(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】インプラントを取り外すための補助装置
(51)【国際特許分類】
A61F 2/966 20130101AFI20240617BHJP
【FI】
A61F2/966
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020018578
(22)【出願日】2020-02-06
【審査請求日】2023-02-06
(32)【優先日】2019-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】タイソン・モンティドロ
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0238147(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0073524(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0260301(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0087596(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/966
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルからインプラント送達システムの内側細長部材を引き抜くための後退システムであって、
第1の把持領域を備える第1のクランプと、
第2の把持領域を備える第2のクランプと、
近位方向及び遠位方向に並進可能なシャトルであって、前記第1のクランプ及び前記第2のクランプが装着されている、シャトルと、
前記近位方向及び前記遠位方向に並進可能なスライダであって、第1の接点
と第2の接点を備える、スライダと、を備え、
前記近位方向における前記スライダの第1の並進が前記第1の接点を近位方向に並進させることで、前記第1の接点から前記第1のクランプに第1の力が加えられ、前記第1の力は前記第1のクランプを開放位置から閉鎖位置へと移動させるものであり、
前記開放位置において、前記第1の把持領域及び前記第2の把持領域は、前記インプラント送達システムの前記内側細長部材が通過可能であるように位置付けられており、
前記閉鎖位置において、前記第1の把持領域及び前記第2の把持領域は、前記内側細長部材と係合するように位置付けられており、
前記近位方向における前記スライダの第2の並進が前記第1のクランプ及び前記第2のクランプを近位方向に並進させることで、前記カテーテルを定位置に保持しながら前記インプラント送達システムの前記カテーテルから前記内側細長部材を近位方向に引き抜
き、
前記スライダの前記第1の並進が前記第2の接点を近位方向に並進させることで、前記第2の接点から前記第2のクランプに第2の力が加えられ、前記第2の力は前記第2のクランプを前記開放位置から前記閉鎖位置へと移動させるものである、後退システム。
【請求項2】
カテーテルからインプラント送達システムの内側細長部材を引き抜くための後退システムであって、
第1の把持領域を備える第1のクランプと、
第2の把持領域を備える第2のクランプと、
近位方向及び遠位方向に並進可能なシャトルであって、前記第1のクランプ及び前記第2のクランプが装着されている、シャトルと、
前記近位方向及び前記遠位方向に並進可能なスライダであって、第1の接点を備える、スライダと、を備え、
前記近位方向における前記スライダの第1の並進が前記第1の接点を近位方向に並進させることで、前記第1の接点から前記第1のクランプに第1の力が加えられ、前記第1の力は前記第1のクランプを開放位置から閉鎖位置へと移動させるものであり、
前記開放位置において、前記第1の把持領域及び前記第2の把持領域は、前記インプラント送達システムの前記内側細長部材が通過可能であるように位置付けられており、
前記閉鎖位置において、前記第1の把持領域及び前記第2の把持領域は、前記内側細長部材と係合するように位置付けられており、
前記近位方向における前記スライダの第2の並進が前記第1のクランプ及び前記第2のクランプを近位方向に並進させることで、前記カテーテルを定位置に保持しながら前記インプラント送達システムの前記カテーテルから前記内側細長部材を近位方向に引き抜き、
遠位マウンティングブロックと、
近位マウンティングブロックと、
前記遠位マウンティングブロックと前記近位マウンティングブロックとの間に延在するレールであって、前記シャトル及び前記スライダがそれぞれ前記レール上に摺動可能に取り付けられている、レールと、を更に備える
、後退システム。
【請求項3】
前記遠位マウンティングブロックは、前記インプラント送達システムを受容するための第1の開口部を更に備え、
前記第1の開口部は、前記カテーテルの近位方向の移動を阻止するように、また前記内側細長部材が通過することを可能にするようにサイズ決めされている、請求項2に記載の後退システム。
【請求項4】
前記スライダ及び前記遠位マウンティングブロックと連通し、前記スライダを前記遠位方向に移動させるのに十分な戻しばね力を加える戻しばねを更に備える、請求項2に記載の後退システム。
【請求項5】
前記遠位方向における前記スライダの第3の並進が、前記第1の接点を移動させて前記第1のクランプを係合解除させる、請求項1に記載の後退システム。
【請求項6】
カテーテルからインプラント送達システムの内側細長部材を引き抜くための後退システムであって、
第1の把持領域を備える第1のクランプと、
第2の把持領域を備える第2のクランプと、
