IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デピュイ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニーの特許一覧

特許7504606ヒンジ式人工膝関節を回転させるための整形外科用補綴装置
<>
  • 特許-ヒンジ式人工膝関節を回転させるための整形外科用補綴装置 図1
  • 特許-ヒンジ式人工膝関節を回転させるための整形外科用補綴装置 図2
  • 特許-ヒンジ式人工膝関節を回転させるための整形外科用補綴装置 図3
  • 特許-ヒンジ式人工膝関節を回転させるための整形外科用補綴装置 図4
  • 特許-ヒンジ式人工膝関節を回転させるための整形外科用補綴装置 図5
  • 特許-ヒンジ式人工膝関節を回転させるための整形外科用補綴装置 図6
  • 特許-ヒンジ式人工膝関節を回転させるための整形外科用補綴装置 図7
  • 特許-ヒンジ式人工膝関節を回転させるための整形外科用補綴装置 図8
  • 特許-ヒンジ式人工膝関節を回転させるための整形外科用補綴装置 図9
  • 特許-ヒンジ式人工膝関節を回転させるための整形外科用補綴装置 図10
  • 特許-ヒンジ式人工膝関節を回転させるための整形外科用補綴装置 図11
  • 特許-ヒンジ式人工膝関節を回転させるための整形外科用補綴装置 図12
  • 特許-ヒンジ式人工膝関節を回転させるための整形外科用補綴装置 図13
  • 特許-ヒンジ式人工膝関節を回転させるための整形外科用補綴装置 図14
  • 特許-ヒンジ式人工膝関節を回転させるための整形外科用補綴装置 図15
  • 特許-ヒンジ式人工膝関節を回転させるための整形外科用補綴装置 図16
  • 特許-ヒンジ式人工膝関節を回転させるための整形外科用補綴装置 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】ヒンジ式人工膝関節を回転させるための整形外科用補綴装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/38 20060101AFI20240617BHJP
【FI】
A61F2/38
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020016847
(22)【出願日】2020-02-04
(65)【公開番号】P2020124504
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】16/267,687
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/267,700
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516312682
【氏名又は名称】デピュイ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】DEPUY IRELAND UNLIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Loughbeg Industrial Estate, Ringaskiddy, County Cork, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・ジェイ・マティアス
(72)【発明者】
【氏名】タイラー・エス・ハサウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ビー・シャーデー・シニア
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン・シー・リーダー
(72)【発明者】
【氏名】カイル・ディ・ステッフェ
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・イー・ルトガー
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・ジェイ・ウェッブ
【審査官】松山 雛子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-528219(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0074246(US,A1)
【文献】特表2005-514157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科用補綴具であって、
患者の大腿骨の遠位端に取り付けられるように構成された大腿骨コンポーネントと、
患者の脛骨の近位端に取り付けられるように構成され、(i)外面を含む基部と、(ii)前記基部から遠位方向に延在する支柱と、(iii)前記基部と前記支柱において延在し画定されている開口部と、を含む脛骨トレイと、
前記脛骨トレイに対して回転するように構成された脛骨インサートであって、(i)前記脛骨トレイの前記基部と係合する形状のプラットフォームと、(ii)前記プラットフォームから遠位方向に延在し、前記脛骨トレイの前記開口部に収容される柄と、(iii)前記プラットフォームを貫通して縦方向に延在する空洞と、(iv)前記プラットフォームに結合され、前記基部の前記外面と係合して前記脛骨トレイに対する前記脛骨インサートの回転を制限するように構成されたタブと、を含む脛骨インサートと、
前記脛骨インサートに画定された前記空洞に収容され、(i)細長い柄と、(ii)前記細長い柄に回転可能に結合された本体と、を含むモジュール式インサートと、を備え、
前記大腿骨コンポーネントは、前記モジュール式インサートの前記本体に回転可能に結合され、前記大腿骨コンポーネントは、第1可動域に亘って前記脛骨インサートに対して、内側-外側方向に延在する第1軸を中心として回転するように構成され、
前記モジュール式インサートの前記本体は、前記第1可動域より小さい第2可動域に亘って、前記第1軸に平行に延在する第2軸を中心として前記脛骨インサートに対して回転するように構成されている、整形外科用補綴具。
【請求項2】
前記モジュール式インサートの前記本体は、前記大腿骨コンポーネントに対して回転し、前記第1軸を前記第2軸に対して前記第2可動域に亘って動かすように構成されている、請求項1に記載の整形外科用補綴具。
【請求項3】
前記大腿骨コンポーネントを前記モジュール式インサートの前記本体に連結させる細長いピンを更に備え、前記細長いピンは、前記第1軸を画定し、前記第2可動域に亘って、前記脛骨インサートに対して第1ポジションと第2ポジションとの間を移動でき、前記第2ポジションは前記第1ポジションの前方に位置する、請求項1に記載の整形外科用補綴具。
【請求項4】
前記モジュール式インサートは、前記第2可動域に亘って、前記脛骨インサートに対して下側ポジションと上側ポジションとの間で上側-下側方向に移動するように構成され、
前記モジュール式インサートが前記下側ポジションに位置付けられるとき、前記細長いピンは前記第1ポジションにあり、
前記モジュール式インサートが前記上側ポジションに位置付けられるとき、前記細長いピンは前記第2ポジションにある、請求項3に記載の整形外科用補綴具。
【請求項5】
前記脛骨インサートは、前記空洞を画定する内壁を含み、前記内壁は前記空洞の近位セクションを画定する先細状近位面を含み、
