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特許7504435研削機械カバー、研削機械、および研削方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】研削機械カバー、研削機械、および研削方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 55/05 20060101AFI20240617BHJP
   B24B 55/10 20060101ALI20240617BHJP
   B24B 23/02 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B24B55/05
B24B55/10
B24B23/02
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020128015
(22)【出願日】2020-07-29
(65)【公開番号】P2022025281
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】513155448
【氏名又は名称】日本トリート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166051
【弁理士】
【氏名又は名称】駒津 啓佑
(72)【発明者】
【氏名】臼井 淳一郎
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-059113(JP,A)
【文献】特開2005-105753(JP,A)
【文献】実開昭52-152193(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 55/05
B24B 55/10
B24B 23/02
B25F 1/04
B24C 1/00
B24C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の角度で2面の被削材が接合された隅部を研削材によって研削する研削機械に装着されて前記研削材を覆う研削機械カバーにおいて、
周側面および上側面を備え、前記研削材によって前記2面のうち一方側の被削材に押し当てられて研削される研削作業面側である底部が開口されたカバー本体部と、
前記研削作業面の外周と一致する位置から、前記研削作業面とのなす角度が前記所定の角度と同角度に形成されて、前記2面のうち他方側の被削材に押し当てられる押さえ部と、
を備え
前記隅部は、
前記一方側の被削材と、前記他方側の被削材との境目の内側に形成される入隅部であって、
前記押さえ部は、
前記上側面から前記研削作業面に対向する方向に突出するように形成されること、
特徴とする研削機械カバー。
【請求項2】
前記押さえ部の天頂部から、前記上側面にかけて形成される上側斜面部、
を備えることを特徴とする請求項記載の研削機械カバー。
【請求項3】
前記押さえ部のうち、前記他方側の被削材と接触する側が閉口された入隅側閉口面、
を備えることを特徴とする請求項記載の研削機械カバー。
【請求項4】
前記研削作業面とのなす角度を、前記2面の被削材が接合された角度に合わせて調節する角度調節手段、
を備えることを特徴とする請求項1記載の研削機械カバー。
【請求項5】
研削された被削材の粉塵を集塵するための集塵手段に接続される粉塵吸引口、
を備えることを特徴とする請求項1記載の研削機械カバー。
【請求項6】
前記研削材は、
円盤状の研削ディスクであって、
前記研削機械は、前記研削ディスクを回転させて前記被削材を研削するグラインダーであること、
を特徴とする請求項1記載の研削機械カバー。
【請求項7】
前記研削材は、
水であって、
前記研削機械は、前記水を高圧で前記被削材にあてて前記被削材を研削する高圧水研削機であること、
を特徴とする請求項1記載の研削機械カバー。
【請求項8】
所定の角度で2面の被削材が接合された隅部を研削材によって研削する研削機械に装着されて前記研削材を覆う研削機械カバーにおいて、
周側面および上側面を備え、前記研削材によって前記2面のうち一方側の被削材に押し当てられて研削される研削作業面側である底部が開口されたカバー本体部と、
前記研削作業面の外周と一致する位置から、前記研削作業面とのなす角度が前記所定の角度と同角度に形成されて、前記2面のうち他方側の被削材に押し当てられる押さえ部と、
を備え
前記隅部は、
前記一方側の被削材と、前記他方側の被削材との境目の外側に形成される出隅部であって、
前記押さえ部は、
前記底部から前記研削作業面の方向に突出するように形成され、
前記押さえ部の天底部から、前記周側面にかけて形成される下側斜面部、
を備えることを特徴とする研削機械カバー。
【請求項9】
前記押さえ部のうち、前記他方側の被削材と接触する側が閉口された出隅側閉口面、
を備えることを特徴とする請求項記載の研削機械カバー。
【請求項10】
前記研削作業面とのなす角度を、前記2面の被削材が接合された角度に合わせて調節する角度調節手段、
を備えることを特徴とする請求項記載の研削機械カバー。
【請求項11】
研削された被削材の粉塵を集塵するための集塵手段に接続される粉塵吸引口、
を備えることを特徴とする請求項記載の研削機械カバー。
【請求項12】
前記研削材は、
円盤状の研削ディスクであって、
前記研削機械は、前記研削ディスクを回転させて前記被削材を研削するグラインダーであること、
を特徴とする請求項記載の研削機械カバー。
【請求項13】
前記研削材は、
水であって、
前記研削機械は、前記水を高圧で前記被削材にあてて前記被削材を研削する高圧水研削機であること、
を特徴とする請求項記載の研削機械カバー。
【請求項14】
所定の角度で2面の被削材が接合された隅部を研削材によって研削する研削機械において、
周側面および上側面を備え、前記研削材によって前記2面のうち一方側の被削材に押し当てられて研削される研削作業面側である底部が開口されたカバー本体部と、
