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特許7504534会陰部マッサージ機能付きマッサージ機及びその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】会陰部マッサージ機能付きマッサージ機及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20240617BHJP
【FI】
A61H7/00 322E
A61H7/00 322J
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022576102
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-11
(86)【国際出願番号】 KR2020018218
(87)【国際公開番号】W WO2021251571
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0071344
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0082129
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518358871
【氏名又は名称】ボディーフレンド カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BODYFRIEND Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】163,Yangjaecheon-ro,Gangnam-gu,Seoul,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】カン、ウン チョル
(72)【発明者】
【氏名】コン、ドク ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ド ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、チョル ジン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ス ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ホ ジュン
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0061028(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0068237(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の背部分を支え、開口部が開かれるように形成されている背もたれフレームと、
前記背もたれフレームの下端部に連結されて使用者の尻部分と太もも部分を支え、背もたれフレームの開口部と連通される開口部が形成されている着座フレームと、
前記背もたれフレームと着座フレームの開口部の両側部に沿って移動しながら、使用者の身体部位をあん摩するあん摩ユニットと、
弾力性のある材質からなり、前記着座フレームの開口部を横切るように配設され、前記着座フレームの開口部を介して前記あん摩ユニットから加えられる押圧力を使用者の尻部分または太もも部分に伝達する弾力バンドと、
前記弾力バンドの上に配設されて外部から給気される空気により膨らみながら、使用者の会陰部を上向きに押圧する会陰部エアバッグと、
前記会陰部エアバッグの前方部の両側に配設されて外部から給気される空気により膨らみながら、使用者の太もも部分を上向きに押圧する太ももエアバッグと、
前記会陰部エアバッグ及び太ももエアバッグに空気を注入しかつ排出する空気給気部と、を含む
ことを特徴とする会陰部マッサージ機能付きマッサージ機。
【請求項2】
前記会陰部エアバッグの上部面に配設されて外部から供給される電源により発熱する会陰部温熱ヒーターをさらに含む
請求項1に記載の会陰部マッサージ機能付きマッサージ機。
【請求項3】
前記会陰部温熱ヒーターの終端部を前記会陰部エアバッグの終端部に対して固着するヒーター固着クリップをさらに含む
請求項2に記載の会陰部マッサージ機能付きマッサージ機。
【請求項4】
