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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】多列式縦ピロー充填包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/207 20120101AFI20240617BHJP
【FI】
B65B9/207
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020147351
(22)【出願日】2020-09-02
(65)【公開番号】P2022042113
(43)【公開日】2022-03-14
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】596092595
【氏名又は名称】三光機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112955
【弁理士】
【氏名又は名称】丸島 敏一
(72)【発明者】
【氏名】細川 雅敏
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-229527(JP,A)
【文献】特開2004-123117(JP,A)
【文献】特開平5-65108(JP,A)
【文献】特開2012-140243(JP,A)
【文献】特開2006-26829(JP,A)
【文献】特開2006-227683(JP,A)
【文献】米国特許第6006501(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/00
B65B 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1条の幅広の包装フィルムをフィルム搬送方向に沿って複数条にスリットして複数列の包装フィルムとし、所定速度で連続搬送される前記複数列の包装フィルムのそれぞれを搬送方向に沿って配設される複数の円筒状のフォーマーシュートの外周に巻き付けるようにして略円筒状にするとともに開放側を合掌状または封筒状に重畳させ、前記複数列の包装フィルムのそれぞれの重畳部分に対して前記包装フィルムの列数と同数の縦シール装置を用いてそれぞれ縦シールを施して複数列の筒状包装フィルムを形成した後、前記複数列の筒状包装フィルムのそれぞれの所定位置に対して横シール装置により横シールを施して上部開口した包装袋を形成した後、上部開口した前記包装袋内に前記フォーマーシュートを介して内容物を充填し、その後に前記包装袋の上側部分に横シールを施して封止することでピロー包装袋を多列で同時に生産する多列式縦ピロー充填包装機において、
前記フォーマーシュートの各々に対して前記筒状包装フィルムを左右から押し付けるように挟み込みつつ下方へ搬送する複数対の送りベルトと、
前記送りベルトの下方搬送の駆動源となる送りベルト駆動モーターと、
前記送りベルト駆動モーターに接続されて前記複数対の送りベルトの配置方向に延在する駆動スプライン軸と、
前記駆動スプライン軸にスライド摺動自在に嵌合されたギヤを含んで前記送りベルトに向けて90度位相を変えて駆動を伝達する交差伝達機構と、
前記駆動スプライン軸と平行な方向において前記交差伝達機構をまとめてスライド開閉させて前記複数対の送りベルトの各対における互いの位置を変化させるとともに前記送りベルトの前記筒状包装フィルムに対する押圧力を列ごとに個別に微調整するスライド機構と
を具備する多列式縦ピロー充填包装機。
【請求項2】
前記スライド機構は、
前記駆動スプライン軸と平行方向に前記交差伝達機構に挿通されるスライド軸と、
前記スライド軸の終端に接続されて、運転時には前記送りベルトを前記筒状包装フィルムに接触押圧させて、停止時には前記送りベルトを前記筒状包装フィルムから離間させるスライドシリンダと、
前記スライド軸上で前記交差伝達機構を左右一対の位置決めカラーで挟み込んで配置位置を設定するとともに、前記送りベルトの離間方向側の位置決めカラーと前記交差伝達機構との間に挟み込まれたバネ部材を備えて、前記離間方向側の位置決めカラーの前記スライド軸に対する取付位置を微調整して前記送りベルトの前記筒状包装フィルムに対する前記バネ部材による押圧をそれぞれ個別に微調整する送りベルト位置決め調整機構と
