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特許7504446演奏支援装置、演奏支援方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】演奏支援装置、演奏支援方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G10G 1/00 20060101AFI20240617BHJP
   G10H 1/00 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
G10G1/00
G10H1/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020161605
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022054513
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】520374922
【氏名又は名称】北出 くるみ
(74)【代理人】
【識別番号】110002446
【氏名又は名称】弁理士法人アイリンク国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】北出 くるみ
【審査官】菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-240379(JP,A)
【文献】特開2007-034115(JP,A)
【文献】特開2017-173640(JP,A)
【文献】特表2008-524656(JP,A)
【文献】特表2011-528127(JP,A)
【文献】国際公開第2018/150647(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10G 1/00-7/02
G10H 1/00-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に表示されている楽譜の小節上を右方向に予め設定された設定速度で現在の演奏位置を示す演奏位置表示を移動させる移動手段と、
前記楽譜の小節上を移動する演奏位置表示を基に演奏されている演奏状態から演奏テンポの情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した演奏テンポの情報を基に前記設定速度を変更する第1変更手段と、
前記演奏位置表示の移動を他の演奏支援装置での演奏位置表示の移動と同期させる同期手段と、
前記第1変更手段が変更した前記設定速度を送信する送信手段と、
他の演奏支援装置の前記送信手段から送信されてきた前記設定速度に自己の現在の設定速度を変更する第2変更手段と、
を有する演奏支援装置。
【請求項2】
前記演奏状態を検出する検出手段をさらに有し、
前記取得手段は、前記検出手段の検出結果を基に、前記演奏テンポを推定する請求項1に記載の演奏支援装置。
【請求項3】
前記取得手段は、演奏テンポが変更されたと判断するための予め設定した設定時間分、前記演奏状態を検出し、検出した演奏状態を基に前記演奏テンポの情報を取得する請求項1又は2に記載の演奏支援装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記楽譜の小節上を移動する演奏位置表示を基に演奏されている楽器の演奏状態から当該楽器の演奏テンポの情報を取得する請求項1乃至の何れか1項に記載の演奏支援装置。
【請求項5】
前記楽譜の小節に表示される音符及び休符は、当該音符の音の時間の長さ及び当該休符の休み時間の長さに応じて右隣の音符又は休符との間隔が設定されている請求項1乃至の何れか1項に記載の演奏支援装置。
【請求項6】
移動手段、取得手段、第1変更手段、第2変更手段、送信手段、及び同期手段を有する演奏支援装置による演奏支援方法であって、
前記移動手段が、演奏支援装置の表示部に表示されている楽譜の小節上を右方向に予め設定された設定速度で演奏位置表示を移動させる移動ステップと、
前記取得手段が、前記演奏位置表示を基に演奏されている演奏状態から演奏テンポの情報を取得する取得ステップと、
前記第1変更手段が、前記取得ステップで取得した演奏テンポの情報を基に前記設定速度を変更する第1変更ステップと、
前記同期手段が、前記演奏位置表示の移動を他の演奏支援装置での演奏位置表示の移動と同期させる同期ステップと、
前記送信手段が、前記第1変更ステップで変更した前記設定速度を送信する送信ステップと、
前記第2変更手段が、前記送信ステップで送信されてきた前記設定速度に他の演奏支援装置の現在の設定速度を変更する第2変更ステップと、
を有する演奏支援方法。
【請求項7】
移動手段が、演奏支援装置の表示部に表示されている楽譜の小節上を右方向に予め設定された設定速度で演奏位置表示を移動させる移動ステップと、
取得手段が、前記演奏位置表示を基に演奏されている演奏状態から演奏テンポの情報を取得する取得ステップと、
第1変更手段が、前記取得ステップで取得した演奏テンポの情報を基に前記設定速度を変更する第1変更ステップと、
同期手段が、前記演奏位置表示の移動を他の演奏支援装置での演奏位置表示の移動と同期させる同期ステップと、
送信手段が、前記第1変更ステップで変更した前記設定速度を送信する送信ステップと、
第2変更手段が、前記送信ステップで送信されてきた前記設定速度に他の演奏支援装置の現在の設定速度を変更する第2変更ステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、楽譜上に演奏位置を表示して演奏を支援する技術がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5190157号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、楽譜上の演奏位置の表示が実際の演奏に合致していなかった。これにより、演奏者は、常に楽譜上の演奏位置の表示に従わなければならなかった。
