IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社KMCの特許一覧

特許7504450ミスフィード検出装置、ミスフィード検出方法及びミスフィード検出システム
<>
  • 特許-ミスフィード検出装置、ミスフィード検出方法及びミスフィード検出システム 図1
  • 特許-ミスフィード検出装置、ミスフィード検出方法及びミスフィード検出システム 図2
  • 特許-ミスフィード検出装置、ミスフィード検出方法及びミスフィード検出システム 図3
  • 特許-ミスフィード検出装置、ミスフィード検出方法及びミスフィード検出システム 図4
  • 特許-ミスフィード検出装置、ミスフィード検出方法及びミスフィード検出システム 図5
  • 特許-ミスフィード検出装置、ミスフィード検出方法及びミスフィード検出システム 図6
  • 特許-ミスフィード検出装置、ミスフィード検出方法及びミスフィード検出システム 図7
  • 特許-ミスフィード検出装置、ミスフィード検出方法及びミスフィード検出システム 図8
  • 特許-ミスフィード検出装置、ミスフィード検出方法及びミスフィード検出システム 図9
  • 特許-ミスフィード検出装置、ミスフィード検出方法及びミスフィード検出システム 図10
  • 特許-ミスフィード検出装置、ミスフィード検出方法及びミスフィード検出システム 図11
  • 特許-ミスフィード検出装置、ミスフィード検出方法及びミスフィード検出システム 図12
  • 特許-ミスフィード検出装置、ミスフィード検出方法及びミスフィード検出システム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】ミスフィード検出装置、ミスフィード検出方法及びミスフィード検出システム
(51)【国際特許分類】
   B21D 43/00 20060101AFI20240617BHJP
   B21D 43/02 20060101ALI20240617BHJP
   B21D 43/04 20060101ALI20240617BHJP
   B65H 43/00 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B21D43/00 B
B21D43/02 E
B21D43/04 B
B65H43/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020176643
(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公開番号】P2022067824
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】512319232
【氏名又は名称】株式会社KMC
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】安部 新一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 声喜
【審査官】後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-047689(JP,A)
【文献】特開平4-333331(JP,A)
【文献】実開昭48-36474(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 43/00-45/10
B65H 7/00-7/20,43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイロットピンを有する第1の型及び前記パイロットピンを受けるパイロット受け穴を有する第2の型の間でフィードされ、前記パイロットピンを挿入可能なパイロット穴が形成された材料のミスフィードを検出するミスフィード検出装置であって、
前記材料が第1の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触することで発生する前記パイロットピンの第1の変形により生じる第1の荷重を検出し、
前記材料が前記第1の方向と逆方向の第2の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触することで発生する前記パイロットピンの前記第1の変形と異なる第2の変形により生じる前記第1の荷重と異なる第2の荷重を、前記第1の荷重と区別して検出する
荷重センサと、
前記パイロットピンに固定され、第1の部位と、前記第1の部位に対して独立して変位可能な第2の部位と、を有する治具と
を具備し、
前記荷重センサは、前記治具に封止され、
前記治具は、
前記パイロットピンの前記第1の変形に伴って、前記第1の部位に対する前記第2の部位の相対的な変位を含む第3の変形を発生し、
前記パイロットピンの前記第2の変形に伴って、前記第1の部位に対する前記第2の部位の相対的な変位を含み、前記第3の変形と異なる第4の変形を発生し、
前記荷重センサは、前記治具の前記第3の変形により生じる前記第1の荷重と、前記治具の前記第4の変形により生じる前記第2の荷重とを、区別して検出する
ミスフィード検出装置。
【請求項2】
パイロットピンを有する第1の型及び前記パイロットピンを受けるパイロット受け穴を有する第2の型の間でフィードされ、前記パイロットピンを挿入可能なパイロット穴が形成された材料のミスフィードを検出するミスフィード検出装置であって、
前記材料が第1の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触することで発生する前記パイロットピンの第1の変形により生じる第1の荷重を検出し、
前記材料が前記第1の方向と逆方向の第2の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触することで発生する前記パイロットピンの前記第1の変形と異なる第2の変形により生じる前記第1の荷重と異なる第2の荷重を、前記第1の荷重と区別して検出する
荷重センサと、
前記パイロットピンに固定され、前記パイロットピンの前記第1の変形に伴って第3の変形を発生し、前記パイロットピンの前記第2の変形に伴って前記第3の変形と異なる第4の変形を発生する治具と
を具備し、
前記荷重センサは、前記治具に封止され、前記治具の前記第3の変形により生じる前記第1の荷重と、前記治具の前記第4の変形により生じる前記第2の荷重とを、区別して検出し、
前記治具は、
前記パイロットピンが軸方向に圧入され固定される貫通孔と、
前記貫通孔に対して前記第2の方向に隣接し、前記荷重センサが封止される荷重センサ封止プレートと、を有し、
前記材料が前記第1の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触すると、
前記第1の変形として、前記パイロットピンが前記第1の方向に変形し、
前記第3の変形として、前記荷重センサ封止プレートが前記第1の方向に伸長し、
前記荷重センサは、前記荷重センサ封止プレートが前記第1の方向に伸長することにより生じる前記第1の荷重を検出し、
前記材料が前記第2の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触すると、
前記第2の変形として、前記パイロットピンが前記第2の方向に変形し、
前記第4の変形として、前記荷重センサ封止プレートが前記第2の方向に収縮し、
前記荷重センサは、前記荷重センサ封止プレートが前記第2の方向に収縮することにより生じる前記第2の荷重を検出する
ミスフィード検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のミスフィード検出装置であって、
前記荷重センサに接続された信号送信部をさらに具備し、
前記荷重センサは、
前記第1の荷重を検出すると、前記第1の荷重の大きさを示す第1の信号を、前記信号送信部を介して出力し、
前記第2の荷重を検出すると、前記第1の信号と異なり、前記第2の荷重の大きさを示す第2の信号を、前記信号送信部を介して出力する
ミスフィード検出装置。
【請求項4】
請求項に記載のミスフィード検出装置であって、
前記治具は、
前記パイロットピンの軸と直交する第1のリブ及び第2のリブと、前記軸と平行な第3のリブ及び第4のリブとを有し、前記第1のリブ、前記第2のリブ、前記第3のリブ及び前記第4のリブが成す矩形の面が前記軸と平行であるフレームと、
前記第1のリブを前記フレームと共有し、前記パイロットピンが軸方向に圧入され固定される第1の貫通孔を有する、第1のプレートと、
前記第2のリブを前記フレームと共有し、前記パイロットピンが前記軸方向に圧入され固定される第2の貫通孔を有する、第2のプレートと、
前記第1のリブの一部を固定端とし、前記第2のリブ及び前記第3のリブに空間を開けて対向する、前記第1の部位である、第1の片持ちプレートと、
前記第2のリブの一部を固定端とし、前記第1のリブ及び前記第4のリブに空間を開けて対向する、前記第1の片持ちプレートに所定距離の隙間を空けて対向し、前記第2の部位である、第2の片持ちプレートと、を有し、
前記荷重センサは、前記隙間をまたいで前記第1の片持ちプレート及び前記第2の片持ちプレートに封止され、
前記材料が前記第1の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触すると、
前記第1の変形として、前記パイロットピンが前記第1の方向に変形し、
前記第3の変形として、前記第2のプレートが前記第1の方向に変位し、前記第3のリブ及び前記第4のリブが前記第1の方向に変形し、前記第2の片持ちプレートが前記第1の方向に変位し、前記第1の片持ちプレート及び前記第2の片持ちプレートとの間の距離が前記所定距離より大きくなり、
前記荷重センサは、前記第1の片持ちプレート及び前記第2の片持ちプレートとの間の距離が前記所定距離より大きくなることにより生じる前記第1の荷重を検出し、
前記材料が前記第2の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触すると、
前記第2の変形として、前記パイロットピンが前記第2の方向に変形し、
前記第4の変形として、前記第2のプレートが前記第2の方向に変位し、前記第3のリブ及び前記第4のリブが前記第2の方向に変形し、前記第2の片持ちプレートが前記第2の方向に変位し、前記第1の片持ちプレート及び前記第2の片持ちプレートとの間の距離が前記所定距離より小さくなり、
前記荷重センサは、前記第1の片持ちプレート及び前記第2の片持ちプレートとの間の距離が前記所定距離より小さくなることにより生じる前記第2の荷重を検出する
ミスフィード検出装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のミスフィード検出装置であって、
前記治具は、前記パイロットピンの前記第1の方向側の側面に接合されたプレートであり、
前記荷重センサは、前記治具に封止され、
前記材料が前記第1の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触すると、
前記第1の変形として、前記パイロットピンが前記第1の方向に変形し、
前記第3の変形として、前記治具が前記第1の方向に収縮し、
前記荷重センサは、前記治具が前記第1の方向に収縮することにより生じる前記第1の荷重を検出し、
前記材料が前記第2の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触すると、