近位方向及び遠位方向に並進可能なシャトルであって、前記第1のクランプ及び前記第2のクランプが装着されている、シャトルと、
前記近位方向及び前記遠位方向に並進可能なスライダであって、第1の接点を備える、スライダと、を備え、
前記近位方向における前記スライダの第1の並進が前記第1の接点を近位方向に並進させることで、前記第1の接点から前記第1のクランプに第1の力が加えられ、前記第1の力は前記第1のクランプを開放位置から閉鎖位置へと移動させるものであり、
前記開放位置において、前記第1の把持領域及び前記第2の把持領域は、前記インプラント送達システムの前記内側細長部材が通過可能であるように位置付けられており、
前記閉鎖位置において、前記第1の把持領域及び前記第2の把持領域は、前記内側細長部材と係合するように位置付けられており、
前記近位方向における前記スライダの第2の並進が前記第1のクランプ及び前記第2のクランプを近位方向に並進させることで、前記カテーテルを定位置に保持しながら前記インプラント送達システムの前記カテーテルから前記内側細長部材を近位方向に引き抜き、
前記遠位方向における前記スライダの第3の並進が、前記第1の接点を移動させて前記第1のクランプを係合解除させ、
前記第1のクランプに第1のばね力を加えるように位置付けられた第1のばねを更に備え、前記第1のばね力は、前記第1の接点が前記第1のクランプから係合解除されたときに前記第1のクランプを前記閉鎖位置から前記開放位置へと移動させるのに十分である
、後退システム。
【請求項7】
前記第1のクランプは第1の回転継手を中心として回転可能であり、前記第1の回転継手にて前記シャトルに取り付けられている、請求項1に記載の後退システム。
【請求項8】
前記第1の接点からの前記第1の力は、前記第1の回転継手を中心とした前記第1のクランプの第1の回転を発生させる、請求項
7に記載の後退システム。
【請求項9】
インプラントを配備するためのシステムであって、
インプラント送達システムの細長解放部材を受容し、前記インプラント送達システムのカテーテルの近位方向への移動を阻止するようにサイズ決めされた入口部と、
一対のクランプアームであって、前記一対のクランプアームのうちの少なくとも1つのクランプアームは開放位置から閉鎖位置へと回転可能であり、前記開放位置では前記細長解放部材から係合解除されており、前記閉鎖位置では前記細長解放部材と係合されている、一対のクランプアームと、
近位方向及び遠位方向に並進可能なシャトルであって、前記一対のクランプアームが装着されている、シャトルと、
前記近位方向及び前記遠位方向に並進可能なスライダと、を備え、
前記スライダが近位方向に並進すると、前記スライダは前記一対のクランプアームのうちの前記少なくとも1つと接触し、前記スライダは前記一対のクランプアームのうちの前記少なくとも1つを前記開放位置から前記閉鎖位置へと回転させるための力を加え、前記スライダは前記シャトル及び前記一対のクランプアームを近位方向に並進させるための力を加え、前記一対のクランプアームが前記近位方向に並進することで前記細長解放部材が前記カテーテルから近位方向に引き抜か
れ、
前記スライダが遠位方向に並進すると、前記スライダは前記シャトルから分離し、前記一対のクランプアームのうちの前記少なくとも1つのクランプアームから係合解除する、システム。
【請求項10】
前記シャトルは、前記一対のクランプ
アームのうちの前記少なくとも1つに力を加えて、前記一対のクランプアームのうちの前記少なくとも1つのクランプアームを前記閉鎖位置から前記開放位置へと移動させるように位置付けられた少なくとも1つのばねを更に備える、請求項
9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には医療機器に関し、より具体的には管腔内インプラントを配置することに関する。
【背景技術】
【0002】
数多くの血管内インプラント装置及び血塊捕捉装置が当該分野において知られている。多くは、送達のために1つ以上のカテーテルとワイヤとを組み合わせるシステムを介して、機械的に配置及び操作される。機械的に送達され得るインプラントの例としては、塞栓要素、ステント、移植片、薬物送達インプラント、フローダイバータ、フィルタ、刺激リード線、感知リード線、又はマイクロカテーテルを通して送達される他の埋め込み可能な構造体が挙げられる。いくつかの産科用及び胃腸用インプラントもまた、1つ以上のカテーテルとワイヤとを組み合わせる同様のシステムを介して埋め込まれ得る。機械的手段によって解放、配置、又は別様に操作され得る装置は、設計においては大きく異なるが、同様の送達カテーテル及びワイヤシステムを用いることができる。
【0003】
多くのそのようなカテーテルベースの送達システムは、カテーテルと、内側カテーテル又はワイヤなどの内側細長部材とを含んでおり、それらのカテーテル及び内側細長部材は、インプラントの解放時までカテーテル内にインプラントを保持するように構成されたものである。これらのシステムは、カテーテルに対して内側細長部材のうちの1つ以上を後退させるか又は引っ張ることによって作動され得る。こうしたワイヤ又は内側細長部材は、本明細書では「プルワイヤ」と称される。インプラントの正確な配置は、血管及び管腔異常の成功的治療のために極めて重要である。一部の用途では、プルワイヤが近位に引かれ、続いて遠位に押されると問題が生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、こうした用途における問題を低減するためのシステム、デバイス、及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
