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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240617BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
H01L21/304 643C
H01L21/304 643A
H01L21/304 647Z
H01L21/304 648G
H01L21/78 M
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019181012
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021057503
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(74)【代理人】
【識別番号】110000866
【氏名又は名称】特許業務法人三澤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 絵美
(72)【発明者】
【氏名】亀井 健吾
(72)【発明者】
【氏名】窪田 俊也
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-146352(JP,A)
【文献】特開2016-066748(JP,A)
【文献】特開2019-121675(JP,A)
【文献】特開2013-115234(JP,A)
【文献】特開2014-165281(JP,A)
【文献】特開2002-261068(JP,A)
【文献】特開2010-050226(JP,A)
【文献】特開平09-217183(JP,A)
【文献】特開2021-057501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304-21/308
H01L 21/301
H01L 21/02 -21/033
B08B 1/00 -13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の周囲を囲むリングと、前記基板の下面及び前記リングの下面に粘着するダイシングテープとを有する処理対象物を支持するテーブルと、
前記テーブルにより支持された前記処理対象物に、前記基板上に存在する接着物を処理するための処理液を供給する処理液供給部と、
前記テーブルを回転させる回転機構と、
を備え、
前記処理液供給部は、
前記テーブルにより支持された前記処理対象物に前記処理液を吐出するノズルと、
前記テーブルにより支持された前記処理対象物の内側から外側に向かって移動しつつ前記処理液を吐出する移動ノズルと、
を有し、
前記移動ノズルは、前記基板の上面に前記ノズルから吐出された前記処理液の液膜が形成された後、前記処理液に前記接着物が溶融して前記基板から前記接着物が剥がれて浮遊する、予め設定された所定のタイミングで、前記移動ノズルを前記処理対象物の内側から外側に向かう移動及び前記処理液の吐出を開始する基板処理装置。
【請求項2】
基板と、前記基板の周囲を囲むリングと、前記基板の下面及び前記リングの下面に粘着するダイシングテープとを有する処理対象物を支持するテーブルと、
前記テーブルにより支持された前記処理対象物に、前記基板上に存在する接着物を処理するための処理液を供給する処理液供給部と、
前記テーブルを回転させる回転機構と、
を備え、
前記処理液供給部は、
前記テーブルにより支持された前記処理対象物に前記処理液を吐出するノズルと、
前記テーブルにより支持された前記処理対象物の内側から外側に向かって前記処理液を吐出する角度可変ノズルと、
を有し、
前記角度可変ノズルは、前記基板の上面に前記ノズルから吐出された前記処理液の液膜が形成された後、前記処理液に前記接着物が溶融して前記基板から前記接着物が剥がれて浮遊する、予め設定された所定のタイミングで、前記処理液の吐出を開始する基板処理装置。
【請求項3】
前記処理液の液膜が形成されたときの前記テーブルの回転数よりも前記テーブルの回転数を上げるとき、前記移動ノズルは、前記処理対象物の内側から外側に向かう移動及び前記処理液の吐出を開始する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記処理液の液膜が形成されたときの前記テーブルの回転数よりも前記テーブルの回転数を上げるとき、前記角度可変ノズルは、前記処理液の吐出を開始する請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記テーブルにより支持された前記処理対象物の前記基板と前記リングとの間に、前記処理液に混和せず前記処理液よりも比重が大きい液体を供給する液供給部を備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
基板と、前記基板の周囲を囲むリングと、前記基板の下面及び前記リングの下面に粘着するダイシングテープとを有する処理対象物をテーブルにより支持する工程と、
前記テーブルにより支持された前記処理対象物に、前記基板上に存在する接着物を処理するための処理液を処理液供給部により供給する工程と、
を有し、
前記処理液供給部は、
前記テーブルにより支持された前記処理対象物に前記処理液を吐出するノズルと、
前記テーブルにより支持された前記処理対象物の内側から外側に向かって移動しつつ前記処理液を吐出する移動ノズルと、
を有し、
前記移動ノズルは、前記基板の上面に前記ノズルから吐出された前記処理液の液膜が形成された後、前記処理液に前記接着物が溶融して前記基板から前記接着物が剥がれて浮遊する、予め設定された所定のタイミングで、前記処理対象物の内側から外側に向かう移動及び前記処理液の吐出を開始する基板処理方法。
【請求項7】
基板と、前記基板の周囲を囲むリングと、前記基板の下面及び前記リングの下面に粘着するダイシングテープとを有する処理対象物をテーブルにより支持する工程と、
前記テーブルにより支持された前記処理対象物に、前記基板上に存在する接着物を処理するための処理液を処理液供給部により供給する工程と、
を有し、
前記処理液供給部は、
前記テーブルにより支持された前記処理対象物に前記処理液を吐出するノズルと、
前記テーブルにより支持された前記処理対象物の内側から外側に向かって前記処理液を吐出する角度可変ノズルと、
を有し、
前記角度可変ノズルは、前記基板の上面に前記ノズルから吐出された前記処理液の液膜が形成された後、前記処理液に前記接着物が溶融して前記基板から前記接着物が剥がれて浮遊する、予め設定された所定のタイミングで、前記処理液の吐出を開始する基板処理方法
【請求項8】
前記テーブルにより支持された前記処理対象物の前記基板と前記リングとの間に、前記処理液に混和せず前記処理液よりも比重が大きい液体を供給する液供給部を備える請求項6または7記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの更なる薄型化やコストダウンが求められている。そこで、半導体デバイスを支持する基板上において、半導体デバイスを一括で製造することが行われてきている。半導体デバイスを支持する基板(支持基板)として、例えば、半導体用ウェーハや液晶パネル用ガラス基板を用いて、配線形成やチップ載置、モールド封止などの各種処理が支持基板の接着層上に行われ、接着層上に半導体デバイスが形成される。その後、形成された半導体デバイスから支持基板が剥離される。支持基板の剥離工程では、例えば、半導体デバイスと支持基板との間の接着層をレーザ照射により劣化させ、半導体デバイスから支持基板を剥離する。
【0003】