前記第2の変形として、前記パイロットピンが前記第2の方向に変形し、
前記第4の変形として、前記治具が前記第2の方向に伸長し、
前記荷重センサは、前記治具が前記第2の方向に伸長することにより生じる前記第2の荷重を検出する
ミスフィード検出装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のミスフィード検出装置であって、
前記荷重センサは、前記パイロットピンの前記第1の方向側の側面に封止され、
前記材料が前記第1の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触すると、
前記第1の変形として、前記パイロットピンが前記第1の方向に変形し、
前記荷重センサは、前記パイロットピンが前記第1の方向に変形することにより生じる前記第1の荷重を検出し、
前記材料が前記第2の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触すると、
前記第2の変形として、前記パイロットピンが前記第2の方向に変形し、
前記荷重センサは、前記パイロットピンが前記第2の方向に変形することにより生じる前記第2の荷重を検出する
ミスフィード検出装置。
【請求項7】
請求項1乃至の何れか一項に記載のミスフィード検出装置であって、
前記第1の方向は、前記材料がフィードされる方向に対して進んだ方向であり、
前記第2の方向は、前記材料がフィードされる方向に対して遅れた方向である
ミスフィード検出装置。
【請求項8】
請求項1乃至の何れか一項に記載のミスフィード検出装置であって、
前記第1の方向及び前記第2の方向は、それぞれ、前記材料がフィードされる方向に直交する方向である
ミスフィード検出装置。
【請求項9】
パイロットピンを有する第1の型及び前記パイロットピンを受けるパイロット受け穴を有する第2の型の間でフィードされ、前記パイロットピンを挿入可能なパイロット穴が形成された材料のミスフィードを、ミスフィード検出装置を用いて検出するミスフィード検出方法であって、
前記ミスフィード検出装置は、
前記材料が第1の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触することで発生する前記パイロットピンの第1の変形により生じる第1の荷重を検出し
前記材料が前記第1の方向と逆方向の第2の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触することで発生する前記パイロットピンの前記第1の変形と異なる第2の変形により生じる前記第1の荷重と異なる第2の荷重を検出する
荷重センサと、
前記パイロットピンに固定され、第1の部位と、前記第1の部位に対して独立して変位可能な第2の部位と、を有する治具と
を有し、
前記荷重センサは、前記治具に封止され、
前記ミスフィード検出方法は、
前記治具が、前記パイロットピンの前記第1の変形に伴って、前記第1の部位に対する前記第2の部位の相対的な変位を含む第3の変形を発生し、
前記治具が、前記パイロットピンの前記第2の変形に伴って、前記第1の部位に対する前記第2の部位の相対的な変位を含み、前記第3の変形と異なる第4の変形を発生し、
前記荷重センサが、前記治具の前記第3の変形により生じる前記第1の荷重と、前記治具の前記第4の変形により生じる前記第2の荷重とを、区別して検出する
ミスフィード検出方法。
【請求項10】
パイロットピンを有する第1の型及び前記パイロットピンを受けるパイロット受け穴を有する第2の型の間でフィードされ、前記パイロットピンを挿入可能なパイロット穴が形成された材料のミスフィードを、ミスフィード検出装置を用いて検出するミスフィード検出方法であって、
前記ミスフィード検出装置は、
前記材料が第1の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触することで発生する前記パイロットピンの第1の変形により生じる第1の荷重を検出し、
前記材料が前記第1の方向と逆方向の第2の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触することで発生する前記パイロットピンの前記第1の変形と異なる第2の変形により生じる前記第1の荷重と異なる第2の荷重を、前記第1の荷重と区別して検出する
荷重センサと、
前記パイロットピンに固定され、前記パイロットピンの前記第1の変形に伴って第3の変形を発生し、前記パイロットピンの前記第2の変形に伴って前記第3の変形と異なる第4の変形を発生する治具と
を有し、
前記荷重センサは、前記治具に封止され、前記治具の前記第3の変形により生じる前記第1の荷重と、前記治具の前記第4の変形により生じる前記第2の荷重とを、区別して検出し、
前記治具は、
前記パイロットピンが軸方向に圧入され固定される貫通孔と、
前記貫通孔に対して前記第2の方向に隣接し、前記荷重センサが封止される荷重センサ封止プレートと、を有し、
前記ミスフィード検出方法は、
前記材料が前記第1の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触すると、
前記第1の変形として、前記パイロットピンが前記第1の方向に変形し、
前記第3の変形として、前記荷重センサ封止プレートが前記第1の方向に伸長し、
前記荷重センサが、前記荷重センサ封止プレートが前記第1の方向に伸長することにより生じる前記第1の荷重を検出し、
前記材料が前記第2の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触すると、
前記第2の変形として、前記パイロットピンが前記第2の方向に変形し、
前記第4の変形として、前記荷重センサ封止プレートが前記第2の方向に収縮し、
前記荷重センサが、前記荷重センサ封止プレートが前記第2の方向に収縮することにより生じる前記第2の荷重を検出する
ミスフィード検出方法。
【請求項11】
荷重センサと、治具と、前記荷重センサに接続された信号送信部とを有し、パイロットピンを有する第1の型及び前記パイロットピンを受けるパイロット受け穴を有する第2の型の間でフィードされ、前記パイロットピンを挿入可能なパイロット穴が形成された材料のミスフィードを検出するミスフィード検出装置と、
前記信号送信部を介して前記荷重センサと接続された制御装置と、
を具備し、
前記荷重センサは、
前記材料が第1の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触することで発生する前記パイロットピンの第1の変形により生じる第1の荷重を検出し、前記第1の荷重を検出すると、前記第1の荷重の大きさを示す第1の信号を、前記信号送信部を介して前記制御装置に出力し、
前記材料が前記第1の方向と逆方向の第2の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触することで発生する前記パイロットピンの前記第1の変形と異なる第2の変形により生じる前記第1の荷重と異なる第2の荷重を、前記第1の荷重と区別して検出し、前記第2の荷重を検出すると、前記第1の信号と異なり、前記第2の荷重の大きさを示す第2の信号を、前記信号送信部を介して前記制御装置に出力し、
前記制御装置は、前記第1の信号及び/又は前記第2の信号に基づき前記材料のフィードを制御する
ミスフィード検出システムであって、
前記治具は、前記パイロットピンに固定され、第1の部位と、前記第1の部位に対して独立して変位可能な第2の部位と、を有し、
前記荷重センサは、前記治具に封止され、
前記治具は、
前記パイロットピンの前記第1の変形に伴って、前記第1の部位に対する前記第2の部位の相対的な変位を含む第3の変形を発生し、
前記パイロットピンの前記第2の変形に伴って、前記第1の部位に対する前記第2の部位の相対的な変位を含み、前記第3の変形と異なる第4の変形を発生し、
前記荷重センサは、前記治具の前記第3の変形により生じる前記第1の荷重と、前記治具の前記第4の変形により生じる前記第2の荷重とを、区別して検出する
ミスフィード検出システム。
【請求項12】
荷重センサと、治具と、前記荷重センサに接続された信号送信部とを有し、パイロットピンを有する第1の型及び前記パイロットピンを受けるパイロット受け穴を有する第2の型の間でフィードされ、前記パイロットピンを挿入可能なパイロット穴が形成された材料のミスフィードを検出するミスフィード検出装置と、
前記信号送信部を介して前記荷重センサと接続された制御装置と、
を具備し、
前記荷重センサは、
前記材料が第1の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触することで発生する前記パイロットピンの第1の変形により生じる第1の荷重を検出し、前記第1の荷重を検出すると、前記第1の荷重の大きさを示す第1の信号を、前記信号送信部を介して前記制御装置に出力し、
前記材料が前記第1の方向と逆方向の第2の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触することで発生する前記パイロットピンの前記第1の変形と異なる第2の変形により生じる前記第1の荷重と異なる第2の荷重を、前記第1の荷重と区別して検出し、前記第2の荷重を検出すると、前記第1の信号と異なり、前記第2の荷重の大きさを示す第2の信号を、前記信号送信部を介して前記制御装置に出力し、
前記制御装置は、前記第1の信号及び/又は前記第2の信号に基づき前記材料のフィードを制御する
ミスフィード検出システムであって、
前記治具は、前記パイロットピンに固定され、前記パイロットピンの前記第1の変形に伴って第3の変形を発生し、前記パイロットピンの前記第2の変形に伴って前記第3の変形と異なる第4の変形を発生し、
前記荷重センサは、前記治具に封止され、前記治具の前記第3の変形により生じる前記第1の荷重と、前記治具の前記第4の変形により生じる前記第2の荷重とを、区別して検出し、
前記治具は、
前記パイロットピンが軸方向に圧入され固定される貫通孔と、
前記貫通孔に対して前記第2の方向に隣接し、前記荷重センサが封止される荷重センサ封止プレートと、を有し、
前記材料が前記第1の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触すると、
前記第1の変形として、前記パイロットピンが前記第1の方向に変形し、
前記第3の変形として、前記荷重センサ封止プレートが前記第1の方向に伸長し、
前記荷重センサは、前記荷重センサ封止プレートが前記第1の方向に伸長することにより生じる前記第1の荷重を検出し、
前記材料が前記第2の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触すると、
前記第2の変形として、前記パイロットピンが前記第2の方向に変形し、
前記第4の変形として、前記荷重センサ封止プレートが前記第2の方向に収縮し、
前記荷重センサは、前記荷重センサ封止プレートが前記第2の方向に収縮することにより生じる前記第2の荷重を検出する
ミスフィード検出システム。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のミスフィード検出システムであって、
複数の前記荷重センサを具備し、
前記複数の荷重センサは、前記材料がフィードされる方向及び/又は前記材料がフィードされる方向に直交する方向に間隔をあけて設置される
ミスフィード検出システム。
【請求項14】
請求項13に記載のミスフィード検出システムであって、
