(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】一連の糖鎖伸長を触媒するUDP-糖転移酵素およびその使用
(51)【国際特許分類】
C12P 23/00 20060101AFI20240617BHJP
A01H 1/00 20060101ALI20240617BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240617BHJP
C12N 9/10 20060101ALI20240617BHJP
C12N 15/54 20060101ALI20240617BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
C12P23/00
A01H1/00 A
C12N5/10
C12N9/10
C12N15/54 ZNA
C12N15/63 Z
(21)【出願番号】P 2019564089
(86)(22)【出願日】2018-05-21
(86)【国際出願番号】 CN2018087678
(87)【国際公開番号】W WO2018210349
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2020-02-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】201710359069.7
(32)【優先日】2017-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523404321
【氏名又は名称】ジーシンバイオティー(シャンハイ) カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GsynBioT(Shanghai)Co.,Ltd
【住所又は居所原語表記】1-2F,Building 2,Lane 500,Furonghua Road,Pudong New Area,Shanghai,201318,China
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ,ジファ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,シン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チェンシュアイ
(72)【発明者】
【氏名】リー,チャオジン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ヨンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ピンピン
【合議体】
【審判長】上條 肇
【審判官】田中 耕一郎
【審判官】北田 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-530108(JP,A)
【文献】特表2016-504023(JP,A)
【文献】Database NCBI Protein [online], Accession No. AKA44580,<https://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/788945277> 01-APR-2015uploaded, [retrieved 12 MARCH 2021], Wang,P., et al, Definition: UGTPg43 [Panax ginseng].
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P
CAPLUS/WPIDS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
in vitroでテトラシクロトリテルペン系化合物をグリコシル化する方法であって、
糖転移酵素の存在下で、糖ドナーのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物の
C20位の1番目のグリコシル基に転移させ、
グリコシル化されたテトラシクロトリテルペン系化合物を形成する工程を含み、
ここで、前記糖転移酵素は、配列番号4、6、8、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、もしくは98で示される糖転移酵素から選ば
れる、
前記方法。
【請求項2】
単離されたポリペプチドであって、前記単離されたポリペプチドは、
配列番号4、6、8、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、および98のうちのいずれか1つで示されるアミノ酸配列のポリペプチドで
ある、
前記ポリペプチド。
【請求項3】
単離されたポリヌクレオチドであって、以下:
(A)請求項2に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(B)配列番号4、6、8、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、または98で表されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配
列;および
(C)配列番号3、5、7、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、または97で示され、ならび
に配列番号4、6、8、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、または98で表されるポリペプチドをコードする、ヌクレオチド配列;
からなる群から選ばれる、前記ポリヌクレオチド。
【請求項4】
請求項3に記載のポリヌクレオチドを含むか、あるいは請求項2に記載の単離されたポリペプチドを発現する、ベクター。
【請求項5】
請求項2に記載の単離されたポリペプチドの使用であって、以下の1種または複数種の反応を触媒するため、あるいは以下の1種または複数種の反応を触媒する触媒製剤の製造のために使用されることを特徴とする使用:
糖ドナーからのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物の
(ii)C20位の1番目のグリコシル基
に転移させ、糖鎖を伸長させる反応。
【請求項6】
請求項4に記載のベクターを含むか、あるいは遺伝子に請求項3に記載のポリヌクレオチドが組み込まれている、遺伝子操作された宿主細胞。
【請求項7】
酵素触媒試薬を製造するため、あるいは糖転移酵素を生成するため、あるいは触媒細胞として、あるいは式(II)または(IV)化合物を生成するために用いられる、請求項6に記載の宿主細胞の使用であって、
ここで、
式(II)化合物は、式(II)
【化1】
式中、R1はH、単糖のグリコシル基または多糖のグリコシル基であり、R2はHまたはOHであり、R3およびR4は単糖のグリコシル基である、
で表される化合物であり;
式(IV)化合物は、式(IV)
【化2】
式中、R1はH、
単糖のグリコシル基または多糖のグリコシル基であり、R2およびR3は
単糖のグリコシル基である、
で表される化合物である、前記使用。
【請求項8】
請求項6に記載の遺伝子操作された宿主細胞を植物に再生させることを含み、前記遺伝子操作された宿主細胞が植物細胞である、遺伝子組換え植物を生成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物技術および植物生物学の分野に関し、具体的に、一連の糖転移酵素およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ジンセンサポニンは、オタネニンジン属の植物(たとえばオタネニンジン、サンシチニンジンやアメリカニンジンなど)やアマチャヅルから単離されたサポニンの総称で、トリテルペン系化合物である。また、ジンセンサポニンは、その単離の由来によってジンセノサイド、ノトギンセノシドおよびジペノサイドに分かれる。ジンセンサポニンは、これらの薬用植物における主な生物活性成分である。現在、すでに約150種類のサポニンが単離されてきた。構造からみると、ジンセンサポニンは、主にサポゲニンがグリコシル化によって形成する生物活性小分子である。ジンセンサポニンのサポゲニンは種類が限られ、主にダンマラン型テトラシクロトリテルペンのプロトパナキサジオールとプロトパナキサトリオール、およびオレアノール酸である。サポゲニンは、グリコシル化によって、水溶性が向上し、細胞内局在部位が変わり、かつ異なる生理活性が生じる。ほとんどのプロトパナキサジオール型サポニンはC3および/またはC20位の水酸基がグリコシル化修飾されたもので、プロトパナキサトリオールはC6および/またはC20の水酸基がグリコシル化修飾されたものである。異なる種類のグリコシル基および異なる程度のグリコシル化修飾によって分子構造の多いジンセンサポニンが発生する。
【0003】
異なるグリコシル化修飾形態を有するジンセンサポニンは異なる生物活性を有する。たとえば、Rb1、Rb2およびRb3はそれぞれRdがC20-O-Glcに一分子のグルコース、アラビノースおよびキシロースで伸長したものである。実験によって豊富なサポニンRb1は神経細胞の保護および抗炎症・抗酸化の効果を有し、Rb2は腫瘍血管の形成と腫瘍転移の抑制、糖尿病マウスの血糖低下および血中脂肪の低下の効果を有し、Rb3は心筋虚血の緩和および抗うつの効果を有することが証明された。
ジンセンサポニンはオタネニンジンまたはサンシチニンジンの全サポニンまたは豊富なサポニンを原料とし、化学、酵素および微生物発酵による加水分解方法によって製造される。野生のジンセン資源はほぼなくなり、ジンセン全サポニン資源は現在主にオタネニンジンやサンシチニンジンの人工栽培に依頼するが、その人工栽培の成長周期が長く(一般的に5~7年以上が必要)、そして地域の制限もあり、また病虫害が多くて大量の農薬の施用が必要であるため、オタネニンジンやサンシチニンジンの人工栽培は深刻な連作障害があり(オタネニンジンやサンシチニンジンの栽培地は連作障害を克服するには5~15年以上の休耕が必要である)、よってジンセンサポニンの生産量、品質および安全性はいずれもチャレンジに直面している。
【0004】
合成生物学の発展は植物由来の天然産物の異種合成に新たなチャンスをもたらした。酵素を基盤に、代謝経路の構築と最適化によって、安価の単糖からアルテミシン酸またはジヒドロアルテミシン酸を発酵合成し、続いてさらにワンステップの化学変換の方法によってアルテミシニンを生産することが既に実現され、これは合成生物学は天然産物の薬物合成において大きな可能性があることを示す。酵素基盤細胞を利用して合成生物学の方法によってジンセンサポニン単量体を異種合成し、原料は安価の単糖で、製造過程は安全性が制御可能な発酵過程で、あらゆる外来の汚染(たとえば、原料植物の人工栽培時使用される農薬)が避けられるため、合成生物学の技術によってジンセンサポニン単量体を製造するのは、コストの優勢のみならず、完成品の品質と安全性も保証できる。合成生物学の技術によって十分な量の様々な高純度の天然と非天然のジンセンサポニン単量体を製造し、活性測定および臨床実験に使用し、希少ジンセンサポニンの新薬の研究・開発を促進する。
【0005】
近年、オタネニンジン、サンシチニンジンおよびアメリカニンジンに対するトランスクリプトームおよび機能ゲノムの研究を通し、ジンセンサポニンのサポゲニン合成経路の解析はすでに非常に大幅に発展してきた。2006年に、日本と韓国の科学者はそれぞれオキシドスクアレンをダンマレンジオールに転化させるテルペンシクラーゼエレメントを同定した(オタネニンジンダンマレンジオールIIシンターゼ、PgDDS)。2011年から2012年まで、韓国の科学者はさらにダンマレンジオールをプロトパナキサジオールに、およびプロトパナキサジオールをさらにプロトパナキサトリオールに酸化させるシトクロムP450エレメントCYP716A4およびCYP716A53v2を同定した。
【0006】
合成生物学の方法によってこれら薬用活性を有するジンセンサポニンを人工合成するには、サポゲニンを合成する代謝経路の構築のみならず、ジンセンサポニンのグルコシル化を触媒するUDP-糖転移酵素を同定する必要もある。UDP-糖転移酵素の機能は、糖ドナー(ヌクレオシド二リン酸糖、たとえばUDP-グリコース、UDP-ラムノース、UDP-キシロースやUDP-アラビノース)におけるグリコシル基を別の糖アクセプターに転移させることである。現在配列決定された植物ゲノムから分析すると、植物のゲノムは100種類以上の異なる糖転移酵素をコードすることが多い。UDP-糖転移酵素が触媒可能な基質(糖ドナーと糖アクセプターを含む)は種類が多様であるため、そのUDP-糖転移酵素の機能の同定は巨大な困難をもたらす。2014年に、初めて、ジンセンサポニンのグルコシル化に関与するUDP-糖転移酵素(UGTPg1)は中国の学者によって同定され、プロトパナキサジオール型ジンセンサポニンのC20水酸基に1つのグルコシル基を導入することができる。その後、韓国の科学者はまたオタネニンジンから2つのUDP-糖転移酵素エレメント(PgUGT74AE2およびPgUGT94Q2)をクローニングすることができ、これらはプロトパナキサジオール型サポニンのC3位にそれぞれ1つのグルコシル基の導入および1つのグルコシル基の伸長を行うことができる。ほぼ同時に、中国の学者も独立にオタネニンジンからPgUGT74AE2およびPgUGT94Q2と同様の機能を有する2つの糖転移酵素エレメントUGTPg45およびUGTPg29をクローニングすることができた。2015年に、中国の学者はさらにプロトパナキサトリオールのC6位に1つのグルコシル基を導入することができるUDP-糖転移酵素エレメント(UGTPg100)を同定した。2015年に、韓国の学者はアマチャヅルからプロトパナキサジオール型およびプロトパナキサトリオール型のサポニンのC20に1つのグルコシル基で伸長させることができる糖転移酵素GpUGT23を見出した。しかし、いままで、C3位に1つのグルコシル基で伸長させる糖転移酵素の植物、オタネニンジンにおいて糖鎖の伸長を触媒するほかの糖転移酵素はまだ報告されていない。
【0007】
このような背景において、本発明者はプロトパナキサジオール型およびプロトパナキサトリオール型のサポニンのC20に1つのグルコシル基またはキシロシル基で伸長させる糖転移酵素ならびにプロトパナキサトリオール型のサポニンのC6位に1つのキシロシル基で伸長させる糖転移酵素をクローニングおよび同定した。当該糖転移酵素はジンセノサイドRb1、ジンセノサイドRb3、ジペノサイドLXXV、ジペノサイドXVII、ノトギンセノシドU、ノトギンセノシドR1、ノトギンセノシドR2やノトギンセノシドR3などのジンセンサポニンの製造に使用することができる。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、一連の新規な糖転移酵素およびそれによってテトラシクロトリテルペン系化合物のグリコシル化反応を触媒する方法を提供する。
本発明の第一の側面では、in vitroでのグリコシル化方法であって、
糖転移酵素の存在下で、糖ドナーのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物の
C20位および/またはC3位の1番目のグリコシル基に転移させ、
グリコシル化されたテトラシクロトリテルペン系化合物を形成する工程を含み、
ここで、前記の糖転移酵素は、
配列番号4、6、8、8、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、98、または100で示される糖転移酵素またはその誘導体ポリペプチドから選ばれる、方法を提供する。
【0009】
もう一つの好適な例において、C20位でグリコシル化されるテトラシクロトリテルペン系化合物はジンセノサイドRd、CK、F1およびF2を含む。
本発明の第二の側面では、in vitroでのグリコシル化方法であって、
糖転移酵素の存在下で、糖ドナーのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物の
C6位の1番目のグリコシル基に転移させ、
グリコシル化されたテトラシクロトリテルペン系化合物を形成する工程を含み、
ここで、前記の糖転移酵素は、
配列番号12、14、16、18、20、22、24、26、28および30で示される糖転移酵素またはその誘導体ポリペプチドから選ばれる、方法を提供する。
【0010】
もう一つの好適な例において、C6位でグリコシル化されるテトラシクロトリテルペン系化合物はRg1またはRh1を含む。
本発明は、in vitroでのグリコシル化方法であって、
糖転移酵素の存在下で、糖ドナーのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物の
C3位の1番目のグリコシル基に転移させ、
グリコシル化されたテトラシクロトリテルペン系化合物を形成する工程を含み、
ここで、前記の糖転移酵素は、
配列番号39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124で示される糖転移酵素またはその誘導体ポリペプチドから選ばれる、方法を提供する。
【0011】
もう一つの好適な例において、C3位でグリコシル化されるテトラシクロトリテルペン系化合物はF2、またはRh2を含む。もう一つの好適な例において、前記の誘導体ポリペプチドは、それぞれ以下の群から選ばれる:
(a)配列番号4、6、8、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124のうちの任意の1本または複数本で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド;
(b)配列番号4、6、8、14、16、18、20、22、24、26、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124にタグ配列、シグナル配列または分泌シグナル配列を付加したもので、かつ糖転移酵素活性を有する誘導体ポリペプチド;
(c)アミノ酸配列の配列番号4、6、8、14、16、18、20、22、24、26、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124のうちの任意の1本または複数本で示されるアミノ酸配列との相同性が≧95%で、かつ糖転移酵素活性を有する誘導体ポリペプチド。
