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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】電気機器収納箱
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/06 20060101AFI20240617BHJP
   F16J 15/14 20060101ALI20240617BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20240617BHJP
   H02B 1/28 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
H05K5/06 D
F16J15/14 D
F16J15/14 C
F16J15/10 U
H02B1/28 B
H02B1/28 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020097596
(22)【出願日】2020-06-04
(65)【公開番号】P2021190655
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀圭
(72)【発明者】
【氏名】南部 幸太郎
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第205912396(CN,U)
【文献】特開2018-113342(JP,A)
【文献】特開2001-004251(JP,A)
【文献】特開2018-190878(JP,A)
【文献】特開2017-059664(JP,A)
【文献】特開2003-101256(JP,A)
【文献】特開2001-326475(JP,A)
【文献】特開2014-126130(JP,A)
【文献】特開平04-259286(JP,A)
【文献】実開平02-009373(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/06
F16J 15/14
F16J 15/10
H02B 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉と、開口部を備える箱本体と、を備えた電気機器収納箱であって、箱本体の開口部周縁に位置する水切辺と、扉を閉じた際に、箱本体と扉との間の開口部周縁に位置し、水切辺に当接する枠状の第一のパッキンと、第一のパッキンの外周を覆うように位置する耐候部材と、を備え
耐候部材は、第一のパッキンよりも耐候性が高く、扉を閉じた際に水切辺に当接する第二のパッキンであり、
第一のパッキンは、第二のパッキンよりも防水性の高いパッキンである電気機器収納箱。
【請求項2】
扉と、開口部を備える箱本体と、を備えた電気機器収納箱であって、箱本体の開口部周縁に位置する水切辺と、扉を閉じた際に、箱本体と扉との間の開口部周縁に位置し、水切辺に当接する枠状の第一のパッキンと、第一のパッキンの外周を覆うように位置する耐候部材と、を備え、
耐候部材は、第一のパッキンよりも耐候性が高く、扉を閉じた際に水切辺に当接する第二のパッキンであり、
第二のパッキンは、電気機器収納箱に取り付けられる面である取付面と、扉を閉じると電気機器収納箱に接触することになる接触面と、を備え、前記取付面の第一のパッキン側の端部よりも、前記接触面の第一のパッキン側の端部のほうが第一のパッキンの幅方向の中央面までの距離が短い電気機器収納箱。
【請求項3】
扉と、開口部を備える箱本体と、を備えた電気機器収納箱であって、箱本体の開口部周縁に位置する水切辺と、扉を閉じた際に、箱本体と扉との間の開口部周縁に位置し、水切辺に当接する枠状の第一のパッキンと、第一のパッキンの外周を覆うように位置する耐候部材と、を備え、
耐候部材は、第一のパッキンよりも耐候性が高く、扉を閉じた際に水切辺に当接する第二のパッキンであり、
第二のパッキンは、エチレンプロピレンゴム製である電気機器収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器収納箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気機器を収納する電気機器収納箱に対して、弾性材料からなるパッキンを箱本体と扉との間に配置することが知られている。このようにすれば、雨水や、塵等が電気機器収納箱の内部に侵入しないようにすることができる。例えば、特許文献1には、扉の開閉作業の作業性を確保するため反発力を異ならせてパッキンを配置し、防塵性能や防水性能を高める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-113342号公報
【0004】
ところで、弾性材料からなるパッキンは屋外で使用された場合、雨、風、紫外線などの外的要因によりパッキンが経年劣化し、防水性能や防塵性能が損なわれる虞があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、パッキンの経年劣化を抑制し、防水性能や防塵性能を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、扉と、開口部を備える箱本体と、を備えた電気機器収納箱であって、箱本体の開口部周縁に位置する水切辺と、扉を閉じた際に、箱本体と扉との間の開口部周縁に位置し、水切辺に当接する枠状の第一のパッキンと、第一のパッキンの外周を覆うように位置する耐候部材と、を備えた電気機器収納箱とする。