剥離工程が行われるのに先立ち、最終的に半導体デバイスを個々のチップに切り離すために、支持基板と反対の半導体デバイス側の面に粘着テープであるダイシングテープが貼り付けられる。貼り付けられるダイシングテープには、搬送や支持を行うためのリングが、ダイシングテープ上の支持基板及び半導体デバイスを囲むようにダイシングテープに貼り付けられる。したがって、ダイシングテープの粘着面(粘着性を有する面)の中央領域が支持基板及び半導体デバイスにより覆われ、ダイシングテープの粘着面の外縁領域が環状のリングにより覆われる。ダイシングテープの粘着面の中央領域と外縁領域の間の環状の領域(半導体デバイスとリングとの間のダイシングテープの粘着面)は露出する。
【0004】
剥離工程により半導体デバイスから支持基板を剥離したあとは、ダイシングテープ上に半導体デバイスのみが貼り付いた状態となる。また、支持基板上に半導体デバイスを形成するので、一括に形成される半導体デバイスは支持基板と同様の外形で形成される。すなわち、半導体用ウェーハを支持基板とした場合、半導体デバイスの外形は半導体ウェーハ同様の円盤状となる。以降、円盤状に形成された半導体デバイスを例に説明する。また、半導体デバイスを単にデバイス(あるいは基板)と称する。
【0005】
デバイスから支持基板が剥離された際には、接着層である接着物(例えば、カーボン)がデバイスに残留する。このため、残留した接着物をデバイスから除去する必要が生じる。接着物の除去工程では、例えば、複数のチャックピン(固定部材)によりリングを上から押え、デバイスをリング及びダイシングテープと共にテーブルに固定する。そして、デバイスの中心を回転中心としてデバイスをダイシングテープ及びリングと共に水平面内で回転させ、デバイスの中心付近に溶剤などの洗浄液(処理液の一例)を供給し、デバイスの中心付近に供給した洗浄液をデバイス全面(周方向)に広げるとともにデバイスから排出し、デバイスから接着物を除去する。
【0006】
デバイスから除去された接着物は洗浄液と共にデバイスから排出されるが、排出された接着物がチャックピンあるいはデバイスとリングとの間のダイシングテープの粘着面に付着することがある。接着物が付着すると、搬送工程やダイシング工程などにおいて、チャックピン又はダイシングテープから離れてデバイス(基板)に付着して、デバイスが汚染されるため、デバイス品質、すなわち基板品質が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6004100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、基板品質を向上させることができる基板処理装置及び基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態に係る基板処理装置は、
基板と、前記基板の周囲を囲むリングと、前記基板の下面及び前記リングの下面に粘着するダイシングテープとを有する処理対象物を支持するテーブルと、
前記テーブルにより支持された前記処理対象物に、前記基板上に存在する接着物を処理するための処理液を供給する処理液供給部と、
前記テーブルを回転させる回転機構と、
を備え、
前記処理液供給部は、
前記テーブルにより支持された前記処理対象物に前記処理液を吐出するノズルと、
前記テーブルにより支持された前記処理対象物の内側から外側に向かって移動しつつ前記処理液を吐出する移動ノズルと、
を有し、
前記移動ノズルは、前記基板の上面に前記ノズルから吐出された前記処理液の液膜が形成された後、前記処理液に前記接着物が溶融して前記基板から前記接着物が剥がれて浮遊する、予め設定された所定のタイミングで、前記移動ノズルを前記処理対象物の内側から外側に向かう移動及び前記処理液の吐出を開始する。
【0010】
本発明の実施形態に係る基板処理方法は、
基板と、前記基板の周囲を囲むリングと、前記基板の下面及び前記リングの下面に粘着するダイシングテープとを有する処理対象物をテーブルにより支持する工程と、
前記テーブルにより支持された前記処理対象物に、前記基板上に存在する接着物を処理するための処理液を処理液供給部により供給する工程と、
を有し、
前記処理液供給部は、
前記テーブルにより支持された前記処理対象物に前記処理液を吐出するノズルと、
前記テーブルにより支持された前記処理対象物の内側から外側に向かって移動しつつ前記処理液を吐出する移動ノズルと、
を有し、
前記移動ノズルは、前記基板の上面に前記ノズルから吐出された前記処理液の液膜が形成された後、前記処理液に前記接着物が溶融して前記基板から前記接着物が剥がれて浮遊する、予め設定された所定のタイミングで、前記処理対象物の内側から外側に向かう移動及び前記処理液の吐出を開始する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、基板品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る基板処理装置の一部を示す平面図である。
図3】第1の実施形態に係る基板処理工程を説明するための図である。
図4】第1の実施形態に係る液供給を説明するための図である。
図5】第1の実施形態に係る処理液供給を説明するための第1の図である。
図6】第1の実施形態に係る処理液供給を説明するための第2の図である。
図7】第1の実施形態に係る移動ノズルの移動に関する変形例を説明するための図である。
図8】第2の実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
第1の実施形態について図1から図7を参照して説明する。
【0014】
(基本構成)
図1に示すように、第1の実施形態に係る基板処理装置10は、テーブル20と、回転機構(回転駆動部)30と、処理液供給部40と、液供給部50と、制御部60とを備えている。
【0015】
処理対象物Wは、図1及び図2に示すように、基板(例えば、デバイス)W1と、リングW2と、ダイシングテープW3とを有している。基板W1は、ダイシングテープW3の中央に貼り付けられる。リングW2は、環状に形成されており、ダイシングテープW3上の基板W1の周囲を囲むようにダイシングテープW3に貼り付けられる。したがって、ダイシングテープW3の粘着面の中央領域が基板W1により覆われ、ダイシングテープW3の粘着面の外縁領域が環状のリングW2により覆われている。このため、ダイシングテープW3の粘着面の中央領域と外縁領域の間の環状の領域、すなわち基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の上面は露出している。
【0016】
テーブル20は、本体21と、支持体22と、複数のチャックピン23とを有している。このテーブル20は、カップ(不図示)により囲われており、カップ内の略中央に位置付けられ、水平面内で回転可能に回転機構30上に設けられている。テーブル20は、例えば、スピンテーブルと呼ばれる。
【0017】
本体21は、中央が円柱状に盛り上がる凸形状に形成されている。この本体21の凸部の上面は、処理対象物Wの基板W1の下面にダイシングテープW3を介して対向した状態で基板W1を支持する。支持体22は、環状に形成されており、本体21の凸部(突出部)を囲むように本体21の環状の平坦部に設けられている。この支持体22は、処理対象物WのリングW2の下面にダイシングテープW3を介して対向した状態でリングW2を支持する。各チャックピン23は、それぞれ偏心回転可能に本体21の環状の平坦部に設けられている。これらのチャックピン23は、それぞれ同期して偏心回転することで、処理対象物WのリングW2の外周面を内側に押しつつ、処理対象物Wを水平状態に保持する。このとき、処理対象物Wの中心は、テーブル20の回転軸上に位置付けられる。
【0018】
このテーブル20は、本体21及び支持体22により処理対象物Wを支持し、各チャックピン23により本体21及び支持体22に固定して、処理対象物WのリングW2の上面の高さが基板W1の上面の高さより低くなるように(例えば2mm程度の数mm低くなるように)処理対象物Wを支持する。
【0019】