前記会陰部エアバッグの後方に配設されて外部から給気される空気により膨らみながら、使用者の肛門部位を押圧する肛門部エアバッグと、前記肛門部エアバッグの上部面に配設されて外部から供給される電源により発熱する肛門部温熱ヒーターと、をさらに含む
請求項1に記載の会陰部マッサージ機能付きマッサージ機。
【請求項5】
前記会陰部エアバッグ及び太ももエアバッグの下部面にサポートパッドが積層された
請求項1に記載の会陰部マッサージ機能付きマッサージ機。
【請求項6】
前記サポートパッドと会陰部エアバッグ及び太ももエアバッグは、外装カバーの内部に埋め込まれて配設され、前記外装カバーの内部には、太ももエアバッグの両側の端部が嵌入されながら支持されるように一方の側面が開かれた袋状を呈する複数のポケットが配備された
請求項5に記載の会陰部マッサージ機能付きマッサージ機。
【請求項7】
前記弾力バンドの一方の端部は、ねじにより着座フレームの一方の側部に固着され、弾力バンドの他方の端部は、環状を呈して弾力バンドの他方の端部が巻き取られて固着されるバンド連結環と、前記バンド連結環と連結されて着座フレームの他方の側部にねじにより結合される連結ブラケットとを有するバンド結合部材により着座フレームの他方の側部に固着される
請求項1に記載の会陰部マッサージ機能付きマッサージ機。
【請求項8】
前記会陰部エアバッグの上部面に上向きに突き出るように形成された振動突起部と、前記振動突起部の内部に配設されて外部から供給される電源により振動を生じさせる振動モーターと、をさらに含む
請求項1に記載の会陰部マッサージ機能付きマッサージ機。
【請求項9】
前記あん摩ユニットが前記背もたれフレームと前記着座フレームのレールに沿って移動されながら、前記使用者の身体部位をマッサージし、
の際、前記あん摩ユニットが背もたれフレームに位置する間に前記会陰部エアバッグに空気が給気されて膨らみ、前記あん摩ユニットが前記背もたれフレームから下降して前記着座フレームの開口部の内側に進入するときに、前記あん摩ユニットが前記背もたれフレームの下端部の指定された個所を通過すれば、前記会陰部エアバッグから空気が排出されて縮まる
請求項1に記載の会陰部マッサージ機能付きマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に係り、さらに詳しくは、マッサージ機に着座した使用者の会陰部に上向きに圧力を加えるとともに、温熱を加えることのできる会陰部マッサージ機能付きマッサージ機及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の産業の高度化の進展には目を見張るものがあり、これに伴い、肉体労働よりは、椅子に座って仕事をする時間がどんどん増えていることから、椅子の重要性に関する認識が広がりつつある。これにより、近頃には、人体科学に基づいた気楽にくつろげる座り心地のよい種々の椅子が開発されて実用レベルに至っている。
【0003】
ところが、いくら気楽にくつろげる座り心地のよい椅子であろうが、長時間に亘って着座すれば、椅子の着座部がクッション作用により着座者の会陰部と前立腺などを圧迫して血行障害を招くが故に、前立腺炎症疾患、痔疾、尿失禁、インポテンスなどといった様々な疾病を発症させるという不都合があり、着座者の尻部分が着座部に密着されて痛通しが悪いが故に、夏場に股ぐら部位に汗が溜まって陰嚢濕疹、膣疾患などの発病の要因になることが指摘されている。
【0004】
一方、人体の筋肉は、収縮と弛緩を繰り返せば発達するものの、収縮運動をしない筋肉は、弛緩状態で放置されて緩んで、伸びてしまい、発達することができなくなる。同様に、会陰筋もまた、収縮運動をすると、これに関連する器官が発達するものの、頻繁に運動をしなければ、緩んで、伸びてしまい、発達することができなくなる。
【0005】
このような会陰筋の収縮運動に関する米国のケーゲル博士や中国の蔡一斌(cai yi bin)教授らの発表によれば、会陰部の周りの筋肉を繰り返し縮ませて鍛錬すれば、尿失禁、インポテンスなどの治療はもとより、更年期症状、慢性的便秘などを解消することができることが報告されている。最近には、非専門家である一般人の間においても、このような会陰筋の収縮運動の効果を広く認識している。
【0006】
また、東洋医学では、身体には経絡と呼ばれるエネルギー循環系があり、もし、身体に異常があれば、経絡の流れはどこかでは沈滞するが、このように、経絡の流れが沈滞し易い個所を経穴と称する。したがって、身体に異常がある場合や身体の機能を向上させようとするときには、当該経穴に刺激を与えて循環機能を正常に回復したり機能を向上させたりする手段として、指圧療法が広く活用されてきている。
