(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】コンテナーとアイソレーターとの間で物質を無菌移送する装置
(51)【国際特許分類】
B65B 55/04 20060101AFI20240617BHJP
B01L 1/02 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B65B55/04 Z
B01L1/02
(21)【出願番号】P 2021566223
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 EP2020060234
(87)【国際公開番号】W WO2020229067
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】102019003317.5
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518277044
【氏名又は名称】株式会社Atec Japan
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムン ハンス-ワーナー
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-536227(JP,A)
【文献】特表2015-508460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B53/00-55/24
B01L 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナーとアイソレーターとの間で物質を無菌移送する装置(10)であって、
前記コンテナーは、コンテナーフランジ(22)に囲まれたコンテナー開口部と、前記コンテナーフランジ(22)から取り外し可能であるとともに、前記コンテナー開口部を閉鎖するコンテナーカバー(24)とを備え、
前記アイソレーターは、ポートフランジ(16)に囲まれたポート開口部と、前記ポート開口部を閉鎖するポートドア(18)と、前記ポートドア(18)を開閉するように閉位置と開位置との間で移動可能な作動機構(20)とを備え、
前記コンテナーフランジ(22)は、前記ポートフランジ(16)に解放可能に接続可能であり、前記コンテナーカバー(24)は、前記ポートドア(18)に解放可能に接続可能であり、
前記作動機構(20)を前記閉位置においてロックし、前記ポートドア(18)が前記コンテナーカバー(24)に当接すると前記作動機構(20)をロック解除する、第1の安全装置、
前記作動機構(20)を前記閉位置においてロックし、前記コンテナーフランジ(22)が前記ポートフランジ(16)に正しく接続されると前記作動機構(20)をロック解除する、第2の安全装置(50)、
前記作動機構(20)が前記閉位置を離れると、前記ポートフランジ(16)に接続された前記コンテナーフランジ(22)をロックする、第3の安全装置(52)、
前記ポートドア(18)が開いているとき、前記作動機構(20)が前記開位置から前記閉位置に戻ることを阻止する、第4の安全装置(54)、及び、
前記第2の安全装置(50)による前記作動機構(20)のロック解除と、前記第3の安全装置(52)による前記コンテナーフランジ(22)のロックとの間で、前記コンテナーフランジ(22)が前記ポートフランジ(16)に正しく接続されていない場合に、前記作動機構(20)をロックする、第5の安全装置
、を備え、
前記
第2の安全装置(50
)は、互いに移動可能な
第1及び第2の磁気要素(56、5
8)を備え、
前記
第1及び第2の磁気要素(56、5
8)の間には、貫通開口のない少なくとも1つの閉鎖壁(68、70)が配置され、
前記第1及び第2の磁気要素(56、58)は、前記少なくとも1つの閉鎖壁(68、70)によって分離されるとともに、互いに対して移動可能な2つの構成要素(16、32)内にそれぞれ配置されて、該第2の安全装置(50)のロック位置又はロック解除位置において前記閉鎖壁(68、70)を通じて引き付け合うか又は反発し合うものであり、
前記第1及び第2の磁気要素(56、58)のうちの少なくとも一方は、2つの端位置の間で、戻しばね(74、82)のスプリング力に抗して移動可能であり、
前記第1の磁気要素(56)は前記ポートフランジ(16)において移動可能であり、前記第2の磁気要素(58)は、前記コンテナーフランジ(22)が前記ポートフランジ(16)に接続されて、前記第1の磁気要素(56)が該第2の磁気要素(58)に近づいたときに、前記閉位置にある前記作動機構(20)をロック解除する、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
コンテナーとアイソレーターとの間で物質を無菌移送する装置(10)であって、
前記コンテナーは、コンテナーフランジ(22)に囲まれたコンテナー開口部と、前記コンテナーフランジ(22)から取り外し可能であるとともに、前記コンテナー開口部を閉鎖するコンテナーカバー(24)とを備え、
前記アイソレーターは、ポートフランジ(16)に囲まれたポート開口部と、前記ポート開口部を閉鎖するポートドア(18)と、前記ポートドア(18)を開閉するように閉位置と開位置との間で移動可能な作動機構(20)とを備え、
前記コンテナーフランジ(22)は、前記ポートフランジ(16)に解放可能に接続可能であり、前記コンテナーカバー(24)は、前記ポートドア(18)に解放可能に接続可能であり、
前記作動機構(20)を前記閉位置においてロックし、前記ポートドア(18)が前記コンテナーカバー(24)に当接すると前記作動機構(20)をロック解除する、第1の安全装置、