回転機構30は、テーブル20を支持するように設けられ、そのテーブル20を水平面(平面の一例)内で回転させるように構成されている。この回転機構30は、回転軸31と、モータ32とを有している。回転軸31の一端はテーブル20の下方の中央に連結されており、回転軸31の他端はモータ32に連結されている。モータ32はその回転軸31を回転させる。回転機構30は、モータ32の駆動により回転軸31を介してテーブル20を水平面内で回転させる。
【0020】
処理液供給部40は、ノズル41と、複数の移動ノズル42とを有している。図2の例では、六本の移動ノズル42が設けられているが、移動ノズル42の数は特に限定されるものではない。処理液供給部40は、テーブル20上の処理対象物Wの基板W1の中央付近の上方(例えば、基板W1の中央付近の直上)にノズル41を位置付け、テーブル20上の処理対象物Wの基板W1の中央付近にノズル41から第1の処理液(例えば、p-メンタンやシクロペンタノンなどの溶剤)や第2の処理液(例えば、IPA:イソプロピルアルコール)を供給する。また、処理液供給部40は、ノズル41の周囲に各移動ノズル42を位置付け、その位置からテーブル20上の処理対象物Wの外側に向けて各移動ノズル42を移動させつつ各移動ノズル42から第1の処理液を吐出させ、テーブル20上の処理対象物Wに第1の処理液を供給する。なお、第1の処理液は、例えば、DIW(超純水)と非相溶性の液体であり、基板W1に残留した接着物を基板W1から剥離するための液体である。
【0021】
ノズル41は、例えば、ノズル移動機構(不図示)によりテーブル20の上方をテーブル20上の処理対象物Wに沿って水平方向に移動可能に形成されている。ノズル移動機構としては、例えば、アームを有する揺動機構やリニアガイドなどが用いられる。このノズル41は、テーブル20上の処理対象物Wの中央付近に対向し、停止した状態で処理対象物Wの中央付近(中央を含む中央領域)に向けて処理液を吐出する。ノズル41には、基板処理装置10外の二つのタンク(不図示)から二種類の処理液(第1の処理液及び第2の処理液)が供給される。ノズル41から吐出される第1の処理液の吐出量は調整弁41aの開度調整により変更され、ノズル41から吐出される第2の処理液の吐出量は調整弁41bの開度調整により変更される。
【0022】
各移動ノズル42は、ノズル41の周囲に円環状に位置付けられ(図2参照)、例えば、ノズル移動機構(不図示)によりそれぞれテーブル20の上方をテーブル20上の処理対象物Wに沿って水平方向に移動可能に形成されている。ノズル移動機構としては、例えば、複数のリニアガイドが用いられる。各移動ノズル42は、それぞれテーブル20上の処理対象物Wの内側から外側に向かって、例えば、テーブル20上の処理対象物Wの中央付近から外周付近まで放射状に移動しつつ(図2参照)、処理対象物Wに向けて第1の処理液を吐出する。各移動ノズル42には、それぞれ基板処理装置10外の一つのタンク(不図示)から第1の処理液が供給される。各移動ノズル42からそれぞれ吐出される第1の処理液の吐出量は調整弁42aの開度調整により変更される。なお、移動ノズル42が移動する速さは、基板W1から接着物を排出させるのに最適な速さに設定されている。この最適な速さは、予め実験などで求められている。
【0023】
液供給部50は、第1のノズル51と、第2のノズル52とを有している。この液供給部50は、テーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面の上方(例えば、リングW2の上面の直上)に第1のノズル51を位置付け、そのリングW2の上面に第1のノズル51から液体(例えば、DIW)を供給する。また、液供給部50は、テーブル20上の処理対象物Wの基板W1の外周端部の上方(例えば、基板W1の外周面の直上)に第2のノズル52を位置付け、その基板W1の外周端部に第2のノズル52から液体(例えば、DIW)を供給する。この液体は、第1の処理液に混和せず第1の処理液よりも比重が大きい(第1の処理液よりも密度が大きい)ものである。
【0024】
第1のノズル51及び第2のノズル52は、例えば、それぞれノズル移動機構(不図示)によりテーブル20の上方をテーブル20上の処理対象物Wに沿って水平方向に移動可能に形成されている。ノズル移動機構としては、例えば、アームを有する揺動機構やリニアガイドなどが用いられる。第1のノズル51は、テーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面に対向し、その上面に向けて液体を吐出する。第2のノズル52は、テーブル20上の処理対象物Wの基板W1の外周端部に対向し、その外周端部に向けて液体を吐出する。第1のノズル51及び第2のノズル52の水平離間距離は、例えば200mm程度である。これらの第1のノズル51及び第2のノズル52には、基板処理装置10外のタンク(不図示)から液体が供給される。第1のノズル51から吐出される液体の吐出量は調整弁51aの開度調整により変更され、第2のノズル52から吐出される液体の吐出量は調整弁52aの開度調整により変更される。
【0025】
制御部60は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータと、基板処理に関する基板処理情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部(いずれも不図示)を具備している。この制御部60は、基板処理情報や各種プログラムに基づいて、テーブル20の各チャックピン23による処理対象物保持動作、回転機構30によるテーブル20の回転動作、処理液供給部40による処理液供給動作、液供給部50による液供給動作などの制御を行う。例えば、モータ32は制御部60に電気的に接続されており、その駆動は制御部60により制御される。また、各調整弁41a、41b、42a、51a、52aは、例えば、電磁弁であり、制御部60に電気的に接続されており、その駆動は制御部60により制御される。
【0026】
(基板処理工程)
次に、前述の基板処理装置10が行う基板処理工程の流れについて説明する。この基板処理工程は、処理対象物Wの基板W1上に残留した接着物を除去する工程である。なお、下記の各種数値はあくまでも例示である。
【0027】
図3に示すように、例えば、ステップ1から6までの工程が連続して実行される。第1の処理液としては溶剤(洗浄液の一例)が用いられ、第2の処理液としてはIPAが用いられ、液体としてはDIWが用いられる。なお、処理対象物Wは各チャックピン23によりテーブル20に固定され、基板処理工程中、テーブル20は回転している。テーブル20の回転数や処理時間は制御部60により変更される。また、各ノズル41、42、51、52の個々の吐出量は、各調整弁41a、41b、42a、51a、51bが制御部60により制御されて変更される。
【0028】
ステップ1では、DIWが第1のノズル51から吐出され、回転するテーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面に供給される。このステップ1では、第1のノズル51から吐出されるDIWの吐出量は380ml/minであり、テーブル20の回転数(第1の回転数)は20rpmであり、処理時間(吐出時間)は10sである。
【0029】