機械的な血管内インプラント装置からプルワイヤを後退させるための例示的なシステム及び方法が、上記の必要性に対処し得る。いくつかの例では、プルワイヤは、摺動するシャトルに取り付けられた2つのクランプと、2つのクランプの一方又は両方と接触し移動させるための少なくとも1つの接点を有するスライダと、を有する後退システムを用いて、カテーテルから後退され得る。プルワイヤは、クランプが開放位置にあるとき、2つのクランプ上の把持領域の間に位置付けられ得る。次いで、スライダが近位方向に移動されると、スライダ上の接点(1つ又は複数)がシャトル上の一方又は両方のクランプと係合し、そのことでクランプの少なくとも1つを移動させ得て、把持領域が一緒になり、プルワイヤを把持する。スライダはこれにより更に近位に移動することができ、摺動するシャトル、クランプ、及びプルワイヤを近位方向に並進させ得る。後退システムは、プルワイヤは自由に通過し得るがカテーテルは通過し得ないテーパ開口部を有することができ、そのため、プルワイヤが近位方向に引っ張られている間、カテーテルは定位置に保持される。
【0006】
カテーテルからインプラント送達システムの内側細長部材を引き抜くための例示的な後退システムは、第1のクランプと、第2のクランプと、クランプが装着されているシャトルと、接点と、接点が装着されているスライダと、を有し得る。シャトル及びスライダはそれぞれ、近位方向及び遠位方向に並進され得る。後退システムは、近位方向におけるスライダの第1の並進が第1の接点を近位方向に並進させることで、第1の接点から第1のクランプに第1の力が加えられるように構成されてもよく、第1のクランプを移動させる第1の力は、クランプを開放位置から閉鎖位置へと移動させるものである。第1のクランプは第1の把持領域を有し得、第2のクランプは第2の把持領域を有し得る。開放位置において、第1の把持領域及び第2の把持領域は、インプラント送達システムの内側細長部材が通過可能であるように位置付けられ得る。閉鎖位置において、第1の把持領域及び第2の把持領域は、内側細長部材と係合するように位置付けられ得る。後退システムは、近位方向におけるスライダの第2の並進が第1のクランプアーム及び第2のクランプアームを近位方向に並進させることで、後退システムによってカテーテルを定位置に保持しながらインプラント送達システムのカテーテルから内側細長部材を近位方向に引き抜くように構成され得る。
【0007】
後退システムのスライダは、第2の接点を含むことができる。後退システムは、スライダの第1の並進が第1の接点と第2の接点の両方を近位方向に並進させることで、第2の接点から第2のクランプに第2の力が加えられるように構成され得、第2の力は第2のクランプを開放位置から閉鎖位置へと移動させるものである。第1の力及び第2の力は、クランプを開放位置から閉鎖位置に共同して移動させるために、同時にクランプに加えられ得る。
【0008】
後退システムは、手持ち式となるようにサイズ決めされたハウジングを含んでもよく、シャトル及びスライダは、ハウジングに摺動可能に装着され得る。
【0009】
後退システムは、遠位マウンティングブロックと、近位マウンティングブロックと、遠位マウンティングブロックと近位マウンティングブロックとの間に延在するレールと、を含み得る。シャトル及びスライダはそれぞれ、レール上に摺動可能に装着され得る。遠位マウンティングブロック及び近位マウンティングブロックは、平坦な表面に装着可能となり得、患者に装着若しくは載置され得、かつ/又は手持ち式リトラクタ内に装着され得る。遠位マウンティングブロックは、インプラント送達システムを受容するための第1の開口部を有し得る。第1の開口部は、手持ち式リトラクタのハウジング内に一体化されてもよい。第1の開口部は、カテーテルの近位方向の移動を阻止するように、また内側細長部材が通過可能であるようにサイズ決めされ得る。
【0010】
後退システムは、スライダと遠位マウンティングブロックとの間に戻しばね力を加えるように位置付けられた戻しばねを含んでもよい。戻しばね力は、遠位マウンティングブロックに対して遠位方向にスライダを移動させるのに十分であり得る。後退システムは、遠位方向におけるスライダの第3の並進が、第1の接点を移動させて第1のクランプを係合解除させるように構成され得る。後退システムは、遠位方向におけるスライダの第3の並進が、第1の接点と第2の接点の両方を移動させて第1のクランプ及び第2のクランプを係合解除させるように構成され得る。
【0011】
後退システムは、第1のクランプに第1のばね力を加えるように位置付けられた第1のばねを有してもよく、第1のばね力は、第1の接点が第1のクランプから係合解除されたときに第1のクランプを閉鎖位置から開放位置へと移動させるのに十分であり得る。第1のクランプは第1の回転継手を中心として回転可能であり得る。第1のクランプは、第1の回転継手にてシャトルに取り付けられ得る。第1のばね力は、第1の回転継手を中心とした第1のクランプの第1の回転を発生させ得る。
【0012】
第2のクランプは不動であってもよく、あるいは可動であってもよい。可動である場合、第2のクランプは第1のクランプの鏡像として移動可能であり得、一対のクランプは、両方のクランプの移動によって開放位置から閉鎖位置へと移動可能であり得、その逆もまた同様に可能である。後退システムは、第2のクランプと係合するように位置付けられた、スライダ上の第2の接点を含み得る。第1及び第2の接点は、第1及び第2のクランプを同時に係合及び/又は係合解除し得る。後退システムは、第2のクランプに第2のばね力を加えるように位置付けられた第2のばねを有してもよく、第2のばね力は、第2の接点が第2のクランプから係合解除されたときに第2のクランプを閉鎖位置から開放位置へと移動させるのに十分であり得る。第2のクランプは第2の回転継手を中心として回転可能であり得る。第2のクランプは、第2の回転継手にてシャトルに取り付けられ得る。第2のばね力は、第2の回転継手を中心とした第2のクランプの第2の回転を発生させ得る。