を備える
請求項1記載の多列式縦ピロー充填包装機。
【請求項3】
前記送りベルト位置決め調整機構は、前記送りベルトの離間方向側の位置決めカラーと前記バネ部材との間に、前記バネ部材の圧縮量を可変にする調整ナットを備える
請求項2記載の多列式縦ピロー充填包装機。
【請求項4】
前記スライドシリンダは、前記送りベルトを前記筒状包装フィルムに接触押圧させる圧力を調整するスライドシリンダ圧調整器を備える
請求項2記載の多列式縦ピロー充填包装機。
【請求項5】
前記スライド機構による筒状包装フィルムに対する送りベルトの押圧力調整は、前記スライドシリンダ圧調整器によって前記複数対の送りベルトの全体の押圧力を設定した後、前記各列の送りベルト位置決め調整機構によって前記複数対の送りベルトの列ごとの押圧力を微調整することにより行われる
請求項4記載の多列式縦ピロー充填包装機。
【請求項6】
前記複数対の送りベルトの各対は、前記多列式縦ピロー充填包装機の正面から見て左側から前記筒状包装フィルムを挟み込む左側送りベルトと、前記多列式縦ピロー充填包装機の正面から見て右側から前記筒状包装フィルムを挟み込む右側送りベルトとを備え、
前記交差伝達機構は、前記左側送りベルトに向けて90度位相を変えて駆動を伝達する左側交差伝達機構と、前記右側送りベルトに向けて90度位相を変えて駆動を伝達する右側交差伝達機構とを備え、
前記スライド機構は、前記駆動スプライン軸と平行な方向において前記左側交差伝達機構をまとめてスライド開閉させるとともに前記左側送りベルトの前記筒状包装フィルムに対する押圧力を列ごとに個別に微調整する左側スライド機構と、前記駆動スプライン軸と平行な方向において前記右側交差伝達機構をまとめてスライド開閉させるとともに前記右側送りベルトの前記筒状包装フィルムに対する押圧力を列ごとに個別に微調整する右側スライド機構とを備える
請求項1記載の多列式縦ピロー充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装フィルム(包材)を用いて被包装材料(内容物)を自動的に充填包装する自動包装機の技術分野に属する。より詳細には、帯状の包装フィルムを複数条にスリット(分割)し、これら複数条にスリットされた包装フィルムを用いて包装袋を形成する多列式(多連式)の自動包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末や固形物を縦ピロー包装袋に高速包装する場合、包装フィルムの搬送を止めることなく連続搬送しながら充填包装を複数列同時に行う多列式縦ピロー充填包装機が用いられてきた。特に幅広なピロー包装を行う場合に、複数の縦シール装置の各々の周辺に配置されて、複数列の包装フィルムをそれぞれ押圧しながら下方への搬送を補助する送りベルトが用いられてきた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この送りベルトを包装フィルムに対して押圧する方法は、各作動方向を向いた一対のシリンダを用いて、複数列の送りベルトを一括で押圧させる方法が一般的である。これは、コスト上の理由の他、複数列を同時に扱うため袋幅より大きい機構を各列に配置できないことから機構をシンプルにしなければならないという理由からである。
【0004】
通常、包装フィルムを用いた充填包装を行う場合、包装フィルムの性状に合わせてこの送りベルトの押圧力を微調整する必要がある。包装フィルムごとに厚み、内外面の滑り具合、コシの強さが異なり、押圧力が弱すぎれば包装フィルムを搬送できず、押圧力が強すぎれば摩擦などで包装フィルムがダメージを負うこともあるため、包装フィルムの種類を変更する際には、包装機を試運転して包装状態を確認しながらシリンダの圧力を微調整する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-229527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来技術では、包装機の長期稼働による列ごとの送りベルトの損耗差や、列ごとにスリットする前の幅広な包装フィルムの幅方向の状態差等により、送りベルトに必要な押圧力に列ごとに僅かな差が生じることがある。この原因としては、例えば、保管時に空気露出している包装フィルム側面は素材切断面であって、包装フィルム表面よりも格段にバリア性が薄いため、長期保管した時に湿気で膨張変形してしまうことなどが考えられる。