(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】プリフォーム保持方法
(51)【国際特許分類】
B29C 49/42 20060101AFI20240617BHJP
B29C 49/06 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B29C49/42
B29C49/06
(21)【出願番号】P 2021075367
(22)【出願日】2021-04-27
【審査請求日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2020109982
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】塩川 満
(72)【発明者】
【氏名】奥山 雄一
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-161576(JP,A)
【文献】特開2001-055238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/42
B29C 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の口部と前記口部に一体に連なる有底筒状の胴部とを備えたブロー成形用のプリフォームを、保持具により、前記口部の開口を上方に向けた姿勢に保持する、プリフォーム保持方法であって、
前記プリフォームを、前記口部の内周面に前記胴部の側から前記開口の側に向けて徐々に内径が減少するテーパー面を備えた構成とし、
前記口部に挿入した前記保持具を前記テーパー面に当接させて前記プリフォームを保持することを特徴とする、プリフォーム保持方法。
【請求項2】
前記プリフォームは、前記口部の内周面に前記テーパー面の前記胴部の側の端部から径方向内側に向けて延びる円環状の段差面を備える、請求項1に記載のプリフォーム保持方法。
【請求項3】
前記プリフォームは、前記口部の外周面に径方向外側に向けて突出するフランジ状のネックサポート部を備えるとともに、前記口部の前記ネックサポート部が設けられた部分における内周面に前記段差面を備える、請求項2に記載のプリフォーム保持方法。
【請求項4】
前記保持具は、前記口部に挿入されたときに外周面において前記テーパー面に当接する円環状の当接体を有し、
前記当接体が傾動することにより、その外周面が、前記テーパー面に対応したテーパー形状となる、請求項1~3の何れか1項に記載のプリフォーム保持方法。
【請求項5】
前記プリフォームは、前記口部の前記テーパー面よりも前記開口の側における内周面に、シール面を備える、請求項1~4の何れか1項に記載のプリフォーム保持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリフォーム保持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばペットボトル(PETボトル)に代表されるような合成樹脂製のボトル容器は、飲料用、食品用、化粧料用等の様々な用途に使用されている。このような容器は、射出成形等により、円筒状の口部と口部に一体に連なる有底筒状の胴部とを備えた形状に形成された合成樹脂製のブロー成形用のプリフォームを、ブロー成形機を用いてブロー成形することで、所定形状に形成されるのが一般的である。
【0003】
ボトル容器を製造するブロー成形機において、プリフォームは保持具により保持され、この状態で加熱炉に搬送されて予め延伸効果を発現させることのできる温度にまで加熱された後、ブロー成形用の金型にまで搬送されるのが一般的である。
【0004】
従来、保持具によりプリフォームを保持するプリフォーム保持方法として、例えば特許文献1に記載されるように、口部の開口が上方を向く姿勢とされたプリフォームの口部の内部に保持具を挿入し、この保持具の外周面を口部の内周面に当接させることで、プリフォームを、保持具により口部の開口を上方に向けた姿勢に保持するようにした方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のプリフォーム保持方法では、プリフォームの内周面に当接する保持具の摩擦力でプリフォームの重さを支持するようにしているので、例えばプリフォームが滑剤を含んだ合成樹脂材料により形成されたものである場合など、プリフォームの材質によっては、保持具が口部の内周面に対して滑りを生じて、プリフォームを安定して保持することができない場合があるという問題点があった。
【0007】
