(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】排気装置
(51)【国際特許分類】
F24F 13/04 20060101AFI20240617BHJP
F24F 13/08 20060101ALI20240617BHJP
F24F 7/02 20060101ALI20240617BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
F24F13/04
F24F13/08 A
F24F7/02 L
F24F7/06 Z
(21)【出願番号】P 2023030963
(22)【出願日】2023-03-01
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】593214073
【氏名又は名称】オリエンタル技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】林 正剛
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-040438(JP,A)
【文献】特開2000-179324(JP,A)
【文献】米国特許第4806076(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/04
F24F 13/08
F24F 7/02
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体が導入されるベース筒と、
気体の流通方向から見て前記ベース筒との間に隙間をあけた状態で前記ベース筒の周囲を取り囲むとともに、前記流通方向において前記ベース筒の下流側に接続されたノズル筒と、を備え、
前記ノズル筒は、
内径が一様に形成されたストレート部と、
前記ストレート部の下流
側端部に連なるとともに、下流側に向かうに従い内径が先細る第1テーパ部と、
前記ストレート部の上流側端部に連なるとともに、上流側に向かうに従い内径が先細る第2テーパ部と、を備え
、
前記ノズル筒の上流側端部は、少なくとも前記第2テーパ部を含む部分が、前記流通方向に交差する方向において前記ベース筒との間に隙間をあけた状態で前記ベース筒の下流側端部の周囲を取り囲んでいる排気装置。
【請求項2】
前記ベース筒は、
上流側に位置する共通流路と、
前記共通流路の下流側端部において前記共通流路から分岐する複数の分岐流路と、
隣り合う前記分岐流路間に形成され、前記流通方向に交差する方向に開口するとともに、前記ベース筒の下流側端部において前記ノズル筒内に開口する取込流路と、を備えている請求項
1に記載の排気装置。
【請求項3】
前記取込流路における下流側端部は、前記ノズル筒の上流側端部のうち、少なくとも前記第2テーパ部を含む部分によって周囲が囲まれた状態で、前記ノズル筒内に開口している請求項2に記載の排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
実験施設等、有害ガスや悪臭を含む気体が発生する施設には、人体や周辺環境等に影響が及ばないように気体を大気中に排出するための排気装置が設けられている。この種の排気装置としては、例えば下記特許文献1のように、上流側に位置するベース筒と、ベース筒の下流側に接続されたテーパ筒と、を備える構成が開示されている。
【0003】
この構成によれば、施設から排出される気体は、ベース筒を通じてテーパ筒内に流入した後、テーパ筒の上端開口部を通じて大気中に排出される。この際、気体は、テーパ筒の上流側端部とベース筒の下流側端部との隙間を通じてテーパ筒内に取り込まれる大気によって希釈されるとともに、テーパ筒を流れる過程で流速が高められた状態でノズル筒から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2005/0204582号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術にあっては、ノズル筒からの気体の排出距離を向上させる点で未だ改善の余地があった。
【0006】
本発明は、ノズル筒からの気体の排出距離を向上させることができる排気装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る排気装置は、気体が導入されるベース筒と、気体の流通方向から見て前記ベース筒との間に隙間をあけた状態で前記ベース筒の周囲を取り囲むとともに、前記流通方向において前記ベース筒の下流側に接続されたノズル筒と、を備え、前記ノズル筒は、内径が一様に形成されたストレート部と、前記ストレート部の下流端部に連なるとともに、下流側に向かうに従い内径が先細る第1テーパ部と、を備えている。
【0008】