【0012】
もう一つの好適な例において、(c)には、配列番号4、6、8、14、16、18、20、22、24、26、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124のうちの任意の1本または複数本で示されるアミノ酸配列のポリペプチドが1個または複数個のアミノ酸残基の置換、欠失または付加を経てなるもので、かつ糖転移酵素活性を有する誘導体ポリペプチドも含まれる。
本発明の第三の側面では、単離されたポリペプチドであって、前記の単離されたポリペプチドは、
配列番号4、6、8、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124のうちの任意の1本または複数本で示されるアミノ酸配列のポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドで、ここで、前記誘導体ポリペプチドは、
(a)配列番号4、6、8、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124のうちの任意の1本または複数本で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド;
(b)配列番号4、6、8、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124にタグ配列、シグナル配列または分泌シグナル配列を付加したもので、かつ糖転移酵素活性を有する誘導体ポリペプチド;
(c)アミノ酸配列の配列番号4、6、8、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124のうちの任意の1本または複数本で示されるアミノ酸配列との相同性が≧95%で、かつ糖転移酵素活性を有する誘導体ポリペプチド、から選ばれるポリペプチドを提供する。
【0013】
もう一つの好適な例において、(c)には、配列番号4、6、8、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124のうちの任意の1本で示されるアミノ酸配列のポリペプチドが1個または複数個のアミノ酸残基の置換、欠失または付加を経てなるもので、かつ糖転移酵素活性を有する誘導体ポリペプチドも含まれる。
もう一つの好適な例において、前記の単離されたポリペプチドは、in vitroでのグリコシル化に使用される。
【0014】
本発明の第四の側面では、単離されたポリヌクレオチドであって、以下の群から選ばれるポリヌクレオチドを提供する:
(A)請求項4に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(B)配列番号4、6、8、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124で示されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(C)配列番号3、5、7、27、29、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、89、91、93、95、97、99、115、117、119、121、または123で示されるヌクレオチド配列;
(D)配列番号3、5、7、27、29、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、89、91、93、95、97、99、115、117、119、121、または123で示されるヌクレオチド配列との相同性が≧95%(好ましくは≧98%)のヌクレオチド配列;
(E)(A)~(D)のいずれかに記載のヌクレオチド配列と相補的(好ましくは完全相補的)なヌクレオチド配列。
【0015】
もう一つの好適な例において、前記(E)には、配列番号3、5、7、27、29、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、89、91、93、95、97、99、115、117、119、121、または123で示されるヌクレオチド配列の5’末端および/または3’末端において1~60個(好ましくは1~30、より好ましくは1~10個)のヌクレオチドが削除または付加されてなるヌクレオチド配列も含まれる。
もう一つの好適な例において、配列が配列番号3、5、7、27、29、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、89、91、93、95、97、99、115、117、119、121、または123で示されるヌクレオチド配列で、それぞれ4、6、8、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124で示されるポリペプチドをコードする。
【0016】
本発明の第五の側面では、本発明の第四の側面に記載のポリヌクレオチド、本発明の第三の側面に記載の単離されたポリペプチドを含むベクターを提供する。
本発明の第三の側面に記載の単離されたポリペプチドの使用は、以下の1種または複数種の反応を触媒するため、あるいは以下の1種または複数種の反応を触媒する触媒製剤の製造のために使用される:
糖ドナーからのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物の
(i)C6位の1番目のグリコシル基、
(ii)C20位の1番目のグリコシル基、および/または
(iii)C3位の1番目のグリコシル基
に転移させ、糖鎖を伸長させる反応。
【0017】
もう一つの好適な例において、前記のグリコシル基の転移は特定の部位における基で行われるグリコシル基の付加または置換を含む。
もう一つの好適な例において、ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドの使用であって、以下の反応を触媒するため、あるいは以下の反応を触媒する触媒製剤の製造のために使用されることを特徴とする使用も提供する:
糖転移酵素の存在下で、糖ドナーのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物の
C6位の1番目のグリコシル基、またはC20位の1番目のグリコシル基、および/またはC3位の1番目のグリコシル基に転移させ、
グリコシル化されたテトラシクロトリテルペン系化合物を形成し、
ここで、前記の糖転移酵素は、
配列番号4、6、8、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124で示される糖転移酵素またはその誘導体ポリペプチドから選ばれる。
【0018】
もう一つの好適な例において、ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドの使用であって、以下の反応を触媒するため、あるいは以下の反応を触媒する触媒製剤の製造のために使用される使用も提供する:
糖転移酵素の存在下で、糖ドナーのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物の
C20位および/またはC3位の1番目のグリコシル基に転移させ、
グリコシル化されたテトラシクロトリテルペン系化合物を形成し、
ここで、前記の糖転移酵素は、
配列番号4、6、8、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、98、または100で示される糖転移酵素またはその誘導体ポリペプチドから選ばれる。
【0019】
もう一つの好適な例において、ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドの使用であって、以下の反応を触媒するため、あるいは以下の反応を触媒する触媒製剤の製造のために使用されることを特徴とする使用も提供する:
糖転移酵素の存在下で、糖ドナーのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物の
C6位の1番目のグリコシル基に転移させ、
グリコシル化されたテトラシクロトリテルペン系化合物を形成し、
ここで、前記の糖転移酵素は、
配列番号12、14、16、18、20、22、24、26、28、または30で示される糖転移酵素またはその誘導体ポリペプチドから選ばれる。
【0020】
もう一つの好適な例において、ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドの使用であって、以下の反応を触媒するため、あるいは以下の反応を触媒する触媒製剤の製造のために使用されることを特徴とする使用も提供する:
糖転移酵素の存在下で、糖ドナーのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物の
C3位の1番目のグリコシル基に転移させ、
グリコシル化されたテトラシクロトリテルペン系化合物を形成し、
ここで、前記の糖転移酵素は、
配列番号39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124で示される糖転移酵素またはその誘導体ポリペプチドから選ばれる。
【0021】
もう一つの好適な例において、前記の誘導体ポリペプチドは、それぞれ以下の群から選ばれる:
(a)配列番号4、6、8、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124のうちの任意の1本で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド;
(b)配列番号4、6、8、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124にタグ配列、シグナル配列または分泌シグナル配列を付加したもので、かつ糖転移酵素活性を有する誘導体ポリペプチド;
(c)アミノ酸配列の配列番号4、6、8、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124のうちの任意の1本で示されるアミノ酸配列との相同性が≧95%で、かつ糖転移酵素活性を有する誘導体ポリペプチド。もう一つの好適な例において、前記の糖ドナーは、UDP-グルコース、ADP-グルコース、TDP-グルコース、CDP-グルコース、GDP-グルコース、UDP-アセチルグルコース、ADP-アセチルグルコース、TDP-アセチルグルコース、CDP-アセチルグルコース、GDP-アセチルグルコース、UDP-キシロース、ADP-キシロース、TDP-キシロース、CDP-キシロース、GDP-キシロース、UDP-ガラクツロン酸、ADP-ガラクツロン酸、TDP-ガラクツロン酸、CDP-ガラクツロン酸、GDP-ガラクツロン酸、UDP-ガラクトース、ADP-ガラクトース、TDP-ガラクトース、CDP-ガラクトース、GDP-ガラクトース、UDP-アラビノース、ADP-アラビノース、TDP-アラビノース、CDP-アラビノース、GDP-アラビノース、UDP-ラムノース、ADP-ラムノース、TDP-ラムノース、CDP-ラムノース、GDP-ラムノース、UDP-キシロース、ADP-キシロース、TDP-キシロース、CDP-キシロース、GDP-キシロース、あるいはほかのヌクレオシド二リン酸六炭糖またはヌクレオシド二リン酸五炭糖、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選ばれるヌクレオシド二リン酸糖を含む。
もう一つの好適な例において、前記の糖ドナーは、UDP-グルコース、UDP-ガラクツロン酸、UDP-ガラクトース、UDP-アラビノース、UDP-ラムノース、UDP-キシロース、あるいはほかのウリジン二リン酸六炭糖またはウリジン二リン酸五炭糖、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選ばれるウリジン二リン酸(UDP)糖を含む。もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドは、以下の1種または複数種の反応を触媒するため、あるいは下記の1種類または2種類以上の反応を触媒する触媒製剤の製造のために使用される。
(A)
【化1】
(ただし、R1はH、単糖のグリコシル基または多糖のグリコシル基で、R2はHまたはOHで、R3は単糖のグリコシル基で、R4は単糖のグリコシル基である。前記のポリペプチドは、配列番号4、6、8、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、98、100、116、118、120、122、または124で示されるポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドから選ばれる。)もう一つの好適な例において、前記の単糖は、グルコース(Glc)、ラムノース(Rha)、アセチルグルコース(Glc(6)Ac)、アラビノフラノース(Araf)、アラビノピラノース(Arap)、またはキシロース(Xyl)などを含む。
【0022】
もう一つの好適な例において、前記の多糖は、Glc(2-1)Glc、Glc(6-1)Glc、Glc(6)Ac、Glc(2-1)Rha、Glc(6-1)Arap、Glc(6-1)Xyl、Glc(6-1)Araf、Glc(3-1)Glc(3-1)、Glc(2-1) Glu(6)Ac、Glc(6-1)Arap(4-1)Xyl、Glc(6-1)Arap(2-1)Xyl、またはGlc(6-1)Arap(3-1)Xylなどの2~4個の単糖からなる多糖を含む。
もう一つの好適な例において、R1~R4が置換された化合物は、下記表に示されるものである。
【0023】
【0024】
すなわち、前記のR1がHで、R2がOHで、R3がグルコシル基である場合、前記の式(I)化合物はジンセノサイドCK(CK)で、
前記のR1がHで、R2がOHで、R3およびR4がグルコシル基である場合、前記の式(II)化合物はジペノサイドLXXVで、
前記のR1がHで、R2がOHで、R3がグルコシル基で、R4がキシロシル基である場合、前記の式(II)化合物はジペノサイドXIIIで、
R1およびR2が共にHで、R3がグルコシル基である場合、前記の式(I)化合物はジンセノサイドDMGで、
R1およびR2が共にHで、R3およびR4がグルコシル基である場合、前記の式(II)化合物はサポニンDMGG(20-O-β-(D-グルコピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-ダンマレンジオール)(20-O-β-(D-glucopyranosyl)-β-(D-glucopyranosyl)- dammarenediol)で、
R1およびR2が共にHで、R3がグルコシル基で、R4がキシロシル基である場合、前記の式(II)化合物はサポニンDMGX(20-O-β-(D-キシロピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-ダンマレンジオール)(20-O-β-(D-xylopyranosyl)-β-(D-glucopyranosyl)- dammarenediol)で、
R1がグルコシル基で、R2がOHで、R3がグルコシル基である場合、前記の式(I)化合物はジンセノサイドF2(F2)で、
R1がグルコシル基で、R2がOHで、R3およびR4がグルコシル基である場合、前記の式(II)化合物はジペノサイドXVIIで、
R1がグルコシル基で、R2がOHで、R3がグルコシル基で、R4がキシロシル基である場合、前記の式(II)化合物はジペノサイドIXで、
R1が2つのグルコシル基(Glc(2-1)Glc)で、R2がOHで、R3がグルコシル基である場合、前記の式(I)化合物はジンセノサイドRdで、
R1が2つのグルコシル基(Glc(2-1)Glc)で、R2がOHで、R3およびR4がグルコシル基である場合、前記の式(II)化合物はジンセノサイドRb1で、あるいは
R1が2つのグルコシル基(Glc(2-1)Glc)で、R2がOHで、R3がグルコシル基で、R4がキシロシル基である場合、前記の式(II)化合物はジンセノサイドRb3で、
前記のR1がHで、R2がOHで、R3がグルコシル基で、R4がアラビノシル基である場合、前記の式(II)化合物はジンセノサイドF3で、
(B)
【化2】
ここで、R1がH、グリコシル基または多糖のグリコシル基で、R2がグリコシル基で、R3がグリコシル基で、前記のポリペプチドは配列番号4またはその誘導体ポリペプチドから選ばれる。
【0025】
もう一つの好適な例において、R1~R3が置換された化合物は、下記表に示されるものである。
【0026】
【0027】
すなわち、R1がHで、R2がグルコシル基である場合、前記の式(III)化合物はジンセノサイドF1(F1)で、
R1がHで、R2およびR3がグルコシル基である場合、前記の式(IV)化合物はノトギンセノシドUで、R1およびR2がグルコシル基である場合、前記の式(III)化合物はジンセノサイドRg1(Rg1)で、あるいは
R1、R2およびR3がグルコシル基である場合、前記の式(IV)化合物はノトギンセノシドR3(R3)で、
(C)
【化3】
ここで、R1およびRがHまたはグリコシル基で、R3およびR4がグリコシル基で、前記のポリペプチドは配列番号12、14、16、18、20、22、24、26、28、30またはその誘導体ポリペプチドから選ばれる。
【0028】
もう一つの好適な例において、R1~R4が置換された化合物は、下記表に示されるものである。
【0029】
【0030】
すなわち、R1がHで、R2およびR3がグルコシル基である場合、前記の式(V)化合物はジンセノサイドRg1で、
R1がHで、R2およびR3がグルコシル基で、R4がキシロシル基である場合、前記の式(VI)化合物はノトギンセノシドR1で、
R1がHで、R2およびR3がグルコシル基で、R4がグルコシル基である場合、前記の式(VI)化合物はサポニン20-O-グルコシルジンセノサイドRfで、
R1およびR2がHで、R3がグルコシル基である場合、前記の式(V)化合物はジンセノサイドRh1で、
R1およびR2がHで、R3がグルコシル基で、R4がキシロシル基である場合、前記の式(VI)化合物はノトギンセノシドR2で、R1およびR2がHで、R3およびR4がグルコシル基である場合、前記の式(VI)化合物はジンセノサイドRfである。
