(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】歯列矯正器具
(51)【国際特許分類】
A61C 7/00 20060101AFI20240617BHJP
A61C 7/08 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
A61C7/00
A61C7/08
(21)【出願番号】P 2020564026
(86)(22)【出願日】2019-01-29
(86)【国際出願番号】 US2019015647
(87)【国際公開番号】W WO2019152401
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-01-28
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】524176144
【氏名又は名称】バイオテック イノベーションズ, インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】BIOTECH INNOVATIONS, INC.
【住所又は居所原語表記】11917 Front Street, Norwalk, California 90650(US)
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ムン, ウォン
(72)【発明者】
【氏名】アブデルバー, イハーブ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ポール
【審査官】松山 雛子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0091833(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0081769(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0129117(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0007367(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯列矯正用のフレームワークと器具の組み合わせであって、
前記フレームワークは、1つ又は複数の歯を動かすためのアタッチメントを介して、前記器具と組み合わせることにより、患者の1つ又は複数の歯の近くの
1の歯列弓
の少なくとも内
側又は外側の歯肉に配置され、当該歯列弓の歯の間か当該歯列弓の端部の歯の後ろか少なくともそのいずれかにロックされることにより当該歯肉の側面に沿って配置されるように構成されており、
前記フレームワークは、扁平な構造であり、前記器具のバックボーン又はアンカーとして機能するために十分な機械的強度を有するポリマー材料で形成され、
前記器具は、トレー型器具であり、ポリマー材料で形成され、治療医師による処方に従い、1つ又は複数の歯を当初位置から中間位置又は最終位置に移動させる効果を果たし、
前記アタッチメントは、前記器具を形成するポリマー材料を介し、前記フレームワークが前記器具に非相反矯正力を及ぼし、前記器具が1つ又は複数の歯に非相反矯正力を及ぼすことを可能にする、歯列矯正用のフレームワークと器具の組み合わせ。
【請求項2】
前記フレームワークは、患者の歯及び歯肉に沿った舌側又は唇側の位置に配置される請求項1に記載の歯列矯正用のフレームワークと器具の組み合わせ。
【請求項3】
前記器具は、力を介して歯の移動をガイドし、前記フレームワークは、治療医師より処方された望ましい結果に達するように、治療計画に基づいた歯列矯正治療を促進する請求項1に記載の歯列矯正用のフレームワークと器具の組み合わせ。
【請求項4】
前記アタッチメントは、機械的連結、接着又は化学結合によって達成される請求項1に記載の歯列矯正用のフレームワークと器具の組み合わせ。
【請求項5】
前記アタッチメントは、永久的アタッチメント、半永久的アタッチメント、又は取り外し可能なアタッチメントであり、治療医師より処方された歯の位置調整をもとに、1つ又は複数の歯を動かすのに適応する請求項1に記載の歯列矯正用のフレームワークと器具の組み合わせ。
【請求項6】
前記器具は、弾性ポリマーで形成される請求項1に記載の歯列矯正用のフレームワークと器具の組み合わせ。
【請求項7】
前記フレームワークは、患者の歯肉に配置するための2つの部分を含み、片方は
前記1の歯列弓の
前記内側の歯肉
の側面に沿って配置され、もう片方の部分は
前記歯列弓の外側の歯肉
の側面に沿って配置され、前記2つの部分は
当該歯列弓の歯の間又
か当該歯列弓の端部の歯の後ろ
か少なくともそのいずれかにロックされるように構成される請求項1に記載の歯列矯正用のフレームワークと器具の組み合わせ。
【請求項8】
前記フレームワークは、1つ又は複数の歯を動かすために機能し得る設計を用いたものである請求項1に記載の歯列矯正用のフレームワークと器具の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く歯列矯正の分野に関し、特に、歯列矯正トレー型器具及びその口内での配置、製造、使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の歯列矯正法は、ブラケットや金属ワイヤーで作られたブレース及び類似器具を用いて、個々の歯にブラケットを装着し、ブラケットにワイヤーを取り付け、さらに患者の必要に応じてワイヤーの締め具合を矯正歯科医により調整するという方法であり、何十年にもわたって洗練されてきており、ブラケットをどの方向にどれだけの力でどこまで引っ張るかを正確に制御でき、さらに必要に応じてカスタマイズ治療可能な方法でもある。
【0003】