DIWの吐出量はチャックピン23の上部及びチャックピン23の周囲を被液できる量であり、基板W1上には供給されない量であることが望ましい。また、テーブル20の回転数(回転速度)は、DIWを液膜の状態で保持できる回転速度に設定されている。DIWは、回転するテーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面に到達し、リングW2の上面に広がる。このとき、リングW2は回転しており、リングW2の上面に供給されたDIWは、リングW2の外側及び内側に広がる。この時のテーブル20の単位時間当たりの回転数、すなわち、処理対象物WのリングW2の単位時間当たりの回転数(第1の回転数)は、リングW2の上面における遠心力の働きが弱い回転数であるため、第1のノズル51から吐出されて処理対象物WのリングW2の上面に到達したDIWが、回転するテーブル20により支持された処理対象物Wの基板W1とリングW2との間に流れるように設定されている。また、処理時間は、設定されたDIWの吐出量により基板W1とリングW2の間を被液するのに要する時間に設定されている。例えば、処理時間は、設定されたDIWの吐出量が380ml/minとすると10sである。DIWの吐出量、テーブル20の回転数及び処理時間は、予め実験などで求められ設定されている。
【0030】
ステップ1において、図4に示すように、第1のノズル51から吐出されたDIW(図4中のクロスハッチングによる塗りつぶし領域により示す)は、回転するテーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面に到達し、リングW2の外側及びリングW2の内側(基板W1側)に広がる。このため、リングW2の内側に広がるDIWは、基板W1とリングW2との間に流れ込み、基板W1、リングW2及びダイシングテープW3により囲まれる環状の空間に溜まる。これにより、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面にはDIWの液膜が形成され、また、リングW2の上面にもDIWの液膜が形成される。
【0031】
ステップ2では、溶剤がノズル41から吐出され、回転するテーブル20上の処理対象物Wの基板W1の中央付近に供給され、また、DIWが第1のノズル51から吐出され(ステップ1から継続)、回転するテーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面に供給される。このステップ2では、第1のノズル51から吐出されるDIWの吐出量は380ml/minであり、テーブル20の回転数(第1の回転数)は20rpmであり、処理時間(吐出時間)は240sである。なお、ノズル41から吐出される溶剤の吐出量は480ml/minである(不図示)。
【0032】
テーブル20の回転数(回転速度)は、基板W1上に溶剤を液膜の状態で保持できる回転速度に設定されているため、接着物を溶剤に反応させやすくなる。処理時間は、溶剤が後述するレーザ吸収層を溶解するために要する時間に設定されている。溶剤の吐出量は、前述の設定された処理時間内に、レーザ吸収層を十分に溶かすことができる供給量に設定されている。テーブル20の回転数、処理時間及び溶剤の吐出量は、予め実験などで求められ設定されている。
【0033】
ステップ2において、図5に示すように、処理対象物Wの基板W1及びリングW2の間やリングW2の上面にDIWの液膜が存在した状態で、ノズル41から吐出された溶剤(図5中のドットによる塗りつぶし領域により示す)は、回転するテーブル20上の処理対象物Wの基板W1の中央付近に到達し、処理対象物Wの回転による遠心力によって基板W1の上面の全体に広がる。基板W1の上面には溶剤の液膜が形成され、基板W1上に存在する接着物(図4中の基板W1上の太黒線により示す)が溶剤によって徐々に溶融される。ステップ2は、基板W1上の接着物を溶融するためのステップである。接着物は溶融し、基板W1から剥がれる。基板W1から剥がれた接着物は、基板W1上の溶剤の液膜に浮遊する。なお、基板W1上の接着物は、溶融の進行が速い部分から先に剥がれていき、基板W1上の溶剤の液膜に浮遊することになる。
【0034】
ここで、例えば、接着物は、レーザ吸収層が基板W1上に積層され、基板W1上のレーザ吸収層上にレーザ反応層が積層されて構成されている。基板W1側のレーザ吸収層が溶剤により溶かされ、接着物は基板W1から剥がされて除去される。支持基板の剥離工程前において、デバイス(基板W1)は接着層を介して支持基板に支持されている。この接着層は2層構造(レーザ反応層とレーザ吸収層)である。支持基板との剥離時は、支持基板側からレーザを照射すると、レーザ光により反応層が破壊される。レーザ吸収層によりレーザ光は、吸収されてデバイス側には影響を与えないようにしている。レーザ反応層が破壊されると、支持基板を剥離することができる。デバイス側には、破壊されたレーザ反応層及びレーザ吸収層、すなわち、接着層が残る状態になる。デバイスは破壊された接着層の上部(レーザ反応層)が上面で露出した状態でダイシングテープW3に支持される状態となる。第1の処理液である溶剤は、この2層の接着層にうち、レーザ吸収層を溶解させ、レーザ吸収層の上に形成するレーザ反応層ごと一緒に除去する。
【0035】
また、ステップ2において、第1のノズル51から吐出されたDIWは、回転するテーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面に向けて進行するが、基板W1の上面から流れてくる溶剤に混和することなく、リングW2の上面に到達してリングW2の外側及び内側に広がる。DIWは、溶剤に混和せず溶剤よりも比重が大きい液体である。リングW2の内側に広がるDIWは、基板W1とリングW2との間に流れ込み、基板W1、リングW2及びダイシングテープW3により囲まれる空間に溜まる。これにより、基板W1及びリングW2の間にはDIWの液膜が維持され、また、リングW2の周囲にもDIWの液膜が維持される。なお、上述したようにDIWは、溶剤に混和せず溶剤よりも比重が大きいものである。そのため、基板W1の上面から排出された溶剤は、基板W1の上面から基板W1とリングW2の間に形成されるDIWに流れ込んだとき、基板W1とリングW2との間に形成されるDIWの液膜と混和せず、DIWの液膜の上を流れることになる(図5参照)。
【0036】
通常、ステップ2では、基板W1から除去された接着物は、基板W1上の溶剤の液膜に浮遊して留まっているが、浮遊する接着物の中には、溶剤の流れによって溶剤と共に基板W1から排出されるものもある。つまり、基板W1上の溶剤の液膜に浮遊する接着物のうち一部は、基板W1及びリングW2の間やリングW2の上面に存在するDIWの液膜の上を流れる溶剤と共に流れ、処理対象物Wから排出される。このとき、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面がDIWの液膜により覆われている状態で、処理対象物Wから接着物が溶剤と共に排出されるので、接着物が基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面に付着することを抑えることができる。DIWが基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面を覆うこと及びDIWは溶剤と混和せず、かつ、比重が大きい関係であるため、溶剤と共に流れる接着物は、基板W1とリングW2の間においてDIWの液膜上を流れる。このため、接着物が基板W1とリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面に付着することを抑制できる。また、チャックピン23の周囲にDIWの液膜を形成することにより、溶剤と共に流れる接着物は、チャックピン23の周囲においてDIWの液膜上を流れるため、チャックピン23への接着物の付着を抑制できる。
【0037】
また、テーブル20は、リングW2の上面の高さが基板W1の上面の高さより低くなる位置で処理対象物Wを支持している。これにより、基板W1から除去された接着物がリングW2に引っかかり残留することが抑制されるので、接着物の排出効率を向上させることができる。なお、テーブル20が、リングW2の上面の高さが基板W1の上面の高さ以上となる位置で処理対象物Wを支持する場合、基板W1から除去された接着物がリングW2に引っかかり残留することがある。
【0038】