【0005】
本発明の目的は、楽譜上の演奏位置の表示を実際の演奏に合致するように表示することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、表示部に表示されている楽譜の小節上を右方向に予め設定された設定速度で現在の演奏位置を示す演奏位置表示を移動させる移動手段と、前記楽譜の小節上を移動する演奏位置表示を基に演奏されている演奏状態から演奏テンポの情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した演奏テンポの情報を基に前記設定速度を変更する第1変更手段と、前記演奏位置表示の移動を他の演奏支援装置での演奏位置表示の移動と同期させる同期手段と、前記第1変更手段が変更した前記設定速度を送信する送信手段と、他の演奏支援装置の前記送信手段から送信されてきた前記設定速度に自己の現在の設定速度を変更する第2変更手段と、を有する演奏支援装置である。
【0009】
本発明の第の態様では、前記演奏状態を検出する検出手段をさらに有し、前記取得手段は、前記検出手段の検出結果を基に、前記演奏テンポを推定することが好ましい。
【0010】
本発明の第の態様では、前記取得手段は、演奏テンポが変更されたと判断するための予め設定した設定時間分、前記演奏状態を検出し、検出した演奏状態を基に前記演奏テンポの情報を取得することが好ましい。
【0011】
本発明の第の態様では、前記取得手段は、前記楽譜の小節上を移動する演奏位置表示を基に演奏されている楽器の演奏状態から当該楽器の演奏テンポの情報を取得することが好ましい。
【0012】
本発明の第の態様では、前記楽譜の小節に表示される音符及び休符は、当該音符の音の時間の長さ及び当該休符の休み時間の長さに応じて右隣の音符又は休符との間隔が設定されていることが好ましい。
【0013】
前記課題を解決するために、本発明の第の態様は、移動手段、取得手段、第1変更手段、第2変更手段、送信手段、及び同期手段を有する演奏支援装置による演奏支援方法であって、前記移動手段が、演奏支援装置の表示部に表示されている楽譜の小節上を右方向に予め設定された設定速度で演奏位置表示を移動させる移動ステップと、前記取得手段が、前記演奏位置表示を基に演奏されている演奏状態から演奏テンポの情報を取得する取得ステップと、前記第1変更手段が、前記取得ステップで取得した演奏テンポの情報を基に前記設定速度を変更する第1変更ステップと、前記同期手段が、前記演奏位置表示の移動を他の演奏支援装置での演奏位置表示の移動と同期させる同期ステップと、前記送信手段が、前記第1変更ステップで変更した前記設定速度を送信する送信ステップと、前記第2変更手段が、前記送信ステップで送信されてきた前記設定速度に他の演奏支援装置の現在の設定速度を変更する第2変更ステップと、を有する演奏支援方法である。
【0014】
前記課題を解決するために、本発明の第の態様は、移動手段が、演奏支援装置の表示部に表示されている楽譜の小節上を右方向に予め設定された設定速度で演奏位置表示を移動させる移動ステップと、取得手段が、前記演奏位置表示を基に演奏されている演奏状態から演奏テンポの情報を取得する取得ステップと、第1変更手段が、前記取得ステップで取得した演奏テンポの情報を基に前記設定速度を変更する第1変更ステップと、同期手段が、前記演奏位置表示の移動を他の演奏支援装置での演奏位置表示の移動と同期させる同期ステップと、送信手段が、前記第1変更ステップで変更した前記設定速度を送信する送信ステップと、第2変更手段が、前記送信ステップで送信されてきた前記設定速度に他の演奏支援装置の現在の設定速度を変更する第2変更ステップと、をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の前記第1,6,7の態様によれば、演奏支援装置は、当該演奏支援装置を利用して演奏される楽器や歌の演奏テンポに同期させて演奏位置表示を移動させることができる。
また、本発明の前記第1,6,7の態様によれば、演奏支援装置は、自己の演奏位置表示の移動を他の演奏支援装置での演奏位置表示の移動と合致させることができる。
また、本発明の前記第1,6,7の態様によれば、演奏支援装置は、他の演奏支援装置での演奏位置表示の移動速度を変更しても、他の演奏支援装置での演奏位置表示の移動への自己の演奏位置表示の移動の同期を維持できる。
【0018】
本発明の前記第の態様によれば、演奏支援装置は、簡易に楽器や歌の演奏テンポの情報を取得できる。
【0019】
本発明の前記第の態様によれば、演奏支援装置は、一時的な楽器や歌の演奏状態の変化から演奏テンポの情報を取得してしまい取得した演奏テンポの情報が頻繁に変わってしまうようなことを防止できる。
【0020】
本発明の前記第の態様によれば、演奏支援装置は、楽器の演奏テンポの情報を取得することで、楽器の演奏者や楽器の演奏で歌う歌い手に違和感を与えてしまうのを抑制できる。
【0021】
本発明の前記第の態様によれば、演奏者は、楽譜の小節に表示される音符及び休符上を移動する演奏位置表示に合わせて演奏することで、音符の音の時間の長さや休符の休み時間の長さを気にすることなく演奏できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、演奏支援システムの構成例を示すブロック図である。
図2図2は、管理サーバの構成例を示すブロック図である。
図3図3は、サーバ側処理部の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、楽譜データ作成処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、楽譜データ送信処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、携帯通信端末の構成例を示す図である。
図7図7は、端末側処理部の構成例を示すブロック図である。
