(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】供給システムの制御装置、これを備える供給システム、及びその制御方法並びに制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B65G 43/08 20060101AFI20240617BHJP
B65G 65/42 20060101ALI20240617BHJP
B65G 43/02 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B65G43/08 G
B65G65/42 C
B65G43/02 D
(21)【出願番号】P 2020015047
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】児玉 聡
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-353411(JP,A)
【文献】特開昭58-125532(JP,A)
【文献】実開昭59-054419(JP,U)
【文献】国際公開第2016/147254(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/00-43/10
B65G 65/30-65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパ内に貯留した貯留物を払い出し、運転速度が可変である払出部と、前記ホッパから払い出された前記貯留物を運搬するコンベアと、前記コンベアを駆動する電動機と、を備える供給システムの制御を行う供給システムの制御装置であって、
前記コンベア上の前記貯留物の有無を判定する在荷判定部と、
前記電動機の電流値を取得する電流取得部と、を備え、
前記ホッパ内の前記貯留物の有無と前記払出部の運転
または停止と前記電動機の前記電流値との組合せに基づき前記供給システムの運転状態を判定する供給システムの制御装置。
【請求項2】
前記電流取得部は、前記コンベアの少なくとも1周する周期以上における前記電動機の前記電流値の平均である平均電流値、及び、前記平均電流値を取得した周期と同じ周期における前記電動機の前記電流値の最大値である最大電流値と前記平均電流値との偏差である運転電流偏差を取得し、前記供給システムの運転状態を判定する請求項1に記載の供給システムの制御装置。
【請求項3】
前記在荷判定部が判定した前記貯留物の有無と、前記電流取得部が取得した前記電流値の前記平均電流値および前記運転電流偏差とに基づき、前記供給システムの異常状態を判定する異常判定部を備える請求項2に記載の供給システムの制御装置。
【請求項4】
前記コンベア上に前記貯留物が積載されていない場合、または、前記払出部が停止中である無負荷運転時の場合の前記電動機の前記電流値を電流値初期値とし、
前記在荷判定部が前記コンベア上に前記貯留物が無いと判定すると、
前記異常判定部は、前記平均電流値が前記電流値初期値に第1所定値を掛け合わせた値を超える場合に前記供給システムが異常状態であると判定する請求項3に記載の供給システムの制御装置。
【請求項5】
前記在荷判定部が前記コンベア上に前記貯留物が有ると判定する、または、前記在荷判定部が前記コンベア上に前記貯留物が無いと判定しかつ前記異常判定部が前記平均電流値は電流値初期値に第1所定値を掛け合わせた値以下であると判定すると、
前記異常判定部は、前記運転電流偏差が第1閾値を超える場合に前記供給システムが異常状態であると判定する請求項3または請求項4に記載の供給システムの制御装置。
【請求項6】
前記在荷判定部が前記コンベア上に前記貯留物が有ると判定すると、
前記異常判定部は、前記最大電流値が前記電動機の定格電流を超える場合、または、前記最大電流値が前記定格電流に第2所定値を掛け合わせた値を下回る場合に前記供給システムが異常状態であると判定し、
前記ホッパの前記貯留物の払い出し量の制御を行う請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の供給システムの制御装置。
【請求項7】
前記異常判定部により前記供給システムが異常状態であると判定された場合に、前記払出部による前記貯留物の払い出し量の制御、警報の報知、及び前記コンベアの停止処理の少なくとも一の制御を行う異常状態制御部を備える請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の供給システムの制御装置。
【請求項8】
ホッパ内に貯留した貯留物を払い出す払出部と、
前記ホッパから払い出された前記貯留物を運搬するコンベアと、
前記コンベアを駆動する電動機と、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の供給システムの制御装置と、を備える供給システム。
【請求項9】
ホッパ内に貯留した貯留物を払い出し、運転速度が可変である払出部と、前記ホッパから払い出された前記貯留物を運搬するコンベアと、前記コンベアを駆動する電動機と、を備える供給システムの制御を行う供給システムの制御方法であって、
前記コンベア上の前記貯留物の有無を判定する在荷判定工程と、
前記電動機の電流値を取得する電流取得工程と、を備え、
前記ホッパ内の前記貯留物の有無と前記払出部の運転
または停止と前記電動機の前記電流値との組合せに基づき前記供給システムの運転状態を判定する供給システムの制御方法。
【請求項10】
ホッパ内に貯留した貯留物を払い出し、運転速度が可変である払出部と、前記ホッパから払い出された前記貯留物を運搬するコンベアと、前記コンベアを駆動する電動機と、を備える供給システムの制御を行う供給システムの制御プログラムであって、
前記コンベア上の前記貯留物の有無を判定する在荷判定ステップと、
前記電動機の電流値を取得する電流取得ステップと、を備え、
前記ホッパ内の前記貯留物の有無と前記払出部の運転
または停止と前記電動機の前記電流値との組合せに基づき前記供給システムの運転状態を判定する供給システムの制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、供給システムの制御装置、これを備える供給システム、及びその制御方法並びに制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホッパ、バンカやサイロなどに貯留された貯留物、例えば石炭や木質バイオマス燃料などの固体燃料を、払出装置により払い出し、コンベア等で運搬する供給システムが知られている。供給システムの払出装置からの払い出しは、時間当たり一定容積で払い出しが行われる場合がある。しかし、貯留物は、貯蔵時や運搬時における降雨や湿度などの影響により、貯留物の含有水分量が変動する。含有水分量が変動することで、嵩比重が変動し、容積が同じであってもその重量が変動することとなる。また貯留物の圧密の度合いや形状によっても嵩比重は変動する。このため、払出装置で一定容積にて払い出しを行う場合には、嵩比重が変動すると払い出される貯留物の重量が変動し、コンベア等での運搬時の重量が変化する。
このように貯留物の運搬時の重量が変化すると、コンベア等を動作させる電動機の負荷電流も変化して電動機への過負荷状態が発生することが危惧される。すなわち、電動機の負荷電流が増加し過負荷状態となると、サーマルトリップ(過電流による電動機の過熱損傷を防止するための緊急停止措置)が発生して、コンベア等が停止する可能性がある。サーマルトリップの発生を防止するため、例えば特許文献1には、電動機の負荷電流を監視し、その負荷電流が上限値もしくは下限値を超えた場合に警報を発する方法が開示されている。
また、特許文献2には、切出し装置(払出装置)における篩装置(振動フィーダ)および切出し装置下流の破砕装置において、破砕装置用駆動装置の負荷電流を監視し、破砕装置用駆動装置の負荷電流が上限設定値以上の時には振動フィーダの作動を弱め、下限設定値以下の時は振動フィーダの作動を強めることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭61-45819号公報