ステップ3では、溶剤がノズル41から吐出され(ステップ2から継続)、回転するテーブル20上の処理対象物Wの基板W1の中央付近に供給され、DIWが第1のノズル51から吐出され(ステップ2から継続)、回転するテーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面に供給され、さらに、DIWが第2のノズル52から吐出され、回転するテーブル20上の処理対象物Wの基板W1の外周端部に供給される。このステップ3では、第1のノズル51から吐出されるDIWの吐出量は380ml/minであり、第2のノズル52から吐出されるDIWの吐出量は200ml/minであり、テーブル20の回転数(第2の回転数)は400rpmであり、処理時間(吐出時間)は60sである。なお、ノズル41から吐出される溶剤の吐出量は480ml/minであり(不図示)、各移動ノズル42からそれぞれ吐出される溶剤の吐出量は一定である。
【0039】
DIWの吐出量は、テーブル20の回転数が第2の回転数に変更された際に、基板W1とリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面を被液できる吐出量に設定されている。テーブル20の回転数(回転速度)は、基板W1上で浮遊する接着物を基板W1外に排出させることができる速度に設定されている。処理時間は、設定されたテーブル20の回転数とともに、接着物が基板W1上からすべて排出される時間に設定されている。DIWの吐出量、テーブル20の回転数及び処理時間は、予め実験などで求められ設定されている。
【0040】
ステップ3において、図6に示すように、処理対象物Wの基板W1とリングW2との間にDIWの液膜が形成され続け、また、基板W1の上面には溶剤の液膜が形成され続ける。テーブル20の回転数が上がり(20→400rpm)、処理対象物W上の溶剤の液膜に浮遊する接着物は、基板W1及びリングW2の間やリングW2の上面に存在するDIWの液膜の上を流れる溶剤と共に流れ、処理対象物Wから流れ落ちる。加えて、各移動ノズル42は、接着物が処理対象物W上の溶剤の液膜に浮遊している状態で、テーブル20上の中央付近から外周付近まで放射状に移動しつつ(図2参照)、処理対象物Wに向けてそれぞれ第1の処理液を吐出し、処理対象物W上の溶剤の液膜に浮遊している接着物を処理対象物W上から掃き出す。ステップ3は、ステップ2で溶融して基板W1上の溶剤に浮遊する接着物を処理対象物Wから排出するためのステップである。各移動ノズル42が移動を開始するタイミング(移動開始タイミング)は、制御部60の記憶部に予め設定されている。例えば、移動開始タイミングは、ステップ3を開始するタイミングと同じタイミングに設定されている。このタイミングは、ステップ2において、基板W1から接着物のほぼ全てが剥がれて処理対象物W上の溶剤の液膜に浮遊しているタイミングである。
【0041】
なお、ステップ3において、ノズル41による溶剤の供給及び第1のノズル51によるDIWの供給は前述のステップ2と同じであるが、加えて、第2のノズル52によるDIWの供給が行われる。第2のノズル52から吐出されたDIWは、基板W1の上面から流れてくる溶剤に混和することなく、テーブル20上の処理対象物Wの基板W1の外周端部に到達し、基板W1とリングW2との間に流れ込み、基板W1、リングW2及びダイシングテープW3により囲まれる空間に溜まる。テーブル20の回転数が上がると(20→400rpm)、遠心力が働いて、第1のノズル51から吐出されたDIWが基板W1及びリングW2の間に流れ込み難くなり、ダイシングテープW3の露出面(粘着面)に形成される液膜が薄くなる。また、露出面の一部では、液膜が完全にない状態になる。ところが、第2のノズル52から吐出されたDIWが基板W1及びリングW2の間に供給され、基板W1及びリングW2の間のDIWの液膜の厚さ(膜厚)が維持されるので、溶剤の供給中、基板W1とリングW2との間のダイシングテープW3の粘着面はDIWの液膜により確実に覆われる。これにより、テーブル20の回転数を上げても、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面がDIWの液膜により覆われている状態となる。結果として、基板W1上の溶剤の液膜に浮遊する接着物は、基板W1基板W1及びリングW2の間やリングW2の上面に存在するDIWの液膜の上を流れる溶剤と共に流れ、処理対象物Wから接着物が溶剤と共に排出される。したがって、基板W1から除去された接着物が、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面に付着することを抑えることができる。
【0042】
前述したように、第1のノズル51による供給だけでは、DIWの液膜が薄くなる状態及び液膜が無くなる状態になるので、第2のノズル52により、更に液量をアシストすることでDIWの液膜の形成を維持するようにする。さらに、第2のノズル52は、処理対象物Wの基板W1の外周端部に向けてDIWを吐出することで、遠心力の影響を考慮して、基板W1とリングW2の間にDIWの液膜を形成できるようにしている。リングW2の上面に第2ノズル52からDIWを供給しても、回転数が第2の回転数になることで遠心力が増えるので、DIWがリングW2の内側に流れず外側に排出されてしまう。このため、第2のノズル52によって、基板W1の外周端部にDIWを供給し、その外周端部の外側に位置する、基板W1とリングW2の間のダイシングテープの粘着面にDIWが流れ、そこにDIWの液膜を形成するようにしている。なお、ステップ3でも溶剤(第1の処理液)を供給しており、ステップ4で溶剤の供給を停止する。
【0043】
また、処理対象物Wから接着物を排出するため、テーブル20の回転数がステップ2より上げられる(20→400rpm)。これにより、処理対象物W上での遠心力が強くなり、処理対象物Wからの接着物排出が促進されるので、溶剤と共に流れる接着物を排出する排出性能(接着物の排出性能)を向上させることができる。つまり、ステップ2で基板W1上に溶剤の液膜を形成し、基板W1の接着物を溶融して溶剤の液膜に浮遊させ、ステップ3でテーブル20の回転数を上げ、溶剤に浮遊する接着物を処理対象物W上から溶剤と共に排出する。テーブル20の回転数を上げることによって、接着物の排出性能を向上させることが可能である。つまり、基板W1の回転数(回転速度)を上昇させることで、遠心力を発生させ、基板W1の表面上に浮遊した接着物を遠心力で基板W1の外側に排出する。これにより、基板W1の表面上から接着物を除去することができる。なお、基板W1の回転数を上昇した際にも、基板W1中央に溶剤の供給を継続している。これは、基板W1の表面上の液膜が遠心力により薄くなり、基板W1の表面上から剥離した接着物が、再度基板W1の表面上に付着することを抑えるためである。さらに、基板W1上から接着物を排出する排出性能を補助もする。さらに、各移動ノズル42を処理対象物Wの中央付近から外周まで放射状に移動させつつ、各移動ノズル42からそれぞれ処理対象物Wに第1の処理液を供給することによって、処理対象物W上の溶剤の液膜に浮遊する接着物を処理対象物Wから掃き出し、接着物の排出性能を向上させることが可能である。このように接着物の排出性能が向上するため、基板W1から除去された接着物が基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面や各チャックピン23に付着することを抑えることができる。
【0044】
ステップ4では、IPAだけがノズル41から回転するテーブル20上の処理対象物Wの基板W1の中央付近に供給される。このステップ4では、テーブル20の回転数は400rpmであり、処理時間(吐出時間)は60sである。なお、ノズル51から供給されるIPAの量は200ml/minである(不図示)。
【0045】