しかし、口内への侵襲度合や審美性などの理由を考慮し、この分野においてより多くのオプションが検討されており、アライナー(トレー)もその1つである。アライナー(トレー)治療法は患者の歯形を型取り、薄いポリマー材料で成形されたアライナーを配置し、加えられた力によって、これらの歯を順次操作することによって調整された意図された結果に歯を導く。よく知られている例として、米国特許第5,975,893号(Chishtiら)及び他の関連特許に基づくポリマーベースのアライナーであるInvisalign(登録商標)が挙げられる。このようなアライナーは、従来のブレースより口内への侵襲度合が少なく、患者の食事、歯磨き、及びデンタルフロスによる歯間の清掃などの日常的行為がより快適に行われるメリットを持つ。
【0004】
前記方法は、それ自体で特定の歯を移動させるために必要な差動力を効果的に調整できない欠点がある。一般的には、従来の歯列矯正法には矯正力の方向や強さを直接制御するために、力をかける固定点とする指定のアンカーが必要である。ただし、前記したアライナー(トレー)では、発生する力が相反固定具に完全に依存しており、隣接する歯のグループが互いに引っ張られたり、押されたり、トルクをかけられたり、回転されたりする等の隣接する歯(アンカー歯)による不要な移動が避けられないため、治療中には注意すべきである。また、矯正力の効果は、アンカー歯の品質によるものであり、特定の歯の移動には不十分な可能性がある。
【0005】
抜歯したスペース閉鎖の歯体移動、トルク制御、前歯侵襲、後歯の回転及び歯根の移動は、従来の透明クリアアライナー(たとえば、米国特許第5,975,893号に記載されているもの)にとって難しいことだと知られている。Invisalign(登録商標)のようなアライナーは、ポリマーシートを歯の模型上で真空成形し、アライナー上のポリマーの厚さがほぼ均一になっており、個々の歯も歯間の相反矯正力により全体的な目標位置に導かれて移動する一方、複数のコンポーネントによる相反矯正力の影響で力加減や方向の差が生じるなど、意図しない副作用を引き起こす可能性がある。
【0006】
したがって、前記透明クリアアライナーの課題を解決するアライナーが求められる。
【0007】
したがって、以下の実施形態は、前記問題点やニーズを解決することを目的とする。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一態様により、1つ又は複数の歯を動かすためのアタッチメントを介して、器具と組み合わせることにより、患者の1つ又は複数の歯の近くの歯列弓内に配置される歯列矯正用フレームワークが提供され、
前記歯列矯正用フレームワークは、アンカーとして機能するために器具より柔軟性の低い材料で形成され、
前記器具は、治療医師による処方に従い、1つ又は複数の歯を当初位置から中間位置又は最終位置に移動させる効果を果たし、
前記アタッチメントは、前記器具を形成する材料を介し、前記フレームワークが前記器具に非相反矯正力を及ぼし、さらに前記器具が前記フレームワークをバックボーン(支柱)又はアンカーにし、歯に非相反矯正力を及ぼすことを可能にする。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記フレームワークが「機能している(アクティブ)」とは、特定の歯に移動を生じさせる力を作用させていることを意味する。
【0010】
本発明のフレームワークのいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記フレームワークは、患者の歯及び歯肉から様々な距離にある舌側又は唇側の位置に配置されることが可能である。
【0011】
本発明のフレームワークのいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記器具はポリマーベースの器具、又は力による歯の移動を用いた別のタイプの器具であってよく、前記フレームワークは、治療医師より処方された望ましい結果に達するように、治療計画に基づいた歯列矯正治療を促進するためのバックボーンとして機能してよい。
【0012】
本発明のフレームワークのいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記アタッチメントは、機械的連結、接着又は化学結合によるものであってよい。
【0013】
本発明のフレームワークのいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記アタッチメントは、治療医師より処方された歯の位置調整をもとに、1つ又は複数の歯を移動させるための永久的アタッチメント、半永久的アタッチメント、又は取り外し可能なアタッチメントであってよい。
【0014】
本発明のフレームワークのいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記フレームワークは、より柔軟なポリマーを用いる器具のベースとして機能するために、器具に用いられるポリマー材料よりも柔軟性が低く、十分な機械的強度の材料から形成される。
【0015】
本発明のフレームワークのいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記器具は弾性器具であってよい。
【0016】
本発明の他の態様により、歯列矯正用フレームワークとポリマー材料を用いた器具の含まれた歯列矯正用トレー装置が提供され、
前記歯列矯正用フレームワークは、1つ又は複数の歯を動かすためのアタッチメントを介して、器具と組み合わせることにより、患者の1つ又は複数の歯の近くの歯列弓内に配置され、
また、前記歯列矯正用フレームワークは、アンカーとして機能するために器具より柔軟性の低い材料で形成され、
前記器具は、治療医師による処方に従い、1つ又は複数の歯を当初位置から中間位置又は最終位置に移動させる効果を果たし、