特に、プリフォームの口部の内周面が、射出成形後にコア型を抜くために、胴部の側から開口の側に向けて徐々に内径が増大する抜きテーパー面を有する形状とされている場合には、保持具が口部の内周面に加える径方向の押付け力によって口部に下方に向く力が働くことになるので、場合によっては、プリフォームが保持具から下方に抜け落ちてしまう虞があるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、プリフォームを保持具によって口部の開口を上方に向けた姿勢に確実に保持することが可能な、プリフォーム保持方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプリフォーム保持方法は、円筒状の口部と前記口部に一体に連なる有底筒状の胴部とを備えたブロー成形用のプリフォームを、保持具により、前記口部の開口を上方に向けた姿勢に保持する、プリフォーム保持方法であって、前記プリフォームを、前記口部の内周面に前記胴部の側から前記開口の側に向けて徐々に内径が減少するテーパー面を備えた構成とし、前記口部に挿入した前記保持具を前記テーパー面に当接させて前記プリフォームを保持することを特徴とする。
【0010】
本発明のプリフォーム保持方法は、上記構成において、前記プリフォームは、前記口部の内周面に前記テーパー面の前記胴部の側の端部から径方向内側に向けて延びる円環状の段差面を備えるのが好ましい。
【0011】
本発明のプリフォーム保持方法は、上記構成において、前記プリフォームは、前記口部の外周面に径方向外側に向けて突出するフランジ状のネックサポート部を備えるとともに、前記口部の前記ネックサポート部が設けられた部分における内周面に前記段差面を備えるのが好ましい。
【0012】
本発明のプリフォーム保持方法は、上記構成において、前記保持具は、前記口部に挿入されたときに外周面において前記テーパー面に当接する円環状の当接体を有し、前記当接体が傾動することにより、その外周面が、前記テーパー面に対応したテーパー形状となる、のが好ましい。
【0013】
本発明のプリフォーム保持方法は、上記構成において、前記プリフォームは、前記口部の前記テーパー面よりも前記開口の側における内周面に、シール面を備えるのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、プリフォームを保持具によって口部の開口を上方に向けた姿勢に確実に保持することが可能な、プリフォーム保持方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】
図1に示すプリフォームの要部の拡大半断面図である。
【
図4】保持具によりプリフォームを保持した状態を示す断面図である。
【
図6】
図5に示す変形例のプリフォームの要部の拡大半断面図である。
【
図7】保持具により変形例のプリフォームを保持した状態を示す断面図である。
【
図8】他の変形例のプリフォームの要部の拡大半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明をより具体的に例示説明する。
【0017】
本発明は、ブロー成形用のプリフォームを、保持具により、口部の開口を上方に向けた姿勢に保持する、プリフォーム保持方法に関するものである。本発明のプリフォーム保持方法は、例えば、プリフォームをボトル容器にブロー成形するブロー成形機において、プリフォームをブロー成形前に予め加熱炉で所定温度にまで加熱する際、あるいは加熱後のプリフォームをブロー成形用の金型にまで搬送する際などに適用することができる。なお、本発明のプリフォーム保持方法は、上記以外の他の工程等においてプリフォームを保持する際に適用することもできる。
【0018】
図1に示すブロー成形用のプリフォーム1は、本発明の一実施の形態であるプリフォーム保持方法に用いられるものである。
【0019】
プリフォーム1は、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂材料を射出成形して形成された射出成型品となっており、軸線Oに沿った円筒状の口部2と、口部2に一体に連なる有底筒状の胴部3とを備えた略試験管形状となっている。
【0020】
なお、以下において、径方向は、軸線Oに垂直な方向を意味するものとする。
【0021】
プリフォーム1は、ブロー成形により、所定の形状のボトル容器に成形されることができる。プリフォーム1に適用されるブロー成形は、例えば、加圧媒体として液体を用いた液体ブロー成形であってもよく、加圧媒体として加圧したエアーを用いたエアーブロー成形であってもよい。
【0022】
プリフォーム1は、1種類の合成樹脂材料のみで形成された単層構造に限らず、複数の層からなる積層構造であってもよい。積層構造においては、外側層と内側層とを異なる合成樹脂材料で形成して、お互いが接着しないように積層した積層構造とすることもできる。
【0023】
また、プリフォーム1は、滑剤を含んだ合成樹脂材料により形成されたものとすることもできる。
【0024】
口部2は、ブロー成形によっては延伸されない部分であり、ブロー成形後のボトル容器の口部2にキャップを装着するための雄ねじ2aを一体に備えている。また、口部2は、雄ねじ2aよりも胴部3の側に、口部2の外周面から径方向外側に突出する環状突起2bを一体に備えるとともに、環状突起2bよりも胴部3の側に口部2の外周面から径方向外側に突出するフランジ状のネックサポート部2cを一体に備えている。ネックサポート部2cは、ブロー成形の際、プリフォーム1をブロー成形用の金型に支持させる部分である。