(D)
【化4】
ここで、R1がグリコシル基で、R2およびR3がOHまたはHで、R4がグリコシル基またはHで、R5がグリコシル基で、R5-R1-OがC3の1番目のグリコシル基から誘導されたグリコシル基で、前記のポリペプチドは配列番号39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、98、100、116、118、120、122、または124あるいはその誘導体ポリペプチドから選ばれる。
【0031】
R1~R4が置換された化合物は、下記の表に示す。
【表4】
【0032】
すなわち、R1がグルコシル基で、R2がHで、R3がOHで、R4がHである場合、式(VII)化合物はRh2で、
R1がグルコシル基で、R2がHで、R3がOHで、R4がグルコシル基である場合、式(VII)化合物はF2で、
R1がグルコシル基で、R2がHで、R3がOHで、R4が2つのグルコシル基である場合、式(VII)化合物はジペノサイドXVIIで、
R1がグルコシル基で、R2がHで、R3がOHで、R4が1つのグルコシル基に1つのキシロシル基で伸長したものである場合、式(VII)化合物はジペノサイドIXで、
基質の(VII)化合物がRh2である場合、産物の式(VIII)化合物はRg3で、基質の(VII)化合物がF2である場合、産物の式(VIII)化合物はRdで、基質の(VII)化合物がジペノサイドXVIIである場合、産物の式(VIII)化合物はRb1で、基質の(VII)化合物がジペノサイドIXである場合、産物の式(VIII)化合物はRb3である。
(E)
【化5】
ここで、R1がグリコシル基で、R2およびR3がOHまたはHで、R4がグリコシル基またはHで、R5がグリコシル基で、R6-R1-OがC3の1番目のグリコシル基から誘導されたグリコシル基で、R6がグリコシル基で、R6-R1-OがC3の1番目のグリコシル基から誘導されたグリコシル基で、前記のポリペプチドは配列番号41、45、90、92、94または96あるいはその誘導体ポリペプチドから選ばれる。
【0033】
R1が2つのグルコシル基で、R2がHで、R3がOHで、R4がHである場合、式(IX)化合物はRg3である。
R1が2つのグルコシル基で、R2がHで、R3がOHで、R4がグルコシル基である場合、式(IX)化合物はRdである。
【0034】
もう一つの好適な例において、前記のグリコシル基は、グルコシル基、キシロース、ガラクツロン酸基、ガラクトシル基、アラビノシル基、ラムノシル基、およびほかの六炭糖基または五炭糖基から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記反応式における(I)、(III)、(V)、(VII)、(IX)化合物は、S配置またはR配置のダンマラン型テトラシクロトリテルペン系化合物、ラノスタン型テトラシクロトリテルペン系化合物、アポチルカラン(apotirucallane)型テトラシクロトリテルペン系化合物、チルカラン型テトラシクロトリテルペン系化合物、シクロアルタン型テトラシクロトリテルペン系化合物、ククルビタン型テトラシクロトリテルペン系化合物、またはメリアカン型テトラシクロトリテルペン系化合物を含むが、これらに限定されない。
【0035】
もう一つの好適な例において、前記反応式における(II)、(IV)、(VI)、(VIII)、または(X)化合物はジンセノサイドRg3、ジンセノサイドRd、ジンセノサイドRb1、ジンセノサイドRb3、サポニンDMGG、サポニンDMGX、ジペノサイドLXXV、ジペノサイドXVII、ジペノサイドXIII、ジペノサイドIX、ノトギンセノシドUおよび、ノトギンセノシドR1、およびノトギンセノシドR2、ノトギンセノシドR3、3-O-β-(D-キシロピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-PPD、3-O-β-(D-キシロピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-CK、20-O-グルコシルジンセノサイドRfおよびジンセノサイドF3を含む。
【0036】
本発明の第六の側面では、糖転移触媒反応を行う方法であって、本発明の第三の側面に記載のポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドの存在下で、糖転移触媒反応を行う工程を含む方法を提供する。
もう一つの好適な例において、前記方法は、さらに、
糖ドナーおよび本発明の第三の側面に記載のポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドの存在下で、前記の式(I)化合物を前記の式(II)化合物に、あるいは前記の式(III)化合物を前記の式(IV)化合物に、あるいは前記の式(V)化合物を前記の式(VI)化合物に、あるいは前記の式(VII)化合物を前記の式(VIII)化合物に、あるいは前記の式(IX)化合物を前記の式(IX)化合物に転化させる工程を含む。
【0037】
もう一つの好適な例において、前記の方法は、さらに、前記のポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドをそれぞれ触媒反応に入れること、および/または
前記のポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドを同時に触媒反応に入れることを含む。
もう一つの好適な例において、前記の方法は、さらに、糖転移酵素をコードするヌクレオチド配列をダンマレンジオールおよび/またはプロトパナキサジオールおよび/またはプロトパナキサトリオールの合成代謝経路における鍵遺伝子と宿主細胞において共発現させ、前記の式(II)、(IV)、(VI)、(VIII)、または(X)化合物を得ることを含む。
もう一つの好適な例において、前記の宿主細胞は酵母菌または大腸菌である。
【0038】
もう一つの好適な例において、前記のポリペプチドは、配列番号4、6、8、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドおよびその誘導体ポリペプチドである。
もう一つの好適な例において、前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号3、5、7、13、15、17、19、21、23、25、27、29、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、89、91、93、95、97、99、115、117、119、121、または123で示される。
もう一つの好適な例において、前記方法は、さらに、反応系に酵素活性を調節する添加物を提供することを含む。
【0039】
もう一つの好適な例において、前記の酵素活性を調節する添加物は、酵素活性を向上するか、あるいは酵素活性を抑制する添加物である。
もう一つの好適な例において、前記の酵素活性を調節するための添加物は、Ca2+、Co2+、Mn2+、Ba2+、Al3+、Ni2+、Zn2+、またはFe2+からなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記の酵素活性を調節する添加物は、Ca2+、Co2+、Mn2+、Ba2+、Al3+、Ni2+、Zn2+、またはFe2+を生成することができる物質である。
【0040】
もう一つの好適な例において、前記の糖ドナーはヌクレオシド二リン酸糖で、UDP-グルコース、ADP-グルコース、TDP-グルコース、CDP-グルコース、GDP-グルコース、UDP-キシロース、ADP-キシロース、TDP-キシロース、CDP-キシロース、GDP-キシロース、UDP-ガラクツロン酸、UDP-アセチルグルコース、ADP-アセチルグルコース、TDP-アセチルグルコース、CDP-アセチルグルコース、GDP-アセチルグルコース、ADP-ガラクツロン酸、TDP-ガラクツロン酸、CDP-ガラクツロン酸、GDP-ガラクツロン酸、UDP-ガラクトース、ADP-ガラクトース、TDP-ガラクトース、CDP-ガラクトース、GDP-ガラクトース、UDP-アラビノース、ADP-アラビノース、TDP-アラビノース、CDP-アラビノース、GDP-アラビノース、UDP-ラムノース、ADP-ラムノース、TDP-ラムノース、CDP-ラムノース、GDP-ラムノース、あるいはほかのヌクレオシド二リン酸六炭糖またはヌクレオシド二リン酸五炭糖、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0041】
もう一つの好適な例において、前記の糖ドナーはウリジン二リン酸糖で、UDP-グルコース、UDP-キシロース、UDP-ガラクツロン酸、UDP-ガラクトース、UDP-アラビノース、UDP-ラムノース、あるいはほかのウリジン二リン酸六炭糖またはウリジン二リン酸五炭糖、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、反応系のpHは、pH4.0~10.0で、好ましくはpH5.5~9.0である。
もう一つの好適な例において、反応系の温度は、10℃~105℃で、好ましくは20℃~50℃である。
もう一つの好適な例において、前記のダンマレンジオールの合成代謝経路における鍵遺伝子は、ダンマレンジオール合成酵素遺伝子を含むが、これに限定されない。
【0042】
もう一つの好適な例において、前記のジンセノサイドCKの合成代謝経路における鍵遺伝子は、ダンマレンジオール合成酵素遺伝子、シトクロムP450 CYP716A47遺伝子およびP450 CYP716A47の還元酵素遺伝子およびテトラシクロトリテルペンC20位の糖転移酵素UGTPg1(Genbank登録番号KF377585.1)、あるいはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
もう一つの好適な例において、前記のジンセノサイドの合成代謝経路における鍵遺伝子は、ダンマレンジオール合成酵素遺伝子、シトクロムP450 CYP716A47遺伝子、P450 CYP716A47の還元酵素遺伝子、およびシトクロムP450 CYP716A53V2遺伝子およびその還元酵素ならびにテトラシクロトリテルペンC20位の糖転移酵素UGTPg1、あるいはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0043】
もう一つの好適な例において、前記のジンセノサイドCKの合成代謝経路における鍵遺伝子は、ダンマレンジオール合成酵素遺伝子、シトクロムP450 CYP716A47遺伝子およびP450 CYP716A47の還元酵素遺伝子およびテトラシクロトリテルペンC20位とC6位の糖転移酵素UGTPg1とUGTPg100(Genbank登録番号AKQ76388.1)、あるいはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
もう一つの好適な例において、前記グリコシル触媒反応の基質は、式(I)、(III)、(V)、(VII)、(IX)化合物で、かつ前記の産物はそれぞれ(II)、(IV)、(VI)、(VIII)、(X)化合物である。
【0044】
もう一つの好適な例において、前記の式(I)化合物はジンセノサイドCKで、かつ式(II)化合物はジペノサイドLXXV(20-O-β-(D-グルコピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-プロトパナキサジオール)(20-O-β-(D-glucopyranosyl)-β-(D-glucopyranosyl)-protopanaxadiol)で、
あるいは、前記の式(I)化合物はジンセノサイドDMGで、かつ式(II)化合物は新規なジンセノサイドDMGG(20-O-β-(D-グルコピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-ダンマレンジオール)(20-O-β-(D-glucopyranosyl)-β-(D-glucopyranosyl)-dammarenediol)で、
あるいは、前記の式(I)化合物はジンセノサイドF2で、かつ式(II)化合物はジペノサイドXVII(3-O-β-(D-グルコピラノシル)-20-O-β-(D-グルコピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-プロトパナキサジオール)(3-O-β-(D-glucopyranosyl)-20-O-β-(D-glucopyranosyl)-β-(D-glucopyranosyl) -protopanaxadiol)で、
あるいは、前記の式(I)化合物はジンセノサイドRdで、かつ式(II)化合物はジンセノサイドRb1(3-O-β-(D-グルコピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-20-O-β-(D-グルコピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-プロトパナキサジオール)(3-O-β-(D-glucopyranosyl)-β-(D-glucopyranosyl)-20-O-β-(D-glucopyranosyl)-β-(D-glucopyranosyl) -protopanaxadiol)で、
あるいは、前記の式(I)化合物はジンセノサイドRdで、かつ式(II)化合物はジンセノサイドRb3(3-O-β-(D-グルコピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-20-O-β-(D-キシロピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-プロトパナキサジオール)(3-O-β-(D-glucopyranosyl)-β-(D-glucopyranosyl)-20-O-β-(D-xylopyranosyl)-β-(D-glucopyranosyl) -protopanaxadiol)で、
あるいは、前記の式(I)化合物はジンセノサイドCKで、かつ式(II)化合物はジペノサイドXIIIで、
あるいは、前記の式(I)化合物はジンセノサイドDMGで、かつ式(II)化合物はジンセノサイドDMGX(20-O-β-(D-キシロピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-ダンマレンジオール)(20-O-β-(D-glucopyranosyl)-β-(D-glucopyranosyl)-dammarenediol)で、
あるいは、前記の式(I)化合物はジンセノサイドF2で、かつ式(II)化合物はジペノサイドIXで、
あるいは、前記の式(I)化合物はジンセノサイドCKで、かつ式(II)化合物はジンセノサイドF3である。もう一つの好適な例において、前記の式(III)化合物はジンセノサイドF1で、かつ式(IV)化合物はノトギンセノシドU(20-O-β-(D-グルコピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-プロトパナキサトリオール)(20-O-β-(D-glucopyranosyl)-β-(D-glucopyranosyl)-protopanaxatriol)である。
【0045】
もう一つの好適な例において、前記の式(III)化合物はジンセノサイドRg1で、かつ式(IV)化合物はノトギンセノシドR3である。
もう一つの好適な例において、前記の式(V)化合物はジンセノサイドRg1で、かつ式(VI)化合物はノトギンセノシドR1(6-O-β-(D-キシロピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-20-O-β-(D-グルコピラノシル)-プロトパナキサトリオール)(6-O-β-(D-xylopyranosyl)-β-(D-glucopyranosyl)-20-O-β-(D-glucopyranosyl) -protopanaxatriol)で、
あるいは、前記の式(V)化合物はジンセノサイドRg1で、かつ式(VI)化合物は20-O-グルコシルジンセノサイドRf(20-O-Glucosylginsenoside Rf)で、
あるいは、前記の式(V)化合物はジンセノサイドRh1で、かつ式(VI)化合物はノトギンセノシドR2(6-O-β-(D-キシロピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-プロトパナキサトリオール)(6-O-β-(D-xylopyranosyl)-β-(D-glucopyranosyl)-protopanaxatriol)で、
あるいは、前記の式(V)化合物はジンセノサイドRh1で、かつ式(VI)化合物はジンセノサイドRfである。
【0046】
もう一つの好適な例において、前記の式(III)化合物はジンセノサイドRg1で、かつ式(IV)化合物はノトギンセノシドR3である。
もう一つの好適な例において、前記の式(VII)化合物はRh2である場合、産物の式(VIII)化合物はRg3で、
前記の式(VII)化合物はF2である場合、産物の式(VIII)化合物はRdで、
前記の式(VII)化合物はジペノサイドXVIIである場合、産物の式(VIII)化合物はRb1で、
前記の式(VII)化合物はジペノサイドIXである場合、産物の式(VIII)化合物はRb3である。
【0047】
もう一つの好適な例において、前記の式(IX)化合物はRg3である場合、産物の式(X)化合物は3-O-β-(D-キシロピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-PPD(3-O-β-(D-xylopyranosyl)-β-(D-glucopyranosyl)-PPD)で、
前記の式(IX)化合物はRdである場合、産物の式(X)化合物は3-O-β-(D-キシロピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-CK(3-O-β-(D-xylopyranosyl)-β-(D-glucopyranosyl)-CK)である。
【0048】
本発明の第七の側面では、遺伝子操作された宿主細胞であって、本発明の第五の側面に記載のベクターを含むか、あるいはゲノムに本発明の第四の側面に記載のポリヌクレオチドが組み込まれた宿主細胞を提供する。
もう一つの好適な例において、前記の細胞は、原核細胞または真核細胞である。
