(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】飲料容器用蓋、飲料容器用蓋の飲口形成方法、及び飲料容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/06 20060101AFI20240617BHJP
【FI】
B65D47/06
(21)【出願番号】P 2023535128
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2022012563
(87)【国際公開番号】W WO2023286370
(87)【国際公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2021117834
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑典
(72)【発明者】
【氏名】太田 登茂樹
(72)【発明者】
【氏名】久富 祥人
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 恒昭
(72)【発明者】
【氏名】塚本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】武口 史郎
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0015199(US,A1)
【文献】国際公開第2021/020511(WO,A1)
【文献】特開2007-030984(JP,A)
【文献】特開2002-002751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器の開口部を覆う覆板部と、当該覆板部の外周縁に設けられ、前記飲料容器の前記開口部を前記覆板部が覆うようにした際に当該飲料容器の前記開口部の縁部に係合可能な側周部と、を備える飲料容器用蓋であって、
前記覆板部の周縁側に設けられ、飲口を形成するための当該飲口の前記周縁側の形状である、当該覆板部の一般部より強度の低い低強度部からなる飲口形成用線部と、
前記飲口形成用線部で囲まれた飲口形成用部位が上から押し込まれた際、当該飲口形成用部位における前記覆板部外周縁側の飲口形成用外側部位と前記覆板部内側の飲口形成用内側部位との間における谷折りによる折り畳みを容易とするための前記覆板部の一般部より強度の低い折畳用低強度部と、
前記飲口形成用内側部位が山折りされるとともに、前記飲口形成用外側部位が谷折りされて持ち上がり、さらに前記飲口形成用外側部位と前記飲口形成用内側部位を折り畳んだ状態の前記飲口形成用外側部位周縁の係止部を係合可能な係合部と、を備えていること
を特徴とする飲料容器用蓋。
【請求項2】
前記覆板部の前記飲口形成用部位における前記飲口形成用線部の内側端部間に、前記飲口形成用内側部位の山折りを容易とするための当該覆板部の一般部より強度の低い山折用低強度部が設けられていること
を特徴とする請求項1に記載の飲料容器用蓋。
【請求項3】
前記山折用低強度部は、ミシン目を設けて形成されていること
を特徴とする請求項2に記載の飲料容器用蓋。
【請求項4】
前記折畳用低強度部は、ミシン目を設けて形成されていること
を特徴とする請求項1~3のうち何れか1項に記載の飲料容器用蓋。
【請求項5】
前記係止部は、前記飲口形成用外側部位側部における前記覆板部外周縁側の端部を拡幅した拡幅部分の縮幅部分に形成され、前記飲口の縁部を前記係合部として係合可能とされていること
を特徴とする請求項1~4のうち何れか1項に記載の飲料容器用蓋。
【請求項6】
前記係止部は、前記飲口形成用外側部位側部における前記覆板部外周縁側の端部に切欠として形成され、前記飲口の縁部を前記係合部として係合可能とされていること
を特徴とする請求項1~4のうち何れか1項に記載の飲料容器用蓋。
【請求項7】
前記係止部は、複数設けられていること
を特徴とする請求項1~6のうち何れか1項に記載の飲料容器用蓋。
【請求項8】
前記飲口形成用線部は、切込線部からなり、
前記飲口形成用外側部位側部と当該飲口形成用外側部位側部周囲の前記覆板部との間は、1乃至複数の繋部によって繋がれていること
を特徴とする請求項1~7のうち何れか1項に記載の飲料容器用蓋。
【請求項9】
前記飲料容器用蓋は、紙製であること
を特徴とする請求項1~8のうち何れか1項に記載の飲料容器用蓋。
【請求項10】
請求項1~9のうち何れか1項に記載の飲料容器用蓋の飲口形成方法であって、
前記飲口形成用部位を、指で上から押し込む工程と、
前記飲口形成用部位における前記飲口形成用外側部位と前記飲口形成用内側部位とを、指で、谷折りして折り畳むとともに、前記飲口形成用外側部位を山折りして持ち上げる工程と、
前記飲口形成用外側部位周縁の前記係止部を、指で前記係合部に係合させる工程と、により、前記飲口を形成すること
