mが0又は1であり、及びRがメチル基であり、並びに、
R1が、
(i) CF3基、
(ii) (C1~C6)アルキル基、ここで、該(C1~C6)アルキル基の炭素原子の1つは任意的に、酸素原子によって置き替えられてもよく、及び該(C1~C6)アルキル基は任意的に、-CF3基、ピリジル基、フェニル基、(C3~C6)ヘテロシクロアルキル又はヒドロキシ基によって置換されていてもよく、又は、
(iii) (C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基、
(iv) フェニル基又はナフチル基、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C4)アルキル基、-COOR’基、(C1~C4)アルコキシ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
を表し、
R2が、水素原子又は(C1~C4)アルキル基を表し、
R’が、(C1~C2)アルキル基を表す。
【0064】
特定の実施形態に従うと、本発明の主題は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、好ましくはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染及びインフルエンザウィルス感染、より特にはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染及びデングウィルス感染、なおより好ましくはRSVウィルス感染、の処置及び/又は予防における使用の為の上記で定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、ここで、mが0又は1であり、及びRがメチル基であり(すなわち、mが1である場合)、並びに、
R1が、
(i) CF3基、
(ii) (C1~C6)アルキル基、ここで、該(C1~C6)アルキル基の炭素原子の1つは任意的に、酸素原子によって置き替えられてもよく、及び該(C1~C6)アルキル基は任意的に、-CF3基、ピリジル基、フェニル基、(C3~C6)ヘテロシクロアルキル又はヒドロキシ基によって置換されていてもよく、又は、
(iii) (C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基、
(iv) フェニル基又はナフチル基、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C4)アルキル基、-COOR’基、(C1~C4)アルコキシ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
を表し、
R2が、水素原子又は(C1~C4)アルキル基を表し、
R’が、(C1~C2)アルキル基を表し、
ここで、
R2及びR3が両方とも水素原子である場合には、OR1はメトキシ基又はベンジルオキシ基と異なる。
【0065】
本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に由来するRNAウィルス感染の処置及び/又は予防における使用の為の下記の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つを記載し、
【0066】
【化4】
【0067】
ここで、
mは、0、1又は2であり、
R3は、塩素原子又は水素原子を表し、
Rは、(C1~C4)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基、ハロゲン原子、(C1~C5)アルコキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基、又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基を表し、
R1は、
(i) CF3基、
(ii) (C1~C10)アルキル基、ここで、該(C1~C10)アルキル基の炭素原子の1つは任意的に、酸素原子によって置き替えられてもよく、及び該(C1~C10)アルキル基は任意的に、-CF3基、ハロゲン原子、特にフッ素原子、ピリジル基、フェニル基、(C3~C6)シクロアルキル基、(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基又はヒドロキシ基の1以上によって置換されていてもよい、
(iii) (C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、又は
(iv) フェニル基又はナフチル基、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C4)アルキル基、ハロゲン原子、-COOR’基、(C1~C5)アルコキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
を表し、並びに、
R2は、水素原子、(C1~C10)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基を表し、ここで、該(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基は任意的に、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
該OR1基は、フェニル上でNH-基に対してパラ位又はメタ位にあり、
R’、Ra及びRbは独立して、水素原子、(C1~C5)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表し、並びに、
Rc及びRdは独立して、水素原子、Li、Na、K、N(Ra)4又はベンジル基を表し、
ここで、R1が上記(i)を意味する場合には、R2はメチル基と異なり、及び、R1が未置換のフェニルを意味する場合には、R2及びR3は同時に水素原子でない。
【0068】
特定の実施形態に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、好ましくはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染及びインフルエンザウィルス感染、より特にはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染及びデングウィルス感染、なおより好ましくはRSVウィルス感染、の処置及び/又は予防における使用の為の上記に定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、
【0069】
【化5】
【0070】
ここで、
mは、0、1又は2であり、
R3は、塩素原子又は水素原子を表し、
Rは、(C1~C4)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基、ハロゲン原子、(C1~C5)アルコキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基を表し、
R1は、
(i) CF3基、
(ii) (C1~C10)アルキル基、ここで、該(C1~C10)アルキル基の炭素原子の1つは任意的に、酸素原子によって置き替えられてもよく、及び該(C1~C10)アルキル基は任意的に、-CF3基、ハロゲン原子、特にフッ素原子、ピリジル基、フェニル基、(C3~C6)シクロアルキル基、(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基又はヒドロキシ基の1以上によって置換されていてもよい、
(iii) (C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、又は、
(iv) フェニル基又はナフチル基、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C4)アルキル基、ハロゲン原子、-COOR’基、(C1~C5)アルコキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
を表し、並びに、
R2は、水素原子、(C1~C10)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基を表し、ここで、該(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基は任意的に、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
該OR1基は、フェニル上でNH-基に対してパラ位又はメタ位にあり、
R’、Ra及びRbは独立して、水素原子、(C1~C5)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表し、並びに、
Rc及びRdは独立して、水素原子、Li、Na、K、N(Ra)4又はベンジル基を表し、
ここで、R1が上記(i)を意味する場合には、R2はメチル基と異なり、及び、R1が未置換のフェニルを意味する場合には、R2及びR3は同時に水素原子でなく、
並びに、R2及びR3は同時に水素原子である場合には、上記Rはメトキシ基と異なり、及びOR1はメトキシ基又はベンジルオキシ基と異なる。
【0071】
好ましい実施態様に従うと、本発明の主題は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、好ましくはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染及びインフルエンザウィルス感染、より特にはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染及びデングウィルス感染、なおより好ましくはRSVウィルス感染、の処置及び/又は予防における使用の為の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、
【0072】
【化6】
【0073】
ここで、
mは、0、1又は2であり、
R3は、塩素原子又は水素原子を表し、
Rは、(C1~C4)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基、ハロゲン原子、(C1~C5)アルコキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基を表し、
R1は、
(i) CF3基、
(ii) (C1~C10)アルキル基、ここで、該(C1~C10)アルキル基の炭素原子の1つは任意的に、酸素原子によって置き替えられてもよく、及び該(C1~C10)アルキル基は任意的に、-CF3基、ハロゲン原子、特にフッ素原子、ピリジル基、フェニル基、(C3~C6)シクロアルキル基、(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基又はヒドロキシ基の1以上によって置換されていてもよい、
(iii) (C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、又は、
(iv) フェニル基又はナフチル基、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C4)アルキル基、ハロゲン原子、-COOR’基、(C1~C5)アルコキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
を表し、並びに、
R2は、(C1~C10)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表し、ここで、該(C3~C6)シクロアルキル基は任意的に、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよく、好ましくは、R2は、メチル基、エチル基、イソブチル基、プロピル基又はシクロプロピル基を表し、なおより好ましくは、R2はシクロプロピル基を表す。
該OR1基は、フェニル上でNH-基に対してパラ位又はメタ位にあり、
R’、Ra及びRbは独立して、水素原子、(C1~C5)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表し、並びに、
Rc及びRdは独立して、水素原子、Li、Na、K、N(Ra)4又はベンジル基を表す。
【0074】
より好ましい実施態様に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、好ましくはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染及びインフルエンザウィルス感染、より特にはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染及びデングウィルス感染、なおより好ましくはRSVウィルス感染、の処置及び/又は予防における使用の為の、本発明において定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、ここで、R2が、メチル基、エチル基、イソブチル基又はプロピル基を表す。
【0075】
なおより好ましい実施態様に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、好ましくはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染及びインフルエンザウィルス感染、より特にはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染及びデングウィルス感染、なおより好ましくはRSVウィルス感染、の処置及び/又は予防における使用の為の、本発明において定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、ここで、該化合物が、下記で定義された化合物1、2、3、5、6、7、9~19、21~26、38~41、43、45、47~51、53~59、61、63~71、74~76、78及び79のうちから選択される。
【0076】
さらにより好ましい実施態様に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染好ましくはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染及びインフルエンザウィルス感染、より特にはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染及びデングウィルス感染、なおより好ましくはRSVウィルス感染、の処置及び/又は予防における使用の為の、本発明において定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、ここで、R2がメチル基を表す。
【0077】