もう一つの好適な例において、前記の宿主細胞は真核細胞で、たとえば酵母細胞または植物細胞である。
【0049】
もう一つの好適な例において、前記の宿主細胞は、出芽酵母細胞である。
もう一つの好適な例において、前記の宿主細胞は原核細胞で、たとえば大腸菌である。
もう一つの好適な例において、前記の宿主細胞は、オタネニンジン細胞である。
もう一つの好適な例において、前記の宿主細胞は、自然で式(II) 、(IV)、(VI)、(VII)、(X)化合物を生成する細胞ではない。
【0050】
もう一つの好適な例において、前記の宿主細胞は、自然でジンセノサイドRg3、ジンセノサイドRd、ジンセノサイドRb1、ジンセノサイドRb3、サポニンDMGG、サポニンDMGX、ジペノサイドLXXV、ジペノサイドXVII、ジペノサイドXIII、ジペノサイドIX、ノトギンセノシドUおよび、ノトギンセノシドR1、およびノトギンセノシドR2、ノトギンセノシドR3、3-O-β-(D-キシロピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-PPD、3-O-β-(D-キシロピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-CK、20-O-グルコシルジンセノサイドRfおよびジンセノサイドF3生成する細胞ではない。
もう一つの好適な例において、前記のダンマレンジオールの合成代謝経路における鍵遺伝子は、ダンマレンジオール合成酵素遺伝子を含むが、これに限定されない。
【0051】
もう一つの好適な例において、前記の宿主細胞に含まれるジンセノサイドCKの合成代謝経路における鍵遺伝子は、ダンマレンジオール合成酵素遺伝子、シトクロムP450 CYP716A47遺伝子、P450 CYP716A47の還元酵素遺伝子およびテトラシクロトリテルペンC20位の糖転移酵素UGTPg1、あるいはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
もう一つの好適な例において、前記の宿主細胞に含まれるジンセノサイドF1の合成代謝経路における鍵遺伝子は、ダンマレンジオール合成酵素遺伝子、シトクロムP450 CYP716A47遺伝子、P450 CYP716A47の還元酵素遺伝子、シトクロムP450 CYP716A53V2遺伝子およびテトラシクロトリテルペンC20位の糖転移酵素UGTPg1、あるいはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0052】
もう一つの好適な例において、前記のジンセノサイドRg1の合成代謝経路における鍵遺伝子は、ダンマレンジオール合成酵素遺伝子、シトクロムP450 CYP716A47遺伝子およびP450 CYP716A47の還元酵素遺伝子およびテトラシクロトリテルペンC20位とC6位の糖転移酵素UGTPg1とUGTPg100(Genbank登録番号AKQ76388.1)、あるいはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
本発明の第八の側面では、本発明の第七の側面に記載の宿主細胞の使用であって、酵素触媒試薬を製造するため、あるいは糖転移酵素を生成するため、あるいは触媒細胞として式(II)、(IV)、(VI)、(VIII)または(X)化合物を生成するために用いられる使用を提供する。
【0053】
本発明の第九の側面では、遺伝子組み換え植物を生成する方法であって、請求項8に記載の遺伝子操作された宿主細胞を植物に再生させ、かつ前記の遺伝子操作された宿主細胞が植物細胞である工程を含む方法を提供する。
もう一つの好適な例において、前記の遺伝子操作された宿主細胞は、オタネニンジン細胞である。
もう一つの好適な例において、前記の遺伝子操作された宿主細胞は、サンシチニンジン細胞である。
もちろん、本発明の範囲内において、本発明の上記の各技術特徴および下記(たとえば実施例)の具体的に記述された各技術特徴は互いに組み合わせ、新しい、または好適な技術方案を構成できることが理解される。紙数に限りがあるため、ここで逐一説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】
図1(A)はSDS-PAGEによる糖転移酵素遺伝子GT29-32、GT29-33およびGT29-34の大腸菌における発現で、レーンcontrolはpet28aブランクベクター組み換え体の分解液全タンパク質または分解上清で、レーンGT29-32は組み換え大腸菌BL21-GT29-32の分解液全タンパク質または分解上清で、レーンGT29-33は組み換え大腸菌BL21-GT29-33の分解液全タンパク質または分解上清で、レーンGT29-34は組み換え大腸菌BL21-GT29-34の分解液全タンパク質または分解上清で、
図1(B)はウエスタンブロット検出による糖転移酵素遺伝子GT29-32、GT29-33およびGT29-34の大腸菌における発現で、レーンcontrolはpet28aブランクベクター組み換え体の分解液全タンパク質または分解上清で、レーンGT29-32は組み換え大腸菌BL21-GT29-32の分解液全タンパク質または分解上清で、レーンGT29-33は組み換え大腸菌BL21-GT29-33の分解液全タンパク質または分解上清で、レーンGT29-34は組み換え大腸菌BL21-GT29-34の分解液全タンパク質または分解上清である。
【0055】
【
図2】
図2は糖転移酵素GT29-32、GT29-33およびGT29-34によって触媒される、ジンセノサイドCKまたはRdを糖アクセプターと、UDP-グルコースまたはUDP-キシロースを糖ドナーとする糖転移反応のTLCスペクトルを示す。Controlはpet28aブランクベクター組み換え体の分解液上清を酵素液とする場合を、GT29-32、GT29-33およびGT29-34はそれぞれ組み換え大腸菌BL21-GT29-32、BL21-GT29-33、BL21-GT29-34の分解液上清を酵素液とする場合を表す。
【
図3】
図3は糖転移酵素GT29-32、GT29-33およびGT29-34によって触媒される、ジンセノサイドCKまたはRdを糖アクセプターと、UDP-グルコースを糖ドナーとする糖転移反応のHPLCスペクトルを示す。Controlはpet28aブランクベクター組み換え体の分解液上清を酵素液とする場合を、GT29-32、GT29-33およびGT29-34はそれぞれ組み換え大腸菌BL21-GT29-32、BL21-GT29-33、BL21-GT29-34の分解液上清を酵素液とする場合を表す。
【0056】
【
図4】
図4は糖転移酵素GT29-32、GT29-33およびGT29-34によって触媒される、ジンセノサイドRdを糖アクセプターと、UDP-キシロースを糖ドナーとする糖転移反応のHPLCスペクトルを示す。Controlはpet28aブランクベクター組み換え体の分解液上清を酵素液とする場合を、GT29-32、GT29-33およびGT29-34はそれぞれ組み換え大腸菌BL21-GT29-32、BL21-GT29-33、BL21-GT29-34の分解液上清を酵素液とする場合を表す。
【
図5】
図5は糖転移酵素GT29-32、GT29-33およびGT29-34によって触媒される、ジンセノサイドF1を糖アクセプターと、UDP-グルコースを糖ドナーとする糖転移反応のTLCスペクトルを示す。Controlはpet28aブランクベクター組み換え体の分解液上清を酵素液とする場合を、GT29-32、GT29-33およびGT29-34はそれぞれ組み換え大腸菌BL21-GT29-32、BL21-GT29-33、BL21-GT29-34の分解液上清を酵素液とする場合を表す。
【0057】
【
図6】
図6は糖転移酵素GT29-32、GT29-33およびGT29-34によって触媒される、ジンセノサイドF1を糖アクセプターと、UDP-グルコースを糖ドナーとする糖転移反応のHPLCスペクトルを示す。Controlはpet28aブランクベクター組み換え体の分解液上清を酵素液とする場合を、GT29-32、GT29-33およびGT29-34はそれぞれ組み換え大腸菌BL21-GT29-32、BL21-GT29-33、BL21-GT29-34の分解液上清を酵素液とする場合を表す。
【
図7】
図7は糖転移酵素GT29-4、GT29-5、GT29-7、GT29-9、GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-24およびGT29-25によって触媒される、ジンセノサイドRg1を糖アクセプターと、UDP-キシロースを糖ドナーとする糖転移反応のTLCスペクトルを示す。Controlはpet28aブランクベクター組み換え体の分解液上清を酵素液とする場合を、、GT29-5、GT29-7、GT29-9、GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-24およびGT29-25はそれぞれ組み換え大腸菌BL21-GT29-4、BL21-GT29-5、BL21-GT29-7、BL21-GT29-9、BL21-GT29-11、BL21-GT29-13、BL21-GT29-17、BL21-GT29-18、BL21-GT29-24およびBL21-GT29-25の分解液上清を酵素液とする場合を表す。
【0058】
【
図8】
図8は糖転移酵素GT29-4、GT29-5、GT29-7およびGT29-9によって触媒される、ジンセノサイドRg1を糖アクセプターと、UDP-キシロースを糖ドナーとする糖転移反応のHPLCスペクトルを示す。Controlはpet28aブランクベクター組み換え体の分解液上清を酵素液とする場合を、GT29-4、GT29-5、GT29-7およびGT29-9はそれぞれ組み換え大腸菌BL21-GT29-4、BL21-GT29-5、BL21-GT29-7およびBL21-GT29-9の分解液上清を酵素液とする場合を表す。
【
図9】
図9は糖転移酵素GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-24およびGT29-25によって触媒される、ジンセノサイドRg1を糖アクセプターと、UDP-キシロースを糖ドナーとする糖転移反応のHPLCスペクトルを示す。Controlはpet28aブランクベクター組み換え体の分解液上清を酵素液とする場合を、GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-24およびGT29-25はそれぞれ組み換え大腸菌BL21-GT29-11、BL21-GT29-13、BL21-GT29-17、BL21-GT29-18、BL21-GT29-24およびBL21-GT29-25の分解液上清を酵素液とする場合を表す。
【0059】
【
図10】
図10はウエスタンブロット検出による糖転移酵素PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14、PNUGT29-15タンパク質の発現状況を示す。Controlはpet28aブランクベクター組み換え体の分解液上清を酵素液とする場合を、PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14、PNUGT29-15はそれぞれ組み換え大腸菌BL21- PNUGT29-1、BL21- PNUGT29-2、BL21- PNUGT29-3、BL21- PNUGT29-4、BL21- PNUGT29-5、BL21- PNUGT29-6、BL21- PNUGT29-7、BL21- PNUGT29-8、BL21- PNUGT29-9、BL21- PNUGT29-14、BL21- PNUGT29-15の分解液上清を酵素液とする場合を表す。
【0060】
【
図11】
図11は糖転移酵素PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14、PNUGT29-15によって触媒される、ジンセノサイドRdを糖アクセプターと、UDP-グルコースを糖ドナーとする糖転移反応のTLCスペクトルを示す。Controlはpet28aブランクベクター組み換え体の分解液上清を酵素液とする場合を、PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14、PNUGT29-15はそれぞれ組み換え大腸菌BL21- PNUGT29-1、BL21- PNUGT29-2、BL21- PNUGT29-3、BL21- PNUGT29-4、BL21- PNUGT29-5、BL21- PNUGT29-6、BL21- PNUGT29-7、BL21- PNUGT29-8、BL21- PNUGT29-9、BL21- PNUGT29-14、BL21- PNUGT29-15の分解液上清を酵素液とする場合を表す。
【0061】
【
図12】
図12は糖転移酵素PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14、PNUGT29-15によって触媒される、ジンセノサイドCKを糖アクセプターと、UDP-グルコースを糖ドナーとする糖転移反応のTLCスペクトルを示す。Controlはpet28aブランクベクター組み換え体の分解液上清を酵素液とする場合を、PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14、PNUGT29-15はそれぞれ組み換え大腸菌BL21- PNUGT29-1、BL21- PNUGT29-2、BL21- PNUGT29-3、BL21- PNUGT29-4、BL21- PNUGT29-5、BL21- PNUGT29-6、BL21- PNUGT29-7、BL21- PNUGT29-8、BL21- PNUGT29-9、BL21- PNUGT29-14、BL21- PNUGT29-15の分解液上清を酵素液とする場合を表す。
【0062】
【
図13】
図13は糖転移酵素PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14、PNUGT29-15によって触媒される、ジンセノサイドRh2を糖アクセプターと、UDP-グルコースを糖ドナーとする糖転移反応のTLCスペクトルを示す。Controlはpet28aブランクベクター組み換え体の分解液上清を酵素液とする場合を、PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14、PNUGT29-15はそれぞれ組み換え大腸菌BL21- PNUGT29-1、BL21- PNUGT29-2、BL21- PNUGT29-3、BL21- PNUGT29-4、BL21- PNUGT29-5、BL21- PNUGT29-6、BL21- PNUGT29-7、BL21- PNUGT29-8、BL21- PNUGT29-9、BL21- PNUGT29-14、BL21- PNUGT29-15の分解液上清を酵素液とする場合を表す。
【0063】
【
図14】
図14は糖転移酵素GT29-36、GT29-36、GT29-42およびGT29-43によって触媒される、ジンセノサイドRdを糖アクセプターと、UDP-キシロースを糖ドナーとする糖転移反応のTLCスペクトルを示す。GT29-36、GT29-36、GT29-42およびGT29-43はそれぞれ組み換え大腸菌BL21-GT29-36、BL21-GT29-36、BL21-GT29-42およびBL21-GT29-43の分解液上清を酵素液とする場合を表す。
【
図15】
図15は糖転移酵素GT29-45およびGT29-46によって触媒される、ジンセノサイドRh2を糖アクセプターと、UDP-グルコースを糖ドナーとする糖転移反応のTLCスペクトルを示す。Controlはpet28aブランクベクター組み換え体の分解液上清を酵素液とする場合を、GT29-45およびGT29-46はそれぞれ組み換え大腸菌BL21-GT29-45およびBL21-GT29-46の分解液上清を酵素液とする場合を表す。
【0064】
【
図16】
図16は糖転移酵素GT29-45およびGT29-46によって触媒される、ジンセノサイドCKを糖アクセプターと、UDP-グルコースを糖ドナーとする糖転移反応のTLCスペクトルを示す。Controlはpet28aブランクベクター組み換え体の分解液上清を酵素液とする場合を、GT29-45およびGT29-46はそれぞれ組み換え大腸菌BL21-GT29-45およびBL21-GT29-46の分解液上清を酵素液とする場合を表す。
【
図17】
図17は糖転移酵素GT29-32によって触媒される、ジンセノサイドCKを糖アクセプターと、UDP-アラビノースを糖ドナーとする糖転移反応のTLCスペクトルを示す。Controlはpet28aブランクベクター組み換え体の分解液上清を酵素液とする場合を、GT29-32は組み換え大腸菌BL21-GT29-32の分解液上清を酵素液とする場合を表す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
具体的な実施形態
本発明者は幅広く深く研究したところ、初めて、新規な糖転移酵素、それに相応する糖転移触媒部位を提供した。具体的に、本発明の糖転移酵素GT29-32(配列番号4)、GT29-33(配列番号6)、GT29-34(配列番号8)、GT29-4(配列番号12)、GT29-5(配列番号14)、GT29-7(配列番号16)、GT29-9(配列番号18),GT29-11(配列番号20)、GT29-13(配列番号22)、GT29-17(配列番号24)、GT29-18(配列番号26)、GT29-19(配列番号116)、GT29-20(配列番号118)、GT29-21(配列番号120)、GT29-22(配列番号122)、GT29-23(配列番号124)、GT29-24(配列番号28)、GT29-25(配列番号30)、GT29-36(配列番号90)、GT29-37(配列番号92)、GT29-42(配列番号94)、GT29-43(配列番号96)、GT29-45(配列番号98)、GT29-46(配列番号100)、PNUGT29-1(配列番号39)、PNUGT29-2(配列番号41)、PNUGT29-3(配列番号43)、PNUGT29-4(配列番号45)、PNUGT29-5(配列番号47)、PNUGT29-6(配列番号49)、PNUGT29-7(配列番号51)、PNUGT29-8(配列番号53)、PNUGT29-9(配列番号55)、PNUGT29-14(配列番号57)、PNUGT29-15(配列番号59)は特異的かつ効率的にテトラシクロトリテルペン系化合物である基質のC-20位、C-6位またはC3位の1番目のグリコシル基の水酸基のグリコシル化あるいは元のグリコシル基の置換を触媒し、糖鎖を伸長させることができる。
