(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240617BHJP
【FI】
A63F7/02 316B
(21)【出願番号】P 2020102921
(22)【出願日】2020-06-15
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000241234
【氏名又は名称】豊丸産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠紀
【審査官】中村 俊太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-131347(JP,A)
【文献】特開2017-184830(JP,A)
【文献】特開2007-300989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が入賞困難または入賞不能な閉鎖状態、および前記閉鎖状態よりも遊技球が入賞容易な開放状態の間で相互に作動可能に構成された普通電動役物と、
前記閉鎖状態および前記開放状態の間で相互に作動可能に構成された非電動役物と、
前記普通電動役物へ入賞した遊技球が通過可能な通路である普電通路に設けられ、前記普電通路を通過する遊技球によって、前記非電動役物を前記閉鎖状態から前記開放状態に作動する開放手段と、
前記非電動役物へ入賞した遊技球が通過可能な通路である非電通路に設けられ、前記非電通路を通過する遊技球によって、前記非電動役物を前記開放状態から前記閉鎖状態に作動する閉鎖手段と、
前記非電動役物が前記閉鎖状態または前記開放状態のいずれにあるかを検出する検出手段と
を備え、
前記非電動役物は、
前記閉鎖状態において前記非電通路の入口である非電通路口を閉鎖し、前記開放状態において前記非電通路口を開放する開閉手段と、
前記開閉手段に設けられ、前記開閉手段による前記非電通路口の閉鎖時または開放時のいずれか一方において前記検出手段に検出される検出片と
を備え、
前記開閉手段は、遊技盤の盤面に対し直交する方向に延びる回動軸によって回動可能に軸支され、開放時には、前記開放手段によって、前記盤面を流下する遊技球を側面の一つである受球面にて受けて前記非電通路口に導く開位置に回動し、閉鎖時には、前記閉鎖手段によって、前記受球面とは異なる側面である弾球面にて遊技球を弾いて前記非電通路口に入り難くする閉位置に回動する羽根部材であり、
前記羽根部材は、前記回動軸の径方向において、前記回動軸側の端部である支持端から、反対側の端部である自由端へ向けて狭窄する形状を呈し、
前記回動軸は前記支持端に設けられ、
前記支持端は、前記弾球面側が前記回動軸を中心とする円弧状を呈し、
前記検出片は、前記自由端よりも前記支持端に近い位置に設けられ、前記羽根部材の前記盤面側の面において前記盤面へ向けて突出し、且つ前記回動軸を中心とする円弧状を呈し、前記回動軸の径方向外側の縁部が前記弾球面側の外縁に合わせて配置され、
前記検出手段は、前記開閉手段の後方に配置されたこと
を特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記羽根部材は、
閉鎖時においては、前記閉鎖手段によって前記自由端が前記支持端の上方にある前記閉位置に維持され、
開放時においては、前記開放手段によって前記閉鎖手段による前記閉位置への維持が解除され、自重により、前記自由端が前記弾球面側に回動し、前記自由端が前記支持端の側方斜め上方にある前記開位置に回動する構成であり、
前記羽根部材の重心は、前記回動軸に対し前記受球面側よりも前記弾球面側にあり、
前記検出片は、前記回動軸の径方向において、前記回動軸の位置に対し、前記受球面よりも前記弾球面に近い位置に設けられたこと
を特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非電動役物を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気的に制御されて作動する普通電動役物、特別電動役物とは異なり、電気的な制御によらずメカニカルに作動する非電動役物を備えた遊技機が知られている。特許文献1に記載の遊技機は、非電動役物が開放したことを検出するフォトセンサを設け、羽根部材が開放されているか否かをフォトセンサの検出結果に応じて電気的な制御で監視する。羽根部材は、上下方向に延び、先端部が案内路の開閉を行い、基端部がフォトセンサに検知される。回動軸は先端部と基端部の間に設けられる。先端部は、回動軸の上側で左右方向に回動して案内路の開閉動作を行い、基端部は、回動軸の下側で左右方向に回動してフォトセンサの発光部と受光部との間を通過する。特許文献1では、フォトセンサによって羽根部材の先端部と案内路との隙間が遊技球の直径の半分以上開いているか否かの判別を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、羽根部材の先端部と案内路との隙間が遊技球の直径の半分以上開いているか否かを検出するため、基端部においてフォトセンサが検出する位置は、回動軸から大きく離れた位置に設けられる。このため、基端部の動作範囲が大きく、羽根部材とフォトセンサの設置のため、盤面に大きな領域が必要であった。また、発光部と受光部を回動軸が延びる前後方向に配置する構成であるので、発光部および受光部のいずれか一方が羽根部材の前側に配置される。非電動役物は、遊技者に遊技球の転動を見せるため、遊技球の経路を透明な板等で作成する場合が多い。故に、羽根部材と、羽根部材の動作を検出するフォトセンサが共に遊技者から見える状態であり、見栄えがよくなかった。
【0005】