【文献】特開平5-168971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された発明では、コンベア等を動作させる電動機の負荷電流が上限値もしくは下限値を超えた場合に警報を発するため、コンベア等に異常が発生していることは検知できるものの、コンベア等の運転状態は不明である。上記特許文献1に開示された発明では、警報が発信された場合は、結局はコンベア等を停止させる必要があり、コンベア等を停止した具体的な異常状態を確認し解消する必要があるという問題があった。また、上記特許文献2に開示された発明では、破砕装置用駆動装置の負荷電流の大小により、振動フィーダの作動を制御するに過ぎず、破砕装置(下流側の装置)の運転状態を検知することができないという問題があった。
また、貯留物の含有水分量が変動することによる嵩比重の変動による駆動装置の過負荷状態の発生を抑止するため、払出装置やコンベア等で貯留物からの運搬物の重量を監視することが考えられるが、払出重量や運搬重量を計測する場合、高価な計測器等の設置が必要であり、また、その計測器等の校正も必要となることから、設備コストや保守作業のコストがかかるという問題がある。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、コンベアの状態を判断することで、コンベアに異常が発生している可能性があることを検知し、異常が拡大する前に対策を講じることができるコンベアの状態を監視する供給システムの制御装置、これを備える供給システム、及びその制御方法並びに制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の供給システムの制御装置は、ホッパ内に貯留した貯留物を払い出し、運転速度が可変である払出部と、前記ホッパから払い出された前記貯留物を運搬するコンベアと、前記コンベアを駆動する電動機と、を備える供給システムの制御を行う供給システムの制御装置であって、前記コンベア上の前記貯留物の有無を判定する在荷判定部と、前記電動機の電流値を取得する電流取得部と、を備え、前記ホッパ内の前記貯留物の有無と前記払出部の運転または停止と前記電動機の前記電流値との組合せに基づき前記供給システムの運転状態を判定する。
【0007】
本開示の供給システムは、ホッパ内に貯留した貯留物を払い出す払出部と、前記ホッパから払い出された前記貯留物を運搬するコンベアと、前記コンベアを駆動する電動機と、前述の供給システムの制御装置と、を備える。
【0008】
本開示の供給システムの制御方法は、ホッパ内に貯留した貯留物を払い出し、運転速度が可変である払出部と、前記ホッパから払い出された前記貯留物を運搬するコンベアと、前記コンベアを駆動する電動機と、を備える供給システムの制御を行う供給システムの制御方法であって、前記コンベア上の前記貯留物の有無を判定する在荷判定工程と、前記電動機の電流値を取得する電流取得工程と、を備え、前記ホッパ内の前記貯留物の有無と前記払出部の運転または停止と前記電動機の前記電流値との組合せに基づき前記供給システムの運転状態を判定する。
【0009】
本開示の供給システムの制御プログラムは、ホッパ内に貯留した貯留物を払い出し、運転速度が可変である払出部と、前記ホッパから払い出された前記貯留物を運搬するコンベアと、前記コンベアを駆動する電動機と、を備える供給システムの制御を行う供給システムの制御プログラムであって、前記コンベア上の前記貯留物の有無を判定する在荷判定ステップと、前記電動機の電流値を取得する電流取得ステップと、を備え、前記ホッパ内の前記貯留物の有無と前記払出部の運転または停止と前記電動機の前記電流値との組合せに基づき前記供給システムの運転状態を判定する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、コンベア上の荷の有無と、コンベアを動作させる電動機で計測された運転電流とに基づき、コンベアの状態を判断することで、コンベアに異常が発生している可能性があることを検知し、異常が拡大する前に対策を講じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の幾つかの実施形態に係る供給システムの概略構成図である。
【
図2】本開示の幾つかの実施形態に係る供給システムの制御装置を示すブロック図である。
【
図3】本開示の幾つかの実施形態に係る供給システムのタイムチャートである。
【
図4】本開示の幾つかの実施形態に係る供給システムの制御装置の制御のフローチャートである。
【
図5】本開示の幾つかの実施形態に係る電動機の運転電流の推移を示すタイムチャートである。
【
図6】本開示の幾つかの実施形態に係る電動機の運転電流の推移を示すタイムチャートである。
【
図7】本開示の幾つかの実施形態に係る供給システムの制御装置の制御のフローチャートである。
【
図8】本開示の幾つかの実施形態に係る電動機の運転電流の推移を示すタイムチャートである。
【
図9】本開示の幾つかの実施形態に係る電動機の運転電流の推移を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示に係る供給システムの制御装置、これを備える供給システム、及びその制御方法並びに制御プログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、本開示の幾つかの実施形態に係る供給システムの概略構成図が示されている。
本実施形態に係る払出装置10は、例えば、火力発電プラントにおいて、固体燃料等を燃焼する燃焼部に対して、貯留した固体燃料を供給する供給システム1に適用される。払出装置10は、供給システム1において、ホッパ20に貯留されている石炭やバイオマス等の固体燃料(貯留物)7の払出や運搬を行う。なお、本実施形態では、払出装置10がホッパ20から払い出す貯留物として、固体燃料7を適用する例について説明するが、払出装置10が払い出す対象は固体燃料7に限定されない。
なお、以下の説明で、上方や上方向などの上および同様に下は、鉛直方向での上や下を示すものであり、鉛直方向は厳密ではなく誤差を含むものとする。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る払出装置10は、ホッパ20、回転払出機(払出部)30、運搬用コンベア(コンベア)50などを備え、例えば、大部分が、地面(供給面)2よりも下方(すなわち地下)に配置される。詳細には、払出装置10は、後述する運搬用コンベア50の一部以外が、地面2を掘削することで形成した地下空間3内に配置されている。なお、本実施形態における地面2とは、後述するホッパ20内に投入する固体燃料7を運搬する搬送車両6が乗り入れる乗入面を意味している。地下空間3と地上とは、地面2に形成された地面開口(供給面開口)4によって連通している。地面開口4の周縁の少なくとも一部の領域には、段状の段差部5が形成されており、この段差部5に後述するホッパ20のフランジ部23が上方から係合することで、ホッパ20が吊り下げられるように支持されている。
【0014】
払出装置10は、地面2よりも下方に設けられるホッパ20と、ホッパ20の内部に形成された内部空間の下部に設けられる回転払出機30と、ホッパ20に貯留する固体燃料7を検出する在荷検知器40と、ホッパ20の下方に設けられる運搬用コンベア50と、在荷検知器40からの情報等に基づいて運搬用コンベア50及び回転払出機30を制御する制御装置60と、を備えている。
【0015】
ホッパ20は、外形が例えば逆円錐台形状であって、内部に空間(内部空間)が形成される筒体である。外形は例えば逆多角錐台形状であってもよい。すなわち、ホッパ20の外形は、上下方向に延びる円筒形状を下方に向かうにしたがって縮径、もしくは下方に向かうに従って内部空間の水平方向断面積が縮小している。ホッパ20は、内部空間の側面を規定する側面部21と、内部空間の底面を規定する底面部22と、上端付近には側面部21から半径方向外側に所定距離突出するフランジ部(支持部)23と、を有している。
【0016】