前記モジュール式インサートが前記下側ポジションに位置付けられるとき、前記モジュール式インサートの前記本体は前記空洞の前記近位セクションに着座する、請求項4に記載の整形外科用補綴具。
【請求項6】
前記脛骨インサートの前記内壁は下側基部面を含み、
前記脛骨インサートの前記先細状近位面は、前記プラットフォームに画定された細長い開口から前記下側基部面まで延在する、請求項5に記載の整形外科用補綴具。
【請求項7】
前記細長い開口は略楕円形状を有する、請求項6に記載の整形外科用補綴具。
【請求項8】
前記下側基部面に開口が画定され、
前記脛骨インサートの前記内壁は前記空洞の遠位セクションを画定する遠位面を含み、
前記モジュール式インサートの前記細長い柄は、前記空洞の前記遠位セクションまで延在する、請求項6に記載の整形外科用補綴具。
【請求項9】
前記モジュール式インサートの前記細長い柄は縦軸を画定し、
前記モジュール式インサートが前記上側ポジションに位置付けられるとき、前記モジュール式インサートは前記脛骨インサートに対して、前記縦軸を中心として回転することが可能となる、請求項5に記載の整形外科用補綴具。
【請求項10】
前記タブは、前記脛骨インサートの前記プラットフォームに取り外し可能に結合されている、請求項1に記載の整形外科用補綴具。
【請求項11】
前記第1可動域は、屈曲-3~140°の範囲である、請求項1に記載の整形外科用補綴具。
【請求項12】
前記第2可動域は、屈曲3~10°の範囲である、請求項11に記載の整形外科用補綴具。
【請求項13】
整形外科用補綴装置であって、
患者の大腿骨の遠位端に取り付けられるように構成され、(i)一対の離間湾曲凸状顆表面を備える第1体と、(ii)前記第1体に回転可能に結合された第2体と、(iii)前記第2体に回転可能に結合された細長い柄と、を含む第1の植え込み可能補綴コンポーネントと、
患者の脛骨の近位端に取り付けられるように構成された第2の植え込み可能補綴コンポーネントと、
前記第1の植え込み可能補綴コンポーネントと前記第2の植え込み可能補綴コンポーネントとの間に位置付けられるように構成され、前記第1の植え込み可能補綴コンポーネントの前記細長い柄を収容する大きさの空洞を含む挿入型補綴コンポーネントと、を備え、
前記第1体は、第1可動域に亘って前記挿入型補綴コンポーネントに対して、内側-外側方向に延在する第1軸を中心として回転するように構成され、
前記第2体は、前記第1可動域より小さい第2可動域に亘って、前記第1軸に平行に延在する第2軸を中心として前記挿入型補綴コンポーネントに対して回転するように構成されており
整形外科用補綴装置は、前記第1体を前記第2体に連結させる細長いピンを更に備え、前記細長いピンは、前記第1軸を画定し、前記第2可動域に亘って、前記挿入型補綴コンポーネントに対して第1ポジションと第2ポジションとの間を移動でき、前記第2ポジションは前記第1ポジションの前方に位置し、
前記第1の植え込み可能補綴コンポーネントの前記第2体は、前記第2可動域に亘って、前記挿入型補綴コンポーネントに対して下側ポジションと上側ポジションとの間で上側-下側方向に移動するように構成され、
前記第2体が前記下側ポジションに位置付けられるとき、前記細長いピンは前記第1ポジションにあり、
前記第2体が前記上側ポジションに位置付けられるとき、前記細長いピンは前記第2ポジションにある、整形外科用補綴装置。
【請求項14】
前記挿入型補綴コンポーネントは一対の湾曲近位面を含み、前記第1体の前記一対の離間湾曲凸状顆表面は、前記一対の湾曲近位面と係合するように構成され、
前記一対の離間湾曲凸状顆表面と前記一対の湾曲近位面は、前記第2可動域に亘る前記一対の離間湾曲凸状顆表面と前記一対の湾曲近位面の係合により前記第1の植え込み可能補綴コンポーネントの前記第2体を前記下側ポジションと前記上側ポジションとの間で移動させるような形状を有する、請求項13に記載の整形外科用補綴装置。
【請求項15】
前記第2可動域は前記第1可動域と重なり合う、請求項13に記載の整形外科用補綴装置。
【請求項16】
前記第1可動域は、屈曲-3~140°の範囲である、請求項13に記載の整形外科用補綴装置。
【請求項17】
前記第2可動域は、屈曲3~10°の範囲である、請求項13に記載の整形外科用補綴装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的に、補綴コンポーネント及び整形外科用関節置換手技中に補綴コンポーネントを組み立てる方法を含む、整形外科用補綴装置に関するものであり、具体的には、整形外科用補綴コンポーネント及び膝関節置換手技中に補綴コンポーネントを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの膝関節運動(例えば、屈曲及び伸展)は、大腿骨及び脛骨の運動を含む。具体的には、屈曲及び伸展中、大腿骨の遠位端部と脛骨の近位端部とが一連の複雑な運動を通じて互いに対して関節接合する。損傷(例えば、外傷)又は疾患は、膝の骨、関節軟骨及び靱帯を悪化させ、最終的に膝関節が自然に機能する能力に影響を及ぼす恐れがある。このため、人工膝関節が開発されており、これは外科的処置を受けた大腿骨及び脛骨の端部に植え込まれる。
【0003】
全膝関節置換用の一般的な人工膝関節は、例えば、患者の脛骨と結合される脛骨コンポーネント又は脛骨トレイ、患者の大腿骨と連結される大腿骨コンポーネント、及び脛骨トレイと大腿骨コンポーネントとの間に位置付けられ、大腿骨コンポーネントの顆を収容する表面を有する脛骨インサートコンポーネントを含む。人工膝関節として挙げられるものとしてヒンジ式人工膝関節がある。これは通常、大腿骨コンポーネントを軸受コンポーネント及び脛骨コンポーネントのうちの一方又は両方に結合させ、人工膝関節のコンポーネントを拘束して的に連結するヒンジ機構を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様によると、整形外科用補綴具は、患者の大腿骨の遠位端に取り付けられるように構成された大腿骨コンポーネントを含む。脛骨トレイは、患者の脛骨の近位端に取り付けられるように構成されている。脛骨トレイは、外面を含む基部と、基部から遠位方向に延在する支柱と、基部と支柱において延在し画定されている開口と、を含む。脛骨インサートは、脛骨トレイに対して回転するように構成されている。脛骨インサートは、脛骨トレイの基部と係合するような形状のプラットフォームを含む。柄は、プラットフォームから遠位方向に延在し、脛骨トレイの開口に収容される。空洞は、プラットフォームを貫通して縦方向に延在する。タブは、プラットフォームに結合される。タブは、基部の外面と係合して脛骨トレイに対する脛骨インサートの回転を制限するように構成されている。モジュール式インサートは、脛骨インサートに画定された空洞に収容される。モジュール式インサートは、細長い柄と、細長い柄に回転可能に結合された本体と、を含む。大腿骨コンポーネントは、モジュール式インサートの本体に回転可能に結合される。大腿骨コンポーネントは、第1可動域に亘って脛骨インサートに対して、第1軸を中心として回転するように構成されている。第1軸は、内側-外側方向に延在する。モジュール式インサートの本体は、第2可動域に亘って、第1軸に平行に延在する第2軸を中心として脛骨インサートに対して回転するように構成されている。第2可動域は、第1可動域より小さい。
【0005】
一部の実施形態では、モジュール式インサートの本体は、大腿骨コンポーネントに対して回転し、第1軸を第2軸に対して第2可動域に亘って動かすように構成されていてもよい。