前記作動機構(20)を前記閉位置においてロックし、前記コンテナーフランジ(22)が前記ポートフランジ(16)に正しく接続されると前記作動機構(20)をロック解除する、第2の安全装置(50)、
前記作動機構(20)が前記閉位置を離れると、前記ポートフランジ(16)に接続された前記コンテナーフランジ(22)をロックする、第3の安全装置(52)、
前記ポートドア(18)が開いているとき、前記作動機構(20)が前記開位置から前記閉位置に戻ることを阻止する、第4の安全装置(54)、及び、
前記第2の安全装置(50)による前記作動機構(20)のロック解除と、前記第3の安全装置(52)による前記コンテナーフランジ(22)のロックとの間で、前記コンテナーフランジ(22)が前記ポートフランジ(16)に正しく接続されていない場合に、前記作動機構(20)をロックする、第5の安全装置、を備え、
前記第3の安全装置(52)は、互いに移動可能な第1及び第2の磁気要素(60、62)を備え、
前記第1及び第2の磁気要素(60、62)の間には、貫通開口のない少なくとも1つの閉鎖壁(68、70)が配置され、
前記第1及び第2の磁気要素(60、62)は、前記少なくとも1つの閉鎖壁(68、70)によって分離されるとともに、互いに対して移動可能な2つの構成要素(16、32)内にそれぞれ配置されて、該第3の安全装置(52)のロック位置又はロック解除位置において前記閉鎖壁(68、70)を通じて引き付け合うか又は反発し合うものであり、
前記第1及び第2の磁気要素(60、62)のうちの少なくとも一方は、2つの端位置の間で、戻しばね(86)のスプリング力に抗して移動可能であり、
前記第1の磁気要素(60)は前記ポートフランジ(16)において移動可能であり、前記第2の磁気要素(62)は、前記作動機構(20)が前記開位置に移動したときに前記第1の磁気要素(60)から遠ざかり、それにより、該第1の磁気要素(60)は、前記ポートフランジ(16)に接続された前記コンテナーフランジ(22)をロックする、ことを特徴とする装置。
【請求項3】
コンテナーとアイソレーターとの間で物質を無菌移送する装置(10)であって、
前記コンテナーは、コンテナーフランジ(22)に囲まれたコンテナー開口部と、前記コンテナーフランジ(22)から取り外し可能であるとともに、前記コンテナー開口部を閉鎖するコンテナーカバー(24)とを備え、
前記アイソレーターは、ポートフランジ(16)に囲まれたポート開口部と、前記ポート開口部を閉鎖するポートドア(18)と、前記ポートドア(18)を開閉するように閉位置と開位置との間で移動可能な作動機構(20)とを備え、
前記コンテナーフランジ(22)は、前記ポートフランジ(16)に解放可能に接続可能であり、前記コンテナーカバー(24)は、前記ポートドア(18)に解放可能に接続可能であり、
前記作動機構(20)を前記閉位置においてロックし、前記ポートドア(18)が前記コンテナーカバー(24)に当接すると前記作動機構(20)をロック解除する、第1の安全装置、
前記作動機構(20)を前記閉位置においてロックし、前記コンテナーフランジ(22)が前記ポートフランジ(16)に正しく接続されると前記作動機構(20)をロック解除する、第2の安全装置(50)、
前記作動機構(20)が前記閉位置を離れると、前記ポートフランジ(16)に接続された前記コンテナーフランジ(22)をロックする、第3の安全装置(52)、
前記ポートドア(18)が開いているとき、前記作動機構(20)が前記開位置から前記閉位置に戻ることを阻止する、第4の安全装置(54)、及び、
前記第2の安全装置(50)による前記作動機構(20)のロック解除と、前記第3の安全装置(52)による前記コンテナーフランジ(22)のロックとの間で、前記コンテナーフランジ(22)が前記ポートフランジ(16)に正しく接続されていない場合に、前記作動機構(20)をロックする、第5の安全装置、を備え、
前記第4の安全装置(54)は、互いに移動可能な第1及び第2の磁気要素(64、66)を備え、
前記第1及び第2の磁気要素(64、66)の間には、貫通開口のない少なくとも1つの閉鎖壁(68、70)が配置され、
前記第1及び第2の磁気要素(64、66)は、前記少なくとも1つの閉鎖壁(68、70)によって分離されるとともに、互いに対して移動可能な2つの構成要素(16、32)内にそれぞれ配置されて、該第4の安全装置(54)のロック位置又はロック解除位置において前記閉鎖壁(68、70)を通じて引き付け合うか又は反発し合うものであり、
前記第1及び第2の磁気要素(64、66)のうちの少なくとも一方は、2つの端位置の間で、戻しばね(96)のスプリング力に抗して移動可能であり、
前記第2の磁気要素(66)は、前記ポートドア(18)と共に移動可能であり、前記ポートドア(18)が開くと同時に前記第2の磁気要素(66)が前記第1の磁気要素(64)から遠ざかるとき、前記開位置において前記作動機構(20)をロックする、ことを特徴とする装置。
【請求項4】
前記
第1及び第2の磁気要
素は、それぞれ、少なくとも1つの永久磁性体を含む、ことを特徴とする請求項1
~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記
第1及び第2の磁気要素のうちの一方は、少なくとも1つの強磁性体を含み、前記
第1及び第2の磁気要素のうちの他方は、少なくとも1つの永久磁性体を含む、ことを特徴とする請求項1
~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記作動機構(20)は、前記閉位置と前記開位置との間で回転軸の周りに回転可能なロック部(38)を有するロック(36)を備え