ステップ4において、基板W1上に残留する溶剤を除去するため、IPAを供給する。なお、溶剤を排出するためには、溶剤と混和可能であり揮発性が高い液体を用いることが好ましい。テーブル20の回転数(回転速度)は、基板W1上に残留する処理液を基板W1外に排出させることができる速度に設定されている。処理時間は、設定されたテーブル20の回転数とともに、溶剤の残留が基板W1上からすべて無くなる時間に設定されている。テーブル20の回転数及び処理時間は、予め実験などで求められ設定されている。
【0046】
ステップ5では、全ての液供給が無い状態で、高速回転により乾燥が行われる。このステップ5では、テーブル20の回転数は1000rpmであり、処理時間は50sである。基板W1上が乾燥するのに必要な回転数、処理時間は、予め実験などで求められ設定されている。
【0047】
ステップ6では、高速回転により乾燥を停止するため、全ての液供給が無い状態で、回転速度が遅くされる。このステップ6では、テーブル20の回転数は50rpmであり、処理時間は10sである。
【0048】
前述の基板処理工程では、ステップ3において、各移動ノズル42がテーブル20上の処理対象物Wの中央付近から外周まで放射状に移動しつつ、処理対象物Wに向けてそれぞれ第1の処理液を供給する。処理対象物W上の溶剤の液膜に到達した第1の処理液は処理対象物Wの外側に向かって流れ、処理対象物W上の溶剤の液膜に浮遊する接着物は押し出されるように処理対象物Wから掃き出される。このような第1の処理液の流れにより、処理対象物W上の溶剤の液膜に浮遊する接着物が処理対象物Wから排出されるので、基板W1から除去された接着物が基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面や各チャックピン23に付着することを抑えることができる。つまり、ノズル41から供給される溶剤の流れに加え、移動ノズル42からの処理液の流れによって、接着物の排出性能が向上する。掃き出し性能(掃出し力)を向上させることで、接着物が基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面上(DIW液膜上)を速く通過するようになる。接着物がチャックピン23に付着しようとしても、移動ノズル42のからの液流により、接着物を排出することが可能となるから、チャックピン23への付着を抑制することが可能である。さらに、複数の移動ノズル42がそれぞれ、処理対象物Wの外周に移動(放射状に、また、同時に移動)することで、処理対象物W上に浮遊する接着物を、基板W1上から排出することができる。したがって、ダイシングテープW3の粘着面やチャックピン23に付着した接着物が、搬送工程やダイシング工程などでダイシングテープW3の粘着面やチャックピン23から離れて基板W1に付着し、基板W1が汚染されることが抑制されるので、基板品質を向上させることができる。なお、例えば、接着物がチャックピン23に付くと、次に搬送されてきた未処理の処理対象物Wが、汚染されたチャックピン23によって保持されることになる。これにより、リングW2に接着物が付着してしまい、そのまま処理が進むと搬送工程やダイシング工程などで基板W1に影響を与えることがある。
【0049】
また、ステップ2において、第1のノズル51は、回転機構30により回転するテーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面に向けてDIWを吐出し、処理対象物Wの基板W1とリングW2との間にDIWを供給する。これにより、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面やリングW2の上面がDIWの液膜により覆われる。この状態で、ノズル41は、回転機構30により回転するテーブル20上の処理対象物Wの基板W1の中央付近に向けて溶剤を吐出する。また、ステップ3において、テーブル20の回転数が上昇すると、第2のノズル52は、回転機構30により回転するテーブル20上の処理対象物Wの基板W1の外周端部に向けてDIWを吐出し、処理対象物Wの基板W1とリングW2との間にDIWを供給する。これにより、テーブル20の回転数が例えば100rpm以上に上昇しても(高速回転)、基板W1及びリングW2の間のDIWの液膜の厚さが保持され、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面がDIWの液膜により覆われている状態が確実に維持される。
【0050】
このようにして、溶剤の供給中、基板W1とリングW2との間のダイシングテープW3の粘着面やリングW2の上面は、DIWの液膜により確実に覆われている。これにより、基板W1から除去された接着物が溶剤と共に基板W1から排出されても、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面やリングW2の上面に付着することが抑えられる。したがって、ダイシングテープW3の粘着面やリングW2の上面に付着した接着物が、搬送工程やダイシング工程(例えば後工程)などでダイシングテープW3やリングW2から離れて基板W1に付着し、基板W1が汚染されることが抑制されるので、基板品質を確実に向上させることができる。
【0051】
ここで、例えば、第1のノズル51が基板W1の外周端部に供給すると、DIWが基板W1の端面側から中心方向に広がってしまう。つまり、第1の回転数では、遠心力が弱いから基板W1の外周に排出する性能が出ない。このため、基板W1の中心方向にDIWが広がると、ステップ2で基板W1の中心に供給される溶剤が基板W1の外周に広がるのを阻害し、溶剤が基板W1の外周部における接着物と反応することができなくなる。前述したように、DIWと第1の処理液である溶剤は混和しないものであり、DIWの方が第1の処理液である溶剤より比重が大きい。そのため、DIWが基板W1の外周端部から中心方向に広がると、基板W1の中心から供給された溶剤が、基板W1の外周付近で、DIWとは混和せずにDIWの上を流れる状態になる。つまり、基板W1の外周付近は、溶剤が基板W1上の接着物に接触することが難しくなり、基板W1上の接着物に対して溶剤を供給することができない。つまり、テーブル20の回転数に応じてDIWの供給位置を変えている理由は、上記したように、基板W1上に供給される第1の処理液である溶剤が、DIWによって阻害されることなく、基板W1の外周までに広がり、基板W1上の接着物の剥離を確実に行うことと、基板W1とリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面への接着物の付着を抑制するためである。
【0052】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、テーブル20により支持された処理対象物Wの内側から外側に向かって移動しつつ第1の処理液(例えば、溶剤)を吐出する移動ノズル42が設けられている。移動ノズル42により第1の処理液が処理対象物Wの内側から外側に向かって供給され、ノズル41から供給される第1の処理液の流れに加え、移動ノズル42からの第1の処理液の流れによって、接着物の排出性能が向上する。これにより、処理対象物W上の溶剤の液膜に浮遊する接着物が処理対象物Wから確実に掃き出されるので、基板W1から除去された接着物が基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面や各チャックピン23に付着することを抑えることができる。したがって、ダイシングテープW3の粘着面やチャックピン23に付着した接着物が、搬送工程やダイシング工程などでダイシングテープW3の粘着面やチャックピン23から離れて基板W1に付着し、基板W1が汚染されることが抑制されるので、基板品質を向上させることができる。
【0053】