【0066】
本発明の糖転移酵素は、特にそれぞれジンセノサイドCK、DMG、F2、Rd、F1、Rh1およびRg1をそれぞれほかの活性を有するジンセノサイドRg3、ジンセノサイドRd、ジンセノサイドRb1、ジンセノサイドRb3、サポニンDMGG、サポニンDMGX、ジペノサイドLXXV、ジペノサイドXVII、ジペノサイドXIII、ジペノサイドIX、ノトギンセノシドUおよび、ノトギンセノシドR1、およびノトギンセノシドR2、ノトギンセノシドR3、3-O-β-(D-キシロピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-PPD、3-O-β-(D-キシロピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-CK、20-O-グルコシルジンセノサイドRfおよびジンセノサイドF3に転化させることができる。
【0067】
定義
本明細書で用いられるように、用語「活性ポリペプチド」、「本発明のポリペプチドおよびその誘導体ポリペプチド」、「本発明の酵素」、「糖転移酵素」は、入れ替えて使用することができ、いずれもGT29-32(配列番号4)、GT29-33(配列番号6)、GT29-34(配列番号8)、GT29-4(配列番号12)、GT29-5(配列番号14)、GT29-7(配列番号16)、GT29-9(配列番号18)、GT29-11(配列番号20)、GT29-13(配列番号22)、GT29-17(配列番号24)、GT29-18(配列番号26)、GT29-19(配列番号116)、GT29-20(配列番号118)、GT29-21(配列番号120)、GT29-22(配列番号122)、GT29-23(配列番号124)、GT29-24(配列番号28)、GT29-25(配列番号30)、GT29-36(配列番号90)、GT29-37(配列番号92)、GT29-42(配列番号94)、GT29-43(配列番号96)、GT29-45(配列番号98)、GT29-46(配列番号100)、PNUGT29-1(配列番号39)、PNUGT29-2(配列番号41)、PNUGT29-3(配列番号43)、PNUGT29-4(配列番号45)、PNUGT29-5(配列番号47)、PNUGT29-6(配列番号49)、PNUGT29-7(配列番号51)、PNUGT29-8(配列番号53)、PNUGT29-9(配列番号55)、PNUGT29-14(配列番号57)、PNUGT29-15(配列番号59)のポリペプチドおよびその誘導体ポリペプチドを指す。
本明細書で用いられるように、「単離されたポリペプチド」または「活性ポリペプチド」とは、ポリペプチドに実質的に自然でそれに関連するほかのタンパク質、脂質、糖類またはほかの物質が含まれないことである。当業者は標準のタンパク質精製技術によって前記ポリペプチドを精製することができる。実質的に純粋なポリペプチドは、非還元ポリアクリルアミドゲルでは単一のメインバンドが現れる。前記ポリペプチドの純度は、アミノ酸配列でさらに分析することもできる。
【0068】
本発明の活性ポリペプチドは、組み換えポリペプチド、天然ポリペプチド、合成ポリペプチドでもよい。本発明のポリペプチドは、天然精製の産物、あるいは化学合成の産物、あるいは組み換え技術で原核または真核宿主(たとえば、細菌、酵母、植物)から生成するものでもよい。組み換え生産プロセスで用いられる宿主にによって、本発明のポリペプチドは、グリコシル化されたものでもよく、又はグリコシル化されていないものでもよい。また、本発明のポリペプチドは、開始のメチオニン残基を含有してもよく、含有しなくてもよい。
本発明は、さらに、前記ポリペプチドの断片、誘導体および類似体を含む。本明細書で用いられるように、用語の「断片」、「誘導体」および「類似体」とは、実質的に前記ポリペプチドと同じ生物学的機能または活性を維持するポリペプチドである。
【0069】
本発明のポリペプチドの断片、誘導体や類似体は、(i)1個または複数個の保存的または非保存的なアミノ酸残基(好ましくは保存的なアミノ酸残基)が置換されたポリペプチドでもよく、置換されたアミノ酸残基が遺伝コードでコードされてもされていなくてもよく、または(ii)1個または複数個のアミノ酸残基に置換基があるポリペプチドでもよく、または(iii)成熟のポリペプチドと他の化合物(たとえば、ポリエチレングリコールようなポリペプチドの半減期を延ばす化合物)と融合したポリペプチドでもよく、または(iv)付加のアミノ酸配列がこのポリペプチドに融合したポリペプチド(たとえばリーダー配列または分泌配列またはこのポリペプチドを精製するための配列または蛋白質前駆体配列、あるいは抗原IgG断片と形成した融合蛋白質)でもよい。本明細書の開示に基づき、これらの断片、誘導体および類似体は当業者に公知の範囲に入っている。
【0070】
本発明の活性ポリペプチドは、糖転移酵素活性を有し、かつ以下の1種類または2種類以上の反応を触媒することができる。
(A)
【化6】
(ただし、R1はH、単糖のグリコシル基または多糖のグリコシル基で、R2はHまたはOHで、R3は単糖のグリコシル基で、R4は単糖のグリコシル基である。前記のポリペプチドは、配列番号4、6、8、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、98、100、116、118、120、122、または124で示されるポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドから選ばれる。)
【0071】
もう一つの好適な例において、前記の単糖は、グルコース(Glc)、ラムノース(Rha)、アセチルグルコース(Glc(6)Ac)、アラビノフラノース(Araf)、アラビノピラノース(Arap)、またはキシロース(Xyl)などを含む。
もう一つの好適な例において、前記の多糖は、Glc(2-1)Glc、Glc(6-1)Glc、Glc(6)Ac、Glc(2-1)Rha、Glc(6-1)Arap、Glc(6-1)Xyl、Glc(6-1)Araf、Glc(3-1)Glc(3-1)、Glc(2-1) Glu(6)Ac、Glc(6-1)Arap(4-1)Xyl、Glc(6-1)Arap(2-1)Xyl、またはGlc(6-1)Arap(3-1)Xylなどの2~4個の単糖からなる多糖を含む。
R1~R4が置換された化合物は、下記の表に示す。
【0072】
【0073】
すなわち、前記のR1がHで、R2がOHで、R3がグルコシル基である場合、前記の式(I)化合物はジンセノサイドCK(CK)で、
R1およびR2が共にHで、R3がグルコシル基である場合、前記の式(I)化合物はジンセノサイドDMGで、
R1がグルコシル基で、R2がOHで、R3がグルコシル基である場合、前記の式(I)化合物はジンセノサイドF2(F2)で、あるいは
R1が2つのグルコシル基(Glc(2-1)Glc)で、R2がOHで、R3がグルコシル基である場合、前記の式(I)化合物はジンセノサイドRdで、
(B)
【化7】
ここで、R1がH、グリコシル基または多糖のグリコシル基で、R2がグリコシル基で、R3がグリコシル基で、前記のポリペプチドは配列番号4またはその誘導体ポリペプチドから選ばれる。
【0074】
R1~R3が置換された化合物は、下記の表に示す。
【0075】
【0076】
すなわち、R1がHで、R2がグルコシル基である場合、前記の式(III)化合物はジンセノサイドF1(F1)で、あるいは、R1およびR2がグルコシル基である場合、前記の式(III)化合物はジンセノサイドRg1(Rg1)で、
(C)
【化8】
ここで、R1およびR2はHまたはグリコシル基で、R3およびR4はグリコシル基である。前記のポリペプチドは、配列番号12、14、16、18、20、22、24、26、28、30またはその誘導体ポリペプチドから選ばれる。
【0077】
R1~R4が置換された化合物は、下記の表に示す。
【0078】
【0079】
すなわち、R1がHで、R2およびR3がグルコシル基である場合、前記の式(V)化合物はジンセノサイドRg1で、
R1およびR2がHで、R3がグルコシル基である場合、前記の式(V)化合物はジンセノサイドRh1である。(D)
【化9】
ここで、R1がグリコシル基で、R2およびR3がOHまたはHで、R4がグリコシル基またはHで、R5がグリコシル基で、R5-R1-OがC3の1番目のグリコシル基から誘導されたグリコシル基で、前記のポリペプチドは配列番号26、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、98、100、116、118、120、122、または124あるいはその誘導体ポリペプチドから選ばれる。
【0080】
【0081】
すなわち、R1がグルコシル基で、R2がHで、R3がOHで、R4がHである場合、式(VII)化合物はRh2で、
R1がグルコシル基で、R2がHで、R3がOHで、R4がグルコシル基である場合、式(VII)化合物はF2で、
R1がグルコシル基で、R2がHで、R3がOHで、R4が2つのグルコシル基である場合、式(VII)化合物はジペノサイドXVIIで、
R1がグルコシル基で、R2がHで、R3がOHで、R4が1つのグルコシル基に1つのキシロシル基で伸長したものである場合、式(VII)化合物はジペノサイドIXで、
(E)
【化10】
ここで、R1がグリコシル基で、R2およびR3がOHまたはHで、R4がグリコシル基またはHで、R5がグリコシル基で、R5-R1-OがC3の1番目のグリコシル基から誘導されたグリコシル基で、R6がグリコシル基で、R6-R1-OがC3の1番目のグリコシル基から誘導されたグリコシル基で、前記のポリペプチドは配列番号41、45、90、92、94または96あるいはその誘導体ポリペプチドから選ばれる。
【0082】
R1が2つのグルコシル基で、R2がHで、R3がOHで、R4がHである場合、式(IX)化合物はRg3である。
R1が2つのグルコシル基で、R2がHで、R3がOHで、R4がグルコシル基である場合、式(IX)化合物はRdである。
【0083】
前記のポリペプチドは、好ましくは配列が配列番号4、6、8、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124で示されるポリペプチドで、この用語はさらに示されたポリペプチドと同じ機能を有する配列番号4、6、8、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124配列の変異形態および誘導体ポリペプチドを含む。これらの突然変異の様態は、1個または複数個(通常は1~50個、好ましくは1~30個、より好ましくは1~20個、最も好ましくは1~10個)のアミノ酸の欠失、挿入および/または置換、ならびにC末端および/またはN末端への1個または複数個(通常は20個以内、好ましくは10個以内、より好ましくは5個以内)のアミノ酸の付加を含むが、これらに限定されない。たとえば、本分野において、機能が近い、または類似のアミノ酸で置換する場合、通常、蛋白質の機能を変えることがない。また、C末端および/またはN末端への一つまたは複数のアミノ酸の付加も、通常、蛋白質の機能を変えることはない。この用語は、さらに、ヒトの本発明のポリペプチドの活性断片と活性誘導体を含む。また、本発明は前記ポリペプチドの類似体も提供する。これらの類似物と天然の本発明のポリペプチドの違いは、アミノ酸配列の違いでもよく、配列に影響を与えない修飾形態の違いでもよく、あるいは両者でもよい。これらのポリペプチドは、天然の変異体または誘導された変異体を含む。誘導変異体は、様々な技術、たとえば放射または突然変異原への露出によるランダム突然変異、また部位特異的変異法またはほかの既知の分子生物学の技術によって得られる。類似体は、さらに、天然L-アミノ酸と異なる残基(たとえばD-アミノ酸)を有する類似体、および非天然または合成のアミノ酸(たとえばβ、γ-アミノ酸)を有する類似体を含む。もちろん、本発明のポリペプチドは、上記で挙げられた代表的なポリペプチドに限定されない。
【0084】
修飾(通常は一次構造が変わらない)形態は、体内または体外のポリペプチドの化学的に誘導された形態、例えばアセチル化またはカルボキシ化を含む。修飾は、さらにグリコシル化、たとえばポリペプチドの合成および加工でまたはさらなる加工の工程でグリコシル化修飾を行ったポリペプチドも含む。このような修飾は、ポリペプチドをグルコシル化する酵素(たとえば哺乳動物のグリコシル化酵素または脱グリコシル化酵素)に露出させることによって完成する。修飾形態は、さらにリン酸化アミノ酸残基(たとえばリン酸チロシン、リン酸セリン、リン酸トレオニン)を有する配列を含む。さらに、修飾によって抗タンパク質加水分解性を向上させたポリペプチドまたは溶解性を改善したポリペプチドを含む。
【0085】
本発明のGT29-32、GT29-33、GT29-34 、GT29-4、GT29-5、GT29-7、GT29-9、GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-19、GT29-20、GT29-21、GT29-22、GT29-23、GT29-24、GT29-25、GT29-32、GT29-33、GT29-34、GT29-36、GT29-37、GT29-42、GT29-43、GT29-45、GT29-46、PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14またはPNUGT29-15のタンパク質のアミノ末端またはカルボキシ末端に、さらに、さらに1つまたは複数のポリペプチド断片がタンパク質タグとして含まれてもよい。適切なタグであればどんなものでも本発明に使用できる。たとえば、前記のタグは、FLAG、HA、HA1、c-Myc、Poly-His、Poly-Arg、Strep-TagII、AU1、EE、T7、4A6、ε、B、gE、およびTy1でもよい。これらのタグはタンパク質に対する精製に使用することができる。表1にその一部の市販のタグを示す。
【0086】
【0087】
翻訳されたタンパク質が分泌される(たとえば細胞外に分泌される)ように、前記GT29-32、GT29-33、GT29-34 、GT29-4、GT29-5、GT29-7、GT29-9、GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-19、GT29-20、GT29-21、GT29-22、GT29-23、GT29-24、GT29-25、GT29-32、GT29-33、GT29-34、GT29-36、GT29-37、GT29-42、GT29-43、GT29-45、GT29-46、PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-9、PNUGT29-14またはPNUGT29-15のアミノ酸のアミノ末端にシグナルペプチド配列、たとえばpelBシグナルペプチドを付加してもよい。シグナルペプチドは、ポリペプチドが細胞内から分泌される過程で切り取られてもよい。
【0088】
本発明のポリヌクレオチドは、DNA形態でもRNA形態でもよい。DNA形態は、cDNA、ゲノムDNAまたは人工合成のDNAを含む。DNAは、一本鎖でも二本鎖でもよい。DNAは、コード鎖でも非コード鎖でもよい。成熟ポリペプチドをコードするコード領域の配列は、配列番号3、5、7、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、89、91、93、95、97、99、115、117、119、121、または123で示されるコード領域の配列と同様でもよく、あるいは縮重変異体でもよい。本明細書で用いられるように、本発明において「縮重変異体」とは、配列番号4、6、8、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124を有するタンパク質をコードするが、配列番号3、5、7、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、89、91、93、95、97、99、115、117、119、121、または123でそれぞれ示されるコード領域の配列と異なる核酸配列である。
【0089】
配列番号4、6、8、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124の成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、成熟ポリペプチドのみをコードするコード配列、成熟ポリペプチドのコード配列および様々な付加コード配列、成熟ポリペプチドのコード配列(および任意の付加コード配列)および非コード配列を含む。
用語「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」は、このポリペプチドをコードするポリヌクレオチドでもよく、さらに付加のコードおよび/または非コード配列を含むポリヌクレオチドでもよい。
【0090】
本発明は、さらに、本発明と同じアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはポリペプチドの断片、類似体および誘導体をコードする上記ポリヌクレオチドの変異体に関する。このポリヌクレオチドの変異体は、天然に発生した対立遺伝子変異体でも非天然に発生した変異体でもよい。これらのヌクレオチド変異体は、置換変異体、欠失変異体および挿入変異体を含む。本分野で知られているように、対立遺伝子変異体は、ポリヌクレオチドの代替形態で、1つまたは2つ以上のヌクレオチドの置換、欠失または挿入でもよいが、実質的にコードするポリペプチドの機能を変えることはない。
【0091】