【0006】
一部の実施形態では、細長いピンが、大腿骨コンポーネントをモジュール式インサートの本体に連結させてもよい。細長いピンは、第1軸を画定し、第2可動域に亘って、脛骨インサートに対して第1ポジションと第2ポジションとの間を移動できてもよい。第2ポジションは第1ポジションの前方に位置してもよい。モジュール式インサートは、第2可動域に亘って、脛骨インサートに対して下側ポジションと上側ポジションとの間で上側-下側方向に移動するように構成されてもよい。モジュール式インサートが下側ポジションに位置付けられるとき、細長いピンは第1ポジションにあってもよい。モジュール式インサートが上側ポジションに位置付けられるとき、細長いピンは第2ポジションにあってもよい。脛骨インサートは、空洞を画定する内壁を含んでもよい。内壁は空洞の近位セクションを画定する先細状近位面を含んでもよい。モジュール式インサートが下側ポジションに位置付けられるとき、モジュール式インサートの本体は空洞近位セクションに着座してもよい。脛骨インサートの内壁は下側基部面を含んでもよい。脛骨インサートの先細状近位面は、プラットフォームに画定された細長い開口部から下側基部面まで延在してもよい。
【0007】
一部の実施形態では、細長い開口部は略楕円形状を有しもてもよい。下側基部面に開口部が画定されてもよい。脛骨インサートの内壁は空洞の遠位セクションを画定する遠位面を含んでもよい。モジュール式インサートの細長い柄は、空洞遠位セクションまで延在してもよい。モジュール式インサートの細長い柄は縦軸を画定してもよい。モジュール式インサートが上側ポジションに位置付けられるとき、モジュール式インサートは脛骨インサートに対して、縦軸を中心として回転することが可能となってもよい。
【0008】
一部の実施形態では、タブは、脛骨インサートのプラットフォームに取り外し可能に結合されていてもよい。
【0009】
一部の実施形態では、第1可動域は、屈曲-3~140°の範囲であってもよい。第2可動域は、屈曲3~10°の範囲であってもよい。
【0010】
本開示の別の態様によれば、整形外科用補綴装置は、患者の大腿骨の遠位端に取り付けられるように構成されている第1の植え込み可能補綴コンポーネントを含む。第1の植え込み可能補綴コンポーネントは、一対の離間湾曲凸状顆表面を備える第1体を含む。第2体は、第1体に回転可能に結合されている。細長い柄は、第2体に回転可能に結合されている。第2の植え込み可能補綴コンポーネントは、患者の脛骨の近位端に取り付けられるように構成されている。挿入型補綴コンポーネントは、第1の植え込み可能補綴コンポーネントと第2の植え込み可能補綴コンポーネントとの間に位置付けられるように構成されている。挿入型補綴コンポーネントは、第1の植え込み可能補綴コンポーネントの細長い柄を収容する大きさの空洞を含む。第1体は、第1可動域に亘って挿入型補綴コンポーネントに対して、第1軸を中心として回転するように構成されている。第1軸は、内側-外側方向に延在する。第2体は、第2可動域に亘って、第1軸に平行に延在する第2軸を中心として挿入型補綴コンポーネントに対して回転するように構成されている。第2可動域は、第1可動域より小さい。
【0011】
一部の実施形態では、細長いピンが第1体を第2体に連結させてもよい。細長いピンは、第1軸を画定してもよく、第2可動域に亘って、挿入型補綴コンポーネントに対して第1ポジションと第2ポジションとの間を移動できてもよい。第2ポジションは第1ポジションの前方に位置してもよい。第1の植え込み可能補綴コンポーネントの第2体は、第2可動域に亘って、挿入型補綴コンポーネントに対して下側ポジションと上側ポジションとの間で上側-下側方向に移動するように構成されていてもよい。第2体が下側ポジションに位置付けられるとき、細長いピンは第1ポジションにあってもよい。第2体が上側ポジションに位置付けられるとき、細長いピンは第2ポジションにあってもよい。挿入型補綴コンポーネントは一対の湾曲近位面を含んでもよい。第1体の一対の離間湾曲凸状顆表面は、湾曲近位面と係合するように構成されてもよい。湾曲凸状顆表面と湾曲近位面は、第2可動域に亘る湾曲凸状顆表面と湾曲近位面の係合により第1の植え込み可能補綴コンポーネントの第2体を下側ポジションと上側ポジションとの間で移動させるような形状を有してもよい。
【0012】
一部の実施形態では、第2可動域は第1可動域と重なり合ってもよい。第1可動域は、屈曲-3~140°の範囲であってもよい。第2可動域は、屈曲3~10°の範囲であってもよい。
【0013】
本開示の更に別の態様によれば、整形外科用補綴装置は、患者の大腿骨の遠位端に取り付けられるように構成され、一対の離間湾曲凸状顆表面を含む第1の植え込み可能補綴コンポーネントを含む。第2の植え込み可能補綴コンポーネントは、患者の脛骨の近位端に取り付けられるように構成されている。挿入型補綴コンポーネントは、第1の植え込み可能補綴コンポーネントと第2の植え込み可能補綴コンポーネントとの間に位置付けられる。挿入型補綴コンポーネントは、一対の離間湾曲凸状顆表面と係合する一対の湾曲近位面を含む。細長いピンは、第1軸に沿って延在する。細長いピンは、挿入型補綴コンポーネントを第1の植え込み可能補綴コンポーネントに回転可能に結合する。第1の植え込み可能補綴コンポーネントは、可動域に亘って挿入型補綴コンポーネントに対して、第1軸を中心として回転するように構成されている。第1軸は、内側-外側方向に延在する。湾曲凸状顆表面と湾曲近位面は、可動域に亘る湾曲凸状顆表面と湾曲近位面の係合により細長いピンを第1ポジションと第2ポジションとの間で移動させるような形状を有する。第2ポジションは第1ポジションの前方に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
詳細説明は、特に、以下の図面を参照する。
図1】整形外科用膝補綴装置の分解図である。
図2図1に示される脛骨インサート及び脛骨インサートに結合された後方インサートの上面斜視図である。
図3図2に示される脛骨インサートの底面斜視図である。
図4図2に示される脛骨インサートから後方インサートを取り除いた平面図である。
図5図4に示される脛骨インサートの背面斜視図である。
図6図2に示される後方インサートの背面斜視図である。
図7図1に示される脛骨トレイ、並びに、脛骨トレイに結合された図1の脛骨インサートの底面図である。
図8図1に示されるモジュール式インサートの分解図である。
図9図1に示されるモジュール式インサートの本体の底面斜視図である。
図10図1に示されるモジュール式インサートの側面斜視図である。
図11図1に示される整形外科用膝補綴装置の側面斜視図である。
図12図11に示される線12-12に沿った、伸展ポジションにおける整形外科用膝補綴装置の断面図である。
図13】屈曲ポジションにおける整形外科用膝補綴装置の、図12と同様の図である。
図14図12に示される線14-14に沿った、伸展ポジションにおける整形外科用膝補綴装置の断面図である。
図15図13に示される線15-15沿った、屈曲ポジションにおける整形外科用膝補綴装置の断面図である。
図16】モジュール式インサートが回転ポジションにあるときの、図1に示される脛骨インサート及びモジュール式インサートの平面図である。