【0025】
なお、口部2は、雄ねじ2aに替えて、キャップを打栓により口部2に装着するための係止突起を備えた構成とすることもできる。
【0026】
口部2は、その内周面2dにテーパー面4を備えている。すなわち、口部2の内周面2dの一部がテーパー面4となっている。テーパー面4は、胴部3の側から口部2の開口2eの側に向けて徐々(線形)に内径が減少する形状となっている。テーパー面4の上端は開口2eに連なっている。本実施の形態では、
図2に示すテーパー面4のテーパー角度αは2度であるが、当該テーパー角度αは種々変更可能である。
【0027】
また、口部2は、その内周面2dに、テーパー面4の胴部3の側の端部(下端)から径方向内側に向けて延びる円環状の段差面5を備えている。本実施の形態では、段差面5は、口部2の内周面2dの、環状突起2bとネックサポート部2cとの間の部分に設けられている。すなわち、テーパー面4の胴部3の側の端部における内径は、口部2のテーパー面4が設けられていない部分における円筒状の内周面2dの内径よりも大きくなっており、テーパー面4と内周面2dのテーパー面4が設けられていない部分との間が段差面5となっている。段差面5は、口部2の軸線Oに略垂直な平面であるとともに、プリフォーム1の内周面2dの全周に亘って延びる円環状となっている。
【0028】
なお、段差面5は、テーパー面4の下端から下方に離れた位置に形成するようにしてもよい。また、段差面5は、径方向外側から径方向内側に向けて徐々に胴部3に接近するように傾斜する傾斜面としてもよく、径方向外側から径方向内側に向けて徐々に胴部3から離間するように傾斜する傾斜面としてもよい。
【0029】
胴部3は、ブロー成形の際に延伸される部分であり、口部2と同軸の円筒状の胴部本体3aと、胴部本体3aの下端を閉塞する半球状の底部3bとを有している。
【0030】
図3に示す保持具10は、本発明の一実施の形態であるプリフォーム保持方法に用いられるものである。
【0031】
保持具10は、ブロック状の本体部11を備え、本体部11の上部には円柱状の連結軸12が設けられている。保持具10は、連結軸12において、例えばブロー成型機の搬送装置(不図示)等に連結され、搬送装置により搬送されて加熱炉やブロー成形用の金型に移動することができる。また、保持具10は、軸線Oを中心として回転可能に構成してもよい。
【0032】
本体部11の下端には円柱状の取付け用ボス部13が設けられており、取付け用ボス部13の外側に円環状の当接体14が装着されている。なお、当接体14は、複数の分割体(好ましくは、3から5個)が周方向に配置され円環を構成している。
【0033】
当接体14は、例えばステンレス鋼等の金属で形成されている。当接体14は、内周側の上下に円筒状のフランジ部14a、14bを備え、上側のフランジ部14aは、取付け用ボス部13の根本部分において本体部11に形成された環状溝11aに挿入されて本体部11により径方向に保持されている。なお、前記当接体14は、合成樹脂材料により形成されてもよく、この場合は耐熱性樹脂材料で形成されることが好ましい。
【0034】
取付け用ボス部13の下端には取付けキャップ15が固定されている。取付けキャップ15は環状溝11aと同軸の環状溝15aを備えており、当接体14の下側のフランジ部14bは、環状溝15aに挿入されて取付けキャップ15により径方向に保持されている。
【0035】
このように、当接体14は、上下のフランジ部14a、14bにおいて本体部11及取付けキャップ15に係止されて保持具10に装着されている。なお、環状溝11a、15aは、それぞれフランジ部14a、14bに対して径方向幅が広くなっており、フランジ部14a、14bはそれぞれ環状溝11a、環状溝15aの内部で径方向に移動可能となっている。
【0036】
当接体14の内側には、当接体14の上下方向の中央部よりも下方側に偏ってゴム製のOリング16が配置されている。当接体14は、Oリング16により径方向外側に向けて付勢されるとともに、Oリング16を支点として傾動可能となっている。なお、Oリング16の材質は、弾性変形可能であればゴムに限定されない。また、弾性変形可能であれば、Oリング16以外の弾性体を用いてもよい。さらに、弾性を有する部材で当接体14を構成するようにしてもよい。この場合、Oリング16は設けなくてもよい。
【0037】
当接体14の外周面14cは、プリフォーム1の口部に挿入された際に、プリフォーム1の口部2の内周面2dに設けられたテーパー面4に対応したテーパー角度を有するテーパー形状となるように形成されている。すなわち、当接体14の外周面14cは、下端から上端に向けて徐々に外径が減少するテーパー形状を形成しており、そのテーパー角度βは2度となっている。当接体14の外周面14cの下端側部分14dは、下方に向けて縮径する円錐台形状となっている。
【0038】
なお、当該テーパー角度βは、テーパー面4のテーパー角度αに合わせて種々変更可能である。
【0039】
本実施の形態のプリフォーム保持方法では、