図8図8は、楽譜決定処理と楽譜表示処理との関係を示す図である。
図9図9は、楽譜決定処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、タッチパネル部への表示例を示す図である。
図11図11は、楽譜表示処理の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、演奏位置調整処理の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、ドラム演奏者の携帯通信端末での表示画面の一例を示す図である。
図14図14は、各楽器の演奏者の携帯通信端末での表示画面の一例を示す図である。
図15図15は、ドラム演奏者の携帯通信端末での表示画面を他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、演奏支援システムを挙げている。
【0024】
(構成)
図1は、演奏支援システム1の構成例を示すブロック図である。
【0025】
図1に示すように、演奏支援システム1は、管理サーバ10、携帯通信端末100、及び振動検出センサ150を有している。管理サーバ10と携帯通信端末100とは、通信手段NWを介して通信可能とされている。通信手段NWは、有線又は無線で接続可能なインターネット回線等の通信網である。
【0026】
この演奏支援システム1では、携帯通信端末100は、楽譜を表示するとともに、その楽譜上に現在演奏すべき演奏位置を示す演奏位置表示を表示する。そして、携帯通信端末100は、楽譜上で移動する演奏位置表示を実際の演奏に応じて調整している。
【0027】
図2は、管理サーバ10の構成例を示すブロック図である。
【0028】
図2に示すように、管理サーバ10は、通信部11、記憶部(以下、サーバ側記憶部という。)12、及び処理部(以下、サーバ側処理部という。)20を有している。ここで、通信部11は、通信手段NWを介して携帯通信端末100等の他の装置との間で通信を行う。サーバ側記憶部12は、HDD等であって、各種データや各種プログラムが記憶されている。サーバ側処理部20は、管理サーバ10における各種処理を実行する。サーバ側処理部20は、例えば、マイクロコンピュータ及びその周辺回路を備え、例えば、CPU、ROM、RAM等によって構成されている。ROMには、1又は2以上のプログラムが格納されている。CPUは、ROMに格納されている1又は2以上のプログラムに従って各種処理を実行する。そして、サーバ側処理部20は、必要に応じて、サーバ側記憶部12に記憶されている各種データや各種プログラム12aに従って各種処理を実行する。また、サーバ側記憶部12には、楽譜データベース12bが記憶されている。楽譜データベース12bには、携帯通信端末100で表示される楽譜データが記憶されている。
【0029】
図3は、サーバ側処理部20の構成例を示すブロック図である。
【0030】
図3に示すように、サーバ側処理部20は、楽譜データ作成処理部21、及び楽譜データ送信処理部22を有している。ここで、楽譜データ作成処理部21は、携帯通信端末100の演奏支援アプリで使用する楽譜データを作成する楽譜データ作成処理を実行する。楽譜データ送信処理部22は、楽譜データ作成処理部21が作成した楽譜データを携帯通信端末100に送信する楽譜データ送信処理を実行する。
【0031】
図4は、楽譜データ作成処理の一例を示すフローチャートである。
【0032】
図4に示すように、先ずステップS1の処理として、楽譜データ作成処理部21は、楽譜データの作成要求があったか否かを判定する。例えば、作成要求は、携帯通信端末100から送信されてくる作成要求だったり、管理サーバ10の管理者からの作成要求だったりする。楽譜データ作成処理部21は、楽譜データの作成要求があると判定すると、ステップS2の処理に進む。
【0033】
ステップS2の処理として、楽譜データ作成処理部21は、楽譜の元データを読み込む。楽譜の元データは、例えば、MusicXMLで作成されている。楽譜データ作成処理部21は、例えば、通信手段NW上の楽譜の元データを管理するデータサーバから楽譜の元データを取得する。また、例えば、楽譜の元データは、他に、mus、musx、sib、xml、PDF、JPEG等によるデータが考えられる。
【0034】
続くステップS3の処理として、楽譜データ作成処理部21は、ステップS2の処理で読み込んだ楽譜の元データに含まれている様々な情報を基に、携帯通信端末100の演奏支援アプリで使用する楽譜データを作成する。具体的には、楽譜データ作成処理部21は、以下のようにして楽譜データを作成する。
【0035】
先ず、楽譜データ作成処理部21は、楽譜の元データに含まれている拍子記号、BPM(Beats Per Minuites)、音符、休符等の情報を基に、隣り合う音符や休符の間隔が音符の音の長さ、休符の長さに合致した間隔になるように当該音符、休符を楽譜上に配置した楽譜出データを作成する。すなわち、楽譜データ作成処理部21は、楽譜上における音符や休符の相対位置を、音符の音の長さ、休符の長さに合致させる。例えば、楽譜データ作成処理部21は、4分の4拍子で、1小節に4部音符が4つ入る場合には、1小節内に4部音符を等間隔に配置する。
【0036】
さらに、楽譜データ作成処理部21は、リピート記号等の反復記号を基に、当該反復記号で指定されている箇所(小節等)を繰り返し表示する楽譜データを作成する。例えば、楽譜データ作成処理部21は、リピート記号で指定されている小節を当該小節に続けて再度表示する楽譜データを作成する。
【0037】
そして、楽譜データ作成処理部21は、楽譜を演奏する各楽器のパート毎の楽譜データを作成する。すなわち、例えば、楽譜データ作成処理部21は、各楽器のコードで楽譜データを作成する。
【0038】
続くステップS4の処理として、楽譜データ作成処理部21は、ステップS3の処理で作成した楽譜データを楽譜データベース12bに記憶する。このとき、楽譜データ作成処理部21は、各楽器の楽譜データを個別に楽譜データベース12bに記憶する。