【0007】
このような指圧部位のうち、会陰部の周りの経穴を一定の周期にて強く圧迫して指圧すれば、性機能の向上はもとより、更年期症状、慢性的便秘などを解消可能な良い方法であると広く知られている。また、最近には、このような会陰部の周りの経穴を指圧するためのいつくかの装置が開発されて用いられており、代表例として、特許文献1:大韓民国登録特許第10-2021729号公報に会陰部と肛門部位とを同時に振動マッサージできる局所あん摩装置が開示されている。
【0008】
上記の特許文献1のように、会陰部をマッサージできる従来のあん摩装置は、使用者の尻部分を受け止める着座部(seat portion)の概ね中心部に支持部材を配設し、支持部材の上に振動器と指圧部材を仕掛けて振動器による指圧部材の周期的な振動及び指圧により使用者の会陰部に圧力を加えて刺激を与えられるようにしている。
【0009】
しかしながら、このような従来の局所あん摩装置は、あん摩ユニットがマッサージ機の背もたれから太もも部分まで移動しながら、使用者の背部分と尻部分、太ももをあん摩できるように設計されたマッサージ機に設置することが不可能であるという不都合がある。すなわち、従来の局所あん摩装置をマッサージ機の着座部に設置する場合、あん摩ユニットとの干渉によりあん摩ユニットが尻部分と太もも部分まで移動することができない、あるいは尻部分と太もも部分をあん摩することができないという不都合が生じる。
【0010】
また、従来の局所あん摩装置は、会陰部を圧迫する圧力を調節し難いが故に、使用者に不便さを与えてしまう虞があるという不都合があり、しかも、会陰部に圧力とともに温熱を与え難いという不都合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】大韓民国登録特許第10-2021729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の如き不都合を解消するためのものであって、その目的は、使用者の会陰部に上向きに効果的に圧力を加えることができ、会陰部に圧力とともに温熱を与えて会陰部のマッサージ効果を極大化させることのできる会陰部マッサージ機能付きマッサージ機及びその制御方法を提供するところにある。
【0013】
本発明の別の目的は、あん摩ユニットがマッサージ機の背もたれから太ももの部分まで移動しながら、使用者の背部分と尻部分、太ももをあん摩できるように設計されたマッサージ機の着座部に会陰部を刺激する会陰部エアバッグが配設されるとしても、会陰部エアバッグとあん摩ユニットとの干渉を極力抑えることのできる会陰部マッサージ機能付きマッサージ機及びその制御方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための本発明に係る会陰部マッサージ機能付きマッサージ機は、使用者の背部分を支え、開口部が開かれるように形成されている背もたれフレームと、前記背もたれフレームの下端部に連結されて使用者の尻部分と太もも部分を支え、背もたれフレームの開口部と連通される開口部が形成されている着座フレームと、前記背もたれフレームと着座フレームの開口部の両側部に沿って移動しながら、使用者の身体部位をあん摩するあん摩ユニットと、弾力性のある材質からなり、前記着座フレームの開口部を横切るように配設され、前記着座フレームの開口部を介して前記あん摩ユニットから加えられる押圧力を使用者の尻部分または太もも部分に伝達する弾力バンドと、前記弾力バンドの上に配設されて外部から給気される空気により膨らみながら、使用者の会陰部を上向きに押圧する会陰部エアバッグと、前記会陰部エアバッグに空気を注入しかつ排出する空気給気部と、を備えていてもよい。
【0015】
本発明の一態様に係るマッサージ機は、前記会陰部エアバッグの上部面に配設されて外部から供給される電源により発熱する会陰部温熱ヒーターをさらに備えていてもよい。
【0016】
また、本発明の別の態様に係るマッサージ機は、前記会陰部温熱ヒーターの終端部を前記会陰部エアバッグの終端部に対して固着するヒーター固着クリップをさらに備えていてもよい。
【0017】
本発明のさらに別の態様に係るマッサージ機は、前記会陰部エアバッグの後方に配設されて外部から給気される空気により膨らみながら、使用者の肛門部位を押圧する肛門部エアバッグと、前記肛門部エアバッグの上部面に配設されて外部から供給される電源により発熱する肛門部温熱ヒーターと、をさらに備えていてもよい。