なおより好ましい実施態様に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、好ましくはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染及びインフルエンザウィルス感染、より特にはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染及びデングウィルス感染、なおより好ましくはRSVウィルス感染、の処置及び/又は予防における使用の為の、本発明において定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、ここで、該化合物が、下記で定義された化合物1、5、9、10、11、12、14~18、21~26、38、40、43、45、47~51、53~59、63~70及び78のうちから選択される。
【0078】
他のなおより好ましい実施態様に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、好ましくはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染及びインフルエンザウィルス感染、より特にはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染及びデングウィルス感染、なおより好ましくはRSVウィルス感染、の処置及び/又は予防における使用の為の、本発明において定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、ここで、R2がメシクロプロピル基を表す。
【0079】
なおより好ましい実施態様に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、好ましくはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染及びインフルエンザウィルス感染、より特にはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染及びデングウィルス感染、なおより好ましくはRSVウィルス感染、の処置及び/又は予防における使用の為の、本発明において定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、ここで、該化合物が、下記で定義された化合物4、8、20、42、44、46、52、72及び73のうちから選択される。
【0080】
特定の実施形態に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、好ましくはチクングニアウィルス感染、RSVウィルス感染及び/又はデングウィルス感染、の処置及び/又は予防における使用の為の、下記の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、
【0081】
【化7】
【0082】
ここで、
mが0又は1であり、
R3は、塩素原子又は水素原子を表し、
Rは、(C1~C4)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表し、
R1は、
(i) CF3基、
(ii) (C1~C10)アルキル基、ここで、該(C1~C10)アルキル基の炭素原子の1つは任意的に、酸素原子によって置き替えられてもよく、及び該(C1~C10)アルキル基は任意的に、-CF3基、ピリジル基又はフェニル基の1以上によって置換されていてもよい、
(iii) (C3~C6)シクロアルキル基、又は
(iv) フェニル基又はナフチル基、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C4)アルキル基、ハロゲン原子、(C1~C5)アルコキシ基又は-OH基から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
を表し、並びに、
R2は、水素原子、(C1~C10)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表し、
該OR1基は、フェニル上でNH-基に対してパラ位又はメタ位にあり、
ここで、
R2及びR3が両方とも水素原子である場合には、OR1はメトキシ基又はベンジルオキシ基と異なる。
【0083】
他の好ましい実施態様に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、好ましくはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染及びインフルエンザウィルス感染、より特にはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染及びデングウィルス感染、なおより好ましくはRSVウィルス感染及び/又はチクングニアウィルス感染、の処置及び/又は予防における使用の為の上記に定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、それは、下記で定義された化合物1~8、10、12~14、16、17、20~23、28、29、31、32、38~57、63、76及び77のうちから選択される。
【0084】
特定の実施形態に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、好ましくはチクングニアウィルス感染、の処置及び/又は予防における使用の為の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、
【0085】
【化8】
【0086】
ここで、
mは、0又は1であり、
R3は、塩素原子又は水素原子を表し、
Rは、(C1~C4)アルキル基を表し、
R1は、
(i) CF3基、
(ii) (C1~C10)アルキル基、ここで、該(C1~C10)アルキル基の炭素原子の1つは任意的に、酸素原子によって置き替えられてもよく、及び該(C1~C10)アルキル基は任意的に、-CF3基又はピリジル基の1以上によって置換されていてもよい、
(iii) (C3~C6)シクロアルキル基、又は、
(iv) フェニル基、ここで、該フェニル基は任意的に、(C1~C4)アルキル基、ハロゲン原子又は(C1~C5)アルコキシ基から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
を表し、並びに、
R2は、水素原子、(C1~C10)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表し、
該OR1基は、フェニル上でNH-基に対してパラ位又はメタ位にあり、
ここで、
R2及びR3が両方とも水素原子である場合には、OR1はメトキシ基と異なる。
【0087】
他の好ましい実施態様に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、好ましくはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染及びインフルエンザウィルス感染、より特にはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染及びデングウィルス感染、なおより好ましくはチクングニアウィルス感染、の処置及び/又は予防における使用の為の上記に定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、それは、下記で定義された化合物1~4、6~8、10、12~14、16、17、20~23、29、31、32及び38~46のうちから選択される。
【0088】
特定の実施形態に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルス、好ましくはRSVウィルス感染、によって引き起こされるRNAウィルス感染の処置及び/又は予防における使用の為の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、
【0089】
【化9】
【0090】
ここで、
mは、0又は1であり、
R3は、塩素原子又は水素原子を表し、
Rは、(C1~C4)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表し、
R1は、
(i) CF3基、
(ii) (C1~C10)アルキル基、ここで、該(C1~C10)アルキル基の炭素原子の1つは任意的に、酸素原子によって置き替えられてもよく、及び該(C1~C10)アルキル基は任意的に、1以上のフェニル基によって置換されていてもよい、
(iii) (C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、又は、
(iii) フェニル基又はナフチル基、ここで、該これらの基は任意的に、ハロゲン原子、-COOR’基、(C1~C5)アルコキシ基又は-OH基から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
を表し、並びに、
R2は、水素原子、(C1~C10)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表し、
該OR1基は、フェニル上でNH-基に対してパラ位又はメタ位にあり、
ここで、
R2及びR3が両方とも水素原子である場合には、OR1はメトキシ基又はベンジルオキシ基と異なる。
【0091】
他の好ましい実施態様に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、好ましくはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染及びインフルエンザウィルス感染、より特にはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染及びデングウィルス感染、なおより好ましくはRSVウィルス感染、の処置及び/又は予防における使用の為の上記に定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、それは、下記で定義された化合物1、6、10、13、28、38、43、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56及び57のうちから選択される。
【0092】
特定の実施形態に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、好ましくはデングウィルス感染、の処置及び/又は予防における使用の為の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、
【0093】
【化10】
【0094】
ここで、
mは、0又は1であり、
R3は、塩素原子又は水素原子を表し、
Rは、(C1~C4)アルキル基を表し、
R1は、
(i) CF3基、
(ii) (C1~C10)アルキル基、ここで、該(C1~C10)アルキル基の炭素原子の1つは任意的に、酸素原子によって置き替えられてもよく、及び該(C1~C10)アルキル基は任意的に、1以上のフェニル基によって置換されていてもよい、
(iii) (C3~C6)シクロアルキル基、又は、
(iv) フェニル基又はナフチル基、ここで、該これらの基は任意的に、ハロゲン原子又は(C1~C5)アルコキシ基から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
を表し、並びに、
R2は、水素原子、(C1~C10)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表し、
該OR1基は、フェニル上でNH-基に対してパラ位又はメタ位にあり、
ここで、
R2及びR3が両方とも水素原子である場合には、OR1はメトキシ基又はベンジルオキシ基と異なる。
【0095】
他の好ましい実施態様に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、好ましくはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染及びインフルエンザウィルス感染、より特にはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染及びデングウィルス感染、なおより好ましくはデングウィルス感染、の処置及び/又は予防における使用の為の上記に定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、それは、下記で定義された化合物5、10、12、13、16、20、22、39、40、42~44、46、47、54、56、63、76及び77のうちから選択される。
【0096】
他の特定の実施態様に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染の処置及び/又は予防における使用の為の、本発明において定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、ここで、該ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染が、RSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染及びインフルエンザウィルス感染のうちから選択され、より特にはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染及びデングウィルス感染のうちから選択され、なおより好ましくはRSVウィルス感染である。
【0097】
本発明はさらに、化合物それ自体にまで及ぶ。該新規な化合物の中で、下記に定義される以下のグループ1~4に定義される式(I)の化合物は、本発明に関係する。
【0098】
特定の実施形態であるグループ1に従うと、本発明の追加の主題は、上記で定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つであり、ここで、
m、R1、R3及びRは、上記で定義された通りであり、
R2が、(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基を表し、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい。
【0099】
特定の実施形態であるグループ2に従うと、本発明の追加の主題は、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つであり、ここで、
R1が、
(i) CF3基、但し、R2は、水素原子でもメチル基でもない、
(ii) (C1~C10)アルキル基、ここで、該(C1~C10)アルキル基の炭素原子の1つは任意的に、酸素原子によって置き替えられてもよく、及び、該(C1~C10)アルキル基は任意的に、-CF3基、ハロゲン原子、特にフッ素原子、ピリジル基、フェニル基、(C3~C6)シクロアルキル基、(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基又はヒドロキシ基の1以上によって置換されていてもよく、但し、R2は水素原子でない、又は、
(iii) (C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子の1つ又は2つによって置換されていてもよい、
