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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】染毛料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20240617BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240617BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20240617BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240617BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20240617BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/86
A61Q5/06
A61K8/37
A61K8/41
A61K8/49
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020073304
(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公開番号】P2021169426
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】502439647
【氏名又は名称】株式会社ダリヤ
(72)【発明者】
【氏名】古田 健二
【審査官】井上 莉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-059565(JP,A)
【文献】特開2006-143616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61Q
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基性染料を含有する染毛料組成物であって、
(A)セチルアルコール
(B)ステアリルアルコールまたはベヘニルアルコールから選ばれる1種以上
(C)ポリオキシエチレンアルキルエーテルを2種以上
(D)カチオン性界面活性剤
(E)オレイン酸オレイル、パルミチン酸エチルヘキシルまたはミリスチン酸イソプロピルから選ばれる1種以上
を含有し、前記(A)成分の含有量が2~8質量%であり、前記(B)成分の含有量が1~5質量%であり、前記(C)成分の含有量が1~6質量%であり、前記(D)成分の含有量が0.5~6質量%であり、前記(E)成分の0.5~15質量%であり、前記(A)成分と前記(B)成分の含有量比(A)/(A+B)が、0.5~0.83であり、前記(C)成分の平均HLB値が16.3~17.2であることを特徴とする染毛料組成物。
【請求項2】
前記(E)成分が、オレイン酸オレイルであることを特徴とする請求項1に記載の染毛料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は染毛料組成物に関し、特に、低温安定性およびサイクル安定性が良好な染毛料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
今日ではヘアカラーを行うための剤がいくつかあり、永久染毛剤、半永久染毛料、一時染毛料がある。中でも毛髪が染料によって染まるものとして永久染毛剤と半永久染毛料がある。永久染毛剤はアルカリ剤および酸化染料を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とを混合させることにより、アルカリ剤によって毛髪のキューティクルを開き、毛髪内部で酸化染料が酸化反応することで発色をする。また、酸化剤によって毛髪中のメラニンを分解する為、毛髪の脱色も同時に行うことができる。しかし、永久染毛剤は色持ちが良いものの、その反応機構から毛髪への損傷が伴うことが知られている。
【0003】
一方、半永久染毛料は、毛髪に染料を浸透や吸着させることを特徴とするため、毛髪内部で酸化反応させる永久染毛剤に比べて毛髪を損傷しにくいという利点がある。このため、毛髪への負担を減らしながら染毛をしたい人や次の染毛まで褪色を目立たせないようにつなぎの役割として使用する人に好まれて使用されている。このような、半永久染毛料には、塩基性染料を使用したカラートリートメントや酸性染料を使用したヘアマニキュア等がある。特にカラートリートメントは塩基性染料とカチオン性界面活性剤の相性の良さから、普段のトリートメント感覚でヘアケアと染毛が同時に楽しめることができるため、今日では多くのユーザーに広く使用されている。
【0004】
このような染毛料組成物として、染料、芳香族アルコール、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、ジメチコンもしくはジメチコノールを含有し、高い染毛力があり毛髪に柔軟性や指通りを与えるといった染毛料組成物が提供されている(特許文献1)。前記染毛料組成物は芳香族アルコールが乳化系では安定性に悪影響を及ぼすにも関わらず、経時安定性の優れた組成物を実現している。