前記アタッチメントは、前記器具を形成する材料を介し、前記フレームワークが前記器具に非相反矯正力を及ぼし、さらに前記器具が前記フレームワークをバックボーン又はアンカーにし、歯に非相反矯正力を及ぼすことを可能にする。
【0017】
本発明のトレー装置のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記フレームワークは患者の歯及び歯肉から様々な距離にある舌側又は唇側の位置に配置されることが可能である。
【0018】
本発明のトレー装置のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記器具はポリマーベースの器具、又は力による歯の移動を用いた別のタイプの器具であってよく、前記フレームワークは、治療医師より処方された望ましい結果に達するように、治療計画に基づいた歯列矯正治療を促進するためのバックボーンとして機能してよい。
【0019】
本発明のトレー装置のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記アタッチメントは、機械的連結、接着又は化学結合によるものであってよい。
【0020】
本発明のトレー装置のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記アタッチメントは、治療医師より処方された歯の位置調整をもとに、1つ又は複数の歯を移動させるための永久的アタッチメント、半永久的アタッチメント、又は取り外し可能なアタッチメントであってよい。
【0021】
本発明のトレー装置のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記フレームワークは、より柔軟なポリマーを用いる器具のベースとして機能するために、器具に用いられるポリマー材料よりも柔軟性が低く、十分な機械的強度の材料から形成される。
【0022】
本発明のトレー装置のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記器具は弾性器具であってよい。
【0023】
本発明のトレー装置のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記フレームワークは、患者の歯肉に配置される2つの部分を含み、その片方が歯列弓の内側の歯肉に配置され、もう片方が歯列弓の外側の歯肉に配置され、両方とも歯の間か歯の後ろにロックされる。
【0024】
本発明のトレー装置のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記2つの部分は、端部により互いに連結され、ループ及び/又は1つか複数の中間点を形成し、その1つ若しくは複数の中間点は隣接する歯の間に位置するため、歯の使用を妨げない。
【0025】
本発明のトレー装置のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記フレームワークは、患者の歯肉に配置される単一部分を含み、その単一部分が歯列弓の内側又は外側に配置されてよく、歯の間か歯の後ろにロックされる。
【0026】
本発明のさらなる態様により、
患者の歯型模型を作成するステップと、
歯列矯正用フレームワークを形成するステップと、を含む製造方法が提供され、
前記歯列矯正用フレームワークは、1つ又は複数の歯を動かすためのアタッチメントを介して、器具と組み合わせることにより、患者の1つ又は複数の歯の近くの歯列弓内に配置され、
また、前記歯列矯正用フレームワークは、アンカーとして機能するために器具より柔軟性の低い材料で形成され、前記器具は、治療医師による処方に従い、1つ又は複数の歯を当初位置から中間位置又は最終位置に移動させる効果を果たし、
前記アタッチメントは、前記器具を形成する材料を介し、前記フレームワークが前記器具に非相反矯正力を及ぼし、さらに前記器具が前記フレームワークをバックボーン又はアンカーにし、歯に非相反矯正力を及ぼすことを可能にする。
【0027】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記フレームワークは患者の歯及び歯肉から様々な距離にある舌側又は唇側の位置に配置されることが可能である。
【0028】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記方法は、1つ又は複数の歯を移動させるための器具を提供することも含む。
【0029】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記器具はポリマーベースの器具、又は力による歯の移動を用いた別のタイプの器具であってよく、前記フレームワークは、治療医師より処方された望ましい結果に達するように、治療計画に基づいた歯列矯正治療を促進するためのバックボーンとして機能してよい。
【0030】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記アタッチメントは、機械的連結、接着又は化学結合によるものであってよい。
【0031】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記アタッチメントは、治療医師より処方された歯の位置調整をもとに、1つ又は複数の歯を移動させるための永久的アタッチメント、半永久的アタッチメント、又は取り外し可能なアタッチメントであってよい。
【0032】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記フレームワークは、より柔軟なポリマーを用いる器具のベースとして機能するために、器具に用いられるポリマー材料よりも柔軟性が低く、十分な機械的強度の材料から形成される。
【0033】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記器具は弾性器具であってよい。