側面部21は、上端から下端に向かうにしたがって縮径している。具体的には、側面部21は、水平面に対して、角度θを為すように傾斜している。角度θは、ホッパ20内に貯留される固体燃料7の安息角度以上となるように設定され、側面部21が固体燃料7の下方への排出を妨げないようになっている。本実施形態では、一例として、角度θが60度程度に設定されている。なお、角度θの具体的な角度は一例であり、60度に限定されず、60度よりも小さくてもよく、また、60度以上であってもよい。側面部21は、上端に供給開口24を有していている。供給開口24は、上方に開口しており、ホッパ20の内部空間とホッパ20の外部空間とを連通している。また、供給開口24は、地面開口4と同じ高さ位置もしくは、地面開口4とわずかな段差を形成する高さ位置(すなわち、地面開口4よりもわずかに高い高さ位置、もしくは、わずかに低い高さ位置)に位置している。側面部21の下端は、水平方向に底面部22によって閉塞されている。なお、後述するが、底面部22には、払出開口25が形成されているため、ホッパ20の下端の全領域が閉塞されているわけではない。
【0017】
フランジ部23は、側面部21の上部の上端付近にあり周方向の少なくとも一部、さらに好ましくは全域から略水平に半径方向外側に延びる円環状の部材である。フランジ部23は、段差部5の上面に載置されている。すなわち、フランジ部23は、段差部5に上方から係合している。ホッパ20は、フランジ部23と段差部5との係合部分以外では、地面2に対して支持されていない。したがって、ホッパ20は、フランジ部23と段差部5との係合部分を支持点として、吊り下げられるように地面2に支持されている。
【0018】
底面部22は、側面部21の下端の周方向の全域から、例えば略水平に半径方向の内側に延びる円環状の板材である。なお、ホッパ20は外形が逆多角錐台形状の場合は、底面部22は多角形状の板材になり、限定されるものではない。また、底面部22の略中央には、例えば円形の払出開口25が形成されている。払出開口25は、上下方向に貫通しており、ホッパ20の内部空間と外部空間とを連通している。また、底面部22の外側下面(すなわち、外部空間に面する面)には、底面部22を補強する補強材(図示せず)が溶接により固定されている。
ホッパ20はフランジ部23により上方から段差部5に係合することで、ホッパ20が吊り下げられるように支持されているので、下方に向かっての位置変位を拘束しないようになっている。
【0019】
回転払出機30は、本実施形態では例えば、底面部22の上面に沿って回転する旋回翼(回転部)31と、旋回翼31を回転駆動させる旋回翼駆動部32とを有している。回転払出機30は、旋回翼31を回転させることで、ホッパ20に貯留されている固体燃料7を所定量ずつ払出開口25より下方側へと払い出す。また、旋回翼31の回転速度を制御することで、払い出される貯留物の量を制御して略一定容積にて払い出しを行うことができる。
【0020】
旋回翼駆動部32は、内部に空間が形成されている円錐状のカバー部36と、カバー部36の内部に配置される旋回翼駆動装置37と、を有している。カバー部36は、ブラケット(図示省略)を介してホッパ20に固定されている。旋回翼駆動装置37は旋回翼31の中心と係合しており、旋回翼31を回転駆動する。旋回翼駆動装置37からの駆動力によって、旋回翼31は、ホッパ20の底面部22付近に貯留する固体燃料7を払出開口25に導くように、底面部22の上面に沿って回転する。
【0021】
在荷検知器40は、ホッパ20の側面部21に、底面部22から所定の距離である高さhだけ離間するように設けられる。在荷検知器40は、例えば水平方向に電磁波を送信する透過式のセンサであって、ホッパ20に貯留する固体燃料7が在荷検知器40を設けた高さ位置まで貯留しているか否かを検出することができる。在荷検知器40は取得した情報を、制御装置60に送信する。なお、在荷検知器40は、電磁波透過式に限定されず、リミットスイッチなどホッパ20に貯留する固体燃料7の在荷有無が判断できればよい。また、在荷検知器40は、運搬用コンベア50の第1水平部54における払出開口25の下方の位置から運搬用コンベア50の運搬方向下流側に設け、運搬用コンベア50上に固体燃料7が積載されているか否かを検知してもよい。
【0022】
運搬用コンベア50は、払出開口25の鉛直下方に配置される。運搬用コンベア50は、いわゆるベルトコンベアであって、電動機51からの駆動力によって回転するローラ52と、ローラ52と一対であるローラ59と、ローラ52の回転に伴って移動するベルト53とを有している。ベルト53は、無端状であって、運搬用コンベア50の長手方向の両端部において、折り返されている。また、運搬用コンベア50は、本実施形態ではホッパ20から払い出された固体燃料7を受け取る位置にある第1水平部54と、第1水平部54で受け取った固体燃料7を上方に運搬する位置にある鉛直部55と、鉛直部55で上方に運搬した固体燃料7を運搬先の装置まで運搬する位置にある第2水平部56と、を有している。ベルト53には、平面部分から突出する壁部57が所定の間隔で設けられている場合があり、鉛直部55ではこの壁部57が運搬物(本実施形態では、固体燃料7)を上方へ運搬する際に載置可能な載置面となる。なお、第1水平部54及び鉛直部55の下部は、地下空間3に位置している。一方、鉛直部55の上部及び第2水平部56は、地上に位置されていて、第1水平部54及び鉛直部55の下部は、順次に鉛直部55の上部及び第2水平部56へと移動する。すなわち、運搬用コンベア50は、地下空間3から地上に設けられた運搬先まで、固体燃料7を運搬する。固体燃料7を上方に運搬する鉛直部55は、固体燃料7を上方に運搬できればよく、鉛直ではなく傾斜して設けられていてもよい。
【0023】
図2には、本開示の幾つかの実施形態に係る供給システムの制御装置を示すブロック図が示されている。
制御装置60は、
図2に示すように、在荷判定部61、電流取得部62、異常判定部63、及び異常状態制御部64を備える。制御装置60は、少なくとも在荷判定部61及び電流取得部62を備えていればよく、その場合は制御装置60が供給システム1の運転状態を判定する。
【0024】
在荷判定部61は、在荷検知器40が検出したホッパ20の内部空間に貯留された固体燃料7の有無、及び旋回翼駆動装置37の運転・停止に基づき、運搬用コンベア50上の固体燃料7の有無を判定する。
電流取得部62は、電動機51の電流値を取得する。
異常判定部63は、在荷判定部61が判定した運搬用コンベア50上の固体燃料7の有無と、電流取得部62が取得した電動機51の電流値とに基づき、供給システム1が異常状態であるか否かを判定する。
異常状態制御部64は、異常判定部63が供給システム1は異常状態であると判定した場合に、供給システム1の制御を行う。異常状態制御部64は、例えば旋回翼駆動装置37を制御して固体燃料7の払い出し量の制御を行う、報知装置70に警報を報知するよう制御を行う、電動機51を制御して運搬用コンベア50の停止処理を行う、などの制御を行ってもよい。
このように制御装置60は、在荷判定部61が判定した運搬用コンベア50上の固体燃料7の有無と、電流取得部62が取得した電動機51の電流値とに基づき、供給システム1の運転状態を判定する。
【0025】
制御装置60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0026】
次に、本実施形態に係る払出装置10における固体燃料7の流れについて
図1に基づき説明する。
まず、固体燃料7は、搬送車両6によって搬送される。搬送されてきた固体燃料7は、搬送車両6から地面2より下部に設けられたホッパ20内へ投入される。ホッパ20は、投入された固体燃料7を内部空間に貯留する。このとき、ホッパ20下部に設けられた回転払出機30の旋回翼31が回転する。旋回翼31が回転することで、固体燃料7が底面部22の中央領域に集められ、略一定容積の所定量ずつ払出開口25から下方に落下することでホッパ20から払い出される(払出ステップ)。下方に落下した固体燃料7は、運搬用コンベア50の第1水平部54に位置するベルト53に受け止められる。運搬用コンベア50は、ベルト53を移動させることで、固体燃料7を運搬先の装置まで運搬する。運搬先の装置とは、例えば、地上に設けられた固体燃料バンカ(図示省略)等である。固体燃料バンカで貯蔵された固体燃料7は、その後、ボイラ(図示省略)の燃焼装置(図示省略)に供給され燃焼される。そして、燃焼装置で生成された高温の燃焼ガスがボイラ内部の熱交換器(図示省略)を流通する給水や蒸気へ伝熱されて高温高圧の蒸気が生成され、この蒸気が蒸気タービン(図示省略)に導入され、タービンロータ(図示省略)を断熱膨張して得られる回転駆動力を発電機(図示省略)の回転駆動に用いることによって発電部(図示省略)を利用して発電等が行われる。