【0005】
他にも、直接染料、スルホン化多糖、モノアルキル(C8-22)4級アンモニウム塩、並びにモノアルキル(C8-22)エーテルアミン、モノアルキルアミド(C8-22)アミン及びこれらアミンの塩からなる群より選択されるカチオン性界面活性剤を含有し、スルホン化多糖とカチオン性界面活性剤との電荷比を調整することで、水不溶性コンプレックスの沈澱を形成しにくくし、高温での保存時の処方安定性が優れた染毛剤組成物が開示されている(特許文献2)。
【0006】
ところで、染毛料組成物の保管・使用する場所として浴室が想定される。浴室は一般的に冷暗所であることが多いため、特に冬期は室内が低温になる。この低温時に、染毛料組成物から成分が析出する課題があった。また、入浴時や浴室乾燥、浴室暖房を使用している際は室温が温かくなるため、低温時の室温との差が大きくなる。この温度差によって、染毛料組成物と容器との間に水滴が発生し、染毛料組成物の美観を損なう課題があった。よって実使用条件を加味すると高温時の経時安定性だけでなく、低温時や低温と高温を繰り返す温度変化(以下、サイクル条件下という)に対しても経時安定性を考慮する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-162466号公報
【文献】特開2016-193872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、開放型のジャー容器に充填した場合、上記特許文献1では高温時の安定性が優れているものの、低温時に染毛料組成物の表面に高級アルコールが析出するため低温時の安定性に改善の余地があった。また、上記特許文献2では高温時の安定性が優れているものの、サイクル条件下において染毛料組成物の表面に水滴がたまりやすく、たまった水滴が染毛料組成物中の染料によって表面にまだら模様がでやすくなり、染毛料組成物の美観が損なわれやすかった。
【0009】
したがって、本発明は、低温時における経時安定性およびサイクル条件下における経時安定性が良好な染毛料組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、塩基性染料を含有する染毛料組成物であって、
(A)セチルアルコール
(B)ステアリルアルコールおよびベヘニルアルコールから選ばれる1種以上
(C)ノニオン性界面活性剤
(D)カチオン性界面活性剤
(E)25℃で液状のエステル油
を含有し、前記(C)成分の平均HLB値が16以上であることを特徴とする染毛料組成物とすることで、低温時における経時安定性およびサイクル条件下における経時安定性が良好な染毛料組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、低温時における経時安定性およびサイクル条件下における経時安定性が良好な染毛料組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、含有量を示す単位は、特に明記しない限り全て質量%である。
【0013】
本発明は、塩基性染料を含有する染毛料組成物であって、
(A)セチルアルコール
(B)ステアリルアルコールおよびベヘニルアルコールから選ばれる1種以上
(C)ノニオン性界面活性剤
(D)カチオン性界面活性剤
(E)25℃で液状のエステル油
を含有し、前記(C)成分の平均HLB値が16以上であることを特徴とする染毛料組成物とすることで、低温時における経時安定性およびサイクル条件下における経時安定性が良好な染毛料組成物である。
【0014】
本明細書において低温とは「5℃」の温度を意味する。
【0015】
本明細書において高温とは「40℃」の温度を意味する。
【0016】
本発明は、低温時における経時安定性の観点から、(A)セチルアルコールを含有する。
【0017】
本発明で用いられる前記(A)成分の含有量は、好ましくは2~8%、より好ましくは3~7%がよい。前記(A)成分が2%未満または8%を超える場合、低温時における経時安定性が悪くなる恐れがある。
【0018】
本発明は、低温時における経時安定性の観点から、(B)ステアリルアルコールおよびベヘニルアルコールから選ばれる1種以上を含有する。
【0019】
本発明に用いられる前記(B)成分のうち、低温時における経時安定性を向上させる観点からステアリルアルコールが好ましい。
【0020】
本発明で用いられる前記(B)成分の含有量は、好ましくは1~5%、より好ましくは2~3%がよい。前記(B)成分が1%未満または5%を超える場合、低温時における経時安定性が悪くなる恐れがある。
【0021】
本発明に用いられる前記(A)成分および前記(B)成分の含有量比(A)/(A+B)は、低温時における経時安定性の観点から、0.5~0.83が好ましく、0.6~0.78がより好ましい。前記(A)成分および前記(B)成分の含有量比(A)/(A+B)が0.5未満および0.83を超える場合、低温時における経時安定性が悪くなる恐れがある。
【0022】