【0034】
本発明のさらなる態様により、
患者の歯型模型を作成するステップと、
歯列矯正用フレームワークを形成するステップと、
患者の1つ又は複数の歯の近くの歯列弓内に前記歯列矯正用フレームワークを配置するステップと、を含む歯列矯正治療方法が提供され、
前記フレームワークは、1つ又は複数の歯を動かすためのアタッチメントを介して器具と組み合わせられ、
また、前記フレームワークは、アンカーとして機能するために器具より柔軟性の低い材料で形成され、
前記器具は、治療医師による処方に従い、1つ又は複数の歯を当初位置から中間位置又は最終位置に移動させる効果を果たし、
前記アタッチメントは、前記器具を形成する材料を介し、前記フレームワークが前記器具に非相反矯正力を及ぼし、さらに前記器具が前記フレームワークをバックボーン又はアンカーにし、歯に非相反矯正力を及ぼすことを可能にする。
【0035】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記フレームワークは患者の歯及び歯肉から様々な距離にある舌側又は唇側の位置に配置されることが可能である。
【0036】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記器具はポリマーベースの器具、又は力による歯の移動を用いた別のタイプの器具であってよく、前記フレームワークは、治療医師より処方された望ましい結果に達するように、治療計画に基づいた歯列矯正治療を促進するためのバックボーンとして機能してよい。
【0037】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記アタッチメントは、機械的連結、接着又は化学結合によるものであってよい。
【0038】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記アタッチメントは、治療医師より処方された歯の位置調整をもとに、1つ又は複数の歯を移動させるための永久的アタッチメント、半永久的アタッチメント、又は取り外し可能なアタッチメントであってよい。
【0039】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記フレームワークは、より柔軟なポリマーを用いる器具のベースとして機能するために、器具に用いられるポリマー材料よりも柔軟性が低く、十分な機械的強度の材料から形成される。
【0040】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記器具は弾性器具であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1は、歯間及び歯肉上にロックされた本発明フレームワークの実施形態を示す図であり、左(歯列弓の外側)は、歯列弓の外側の歯肉の側面にロックされた本発明のフレームワークの一部であり、右(歯列弓の内側)は、歯列弓の内側の歯肉の側面にロックされた本発明のフレームワークの別の部分であり、これら2つの部分は、各部分の端部により互いに連結されている。
【
図2】
図2は、歯肉に配置され、歯の間でロックされる前の本発明フレームワークの実施形態を示す図であり、左(歯列弓の外側)は、歯列弓の外側の歯肉の側面にロックされた本発明のフレームワークの一部であり、右(歯列弓の内側)は、歯列弓の内側の歯肉の側面にロックされた本発明のフレームワークの別の部分であり、これら2つの部分は、各部分の端部により互いに連結されている。
【
図3】
図3は、歯列弓の内側の歯肉に配置される本発明のフレームワークの実施形態を示す図であり、この部分は、歯の間又は歯の後ろにロックされる。
【
図4】
図4は、歯列弓の内側の歯肉に配置され、歯の間にロックされている本発明のフレームワークの実施形態を示す図であるを示す図である。
【
図5】
図5は、歯列弓の外側の歯肉に配置される本発明のフレームワークの実施形態を示す図であり、この部分は、歯の間又は歯の後ろにロックされる。
【
図6】
図6は、歯列弓の外側の歯肉に配置され、歯の間にロックされている本発明のフレームワークの実施形態を示す図であるを示す図である。
【
図7】
図7は、歯列弓を拡張又は収縮させるために使用される本発明のフレームワークの実施形態を示す図である。
【
図8】
図8(A)~
図8(B)は、本発明のフレームワークの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
定義
本明細書で使用される場合、「トレー型アライナー」は、歯を覆い、「矯正歯科医師」又は「矯正歯科医」とも呼ばれる治療医師より処方された期間内で、1つ又は複数の歯を当初位置から最終位置に移動させるようにガイドする透明トレーとして定義される。
【0043】
本明細書で使用される場合、「固定具(anchorage)」という用語は、加えられた力の反応に打ち勝つために使用される抵抗に帰する。ニュートンの運動の第3法則によれば、すべてのアクションに等しい反対の反応がある。
【0044】
本明細書で使用される場合、「相反矯正力」という用語は、1つ又は複数の歯及び付属器の抵抗力を用いて1つ又は複数の対向する歯及び付属器を移動させる歯列矯正固定具による力を指す。本書では、従来のInvisalign(登録商標)アライナーで用いられた固定具等、前記のような固定具は「相反固定具」と呼ばれる。
【0045】
本明細書で使用される場合、「非相反力」という用語は、Invisalign(登録商標)のような従来のプラスチックアライナーにより引き起こされる歯の移動の相反性を回避するために、1つまたは複数の歯から独立している固定点の矯正固定具によって加えられる力を指す。このような「非相反力」は、「独立した非相反力」とも呼ばれる。
【0046】