を表す。
【0100】
この特定の実施態様になお従うと、R1は好ましくは、上記の(i)又は(ii)である。
【0101】
他の特定の実施態様であるグループ3に従うと、本発明の追加の主題は、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つであり、ここで、m、R、R2及びR3は、上記で定義された通りであり、並びに、
R1が、
(i) (C1~C10)アルキル基、ここで、該(C1~C10)アルキル基の炭素原子の1つは任意的に、酸素原子によって置き替えられてもよく、及び、該(C1~C10)アルキル基は任意的に、-CF3基、ハロゲン原子、特にフッ素原子、ピリジル基、フェニル基、(C3~C6)シクロアルキル基若しくは(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基又はヒドロキシ基の1以上によって置換されていてもよい、
但し、R1は、(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基を包含する、又は
(ii) (C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子の1つ又は2つによって置換されていてもよい、
を表す。
【0102】
上述の実施態様(グループ3)において、項目(i)中、表現「但し、R1は、(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基を包含する」は、本発明の意味において、R1が(C1~C10)アルキル基を表す場合に、該 (C1~C10)アルキル基が、(C3~C6)シクロアルキル及び(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基のうちから選択される少なくとも1つの置換基を含まなければならないことを意味する。
【0103】
他の特定の実施態様であるグループ4に従うと、本発明の追加の主題は、上記で定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つであり、ここで、m、R2、R3、R’、Ra、Rb、Rc、Rd及びRは上記で定義された通りであり、及び、R1は、任意的に(C1~C4)アルキル基、ハロゲン原子、-COOR’基、(C1~C5)アルコキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよいナフチル基、又は任意的に(C1~C4)アルキル基、ハロゲン原子、-COOR’基、(C1~C5)アルコキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよいフェニル基を表す。
【0104】
他の特定の実施態様であるグループ5に従うと、本発明の追加の主題は、上記で定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つであり、ここで、m、R2及びR3は上記で定義された通りであり、及び、
R1は、
(i) (C1~C10)アルキル基、ここで、該(C1~C10)アルキル基の炭素原子の1つは任意的に、酸素原子によって置き替えられてもよく、及び該(C1~C10)アルキル基は任意的に、-CF3基、ハロゲン原子、特にフッ素原子、ピリジル基、フェニル基、(C3~C6)シクロアルキル基、(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基又はヒドロキシ基の1以上によって置換されていてもよい、
但し、R1は、(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基を包含する、又は
(ii) (C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基、ここで、該これらの基は任意的に、(C1~C2)アルキル基又はフッ素原子から独立して選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい、
を表し、
ここで、
R2及びR3が両方とも水素原子である場合には、上記Rはメトキシ基と異なり、並びにOR1はメトキシ基又はベンジルオキシ基と異なる。
【0105】
上述の実施態様(グループ5)において、項目(i)中、表現「但し、R1は、(C3~C6)シクロアルキル基又は(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基を包含する」は、本発明の意味において、R1が(C1~C10)アルキル基を表す場合に、該(C1~C10)アルキル基が、(C3~C6)シクロアルキル及び(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基のうちから選択される少なくとも1つの置換基を含まなければならないことを意味する。
【0106】
そのような特定の化合物は、式(I)の新規な化合物に関係する。
【0107】
本発明の好ましい実施態様に従うと、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、好ましくはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染及びインフルエンザウィルス感染、より特にはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染及びデングウィルス感染、なおより好ましくはRSVウィルス感染、の処置及び/又は予防における使用の為の式(I)の化合物は、下記から選択される:
(1) 8-クロロ-N-(2-メチル-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(2) 8-クロロ-N-(2-エチル-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(3) 8-クロロ-N-(2-イソブチル4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(4) 8-クロロ-N-(2-シクロプロピル4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(5) 8-クロロ-N-(2-エチル-6-メチル-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(6) 8-クロロ-N-(2-プロピル-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(7) N-(2-エチル-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(8) N-(2-シクロプロピル4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(9) 8-クロロ-N-(4-メトキシ-2-メチルフェニル)キノリン-2-アミン
(10) 8-クロロ-N-(4-イソプロポキシ-2-メチルフェニル)キノリン-2-アミン
(11) 8-クロロ-N-(4-(2-メトキシエトキシ)-2-メチルフェニル)キノリン-2-アミン
(12) 8-クロロ-N-(4-エトキシ-2-メチルフェニル)キノリン-2-アミン
(13) 8-クロロ-N-(2-エチル-4-イソプロポキシフェニル)キノリン-2-アミン
(14) 8-クロロ-N-(2-メチル-4-(2-(トリフルオロメトキシ)エトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(15) 8-クロロ-N-(4-イソプロポキシ-2,6-ジメチルフェニル)キノリン-2-アミン
(16) 8-クロロ-N-(4-(シクロペンチルオキシ)-2-メチルフェニル)キノリン-2-アミン
(17) 8-クロロ-N-(4-(シクロヘキシルオキシ)-2-メチルフェニル)キノリン-2-アミン
(18) 2-(4-((8-クロロキノリン-2-イル)アミノ)-3-メチルフェノキシ)エタノール
(19) N-(2-エチル-4-イソプロポキシフェニル)キノリン-2-アミン
(20) 8-クロロ-N-(2-シクロプロピル4-イソプロポキシフェニル)キノリン-2-アミン
(21) 8-クロロ-N-(4-イソプロポキシ-2,3-ジメチルフェニル)キノリン-2-アミン
(22) 8-クロロ-N-(4-シクロブトキシ-2-メチルフェニル)キノリン-2-アミン
(23) 8-クロロ-N-(2-メチル-4-(ピリジン-2-イルメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(24) 8-クロロ-N-(2-メチル-4-(ピリジン-4-イルメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(25) 8-クロロ-N-(2-メチル-4-((3-メチルオキセタン-3-イル)メトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(26) 8-クロロ-N-(2-メチル-4-(オキセタン-3-イルオキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(27) N-(4-フェノキシフェニル)キノリン-2-アミン
(28) N-(4-(p-トリルオキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(29) N-(4-(2-フルオロフェノキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(30) 2-(4-(キノリン-2-イルアミノ)フェノキシ)安息香酸メチル
(31) 8-クロロ-N-(4-(p-トリルオキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(32) 8-クロロ-N-(4-(2-フルオロフェノキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(33) 2-(4-((8-クロロキノリン-2-イル)アミノ)フェノキシ)安息香酸メチル
(34) N-(4-(4-クロロフェノキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(35) N-(4-(4-フルオロフェノキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(36) 8-クロロ-N-(4-(4-クロロフェノキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(37) 8-クロロ-N-(4-(4-フルオロフェノキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(38) N-(4-(2-フルオロフェノキシ)-2-メチルフェニル)キノリン-2-アミン
(39) N-(2-エチル-4-(2-フルオロフェノキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(40) 8-クロロ-N-(4-イソプロポキシ-5-イソプロピル2-メチルフェニル)キノリン-2-アミン
(41) 8-クロロ-N-(4-シクロブトキシ-2-エチルフェニル)キノリン-2-アミン
(42) 8-クロロ-N-(4-シクロブトキシ-2-シクロプロピルフェニル)キノリン-2-アミン
(43) 8-クロロ-N-(4-イソプロポキシ-2,5-ジメチルフェニル)キノリン-2-アミン
(44) 8-クロロ-N-(4-(シクロペンチルオキシ)-2-シクロプロピルフェニル)キノリン-2-アミン
(45) N-(4-(2-フルオロ-4-メトキシフェノキシ)-2-メチルフェニル)キノリン-2-アミン
(46) N-(2-シクロプロピル4-(2-フルオロフェノキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(47) N-(4-(ベンジルオキシ)-2-メチルフェニル)-8-クロロキノリン-2-アミン
(48) 8-クロロ-N-(5-シクロプロピル4-イソプロポキシ-2-メチルフェニル)キノリン-2-アミン
(49) 8-クロロ-N-(3-イソプロポキシ-2-メチルフェニル)キノリン-2-アミン
(50) N-(3-(ベンジルオキシ)-2-メチルフェニル)-8-クロロキノリン-2-アミン
(51) N-(4-(4-メトキシフェノキシ)-2-メチルフェニル)キノリン-2-アミン
(52) N-(2-シクロプロピル4-(2-フルオロ-4-メトキシフェノキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(53) 3-フルオロ-4-(3-メチル-4-(キノリン-2-イルアミノ)フェノキシ)フェノール
(54) 8-クロロ-N-(2-メチル-4-(ナフタレン-1-イルオキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(55) 8-クロロ-N-(2-メチル-3-フェノキシフェニル)キノリン-2-アミン
(56) 8-クロロ-N-(2-メチル-4-フェノキシフェニル)キノリン-2-アミン 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩
(57) 8-クロロ-N-(2-メチル-4-(ナフタレン-2-イルオキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(58) N-(2-メチル-3-フェノキシフェニル)キノリン-2-アミン
(59) 8-クロロ-N-(2-メチル-3-(ピリジン-3-イルメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(60) 8-クロロ-N-(3-フェノキシフェニル)キノリン-2-アミン
(61) 8-クロロ-N-(2-メチル-5-フェノキシフェニル)キノリン-2-アミン
(62) 8-クロロ-N-(4-フェノキシフェニル)キノリン-2-アミン
(63) 8-クロロ-N-(4-(2-フルオロフェノキシ)-2,5-ジメチルフェニル)キノリン-2-アミン 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩
(64) 8-クロロ-N-(2,6-ジメチル4-フェノキシフェニル)キノリン-2-アミン
(65) N-(4-イソプロポキシ-2,5-ジメチルフェニル)キノリン-2-アミン
(66) N-(2,6-ジメチル4-フェノキシフェニル)キノリン-2-アミン
(67) N-(4-イソプロポキシ-2-メチルフェニル)キノリン-2-アミン
(68) N-(2-メチル-4-フェノキシフェニル)キノリン-2-アミン
(69) 2-(3-((8-クロロキノリン-2-イル)アミノ)-4-メチルフェノキシ)エタノール
(70) 2-(3-((8-クロロキノリン-2-イル)アミノ)-2-メチルフェノキシ)エタノール