【0018】
本発明のさらに別の態様に係るマッサージ機は、前記会陰部エアバッグの前方部の両側に配設されて外部から給気される空気により膨らみながら、使用者の太もも部分を上向きに押圧する太ももエアバッグをさらに備えていてもよい。
【0019】
前記会陰部エアバッグ及び太ももエアバッグの下部面にサポートパッドが積層されてもよい。
【0020】
前記弾力パッドと会陰部エアバッグ及び太ももエアバッグは、柔軟な素材からなる外装カバーの内部に埋め込まれて配設され、前記外装カバーの内部には、太ももエアバッグの両側の端部が嵌入されながら支持されるように一方の側面が開かれた袋状を呈する複数のポケットが配備されてもよい。
【0021】
前記弾力バンドの一方の端部は、ねじにより着座フレームの一方の側部に固着され、弾力バンドの他方の端部は、環状を呈して弾力バンドの他方の端部が巻き取られて固着されるバンド連結環と前記バンド連結環と連結されて着座フレームの他方の側部にねじにより結合される連結ブラケットとを有するバンド結合部材により着座フレームの他方の側部に固着されてもよい。
【0022】
本発明のさらに別の態様に係るマッサージ機は、前記会陰部エアバッグの上部面に上向きに突き出るように形成された振動突起部と、前記振動突起部の内部に配設されて外部から供給される電源により振動を生じさせる振動モーターと、をさらに備えていてもよい。
【0023】
本発明に係るマッサージ機の制御方法は、(S1)あん摩ユニットを背もたれフレームと着座フレームのレールに沿って移動させながら、使用者の身体部位をマッサージするステップと、(S2)前記ステップ(S1)を行うとき、前記あん摩ユニットが背もたれフレームに位置する間に会陰部エアバッグに空気を給気して膨らませ、前記あん摩ユニットが背もたれフレームから下降して着座フレームの開口部の内側に進入するときにあん摩ユニットが背もたれフレームの下端部の指定された個所を通過すれば、会陰部エアバッグから空気を排出して縮まらせるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、マッサージ機の着座部に会陰部エアバッグを装備し、空気を給気しかつ排出して膨縮させ、会陰部温熱ヒーターを介して温熱を与えることにより、使用者の会陰部の筋肉に刺激を与え、血行が促進されて盛んになるようにして性機能を向上させ、かつ、更年期症状、慢性的便秘などを解消することができるという効果がある。
【0025】
特に、会陰部エアバッグが着座フレームの開口部を横切る高弾性の弾力バンドの上において安定的に支持されて会陰部に圧力と温熱を加えることができ、あん摩ユニットによる尻部分と太もも部分の指圧作用が妨げられずに行われることができる。
【0026】
また、会陰部エアバッグとともに肛門部エアバッグを並列に装備すれば、会陰部と肛門部を同時にもしくは選択的に押圧し、かつ、温熱を与えることにより、会陰部とともに肛門部位にも刺激を加えて肛門部位の疾患の治療または予防をすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る会陰部マッサージ機能付きマッサージ機の構成を概略的に示す斜視図である。
図2図1に示すマッサージ機において会陰部マッサージを行うための主な構成を示す分解斜視図である。
図3図1に示すマッサージ機の主な構成に関する斜視図である。
図4a】及び
図4b】は、図1に示すマッサージ機を構成するエアバッグの互いに異なる実施形態を示す正面図である。
図5図1に示すマッサージ機を構成する弾力バンドの一実施形態を示す分解斜視図である。
図6図5に示す弾力バンドの断面図である。
図7図1に示すマッサージ機を構成する会陰部エアバッグと会陰部温熱ヒーターとの結合構造の一実施形態を示す図である。
図8図1に示すマッサージ機の側面から眺めた断面図である。
図9図1に示すマッサージ機の主な構成部が外装カバーに装着された状態を示す平面図である。
図10図9に示すマッサージ機の主な構成部に関する断面図である。
図11】本発明の別の実施形態に係るマッサージ機の平面図である。
図12図11のI-I線断面図である。
図13】本発明のさらに別の実施形態に係るマッサージ機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
