(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】管路構成要素における組付け方法および装置
(51)【国際特許分類】
B25B 23/14 20060101AFI20240617BHJP
F16L 15/04 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B25B23/14 610G
B25B23/14 620A
B25B23/14 620Z
B25B23/14 640Z
F16L15/04 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019169268
(22)【出願日】2019-09-18
【審査請求日】2022-06-16
(32)【優先日】2018-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】311017474
【氏名又は名称】ゲオルク フィッシャー ローアライトゥングスズュステーメ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Georg Fischer Rohrleitungssysteme AG
【住所又は居所原語表記】Ebnatstrasse 111,CH‐8200 Schaffhausen,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー エーバウアー
(72)【発明者】
【氏名】ローベアト ライツ
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-000815(JP,A)
【文献】特開2005-297188(JP,A)
【文献】特開平11-104969(JP,A)
【文献】特開2009-113132(JP,A)
【文献】特開2005-305648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/14
F16L 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ込み結合部を締め付ける方法であって、
締め付けられるべき前記ねじ込み結合部は、雄ねじ山を有する結合要素ユニットと、雌ねじ山を有する結合要素ユニットと、これらの間に配置されたシール要素とを有し、以下のステップ、すなわち、
・前記シール要素に接触し、前記シール要素を圧縮する開始点に達するまで、前記雌ねじ山を有する結合要素ユニットと前記雄ねじ山を有する結合要素ユニットとを接近させ、その際に、前記シール要素は、前記結合要素ユニットのうちの少なくとも1つの結合要素ユニットの表面にまたは内側に配置されていて、他方の前記結合要素ユニットに接触させられる、ステップと、
・所定の閾値に達するまで、前記雌ねじ山を有する結合要素ユニットと前記雄ねじ山を有する結合要素ユニットとを締め付ける、ステップと、
を有する方法において、
前記シール要素を圧縮する開始点と前記閾値とを、前記ねじ込み結合部の当接および締付け中に、発生する回転角とトルクとの関係の変化に基づいて確定
し、
前記シール要素を圧縮する開始点に達するまで、トルクはほとんど必要とされず、したがって、トルク-回転角線図における曲線の勾配が、ほぼ無限に急峻な勾配で推移するまたはy方向の回転角の軸に対して略平行に推移し、
前記回転角とトルクとの関係を、アルゴリズムを用いて確定し、
前記回転角とトルクとの関係を確定するための前記アルゴリズムは、前記回転角(DW)/トルク(DM)の確定された比が、先行する測定値の比に対して少なくとも±10%相違するときに、前記曲線の変向点ひいては前記シール要素を圧縮する開始点または前記閾値の到達を検出するものである、ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記シール要素を圧縮する開始点に達してからトルクが必要とされ、前記回転角とトルクとの関係は、前記シール要素を圧縮する開始点に達してから大きく変化する、または前記トルク-回転角線図における曲線の勾配が大きく低下し、前記回転角とトルクとの関係または前記トルク-回転角線図における曲線の勾配が、前記シール要素を圧縮する開始点に達してからは略直線的な推移を示すことを特徴とする、請求項
1記載の方法。
【請求項3】
前記閾値に達してからの前記回転角とトルクとの関係は、前記閾値に達する前の前記回転角とトルクとの関係と比べて変化し、その際、前記閾値に達してからの前記トルク-回転角線図における曲線の勾配は、前記閾値に達する前の前記曲線と比べて大きく低下することを特徴とする、請求項