本発明は、さらに、上記の配列とハイブリダイズし、かつ2つの配列の間に少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、85%、90%、95%の相同性を有するポリヌクレオチドに関する。本発明は、特に、厳格な条件で本発明に係るポリヌクレオチドとハイブリダイズできるポリヌクレオチドに関する。本発明において、「厳格な条件」とは、(1)低いイオン強度および高い温度、たとえば0.2×SSC、0.1%SDS、60℃でのハイブリダイズおよび溶離、あるいは(2)ハイブリダイズ時変性剤、たとえば42℃で50%(v/v)ホルムアミド、0.1%ウシ胎児血清/0.1% Ficollなどを入れること、あるいは(3)2つの配列の間の相同性が少なくとも90%以上、好ましくは95%以上の時だけハイブリダイズすることである。そして、ハイブリダイズできるポリヌクレオチドがコードするポリペプチドは、配列番号4、6、8、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、90、92、94、96、98、100、116、118、120、122、または124で示される成熟ポリペプチドと同じ生物学的機能および活性を有する。
【0092】
本発明は、さらに、上記の配列とハイブリダイズする核酸断片に関する。本明細書で用いられるように、「核酸断片」の長さは、少なくとも15個のヌクレオチド、好ましくは少なくとも30個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも50個のヌクレオチド、最も好ましくは少なくとも100個のヌクレオチド以上を含む。核酸断片は、核酸の増幅技術(たとえばPCR)に使用し、GT29-32、GT29-33、GT29-34 、GT29-4、GT29-5、GT29-7、GT29-9、GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-19、GT29-20、GT29-21、GT29-22、GT29-23、GT29-24、GT29-25、GT29-32、GT29-33、GT29-34、GT29-36、GT29-37、GT29-42、GT29-43、GT29-45、GT29-46、PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14またはPNUGT29-15のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを同定および/または単離することができる。
【0093】
本発明におけるポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、好ましくは単離された形態で提供し、より好ましくは均質に精製される。
本発明のGT29-32、GT29-33、GT29-34 、GT29-4、GT29-5、GT29-7、GT29-9、GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-19、GT29-20、GT29-21、GT29-22、GT29-23、GT29-24、GT29-25、GT29-32、GT29-33、GT29-34、GT29-36、GT29-37、GT29-42、GT29-43、GT29-45、GT29-46、PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14またはPNUGT29-15のヌクレオチド全長配列あるいはその断片は、通常、PCR増幅法、組み換え法または人工合成の方法で得られる。PCR増幅法について、本発明で公開された関連のヌクレオチド配列、特に読み枠によってプライマーを設計し、市販のcDNAライブラリーまたは当業者に既知の通常の方法によって調製されるcDNAライブラリーを鋳型とし、増幅して関連配列を得る。配列が長い場合、通常、2回または2回以上のPCR増幅を行った後、各回の増幅で得られた断片を正確な順でつなげる必要がある。
【0094】
関連の配列を獲得すれば、組み換え法で大量に関連配列を獲得することができる。この場合、通常、その配列をベクターにクローンした後、細胞に導入し、さらに通常の方法で増殖させた宿主細胞から関連配列を単離して得る。
また、特に断片の長さが短い場合、人工合成の方法で関連配列を合成してもよい。通常、まず多数の小さい断片を合成し、そして連接させることにより、配列の長い断片を得ることができる。
現在、本発明のタンパク質(またはその断片、あるいはその誘導体)をコードするDNA配列は全部化学合成で獲得することがすでに可能である。さらに、このDNA配列を本分野で周知の各種の既知のDNA分子(あるいはベクターなど)や細胞に導入してもよい。また、化学合成で本発明のタンパク質配列に変異を導入することもできる。
【0095】
本発明の遺伝子を得るには、PCR技術でDNA/RNAを増幅する方法が好適に使用される。特にライブラリーから全長のcDNAを得ることが困難な場合、好適にRACE法(RACE-cDNA末端快速増幅法)を使用し、PCRに使用されるプライマーはここで公開された本発明の配列情報によって適切に選択し、かつ通常の方法で合成することができる。通常の方法、たとえばゲル電気泳動によって増幅されたDNA/RNA断片を単離、精製することができる。
さらに、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、および本発明のベクターまたはGT29-32、GT29-33、GT29-34 、GT29-4、GT29-5、GT29-7、GT29-9、GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-19、GT29-20、GT29-21、GT29-22、GT29-23、GT29-24、GT29-25、GT29-32、GT29-33、GT29-34、GT29-36、GT29-37、GT29-42、GT29-43、GT29-45、GT29-46、PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14またはPNUGT29-15のタンパク質のコード配列を使用して遺伝子工学によって生成した宿主細胞、ならびに組み換え技術によって本発明に係るポリペプチドを生成する方法にも関する。
【0096】
通常の組み換えDNA技術によって、本発明のポリヌクレオチド配列を使用し、組み換えたGT29-32、GT29-33、GT29-34 、GT29-4、GT29-5、GT29-7、GT29-9、GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-19、GT29-20、GT29-21、GT29-22、GT29-23、GT29-24、GT29-25、GT29-32、GT29-33、GT29-34、GT29-36、GT29-37、GT29-42、GT29-43、GT29-45、GT29-46、PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14またはPNUGT29-15のポリペプチドを発現または生産することができる。一般的に、以下の工程を含む:
【0097】
(1)本発明のGT29-32、GT29-33、GT29-34 、GT29-4、GT29-5、GT29-7、GT29-9、GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-19、GT29-20、GT29-21、GT29-22、GT29-23、GT29-24、GT29-25、GT29-32、GT29-33、GT29-34、GT29-36、GT29-37、GT29-42、GT29-43、GT29-45、GT29-46、PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14またはPNUGT29-15のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(または変異体)を使用し、あるいはこのポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクターを使用し、適切な宿主細胞を形質転換または形質導入する;
(2)適切な培地において宿主細胞を培養する;
【0098】
(3)培地または細胞からタンパク質を分離し、精製する。
本発明において、GT29-32、GT29-33、GT29-34 、GT29-4、GT29-5、GT29-7、GT29-9、GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-19、GT29-20、GT29-21、GT29-22、GT29-23、GT29-24、GT29-25、GT29-32、GT29-33、GT29-34、GT29-36、GT29-37、GT29-42、GT29-43、GT29-45、GT29-46、PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-9、PNUGT29-14またはPNUGT29-15ポリヌクレオチド配列は組み換え発現ベクターに挿入してもよい。用語「組み換え発現ベクター」とは、本分野でよく知られている細菌プラスミド、ファージ、酵母プラスミド、植物細胞ウイルス、哺乳動物ウイルス、たとえばアデノウイルス、レトロウイルスまたはほかのベクターである。宿主体内で安定して複製することができれば、どんなプラスミドおよびベクターでも使用できる。発現ベクターの重要な特徴の一つは、通常、複製起点、プロモーター、マーカー遺伝子および翻訳制御エレメントを含むことである。
【0099】
GT29-32、GT29-33、GT29-34 、GT29-4、GT29-5、GT29-7、GT29-9、GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-19、GT29-20、GT29-21、GT29-22、GT29-23、GT29-24、GT29-25、GT29-32、GT29-33、GT29-34、GT29-36、GT29-37、GT29-42、GT29-43、GT29-45、GT29-46、PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-9、PNUGT29-14またはPNUGT29-15のコードDNA配列および適切な転写/翻訳制御シグナルを含む発現ベクターの構築に当業者によく知られている方法を使用することができる。これらの方法は、体外組み換えDNA技術、DNA合成技術、体内組み換え技術などを含む。前記のDNA配列は、有効に発現ベクターにおける適切なプロモーターに連結し、mRNA合成を指導することができる。これらのプロモーターの代表的な例として、大腸菌のlacまたはtrpプロモーター、λファージのPLプロモーター、CMV前初期プロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、初期および後期SV40プロモーターを含む真核プロモーター、レトロウイルスのLTRsやほかの既知の制御可能な遺伝子の原核または真核細胞あるいはそのウイルスにおける発現されるプロモーターが挙げられる。発現ベクターは、さらに、翻訳開始用リボゾーム結合部位および転写ターミネーターを含む。
【0100】
また、発現ベクターは、好ましくは1つまたは2つ以上の選択性マーカー遺伝子を含み、形質転換された宿主細胞を選択するための形質、たとえば真核細胞培養用のジヒドロ葉酸レダクターゼ、ネオマイシン耐性および緑色蛍光タンパク質(GFP)、あるいは大腸菌用のテトラサイクリンまたはアンピシリン耐性を提供する。
上記の適切なDNA配列及び適切なプロモーターまたは制御配列を含むベクターは、適切な宿主細胞を形質転換し、タンパク質を発現するようにすることができる。
宿主細胞は、原核細胞、たとえば細菌細胞、あるいは、低等真核細胞、たとえば酵母細胞、あるいは、高等真核細胞、たとえば哺乳動物細胞でもよい。代表例として、大腸菌、ストレプトマイセス属、ネズミチフス菌のような細菌細胞、酵母のような真菌細胞、植物細胞、ミバエS2若しくはSf9のような昆虫細胞、CHO、COS、293細胞またはBowesメラノーマ細胞のような動物細胞などがある。
【0101】
本発明のポリヌクレオチドが高等真核細胞において発現される場合、ベクターにエンハンサー配列を挿入すると転写が強化される。エンハンサーは、DNAのシスエレメントで、通常、約10~300bpで、プロモーターに作用して遺伝子の転写を強化する。例を挙げると、複製起点の後期側にある100~270bpのSV40エンハンサー、複製起点の後期側にあるポリオーマエンハンサーおよびアデノウイルスエンハンサーなどを含む。
当業者は、どうやって適切なベクター、プロモーター、エンハンサーおよび宿主細胞を選択するか、よくわかる。
DNA組み換えによる宿主細胞の形質転換は当業者に熟知の通常の技術で行ってもよい。宿主が原核細胞、たとえば大腸菌である場合、DNAを吸収できるコンピテントセルは指数成長期後収集でき、CaCl2法で処理し、用いられる工程は本分野では周知のものである。もう一つの方法は、MgCl2を使用する。必要により、形質転換はエレクトロポレーションの方法でもよい。宿主が真核生物の場合、リン酸カルシウム沈殿法、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションのような通常の機械方法、リポフェクションなどのDNAトランスフェクションの方法が用いられる。
【0102】
得られる形質転換体は通常の方法で培養し、本発明の遺伝子がコードするポリペプチドを発現することができる。用いられる宿主細胞によって、培養に用いられる培地は通常の培地を選んでもよい。宿主細胞の成長に適する条件で培養する。宿主細胞が適当の細胞密度に成長したら、適切な方法(たとえば温度転換もしくは化学誘導)で選んだプロモーターを誘導し、さらに細胞を培養する。
上記の方法における組み換えポリペプチドは細胞内または細胞膜で発現し、あるいは細胞外に分泌することができる。必要であれば、その物理・化学的特性およびほかの特性を利用して各種の単離方法で組み換えタンパク質を単離・精製することができる。これらの方法は、本分野の技術者に熟知である。これらの方法の例として、通用の再生処理、タンパク質沈殿剤による処理(塩析法)、遠心、浸透圧ショック、超音波処理、超遠心、分子篩クロマトグラフィー(ゲルろ過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)およびほかの各種の液体クロマトグラフィー技術、ならびにこれらの方法の組合せを含むが、これらに限定されない。
【0103】
応用
本発明に係る活性ポリペプチドまたは糖転移酵素は、既知のジンセンサポニンならびに新規なジンセンサポニンおよびその誘導体の人工合成に使用可能で、CK、DMG、F2、Rd、F1、Rh1およびRg1などをそれぞれジンセノサイドRg3、ジンセノサイドRd、ジンセノサイドRb1、ジンセノサイドRb3、サポニンDMGG、サポニンDMGX、ジペノサイドLXXV、ジペノサイドXVII、ジペノサイドXIII、ジペノサイドIX、ノトギンセノシドUおよび、ノトギンセノシドR1、およびノトギンセノシドR2、ノトギンセノシドR3、3-O-β-(D-キシロピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-PPD、3-O-β-(D-キシロピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-CK、20-O-グルコシルジンセノサイドRfおよびジンセノサイドF3に転化させることができる。
【0104】
本発明の主な利点は以下の通りである。
(1)本発明の糖転移酵素は、特異的にかつ効率的にグルコースをテトラシクロトリテルペン系化合物の基質のC-20位の1番目のグリコシル基/あるいはC-6位またはC-3位の1番目のグリコシル基にグリコシル基を転移させるか、グリコシル基を置換させることによって、糖鎖を伸長させることができる。
【0105】
(2)本発明の糖転移酵素は、特にそれぞれCK、DMG、F2、Rd、F1、Rh1およびRg1を活性を有するジンセノサイドRg3、ジンセノサイドRd、ジンセノサイドRb1、ジンセノサイドRb3、サポニンDMGG、サポニンDMGX、ジペノサイドLXXV、ジペノサイドXVII、ジペノサイドXIII、ジペノサイドIX、ノトギンセノシドUおよび、ノトギンセノシドR1、およびノトギンセノシドR2、ノトギンセノシドR3、3-O-β-(D-キシロピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-PPD、3-O-β-(D-キシロピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-CK、20-O-グルコシルジンセノサイドRfおよびジンセノサイドF3に転化させることができる。
(3)ジンセノサイドRb1は神経細胞の保護および抗炎症・抗酸化の効果を有し、ジンセノサイドRb3は心筋虚血の緩和および抗うつの効果を有する。ノトギンセノシドR1はサンシチニンジンサポニンの主な活性成分で、抗炎症の効果を有する。ノトギンセノシドR2は神経の保護効果を有する。
【0106】
実施例1 オタネニンジン糖転移酵素およびそのコード遺伝子の単離
オタネニンジンのRNAを抽出して逆転写を行い、オタネニンジンのcDNAを得た。このcDNAを鋳型としてプライマー対1(配列番号1と配列番号2)またはプライマー対2(配列番号9と配列番号10)またはプライマー対3(配列番号113と配列番号114)を使用してPCR増幅を行い、1.4-1.5 kbの増幅産物を得た。DNAポリメラーゼは、タカラバイオ株式会社の高正確性のKOD DNAポリメラーゼを使用した。PCR産物はアガロースゲル電気泳動によって検出された。
【0107】
紫外線の照射で、標的DNAバンドを切り取った。さらに、Axygen Gel Extraction Kit(AEYGEN社)でアガロースゲルから、DNA、すなわち増幅されたDNA断片を回収した。このDNA断片をタカラバイオ株式会社のrTaq DNAポリメラーゼで末端にAを付加した後、市販のクローンベクターpMD18-Tに連結し、連結産物を市販の大腸菌EPI300感受性細胞に形質転換し、形質転換した大腸菌液をAMP 50μg/mL、IPTG 0.5mM、X-Gal 25μg/mLを入れたLBプレートに塗布し、さらにPCRおよび酵素切断によって組み換えクローンを検証した。数個のクローンを選んで組み換えプラスミドを抽出した後、シークエンシングを行い、29個の異なる核酸配列を得、それぞれGT29-32(配列番号3)、GT29-33(配列番号5)、GT29-34(配列番号7)、GT29-4(配列番号11)、GT29-5(配列番号13)、GT29-7(配列番号15)、GT29-9(配列番号17),GT29-11(配列番号19)、GT29-13(配列番号21)、GT29-17(配列番号23)、GT29-18(配列番号25)、GT29-19(配列番号116)、GT29-20(配列番号118)、GT29-21(配列番号120)、GT29-22(配列番号122)、GT29-23(配列番号124)、GT29-24(配列番号27)、GT29-25(配列番号29)、GT29-36(配列番号89)、GT29-37(配列番号91)、GT29-42(配列番号93)、GT29-42(配列番号95)、GT29-45(配列番号97)およびGT29-46(配列番号99)と名付けた。ソフトBESTORFによってORFを探した。配列アラインメントしたところ、増幅産物はいずれも糖転移酵素の第一ファミリーの保存的な機能領域をコードするので、糖転移酵素の遺伝子であると証明された。