【0027】
次に、供給システム1の払出制御および電動機制御について
図3のタイムチャートを用いて説明する。
図3には、本開示の幾つかの実施形態に係る供給システムのタイムチャートが示されている。
図3の各横軸は、時間を示す。
図3(a)の縦軸は、ホッパ20から払い出される固体燃料7の払出重量を示し、払出重量の推移は実線で示される。
図3(a)のように時間経過に従いホッパ20から一定の払い出しが行われた場合に対して、
図3(b)~
図3(d)は、それぞれ電動機51の運転状態が異なる状態ときの電流値(運転電流)の変化を示している。
図3(b)の縦軸は、電動機51の電流値(運転電流)を示し、運転電流は実線で示される。なお、
図3(b)において電動機51の電流値(運転電流)は、微小な変動を平滑化して模式的に示されている。
図3(c)の縦軸は、電動機51の電流値(運転電流)を示し、電流値は実線で、後述する平均電流値I
ave1及びI
ave2は一点鎖線でそれぞれ示される。
図3(d)の縦軸は、電動機51の電流値(運転電流)を示し、電流値は実線で、後述する電動機51の平均電流値I
ave及びI
ave´は一点鎖線でそれぞれ示される。
図3(a)には、固体燃料7の払い出し量がタイムチャートに示されている。また
図3(b)には、
図3(a)のように払い出しが行われた場合の異常状態ではない正常な状態の電動機51の電流値がタイムチャートに示されている。
【0028】
ホッパ20内に固体燃料7が貯留していない状態で
図3の時間t
0に示されるように供給システム1を開始する。この場合のホッパ20からの固体燃料7の払出重量は
図3(a)の時間t
1までの期間に示されるように0(ゼロ)であり、運搬用コンベア50上に固体燃料7は積載されていない。また電動機51は、
図3(b)の時間t
0から時間t
1までの期間に示されるように無負荷運転を行っている。このように運搬用コンベア50上に固体燃料7が積載されていない無負荷運転時の電動機51の電流値を電流値初期値I
NLとする。電流値初期値I
NLは、例えば時間t
0から時間t
1の間の電流値の平均値であるとしてもよい。また運搬用コンベア50上に固体燃料7が積載されていなくても、供給システム1の稼働中は電動機51により運搬用コンベア50は所定の速度で運転している。
【0029】
搬送車両6からホッパ20への固体燃料7の投入が開始されるとホッパ20内の固体燃料7の高さが徐々に高くなる。固体燃料7の高さが在荷検知器40の設置位置まで至ると、在荷検知器40が固体燃料7を検出し、検出した旨を制御装置60へ送信する。在荷検知器40から情報を受信すると、制御装置60は、ホッパ20内の固体燃料7の貯留量が有ると判断し、
図3(a)の時間t
1から時間t
2に示されるようにホッパ20から運搬用コンベア50へ固体燃料7の払い出しを行い、略一定容積を払い出すように旋回翼駆動装置37を制御する。
【0030】
ホッパ20から運搬用コンベア50への固体燃料7の払い出しが開始されると、
図3(b)の時間t
1に示されるように、電動機51の運転電流は増加し、その後一定の電流値となる。
図3(b)の定格電流値I
Rは、電動機51の定格電流値を示す。電動機51は定格電流値I
Rに対して一定の裕度をもって運用する。これは、電動機51の電流値が定格電流値I
Rを超え、これが継続するとサーマルトリップが発生する場合があることから、運搬重量が変動して増加しても定格電流値I
Rまで到達しないように電流値に余裕を持たせておくためである。例えば、電流値の余裕は、定格電流値I
Rの5%乃至15%として、運搬用コンベア50が所定の速度での運転となるような電動機51の運転電流を選定してもよい。
【0031】
搬送車両6からホッパ20への固体燃料7の投入が終了すると、固体燃料7がホッパ20から回転払出機30により払い出されることで、ホッパ20内の固体燃料7の高さが徐々に低くなる。固体燃料7の高さが在荷検知器40の設置位置よりも低くなると、在荷検知器40が固体燃料7を検出しなくなる。在荷検知器40が固体燃料7を検出しなくなると、制御装置60は、固体燃料7の貯留量が無くなったと判断し、時間t2においてホッパ20から回転払出機30による払い出しを停止する。
【0032】
ホッパ20から運搬用コンベア50への固体燃料7の払い出しが停止されると、
図3(b)の時間t
2に示されるように、電動機51の運転電流は減少し、その後一定の電流値となる。この時、運搬用コンベア50上には固体燃料7は積載されていないため、無負荷運転となり、電流値は電流値初期値I
NLを示す。
【0033】
一方、搬送車両6は、ホッパ20への固体燃料7の投入が終了すると、固体燃料7の補給のため移動するとともに、別の搬送車両6が固体燃料7を搭載しホッパ20への投入のためホッパ20近傍まで移動する。このように、搬送車両6の交替時に運搬用コンベア50の空荷が発生し、無負荷運転となる。
【0034】
その後、別の搬送車両6がホッパ20への固体燃料7の投入を開始し、固体燃料7の高さが在荷検知器40の設置位置まで至ると、在荷検知器40が固体燃料7を検出し、検出した旨を制御装置60へ送信する。制御装置60が行う具体的な制御は、1度目の搬送車両6からホッパ20への固体燃料7の投入と同様なので、その詳細な説明は省略する。その後、固体燃料7の投入と払い出しが繰り返される。
【0035】
このように本実施形態の制御は行われる。なお、上述したように、本実施形態では、ホッパ20内の固体燃料7が全て払い出されてから、固体燃料7の次の投入が開始されている。すなわち、ホッパ20内に固体燃料7が存在しない時間が発生してもよい。固体燃料7が存在しない時間であっても、旋回翼31及びベルト53を停止させることなく、一定の速度で移動させる無負荷運転となる。また、例えば固体燃料7が存在しない時間が一定時間以上継続した場合は、旋回翼31を停止させてもよい。旋回翼31を停止させた場合は、ベルト53を停止させることもできる。もしくは旋回翼31の回転速度とベルト53の移動速度を低下させてもよい。
【0036】
運搬用コンベア50のベルト53が任意の基点から1周して同じ点(基点)に戻るまで、すなわち1回転した期間を1周期とする。
ホッパ20から運搬用コンベア50への固体燃料7の払い出し期間(例えば時間t1から時間t2まで/ホッパ20から運搬用コンベア50へ固体燃料7が払い出される期間)の間に、運搬用コンベア50のベルト53は複数周期回転する。例えば、ホッパ20からの払い出し期間(時間t1から時間t2まで)を約10分として、例えば運搬用コンベア50のベルト53の1回転の周期を約1分乃至2分とすると、この場合にベルト53は払い出し期間中に5周期乃至10周期を回転する。運搬用コンベア50のベルト53が複数周期回転することで、電動機51の運転電流の状況は複数周期分が継続される。
【0037】
このような供給システム1において、制御装置60が運転状態を判定する。
図3(c)には、本実施形態の一例としての
図3(a)のように払い出しが行われた場合の、異常状態がある場合の電動機51の電流値がタイムチャートに示されている。
【0038】
図3(c)に示されるように、時間t
0から時間t
1の間、時間t
1から時間t
2の間、また時間t
2から時間t
3の間において、
図3(b)の正常な状態の電動機51の電流値の変化に加えて、電動機51の電流値の周期的な小さな変動である振幅が見られる。ここで、1周する周期での電流値の小さな変動の振幅は、運搬用コンベア50のベルト53の1周期に対応している。運搬用コンベア50のベルト53は、部分的に状態の違いがある場合、1周する周期の中で上り期間と下り期間があり、ベルト53の一部に上り期間と下り期間とで電動機51への負荷状態が異なる状態の場合には、電動機51の電流値の周期的な波形を示す。このような場合、原因としては後述の
図3(d)の時間t
0から時間t
1の間、時間t
1から時間t
2の間、また時間t
2から時間t
3の間のように、ベルト53の一部に部分的な付着物があることが考えられる。電動機51の電流値の周期的な小さな変動が大きくなると、後述の
図3(d)の時間t
5から時間t
6の間のような場合となる。
【0039】
図3(c)の時間t
1から時間t
2の間(払い出し期間:搬送車両6から固体燃料7が投入されて在荷検知器40が固体燃料7を検出した後、ホッパ20から運搬用コンベア50へ固体燃料7の払い出しが完了して在荷検知器40が固体燃料7を検出しなくなるまでの期間)の電流値の平均である平均電流値I