図17】脛骨インサートが回転ポジションにあるときの、図1に示される脛骨インサート及び脛骨トレイの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の概念は、様々な改良及び代替物に適用可能であるが、特定の例示的実施形態を一例として図面に示し、本明細書において詳しく説明する。但し、本開示の概念は開示される特定の形態に限定されず、本発明はむしろ、下記の請求項により定義される発明の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、改良、等価物、代替物を全て網羅するものとして見なす。
【0016】
解剖学用語である「前方(anterior)」「後方(posterior)」「内側(medial)」「外側(lateral)」「上方(superior)」「下方(inferior)」などは、本明細書の全文において、本明細書に記載されている整形外科用インプラント及び整形外科用手術器具、並びに患者の生体解剖学的構造について用いられてもよい。上記の用語は、解剖学研究及び整形外科分野においてよく理解されている意味を有する。本明細書及び請求項において上記の解剖学用語を用いるときは、別途の記載のない限り、よく理解されている意味と一致するものと見なす。
【0017】
次に図1を参照すると、整形外科用膝補綴装置10が示されている。整形外科用膝補綴装置10は、患者の大腿骨の遠位端に結合されるように構成されている大腿骨コンポーネント12、患者の大腿骨の近位端に結合されるように構成されている脛骨トレイ16、脛骨トレイ16と別途に組み立てるように構成されている脛骨インサート18を含む。大腿骨コンポーネント12、脛骨トレイ16、脛骨インサート18及びモジュラー式インサート22は、別途組み立てられて、整形外科用人工膝関節、具体的には、以下に記載されているヒンジ式整形外科用人工膝関節を形成することができる。
【0018】
装置10は、3つの可動域に亘って関節接合するように構成されている。装置10は、完全伸展と完全屈曲との間で、様々な屈曲度を以って移動する。装置10が屈曲範囲に亘って関節接合されると、大腿骨コンポーネント12の顆と脛骨インサート18の顆表面との間にある接触点が移動し、屈曲度によって接触点が異なる。更に、外科医は、上下軸を中心とする回転を選択的に加えることができる。この回転は、大腿骨コンポーネント12と脛骨インサート18との間で生じてもよい。また当該回転は、脛骨インサート18と脛骨トレイ16との間で生じてもよい。装置が第1屈曲範囲内で移動すると、顆と顆表面との間にある接触点が前方-後方方向に移動する。第1屈曲範囲内にある第2屈曲範囲において、大腿骨コンポーネント12は、脛骨インサート18に対して回転可能となってもよい。一部の実施形態では、外科医は更に、脛骨インサート18が第1屈曲範囲に亘って脛骨トレイ16に対して回転することを、選択的に許容してもよい。外科医は、脛骨トレイ16に対する脛骨インサート18の回転量を調整してもよい。
【0019】
例示的実施形態では、大腿骨コンポーネント12は、患者の大腿骨の遠位端に植え込まれるように構成されている支柱24を含む。支柱24は、離間した一対の外側顆及び内側顆28を有する本体26に取り付けられている。顆28は、それぞれの外側顆表面及び内側顆表面30、32を含み、これらは、凸状に湾曲している。顆間ノッチ34は、外側顆及び内側顆28との間に画定され、モジュール式インサート22を収容するような寸法を有する。大腿骨コンポーネント12はまた、外側顆及び内側顆28を通って内側-外側方向に延在する後方穴40も含む。後述するが、穴40は、ヒンジ機構の一部を形成し、及びヒンジピン42を受容するような寸法を有する。
【0020】
大腿骨コンポーネント12及び脛骨トレイ16はそれぞれ、例えばコバルトクロムなどのインプラントグレードの金属材料から形成されている。図1に示されたように、脛骨トレイ16は、基部50と、基部50の遠位面54から下側方向に延在しているアンカー52を含む。基部50は、患者の脛骨における外科的処置を受けた近位面の構成に適合する寸法及び形状を有し、アンカー52は、患者の脛骨における外科的処置を受けた髄内管に植え込むような寸法及び形状を有する。
【0021】
基部50は、遠位面54に対向して位置付けられた、実質的に平面の近位面60を含む。湾曲外壁62は、表面54、60から延在し、患者の脛骨における外科的処置を受けた近位面の近位面に適合する寸法及び形状を有する。凹状の後方側チャネル66は、外壁62によって形成される。開口部64は、近位面60において画定され、トレイ16は、開口部64から内側に延在する開口70を含む。開口70は、基部50を貫通してアンカー52内に延在している。
【0022】
脛骨トレイ16は、図1に示された脛骨インサート18と共に組み立てられ、脛骨コンポーネントを形成してもよい。インサートは、例えば、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)など、インプラントグレードのプラスチック材料から形成される。脛骨インサート18は、脛骨トレイ16の近位面60上に位置付けられるような寸法を有するプラットフォーム72、及び下側-上側方向に延在している縦軸78に沿ってプラットフォーム72の遠位面76から下側方向に延在している細長い柄74を含む。脛骨トレイ16の近位面60と同様に、プラットフォームの遠位面76は、実質的に平面である。プラットフォーム72はまた、大腿骨コンポーネント12の外側顆表面及び内側顆表面30、32に対応する一対の凹状湾曲近位面80、82を含む。プラットフォーム72は更に、表面80、82の間に延在する湾曲外壁84を含む。
【0023】
次に図2を参照すると、開口部90は、プラットフォーム72の近位面80、82において画定されている。脛骨インサート18は、開口部90からプラットフォーム72を貫通して、細長い柄74の中へ内側に延在している開口92を含む。開口92は、柄74の縦軸78に沿って延在する。
【0024】
脛骨トレイ16に結合されるとき、脛骨インサート18の遠位面76は、脛骨トレイの近位面60と係合する。脛骨インサート18の細長い柄74は、脛骨インサート18が脛骨トレイ16に結合されるとき、脛骨トレイ16の開口70内に収容されるような寸法を有する。
【0025】
図1を再び参照すると、モジュール式インサート22は、縦軸78に沿って延在する細長い柄100(図8に示されている)を含む。近位本体104は、柄100に枢動可能に取り付けられる。柄100は、脛骨インサート18の開口部90に挿入され、開口92内に延在するような寸法及び形状を有する。近位本体104は、内側開口部106、外側開口部108、並びに、内側開口部106と外側開口部108との間に延在する内壁110を含む。内壁110は、近位本体104を貫通して延在する円筒形のピン孔112を画定する。
【0026】
モジュール式インサートの近位本体104は、大腿骨コンポーネント12の顆間ノッチ34に位置付けするような寸法及び形状を有し、それにより、後方穴40は、モジュール式インサート22の通路116と整列され得る。ヒンジピン42は、後方穴40と、内側-外側方向に延在している縦軸20に沿う通路116とを貫通して延在し、モジュール式インサート22を大腿骨コンポーネント12に取り付ける。上述したように、脛骨トレイ16及び脛骨インサート18を、大腿骨コンポーネント12及びモジュール式インサート22と組み合わせ、ヒンジ式整形外科用人工膝関節を形成してもよい。
【0027】