本明細書で使用される場合、1つ又は複数の歯の「当初位置」という用語は、本発明の器具を利用して治療前の治療対象とする1つ又は複数の歯の位置を指す。「最終位置」という用語は、治療医師より処方された歯列矯正治療コースの終了時点でのそのような1つ又は複数の歯の位置を指し、そして、「中間位置」という用語は、治療医師より処方された治療の対象の1つ又は複数の歯の当初位置と最終位置との間の任意の位置を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、互換的に使用される「器具」又は「アライナー」という用語は、治療医師による処方に従って1つ又は複数の歯を移動させるための歯列矯正装置を指す。透明歯列矯正器具とは、一般にポリエステル材料であるプラスチック材料から作られたものを指す。このような透明器具の例として、Invisalign(登録商標)アライナーが挙げられる。Invisalign(登録商標)アライナー、その作製方法及び使用方法は、一般に、米国特許第6,450,807号及び第5,975,893号に記載されており、それらの教示の全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0048】
本明細書で使用される場合、「弾性器具」という用語は、Invisalign(登録商標)アライナーなどの従来のポリマーベースで形成される透明アライナーよりも相当広い程度にまで伸ばすことのできる歯列矯正器具を指す。そのような弾性器具の例は、2018年1月31日に出願された、発明の名称が「弾性歯列矯正器具」である同時係属中の特許出願の米国仮特許出願第62/624,281号に記載されており、その教示の全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0049】
本明細書で使用される場合、「歯型模型」という用語は、従来の又はデジタルの歯型模型を指す。
【0050】
本明細書で使用される場合、「フレームワーク」という用語は、用語「バックボーン」と互換的に使用される。
【0051】
歯列矯正用フレームワーク
この問題を解決するために、剛性フレームワークをバックボーン(非相反固定具)としてアライナーに組み込むことにより、前記した相反固定具に関する問題点を解決していく。このようなフレームワークを、アライナーが取り付け可能な意図的な位置に配置することで、アライナーは、フレームワークをバックボーンとして使用するだけで、隣接する歯に悪い影響を与えることなく、所望の方向で、所望の時に、所望の力加減で、必要な力を歯に加えることができる。
【0052】
したがって、本発明の一実施形態により、1つ又は複数の歯を動かすためのアタッチメントを介して、器具と組み合わせることにより、患者の1つ又は複数の歯の近くの歯列弓内に配置される歯列矯正用フレームワークが提供され、
前記アタッチメントは、前記器具を形成する材料を介し、前記フレームワークが前記器具に非相反矯正力を及ぼし、さらに前記器具が前記フレームワークをバックボーン又はアンカーにし、歯に非相反矯正力を及ぼすことを可能にし、
前記フレームワークは、アンカーとして機能するために器具より柔軟性の低い材料で形成され、
前記器具は、治療医師による処方に従い、1つ又は複数の歯を当初位置から中間位置又は最終位置に移動させる効果を果たす。
【0053】
本発明のフレームワークのいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記フレームワークは、患者の歯及び歯肉から様々な距離にある舌側又は唇側の位置に配置されることが可能である。
【0054】
本発明のフレームワークのいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記器具はポリマーベースの器具、又は力による歯の移動を用いた別のタイプの器具であってよく、前記フレームワークは、治療医師より処方された望ましい結果に達するように、治療計画に基づいた歯列矯正治療を促進するためのバックボーンとして機能してよい。
【0055】
本発明のフレームワークのいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記アタッチメントは、機械的連結、接着又は化学結合によるものであってよい。
【0056】
本発明のフレームワークのいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記アタッチメントは、治療医師より処方された望ましい理想位置へ歯を移動させるための永久的アタッチメント、半永久的アタッチメント、又は取り外し可能なアタッチメントであってよい。
【0057】
本発明のフレームワークのいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記フレームワークは、より柔軟なポリマーを用いる器具のベースとして機能するために、器具に用いられるポリマー材料よりも柔軟性が低く、十分な機械的強度の材料から形成される。いくつかの実施形態において、前記フレームワーク自体は、歯を移動させるために機能し得る設計を用いたものである。
【0058】
本発明のフレームワークのいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記器具は弾性器具であってよい。
【0059】
本発明のトレー装置のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記フレームワークは、患者の歯肉に配置される2つの部分を含み、その片方が歯列弓の内側の歯肉に配置され、もう片方が歯列弓の外側の歯肉に配置され、両方とも歯の間又は歯の後ろにロックし得る(
図1-
図2)。
【0060】
本発明のトレー装置のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記当該2つの部分は、端部で互いに連結され、ループ及び/又は1つか複数の中間点を形成し、その1つ若しくは複数の中間点は隣接する歯の間に位置するため、歯の使用を妨げない(