本発明は、開閉手段および検出手段の配置のための領域の省スペース化を図りつつ見栄えをよくすることができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、遊技球が入賞困難または入賞不能な閉鎖状態、および前記閉鎖状態よりも遊技球が入賞容易な開放状態の間で相互に作動可能に構成された普通電動役物と、前記閉鎖状態および前記開放状態の間で相互に作動可能に構成された非電動役物と、前記普通電動役物へ入賞した遊技球が通過可能な通路である普電通路に設けられ、前記普電通路を通過する遊技球によって、前記非電動役物を前記閉鎖状態から前記開放状態に作動する開放手段と、前記非電動役物へ入賞した遊技球が通過可能な通路である非電通路に設けられ、前記非電通路を通過する遊技球によって、前記非電動役物を前記開放状態から前記閉鎖状態に作動する閉鎖手段と、前記非電動役物が前記閉鎖状態または前記開放状態のいずれにあるかを検出する検出手段とを備え、前記非電動役物は、前記閉鎖状態において前記非電通路の入口である非電通路口を閉鎖し、前記開放状態において前記非電通路口を開放する開閉手段と、前記開閉手段に設けられ、前記開閉手段による前記非電通路口の閉鎖時または開放時のいずれか一方において前記検出手段に検出される検出片とを備え、前記開閉手段は、遊技盤の盤面に対し直交する方向に延びる回動軸によって回動可能に軸支され、開放時には、前記開放手段によって、前記盤面を流下する遊技球を側面の一つである受球面にて受けて前記非電通路口に導く開位置に回動し、閉鎖時には、前記閉鎖手段によって、前記受球面とは異なる側面である弾球面にて遊技球を弾いて前記非電通路口に入り難くする閉位置に回動する羽根部材であり、前記羽根部材は、前記回動軸の径方向において、前記回動軸側の端部である支持端から、反対側の端部である自由端へ向けて狭窄する形状を呈し、前記回動軸は前記支持端に設けられ、前記支持端は、前記弾球面側が前記回動軸を中心とする円弧状を呈し、前記検出片は、前記自由端よりも前記支持端に近い位置に設けられ、前記羽根部材の前記盤面側の面において前記盤面へ向けて突出し、且つ前記回動軸を中心とする円弧状を呈し、前記回動軸の径方向外側の縁部が前記弾球面側の外縁に合わせて配置され、前記検出手段は、前記開閉手段の後方に配置されたことを特徴とする。
【0007】
回動軸が支持端に設けられているので、開閉部材の設置において、回動軸に対して自由端と反対側に大きなスペースを必要とせず、省スペース化を図ることができる。また、羽根部材の支持端側は自由端側よりも大きい。よって検出片は、羽根部材の盤面側の面(裏面)にて羽根部材に隠れ、遊技者側から見えにくい。また、羽根部材が回動するとき、検出片は回動軸を中心とする円弧状に移動するが、その形状が、正面視で回動軸を中心とする円弧状に形成され、回動軸の径方向外側の縁部が弾球面の外縁に合わせて配置されるので、遊技者に対して目立ちにくい。故に遊技機は、美観を確保できる。また、検出片は支持端に近いので、自由端側に設けられた場合と比べ、回動半径が小さい。すなわち、羽根部材の開閉動作に伴う検出片の移動範囲は小さい。よって、羽根部材の開閉状態を検出するための構成の省スペース化を図ることができる。
【0008】
本態様において、前記羽根部材は、閉鎖時においては、前記閉鎖手段によって前記自由端が前記支持端の上方にある前記閉位置に維持され、開放時においては、前記開放手段によって前記閉鎖手段による前記閉位置への維持が解除され、自重により、前記自由端が前記弾球面側に回動し、前記自由端が前記支持端の側方斜め上方にある前記開位置に回動する構成であり、前記羽根部材の重心は、前記回動軸に対し前記受球面側よりも前記弾球面側にあり、前記検出片は、前記回動軸の径方向において、前記回動軸の位置に対し、前記受球面よりも前記弾球面に近い位置に設けられてもよい。
【0009】
羽根部材は、開放時に自重によって閉位置から開位置に回動する。このとき、自由端は弾球面側に回動する。検出片は、回動軸の弾球面側に位置する。よって、羽根部材が自重により閉位置から開位置に回動する時、回転モーメントに検出片の重みが加えられるので、羽根部材は、動作の確実性が得られ、且つより早く、閉位置から開位置に回動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】入賞口ユニット100の斜め前方から見た斜視図である。
【
図3】入賞口ユニット100を斜め右方から見た斜視図である。
【
図5】開閉部材170が閉鎖状態の場合の羽根作動ユニット150の斜視図である。
【
図6】非電作動センサ80が開閉部材170の検出片178を検出する動作の説明図である。
【
図7】開閉部材170が閉鎖状態から開放状態に移行する場合の羽根作動ユニット150の斜視図である。
【
図8】開閉部材170が開放状態で遊技球が未入賞の場合の羽根作動ユニット150の斜視図である。
【
図9】開閉部材170が開放状態で遊技球が1球入賞した場合の羽根作動ユニット150の斜視図である。
【
図10】遊技球が2球入賞して開閉部材170が開放状態から閉鎖状態に移行する場合の羽根作動ユニット150の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る遊技機の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載される装置の構成は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。なお、以下の説明において、パチンコ機1の上下方向、左右方向、および表裏方向(前後方向)については、特に断りがない場合、遊技盤2の盤面の向きを基準とする。すなわち、ホールに設置されたパチンコ機1で遊技を行う遊技者からパチンコ機1を見た向きが基準となる。以下では便宜上、
図1紙面の表裏方向をパチンコ機1の前後方向として説明を行う。また、パチンコ機1に使用される装置や部品についても、パチンコ機1に組付けられた場合の向きを基準に、上下方向、左右方向、前後方向を規定するものとする。
【0012】