、前記第1及び第2の磁気要素のうちの少なくとも一
方は、前記ロック部(38)の前記回転軸に平行に移動可能である、ことを特徴とする請求項1~
5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記移動可能な磁気要
素は、前記ロック(36)の前記ロック位置において前記ロック部(38)の回転を阻止し、前記ロック解除位置において前記ロック部(38)の回転を可能にする、ことを特徴とする請求項
6に記載の装置。
【請求項8】
前記作動機構(20)は、前記閉位置と前記開位置との間で回転軸の周りに回転可能なロック部(38)を有するロック(36)を備え、前記
第1及び第2の磁気要素のうちの一方(62)は、前記ロック部(38)と共に前記回転軸の周りに回転可能である、ことを特徴とする請求項
2に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の、コンテナーとアイソレーターとの間で物質を無菌移送する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの装置は、ラピッドトランスファーポートとしても知られている。ラピッドトランスファーポートは、アイソレーターの壁において実質的にポートフランジ及びポートドアからなるアルファ部と、実質的にコンテナーフランジ及びコンテナーカバーからなるベータ部とを備え、ベータ部は、物質の移送前にアルファ部にドッキングされる。このタイプのラピッドトランスファーポートは、例えば、特許文献1及び特許文献2において知られている。この既知の装置は、合計5つの安全装置をボルトの形態で備え、これらの安全装置は、物質がコンテナーからアイソレーターへと移送されている間、又は物質がアイソレーターからコンテナーへと移送されている間に環境と意図せず接触することにより物質の汚染が偶発的に発生することを防止し、又は、逆に、例えば、装置の誤動作の結果として、コンテナー及び/又はアイソレーターからの有害物質が環境に進入し得ることを防止する。装置の誤動作は、安全装置によって防止されることが意図される。
【0003】
安全装置の数を減らしたこのタイプの同様の装置は、特許文献3又は特許文献4において知られている。
【0004】
第1の安全装置は、コンテナーにコンテナーカバーが設けられていない場合に、ポートドアが開くのを防止する。ポートドアが閉じておりコンテナーカバーに当接している場合、ボルトはロック解除位置にあり、この位置において、作動機構は開位置へと移ることができる。閉じたポートドアがコンテナーカバーに当接していない場合、ボルトはロック位置にあり、この位置において、ボルトは、作動機構が開位置へと移ることを防止する。
【0005】
第2の安全装置は、コンテナーフランジがポートフランジに適切に接続されていない、すなわち、ポートフランジに適切にドッキングされていない限り、ポートドアが開くことを防止する。この場合、ロック位置にあるボルトは、コンテナーのフランジ及びアイソレーターのフランジが互いに適切に接続されている場合にのみ、作動機構が閉位置を離れて開位置に向かうことができるように、作動機構を閉位置にロックする。2つのフランジを接続するためには、通常はバイオネット接続が採用され、バイオネット接続は、コンテナーフランジのラグがポートフランジの肩部に当接した場合に正しく作られる。
【0006】
第3の安全装置は、ポートドアが開いている限り、すなわち、作動機構が開位置にある最中に又は閉位置と開位置との間にある最中に2つのフランジが互いから外れることを防止する。この場合、ロック位置にあるボルトは、2つのフランジの回転を防止する。2つのフランジが回転すると、バイオネット接続の解除につながる可能性がある。作動機構が閉位置にあるとき、ボルトはロック解除位置にあり、この位置において、ボルトにより、2つのフランジの回転及びバイオネット接続の解除が可能になる。
【0007】
第4の安全装置は、作動機構が開位置に移動し、ポートドアに接続されたコンテナーカバーと共にポートドアが開いた後にコンテナーフランジがポートフランジから外れることを防止する機能を果たす。この場合、ロック位置にあるボルトは、作動機構が開位置にある又は閉位置と開位置との間にあるとき、作動機構が閉位置に戻ることを防止する。作動機構が閉位置にあるとき、ボルトはロック解除位置にある。
【0008】
特許文献1及び特許文献2に詳細に記載されている第5の安全装置が必要になるのは非常に稀にしかなく、具体的には、故意の誤動作が生じた場合、又はオペレーター側の装置の動作原理との親和性が完全に欠けている場合のみである。この場合、コンテナーフランジが、第2の安全装置による作動機構のロック解除と第3の安全装置によるコンテナーフランジのロックとの間でポートフランジに適切に接続されていない場合に、ボルトは作動機構をロックする。
【0009】
特許文献1及び特許文献2による装置において、第1の安全装置のボルトは、軸方向に移動可能な方法でポートドアの貫通孔に挿入され、一方、第3の安全装置のボルトと、第2の安全装置及び第5の安全装置のボルトの部分とは、軸方向に移動可能な方法でポートフランジの貫通孔に挿入される。ボルトは数ミリメートルの直径を有する。
【0010】