【0108】
GT29-32:糖転移酵素遺伝子GT29-32は、442個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-32をコードし、配列表における配列番号4で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.2kDaで、等電点pIが6.09である。この糖転移酵素はすでに機能が同定された糖転移酵素UGTPg29(Genbank登録番号AKA44579.1)のアミノ酸配列との一致性が92%である。
GT29-33:糖転移酵素遺伝子GT29-33は、448個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-33をコードし、配列表における配列番号6で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、50.0kDaで、等電点pIが6.77である。この糖転移酵素はすでに機能が同定された糖転移酵素UGTPg29のアミノ酸配列との一致性が90%である。
【0109】
GT29-34:糖転移酵素遺伝子GT29-34は、446個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-34をコードし、配列表における配列番号8で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.7kDaで、等電点pIが6.23である。この糖転移酵素はすでに機能が同定された糖転移酵素UGTPg29のアミノ酸配列との一致性が90%である。
GT29-4:糖転移酵素遺伝子GT29-4は、446個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-4をコードし、配列表における配列番号12で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.8kDaで、等電点pIが5.63である。この糖転移酵素はすでに機能が同定された糖転移酵素UGTPg29のアミノ酸配列との一致性が92%である。
【0110】
GT29-5:糖転移酵素遺伝子GT29-5は、446個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-5をコードし、配列表における配列番号14で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.7kDaで、等電点pIが5.93である。この糖転移酵素はすでに機能が同定された糖転移酵素UGTPg29のアミノ酸配列との一致性が93%である。
GT29-7:糖転移酵素遺伝子GT29-7は、446個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-7をコードし、配列表における配列番号16で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.8kDaで、等電点pIが5.8である。この糖転移酵素はすでに機能が同定された糖転移酵素UGTPg29のアミノ酸配列との一致性が92%である。
【0111】
GT29-9:糖転移酵素遺伝子GT29-9は、446個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-9をコードし、配列表における配列番号18で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.8kDaで、等電点pIが5.93である。この糖転移酵素はすでに機能が同定された糖転移酵素UGTPg29のアミノ酸配列との一致性が92%である。
GT29-11:糖転移酵素遺伝子GT29-11は、446個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-11をコードし、配列表における配列番号20で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.9kDaで、等電点pIが5.90である。この糖転移酵素はすでに機能が同定された糖転移酵素UGTPg29のアミノ酸配列との一致性が91%である。
【0112】
GT29-13:糖転移酵素遺伝子GT29-13は、446個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-13をコードし、配列表における配列番号22で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.9kDaで、等電点pIが5.93である。この糖転移酵素はすでに機能が同定された糖転移酵素UGTPg29のアミノ酸配列との一致性が91%である。
GT29-17:糖転移酵素遺伝子GT29-17は、442個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-17をコードし、配列表における配列番号24で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.3kDaで、等電点pIが5.35である。この糖転移酵素はすでに機能が同定された糖転移酵素UGTPg29のアミノ酸配列との一致性が93%である。
【0113】
GT29-18:糖転移酵素遺伝子GT29-18は、446個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-18をコードし、配列表における配列番号26で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.9kDaで、等電点pIが5.93である。この糖転移酵素はすでに機能が同定された糖転移酵素UGTPg29のアミノ酸配列との一致性が91%である。
GT29-24:糖転移酵素遺伝子GT29-24は、446個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-24をコードし、配列表における配列番号28で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.9kDaで、等電点pIが5.93である。この糖転移酵素はすでに機能が同定された糖転移酵素UGTPg29のアミノ酸配列との一致性が91%である。
【0114】
GT29-25:糖転移酵素遺伝子GT29-25は、446個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-25をコードし、配列表における配列番号30で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.9kDaで、等電点pIが5.93である。この糖転移酵素はすでに機能が同定された糖転移酵素UGTPg29のアミノ酸配列との一致性が91%である。
GT29-19:糖転移酵素遺伝子GT29-19は、442個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-19をコードし、配列表における配列番号116で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.1kDaで、等電点pIが5.47である。
【0115】
GT29-20:糖転移酵素遺伝子GT29-20は、442個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-20をコードし、配列表における配列番号118で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.1kDaで、等電点pIが5.93である。
GT29-21:糖転移酵素遺伝子GT29-21は、442個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-21をコードし、配列表における配列番号120で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.1kDaで、等電点pIが5.80である。
【0116】
GT29-22:糖転移酵素遺伝子GT29-22は、442個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-22をコードし、配列表における配列番号122で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.1kDaで、等電点pIが5.93である。
GT29-23:糖転移酵素遺伝子GT29-23は、442個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-23をコードし、配列表における配列番号124で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.0kDaで、等電点pIが5.61である。
【0117】
GT29-36:糖転移酵素遺伝子GT29-36は、442個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-36をコードし、配列表における配列番号102で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.1kDaで、等電点pIが5.93である。
GT29-37:糖転移酵素遺伝子GT29-37は、442個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-37をコードし、配列表における配列番号104で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.1kDaで、等電点pIが5.62である。
【0118】
GT29-42:糖転移酵素遺伝子GT29-42は、444個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-42をコードし、配列表における配列番号106で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.4kDaで、等電点pIが6.16である。
GT29-43:糖転移酵素遺伝子GT29-43は、442個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-43をコードし、配列表における配列番号108で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.1kDaで、等電点pIが5.78である。
【0119】
GT29-45:糖転移酵素遺伝子GT29-45は、448個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-45をコードし、配列表における配列番号110で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、50.0kDaで、等電点pIが7.25である。
GT29-46:糖転移酵素遺伝子GT29-46は、442個のアミノ酸を含むタンパク質GT29-46をコードし、配列表における配列番号112で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.1kDaで、等電点pIが5.48である。
【0120】
実施例2 糖転移酵素遺伝子GT29-32、GT29-33およびgGT29-34の大腸菌における発現
実施例1で構築されたGT29-32、GT29-33およびGT29-34遺伝子を含むプラスミドGT29-32-pMD18T、GT29-33-pMD18TおよびGT29-34-pMD18Tを鋳型とし、表1で示されるプライマーで標的遺伝子GT29-32、GT29-33およびGT29-34を増幅した。
【0121】
発現ベクターpET28a(Merck社から購入)をNcoI/SalIで酵素切断した後、GT29-32、GT29-33およびGT29-34をpET28aにクローニングし(一歩法クローニングキット、Vazyme Biotech社から購入)、大腸菌発現ベクターGT29-32-pET28a、GT29-33-pET28aおよびGT29-34-pET28aを構築した。pET28aにおける6×Hisタグ配列を利用して組み換えタンパク質GT29-32、GT29-33およびGT29-34のC末端に6×Hisタグを有するようにさせた。プラスミドでそれぞれ市販のE. coli BL21を形質転換させ、組み換え菌株BL21-GT29-32、BL21-GT29-33およびBL21-GT29-34を構築した。組み換え体をLB培地に接種し、37℃、200rpmでOD600が約0.6-0.8になるまで培養し、菌液の温度を4℃に下げ、最終濃度が100 μMになるようにIPTGを入れ、18℃、120rpmで16 h誘導発現させた。4℃で遠心して菌体を収集し、超音波で細胞を破砕し、4℃、12000 gで10 min遠心して細胞分解液の上清を収集し、サンプルを取ってSDS-PAGE電気泳動およびウエスタンブロットを行った。SDS-PAGEでは、GT29-32-pET28a、GT29-33-pET28aおよびGT29-34-pET28aの組み換え形質転換体とブランクベクターpET28aの組み換え形質転換体は細胞分解液に顕著な違いがなく、可溶性発現量が顕著ではなかったことが示された(
図1A)。抗6×Hisタグのウエスタンブロット(
図1B)では、45-55 kDの間に顕著なバンドがあり、糖転移酵素GT29-32、GT29-33およびGT29-34は大腸菌において少量に可溶性発現したことが示された。
【0122】
【0123】
実施例3 GT29-32、GT29-33およびGT29-34の体外糖転移活性および産物の同定
実施例2における組み換え大腸菌BL21-GT29-32、BL21-GT29-33およびBL21-GT29-34の細胞分解液の上清を粗製酵素液として糖転移反応を行い、ブランクベクターpET28aで形質転換された組み換え大腸菌の細胞分解液を対照とした。
図2に示すように、プロトパナキサジオール型ジンセノサイドCKを糖アクセプターとし、UDP-グルコースを糖ドナーとする場合、GT29-32およびGT29-34は触媒して新規な産物を生成させることができた。
【0124】
図3に示すように、ジンセノサイドRdを糖アクセプターとし、UDP-グルコースを糖ドナーとする場合、GT29-32、GT29-33およびGT29-34は触媒してRb1を生成させることができた。HPLCの結果とTLCの結果は一致した。
そのため、GT29-32およびGT29-34はCKのC20-O-Glcにおける1分子のグルコースの伸長を触媒してジンセンサポニンのジペノサイドLXXVを生成させることができる。UDP-キシロースを糖ドナーとする場合、GT29-32はRdからの3つの産物の生成を触媒することができた。ここで、1つの産物はTLCにおける移動度がRb3と一致し、すなわち、GT29-32はC20-O-Glcに1分子のキシロースで伸長してRb3を生成させることができた(
図2)。HPLCの結果とTLCの結果は一致し、GT29-32はRdおよびUDP-キシロースから触媒して3つの産物を生成させることができた(
図4)。
【0125】
プロトパナキサトリオール型ジンセノサイドF1を糖アクセプターとし、UDP-グルコースを糖ドナーとする場合、GT29-32は触媒して1つの新規な産物を生成させることができ、これもF1のC20-O-Glcで1分子のグルコースで伸長させたもので、産物がノトギンセノシドR3であることが推測された(
図5および
図6)。
プロトパナキサジオール型ジンセノサイドCKを糖アクセプターとし、UDP-アラビノースを糖ドナーとする場合、GT29-32、GT29-33およびGT29-34は触媒してCK-C-20の1番目のグリコシル基で1つのアラビノースで伸長してジンセノサイドF3を生成させることができたが、中でも、GT29-32の活性が最も強かった(
図17)。
【0126】
実施例4 糖転移酵素遺伝子GT29-4、GT29-5、GT29-7、GT29-9、GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-24およびGT29-25の大腸菌における発現
実施例1で構築されたGT29-4、GT29-5、GT29-7、GT29-9、GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-24およびGT29-25遺伝子を含むプラスミドGT29-4-pMD18T、GT29-5-pMD18T、GT29-7-pMD18T、GT29-9-pMD18T、GT29-11-pMD18T、GT29-13-pMD18T、GT29-17-pMD18T、GT29-18-pMD18T、GT29-24-pMD18TおよびGT29-25-pMD18Tを鋳型とし、表1で示されるプライマーで標的遺伝子GT29-4、GT29-5、GT29-7、GT29-9、GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-24およびGT29-25を増幅した。発現ベクターpET28a(Merck社から購入)をNcoI/SalIで酵素切断した後、GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-24およびGT29-25をpET28aにクローニングし(ワンステップクローニングキット、Vazyme Biotech社から購入)、大腸菌発現ベクターGT29-4-pET28a、GT29-5-pET28a、GT29-7-pET28a、GT29-9-pET28a、GT29-11-pET28a、GT29-13-pET28a、GT29-17-pET28a、GT29-18-pET28a、GT29-24-pET28aおよびGT29-25-pET28aを構築した。