押圧力が弱過ぎると、包装フィルムに皺が生じるおそれがある。一方、押圧力が強過ぎると、包装フィルムが摩耗して破れや印刷面の削れ等が生じるおそれがある。このような列毎の差が生じた場合、各送りベルト装置を押圧動作方向あるいは離間方向に移動させて押圧力を微調整できるが、包装機を使用しているユーザーが行うには困難な作業であった。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みて生み出されたものであり、各送りベルトの押圧を個別に且つ容易に調整可能な構成にすることで、縦シール時に各列の包装フィルムを過不足無く整袋搬送できるようにして、多列の包装機であっても単列の包装機と遜色無い包装品質で製袋できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の側面は、1条の幅広の包装フィルムをフィルム搬送方向に沿って複数条にスリットして複数列の包装フィルムとし、所定速度で連続搬送される上記複数列の包装フィルムのそれぞれを搬送方向に沿って配設される複数の円筒状のフォーマーシュートの外周に巻き付けるようにして略円筒状にするとともに開放側を合掌状または封筒状に重畳させ、上記複数列の包装フィルムのそれぞれの重畳部分に対して上記包装フィルムの列数と同数の縦シール装置を用いてそれぞれ縦シールを施して複数列の筒状包装フィルムを形成した後、上記複数列の筒状包装フィルムのそれぞれの所定位置に対して横シール装置により横シールを施して上部開口した包装袋を形成した後、上部開口した上記包装袋内に上記フォーマーシュートを介して内容物を充填し、その後に上記包装袋の上側部分に横シールを施して封止することでピロー包装袋を多列で同時に生産する多列式縦ピロー充填包装機において、上記フォーマーシュートの各々に対して上記筒状包装フィルムを左右から押し付けるように挟み込みつつ下方へ搬送する複数対の送りベルトと、上記送りベルトの下方搬送の駆動源となる送りベルト駆動モーターと、上記送りベルト駆動モーターに接続されて上記複数対の送りベルトの配置方向に延在する駆動スプライン軸と、上記駆動スプライン軸にスライド摺動自在に嵌合されたギヤを含んで上記送りベルトに向けて90度位相を変えて駆動を伝達する交差伝達機構と、上記駆動スプライン軸と平行な方向において上記交差伝達機構をまとめてスライド開閉させて上記複数対の送りベルトの各対における互いの位置を変化させるとともに上記送りベルトの上記筒状包装フィルムに対する押圧力を列ごとに個別に微調整するスライド機構とを具備する多列式縦ピロー充填包装機である。これにより、駆動スプライン軸と平行な方向において交差伝達機構をまとめてスライド開閉させるとともに、送りベルトの筒状包装フィルムに対する押圧力を列ごとに個別に微調整するという作用をもたらす。
【0009】
また、この第1の側面において、上記スライド機構は、上記駆動スプライン軸と平行方向に上記交差伝達機構に挿通されるスライド軸と、上記スライド軸の終端に接続されて、運転時には上記送りベルトを上記筒状包装フィルムに接触押圧させて、停止時には上記送りベルトを上記筒状包装フィルムから離間させるスライドシリンダと、上記スライド軸上で上記交差伝達機構を左右一対の位置決めカラーで挟み込んで配置位置を設定するとともに、上記送りベルトの離間方向側の位置決めカラーと上記交差伝達機構との間に挟み込まれたバネ部材を備えて、上記離間方向側の位置決めカラーの上記スライド軸に対する取付位置を微調整して上記送りベルトの上記筒状包装フィルムに対する上記バネ部材による押圧をそれぞれ個別に微調整する送りベルト位置決め調整機構とを備えるようにしてもよい。
【0010】
また、この第1の側面において、上記スライドシリンダは、上記送りベルトを上記筒状包装フィルムに接触押圧させる圧力を調整するスライドシリンダ圧調整器を備えるようにしてもよい。
【0011】
また、この第1の側面において、上記スライド機構による筒状包装フィルムに対する送りベルトの押圧力調整は、上記スライドシリンダ圧調整器によって上記複数対の送りベルトの全体の押圧力を設定した後、上記各列の送りベルト位置決め調整機構によって上記複数対の送りベルトの列ごとの押圧力を微調整することにより行われてもよい。
【0012】