このタイプの装置が、アイソレーター及びコンテナー内部の物質の完全な無菌性を必要とする製薬業界又は医療業界において採用される場合、ラピッドトランスファーポートのアルファ部は、粒子又は細菌が侵入してはならない無菌バリアを形成する。しかしながら、貫通孔が無菌バリアを貫通しているため、貫通孔にシールを挿入する必要があり、シールは、細菌が貫通孔を通過することを防止するように意図される。しかしながら、ボルトは、貫通孔において進退し、端位置において自由端部を伴って孔から突出するため、粒子又は細菌は、シールがあるにもかかわらず依然として貫通孔を通過することがある。加えて、シールは、移動可能なボルトによって動的に応力が加えられるため、より早く故障し得る。また、シールが完全な状態であるかを監視することが困難であり、そのため、シールが故障した場合、汚染のリスクが更に高まる。さらに、貫通孔に侵入した細菌は、不完全にしか又は全く死滅させることができず、それゆえ同様に汚染につながり得るため、装置の滅菌もより困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第9704607号
【文献】国際公開第2013/053844号
【文献】仏国特許出願公開第2695343号
【文献】国際公開第2015/032713号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この見地から、本発明の土台となる目的は、安全装置の領域において、アイソレーター又はコンテナーの汚染が起き得るリスクを低減、可能な場合は防止することができることを趣旨として、上述したタイプの装置を改善するというものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、この目的は、少なくとも1つの安全装置、好ましくは2つ以上の安全装置がそれぞれ、互いに移動可能な2つの磁気要素を備えること、2つの磁気要素の間には、貫通開口のない少なくとも1つの閉鎖壁が配置されること、及び、磁気要素が、安全装置のロック位置又はロック解除位置において閉鎖壁を通じて引き付け合うか又は反発し合うことによって達成される。
【0014】
2つの磁気要素の間の貫通開口のない少なくとも1つの閉鎖壁を細菌が貫通不能であるため、既知の安全装置と対照的に、無菌バリアの侵入を確実に防止することができる。本発明に係る安全装置は、2つの磁気要素の間の少なくとも1つの閉鎖壁を通じて非接触式に起動する、すなわち、安全装置のロック位置からロック解除位置まで又はその逆に移すことができる。ここでの各事例において、2つの磁気要素のうちの一方は、他方の磁気要素に近づけられるため、壁を通じて2つの磁気要素の間に作用する磁気引力又は反発力によって、他方の磁気要素の移動が起こり、その結果、安全装置はロック位置又はロック解除位置を取ることになる。
【0015】
原理上、2つの磁気要素の間には単一の閉鎖壁が設けられれば十分である。しかしながら、2つの磁気要素が常に、装置の互いに移動可能な異なる構成要素内に配置される、例えば、一方がポートフランジにあり、他方が作動機構にある、又は、一方がポートドア、若しくはポートドアと共に移動可能な構成要素にあり、他方がポートフランジにあるため、アイソレーターの内側に対して2つの構成要素のそれぞれを密閉する2つの閉鎖壁を磁気要素の間に配置することができることが好ましい。
【0016】
原理上、装置は、5つの安全装置のうちの1つのみ、例えば、ポートドアが開いている限りはコンテナーフランジがアイソレーターから分離することを防止する第3の安全装置を備えることが可能である。この場合、この安全装置は2つの磁気要素を備える。
【0017】
ただし、装置は、例えば特許文献3による装置のように、2つ、3つ又は4つの安全装置を備えることも更に可能である。この場合、単一又は複数の安全装置に2つの磁気要素を備えることができる。本来であれば構成要素のうちの一方に貫通孔が必要になる安全装置は、常に2つの磁気要素を備えることが好ましい。
【0018】
本発明に係る安全装置は、装置またはラピッドトランスファーポートの構成を問わず採用することができる。例えば、例として特許文献1に記載されているような、作動機構又はそのロックの回転可能なロック部が、ポートフランジの内側に取り付けられるラピッドトランスファーポートが存在する。代替的に、後述するように、作動機構又はそのロックの回転可能なロック部が、ポートドアと共に移動可能であるラピッドトランスファーポートが存在する。
【0019】
本発明に係る安全装置は、加えて、ポートドアの開閉及び作動機構の動作が手動で、例えば、アイソレーターの内側へと突出するグローブによって行われるラピッドトランスファーポートだけでなく、ポートドアの開閉及び作動機構の動作がモータードライブ、例えばアイソレーターの外側から行われるラピッドトランスファーポートにおいても採用することができる。
【0020】
本発明の有利な実施の形態は、安全装置の2つの磁気要素のそれぞれが永久磁性体を含むことを提供する。この実施の形態には、所望に応じて2つの磁気要素の間の引力又は反発力によって動作することが可能であるという利点がある。しかしながら、2つの磁気要素の間の引力のみで動作するように意図されている場合、代替的に、2つの磁気要素のうちの一方に強磁性体を設け、他方に永久磁性体を設けることも可能である。原理上、磁気要素のうちの少なくとも一方を電磁石の形態にすることも可能であるが、これには電源が必要になる。
【0021】
特定の安全装置の磁気要素の動作原理については、原理上、4つの代替案がある:
1)磁気要素がロック位置において互いに引き付け合うが、ロック解除位置においては引き付け合わない、
2)磁気要素がロック位置において互いに反発し合うが、ロック解除位置においては反発し合わない、
3)磁気要素がロック解除位置において互いに引き付け合うが、ロック位置においては引き付け合わない、
4)磁気要素がロック位置ではなくロック解除位置において互いに反発し合うが、ロック位置においては反発し合わない。
【0022】