本態様によれば、ノズル筒内に流入した気体が第1テーパ部を通過する際に流速が高められることで、ノズル筒の下流側開口部を通じて上方に向けて勢いよく気体を排出することができる。特に、本態様では、第1テーパ部の上流側に内径が一様なストレート部が形成されているため、ノズル筒全体をテーパ形状に形成する場合に比べて、第1テーパ部の下流側開口部よりも上流側で安定した高圧領域を確保し易い。その結果、気体の排出距離の向上を図ることができる。この場合、例えば排気装置の周囲に設置された吸気設備等から再び対象気体が施設内等に流入することを抑制できる。また、排気装置全体の長さを延ばして、排出距離を向上させる構成に比べて、設置コストや設置スペースの削減を図ることができる。
【0009】
(2)上記(1)の態様に係る排気装置において、前記ノズル筒は、前記ストレート部の上流端部に連なるとともに、上流側に向かうに従い内径が先細る第2テーパ部を備えていることが好ましい。
本態様によれば、ノズル筒内に流入した気体が、ノズル筒とベース筒との間の隙間を通じて外部に漏れることを抑制できる。そのため、ノズル筒内で高圧領域を形成し易くなり、排出距離の更なる向上を図ることができる。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)の態様に係る排気装置において、前記ノズル筒の上流側端部は、前記ベース筒の下流側端部の周囲を取り囲んでいることが好ましい。
本態様によれば、ベース筒及びノズル筒間での対象気体の漏れを抑制して、ノズル筒内に効果的に対象気体を導入できる。そのため、ノズル筒内で高圧領域を形成し易くなり、排出距離の更なる向上を図ることができる。
【0011】
(4)上記(1)から(3)の何れかの態様に係る排気装置において、前記ベース筒は、上流側に位置する共通流路と、前記共通流路の下流側端部において前記共通流路から分岐する複数の分岐流路と、隣り合う前記分岐流路間に形成され、前記流通方向に交差する方向に開口するとともに、前記ベース筒の下流側端部において前記ノズル筒内に開口する取込流路と、を備えていることが好ましい。
本態様によれば、気体が分岐流路を通じてノズル筒32内に流入することで、ノズル筒内において分岐流路の下流側開口部周辺には、負圧領域が形成される。これにより、取込流路内に大気が引き込まれることで、取込流路を通じて大気がノズル筒内に流入する。その結果、ノズル筒から排出される前に、ノズル筒内において、気体を大気によって事前に希釈することができる。
【発明の効果】
【0012】
上記各態様によれば、ノズル筒からの気体の排出距離を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る排気システムの概略構成図である。
【
図3】
図2のIII-III線に対応する断面図である。
【
図4】
図2のIV-IV線に対応する断面図である。
【
図6】
図4のVI-VI線に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。また、本実施形態において、「向かい合う」とは、2つの面それぞれの直交方向(法線方向)が互いに一致している場合に限らず、直交方向同士が交差している場合も含んでいる。
【0015】
<排気システム1>
図1は、排気システム1の概略構成図である。
図1に示す排気システム1は、施設2で発生する気体を大気中に排出する。なお、排気システム1が設置される施設2としては、食品、医薬品、化学製品、バイオ等の実験施設や、畜産業における畜舎、廃棄物処理場等、有害ガスや悪臭を含む気体(以下、対象気体という。)が発生し得る種々の施設が挙げられる。
【0016】
排気システム1は、ダクト10と、ファン11と、排気装置12と、を備えている。
ダクト10は、対象気体の発生空間13と排気装置12とを接続している。対象気体の発生空間13とは、例えば実験施設においてはヒュームフード等の実験器具の内部空間であり、廃棄物処理場や畜舎等、施設2自体に対象気体が充満する場合には施設2の屋内空間である。
図1では、施設2内に複数の発生空間13が設けられた状態を示している。各発生空間13から引き出されたダクト10は、例えば下流側で集合した後、排気装置12に向けて延びている。
ファン11は、ダクト10上に設けられている。ファン11は、ダクト10内に流入した対象気体を下流側(排気装置12側)に向けて送り出す。
【0017】
図2は、排気装置12の斜視図である。
図2に示すように、排気装置12は、施設2(
図1参照)の屋上等に設置される。排気装置12は、ダクト10の下流端部に接続され、ファン11により送り出される対象気体を大気中に排出する。具体的に、排気装置12は、ベース筒30と、ステー31と、ノズル筒32と、を備えている。なお、ベース筒30及びノズル筒32は、互いに同軸に配置された筒状に形成されている。以下、ベース筒30及びノズル筒32の中心軸線Oに沿う方向を上下方向とする。上下方向のうちベース筒30側を下方とし、ノズル筒32側を上方とする。また、上下方向から見て中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0018】
図3は、