【0013】
インプラントを配備するための例示的なシステムは、入口部と、一対のクランプアームと、シャトルと、スライダと、を含み得る。入口部は、インプラント送達システムの細長解放部材を受容し、インプラント送達システムのカテーテルの近位方向への移動を阻止するようにサイズ決めされ得る。一対のクランプアームのうちの少なくとも1つのクランプアームは、開放位置から閉鎖位置へと回転可能であり得る。開放位置では、一対のクランプアームが細長解放部材から係合解除され得、閉鎖位置では、一対のクランプアームが細長解放部材と係合され得る。一対のクランプアームはシャトルに装着されてもよく、シャトルは近位方向及び遠位方向に並進可能であり得る。スライダは、回転可能なクランプアームの一方又は両方と係合又は係合解除するために近位方向及び遠位方向に並進可能であり得、それにより、スライダの初期の近位方向への移動時に、スライダは回転可能なクランプアームと接触し、回転可能なクランプアームを回転させてクランプアームを開放位置から閉鎖位置へと移動させる力を与える。スライダは、近位方向に更に並進されてシャトル及び一対のクランプアームを近位方向に並進させることができ、一対のクランプアームの近位方向への並進は、細長解放部材をカテーテルから近位方向に引き抜くことが可能である。
【0014】
システムは、手持ち式となるようにサイズ決めされたハウジングを含んでもよく、シャトル及びスライダは、ハウジングに摺動可能に装着され得る。
【0015】
例示的なシステムは、遠位マウンティングブロックと、近位マウンティングブロックと、遠位マウンティングブロックと近位マウンティングブロックとの間に延在するレールと、を含み得る。シャトル及びスライダはそれぞれ、レール上に摺動可能に装着され得る。本システムは4つのレールを含んでもよい。
【0016】
本システムは、遠位マウンティングブロック内のテーパ開口部である入口部を含んでもよい。テーパ開口部は、細長解放部材がカテーテルの近位端を通過すること、及びその近位端と係合することを可能にするようにサイズ決めされ得る。
【0017】
システムは、スライダの遠位並進によって、スライダをシャトルから分離させること及び回転可能なクランプアームから係合解除させることが可能となるように構成され得る。
【0018】
システムは少なくとも1つのばねを含んでもよく、各ばねは、回転可能なクランプアームの一方又は両方に力を加えるように位置付けられ得る。各ばねからの力は、一対のクランプアームが閉鎖位置から開放位置へと、あるいは開放位置から閉鎖位置へと移動するように、各ばね押しクランプアームを移動させ得る。
【0019】
例示的な方法は、インプラントを配備するための工程を含み得る。本方法は、カテーテルと、カテーテル内に位置付けられてカテーテルから近位方向に延在する内側細長部材と、を備えるインプラント送達システムを設ける工程を含み得る。本方法は入口部と、スライダと、シャトルと、シャトルに装着された一対のクランプアームと、を備える後退システムを設ける工程を含み得る。
【0020】
本方法は、一対のクランプアームを開放位置に位置付ける工程を含み得る。本方法は、クランプアームが内側細長部材から係合解除されるように、後退システムの入口部を通じて、また一対の開放クランプアームの間に、内側細長部材を位置付ける工程を含み得る。本方法は、インプラント送達システムのカテーテルを後退システムの入口部に係合させる工程を含み得る。
【0021】
本方法は、クランプアームのうちの少なくとも1つと接触するように、第1の距離にわたって近位方向にスライダを移動させる工程を含み得る。本方法は、閉鎖位置においてクランプアームが内側細長部材と係合されるように、スライダと接触しているクランプアームを移動させ、それによって一対のクランプアームを開放位置から閉鎖位置へと移動させるために、第2の距離にわたって近位方向にスライダを移動させる工程を含み得る。スライダと接触するクランプアームはそれぞれ、対応する回転継手を中心として回転可能であり得、第2の距離にわたって近位方向にスライダを移動させる工程は、それぞれの対応する回転継手を中心として、スライダと接触するクランプアームを回転させる工程を更に含み得る。
【0022】
本方法は、シャトル及びクランプアームを近位方向に移動させ、それによって、カテーテルの位置を維持しながら、内側細長部材をカテーテルから近位方向に引き抜くために、第3の距離にわたって近位方向にスライダを移動させる工程を含み得る。
【0023】
本方法は、クランプアームからスライダを係合解除するために、第4の距離にわたって遠位方向にスライダを移動させる工程を含み得る。内側細長部材の位置は、スライダが遠位方向に移動されるときに維持され得る。この工程は、スライダが第4の距離にわたって遠位方向に移動されるときにシャトルの位置を維持する工程を更に含み得る。
【0024】
後退システムは1つ以上のばねを含んでもよく、本方法は、スライダがクランプアームと係合されていないときに、クランプアームを閉鎖位置から開放位置へと移動させるために、ばねのそれぞれから可動クランプアームのそれぞれに力を与える工程を含み得る。
【0025】
提供される後退システムは、遠位マウンティングブロックと、近位マウンティングブロックと、レールと、を更に含み得る。本方法は、遠位マウンティングブロックと近位マウンティングブロックとの間にレールを延在させる工程と、レールにスライダを摺動可能に装着する工程と、スライダの近位側でレールにシャトルを摺動可能に装着する工程と、を更に含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の上記及び更なる態様は、添付の図面と併せて以下の説明を参照して更に考察され、様々な図面において、同様の数字は、同様の構造要素及び特徴を示す。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本発明の原理を例示することに主眼が置かれている。図は、限定としてではなく単なる例示として、本発明のデバイスの1つ又は2つ以上の実装形態を描写している。