また、この第1の側面において、上記複数対の送りベルトの各対は、上記多列式縦ピロー充填包装機の正面から見て左側から上記筒状包装フィルムを挟み込む左側送りベルトと、上記多列式縦ピロー充填包装機の正面から見て右側から上記筒状包装フィルムを挟み込む右側送りベルトとを備え、上記交差伝達機構は、上記左側送りベルトに向けて90度位相を変えて駆動を伝達する左側交差伝達機構と、上記右側送りベルトに向けて90度位相を変えて駆動を伝達する右側交差伝達機構とを備え、上記スライド機構は、上記駆動スプライン軸と平行な方向において上記左側交差伝達機構をまとめてスライド開閉させるとともに上記左側送りベルトの上記筒状包装フィルムに対する押圧力を列ごとに個別に微調整する左側スライド機構と、上記駆動スプライン軸と平行な方向において上記右側交差伝達機構をまとめてスライド開閉させるとともに上記右側送りベルトの上記筒状包装フィルムに対する押圧力を列ごとに個別に微調整する右側スライド機構とを備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、多列式縦ピロー充填包装機における各送りベルトの押圧を個別に且つ容易に調整することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態における多列縦ピロー充填包装機1の外観例を示す正面図である。
図2】本発明の実施の形態における多列縦ピロー充填包装機1の側面構造を示す断面図である。
図3】本発明の実施の形態における送りベルト装置100の構造例を示す正面図(A矢視図)である。
図4】本発明の実施の形態における送りベルト装置100の構造例を示す上面図である。
図5】本発明の実施の形態における送りベルト装置100の構造例を示す背面図である。
図6】本発明の実施の形態における送りベルト装置100の構造例を示す側面図(B矢視図)である。
図7】本発明の実施の形態における送りベルト装置100の運転時の背面図である。
図8】本発明の実施の形態における送りベルト装置100の設定時の背面図である。
図9】本発明の実施の形態における送りベルト位置決め調整機構の第1の構成例の拡大図である。
図10】本発明の実施の形態における送りベルト位置決め調整機構の第2の構成例の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の実施の形態における多列縦ピロー充填包装機1の外観例を示す正面図である。
【0016】
この多列縦ピロー充填包装機1は、充填物ホッパー2、充填物計量装置3、フォーマーガイド4、充填シュート5、縦シール装置6、横シール装置7、搬出スベリ台8、および、制御盤9を備える。
【0017】
充填物ホッパー2は、包装対象となる充填物を収容し、貯留しておくためのホッパーである。この実施の形態では、充填物として、粉末や固形物などが想定される。
【0018】
充填物計量装置3は、充填物ホッパー2に貯留される充填物を計量して、一定量だけ充填シュート5に供給するものである。
【0019】
充填シュート5は、充填物計量装置3から供給された充填物を、下側が横シールされて上方開口の袋状にされた包装フィルムの内部に充填供給するものである。この実施の形態では、1条の幅広の包装フィルムをフィルム搬送方向に沿って複数条にスリット(分割)して複数列の包装フィルムとしており、多列の包装フィルムのそれぞれに対応して複数の充填シュート5を設けられる。なお、この実施の形態では、3列の包装フィルムの例を示すが、列の数は特に限定されるものではない。
【0020】
フォーマーガイド4は、多列の包装フィルムのそれぞれに対応して複数設けられる搬送補助具である。多列の包装フィルムは所定速度で連続搬送される。フォーマーガイド4は円筒状の形状を有し、包装フィルムをその外周に巻き付けるようにして略円筒状にするとともに、開放側を合掌状または封筒状に重畳させる。なお、フォーマーガイド4および充填シュート5は、フォーマーシュートを形成する。
【0021】
縦シール装置6は、フォーマーガイド4によって略円筒状となった包装フィルムの重畳部分に対して、搬送方向に沿った縦シールを施す装置である。この縦シール装置6は、包装フィルムの列数と同数の縦シールを施して、複数列の筒状包装フィルムを形成する。多列縦ピロー充填包装機1の運転時には、この縦シール装置6に、一時停止することなく包装フィルムが供給され、縦シールが順次施されていく。
【0022】