【0039】
以上のようにして、楽譜データ作成処理部21は、楽譜データの作成要求があったと判定すると、楽譜の元データを読み込み、読み込んだ楽譜の元データを基に、携帯通信端末100の演奏支援アプリで使用する楽譜データを作成する。そして、楽譜データ作成処理部21は、作成した楽譜データを楽譜データベース12bに記憶する。
【0040】
図5は、楽譜データ送信処理の一例を示すフローチャートである。
【0041】
図5に示すように、先ずステップS21の処理として、楽譜データ送信処理部22は、携帯通信端末100からの楽譜データの送信要求があったか否かを判定する。楽譜データ送信処理部22は、楽譜データの送信要求があったと判定すると、ステップS22の処理に進む。
【0042】
ステップS22の処理として、楽譜データ送信処理部22は、送信要求の対象の楽譜データを楽譜データベース12bから取得する。このとき、楽譜データ送信処理部22は、送信要求に付加されている楽譜名、楽器名の情報を基に、送信要求の対象の楽器の楽譜データを楽譜データベース12bから取得する。
【0043】
続くステップS23の処理として、楽譜データ送信処理部22は、ステップS22の処理で取得した楽譜データを、送信要求を送信してきた携帯通信端末100に送信する。
【0044】
以上のようにして、楽譜データ送信処理部22は、携帯通信端末100からの楽譜データの送信要求があったと判定すると、送信要求の対象の楽譜データを楽譜データベース12bから取得し、取得した楽譜データを送信要求を送信してきた携帯通信端末100に送信する。
【0045】
図6は、携帯通信端末100の構成例を示す図である。携帯通信端末100は、携帯可能な通信端末であって、タブレット、又はスマートフォン等の携帯電話である。以下では、携帯通信端末100が、タブレットである場合を例に説明する。
【0046】
図6に示すように、携帯通信端末100は、通信部101、タッチパネル部110、スピーカ102、マイク103、カメラ104、記憶部(以下、端末側記憶部という。)105、及び処理部(以下、端末側処理部という。)120を有している。ここで、通信部101は、有線又は無線で通信手段NWを介して管理サーバ10等の装置との間で通信を行う。例えば、通信部101は、Wi-Fiによって、他の携帯通信端末100との間で通信を行う。タッチパネル部110は、タッチパネル部110における画像表示機能を担う画像表示部111、及びタッチパネル部110における情報入力機能を担う接触検出部112を有している。端末側記憶部105は、例えば、ROM、RAM等である。端末側処理部120は、携帯通信端末100における各種処理を実行する。端末側処理部120は、例えば、マイクロコンピュータ及びその周辺回路を備え、例えば、CPU、ROM、RAM等によって構成されている。ROMには、1又は2以上のプログラムが格納されている。CPUは、ROMに格納されている1又は2以上のプログラムに従って各種処理を実行する。そして、端末側処理部120は、必要に応じて、端末側記憶部105に記憶されている各種データや各種プログラムに従って各種処理を実行する。例えば、端末側記憶部105に記憶されているプログラム105aは、楽譜データを基に楽器の演奏を支援する演奏支援アプリである。本実施形態では、端末側処理部120は、演奏支援アプリに対する使用者の操作に応じて処理を実行する。
【0047】
図7は、端末側処理部120の構成例を示すブロック図である。
【0048】
図7に示すように、端末側処理部120は、楽譜決定処理部121、楽譜表示処理部122、及び演奏位置調整処理部123を有している。ここで、楽譜決定処理部121は、演奏する楽譜を決定する楽譜決定処理を実行する。楽譜表示処理部122は、タッチパネル部110に楽譜を表示し、さらにその楽譜上に演奏位置表示を表示する楽譜表示処理を実行する。演奏位置調整処理部123は、楽譜上での演奏位置表示の移動速度を調整する演奏位置調整処理を実行する。これら楽譜決定処理部121、楽譜表示処理部122、及び演奏位置調整処理部123は、演奏支援アプリの一機能として端末側処理部120にて実現されている。
【0049】
図8は、楽譜決定処理と楽譜表示処理との関係を示す図である。
【0050】
図8に示すように、端末側処理部120では、楽譜決定処理(ステップS41の処理)、楽譜表示処理(ステップS42の処理)の順序で実行される。すなわち、タッチパネル部110が操作されて演奏する楽譜が決定されてから、タッチパネル部110に楽譜が表示されるようになる。
【0051】
図9は、楽譜決定処理の一例を示すフローチャートである。
【0052】
図9に示すように、先ずステップS61の処理として、楽譜決定処理部121は、使用者(例えば、演奏者)から楽譜一覧の表示要求があったか否かを判定する。楽譜決定処理部121は、使用者から楽譜一覧の表示要求があったと判定すると、ステップS62の処理に進む。
【0053】
図10は、タッチパネル部110への表示例を示す図である。
【0054】
図10(A)に示すように、楽譜決定処理部121は、タッチパネル部110の表示画面113に楽譜一覧のボタン113aを表示している。そして、楽譜決定処理部121は、使用者によって楽譜一覧のボタン113aが押されると、楽譜一覧の表示要求があったと判定する。
【0055】
ステップS62の処理として、楽譜決定処理部121は、選択可能な楽譜名のリスト(例えば、曲名の一覧)をタッチパネル部110に表示する。
【0056】
続くステップS63の処理として、楽譜決定処理部121は、使用者によってタッチパネル部110が操作されて、当該タッチパネル部110に表示したリストから楽譜名が選択されたか否かを判定する。楽譜決定処理部121は、タッチパネル部110に表示したリストから楽譜名が選択されたと判定すると、ステップS64の処理に進む。
【0057】
ステップS64の処理として、楽譜決定処理部121は、選択可能な複数の楽器名をタッチパネル部110に表示する。