を特徴とする飲料容器用蓋の飲口形成方法。
【請求項11】
請求項1~9のうち何れか1項に記載の飲料容器用蓋を備えていること
を特徴とする飲料容器。
【請求項12】
前記飲料容器は、紙製であること
を特徴とする請求項11に記載の飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料容器の開口部を覆う飲料容器用蓋、この飲料容器用蓋の飲口形成方法、及びこの飲料容器用蓋を備えた飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ファーストフード店やコンビニエンスストアなどの多くの飲料の販売店では、プラスチック(合成樹脂)製や紙製のコップ等の飲料容器の開口部を、飲料容器用蓋で覆い、持ち運びの際に、その内部に収容されたジュースやコーヒーなどの飲料が開口部からこぼれ難いようにして販売している。
【0003】
飲料容器の内部に収容された飲料を飲むには、単純に飲料容器用蓋を外して開口部から飲んでもよいが、飲料容器用蓋を外した際に、その内側に付着した飲料が飛び散り、飲む人の衣服等を汚してしまうおそれがある。
【0004】
そのため、飲料容器用蓋に、ストローの差込部を設け、付属のストローを差し込むことにより、飲料容器内部の飲料を飲み易くすることが多くなされている(特許文献1等参照)。
【0005】
しかしながら、昨今、プラスチックゴミによる海洋汚染問題等を発端に、脱プラスチックの世界的な流れが大きくなり、その一環として、プラスチックからなるストローを無くそうという流れも大きくなっている。
【0006】
このような状況の下、市場では、ストローを無くし、飲料容器用蓋を外さなくても、飲料が飲み易い飲口を形成することができる飲料容器用蓋が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上述した背景を鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、ストローを無くし、飲料容器用蓋を外さなくても、飲料が飲み易い飲口を形成することができる飲料容器用蓋、この飲料容器用蓋の飲口形成方法、及びこの飲料容器用蓋を備えた飲料容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上述した課題を解決するために、飲料容器の開口部を覆う覆板部と、当該覆板部の外周縁に設けられ、前記飲料容器の前記開口部を前記覆板部が覆うようにした際に当該飲料容器の前記開口部の縁部に係合可能な側周部と、を備える飲料容器用蓋であって、前記覆板部の周縁側に設けられ、飲口を形成するための当該飲口の前記周縁側の形状である、当該覆板部の一般部より強度の低い低強度部からなる飲口形成用線部と、前記飲口形成用線部で囲まれた飲口形成用部位が上から押し込まれた際、当該飲口形成用部位における前記覆板部外周縁側の飲口形成用外側部位と前記覆板部内側の飲口形成用内側部位との間における谷折りによる折り畳みを容易とするための前記覆板部の一般部より強度の低い折畳用低強度部と、前記飲口形成用内側部位が山折りされるとともに、前記飲口形成用外側部位が谷折りされて持ち上がり、さらに前記飲口形成用外側部位と前記飲口形成用内側部位を折り畳んだ状態の前記飲口形成用外側部位周縁の係止部を係合可能な係合部と、を備えた、飲料容器用蓋を発明した。
【0010】
第1発明に係る飲料容器用蓋は、飲料容器の開口部を覆う覆板部と、当該覆板部の外周縁に設けられ、前記飲料容器の前記開口部を前記覆板部が覆うようにした際に当該飲料容器の前記開口部の縁部に係合可能な側周部と、を備える飲料容器用蓋であって、前記覆板部の周縁側に設けられ、飲口を形成するための当該飲口の前記周縁側の形状である、当該覆板部の一般部より強度の低い低強度部からなる飲口形成用線部と、前記飲口形成用線部で囲まれた飲口形成用部位が上から押し込まれた際、当該飲口形成用部位における前記覆板部外周縁側の飲口形成用外側部位と前記覆板部内側の飲口形成用内側部位との間における谷折りによる折り畳みを容易とするための前記覆板部の一般部より強度の低い折畳用低強度部と、前記飲口形成用内側部位が山折りされるとともに、前記飲口形成用外側部位が谷折りされて持ち上がり、さらに前記飲口形成用外側部位と前記飲口形成用内側部位を折り畳んだ状態の前記飲口形成用外側部位周縁の係止部を係合可能な係合部と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
第2発明に係る飲料容器用蓋は、第1発明において、前記覆板部の前記飲口形成用部位における前記飲口形成用線部の内側端部間に、前記飲口形成用内側部位の山折りを容易とするための当該覆板部の一般部より強度の低い山折用低強度部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
第3発明に係る飲料容器用蓋は、第2発明において、前記山折用低強度部は、ミシン目を設けて形成されていることを特徴とする。