少なくとも1個の前記複数の荷重センサの、
前記第1の方向は、前記材料がフィードされる方向に対して進んだ方向であり、
前記第2の方向は、前記材料がフィードされる方向に対して遅れた方向である
ミスフィード検出システム。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のミスフィード検出装置であって、
少なくとも1個の前記複数の荷重センサの、
前記第1の方向及び前記第2の方向は、それぞれ、前記材料がフィードされる方向に直交する方向である
ミスフィード検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイロットピンを有する第1の型及びパイロットピンを受けるパイロット受け穴を有する第2の型の間でフィードされ、パイロットピンを挿入可能なパイロット穴が形成された材料のミスフィードを検出するミスフィード検出装置、ミスフィード検出方法及びミスフィード検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
順送プレス加工において、材料(例えば、ロール状の金属シート)のミスフィード(送り異常)は、加工ミスの原因となり、金型の破損原因となる。この様なトラブルを未然に防止するため、材料のミスフィードを検出する技術が知られている(非特許文献1及び2)。
【0003】
非特許文献1及び2の技術によれば、ミスフィードされた材料のパイロット穴の縁にミス検出ピンが乗り上げると、ミス検出ピンが上に押し上がり、ミス検出ピンの溝にセットされているリレーションピンが横に押され、検出器を動作させる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】株式会社ミスミ、「可動ピン式ミスフィード検出の設計(材料送り異常の検出 その2)」、[online]、[2020年10月13日検索]、インターネット〈https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/press_mold_design/pr05/c0342.html〉
【文献】株式会社ミスミ、「ミスフィード検出ユニット(標準部品の使い方 その18)」、[online]、[2020年10月13日検索]、インターネット〈https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/press_mold_design/pr04/c0127.html?clkid=clkid_tech_prod_oth1_sc340_20197〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1及び2の技術によれば、材料の強度が不十分である場合、ミスフィードされた材料のパイロット穴の縁にミス検出ピンが接触すると、材料が撓み、ミス検出ピンが材料を押し下げる場合がある。この場合、ミス検出ピンは上方向に移動しないため、リレーションピンは、横に押されないこととなり、検出器を動作させない。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、材料のミスフィードをより正確に検出することが可能なミスフィード検出装置、ミスフィード検出方法及びミスフィード検出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係るミスフィード検出装置は、
パイロットピンを有する第1の型及び前記パイロットピンを受けるパイロット受け穴を有する第2の型の間でフィードされ、前記パイロットピンを挿入可能なパイロット穴が形成された材料のミスフィードを検出するミスフィード検出装置であって、
前記材料が第1の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触することで発生する前記パイロットピンの第1の変形により生じる第1の荷重を検出し、
前記材料が前記1の方向と逆方向の第2の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触することで発生する前記パイロットピンの前記第1の変形と異なる第2の変形により生じる前記第1の荷重と異なる第2の荷重を、前記第1の荷重と区別して検出する
荷重センサ
を具備する。
【0008】
これにより、荷重センサは、材料が、第1の方向にミスフィードされている(即ち、材料が第1の方向に進み過ぎている)のか、第2の方向にミスフィードされている(即ち、材料が第1の方向に対して遅れている)のかを、区別して検出することが出来る。
【0009】
本発明の一形態に係るミスフィード検出装置は、
前記荷重センサに接続された信号送信部をさらに具備し、
前記荷重センサは、
前記第1の荷重を検出すると、前記第1の荷重の大きさを示す第1の信号を、前記信号送信部を介して出力し、
前記第2の荷重を検出すると、前記第1の信号と異なり、前記第2の荷重の大きさを示す第2の信号を、前記信号送信部を介して出力する。
【0010】
これにより、荷重センサは、材料の第1の方向へのミスフィード量(即ち、材料がどれだけ第1の方向に進み過ぎているのか)又は第2の方向へのミスフィード量(即ち、材料がどれだけ遅れているのか)を、区別して検出することが出来る。このため、荷重センサが第1の信号(材料の第1の方向へのミスフィード量を示す)を出力した場合、材料をミスフィード量分だけ第2の方向に遅らせてフィードするように制御することが可能となる。逆に、荷重センサが第2の信号(材料の第2の方向へのミスフィード量を示す)を出力した場合、材料をミスフィード量分だけ第1の方向に進めてフィードするように制御することが可能となる。
【0011】
本発明の第1、第2及び第3の態様によれば、ミスフィード検出装置は、
前記パイロットピンに固定され、前記パイロットピンの前記第1の変形に伴って第3の変形を発生し、前記パイロットピンの前記第2の変形に伴って前記第3の変形と異なる第4の変形を発生する治具
をさらに具備し、
前記荷重センサは、前記治具に封止され、前記治具の前記第3の変形により生じる前記第1の荷重と、前記治具の前記第4の変形により生じる前記第2の荷重とを、区別して検出する。
【0012】
これにより、治具は、材料のミスフィードに伴い発生するパイロットピンの変形を治具の変形に変換する。荷重センサは、治具の変形により生じる荷重を検出することで、材料のミスフィードを検出することができる。
【0013】
本発明の第1の態様によれば、前記治具は、
第1の部位と、
前記第1の部位に対して独立して変位可能な第2の部位と、を有し、
前記治具は、
前記パイロットピンの前記第1の変形に伴って、前記第1の部位に対する前記第2の部位の相対的な変位を含む前記第3の変形を発生し、
前記パイロットピンの前記第2の変形に伴って、前記第1の部位に対する前記第2の部位の相対的な変位を含み、前記第3の変形と異なる前記第4の変形を発生する。
【0014】
これにより、荷重センサは、治具の第1の部位及び第2の部位の相対的な変位の違いを検出することにより、材料の第1の方向へのミスフィード量又は第2の方向へのミスフィード量を、区別して検出することが出来る。
【0015】
本発明の第1の態様によれば、前記治具は、
前記パイロットピンの軸と直交する第1のリブ及び第2のリブと、前記軸と平行な第3のリブ及び第4のリブとを有し、前記第1のリブ、前記第2のリブ、前記第3のリブ及び前記第4のリブが成す矩形の面が前記軸と平行であるフレームと、
前記第1のリブを前記フレームと共有し、前記パイロットピンが軸方向に圧入され固定される第1の貫通孔を有する、第1のプレートと、
前記第2のリブを前記フレームと共有し、前記パイロットピンが前記軸方向に圧入され固定される第2の貫通孔を有する、第2のプレートと、
前記第1のリブの一部を固定端とし、前記第2のリブ及び前記第3のリブに空間を開けて対向する、前記第1の部位である、第1の片持ちプレートと、
前記第2のリブの一部を固定端とし、前記第1のリブ及び前記第4のリブに空間を開けて対向する、前記第1の片持ちプレートに所定距離の隙間を空けて対向し、前記第2の部位である、第2の片持ちプレートと、を有し、
前記荷重センサは、前記隙間をまたいで前記第1の片持ちプレート及び前記第2の片持ちプレートに封止され、
前記材料が前記第1の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触すると、
前記第1の変形として、前記パイロットピンが前記第1の方向に変形し、
前記第3の変形として、前記第2のプレートが前記第1の方向に変位し、前記第3のリブ及び前記第4のリブが前記第1の方向に変形し、前記第2の片持ちプレートが前記第1の方向に変位し、前記第1の片持ちプレート及び前記第2の片持ちプレートとの間の距離が前記所定距離より大きくなり、
前記荷重センサは、前記第1の片持ちプレート及び前記第2の片持ちプレートとの間の距離が前記所定距離より大きくなることにより生じる前記第1の荷重を検出し、
前記材料が前記第2の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触すると、
前記第2の変形として、前記パイロットピンが前記第2の方向に変形し、
前記第4の変形として、前記第2のプレートが前記第2の方向に変位し、前記第3のリブ及び前記第4のリブが前記第2の方向に変形し、前記第2の片持ちプレートが前記第2の方向に変位し、前記第1の片持ちプレート及び前記第2の片持ちプレートとの間の距離が前記所定距離より小さくなり、
前記荷重センサは、前記第1の片持ちプレート及び前記第2の片持ちプレートとの間の距離が前記所定距離より小さくなることにより生じる前記第2の荷重を検出する。
【0016】
荷重センサは、隙間をまたいで第1の片持ちプレート及び第2の片持ちプレートに設置される。これにより、材料が第1の方向にミスフィードされたときに、荷重センサの第2の片持ちプレート側が、第1の方向に引っ張られて伸長する。荷重センサは、荷重センサ自体が第1の方向に引っ張られる荷重及びその引張り量を、第1の荷重として検出する。これにより、荷重センサは、材料の第1の方向へのミスフィード量(即ち、材料がどれだけ第1の方向に進み過ぎているのか)を検出できる。一方、材料が第2の方向にミスフィードされたときに、荷重センサの第2の片持ちプレート側が、第2の方向に収縮する。荷重センサは、荷重センサ自体が第2の方向に収縮する荷重及びその収縮量を、第2の荷重として検出する。これにより、荷重センサは、材料の第2の方向へのミスフィード量(即ち、材料がどれだけ第1の方向に対して遅れているのか)を検出できる。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、前記治具は、
前記パイロットピンが軸方向に圧入され固定される貫通孔と、
前記貫通孔に対して前記第2の方向に隣接し、前記荷重センサが封止される荷重センサ封止プレートと、を有し、
前記材料が前記第1の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触すると、
前記第1の変形として、前記パイロットピンが前記第1の方向に変形し、
前記第3の変形として、前記荷重センサ封止プレートが前記第1の方向に伸長し、
前記荷重センサは、前記荷重センサ封止プレートが前記第1の方向に伸長することにより生じる前記第1の荷重を検出し、
前記材料が前記第2の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触すると、