図1-
図2)。
【0061】
本発明のトレー装置のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記フレームワークは、患者の歯肉に配置される単一部分を含み、その単一部分が歯列弓の内側又は外側に配置されてよく、歯の間か歯の後ろにロックし得る(
図3-
図6)。
【0062】
本発明のフレームワークは、従来の装置で使われてきた相反固定具とは異なり、独立した固定具として機能し、前記アライナーによる特定の歯への複雑な力ベクトルを適用できるようにする。従来のアプローチでは達成しにくい点ではあるが、フレームワークをバックボーンとして使用することで、個別の歯にこのような複雑な力が加えられる。また、独立した固定具として機能する本発明のフレームワークは、歯の間に望ましくない相反矯正力を最小限に抑え、より効果的、効率的且つ正確な歯の移動を可能にする。ということで、本発明のフレームワークは、独立した固定具のない従来なる歯列矯正装置より有利である。
【0063】
なお、本明細書に述べられたフレームワークの位置は単なる例示に過ぎず、本発明のフレームワーク自体は、何らかの方式でアライナーに取り付けられる限り、任意の位置に配置してよい。
【0064】
このようなメカニズムは、矯正歯科医が必要に応じて容易に調整でき、より柔軟な治療を行うことができるが、化学結合より安定性が低い可能性もある。したがって、歯列矯正医は、患者にとってより効果的な方法又は患者のニーズに応じた経済的な方法を選べる。
【0065】
図1は、歯の間及び歯肉にロックされた本発明のフレームワークの実施形態を示す図であり、左(歯列弓の外側)は歯列弓の外側の歯肉の側面にロックされた本発明のフレームワークの片方の部分であり、右(歯列弓の内側)は歯列弓の内側の歯肉の側面にロックされた発明フレームワークのもう片方の部分であり、これら2つの部分は各部分の端部により互いに連結されている。
【0066】
図2は、歯肉に配置され、歯の間にロックされる前の本発明のフレームワークの実施形態を示す図であり、左(歯列弓の外側)は歯列弓の外側の歯肉の側面にロックされた本発明のフレームワークの片方の部分であり、右(歯列弓の内側)は歯列弓の内側の歯肉の側面にロックされた本発明のフレームワークのもう片方の部分であり、これら2つの部分は各部分の端部により互いに連結されている。
【0067】
図3は、歯列弓の内側の歯肉に配置される本発明のフレームワークの実施形態を示す図であり、この部分は、歯の間又は歯の後ろにロックし得る。
【0068】
図4は、歯列弓の内側の歯肉に配置され、歯の間にロックされている本発明のフレームワークの実施形態を示す図である。
【0069】
図5は、歯列弓の外側の歯肉に配置される本発明のフレームワークの実施形態を示す図であり、この部分は、歯の間又は歯の後ろにロックし得る。
【0070】
図6は、歯列弓の外側の歯肉に配置され、歯の間にロックされている本発明のフレームワークの実施形態を示す図である。
【0071】
図7は、本発明のフレームワークが歯列弓を拡張又は収縮させるために使用される本発明のフレームワークの実施形態を示す図である。前記フレームワークは、歯列弓の幅より小さな又は大きな作動幅を持つように作製できる。本明細書に記載される様々な実施形態によれば、本発明のフレームワークのより大きな作動幅を患者又はユーザーの歯列弓を拡張させるのに適用できる。逆に、本明細書に記載される様々な実施形態によれば、本発明のフレームワークのより小さな作動幅は、患者又はユーザーの歯列弓を収縮させるのに適用できる。
【0072】
ただし、新しいバックボーンは、前記器具の機能を妨げないことが重要であり、そして、患者の快適さも考慮に入れる必要がある。したがって、前記バックボーンは、噛み込んだときに歯の経路の邪魔にならないこと、歯に加えられる力の干渉を生じないことが必要である。
【0073】
歯列矯正器具
前記フレームワークを使用することにより、アライナー(トレー)や他の歯列矯正方法を作成し、必要に応じて微調整して、効果的かつ適切な結果を作ったり、患者の経済的ニーズに合わせて治療の必要性をより詳しくカスタマイズしたりすることができる。さらに、これは、トレー型の器具を中心に展開するさらなる研究の発展につながり、その結果、歯列矯正のためのより多くの代替方法、患者のためのより多くのオプション、及び正確な結果を提供するより多くの方法の探索が可能になる。
【0074】
前記器具自体は、最終的な所望の結果に達するように、バックボーンとして機能し、Invisalign(登録商標)器具などのポリマーベースの器具、たとえば米国特許第6,450,807号及び第5,975,893号に一般的に記載されたもの、又は力を介して歯の移動をガイドするための他の器具と一緒に使用してよい。アンカー点として機能するため、デフォルトで前記器具の他の部分より柔軟性が低い限り、それ自体は任意の材料で作製してよい。
【0075】
アタッチメント
本明細書で使用される場合、「アタッチメント」という用語は、本発明のフレームワークによる十分な力を受け入れ、当該フレームワークを固定具として用いることによって、1つ又は複数の歯を移動させるための歯列矯正器具に接合する本発明のフレームワークのアタッチメントを指す。前記歯列矯正器具の固定具として取り扱われる本発明のフレームワーク及びアタッチメントのいずれも前記歯列矯正器具より柔軟性が低くなければならない。
【0076】
本明細書で使用される場合、「永久的アタッチメント」という用語は、本発明のフレームワークを歯列矯正器具に取り付け、本発明のフレームワークと前記器具との間に結合を形成することを指す。この結合は、本発明のフレームワーク及び/又は前記器具に構造的損傷を引き起こす力を使用せずに無傷のままで結合させなければならない。永久的アタッチメントは、力(例えば、はさみ・ナイフ・レーザー等で切断する)、溶剤、熱溶融、燃焼等の方式で壊されることが可能である。