ave2は、定格電流値I
Rを超えている。また、
図3(c)の時間t
2から時間t
3の間(払い出し停止期間:ホッパ20から運搬用コンベア50への固体燃料7の払い出しが行われず、在荷検知器40が固体燃料7を検出しない期間)の平均である平均電流値I
ave1は電流値初期値I
NLを超えている。
【0040】
このような場合、特に払い出し停止期間の平均電流値Iave1が電流値初期値INLを超える場合は、ホッパ20内の固体燃料7が払い出されずベルト53上に固体燃料7が積載されていない無負荷運転の状態にもかかわらず、電動機51の電流値が初期状態と比べて大きいといえる。すなわち、ベルト53の走行抵抗が増加していることが考えられる。この原因としては、運搬用コンベア50を運転させるローラ類の軸受に固着や損傷等が発生していることが考えられる。よって、運搬用コンベア50の点検・清掃または部品交換等の実施が必要である。
【0041】
また、
図3(d)には、本実施形態の一例としての
図3(a)のように払い出しが行われた場合の、別の異常状態がある場合の電動機51の電流値がタイムチャートに示されている。
図3(d)に示されるように、電動機51の電流値は時間t
0から時間t
1の間、時間t
1から時間t
2の間、また時間t
2から時間t
3の間において、
図3(b)の正常な状態の電動機51の電流値の変化に加えて、小さな振幅の変動が見られる。このように、運搬用コンベア50のベルト53の1周期で振幅がある場合の原因としては、ベルト53に部分的な付着物がある場合が考えられる。運搬用コンベア50のベルト53は、1周期の中で上り期間と下り期間があり、部分的な付着物がベルト53の固体燃料7の運搬面側にある場合、固体燃料7を運搬先の装置へ投入するまでの上り期間では、ベルト53の一部には固体燃料7と付着物が積載されていることから、電動機51の電流値はベルト53に付着が発生していない場合よりも高くなる。また、固体燃料7を運搬先の装置へ投入した後の下り期間では、ベルト53の一部には付着物が付着していることから重力方向下向きの力が働き、ベルト53の移動負荷が小さくなるため、電動機51の電流値はベルト53に付着が発生していない場合よりも低くなる。これらの特性により、電動機51の電流値は周期的な変動を繰り返す。尚、固体燃料7を積載していない無負荷運転時においても、ベルト53に付着物が部分的に付着している場合、電動機51の電流値は同様の傾向を示す。
【0042】
ここで、例えば、ベルト53の一部への付着物の量がさらに多くなると、時間t
5から時間t
6の間のように
図3(b)の正常な状態の電動機51の電流値の変化に加えて、電流値変動の振幅が大きくなる。この時の例では、電動機51の電流値の最大値が定格電流値I
Rを超えている。この状態が継続するとサーマルトリップが発生する可能性がある。よって、回転払出機30の旋回翼31の回転速度を低下させてホッパ20からの固体燃料7の払い出し量を低減することで電動機51の負荷を低下する、または、ベルト53の一部へ付着した付着物の除去を目的とした運搬用コンベア50の点検・清掃の実施が必要である。
【0043】
例えば、時間t6の後に固体燃料7の払い出し量を低減することで、時間t7から時間t8の間の平均電流値Iave´は、時間t5から時間t6の間の平均電流値Iaveよりも低い値となる。また、この時の例では、電動機51の負荷が低下することで電流値の最大値が定格電流値IRを下回り、サーマルトリップの発生が抑止される。
【0044】
本開示の供給システム1の制御装置60の制御について以下に説明する。
図4には、本開示の幾つかの実施形態に係る供給システムの制御装置の制御がフローチャートに示されている。
【0045】
制御装置60による制御が開始されると、制御装置60の電流取得部62は、電動機51から電動機51の電流値(運転電流値)、運搬用コンベア50の少なくとも1周期以上における電動機51の電流値の平均である平均電流値Iave、及び平均電流値Iaveを取得したのと同じ期間の電流値の最大値IPを取得する(S401)。
【0046】
次に、在荷判定部61は、運搬用コンベア50上に固体燃料7が積載されているか否かの判定を行う(S402)。具体的には、例えば、在荷判定部61は、ホッパ20に設けられた在荷検知器40からホッパ20内の固体燃料7を検出したか否かの情報を取得し、在荷検知器40が固体燃料7を検出し、尚且つ、回転払出機30が運転中の場合は、ホッパ20から運搬用コンベア50へ固体燃料7が払い出されるものとして、在荷判定部61は運搬用コンベア50上に固体燃料7が積載されていると判定してもよい。在荷検知器40が固体燃料7を検出しなかった場合、もしくは、ホッパ20内の固体燃料7の有無にかかわらず回転払出機30が停止中の場合は、ホッパ20から運搬用コンベア50へ固体燃料7が払い出されないため、在荷判定部61は運搬用コンベア50上に固体燃料7が積載されていないと判定してもよい。なお、在荷検知器40は、運搬用コンベア50の第1水平部54における払出開口25の下方の位置から運搬用コンベア50の運搬方向下流側に設けてもよい。
【0047】
ステップS402において在荷判定部61が運搬用コンベア50上に固体燃料7が積載されていないと判定すると、ステップS403へ遷移する。一方、在荷判定部61が運搬用コンベア50上に固体燃料7が積載されていると判定すると、ステップS405へ遷移する。
【0048】
ステップS403において、異常判定部63は、平均電流値Iaveが、電流値初期値INLに所定値B(第1所定値)を掛け合わせた値、すなわち電流値初期値INLと所定値Bとの積より大きい値であるか否かを判定する。異常判定部63が平均電流値Iaveは電流値初期値INLと所定値Bとの積より大きい値であると判定した場合は、ステップS404へ遷移する。一方、異常判定部63が平均電流値Iaveは電流値初期値INLと所定値Bとの積以下の値であると判定した場合は、ステップS405へ遷移する。ここで所定値Bは、1より大きい値であり、例えば1.05乃至1.5が使用され、本実施形態では1.2が設定される。
【0049】
異常判定部63は、運搬用コンベア50上に固体燃料7が積載されていないと判定されている状態で、平均電流値Iaveが電流値初期値INLに所定値B(B>1)を掛け合わせた値を超えると、無負荷運転時であるにもかかわらず電動機51の電流値が初期状態よりも大きいことを検知し、異常状態であることを判定する。
【0050】
この状態は、前述の
図3(c)の時間t
2から時間t
3の間(払い出し停止期間)の平均である平均電流値I
ave1は電流値初期値I
NLを超えている状況に類似している。すなわち、ベルト53の走行抵抗が増加していることが考えられる。
よって、
図4のステップS404において、異常判定部63の判定結果から運搬用コンベア50のベルト53の走行抵抗が増加している異常状態(1)であることが考えられる。異常状態制御部64は、報知装置70への警報の報知の制御を行う。また、電動機51及び旋回翼駆動装置37の停止処理の制御を行ってもよい。これにより、供給システム1のユーザに対し、ベルト53の走行抵抗の増加を報知することができる。またその原因が運搬用コンベア50を運転させるローラ類の軸受に固着や損傷等の発生であることが考えられるため、ユーザにローラ52、59及びその他ローラとベルト53間やローラ軸受類の点検・清掃、または部品交換等の実施を促すことができる。
【0051】
図5には、本開示の幾つかの実施形態に係る電動機の運転電流の推移がタイムチャートに示されている。
図5の横軸は時間を示し、
図5の縦軸は電動機51の電流値(運転電流)を示す。運転電流は実線で示され、平均電流値I
aveは一点鎖線で示される。
図5に示されるように、無負荷運転時の電動機51の電流値の平均である平均電流値I
aveが、電流値初期値I
NLに所定値B(B>1)を掛け合わせた値を上回る場合は、運搬用コンベア50のベルト53上に固体燃料7が積載されていないにもかかわらず、運転電流値が増加している。
この状態は、前述
図3(d)の時間t
6から時間t
7の間(払い出し停止期間)の平均である平均電流値I
ave1は電流値初期値I
NLを超えている状況に類似する。
このような状態で固体燃料7が積載されると、運転電流値が定格電流値I
Rを超える。
この状態は、前述