前記第2の変形として、前記パイロットピンが前記第2の方向に変形し、
前記第4の変形として、前記荷重センサ封止プレートが前記第2の方向に収縮し、
前記荷重センサは、前記荷重センサ封止プレートが前記第2の方向に収縮することにより生じる前記第2の荷重を検出する。
【0018】
これにより、材料が第1の方向にミスフィードされたときに、荷重センサは、第1の方向に引っ張られて伸長する。荷重センサは、荷重センサ自体が第1の方向に引っ張られる荷重及びその引張り量を、第1の荷重として検出する。これにより、荷重センサは、材料の第1の方向へのミスフィード量(即ち、材料がどれだけ第1の方向に進み過ぎているのか)を検出できる。一方、材料が第2の方向にミスフィードされたときに、荷重センサは、第2の方向に収縮する。荷重センサは、荷重センサ自体が第2の方向に収縮する荷重及びその収縮量を、第2の荷重として検出する。これにより、荷重センサは、材料の第2の方向へのミスフィード量(即ち、材料がどれだけ第1の方向に対して遅れているのか)を検出できる。
【0019】
本発明の第3の態様によれば、前記治具は、前記パイロットピンの前記第1の方向側の側面に接合されたプレートであり、
前記荷重センサは、前記治具に封止され、
前記材料が前記第1の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触すると、
前記第1の変形として、前記パイロットピンが前記第1の方向に変形し、
前記第3の変形として、前記治具が前記第1の方向に収縮し、
前記荷重センサは、前記治具が前記第1の方向に収縮することにより生じる前記第1の荷重を検出し、
前記材料が前記第2の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触すると、
前記第2の変形として、前記パイロットピンが前記第2の方向に変形し、
前記第4の変形として、前記治具が前記第2の方向に伸長し、
前記荷重センサは、前記治具が前記第2の方向に伸長することにより生じる前記第2の荷重を検出する。
【0020】
これにより、材料が第1の方向にミスフィードされたときに、荷重センサは、第1の方向に収縮する。荷重センサは、荷重センサ自体が第1の方向に収縮する荷重及びその収縮量を、第1の荷重として検出する。これにより、荷重センサは、材料の第1の方向へのミスフィード量(即ち、材料がどれだけ第1の方向に進み過ぎているのか)を検出できる。一方、材料が第2の方向にミスフィードされたときに、荷重センサは、第2の方向に引っ張られて伸長する。荷重センサは、荷重センサ自体が第2の方向に引っ張られて伸長する荷重及びその引張り量を、第2の荷重として検出する。これにより、荷重センサは、材料の第2の方向へのミスフィード量(即ち、材料がどれだけ第1の方向に対して遅れているのか)を検出できる。
【0021】
本発明の第4の態様によれば、前記荷重センサは、前記パイロットピンの前記第1の方向側の側面に封止され、
前記材料が前記第1の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触すると、
前記第1の変形として、前記パイロットピンが前記第1の方向に変形し、
前記荷重センサは、前記パイロットピンが前記第1の方向に変形することにより生じる前記第1の荷重を検出し、
前記材料が前記第2の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触すると、
前記第2の変形として、前記パイロットピンが前記第2の方向に変形し、
前記荷重センサは、前記パイロットピンが前記第2の方向に変形することにより生じる前記第2の荷重を検出する。
【0022】
これにより、治具を用いなくても、荷重センサをパイロットピンの第1の方向側の側面に封止すれば、荷重センサは、パイロットピンの変形に伴い生じる荷重を検出できる。
【0023】
前記第1の方向は、前記材料がフィードされる方向に対して進んだ方向であり、
前記第2の方向は、前記材料がフィードされる方向に対して遅れた方向でもよい。
【0024】
これにより、荷重センサが第1の信号(材料の進み方向へのミスフィード量を示す)を出力した場合、材料をミスフィード量分だけ遅れ方向に遅らせてフィードするように制御することが可能となる。逆に、荷重センサが第2の信号(材料の遅れ方向へのミスフィード量を示す)を出力した場合、材料をミスフィード量分だけ進み方向に進めてフィードするように制御することが可能となる。
【0025】
前記第1の方向及び前記第2の方向は、それぞれ、前記材料がフィードされる方向に直交する方向でもよい。
【0026】
これにより、荷重センサが第1の信号(材料の幅方向の一方向へのミスフィード量を示す)を出力した場合、材料をミスフィード量分だけ幅方向の逆方向に戻した位置にフィードするように制御することが可能となる。逆に、荷重センサが第2の信号(材料の幅方向の逆方向へのミスフィード量を示す)を出力した場合、材料をミスフィード量分だけ幅方向の一方向に戻した位置にフィードするように制御することが可能となる。
【0027】
本発明の一形態に係るミスフィード検出方法は、
パイロットピンを有する第1の型及び前記パイロットピンを受けるパイロット受け穴を有する第2の型の間でフィードされ、前記パイロットピンを挿入可能なパイロット穴が形成された材料のミスフィードを検出するミスフィード検出方法であって、
前記材料が第1の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触することで発生する前記パイロットピンの第1の変形により生じる第1の荷重を検出し、又は
前記材料が前記1の方向と逆方向の第2の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触することで発生する前記パイロットピンの前記第1の変形と異なる第2の変形により生じる前記第1の荷重と異なる第2の荷重を検出する。
【0028】
本発明の一形態に係るミスフィード検出システムは、
荷重センサと、前記荷重センサに接続された信号送信部とを有し、パイロットピンを有する第1の型及び前記パイロットピンを受けるパイロット受け穴を有する第2の型の間でフィードされ、前記パイロットピンを挿入可能なパイロット穴が形成された材料のミスフィードを検出するミスフィード検出装置と、
前記信号送信部を介して前記荷重センサと接続された制御装置と、
を具備し、
前記荷重センサは、
前記材料が第1の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触することで発生する前記パイロットピンの第1の変形により生じる第1の荷重を検出し、前記第1の荷重を検出すると、前記第1の荷重の大きさを示す第1の信号を、前記信号送信部を介して前記制御装置に出力し、
前記材料が前記1の方向と逆方向の第2の方向にミスフィードされたときに前記パイロットピンが前記材料に接触することで発生する前記パイロットピンの前記第1の変形と異なる第2の変形により生じる前記第1の荷重と異なる第2の荷重を、前記第1の荷重と区別して検出し、前記第2の荷重を検出すると、前記第1の信号と異なり、前記第2の荷重の大きさを示す第2の信号を、前記信号送信部を介して前記制御装置に出力し、
前記制御装置は、前記第1の信号及び/又は前記第2の信号に基づき前記材料のフィードを制御する。
【0029】
ミスフィード検出システムは、
複数の前記荷重センサを具備し、
前記複数の荷重センサは、前記材料がフィードされる方向及び/又は前記材料がフィードされる方向に直交する方向に間隔をあけて設置されてもよい。
【0030】
少なくとも1個の前記複数の荷重センサの、
前記第1の方向は、前記材料がフィードされる方向に対して進んだ方向でよく、
前記第2の方向は、前記材料がフィードされる方向に対して遅れた方向でよい。
【0031】
少なくとも1個の前記複数の荷重センサの、
前記第1の方向及び前記第2の方向は、それぞれ、前記材料がフィードされる方向に直交する方向でよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、材料のミスフィードをより正確に検出することが可能である。
【0033】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の第1の実施形態に係るミスフィード検出装置を模式的に示す。
図2】材料が進み方向(+方向)にミスフィードされた様子を模式的に示す。
図3】材料が遅れ方向(-方向)にミスフィードされた様子を模式的に示す。
図4】ミスフィード検出装置を示す分解斜視図である。
図5】治具を示す斜視図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係るミスフィード検出装置を模式的に示す。
図7】(A)ミスフィード検出装置の固定具の上面図、(B)ミスフィード検出装置の正面面図及び(C)固定具を除いたミスフィード検出装置の上面図を示す。
図8】本発明の第3の実施形態に係るミスフィード検出装置を模式的に示す。
図9】(A)パイロットピンに固定された治具を模式的に示し、(B)そのA-A線断面図を示す。
図10】本発明の第4の実施形態に係るミスフィード検出装置を模式的に示す。
図11】ミスフィード検出システムを示す。
図12】複数のミスフィード検出装置の配置例を示す。
図13】ミスフィード検出システムの表示例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0036】
I.第1の実施形態
【0037】
1.ミスフィード検出装置の概要
【0038】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るミスフィード検出装置を模式的に示す。
【0039】
ミスフィード検出装置1は、材料20を加工(順送プレス加工)する加工機械10に設置される。加工機械10は、上型である第1の型11と、下型である第2の型12とを有する。上型である第1の型11は、位置決め用のパイロットピン13を有する。下型である第2の型12は、パイロットピン13を受けるパイロット受け穴14を有する。パイロットピン13及びパイロット受け穴14は、パイロットピン13の軸方向に対向する。第1の型11が型開限位置(最上位置)から型閉限位置(最下位置)に下方向に移動すると、パイロットピン13がパイロット受け穴14に挿入される(図1)。
【0040】
加工対象の材料20は、例えば、ロール状の金属シートである。材料20は、第1の型11と第2の型12との間でフィードされる。具体的には、材料20は、下型である第2の型12の表面上を、図中右から左に進む方向(+方向)にフィードされる。材料20がパイロットピン13に到達する前に、穴開けパンチ(不図示)が材料20にパイロット穴21を形成する。パイロット穴21は、パイロットピン13が貫通可能な内径を有する。
【0041】
パイロット穴21が形成された材料20は、適切にフィードされた場合(逆に言えば、ミスフィードされなかった場合)、材料20に形成されたパイロット穴21は、第2の型12のパイロット受け穴14の真上に重なる。具体的には、円形のパイロット穴21の中心が、円形のパイロット受け穴14の中心に重なる。第1の型11が下方向に移動すると、パイロットピン13は、材料20のパイロット穴21及び第2の型12のパイロット受け穴14を貫通する(図1)。
【0042】
一方、材料20がミスフィードされた場合、材料20に形成されたパイロット穴21は、第2の型12のパイロット受け穴14に対してずれて重なる。