【0077】
本明細書で使用される場合、「半永久的アタッチメント」という用語は、本発明のフレームワークを歯列矯正器具に取り付け、本発明のフレームワークと前記器具との間に結合を形成することを指す。この結合は、以下のようなものである。
1)前記器具に及ぼす本発明のフレームワークの力の正味値のレベルの力、前記アタッチメントに及ぼす前記器具からの整列力、並びに食べ物の有無にかかわらず噛むなどの歯の通常の使用から生成される力を使っても、無傷のままでなければならない。
2)1)で述べられた力より大きな力を使うと破損するが、本発明のフレームワーク及び/又は前記器具に構造的損傷を与えることはない。
【0078】
本明細書で使用される場合、「取り外し可能なアタッチメント」という用語は、本発明のフレームワークと前記器具との間に結合を形成することなく、物理的手段によって本発明のフレームワークを歯列矯正器具に取り付けることを指す。そのような取り外し可能なアタッチメントは、前記器具に及ぼす本発明のフレームワークの力の正味の値のレベルの力、前記アタッチメントに及ぼす前記器具からの整列力、並びに食物の有無にかかわらず噛むなどの歯の通常の使用から生成される力を使っても、無傷のままでなければならない。
【0079】
前記アタッチメントは、機械的連結、接着又は化学結合の連結方法に限られず、永久的、半永久的、又は取り外し可能なものであってよく、矯正歯科医による生産ニーズ又は治療中の大幅な調整を行う必要性に応じた最適な方法で取り付けられてよく、より柔軟なポリマーが働くためのベースとして機能するのに十分な頑丈さを持つ限り、任意の材料で作製されてよい。
【0080】
歯列矯正トレー装置
本発明の他の態様により、歯列矯正用フレームワークとポリマー材料を用いた器具の含まれた歯列矯正用トレー装置が提供され、
前記歯列矯正用フレームワークは、患者の1つ又は複数の歯の近くの歯列弓内に配置されることにより、1つ又は複数の歯を移動させるための器具に取り付けられ、
前記アタッチメントは、前記器具を形成する材料を介し、前記フレームワークが前記器具に非相反矯正力を及ぼし、さらに前記器具が前記フレームワークをバックボーン又はアンカーにし、歯に非相反矯正力を及ぼすことを可能にし、
前記フレームワークは、アンカーとして機能するために器具より柔軟性の低い材料で形成され、
前記器具は、治療医師による処方に従い、1つ又は複数の歯を当初位置から中間位置又は最終位置に移動させる効果を果たす。
【0081】
本発明のトレー装置のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記フレームワークは、患者の歯及び歯肉から様々な距離にある舌側又は唇側の位置に配置されることが可能である。
【0082】
本発明のトレー装置のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記器具はポリマーベースの器具、又は力による歯の移動を用いた別のタイプの器具であってよく、前記フレームワークは、治療医師より処方された望ましい結果に達するように、治療計画に基づいた歯列矯正治療を促進するためのバックボーンとして機能してよい。
【0083】
本発明のトレー装置のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記アタッチメントは、機械的連結、接着又は化学結合によるものであってよい。
【0084】
本発明のトレー装置のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記アタッチメントは、治療医師より処方された歯の位置調整をもとに、1つ又は複数の歯を移動させるための永久的アタッチメント、半永久的アタッチメント、又は取り外し可能なアタッチメントであってよい。
【0085】
本発明トレー装置のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記歯列矯正用フレームワークは、より柔軟なポリマーを用いる器具のベースとして機能するために、器具に用いられるポリマー材料よりも柔軟性が低く、十分な機械的強度の材料から形成される。いくつかの実施形態において、前記フレームワーク自体は、歯を移動させるために機能し得る設計を用いたものである。
【0086】
本発明のトレー装置のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記器具は弾性器具であってよい。
【0087】
製造方法
本発明のさらなる態様により、
患者の歯型模型を作成するステップと、
前記歯列矯正用フレームワークを形成するステップと、を含む製造方法が提供され、
前記歯列矯正用フレームワークは、1つ又は複数の歯を移動する器具に取り付けるために、患者の1つ又は複数の歯の近くの歯列弓内に配置され、
前記アタッチメントは、前記器具を形成する材料を介し、前記フレームワークが前記器具に非相反矯正力を及ぼし、さらに前記器具が前記フレームワークをバックボーン又はアンカーにし、歯に非相反矯正力を及ぼすことを可能にし、
前記フレームワークは、アンカーとして機能するために器具より柔軟性の低い材料で形成され、
前記器具は、治療医師による処方に従い、1つ又は複数の歯を当初位置から中間位置又は最終位置に移動させる効果を果たす。
【0088】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記フレームワークは、患者の歯及び歯肉から様々な距離にある舌側又は唇側の位置に配置されることが可能である。
【0089】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記方法は、1つ又は複数の歯を動かすための器具を提供する更なるステップを含む。