【0058】
例えば、図10(B)に示すように、楽譜決定処理部121は、タッチパネル部110の表示画面113に選択可能な複数の楽器名のボタを表示する。例えば、楽譜決定処理部121は、ドラム、ギター、ピアノのボタン113b,113c,113dを表示する。
【0059】
続くステップS65の処理として、楽譜決定処理部121は、使用者によってタッチパネル部110が操作されて楽器名が選択されたか否かを判定する。楽譜決定処理部121は、タッチパネル部110に楽器名が選択されたと判定すると、ステップS66の処理に進む。
【0060】
ステップS66の処理として、楽譜決定処理部121は、ステップS63の処理で選択された楽譜名、及びステップS65の処理で選択された楽器名に対応する楽譜データを取得する。ここで、楽譜決定処理部121は、その取得対象の楽譜データが端末側記憶部105に既に保存されていれば、端末側記憶部105から楽譜データを取得する。また、楽譜決定処理部121は、取得対象の楽譜データが端末側記憶部105にまだ保存されていなければ、管理サーバ10に楽譜データの送信要求を送信する。このとき、楽譜決定処理部121は、楽譜名、及び楽器名の情報を付加して送信要求を管理サーバ10に送信する。これにより、管理サーバ10は、楽譜名、及び楽器名に対応する楽譜データを携帯通信端末100を送信し、携帯通信端末100は、その楽譜データを受信し取得する。
【0061】
続くステップS67の処理として、楽譜決定処理部121は、ステップS66の処理で取得した楽譜データを基に、タッチパネル部110に楽譜を表示する。ここで、タッチパネル部110に表示された楽譜は、ステップS63の処理で選択された楽譜名、及びステップS65の処理で選択された楽器名に対応する楽譜になる。
【0062】
以上のようにして、楽譜決定処理部121は、使用者から楽譜一覧の表示要求があったと判定すると、選択可能な楽譜名のリストをタッチパネル部110に表示する。そして、楽譜決定処理部121は、使用者によってリストから楽譜名が選択されたと判定すると、選択可能な複数の楽器名をタッチパネル部110に表示する。そして、楽譜決定処理部121は、使用者によって楽器名が選択されたと判定すると、選択された楽譜名、選択された楽器名に対応する楽譜データを取得し、取得した楽譜データを基にタッチパネル部110に楽譜を表示する。
【0063】
図11は、楽譜表示処理の一例を示すフローチャートである。
【0064】
図11に示すように、先ずステップS81の処理として、楽譜表示処理部122は、使用者の操作によってホストとして選択されたか否かを判定する。楽譜表示処理部122は、ホストとして選択されたと判定すると、ステップS82の処理に進む。一方、楽譜表示処理部122は、ホストとして選択されていないと判定すると、ステップS85の処理に進む。
【0065】
例えば、図10(C)に示すように、楽譜表示処理部122は、タッチパネル部110の表示画面113にホスト、ジョインのボタン113e,113fを表示している。楽譜表示処理部122は、使用者によってホストのボタン113eが押されると、ステップS82の処理に進む。
【0066】
ステップS82の処理として、楽譜表示処理部122は、タッチパネル部110の表示画面に表示している演奏開始ボタンが押されたか否かを判定する。楽譜表示処理部122は、演奏開始ボタンが押されたと判定すると、ステップS83の処理に進む。
【0067】
ステップS83の処理として、楽譜表示処理部122は、演奏開始要求を他の携帯通信端末(ジョインとして選択されている携帯通信端末、以下、ジョイン側携帯通信端末という。)100に送信する。
【0068】
続くステップS84の処理として、楽譜表示処理部122は、演奏処理を実行する。具体的には、演奏処理では、楽譜表示処理部122は、楽譜決定処理でタッチパネル部110に表示した楽譜の五線譜上で演奏位置表示を右方向に移動させる。本例では、演奏位置表示は、縦長の棒形状である。ここで、楽譜表示処理部122は、楽譜データのBPM(Beats Per Minuites)等を基に演奏位置表示の移動速度の設定値を示す移動速度設定値を設定し、設定した移動速度設定値を基に五線譜上で演奏位置表示を移動させている。例えば、BPMが60の場合、演奏位置表示は、楽譜上に表示されている4分音符から当該4分音符の右隣にある音符まで1秒で当該楽譜上を移動する。これより、演奏位置表示は、五線譜上に実際の演奏時間に合致するように配置された音符や休符の上を移動速度設定値に設定された移動速度で移動するようになる。
【0069】
さらに、楽譜表示処理部122は、演奏の進捗に応じて、楽譜を上方向にスクロールさせていく。
【0070】
一方、ステップS85の処理として、楽譜表示処理部122は、使用者の操作によってジョインとして選択されたか否かを判定する。例えば、図10(C)に示したようなタッチパネル部110の表示画面に表示されているジョインのボタン113fが押されたか否かを判定する。楽譜表示処理部122は、ジョインとして選択されると、ステップS86の処理に進む。
【0071】
ステップS86の処理として、楽譜表示処理部122は、他の携帯通信端末(ホストとして選択されている携帯通信端末、以下、ホスト側携帯通信端末という。)100からの演奏開始要求を受信したか否かを判定する。楽譜表示処理部122は、他の携帯通信端末100からの演奏開始要求を受信した判定すると、前述のステップS84の処理に進む。これにより、ジョイン側携帯通信端末100の楽譜表示処理部122は、ホスト側携帯通信端末100の楽譜表示処理部122と同様に、ステップS84の処理として、演奏処理を実行する。
【0072】
以上のようにして、楽譜表示処理部122は、使用者の操作によってホストとして選択され、かつ演奏開始ボタンが押されたと判定すると、演奏開始要求を他の携帯通信端末100(ジョイン側携帯通信端末)100に送信するとともに、演奏処理を実行する。一方、楽譜表示処理部122は、使用者の操作によってジョインとして選択され、かつ他の携帯通信端末(ホスト側携帯通信端末)100からの演奏開始要求を受信したと判定すると、演奏処理を実行する。これにより、ホスト側携帯通信端末100及びジョイン側携帯通信端末100は、ホスト側携帯通信端末100で演奏開始ボタンが押されると同時に演奏処理を実行する。