使用者の背部分を支え、開口部が開かれるように形成されている背もたれフレームと、前記背もたれフレームの下端部に連結されて使用者の尻部分と太もも部分を支え、背もたれフレームの開口部と連通される開口部が形成されている着座フレームと、前記背もたれフレームと着座フレームの開口部の両側部に沿って移動しながら、使用者の身体部位をあん摩するあん摩ユニットと、弾力性のある材質からなり、前記着座フレームの開口部を横切るように配設され、前記着座フレームの開口部を介して前記あん摩ユニットから加えられる押圧力を使用者の尻部分または太もも部分に伝達する弾力バンドと、前記弾力バンドの上に配設されて外部から給気される空気により膨らみながら、使用者の会陰部を上向きに押圧する会陰部エアバッグと、前記会陰部エアバッグに空気を注入しかつ排出する空気給気部と、を含む会陰部マッサージ機能付きマッサージ機。
【0029】
上述したこの開示の目的、特徴及びメリットは、添付図面と結び付けて行われる以下の実施形態を通じてなお一層明らかになる筈である。
【0030】
以下の特定の構造ないし機能的な説明は、単にこの開示の概念に基づく実施形態を説明するための目的で例示されたものに過ぎず、この開示の概念に基づく実施形態は、種々の形態に具体化でき、この明細書または出願において説明された実施形態に限定されるものと解釈されてはならない。
【0031】
この開示の概念に基づく実施形態は、様々な変更を加えることができ、種々の実施形態を有することができるので、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明の欄において詳しく説明する。しかしながら、これは、この開示の概念に基づく実施形態を特定の実施形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。
【0032】
「第1の」および/または「第2の」などの言い回しは、様々な構成要素を説明するうえで使用可能であるが、前記構成要素は、前記言い回しによって何等限定されない。前記言い回しは、ある構成要素を他の構成要素から区別する目的でしか使えない。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しない範囲内において第1の構成要素は第2の構成要素と命名されてもよく、同様に、第2の構成要素もまた第1の構成要素と命名されてもよい。
【0033】
ある構成要素が他の構成要素と「連結」されているとか、「接続」されているとか、と言及された場合には、前記ある構成要素が前記他の構成要素に直接的に連結されたり接続されたりすることもあり得るが、これらの間に他の構成要素が存在していることもあり得ると理解されるべきである。これに対し、ある構成要素が他の構成要素と「直接的に連結」されているとか、「直接的に接続されている」とか、と言及されたときには、これらの間に他の構成要素が存在しないと理解されるべきである。構成要素同士の間の関係を説明するための他の言い回し、すなわち、「~の間に」と「すぐ~の間に」または「~に隣接る」と「~に直接的に隣接する」などの言い回しもまた、同様に解釈されるべきである。
【0034】
本明細書において用いた用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられたものであり、この開示を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈からみて明らかに他の意味を有さない限り、複数の言い回しを含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、説示された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものに過ぎず、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解すべきである。
【0035】
この開示に用いられる全ての技術的用語及び科学的用語は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、この開示が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって一般的に理解される意味を有する。一般に用いられる、辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、この開示において明らかに定義しない限り、理想的な意味として、または過度に形式的な意味として解釈されない。
【0036】