図2のIII-III線に対応する断面図である。
図4は、
図2のIV-IV線に対応する断面図である。
図3、
図4に示すように、ベース筒30は、ダクト10内とノズル筒32内とを連通させる。ベース筒30は、上方に向かうに従い段々の外径が縮小する多段筒状に形成されている。具体的に、ベース筒30は、大径部35と、接続部36と、小径部37と、を備えている。大径部35、接続部36及び小径部37は、下方から上方にかけて順に連なっている。
【0019】
大径部35は、下方から上方にかけて外径が漸次縮小するテーパ状に形成されている。なお、大径部35の内側には、排気装置12の上端開口部(ノズル筒32の上端開口部)等を通じて排気装置12内に進入する雨水等を、捕捉するベンチレータ等が設けられていてもよい。
【0020】
接続部36は、大径部35の上端開口縁から上方に延びている。接続部36は、上下方向の全長に亘って外径が一様に形成されている。図示の例において、接続部36における上下方向の長さは、大径部35及び小径部37よりも短い。
小径部37は、接続部36の上端開口縁から上方に延びている。小径部37は、下方から上方にかけて外径が漸次縮小するテーパ状に形成されている。図示の例において、小径部37における上下方向の長さは、大径部35よりも短い。小径部37のテーパ角(縦断面視において小径部37のうち径方向で向かい合う部分同士のなす角度)は、大径部35のテーパ角(縦断面視において大径部35のうち径方向で向かい合う部分同士のなす角度)よりも大きい。但し、ベース筒30(大径部35、接続部36及び小径部37)における寸法やテーパ角等については、適宜変更が可能である。
【0021】
図5は、
図4のV-V線に対応する断面図である。
図3~
図5に示すように、小径部37には、一対のスリット37aが形成されている。スリット37aは、小径部37において、径方向のうち第1方向で向かい合う部分に形成されている。スリット37aは、第1方向から見た側面視でU字状に形成されている。具体的に、スリット37aは、小径部37を第1方向に貫通するとともに、上下方向に延びている。スリット37aは、小径部37の上端開口縁で開放されている。
【0022】
小径部37には、仕切部37bが設けられている。仕切部37bは、各スリット37aの開口縁のうち、第1方向で向かい合う部分同士を連続的に架け渡している。すなわち、仕切部37bは、第1方向から見てスリット37aの開口縁に倣って延びるU字状に形成されている。これにより、小径部37の内側空間は、仕切部37bによって径方向のうち第1方向に交差する第2方向に仕切られている。この場合、大径部35内及び接続部36の内側空間を共通流路41とすると、小径部37の内側空間のうち仕切部37bに対して第2方向の両側に位置する部分は、一対の分岐流路42を構成している。各分岐流路42は、共通流路41の上端開口部から二股に分岐した状態で、上方に延びている。
図3の例において、小径部37(分岐流路42)の上端開口縁は、第2方向の内側に向かうに従い下方に向けて延びている。したがって、各分岐流路42からは、上方かつ第2方向の内側に向けて対象気体が排出される。
【0023】
一方、小径部37において、分岐流路42間に位置する部分は、仕切部37bによって分岐流路42と区画された取込流路43を構成している。取込流路43は、小径部37を第1方向に貫通するとともに、上方に向けて開放されている。取込流路43は、排気装置12の外部とノズル筒32の内部とを、ノズル筒32よりも上流側で連通させる。
【0024】
図6は、
図4のVI-VI線に対応する断面図である。
図2、
図6に示すように、ステー31は、小径部37から径方向に突出している。本実施形態において、ステー31は、周方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0025】
ノズル筒32は、ベース筒30を通過した対象気体を含む気体を大気中に排出する。ノズル筒32は、ベース筒30の上端部にステー31を介して接続されている。ノズル筒32は、下端開口部を通じてベース筒30(小径部37)の上端開口部に連通する一方、上端開口部を通じて排気装置12の外部に連通している。本実施形態において、「接続」とは、ベース筒30とノズル筒32とが、隙間なく(直接)接続されている場合以外に、ベース筒30の上端開口部とノズル筒32の下端開口部とが離れた状態であっても、ベース筒30からノズル筒32内に気体が流通可能である場合も含む。例えば、平面視(流通方向から見て)においてノズル筒32がベース筒30の周囲を取り囲んだ状態で、ベース筒30の上端開口部とノズル筒32の下端開口部が上下方向で向かい合い、ベース筒30からノズル筒32内に対象気体を含む気体が流通可能であってもよい。
【0026】
ノズル筒32は、下テーパ部(第2テーパ部)50と、ストレート部51と、上テーパ部(第1テーパ部)52と、を備えている。下テーパ部50、ストレート部51及び上テーパ部52は、中心軸線Oと同軸に配置された筒状で、下方から上方にかけて順に連なっている。