【0007】
また、耐候部材は、第一のパッキンよりも耐候性が高く、扉を閉じた際に水切辺に当接する第二のパッキンであることが好ましい。
【0008】
また、第一のパッキンは、第二のパッキンよりも防水性の高いパッキンであることが好ましい。
【0009】
また、第二のパッキンは、エチレンプロピレンゴム製であることが好ましい。
【0010】
また、耐候部材は、少なくとも外側表面が非吸水性であることが好ましい。
【0011】
また、第二のパッキンは、電気機器収納箱に取り付けられる面である取付面と、扉を閉じると電気機器収納箱に接触することになる接触面と、を備え、前記取付面の第一のパッキン側の端部よりも、前記接触面の第一のパッキン側の端部のほうが第一のパッキンの幅方向の中央面までの距離が短い構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、パッキンの経年劣化を抑制し、防水性能や防塵性能を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態における電気機器収納箱の斜視図である。
図2図1に示す電気機器収納箱の分解斜視図である。
図3】第一のパッキンと第二のパッキン周りの部分拡大図である。
図4図2のIV-IV断面図である。
図5】扉の内側面の図である。
図6】第一のパッキンと断面台形状の第二のパッキン周りの部分拡大図である。
図7図6に示すパッキンを備えた電気機器収納箱の扉を閉じることにより、各パッキンが変形した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に発明を実施するための形態を示す。図1から図3に示すことから理解されるように、本実施形態の電気機器収納箱1は、扉21と、開口部12を備える箱本体11と、を備えている。また、この電気機器収納箱1は、箱本体11の開口部12周縁に位置する水切辺15と、扉21を閉じた際に、箱本体11と扉21との間の開口部12周縁に位置し、水切辺15に当接する枠状の第一のパッキン51と、第一のパッキン51の外周を覆うように位置する耐候部材(図2及び図3に示す例では第二のパッキン61)と、を備えている。このため、パッキンの経年劣化を抑制し、防水性能や防塵性能を確保することが可能となる。なお、このような位置に第一のパッキン51と耐候部材を配置すると、耐候部材が扉21の動きを阻害しないものとすることもできる。
【0015】
ここで、実施形態の電気機器収納箱1の基本的な形状について説明する。実施形態の電気機器収納箱1は前面に開口部12を備えた箱本体11を備えており、かつ、開口部12を覆う扉21を備えている。また、扉21には開閉操作を行うハンドル22を備えている。なお、図1及び図2に示す例では、箱本体11と扉21を繋ぐ蝶番は、電気機器収納箱1の内側に配置されている、いわゆる内蝶番であるため、図1に示すことから理解されるように扉21を閉めた際に蝶番が露出せず見栄えが良い。また、箱本体11には扉21を閉めた際に、扉21を上から覆うことができる庇部17を備えている。このため、扉21の上方から水などが浸入しにくい構造となっている。
【0016】
箱本体11の開口部12周縁には、箱本体11内に水が浸入することを抑制するため、水切辺15が設けられている。図4に示すことから理解されるように、実施形態の水切辺15は、箱本体11の開口部12から立ち上がる立上辺14から外側に向けて折り曲げた部位により形成されている。
【0017】
図5に示すことから理解されるように、実施形態の電気機器収納箱1は、扉21の内面側に第一のパッキン51を設けている。この第一のパッキン51は枠状であり、箱本体11の水切辺15に対応する位置に設けている。第一のパッキン51は防水性の高いパッキンであり、一般的には、それだけでも防水性を発揮すると考えられているものを用いている。
【0018】
第一のパッキン51の具体的な例としては、一般的に液状パッキンといわれるような、施工の容易なものを使用するのが好ましい。液状パッキンは、使用前に容器に封入されている状態ではペースト状であり、塗布して放置しておくと、空気中の水分などにより時間の経過とともに硬化するという特質があるため、パッキンの形状の自由度が高く、所望の性能をもたらすための手間も抑制することができる。また、液状パッキンを用いると、継ぎ目がないようにすることができるため、水が浸入しにくいものとすることができる。
【0019】
実施形態では、このような第一のパッキン51を保護できる耐候部材を備えた電気機器収納箱1としている。この耐候部材は枠状の第一のパッキン51の外周を覆うように、配置されている。耐候部材が、第一のパッキン51の外周を覆うことで、雨、風、紫外線などの外的要因から第一のパッキン51を保護し、経年劣化を抑制することができる。
【0020】
実施形態における耐候部材は、第一のパッキン51よりも耐候性が高く、扉21を閉じた際に水切辺15に当接する第二のパッキン61としている。具体的には、第二のパッキン61は、EPDM(エチレンプロピレンジエン三元共重合体)やEPM(エチレンプロピレン共重合体)などを用いることが好ましいが、EPDMはEPMより耐オゾン、耐候性、耐薬品性などの点で優れているため、特に好ましい。なお、耐候性とは、屋外で使用された場合に、変形、変色、劣化等の変質を起こしにくい性質である。