1または2記載の方法。
【請求項4】
請求項1から
3までのいずれか1項記載の方法に基づく、管路構成要素のねじ込み結合部を締め付ける装置であって、
前記装置は、基体とフックインサートとを備え、該基体内には、生じているまたは使用されるトルクを求めるためのトルク測定センサと、位置および位置変化を求めるためのセンサと、識別装置と、螺合を特定するデータを格納するためのメモリ要素と、検出されたデータを伝送するための送信器とが配置されている、装置において、
前記フックインサートは、交換可能に前記基体に配置されており、前記フックインサートは、前記螺合を特定するデータを含むコーディング情報を有し、前記フックインサートの連結時には前記コーディング情報が、前記基体における前記識別装置によって検出され、螺合を特定するデータが自動で前記装置において受信される、装置。
【請求項5】
前記装置は、地理学的位置を求めるための測定機器を備えることを特徴とする、請求項
4記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、材料識別のためのセンサを備え、前記ねじ込み結合部の色の識別によって、前記ねじ込み結合部の材料を特定することが可能であることを特徴とする、請求項
4または5記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ込み結合部を締め付ける、好ましくは管路構成要素を結合する方法および相応の装置に関し、締め付けられるべきねじ込み結合部は、雄ねじ山を有する結合要素ユニットと、雌ねじ山を有する結合要素ユニットと、これらの間に配置されたシール要素とを有し、方法は、以下のステップ、すなわち、
・シール要素に接触するまで、雌ねじ山を有する結合要素ユニットと雄ねじ山を有する結合要素ユニットとを接近させ、その際に、シール要素は、結合要素ユニットのうちの少なくとも1つの結合要素ユニットの表面にまたは内側に配置されている、ステップと、
・雌ねじ山を有する結合要素ユニットと雄ねじ山を有する結合要素ユニットとを締め付け、その際、装置は、基体とフックインサートとを備え、基体内には、必要なトルクを求めるためのトルク測定センサと、位置および位置変化を求めるためのセンサ、好ましくは回転角を求めるためのジャイロスコープと、識別装置と、螺合特有のデータを格納するためのメモリ要素と、検出されたデータを伝送するための送信器とが配置されている、ステップとを有する。
【0002】
従来技術において知られた、螺合部が十分に締め付けられているかどうかを特定するための工具は、通常は、多少なりとも一定の周辺環境条件において取り付けられる金属螺合部である車両構造に使用されることが多い。そのため、トルクおよび回転角の両方を検出し、特定のトルクに達すると、締め付けようとする回転角があとどの程度の大きさでなければならないのか設定され、これによって、要求に応じて螺合部が相応に締め付けられる、工具が使用されることが多い。
【0003】
独国特許出願公開第10328381号明細書は、トルクを測定し、必要なトルクに達すると、要求された強度を得るためにさらに特定の回転角だけ送らなければならないトルクレンチを開示している。
【0004】
この場合の欠点は、結合されるべき要素の材料とは関係なくこの方法を適用するということができないことである。つまり、それぞれ異なる材料がそれぞれ異なる送り回転角を必要とし、また送り回転角は、外気温にも依存し得る。したがって、最初の段階で、トルクは、工具を用いて、所定のトルクに達するまで検出されるが、要求される回転角送りは、外気温または他の周辺条件とは関係なく設定されている。ゆえに、たとえば180°の送りが要求されるとき、螺合部が依然としてねじ山に汚染粒子を有し、組付け温度が-20℃である場合、最終的に、汚れのないねじ山を有する同一の螺合部で30℃の組付け温度の場合よりも極めて高いトルクが発生することになる。この場合、これらの全ての状況が、ねじ山または螺合部において所望されない応力をもたらし、この場合、その応力によって、故障または漏れを招いてしまう。
【0005】
国際公開第2016/062915号は、前述の、従来技術における方法を開示しており、ここでは、方法は、管路の結合に適用される。
【0006】
本発明の課題は、全締付け工程中に継続的にねじ込み結合部の締付けをチェックして、これによって、誤ったトルクが加えられることに基づいて所望されない応力が生じるリスクが回避される、方法を提供することである。さらに、装置が、簡単な操作を保証するとともに組付けエラーを回避するべきである。