【0027】
下テーパ部50は、下方から上方にかけて内径が漸次拡大するテーパ状に形成されている。下テーパ部50の内面には、各ステー31の先端部が連結されている。これにより、ノズル筒32は、下テーパ部50が小径部37の上端部を径方向の外側から取り囲んだ状態で、ベース筒30に同軸上に接続されている。すなわち、下テーパ部50の下端開口部は、小径部37の上端開口部よりも下方において開放されている。下テーパ部50の内面と、小径部37の外面と、の間において、隣り合うステー31間に位置する部分には、径方向の隙間(以下、導入隙間S1という。)が形成されている。導入隙間S1は、下テーパ部50の下端開口部を通じて、ノズル筒32の内外を連通させている。
【0028】
ストレート部51は、下テーパ部50の上端開口縁から上方に向けて延びている。ストレート部51は、上下方向の全長に亘って内径が一様に形成されている。本実施形態において、ストレート部51の内径は、下テーパ部50の最大内径(上端開口縁での内径)と同等に形成されている。図示の例において、ストレート部51の下端部は、小径部37の上端部を径方向の外側から取り囲んでいる。但し、ノズル筒32は、少なくとも一部(例えば、下テーパ部50の一部のみ等)が小径部37の周囲を取り囲んでいてもよい。具体的に、ノズル筒32は、小径部37における上下方向の長さに対して0以上1/5以下の範囲で重なり合っていることが好ましい。なお、「0」とは、ノズル筒32の下端縁と、小径部37の上端縁と、が一致している状態である。また、本実施形態では、ベース筒30とノズル筒32との一部同士が、上下方向に重なり合う構成について説明するが、ベース筒30とノズル筒32とは、上下方向で離れて配置されていてもよい。なお、図示の例において、ストレート部51における上下方向の長さは、小径部37よりも長い。
【0029】
上テーパ部52は、ストレート部51の上端開口縁から上方に延びている。具体的に、上テーパ部52は、下方から上方に向かうに従い内径が漸次縮小するテーパ状に形成されている。上テーパ部52のテーパ角(縦断面視において上テーパ部52のうち径方向で向かい合う部分同士のなす角度)は、下テーパ部50のテーパ角(縦断面視において下テーパ部50のうち径方向で向かい合う部分同士のなす角度)よりも小さい。但し、上テーパ部52及び下テーパ部50における寸法やテーパ角等については、適宜変更が可能である。上テーパ部52の上端開口部は、排気装置12の吹き出し口52aとして機能する。上テーパ部52における最小内径(上端開口縁での内径)は、小径部37や下テーパ部50の最小内径よりも小さい。
【0030】
次に、上述した排気システム1の作用について説明する。
図1に示すように、発生空間13で発生した対象気体は、ダクト10内を流通した後、排気装置12に到達する。
図2~
図4に示すように、排気装置12に到達した対象気体は、ベース筒30内を大径部35及び接続部36の順に流れる。接続部36を通過した対象気体は、小径部37において各分岐流路42内に分配される。各分岐流路42内を流れる対象気体は、分岐流路42の上端開口部を通じてノズル筒32内に流出する。
【0031】
ベース筒30のうち、大径部35及び小径部37は、それぞれ上方に向かうに従い漸次先細るテーパ状に形成されている。したがって、ベース筒30を流れる対象気体は、下流側に向かうに従い徐々に流速が高められる。そのため、流速の高い対象気体が分岐流路42からノズル筒32内に流出することで、ノズル筒32内において小径部37の上端開口部周辺には、負圧領域が形成される。負圧領域が形成されることで、ノズル筒32内には対象気体とともに大気が流入する。具体的に、大気は、スリット52bを通じて取込流路43内に流入した後、取込流路43の上端開口部を通じてノズル筒32内に流入する。また、大気は、導入隙間S1を通じてノズル筒32内に流入する。ノズル筒32内に流入した大気は、ノズル筒32内の対象気体と混合されることで、対象気体を希釈する。ノズル筒32内に流入した対象気体は、ストレート部51を通過した後、上テーパ部52の上端開口部(吹き出し口52a)を通じて大気中に排出される。
【0032】
ここで、上テーパ部52は、上方に向かうに漸次先細るテーパ状に形成されているため、上テーパ部52内では対象気体が下流側に流れ難くなる。すなわち、上テーパ部52の上端開口部(吹き出し口52a)がオリフィスとして機能することで、ノズル筒32内のうちストレート部51から上テーパ部52に至る範囲には、下流側に向かうに従い圧力が高くなる高圧領域が形成される。その上で、対象気体は、上テーパ部52を通過する過程で、徐々に流速が高められる。その結果、対象気体は、吹き出し口52aを通じて上方に向けて勢いよく放出される。
【0033】
このように、本実施形態の排気装置12において、ノズル筒32は、内径が一様に形成されたストレート部51と、ストレート部51の上端部(下流端部)に連なるとともに、下流側に向かうに従い内径が先細る上テーパ部(第1テーパ部)52と、を備えている構成とした。