パチンコ機1は、複数の普通電動役物に加えて第二種非電動役物を備えた、いわゆる一般電役タイプの遊技仕様の遊技機である。本願が開示する技術は、旧1種タイプ、旧2種タイプ、1種2種混合タイプ、普通機タイプ等、様々な遊技仕様の遊技機に適用できる。
【0013】
図1を参照し、パチンコ機1の機械的構成について説明する。パチンコ機1は、遊技盤2を着脱可能な本体枠10を備える。遊技盤2は正面視略正方形の板状である。本体枠10に装着された遊技盤2は、パチンコ機1の上側部分に配置される。遊技盤2は、本体枠10と、本体枠10の前側に装着された前面枠10Aの間に保持される。前面枠10Aは透明なガラス板を保持し、遊技盤2の前面を保護する。前面枠10Aには、ガラス板を取り囲むように電飾ランプ35が設けられる。電飾ランプ35は、遊技の進行等に応じて点灯または点滅する。
【0014】
パチンコ機1の下側部分には上皿5と下皿6が設けられる。上皿5は遊技盤2の下部に設けられ、発射装置(図示略)に金属製の遊技球を供給し、且つ賞品球を受ける。上皿5の上部中央には、遊技者によって操作される演出ボタン9が設けられる。演出ボタン9は、例えば報知演出において、演出内容の分岐を指示するボタンとして用いられる。下皿6は上皿5の直下に設けられ、上皿5から溢れたり排出されたりする賞品球を受ける。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられる。発射ハンドル7は、遊技者による回転操作を受け付ける。遊技者が発射ハンドル7を操作すると、発射装置は、発射ハンドル7の回転角度に応じた強度で遊技球を発射する。また、前面枠10A上部の左右両角部には、スピーカ48が設けられる。
【0015】
遊技盤2の前面には、ガイドレール3Aで囲まれた略円形の遊技領域4が形成される。ガイドレール3Aは、遊技領域4の左側から上側にかけて円弧状に形成される。また、遊技領域4の左側で、ガイドレール3Aの内側には、円弧状のガイドレール3Bが形成される。ガイドレール3Bは、ガイドレール3Aとの間に遊技球を案内する通路を形成する。発射装置によって発射された遊技球は、ガイドレール3Aとガイドレール3Bの間を通って遊技領域4へ導かれ、遊技領域4内を流下する。遊技領域4の略中央には、各種演出を実行するセンター飾り8が設けられる。遊技領域4は、左領域4Aと右領域4Bとを含む。左領域4Aは、センター飾り8の左側を通り、アウト口19へ向けて遊技球が流下する領域である。右領域4Bは、センター飾り8の右側を通り、アウト口19へ向けて遊技球が流下する領域である。所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球はガイドレール3A,3B間を通過し、ガイドレール3Bが途切れる遊技領域4の左上部分から遊技領域4内に導かれて、左領域4Aを流下する。遊技球が左領域4Aを流下するように発射ハンドル7の回転角度を調整して遊技球を発射することを「左打ち」という。所定の強度以上の発射強度で発射された遊技球は、ガイドレール3A,3B間を通過した後もガイドレール3Aに沿って進み、遊技領域4の右上部分から遊技領域4内に導かれて、右領域4Bを流下する。遊技球が右領域4Bを流下するように発射ハンドル7の回転角度を調整して遊技球を発射することを「右打ち」という。
【0016】
センター飾り8は、表示画面28、ワープ通路21、クルーン22、第四図柄作動口18、可動体(図示略)を主に備える。表示画面28はセンター飾り8の略中央に配置される。可動体は、表示画面28の周囲に設けられる。表示画面28は、例えばLCD等によって構成され、動画、メッセージ等の様々な映像を表示する。パチンコ機1では、稼働中に様々な演出が行われる。様々な演出は、例えば、普通当り判定の結果が報知される「報知演出」、普通当り遊技中に行われる「当り演出」、遊技者による遊技が行われていない客待ち中に行われる「デモ演出」等である。これら様々な演出を総じて「遊技演出」という。パチンコ機1は、遊技演出において表示画面28に様々な映像を表示し、映像にあわせて可動体の可動部を動作させる演出等を行う。報知演出は、演出用の図柄である演出図柄(図示略)を変動させた後に、普通当り判定の結果を示す演出図柄の組合せを確定表示させることで、普通当り判定の結果を遊技者に報知する演出である。本実施形態では、主に、後述する第一普通当り判定の結果および第四普通当り判定の結果が、報知演出によって報知される。
【0017】
ワープ通路21は、センター飾り8において、表示画面28の左側下方に設けられる。ワープ通路21は、左領域4Aを流下する遊技球の一部を、センター飾り8の外側から内側へ案内する通路である。ワープ通路21はクルーン22に接続する。クルーン22は平面視円形状で、縁部が立った皿状の遊技部材である。クルーン22は、表示画面28の下方で左右方向の略中央に設けられる。ワープ通路21を案内された遊技球はクルーン22の内部へ誘導され、クルーン22の縁部に沿ってクルーン22内を旋回する。
【0018】
クルーン22の底部には、第四図柄作動口18に接続する入賞穴(図示略)と、2つの排出穴(図示略)が形成される。2つの排出穴はクルーン22底部の前側で左右に並んで開口し、進入する遊技球を表示画面28下方の遊技領域4に排出する。入賞穴はクルーン22底部の後側にて開口し、第四図柄作動口18に接続する。第四図柄作動口18は、第四普通図柄の作動口である。
【0019】
センター飾り8の略中央下方には、遊技球が通過可能な第一図柄作動ゲート11が設けられる。第一図柄作動ゲート11は、第一普通図柄の作動ゲートである。センター飾り8の右方には、複数の入賞口が一体に設けられたユニット部品である入賞口ユニット100が設けられている。入賞口ユニット100は、開閉部材16Aを備えた第四電チュー16、開閉部材170を備えた非電動役物17、および第四図柄作動ゲート12を備える。入賞口ユニット100の詳細な構造については後述する。