【0007】
この課題は、本発明によれば、シール要素を圧縮する開始点と閾値とを、ねじ込み結合部の当接および締付け中に、発生する回転角とトルクとの関係の変化に基づいて確定することによって解決される。
【0008】
本発明に係る、ねじ込み結合部を締め付ける、好ましくは管路構成要素結合を結合する方法において、締め付けられるべきねじ込み結合部は、雄ねじ山を有する結合要素ユニットと、雌ねじ山を有する結合要素ユニットと、これらの間に配置されたシール要素とを有し、方法は、以下のステップを有する。
・シール要素に接触し、シール要素を圧縮する開始点に達するまで、雌ねじ山を有する結合要素ユニットと雄ねじ山を有する結合要素ユニットとを接近させる、ステップ。シール要素を圧縮する開始点は、対向する結合要素ユニットがシール要素に接触すると始まる。シール要素は、複数の結合要素ユニットのうちの少なくとも1つの結合要素ユニットの表面にまたは内側に配置されていて、結合要素ユニットを当接させるまたは締め合わせるとき、他方のまたは対向する結合要素ユニットに接触させられる。圧縮の開始点に達するまで、ほぼ0Nmに相当するトルクが消費され、ねじ山に発生する摩擦だけが、結合要素ユニットを相互に締め付けるために僅かなトルクを必要とする。
・圧縮の開始点に到達してから、雌ねじ山を有する結合要素ユニットと雄ねじ山を有する結合要素ユニットとの締付けが始まり、所定の閾値に至るまで続き、閾値では、実行される回転角に対して消費されるトルクが大きく増加する、ステップ。
【0009】
一方の結合要素ユニットは、好ましくは、雄ねじ山が配置されたフランジまたは管片を有し、雌ねじ山を有する他方の結合ユニットは、同じくフランジまたは管片を有し、この場合、別体に構成されフランジに配置されたナットが、雌ねじ山を有する。もちろん、雌ねじ山またはナットがフランジに固定されているような、結合ユニットの他の構成も考えられる。シール要素を圧縮する開始点および閾値は、ねじ込み結合部の締付け中に回転角とトルクとの関係が大きく変化する点である。回転角とトルクとの関係は、すでに述べたように、圧縮の開始点に到達するまではほぼ0Nm/度である。したがって、トルク-回転角線図では、曲線において、ねじ込み結合部の当接がほぼ無限の急峻な勾配を有することを検出することができる。当接は、圧縮の開始点まで一定に経過し、その際、回転角/トルクの関係は、トルク-回転角線図における曲線の勾配に対応する。圧縮の開始点に達すると、曲線の勾配が変化し、ひいては回転角とトルクと関係が変化する。そこから、曲線は、締付け中により小さな勾配で、つまりより高いトルクで、閾値に達するまで経過する。閾値では、勾配が、つまり回転角とトルクの関係が再び大きく変化する。曲線は、新たになだらかになり、つまり実行された回転角に対してトルクが大幅に増加し、したがって勾配は、ほぼ0にまで低下する。締付け動作は、閾値に到達すると終了している。
【0010】
シール要素を圧縮する開始点に達するまで、トルクがほとんど消費されず、したがって、トルク-回転角線図における曲線の勾配が、無限に急峻な勾配で経過する、またはy方向の回転角軸に対して略平行に経過することが有利であると分かった。当接中に存在する低いトルクは、ねじ山における摩擦に基づいて発生し、その際、摩擦は、本発明に係る方法では無視することができるほど小さい。ここでは、シール要素と他の結合要素ユニットとの接触によって発生する抵抗が存在してはじめてより高いトルクが発生する。
【0011】
シール要素を圧縮する開始点に達してから、トルクが加えられ、その際、回転角とトルクの関係が、シール要素を圧縮する開始点に達してから大きく変化する、または勾配が大幅に低下することが有利であると分かった。
【0012】
好ましくは、回転角とトルクとの関係は、シール要素を圧縮する開始点に達してから閾値に至るまで略直線的に経過する。つまり、トルクは、消費される回転角に対して略直線的に増加し、その際、勾配または関係は、さまざまな要因および特性に、たとえば結合要素ユニットおよびシールの材料、組付け温度、汚れ具合、組付け期間などに依存する。
【0013】
閾値に達してからの回転角とトルクとの関係は、閾値に達する前の回転角とトルクとの関係と比べて変化し、その際、閾値に達してからのトルク-回転角線図における曲線の勾配は、閾値に達する前の曲線の経過と比べて大きく低下することが、方法の好ましい構成であると分かった。閾値から、曲線は、ほぼ0である勾配で経過する。というのも、消費されるべきトルクが、回転角に対して極めて大きくなっているからである。