図1から図3を参照すると、マッサージ機1は、使用者の身体の少なくとも一部分を収容するための領域を形成し、使用者のボディをあん摩するボディあん摩部(body massage part)2及び使用者の脚をあん摩する脚あん摩部3を備えていてもよい。
【0037】
ボディあん摩部2には、使用者が着座した状態で使用者の背部分を支持する背もたれ部2aと、尻部分と太もも部分を支える着座部2bと、が設けられ、背もたれ部2aと着座部2bは、使用者の荷重を支え、あん摩のためのあん摩ユニット7などの各種の構成部品を配設しかつ支持するための背もたれフレーム4と着座フレーム5が配備される。背もたれフレーム4と着座フレーム5との中間部分には、開口部が開かれるように形成され、開口部の両側部にレール6が上下に延びるように敷設される。背もたれフレーム4と着座フレーム5は、使用者の身体の各部位を楽に受け止められるように、ウレタンフォーム、スポンジまたは発泡スチロール(styrol)などの内装材がポリエステル製の起毛トリコット(tricot)、合成皮革または天然皮革などからなる外装カバーに覆われる。
【0038】
背もたれフレーム4と着座フレーム5の後方部には、使用者に任意の形態の力学的な刺激を与えるあん摩ユニット7が、レール6に沿って上下に移動しながら、使用者の背部分と腰部分、尻部分、及び太もも部分をマッサージできるように配設される。あん摩ユニット7は、使用者の身体の様々な部分に振動及び圧力を加えて、「たたき」や「こすり」などの力学的な刺激を与えられる施療部材7aを備える。施療部材7aとしては、ローラーまたはボール(ball)などが採用可能である。
【0039】
着座フレーム5は、背もたれフレーム4の下端部に連結されて使用者の尻部分及び太もも部分を支える。あん摩ユニット7が使用者の尻部分及び太もも部分を押圧してマッサージできるように、着座フレーム5の中間部には、開口部5aが上下に開かれるように形成される。
【0040】
着座フレーム5の概ね中央部及び前方部には、着座した使用者の会陰部と太もも部分を上向きに押圧してマッサージするための会陰部エアバッグ110及び太ももエアバッグ130が配設される。太ももエアバッグ130は、着座フレーム5の前端部を左右に横切るように配置され、会陰部エアバッグ110は、太ももエアバッグ130の中央部の後方に配置される。会陰部エアバッグ110と太ももエアバッグ130は、一体になっていてもよいが、それぞれは空間が分離されるように形成されて、会陰部エアバッグ110と太ももエアバッグ130が独立して膨縮することができる。
【0041】
図4aに示すように、会陰部エアバッグ110と太ももエアバッグ130は、上下方向に1段状に構成されてもよいが、図4bに示すように、多段状にのみ構成されてもよい。会陰部エアバッグ110と太ももエアバッグ130が多段状に構成される場合、会陰部エアバッグ110と太ももエアバッグ130は、空気が通過する穴112、132が形成されている隔壁111、131により多段状に仕切られ、外面が蛇腹状を呈して空気が注入されて膨らむときに膨張方向が上下と定義され、これにより、会陰部と太ももの指圧刺激を極大化させることができる。
【0042】
会陰部エアバッグ110と太ももエアバッグ130は、マッサージ機1の所定の部位に設けられる空気給気部(図示せず)により空気が注入されたり排出されたりして膨らんだり縮んだりしながら、使用者の会陰部と太もも部分を上向きに押圧したり弛緩させたりする。空気給気部としては、エアコンプレッサーなどの公知の空気注入及び排出装置を適用してもよい。
【0043】
会陰部エアバッグ110は、着座フレーム5の開口部5aの上に配設される弾力バンド140の上に装備されて支持される。弾力バンド140は、ゴムやシリコンなどの弾力性のある材質からなり、左右に長い平板状を呈して両端部が着座フレーム5の両側の端部にねじ142などの固着手段により固着される。弾力バンド140は、着座フレーム5の開口部5aを左右に横切るように配設されて会陰部エアバッグ110を支えるとともに、着座フレーム5の開口部5aを介してあん摩ユニット7の施療部材7aから加えられる押圧力を使用者の尻部分または太もも部分に伝達する働きをする。すなわち、弾力バンド140は、会陰部エアバッグ110を支えつつ、あん摩ユニット7の押圧力が使用者の身体部位(尻部分及び太もも部位)に円滑に伝達されるようにする機能をする。
【0044】