【0020】
入賞口ユニット100の下方には、第一電チュー13が設けられる。第一電チュー13は、第四電チュー16と同様に、第二普通図柄の作動口である。第一電チュー13の左下方には、第二電チュー14が設けられる。第二電チュー14は、第三普通図柄の作動口である。第二電チュー14の左下方には、第三電チュー15が設けられる。第三電チュー15は、普通図柄の作動口として機能しない。第一電チュー13、第二電チュー14、第三電チュー15のそれぞれは、第四電チュー16と同様に、開閉部材13A,14A,15Aを備える。各々の開閉部材13A,14A,15Aが開放された場合にのみ、遊技球は、第一電チュー13、第二電チュー14、第三電チュー15のそれぞれに入賞できる。以下、第一電チュー13、第二電チュー14、第三電チュー15および第四電チュー16を総称する場合、単に、電チューという。各々の電チューの開閉部材13A,14A,15A,16Aは、ソレノイドによって開閉される。電チューは、それぞれの開閉部材13A,14A,15A,16Aが閉鎖された閉鎖状態にも遊技球の入賞が可能であって、開閉部材13A,14A,15A,16Aが開放されることで、閉鎖状態よりも遊技球が入賞容易となる構成であってもよい。
【0021】
遊技領域4には、上記以外に、その他の入賞口、アウト口19、各種の電飾部材、風車、遊技くぎ等が設けられる。アウト口19は遊技盤2の下部に設けられる。遊技領域4を流下する遊技球のうち、電チュー、非電動役物およびその他の入賞口のいずれにも入賞せず、遊技領域4の下部まで流下した遊技球は、アウト口19を通過した後、遊技領域4の外部へ排出される。
【0022】
なお、遊技領域4において各遊技部材が上記のように配設されるため、左打ちされた遊技球は、右打ちされた遊技球よりも、第一図柄作動ゲート11を通過しやすい。また、右打ちされた遊技球は、左打ちされた遊技球よりも、電チューおよび非電動役物に入賞しやすい。左打ちされた遊技球が電チューおよび非電動役物に入賞することは困難である。したがって、遊技者は、後述する大当り遊技中には右打ちによって遊技を進め、それ以外の場合は左打ちによって遊技を進める。
【0023】
遊技盤2の左下部には、図柄表示部24が設けられる。図柄表示部24は、第一普通図柄表示部、第二普通図柄表示部、第三普通図柄表示部、第四普通図柄表示部、第一普通図柄記憶数表示LED、第二普通図柄記憶数表示LED、第三普通図柄記憶数表示LEDおよび第四普通図柄記憶数表示LEDを備える。第一~第四普通図柄表示部は、第一~第四普通当り判定の結果を示す第一~第四普通図柄を、LEDの点灯および消灯によって表示する。第一~第四普通図柄記憶数表示LEDは、第一~第四普通当り判定の結果がまだ表示されていない遊技球である保留球の個数(いわゆる「保留球数」)を表示する。第一普通図柄に係る保留球数を第一保留球数という。第二普通図柄に係る保留球数を第二保留球数という。第三普通図柄に係る保留球数を第三保留球数という。第四普通図柄に係る保留球数を第四保留球数という。以下では、第一~第四普通図柄を総称する場合、単に普通図柄という。
【0024】
次に、
図2、
図3を参照し、入賞口ユニット100の構造について説明する。入賞口ユニット100は、右打ちされて右領域4Bを流下する遊技球が流通する球流通路190を有し、球流通路190に沿って第四電チュー16、非電動役物17および第四図柄作動ゲート12を配置した役物ユニットである。入賞口ユニット100は、背板110、シャッター開閉ユニット140、開閉部材170、前板120、下板130、羽根作動ユニット150、上カバー160、下カバー165、第四電チュースイッチ78、第四ゲートスイッチ68を備える。入賞口ユニット100は、パチンコ機1の遊技盤2(盤面(前面)側)に背板110が固定されて、パチンコ機1に組付けられる。
【0025】
背板110は上下に延びる板状体である。遊技球は、背板110と、背板110の前面側に固定される前板120との間に形成される球流通路190を通過可能である。背板110の上部には、右下がりに左右に延びる開口部111が開口する。背板110の背面上部には、シャッター開閉ユニット140が固定される。シャッター開閉ユニット140は、前後方向に出退する開閉部材170と、第四電チューソレノイド(図示略)を備える。開閉部材170は開口部111内に配置される。第四電チューソレノイドの非駆動時、開閉部材170は、背板110の前面において、開口部111から前方に突出する。第四電チューソレノイドの駆動時、開閉部材170は後方へ移動し、背板110の前面において、開口部111よりも前方へは突出しない。
【0026】
開口部111が形成された位置において、背板110と前板120の間の領域は第四電チュー16の入賞口16Bであり、開閉部材16Aによって開閉される。背板110は、開口部111の下方に普電通路口112を開口する。普電通路口112は、第四電チュー16に入賞した遊技球を、背板110の背面側に設けられる普電通路180に案内する開口部である。普電通路口112の後ろには第四電チュースイッチ78が設けられ、第四電チュー16へ入賞し、普電通路口112を通過する遊技球を検出する。背板110の背面において、普電通路口112の下には、後方へ向けて板状に突出する後方案内路113が設けられる。後方案内路113は普電通路180の一部を構成し、普電通路口112から普電通路180に進入する遊技球を、背板110の後方へ向けて案内する。
【0027】
背板110は、普電通路口112の下方に非電通路口114を開口する。非電通路口114は、非電動役物17に入賞した遊技球を、背板110の背面側に設けられる非電通路185に案内する開口部である。背板110の背面において、非電通路口114の下には、後方へ向けて溝状に突出する案内溝115が設けられる。案内溝115は、非電通路185の一部を構成し、非電通路口114から非電通路185に進入する遊技球を、背板110の後方へ向けて案内する。非電スイッチ79(