【0021】
また、第二のパッキン61は、スキン層とよばれる皮膜を表面に備えたパッキンを採用することが好ましい。スキン層は非吸水性であるため、防水性能をより高めることができる。なお、第二のパッキン61をいわゆるスポンジ状と言われるような多孔質のものとした場合でも、その表面がスキン層を形成していれば、第二のパッキン61内に水が浸入しにくいものとなる。
【0022】
なお、スキン層は第二のパッキン61全体を覆っている必要は無い。ただし、第二のパッキン61の少なくとも反第一パッキン側(図3では第二のパッキン61の左側)の表面がスキン層に覆われていることが好ましい。このようにすれば、扉21を閉めている間に外側から侵入してくる雨水などが第二のパッキン61まで到達しても、先ず第二のパッキン61のスキン層により、内部への浸入を防ぐことができる。
【0023】
また、第一のパッキン51は、第二のパッキン61よりも防水性の高いパッキンであることが好ましい。台風などの強風を伴う激しい雨により、第二のパッキン61をすり抜けるように水が浸入したとしても、第一のパッキン51が箱本体11内へ浸入することを防ぐことができる。
【0024】
ところで、台風などが発生した場合、強風により、扉21が開く方向に引き寄せられ、バタつくおそれがある。その際に、箱本体11と扉21との間のパッキンにかかる力が弱まる場合があり、隙間から水が浸入するおそれがある。このため、パッキンは、復元時間が早いものが好ましい。つまり、パッキンに対して潰すように力が加わった状態から、力が加わらなくなった状態に変化した際に、パッキンが潰れた状態から元の状態に戻る時間が早いパッキンが良い。復元時間が早いパッキンであれば、扉21の動きに追従してパッキンが復元されるため、水の浸入を防ぐことができる。
【0025】
第二のパッキン61が第一のパッキン51の保護を主目的としているため、防水性などは、第一のパッキン51ほどでなくても構わない。そのため、一般的に使用するスポンジ状のパッキンを第二のパッキン61としても良い。この場合、棒状に成形されたパッキンを組み合わせて配置して第一のパッキン51の外周を覆うようにすれば、簡単に第二のパッキン61として機能させることができる。
【0026】
第二のパッキン61は、電気機器収納箱1に取り付けられる面である取付面67と、扉21を閉じると電気機器収納箱1に接触することになる接触面68と、を備えているが、取付面67の第一のパッキン51側の端部67aよりも、接触面68の第一のパッキン51側の端部68aのほうが第一のパッキン51の幅方向の中央面51cまでの距離が短い構成とすることが好ましい。このようにすると接触面68を確保しやすくなる。なお、第一のパッキン51の幅方向の中央面51cとは図6に破線で示すような面である。
【0027】
例えば、第二のパッキン61を直方体状に成形したものとした場合、取付面67の第一のパッキン51側の端部67aから第一のパッキン51の幅方向の中央面51cまでの距離と、接触面68の第一のパッキン51側の端部68aから第一のパッキン51の幅方向の中央面51cまでの距離は同一となる。この場合、第二のパッキン61の幅方向の一方側のみに力を加えると、第二のパッキン61が倒れるように傾くおそれがある。一方、取付面67の第一のパッキン51側の端部67aよりも、接触面68の第一のパッキン51側の端部68aのほうが第一のパッキン51の幅方向の中央面51cまでの距離が短い構成とすると、パッキンの取付面67を大きくしなくても、水切辺15と接触する接触面68を大きくすることができ、第二のパッキン61にかけられる力を分散させることができ、第二のパッキン61の傾きを防ぐことができる。
【0028】
図6に示す例では、第二のパッキン61は、第一のパッキン51と対向する面を直線的に傾斜させて断面台形状としているが、曲線的に傾斜させるなど、その他の形態であっても良い。また、第二のパッキン61を扉21に取り付けている場合、図6に示すことから理解されるように、扉21を閉めることで、接触面68の第一のパッキン51側の端部68aが第一のパッキン51と水切辺15に挟まれるものとすることが好ましい。第二のパッキン61を水切辺15に取り付けている場合は、扉21を閉めることで、接触面68の第一のパッキン51側の端部68aが第一のパッキン51と扉21に挟まれるものとすることが好ましい。
【0029】
図7に示す電気機器収納箱1の例では、第二のパッキン61は、扉21の端部の折り曲げ辺24により覆われており、直接紫外線などが第二のパッキン61に届きにくい構造となっている。このため、第二のパッキン61の劣化がしにくくなり、ひいては第一のパッキン51の劣化がしにくくなる。
【0030】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、実施形態では、扉の内面側に第一のパッキンと耐候部材である第二のパッキンを備え、箱本体の水切辺を当接させているが、パッキンを水切辺に備え、扉の内面側に当接させるものとしても良い。
【符号の説明】
【0031】
1 電気機器収納箱
11 箱本体
12 開口部
15 水切辺
21 扉
51 第一のパッキン
61 第二のパッキン
67 取付面
68 接触面
51c 第一のパッキンの幅方向の中央面
67a 取付面の第一のパッキン側の端部
68a 接触面の第一のパッキン側の端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7