前記研削作業面の外周と一致する位置から、前記研削作業面とのなす角度が前記所定の角度と同角度に形成されて、前記2面のうち他方側の被削材に押し当てられる押さえ部と、
を備え
前記隅部は、
前記一方側の被削材と、前記他方側の被削材との境目の内側に形成される入隅部であって、
前記押さえ部は、
前記上側面から前記研削作業面に対向する方向に突出するように形成されること、
特徴とする研削機械。
【請求項15】
所定の角度で2面の被削材が接合された隅部を研削材によって研削する研削機械において、
周側面および上側面を備え、前記研削材によって前記2面のうち一方側の被削材に押し当てられて研削される研削作業面側である底部が開口されたカバー本体部と、
前記研削作業面の外周と一致する位置から、前記研削作業面とのなす角度が前記所定の角度と同角度に形成されて、前記2面のうち他方側の被削材に押し当てられる押さえ部と、
を備え
前記隅部は、
前記一方側の被削材と、前記他方側の被削材との境目の外側に形成される出隅部であって、
前記押さえ部は、
前記底部から前記研削作業面の方向に突出するように形成され、
前記押さえ部の天底部から、前記周側面にかけて形成される下側斜面部、
を備えることを特徴とする研削機械。
【請求項16】
所定の角度で2面の被削材が接合された隅部を研削材によって研削する研削機械による研削方法において、
周側面および上側面を備え、前記研削材によって研削される研削作業面側である底部が開口されたカバー本体部が、前記2面のうち一方側の被削材に押し当てられる工程と、
前記研削作業面の外周と一致する位置から、前記研削作業面とのなす角度が前記所定の角度と同角度に形成された押さえ部が、前記2面のうち他方側の被削材に押し当てられる工程と、
を備え
前記隅部は、
前記一方側の被削材と、前記他方側の被削材との境目の内側に形成される入隅部であって、
前記押さえ部は、
前記上側面から前記研削作業面に対向する方向に突出するように形成されること、
特徴とする研削方法。
【請求項17】
所定の角度で2面の被削材が接合された隅部を研削材によって研削する研削機械による研削方法において、
周側面および上側面を備え、前記研削材によって研削される研削作業面側である底部が開口されたカバー本体部が、前記2面のうち一方側の被削材に押し当てられる工程と、
前記研削作業面の外周と一致する位置から、前記研削作業面とのなす角度が前記所定の角度と同角度に形成された押さえ部が、前記2面のうち他方側の被削材に押し当てられる工程と、
を備え
前記隅部は、
前記一方側の被削材と、前記他方側の被削材との境目の外側に形成される出隅部であって、
前記押さえ部は、
前記底部から前記研削作業面の方向に突出するように形成され、
前記押さえ部の天底部から、前記周側面にかけて形成される下側斜面部、
を備えることを特徴とする研削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削機械カバー、研削機械、および研削方法に関し、特に所定の角度で2面の被削材が接合された隅部を研削材によって研削する研削機械に装着されて前記研削材を覆う研削機械カバー、研削機械、および研削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、円盤状のディスクを高速回転させる道具としてディスクグラインダーが知られている。ディスクグラインダーでディスクを高速回転させることで、材料を削ったり、磨いたりすることができる。
【0003】
例えば、ディスクとして円盤状の砥石を回転させることで、金属の切削形成や切断、研磨を行うことができる。また円盤状の砥石をカップブラシに付け替えて回転させることで、金属面などの広い面の錆落としが行えたり、塗装を塗り替える際に古い塗装を剥離したりすることができる。
【0004】
またディスクグラインダーはディスクを高速回転させるため、回転するディスクに手が触れてしまうと怪我をしたり、切削された材料が身体に当たることで怪我をしたり、回転軸に髪の毛や衣服が巻き込まれることで怪我をしたりする恐れがある。
【0005】
このため、ディスクグラインダーは、回転するディスクのうち研削に使用しない一方側面および周側面を完全に覆うようにカバーが取り付けられている。また回転するディスクのうち研削に使用しない一方側面および周側面を完全に覆うことで、研削粉の飛散を防止することができる。さらに、カバーの一部に設けられた吸引口と吸引器とをホースなどで接続して吸引することで、吸引口から研削粉を吸引して集塵することができる。
【0006】
ところが、上記のディスクグラインダーでは、回転するディスクのうち研削に使用しない一方側面および周側面を完全に覆うようにカバーが設けられているため、隅部が研削できない問題があった。
【0007】
例えば、床の平面研削作業で床面と壁面との境目に形成される隅部を研削する場合、ディスクの周側面に設けられたカバーが壁面と干渉してしまう。このため回転するディスクが床面と壁面との境目まで到達することができない。つまり隅部まで研削することができない。
【0008】
そこで、カバーの一部を取り外すあるいは開閉式にすることで、床面と壁面の境目など隅部においてもカバーが壁面と干渉することなく、研削粉の飛散を防止しながら平面研削作業が行えるディスクグラインダーの集塵カバーが開発されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0009】
図7は、ディスクグラインダーに研削砥石を装着し、特許文献1で開示された集塵カバーを取り付けて、アタッチメント部分を外した状態の斜視図である。
図7に示すように、特許文献1で開示された集塵カバーは、集塵カバー本体3と着脱可能なアタッチメント部分4とを備えている。
【0010】
平面の研削作業時には、このアタッチメント部分4を集塵カバー本体3に装着した状態で使用する。また床面と壁面との境目に形成される隅部の研削時にはこのアタッチメント部分を取り外した状態で使用する。アタッチメント部分4は、集塵カバー本体3から取り外された際に生じる開口部分5が、壁面で閉塞しながら研削作業が行えるような寸法で形成される。