また、第1の実施形態によれば、処理対象物Wをテーブル20により支持し、そのテーブル20を回転機構30により回転させ、テーブル20の回転数に応じて、テーブル20により支持された処理対象物WのリングW2の上面、又は、テーブル20により支持された処理対象物Wの基板W1の外周端部に向けて、第1の処理液(例えば、溶剤)に混和せず第1の処理液よりも比重が大きい液体(例えば、DIW)を吐出し、処理対象物Wの基板W1とリングW2との間に液体を供給し、液体が処理対象物Wの基板W1とリングW2との間に供給されている状態で、回転するテーブル20により支持された処理対象物Wの基板W1の上面に処理液を供給する。
【0054】
つまり、第1の処理液に混和せず第1の処理液よりも比重が大きい液体が基板W1及びリングW2の間に流れ込み、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面がDIWの液膜により覆われる。このため、基板W1から除去された接着物は、基板W1及びリングW2の間やリングW2の上面に存在するDIWの液膜の上を流れる第1の処理液と共に処理対象物Wから排出されるが、その際に基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面に付着することを抑えることができる。したがって、ダイシングテープW3の粘着面に付着した接着物が、搬送工程やダイシング工程などでダイシングテープW3から離れて基板W1に付着し、基板W1が汚染されることが抑制されるので、基板品質を確実に向上させることができる。
【0055】
また、リングW2の上面の高さが基板W1の上面の高さより低くなる位置でテーブル20が処理対象物Wを支持することで、接着物の排出性能を向上させることが可能になり、また、リングW2の上面を液膜により覆うことが可能になる。これにより、基板W1から除去された接着物が、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面やリングW2の上面に付着することが確実に抑えられる。したがって、ダイシングテープW3の粘着面やリングW2の上面に付着した接着物が、搬送途中やダイシング工程などの後工程でダイシングテープW3やリングW2から離れて基板W1に付着し、基板W1が汚染されることが確実に抑制されるので、基板品質をより確実に向上させることができる。
【0056】
また、第2のノズル52によるDIWの供給が行われる。第1のノズル51による供給だけでは、DIWの液膜が薄くなる状態及び液膜が無くなる状態になるので、第2のノズル52により、更に液量をアシストすることでDIWの液膜を維持する。さらに、第2のノズル52は、処理対象物Wの基板W1の外周端部に向けてDIWを吐出することで、遠心力の影響を考慮して、基板W1とリングW2の間にDIWの液膜を形成する。これにより基板W1及びリングW2の間のDIWの液膜の厚さ(膜厚)が維持されるので、溶剤の供給中、基板W1とリングW2との間のダイシングテープW3の粘着面はDIWの液膜により確実に覆われる。これにより、テーブル20の回転数を上げても、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面がDIWの液膜により覆われている状態となる。結果として、基板W1上の溶剤の液膜に浮遊する接着物は、基板W1基板W1及びリングW2の間やリングW2の上面に存在するDIWの液膜の上を流れる溶剤と共に流れ、処理対象物Wから接着物が溶剤と共に排出される。したがって、基板W1から除去された接着物が、基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面に付着することを抑えることができる。
【0057】
なお、前述の説明においては、複数本の移動ノズル42を設け、それらの移動ノズル42をテーブル20上の処理対象物Wの内側から外側に向かって放射状に移動させることを例示したが、これに限るものではない。また、移動ノズル42の本数や移動経路は、特に限定されるものではない。例えば、図7に示すように、一本の移動ノズル42を設け、その移動ノズル42をテーブル20上の処理対象物Wの内側から外側に向かって渦巻状に移動させるようにしてもよい。このときの移動ノズル42の移動方向はテーブル20の回転方向と逆である。移動機構としては、X軸方向及びY軸方向に同時に移動ノズル42を移動させて平面内を自在に移動させることが可能な移動機構が用いられる。この移動機構によって、移動ノズル42を渦巻状に移動させることができる。
【0058】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について図8を参照して説明する。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点(角度可変ノズル及び角度変更部)について説明し、その他の説明は省略する。
【0059】
図8に示すように、第2の実施形態に係る処理液供給部40は、第1の実施形態に係る各移動ノズル42に替えて、一本の角度可変ノズル43と、角度変更部44とを有している。
【0060】
角度可変ノズル43は、ノズル41の周囲に角度変更部44と共に位置付けられ、例えば、ノズル移動機構(不図示)により角度変更部44と共にテーブル20の上方をテーブル20上の処理対象物Wに沿って水平方向に移動可能に形成されている。ノズル移動機構としては、例えば、アームを有する揺動機構が用いられる。また、角度可変ノズル43は、鉛直方向に対する傾斜角度が角度変更部44により変更されるように形成されている。この角度可変ノズル43は、角度変更部44による傾斜角度の変更により、テーブル20上の処理対象物Wの内側から外側に向かって処理対象物Wに第1の処理液(例えば、溶剤)を供給する。角度可変ノズル43には、基板処理装置10外の一つのタンク(不図示)から第1の処理液が供給される。角度可変ノズル43から吐出される第1の処理液の吐出量は調整弁43aの開度調整により変更される。なお、基板処理工程中、角度可変ノズル43から吐出される第1の処理液の吐出量は一定である。調整弁43aは、例えば、電磁弁であり、制御部60に電気的に接続されており、その駆動は制御部60により制御される。
【0061】
角度変更部44は、角度可変ノズル43の傾斜角度を変更することが可能に形成されている。角度変更部44としては、例えば、連結部材やモータなどを有する角度変更機構が用いられる。角度変更部44は制御部60に電気的に接続されており、その駆動は制御部60により制御される。例えば、角度変更部44は、角度可変ノズル43の傾斜角度(鉛直方向に対する傾斜角度)を角度可変ノズル43による第1の処理液の供給開始から徐々に大きくする。これに応じて、角度可変ノズル43は、テーブル20上の処理対象物Wの内側から外側に向かって処理対象物Wに第1の処理液を供給し、処理対象物W上の溶剤の液膜に浮遊している接着物を処理対象物W上から掃き出す。
【0062】
基板処理工程のステップ3において、角度可変ノズル43は、角度変更部44による傾斜角度の変更に応じ、テーブル20上の処理対象物Wの中央付近から外周に向かって処理対象物Wに第1の処理液を供給する。処理対象物W上の溶剤の液膜に到達した第1の処理液は処理対象物Wの外側に向かって流れ、処理対象物W上の溶剤の液膜に浮遊する接着物は押し出されるように処理対象物Wから掃き出される。このような第1の処理液の流れにより、処理対象物W上の溶剤の液膜に浮遊する接着物が処理対象物Wから排出されるので、基板W1から除去された接着物が基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面や各チャックピン23に付着することを抑えることができる。つまり、ノズル41から供給される溶剤の流れに加え、移動ノズル42からの処理液の流れによって、接着物の排出性能が向上する。掃き出し性能(掃出し力)を向上させることで、接着物が基板W1及びリングW2の間のダイシングテープW3の粘着面上(DIW液膜上)を速く通過するようになる。接着物がチャックピン23に付着しようとしても、移動ノズル42のからの液流により、接着物を排出することが可能となるから、チャックピン23への付着を抑制することが可能である。さらに、複数の移動ノズル42がそれぞれ、処理対象物Wの外周に移動(放射状に、また、同時に移動)することで、処理対象物W上に浮遊する接着物を、基板W1上から排出することができる。したがって、ダイシングテープW3の粘着面やチャックピン23に付着した接着物が、搬送工程やダイシング工程などでダイシングテープW3の粘着面やチャックピン23から離れて基板W1に付着し、基板W1が汚染されることが抑制されるので、基板品質を向上させることができる。