この実施形態でのように、弾力バンド140は、両端部とも着座フレーム5の両側の端部にねじ142により固着されてもよいが、図5及び図6に示すように、弾力バンド140の一方の端部は、ねじ142により着座フレーム5の一方の側部に固着され、弾力バンド140の他方の端部は、バンド結合部材145により着座フレーム5の他方の側部に固着されてもよい。バンド結合部材145は、前後方向に長い長孔の環状を呈して弾力バンド140の一方の端部が巻き取られて固着されるバンド連結環146と、バンド連結環146と連結されて着座フレーム5の他方の側部にねじにより結合される「コ」字状の連結ブラケット147と、を含む。バンド連結環146には、連結ブラケット147の終端部に引っかかりながら連結されるフック部148が一体に形成される。
【0045】
したがって、連結ブラケット147を着座フレーム5の一方の端部にねじ142により固着し、弾力バンド140の一方の端部をバンド連結環146に嵌入し、かつ縫い付けて連結した後、弾力バンド140を連結ブラケット147の側に引っ張って弾力バンド140に所定の引っ張り力を加えた状態で、バンド連結環146のフック部148を連結ブラケット147に引っ掛けて弾力バンド140を配設してもよい。このとき、前述したように、弾力バンド140に所定の引っ張り力を加えて固着することができるので、会陰部エアバッグ110が膨らんで上向きに圧力を加えるとき、会陰部エアバッグ110をなお一層弾力的に支えて押圧力の損失を防ぐことができる。
【0046】
図1乃至図3に戻ると、太ももエアバッグ130は、弾力バンド140の前方部の外側における着座フレーム5の前端部の上において支持される。
【0047】
また、会陰部エアバッグ110と太ももエアバッグ130の下部面には、スポンジなどのサポートパッド150が積層されてもよい。
【0048】
会陰部エアバッグ110の上部面には、会陰部に温熱を与えるための会陰部温熱ヒーター120が配設される。会陰部温熱ヒーター120は、四角いパッド状の面状発熱ヒーターまたは四角い熱伝導パッド内に電熱線が引き回し配線された仕組みとなっており、マッサージ機1の制御装置から供給される電源により発熱して使用者の会陰部に温熱を与える。会陰部温熱ヒーター120は、接着剤により会陰部エアバッグ110の上部面に接着されることができるが、会陰部エアバッグ110が膨縮を繰り返すと、接着剤の接着力が弱くなって会陰部温熱ヒーター120が会陰部エアバッグ110の上部面から取り外されてしまう虞がある。これを防ぐために、図7に示すように、会陰部温熱ヒーター120の終端部を、ヒーター固着クリップ122を用いて、会陰部エアバッグ110の終端部に対して強固に固着してもよい。ヒーター固着クリップ122は、上端及び下端が湾曲した概ね「コ」字状のクリップであって、上端及び下端の間に会陰部温熱ヒーター120の終端部と会陰部エアバッグ110の終端部が嵌入された後、上端及び下端が工具により縮められれて把持されながら、会陰部温熱ヒーター120の終端部と会陰部エアバッグ110の終端部を強固に固着する。
【0049】
図8から図10に示すように、会陰部エアバッグ110と会陰部温熱ヒーター120、太ももエアバッグ130、サポートパッド150は、皮革や布地などの柔軟な素材からなる袋状の外装カバー160の内部に埋め込まれて配設される。このとき、太ももエアバッグ130が外装カバー160の内部において移動せずに定位置を保持できるようにするために、外装カバー160の内部には、太ももエアバッグ130の両側の端部が嵌入されながら支持されるように一方の側面が開かれた袋状を呈する複数のポケット161が配備されてもよい。
【0050】
外装カバー160は、マッサージ機1の外郭に配置されるカバーであって、使用者の尻部分と太もも部分を楽に受け止めることができ、会陰部エアバッグ110と太ももエアバッグ130の膨張に伴う圧力を使用者の会陰部及び太ももに円滑に伝達できる柔軟な素材からなる。
【0051】
外装カバー160の上部面は、会陰部エアバッグ110と太ももエアバッグ130の膨張による押圧力をなお一層円滑に伝達できるように網目状シート162からなることが好ましい。
【0052】
上述したような本発明のマッサージ機1は、使用者が着座部2b(図1参照)に着座した後、マッサージ機1の動作のための入力部(図示せず)において会陰部あん摩モードを選択すると、空気給気部(図示せず)から会陰部エアバッグ110へと空気が給気されて会陰部エアバッグ110が膨らんで使用者の会陰部を上向きに押圧し、マッサージ機1の制御装置が会陰部温熱ヒーター120に電源を供給して会陰部温熱ヒーター120を発熱させて会陰部に温熱を与えることになる。このような会陰部エアバッグ110及び会陰部温熱ヒーター120の作動により会陰部あん摩機能を行うとき、マッサージ機1のあん摩ユニット7が背もたれフレーム4と着座フレーム5に敷設されたレール6に沿って移動しながら、使用者の背部分と腰部分、尻部分、及び太もも部分をマッサージする機能を同時に行うことができる。