図2及び図3を参照すると、後方コンポーネント130は、締結具136を用いて、脛骨インサートのプラットフォーム72の後方側面132に取り外し可能に結合される。後方コンポーネント130は、脛骨インサート18と脛骨トレイ16との間の回転量を制限する。一部の実施形態では、複数の後方コンポーネント130を設け、後方コンポーネント130のそれぞれが、脛骨インサート18と脛骨トレイ16との間に異なる所定の回転量を提供してもよい。一部の実施形態では、後方コンポーネント130を設けて、脛骨インサート18と脛骨トレイ16との間における回転を完全に防止してもよい。後方コンポーネント130は、後方コンポーネント130の表面から延在する、下側方向延在タブ134を含む。タブ134は、後方コンポーネント130が脛骨インサート18に結合されるとき、脛骨インサート18の遠位面76から延在する。一部の実施形態では、後方コンポーネント130は、脛骨インサート18と一体に形成されている。タブ134は、遠位面76から長さ138だけ延在する。タブ134は、脛骨インサート18の後方側面132に沿って延在する平面側壁140を含む。凸状湾曲側壁142は、平面側壁140から前方方向に延在する。湾曲側壁142は、脛骨インサート18の遠位面76の下方に延在する。
【0028】
湾曲側壁142は、脛骨トレイ16のチャネル66内に位置付けられるような寸法を有する。湾曲側壁142がチャネル66より小さいので、脛骨インサート18は、脛骨トレイ16に対して回転可能となる。詳細については後述する。他の実施形態では、異なる後方コンポーネント130のタブ134は、チャネル66内に固定されるような寸法の湾曲側壁144(破線)を含み、脛骨トレイ16に対する脛骨インサート18の回転を防止する。詳細については後述する。上述した通り、装置10は、寸法の異なるタブ134を有する複数の後方コンポーネント130を含んでもよい。それにより、外科医は、好ましい回転量に基づいてタブの寸法を選択することができる。一部の実施形態では、脛骨トレイ16は、0~±20°の範囲で5°ずつ増分しながら回転する。
【0029】
図4及び図5に示されるように、脛骨インサート18は、近位面80、82に形成された上側開口部170から延在する装着空洞168と、後方側面132に形成された開口部172とを含む。装着空洞168は、後方コンポーネント130が脛骨インサート18に結合されるとき、後方コンポーネント130を収容するような寸法を有する。空洞174は開口部170、712から延在し、後方コンポーネント130を収容するような寸法を有する。空洞174は、上側開口部170から底壁178まで延在する一対の後方平面側壁176を含む。湾曲端壁180は、底壁178から脛骨インサート18の遠位面76まで延在する。一対の開口部182は、湾曲端壁180に形成されている。穴184は、各開口部182から脛骨インサート18内に延在する。湾曲ノッチ186は、脛骨インサート18の後方側面132に沿って、湾曲端壁180から内側方向-外側方向に延在している。
【0030】
次に図6を参照すると、後方コンポーネント130は本体196を含む。タブ134は、本体196から下側方向に延在する。一対の上部フランジ198は、本体196から前方方向に延在する。上部フランジ198は、脛骨インサート18の近位空洞154に収容されるような寸法及び形状を有する。一対の下部フランジ200は、本体196から内側方向-外側方向に延在する。一対の下部フランジ200のそれぞれは、脛骨インサート18のそれぞれの湾曲ノッチ186内に位置付けするような寸法及び形状を有する。
【0031】
一対の開口部202は、本体196の後方端204に形成されている。穴188は一対の開口部202のそれぞれから後方コンポーネント130の本体196を通って内側に延在する。穴188は、後方コンポーネント130が脛骨インサート18に結合されるとき、脛骨インサート18の穴174と整列するように構成されている。締結具136は、穴174及び穴188に受容され、後方コンポーネント130を脛骨インサート18に固定する。一部の実施形態では、穴138、174はねじ付き締結具136を受容できるようにねじ付きとして形成される。
【0032】
図7は、脛骨インサート18が脛骨トレイ16に結合されたとき、脛骨トレイ16のチャネル66内に延在する後方コンポーネント130のタブ134を示す。脛骨トレイ16のチャネル66は、長さ210を有する開口部208から延在する湾曲側壁206を含む。タブ134の寸法により、平面側壁140は、開口部208の長さ210より短い長さを有することになる。更に、タブ134の湾曲側壁142は、チャネル66の湾曲側壁206より小さい寸法を有して、チャネル66におけるタブ134の運動を許容する。チャネル66に寸法に対して平面側壁140の寸法と湾曲側壁142の寸法とを組み合わせれば、脛骨トレイ16に対して脛骨インサート18は制限的に回転可能となる。言い換えれば、脛骨インサート18はタブ134の湾曲側壁142がチャネル66の湾曲側壁206と接触するまで、縦軸78を中心として回転することが可能となる。
【0033】
別の実施形態では、タブ134は、湾曲側壁144を含む。当該実施形態では、平面側壁140は、開口部208の長さ210と実質的に同じである長さ212を有する。更に、タブ134の湾曲側壁144は、チャネル66の湾曲側壁206と接触するような寸法を有して、脛骨トレイ16に対する脛骨インサート18の回転を防止する。
【0034】
図4を再び参照すると、脛骨インサート18の開口92は、プラットフォーム72から下側基部壁152まで延在して、プラットフォーム72を貫通して縦方向に延在する近位空洞154を画定する、先細状内壁150を含む。内壁150は、プラットフォーム72から下側基部壁152まで半径方向内側に傾斜している。内壁150は略楕円形状であり、それによって近位空洞154は、前方-後方方向に延在する長軸156と、内側-外側方向に延在する短軸158とを含むことになる。長軸156は、短軸158の長さ162より長い長さ160を有する。一部の実施形態では、短軸158が前方-後方方向に延在し、長軸156が内側-外側方向に延在する。プラットフォーム72において、長軸156及び短軸158は、それぞれ最大長さを有する。内壁150が傾斜しているので、長軸156及び短軸158は、下側基部壁152では最短の長さを有する。プラットフォーム72と下側基部壁152との間の様々な中間長さにより、長軸156及び短軸158の長さは徐々に減少する。
【0035】
開口部164は下側基部壁152に形成されている。遠位空洞166は、開口部164から延在する。遠位空洞166は概ね円筒形の形状を有し、開口部164から底壁168まで延在する。遠位空洞166は、モジュール式インサート22の細長い柄100を収容するような寸法を有する。
【0036】
次に図8を参照すると、モジュール式インサート22の細長い柄100は、遠位端220と近位端222との間に延在する。細長い柄100の遠位端220は、脛骨インサート18の遠位空洞166内に位置付けするような寸法を有する。近位端222は丸み付き外壁226と、丸み付き外壁226から延在する一対の直線側壁228とを含む。ピン孔230は、近位端222に形成された一対の開口部232の間に延在する。一対のブッシング240のそれぞれは、開口部232のうちの1つに位置付けられるような寸法を有する。
【0037】
各ブッシング240は、本体242と、本体242の周りに延在するフランジ244とを含む。フランジ244は、本体242の直径248より大きい直径246を有する。本体242の直径248は、開口部232内に本体242を位置付けするような寸法である。フランジ244の直径246は、フランジ244をそれぞれの側壁228に対して位置付けするような寸法である。