本発明は、乳化安定性の観点から、(C)ノニオン性界面活性剤を含有する。
【0023】
本発明で用いられる前記(C)成分としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン(以下、POEという)アルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレン(以下、POPという)アルキルエーテル類、POE脂肪酸類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEヒマシ油類、POE硬化ヒマシ油類、POEソルビトールテトラ脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、N-アルキルジメチルアミンオキシド類、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル類、糖系ノニオン性界面活性剤類等が挙げられる。前記(C)成分は1種以上を含有する
【0024】
本発明に用いられる前記(C)成分のうち、サイクル条件下における経時安定性の観点からPOEアルキルエーテル類が好ましく、中でもサイクル条件下における経時安定性向上の観点からPOE(30)ベへニルエーテル、POE(40)セチルエーテルが好ましい。
【0025】
本発明で用いられる前記(C)成分の含有量は、好ましくは1~6%、より好ましくは1.5~5%がよい。前記(C)成分が1%未満または6%を超える場合、サイクル条件下における経時安定性が悪くなる恐れがある。
【0026】
本発明の染毛料組成物に含有される前記(C)成分の平均HLB値は、16以上が好ましく、サイクル条件下における経時安定性向上の観点からより好ましくは16~18、さらに好ましくは16.3~17.2がよい。平均HLB値が16未満または18を超える場合、サイクル条件下における経時安定性が悪くなる恐れがある。
【0027】
本発明における「HLB」とは、親水性と親油性のバランス:Hydrophile―Lipophile Balanceの略称であって、界面活性剤の分子が持つ親水性と親油性の相対的な強さを表すパラメーターである。HLB値が大きいほど親水性が強く、HLB値が小さいほど親油性が強い。本明細書に記載のHLB値は、公知のGriffinの式により求められる値であり、平均HLB値とは、前記(C)成分を1種単独で用いる場合はそのもの単独のHLB値を意味する。また、2種以上の前記(C)成分を組み合わせて用いる場合は、Griffinの式および各々の含有量を基に求められる前記(C)成分全体の平均HLB値を意味する。
【0028】
本発明に用いる前記(C)成分は、サイクル条件下における経時安定性の観点から、好ましくは2種以上含有することであり、さらにサイクル条件下における経時安定性向上のためにはHLB値が16以上の前記(C)成分を含有することが好ましい。
【0029】
本発明は、サイクル条件下における経時安定性の観点から、(D)カチオン界面活性剤を含有する。
【0030】
本発明で用いられる前記(D)成分としては、特に限定されないが、例えば、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。前記(D)成分は1種以上を含有する。
【0031】
本発明に用いられる前記(D)成分のうち、サイクル条件下における経時安定性の観点から塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0032】
本発明で用いられる前記(D)成分の含有量は、好ましくは0.5~6%、より好ましくは1~6%がよい。前記(D)成分が0.5%未満の場合、サイクル条件下における経時安定性が悪くなる恐れがある。前記(D)成分が6%を超える場合、サイクル条件下における経時安定性の向上をそれ以上望めない。
【0033】
本発明は、サイクル条件下における経時安定性の観点から、(E)25℃で液状のエステル油を含有する。
【0034】
本発明で用いられる前記(E)成分としては、特に限定されないが、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、ミリスチン酸イソプロピル、エチルヘキサン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、エルカ酸オレイル、エルカ酸オクチルドデシル、ミリスチン酸トリイソデシル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、乳酸ラウリル、乳酸オクチルドデシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、トリカプリル酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等が挙げられる。前記(E)成分は1種以上を含有する。
【0035】
本発明に用いられる前記(E)成分のうち、サイクル条件下における経時安定性の観点からオレイン酸オレイル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピルが好ましく、中でもサイクル条件下における経時安定性向上の観点からオレイン酸オレイルがより好ましい。