本発明の更なる有利な実施の形態は、2つの磁気要素のうちの少なくとも一方が、この磁気要素が設置された構成要素、例えば、ポートフランジ、ポートドア又は作動機構内で、それぞれ特定の安全装置のロック位置及びロック解除位置に対応する当該構成要素の2つの端位置の間で移動可能であることを提供する。いくつかの場合には、2つの磁気要素のうちの一方のみが2つの端位置の間で移動可能であれば十分であり、一方、他の場合には、双方の磁気要素が2つの端位置の間で移動可能であれば有利である。
【0023】
本発明に係る2つの磁気要素が互いに移動可能であるため、一方の磁気要素を他方の磁気要素に近づけることも遠ざけることもできる。他方の磁気要素に対する一方の磁気要素のこの相対運動は、装置の構成要素の移動によって、例えば、作動機構を開位置と閉位置との間で移動させることによって、ポートドアが開いている又は閉じているときのポートドアを移動させることによって、又は、コンテナーフランジ及びポートフランジが接続されているときの両者の相対運動によって起こすことができる。
【0024】
互いに対する引力又は反発力に起因して、一方の磁気要素が他方の磁気要素に近づくことにより、関連する安全装置がロック解除位置又はロック位置にある一方の端位置に他方の磁気要素が移動する。他方の磁気要素が遠ざかることにより、引力又は反発力が除去される又は少なくとも弱まる。
【0025】
他方の磁気要素がこの場合でも他方の端位置に移動し、その結果、関連する安全装置が適宜ロック位置又はロック解除位置に移るためには、他方の磁気要素は、戻しばねの力に抗して移動可能であることが好ましく、戻しばねの力により、互いに対する引力又は反発力が除去された又は弱まった後に、この他方の磁気要素は他方の端位置に移動する。
【0026】
複数の既知のラピッドトランスファーポートにおいて、作動機構は、ロック部を有するロックを備え、ロック部は、閉位置から開位置へと回転軸の周りに回転可能であり、通常、アイソレーターの内側において、ポートフランジ上、又はポートドアを超えて径方向に突出するバー上に設置される。さらにロック部は、作動機構の手動動作のために、ロック部を回転させる機能を果たすとともに、オペレーターによって把持し、アイソレーター内に突出するグローブを通じて作動することができる作動ハンドルを有する。この場合、2つの磁気要素のうちの少なくとも一方が、ロック部の回転軸に平行に移動可能であれば有利である。これにより、本発明に係る複数の安全装置が存在する場合、それらの磁気要素を回転可能なロック部に横並びに設置し、互いに個別に作動させることが容易になる。移動可能な磁気要素は、有利には、安全装置のロック位置においてロック部の回転を阻止し、ロック解除位置においてロック部の回転を可能にする機能を果たす。
【0027】
少なくとも1つの安全装置において、2つの磁気要素のうちの一方は、ポートフランジに配置されることが有利である。これは、例えば、ポートフランジに配置された第1の磁気要素と、ポートドアと共に移動可能な第2の磁気要素とを備える第4の安全装置とすることができる。第2の磁気要素は、ポートドアがポートフランジに当接し、2つの磁気要素が互いに引き付け合う又は反発し合うと、安全装置のロック解除位置において作動機構又は回転可能なロック部をロック解除する。逆に、第2の磁気要素は、ポートドアが開かれ、開く動きの結果として、2つの磁気要素が遠ざかって、互いに引き付け合う若しくは反発し合わなくなるか、又は十分強力に互いに引き付け合う若しくは反発し合わなくなり、これにより戻しばねが、安全装置がロック位置にある端位置まで第2の磁気要素を移動させたとき、作動機構又は回転可能なロック部をロックする。
【0028】
ただし、これは、ポートフランジに配置された第1の磁気要素に加えて、作動装置に作用する第2の磁気要素も同様に備える第2の安全装置とすることもできる。この場合、第2の磁気要素は、コンテナーフランジ及びポートフランジが互いに正しく完全に接続されているとき、作動機構又はその回転可能なロック部をロック解除する。この状態において、ポートフランジに配置されるキャッチは、コンテナーフランジのラグによって完全に押し下げられる。次に、キャッチは、移動可能な第1の磁気要素に作用し、少なくとも1つの壁を通じて第1の磁気要素が第2の磁気要素を引き付ける又は反発する端位置へと第1の磁気要素を押し付ける。
【0029】
本発明の更なる有利な実施の形態は、安全装置のうちの少なくとも1つにおいて、2つの磁気要素のうちの一方が、回転軸の周りに回転可能なロック部と共に回転可能であることを提供する。有利には、これは、ポートフランジ内の第1の磁気要素と、回転可能なロック部内の第2の磁気要素とを備える第3の安全装置であり、第2の磁気要素は、ロック部が開位置へと回転すると、第1の磁気要素から遠ざかる。その後、第1の磁気要素は、戻しばねの力によって、その他方の端位置に移動し、この位置において、ポートフランジに接続されたコンテナーフランジの戻り回転を阻止する。
【0030】
回転可能なロック部を有するロックの代わりに、作動機構は、直線移動可能なロック部を有するロックを備えてもよい。有利には、第3の安全装置の第2の磁気要素は、この場合、第2の磁気要素をポートフランジにある第1の磁気要素に近づけるために、直線移動可能なロック部と共に移動可能であり、第1の安全装置及び第2の安全装置の第2の磁気要素は、直線移動可能なロック部をロック及びロック解除する。
【0031】
以下、図面に概略的に示した例示的な実施形態によって本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】コンテナーのドッキング前の本発明に係る装置のポートフランジ及びポートドアの概略図であり、コンテナーフランジ及びコンテナーカバーのみを図示している。
【