【0011】
図8は、特許文献1で開示された集塵カバーを取り付けたディスクグラインダーで、床面と壁面との境目に形成される隅部を研削する状態を示す集塵カバー部分における断面図である。
【0012】
図8に示すように、アタッチメント部分4を取り外すことで形成された開口部分5を壁面に押し当てることで、隅部の研削を行うことができる。またアタッチメント部分4を取り外すことで開口された開口部分5を壁面に押し当てることで、開口部分5が壁面によって閉塞される。これにより研削された粉塵が周囲に飛散することがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2002-301661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、アタッチメント部分4を取り外すことで開口部分5が開口されて、回転するディスクが露出してしまうため危険性が高まる問題があった。また、集塵カバーの一部であるアタッチメント部分4を取り外してしまうため、ディスクグラインダーが安定しない問題があった。
【0015】
まず、危険性が高まる問題について説明する。特許文献1で開示された集塵カバーを取り付けたディスクグラインダーでは、アタッチメント部分4を取り外すことで、ディスクを露出させる。これにより、カバーと壁面との干渉がなくなり、床面と壁面との境目に形成された隅部を研削することができる。
【0016】
ところが、回転するディスクが開口部分5から露出しているため、開口部分5から手や衣服を巻き込んでしまう恐れがある。
具体的には、通常、ディスクグラインダーを使用する際には、両手でディスクグラインダー本体部を握るが、ディスクグラインダーを壁面に向かって移動する際に、手元が滑って壁面方向に指先が移動してしまうと、指先が開口部分5付近に近づいてしまう。万が一、指先が開口部分5に届いてしまうと、回転するディスクに巻き込まれて手や指を切創する危険性がある。
【0017】
次に、ディスクグラインダーが安定しない問題について説明する。特許文献1で開示された集塵カバーを取り付けたディスクグラインダーでは、アタッチメント部分4を取り外し、ディスクグラインダーでディスクを回転させ、床を研削しながらディスクグラインダーを壁面に近づけていく。
アタッチメント部分4を取り付けた状態では、ディスク周面全体にカバーが存在するため、床面にカバーを沿わせて研削することができる。
【0018】
ところが、カバーの一部に設けられたアタッチメント部分4を取り外す、あるいは開閉式のアタッチメント部分4を開くことで、床面に沿わせていたディスク周面のカバーの一部が欠落することになる。
【0019】
具体的には、アタッチメント部分4を取り外すと、壁面方向に開口部分5が開口された状態になる。すなわちディスク周面のうち、壁面方向の一部のカバーが欠落した状態になる。
【0020】
このようにアタッチメント部分4を取り外すと、ディスク周面のうち壁面方向で支えていたカバーが欠落するため安定性が低下する。具体的には、アタッチメント部分4を取り外した状態で、ディスクグラインダー本体の手元側を持ち上げてしまうと、ディスクグラインダー本体は、ディスクグラインダー本体の手元側からアタッチメント部分4を取り外した開口部分5側に向かって傾斜した状態になる。
【0021】
このとき、開口部分5付近ではカバーが存在しないため、ディスクグラインダー本体の傾斜を支えることができない。つまり、ディスクグラインダー本体の傾斜に伴って開口部分5から露出したディスクが傾斜する。
【0022】
このため、アタッチメント部分4を取り外して、開口部分5を開口させた状態で、ディスクグラインダー本体を傾斜させてしまうと、床面を傷つけてしまうことになる。なお、アタッチメント部分4を取り付けた状態でディスクグラインダー本体を傾斜させたとしても、カバーがディスク周面を覆っているため床面を傷つけることがないが、カバーが干渉するため隅部を研削することができない。
【0023】
このようにアタッチメント部分4を取り外した状態では、ディスクグラインダー本体の手元側を持ち上げただけで、ディスクの先端が床面などに触れて、思わぬ場所を研削してしまう恐れがある。
【0024】
これはディスクグラインダーでディスクを回転させた状態では、回転の振動により、さらに安定性は低下し、ディスクグラインダーが安定しないことで、研削しなくていい場所を研削してしまったり、研削にムラができてしまったりする問題が生じる。
【0025】
さらには、ディスクグラインダーが安定しないことで、手元がくるい、手元が滑って壁面方向に指先が移動してしまうと、指先が開口部分5付近に近づいてしまう。万が一、指先が開口部分5に届いてしまうと、回転するディスクに巻き込まれて手や指を切創する危険性もある。
【0026】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、安定性と安全性とを向上させた研削機械カバー、研削機械、研削方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明では上記問題を解決するために、所定の角度で2面の被削材が接合された隅部を研削材によって研削する研削機械に装着されて前記研削材を覆う研削機械カバーにおいて、周側面および上側面を備え、前記研削材によって前記2面のうち一方側の被削材に押し当てられて研削される研削作業面側である底部が開口されたカバー本体部と、前記研削作業面の外周と一致する位置から、前記研削作業面とのなす角度が前記所定の角度と同角度に形成されて、前記2面のうち他方側の被削材に押し当てられる押さえ部とを備えることを特徴とする研削機械カバーが提供される。
【0028】
これにより、周側面および上側面を備え、研削材によって研削される研削作業面側である底部が開口されたカバー本体部が、2面のうち一方側の被削材に押し当てられ、研削作業面の外周と一致する位置から、研削作業面とのなす角度が所定の角度と同角度に形成された押さえ部が、2面のうち他方側の被削材に押し当てられる。