図3参照)は、遊技盤2の裏側で、案内溝115の後方且つ下方に設けられ、非電通路口114に入球し、非電通路185を流通した遊技球を検出する。非電通路口114の下方には、第四ゲートスイッチ68を保持する保持部118が形成される。第四ゲートスイッチ68は、背板110の前面に遊技球を検出する検出穴を配置した状態で保持部118に保持され、第四図柄作動ゲート12として機能する。
【0028】
背板110の前面で、非電通路口114の左方から上方の位置には、第四電チュー16と非電動役物17とを区切る壁部116が設けられる。非電通路口114の右方から下方の位置には、非電動役物17と第四図柄作動ゲート12とを区切る壁部117が設けられる。壁部116,117は、右側上部を開けて非電通路口114の周囲を囲み、右側上部に非電動役物17の入賞口17Bを形成する。前板120は、背板110との間を流下する遊技球を遊技者が視認できるように、透明な部材により形成されており、背板110の前面側に固定され、背板110の上部から壁部117の形成位置にかけて上下に延びる。
【0029】
開口部111の上方には、左下方へ傾斜して延びる壁部121が設けられる。壁部121の左側には、壁部121の上方から左端下方にかけて、C字状に湾曲して延びる壁部122が設けられる。球流通路190において、壁部122と壁部121は、壁部121が受けて左下方に案内する遊技球の進行方向を壁部122によって右下方に反転させ、入賞口16Bへ案内する。壁部122の下端は開口部111の左に位置する。入賞口ユニット100に進入する遊技球は、壁部121に衝突することにより、落下の勢いが弱められてから、球流通路190を流通するので、1球ずつ順に、球流通路190を通過できる。
【0030】
壁部121の下には壁部123が設けられる。閉鎖状態の開閉部材16Aは、壁部123との間に球流通路190を形成し、上面を遊技球が転がることで第四電チュー16への遊技球の入賞を阻止しつつ、第四電チュー16の右方へ遊技球を案内する。壁部124は、開口部111の左にある壁部122の下端から下方に延び、普電通路口112の左側、下側および右側の周囲を取り囲む。壁部125は、壁部124の普電通路口112右側の端部から、右上方へ向けて傾斜して延びる。壁部126は、壁部125の右端から上方へ向けて延び、上端が開口部111右下に位置する。閉鎖状態の開閉部材16Aと壁部126の上端との間隙の大きさは、遊技球の直径より小さい。壁部124~126は、開口部111の位置を開放する凹部状を呈し、普電通路口112を凹部内の左下に配置する普電収容部16Cを形成する。開口部111の位置は第四電チュー16の入賞口16Bであり、普電収容部16Cは、開閉部材16Aが開放状態のとき、球流通路190を流通する遊技球を受け入れ、普電通路口112に導く。
【0031】
壁部126の右方には、壁部126との間に間隙を有しつつ、下方へ向けて壁部126と並行して延びる壁部127が設けられる。壁部126と壁部127は球流通路190を形成し、第四電チュー16に入賞しなかった遊技球が通過する。壁部126と壁部127は、入賞口17Bの右上方に遊技球を案内する。遊技盤2に設けられる遊技くぎによって、遊技球は、非電動役物17の入賞口17B近傍を通る流路に案内される。開閉部材170が開放状態のとき、開閉部材170は、壁部126と壁部127の間を通過した遊技球を受け、壁部116,117内へ転がし、非電通路口114に案内する。開閉部材170が閉鎖状態のとき、開閉部材170は、壁部126と壁部127の間を通過した遊技球を弾き、第四図柄作動ゲート12へ向けて、非電動役物17の左側から下方へ流下させる。下板130は第四図柄作動ゲート12の前方を覆う透明な板状体である。第四図柄作動ゲート12の右上方の遊技盤2に遊技くぎが設けられ、球流通路190を通り第四図柄作動ゲート12の右上方に到達した遊技球が第四図柄作動ゲート12を通過できる流路と通過できない流路とに振り分ける。
【0032】
背板110の背面には上カバー160と下カバー165が固定される。下カバー165は背板110の背面にて羽根作動ユニット150を保持し、非電通路口114の後方に固定される。上カバー160は、下カバー165の直上に設けられ、後方案内路113の周囲を覆い、後方案内路113と共に普電通路180を形成する。下カバー165の上部は開口し、普電通路180は下カバー165内の後部に接続する。羽根作動ユニット150の作動レバー220(後述)は、下カバー165内の後部に配置される。普電通路180を流通する遊技球は、後方案内路113の後端から上カバー160によって下カバー165内後部に案内され、作動レバー220に接触する。作動レバー220は、遊技球を、下カバー165内から右方に排出する。非電通路185の案内溝115は、下カバー165の直下に配置される。非電スイッチ79は下カバー165の下方に設けられ、案内溝115の後端から下方に落下する遊技球が検出穴を通過する。
【0033】
図4~
図6を参照し、羽根作動ユニット150の構造について説明する。羽根作動ユニット150は、電気的動力を用いることなく機械的に、非電動役物17の開閉部材170を閉鎖状態と開放状態との間で切り替える。羽根作動ユニット150は、錘体210、作動レバー220、ストッパ230、回転レバー240を備え、下カバー165内に組付けられる。回転レバー240は、軸部241、閉鎖板242、第一突起部243、第二突起部244(
図9参照)、当接部246(
図7参照)を備える。軸部241は左右に延び、下カバー165に支持されて、非電通路口114の上下方向略中央に配置される。第一突起部243と第二突起部244は、それぞれ軸部241の略中央から径方向外向きに突出する。閉鎖板242は、第一突起部243,第二突起部244よりも軸部241の端部寄りの位置から径方向外向きに突出し、左右方向に直交する板面を有する。閉鎖板242は、第一突起部243および第二突起部244の左右方向両側に一対に設けられる。閉鎖板242、第一突起部243、第二突起部244は、軸部241の周方向において、それぞれ異なる方向に突出する。閉鎖板242の突出先端部分は屈曲し、非電動役物17の開閉部材170の閉鎖時に、開閉部材170の回動軸175近傍に形成される突起部177(