【0014】
回転角とトルクとの関係をアルゴリズムを用いて求めることが、好適であると分かった。これによって、ねじ込み結合部の締付け動作中に、回転角とトルクとの関係に変化が発生しているかどうか求めることができ、結合部が十分に締め付けられている、および圧縮の開始点に達しているという相応の指摘を出力するまたは通知することができる。求められた締付け工程のデータが、たとえばクラウドに相応に収集されると有利であり、これによって、多数の経験値が記録され、本発明に係る装置の事前調整の相応のデータを用いてアルゴリズムを最適化することができる。
【0015】
回転角とトルクとの関係を求めるためのアルゴリズムは、好ましくは以下のように進行する:回転角(DW)/トルク(DM)の確定された比が、先行する測定値の比に対してまたは先行する測定値の比の平均値に対して少なくとも±10%、好ましくは±20%相違するときに、曲線の変向点ひいてはシール要素を圧縮する開始点または閾値の到達を検出する。
【0016】
この課題は、本発明によれば、フックインサートが、コーディング情報を有し、フックインサートの連結時には、コーディング情報が、基体における識別装置によって検出され、螺合を特定するデータが自動で装置において調整されることによっても解決される。
【0017】
本発明に係る、管路構成要素のねじ込み結合部を締め付ける装置は、基体を備え、基体内には、生じているまたは使用されるトルクを求めるためのトルク測定センサと、位置および位置変化を求めるためのセンサ、好ましくは回転角を求めるためのジャイロスコープと、識別装置と、螺合を特定するデータを格納するためのメモリ要素と、検出されたデータを伝送するための送信器とが配置されている。装置は、さらにフックインサートを備え、フックインサートは、交換可能に基体に配置されており、フックインサートは、コーディング情報を有し、フックインサートの連結時にはコーディング情報が、基体における識別装置によって検出され、螺合を特定するデータが自動で装置において受信される。
【0018】
フックインサートにおけるコーディング情報によって、装置は、自動で、コーディング情報に格納された値に合わせて調整される。したがって、たとえば特定の螺合寸法に対する相応の値が、装置において、自動で事前調整され、これによって、続いてオペレータに、自動で、いつねじ込み結合部が十分に締め付けられるか伝えられる。オペレータ自身が値を装置に入力しなくてよく、全てが自動で推移することによって、組付けエラーを回避することができる。
【0019】
装置が、地理学的位置を求めるための測定機器、好ましくはGPS受信器を有することが、有利であると分かった。これによって、どこに螺合部が組み付けられたか正確に求めることができ、これらのデータは、相応の敷地計画に伝送することができ、これによって、どこにどのねじ込み結合部が存在するのか後で正確に把握することも可能である。というのも、多くの場合、そのような結合部は、道路の下に埋め込まれている、またはアクセスが困難である数メートルの高さの天井に位置し、そのような結合部がどの程度正しく組み付けられたまたは正しく組み付けられたどうかは、多大な手間をかけてのみトレース可能であるからである。さらに、ねじ込み結合部に、チップまたはその他のコードが配置されてもよく、これによって、チップまたはコードも装置を介して読み取られ、ねじ込み結合部のまたはそれ以外にフィッティングのデータが敷地計画に記録され、組付けデータにより管理される。このことは、保守作業およびメンテナンス作業時に役立つ。というのも、道路舗装が剥がされるまたは生産設備が停止させられる前に、なにがどのように構築されたか既知であるからである。これらのデータは、中央で収集して、適切に再び呼び出すことができる。様々なデータの中央収集によって、さまざまな情報をリンクして、どのようにしてオペレータにより使用されるのか、表示機器に表示することもできる。
【0020】
考えられる別の形態として、装置が、材料識別のためのセンサ、好ましくはカラーセンサを有し、これによって、ねじ込み結合部の色またはねじ込み結合部のプラスチックを特定することができる。これによって、フックインサートのコーディング情報に関連して、どのねじ込み結合部が締め付けられるのか装置に正確に設定される。というのも、コーディング情報が、螺合部の寸法設定と、螺合されるべきねじ込み結合部の別のデータおよび色とを含み、どのプラスチックがねじ込み結合部を有するのか装置が識別することができるからである。装置のメモリに格納されたこれら全てのデータは、回転角に依存して必要なトルクを規定するのに用いられる。もちろん、これらのデータを中央で収集して、本発明に係る装置を用いて、自動で呼び出すこともできる。