【0029】
また、本発明では、所定の角度で2面の被削材が接合された隅部を研削材によって研削する研削機械において、周側面および上側面を備え、前記研削材によって前記2面のうち一方側の被削材に押し当てられて研削される研削作業面側である底部が開口されたカバー本体部と、前記研削作業面の外周と一致する位置から、前記研削作業面とのなす角度が前記所定の角度と同角度に形成されて、前記2面のうち他方側の被削材に押し当てられる押さえ部とを備えることを特徴とする研削機械が提供される。
【0030】
これにより、周側面および上側面を備え、研削材によって研削される研削作業面側である底部が開口されたカバー本体部が、2面のうち一方側の被削材に押し当てられ、研削作業面の外周と一致する位置から、研削作業面とのなす角度が所定の角度と同角度に形成された押さえ部が、2面のうち他方側の被削材に押し当てられる。
【0031】
また、本発明では、所定の角度で2面の被削材が接合された隅部を研削材によって研削する研削機械による研削方法において、周側面および上側面を備え、前記研削材によって研削される研削作業面側である底部が開口されたカバー本体部が、前記2面のうち一方側の被削材に押し当てられる工程と、前記研削作業面の外周と一致する位置から、前記研削作業面とのなす角度が前記所定の角度と同角度に形成された押さえ部が、前記2面のうち他方側の被削材に押し当てられる工程とを備えることを特徴とする研削方法が提供される。
【0032】
これにより、周側面および上側面を備え、研削材によって研削される研削作業面側である底部が開口されたカバー本体部が、2面のうち一方側の被削材に押し当てられ、研削作業面の外周と一致する位置から、研削作業面とのなす角度が所定の角度と同角度に形成された押さえ部が、2面のうち他方側の被削材に押し当てられる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の研削機械カバー、研削機械、および研削方法によれば、周側面および上側面を備え、研削材によって研削される研削作業面側である底部が開口されたカバー本体部が、2面のうち一方側の被削材に押し当てられ、研削作業面の外周と一致する位置から、研削作業面とのなす角度が所定の角度と同角度に形成された押さえ部が、2面のうち他方側の被削材に押し当てられるので、研削作業面と押さえ部とで構成される角部を研削する隅部に嵌め込むことができる。これにより安定性が向上する。また、研削作業面と押さえ部とで構成される角部を研削する隅部に嵌め込むことで、回転するディスクに手や指などが巻き込まれるなどの危険性を抑制することができ、安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】第1の実施の形態に係る研削機械カバーの側面図および上面図である。
図2】動揺防止部の正面図である。
図3】研削機械カバーを装着した研削機械が、壁面と壁面との境目や壁面と床面との境目などの内側に形成される入隅部における床面を研削する状態を示す断面図である。
図4】第2の実施の形態に係る研削機械カバーの側面図および上面図である。
図5】動揺防止部の正面図である。
図6】研削機械カバーを装着した研削機械が、壁面と壁面との境目や壁面と床面との境目などの外側に形成される出隅部における床面を研削する状態を示す断面図である。
図7】ディスクグラインダーに研削砥石を装着し、特許文献1で開示された集塵カバーを取り付けて、アタッチメント部分を外した状態の斜視図である。
図8】特許文献1で開示された集塵カバーを取り付けたディスクグラインダーで、床面と壁面との境目に形成される隅部を研削する状態を示す集塵カバー部分における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る研削機械カバーの側面図および上面図である。
図1に示すように研削機械カバー100は、たとえばディスクグラインダーや、電動サンダー、サンドブラスター、高圧の水で研削する高圧水研削機などの研削機械10に取り付けられるカバーである。
【0036】
この研削機械カバー100は、たとえば、手持ちの回転式の研削機械10であるディスクグラインダーの回転駆動する回転軸11など、研削作業部分の周囲に取り付けられて、研削により生じた粉塵を集塵する機能を有している。
【0037】
本実施の形態では、研削機械カバー100が研削機械10の1つであるディスクグラインダーに取り付けられる例として説明するが、研削機械カバー100はディスクグラインダー以外の研削機械10に取り付けて使用することもできる。
【0038】
また、本実施の形態では、研削機械カバー100を取り付けた研削機械10を用いて、被削物である壁面と壁面との境目や、壁面と床面との境目などの内側に形成される入隅部に塗装された塗膜を研削する例として説明する。なお、被削物は壁面や壁面に塗装された塗膜だけに限らず任意に選択することができる。
【0039】
研削機械カバー100は、カバー本体110と、動揺防止部120とを備えている。
カバー本体110は、底部111、周側面112、およびカバー上側面113でカップ状に形成され、研削機械10が備える回転軸11に取り付けられた研削ディスク12を覆うように設けられる。
【0040】
具体的には、回転軸11に取り付けられて回転する円盤状の研削ディスク12の研削作業面12aが被削物を研削できるように、カバー本体110の底部111は開口されている。また、底部111から研削作業面12aが露出するように、研削ディスク12はカバー本体110によって覆われている。
【0041】
なお、研削ディスク12とカバー本体110とは、研削作業面12aと、底部111とに段差がない位置に調節される。
この開口された底部111によって、回転する研削ディスク12の研削作業面12aが被削物に接触し、被削物である壁面に塗装された塗膜を研削することができる。
【0042】