【0073】
図12は、演奏位置調整処理の一例を示すフローチャートである。
【0074】
図12に示すように、先ずステップS101の処理として、演奏位置調整処理部123は、楽譜表示処理においてホストとして選択されているか否かを判定する。演奏位置調整処理部123は、ホストとして選択されていると判定すると、ステップS102の処理に進む。一方、演奏位置調整処理部123は、ホストとして選択されていないと判定すると、ステップS106の処理に進む。
【0075】
ステップS102の処理として、演奏位置調整処理部123は、振動検出センサ150を基にドラムの振動を検出する。振動検出センサ150は、演奏支援アプリ(演奏位置表示)を基に演奏されているドラムに取り付けられている。また、振動検出センサ150は、携帯通信端末100に有線又は無線で通信可能に接続されている。また、例えば、演奏位置調整処理部123は、予め設定されている時間、ドラムの振動を検出する。例えば、予め設定されている時間は、30秒、1分、3分、5分等である。
【0076】
続くステップS103の処理として、演奏位置調整処理部123は、ステップS102の処理での検出結果を基にドラムの演奏テンポを推定する。例えば、演奏位置調整処理部123は、振動検出センサ150の検出結果から周波数を特定し、その周波数を所定の解析処理することで演奏テンポを算出する。
【0077】
続くステップS104の処理として、演奏位置調整処理部123は、ステップS103の処理で推定した演奏テンポを基に、現在の移動速度設定値を変更する。すなわち、演奏位置調整処理部123は、ステップS103の処理で推定した演奏テンポが遅くなっている場合には、その演奏テンポに合致するように演奏位置表示の移動速度が遅くなる移動速度設定値に変更する。一方、演奏位置調整処理部123は、ステップS103の処理で推定した演奏テンポが早くなっている場合には、その演奏テンポに合致するように演奏位置表示の移動速度が早くなる移動速度設定値に変更する。
【0078】
続くステップS105の処理として、演奏位置調整処理部123は、設定変更要求をステップS104の処理で変更した移動速度設定値を付加して他の携帯通信端末(ジョイン側携帯通信端末)100に送信する。
【0079】
一方、ステップS106の処理として、演奏位置調整処理部123は、楽譜表示処理においてジョインとして選択されているか否かを判定する。演奏位置調整処理部123は、ジョインとして選択されていると判定すると、ステップS107の処理に進む。一方、演奏位置調整処理部123は、ジョインとして選択されていないと判定すると、当該演奏位置調整処理を終了する。
【0080】
ステップS107の処理として、演奏位置調整処理部123は、他の携帯通信端末(ホスト側携帯通信端末)100から設定変更要求を受信したか否かを判定する。演奏位置調整処理部123は、他の携帯通信端末(ホスト側携帯通信端末)100から設定変更要求を受信したと判定すると、ステップS108の処理に進む。
【0081】
ステップS108の処理として、演奏位置調整処理部123は、ステップS107の処理で受信したと判定した設定変更要求に付加されている移動速度設定値に現在の移動速度設定値を変更する。
【0082】
以上のようにして、演奏位置調整処理部123は、楽譜表示処理においてホストとして選択されていると判定すると、振動検出センサ150によって演奏に参加しているドラムの振動を検出し、その検出結果を基にドラムの演奏テンポを推定する。そして、演奏位置調整処理部123は、推定した演奏テンポを基に、移動速度設定値を変更するとともに、変更した移動速度設定値を付加した設定変更要求をジョイン側携帯通信端末100に送信する。一方、演奏位置調整処理部123は、楽譜表示処理においてジョインとして選択され、ホスト側携帯通信端末100から設定変更要求を受信したと判定すると、設定変更要求に付加されている移動速度設定値に現在の移動速度設定値を変更する。
【0083】
(動作、作用等)
次に、演奏支援システム1の動作、及びその作用等の一例について説明する。ここでは、複数の楽器の生演奏でカラオケを提供する場合を例に説明する。
【0084】
(楽譜データの作成)
管理サーバ10では、楽譜データ作成処理部21は、楽譜データの作成要求があると、楽譜の元データを読み込み、読み込んだ楽譜の元データを基に、携帯通信端末100の演奏支援アプリで使用する楽譜データを作成する。そして、楽譜データ作成処理部21は、作成した楽譜データを楽譜データベース12bに記憶する。
【0085】
このような処理によって、携帯通信端末100の使用者や管理サーバ10の管理者等は、管理サーバ10に楽譜データの作成要求をすることで、管理サーバ10にMusicXML等の楽譜の元データから演奏支援アプリ用の楽譜データを作成させることができる。
【0086】
(楽譜データの取得)
【0087】
一方、携帯通信端末100では、楽譜決定処理部121は、使用者から楽譜一覧の表示要求があると、選択可能な楽譜名のリストをタッチパネル部110に表示する。そして、楽譜決定処理部121は、使用者によってリストから楽譜名が選択されると、続いて選択可能な複数の楽器名をタッチパネル部110に表示する。そして、楽譜決定処理部121は、使用者によって楽器名が選択されると、選択された楽譜名、選択された楽器名に対応する楽譜データを取得し、取得した楽譜データを基にタッチパネル部110に楽譜を表示する。
【0088】
ここで、楽譜決定処理部121は、取得対象の楽譜データが端末側記憶部105に保存されていなければ、管理サーバ10に楽譜データの送信要求を送信する。これに対して、管理サーバ10側では、楽譜データ送信処理部22は、携帯通信端末100からの楽譜データの送信要求があると、送信要求の対象の楽譜データを楽譜データベース12bから取得し、取得した楽譜データを送信要求を送信してきた携帯通信端末100に送信する。このようにして、楽譜決定処理部121は、使用者によって選択された楽譜名、楽器名に対応する楽譜データを取得する。