【0021】
代替的に、フックインサートが、螺合部の材料に対応付けられた様々な色を有してもよく、これによって、フックインサートにおけるコーディング情報やこれらのデータも装置に伝送され、オペレータは、対応する色を有するフックインサートの選択時に、すでに、ねじ込み結合部の材料またはプラスチックの対応付けを行う。
【0022】
オペレータは、音響的な、触覚的な、または視覚的な信号を装置から受け取る。信号は、オペレータに、求められるべき点、たとえば圧縮の開始点および閾値に達したことを示す。完全な組付けまたはトルク-回転角線図における測定曲線は、スマートフォン、タブレット、コンピュータまたはその他の視覚媒体に伝送可能でありかつ記憶可能であるように、記録されかつ記憶される。
【0023】
考えられる全ての構成は、自由に相互に組合わせ可能であり、方法の特徴は、装置にも当てはまり、またその逆も当てはまる。
【0024】
本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。本発明は、実施の形態だけに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】螺合部を締め付ける経過が記入された、トルク-回転角線図を示す。
【
図2】本発明に係る方法によって締め付けられる、例示的なねじ込み結合部を示す。
【
図3】本発明に係る方法によって締め付けられる、例示的なねじ込み結合部を示す。
【0026】
図1に示された線図は、トルク-回転角線図で、螺合部の締付けの推移を示している。圧縮Aの開始点までの下側の範囲には、略垂直のまたはY軸に対して略平行な経過が良好に認められる。このことは、シール要素7に接触するまで結合要素ユニット6を当接させるために、抵抗が必要とされない、またはねじ山に基づいて発生する抵抗しか必要とされないので、そこにはトルクがほとんど発生しないことを示している。もちろん、
図2に示されたものとは別の、ガスケットなどのシール要素またはその他のものが考えられるだけではなく、ねじ込み結合部の別の構造形態を用いてもよい。ここで別体のナット8内に形成された雌ねじ山を有する結合要素ユニット6が、フランジ9の端面を介して、シール7に接触すると直ちに、抵抗が増加し、圧縮の開始点Aから看取されるように、トルクDMは、作動させられる回転角DWに対応して増加する。したがって、そこから、増加する回転角に対して一定比率の、トルクの好ましくは直線的な増加が生じる。したがって、圧縮の開始点Aに達すると、曲線の勾配は大幅に低下する。閾値Bに達すると、再びトルクと回転角との関係または曲線の勾配の変化が起こる。というのも、その点で、一方の結合要素ユニットが、他方の結合要素ユニットに接触し、開始時のようにシール要素7だけではなく、一方の結合要素ユニット5の端面も、他方の結合要素ユニット6の別の端面に当接するからである。そこから、トルクDMの著しい増加が記録されており、その際、組付は、通常、閾値Bの到達時に終了している。
図3には、本発明に係る方法を用いて締め付けることができる、ねじ込み結合部4の代替的な形態が示されており、この形態では、雌ねじ山は、フランジにおける別体に構成されたナットに設けられているのではなく、雄ねじ山を有する結合要素ユニット5の場合のようにフランジに一体に形成されている。ねじ込み結合部の考えられる構成の、この図示された実施の形態は、限定的ではなく、むしろ図示のねじ込み結合部4は、多くのうちの考えられる形態として表したものである。というのも、本発明は、ねじ込み結合部4を締め付ける方法および相応の装置1に関し、ねじ込み結合部4自体の具体的な構成に関しないからである。
【0027】
図4に略示された装置1は、単に装置1の大まかな印象を与えているだけであり、ハウジング2は、フックインサート3が適用可能であることを表している。表示装置は、操作に役立つはずであるが、ディスプレイをスマートフォンに置き換えて、すべての情報を同時にそこに表示可能であることも考えられる。データ伝送は、無線で行っても有線で行ってもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 装置
2 ハウジング
3 フックインサート
4 ねじ込み結合部
5 結合要素ユニット、雄ねじ山
6 結合要素ユニット、雌ねじ山
7 シール
8 ナット
9 フランジ/管片
A 圧縮の開始点
B 閾値
DM トルク
DW 回転角