横シール装置7は、縦シール装置6の下方に設けられ、縦シール装置6によって縦シールを施された筒型の包装フィルムに対して、搬送方向に直交する所定位置に対して横シールを施して上部開口した包装袋を形成する装置である。
【0023】
搬出スベリ台8は、充填物が充填された個別のピロー包装袋F7を製品として搬出するためのものである。
【0024】
制御盤9は、操作入力を受け付けて多列縦ピロー充填包装機1の全体動作を制御するコントローラである。
【0025】
図2は、本発明の実施の形態における多列縦ピロー充填包装機1の側面構造を示す断面図である。
【0026】
包装フィルムF2は円筒状のフォーマーガイド4の外周に巻き付けるようにして略円筒状にされる。フォーマーガイド4の内側には充填シュート5が挿通されており、横シール装置7の横シールバー10により形成された上部開口した包装袋内に充填物Pが供給される。
【0027】
その後、筒状包装袋の上側部分に横シールバー10により横シールを施して封止して、その横シール部分をカッター11により切断することによって、ピロー包装袋F6が生産される。これら縦シールおよび横シールは多列で同時に行われる。このようにして生産された個別のピロー包装袋F7は、搬出スベリ台8から搬出される。
【0028】
縦シール装置6が縦シールを施す際、筒型の包装フィルムは、送りベルト装置100によって下方に送り出される。
【0029】
図3は、本発明の実施の形態における送りベルト装置100の構造例を示す正面図である。この図は、図2におけるA矢視図である。なお、この図は、視認性を考慮して、縦シール装置6を外した際に正面から把握される外観例を示しており、運転時にはこの手前に縦シール装置6が設けられる。
【0030】
送りベルト装置100は、充填シュート5の周囲の筒状包装フィルムF3を左右から押し付けるように挟み込みつつ下方へ搬送する一対の送りベルト、すなわち、左側送りベルト101と右側送りベルト102とを備える。
【0031】
左側送りベルト101は、多列縦ピロー充填包装機1の正面から見て左側から筒状包装フィルムF3を挟み込む。右側送りベルト102は、多列縦ピロー充填包装機1の正面から見て右側から筒状包装フィルムを挟み込む。この実施の形態では、3列の筒状包装フィルムF3を想定しているため、左側送りベルト101および右側送りベルト102の対も同様に3対、設けられる。
【0032】
図4は、本発明の実施の形態における送りベルト装置100の構造例を示す上面図である。手前には縦シール装置6が配されている。
【0033】
送りベルト装置100は、左側送りベルト101を駆動する左側送りベルト用駆動ブロック106と、右側送りベルト102を駆動する右側送りベルト用駆動ブロック206とを備える。
【0034】
また、送りベルト装置100は、左側送りベルト101および右側送りベルト102の下方搬送の駆動源となる送りベルト駆動モーター103を備える。この送りベルト駆動モーター103には、継ぎ手104を介して、送りベルト駆動伝達スプライン軸105が接続する。
【0035】
送りベルト駆動伝達スプライン軸105は、送りベルト装置100の配置方向(同図における左右方向)に延在しており、送りベルト駆動モーター103によって回転駆動される。この送りベルト駆動伝達スプライン軸105は、表面全体が歯車を形成しており、それぞれ左側送りベルト用駆動ブロック106および右側送りベルト用駆動ブロック206に設けられた左側送りベルト用駆動マイタギヤ107および右側送りベルト用駆動マイタギヤ207がスライド摺動自在に嵌合する。
【0036】
左側送りベルト用駆動マイタギヤ107および右側送りベルト用駆動マイタギヤ207は、その先端が45度の角度を有するギヤであり、それぞれ左側送りベルト用従動マイタギヤ108および右側送りベルト用従動マイタギヤ208に嵌合する。左側送りベルト用従動マイタギヤ108および右側送りベルト用従動マイタギヤ208も、その先端が45度の角度を有するギヤである。したがって、送りベルト駆動伝達スプライン軸105の回転駆動は、左側送りベルト101および右側送りベルト102に向けて90度位相を変えて伝達される。すなわち、左側送りベルト用駆動マイタギヤ107および左側送りベルト用従動マイタギヤ108による駆動は左側送りベルト101に伝達され、右側送りベルト用駆動マイタギヤ207および右側送りベルト用従動マイタギヤ208による駆動は右側送りベルト102に伝達される。