【0089】
このような処理によって、演奏に参加する演奏者(使用者)は、演奏を開始する前に携帯通信端末100に演奏対象の楽譜の楽譜データを取得し、取得した楽譜データを基にタッチパネル部110に楽譜を表示させることができる。
【0090】
(楽譜データを利用した演奏)
そして、携帯通信端末100では、楽譜表示処理部122は、使用者の操作によってホストとして選択され、かつ演奏開始ボタンが押されると、演奏開始要求を他の携帯通信端末100(ジョイン側携帯通信端末)100に送信するとともに、演奏処理を実行する。一方、楽譜表示処理部122は、使用者の操作によってジョインとして選択され、かつ他の携帯通信端末(ホスト側携帯通信端末)100からの演奏開始要求を受信すると、演奏処理を実行する。これにより、ホスト側携帯通信端末100及びジョイン側携帯通信端末100は、ホスト側携帯通信端末100で演奏開始ボタンが押されると同時に演奏処理を実行する。
【0091】
このような処理によって、ホストになる演奏者(使用者)は、携帯通信端末100のタッチパネル部110を操作してホストを選択し、演奏開始ボタンを押すことで、自己の携帯通信端末100の演奏支援アプリによる演奏支援のための表示を始動させることができる。また、ジョインになる演奏者は、携帯通信端末100のタッチパネル部110を操作してジョインを選択している状態で、ホスト側携帯通信端末100で演奏開始ボタンが押されると、自己の携帯通信端末100の演奏支援アプリによる演奏支援のための表示をホスト側携帯通信端末100の表示に同期させて始動させることができる。
【0092】
図13は、ドラム演奏者の携帯通信端末100での表示画面200の一例を示す図である。図13中の(A)から(B)への変化として示すように、演奏処理によって、ドラム演奏者の携帯通信端末100での表示画面200では、表示されている楽譜201の五線譜202上を演奏位置表示(縦長の棒形状の表示)211が移動(同図中矢示する方向に移動)する。
【0093】
図14は、各楽器の演奏者の携帯通信端末100での表示画面200の一例を示す図である。図14中(A)は、ドラム演奏者の携帯通信端末100での表示画面200の一例を示す。図14中(B)は、ギター演奏者の携帯通信端末100での表示画面200の一例を示す。図14中(C)は、ピアノ演奏者の携帯通信端末100での表示画面200の一例を示す。例えば、ドラムがホストとなり、ギター、ピアノがジョインとなる場合について説明する。
【0094】
図14中(A)に示すように、演奏処理によって、ドラム演奏者の携帯通信端末100での表示画面200では、表示されている楽譜201の五線譜202上を演奏位置表示211が移動(同図中矢示する方向に移動)する。そして、図14中(B)及び(C)に示すように、演奏処理によって、ギター演奏者及びピアノ演奏者の携帯通信端末100での表示画面200では、表示されている楽譜201の五線譜202上を演奏位置表示212,213が移動(同図中矢示する方向に移動)する。このとき、各演奏位置表示211,212,213は、演奏開始タイミングで同時に移動を開始し五線譜202上を同じ速度で移動するため、各楽器の演奏タイミングでは五線譜202上で同じ演奏位置に位置されるようになる。
【0095】
また、楽譜表示処理部122は、演奏処理では、演奏の進捗に応じて、楽譜を上方向にスクロールさせていく。
【0096】
図15は、ドラム演奏者の携帯通信端末100での表示画面200を一例を示す図である。図15中の(A)、(B)、(C)への変化として示すように、演奏の進捗に応じて、表示画面200内で楽譜201全体が上方向にスクロールする。なお、図示しないが、ギター演奏者及びピアノ演奏者の携帯通信端末100でも同様に、演奏の進捗に応じて、表示画面200内で楽譜201全体が上方向にスクロールする。
【0097】
(演奏位置表示の調整)
一方、携帯通信端末100では、演奏位置調整処理部123は、楽譜表示処理においてホストとして選択されていると、ドラムの振動を検出し、その検出結果を基にドラムの演奏テンポを推定する。そして、演奏位置調整処理部123は、推定した演奏テンポを基に、演奏表示処理で現在使われている移動速度設定値を変更するとともに、変更後の移動速度設定値を付加した設定変更要求をジョイン側携帯通信端末100に送信する。一方、演奏位置調整処理部123は、楽譜表示処理においてジョインとして選択され、ホスト側携帯通信端末100から設定変更要求を受信すると、設定変更要求に付加されている移動速度設定値に演奏表示処理で現在使われている移動速度設定値を変更する。
【0098】
これによって、ホスト側携帯通信端末100及びジョイン側携帯通信端末100の楽譜表示処理部122は、ドラムの振動に基づく演奏テンポに合致する移動速度で五線譜上を演奏位置表示を移動させる。
【0099】
これにより、例えば、図13中の(B)から(C)への変化として示すように、ドラム演奏者の携帯通信端末100での表示画面200では、楽譜201の五線譜202上を移動する演奏位置表示211の移動速度が遅くなる。そして、このような演奏位置表示211の移動速度に同期するため、図示しないが、ギター演奏者及びピアノ演奏者の携帯通信端末100でも同様に、楽譜201の五線譜202上を移動する演奏位置表示212,213の移動速度が遅くなる。
【0100】
(本実施形態における効果)
(1)演奏支援システム1は、携帯通信端末100を利用して演奏される楽器の演奏テンポに同期させて演奏位置表示を移動させることができる。
【0101】