【0090】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記器具は、ポリマーベースの器具、又は力による歯の移動を用いた別のタイプの器具であってよく、前記フレームワークは、治療医師より処方された望ましい結果に達するように、治療計画に基づいた歯列矯正治療を促進するためのバックボーンとして機能してよい。
【0091】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記アタッチメントは、機械的連結、接着又は化学結合によるものであってよい。
【0092】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記アタッチメントは、治療医師より処方された歯の位置調整をもとに、1つ又は複数の歯を移動させるための永久的アタッチメント、半永久的アタッチメント、又は取り外し可能なアタッチメントであってよい。
【0093】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記歯列矯正用フレームワークは、より柔軟なポリマーを用いる器具のベースとして機能するために、器具に用いられるポリマー材料よりも柔軟性が低く、十分な機械的強度の材料から形成される。いくつかの実施形態において、前記フレームワーク自体は、歯を移動させるために機能し得る設計を用いたものである。
【0094】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記器具は弾性器具であってよい。
【0095】
歯列矯正装置のコンピュータ支援製造方法は、当該技術分野で十分に記録されている。そのような方法の例は、米国特許第6,450,807号及び第5,975,893号に記載されており、それらの教示の全体は参照により本明細書に組み込まれている。
【0096】
使用方法
本発明のさらなる態様により、
患者の歯型模型を作成するステップと、
前記歯列矯正用フレームワークを形成するステップと、
1つ又は複数の歯を移動する器具に取り付けるために、患者の1つ又は複数の歯の近くの歯列弓内に前記歯列矯正用フレームワークを配置するステップと、を含む歯列矯正治療方法が提供され、
前記アタッチメントは、前記器具を形成する材料を介し、前記フレームワークが前記器具に非相反矯正力を及ぼし、さらに前記器具が前記フレームワークをバックボーン又はアンカーにし、歯に非相反矯正力を及ぼすことを可能にし、
前記フレームワークは、アンカーとして機能するために器具より柔軟性の低い材料で形成され、
前記器具は、治療医師による処方に従い、1つ又は複数の歯を当初位置から中間位置又は最終位置に移動させる効果を果たす。
【0097】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記フレームワークは、患者の歯及び歯肉から様々な距離にある舌側又は唇側の位置に配置されることが可能である。
【0098】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記器具は、ポリマーベースの器具、又は力による歯の移動を用いた別のタイプの器具であってよく、前記フレームワークは、治療医師より処方された望ましい結果に達するように、治療計画に基づいた歯列矯正治療を促進するためのバックボーンとして機能してよい。
【0099】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記アタッチメントは、機械的連結、接着又は化学結合によるものであってよい。
【0100】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記アタッチメントは、治療医師より処方された歯の位置調整をもとに、1つ又は複数の歯を移動させるための永久的アタッチメント、半永久的アタッチメント、又は取り外し可能なアタッチメントであってよい。
【0101】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記歯列矯正用フレームワークは、より柔軟なポリマーを用いる器具のベースとして機能するために、器具に用いられるポリマー材料よりも柔軟性が低く、十分な機械的強度の材料から形成される。いくつかの実施形態において、前記フレームワーク自体は、歯を移動させるために機能し得る設計を用いたものである。
【0102】
本発明の方法のいくつかの実施形態(本明細書に開示される様々な実施形態のいずれかと組み合わせ可能)において、前記器具は弾性器具であってよい。
【0103】
以下は、本発明の実施形態を制限するものではなく、実施例を示すものである。
【0104】
図1~
図7は、本明細書に記載される方法に従えば容易に作り出せる本発明の様々な実施形態の器具を示す。
【0105】
図8(A)~
図8(B)は、本発明のフレームワークの実施形態を示す。
図8(A)では、フレームワーク1は下部の歯列弓に配置され、アタッチメント3を介して歯列矯正器具2に接続されており、アタッチメント3を示す破線は、フレームワーク上のアタッチメントの接続方法・位置、並びに器具上の対応する位置が開いている状態を示す。
図8(B)は、器具2が歯列弓及びフレームワーク1に配置され、器具が器具2に取り付けられている(アタッチメント3は図示せず)ことを示す。
【0106】
本発明は本明細書の様々な実施形態の記載により示され、説明されてきたが、これらの実施形態は単なる例証的なものに過ぎず、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変形、変更、置換をもたらしてよいことが明白であろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲によってのみ限定されることが意図される。
【0107】
本明細書に引用される特許及び特許関連文献を含む参考文献の開示は、本書の開示と矛盾しない範囲で、全て本明細書に組み込まれている。