図4参照)に掛かり、開閉部材170を回動する。当接部246は、左右方向において左側の閉鎖板242と第一突起部243,第二突起部244との間に設けられ、周方向では第一突起部243の突出位置において、軸部241から径方向外向きに突出する。
【0034】
作動レバー220は、軸部221、レバー部222、錘部223、押上部224,225(
図7参照)を備える。軸部221は左右に延び、回転レバー240の軸部241の後方にて下カバー165に支持される。レバー部222は軸部221の後方に延び、屈曲して右方に延びる。レバー部222の上方には、普電通路口112から後方に突出する後方案内路113の後端が位置する。レバー部222の右方に延びる部分は下カバー165の右側面に形成される開口部166(
図3参照)から右方に突出する。普電通路180を通り、後方案内路113の後端から落下する遊技球は、下カバー165上部から後部内に進入し、落下の勢いと自重でレバー部222を確実に下方に押し下げつつ、レバー部222に案内されて、開口部166から下カバー165の外に排出される。
【0035】
錘部223は、軸部221の下方に延び、軸部221の下前方に重心を有する。遊技球がレバー部222を下方に押し下げた場合、錘部223がレバー部222の位置を軸部221の後方に復帰させる。押上部224は、軸部221の前方で錘部223の左側部に設けられ、前上方へ棒状に突出する。押上部224は、レバー部222が遊技球により下方に押し下げられた場合に作動レバー220の回動により上方へ移動し、錘体210の後部を押し上げる。押上部225は、押上部224よりも前下方で錘部223の左側部に設けられ、押上部224同様に前上方へ棒状に突出する。押上部225は、レバー部222が遊技球により下方に押し下げられた場合に作動レバー220の回動により上方へ移動し、回転レバー240の当接部246を上方に移動させ、回転レバー240を左側面視時計回り方向に回転させる。なお、当接部246は、開閉部材170が閉鎖状態である場合に軸部241の後方に位置する。よって押上部225は、上方への移動時において、開閉部材170が閉鎖状態の場合に当接部246に当接でき、開放状態の場合には、回転レバー240に接触しない。
【0036】
錘体210は板状を呈し、前端部に左右に突出する軸部211を備える。軸部211は下カバー165に支持され、錘体210の後部を上下に揺動可能にする。錘体210の下部には下方へ突出する突出部212が設けられる。
【0037】
回動軸175はパチンコ機1の遊技盤2の盤面に対して直交する前後方向に延び、非電通路口114の右方にて背板110の前面に設けられる。開閉部材170は、前後方向に延びる回動軸175によって軸支される。
図6に示すように、開閉部材170は、閉鎖時に入賞口17Bを塞ぎつつ、回動軸175の右側上方から流下する遊技球を弾き、開放時には、流下する遊技球を受けて入賞口17Bに導く、いわゆる羽根部材である。開閉部材170は、正面視、回動軸175の径方向において、回動軸175側の端部である支持端171から、反対側の端部である自由端172へ向けて狭窄する形状を呈する。自由端172と支持端171との間の部分は羽根部分176であり、前後方向に肉厚に形成される。開閉部材170が閉鎖状態の時、羽根部分176と自由端172は支持端171の上方に位置し(
図6(A)参照)、入賞口17Bを塞ぐ。開閉部材170が閉鎖状態において、羽根部分176の右側面は弾球面173であり、正面視で、自由端172から支持端171へ向けて右斜め下方へ緩やかに湾曲しながら延びる円弧状を呈する。支持端171の弾球面173側の面は円弧状の弾球面173に接続し、弾球面173からシームレスに連続して回動軸175を中心とする円弧状を呈する。弾球面173は、開閉部材170が閉鎖状態の時に、回動軸175の右側上方から流下する遊技球を弾き、右領域4Bを流下させる。
【0038】
開閉部材170が閉鎖状態において、羽根部分176の左側面は受球面174であり、正面視で、自由端172から支持端171へ向けて下方へ若干延びたところで屈曲し、左斜め下方へ向けて略直線状に延びる。受球面174は、開閉部材170が閉鎖状態において、回動軸175の右方まで延びる。支持端171の受球面174側の部分は、弾球面173側よりも小径に形成される。故に、開閉部材170は、自由端172が回動軸175の直上に位置する場合に、受球面174側よりも弾球面173側に重心を有する。開閉部材170が開放状態の時、羽根部分176と自由端172は支持端171の右斜め上方に位置し(
図6(B)参照)、入賞口17Bを開放する。受球面174は、開閉部材170が開放状態の時、左下方へ緩やかに傾斜し、回動軸175の右側上方から流下する遊技球を受け、遊技球を入賞口17Bに導く。
【0039】
上記したように、非電動役物17の開閉部材170は、回動軸175近傍に突起部177を有する。突起部177は、回動軸175に対して羽根部分176とは反対側にあり、開閉部材170が閉鎖状態のとき、回動軸175の左下方にある。このとき、回転レバー240の閉鎖板242は突起部177の左側方に位置し、右面が突起部177に当接する。故に開閉部材170は正面視時計回り方向の回転が規制され、閉鎖状態を維持する。作動レバー220によって回転レバー240が回転したとき、閉鎖板242は突起部177の左側方にない。故に開閉部材170は正面視時計回り方向の回転は規制されない。開閉部材170は、閉鎖状態となって羽根部分176が回動軸175の上方にあるとき、回動軸175の右上部分に重心を有する。故に、突起部177の規制が解除されると、開閉部材170は、自重により、回動軸175を中心に正面視時計回り方向に回動する。突起部177は回動軸175の左方に移動し、羽根部分176は回動軸175の右上側に移動する。これにより、開閉部材170は入賞口17Bを開放し、開放状態となる。