図3(d)の時間t
5から時間t
6の間(払い出し期間)の平均である平均電流値I
ave1が増加し、電動機51の電流値の最大値が定格電流値I
Rを超えている状況に類似する。この状態が継続するとサーマルトリップが発生する可能性があるので、回転払出機30の旋回翼31の回転速度を低下させてホッパ20からの固体燃料7の払い出し量を低減することで電動機51の負荷を低下するか、または、ベルト53の一部へ付着した付着物の除去を目的に運搬用コンベア50の点検・清掃の実施が必要である。
運転電流値が定格電流値I
Rを超えないように、回転払出機30の旋回翼31の回転速度を低下させてホッパ20からの固体燃料7の払い出し量を低減する制御を行うと、運搬用コンベア50への固体燃料7の積載量が少なくなる。そのため、異常状態ではない通常運転における運搬用コンベア50が運搬可能な量よりも運搬量が減少してしまい、効率的な運用が不可となる。
【0052】
図6には、本開示の幾つかの実施形態に係る電動機の運転電流の推移がタイムチャートに示されている。
図6の横軸は時間を示し、
図6の縦軸は電動機51の電流値(運転電流)を示す。運転電流は実線で示され、平均電流値I
aveは一点鎖線で、電流値の最大値I
Pは太破線でそれぞれ示される。
図4のステップS402で在荷判定部61が運搬用コンベア50上に固体燃料7が積載されていると判定する場合、またはステップS403で異常判定部63が平均電流値I
aveは電流値初期値I
NLと所定値Bとの積以下の値であると判定した場合は、異常判定部63は電動機51の運転電流値の最大値I
Pと平均電流値I
aveとの偏差である運転電流偏差I
Dが第1閾値σを超えるか否かの判定を行う(S405)。例えば、平均電流値I
aveが払い出し期間1回の電動機51の電流値の平均であるとするならば、電流値の最大値I
Pは、平均電流値I
aveを取得したのと同じ払い出し期間1回における電流値の最大の値であるとする。平均電流値I
ave及び電流値の最大値I
Pの取得は、無負荷運転時であってもよい。
【0053】
ステップS405において、異常判定部63が運転電流偏差IDは第1閾値σを超えていると判定した場合は、ステップS406に遷移する。ステップS406において、異常判定部63の判定結果から運搬用コンベア50のベルト53の一部への付着物が増加している異常状態(2)であることが考えられる。一方、異常判定部63が運転電流偏差IDは第1閾値σ以下であると判定した場合は、ステップS401へ遷移する。ここで第1閾値σは、使用される電動機51の定格電流値に応じて決定される値であり、任意の値である。本実施形態では、例えば5(A)が設定される。
【0054】
異常判定部63は、運転電流偏差IDが第1閾値σを超えると、電動機51の電流値変動の振幅が過剰に増加していることを検知し、供給システム1が異常状態(2)であることを判定する。
【0055】
図6に示した電動機51の運転電流の推移のタイムチャートに示されるように、ベルト53が1周する期間T
Con(分/周)における、電流値の最大値I
Pと平均電流値I
aveとの偏差である運転電流偏差I
Dが、第1閾値σを超えている場合は、電流値変動の振幅が増加している。このような状態では、払い出し期間における電流値の最大値I
Pが定格電流値I
Rを超えないように、回転払出機30の旋回翼31の回転速度を低下させてホッパ20から運搬用コンベア50への固体燃料7の払い出し量を低減する制御を行う。しかしながら、この制御によれば、運搬用コンベア50への固体燃料7の積載量が少なくなるため、異常状態ではない通常運転における運搬用コンベア50が運搬可能な量よりも運搬量が減少してしまい、効率的な運用が不可となる。
【0056】
図4のステップS406において、異常判定部63の判定結果から、電動機51の電流値の変動の振幅が、ベルト53が1周する期間T
Con(分/周)での周期性を持つ場合は、運搬用コンベア50のベルト53に付着物が部分的に付着している異常状態(2)であることが考えられる。異常状態制御部64は、報知装置70への警報の報知の制御を行う。また、電動機51及び旋回翼駆動装置37の停止処理の制御を行ってもよい。これにより、供給システム1のユーザに対し、ベルト53への付着物の付着を報知することができる。また付着物の除去のため、ユーザにベルト53の点検・清掃、または部品交換等の実施を促すことができる。
【0057】
一方、ステップS405において異常判定部63が運転電流偏差I
Dは第1閾値σ以下であると判定した場合は、異常状態(1)および異常状態(2)に至っていないと判定して、ステップS401へ遷移する。
図4に示す制御フローは、連続的に実行されてもよいし、所定の時間間隔をおいて実行されてもよい。
【0058】
さらに異常状態(1)および異常状態(2)以外の異常状態の判定を行ってもよい。
図7には、本開示の幾つかの実施形態に係る供給システムの制御装置で行われる制御がフローチャートに示されている。
【0059】
制御装置60による制御が開始されると、制御装置60の異常判定部63は、電動機51の電流値の最大値I
Pが定格電流値I
Rを超えるか否かの判定を行う(
図7のS701)。ステップS701において、異常判定部63が払い出し期間の電流値の最大値I
Pが定格電流値I
Rを超えていると判定した場合は、ステップS702に遷移する。一方、異常判定部63が電流値の最大値I
Pが定格電流値I
R以下であると判定した場合は、ステップS704へ遷移する。
【0060】
異常判定部63は、払い出し期間の電流値の最大値IPが定格電流値IRを超えると、電動機51が過負荷状態であることを検知し、異常状態であることを判定する。
【0061】
図8には、本開示の幾つかの実施形態に係る電動機の運転電流の推移がタイムチャートに示されている。
図8の横軸は時間を示し、
図8の縦軸は電動機51の電流値(運転電流)を示す。運転電流は実線で示され、電流値の最大値I
Pは太破線で示される。
図8に示されるように、払い出し期間の電流値の最大値I
Pが定格電流値I
Rを超えている場合は、電動機51のサーマルトリップの発生を防ぐため、回転払出機30の旋回翼31の回転速度を低下させてホッパ20から運搬用コンベア50への固体燃料7の払い出し量を低減し、電流値の最大値I
Pが定格電流値I
Rを超えないように制御を行う。
【0062】
例えば、固体燃料7の含有水分量が増加などにより嵩比重の増加により、容積が同じであってもその重量が増加する場合がある。
図7のステップS702において、異常判定部63の判定結果(ステップS701の判定結果)から、例えば嵩比重が増加することで固体燃料7の一定容積に対する運搬重量が増加し、電動機51の負荷の増大で運転電流が増加してサーマルトリップの発生により継続的な運転が出来ない状況となる異常状態(3)(過負荷)であることが考えられる。異常状態制御部64は、報知装置70への警報の報知の制御や、旋回翼駆動装置37の制御を行う。これにより、供給システム1のユーザに対し、固体燃料7の一定容積に対する運搬重量の増加の発生を報知することができる。また、ホッパ20から運搬用コンベア50への固体燃料7の払い出し量の一時的な低減を行うことができる(S703)。ステップS703にて固体燃料7の払い出し量の一時的な低減が行われた後、払い出し量を元の量に戻してもよいし、ステップS701へ戻り、繰り返し制御を行うとしてもよい。
【0063】
一方、ステップS701において異常判定部63が払い出し期間の電流値の最大値IPは定格電流値IR以下であると判定した場合は、異常判定部63は電流値の最大値IPが定格電流値IRに所定値A(第2所定値)を掛け合わせた値、すなわち定格電流値IRと所定値Aとの積より小さい値であるか否かを判定する(S704)。異常判定部63が電流値の最大値IPは定格電流値IRと所定値Aとの積より小さい値であると判定した場合は、ステップS705へ遷移して、固体燃料7の一定容積に対する運搬重量が減少している異常状態(3)(低負荷)であると考える。一方、異常判定部63が電流値の最大値IPは定格電流値IRと所定値Aとの積以上の値であると判定した場合は、ステップS701へ遷移する。ここで所定値Aは、1より小さい値であり、例えば0.7乃至0.95が使用され、本実施形態では0.8が設定される。
【0064】