【0037】
これにより、左側送りベルト101および右側送りベルト102は、送りベルト駆動モーター103の回転駆動に従って、充填シュート5の周囲の筒状包装フィルムF3を左右から押し付けるように挟み込みつつ下方へ搬送する。
【0038】
図5は、本発明の実施の形態における送りベルト装置100の構造例を示す背面図である。
【0039】
送りベルト装置100は、左側送りベルト101を開閉するための左側送りベルト用開閉シリンダ111、および、右側送りベルト102を開閉するための右側送りベルト用開閉シリンダ211を備える。左側送りベルト用開閉シリンダ111は、送りベルト駆動伝達スプライン軸105と平行方向に左側送りベルト用開閉ブロック113に挿通される左側送りベルト用開閉軸112の終端に接続する。右側送りベルト用開閉シリンダ211は、送りベルト駆動伝達スプライン軸105と平行方向に右側送りベルト用開閉ブロック213に挿通される右側送りベルト用開閉軸212の終端に接続する。
【0040】
左側送りベルト用開閉シリンダ111および右側送りベルト用開閉シリンダ211によって、送りベルト駆動伝達スプライン軸105と平行方向に、左側送りベルト用開閉ブロック113および右側送りベルト用開閉ブロック213を互いに近づけることにより、押圧力が強くなる。一方、左側送りベルト用開閉ブロック113および右側送りベルト用開閉ブロック213を互いに遠ざけることにより、押圧力が弱くなる。
【0041】
これにより、包装機の運転時には左側送りベルト101および右側送りベルト102を筒状包装フィルムF3に接触押圧させる。また、包装機の停止時には左側送りベルト101および右側送りベルト102を筒状包装フィルムから離間させる。
【0042】
ただし、これら左側送りベルト用開閉シリンダ111および右側送りベルト用開閉シリンダ211による開閉は、送りベルト駆動伝達スプライン軸105と平行方向に、多列の各々の左側送りベルト用開閉ブロック113および右側送りベルト用開閉ブロック213をまとめてスライド開閉させるものである。したがって、これら左側送りベルト用開閉シリンダ111および右側送りベルト用開閉シリンダ211による押圧力の調整は、多列の全てにおいて共通する。
【0043】
なお、左側送りベルト用開閉シリンダ111は、左側送りベルト101を筒状包装フィルムF3に接触押圧させる圧力を調整する左側スライドシリンダ圧調整器を備える。また、右側送りベルト用開閉シリンダ211は、右側送りベルト102を筒状包装フィルムF3に接触押圧させる圧力を調整する右側スライドシリンダ圧調整器を備える。これら左側スライドシリンダ圧調整器および右側スライドシリンダ圧調整器は、例えば、レギュレータにより実現することができる。
【0044】
左側送りベルト用開閉ブロック113の各々は、左側送りベルト用開閉軸112上で左右一対の左側送りベルト位置決めカラー114および115により挟み込まれる。これにより、左側送りベルト用開閉ブロック113の配置位置が設定される。また、左側送りベルト101の離間方向側の左側送りベルト位置決めカラー115と左側送りベルト用開閉ブロック113との間には、左側送りベルト押しバネ116が挟み込まれる。
【0045】
同様に、右側送りベルト用開閉ブロック213の各々は、右側送りベルト用開閉軸212上で左右一対の右側送りベルト位置決めカラー214および215により挟み込まれる。これにより、右側送りベルト用開閉ブロック213の配置位置が設定される。また、右側送りベルト102の離間方向側の右側送りベルト位置決めカラー215と右側送りベルト用開閉ブロック213との間には、右側送りベルト押しバネ216が挟み込まれる。
【0046】
左側送りベルト用開閉シリンダ111によって左側送りベルト用開閉軸112上の左側送りベルト位置決めカラー115を左側送りベルト用開閉ブロック113の方向に移動させると、左側送りベルト押しバネ116による押圧によって左側送りベルト用開閉ブロック113は筒状包装フィルムF3の方向に移動する。
【0047】
同様に、右側送りベルト用開閉シリンダ211によって右側送りベルト用開閉軸212上の右側送りベルト位置決めカラー215を右側送りベルト用開閉ブロック213の方向に移動させると、右側送りベルト押しバネ216による押圧によって右側送りベルト用開閉ブロック213は筒状包装フィルムF3の方向に移動する。