【
図1A】本発明の態様による例示的な後退システムの説明図である。
【
図1B】本発明の態様による例示的な後退システムの説明図であり、
図1Aの断面図である。
【
図2】本発明の態様による例示的な後退システムと共に使用され得るインプラント送達システムの説明図である。
【
図3A】本発明の態様による、インプラント送達システムの近位部分が後退システム内に位置付けられ、後退システム及びインプラント送達システムがインプラント送達システムからのプルワイヤの後退に先立って位置付けられている、例示的な後退システムの説明図である。
【
図3B】本発明の態様による、インプラント送達システムの近位部分が後退システム内に位置付けられ、後退システム及びインプラント送達システムがインプラント送達システムからのプルワイヤの後退に先立って位置付けられている、例示的な後退システムの説明図である。
【
図4A】本発明の態様によるインプラントを配備するための例示的な工程を実行する例示的な後退システムの切り欠き図を示す説明図である。
【
図4B】本発明の態様によるインプラントを配備するための例示的な工程を実行する例示的な後退システムの切り欠き図を示す説明図である。
【
図4C】本発明の態様によるインプラントを配備するための例示的な工程を実行する例示的な後退システムの切り欠き図を示す説明図である。
【
図4D】本発明の態様によるインプラントを配備するための例示的な工程を実行する例示的な後退システムの切り欠き図を示す説明図である。
【
図4E】
図4Dにおける位置にある後退システムの上面図を示す説明図である。
【
図5A】本発明の態様による、プルワイヤを解放し開始位置に復帰するための例示的な工程を実行する例示的な後退システムの断面図及び上面図を示す説明図である。
【
図5B】本発明の態様による、プルワイヤを解放し開始位置に復帰するための例示的な工程を実行する例示的な後退システムの断面図及び上面図を示す説明図である。
【
図5C】本発明の態様による、プルワイヤを解放し開始位置に復帰するための例示的な工程を実行する例示的な後退システムの断面図及び上面図を示す説明図である。
【
図5D】本発明の態様による、プルワイヤを解放し開始位置に復帰するための例示的な工程を実行する例示的な後退システムの断面図及び上面図を示す説明図である。
【
図6】本発明の態様による、戻しばねを含んだ例示的な後退システムの説明図である。
【
図7A】本発明の態様による、開始位置にある例示的な後退システムの上面及び斜め側面図の説明図である。
【
図7B】本発明の態様による、開始位置にある例示的な後退システムの側面斜視図の説明図である。
【
図8A】本発明の態様による、クランプが閉鎖位置にある例示的な後退システムの側面斜視図の説明図である。
【
図8B】本発明の態様による、クランプが閉鎖位置にある例示的な後退システムの上面斜視図の説明図である。
【
図9A】本発明の態様による、クランプが開放位置にある例示的な後退システムの側面斜視図の説明図である。
【
図9B】本発明の態様による、クランプが開放位置にある例示的な後退システムの上面斜視図の説明図である。
【
図10A】本発明の態様による、開放位置にある1つの回転式クランプアームと1つの非回転クランプアームとを含んだ1対のクランプアームの説明図である。
【
図10B】本発明の態様による、閉鎖位置にある1つの回転式クランプアームと1つの非回転クランプアームとを含んだ1対のクランプアームの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
内側管が外側管に対して並進する内側管/外側管アセンブリによって作動される、機械的インプラント送達システム、血塊捕捉システム、及び他のシステムは、ガイドカテーテル内の1つ以上のハイポチューブ又はプルワイヤを利用することができ、また、ハイポチューブ及び/又はプルワイヤは、送達システムの遠位端におけるインプラントの配備、血塊の捕捉、又は他の腔内治療のための、送達システムの近位端における操作に利用可能となり得る。送達され得るインプラントの例としては、塞栓要素、ステント、移植片、薬物送達インプラント、フローダイバータ、フィルタ、刺激リード線、感知リード線、又はマイクロカテーテルを通して送達可能な他の埋め込み可能な構造体を挙げることができる。本明細書に記載される例示的な後退システムは、ユーザがインプラントを取り外すこと及び/若しくは配備すること、又は遠位端において血塊を捕捉することを支援するために、送達システムの近位端と協調し得る。
【0028】
例示的な後退システムは一般に、インプラントの解放中及び解放後に、ハイポチューブ/プルワイヤ及びそれらの下位構成要素の遠位移動を生じさせることなく、内側ハイポチューブ及び/又はプルワイヤを後退させ得る構成要素のシステムを含み得る。例示的な後退システムは、ユーザが単一の直線運動で並進させ得る機械的スライダを含み得る。スライダは、後退されると、一対のクランプアームにおける一方又は両方のクランプアームにトルクを加え得る。そのトルクは、近位内側管又はプルワイヤに対して圧迫及び把持するように、クランプアームを移動させ得る。把持された細長部材は、スライダを近位に摺動させることによって、主送達チューブに対して並進され得る。後退システムは、スライダがその走行の終わりに達したときにユーザに示すインジケータを含んでもよく、例えば、インジケータは触覚及び/又は聴覚インジケータであってもよい。スライダの走行距離は、スライダがその走行の終わりに近づくかあるいは到達したときにインプラントが解放されるようなサイズにされ得る。インジケータは、インプラントが解放されたことをユーザに示してもよい。