(71) 8-クロロ-N-(2-メチル-6-プロピル-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(72) 8-クロロ-N-(2-シクロプロピル-6-メチル-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(73) N-(2-シクロプロピル4-イソプロポキシフェニル)キノリン-2-アミン
(74) N-(4-イソプロポキシ-2-プロピルフェニル)キノリン-2-アミン
(75) N-(2-プロピル-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(76) N-(2-エチル-4-(2-フルオロ-4-メトキシフェノキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(77) N-(4-(2-フルオロ-4-メトキシフェノキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
(78) 8-クロロ-N-(5-イソプロポキシ-2-メチルフェニル)キノリン-2-アミン
(79) 2-(4-((8-クロロキノリン-2-イル)アミノ)-3-プロピルフェノキシ)エタノール
及びそれらの薬学的に許容される塩。
【0108】
それ故に、本発明は、上記で定義された化合物(2)~(26)及び(28)~(79)並びにそれらの薬学的に許容される塩、例えば臭化水素酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アスコルビン酸塩、塩酸塩、トシル酸塩、トリフラート、マレイン酸塩、メシル酸塩、ギ酸塩、酢酸塩及びフマル酸塩、にまで及ぶ。
【0109】
本発明の他の観点において、本発明の主題は、医薬として使用する為の上記で定義された式(I)の新規な化合物、若しくはその薬学的に許容される塩のいずれか一つ、又は、化合物(2)~(26)及び(28)~(79)の少なくともいずれか一つ、より好ましくは2~8、10、12~14、16、17、20~23、28、29、31、32、38~57、63、76及び77、若しくはその薬学的に許容される塩のいずれか一つ、に関する。
【0110】
本発明の他の観点において、本発明の主題は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、好ましくはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染及びインフルエンザウィルス感染、より特にはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染及びデングウィルス感染、なおより好ましくはRSVウィルス感染、を予防し、阻害し、又は処置する為の剤として使用する為の上記で定義された式(I)の新規な化合物、若しくはその薬学的に許容される塩のいずれか一つ、又は化合物(1)~(79)、より好ましくは化合物1~8、10、12~14、16、17、20~23、28、29、31、32、38~57、63、76及び77、の少なくともいずれか少なくとも1つ、、若しくはその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関する。
【0111】
本発明の化合物は、遊離塩基の形態で、又は薬学的に許容される酸との付加塩の形態で存在しうる。
【0112】
「その薬学的に許容される塩」は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)で形成された酸付加塩から形成される塩、並びに、有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パルモイン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフレンスルホン酸、ナフレンジスルホン酸、及びポリガラクツロン酸、で形成された酸付加塩から形成される塩を云う。
【0113】
式(I)の化合物の生理学的に許容される適切な酸付加塩は、臭化水素酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アスコルビン酸塩、塩酸塩、トシル酸塩、トリフラート、マレイン酸塩、メシル酸塩、ギ酸塩、酢酸塩及びフマル酸塩を包含する。
【0114】
式(I)の化合物、及び化合物(1)~(79)のいずれか一つ、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つは、溶媒和物又は水和物を形成し得、及び本発明は、そのような全ての溶媒和物及び水和物を包含する。
【0115】
式(I)の化合物は、互変異性体の形態でも存在し得、且つ本発明の一部である。
【0116】
語「水和物」及び「溶媒和物」は単に、本発明に従う化合物(I)が、水和物又は溶媒和物の形態、すなわち、1以上の水又は溶媒分子と結合され又は関連付けられている、であることができることを意味する。これは、そのような化合物の化学的特性にすぎず、それは、このタイプの全ての有機化合物に適用されることができる。
【0117】
本発明の文脈において、
語「ハロゲン」は、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を意味すると理解され、特に塩素原子、フッ素原子、又は臭素原子を示す。
本明細書において使用される場合、語「(C1~Cx)アルキル」はそれぞれ、C1~Cxの第一級、第二級又は第三級の飽和炭化水素、例えば(C1~C6)アルキル、を云う。例は、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、ブチル、ペンチルであるが、これらに限定されない。
本明細書において使用される場合、語「(C3~C6)シクロアルキル」は、環状飽和炭化水素を云う。例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルであるが、これらに限定されない。
本明細書において使用される場合、語「(C3~C6)ヘテロシクロアルキル基」は、(C3~C6)シクロアルキル基を云い、ここで、炭素原子の1つ又は2つは、ヘテロ原子、例えば酸素原子又は窒素原子、によって置換されている。例は、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、アジリジン、オキセタン、フラン及びジオキサンルであるが、これらに限定されない。
本明細書において使用される場合、語「(C1~Cx)アルコキシ」は、O-(C1~Cx)アルキル部分を云い、ここで、アルキルは上記で定義された通りであり、例えば(C1~C6)アルコキシである。例は、メトキシ、エトキシ、1-プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシ及びペントキシであるが、これらに限定されない。
【0118】
式(I)の化合物は、1以上の不斉炭素原子を含むことができる。従って、それらはエナンチオマーの又はジアステレオマーの形態で存在することができる。これらのエナンチオマー、ジアステレオマー、及びラセミ混合物を含むそれらの混合物は、本発明の範囲内に包含される。
【0119】
本発明の化合物は、当業者によって実施される有機合成の慣用的な方法によって調製されることができる。以下に概説される一般的な反応シーケンスは、本発明の化合物を調製する為に有用な一般的な方法を表し、且つ範囲又は有用性を限定することを意味するものでない。
【0120】
一般式(I)の化合物は、下記のスキーム1に従って調製されることができる。
【0121】
【化11】
スキーム1
【0122】
該合成は、上記の式式(II)のアミノ芳香族化合物から始まるカップリング反応に基づき、ここで、R、m、R1及びR2は上記で定義された通りであり、及び式(III)のクロロ芳香族化合物は上記で定義された通りである。
【0123】
経路(A)に従うと、式(III)の化合物が、プロトン性溶媒、例えばtert-ブタノール、中に置かれうる。次に、式(II)の化合物が、無機塩基、例えばCs2CO3又はK2CO3、の存在下で例えば式(III)の化合物に対して1~1.5のモル比で、ジホスフィン、例えばXantphos (4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン)又はX-Phos (2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル)、の存在下で例えば1~5のモル比で、特には式(III)の化合物の総量に対して2モル%~15モル%の量で且つ有機金属触媒、例えばPd(OAc)2又はPd2dba3、の存在下で、式(III)の化合物の総量に対して2モル%~25モル%の量で、添加されうる。次に、反応混合物は、80~130℃、例えば90℃、の温度で加熱されることができ、そして、不活性ガス、例えばアルゴン、下で、13~90時間、例えば24時間、撹拌されることができる。反応混合物は減圧下で濃縮されることができ、そして該残渣は、有機溶媒、例えば酢酸エチル、で希釈されることができる。有機相が、水で洗われ、デカンテーションされ、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、減圧下で濃縮されて、そして、次に、精製されて、式(I)の化合物を与えることができる。
【0124】
経路(A)を辿る代替的な方法として、式(III)の化合物が、非プロトン性溶媒、例えば無水1,4-ジオキサン、中に置かれうる。次に、式(II)の化合物が、無機酸、例えば塩酸(例えば、1,4-ジオキサン中、4NのHCl)の存在下、式(III)の化合物に対して例えば1~1.5のモル比で、例えば2~7のモル比で、加えられうる。次に、反応混合物は、マイクロ波照射下、100~190℃の温度で、例えば170℃で、加熱されることができ、そして10~120分間、例えば45分間、撹拌されることができる。反応混合物は、濾過され、減圧下で濃縮されて、そして次に、精製されて、式(I)の化合物を与えることができる。
【0125】
式(II)、式(III)の出発化合物が、入手可能であるか、又は当業者に知られている方法に従って調製されることができる。
【0126】
従って、本発明はさらに、上記で定義された式(I)の新規な化合物を製造する為の合成方法であって、
下記の式(II)の化合物
【0127】
【化12】
を下記の式(III)の化合物
【0128】
【化13】
【0129】
と、無機塩基及びジホスフィンの存在下且つ有機金属触媒の存在下でカップリングさせて、式(I)の化合物を得る工程を少なくとも含み、
ここで、R1、R2、R3、R及びmは、上記で定義された通りである、
上記方法に関する。
【0130】
より特には、R1がアルキル基を表し及びR2がHと異なる場合において、式(I)の化合物を調製する為に使用される場合、式(II)の化合物は、下記のスキーム2に従って調製されることができる。
【0131】
【化14】
【0132】
上記の式(II)、式(IV)及び式(V)の中間化合物は、本発明に従う式(I)の化合物を調製する為に有用である。
【0133】
経路(B)に従うと、該4-ニトロフェノール誘導体が、極性溶媒、例えばN,N-ジメチルホルムアミド、中に置かれうる。次に、ブロモ誘導体,R1Br,が、無機塩基、例えばCs2CO3又はK2CO3、の存在下、4-ニトロフェノール誘導体に対して例えば1~2のモル比で、特に、1~5のモル比で、添加されうる。次に、反応混合物は、50~150℃の温度で、例えば90℃で、加熱されることができ、そして、不活性ガス、例えばアルゴン、下で、5~90時間、例えば14時間、撹拌されることができる。反応混合物は減圧下で濃縮されることができ、そして、残渣が、有機溶媒、例えばジクロロメタン、と水との間で分配されることができる。有機相が、水で洗われ、デカンテーションされ、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、減圧下で濃縮されて、そして、精製されて、式(V)の化合物を与えることができる。
【0134】
経路(C)に従うと、式(V)の化合物及び、式(V)の化合物の量に対して例えば2モル%~20モル%の量での有機金属触媒、例えばPd(dppf)Cl2.CH2Cl2、が、無極性溶媒、例えば1,4-ジオキサン、中に置かれうる。次に、ボロン酸,R2-B(OH)2,が、無機塩基、例えばK3PO4又はK2CO3、の存在下、式(V)の化合物に対して1~5のモル比で、特には2~5のモル比で、添加されうる。次に、反応混合物は、50~150℃の温度で、例えば100℃で、加熱されることができ、そして、不活性ガス、例えばアルゴン、下で、10~70時間、例えば20時間、撹拌されることができる。反応混合物は減圧下で濃縮されることができ、そして精製されて、式(IV)の化合物を与えることができる。
【0135】
経路(D)に従うと、式(IV)の化合物と、3~8当量の比にあるスズ(II)クロリド二水和物とが、プロトン性溶媒、例えばエタノール、中に置かれうる。次に、反応混合物は、40~80℃の温度で、例えば60℃で、加熱されることができ、そして、15~25時間、例えば14時間、撹拌されることができる。混合物が、1NのNaOH水性溶液中に注がれることができ、そして、有機溶媒、例えば酢酸エチル、で抽出されることができる。次に、有機相が、水、そして塩水の飽和水性溶液で洗われ、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、減圧下で濃縮されて、そして精製されて、式(II)の化合物を与えることができる。
【0136】
より特には、R1がアリール基を表し及びR2がHと異なる場合において、式(I)の化合物を調製する為に使用される場合、式(II)の化合物は、下記のスキーム3又はスキーム4に従って調製されることができる。
【0137】
【化15】
【0138】
上記の式(II)、式(IV)及び式(V)の中間化合物は、本発明に従う式(I)の化合物を調製する為に有用である。
【0139】
経路(E)に従うと、該4-フルオロニトロベンゼン誘導体は、極性溶媒、例えばN,N-ジメチルホルムアミド中に置かれうる。次に、フェノール誘導体,R1OH,が、無機塩基、例えばCs2CO3又はK2CO3、の存在下、該4-フルオロニトロベンゼン誘導体に対して1~2のモル比で、特に1~5のモル比で、添加されうる。次に、反応混合物は、50~150℃の温度で、例えば70℃で、加熱されることができ、そして、不活性ガス、例えばアルゴン、下で、5~90時間、例えば16時間、撹拌されることができる。反応混合物は減圧下で濃縮されることができ、そして、残渣が、有機溶媒、例えばジクロロメタン、と水との間で分配されることができる。有機相が、水で洗われ、デカンテーションされ、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、減圧下で濃縮され、そして精製されて、式(V)の化合物を与えることができる。
【0140】