また、研削作業面12aと、底部111とに段差がない位置に調節することで、被削物とカバー本体110の底部111との隙間がなくなり、研削の際に生じる粉塵が周囲に飛散することを防止できる。
【0043】
動揺防止部120は、研削機械10が研削する際に生じる動揺を防止するためのものであり、特に壁面と壁面との境目や壁面と床面との境目などの内側に形成される入隅部を研削する際に生じる動揺を防止する効果を発揮するものである。
【0044】
動揺防止部120は、研削ディスク12を覆うカバー本体110の周側面112の一部に設けられる。また動揺防止部120は、研削作業面12aに対して垂直、つまりカバー本体110の底部111から垂直に立ち上げられた押さえ部121を回転軸11方向に備えている。
【0045】
また垂直に立ち上げられた押さえ部121は、研削ディスク12のうち研削作業面12aの外周側面と、押さえ部121による垂直面とに段差がない位置に設けられる。なお、研削により研削作業面12aの外周側面が摩耗して外周側面の位置が変化した場合には、研削ディスク12が取り付けられた回転軸11の位置を調節する位置調節手段によって研削ディスク12の位置を調節するとよい。
【0046】
また位置調節手段は、他に、押さえ部121を有する研削機械カバー100が、研削機械10に固定される位置を調節することで、研削ディスク12のうち研削作業面12aの外周側面と、押さえ部121による垂直面とに段差がない位置に調節する方法が挙げられる。
【0047】
また位置調節手段は、他に、カバー本体110に対して動揺防止部120を独立して移動可能に取り付ける方法が挙げられる。たとえば、カバー本体110に対して動揺防止部120を独立して移動可能に取り付け、カバー本体110に対する動揺防止部120の取り付け位置を調節することで、研削作業面12aの外周側面と、押さえ部121による垂直面とに段差がない位置に調節する。
【0048】
押さえ部121は、研削ディスク12のうち研削作業面12aの外周側面と、押さえ部121による垂直面とに段差がない位置であればよく、垂直面は開口させることも、閉口させることもできる。
【0049】
なお、研削ディスク12のうち研削作業面12aの外周側面と干渉しないように、垂直面を閉口する閉口面122を形成することで、研削機械カバー100における周側面の開口部が少なくなる。これにより、回転する研削ディスク12に手や指などが巻き込まれるなどの危険性を抑制することができ、安全性を向上することができる。
【0050】
また、押さえ部121は、研削作業面12aに対して垂直に設けられているため、壁面と壁面との境目や壁面と床面との境目などの内側に形成される入隅部を研削する際に、垂直な押さえ部121が床面と壁面に押し当てられる。
【0051】
これにより、研削作業面12aと押さえ部121とによって、研削機械カバー100を装着した研削機械10を入隅部に嵌合させることができる。これにより、安定した状態で入隅部を研削することができる。
【0052】
また、研削機械カバー100を装着した研削機械10が入隅部に嵌合した状態で研削する際に、研削ディスク12のうち研削作業面12aの外周側面と、押さえ部121による垂直面とに段差がない位置に調節されるため、研削作業面12aが入隅部の際まで届く。これにより、研削機械カバー100が床面又は壁面に干渉することなく入隅部まで研削することができる。
【0053】
なお、押さえ部121は、カバー上側面113から研削作業面12aに対抗する方向に突出するように形成される。これにより、研削機械カバー100を装着した研削機械10が入隅部に嵌合した際に、動揺防止部120が床面又は壁面に接する面積が増加する。これにより、より安定した状態で入隅部の研削をすることができる。
【0054】
また、カバー本体110のカバー上側面113から押さえ部121の天頂部123にかけては、カバー上側面113の端部と押さえ部121の天頂部123とを繋ぐように傾斜部124が形成される。
【0055】
傾斜部124は、研削作業面12aに対抗する方向にカバー上側面113から傾斜しているため、ディスクグラインダーが安定しないことで、手元がくるい、手元が滑って壁面方向に指先が移動したとしても、傾斜に沿って研削ディスク12と反対側に手や指が移動する。これにより、回転する研削ディスク12に巻き込まれて手や指を切創する危険性を抑制することができるため安全性を向上することができる。
【0056】
なお、本実施の形態では省略したが、研削機械カバー100に研削機械カバー100内で発生した粉塵を吸引するための粉塵吸引口を設けても良い。吸引口には、図示しない集塵手段である吸引装置がホースなどを介して接続され、研削機械カバー100内の粉塵を含んだ空気を吸引する。これにより、粉塵が周囲に飛散することを防止することができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、壁面と壁面との境目や壁面と床面との境目などの内側に形成される入隅部が直角に形成されている場合で説明したが、入隅部が鋭角または鈍角で形成されている場合には、押さえ部121を研削作業面12aに対して、その入隅部が構成される所望の角度に合わせて設けることができる。
【0058】
具体的には、入隅部が100度で形成されている場合は、研削作業面12aと押さえ部121とのなす角度が100度になるように設けることもできる。また、入隅部が80度で形成されている場合は、研削作業面12aと押さえ部121とのなす角度が80度になるように設けることもできる。
【0059】
さらに、壁面と壁面との境目や壁面と床面との境目などの内側に形成される入隅部を構成する角度に合わせて、研削作業面12aと押さえ部121とのなす角度を調節可能な角度調節手段を設けてもよい。
【0060】
図2は、動揺防止部の正面図である。
図2(A)は、押さえ部121による垂直面が開口された動揺防止部120の正面図であり、図2(B)は、押さえ部121による垂直面が閉口された動揺防止部120の正面図である。
【0061】