【0040】
開閉部材170は、支持端171の後面側に検出片178を備える。検出片178は開閉部材170に固定され、後方(すなわち、入賞口ユニット100がパチンコ機1に組付けられた場合の盤面側)へ向けて突出し、背板110に形成された開口部119を介して背板110の裏面に突出する。検出片178は、正面視で回動軸175を中心とする円弧状を呈する。検出片178は、支持端171の側面と弾球面173との接続部分よりも弾球面173側に位置し、正面視で回動軸175の径方向外側の縁部が弾球面173の外縁に合わせて配置されており、弾球面173の外縁に紛れて目立ちにくい。検出片178は、開閉部材170の開閉動作に応じて、回動軸175を中心とする円弧状に往復移動する。開口部119は、検出片178の移動範囲に合わせて円弧状に形成される。検出片178は、自由端172が回動軸175の直上に位置する場合に、回動軸175の左方、すなわち弾球面173側に位置する。故に検出片178は、受球面174側よりも、より弾球面173側に、開閉部材170の重心位置を移動させる。
【0041】
背板110の背面側には、非電作動センサ80が設けられる。非電作動センサ80は、いわゆるフォトセンサであり、開閉部材170が閉鎖状態のときの検出片178の位置に、検出位置81を合わせて配置される(
図6(A)参照)。開閉部材170が閉鎖状態にある場合、非電作動センサ80は検出位置81において検出片178を検出し、「ON」信号を出力する。開閉部材170が開放状態にある場合(
図6(B)参照)、非電作動センサ80は検出位置81において検出片178を検出できず、「OFF」になる。
【0042】
次に、
図5~
図10を参照し、非電動役物17の羽根作動ユニット150の動作について説明する。
図5に示すように、羽根作動ユニット150の回転レバー240は、開閉部材170の閉鎖状態において、閉鎖板242を軸部241の前方に配置し、非電通路口114よりも前方に突出する。開閉部材170の突起部177は閉鎖板242の右面に当接し、これにより、開閉部材170の羽根部分176が回動軸175よりも上側に配置され、非電動役物17が閉鎖状態に維持される。
図6(A)に示すように、開閉部材170が閉鎖状態にある場合、非電作動センサ80の検出位置81に検出片178が配置されるので、非電作動センサ80が「ON」信号を出力する。
【0043】
図7に示すように、遊技球が第四電チュー16に入賞し、普電通路口112に進入すると、遊技球は第四電チュースイッチ78を通過した後、後方案内路113に案内されて、上カバー160内から下カバー165内の後部へ向けて下方に落下する。遊技球は作動レバー220のレバー部222を下方に押し下げる。作動レバー220の押上部224は錘体210の後部を押し上げ、押上部225は回転レバー240の当接部246を押し上げて、回転レバー240を左側面視時計回り方向に回転させる。回転レバー240の閉鎖板242は回動し、開閉部材170の突起部177の右方から下方に移動する。突起部177が当接するものがなくなり、開閉部材170は、自重により、正面視時計回り方向に回動し、開放状態になる。開閉部材170の重心位置は、回動軸175を基準に、受球面174側よりも、弾球面173側にあり、さらに、検出片178によって、より弾球面173側に位置する。故に、開閉部材170が自重により閉位置から開位置に回動する時、開閉部材170には、回転モーメントに検出片178の重みが加えられるので、開閉部材170は、検出片178がない場合と比べ、より確実に、且つより早く、回動することができる。
図6(B)に示すように、開閉部材170が閉鎖状態から回動して開放状態にある場合、検出片178は非電作動センサ80の検出位置81から移動し、検出されなくなるので、非電作動センサ80が「OFF」になる。
【0044】
図8に示すように、作動レバー220を押し下げた遊技球は、下カバー165右側面の開口部166から下カバー165の外に排出される。作動レバー220は錘部223によってレバー部222が軸部221の後方に位置する形態に戻る。押上部224,225は下方に移動し、錘体210の後部が下方に移動して元の状態に戻り、その過程において、突出部212が回転レバー240の第一突起部243を前方へ押す。これにより、回転レバー240の第一突起部243が非電通路口114からまっすぐ前方に突出する。
【0045】
開放状態となった非電動役物17に遊技球が入賞し、非電通路口114に進入するとき、遊技球は回転レバー240の第一突起部243に当接し、第一突起部243を下方に押し下げる。遊技球は案内溝115内に入り、軸部241の下方に回動した第一突起部243をさらに後方に押しながら、案内溝115により後方に案内され、第四ゲートスイッチ68を通過する。回転レバー240は左側面視時計回りに回転し、第二突起部244が非電通路口114の前方に突出する。
【0046】
図9に示すように、第二突起部244が非電通路口114の前方に突出した状態においても、回転レバー240の閉鎖板242は、開閉部材170の突起部177には当接しない。よって非電動役物17は、開放状態に維持される。非電動役物17に開放後二つ目の遊技球が入賞し、非電通路口114に進入するとき、遊技球は回転レバー240の第二突起部244に当接し、第二突起部244を下方に押し下げる。遊技球は案内溝115内に入り、軸部241の下方に回動した第二突起部244をさらに後方に押しながら、案内溝115により後方に案内され、第四ゲートスイッチ68を通過する。回転レバー240は左側面視時計回りに回転し、開閉部材170が閉鎖状態に移行する。