図2】
図1に対応するがコンテナーのドッキング後の斜視図である。
【
図3】作動機構のロックの開放前のポートフランジ及びポートドアの反対側の上面図である。
【
図4】
図3に対応するがロックの開放後の図である。
【
図5】コンテナーのドッキング前でありロックの閉鎖状態における
図3の線A-Aに沿った断面図である。
【
図7】コンテナーのドッキング後でありロックの閉鎖状態における
図3の線A-Aに沿った断面図である。
【
図9】コンテナーのドッキング後でありロックの閉鎖状態における
図3の線A-Aに沿った更なる断面図である。
【
図11】ロックの開錠状態でありポートドアの開放前である、コンテナーのドッキング後の
図4の線E-Eに沿った断面図である。
【
図13】コンテナーのドッキング前状態である
図1の細部Gの拡大図である。
【
図14】(
図10に図示しない)コンテナーのドッキング後状態である
図1の細部Gの拡大図である。
【
図15】ロックの開錠状態でありポートドアの開放前である、コンテナーのドッキング後の
図4の線E-Eに沿った断面図である。
【
図17】ロックの開放状態でありポートドアを僅かに開放した状態である、コンテナーのドッキング後の
図4の線E-Eに沿った斜視断面図である。
【
図19】ロックの開放後でありポートドアを僅かに開放した状態である、ポートフランジ及びポートドアの部分断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
装置10は、部分的にしか図示しておらず、当該専門分野においてラピッドトランスファーポートとしても知られている。装置10は、コンテナー(図示せず)とアイソレーター(図示せず)との間で物質を無菌移送するために使用される。物質は、例えば、注入ボトルやバイアルのゴム製又はプラスチック製のストッパー、シリンジの部品、又は更には液体であり得る。移送動作の説明については、特許文献1の
図1及び添付の記載を参照されたい。
【0034】
物質の無菌移送のために、装置10は、アイソレーター側にいわゆるアルファ部12又はアルファポートを備える一方で、コンテナー側にはいわゆるベータ部14又はベータポートを備える。アルファ部12は、アルファフランジとしても知られているポートフランジ16に囲まれたポート開口部と、ポート開口部を閉鎖するポートドア18と、ポートドア18を開閉する作動機構20とを備える。ベータ部は、ベータフランジとしても知られているコンテナーフランジ22に囲まれたコンテナー開口部と、通常はコンテナー開口部を閉鎖しており、コンテナーフランジ22から取り外すことができるコンテナーカバー24とを備える。物質の移送のために、コンテナーのベータ部14は、アイソレーターのアルファ部12にドッキングされる。これは、2つのバイオネット接続を使用して行われ、これらのバイオネット接続は、コンテナーカバー24がコンテナーフランジ22から外されると同時に、密封する方法で、コンテナーフランジ22をポートフランジ16に接続するとともに、コンテナーカバー24をポートドア18に接続する。1つのバイオネット接続は、コンテナーフランジ22を超えて径方向に突出するラグ26を有し、ラグ26は、ドッキング中にポートフランジ16の対応する受け溝28に係合する。アルファ部12へのベータ部14のドッキングを完了するためには、ラグ26が溝28における対応するラグ止め部に当接するまで、ポート開口部の平面に垂直な軸の周りに、レバー30を使用してポートフランジ16の内部を回転させる。
【0035】
他のラピッドトランスファーポートにおいては、アルファ部12へのベータ部14のドッキングは、アルファ部12に対してベータ部14を回転させることによっても行うことができる。
【0036】
ポートドア18は、コンテナーをそのカバー24と共にドッキングした後にポートドア18をアイソレーターの内部へと旋回させることができるように、ポートフランジ16上に旋回可能に設置される。このために、ポートドア18には、ポートドア18上に剛的に設置されたバー32が設けられ、当該バー32は、ポートドア18の内部の上方で直径方向に延在する。ポートドア18の外周を超えて径方向に突出するバー32の第1の端部は、旋回ジョイント34によってポートフランジ16の内部に旋回可能にヒンジ接続される。
【0037】
ポートドア18は、作動機構20によってその閉鎖位置にラッチ留めすることができ、作動機構20は、このためにロック36を備える。ロック36は、第1のロック部38を備え、第1のロック部38は、バー32の第2の突出した端部に回転可能に設置され、作動ハンドル40によって閉位置(
図3)と開位置(
図4)との間で回転させることができ、径方向に突出したラッチ留めタブ42を有する。ロック36は、第2のロック部44を更に備え、第2のロック部44は、ポートフランジ16の内部において第1のロック部38の反対側に剛的に設置され、ラッチ受け部46(図
20)を有し、ラッチ受け部46において、ラッチ留めタブ42は、ポートドア18の閉鎖を維持するように閉位置で係合する。開位置において、ラッチ留めタブ42は、ラッチ受け部46から係脱される。
【0038】
回転可能なロック部38は、円板状の形状を有し、これを通って延在する剛軸(図に見えず)を有し、この剛軸は、バー32の上方を鉛直方向に突出する。ロック部38には、ロック部38と共に回転する円板状のカバー48がスナップ留めされる。
【0039】
装置10は、ラピッドトランスファーポートの誤動作を防止するように意図される、アルファ部12に配置された4つの安全装置50、52、54を備える。ラピッドトランスファーポートの誤動作が行われると、物質の移送中に、環境と意図せず接触することで物質が汚染される可能性もあれば、細菌が意図せず侵入することでアイソレーターが汚染される可能性もある。