【0013】
第4発明に係る飲料容器用蓋は、第1発明~第3発明の何れかにおいて、前記折畳用低強度部は、ミシン目を設けて形成されていることを特徴とする。
【0014】
第5発明に係る飲料容器用蓋は、第1発明~第4発明の何れかにおいて、前記係止部は、前記飲口形成用外側部位側部における前記覆板部外周縁側の端部を拡幅した拡幅部分の縮幅部分に形成され、前記飲口の縁部を前記係合部として係合可能とされていることを特徴とする。
【0015】
第6発明に係る飲料容器用蓋は、第1発明~第4発明の何れかにおいて、前記係止部は、前記飲口形成用外側部位側部における前記覆板部外周縁側の端部に切欠として形成され、前記飲口の縁部を前記係合部として係合可能とされていることを特徴とする。
【0016】
第7発明に係る飲料容器用蓋は、第1発明~第6発明の何れかにおいて、前記係止部は、複数設けられていることを特徴とする。
【0017】
第8発明に係る飲料容器用蓋は、第1発明~第7発明の何れかにおいて、前記飲口形成用線部は、切込線部からなり、前記飲口形成用外側部位側部と当該飲口形成用外側部位側部周囲の前記覆板部との間は、1乃至複数の繋部によって繋がれていることを特徴とする。
【0018】
第9発明に係る飲料容器用蓋は、第1発明~第8発明の何れかにおいて、前記飲料容器用蓋は、紙製であることを特徴とする。
【0019】
第10発明に係る飲料容器用蓋の飲口形成方法は、第1発明~第9発明の何れかに係る飲料容器用蓋の飲口形成方法であって、前記飲口形成用部位を、指で上から押し込む工程と、前記飲口形成用部位における前記飲口形成用外側部位と前記飲口形成用内側部位とを、指で、谷折りして折り畳むとともに、前記飲口形成用外側部位を山折りして持ち上げる工程と、前記飲口形成用外側部位周縁の前記係止部を、指で前記係合部に係合させる工程と、により、前記飲口を形成することを特徴とする。
【0020】
第11発明に係る飲料容器は、第1発明~第9発明の何れかに係る飲料容器用蓋を備えていることを特徴とする。
【0021】
第12発明に係る飲料容器は、第11発明において、前記飲料容器は、紙製であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
上述した構成からなる本発明によれば、ストローを無くし、飲料容器用蓋を外さなくても、飲料が飲み易い飲口を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る飲料容器の分解斜視図である。
【
図2】
図2(a)及び
図2(b)は、本発明の実施形態に係る飲料容器用蓋の飲口形成方法を段階的に示す説明図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は、本発明の実施形態に係る飲料容器用蓋の飲口形成方法を段階的に示す説明図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、本発明の実施形態に係る飲料容器用蓋の飲口形成方法を段階的に示す説明図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る飲料容器用蓋の設計条件を例示した説明図である。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は、本発明の実施形態に係る飲料容器用蓋の設計条件を例示した説明図である。
【
図7】
図7(a)~
図7(f)は、本発明の実施例1に係る飲料容器用蓋の要部をそれぞれ示す説明図である。
【
図8】
図8(a)~
図8(f)は、本発明の実施例2に係る飲料容器用蓋の要部をそれぞれ示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を適用して例示した実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
[実施形態]
先ず、
図1を用いて、本発明の実施形態に係る飲料容器2について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る飲料容器2の分解斜視図である。
【0026】
本発明の実施形態に係る飲料容器2は、
図1に示すように、紙製であり、その上部に縁部3aを有する開口部3を備え、その内部にジュースやコーヒーなどの飲料6を収容して販売するのに多く用いられる有底円筒状の紙コップである。
【0027】
なお、飲料容器2は、紙製に限定されず、プラスチック製などの他の材料で製造されていてもよい。また、飲料容器2をプラスチック製とする場合は、環境にやさしい生分解性プラスチックなどを用いてもよい。
【0028】
そして、飲料容器2は、飲料容器用蓋1で開口部3が塞がれることによって飲料6の販売目的に使用される。
【0029】