【0043】
図2は、材料が進み方向(+方向)にミスフィードされた様子を模式的に示す。
【0044】
材料20がフィード方向に対して進んだ方向(+方向)(第1の方向)にミスフィードされた場合(言い換えれば、材料20が+方向に進み過ぎた場合)を説明する。この場合、材料20に形成されたパイロット穴21の後端22(-方向側の縁)が、パイロット受け穴14の後端14A(-方向側の縁)に対して重なる。第1の型11が下方向に移動すると、パイロットピン13の後端13A(-方向側の先端)は、材料20(具体的には、パイロット穴21の後端22)に接触する。
【0045】
図3は、材料が遅れ方向(-方向)にミスフィードされた様子を模式的に示す。
【0046】
材料20がフィード方向に対して遅れた方向(-方向)(第2の方向)にミスフィードされた場合(言い換えれば、材料20が-方向に遅れた場合)を説明する。この場合、材料20に形成されたパイロット穴21の前端23(+方向側の縁)が、パイロット受け穴14の前端14B(+方向側の縁)に対して重なる。第1の型11が下方向に移動すると、パイロットピン13の前端13B(+方向側の先端)は、材料20(具体的には、パイロット穴21の前端23)に接触する。
【0047】
要するに、材料20が+方向にミスフィードされた場合、パイロットピン13の後端13Aが材料20に接触することにより(図2)、パイロットピン13が変形する(第1の変形)。一方、材料20が-方向にミスフィードされた場合、パイロットピン13の前端13Bが材料20に接触することにより(図3)、パイロットピン13が変形する(第2の変形)。パイロットピン13の後端13Aが材料20に接触することにより生じるパイロットピン13の第1の変形と、パイロットピン13の前端13Bが材料20に接触することにより生じるパイロットピン13の第2の変形とは、異なる。
【0048】
図1を再び参照する。ミスフィード検出装置1は、治具100と、荷重センサ200と、フレキシブル基板300とを有する。治具100は、典型的には金属製であり、第1の型11に固定され、パイロットピン13に固定される。荷重センサ200は、典型的にはMEMSセンサを用い、シート状であり、治具100に封止される。MEMSセンサを用いることで極めて高い感度を得ることができる。フレキシブル基板300は、一端が荷重センサ200に接続され、他端が子タグ等の制御回路に接続される(不図示)。フレキシブル基板300は信号送信部の一例である。信号送信部としてフレキシブル基板の代わりにケーブルや他の接続手段を用いてもよい。
【0049】
材料20が+方向にミスフィードされた場合(図2)、パイロットピン13の第1の変形に伴って、パイロットピン13に固定された治具100が変形する(第3の変形)。治具100に封止された荷重センサ200は、治具100の第3の変形により生じる荷重(第1の荷重)を検出する。荷重センサ200は、第1の荷重を検出すると、第1の信号を、フレキシブル基板300を介して出力する。第1の信号は、材料20が+方向にミスフィードされたことを示す。第1の信号は、第1の荷重の大きさを示す。言い換えれば、第1の信号は、+方向へのミスフィードの有無を示すバイナリ値ではなく、+方向へのミスフィード量を示す。
【0050】
材料20が-方向にミスフィードされた場合(図3)、パイロットピン13の第2の変形に伴って、パイロットピン13に固定された治具100が変形する(第4の変形)。パイロットピン13の第1の変形と第2の変形とは異なるため、治具100の第3の変形と第4の変形とは異なる。治具100に封止された荷重センサ200は、治具100の第4の変形により生じる荷重(第2の荷重)を検出する。治具100の第3の変形と第4の変形とは異なるため、第1の荷重と第2の荷重とは異なる。荷重センサ200は、第2の荷重を検出すると、第1の信号と異なる第2の信号を、フレキシブル基板300を介して出力する。第2の信号は、材料20が-方向にミスフィードされたことを示す。第2の信号は、第2の荷重の大きさを示す。言い換えれば、第2の信号は、-方向へのミスフィードの有無を示すバイナリ値ではなく、-方向へのミスフィード量を示す。
【0051】
この様に、ミスフィード検出装置1の荷重センサ200は、材料20が+方向にミスフィードされた場合(図2)に治具100に生じる第1の荷重と、材料20が-方向にミスフィードされた場合(図3)に治具100に生じる第2の荷重とを、区別して検出する。
【0052】
2.ミスフィード検出装置の構成
【0053】
図4は、ミスフィード検出装置を示す分解斜視図である。図5は、治具を示す斜視図である。
【0054】
以下、材料20のフィード方向をX軸方向と称する。パイロットピン13の軸13Zの方向をZ軸方向と称する。X軸及びZ軸に直交する方向(材料20の幅方向)をY軸方向と称する。
【0055】
治具100は、フレーム110と、第1のプレート120と、第2のプレート130と、第1の片持ちプレート140(第1の部位)と、第2の片持ちプレート150(第2の部位)と、を有する。治具100は、略直方体状である。
【0056】
フレーム110は、第1のリブ111、第2のリブ112、第3のリブ113及び第4のリブ114を有する。第1のリブ111及び第2のリブ112は、パイロットピン13の軸13Zと直交するフィード方向(X軸方向)と平行であり、Z軸方向に対向し、典型的には同じ長さである。第3のリブ113及び第4のリブ114は、パイロットピン13の軸13Zと平行であり、X軸方向に対向し、典型的には同じ長さである。第1のリブ111、第2のリブ112、第3のリブ113及び第4のリブ114は、矩形(典型的には、長方形)の面を成す。この面は、パイロットピン13の軸13Zの方向(Z軸方向)及びフィード方向(X軸方向)が成す面と平行である。第1のリブ111、第2のリブ112、第3のリブ113及び第4のリブ114が成す矩形の面は、略直方体状の治具100の一側面に相当する。
【0057】
第1のプレート120は、略直方体状の治具100の上面に相当する。第1のプレート120は、第1の型11に固定される。第1のプレート120は、第1のリブ111をフレーム110と共有する。第1のプレート120は、第1の貫通孔121を有する。第1の貫通孔121は、パイロットピン13が軸方向(Z軸方向)に圧入され固定される形状を有する。具体的には、第1の貫通孔121は、円形孔122と、第1のスリット123と、第2のスリット124とを有する。円形孔122の中心は、第1のプレート120の中心に一致する。円形孔122の直径は、パイロットピン13のシャフト部分の直径と等しいか、パイロットピン13のシャフト部分の直径より僅かに小さい。第1のスリット123は、円形孔122の中心から、略長方形状の第1のプレート120の一方の短辺に向かってX軸方向に延在する。第2のスリット124は、円形孔122の中心から、略長方形状の第1のプレート120の他方の短辺に向かってX軸方向に延在する。第1の貫通孔121の円形孔122にパイロットピン13をZ軸方向に圧入すると、第1のスリット123及び第2のスリット124がY軸方向(スリットの幅方向)に僅かに広がる。第1のプレート120は、僅かに広がった第1のスリット123及び第2のスリット124を縮める方向(Y軸方向)に復帰しようとする。これにより、第1の貫通孔121の円形孔122内のパイロットピン13が周囲から押される力により固定される。
【0058】
第2のプレート130は、略直方体状の治具100の下面に相当する。第2のプレート130は、第2のリブ112をフレーム110と共有する。第2のプレート130は、第2の貫通孔131を有する。第2の貫通孔131の形状及び位置等は第1の貫通孔121の形状及び位置等と同様であり、説明及び図示を省略する。第2の貫通孔131に、パイロットピン13がZ軸方向に圧入され固定される。
【0059】
第1の片持ちプレート140(第1の部位)は、第1のリブ111の一部を固定端とし、第2のリブ112及び第3のリブ113に空間を開けて対向する。
【0060】
第2の片持ちプレート150(第2の部位)は、第2のリブ112の一部を固定端とし、第1のリブ111及び第4のリブ114に空間を開けて対向する。第2の片持ちプレート150は、第1の片持ちプレート140に、所定距離D1の隙間を空けてX軸方向に対向する。第2の片持ちプレート150(第2の部位)は、第1の片持ちプレート140(第1の部位)に対して独立して変位可能である。
【0061】
荷重センサ200は、所定距離D1の隙間をまたいで、第1の片持ちプレート140の設置エリア141及び第2の片持ちプレート150の設置エリア151に封止される。設置エリア141は第1の片持ちプレート140からはみ出さない。設置エリア151は、第2の片持ちプレート150からはみ出さない。逆に言えば、荷重センサ200は、第1のリブ111、第2のリブ112、第3のリブ113及び第4のリブ114には接触しない。荷重センサ200は、第1の片持ちプレート140及び第2の片持ちプレート150にのみ接触する。
【0062】
3.ミスフィード検出方法
【0063】
(1)材料20が+方向にミスフィードされた場合
【0064】
図2に示すように、材料20が+方向にミスフィードされた場合、パイロットピン13の後端13A(-方向側の先端)は、材料20に接触する。すると、パイロットピン13の後端13Aに負荷が掛かるため、パイロットピン13が+方向に変形する(歪む)(第1の変形)。パイロットピン13の第1の変形に伴い、以下の様な、治具100の第3の変形が発生する。
【0065】
治具100において、パイロットピン13が固定された第2のプレート130が、+方向に変位する。一方、第1のプレート120は、第1の型11に固定されているため変位しない。同じことをフレーム110の観点から述べると、第1のプレート120に含まれる第1のリブ111は変位せず、第2のプレート130に含まれる第2のリブ112は+方向に変位する。第1のリブ111が変位せず第2のリブ112が+方向に変位する結果、第3のリブ113及び第4のリブ114が+方向に変形する(歪む)。要するに、長方形状のフレーム110は、第1のリブ111及び第3のリブ113が成す角と、第2のリブ112及び第4のリブ114が成す角とが、小さい方の角度(90度未満)を有する、平行四辺形のような形に変形する。第2のリブ112が+方向に変位し、第4のリブ114が+方向に変形する(歪む)結果、第4のリブ114を固定端とする第2の片持ちプレート150が、+方向に変位する。一方、第1のリブ111は変位しないため、第1のリブ111を固定端とする第1の片持ちプレート140は変位しない。このため、第1の片持ちプレート140及び第2の片持ちプレート150との間の距離が所定距離D1より大きくなる。
【0066】
荷重センサ200は、第1の片持ちプレート140及び第2の片持ちプレート150との間の距離が所定距離D1より大きくなることにより生じる第1の荷重を検出する。言い換えれば、隙間をまたいで第1の片持ちプレート140及び第2の片持ちプレート150に設置される荷重センサ200の第2の片持ちプレート150側が、+方向に引っ張られて伸長する。荷重センサ200は、荷重センサ200自体が+方向に引っ張られる荷重及びその引張り量を、第1の荷重として検出する。
【0067】
(2)材料20が-方向にミスフィードされた場合
【0068】
図3に示すように、材料20が-方向にミスフィードされた場合、パイロットピン13の前端13B(+方向側の先端)は、材料20に接触する。すると、パイロットピン13の前端13Bに負荷が掛かるため、パイロットピン13が-方向に変形する(歪む)(第2の変形)。パイロットピン13の第2の変形に伴い、以下の様な、治具100の第4の変形が発生する。