【0029】
後退システムは、ユーザがスライダに対する圧力を解放したときにクランプが開放されて係合した細長部材を解放させるように位置付けられた、1つ以上のばねを含み得る。後退システムは、後退システムを開始位置又は初期位置に復帰させるための機構(ばね又は既知の手段など)を含み得る。
【0030】
潜在的には、後退システムは、従来の後退システムと比較して、機械的取外しシステム上における塞栓性の又は他のインプラントの取外しをより信頼性の高いものにし得る。インプラントの解放中及び解放後にインプラント送達システム構成要素の前進又は遠位移動を生じさせることなく、プルワイヤ、内側管、プルワイヤ/内側管アセンブリ、又は他の細長部材を近位方向に後退させることによって、より信頼性の高い取外しが達成され得る。
【0031】
図1A及び
図1Bは、例示的な後退システム100の説明図である。
図1Bは
図1Aの断面図である。
図1A及び
図1Bは、送達カテーテル410と内側管とを有するインプラント送達システムの近位部分、プルワイヤ、又は内側管及びプルワイヤアセンブリ310(「プルワイヤ」)が後退システム100内に位置付けられ、インプラントの配備(又は腔内処置)に対する準備を終えた、開始又は初期位置にある例示的な後退システム100の構成要素を示している。
【0032】
後退システム100は、プルワイヤ310を把持するためのクランプ144、146を有するシャトル130と、ユーザによって移動可能なスライダ120と、シャトル130及びスライダ120が摺動し得る1つ以上のスライドレール116と、インプラント送達システムを受容すると共にスライドレール116に対するアンカーを設けるための遠位マウンティングブロック114と、スライドレール116を係留するための近位マウンティングブロック112と、を含み得る。後退システム100は、送達カテーテル410及びインプラント送達システムのプルワイヤ310を受容し、プルワイヤ310を把持し、送達カテーテル410の近位端と係合し、プルワイヤ310を引っ張って送達カテーテル410からプルワイヤ310を後退させるように構成され得る。
【0033】
システム100は、手持ち式リトラクタ内に装着されてもよく、平坦な表面上に装着されてもよく、あるいは患者に装着されてもよい。システム100が手持ち式リトラクタ又はハンドル内に装着されるとき、遠位マウンティングブロック114及び近位マウンティングブロック112は、手持ち式リトラクタのハウジング又はシェルの一体部分であり得る。システム100は、遠位マウンティングブロック114と近位マウンティングブロック112との間に延在する1つ以上のレール116を含み得る。システム100が手持ち式リトラクタ内に装着されるとき、レール116は、手持ち式リトラクタのハウジングの各部分の間に延在すること、及び/又はハウジング内に一体化されることが可能である。レール116は、ハウジング又はハンドルシェル内の溝又はトラックであってもよい。後退システム100は、プルワイヤ310は通過可能であるが、送達カテーテル410が通過することは阻止するように寸法決めされた開口部118を含み得る。開口部118は、プルワイヤ310及び送達カテーテル410のシステム100に対する位置合わせを容易にするため、プルワイヤ310のシステム100への挿入を容易にするため、及び/又は広範な種々のサイズの送達カテーテルとのしっかりとした係合を容易にするために、テーパ状にされてもよい。開口部118は、遠位マウンティングブロック114内に位置付けられ得る。
【0034】
インプラント送達システム300は、後退システム100の入口部で自動調心テーパ開口部118に挿入され得る。主送達カテーテル410は、装置の入口部118にハードストップを有してもよく、内側の細長部材310は、後退システム100に自在に進入し得る。内側の細長部材310は、遠位マウンティングブロック114、スライダ120、及びシャトル130を通して挿入され得る。
【0035】
スライダ120は、プルワイヤ310が通過可能であるようにサイズ決めされた開口部128を含んでもよい。スライダ120は、スライダ120を移動させるために、ユーザによって把持され得るか、ないしは別様にユーザによって直接的に若しくは間接的に操作され得るハンドル122を含んでもよい。スライダ120は、シャトル130上のクランプアーム144、146の1つ以上に係合するかあるいはそれらに対して力を与えるための1つ以上の接点124、126を含んでもよい。スライダ120は、第1のクランプアーム144及び第2のクランプアーム146と係合し、それらに第1の力及び第2の力を与えるようにそれぞれ位置付けられた第1の接点124及び第2の接点126を含んでもよい。スライダ120はレール116上に装着されてもよく、またスライダ120は、レール116に沿って遠位方向12及び近位方向14に移動し得る。
【0036】
シャトル130は、プルワイヤ310が通過可能である開放位置からプルワイヤ310を把持する閉鎖位置まで移動可能な一対のクランプアーム144、146を含んでもよい。クランプ144、146はシャトル130に装着されてもよく、一方又は両方のクランプ144、146が移動可能であってよい。一方又は両方のクランプ144、146が、回転継手154、156にてシャトル130に装着されてもよい。各クランプ144、146は、それぞれの回転継手154、156を中心として回転し得るが、その回転は、クランプ144、146を開放位置から閉鎖位置へ、またその逆へと移動させる。