図2(A)に示すように、押さえ部121による垂直面が開口されている。押さえ部121に形成された開口部は、壁面又は床面に押さえ部121が押し付けられることで閉口される。これにより研削によって生じる粉塵が周囲に飛散することがない。
【0062】
また、押さえ部121は、コの字状に形成されているため、3つの断面が床面又は壁面に押し付けられる。またコの字状である押さえ部121の底面側では、断面側が開口されているが、研削ディスク12の研削作業面12aが押し付けられるので押さえ部121が底面側に傾くことがない。これにより、研削機械カバー100を装着した研削機械10を入隅部に嵌合させることができるので、安定した状態で入隅部を研削することができる。
【0063】
図2(B)に示すように、押さえ部121による垂直面は、閉口面122によって閉口されている。これにより研削によって生じる粉塵が周囲に飛散することがない。
また、押さえ部121は、閉口面122によって開口されており、閉口面122が床面又は壁面に押し付けられることで接地面積が増加する。このため、研削機械10が研削する際に生じる動揺を防止できる。つまり、研削機械カバー100を装着した研削機械10を入隅部に嵌合させることができるので、安定した状態で入隅部を研削することができる。
【0064】
また、押さえ部121に閉口面122を設けることで、研削ディスク12の周囲はカバー本体110および動揺防止部120によって覆うことができる。これにより、入隅部ではない平面部を研削する場合でも研削によって生じる粉塵が周囲に飛散することがない。
【0065】
つまり、従来のカバーでは、入隅部を研削するたびに取り外したり開閉したりする必要があったアタッチメントの取り外し操作が必要なくなる。これにより作業効率を向上することができる。
【0066】
図3は、研削機械カバーを装着した研削機械が、壁面と壁面との境目や壁面と床面との境目などの内側に形成される入隅部における床面を研削する状態を示す断面図である。
図3に示すように、研削機械カバー100を取り付けた研削機械10を用いて、被削物である壁面と壁面との境目や壁面と床面との境目などの内側に形成される入隅部に塗装された塗膜を研削することができる。
【0067】
動揺防止部120は、研削機械10が研削する際に生じる動揺を防止するためのものであり、特に壁面と壁面との境目や壁面と床面との境目などの内側に形成される入隅部を研削する際に生じる動揺を防止することができる。
【0068】
具体的には、押さえ部121は、研削作業面12aに対して垂直に設けられているため、壁面と壁面との境目や壁面と床面との境目などの内側に形成される入隅部を研削する際に、垂直な押さえ部121が床面と壁面に押し当てられる。
【0069】
これにより、研削作業面12aと押さえ部121とによって、研削機械カバー100を装着した研削機械10を入隅部に嵌合させることができる。これにより、安定した状態で入隅部を研削することができる。
【0070】
押さえ部121は、研削ディスク12のうち研削作業面12aの外周側面と、押さえ部121による垂直面とに段差がない位置であればよく、垂直面は開口させることも、閉口させることもできる。
【0071】
なお、研削ディスク12のうち研削作業面12aの外周側面と干渉しないように、垂直面を閉口する閉口面122を形成することで、研削機械カバー100における周側面の開口部が少なくなる。これにより、回転する研削ディスク12に手や指などが巻き込まれるなどの危険性を抑制することができ、安全性を向上することができる。
【0072】
また、研削機械カバー100を装着した研削機械10が入隅部に嵌合した状態で研削する際に、研削ディスク12のうち研削作業面12aの外周側面と、押さえ部121による垂直面とに段差がない位置に調節されるため、研削作業面12aが入隅部の際まで届く。これにより、研削機械カバー100が床面又は壁面に干渉することなく入隅部まで研削することができる。
【0073】
また、カバー本体110のカバー上側面113の端部から押さえ部121の天頂部123にかけては、カバー上側面113の端部と押さえ部121の天頂部123とを繋ぐように傾斜部124が形成される。
【0074】
傾斜部124は、カバー上側面113から研削ディスク12と反対側に傾斜しているため、ディスクグラインダーが安定しないことで、手元がくるい、手元が滑って壁面方向に指先が移動したとしても、傾斜に沿って研削ディスク12と反対側に手や指が移動する。これにより、回転する研削ディスク12に巻き込まれて手や指を切創する危険性を抑制することができ、安全性を向上することができる。
【0075】
上記のように、研削機械カバー100を装着した研削機械10を入隅部に嵌合させることで、入隅部に塗装された塗膜を安全に研削することができる。具体的には、動揺防止部120が備える押さえ部121を壁面30に、かつ研削作業面12aを床面20に押し当てた状態で、研削機械10を壁面30の幅方向に移動させることで、入隅部に塗装された塗膜を安全に研削することができる。
【0076】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の研削機械カバーは、動揺防止部の形状が異なる以外は、第1の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0077】
図4は、第2の実施の形態に係る研削機械カバーの側面図および上面図である。
図4に示すように研削機械カバー100は、たとえばディスクグラインダーや、電動サンダー、サンドブラスター、高圧の水で研削する高圧水研削機などの研削機械10に取り付けられるカバーである。
【0078】
この研削機械カバー100は、たとえば、手持ちの回転式の研削機械10であるディスクグラインダーの回転駆動する回転軸11に取り付けられて、研削により生じた粉塵を集塵する機能を有している。
【0079】
本実施の形態では、研削機械カバー100が研削機械10の1つであるディスクグラインダーに取り付けられる例として説明するが、研削機械カバー100はディスクグラインダー以外の研削機械10に取り付けて使用することもできる。
【0080】