【0069】
治具100において、パイロットピン13が固定された第2のプレート130が、-方向に変位する。一方、第1のプレート120は、第1の型11に固定されているため変位しない。同じことをフレーム110の観点から述べると、第1のプレート120に含まれる第1のリブ111は変位せず、第2のプレート130に含まれる第2のリブ112は-方向に変位する。第1のリブ111が変位せず第2のリブ112が-方向に変位する結果、第3のリブ113及び第4のリブ114が-方向に変形する(歪む)。要するに、長方形状のフレーム110は、第1のリブ111及び第4のリブ114が成す角と、第2のリブ112及び第3のリブ113が成す角とが、小さい方の角度(90度未満)を有する、平行四辺形のような形に変形する。第2のリブ112が-方向に変位し、第4のリブ114が-方向に変形する(歪む)結果、第4のリブ114を固定端とする第2の片持ちプレート150が、-方向に変位する。一方、第1のリブ111は変位しないため、第1のリブ111を固定端とする第1の片持ちプレート140は変位しない。このため、第1の片持ちプレート140及び第2の片持ちプレート150との間の距離が所定距離D1より小さくなる。
【0070】
荷重センサ200は、第1の片持ちプレート140及び第2の片持ちプレート150との間の距離が所定距離D1より小さくなることにより生じる第2の荷重を検出する。言い換えれば、隙間をまたいで第1の片持ちプレート140及び第2の片持ちプレート150に設置される荷重センサ200の第2の片持ちプレート150側が、-方向に収縮する。荷重センサ200は、荷重センサ200自体が-方向に収縮する荷重及びその収縮量を、第2の荷重として検出する。
【0071】
(3)小括
【0072】
治具100の第2の片持ちプレート150(第2の部位)は、第1の片持ちプレート140(第1の部位)に対して独立して変位可能である。材料20が+方向にミスフィードされた場合、治具100は、パイロットピン13の第1の変形に伴って、第3の変形を発生する。第3の変形は、第1の片持ちプレート140に対する第2の片持ちプレート150の+方向の相対的な変位を含む。一方、材料20が-方向にミスフィードされた場合、治具100は、パイロットピン13の第2の変形に伴って、第3の変形と異なる第4の変形を発生する。第4の変形は、第1の片持ちプレート140に対する第2の片持ちプレート150の-方向の相対的な変位を含む。荷重センサ200は、治具100の第3の変形により生じる第1の荷重と、治具100の第4の変形により生じる第2の荷重とを、区別して検出する。
【0073】
II.第2の実施形態
【0074】
以下の説明において、既に説明した構成及び動作等と同様の構成及び動作等は、図示及び説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
【0075】
1.ミスフィード検出装置の概要
【0076】
図6は、本発明の第2の実施形態に係るミスフィード検出装置を模式的に示す。
【0077】
加工機械10の構成は第1の実施形態と同様である。ミスフィード検出装置2は、治具400と、固定具500と、荷重センサ200と、フレキシブル基板300とを有する。治具400は、典型的には金属製であり、固定具500を介して第1の型11に固定され、パイロットピン13に固定される。荷重センサ200は、典型的にはシート状であり、治具400に封止される。荷重センサ200は、材料20が+方向にミスフィードされた場合に治具400に生じる第1の荷重と、材料20が-方向にミスフィードされた場合に治具400に生じる第2の荷重とを、区別して検出する。
【0078】
2.ミスフィード検出装置の構成
【0079】
図7は、(A)ミスフィード検出装置の固定具の上面図、(B)ミスフィード検出装置の正面面図及び(C)固定具を除いたミスフィード検出装置の上面図を示す。
【0080】
(C)に示すように、治具400は、貫通孔401と、荷重センサ封止プレート402と、を有する。貫通孔401の直径は、パイロットピン13のシャフト部分の直径と略等しい。貫通孔401には、パイロットピン13が軸方向に圧入され固定される。荷重センサ封止プレート402は、貫通孔401に対してX軸方向(本例では、-方向)に隣接する。(B)に示すように、荷重センサ封止プレート402は、荷重センサ200が封止される。
【0081】
(A)に示す固定具500は、治具400を第1の型11に固定する。固定具500は、貫通孔501と、治具設置部502と、固定孔503、504とを有する。貫通孔501は、治具400の貫通孔401と同軸及び同径であり、パイロットピン13が軸方向に圧入され固定される。治具設置部502には治具400が接着される。固定孔503、504は、治具400に干渉しない位置に設けられた貫通孔である。固定孔503、504を介して固定具500が第1の型11に固定されることで、治具400が第1の型11に固定される。
【0082】
3.ミスフィード検出方法
【0083】
(1)材料20が+方向にミスフィードされた場合
【0084】
材料20が+方向にミスフィードされた場合、パイロットピン13の後端13A(-方向側の先端)は、材料20に接触する。すると、パイロットピン13の後端13Aに負荷が掛かるため、パイロットピン13が+方向に変形する(歪む)(第1の変形)。パイロットピン13の第1の変形に伴い、以下の様な、治具400の第3の変形が発生する。
【0085】
治具400において、パイロットピン13が圧入及び固定された貫通孔401に対して-方向に隣接する荷重センサ封止プレート402が、+方向に引っ張られて伸長する。
【0086】
荷重センサ200は、荷重センサ封止プレート402が+方向に伸長することにより生じる第1の荷重を検出する。言い換えれば、荷重センサ封止プレート402に設置される荷重センサ200は、+方向に引っ張られて伸長する。荷重センサ200は、荷重センサ200自体が+方向に引っ張られる荷重及びその引張り量を、第1の荷重として検出する。
【0087】
(2)材料20が-方向にミスフィードされた場合
【0088】
材料20が-方向にミスフィードされた場合、パイロットピン13の前端13B(+方向側の先端)は、材料20に接触する。すると、パイロットピン13の前端13Bに負荷が掛かるため、パイロットピン13が-方向に変形する(歪む)(第2の変形)。パイロットピン13の第2の変形に伴い、以下の様な、治具400の第3の変形が発生する。
【0089】
治具400において、パイロットピン13が圧入及び固定された貫通孔401に対して-方向に隣接する荷重センサ封止プレート402が、-方向に収縮する。
【0090】
荷重センサ200は、荷重センサ封止プレート402が-方向に収縮することにより生じる第2の荷重を検出する。言い換えれば、荷重センサ封止プレート402に設置される荷重センサ200は、-方向に収縮する。荷重センサ200は、荷重センサ200自体が-方向に収縮する荷重及びその収縮量を、第2の荷重として検出する。
【0091】
III.第3の実施形態
【0092】
1.ミスフィード検出装置の概要及び構成
【0093】
図8は、本発明の第3の実施形態に係るミスフィード検出装置を模式的に示す。図9は、(A)パイロットピンに固定された治具を模式的に示し、(B)そのA-A線断面図を示す。
【0094】
加工機械10の構成は第1の実施形態と同様である。ミスフィード検出装置3は、治具600と、荷重センサ200と、フレキシブル基板300とを有する。治具600は、パイロットピン13の軸方向(Z軸方向)に長手を有する。治具600は、典型的には金属製のプレートであり、パイロットピン13に固定される。治具600は、パイロットピン13のシャフト部分のX軸方向(本例では、+方向)側の側面13Cに接合される。例えば、金属材料700(例えば、インジュウム系、ビスマス系、ガリウム系金属)を用いた溶接(例えば、レーザー溶接、拡散溶接、リフロー溶接)により、治具600がパイロットピン13に固定される。
【0095】
荷重センサ200は、典型的にはシート状であり、治具600に封止される。具体的には、荷重センサ200は、パイロットピン13の軸方向(Z軸方向)に長手を有する治具600に重なるように、治具600に封止される。言い換えれば、荷重センサ200も、パイロットピン13の軸方向(Z軸方向)に長手を有する。荷重センサ200は、材料20が+方向にミスフィードされた場合に治具600に生じる第1の荷重と、材料20が-方向にミスフィードされた場合に治具600に生じる第2の荷重とを、区別して検出する。
【0096】
3.ミスフィード検出方法
【0097】
(1)材料20が+方向にミスフィードされた場合
【0098】
材料20が+方向にミスフィードされた場合、パイロットピン13の後端13A(-方向側の先端)は、材料20に接触する。すると、パイロットピン13の後端13Aに負荷が掛かるため、パイロットピン13が+方向に変形する(歪む)(第1の変形)。パイロットピン13の第1の変形に伴い、パイロットピン13の+方向側の側面13Cに接合された治具600は、+方向に収縮する(第3の変形)。
【0099】
荷重センサ200は、治具600が+方向に収縮することにより生じる第1の荷重を検出する。言い換えれば、治具600に設置される荷重センサ200は、+方向に収縮する。荷重センサ200は、荷重センサ200自体が+方向に収縮する荷重及びその収縮量を、第1の荷重として検出する。
【0100】
(2)材料20が-方向にミスフィードされた場合
【0101】
材料20が-方向にミスフィードされた場合、パイロットピン13の前端13B(+方向側の先端)は、材料20に接触する。すると、パイロットピン13の前端13Bに負荷が掛かるため、パイロットピン13が-方向に変形する(歪む)(第2の変形)。パイロットピン13の第2の変形に伴い、パイロットピン13の+方向側の側面13Cに接合された治具600は、-方向に引っ張られて伸長する(第4の変形)。
【0102】
荷重センサ200は、治具600が-方向に引っ張られて伸長することにより生じる第2の荷重を検出する。言い換えれば、治具600に設置される荷重センサ200は、-方向に伸長する。荷重センサ200は、荷重センサ200自体が-方向に伸長する荷重及びその引張り量を、第2の荷重として検出する。
【0103】
IV.第4の実施形態
【0104】
1.ミスフィード検出装置の概要及び構成
【0105】
図10は、本発明の第4の実施形態に係るミスフィード検出装置を模式的に示す。
【0106】
加工機械10の構成は第1の実施形態と同様である。ミスフィード検出装置4は、第3の実施形態のミスフィード検出装置3から治具600を除いた構成を有する。即ち、ミスフィード検出装置4は、荷重センサ200と、フレキシブル基板300とを有する。荷重センサ200は、パイロットピン13の軸方向(Z軸方向)に長手を有する。荷重センサ200は、典型的にはシート状であり、パイロットピン13に封止される。荷重センサ200は、パイロットピン13のシャフト部分のX軸方向(本例では、+方向)側の側面13Cに封止される。
【0107】
荷重センサ200は、材料20が+方向にミスフィードされた場合にパイロットピン13に生じる第1の荷重と、材料20が-方向にミスフィードされた場合にパイロットピン13に生じる第2の荷重とを、区別して検出する。
【0108】
2.ミスフィード検出方法
【0109】
(1)材料20が+方向にミスフィードされた場合