図1A及び
図1Bは、開放位置にあるクランプ144、146と、プルワイヤ310がクランプ144、146によって係合されていないように、クランプ144、146の間に位置付けられた内側管又はプルワイヤ310と、をして示している。第1のばね134がシャトル130に装着されてもよく、第1のばね134は、第1のクランプアーム144に第1のばね力を加え得る。第1の力は、第1のクランプ144を開放位置に移動及び/又は維持する方向に与えられ得る。第2のばね136がシャトル130に装着されてもよく、第2のばね136は、第2のクランプアーム146に第2のばね力を加え得る。第2の力は、第2のクランプ146を開放位置に移動及び/又は維持する方向に与えられ得る。シャトル130はレール116上に装着されてもよく、シャトル130は、レールに沿って近位方向12及び遠位方向14に移動し得る。シャトル130はスライダ120の近位側に位置付けられ得る。1つ以上のスペーサピン138がシャトル130を通して摺動可能に装着されてもよく、スペーサピンは、スライダ120とシャトル130との設定間隔を維持するように操作されてもよく、あるいはスペーサピン138は、スライダ120とシャトル130との間隔が縮小され得るように移動させられ得る。
【0037】
図2は、例示的な後退システム100と共に使用され得る機械的インプラント送達システム300(又は他の腔内治療装置)の近位部分の説明図である。送達システム300は、内側管、プルワイヤ、内側管とプルワイヤとのアセンブリ、又は腔内治療中に送達カテーテル410の近位端412から後退されるように設計されたいくつかの他の細長部材310を含み得る。細長部材310は、後退システム100によってその近位端312付近で把持され、送達カテーテル410から近位方向に引っ張られ得る。
【0038】
図3A及び
図3Bは、インプラント送達システム300を後退システム100内に位置付けられた例示的な後退システム100の説明図であり、後退システム100及びインプラント送達システム300は、インプラント送達システム300からプルワイヤ310を後退させる前に位置付けられている。
図3Aは斜視図である。
図3Bは上面図である。
図3A及び
図3Bをまとめて参照するが、初期位置において、スライダ120は、その走行長さの遠位端に位置付けられてもよく、シャトル130は、スライダ120の近くに位置付けられ、シャトルの走行長さの遠位端においてスライダ120から係合解除され得る。スライダ120及びシャトル130の両方の走行長さは、少なくとも部分的に、遠位マウンティングブロック114、近位マウンティングブロック112、及び1つ以上のレール116の位置付けによって決定され得る。1つのスペーサピン138又は複数のスペーサピン138が、シャトル130を通じて摺動可能に装着され、スライダ120とシャトル130との間の間隔を維持するように延長され得る。
【0039】
図4A~
図4Dは、カテーテル410からプルワイヤ310を後退させるための例示的な工程を実行する、例示的な後退システム100の断面図を示す説明図である。
図4Aは、
図3A及び
図3Bに示されるような初期位置にある、例示的な後退システム100を示している。インプラント送達システム300の送達カテーテル410は、後退システム100の入口部118にて係合され得る。プルワイヤ310は、入口部118を通じ、スライダ120内の開口部128を通じ、クランプアーム144、146の間に挿入され得る。
【0040】
後退システム100は、第1の把持領域145を有する第1のクランプアーム144と、第2の把持領域147を有する第2のクランプアーム146とを有し得る。後退システム100が初期位置にあるとき、インプラント送達システム300のプルワイヤ310は、第1の把持領域145と第2の把持領域147との間に位置付けられ得るが、第1の把持領域145又は第2の把持領域147によって把持はされ得ない。
【0041】
後退システム100は、第1の接点124及び第2の接点126を含むスライダ120を含んでもよく、各接点124、126は、スライダ120がクランプアーム144、146に向かって移動すると、クランプアーム144、146のそれぞれと係合するように位置付けられ得る。後退システム100が初期位置にあるとき、接点124、126は、クランプアーム144、146から係合解除され得る。後退システム100は、クランプアーム144、146を開放するための第1のばね134及び第2のばね136を含んでもよい。後退システム100が初期位置にあるとき、第1のばね134は、第1のクランプアーム144を開放位置に維持するように位置付けられ得、第2のばね136は、第2のクランプアーム146を開放位置に維持するように位置付けられ得る。第1のクランプアーム144は、第1の回転継手154にてシャトル130に装着されてもよく、第2のクランプアーム146は、第2の回転継手156にてシャトル130に装着されてもよい。第1のばね134及び第2のばね136はそれぞれ、シャトル130に装着されてもよく、第1及び第2のばね134、136は、後退システム100が初期位置にあるときに、それぞれの回転継手154、156を中心とした第1及び第2のクランプアーム144、146の回転を阻止し得る。
【0042】
スライダ120及びシャトル130はそれぞれ、スライダ120及びシャトル130が遠位方向12及び近位方向14に移動することを可能にするレール116に摺動可能に装着されてもよく、レール116は、遠位及び近位方向12、14に直交する横方向のスライダ120及びシャトル130の移動を阻止する。レール116は、遠位マウンティングブロック114と近位マウンティングブロック112との間に延在し得る。後退システム100が初期位置にあるとき、スライダ120及びシャトル130は、遠位マウンティングブロック114の近くでレール116の遠位端の近くに位置付けられ得る。