【0036】
本発明で用いられる前記(E)成分の含有量は、好ましくは0.5~15%、より好ましくは1~10%がよい。前記(E)成分が0.5%未満または15%を超える場合、サイクル条件下における経時安定性が悪くなる恐れがある。
【0037】
本発明による染毛料組成物には、染毛性の観点から直接染料を含有する。
【0038】
本発明に用いる直接染料としては、例えば、塩基性染料、HC染料、酸性染料、天然染料、分散染料などが挙げられる。これら直接染料のうち、トリートメント性を付与する成分と併用しても染毛性が低下しにくいことから、塩基性染料、HC染料が好ましい。
【0039】
塩基性染料としては、特に限定されないが、例えば、塩基性茶16、塩基性赤51、塩基性青75、塩基性青99、塩基性黄57、塩基性紫2などが挙げられる。これらは1種以上を含有することができる。
【0040】
HC染料としては、特に限定されないが、例えば、HC橙1、HC赤1、HC赤3、HC青2、HC黄2、HC黄4などが挙げられる。これらは1種以上を含有することができる。
【0041】
本発明による染毛料組成物には、染料を溶解する観点から多価アルコールを含有する。
【0042】
多価アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,3ブチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコール、グリセリン等の3価アルコール等が挙げられる。これらは1種以上を含有することができる。
【0043】
本発明による染毛料組成物は、前記(A)、(B)および(E)成分の他にも、任意で1種または2種以上の油性成分を含有することができる。例えば、油脂、ロウ、高級脂肪酸、シリコーン油などが挙げられる。
【0044】
油脂としては、特に限定されないが、例えば、ヤシ油、パーム油、オリーブ油、アボカド油、ヒマシ油、ゴマ油、ローズヒップ油、メドウフォーム油、月見草油、マカデミアナッツ油、ハッカ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、シア脂などの植物性油などが挙げられる。これらは1種以上を含有することができる。
【0045】
ロウ類としては、特に限定されないが、例えば、ミツロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、セラック、カルナウバロウ、ホホバ油などが挙げられる。これらは1種以上を含有することができる。
【0046】
高級脂肪酸としては、特に限定されないが、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸などが挙げられる。これらは1種以上を含有することができる。
【0047】
シリコーン油としては、特に限定されないが、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーンなどが挙げられる。これらは1種以上を含有することができる。
【0048】
本発明による染毛料組成物は、前記成分の他に必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で前記成分以外の各成分、例えば、低級アルコール、界面活性剤、水溶性増粘剤、金属封鎖剤、コラーゲン、ケラチン、エラスチン、フィブロイン、コンキオリン、大豆タンパク、カゼイン、ゼラチン等の蛋白質、酸やアルカリや酵素等により加水分解した加水分解物およびこれらを4級化した陽イオン変性蛋白質等のポリペプタイド、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸等の保湿剤、パラベン等の防腐剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、乳酸ナトリウム等のpH調整剤、チオグリコール酸、亜硫酸塩、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、アミノ酸、植物エキス、生薬抽出物、ビタミン類、色素、香料、顔料、紫外線吸収剤等から選ばれる少なくとも1種以上を含有することができる。
【0049】
本発明による染毛料組成物の剤形は、乳液状、クリーム状として用いることができ、塗布性の観点からクリーム状が好ましい。
【0050】
本発明による染毛料組成物の粘度は、20℃条件下で3,000~100,000mPa・sが好ましく、塗布性の観点から10,000~50,000mPa・sがより好ましい。
【0051】
本発明による20℃の条件下における粘度は、常法にて調製して得られた染毛料組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、20℃で2日間静置した後に、ヘリカルスタンド付B型粘度計(モデル:デジタル粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)により、粘度が5,000mPa・s未満の場合はM3号ローターを用いて25℃、12rpmで1分間、粘度が5,000~50,000mPa・sの場合はM4号ローターを用いて25℃、12rpmで1分間、粘度が50,000~100,000mPa・sの場合はM4号ローターを用いて25℃、6rpmで1分間回転させた後に測定したものである。