また、本実施の形態では、研削機械カバー100を取り付けた研削機械10を用いて、被削物である壁面と壁面との境目や壁面と床面との境目などの外側に形成される出隅部に塗装された塗膜を研削する例として説明する。なお、被削物は壁面や壁面に塗装された塗膜だけに限らず任意に選択することができる。
【0081】
研削機械カバー100は、カバー本体110と、動揺防止部120とを備えている。
カバー本体110は、底部111、周側面112、およびカバー上側面113でカップ状に形成され、研削機械10が備える回転軸11に取り付けられた研削ディスク12を覆うように設けられる。
【0082】
具体的には、回転軸11に取り付けられて回転する研削ディスク12の研削作業面12aが被削物を研削できるように、カバー本体110の底部111は開口されている。また、底部111から研削作業面12aが露出するように、研削ディスク12はカバー本体110によって覆われる。なお、研削ディスク12とカバー本体110とは、研削作業面12aと、底部111とに段差がない位置に調節される。
この開口された底部111によって、回転する研削ディスク12の研削作業面12aが被削物に接触し、被削物である壁面に塗装された塗膜を研削することができる。
【0083】
また、研削作業面12aと、底部111とに段差がない位置に調節することで、被削物とカバー本体110の底部111との隙間がなくなり、研削の際に生じる粉塵が周囲に飛散することを防止できる。
【0084】
動揺防止部120は、研削機械10が研削する際に生じる動揺を防止するためのものであり、特に壁面と壁面との境目や壁面と床面との境目などの外側に形成される出隅部を研削する際に生じる動揺を防止する効果を発揮するものである。
【0085】
動揺防止部120は、研削ディスク12を覆うカバー本体110の周側面112の一部に設けられる。また動揺防止部120は、研削作業面12aに対して垂直、つまりカバー本体110の底部111から垂直に立ち上げられた押さえ部121を研削する方向に備えている。
【0086】
また垂直に立ち上げられた押さえ部121は、研削ディスク12のうち研削作業面12aの外周側面と、押さえ部121による垂直面とに段差がない位置に設けられる。なお、研削により研削作業面12aの外周側面が摩耗して外周側面の位置が変化した場合には、研削ディスク12が取り付けられた回転軸11の位置を調節する位置調節手段によって研削ディスク12の位置を調節する。
【0087】
また位置調節手段は、他に、押さえ部121を有する研削機械カバー100が、研削機械10に固定される位置を調節することで、研削ディスク12のうち研削作業面12aの外周側面と、押さえ部121による垂直面とに段差がない位置に調節してもよい。
【0088】
また位置調節手段は、他に、カバー本体110に対して動揺防止部120を独立して移動可能に取り付ける方法が挙げられる。たとえば、カバー本体110に対する動揺防止部120の取り付け位置を調節して研削ディスク12のうち研削作業面12aの外周側面と、押さえ部121による垂直面とに段差がない位置に調節してもよい。
【0089】
押さえ部121は、研削ディスク12のうち研削作業面12aの外周側面と、押さえ部121による垂直面とに段差がない位置であればよく、垂直面は開口させることも、閉口させることもできる。
【0090】
なお、研削ディスク12のうち研削作業面12aの外周側面と干渉しないように、垂直面を閉口する閉口面122を形成することで、研削機械カバー100における周側面の開口部が少なくなる。これにより、回転する研削ディスク12に手や指などが巻き込まれるなどの危険性を抑制することができ、安全性を向上することができる。
【0091】
また、押さえ部121は、研削作業面12aに対して垂直に設けられているため、壁面と壁面との境目や壁面と床面との境目などの外側に形成される出隅部を研削する際に、垂直な押さえ部121が床面と壁面に押し当てられる。
【0092】
これにより、研削作業面12aと押さえ部121とによって、研削機械カバー100を装着した研削機械10を出隅部に嵌合させることができる。これにより、安定した状態で出隅部を研削することができる。
【0093】
また、研削機械カバー100を装着した研削機械10が出隅部に嵌合した状態で研削する際に、研削ディスク12のうち研削作業面12aの外周側面と、押さえ部121による垂直面とに段差がない位置に調節されるため、研削作業面12aが出隅部の際まで届く。
【0094】
これにより、研削機械カバー100が床面又は壁面に干渉することなく出隅部までに研削することができる。また、研削作業面12aが出隅部の際から外側に突出することがないので、直角な出隅部の下地などを傷つけることなく出隅部の塗膜を研削することができる。
【0095】
また、カバー本体110の周側面112から押さえ部121の天底部125にかけては、周側面112の端部と押さえ部121の天底部125とを繋ぐように傾斜部124が形成される。
【0096】
傾斜部124および押さえ部121は、回転する研削ディスク12の研削作業面12aから離れる方向に突出しているため安全性を向上することができる。たとえば、ディスクグラインダーが安定しないことで、手元がくるい、手元が滑って壁面方向に指先が移動したとしても、手や指が回転する研削ディスク12方向に移動することがない。これにより、回転する研削ディスク12に巻き込まれて手や指を切創する危険性を抑制することができ、安全性を向上することができる。
【0097】
なお、押さえ部121は、底部111から研削作業面12aの方向に突出するように形成される。これにより、研削機械カバー100を装着した研削機械10が入隅部に嵌合した際に、動揺防止部120が床面又は壁面に接する面積が増加する。これにより、より安定した状態で出隅部の研削をすることができる。
【0098】
図5は、動揺防止部の正面図である。
図5(A)は、押さえ部121による垂直面が開口された動揺防止部120の正面図であり、図5(B)は、押さえ部121による垂直面が閉口された動揺防止部120の正面図である。