【0053】
このとき、会陰部エアバッグ110が膨らんだ状態で、あん摩ユニット7が尻部分と太もも部分を指圧してあん摩をすると、あん摩ユニット7と会陰部エアバッグ110の一部分(周縁部分)とが干渉を引き起こして会陰部エアバッグ110が損なわれたり、耐久性が低下したりするという不都合が生じる虞がある。これを防ぐために、空気給気部は、マッサージ機1のあん摩ユニット7が着座フレーム5の開口部5aの外側に位置する間に、すなわち、あん摩ユニット7が背もたれフレーム4に位置する間には、会陰部エアバッグ110に空気を給気して膨らませ、前記あん摩ユニット7が背もたれフレーム4から下降して着座フレーム5の開口部5aの内側に進入するとき、あん摩ユニット7が背もたれフレーム4の下端部に予め指定された個所(例えば、背もたれフレーム4と着座フレーム5とがつながり合う曲線状の個所)を通過すると、会陰部エアバッグ110から空気を排出して縮まらせるように空気の給気と排出を制御する。
【0054】
すなわち、あん摩ユニット7が背もたれフレーム4と着座フレーム5に敷設されたレール6に沿って移動しながら、使用者の身体部位にあん摩機能を提供する過程において、あん摩ユニット7が背もたれフレーム4に沿って下降していて、着座フレーム5の開口部5aの内側に進入する直前に会陰部エアバッグ110から空気を排出して縮まらせるように空気給気部の作動が制御される。
【0055】
図11及び図12は、本発明の別の実施形態を示すものであって、この実施形態のマッサージ機は、会陰部エアバッグ110の上部面に上向きに振動突起部171が突き出るように配設され、振動突起部171の内部にマッサージ機1の制御装置から供給される電源により振動を生じさせる振動モーター172が配設される。このように、会陰部エアバッグ110の上部に会陰部温熱ヒーター120とともに振動突起部171及び振動モーター172が配設されれば、使用者の会陰部に圧力と温熱を与えるとともに、振動を加えて会陰部の筋肉をさらに刺激することが可能になる。
【0056】
また、図13は、本発明のさらに別の実施形態を示すものであって、この実施形態のマッサージ機は、会陰部エアバッグ110の後方に使用者の肛門部位を押圧するための肛門部エアバッグ180を付設したものであって、肛門部エアバッグ180は、空気給気部(図示せず)から給気される空気により膨らんで使用者の肛門部位を押圧して縮まらせる働きをする。
【0057】
肛門部エアバッグ180の上部面にも、外部から供給される電源により発熱する四角いパッド状の肛門部温熱ヒーター182が配設されてもよい。
【0058】
前述したように、本発明によれば、マッサージ機1の着座部2bに会陰部エアバッグ110を装備し、空気を給気しかつ排出して膨縮させ、会陰部温熱ヒーター120を介して温熱を与えることにより、使用者の会陰部の筋肉に刺激を与え、血行が促進されて盛んになるようにして、性機能を向上させ、更年期症状、慢性的便秘などを解消することができる。
【0059】
特に、会陰部エアバッグ110が着座フレーム5の開口部5aを横切る高弾性の弾力バンド140の上に安定的に支持されて会陰部に圧力と温熱を加えることができる。
【0060】
また、会陰部エアバッグ110とともに肛門部エアバッグ180を並列に装備すれば、会陰部と肛門部を同時にもしくは選択的に押圧し、温熱を与えることにより、会陰部とともに肛門部位にも刺激を加えて肛門部位の疾患の治療または予防をすることができるという効果がある。
【0061】
会陰部エアバッグ110および/または肛門部エアバッグ180は、図示のごとく、蛇腹状を呈して空気が注入されて膨らむときに、膨張方向を上下と定義することができ、これにより、会陰部及び肛門部の指圧刺激を極大化させることができるという効果がある。
【0062】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、種々に変化及び変更を加えることができ、均等物を使用することができる。本発明は、前記実施形態を適宜に変形して同様に応用可能であるということが明らかである。よって、上記の内容は、特許請求の範囲の限界により定められる本発明の範囲を限定するものではない。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13