図4に示すように、保持具10によりプリフォーム1を保持する際、口部2の開口2eを上方に向けた姿勢のプリフォーム1の口部2の内側に、保持具10の当接体14を挿入する。このとき、当接体14の外周面14cの下端側部分14dは、下方に向けて縮径する円錐台形状となっているので、当該下端側部分14dを開口2eに案内させることで、当接体14を滑らかに口部2の内側に挿入することができる。当接体14の口部2への挿入量は、プリフォーム1の口部2の上端が本体部11に当接することで、当接体14の外周面14cがテーパー面4に当接する範囲に規制されるようにすればよい。
【0040】
当接体14が口部2の内側に挿入されると、外周面14cがテーパー面4に当接し、当接体14はテーパー面4により径方向内側に向けて押され、Oリング16を径方向内側に向けて若干弾性変形させた状態となる。よって、当接体14は、口部2の内側に挿入されると、外周面14cにおいて口部2の内周面2dに設けられたテーパー面4に弾性的に当接する。これにより、当接体14の外周面14cとテーパー面4との間に適度な摩擦力を生じさせて、当接体14ないし保持具10により、プリフォーム1を、口部2の開口2eを上方に向けた姿勢に保持することができる。このとき、保持具10の取付けキャップ15は、下端が縮径する形状となっており、プリフォーム1の内周面2dに当接することはない。
【0041】
また、本実施の形態のプリフォーム保持方法では、プリフォーム1を、口部2の内周面2dに胴部3の側から開口2eの側に向けて徐々に内径が減少するテーパー面4を備えた構成とし、口部2に挿入した保持具10の当接体14をテーパー面4に当接させてプリフォーム1を保持するようにしたので、テーパー面4に弾性的に接する当接体14により、プリフォーム1に上方に向けた力を生じさせるとともに当接体14によりテーパー面4の当接体14に対する下方への移動を規制することができる。これにより、保持具10により保持されて空中に持ち上げられたプリフォーム1が、自重により保持具10の当接体14に対して下方に移動することを抑制することができる。
【0042】
したがって、本実施の形態のプリフォーム保持方法によれば、プリフォーム1を保持具10により保持し、空中に浮かせて搬送する際などに、プリフォーム1が、自重などにより、当接体14に対して下方に移動して保持位置にずれが生じることを防止することができる。これにより、ブロー成型機において、プリフォーム1を保持具10により保持して加熱工程を行う際に、プリフォーム1が保持具10に対して位置ずれを生じて加熱ムラを生じたり、プリフォーム1が当接体14から下方に抜け落ちたりすることを防止することができる。
【0043】
また、本実施の形態のプリフォーム保持方法では、当接体14の外周面14cを、プリフォーム1の口部2の内周面2dに設けたテーパー面4に対応したテーパー形状に形成するようにしたので、当接体14の外周面14cにより、テーパー面4の当接体14に対する下方への移動をより効果的に規制して、プリフォーム1が、自重などにより、当接体14に対して下方に移動して保持位置にずれが生じることを、より効果的に防止することができる。
【0044】
特に、本発明のプリフォーム保持方法によれば、プリフォーム1を形成する合成樹脂材料を、滑剤を含んだものとした場合であっても、プリフォーム1が、自重などにより、当接体14に対して下方に移動して保持位置にずれが生じることを、確実に防止することができる。
【0045】
さらに、本実施の形態のプリフォーム保持方法では、プリフォーム1を、口部2の内周面2dにテーパー面4の胴部3の側の端部から径方向内側に向けて延びる円環状の段差面5を備えた構成としたので、口部2の内周面に胴部3の側から開口2eの側に向けて徐々に内径が減少するテーパー面4を設けた構成としても、開口2eの開口面積を所望の大きさに確保することができる。なお、段差面5は、プリフォーム1をブロー成形する際に、口部2に挿入されるブローノズルに設けられたシール部材が当接するシール面として機能するものとしてもよい。
【0046】
図5は、変形例のプリフォームの断面図であり、
図6は、
図5に示す変形例のプリフォームの要部の拡大半断面図であり、
図7は、保持具により変形例のプリフォームを保持した状態を示す断面図である。なお、
図5~
図7においては、前述した部材には同一の符号を付してある。
【0047】
本発明のプリフォーム保持方法に用いられるプリフォーム1は、上記形状ないし構成のものに限らず、円筒状の口部2と口部2に一体に連なる有底筒状の胴部3とを備え、口部2の内周面2dに胴部3の側から開口2eの側に向けて徐々に内径が減少するテーパー面4を備えたブロー成形用のものであれば、その形状ないし構成は種々変更可能である。
【0048】
例えば、
図5、