【0038】
各ブッシング240は、一対の開口部252の間に延在するピン孔250を含む。ピン孔250は、内側-外側方向において縦軸20に平行に延在する縦軸256に沿ってピン254を受容するような寸法を有する。ピン254は、ピン孔250の直径270に対する寸法を有する直径260を有する円筒形シャフト258を含む。ねじ頭272はシャフト258から延在する。ねじ頭272は、シャフト258の直径260より大きい直径274を有する。
【0039】
モジュール式インサート22の近位本体104は、遠位セクション280と、遠位セクション280から近位方向に延在するスパイン282とを含む。締結具284は、スパイン282を遠位セクション280に固定するように構成されている。遠位セクション280は、脛骨インサート18の近位空洞154内に位置付けするような寸法を有する。遠位セクション280は、脛骨インサート18の内壁150に対する寸法及び形状を有する外部側壁286を含む。外部側壁286は、概ね楕円形状であり、上側端288から下側端298に向かって傾斜している。遠位セクション280は、細長い柄100の近位端222を収容できるように構成されている。
【0040】
次に図9を参照すると、外部側壁286は、前方-後方方向に延在する長軸290と、内側-外側方向に延在する短軸292とを含む。長軸290は、短軸292の長さ296より長い長さ294を有する。一部の実施形態では、長軸290が内側-外側方向に延在し、短軸292が前方-後方方向に延在する。遠位セクション280は、遠位セクション280の遠位端304において開口部302から延在する空洞300を含む。空洞300は、細長い柄100の近位端222を収容するような寸法及び形状を有する。
【0041】
上側端288において、長軸290及び短軸292は、それぞれ最大の長さを有する。外部側壁286が傾斜しているので、長軸290及び短軸292は、下側端298では最短の長さを有する。上側端288と下側端298との間の様々な中間長さにより、長軸290及び短軸292の長さは徐々に減少する。
【0042】
外部側壁286は、モジュール式インサート22が脛骨インサート18に結合されるとき、脛骨インサート18の内壁150に係合するように構成されている。最初の伸展ポジションにて、モジュール式インサート22の遠位セクション280は、脛骨インサート18の開口92に着座し、一方、下側端298は、脛骨インサート18の下側基部壁152に対して位置付けられることになる。外部側壁286は、脛骨インサート18の内壁150に対して位置付けられる。脛骨インサート18に対する大腿骨コンポーネント12の屈曲において、モジュール式コンポーネント22は上側方向に移動し、それによって下側端298は脛骨インサート18の下側基部壁152から分離される。分離ポジションにおいて、モジュール式インサート22の軸290、292は、任意の所与の位置における軸290、292の長さが整列された軸156、158の長さより短くなるように位置付けられる。例えば、プラットフォーム72における軸156、158は、それらより短いモジュール式インサート22の中間軸290、292と整列され、それによって脛骨インサート18に対してモジュール式インサート22が回転できるようになる。
【0043】
図8を再び参照すると、ねじ穴310は、遠位セクション280内の開口部312から空洞300の中へ延在する。図10に示されるように、細長い柄100の近位端222が空洞300に収容されたとき、ねじ穴310は、細長い柄100のピン孔230と、ブッシング240のピン孔250と整列し、通路320を画定するように構成されている。通路320は、ピン254を受容し、遠位セクション280を細長い柄100にヒンジにより取り付けるように構成されている。ねじ頭272は穴310のねじ322に固定され、ピン254を遠位セクション280に固定する。モジュール式インサート22の近位本体104は、細長い柄100に対して、矢印324の方向に縦軸256を中心として回転するように構成されている。
【0044】
近位本体104のスパイン282は、内側開口部106と外側開口部108との間に延在する通路116を含む。開口部106、108はそれぞれ、ブッシング334を受容するような寸法及び形状を有する。各ブッシング334は、開口部338の間に延在する穴336を含む。図11に示されるように、穴336は、大腿骨コンポーネント12がモジュール式インサート22に結合されるとき、大腿骨コンポーネント12の後方穴40と整列するように構成されている。ヒンジピン42は、後方穴40、通路116、及び穴336を貫通して延在し、モジュール式インサート22を縦軸20に沿って大腿骨コンポーネント12に枢動可能に取り付ける。大腿骨コンポーネント12は、大腿骨コンポーネント12がモジュール式インサート22に結合されるとき、矢印340を中心として回転するように構成されている。
【0045】
患者の膝関節置換手術中に、外科医は、大腿骨コンポーネント12及び脛骨トレイ16を選択する。患者の大腿骨の端部と、患者の脛骨の端部を切除し、装置10の挿入を準備する。外科医は、大腿骨コンポーネント12の支柱24及び脛骨トレイ16の柄74をそれぞれ収容するように、大腿骨及び脛骨の髄内管にドリルで穴を開ける。一般的に、装置10は、様々な寸法の大腿骨コンポーネント12と脛骨トレイ16とを含む。外科医は、患者の膝関節の解剖学的構造に基づいて、大腿骨コンポーネント12及び脛骨トレイ16を選択する。支柱24を大腿骨の髄内管の中に挿入することによって、大腿骨コンポーネント12を大腿骨の端部に結合させる。同様に、脛骨の髄内管の中に柄74を挿入することによって、脛骨トレイ16を脛骨に結合させる。
【0046】
続いて外科医は、様々な寸法を有する複数の脛骨インサート18から脛骨インサート18を選択する。それぞれの脛骨インサート18は、寸法及び形状が異なる顆表面30、32を有してもよい。外科医は、完全伸展ポジションと完全屈曲ポジションとの間にある第1可動域亘って大腿骨コンポーネント12を動かことによって、装置10の可動域をテストする。装置10が屈曲しているとき、外科医は脛骨インサート18に沿った大腿骨コンポーネント12の運動を評価する。外科医は、所望の可動域を得るまで、複数の脛骨インサート18を選んでテストしてもよい。
【0047】
後述するように、脛骨インサート18の近位空洞154の寸法に基づいて脛骨インサート18を選択してもよい。近位空洞154の寸法が、モジュール式インサート22と脛骨インサート18との間の回転を左右する。
【0048】
複数の後方コンポーネント170から、脛骨インサート18に結合される後方コンポーネント170を選択する。後方コンポーネント170はそれぞれ、異なる寸法の平面側壁140と湾曲側壁142とを有するタブ134を含む。一部の実施形態では、後方コンポーネント170は脛骨インサート18と一体に形成され、各脛骨インサート18は、異なる寸法のタブ134を有する。後方コンポーネント170が脛骨インサート18に結合されると、外科医は、脛骨トレイ16に対する脛骨インサート18の回転範囲をテストする。外科医は、所望の回転範囲に基づいて後方コンポーネント170を選択する。一部の実施形態では、外科医は、脛骨トレイ16に対する脛骨インサート18の回転を防止する後方コンポーネント170を選択するように選ぶこともある。
【0049】