経路(C)に従うと、式(V)の化合物及び、式(V)の化合物に対して例えば2モル%~20モル%の量での化合物有機金属触媒、例えばPd(dppf)Cl2.CH2Cl2、が、無極性溶媒、例えば1,4-ジオキサン、中に置かれうる。次に、ボロン酸,R2-B(OH)2,が、無機塩基、例えばK3PO4又はK2CO3、の存在下、式(V)の化合物に対して1~5のモル比で、特には2~5のモル比で、添加されうる。次に、反応混合物は、50~150℃の温度で、例えば100℃で、加熱されることができ、そして、不活性ガス、例えばアルゴン、下で、10~70時間、例えば20時間、撹拌されることができる。反応混合物は減圧下で濃縮されることができ、そして精製されて、式(IV)の化合物を与えることができる。
【0141】
経路(D)に従うと、式(IV)の化合物と、3~8当量の比にあるスズ(II)クロリド二水和物とが、プロトン性溶媒、例えばエタノール、中に置かれうる。次に、反応混合物は、40~80℃の温度で、例えば60℃で、加熱されることができ、そして、15~25時間、例えば14時間、撹拌されることができる。混合物が、1NのNaOH水性溶液中に注がれることができ、そして、有機溶媒、例えば酢酸エチル、で抽出されることができる。次に、有機相が、水、そして塩水の飽和水性溶液で洗われ、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、減圧下で濃縮されて、そして精製されて、式(II)の化合物を与えることができる。
【0142】
【化16】
【0143】
上記の式(II)の中間化合物は、本発明に従う式(I)の化合物を調製する為に有用である。
【0144】
経路(F)に従うと、該ハロゲノアリール誘導体,R1X,は、無極性溶媒、例えばトルエン中に置かれうる。次に、フェノール誘導体が、無機塩基、例えばCs2CO3又はK2CO3、の存在下、該ハロゲノアリール誘導体に対して1~2のモル比で、リガンド、例えば1-メチルイミダゾール、の存在下、1~3のモル比で、銅触媒、例えばCuCl又はCuIの存在下、化合物R1Xの総量に対して5モル%~30モル%の量で、化合物R1Xの総量に対して2モル%~15モル%の量で、添加されうる。次に、反応混合物は、50~150℃の温度で、例えば130℃で、加熱されることができ、そして、不活性ガス、例えばアルゴン、下で、5~25時間、例えば16時間、撹拌されることができる。反応混合物は、セライトのパッドを介して濾過されることができる。濾過物が減圧下で濃縮されることができ、そして残渣が、精製されて、式(II)の化合物を与えることができる。
【0145】
本発明の式(I)の幾つかの化合物の化学構造及び分光学的データがそれぞれ、下記の表I及び表IIに示されている。
【0146】
【表1】
【0147】
【表2】
【0148】
下記の実施例は例示として提供されており、本発明の範囲を決して制限するものでない。
【0149】
下記の実施例は、本発明に従う幾つかの化合物の調製を詳細に説明している。得られた生成物の構造は、NMRスペクトルによって確認されている。
【0150】
実施例
【0151】
実施例1:表I中の化合物(2)
【0152】
経路(C)に従うと、2-ブロモ-4-トリフルオロメトキシアニリン(2.3mL,15ミリモル,1当量)が、Pd(dppf)Cl2.CH2Cl2(1.2g,1.5ミリモル,0.1当量)を有する1,4-ジオキサン(55mL)中に置かれた。Cs2CO3(19.6g,60ミリモル,4当量)及びエチルボロン酸(3.3g,45ミリモル,3当量)の添加に応じて、反応混合物は、100℃で加熱され、そして14時間、不活性雰囲気下で撹拌された。次に、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣が、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製されて、2-エチル-4-(トリフルオロメトキシ)アニリン(1.3g,42%)を与えた。
【0153】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 6.93(s,1H),6.90(d,J=8.5Hz,1H),6.63(d,J=8.5Hz,1H),3.64(s,2H),2.49(q,J=7.5Hz,2H),1.25(t,J=7.5Hz,3H)。
【0154】
経路(A)に従うと、t-BuOH(23.4mL)中、2,8-ジクロロキノリン(1.16g,5.85ミリモル,1.0当量)、2-エチル-4-(トリフルオロメトキシ)アニリン(1.20g,5.85ミリモル,1.0当量)、Pd(OAc)2(53mg,0.23ミリモル,4モル%)、XantPhos(133mg,0.23ミリモル,4モル%)及びCs2CO3(5.46g,16.75ミリモル,2.9当量)の反応混合物が、90℃で、3日間、加熱された。室温まで冷やすことに応じて、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣がジクロロメタンで希釈された。次に、該有機相が、水で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、得られた残渣がシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製され、シクロヘキサン中での粉砕後に、8-クロロ-N-[2-エチル-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]キノリン-2-アミン(2)(626mg,29%)を与える画分を得た。
【0155】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 7.96(d,J=9.0Hz,1H),7.91(d,J=9.0Hz,1H),7.72(dd,J=8.0,1.0Hz,1H),7.57(dd,J=8.0,1.0Hz,1H),7.21(t,J=8.0Hz,1H),7.15~7.13(m,2H),6.83(d,J=9.0Hz,1H),6.74(s,1H),2.71(q,J=7.5Hz,2H),1.26(t,J=7.5Hz,3H)。
【0156】
13C NMR(75MHz,CDCl3) δ 153.1,143.7,141.6,136.3,136.0,133.5,127.9,127.6,124.1,122.9,122.3,120.5,119.1,116.9,109.2,22.0,11.4
【0157】
[M+H]+=367.2
【0158】
実施例2:表I中の化合物(4)
【0159】
経路(C)に従うと、2-ブロモ-4-トリフルオロメトキシアニリン(1.5mL,10ミリモル,1当量)が、Pd(dppf)Cl2.CH2Cl2(817mg,1ミリモル,0.1当量)を有する1,4-ジオキサン(36mL)中に置かれた。K3PO4(8.5g,40ミリモル,4当量)及びシクロプロピルボロン酸(2.6g,30ミリモル,3当量)の添加に応じて、反応混合物は、100℃で加熱され、そして、16時間、不活性雰囲気下で撹拌された。次に、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣が、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製されて、2-シクロプロピル4-(トリフルオロメトキシ)アニリン(1.09g,50%)を与えた。
【0160】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 6.90(d,J=7.0Hz,2H),6.62(dd,J=7.0,2.0Hz,1H),3.97(s,2H),1.71~1.62(m,1H),0.93(m,2H),0.60(m,2H)。
【0161】
経路(A)に従うと、t-BuOH(12.9mL)中、2,8-ジクロロキノリン(638mg,3.22ミリモル,1.0当量)、2-シクロプロピル4-(トリフルオロメトキシ)アニリン(700mg,3.22ミリモル,1.0当量)、Pd(OAc)2(29mg,0.13ミリモル,4モル%)、XantPhos(73mg,0.13ミリモル,4モル%)及びCs2CO3(3.0g,9.23ミリモル,2.9当量)の反応混合物が、90℃で、3日間、不活性雰囲気下で加熱された。室温まで冷やすことに応じて、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣がジクロロメタンで希釈された。次に、有機相は、水で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、得られた残渣がシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製され、シクロヘキサン中での粉砕後に、8-クロロ-N-[2-シクロプロピル4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]キノリン-2-アミン(4)(322mg,26%)を与える画分を得た。
【0162】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 8.73(d,J=9.0Hz,1H),7.95(d,J=9.0Hz,1H),7.74(dd,J=8.0,1.2Hz,1H),7.58(dd,J=8.0,1.2Hz,1H),7.35(s,1H),7.22(d,J=8.0Hz,1H),7.17(d,J=2.0Hz,1H),7.01(d,J=2.0Hz,1H),6.92(d,J=9.0Hz,1H),1.91(tt,J=8.3,5.4Hz,1H),1.07(q,J=4.3Hz,2H),0.74(q,J=4.3Hz,2H)。
【0163】
13C NMR(75MHz,CDCl3) δ 152.1,142.2,141.8,136.2,136.0,131.4,128.8,127.9,124.3,123.2,121.1,118.9,118.8,117.8,117.6,111.2,9.5,4.4
【0164】
[M+H]+=379.1
【0165】
実施例3:表I中の化合物(16)
【0166】
経路(B)に従うと、4-ニトロ-5-メチルフェノール(1.5g,10ミリモル,1当量)が、K2CO3(4.2g,30ミリモル,3当量)を有するN,N-ジメチルホルムアミド(8mL)中に置かれた。ブロモシクロペンタン(2.1mL,20ミリモル,2当量)の添加に応じて、反応混合物は、50℃で加熱され、そして、4日間、不活性雰囲気下で撹拌された。室温まで冷やすことに応じて、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣が、酢酸エチルと水との間で分配された。デカンテーションに応じて、有機相は、塩水の飽和水性溶液で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、4-(シクロペンチルオキシ)-2-メチル-1-ニトロベンゼン(1.8g,81%)を与えた。
【0167】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 8.14~8.02(m,1H),6.80~6.72(m,2H),4.85~4.80(m,1H),2.62(s,3H),2.01~1.78(m,6H),1.75~1.57(m,3H)。
【0168】
経路(D)に従うと、4-(シクロペンチルオキシ)-2-メチル-1-ニトロベンゼン(1.8g,8.1ミリモル,1当量)及びスズ(II)クロリド二水和物(9.2g,40.7ミリモル,5当量)がEtOH(81mL)中に置かれた。反応混合物は60℃で加熱され、そして、14時間、不活性雰囲気下で撹拌された。次に、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣が酢酸エチルで希釈された。有機相は、1NのNaOH水性溶液で、次に、塩水の飽和水性溶液で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、4-(シクロペンチルオキシ)-2-メチルアニリン(1.4g,90%)を与えた。
【0169】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 6.61(t,J=7.6Hz,3H),4.65~4.61(m,1H),3.33(s,2H),2.62(s,3H),2.01~1.78(m,6H),1.75~1.57(m,3H)。
【0170】
経路(A)に従うと、t-BuOH(4mL)中、2,8-ジクロロキノリン(297mg,1.5ミリモル,1.5当量)、4-(シクロペンチルオキシ)-2-メチルアニリン(191mg,1.0ミリモル,1当量)、Pd(OAc)2(9mg,0.04ミリモル,4モル%)、XantPhos(23mg,0.04ミリモル,4モル%)及びCs2CO3(912mg,2.8ミリモル,2.8当量)の反応混合物が、90℃で、14時間、不活性雰囲気下で加熱された。室温まで冷やすことに応じて、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣が酢酸エチルで希釈された。次に、有機相は、水で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、得られた残渣がシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製されて、8-クロロ-N-[4-(シクロペンチルオキシ)-2-メチルフェニル]キノリン-2-アミン(16)(94mg,27%)を与えた。
【0171】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 7.83(d,J=9.0Hz,1H),7.69(dd,J=8.0,1.0Hz,1H),7.53(dd,J=8.0,1.0Hz,1H),7.37(d,J=8.5Hz,1H),7.15(t,J=8.0Hz,1H),6.82(d,J=2.7Hz,1H),6.76(dd,J=8.5,2.7Hz,1H),6.72(s,1H),6.67(d,J=9.0Hz,1H),4.85~4.72(m,1H),2.26(s,3H),1.97~1.75(m,8H)。
【0172】
[M+H]+=353.0
【0173】
実施例4:表I中の化合物(20)
【0174】
経路(B)に従うと、3-ブロモ-4-ニトロフェノール(2.2g,10ミリモル,1当量)が、K2CO3(4.2g,30ミリモル,3当量)を有するN,N-ジメチルホルムアミド(17mL)中に置かれた。2-ブロモプロパン(1.9mL,20ミリモル,2当量)の添加に応じて、反応混合物は、90℃で加熱され、そして、14時間、不活性雰囲気下で撹拌された。室温まで冷やすことに応じて、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣が、酢酸エチルと水との間で分配された。デカンテーションに応じて、有機相は、塩水の飽和水性溶液で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、2-ブロモ-1-ニトロ-4-(プロパン-2-イルオキシ)ベンゼン(2.3g,88%)を与えた。
【0175】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 7.98(d,J=9.1Hz,1H),7.19(d,J=2.6Hz,1H),6.87(dd,J=9.1,2.6Hz,1H),4.63(hept,J=6.1Hz,1H),1.38(d,J=6.1Hz,6H)。