【0052】
本発明による染毛料組成物のpHは4~6が好ましい。染毛料組成物のpHが4未満の場合、染毛性が低下する恐れがある。また染毛料組成物のpHが6を超える場合、染料の保存安定性が低下し、染毛性が低下する恐れがある。
【0053】
本発明による染毛料組成物は開放型の容器に充填されてもよい。開放型の容器は、特に限定されないが、例えば、ジャー容器、コンパクト容器、ボトル容器、レフィル容器などが挙げられる。中でも染毛料組成物を手に取りやすい観点からジャー容器が好ましい。
【0054】
前記開放型容器の材質は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン、ポリエチレンテレフタレート、アルミニウム、ステンレス、ガラスなどが挙げられる。中でも、容器を形成しやすい観点から、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレンがよい。これは1種以上で構成することできる。
【0055】
前記開放型の容器の高さは、特に限定されないが、使用性の観点から好ましくは30~80mmがよい。
【0056】
前記開放型の容器の開口部の内径は、特に限定されないが、使用性の観点から好ましくは55~90mmよい。
【0057】
前記開放型の容器の内容量は、特に限定されないが、使用性の観点から好ましくは90~250mLがよい。
【0058】
前記開放型の容器の内容量に対する染毛料組成物の充填量は、特に限定されないが、使用性と経時安定性の観点から好ましくは70~90%がよい。
【実施例
【0059】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0060】
本明細書に示す評価試験において、染毛料組成物に含まれる成分、およびその含有量を種々変更しながら実施した。各成分の含有量を示す単位は全て質量%であり、これを常法にて調製した。
【0061】
本明細書の表に示す「クエン酸ナトリウム」の含有量を「pH5となる量」との表記は、「表記されているpHに調整するために必要な量」という意味である。さらに、「精製水」の含有量を「残量」との表記は、「各成分の合計含有量が100質量%とするために必要な量」という意味である。
【0062】
本明細書に示す評価試験において、「低温時における経時安定性」および「サイクル条件下における経時安定性」について下記の方法で評価した。
【0063】
[低温時における経時安定性]
本明細書に示す「低温時における経時安定性」に係る評価試験においては、常法にて調製して得られた染毛料組成物をポリプロピレン製のジャー容器(グラセル社 LOOP-100)に80g充填し、5℃条件下にて2週間、1ヶ月、3ヶ月保存し、20℃に調温後、染毛料組成物表面の外観の変化を目視で確認し、以下の基準で評価した。低温時において「染毛料組成物表面の外観に差異がある」とは、染毛料組成物全体がパール様に変色した状態または表面に結晶が析出した状態である。
<低温時における経時安定性の評価基準>
◎:3ヶ月以上、保存前と染毛料組成物表面の外観に差異がない。
○:1ヶ月以上3ヶ月未満、保存前と染毛料組成物表面の外観に差異がない。
△:2週間以上1ヶ月未満、保存前と染毛料組成物表面の外観に差異がない。
×:2週間未満、保存前と染毛料組成物表面の外観に差異がある。
【0064】
[サイクル条件下における経時安定性]
本明細書に示す「サイクル条件下における経時安定性」に係る評価試験においては、常法にて調製して得られた染毛料組成物をポリプロピレン製のジャー容器(グラセル社 LOOP-100)に80g充填し、5℃~40℃の24時間サイクルに設定した恒温器にて2週間、1ヶ月、3ヶ月保存し、20℃に調温後、染毛料組成物表面の外観の変化を目視確認し、以下の基準で評価した。サイクル条件下にて「染毛料組成物表面の外観に差異がある」とは、染毛料組成物表面から蒸発した水分が凝縮して染毛料組成物上にたまった水滴が染毛料組成物中の染料によって表面にまだら模様となって現れる状態である。
<5℃から40℃のサイクル条件下の経時安定性の評価基準>
◎:3ヶ月以上、保存前と染毛料組成物表面の外観に差異がない。
○:1ヶ月以上3ヶ月未満、保存前と染毛料組成物表面の外観に差異がない。
△:2週間以上1ヶ月未満、保存前と染毛料組成物表面の外観に差異がない。
×:2週間未満、保存前と染毛料組成物表面の外観に差異がある。
【0065】
【表1】
【0066】
表1に示す実施例1から実施例10より、「低温時における経時安定性」および「サイクル条件下における経時安定性」について良好な結果を得ることが確認された。
【0067】
【表2】
【0068】
表2に示す実施例11から実施例19より、「低温時における経時安定性」および「サイクル条件下における経時安定性」について良好な結果を得ることが確認された。
【0069】
【表3】
【0070】