【0048】
このように、左側送りベルト用開閉ブロック113および右側送りベルト用開閉ブロック213は、それぞれ左側送りベルト位置決めカラー115および右側送りベルト位置決めカラー215との間に挟み込まれた左側送りベルト押しバネ116および右側送りベルト押しバネ216からの押圧に応じて筒状包装フィルムF3を接触押圧させて挟み込む。すなわち、左側送りベルト位置決めカラー115および右側送りベルト位置決めカラー215の左側送りベルト用開閉軸112に対する取付位置を変えることにより、左側送りベルト用開閉ブロック113および右側送りベルト用開閉ブロック213の筒状包装フィルムF3に対する押圧力を列毎に個別に微調整することができる。
【0049】
すなわち、左側送りベルト位置決めカラー115および右側送りベルト位置決めカラー215の取付位置を、送りベルト駆動伝達スプライン軸105と平行方向において、筒状包装フィルムF3により近い位置に設定すると、押圧力は強くなる。一方、筒状包装フィルムF3により遠い位置に設定すると、押圧力は弱くなる。
【0050】
このように、筒状包装フィルムF3に対する左側送りベルト101および右側送りベルト102の押圧力調整は、2段階の手順により行われる。まず、左側送りベルト用開閉シリンダ111および右側送りベルト用開閉シリンダ211により、複数列の左側送りベルト101および右側送りベルト102の全体の押圧力を設定する。そして、左側送りベルト位置決めカラー115および右側送りベルト位置決めカラー215の取付位置を変えることにより、各列の左側送りベルト101および右側送りベルト102の列ごとの押圧力を微調整する。これにより、複数列をまとめて全体としての押圧力を設定した後に、列ごとの押圧力を微調整することができる。
【0051】
図6は、本発明の実施の形態における送りベルト装置100の構造例を示す側面図である。この図は、図5におけるB矢視図である。
【0052】
送りベルト駆動伝達スプライン軸105の回転駆動は、左側送りベルト用駆動マイタギヤ107および左側送りベルト用従動マイタギヤ108によって90度位相を変えて、左側送りベルト用伝達軸109によって左側送りベルト用プーリ110に伝達される。これにより、左側送りベルト用プーリ110は、左側送りベルト101を回転させる。
【0053】
右側送りベルト102についても同様の駆動に従って回転動作を行う。これにより、筒状包装フィルムF3は、左側送りベルト101および右側送りベルト102によって左右から押し付けるように挟み込まれ、下方へ搬送される。このとき、縦シール装置6は筒状包装フィルムF3に対して縦シールを施す。
【0054】
図7は、本発明の実施の形態における送りベルト装置100の運転時の背面図である。
【0055】
多列縦ピロー充填包装機1の運転時には、左側送りベルト用開閉シリンダ111および右側送りベルト用開閉シリンダ211によって、左側送りベルト用開閉軸112上の左側送りベルト位置決めカラー115と右側送りベルト用開閉軸212上の右側送りベルト位置決めカラー215とが、送りベルト駆動伝達スプライン軸105と平行方向に互いに近づくように移動する。これにより、左側送りベルト押しバネ116および右側送りベルト押しバネ216による押圧によって、左側送りベルト用開閉ブロック113および右側送りベルト用開閉ブロック213は筒状包装フィルムF3の方向に移動して閉状態となる。
【0056】
図8は、本発明の実施の形態における送りベルト装置100の設定時の背面図である。
【0057】
多列縦ピロー充填包装機1の運転前の設定時には、左側送りベルト用開閉軸112上の左側送りベルト位置決めカラー114と右側送りベルト用開閉軸212上の右側送りベルト位置決めカラー214とが、送りベルト駆動伝達スプライン軸105と平行方向に互いに遠ざかるように移動する。これら左側送りベルト位置決めカラー114および右側送りベルト位置決めカラー214の移動によって、左側送りベルト用開閉ブロック113および右側送りベルト用開閉ブロック213は筒状包装フィルムF3から離間する方向に移動して開状態となる。
【0058】
図9は、本発明の実施の形態における送りベルト位置決め調整機構の第1の構成例の拡大図である。
【0059】