異常判定部63は、電流値の最大値IPが定格電流値IRと所定値A(A<1)との積より小さい値であると、異常状態ではない通常運転、すなわち電動機51の負荷が運搬用コンベア50の固体燃料7の運搬能力を高く維持して効率的な運用を行う通常運転よりも低負荷状態であることを検知し、異常状態であることを判定する。
【0065】
図9には、本開示の幾つかの実施形態に係る電動機の運転電流の推移がタイムチャートに示されている。
図9の横軸は時間を示し、
図9の縦軸は電動機51の電流値(運転電流)を示す。運転電流は実線で示され、電流値の最大値I
Pは太破線で示される。
図9に示されるように、電流値の最大値I
Pが定格電流値I
Rと所定値Aとの積を下回る場合は、運搬用コンベア50の固体燃料7の運搬能力を高く維持して効率的な運用を行うため、回転払出機30の旋回翼31の回転速度を増加させてホッパ20からの固体燃料7の払い出し量を増加させるように制御を行うことで、運搬用コンベア50による運搬量を増加させて効率的な運用を行う。
【0066】
例えば、固体燃料7の含有水分量の低下などにより嵩比重が減少することで固体燃料7の容積が同じであってもその重量が減少する場合がある。
図7のステップS705において、異常判定部63の判定結果から、例えば嵩比重が減少することで固体燃料7の一定容積に対する運搬重量が減少し、電動機51の負荷が低下して運転電流が減少して、運搬用コンベア50の固体燃料7の運搬能力を高く維持して効率的な運用を行うことができていない異常状態(3)(低負荷)であることが考えられる。異常状態制御部64は、報知装置70への警報の報知の制御や、旋回翼駆動装置37の制御を行う。これにより、供給システム1のユーザに対し、固体燃料7の一定容積に対する運搬重量の減少の発生を報知することができる。また、ホッパ20から運搬用コンベア50への固体燃料7の払い出し量の一時的な増加を行うことができる(S706)。ステップS706にて固体燃料7の払い出し量の一時的な増加が行われた後、払い出し量を元の量に戻してもよいし、ステップS701へ戻り、繰り返し制御を行うとしてもよい。
【0067】
一方、ステップS704において異常判定部63が電流値の最大値I
Pは定格電流値I
Rと所定値Aとの積以上の値であると判定した場合は、異常状態(3)に至っていないと判定して、ステップS701へ遷移する。
図7に示す制御フローは、連続的に実行されてもよいし、所定の時間間隔をおいて実行されてもよい。
【0068】
以上説明した本実施形態に係る供給システムの制御装置、これを備える供給システム、及びその制御方法並びに制御プログラムが奏する作用および効果について説明する。
【0069】
本実施形態に係る供給システムの制御装置、これを備える供給システム、及びその制御方法並びに制御プログラムによれば、運搬用コンベア50による固体燃料7の運搬の有無と電動機51の電流値とから供給システム1、特に運搬用コンベア50に異常が発生している可能性があることを検知し、異常が拡大する前に対策を講じることができる。これにより、運搬用コンベア50の電動機51のサーマルトリップ発生などの安全保護装置の作動による緊急停止を防ぎ、安定した運転を行うことができる。
【0070】
本実施形態に係る供給システムの制御装置、これを備える供給システム、及びその制御方法並びに制御プログラムによれば、電動機51の平均電流値、電流値の最大値と平均電流値との偏差である運転電流偏差の値に基づき、供給システム1の運転状態をより詳細に判定することができる。
【0071】
本実施形態に係る供給システムの制御装置、これを備える供給システム、及びその制御方法並びに制御プログラムによれば、運搬用コンベア50による固体燃料7の運搬の有無と、電動機51の電流値の平均電流値及び運転電流偏差に基づき、供給システム1の運転状態のうち、特に異常状態について、より詳細に判定を行うことができる。
【0072】
本実施形態に係る供給システムの制御装置、これを備える供給システム、及びその制御方法並びに制御プログラムによれば、異常判定部63は、無負荷運転時の平均電流値の増大から運搬用コンベア50のローラ類軸受の固着や損傷等による運搬用コンベア50の運搬系統の走行抵抗の増加を検知し、異常状態の可能性があることを検知することができる。
【0073】
本実施形態に係る供給システムの制御装置、これを備える供給システム、及びその制御方法並びに制御プログラムによれば、異常判定部63は、運搬用コンベア50の1周する周期での運転電流偏差の増大から運搬用コンベア50のベルト53の一部への固体燃料7の部分的な付着等を検知し、異常状態の可能性があることを検知することができる。
【0074】
本実施形態に係る供給システムの制御装置、これを備える供給システム、及びその制御方法並びに制御プログラムによれば、異常判定部63は、電流値の最大値の増大により固体燃料7の含有水分量が増加などによる嵩比重の増加、すなわち運搬用コンベア50による固体燃料7の運搬重量の増加を検知して電動機51の過負荷により継続的な運転が出来ないことを事前に検知し、また、電流値の最大値の減少により固体燃料7の含有水分量が低下などによる嵩比重の減少、すなわち運搬用コンベア50による固体燃料7の運搬重量の減少を検知して電動機51の低負荷を事前に検知し、運搬用コンベア50の固体燃料7の運搬能力を高く維持して効率的な運用を継続して行うことができない異常の可能性があることを検知することができる。
【0075】
本実施形態に係る供給システムの制御装置、これを備える供給システム、及びその制御方法並びに制御プログラムによれば、異常状態制御部64は、異常状態であると判定されると、ホッパ20からの固体燃料7の払い出し量の制御を行うことで、運搬用コンベア50による固体燃料7の運搬重量を制御し、運搬用コンベア50の電動機51の運転電流値を所定の範囲内に制御することができる。
また、異常状態検知した場合に警報を報知することで、ユーザに供給システム1に異常が発生している可能性があることを知らせ、ユーザによる対策を促すことができる。
また、運搬用コンベア50及び供給システム1の停止処理を行うことで、安全に停止を行い、ユーザにより運搬用コンベア50及び供給システム1の保守を実施することができる。
また、電動機51の運転電流値を定格電流に近い電流値となるように払い出し量を制御することにより、運搬用コンベア50の運搬能力を高く維持して効率的な運用を行うことができる。
【0076】
以上説明した各実施形態に記載の供給システムの制御装置、これを備える供給システム、及びその制御方法並びに制御プログラムは例えば以下のように把握される。
本開示に係る供給システム(1)の制御装置(60)は、ホッパ(20)内に貯留した貯留物(7)を払い出す払出部(30)と、前記ホッパ(20)から払い出された前記貯留物(7)を運搬するコンベア(50)と、前記コンベア(50)を駆動する電動機(51)と、を備える供給システム(1)の制御を行う供給システム(1)の制御装置(60)であって、前記コンベア(50)上の前記貯留物(7)の有無を判定する在荷判定部(61)と、前記電動機(51)の電流値を取得する電流取得部(62)と、を備え、前記貯留物(7)の有無と前記電動機(51)の前記電流値とに基づき前記供給システム(1)の運転状態を判定する。
本開示に係る供給システム(1)の制御装置(60)によれば、貯留物(7)の有無と電動機(51)の電流値とから供給システム(1)、特にコンベア(50)に異常が発生している可能性があることを検知し、異常が拡大する前に対策を講じることができる。これにより、コンベア(50)の電動機(51)のサーマルトリップ発生などの安全保護装置の作動による緊急停止を防ぎ、安定した運転を行うことができる。
【0077】
本開示に係る供給システム(1)の制御装置(60)は、前記電流取得部(62)は、前記コンベア(50)の少なくとも1周する周期以上における前記電動機(51)の前記電流値の平均である平均電流値、及び、前記平均電流値を取得した周期と同じ周期における前記電動機(51)の前記電流値の最大値である最大電流値と前記平均電流値との偏差である運転電流偏差を取得し、前記供給システム(1)の運転状態を判定する。
本開示に係る供給システム(1)の制御装置(60)によれば、電動機(51)の平均電流値、また最大電流値と平均電流値との偏差である運転電流偏差の値に応じ、より詳細に供給システム(1)の運転状態を判定することができる。
【0078】