【0176】
経路(C)に従うと、2-ブロモ-1-ニトロ-4-(プロパン-2-イルオキシ)ベンゼン(2.3g,8.8ミリモル,1当量)が、Pd(dppf)Cl2.CH2Cl2(708mg,0.9ミリモル,0.1当量)を有する1,4-ジオキサン(32mL)中に置かれた。K3PO4(7.5g,35ミリモル,4当量)及びシクロプロピルボロン酸(2.3g,27ミリモル,3当量)の添加に応じて、反応混合物は、100℃で加熱され、そして、3日間、不活性雰囲気下で撹拌された。次に、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣が、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製されて、2-シクロプロピル1-ニトロ-4-(プロパン-2-イルオキシ)ベンゼン(1.5g,77%)を与えた。
【0177】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 7.95(d,J=9.1Hz,1H),6.72(dd,J=9.1,2.7Hz,1H),6.58(d,J=2.7Hz,1H),4.61(hept,J=6.1Hz,1H),2.59~2.50(m,1H),1.36(d,J=6.1Hz,6H),1.05(m,2H),0.69(m,2H)。
【0178】
経路(D)に従うと、2-シクロプロピル1-ニトロ-4-(プロパン-2-イルオキシ)ベンゼン(1.5g,6.8ミリモル,1当量)及びスズ(II)クロリド二水和物(7.7g,34ミリモル,5当量)がEtOH(68mL)中に置かれた。反応混合物は60℃で加熱され、そして、14時間、不活性雰囲気下で撹拌された。次に、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣がジクロロメタンで希釈された。有機相は、1NのNaOH水性溶液で、次に、塩水の飽和水性溶液で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、2-シクロプロピル4-(プロパン-2-イルオキシ)アニリン(1.2g,93%)を与えた。
【0179】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 6.65~6.58(m,3H),4.36(hept,J=6.1Hz,1H),3.69(s,2H),1.73~1.64(m,1H),1.28(d,J=6.1Hz,6H),0.89(m,2H),0.59(m,2H)。
【0180】
経路(A)に従うと、t-BuOH(17mL)中、2,8-ジクロロキノリン(828mg,4.18ミリモル,1.0当量)、2-シクロプロピル4-(プロパン-2-イルオキシ)アニリン(800mg,4.18ミリモル,1.0当量)、Pd(OAc)2(38mg,0.17ミリモル,4モル%)、XantPhos(95mg,0.17ミリモル,4モル%)及びCs2CO3(3.9g,12.0ミリモル,2.9当量)の反応混合物が、90℃で、14時間、不活性雰囲気下で加熱された。室温まで冷やすことに応じて、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣がジクロロメタンで希釈された。次に、有機相は、水で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、得られた残渣がシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製されて、8-クロロ-N-[2-シクロプロピル4-(プロパン-2-イルオキシ)フェニル]キノリン-2-アミン(20)(626mg,42%)を与えた。
【0181】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 7.85(d,J=9.0Hz,1H),7.77(d,J=9.0Hz,1H),7.69(dd,J=8.0,1.2Hz,1H),7.53(dd,J=8.0,1.2Hz,1H),7.16(t,J=8.0Hz,1H),7.05(s,1H),6.79(dd,J=9.0,4.1Hz,2H),6.58(d,J=2.7Hz,1H),4.53(hept,J=6.1Hz,1H),2.02~1.93(m,1H),1.34(d,J=6.1Hz,6H),0.94(q,J=4.3Hz,2H),0.68(q,J=4.3Hz,2H)。
【0182】
13C NMR(75MHz,CDCl3) δ 154.1,153.0,141.9,135.5,129.1,127.5,127.4,124.1,122.9,122.6,119.8,117.3,112.0,110.8,109.3,67.7,19.7,9.1,5.2
【0183】
[M+H]+=353.2
【0184】
実施例5:表I中の化合物(22)
【0185】
経路(B)に従うと、4-ニトロ-5-メチルフェノール(1.5g,10ミリモル,1当量)が、K2CO3(4.2g,30ミリモル,3当量)を有するN,N-ジメチルホルムアミド(8mL)中に置かれた。臭化シクロブチル(1.9mL,20ミリモル,2当量)の添加に応じて、反応混合物は、90℃で加熱され、そして、14時間、不活性雰囲気下で撹拌された。室温まで冷やすことに応じて、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣が、酢酸エチルと水との間で分配された。デカンテーションに応じて、有機相は、塩水の飽和水性溶液で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、4-シクロブトキシ-2-メチル-1-ニトロベンゼン(1.8g,89%)を与えた。
【0186】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 8.08~8.02(m,1H),6.72~6.63(m,2H),4.70(p,J=7.1Hz,1H),2.61(s,3H),2.53~2.43(m,2H),2.28~2.10(m,2H),1.98~1.83(m,1H),1.81~1.65(m,1H)。
【0187】
経路(D)に従うと、4-シクロブトキシ-2-メチル-1-ニトロベンゼン(1.0g,4.8ミリモル,1当量)及びスズ(II)クロリド二水和物(5.4g,23.9ミリモル,5当量)がEtOH(48mL)中に置かれた。反応混合物は60℃で加熱され、そして、14時間、不活性雰囲気下で撹拌された。次に、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣がジクロロメタンで希釈された。有機相は、1NのNaOH水性溶液で、次に、塩水の飽和水性溶液で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、4-シクロブトキシ-2-メチルアニリン(846mg,99%)を与えた。
【0188】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 6.60~6.58(m,2H),6.55~6.51(m,1H),4.53(p,J=6.9Hz,1H),3.33(s,2H),2.45~2.34(m,2H),2.14(s,3H),2.13~2.05(m,2H),1.88~1.75(m,1H),1.70~1.53(m,1H)。
【0189】
経路(A)に従うと、t-BuOH(6mL)中、2,8-ジクロロキノリン(297mg,1.5ミリモル,1当量)、4-シクロブトキシ-2-メチルアニリン(266mg,1.5ミリモル,1当量)、Pd(OAc)2(14mg,0.06ミリモル,4モル%)、XantPhos(34mg,0.06ミリモル,4モル%)及びCs2CO3(1.4g,4.3ミリモル,2.9当量)の反応混合物が、90℃で、14日間、不活性雰囲気下で加熱された。室温まで冷やすことに応じて、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣がジクロロメタンで希釈された。次に、有機相は、水で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、得られた残渣がシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製されて、8-クロロ-N-(4-シクロブトキシ-2-メチルフェニル)キノリン-2-アミン(22)(248mg,49%)を与えた。
【0190】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 7.82(d,J=8.6Hz,1H),7.68(dd,J=8.0,1.2Hz,1H),7.52(dd,J=8.0,1.2Hz,1H),7.38(d,J=8.6Hz,1H),7.15(t,J=7.8Hz,1H),6.76(d,J=2.8Hz,1H),6.71(s,1H),6.68(t,J=7.8Hz,2H),4.64(p,J=7.0Hz,1H),2.53~2.40(m,2H),2.26(s,3H),2.23~2.10(m,2H),1.95~1.80(m,1H),1.71(tt,J=10.2,5.2Hz,1H)。
【0191】
13C NMR(75MHz,CDCl3) δ 154.7,153.4,141.9,135.9,133.3,127.8,127.5,127.3,124.9,124.2,122.6,119.8,115.0,110.7,108.2,69.2,28.4,16.1,10.9
【0192】
実施例6:表I中の化合物(38)
【0193】
経路(E)に従うと、2-フルオロフェノール(1.8g,16ミリモル,1当量)が、K2CO3(4.5g,32ミリモル,2当量)を有するN,N-ジメチルホルムアミド(50mL)中に置かれた。4-フルオロ-2-メチル-1-ニトロベンゼン(2.5g,16ミリモル,1当量)の添加に応じて、反応混合物は、70℃で加熱され、そして、3日間、不活性雰囲気下で撹拌された。室温まで冷やすことに応じて、反応混合物は、酢酸エチルと水との間で分配された。デカンテーションに応じて、有機相は、塩水の飽和水性溶液で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、得られた残渣がシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製されて、4-(2-フルオロフェノキシ)-2-メチル-1-ニトロベンゼン(2.8g,70%)を与えた。
【0194】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 8.05(d,J=8.7Hz,1H),7.28~7.13(m,4H),6.86~6.78(m,2H),2.60(s,3H)。
【0195】
経路(D)に従うと、4-(2-フルオロフェノキシ)-2-メチル-1-ニトロベンゼン(2.8g,11.3ミリモル,1当量)及びスズ(II)クロリド二水和物(7.7g,34.0ミリモル,3当量)がEtOH(91mL)中に置かれた。反応混合物は60℃で加熱され、そして、20時間、不活性雰囲気下で撹拌された。次に、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣が酢酸エチルで希釈された。有機相は、1NのNaOH水性溶液で、次に、塩水の飽和水性溶液で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、得られた残渣がシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製されて、4-(2-フルオロフェノキシ)-2-メチルアニリン(1.5g,61%)を与えた。
【0196】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 7.17~7.10(m,1H),7.02~6.97(m,2H),6.93~6.87(m,1H),6.78(d,J=2.7Hz,1H),6.74(dd,J=8.5,2.7Hz,1H),6.64(d,J=8.5Hz,1H),3.50(brs,2H),2.15(s,3H)。
【0197】
経路(A)に従うと、t-BuOH(13mL)中、2-クロロキノリン(527mg,3.22ミリモル,1当量)、4-(2-フルオロフェノキシ)-2-メチルアニリン(700mg,3.22ミリモル,1当量)、Pd(OAc)2(15mg,0.06ミリモル,2モル%)、XantPhos(37mg,0.06ミリモル,2モル%)及びCs2CO3(2.9g,9.0ミリモル,2.8当量)の反応混合物が、90℃で、16時間、不活性雰囲気下で加熱された。室温まで冷やすことに応じて、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣がジクロロメタンで希釈された。次に、有機相は、水で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、得られた残渣がシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製されて、N-[4-(2-フルオロフェノキシ)-2-メチルフェニル]キノリン-2-アミン(38)(385mg,35%)を与えた。
【0198】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 7.88(d,J=8.9Hz,1H),7.69(d,J=8.2Hz,1H),7.63(d,J=8.2Hz,1H),7.60~7.53(m,1H),7.49(d,J=8.6Hz,1H),7.30~7.06(m,2H),6.93(d,J=2.7Hz,1H),6.86(dd,J=8.6,2.7Hz,1H),6.75(d,J=8.9Hz,1H),6.59(s,1H),2.27(s,3H)。
【0199】
13C NMR(75MHz,CDCl3) δ 153.5,152.2,145.4,141.5,141.4,135.5,132.5,130.8,127.4,125.1,123.9,123.7,122.4,122.3,122.2,121.5,120.3,119.3,117.2,114.8,114.5,113.2,107.8,15.9
【0200】
[M+H]+=345.2
【0201】
実施例7:表I中の化合物(46)
【0202】
経路(E)に従うと、2-フルオロフェノール(1.8g,16ミリモル,1当量)が、K2CO3(4.5g,32ミリモル,2当量)を有するN,N-ジメチルホルムアミド(50mL)中に置かれた。2-ブロモ-4-フルオロ-1-ニトロベンゼン(3.5g,16ミリモル,1当量)の添加に応じて、反応混合物は、70℃で加熱され、そして、16時間、不活性雰囲気下で撹拌された。室温まで冷やすことに応じて、反応混合物は、酢酸エチルと水との間で分配された。デカンテーションに応じて、有機相は、塩水の飽和水性溶液で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、得られた残渣がシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製されて、2-ブロモ-4-(2-フルオロフェノキシ)-1-ニトロベンゼン(3.8g,77%)を与えた。