【0099】
図5(A)に示すように、押さえ部121による垂直面が開口されている。押さえ部121に形成された開口部は、壁面又は床面に押さえ部121が押し付けられることで閉口される。これにより研削によって生じる粉塵が周囲に飛散することがない。
【0100】
また、押さえ部121は、コの字状に形成されているため、3つの断面が被削材である床面又は壁面に押し付けられる。またコの字状である押さえ部121の底面側では、断面側が開口されているが、研削ディスク12の研削作業面12aが被削材に押し付けられるので押さえ部121が底面側に傾くことがない。これにより、研削機械カバー100を装着した研削機械10を出隅部に嵌合させることができるので、安定した状態で出隅部を研削することができる。
【0101】
図5(B)に示すように、押さえ部121による垂直面は、閉口面122によって閉口されている。これにより研削によって生じる粉塵が周囲に飛散することがない。
また、押さえ部121は、閉口面122によって閉口されており、閉口面122が床面又は壁面に押し付けられることで接地面積が増加する。
【0102】
このため、研削機械10が研削する際に生じる動揺を防止できる。つまり、研削機械カバー100を装着した研削機械10を出隅部に嵌合させることで、安定した状態で入隅部を研削することができる。
【0103】
図6は、研削機械カバーを装着した研削機械が、壁面と壁面との境目や壁面と床面との境目などの外側に形成される出隅部における床面を研削する状態を示す断面図である。
図6に示すように、研削機械カバー100を取り付けた研削機械10を用いて、被削物である壁面と壁面との境目や壁面と床面との境目などの外側に形成される出隅部に塗装された塗膜を研削することができる。
【0104】
動揺防止部120は、研削機械10が研削する際に生じる動揺を防止するためのものであり、特に壁面と壁面との境目や壁面と床面との境目などの外側に形成される出隅部を研削する際に生じる動揺を防止することができる。
【0105】
具体的には、押さえ部121は、研削作業面12aに対して垂直に設けられているため、壁面と壁面との境目や壁面と床面との境目などの外側に形成される出隅部を研削する際に、垂直な押さえ部121が壁面30の際に押し当てられる。
これにより、研削作業面12aと押さえ部121とで構成される角に出隅部を嵌合させることができる。これにより、安定した状態で出隅部を研削することができる。
【0106】
押さえ部121は、研削ディスク12のうち研削作業面12aの外周側面と、押さえ部121による垂直面とに段差がない位置であればよく、垂直面は開口させることも、閉口させることもできる。
【0107】
なお、研削ディスク12のうち研削作業面12aの外周側面と干渉しないように、垂直面を閉口する閉口面122を形成することで、研削機械カバー100における周側面の開口部が少なくなる。これにより、回転する研削ディスク12に手や指などが巻き込まれるなどの危険性を抑制することができ、安全性を向上することができる。
【0108】
また、研削機械カバー100を装着した研削機械10が入隅部に嵌合した状態で研削する際に、研削ディスク12のうち研削作業面12aの外周側面と、押さえ部121による垂直面とに段差がない位置に調節されるため、研削作業面12aが出隅部の際まで届く。これにより、研削機械カバー100が床面又は壁面に干渉することなく出隅部まで研削することができる。
【0109】
また、カバー本体110の周側面112から押さえ部121の天底部125にかけては、周側面112と押さえ部121の天底部125とを繋ぐように傾斜部124が形成される。
【0110】
傾斜部124は、周側面112から研削ディスク12に対抗する方向に傾斜しているため、ディスクグラインダーが安定しないことで、手元がくるい、手元が滑って壁面方向に指先が移動したとしても、傾斜に沿って研削ディスク12と対抗する方向に手や指が移動する。これにより、回転する研削ディスク12に巻き込まれて手や指を切創する危険性を抑制することができ、安全性を向上することができる。
【0111】
上記のように、研削機械カバー100を装着した研削機械10を出隅部に嵌合させることで出隅部に塗装された塗膜を安全に研削することができる。具体的には、動揺防止部120が備える押さえ部121を壁面30に、また研削作業面12aを床面20に押し当てた状態で、研削機械10を壁面30の幅方向に移動させることで、出隅部に塗装された塗膜を安全に研削することができる。
【0112】
なお、本実施の形態では、壁面と壁面との境目や壁面と床面との境目などの外側に形成される出隅部が直角に形成されている場合で説明したが、出隅部が鋭角または鈍角で形成されている場合には、押さえ部121を研削作業面12aに対して、その出隅部が構成される所望の角度に合わせて設けることができる。
【0113】
具体的には、出隅部が100度で形成されている場合は、研削作業面12aと押さえ部121とのなす角度が100度になるように設けることもできる。また、出隅部が80度で形成されている場合は、研削作業面12aと押さえ部121とのなす角度が80度になるように設けることもできる。
【0114】
さらに、壁面と壁面との境目や壁面と床面との境目などの外側に形成される出隅部を構成する角度に合わせて、研削作業面12aと押さえ部121とのなす角度を調節可能な角度調節手段を設けてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1 動揺防止部
3 集塵カバー本体
4 アタッチメント部分
5 開口部分
10 研削機械
11 回転軸
12 研削ディスク
12a 研削作業面
20 床面
30 壁面
100 研削機械カバー
110 カバー本体
111 底部
112 周側面
113 カバー上側面
120 動揺防止部
121 押さえ部
122 閉口面
123 天頂部
124 傾斜部
125 天底部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8