【0110】
材料20が+方向にミスフィードされた場合、パイロットピン13の後端13A(-方向側の先端)は、材料20に接触する。すると、パイロットピン13の後端13Aに負荷が掛かるため、パイロットピン13が+方向に変形する(歪む)(第1の変形)。
【0111】
荷重センサ200は、パイロットピン13が+方向に変形することにより生じる第1の荷重を検出する。言い換えれば、パイロットピン13に設置される荷重センサ200は、+方向に収縮する。荷重センサ200は、荷重センサ200自体が+方向に収縮する荷重を、第1の荷重として検出する。
【0112】
(2)材料20が-方向にミスフィードされた場合
【0113】
材料20が-方向にミスフィードされた場合、パイロットピン13の前端13B(+方向側の先端)は、材料20に接触する。すると、パイロットピン13の前端13Bに負荷が掛かるため、パイロットピン13が-方向に変形する(歪む)(第2の変形)。
【0114】
荷重センサ200は、パイロットピン13が-方向に変形することにより生じる第2の荷重を検出する。言い換えれば、パイロットピン13に設置される荷重センサ200は、-方向に伸長する。荷重センサ200は、荷重センサ200自体が-方向に伸長する荷重を、第2の荷重として検出する。
【0115】
V.変形例
【0116】
第1の実施形態では、第1の片持ちプレート140と第2の片持ちプレート150の周囲の空間が、「デジタル数字の2」を90度回転させた形状である例を説明した(図4及び図5)。この構成は単に一例に過ぎない。逆に、第1の片持ちプレート140と第2の片持ちプレート150の周囲の空間が、「デジタル数字の5」を90度回転させた形状でもよい(不図示)。この構成の場合、第1の実施形態の治具100の変形や荷重センサ200の検出動作は全て第1の実施形態と逆になる。この場合も本発明の範囲に含まれる。同様に、第2の実施形態乃至第4の実施形態で具体的に説明した構成及び検出動作が、逆の構成及び検出動作となる場合も、本発明の範囲に含まれる。
【0117】
VI.ミスフィード検出システム
【0118】
図11は、ミスフィード検出システムを示す。
【0119】
ミスフィード検出システム800は、1以上のミスフィード検出装置1,2,3,4(本例ではミスフィード検出装置1)と、制御装置801と、モータ802と、材料20をフィードする1対のフィードローラ803とを有する。モータ802と、材料20をフィードする1対のフィードローラ803とは、加工装置10に含まれる。ミスフィード検出装置1は、治具100と、荷重センサ200と、フレキシブル基板300とを有する。制御装置801は、フレキシブル基板300を介して荷重センサ200と接続される。制御装置801は、フレキシブル基板300に直接接続されてもよい。あるいは、制御装置801は、フレキシブル基板300に接続された子タグ(不図示)を介して荷重センサ200と無線接続されてもよい。
【0120】
荷重センサ200は、第1の信号(材料20の+方向へのミスフィード量を示す)と、第2の信号(材料20の-方向へのミスフィード量を示す)とを区別して、フレキシブル基板300を介して制御装置801に出力する。このため、制御装置801は、荷重センサ200が出力した第1の信号(材料20の+方向へのミスフィード量を示す)を受信すると、材料20をミスフィード量分だけ-方向に遅らせてフィードローラ803によりフィードするように、加工機械10のモータ802を制御すればよい。逆に、制御装置801は、荷重センサ200が出力した第2の信号(材料20の-方向へのミスフィード量を示す)を受信すると、材料20をミスフィード量分だけ+方向に進めてフィードローラ803によりフィードするように、加工機械10のモータ802を制御すればよい。
【0121】
あるいは、単に、制御装置801は、荷重センサ200が出力した第1の信号又は第2の信号を受信すると、単に加工機械10を停止させてもよい。
【0122】
各実施形態では、ミスフィード検出装置1,2,3,4は、材料20がフィード方向(X軸方向)の進み方向(+方向)にミスフィードされた場合と、材料20が遅れ方向(-方向)にミスフィードされた場合とを区別して検出した。一方、ミスフィード検出装置1,2,3,4をパイロットピン13の軸13Zを中心に90度回転させて設置すれば、材料20がフィードされる方向に直交する2方向(材料20の幅方向(Y軸方向))のミスフィードを区別して検出可能である。この場合も、荷重センサ200は、第1の信号(材料20の幅方向の一方向へのミスフィード量を示す)と、第2の信号(材料20の幅方向の逆方向へのミスフィード量を示す)とを区別して、フレキシブル基板300を介して制御装置801に出力する。このため、制御装置801は、荷重センサ200が出力した第1の信号(材料20の幅方向の一方向へのミスフィード量を示す)を受信すると、材料20をミスフィード量分だけ幅方向の逆方向に戻した位置にフィードローラ803によりフィードするように、加工機械10のモータ802を制御すればよい。逆に、制御装置801は、荷重センサ200が出力した第2の信号(材料20の幅方向の逆方向へのミスフィード量を示す)を受信すると、材料20をミスフィード量分だけ幅方向の一方向に戻した位置にフィードローラ803によりフィードするように、加工機械10のモータ802を制御すればよい。
【0123】
図12は、複数のミスフィード検出装置の配置例を示す。
【0124】
各実施形態のミスフィード検出装置1,2,3,4(本例ではミスフィード検出装置1)を、ミスフィード検出システム800が管理する1台の加工機械10の複数の地点に設置することで、1台の加工機械10の複数の地点での材料20のミスフィードを検出してもよい。
【0125】
ミスフィード検出システム800は、複数(4個)のミスフィード検出装置1A、1B、1C,1Dを有する。ミスフィード検出装置1A、1Bは、材料20がフィードされるX軸方向に間隔をあけて配置される。ミスフィード検出装置1C,1Dは、X軸方向に間隔をあけて配置される。ミスフィード検出装置1A、1Cは、材料20がフィードされる方向に直交するY軸方向に間隔をあけて配置される。ミスフィード検出装置1C、1Dは、Y軸方向に間隔をあけて配置される。
【0126】
例えば、ミスフィード検出装置1A、1Bの何れか一方が、材料20がフィード方向(X軸方向)の進み方向(+方向)にミスフィードされた場合と、材料20が遅れ方向(-方向)にミスフィードされた場合とを区別して検出し、他方が、材料20がフィードされる方向に直交する2方向(材料20の幅方向(Y軸方向))のミスフィードを区別して検出するように、ミスフィード検出装置1A、1Bを設置してよい。同様に、ミスフィード検出装置1C,1Dの何れか一方が、材料20がフィード方向(X軸方向)の進み方向(+方向)にミスフィードされた場合と、材料20が遅れ方向(-方向)にミスフィードされた場合とを区別して検出し、他方が、材料20がフィードされる方向に直交する2方向(材料20の幅方向(Y軸方向))のミスフィードを区別して検出するように、ミスフィード検出装置1C,1Dを設置してよい。
【0127】
これにより、制御装置801は、X軸に沿った+方向及び-方向と、Y軸に沿った+方向及び-方向との、4チャネルのミスフィードを取得可能である。
【0128】
このため、荷重センサ200が4チャネルの信号(材料20のX軸に沿った+方向及び-方向と、Y軸に沿った+方向及び-方向と、へのミスフィード量を示す)を出力した場合、4方向にミスフィード量(定量的なずれ量)に相当する補正量だけ補正して材料20をフィードするように、加工機械10をフィードバック制御することが可能となる。
【0129】
典型的には、荷重センサ200として、MEMSセンサを用いることが好ましい。荷重センサ200としてMEMSセンサを用いることで、微細な歪みを検出することができる。本発明者らの知見によれば、MEMSセンサを用いることで、その検出量を、ほぼ定量的な値として検出できることが分かった。定量的な値と検出できることで、ミスフィード量を絶対値として把握することができるようになる。これにより、この検出結果に基づき材料の送り速度を制御することができる。すなわち、従来のミスフィードの検出技術(非特許文献1及び2)では、ミスフィードを検出し、その結果に基づき加工機械を停止するか否かの制御しかできなかったが、本発明によれば、ミスフィードをなくすように送り量(補正量)をフィードバック制御できるので、装置を停止する必要がなくなり、また不良品の発生も抑え、生産効率を高めることができる。ただし、本発明の荷重センサ200は、MEMSセンサに限定されず、歪みセンサを用いても勿論構わない。
【0130】
図13は、ミスフィード検出システムの表示例を示す。
【0131】
制御装置801は、1個の加工機械10に設置された複数のミスフィード検出装置1A、1B、1C,1Dがフレキシブル基板300を介して出力した第1の信号又は第2の信号(材料20のミスフィードの方向及びミスフィード量を示す)に基づき、その加工機械10が加工する材料20(測定物)の移動量及び歪み量を算出し、ディスプレイ(不図示)に表示してもよい。
【0132】
VII.結語
【0133】
非特許文献1及び2の技術によれば、ミスフィードされた材料のパイロット穴の縁にミス検出ピンが乗り上げると、ミス検出ピンが上に押し上がり、ミス検出ピンの溝にセットされているリレーションピンが横に押され、検出器を動作させる。この方法では、ミスフィードの方向の違いやミスフィード量の違いに拘わらず、リレーションピンは同じ動きをし、検出器を同じ様に動作させる。このため、非特許文献1及び2の技術によれば、材料が、フィード方向に対して進んだ方向にミスフィードされている(即ち、材料が進み過ぎている)のか、フィード方向に対して遅れた方向にミスフィードされている(即ち、材料の進みが遅れている)のかを、区別して検出することが出来ない。加えて、材料がどれだけミスフィードしているのか(ミスフィード量)を検出することが出来ない。
【0134】
これに対して、本発明の第1、第2、第3及び第4の実施形態によれば、荷重センサ200は、材料20が第1の方向にミスフィードされたときにパイロットピン13が材料20に接触することで発生するパイロットピン13の第1の変形により生じる第1の荷重を検出し、材料20が第1の方向と逆方向の第2の方向にミスフィードされたときにパイロットピン13が材料20に接触することで発生するパイロットピン13の第1の変形と異なる第2の変形により生じる第1の荷重と異なる第2の荷重を、第1の荷重と区別して検出する。
【0135】
これにより、荷重センサ200は、材料20が、第1の方向にミスフィードされている(即ち、材料20が第1の方向に進み過ぎている)のか、第2の方向にミスフィードされている(即ち、材料20が第1の方向に対して遅れている)のかを、区別して検出することが出来る。
【0136】
本発明の第1、第2、第3及び第4の実施形態によれば、荷重センサ200は、第1の荷重を検出すると、第1の荷重の大きさを示す第1の信号を、フレキシブル基板300を介して出力し、第2の荷重を検出すると、第1の信号と異なり、第2の荷重の大きさを示す第2の信号を、フレキシブル基板300を介して出力する。
【0137】