【0203】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 7.95(d,J=9.1Hz,1H),7.30~7.15(m,5H),6.95(dd,J=9.1,2.6Hz,1H)。
【0204】
経路(C)に従うと、2-ブロモ-4-(2-フルオロフェノキシ)-1-ニトロベンゼン(1.0g,3.2ミリモル,1当量)が、Pd(dppf)Cl2.CH2Cl2(262mg,0.1ミリモル,0.1当量)を有する1,4-ジオキサン(12mL)中に置かれた。K3PO4(2.7g,12.8ミリモル,4当量)及びシクロプロピルボロン酸(826mg,9.6ミリモル,3当量)の添加に応じて、反応混合物は、100℃で加熱され、そして、20時間、不活性雰囲気下で撹拌された。次に、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣が、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製されて、2-シクロプロピル4-(2-フルオロフェノキシ)-1-ニトロベンゼン(830mg,95%)を与えた。
【0205】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 7.90(d,J=9.6Hz,1H),7.26~7.11(m,4H),6.74~6.69(m,2H),2.56~2.47(m,1H),1.11~1.01(m,2H),0.73~0.61(m,2H)。
【0206】
経路(D)に従うと2-シクロプロピル4-(2-フルオロフェノキシ)-1-ニトロベンゼン(830mg,3.0ミリモル,1当量)及びスズ(II)クロリド二水和物(3.4g,15.2ミリモル,5当量)がEtOH(30mL)中に置かれた。反応混合物は、60℃で加熱され、そして、14時間、不活性雰囲気下で撹拌された。次に、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣が酢酸エチルで希釈された。有機相は、1NのNaOH水性溶液で、次に、塩水の飽和水性溶液で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、2-シクロプロピル4-(2-フルオロフェノキシ)アニリン(736mg,100%)を与えた。
【0207】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 7.18~7.10(m,1H),7.03~6.95(m,2H),6.91~6.84(m,1H),6.78~6.71(m,2H),6.64(d,J=8.4Hz,1H),3.85(brs,2H),1.74~1.63(m,1H),0.93~0.87(m,2H),0.61~0.55(m,2H)。
【0208】
経路(A)に従うと、t-BuOH(4mL)中、2-クロロキノリン(164mg,1.0ミリモル,1当量)、2-シクロプロピル4-(2-フルオロフェノキシ)アニリン(243mg,1.0ミリモル,1当量)、Pd(OAc)2(9mg,0.04ミリモル,4モル%)、XantPhos(23mg,0.04ミリモル,4モル%)及びCs2CO3(933mg,2.9ミリモル,2.9当量)の反応混合物が、90℃で、14時間、不活性雰囲気下で加熱された。室温まで冷やすことに応じて、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣がジクロロメタンで希釈された。次に、有機相は、水で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、得られた残渣がシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製されて、N-[2-シクロプロピル4-(2-フルオロフェノキシ)フェニル]キノリン-2-アミン(46)(121mg,33%)を与えた。
【0209】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 7.88(d,J=8.9Hz,1H),7.80(d,J=8.7Hz,1H),7.73(d,J=8.2Hz,1H),7.62(d,J=8.2Hz,1H),7.59~7.54(m,1H),7.29~7.24(m,1H),7.21~7.15(m,1H),7.12~7.00(m,2H),6.88~6.81(m,2H),6.77(d,J=2.8Hz,1H),1.95(tt,J=8.4,5.4Hz,1H),1.01~0.85(m,2H),0.69~0.60(m,2H)。
【0210】
13C NMR(75MHz,CDCl3) δ 155.8,155.4,153.7,147.8,144.5,144.4,144.3,137.8,137.6,134.8,129.9,127.5,126.5,124.7,124.6,124.5,124.4,124.1,124.0,122.9,121.2,117.2,116.9,116.5,115.6,111.2,100.0,80.3,11.7,7.2
【0211】
[M+H]+=371.2
【0212】
薬理学的データ
実施例8:チクングニアウィルス
本発明の化合物は、治療における活性物質として、特にチクングニアウィルス感染を予防し、阻害し又は処置する為の、それらの関連性を実証した薬理学的試験の対象となっていた。
【0213】
物質及び方法
【0214】
感染したHEK293T細胞株におけるチクングニアウィルス(CHIKV)産生の阻害
ウィルス複製を阻害する化合物の能力は、感染された細胞を1μMの式(I)の化合物によって試験した実験で評価された。チクングニアの阻害の為の陽性対照として、リバビリン(Ribavirin)が使用された。該化合物の毒性が並行して評価された。
【0215】
細胞の増殖
ヒト胎児腎臓細胞293T(HEK293T,CRL-11268)が、10%のウシ胎児血清(FBS:fetal bovine serum)、ペニシリン及びストレプトマイシンで補充されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM:Dulbecco’s modified Eagle’s Medium,31966-021,Thermo Fisher Scientific)中で維持された。培地の除去後、細胞がCa2+及びMg2+を含まない塩溶液で洗われて、血清の痕跡を全て除いた。洗浄液を吸引後、細胞が0.25%のトリプシン-EDTA溶液で解離させ、そして37℃のインキュベーターで少なくとも30秒間インキュベートされた。細胞懸濁物の濃度は、自動細胞計測器(EVE,NanoEntek)で測定され、そして必要に応じて、10% FBSで補充されたDMEM培地で0.33×106細胞/mLに調整された。
【0216】
化合物の調製
100μLの細胞懸濁物がViewPlate-96 Black(6005182,PerkinElmer)及び透明な96ウェル細胞培養プレート(655180,Greiner bio-one)にディスパッチされた。5%のCO2下、24時間、37℃でインキュベート後に、化合物が適切な濃度で添加された。
【0217】
1μMでのスクリーニング
中間希釈液が、ストック溶液から96ウェルのV底マイクロプレートで、2mMでのDMSO(D8418,Sigma)を使用して調製された。
1μLの50mMストックライブラリーを25μLのDMSOに混合
2μLの25mMストックライブラリーを25μLのDMSOに混合
【0218】
IC 50 値の決定
中間希釈液が、ストック溶液から96ウェルのV底マイクロプレートで、25mMでのDMSO(D8418,Sigma)を使用して調製された。
2μLの50mMストックライブラリーを2μLのDMSOに混合
【0219】
段階希釈が2μLのDMSOで13回行われ、下記の表IIIにおける通り0.0015mMに達した。
【0220】
【表3】
【0221】
スクリーニングとIC50の決定の両方について、1μLの各溶液が、1mLのDMEM培地を含む1mLのMasterblock 96ウェル(Greiner bio-one,780261)に加えられた。陽性対照として、5μLの80mMリバビリン溶液(R9644,Sigma)が1mLのDMEMに加えられる。一方、DMSOが、陰性対照として使用される。
【0222】
感染
細胞が、5’(CHIK 5’LR)においてGFP修飾されたLa Reunion発生の30μLのCHIKV株(LR2006-OPY1)を用いて感染された(Vector Competence Studies.Vector Borne Zoonotic Dis.2006;6(4)の為の下記のアドレス:https://www.european-virus-archive.com/nucleic-acid/chikv-lr-5gfp-infectious-clone)で入手可能な、Tsetsarkin K,Higgs S,McGee CE,De Lamballerie X,Charrel RN,Vanlandingham DL.Infectious Clones of Chikungunya Virus(La Reunion solate-Ref-SKU:001N-EVA249(PMID:17187566).Vector Borne Zoonotic Dis.2006;6(4))。この改変されたウィルスは、MOI 0.1で細胞を感染させる為に使用された。CHIKVのLR2006-OPY1株(CHIKV-LR)が、テキサス州ガルベストンのテキサス大学医学部(the University of Texas Medical Branch)にあるアルボウイルスの世界参照センター(the World Reference Center for Arboviruses)から入手された。この菌株はもともと、ラレユニオン島から戻ってきたフランス人の熱性患者の血清から分離された。
【0223】
細胞溶解
培地が37℃、5%のCO2下で22時間後に除去され、そして該細胞が上記の通りに洗われた。60μLのRIPAバッファー(50mMのTris-HCl pH8,100mMのNaCl,1mMのMgCl2,1%のTriton X-100)が細胞に添加され、そして少なくとも20分間インキュベートされ、そして蛍光シグナルを読み取った。Pierce 660nm Protein Assay Reagent(22660,Thermo scientific)が使用されて、タンパク質量によって蛍光シグナルが正規化された。
【0224】
CellTiter 96(登録商標) Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay(MTS)(G3581,Promega)が、化合物の毒性をチェックする為に、使用された。我々は、20μLのMTS溶液を加え、そして1時間後に492nmでの吸光度を読み取った。
【0225】
結果
実験の最初のラウンドが実行され、ここで、結果は下記の工程で、次のように計算される阻害パーセンテージとして表される:
1.蛍光強度(FI:Fluorescence intensity)/吸光度660nm(A660)=A
この比は、タンパク質量に対する感染(GFPウィルス))を考慮することを可能にする。
2.A’=A - 感染されていないプレートのバックグラウンドノイズ
3.B=蛍光強度(FI:Fluorescence intensity)/感染されているが未処理のプレートの吸光度660nm(A660)
4.C=A’/B、次に、それは、未処理のサンプルと比較した、処理後の感染パーセンテージとして変換され、そして引き続き、感染パーセンテージとして変換される。例えば、本明細書の下記の表IVの値100は、処置後、GFP蛍光に起因する信号が消失することを意味し、それは、感染がないことに相関される。
5.C’=100-C
【0226】
この値は、阻害のパーセンテージに対応する。
【0227】
下記の表IVは、上記で計算された通り、2回の実験の平均で、幾つかの化合物についての上記のC’値と、対応する標準偏差とを含む。
【0228】
幾つかの値は、元々100超であった。これらの場合、該値は100に下げられた。これは、一部の分子がまた細胞の生存率にも影響を与えることを意味する。言い換えれば、A値はバックグラウンドノイズよりも低くありうる。
【0229】
その上、各測定値について、試験がリバビリンを対照として実施された。阻害パーセンテージの値がチェックされ、100%を与えた。
【0230】
【表4】
【0231】
2回目の実験が行われ、結果をIC50として与えた。
【0232】
IC50値は、0.1nM~1μM、特に0.5~500nM、であり、さらにより特には1~400nM、例えば1~200nMである。例えば、化合物2、4、6、10、13、16、17、20、21、22、38、39、40、41、42、43、44、45及び46は、1~200nM.のIC50値を有する。
【0233】
結論
前の結果に基づいて、式(I)の化合物は、IV群のRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、より特にはアルファーウィルス感染、最も特にはチクングニアウィルス感染、を処置し及び/又は予防する為に適した化合物であると結論付けられることができる。
【0234】
実施例9:RSVウィルス
本発明の化合物は、治療における活性物質として、特にRSVウィルス感染を予防し、阻害し又は処置する為の、それらの関連性を実証した薬理学的試験の対象であった。
【0235】
物質及び方法
【0236】
ウィルスToxGloアッセイを使用してRSV阻害及び細胞毒性について抗ウィルス化合物をスクリーニングする為のプロトコル
HEp-2細胞が、2mMのL-グルタミン、10%のウシ胎児血清、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンを含むように調整されたEarle’s BSSを含むイーグル最小必須培地(EMEM:Eagle’s minimum essential medium)で維持された。スクリーニングアッセイの目的の為に、それらが90%培養密度で成長され、トリプシン処理され、そして回収された。トリプシンが細胞培養培地で中和され、細胞が150 x gで5分間遠心分離され、そして上清を廃棄し、そして細胞ペレットをアッセイ培地(2mMのL-グルタミン、2%のウシ胎児血清、並びに100U/mlのペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシン)を含むように調製されたEarle’s BSSを含むEMEM中に再懸濁された。細胞が、96ウェルプレート及び384ウェルプレートそれぞれの白い透明な底の細胞培養プレート内に、50μlで1.5x104細胞/ウェル及び25μlで4x103細胞/ウェルの密度で播種された。培地/バックグラウンド対照カラムアッセイ培地のみが追加された。細胞プレートが加湿チャンバー内に置かれ、そして37℃/5% CO2で一晩インキュベートされた。一晩のインキュベーション後、細胞が、培養密度及び健康的な外観についてチェックされた。