【0127】
pET28aにおける6×Hisタグ配列を利用して組み換えタンパク質GT29-4-pET28a、GT29-5-pET28a、GT29-7-pET28a、GT29-9-pET28a、GT29-11-pET28a、GT29-13-pET28a、GT29-17-pET28a、GT29-18-pET28a、GT29-24およびGT29-25のC末端に6×Hisタグを有するようにさせた。プラスミドでそれぞれ市販のE. coli BL21を形質転換させ、組み換え菌株BL21-GT29-4、BL21-GT29-5、BL21-GT29-7、BL21-GT29-9、BL21-GT29-11、BL21-GT29-13、BL21-GT29-17、BL21-GT29-18、BL21-GT29-24およびBL21-GT29-25を構築した。組み換え体をLB培地に接種し、37℃、200rpmでOD600が約0.6-0.8になるまで培養し、菌液の温度を4℃に下げ、最終濃度が100 μMになるようにIPTGを入れ、18℃、120rpmで16 h誘導発現させた。4℃で遠心して菌体を収集し、超音波で細胞を破砕し、4℃、12000 gで10 min遠心して細胞分解液の上清を収集し、サンプルを取ってSDS-PAGE電気泳動およびウエスタンブロットを行った。
【0128】
SDS-PAGEでは、GT29-4-pET28a、GT29-5-pET28a、GT29-7-pET28a、GT29-9-pET28a、GT29-11-pET28a、GT29-13-pET28a、GT29-17-pET28a、GT29-18-pET28a、GT29-24-pET28aおよびGT29-25-pET28aの組み換え形質転換体とブランクベクターpET28aの組み換え形質転換体は細胞分解液に顕著な違いがなく、可溶性発現量が顕著ではなかったことが示された。抗6×Hisタグのウエスタンブロットでは、45-55 kDの間に顕著なバンドがあり、糖転移酵素GT29-4、GT29-5、GT29-7、GT29-9、GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-24およびGT29-25は大腸菌において少量に可溶性発現したことが示された。
【0129】
実施例5 GT29-4、GT29-5、GT29-7、GT29-9、GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-24およびGT29-25の体外糖転移活性および産物の同定
実施例2における組み換え大腸菌BL21-GT29-4、BL21-GT29-5、BL21-GT29-7、BL21-GT29-9、BL21-GT29-11、BL21-GT29-13、BL21-GT29-17、BL21-GT29-18、BL21-GT29-24およびBL21-GT29-25の細胞分解液の上清を粗製酵素液として糖転移反応を行い、ブランクベクターpET28aで形質転換された組み換え大腸菌の細胞分解液を対照とした。
【0130】
図7に示すように、プロトパナキサジオール型ジンセノサイドRg1を糖アクセプターとし、UDP-キシロースを糖ドナーとする場合、GT29-4、GT29-5、GT29-7、GT29-9、GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-24およびGT29-25は触媒してノトギンセノシドR1を生成させることができた。HPLCの結果とTLCの結果は一致した(
図8および
図9)。そのため、GT29-4、GT29-5、GT29-7、GT29-9、GT29-11、GT29-13、GT29-17、GT29-18、GT29-24およびGT29-25は触媒してRg1のC6-O-Glcで1分子のキシロースで伸長してノトギンセノシドR1を生成させることができる。
図10に示すように、GT29-24およびGT29-25は、プロトパナキサジオール型ジンセノサイドRh2を糖アクセプターとし、UDP-グルコースを糖ドナーとし、触媒してRh2のC-3位のグリコシル基で1つのグルコシル基で伸長してジンセノサイドRg3を生産することができた。基質をF2に変更した場合、GT29-24およびGT29-25はまた触媒してF2のC-3位のグリコシル基で1つのグルコシル基で伸長してジンセノサイドRdを生産することができた。
【0131】
実施例6 サンシチニンジン糖転移酵素およびそのコード遺伝子の単離
サンシチニンジンのRNAを抽出して逆転写を行い、サンシチニンジンのcDNAを得た。このcDNAを鋳型としてプライマー対1(配列番号82と配列番号83)、プライマー対2(配列番号84と配列番号85)、プライマー対3(配列番号84と配列番号86)、プライマー対4(配列番号87と配列番号88)を使用してPCR増幅を行い、1.4-1.5 kbの増幅産物を得た。DNAポリメラーゼは、タカラバイオ株式会社の高正確性のKOD DNAポリメラーゼを使用した。PCR産物はアガロースゲル電気泳動によって検出された。
【0132】
実施例1を参照して数個のクローンを選んで組み換えプラスミドを抽出した後、シークエンシングを行い、14個の異なる核酸配列を得、それぞれPNUGT29-1(配列番号38)、PNUGT29-2(配列番号40)、PNUGT29-3(配列番号42)、PNUGT29-4(配列番号44)、PNUGT29-5(配列番号46)、PNUGT29-6(配列番号48)、PNUGT29-7(配列番号50)、PNUGT29-8(配列番号52)、PNUGT29-9(配列番号54)、PNUGT29-14(配列番号56)およびPNUGT29-15(配列番号58)と名付けた。ソフトBESTORFによってORFを探した。配列アラインメントしたところ、増幅産物はいずれも糖転移酵素の第一ファミリーの保存的な機能領域をコードするので、糖転移酵素の遺伝子であると証明された。
【0133】
PNUGT29-1:糖転移酵素遺伝子PNUGT29-1は、447個のアミノ酸を含むタンパク質PNUGT29-1をコードし、配列表における配列番号39で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.688kDaで、等電点pIが6.58である。
PNUGT29-2:糖転移酵素遺伝子PNUGT29-2は、442個のアミノ酸を含むタンパク質PNUGT29-2をコードし、配列表における配列番号41で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.118kDaで、等電点pIが6.20である。
【0134】
PNUGT29-3:糖転移酵素遺伝子PNUGT29-3は、447個のアミノ酸を含むタンパク質PNUGT29-3をコードし、配列表における配列番号43で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.729kDaで、等電点pIが6.58である。
PNUGT29-4:糖転移酵素遺伝子PNUGT29-4は、447個のアミノ酸を含むタンパク質PNUGT29-4をコードし、配列表における配列番号45で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.715kDaで、等電点pIが6.58である。
【0135】
PNUGT29-5:糖転移酵素遺伝子PNUGT29-5は、447個のアミノ酸を含むタンパク質PNUGT29-5をコードし、配列表における配列番号47で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.718kDaで、等電点pIが6.45である。
PNUGT29-6:糖転移酵素遺伝子PNUGT29-6は、447個のアミノ酸を含むタンパク質PNUGT29-6をコードし、配列表における配列番号49で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.657kDaで、等電点pIが6.70である。
【0136】
PNUGT29-7:糖転移酵素遺伝子PNUGT29-7は、447個のアミノ酸を含むタンパク質PNUGT29-7をコードし、配列表における配列番号51で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.749kDaで、等電点pIが6.58である。
PNUGT29-8:糖転移酵素遺伝子PNUGT29-8は、447個のアミノ酸を含むタンパク質PNUGT29-8をコードし、配列表における配列番号53で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.657kDaで、等電点pIが6.70である。
【0137】
PNUGT29-9:糖転移酵素遺伝子PNUGT29-9は、447個のアミノ酸を含むタンパク質PNUGT29-9をコードし、配列表における配列番号55で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.695kDaで、等電点pIが6.58である。
PNUGT29-14:糖転移酵素遺伝子PNUGT29-14は、447個のアミノ酸を含むタンパク質PNUGT29-14をコードし、配列表における配列番号57で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.778kDaで、等電点pIが6.70である。
PNUGT29-15:糖転移酵素遺伝子PNUGT29-15は、447個のアミノ酸を含むタンパク質PNUGT29-15をコードし、配列表における配列番号59で示されるアミノ酸配列を有する。ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、49.755kDaで、等電点pIが6.63である。
【0138】
実施例7 サンシチニンジン糖転移酵素遺伝子PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14およびPNUGT29-15の大腸菌における発現
実施例6で構築されたPNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14およびPNUGT29-15遺伝子を含むプラスミドPNUGT29-1-pMD18T、PNUGT29-2-pMD18T、PNUGT29-3-pMD18T、PNUGT29-4-pMD18T、PNUGT29-5-pMD18T、PNUGT29-6-pMD18T、PNUGT29-7-pMD18T、PNUGT29-8-pMD18T、PNUGT29-9-pMD18T、PNUGT29-14-pMD18TおよびPNUGT29-15-pMD18Tを鋳型とし、表1で示されるプライマーで標的遺伝子PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14およびPNUGT29-15を増幅した。実施例2の方法を参照し、組み換え菌株BL21- PNUGT29-1、BL21- PNUGT29-2、BL21- PNUGT29-3、BL21- PNUGT29-4、BL21- PNUGT29-5、BL21- PNUGT29-6、BL21- PNUGT29-7、BL21- PNUGT29-8、BL21- PNUGT29-9、BL21- PNUGT29-14およびBL21- PNUGT29-15を構築してサンプリングしてSDS-PAGE電気泳動およびウエスタンブロットを行った。抗6×Hisタグのウエスタンブロット(
図10)では、45-65 kDの間に顕著なバンドがあり、糖転移酵素PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14およびPNUGT29-15は大腸菌において少量に可溶性発現したことが示された。
【0139】
【0140】
実施例8 サンシチニンジン糖転移酵素遺伝子PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14およびPNUGT29-15の体外糖転移活性および産物の同定
実施例7における組み換え大腸菌BL21- PNUGT29-1、BL21- PNUGT29-2、BL21- PNUGT29-3、BL21- PNUGT29-4、BL21- PNUGT29-5、BL21- PNUGT29-6、BL21- PNUGT29-7、BL21- PNUGT29-8、BL21- PNUGT29-9、BL21- PNUGT29-14およびBL21- PNUGT29-15の細胞分解液の上清を粗製酵素液として糖転移反応を行い、ブランクベクターpET28aで形質転換された組み換え大腸菌の細胞分解液を対照とした。
【0141】
図11に示すように、プロトパナキサジオール型ジンセノサイドRdを糖アクセプターとし、UDP-グルコースを糖ドナーとする場合、PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14、PNUGT29-15は触媒してRdのC-20位のグリコシル基で1つのグルコシル基で伸長してRb1を生成させることができた。
図12に示すように、プロトパナキサジオール型ジンセノサイドCKを糖アクセプターとし、UDP-グルコースを糖ドナーとする場合、PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14、PNUGT29-15は触媒してC-20位のグリコシル基で1つのグルコシル基で伸長してジペノサイドLXXVを生成させることができた。
【0142】
図13に示すように、プロトパナキサジオール型ジンセノサイドRh2を糖アクセプターとし、UDP-グルコースを糖ドナーとする場合、PNUGT29-1、PNUGT29-2、PNUGT29-3、PNUGT29-4、PNUGT29-5、PNUGT29-6、PNUGT29-7、PNUGT29-8、PNUGT29-9、PNUGT29-14、PNUGT29-15は触媒してRh2のC-3位のグリコシル基で1つのグルコシル基で伸長してRg3を生成させることができた。
【0143】
実施例9 糖転移酵素遺伝子GT29-19、GT29-20、GT29-21、GT29-22、GT29-23、GT29-36、GT29-37、GT29-42、GT29-43、GT29-45およびGT29-46の大腸菌における発現
実施例1で構築されたGT29-19、GT29-20、GT29-21、GT29-22、GT29-23、GT29-36、GT29-37、GT29-42、GT29-43、GT29-45およびGT29-46遺伝子を含むプラスミドGT29-19-pMD18T、GT29-20-pMD18T、GT29-21-pMD18T、GT29-22-pMD18T、GT29-23-pMD18T、GT29-36-pMD18T、GT29-37-pMD18T、GT29-42-pMD18T、GT29-43-pMD18T、GT29-45-pMD18TおよびGT29-46-pMD18Tを鋳型とし、表1で示されるプライマーで標的遺伝子GT29-36、GT29-37、GT29-42、GT29-43、GT29-45およびGT29-46を増幅した。
【0144】
実施例2を参照し、組み換え菌株BL21-GT29-19、BL21-GT29-20、BL21-GT29-21、BL21-GT29-22、BL21-GT29-23、BL21-GT29-36、BL21-GT29-37、BL21-GT29-42、BL21-GT29-43、BL21-GT29-45およびBL21-GT29-46を構築してサンプリングしてSDS-PAGE電気泳動およびウエスタンブロットを行った。
プロトパナキサジオール型ジンセノサイドRh2を糖アクセプターとし、UDP-グルコースを糖ドナーとする場合、上記糖転移酵素GT29-19、GT29-20、GT29-21、GT29-22、GT29-23、GT29-36、GT29-37、GT29-42、GT29-43、GT29-45およびGT29-46はいずれも触媒してRh2のC-3位のグリコシル基でさらに1つのグルコシル基で伸長してジンセノサイドRg3を生成させることができた。
図15では、GT29-45およびGT29-46はRh2から触媒してRg3を生成させることができたことが示された。
【0145】
プロトパナキサジオール型ジンセノサイドRdを糖アクセプターとし、UDP-キシロースを糖ドナーとする場合、上記糖転移酵素GT29-19、GT29-20、GT29-21、GT29-22、GT29-23、GT29-36、GT29-37、GT29-42、GT29-43はいずれも触媒してRdのC-3位の2番目のグルコースをキシロースに置換させて新規なトリテルペン系サポニン(3-O-β-(D-キシロピラノシル)-β-(D-グルコピラノシル)-20-O-β- (D-グルコピラノシル)-PPD)を生成させることができたが、中でも、GT29-36、GT29-37、GT29-42およびGT29-43の活性が最も強かった(
図14)。
図16に示すように、プロトパナキサジオール型ジンセノサイドCKを糖アクセプターとし、UDP-グルコースを糖ドナーとする場合、GT29-45およびGT29-46は触媒してCKのC-20位のグリコシル基でさらに1つのグルコースで伸長してジペノサイドLXXVを生成させることができたが、中でも、GT29-45の活性が最も強かった。
【0146】
実施例10 糖転移酵素の活性のさらなる検証
ほかのグリコシルドナーおよび基質を変更した以外、以上の実施例3、5、8を繰り返し、実験結果を表3-表5に示す。
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
表3-表5から、本発明の糖転移酵素は通常の糖ドナーおよび基質を利用し、テトラシクロトリテルペン系物質の異なる部位のいずれにもグリコシル伸長またはグリコシル置換の活性を有することがわかる。
【0151】
各文献がそれぞれ単独に引用されるように、本発明に係るすべての文献は本出願で参考として引用する。また、本発明の上記の内容を読み終わった後、当業者が本発明を各種の変動や修正をすることができるが、それらの等価の形態のものは本発明の請求の範囲に含まれることが理解されるはずである。
【配列表】