【0063】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1の実施形態に係る移動ノズル42を六つ設ける場合に比べ、ノズル移動機構を簡略化することが可能であり、基板処理装置10を簡略化することができる。
【0064】
<他の実施形態>
前述の説明においては、各移動ノズル42の移動開始タイミングを、ステップS3を開始するタイミングと同じタイミングに設定することを例示したが、これに限るものではなく、基板W1から接着物(接着層)の一部が剥がれ、処理対象物W上の溶剤の液膜に浮遊したタイミング、つまり接着物の剥がれが開始したタイミングに設定するようにしてもよい。例えば、溶剤の供給開始から所定時間が経過したことを検知し、各移動ノズル42の移動を開始したり、あるいは、処理対象物W上の溶剤の液膜に浮遊した接着物を検知し、その検知数が所定数に達したことに応じ、各移動ノズル42の移動を開始したりする。処理対象物W上の溶剤の液膜に浮遊した接着物を検知するためには、テーブル20上の処理対象物Wを上方から撮像する撮像部を設け、第1の処理液が供給されている処理対象物W上の基板W1を撮像部により撮像し、その画像(色の差など)から接着物を検知することが可能である。
【0065】
また、前述の説明においては、ステップ3の処理中、移動ノズル42又は角度可変ノズル43から一定時間絶えず第1の処理液を吐出させることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、移動ノズル42又は角度可変ノズル43から第1の処理液を間欠吐出させるようにしてもよい。この間欠吐出により溶剤の液膜に波紋を生じさせることが可能であり、接着物の排出能力を向上させることができる。
【0066】
また、前述の説明においては、ステップ3の処理中、テーブル20上の処理対象物Wの内側から外側に向かって一度だけ移動することを例示したが、これに限るものではなく、テーブル20上の処理対象物Wの内側から外側に向かって移動することを繰り返すようにしてもよい。
【0067】
また、前述の説明においては、全ての移動ノズル42から同時に液体を吐出させることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、各移動ノズル42から順番に液体を吐出させることも可能であり、所定の順序で各移動ノズル42から液体を吐出させるようにしてもよく、また、不規則に吐出させるようにしてもよい。つまり、各移動ノズル42から選択的に液体を吐出させても、また、各移動ノズル42から同時に液体を吐出させるようにしてもよい。
【0068】
また、前述の説明においては、各移動ノズル42の個々の吐出量を同じで一定にすることや角度可変ノズル43の吐出量を一定にすることを例示したが、これに限るものではなく、各移動ノズル42の個々の吐出量を異ならせてもよく、あるいは、各移動ノズル42の個々の吐出量や角度可変ノズル43の吐出量を一定ではなく変化させるようにしてもよい。例えば、テーブル20の回転数に応じて各移動ノズル42の個々の吐出量や角度可変ノズル43の吐出量を変える。一例として、テーブル20の回転数の上昇に応じて各移動ノズル42の個々の吐出量や角度可変ノズル43の吐出量を上げ、テーブル20の回転数の下降に応じて各移動ノズル42の個々の吐出量や角度可変ノズル43の吐出量を下げる。また、角度可変ノズル43の傾斜角度が大きくなるにつれて角度可変ノズル43の吐出量を上げることも可能である。また、各移動ノズル42の個々の吐出量や角度可変ノズル43の吐出量をノズル41の吐出量と同じにしてもよく、あるいは、ノズル41の吐出量より大きくしても、小さくしてもよい。
【0069】
また、前述の説明においては、テーブル20の回転数に応じて、テーブル20により支持された処理対象物WのリングW2の上面、あるいは、テーブル20により支持された処理対象物Wの基板W1の外周端部に向けて液供給部50により液体を吐出し、処理対象物Wの基板W1とリングW2との間に液体を供給することを例示したが、これに限るものではなく、例えば、テーブル20により支持された処理対象物Wの基板W1とリングW2との間に向けて吐出し、処理対象物Wの基板W1とリングW2との間に液体を供給するようにしてもよい。なお、テーブル20により支持された処理対象物WのリングW2の上面及び基板W1の外周端部の両方に同時に液体を供給することも可能であり、テーブル20により支持された処理対象物Wの基板W1の外周端部及び基板W1とリングW2との間の両方に、また、テーブル20により支持された処理対象物WのリングW2の上面、基板W1の外周端部及び基板W1とリングW2との間の三個所に同時に液体を供給することも可能である。
【0070】
また、前述の説明においては、第1のノズル51及び第2のノズル52の二本のノズルを設けることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、第1のノズル51だけを設け、その第1のノズル51を移動機構により移動させて第2のノズル52のかわりに用いるようにしても良い。すなわち、第1のノズル51は、テーブル20の回転数が第1の回転数である場合、テーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面に向けて液体を吐出し、テーブル20の回転数が第2の回転数である場合、テーブル20上の処理対象物Wの基板W1の外周端部に向けて液体を吐出する。なお、第1のノズル51は、テーブル20の回転数が第1の回転数から第2の回転数に変更される前に、テーブル20上の処理対象物WのリングW2の上面に向けて液体を吐出する位置から、テーブル20上の処理対象物Wの基板W1の外周端部に向けて液体を吐出する位置に移動する。また、第1のノズル51及び第2のノズル52のどちらか一方又は両方をリングW2及び基板W1の周方向に所定の間隔で複数設けることも可能である。
【0071】
また、前述の説明においては、第1のノズル51及び第2のノズル52は、鉛直方向に対して傾いていてもよく、鉛直方向に平行であってもよい。また、第1のノズル51の傾斜角度及び第2のノズル52の傾斜角度は同じであっても、異なっていてもよい。第1のノズル51及び第2のノズル52の個々の傾斜角度をテーブル20の回転数に応じて変更するようにしてもよく、例えば、連結部材やモータなどを有する角度変更機構(角度変更部)によりテーブル20の回転数に応じて変更するようにしてもよい。また、テーブル20の回転数ごとに傾斜角度の異なる複数のノズルを設けておき、それらのノズルをテーブル20の回転数に応じて選択して用い、テーブル20の回転数に応じてノズルの傾斜角度を変更するようにしてもよい。このようにして、第1のノズル51や第2のノズル52などのノズルがテーブル20上の処理対象物Wに対して液体を吐出する角度(吐出角度)を変更することができる。
【0072】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
10 基板処理装置
20 テーブル
40 処理液供給部
41 ノズル
42 移動ノズル
43 角度可変ノズル
50 液供給部
W 処理対象物
W1 基板
W2 リング
W3 ダイシングテープ
図1
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図8