【0237】
試験品が、10%の最大DMSO濃度(最大1%のDMSOの最終アッセイ濃度)で10xの試験濃度で構成され、そして96ウェルプレートについて10μl、且つ384ウェルプレートについて5μlの容量で細胞プレートに加えられた。細胞対照ウェル及びウィルス対照ウェルについて、試験品の溶媒のみが加えられた。ウィルス又は細胞毒性試験ウェル及び培地/細胞対照ウェルについてのアッセイ培地が96ウェルプレート及び384ウェルプレートに対してそれぞれ0.5、40又は20μlのMOIで試験品の直後に加えられた。ウィルス懸濁物が、RSV A2凍結ストックを解凍し、そして氷上のアッセイ培地でプラーク形成ユニットの必要な濃度に希釈することによって調製された。
【0238】
細胞プレートが加湿チャンバー内で、72時間、p.iで、37℃/5%CO2でさらにインキュベートされた。インキュベーション期間後、細胞が顕微鏡下で観察されて、ウィルス対照ウェルにおける特徴的な細胞変性効果及び細胞対照ウェルにおける健康な細胞をチェックした。プレートが室温に調整された後、20/40μlのViral ToxGlo(Promega)が384/96ウェル細胞プレートの各ウェルに加えられた。プレートが室温でインキュベートされ、プレートロッカーで光から保護されて20分間、分光光度計(Biotek Synergy HTX)で発光を測定した。
【0239】
RSV阻害は、ウィルス対照及び細胞毒性に対する細胞変性効果阻害のパーセンテージとして計算され、及び細胞毒性は、細胞対照ウェルに対する細胞生存のパーセンテージとして計算された。これは、ウィルス阻害又は細胞毒性用量反応が確認された各試験品のEC50値を計算することを可能にした。0.001 μM~5μMのEC50値が、化合物1、6、10、13、28、38、43、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56及び57について見つかった。
【0240】
【表5】
【0241】
結論
前の結果に基づいて、式(I)の化合物は、第V群のRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、より特にはニューモウィルス感染、最も特にはRSVウィルス感染、を処置し及び/又は予防する為に適した化合物であると結論付けられることができる。
【0242】
実施例10:デング熱2ウィルス
本発明の化合物は、治療における活性物質として、特にデング熱2ウィルス感染を予防し、阻害し又は処置する為の、それらの関連性を実証した薬理学的試験の対象であった。
【0243】
物質及び方法
Viral ToxGloアッセイを使用して、DENV-2阻害及び細胞毒性についての抗ウィルス化合物のスクリーニングの為のプロトコル
A549細胞が、10%ウシ胎児血清、100U/mlのペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシンを添加されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM:Dulbecco's Modified Eagle Medium)で維持された。スクリーニングアッセイの目的で、それらは90%の培養密度まで増殖させ、トリプシン処理され、そして回収された。トリプシンが細胞培養培地中で中和され、そして細胞が、150 x gで、5分間遠心分離され、そして上清を廃棄し、そして細胞ペレットをアッセイ培地(2%ウシ胎児血清と100U/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを添加されたDMEM)に再懸濁された。細胞が96ウェルの白い透明な底の細胞培養プレート内に、50μlで1.0x104細胞/ウェルの密度で播種された。培地/バックグラウンド対照カラムアッセイ培地のみが追加された。細胞プレートが加湿チャンバー内に置かれ、そして37℃/5% CO2で一晩インキュベートされた。一晩のインキュベーション後、細胞が、培養密度及び健康的な外観についてチェックされた。
【0244】
試験化合物が、1%の最大DMSO濃度(最大0.1%のDMSOの最終アッセイ濃度))で10μMの最終濃度で調製され、そして10μlの容量で細胞プレートに加えられた。細胞対照ウェル及びウィルス対照ウェルについて、試験品の溶媒のみが加えられた。陽性の阻害対照として、7-デアザ-2'-C-メチルアデノシンが100μMで3ウェルに添加された。ウィルス(DENV-2株16681)又は細胞毒性試験ウェル及び培地/細胞対照ウェルについてのアッセイ培地が96ウェルプレートに対してそれぞれ0.5、40のMOIで試験品の直後に加えられた。ウィルス懸濁物が、DENV-2凍結ストックを解凍し、そしてアッセイ培地でプラーク形成ユニットの必要な濃度に希釈することによって調製された。
【0245】
細胞プレートが加湿チャンバー内で、5日間p.iで、37℃/5%CO2でさらにインキュベートされた。インキュベーション期間後、細胞が顕微鏡下で観察されて、ウィルス対照ウェルにおける特徴的な細胞変性効果及び細胞対照ウェルにおける健康な細胞をチェックした。プレートが室温に調整された後、20μlのViral ToxGlo(Promega)が96ウェル細胞プレートの各ウェルに加えられた。プレートが室温で5分間インキュベートされた後、分光光度計(Envision,PerkinElmer)で発光を測定した。
【0246】
DENV-2阻害は、ウィルス対照に対する細胞変性効果阻害のパーセンテージとして計算され、及び細胞毒性は、細胞対照ウェルに対する細胞生存のパーセンテージとして計算された。
【0247】
【表6】
【0248】
結論
前の結果に基づいて、式(I)の化合物は、第IV群のRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、より特にはフラビウィルス感染、最も特にはデング2ウィルス感染、を処置し及び/又は予防する為に適した化合物であると結論付けられることができる。
【0249】
本発明はさらに、上記に定義された少なくとも1つの新規な化合物、若しくはその薬学的に許容される塩のいずれか一つ、又は上記で定義された若しくは請求項3における化合物(2)~(26)及び(28)~(79)の少なくともいずれか、より好ましくは化合物2~8、10、12~14、16、17、20~23、28、29、31、32及び38~57、63、76並びに77、若しくはその薬学的に許容される塩のいずれか一つ、並びにまた、少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤を含む医薬組成物に関する。
【0250】
本発明の医薬組成物は、本明細書に記載された任意の形態における本発明の1以上の化合物を含むことができる。
【0251】
本発明のなお更なる目的は、RNAウィルス感染、最も好ましくはボルティモア分類に従う第IV群又は第V群由来のRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、例えばチクングニア感染、デング熱感染、インフルエンザ感染又はRSV感染、を、患者において処置し及び/又は予防する為の薬物を調製する為の本発明に従う、上記で定義された式(I)の少なくとも1つの化合物、上記で定義された化合物(1)~(79)、より好ましくは化合物2~8、10、12~14、16、17、20~23、28、29、31、32及び38~57、63、76並びに77、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つからなる。
【0252】
それ故に、本発明は、RNAウィルス感染、より好ましくは第IV群又は第V群由来のRNAウィルス感染、例えばチクングニア感染、デング熱感染、インフルエンザ感染又はRSV感染、を阻害し、予防し又は処置する為の剤としての上記で定義された式(I)の一つの化合物、及び化合物(1)~(79)、より好ましくは化合物1~8、 10、12~14、16、17、20~23、28、29、31、32及び38~57、63、76並びに77、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関する。
【0253】
特定の実施形態に従うと、該処置は、連続的又は非連続的である。
【0254】
「連続的処置」は、様々な投与頻度、例えば1日1回、3日毎、1週間に1回若しくは2週間に1回、又は月に1回、で実施されることができる長期処置を意味する。
【0255】
一つの実施態様において、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つは、0.1~1000mgで、特に0.1~10mgで、又は例えば10~200mgで変化する用量で、例えば200~1000mgで変化する用量で、投与される。
【0256】
本発明の他の目的は、RNAウィルス感染、より好ましくは第IV群又は第V群由来のRNAウィルス感染、なおより好ましくはチクングニア感染、デング熱感染、インフルエンザ感染又はRSV感染、さらにより好ましくはRSVウィルス感染、
ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、から患者を処置し及び/又は予防する為の治療方法であって、上記で定義された式(I)の化合物の若しくは化合物(1)~(79)の治療的に有効な量、又はそれらの許容される塩の治療的に有効な量を投与することを含む、上記方法に関する。
【0257】
特定の実施態様において、本発明は、本発明に従う式(I)の化合物、若しくはその薬学的に許容される塩のいずれか一つの使用、又はそれらの薬学的に活性な誘導体、又は本発明に従う方法を提供し、ここで、式(I)の化合物は、上記RNAウィルス感染、より好ましくは上記第IV群又は第V群由来のRNAウィルス感染、例えばチクングニア感染、デング熱感染、インフルエンザ感染又はRSV感染、特にRSV感染、の処置において有用である助剤と組み合わせて投与されるべきである。
【0258】
該化合物は、任意の投与様式、例えば筋肉内、静脈内、鼻腔内又は経口経路など、を介して投与されることができる。
【0259】
本発明の化合物は、適切な場合には、本発明が関与する化合物のプロドラッグ、例えばエステル、として投与されうる。「プロドラッグ」は、代謝手段によって(例えば、加水分解、還元、又は酸化によって)イン・ビボ(in vivo)で本発明の化合物に転化可能な化合物を意味する。例えば、本発明の化合物のエステルプロドラッグは、イン・ビボ(in vivo)での加水分解によって親分子に転化可能でありうる。本発明の化合物の適切なエステルは例えば、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、マロン酸塩、シュウ酸塩、サリチル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、メチレン-ビス-β-ヒドロキシナフト酸塩、ゲンチジン酸塩、イセチオン酸塩、ジ-p-トルオイル酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルホン酸塩、及びキナ酸塩である。エステルプロドラッグの例は、F.J.Leinweber,Drug Metab.Res.,1987,18,379によって記載されたものである。本明細書において使用される場合、本発明の化合物への言及は、任意のプロドラッグ又は代謝産物の形態をまた包含することが意味される。
【0260】
本発明の組成物は、1以上の添加剤、例えば、希釈剤、賦形剤、安定剤及び保存剤、をさらに含むことができる。そのような添加剤は当業者に周知であり、且つ特に「Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry,6th Ed.」(様々な編集者、1989~1998、Marcel Dekker)及び「Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems」(ANSEL等,1994,WILLIAMS & WILKINS)に記載されている。
【0261】
上記の添加剤は、剤形及び所望の投与様式に従って選択される。
【0262】
本発明の組成物は、任意の様式、例えば経口、非経口、舌下、経皮、膣、直腸、経粘膜、局所、吸入による鼻腔内、頬側若しくは鼻腔内投与、又はそれらの組み合わせを包含するがこれらに限定されてない任意の様式、で投与されうる。非経口投与は、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、髄腔内、及び関節内を包含するが、これらに限定されない。本発明の組成物はまた、インプラントの形態で投与され得、それは、該組成物のゆっくりとした放出並びにゆっくりと制御された静脈(i.v.)注入を可能にする。
【0263】
例えば、式(I)の化合物は、適切な添加剤と関連して、経腸若しくは非経口投与に適した任意の医薬形態で、例えば、プレーン若しくはコーティングされた錠剤、ハードゼラチン、ソフトシェルカプセル及び他のカプセル、坐剤、又は飲用、例えば懸濁物、シロップ、又は注射可能な溶液若しくは懸濁物の形態で、0.1~1000mgの活性物質の毎日の投与を可能にする用量で存在することができる。
【0264】
特定の実施態様において、本発明に従う式(I)の化合物は経口的に投与される。
【0265】
経口投与経路が、本発明の予防又は処置の観点において特に好ましい。
【0266】
他の実施態様に従うと、本発明の薬学的に許容される組成物は、処置される感染症の重症度に依存して、ヒト及び他の動物に、経口的に、直腸的に、非経口的に、大槽内に、膣内に、腹腔内に、局所に(粉末、軟膏、又は滴など)、頬側に、口腔又は点鼻スプレーなどとして投与されることができる。
【0267】
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、直腸的に、鼻腔的に、頬側に、膣内に、又は移植されたリザーバーを介して投与されうる。本明細書において使用される場合、語「非経口」は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、関節滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内、及び頭蓋内の注射又は注入技術を包含する。好ましくは、該組成物は、経口的に、腹腔内に、又は静脈内に投与される。本発明の該組成物の無菌注射形態は、水性又は油性の懸濁物でありうる。これらの懸濁物は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、当技術分野で知られている技術に従って処方されうる。無菌の注射可能な調製物はまた、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の無菌の注射可能な溶液又は懸濁物でありうる。使用されうるビヒクル及び溶媒は、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液である。加えて、無菌の不揮発油(fixed oil)は、慣用的に、溶媒又は懸濁媒体として使用されている。