この構成によれば、ノズル筒32内に流入した対象気体が上テーパ部52を通過する際に流速が高められることで、ノズル筒32の上端開口部を通じて上方に向けて勢いよく対象気体を排出することができる。特に、本実施形態では、上テーパ部52の上流側に内径が一様なストレート部51を形成されているため、ノズル筒32全体をテーパ形状に形成する場合に比べて、上テーパ部52の上端開口部(吹き出し口52a)の上流側で安定した高圧領域を確保し易い。その結果、対象気体の排出距離の向上を図ることができる。この場合、例えば排気装置12の周囲に設置された吸気設備等から再び対象気体が施設2内等に流入することを抑制できる。また、排気装置12全体の長さを延ばして、排出距離を向上させる構成に比べて、設置コストや設置スペースの削減を図ることができる。
【0034】
本実施形態において、ストレート部51の上下方向の寸法をTaとすると、上テーパ部52の上下方向の寸法Tbは、Ta/2<Tb<Taの範囲に設定されていることが好ましい。上テーパ部52の上下方向の寸法TbをTa/2よりも大きくすることで、吹き出し口52aの上流側で高圧領域を形成し易く、吹き出し口52aからの対象気体の排出距離を向上させ易い。一方、上テーパ部52の上下方向の寸法TbをTaよりも小さくすることで、ストレート部51の寸法を確保して、安定した高圧領域を形成することができる。これにより、ノズル筒32内での対象気体の逆流等を抑制できる。
【0035】
本実施形態の排気装置12において、ノズル筒32は、ストレート部51の上流端部に連なるとともに、上流側に向かうに従い内径が先細る下テーパ部(第2テーパ部)50を備えている構成とした。
この構成によれば、ノズル筒32内に流入した対象気体が、ノズル筒32とベース筒30との間の隙間(導入隙間S1)を通じて外部に漏れることを抑制できる。そのため、ノズル筒32内で高圧領域を形成し易くなり、排出距離の更なる向上を図ることができる。
【0036】
本実施形態の排気装置12において、ノズル筒32の下端部(上流側端部)は、ベース筒30の上端部(下流側端部)を取り囲んでいる構成とした。
この構成によれば、ベース筒30及びノズル筒32間での対象気体の漏れを抑制して、ノズル筒32内に効果的に対象気体を導入できる。そのため、ノズル筒32内で高圧領域を形成し易くなり、排出距離の更なる向上を図ることができる。
【0037】
本実施形態の排気装置12において、ベース筒30は、上流側に位置する共通流路41と、共通流路41の下流側端部において共通流路から分岐する複数の分岐流路42と、隣り合う分岐流路42間に形成され、上下方向(流通方向)に交差する方向(第1方向)に開口するとともに、ベース筒30の下流側端部においてノズル筒32内に開口する取込流路43と、を備えている構成とした。
この構成によれば、対象気体が分岐流路42を通じてノズル筒32内に流入することで、ノズル筒32内において分岐流路42の上端開口部周辺には、負圧領域が形成される。これにより、取込流路43内に大気が引き込まれることで、取込流路43を通じて大気がノズル筒32内に流入する。その結果、ノズル筒32から排出される前に、ノズル筒32内において、対象気体を大気によって事前に希釈することができる。
【0038】
(その他の変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、ノズル筒32が下テーパ部50を備える構成について説明したが、この構成に限られない。ノズル筒32は、少なくともストレート部51と上テーパ部52を備えていればよい。
上述した実施形態では、排気装置12の中心軸線Oが上下方向に沿って配置された構成について説明したが、この構成に限られない。排気装置12は、中心軸線Oが水平方向に沿って配置される構成等であってもよい。
上述した実施形態では、ベース筒30に取込流路43が形成された構成について説明したが、取込流路43は必須の構成ではない。
【0039】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1:排気装置
12:排気装置
30:ベース筒
32:ノズル筒
41:共通流路
42:分岐流路
43:取込流路
50:下テーパ部(第2テーパ部)
51:ストレート部
52:上テーパ部(第1テーパ部)
【要約】
【課題】ノズル筒からの気体の排出距離を向上させることができる排気装置を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る排気装置は、気体が導入されるベース筒と、気体の流通方向から見てベース筒との間に隙間をあけた状態でベース筒の周囲を取り囲むとともに、流通方向においてベース筒の下流側に接続されたノズル筒と、を備えている。ノズル筒は、内径が一様に形成されたストレート部と、ストレート部の下流端部に連なるとともに、下流側に向かうに従い内径が先細る第1テーパ部と、を備えている。
【選択図】
図2