本開示に係る供給システム(1)の制御装置(60)は、前記在荷判定部(61)が判定した前記貯留物(7)の有無と、前記電流取得部(62)が取得した前記電流値の前記平均電流値、及び前記運転電流偏差とに基づき、前記供給システム(1)の異常状態を判定する異常判定部(63)を備える。
本開示に係る供給システム(1)の制御装置(60)によれば、貯留物(7)の有無と、電動機(51)の平均電流値、及び運転電流偏差とに基づき、供給システム(1)の運転状態のうち、特に異常状態について、より詳細に判定を行うことができる。
【0079】
本開示に係る供給システム(1)の制御装置(60)は、前記コンベア(50)上に前記貯留物(7)が積載されていない場合、または、前記払出部(30)が停止中である無負荷運転時の場合の前記電動機(51)の前記電流値を電流値初期値とし、前記在荷判定部(61)が前記コンベア(50)上に前記貯留物(7)が無いと判定すると、前記異常判定部(63)は、前記平均電流値が前記電流値初期値に第1所定値を掛け合わせた値を超える場合に前記供給システム(1)が異常状態であると判定する。
本開示に係る供給システム(1)の制御装置(60)によれば、異常判定部(63)は、平均電流値の増大からコンベア(50)のローラ類軸受の固着や損傷等によるコンベア(50)の運搬系統の走行抵抗の増加を検知し、異常状態の可能性があることを検知することができる。
【0080】
本開示に係る供給システム(1)の制御装置(60)は、前記在荷判定部(61)が前記コンベア(50)上に前記貯留物(7)が有ると判定する、または、前記在荷判定部(61)が前記コンベア(50)上に前記貯留物(7)が無いと判定しかつ前記異常判定部(63)が前記平均電流値は前記電流値初期値に前記第1所定値を掛け合わせた値以下であると判定すると、前記異常判定部(63)は、前記運転電流偏差が第1閾値を超える場合に前記供給システム(1)が異常状態であると判定する。
本開示に係る供給システム(1)の制御装置(60)によれば、異常判定部(63)は、コンベア(50)の1周する周期での運転電流偏差の増大からコンベア(50)のベルト(53)の一部への貯留物(7)の部分的な付着を検知し、異常状態の可能性があることを検知することができる。
【0081】
本開示に係る供給システム(1)の制御装置(60)は、前記在荷判定部(61)が前記コンベア(50)上に前記貯留物(7)が有ると判定すると、前記異常判定部(63)は、前記最大電流値が前記電動機(51)の定格電流を超える場合、または、前記最大電流値が前記定格電流に第2所定値を掛け合わせた値を下回る場合に前記供給システム(1)が異常状態であると判定し、前記ホッパ(20)の前記貯留物(7)の払い出し量の制御を行う。
本開示に係る供給システム(1)の制御装置(60)によれば、異常判定部(63)は、最大電流値の増大により貯留物(7)の含有水分量の増加などによる嵩比重の増加、すなわちコンベア(50)による貯留物(7)の運搬重量の増加を検知して電動機(51)の過負荷状態により継続的な運転が出来ないことを検知し、また、最大電流値の減少により貯留物(7)の含有水分量の低下などによる嵩比重の減少、すなわちコンベア(50)による貯留物(7)の運搬重量の減少を検知して電動機(51)の低負荷状態を検知し、コンベア(50)の貯留物(7)の運搬能力を高く維持して効率的な運用を継続して行うことができない異常の可能性があることを検知することができる。
【0082】
本開示に係る供給システム(1)の制御装置(60)は、前記異常判定部(63)により前記供給システム(1)が異常状態であると判定された場合に、前記払出部(30)による前記貯留物(7)の払い出し量の制御、警報の報知、及び前記コンベア(50)の停止処理の少なくとも一の制御を行う異常状態制御部(64)を備える。
本開示に係る供給システム(1)の制御装置(60)によれば、異常状態制御部(64)は、異常状態であると判定されると、払出部(30)によりホッパ(20)からの貯留物(7)の払い出し量の制御を行うことで、コンベア(50)による貯留物(7)の運搬重量を制御し、コンベア(50)の電動機(51)の運転電流値を所定の範囲内に制御することができる。
また、異常状態を検知した場合に警報を報知することで、ユーザに供給システム(1)に異常が発生する可能性があることを知らせ、ユーザによる対策を促すことができる。
また、コンベア(50)及び供給システム(1)の停止処理を行うことで、安全に停止を行い、ユーザによるコンベア(50)及び供給システム(1)の保守を実施することができる。
また、電動機(51)の運転電流値を定格電流に近い電流値となるように払い出し量を制御することにより、コンベア(50)の運搬能力を高く維持して効率的な運用を行うことができる。
【0083】
本開示に係る供給システムの制御装置(60)を備える供給システム(1)は、ホッパ(20)内に貯留した貯留物(7)を払い出す払出部(30)と、前記ホッパ(20)から払い出された前記貯留物(7)を運搬するコンベア(50)と、前記コンベア(50)を駆動する電動機(51)と、前述の供給システム(1)の制御装置(60)と、を備える。
【0084】
本開示に係る供給システム(1)の制御方法は、ホッパ(20)内に貯留した貯留物(7)を払い出す払出部(30)と、前記ホッパ(20)から払い出された前記貯留物(7)を運搬するコンベア(50)と、前記コンベア(50)を駆動する電動機(51)と、を備える供給システム(1)の制御を行う供給システム(1)の制御方法であって、前記コンベア(50)上の前記貯留物(7)の有無を判定する在荷判定工程と、前記電動機(51)の電流値を取得する電流取得工程と、を備え、前記貯留物(7)の有無と前記電動機(51)の前記電流値とに基づき前記供給システム(1)の運転状態を判定する。
本開示に係る供給システム(1)の制御方法によれば、貯留物(7)の有無と電動機(51)の電流値とから供給システム(1)、特にコンベア(50)に異常が発生している可能性があることを検知し、異常が拡大する前に対策を講じることができる。これにより、コンベア(50)の電動機(51)のサーマルトリップ発生などの安全保護装置の作動による緊急停止を防ぎ、安定した運転を行うことができる。
【0085】
本開示に係る供給システム(1)の制御プログラムは、ホッパ(20)内に貯留した貯留物(7)を払い出す払出部(30)と、前記ホッパ(20)から払い出された前記貯留物(7)を運搬するコンベア(50)と、前記コンベア(50)を駆動する電動機(51)と、を備える供給システム(1)の制御を行う供給システム(1)の制御プログラムであって、前記コンベア(50)上の前記貯留物(7)の有無を判定する在荷判定ステップと、前記電動機(51)の電流値を取得する電流取得ステップと、を備え、前記貯留物(7)の有無と前記電動機(51)の前記電流値とに基づき前記供給システム(1)の運転状態を判定する。
本開示に係る供給システム(1)の制御プログラムによれば、貯留物(7)の有無と電動機(51)の電流値とから供給システム(1)、特にコンベア(50)に異常が発生している可能性があることを検知し、異常が拡大する前に対策を講じることができる。これにより、コンベア(50)の電動機(51)のサーマルトリップ発生などの安全保護装置の作動による緊急停止を防ぎ、安定した運転を行うことができる。
【0086】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではない。たとえば上述した各実施形態においては、制御装置60は、回転払出機30の旋回翼31の回転速度を制御することにより、ホッパ20からの固体燃料7の払い出し量の調整を行うとしたが、別の手段によって固体燃料7の払い出し量を調整してもよい。この場合、例えば、ホッパ20出口に切り出し装置を設け、切り出し装置出口のゲート高さを調整することで固体燃料7を一定の容積速度で運搬するよう調整する。また、ホッパ20の出口に回転弁などの調整機構を設け、固体燃料7の払い出し量を調整してもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 供給システム
6 搬送車両
7 固体燃料(貯留物)
10 払出装置
20 ホッパ
30 回転払出機(払出部)
37 旋回翼駆動装置
40 在荷検知器
50 運搬用コンベア(コンベア)
51 電動機
53 ベルト
60 制御装置
61 在荷判定部
62 電流取得部
63 異常判定部
64 異常状態制御部
70 報知装置