【0040】
第1の安全装置は、ここでは、コンテナーにコンテナーカバー24が設けられておらず、そのためコンテナーの内部が無菌でない場合に、ポートドア18が開くのを防止する。第2の安全装置50は、コンテナーフランジ14がポートフランジ12に適切にドッキングされていない限り、回転可能なロック部38が開位置まで移動することでポートドア18が開くことを防止する。第3の安全装置52は、ポートフランジ12に適切に接続されたコンテナーフランジ14をロックし、回転可能なロック部38が閉位置を離れて開位置に向かうとすぐに関連するバイオネット接続が解除されることを防止する。第4の安全装置54は、ポートドア18が開放された状態でロック部38が回転して閉位置に戻ることを防止し、そのため、第2の安全装置50及び第3の安全装置54のロック解除も防止する。
【0041】
ラピッドトランスファーポートの無菌性が安全装置50、52、54によって損なわれること、及び、細菌がアルファ部12の無菌バリアに侵入する可能性を回避するために、3つの安全装置50、52、54は、それぞれ、互いに対して移動可能な2つの磁気要素56、58;60、62;64、66を備え、2つの磁気要素56、58;60、62;64、66の間には、貫通開口のない2つの閉鎖壁68、70が配置され、磁気要素56、58;60、62;64、66は、関連する安全装置50、52、54のロック位置又はロック解除位置において閉鎖壁68、70を通じて引き付け合うか又は反発し合う。
【0042】
3つの安全装置50、52、54の全てにおいて、2つの磁気要素56、58;60、62;64、66のうちの一方56;60;64(以下、第1の磁気要素と呼ばれる)は、ポートフランジ16内に収容されるのに対して、2つの磁気要素のうちの他方58;62;66(以下、第2の磁気要素と呼ばれる)は、ポートドア18のバー32内に収容される。2つの磁気要素56、58;60、62;64、66は、それぞれ、永久磁石材料、例えば、ネオジム鉄ボロン合金又は別の希土類合金から構成された円筒形又は環状の磁性体を含む。2つの磁性体は、それぞれ、磁性体の2つの平坦な端面が互いに対向するように設置される。
【0043】
コンテナーカバー24の有無をチェックする機能を果たす第1の安全装置は、特許文献1によるラピッドトランスファーポートとは対照的に、ここで説明するラピッドトランスファーポートのポートドア18内に静的に装着されたシールのみを必要とする。この理由から、また、コンテナーカバーごとに磁気要素に嵌合させる必要性をなくすために、ここでは第1の安全装置は、磁気要素なしで構成され、より詳細に記載することはしない。他方、上述の第2の安全装置50、第3の安全装置52、及び第4の安全装置54は、それぞれ、2つの磁気要素56、58;60、62;64、66を備える。
【0044】
図5~
図8、
図13及び
図14に最も良く示すように、第2の安全装置50において、ポートフランジ16に設置された第1の磁気要素56は、ポートフランジ
16の止まり穴における戻しばね74の力に抗して移動可能である、環状の磁性体及びマウント72からなる。マウント72は、プレート及びピンを含み、ピンは環状の磁性体を通過する。止まり穴に近接してポートフランジ
16に旋回可能に取り付けられるキャッチ76がプレートに作用する。キャッチ76は、
図13に示すように、コンテナーのドッキング前はポートフランジ16の受け溝28内に突出しており、
図14に示すように、ポートフランジ16の止め部に当接するラグ26によって2つのフランジ
22、16が適切に接続されている場合、キャッチ76は、コンテナーフランジ
22のラグ26のうちの1つによってそこで完全に押し下げられている。コンテナーのドッキング解除後、キャッチ76は、
図13に示すように、戻しばね74によって受け溝28内に戻る。キャッチ76の旋回位置に従って、第1の磁気要素56は、
図6及び
図8に示すように、2つの端位置の間で進退する。キャッチ76が受け溝28内に突出しているとき、第1の磁気要素56は第1の端位置にあり(
図6)、これに対して、キャッチ76が押し下げられているとき、第1の磁気要素56は止まり穴の底部にある(
図8)。止まり穴は、壁68によってバー32から閉鎖され、壁68は、薄く、錆びずかつ非磁性の鋼板からなる。
【0045】
第2の磁気要素58は、バー32の内側において第1の磁気要素56の反対側に位置する。円筒形の磁性体に加えて、第2の磁気要素58は、ポートフランジ16から見て外方を向く磁性体側を超えて突出するピン78を備える。磁性体及びピン78は、バー32の止まり穴において移動可能であり、止まり穴は壁70によってポートフランジから閉鎖される。壁70も同様に、薄く、錆びずかつ非磁性の鋼板からなる。
【0046】
図6及び
図8に最も良く示すように、ピン78は、磁性体から見て外方を向くその端面が、戻しばね82の力に抗して軸方向に摺動可能であるように回転可能なロック部38に取り付けられる更なるピン80に当接する。第1の磁気要素56がその第1の端位置にあり、キャッチ76に荷重がないとき、戻しばね82は、ピン80、78を介して第2の磁気要素58を壁70に押し付ける。
【0047】
2つの磁性体は、互いに反発し合うように配向される。キャッチ76が押し下げられることで、第1の磁気要素56が第2の端位置に移動し、第2の磁気要素58に近づくと、第2の磁気要素58は、ばね82の力に抗して止まり穴の底部から持ち上げられる。2つの磁気要素56、58の反発力は、キャッチ76が完全に押し下げられたとき、2つのピン78、80の当接する平坦な端面が、バー32上の回転可能なロック部38の平坦な接触面と同一平面にあるように、戻しばね82のスプリング力に