モジュール式インサート22は、異なる寸法を有する複数のモジュール式インサート22から選択される。モジュール式インサート22の寸法は、装置が完全に伸展したとき、モジュール式インサート22の遠位セクション280が着座ポジションにおいて近位空洞154内に着座できるように選択される。外科医は、第1可動域に亘って大腿骨コンポーネント12を屈曲させることによって、装置10を再度テストする。中間屈曲において、大腿骨コンポーネント12は、第1屈曲範囲にある第2屈曲範囲に入る。第2屈曲範囲は、中間屈曲と完全伸展との間である。中間屈曲において、モジュール式インサート22の遠位セクション280は、近位空洞154内に着座しなくなる。
【0050】
第2屈曲範囲に亘って、遠位セクション280は近位空洞154内で上方に引っ張られ、それによってモジュール式インサート22は、脛骨インサート18に対して回転できるようになる。外科医は、モジュール式インサート22の回転範囲をテストし、所望の屈曲範囲を提供するモジュール式インサート22を選択する。一部の実施形態では、外科医は、所望の回転範囲が得られるように、異なる寸法の近位空洞154を持つ、異なる脛骨インサート18を選んで用いることもある。また外科医は、可動域及び第2屈曲範囲に基づいて、モジュール式インサート22及び脛骨インサート18を選択してもよい。
【0051】
よって、手技中、外科医は様々な可動域をテストして所望のコンポーネントを選択する。外科医は、完全伸展から完全屈曲までの第1可動域、並びに中間屈曲から完全屈曲までの第2可動域を評価する。更に、外科医は、脛骨トレイ16に対する脛骨インサート18の第1回転範囲、及び脛骨インサート18に対するモジュール式インサート22の第2回転範囲を評価する。第2回転範囲は、第1回転範囲内にあってもよいことに留意されたい。
【0052】
次に図12を参照すると、完全伸展ポジション400において、細長い柄100は脛骨インサート18の遠位空洞166の中へ、下側ポジション398まで延在し、それによって、遠位端220の先端402は、遠位空洞166の底部404に隣接して位置付けられる。細長い柄100は、縦軸78に沿って延在する。モジュール式インサート22の近位本体104の遠位セクション280は、空洞300内に着座する。ヒンジピン42は、完全伸展ポジション416に位置する。図14に示されるように、遠位セクション280の外部側壁286は、脛骨インサート18の内壁150に対して位置付けられる。遠位セクション280の外部側壁286は、脛骨インサート18の内壁150と接触しており、脛骨インサート18に対するモジュール式インサート22の内側-外側回転を防止し、モジュール式インサート22を固定ポジション412に維持する。
【0053】
図13を参照すると、完全屈曲ポジション420において、大腿骨コンポーネント12は、矢印422が示すように、縦軸20を中心として、第2屈曲範囲を含む第1屈曲範囲に亘って回転する。一部の実施形態では、第1屈曲範囲は、-3~140°の範囲である。第1屈曲範囲において湾曲凸状顆表面30、32と湾曲近位面58、60とが係合すると、モジュール式インサート22が近位空洞154内で、下側ポジション398から上側ポジション396に向かって上方に移動する。大腿骨コンポーネント12が回転すると、細長い柄100は矢印424が示すように、遠位空洞166内で上側ポジション396に向かって上側方向に移動する。それによって、遠位端220の先端402は遠位空洞166の底部404から離れるように前進する。モジュール式インサート22の近位本体104も上側方向に前進し、それによって遠位セクション280は空洞300内で持ち上がる。
【0054】
モジュール式インサート22の近位本体104は、その後、矢印430が示すように、縦軸256を中心として、細長い柄100に対し、中間屈曲から完全伸展までの第2可動域に亘って回転する。一部の実施形態では、第2屈曲範囲は3~10°である。第2可動域は第1可動域と重なり合う。大腿骨コンポーネント12の第2屈曲範囲において、縦軸20は、縦軸256に対して第2可動域に亘って移動する。縦軸20が縦軸256に対して移動するにつれて、ヒンジピン42は完全屈曲ポジション416と完全伸展ポジション418との間で動く。第2ポジション418は、第1ポジション416の前方に位置する。
【0055】
図15に示されるように、第2屈曲範囲において、遠位セクション280の外部側壁286が脛骨インサート18の内壁150から分離されることにより、脛骨インサート18に対するモジュール式インサート22の内側-外側回転が可能となる。モジュール式インサート22は、縦軸78を中心として回転ポジション432まで回転し、その例が図16に示されている。
【0056】
大腿骨コンポーネント12が伸展ポジション400に戻ったとき、モジュール式インサート22は遠位空洞166の中へ遠位方向に前進し、遠位セクション280の外部側壁286は、脛骨インサート18の内壁150と係合する。それによって、モジュール式インサート22を回転させて固定ポジション412に戻す。
【0057】
次に図17を参照すると、脛骨インサート18は、一部の実施形態では、脛骨トレイ16に対して内側方向-外側方向に回転することもできる。タブ134の湾曲側壁142がチャネル66の湾曲側壁206より寸法の小さい実施形態では、脛骨インサート18は、伸展ポジション400又は屈曲ポジション420のいずれかで縦軸78を中心として回転する。脛骨インサート18は、回転ポジション440まで内側方向又は外側方向のいずれかに回転することが可能になり、その例が図17に示されている。回転範囲はタブ134の寸法により決まる。タブ134が小さければ、大きなタブ134に比べて回転が大きくなる。脛骨インサート18は、タブ134の湾曲側壁142がチャネル66の湾曲側壁206と接触するまで、回転することが可能となる。
【0058】
図面及び上記の説明において本開示を詳細に例証及び説明してきたが、このような例証及び説明は、その性質上、あくまでも例示的なものであって、限定的なものとは見なすべきではない。つまり、あくまで例示的実施形態を示して説明してきたのに過ぎず、本開示の趣旨の範囲内に含まれる全ての変更及び改良は保護されることが望ましいことが理解される。
【0059】
本明細書に記載の装置及びアセンブリの様々な特性から本開示の複数の利点が生ずる。本開示の装置及びアセンブリの代替実施形態は、記載された特性の全てを有していない場合もあるが、それでも依然としてこのような特性の利点のうちの少なくとも一部から恩恵を享受していることが留意される。当業者であれば、本発明の1つ又は2つ以上の特性を組み入れた、請求項に定義される本開示の趣旨及び範囲に包含される装置及びアセンブリを独自に実施することが容易に可能であろう。
【0060】
〔実施の態様〕
(1) 整形外科用補綴具であって、
患者の大腿骨の遠位端に取り付けられるように構成された大腿骨コンポーネントと、
患者の脛骨の近位端に取り付けられるように構成され、(i)外面を含む基部と、(ii)前記基部から遠位方向に延在する支柱と、(iii)前記基部と前記支柱において延在し画定されている開口部と、を含む脛骨トレイと、
前記脛骨トレイに対して回転するように構成された脛骨インサートであって、(i)前記脛骨トレイの前記基部と係合する形状のプラットフォームと、(ii)前記プラットフォームから遠位方向に延在し、前記脛骨トレイの前記開口部に収容される柄と、(iii)前記プラットフォームを貫通して縦方向に延在する空洞と、(iv)前記プラットフォームに結合され、前記基部の前記外面と係合して前記脛骨トレイに対する前記脛骨インサートの回転を制限するように構成されたタブと、を含む脛骨インサートと、