右側送りベルト用開閉軸212上の右側送りベルト位置決めカラー215を、図9(a)の位置から(b)の位置に移動させることにより、右側送りベルト押しバネ216による右側送りベルト用開閉ブロック213への押圧力をP1からP2に変化させることができる。このとき、移動後の押圧力P2は、移動前の押圧力P1よりも強くなる。
【0060】
図10は、本発明の実施の形態における送りベルト位置決め調整機構の第2の構成例の拡大図である。
【0061】
上述の第1の構成例では、調整時に右側送りベルト位置決めカラー215の右側送りベルト用開閉軸212に対する固定を緩める必要が有り、その際に右側送りベルト押しバネ216からの反発力によって右側送りベルト位置決めカラー215が動いてしまうため、調整前の状態を保持できなくなり、微調整を行い難いという問題がある。そのため、この第2の構成例では、上述の第1の構成例に加えて、右側送りベルト位置決めカラー215に雄ネジ部分を設け、この雄ネジ上にバネ押し調整ナット217およびバネ押し固定ナット218をさらに備える。そして、雄ネジ上でバネ押し調整ナット217を螺動させることにより、右側送りベルト押しバネ216の圧縮量を変えて、押圧力を微調整できる構造になっている。調整後にバネ押し調整ナット217が動かないように、バネ押し固定ナット218によってダブルナット固定を行うようになっている。
【0062】
すなわち、現状の押圧状態を保持しながらバネ押し調整ナット217を回転させて調整を行うため、現状よりも僅かに強弱をつけるような微調整が容易になる。バネ押し調整ナット217を図10(a)の位置から(b)に移動させることにより、右側送りベルト用開閉ブロック213への押圧力をP3からP4に変化させることができる。このとき、移動後の押圧力P4は、移動前の押圧力P3よりも微妙に強くなる。
【0063】
また、バネ押し調整ナット217の回転角度から調整量を定量的に判断し易くなるという利点もある。例えば、バネ押し調整ナット217が1回転で2mmピッチである場合、半回転ならば1mm押すことができるという定量的判断を行うことが可能である。
【0064】
なお、この例では、バネ押し調整ナット217およびバネ押し固定ナット218の形状を一般的な六角ナット形状としているが、例えば工具無しで手指調整できるように、ナット表面に摩擦抵抗が高くなる表面加工(例えば、ローレット加工など)を施してもよい。
【0065】
このように、本発明の実施の形態では、左側送りベルト用開閉シリンダ111および右側送りベルト用開閉シリンダ211によって左側送りベルト101および右側送りベルト102を一括して押圧または離間させる機構と、左側送りベルト101および右側送りベルト102を常時付勢して押圧作動時の押圧力を微調整する機構とを備える。これにより、各列の包装フィルムまたは左側送りベルト101および右側送りベルト102の状態に合わせてそれぞれの押圧を過不足なく設定することができ、多列の包装機であっても単列の包装機と遜色無い包装品質により製袋することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 多列縦ピロー充填包装機
2 充填物ホッパー
3 充填物計量装置
4 フォーマーガイド
5 充填シュート
6 縦シール装置
7 横シール装置
8 搬出スベリ台
9 制御盤
10 横シールバー
11 カッター
100 送りベルト装置
101 左側送りベルト
102 右側送りベルト
103 送りベルト駆動モーター
104 継ぎ手
105 送りベルト駆動伝達スプライン軸
106 左側送りベルト用駆動ブロック
107 左側送りベルト用駆動マイタギヤ
108 左側送りベルト用従動マイタギヤ
109 左側送りベルト用伝達軸
110 左側送りベルト用プーリ
111 左側送りベルト用開閉シリンダ
112 左側送りベルト用開閉軸
113 左側送りベルト用開閉ブロック
114、115 左側送りベルト位置決めカラー
116 左側送りベルト押しバネ
206 右側送りベルト用駆動ブロック
207 右側送りベルト用駆動マイタギヤ
208 右側送りベルト用従動マイタギヤ
211 右側送りベルト用開閉シリンダ
212 右側送りベルト用開閉軸
213 右側送りベルト用開閉ブロック
214、215 右側送りベルト位置決めカラー
216 右側送りベルト押しバネ
217 バネ押し調整ナット
218 バネ押し固定ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10