例えば、楽器の生演奏でカラオケを提供する場合、楽器の生演奏の演奏テンポから歌い手の歌うテンポがずれてしまうことがある。このような場合でも、プロの演奏者は、楽器の演奏テンポを、歌うテンポに合わせることが多い。演奏支援システム1は、このように楽器の演奏テンポが歌うテンポに合わせられることで、演奏位置表示の移動速度が楽器の演奏テンポに合致したものになる。その結果、演奏者は、演奏位置表示の移動に合わせて演奏するだけで、歌い手の歌うテンポに合わせて演奏し続けることができるようになる。
【0102】
例えば、楽器の演奏テンポではなく歌い手の歌うテンポに演奏位置表示の移動速度を合致させるようなことも考えられる。しかし、通常、プロの演奏者は、歌い手の歌うテンポだけでなく様々な状況を考えて楽器の演奏テンポを決めている。これに対して、歌い手の歌うテンポだけに着目して演奏位置表示の移動速度を合致させるようにしてしまうと、演奏者は、自身の演奏テンポと異なるその演奏位置表示の移動に違和感を感じてしまう。さらに、歌い手自身も、歌うテンポを頻繁に変えることもあり、それに合わせて楽器の演奏テンポもダイレクトに反応してしまうと、その演奏が歌い手に違和感を与えてしまうこともある。これに対して、本実施形態では、演奏位置表示の移動速度が楽器の演奏テンポに合致したものになるため、演奏位置表示の移動が演奏者に違和感を与えてしまったり、演奏が歌い手に違和感を与えてしまったりするようなことを抑制できる。
【0103】
(2)演奏支援システム1は、一の携帯通信端末100での演奏位置表示の移動を他の携帯通信端末100での演奏位置表示の移動と合致させることができる。
【0104】
(3)演奏支援システム1は、一の携帯通信端末100での演奏位置表示の移動速度を変更しても、一の携帯通信端末100での演奏位置表示の移動への他の携帯通信端末100の演奏位置表示の移動の同期を維持できる。
【0105】
(4)演奏支援システム1は、楽器の演奏状態をセンサで検出し、検出した検出結果を基に演奏テンポを推定するため、簡易に楽器の演奏テンポの情報を取得できる。
【0106】
(5)演奏支援システム1は、演奏テンポが変更されたと判断するための予め設定した設定時間を用いることによって、一時的な楽器の演奏状態の変化から演奏テンポの情報を取得してしまい取得した演奏テンポの情報が頻繁に変わってしまうようなことを防止できる。
【0107】
(6)演奏者は、楽譜の小節に表示される音符及び休符上を移動する演奏位置表示に合わせて演奏することで、音符の音の時間の長さや休符の休み時間の長さを気にすることなく演奏できる。
【0108】
なお、前述の実施形態では、楽譜表示処理部122は、例えば、移動手段、取得手段、同期手段を構成している。また、演奏位置調整処理部123は、例えば、第1及び第2変更手段を構成している。また、通信部101は、例えば、送信手段を構成している。また、振動検出センサ150は、例えば、検出手段を構成している。
【0109】
(本実施形態の変形例等)
前記の実施形態の他の例として、演奏支援システム1は、楽器に限定されない演奏状態、すなわち例えば、歌い手の歌の演奏状態(歌うリズム等)から演奏テンポの情報を取得することもできる。この場合、歌い手の歌は、携帯通信端末100を基にした楽器の演奏で歌う歌であったり、歌い手も携帯通信端末100を有して、当該携帯通信端末100に表示されている演奏位置表示に基づく歌であったりする。
【0110】
また、前記の実施形態の他の例として、演奏支援システム1は、振動センサではなく音センサが検出した楽器や歌の音から演奏テンポを推定することができる。
【0111】
また、前記の実施形態の他の例として、演奏支援システム1は、ドラム以外の他の楽器の演奏状態から演奏テンポを推定することができる。
【0112】
また、前記の実施形態の他の例として、演奏支援システム1は、複数の楽器の各演奏状態の組み合わせ、又は楽器と歌の各演奏状態の組み合わせを基に、演奏テンポの情報を取得することができる。
【0113】
また、前記の実施形態の他の例として、演奏支援システム1は、複数の携帯通信端末100の間で通信を行い、複数の携帯通信端末100で表示されている演奏位置表示の移動を所定時間間隔で監視して、複数の携帯通信端末100で表示されている演奏位置表示の移動を同期することができる。これにより、演奏支援システム1は、より高い精度で、複数の携帯通信端末100で表示されている演奏位置表示の移動を同期できる。
【0114】
また、前記の実施形態の他の例として、演奏支援システム1は、1台の携帯通信端末100だけで構成することもできる。この場合でも、携帯通信端末100は、当該携帯通信端末100を利用して演奏される楽器の演奏テンポに同期させて演奏位置表示を移動させることができる。これにより、演奏者が歌い手の歌うテンポに演奏テンポを合わせる負担が軽減される。
【0115】
また、前述の実施形態では、表示部に表示されている楽譜の小節上を右方向に予め設定された設定速度で演奏位置表示を移動させる移動ステップと、前記演奏位置表示を基に演奏されている演奏状態から演奏テンポの情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得した演奏テンポの情報を基に前記設定速度を変更する変更ステップと、を有する演奏支援方法が実現されている。
【0116】
また、前述の実施形態では、移動手段が、表示部に表示されている楽譜の小節上を右方向に予め設定された設定速度で演奏位置表示を移動させる移動ステップと、取得手段が、前記演奏位置表示を基に演奏されている演奏状態から演奏テンポの情報を取得する取得ステップと、変更手段が、前記取得ステップで取得した演奏テンポの情報を基に前記設定速度を変更する変更ステップと、をコンピュータに実行させるプログラムが実現されている。
【0117】
また、本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0118】
1 演奏支援システム、10 管理サーバ、100 携帯通信端末、120 端末側処理部、121 楽譜決定処理部、122 楽譜表示処理部、123 演奏位置調整処理部、200 振動検出センサ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15