前記脛骨インサートに画定された前記空洞に収容され、(i)細長い柄と、(ii)前記細長い柄に回転可能に結合された本体と、を含むモジュール式インサートと、を備え、
前記大腿骨コンポーネントは、前記モジュール式インサートの前記本体に回転可能に結合され、前記大腿骨コンポーネントは、第1可動域に亘って前記脛骨インサートに対して、内側-外側方向に延在する第1軸を中心として回転するように構成され、
前記モジュール式インサートの前記本体は、前記第1可動域より小さい第2可動域に亘って、前記第1軸に平行に延在する第2軸を中心として前記脛骨インサートに対して回転するように構成されている、整形外科用補綴具。
(2) 前記モジュール式インサートの前記本体は、前記大腿骨コンポーネントに対して回転し、前記第1軸を前記第2軸に対して前記第2可動域に亘って動かすように構成されている、実施態様1に記載の整形外科用補綴具。
(3) 前記大腿骨コンポーネントを前記モジュール式インサートの前記本体に連結させる細長いピンを更に備え、前記細長いピンは、前記第1軸を画定し、前記第2可動域に亘って、前記脛骨インサートに対して第1ポジションと第2ポジションとの間を移動でき、前記第2ポジションは前記第1ポジションの前方に位置する、実施態様1に記載の整形外科用補綴具。
(4) 前記モジュール式インサートは、前記第2可動域に亘って、前記脛骨インサートに対して下側ポジションと上側ポジションとの間で上側-下側方向に移動するように構成され、
前記モジュール式インサートが前記下側ポジションに位置付けられるとき、前記細長いピンは前記第1ポジションにあり、
前記モジュール式インサートが前記上側ポジションに位置付けられるとき、前記細長いピンは前記第2ポジションにある、実施態様3に記載の整形外科用補綴具。
(5) 前記脛骨インサートは、前記空洞を画定する内壁を含み、前記内壁は前記空洞の近位セクションを画定する先細状近位面を含み、
前記モジュール式インサートが前記下側ポジションに位置付けられるとき、前記モジュール式インサートの前記本体は前記空洞近位セクションに着座する、実施態様4に記載の整形外科用補綴具。
【0061】
(6) 前記脛骨インサートの前記内壁は下側基部面を含み、
前記脛骨インサートの前記先細状近位面は、前記プラットフォームに画定された細長い開口から前記下側基部面まで延在する、実施態様5に記載の整形外科用補綴具。
(7) 前記細長い開口は略楕円形状を有する、実施態様6に記載の整形外科用補綴具。
(8) 前記下側基部面に開口が画定され、
前記脛骨インサートの前記内壁は前記空洞の遠位セクションを画定する遠位面を含み、
前記モジュール式インサートの前記細長い柄は、前記空洞遠位セクションまで延在する、実施態様6に記載の整形外科用補綴具。
(9) 前記モジュール式インサートの前記細長い柄は縦軸を画定し、
前記モジュール式インサートが前記上側ポジションに位置付けられるとき、前記モジュール式インサートは前記脛骨インサートに対して、前記縦軸を中心として回転することが可能となる、実施態様5に記載の整形外科用補綴具。
(10) 前記タブは、前記脛骨インサートの前記プラットフォームに取り外し可能に結合されている、実施態様1に記載の整形外科用補綴具。
【0062】
(11) 前記第1可動域は、屈曲-3~140°の範囲である、実施態様1に記載の整形外科用補綴具。
(12) 前記第2可動域は、屈曲3~10°の範囲である、実施態様11に記載の整形外科用補綴具。
(13) 整形外科用補綴装置であって、
患者の大腿骨の遠位端に取り付けられるように構成され、(i)一対の離間湾曲凸状顆表面を備える第1体と、(ii)前記第1体に回転可能に結合された第2体と、(iii)前記第2体に回転可能に結合された細長い柄と、を含む第1の植え込み可能補綴コンポーネントと、
患者の脛骨の近位端に取り付けられるように構成された第2の植え込み可能補綴コンポーネントと、
前記第1の植え込み可能補綴コンポーネントと前記第2の植え込み可能補綴コンポーネントとの間に位置付けられるように構成され、前記第1の植え込み可能補綴コンポーネントの前記細長い柄を収容する大きさの空洞を含む挿入型補綴コンポーネントと、を備え、
前記第1体は、第1可動域に亘って前記挿入型補綴コンポーネントに対して、内側-外側方向に延在する第1軸を中心として回転するように構成され、
前記第2体は、前記第1可動域より小さい第2可動域に亘って、前記第1軸に平行に延在する第2軸を中心として前記挿入型補綴コンポーネントに対して回転するように構成されている、整形外科用補綴装置。
(14) 前記第1体を前記第2体に連結させる細長いピンを更に備え、前記細長いピンは、前記第1軸を画定し、前記第2可動域に亘って、前記挿入型補綴コンポーネントに対して第1ポジションと第2ポジションとの間を移動でき、前記第2ポジションは前記第1ポジションの前方に位置する、実施態様13に記載の整形外科用補綴装置。
(15) 前記第1の植え込み可能補綴コンポーネントの前記第2体は、前記第2可動域に亘って、前記挿入型補綴コンポーネントに対して下側ポジションと上側ポジションとの間で上側-下側方向に移動するように構成され、
前記第2体が前記下側ポジションに位置付けられるとき、前記細長いピンは前記第1ポジションにあり、
前記第2体が前記上側ポジションに位置付けられるとき、前記細長いピンは前記第2ポジションにある、実施態様14に記載の整形外科用補綴装置。
【0063】
(16) 前記挿入型補綴コンポーネントは一対の湾曲近位面を含み、前記第1体の前記一対の離間湾曲凸状顆表面は、前記湾曲近位面と係合するように構成され、
前記湾曲凸状顆表面と前記湾曲近位面は、前記第2可動域に亘る前記湾曲凸状顆表面と前記湾曲近位面の係合により前記第1の植え込み可能補綴コンポーネントの前記第2体を前記下側ポジションと前記上側ポジションとの間で移動させるような形状を有する、実施態様15に記載の整形外科用補綴装置。
(17) 前記第2可動域は前記第1可動域と重なり合う、実施態様13に記載の整形外科用補綴装置。
(18) 前記第1可動域は、屈曲-3~140°の範囲である、実施態様13に記載の整形外科用補綴装置。
(19) 前記第2可動域は、屈曲3~10°の範囲である、実施態様13に記載の整形外科用補綴装置。
(20) 整形外科用補綴装置であって、
患者の大腿骨の遠位端に取り付けられるように構成され、一対の離間湾曲凸状顆表面を含む第1の植え込み可能補綴コンポーネントと、
患者の脛骨の近位端に取り付けられるように構成された第2の植え込み可能補綴コンポーネントと、
前記第1の植え込み可能補綴コンポーネントと前記第2の植え込み可能補綴コンポーネントとの間に位置し、前記一対の離間湾曲凸状顆表面と係合する一対の湾曲近位面を含む挿入型補綴コンポーネントと、
第1軸に沿って延在し、前記挿入型補綴コンポーネントを前記第1の植え込み可能補綴コンポーネントに回転可能に結合する細長いピンと、を備え、
前記第1の植え込み可能補綴コンポーネントは、可動域に亘って前記挿入型補綴コンポーネントに対して、内側-外側方向に延在する前記第1軸を中心として回転するように構成され、
前記湾曲凸状顆表面と前記湾曲近位面は、前記可動域に亘る前記湾曲凸状顆表面と前記湾曲近位面の係合により前記細長いピンを第1ポジションと第2ポジションとの間で移動させるような形状を有し、前記第2ポジションは前記第1ポジションの前方に位置する、整形外科用補綴装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17