飲料容器用蓋1は、紙製であり、飲料容器2の開口部3を覆う円盤状の覆板部4と、覆板部4の外周縁に設けられ、飲料容器2の開口部3を覆板部4が覆うようにした際に飲料容器2の開口部3の縁部3aに係合可能な側周部5と、を備えている。
【0030】
なお、飲料容器用蓋1も、紙製に限定されず、プラスチック製などの他の材料で製造されていてもよい。また、飲料容器用蓋1をプラスチック製とする場合は、環境にやさしい生分解性プラスチックなどを用いてもよい。
【0031】
覆板部4には、その周縁側に、飲口110を形成するための飲口110の周縁側の形状である、略コ字状の切込線部12と繋部11a,11bとからなる飲口形成用線部11が設けられている(
図4も参照)。なお、この飲口形成用線部11は、切込線部の代わりに、ミシン目を設けたり、厚みを小さくしたりするなどして、覆板部4の一般部より強度の低い低強度部を設けて実施してもよい。
【0032】
また、覆板部4の飲口形成用線部11で囲まれた飲口形成用部位11A,11Bが上から押し込まれた際、飲口形成用部位11A,11Bにおける覆板部4外周縁側の飲口形成用外側部位11Aと覆板部4内側の飲口形成用内側部位11Bとの間における谷折りによる折り畳みを容易とするための覆板部4の一般部より強度の低い折畳用低強度部13が設けられている。
【0033】
具体的には、折畳用低強度部13は、ミシン目を設けて形成されている。なお、この折畳用低強度部13は、厚みを小さくしたりするなどして設けて実施することもできる。
【0034】
また、覆板部4の飲口形成用内側部位11Bにおける飲口形成用線部11の内側端部間に、飲口形成用内側部位11Bの山折りを容易とするための覆板部4の一般部より強度の低い山折用低強度部14が設けられている。
【0035】
具体的には、山折用低強度部14は、ミシン目を設けて形成されている。なお、この山折用低強度部14は、罫線を設けるなど厚みを小さくしたりするなどして設けてもよいし、設けないで実施することもできる。
【0036】
さらに、飲口形成用外側部位11Aが谷折りされて持ち上がり、さらに飲口形成用外側部位11Aと飲口形成用内側部位11Bを折り畳んだ状態の飲口形成用外側部位11A周縁の係止部11cと、この係止部11cを係合可能な係合部とが設けられている。
【0037】
具体的には、係止部11cが、飲口形成用外側部位11A側部における覆板部4外周縁側の端部を略楕円状に拡幅した拡幅部分の縮幅部分に形成され、飲口110の縁部を係合部として係合可能とされている(
図4も参照)。
【0038】
また、飲口形成用外側部位側部11Aとこの飲口形成用外側部位11A側部周囲の覆板部4との間は、左右の繋部11aと、上部の繋部11bとによって繋がれ、飲口形成用外側部位側部11A及び飲口形成用内側部位側部11Bが自重などで沈み込まないようにしている。なお、これら繋部11a,11bの数や位置はこれに限定されない。
【0039】
次に、
図2~
図4を用いて、本発明の実施形態に係る飲料容器用蓋の飲口形成方法について説明する。
図2~
図4は、本発明の実施形態に係る飲料容器用蓋の飲口形成方法を段階的に示す説明図である。
【0040】
先ず、
図2(a)及び
図2(b)~
図3(a)及び
図3(b)に示すように、飲口形成用内側部位11Bを、親指又は人差し指などの指F1で上から押し込むと、飲口形成用外側部位11Aと飲口形成用内側部位11Bとの間が、折畳用低強度部13の部分で谷折りとなる。
【0041】
さらに、親指又は人差し指などの指F1で、飲口形成用外側部位11Aを、覆板部4の内側に向けて押し込むと、飲口形成用内側部位11Bがさらに山折りされるとともに、飲口形成用外側部位11Aが山折用低強度部14の部分でさらに谷折りされてさらに持ち上がる。
【0042】
そして、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、さらに、親指又は人差し指などの指F1で、飲口形成用外側部位11Aを、覆板部4の内側に向けて押し込むと、飲口形成用外側部位11Aと飲口形成用内側部位11Bとが、山折りで折り畳まれるとともに、飲口形成用外側部位11Aの係止部11cが、係合部である飲口110の縁部に係合し、飲口110が形成される。
【0043】
次に、
図5及び
図6を用いて、本発明の実施形態に係る飲料容器用蓋1の設計条件について説明する。
図5及び
図6は、本発明の実施形態に係る飲料容器用蓋1の設計条件を例示した説明図である。
【0044】
ここで、
図5及び
図6に例示した飲料容器用蓋1では、Aは、繋部11bの幅であり、Bは、繋部11aの幅であり、Cは、折畳用低強度部13及び山折用低強度部14のミシン目の間隔であり、Dは、折畳用低強度部13及び山折用低強度部14のミシン目の端部と飲口形成用線部の切込線部12との間隔であり、Eは、折畳用低強度部13と山折用低強度部14との間の距離であり、Fは、折畳用低強度部13と係止部11cとの間の距離である。
【0045】
図5及び