【0047】
図10に示すように、開閉部材170が開放状態から閉鎖状態に移行する過程において、回転レバー240の閉鎖板242は、軸部241の後上方から前方に回転する。このとき、閉鎖板242の先端部分が開閉部材170の突起部177に掛かり、押し下げる。開閉部材170は正面視反時計回りに回動し、羽根部分176が回動軸175よりも上側に配置されて閉鎖状態となる。突起部177は、回転レバー240の閉鎖板242の右側面に当接した状態に維持され、これにより、非電動役物17が閉鎖状態に維持される。
図6(A)に示すように、非電作動センサ80の検出位置81に検出片178が配置されるので、非電作動センサ80は「ON」信号を出力する。
【0048】
以上説明したように、作動レバー220による開閉部材170の開放状態への作動が行われておらず、例えば誤作動あるいは不正な操作等により、開閉部材170のみが開放状態になった場合、作動レバー220や回転レバー240に検出片178が設けられている場合には、その状態を検出することができない。検出片178は、作動レバー220でも回転レバー240でもなく、開閉部材170に設けられている。故にパチンコ機1は、開閉部材170が開放状態または閉鎖状態のいずれにあるかを確実に検出することができる。
【0049】
開閉部材170の支持端171側は自由端172側よりも大きい。よって検出片178は、開閉部材170の盤面側の面(裏面)にて開閉部材170に隠れ、遊技者側から見えにくい。また、開閉部材170が回動するとき、検出片178は回動軸を中心とする円弧状に移動するが、その形状が、正面視で回動軸を中心とする円弧状に形成され、弾球面173の外縁に合わせて配置されるので、遊技者に対して目立ちにくい。故にパチンコ機1は、美観を確保できる。また、検出片178は支持端171に近いので、自由端172側に設けられた場合と比べ、回動半径が小さい。すなわち、開閉部材170の開閉動作に伴う検出片178の移動範囲は小さい。よって、開閉部材170の開閉状態を検出するための構成の省スペース化を図ることができる。
【0050】
開閉部材170は、開放時に自重によって閉位置から開位置に回動する。このとき、自由端172は弾球面173側に回動する。検出片178は、回動軸の弾球面173側に位置する。よって、開閉部材170が自重により閉位置から開位置に回動する時、回転モーメントに検出片178の重みが加えられるので、開閉部材170は、動作の確実性が得られ、且つより早く、閉位置から開位置に回動することができる。
【0051】
上記実施形態において、第四電チュー16が本発明の「普通電動役物」に相当する。作動レバー220が本発明の「開放手段」に相当する。回転レバー240が本発明の「閉鎖手段」に相当する。非電作動センサ80が本発明の「検出手段」に相当する。開閉部材170が本発明の「開閉手段」に相当する。パチンコ機1が本発明の「遊技機」に相当する。
【0052】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、各種変形が可能である。例えば本発明は、パチンコ機のみならず、スロット機、パチコン機、アレンジボール機などにも適用できる。入賞口ユニット100は、第四電チュー16、非電動役物17、第四図柄作動ゲート12を備えたが、第四図柄作動ゲート12はなくてもよい。第四図柄作動ゲート12は通過口でなく入賞口であってもよい。
【0053】
検出片178は支持端171の後面側に設けたが、羽根部分176の後面側に設けてもよく、自由端172よりも支持端171に近い位置に設けることが、開閉部材170の開閉動作に伴う移動範囲の拡大抑制において好ましい。検出片178は、正面視で、回動軸175の径方向外側の縁部が開閉部材170の弾球面173に合わせて配置され、一部が弾球面173よりも回動軸175の径方向外側に突出するが、検出片178の全体が弾球面173よりも回動軸175の径方向内側に配置されてもよい。検出片178は、支持端171の側面と弾球面173との接続部分よりも弾球面173側に位置するが、支持端171の側面に位置してもよい。検出片178は、開閉部材170と一体に設けてもよいし、別体に形成し、開閉部材170に固定してもよい。
【0054】
特許請求の範囲、明細書および図面に記載される全ての要素(例えば、表示装置、普通電動役物、図柄作動口等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、各要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「表示装置」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、特許請求の範囲等において特定していない限り、いずれも当業者であれば極めて容易に考えられる事項であるため、あえて明細書等において全パターンを記載しなくてもいずれのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、本発明に係る権利範囲に含まれることは勿論である。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を有する遊技機を、本実施形態に記載がなされていないことを理由に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施形態から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。
【符号の説明】
【0055】
1 パチンコ機
16 第四電チュー
17 非電動役物
80 非電作動センサ
114 非電通路口
170 開閉部材
171 支持端
172 自由端
173 弾球面
174 受球面
175 回動軸
178 検出片
180 普電通路
185 非電通路
220 作動レバー
240 回転レバー