調整される。
図8に示すこの位置は、第2の安全装置50のロック解除位置であり、この位置において、回転可能なロック部38をロック36の閉位置からその開位置へと回転させることができる。
【0048】
コンテナーがドッキング解除されたときにキャッチ76が
図6及び
図13に示す位置に戻ると、第2の安全装置50は、ロック位置を取り、この位置において、回転可能なロック部38を閉位置から出すことができない。
【0049】
図9~
図12に最も良く示すように、第3の安全装置52において、ポートフランジ16に設置された第1の磁気要素60は、第2の安全装置50の構成に対応する構成を有し、ポートフランジ16の止まり穴における戻しばね86の力に抗して移動可能である、環状の磁性体及びマウント84からなる。マウント84は、プレート及び2つのピンを含み、2つのピンのうちの一方は環状の磁性体を通過する。他方のピンは、プレートの反対側を超えて突出する。磁性体及び2つのピンは、止まり穴内で軸方向に移動可能であり、止まり穴は、バー32に向かって壁68によって閉鎖される。
【0050】
第2の磁気要素62は、長い円筒形の磁性体からなり、この磁性体は、回転可能なロック部38に共に回転可能に接続され、ポートフランジ16を向くロック部38側を超えて突出し、バー32の細長い凹み孔90内に突出し、
湾曲した細長い孔90は、壁70によってポートフランジ
16から底部において閉鎖される。回転可能なロック部38が閉位置にあるとき、
図3及び
図10に示すように、第2の磁気要素62は、第1の磁気要素60の正反対に配置されている。回転可能なロック部38が開位置にあるとき、
図4及び
図12に示すように、第2の磁気要素62は、第1の磁気要素60に対して側方にシフトされている。
【0051】
2つの磁性体は、ロック36の閉位置において第2の磁気要素62が第1の磁気要素60の反対側にあるときに磁性体同士が互いに引き付け合うように配向される。第3の安全装置52のこのロック解除位置において、第1の磁気要素60が第1の端位置を取るように、2つの磁気要素60、62の引力は、戻しばね86のスプリング力に
調整される。第1の端位置において、ピン88は、戻しばね86の力に抗して受け溝28から完全に引き戻される(
図13)。ロック部38
の開位置への回転と同時に、第2の磁気要素62が、細長い孔90内で回転方向に第1の磁気要素60から遠ざかるとき、磁気要素60、62間の磁気引力は、第1の磁気要素60が戻しばね86によって第2の端位置まで押し戻される程に弱まっていく。第2の端位置において、ピン88は、受け溝28内に再び突出し(
図14)、第3の安全装置52は、そのロック位置にある。ピン88が、コンテナーフランジ
22のラグ26のうちの1つの真後ろで溝28内に突出し、ラグ26又はコンテナーフランジ
22が戻るように回転することを防止するように、溝28におけるピン88の位置は選択される。
【0052】
図15~
図20に最も良く示すように、第4の安全装置54において、第1の磁気要素64は、ポートフランジ16に設置された固定の磁性体のみからなり、この磁性体は、ポートフランジ16の内側における壁68によってアイソレーターの内側から分離される。第2の磁気要素66は、バー32の内側において第1の磁気要素64の正反対に位置しており、これにより、ポートドア18が開いているとき、第2の磁気要素66は、上記ポートドア18と共に第1の磁気要素64から遠ざかり、ポートドア18が閉じているとき、第2の磁気要素66は、上記ポートドア18と共に、第1の磁気要素64に近づく。磁性体に加えて、第2の磁気要素66は、ポートフランジ16から見て外方を向く磁性体側を超えて突出するピン92を備える。磁性体及びピン92は、バー32の止まり穴内で軸方向に移動可能であり、止まり穴は、壁70によってポートフランジ16から閉鎖される。
図16及び
図18に最も良く示すように、ピン92は、磁性体から見て外方を向くその平坦な端面が、戻しばね96の力に抗して軸方向に摺動可能であるように回転可能なロック部38の止まり穴に取り付けられる更なるピン94の平坦な端面に当接する。
【0053】
2つの磁性体は、ポートドア18が閉じられていることで、第2の磁気要素66が第1の磁気要素64に近づいたときに磁性体同士が互いに反発し合うように配向される。2つの磁気要素64、66の反発力は、ポートドア18が閉じた状態でバー32がポートフランジ16に当接したとき、2つのピン92、94の当接する平坦な端面が、バー32上の回転可能なロック部38の平坦な接触面と同一平面にあるように、戻しばね96のスプリング力に調整される。この位置は、第4の安全装置54のロック解除位置であり、この位置において、回転可能なロック部38をロック36の開位置から閉位置へと戻るように回転させることができる。
【0054】
ポートドア
18がロック36の開位置において僅かに開いているとき、2つの磁気要素64、66間の反発力は弱まる。結果として、
図18に最も良く示すように、戻しばね96の力により、第2の磁気要素66が孔内の壁70に向けて移動し、これにより、2つのピン92、94の当接する平坦な端面は、バー32上の回転可能なロック部38の接触面の面から離れる。第4の安全装置54のこのロック位置において、回転可能なロック部38をロック36の開位置からその閉位置に出るように回転させることができない。
【0055】
図6、
図8、
図10、
図12、
図16及び
図18に最も良く示すように、回転可能なロック部38は、Oリング98、100によってバー32及びカバー48の双方から密閉され、Oリング98、100は、それぞれ、回転可能なロック部38及びカバー48の外周に沿って延在する。