これにより、荷重センサ200は、材料20の第1の方向へのミスフィード量(即ち、材料20がどれだけ第1の方向に進み過ぎているのか)又は第2の方向へのミスフィード量(即ち、材料20がどれだけ遅れているのか)を、区別して検出することが出来る。このため、荷重センサ200が第1の信号(材料20の第1の方向へのミスフィード量を示す)を出力した場合、材料20をミスフィード量(定量的なずれ量)に相当する補正量分だけ第2の方向に補正して(遅らせて)フィードするように、加工機械10をフィードバック制御することが可能となる。逆に、荷重センサ200が第2の信号(材料20の第2の方向へのミスフィード量を示す)を出力した場合、材料20をミスフィード量(定量的なずれ量)に相当する補正量分だけ第1の方向に補正して(進めて)フィードするように、加工機械10をフィードバック制御することが可能となる。
【0138】
本発明の第1、第2及び第3の実施形態によれば、ミスフィード検出装置1,2,3は、パイロットピン13に固定され、パイロットピン13の第1の変形に伴って第3の変形を発生し、パイロットピン13の第2の変形に伴って第3の変形と異なる第4の変形を発生する治具100、400、600をさらに具備し、荷重センサ200は、治具100、400、600に封止され、治具100、400、600の第3の変形により生じる第1の荷重と、治具100、400、600の第4の変形により生じる第2の荷重とを、区別して検出する。
【0139】
これにより、治具100、400、600は、材料20のミスフィードに伴い発生するパイロットピン13の変形を治具100、400、600の変形に変換する。荷重センサ200は、治具100、400、600の変形により生じる荷重を検出することで、材料20のミスフィードを検出することができる。
【0140】
本発明の第1の実施形態によれば、治具100は、第1の部位と、第1の部位に対して独立して変位可能な第2の部位と、を有し、治具100は、パイロットピン13の第1の変形に伴って、第1の部位に対する第2の部位の相対的な変位を含む第3の変形を発生し、パイロットピン13の第2の変形に伴って、第1の部位に対する第2の部位の相対的な変位を含み、第3の変形と異なる第4の変形を発生する。
【0141】
これにより、荷重センサ200は、治具100の第1の部位及び第2の部位の相対的な変位の違いを検出することにより、材料20の第1の方向へのミスフィード量又は第2の方向へのミスフィード量を、区別して検出することが出来る。
【0142】
本発明の第1の実施形態によれば、材料20が第1の方向にミスフィードされたときにパイロットピン13が材料20に接触すると、第1の変形として、パイロットピン13が第1の方向に変形し、第3の変形として、第2のプレート130が第1の方向に変位し、第3のリブ113及び第4のリブ114が第1の方向に変形し、第2の片持ちプレート150が第1の方向に変位し、第1の片持ちプレート140及び第2の片持ちプレート150との間の距離が所定距離D1より大きくなり、荷重センサ200は、第1の片持ちプレート140及び第2の片持ちプレート150との間の距離が所定距離D1より大きくなることにより生じる第1の荷重を検出する。一方、材料20が第2の方向にミスフィードされたときにパイロットピン13が材料20に接触すると、第2の変形として、パイロットピン13が第2の方向に変形し、第4の変形として、第2のプレート130が第2の方向に変位し、第3のリブ113及び第4のリブ114が第2の方向に変形し、第2の片持ちプレート150が第2の方向に変位し、第1の片持ちプレート140及び第2の片持ちプレート150との間の距離が所定距離D1より小さくなり、荷重センサ200は、第1の片持ちプレート140及び第2の片持ちプレート150との間の距離が所定距離D1より小さくなることにより生じる第2の荷重を検出する。
【0143】
荷重センサ200は、隙間をまたいで第1の片持ちプレート140及び第2の片持ちプレート150に設置される。これにより、材料20が第1の方向にミスフィードされたときに、荷重センサ200の第2の片持ちプレート150側が、第1の方向に引っ張られて伸長する。荷重センサ200は、荷重センサ200自体が第1の方向に引っ張られる荷重及びその引張り量を、第1の荷重として検出する。これにより、荷重センサ200は、材料20の第1の方向へのミスフィード量(即ち、材料20がどれだけ第1の方向に進み過ぎているのか)を検出できる。一方、材料20が第2の方向にミスフィードされたときに、荷重センサ200の第2の片持ちプレート150側が、第2の方向に収縮する。荷重センサ200は、荷重センサ200自体が第2の方向に収縮する荷重及びその収縮量を、第2の荷重として検出する。これにより、荷重センサ200は、材料20の第2の方向へのミスフィード量(即ち、材料20がどれだけ第1の方向に対して遅れているのか)を検出できる。
【0144】
本発明の第2の実施形態によれば、材料20が第1の方向にミスフィードされたときにパイロットピン13が材料20に接触すると、第1の変形として、パイロットピン13が第1の方向に変形し、第3の変形として、治具400の荷重センサ封止プレート402が第1の方向に伸長し、荷重センサ200は、治具400の荷重センサ封止プレート402が第1の方向に伸長することにより生じる第1の荷重を検出する。材料20が第2の方向にミスフィードされたときにパイロットピン13が材料20に接触すると、第2の変形として、パイロットピン13が第2の方向に変形し、第4の変形として、治具400の荷重センサ封止プレート402が第2の方向に収縮し、荷重センサ200は、治具400の荷重センサ封止プレート402が第2の方向に収縮することにより生じる第2の荷重を検出する。
【0145】
これにより、材料20が第1の方向にミスフィードされたときに、荷重センサ200は、第1の方向に引っ張られて伸長する。荷重センサ200は、荷重センサ200自体が第1の方向に引っ張られる荷重及びその引張り量を、第1の荷重として検出する。これにより、荷重センサ200は、材料20の第1の方向へのミスフィード量(即ち、材料20がどれだけ第1の方向に進み過ぎているのか)を検出できる。一方、材料20が第2の方向にミスフィードされたときに、荷重センサ200は、第2の方向に収縮する。荷重センサ200は、荷重センサ200自体が第2の方向に収縮する荷重及びその収縮量を、第2の荷重として検出する。これにより、荷重センサ200は、材料20の第2の方向へのミスフィード量(即ち、材料20がどれだけ第1の方向に対して遅れているのか)を検出できる。
【0146】
本発明の第3の実施形態によれば、治具600は、パイロットピン13の第1の方向側の側面に接合されたプレートであり、荷重センサ200は、治具600に封止される。材料20が第1の方向にミスフィードされたときにパイロットピン13が材料20に接触すると、第1の変形として、パイロットピン13が第1の方向に変形し、第3の変形として、治具600が第1の方向に収縮し、荷重センサ200は、治具600が第1の方向に収縮することにより生じる第1の荷重を検出する。材料20が第2の方向にミスフィードされたときにパイロットピン13が材料20に接触すると、第2の変形として、パイロットピン13が第2の方向に変形し、第4の変形として、治具600が第2の方向に伸長し、荷重センサ200は、治具600が第2の方向に伸長することにより生じる第2の荷重を検出する。
【0147】
材料20が第1の方向にミスフィードされたときに、荷重センサ200は、第1の方向に収縮する。荷重センサ200は、荷重センサ200自体が第1の方向に収縮する荷重及びその収縮量を、第1の荷重として検出する。これにより、荷重センサ200は、材料20の第1の方向へのミスフィード量(即ち、材料20がどれだけ第1の方向に進み過ぎているのか)を検出できる。一方、材料20が第2の方向にミスフィードされたときに、荷重センサ200は、第2の方向に引っ張られて伸長する。荷重センサ200は、荷重センサ200自体が第2の方向に引っ張られて伸長する荷重及びその引張り量を、第2の荷重として検出する。これにより、荷重センサ200は、材料20の第2の方向へのミスフィード量(即ち、材料20がどれだけ第1の方向に対して遅れているのか)を検出できる。
【0148】
本発明の第4の実施形態によれば、荷重センサ200は、パイロットピン13の第1の方向側の側面に封止される。材料20が第1の方向にミスフィードされたときにパイロットピン13が材料20に接触すると、第1の変形として、パイロットピン13が第1の方向に変形し、荷重センサ200は、パイロットピン13が第1の方向に変形することにより生じる第1の荷重を検出する。材料20が第2の方向にミスフィードされたときにパイロットピン13が材料20に接触すると、第2の変形として、パイロットピン13が第2の方向に変形し、荷重センサ200は、パイロットピン13が第2の方向に変形することにより生じる第2の荷重を検出する。
【0149】
これにより、治具600を用いなくても、荷重センサ200をパイロットピン13の第1の方向側の側面に封止すれば、荷重センサ200は、パイロットピン13の変形に伴い生じる荷重を検出できる。
【0150】
第1の方向は、材料20がフィードされる方向に対して進んだ方向(+方向)であり、第2の方向は、材料20がフィードされる方向に対して遅れた方向(-方向)でもよい。
【0151】
これにより、荷重センサ200が第1の信号(材料20の進み方向(+方向)へのミスフィード量を示す)を出力した場合、材料20をミスフィード量分だけ遅れ方向(-方向)に遅らせてフィードするように、加工機械10を制御することが可能となる。逆に、荷重センサ200が第2の信号(材料20の遅れ方向(-方向)へのミスフィード量を示す)を出力した場合、材料20をミスフィード量分だけ進み方向(+方向)に進めてフィードするように、加工機械10を制御することが可能となる。
【0152】
第1の方向及び第2の方向は、それぞれ、材料20がフィードされる方向に直交する方向でもよい。
【0153】
これにより、荷重センサ200が第1の信号(材料20の幅方向の一方向へのミスフィード量を示す)を出力した場合、材料20をミスフィード量分だけ幅方向の逆方向に戻した位置にフィードするように、加工機械10を制御することが可能となる。逆に、荷重センサ200が第2の信号(材料20の幅方向の逆方向へのミスフィード量を示す)を出力した場合、材料20をミスフィード量分だけ幅方向の一方向に戻した位置にフィードするように、加工機械10を制御することが可能となる。
【0154】
本技術の各実施形態及び各変形例について上に説明したが、本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0155】
1 ミスフィード検出装置
10 加工機械
100 治具
11 第1の型
110 フレーム
111 第1のリブ
112 第2のリブ
113 第3のリブ
114 第4のリブ
12 第2の型
120 第1のプレート
121 第1の貫通孔
13 パイロットピン
130 第2のプレート
131 第2の貫通孔
13A 後端
13B 前端
13C 側面
13Z 軸
14 穴
140 第1の片持ちプレート
141 設置エリア
14A 後端
14B 前端
150 第2の片持ちプレート
151 設置エリア
2 ミスフィード検出装置
20 材料
200 荷重センサ
21 パイロット穴
22 後端
23 前端
3 ミスフィード検出装置
300 フレキシブル基板
4 ミスフィード検出装置
400 治具
401 貫通孔
402 荷重センサ封止プレート
500 固定具
501 貫通孔
502 治具設置部
503 固定孔
600 治具
800 ミスフィード検出システム
801 制御装置
802 モータ
803 フィードローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13