図6に示す変形例のプリフォーム1は、口部2のネックサポート部2cが設けられた部分における内周面2dに段差面5を備えた構成となっている。変形例のプリフォーム1において、段差面5は、当該プリフォーム1をブロー成形する際に、口部2に挿入されるブローノズルに設けられたシール部材が当接するシール面として機能するものである。当該機能を有する段差面5を、口部2のネックサポート部2cが設けられた部分における内周面2dに設けることで、段差面5ないし段差面5が設けられた部分における口部2の強度を高めて、シール部材によりブローノズルと口部2との間を確実にシールすることが可能となる。なお、段差面5は、シール性を高めるために、軸線Oに垂直な平面であるのが好ましいが、軸線Oに垂直な方向に対して傾斜する平面や湾曲面等であってもよい。
【0049】
また、
図5、
図6に示す変形例のプリフォーム1は、口部2のテーパー面4の上側に拡径部2fが一体に設けられている。拡径部2fは、例えば、成形後のボトル容器の口部2にキャップを打栓により装着する際の係止突起として機能する。
【0050】
上記構成を有する変形例のプリフォーム1においても、
図7に示すように、口部2の開口2eを上方に向けた姿勢のプリフォーム1の口部2の内側に保持具10の当接体14を挿入し、口部2の内周面2dに設けられたテーパー面4に保持具10の当接体14の外周面14cを弾性的に当接させて、保持具10によりプリフォーム1を、口部2の開口2eを上方に向けた姿勢に保持することができる。
【0051】
図8に他の変形例として示すように、プリフォーム1は、口部2の段差面5から上方に延びるテーパー面4よりも上側(開口2eの側)における内周面にシール面6を備えるとともに、テーパー面4とシール面6との間にテーパー面4の側からシール面6の側に向けて徐々に拡径する傾斜面7を備えた構成とすることもできる。シール面6は、ブロー成形後のボトル容器の口部2にキャップが装着されたときに、当該キャップのシール筒部が内側に篏合する部分である。シール面6は、軸線Oに平行(金型の抜き勾配は平行に含む)な円筒状の面であってよく、テーパー面4の側の内径よりも開口2eの側の内径が僅かに大きいテーパー状の面であってもよい。また、シール面6及び傾斜面7の軸線O方向の大きさは、それぞれテーパー面4の軸線O方向の大きさより小さくなっている。例えば、シール面6の軸線O方向の大きさは、テーパー面4に対して45~65%となっている。なお、シール面6の上端縁は径方向外側に向けた湾曲面であり、テーパー面4と傾斜面7との境界部分及び傾斜面7とシール面6との境界部分は、それぞれ滑らかな湾曲面となっている。
【0052】
このような構成とすることで、口部2にテーパー面4を設けて保持具10により保持されて空中に持ち上げられたプリフォーム1が、自重により保持具10の当接体14に対して下方に移動することを抑制しつつ、口部2にキャップが装着されたときに、キャップのシール筒部が口部2の内周面に確実に密着するようにして、キャップのシール性を高めることができる。
【0053】
図8に示す他の変形例のプリフォーム1においては、シール面6の最小径は、テーパー面4の最大径以上であるのが好ましく、テーパー面4の最大径より大きいことがより好ましい。
【0054】
このような構成とすることで、金型を用いてプリフォーム1を射出成形した後、成形後のプリフォーム1に対して金型を無理抜きする際に、シール面6の表面が金型により傷付けられることを防止して、キャップのシール不良の発生を防止することができる。
【0055】
なお、
図8に示す他の変形例のプリフォーム1において、傾斜面7を設けない構成とすることもできる。また、
図8に示す他の変形例のプリフォーム1において、シール面6の最小径は、テーパー面4の最小径と等しくてもよく、テーパー面4の最小径より大きく最大径より小さくてもよい。
【0056】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0057】
例えば、前記実施の形態においては、口部2の内周面の段差面5よりも開口2eの側(上側)にテーパー面4を設けるようにしているが、口部2の内周面の段差面5よりも胴部3の側(下側)にテーパー面4を設けるようにしてもよい。この場合、口部2の内周面の段差面5よりも開口2e3の側(上側)は内径が一定の円筒状または胴部の側から開口の側に向けて徐々に内径が増大する抜きテーパー面に形成される。
【0058】
プリフォーム1の口部2は、ブロー成形によりボトル容器に形成された後、口部2に装着されたキャップのインナーリングが口部2の内周面2dに設けられたテーパー面4に当接する構成としてもよく、口部2に装着されたキャップのインナーリングが口部2の内周面2dのテーパー面4が設けられていない部分に当接する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 プリフォーム
2 口部
2a 雄ねじ
2b 環状突起
2c ネックサポート部
2d 内周面
2e 開口
2f 拡径部
3 胴部
3a 胴部本体
3b 底部
4 テーパー面
5 段差面
6 シール面
7 傾斜面
10 保持具
11 本体部
11a 環状溝
12 連結軸
13 取付け用ボス部
14 当接体
14a フランジ部
14b フランジ部
14c 外周面
14d 下端側部分
15 取付けキャップ
15a 環状溝
16 Oリング
O 軸線
α テーパー角度
β テーパー角度