図6(a)に示した飲料容器用蓋1において、例えば、Aを0.5mm、Bを0.75mm、Cを0.5mm、Dを3mm、Eを8mm、Fを8mmとすると、機能を満たした。
【0046】
これに対し、
図6(b)に示した飲料容器用蓋1では、E<Fとした。このように、E<Fとした場合でも、機能を満たすことは可能であるが、係止部11cを係合部である飲口110の縁部に係合させるには、次の条件を満たすことが重要である。
【0047】
例えば、
図6(b)において、Eを15mmとした場合、F=1.13Eでは、F≒16.9mmとなり、折り畳んだ際、2mm程度の余りが出てしまうが、覆板部4の厚みなどを考慮すると、係止部11cを係合部である飲口110の縁部に係合させることができ、機能は満たす。
【0048】
すなわち、覆板部4の厚みをXとすると、X≦F-E≦2(単位はmm)の式を満たせば、E<Fとした場合でも、機能を満たす。なお、この場合、0.5≦A<1.0(単位はmm)の式(Aの範囲)、及びA≧Cの式(Cの設定)も満たすとより好ましい。
【0049】
勿論、この飲料容器用蓋1の設計条件は、単なる例示であり、様々な設計をして実施することができる。
【0050】
以上説明した本発明の実施形態によれば、上記した構成なので、ストローを無くし、飲料容器用蓋1を外さなくても、飲料6が飲み易い飲口110を形成することができる。
【0051】
そのうえ、本発明の実施形態では、飲料容器用蓋1と、飲料容器2と、が、ともに紙製なので、使用する接着剤などを除き、略完全に脱プラスチックとすることができる。
【0052】
また、本発明の実施形態に係る飲料容器用蓋の飲口形成方法によれば、上記した簡単な手順で、飲料容器用蓋1の飲口110を容易に形成することができる。
【0053】
[実施例1]
次に、
図7(a)~
図7(f)を用いて、本発明の実施例1に係る飲料容器用蓋1について説明する。
図7(a)~
図7(f)は、本発明の実施例1に係る飲料容器用蓋1の要部をそれぞれ示す説明図である。
【0054】
本発明の実施例1に係る飲料容器用蓋1は、上述の実施形態に係る飲料容器用蓋1と相違する点は、主に、飲口形成用外側部位11A側部における覆板部4外周縁側の端部の形状が異なることなので、その点について主に説明し、同一構成は同一符号を付し、説明を省略する。
【0055】
この飲料容器用蓋1では、
図7(a)~
図7(f)に示すように、飲口形成用外側部位11A側部における覆板部4外周縁側の端部の形状が、楕円状でないことが、実施形態に係る飲料容器用蓋1と異なる。
【0056】
具体的には、以下の通りである。
【0057】
図7(a)に示した飲料容器用蓋1では、飲口形成用外側部位11A側部における覆板部4外周縁側の端部の形状が、矩形状となっている。
【0058】
図7(b)に示した飲料容器用蓋1では、飲口形成用外側部位11A側部における覆板部4外周縁側の端部の形状が、角部が面取りされた矩形状となっている。
【0059】
図7(c)に示した飲料容器用蓋1では、飲口形成用外側部位11A側部における覆板部4外周縁側の端部の形状が、先端に向かって広がるテーパ状となっている。
【0060】
図7(d)に示した飲料容器用蓋1では、飲口形成用外側部位11A側部全体の形状が、覆板部4外周縁側の端部を含んで、先端に向かって広がるテーパ状となっている。さらに、係止部11cが切欠として形成されている。
【0061】
図7(e)に示した飲料容器用蓋1では、飲口形成用外側部位11A側部における覆板部4外周縁側の端部の形状が、先端に向かった矢印状となっている。
【0062】
図7(f)に示した飲料容器用蓋1では、飲口形成用外側部位11A側部における覆板部4外周縁側の端部の形状が、先端がフラットな矢印状となっている。
【0063】
[実施例2]
次に、
図8(a)~
図8(f)を用いて、本発明の実施例2に係る飲料容器用蓋1について説明する。
図8(a)~
図8(f)は、本発明の実施例2に係る飲料容器用蓋1の要部をそれぞれ示す説明図である。
【0064】
本発明の実施例2に係る飲料容器用蓋1は、上述の実施例1に係る飲料容器用蓋1と相違する点は、主に、係止部11aの数が異なることなので、その点について主に説明し、同一構成は同一符号を付し、説明を省略する。
【0065】
この実施例2に係る飲料容器用蓋1では、
図8(a)~
図8(f)に示すように、右側の係止部11aが無く、飲口形成用外側部位11Aの形状が略L字状となっていることが、実施例1に係る飲料容器用蓋1と異なる。
【0066】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1 飲料容器用蓋
11 飲口形成用線部
11A 飲口形成用外側部位
11B 飲口形成用内側部位
11a,11b 繋部
11c 係止部
12 切込線部
13 折畳用低強度部
14 山折用低強度部
2 飲料容器
3 開口部
3a 開口部の縁部
4 覆板部
5 側周部
6 飲料
F1 指