表3に示す実施例20から実施例24より、「低温時における経時安定性」および「サイクル条件下における経時安定性」について良好な結果を得ることが確認された。
【0071】
【表4】
【0072】
表4に示す実施例25から実施例30より、「低温時における経時安定性」および「サイクル条件下における経時安定性」について良好な結果を得ることが確認された。
【0073】
以下に染毛料組成物の処方例を列挙する。実施例31から実施例34に関して「低温時における経時安定性]および「サイクル条件下における経時安定性」は良好な結果が得られた。
【0074】
実施例31
成 分 含有量(質量%)
(A)セチルアルコール 5.00
(B)ステアリルアルコール 2.00
(C)POE(30)ベヘニルエーテル 1.60
(C)POE(40)セチルエーテル 2.40
(D)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.70
(D)塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 1.30
(E)オレイン酸オレイル 2.00
ダイマージリノール酸水添ヒマシ油 1.00
メチルポリシロキサン 7.00
ジメチコノール 0.25
1,3-ブチレングリコール 3.00
エチレングリコール 8.00
グリセリン 1.00
パラオキシ安息香酸メチル 0.20
塩化O-[2-ヒドロキシ-3-
(トリメチルアンモニオ)プロピル]グァ-ガム 0.30
クエン酸 0.03
クエン酸ナトリウム 0.09
スクワラン 0.10
ホホバ油 0.10
マカデミアナッツ油 0.10
塩基性黄57 0.60
塩基性青99 0.10
精製水 63.13
合計 100.00
【0075】
実施例32
成 分 含有量(質量%)
(A)セチルアルコール 4.00
(B)ステアリルアルコール 2.00
(C)POE(30)ベヘニルエーテル 0.60
(C)POE(40)セチルエーテル 0.90
(D)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.70
(D)塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 1.30
(E)オレイン酸オレイル 4.00
ダイマージリノール酸水添ヒマシ油 1.00
メチルポリシロキサン 7.00
ジメチコノール 0.25
1,3-ブチレングリコール 3.00
エチレングリコール 8.00
グリセリン 1.00
パラオキシ安息香酸メチル 0.20
塩化O-[2-ヒドロキシ-3-
(トリメチルアンモニオ)プロピル]グァ-ガム 0.30
クエン酸 0.03
クエン酸ナトリウム 0.19
スクワラン 0.10
ホホバ油 0.10
マカデミアナッツ油 0.10
塩基性茶16 0.10
塩基性青99 0.40
精製水 64.73
合計 100.00
【0076】
実施例33
成 分 含有量(質量%)
(A)セチルアルコール 5.00
(B)ステアリルアルコール 4.00
(C)POE(30)ベヘニルエーテル 2.00
(C)POE(40)セチルエーテル 3.00
(D)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.00
(D)塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 1.00
(E)オレイン酸オレイル 3.00
(E)ミリスチン酸イソプロピル 2.00
シア脂 2.00
1,3-ブチレングリコール 3.00
エチレングリコール 8.00
グリセリン 1.00
パラオキシ安息香酸メチル 0.20
塩化O-[2-ヒドロキシ-3-
(トリメチルアンモニオ)プロピル]グァ-ガム 0.20
クエン酸 0.03
クエン酸ナトリウム 0.15
スクワラン 0.10
ホホバ油 0.10
マカデミアナッツ油 0.10
塩基性黄57 0.05
塩基性青99 0.25
精製水 57.32
合計 100.00
【0077】
実施例34
成 分 含有量(質量%)
(A)セチルアルコール 3.50
(B)ステアリルアルコール 1.50
(C)POE(30)ベヘニルエーテル 0.30
(C)POE(40)セチルエーテル 0.70
(D)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.80
(E)パルミチン酸エチルヘキシル 5.00
メチルポリシロキサン 5.00
1,3-ブチレングリコール 3.00
エチレングリコール 5.00
パラオキシ安息香酸メチル 0.20
クエン酸 0.02
クエン酸ナトリウム 0.15
ツバキ油 0.10
ホホバ油 0.10
ローヤルゼリーエキス 0.10
海藻エキス 0.10
ヒアルロン酸 0.10
塩基性紫2 0.03
塩基性青75 0.01
精製水 73.29
合計 100.00
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、低温時における経時安定性およびサイクル条件下における経時安定性が良好な染毛料組成物を得ることができる。