【0043】
スライダ120は、
図4Aに示される初期位置から
図4B~
図4Dに示される後続の位置までスライダ120を移動させるようにユーザが操作し得る、後退ハンドル122を含んでもよい。後退システム100は、ユーザがハンドル122を把持し、ユーザの身体に向かってハンドルを引っ張ることによって、ハンドル122を後退させ得るように設計され得る。代替的に、後退システム100が手持ち式装置を含む場合、後退システム100は、ユーザが手持ち式装置を手で把持しながら、ユーザの親指又は他の指を用いて、スライダ、又はスライダ120上のハンドル122若しくはスライダ120上のハンドル122と連通する機構であるトリガを移動させるように設計され得る。
【0044】
図4Bは、
図4Aに例示される初期位置から移動された後退システム100を示しており、スライダ120は近位方向12に移動されて、スライダ120上の第1の接触124がシャトル130上の第1のクランプアーム144と係合され、スライダ120上の第2の接点126がシャトル130上の第2のクランプアーム146と係合されている。
図4Bに示す瞬間では、一対のクランプアーム144、146は、内側管310が第1及び第2のクランプ144、146の第1の把持領域145又は第2の把持領域147によって係合されず、シャトル130がその初期位置から移動しないように、開放位置に残留し得る。
【0045】
図4Cは、スライダ120が近位に引っ張られ、
図4A及び
図4Bに示す開放位置から
図4Cに示す閉鎖位置へとクランプ144、146を移動させる力を一対のクランプ144、146に与えるように移動した、後退システム100を示している。閉鎖位置では、プルワイヤ310が一対のクランプ144、146の把持領域145、147の間で係合及び把持されるように、第1の把持領域145と第2の把持領域147は互いに接近する。スライダ120によってクランプ144、146に与えられる力は、クランプ144、146を閉位置に移動させるために、第1のばね134によって与えられる第1のばね力及び第2のばね136によって与えられる第2のばね力を上回るのに十分であり得る。シャトル130とレール116との間の摩擦力は、クランプ144、146が開放される際にシャトルが移動するのを防止し得る。追加的にあるいは代替的に、システム100は、その上でシャトル130が摺動し得る撓曲梁を含み得るが、その撓曲梁は、それに抗ってシャトル130が摺動し得る制御された抵抗力を与えるものである。ユーザは、スライダ120のプルハンドル122を引っ張ることによって、
図4Cに示されるようにスライダを並進させ得る。
図4Cに示す瞬間では、プルワイヤ310は一対のクランプ144、146によって把持されているが、プルワイヤ310及びシャトル130はそれらの初期位置から移動していない。
【0046】
クランプ144、146は、「L」字形状を有してもよい。「L」字形状のクランプ144、146は、「L」字形状の下面が相対して位置付けられ、「L」字形状の上部がスライダ120と接触すべく位置付けられるように、シャトル130上に位置付けられ得る。各クランプ144、146のそれぞれの把持領域145、147は、各「L」字形状の下面上に位置付けられ得る。スライダ120によってそれぞれ対応する各クランプ144、146に与えられる力は、
図4Cに示すように、「L」字形状の頂部付近で「L」字形の裏側に与えられ得る。スライダ120上の各接点124、126は、各「L」字の頂部付近でスライダから各「L」字形状クランプ144、146の裏側に力を与えるように位置付けられ得る。各「L」形状の接点は、回転継手154、156を中心として回転し得る。各回転継手154、156は、各「L」形状の角部に位置付けられ得る。第1のばね134及び第2のばね136は、それぞれの対応する接点124、126の反対側に位置付けられて、「L」字形状の内側で「L」字形状の頂部付近のそれぞれの対応する「L」形状に接続され得る。
【0047】
図4Dは、シャトル130及びプルワイヤ310が近位方向に移動された後退システム100を示している。
図4Cに示すようにクランプアーム144、146が回転されてプルワイヤ310を把持すると、シャトル130は、スライダ120が近位方向に移動される際に並進し始めることができ、プルワイヤ130は、カテーテル410から抜き出され始めることができる。ユーザは、スライダ120を近位方向に引っ張り続けることができ、それにより、所望の距離に達するまでプルワイヤ310をカテーテル410から引き出すことができる。カテーテル410をリトラクタシステム100の入口部118で不動に保持しながらプルワイヤ310を引き戻すことによって、インプラント取外し工程(又は他のそのような腔内治療工程)が完了され得る。スライダ120がその走行の終端に達したとき、後退システム100のスライダ120構成要素はスライダ120の更なる近位移動を阻止し、それによって、ハンドル又は機構がそのサイクルを完了したことをユーザに示し、それによって治療工程を完了し得る。インプラント(又は他の治療装置)は、取外し(又は他の治療工程)が適切に完了したことを確認するために、蛍光透視下で観察され得る。
【0048】
【0049】
図5A~
図5Dは、プルワイヤ310を解放し、初期位置に復帰するための例示的な工程を実行する、例示的な後退システム100を示す説明図である。インプラントの取外しが完了した後、ユーザは、スライダ120にかかる圧力を解放することができ、ばね134、136はクランプアーム144、146を自動的に移動させて開放し、それによってクランプ144、146を近位内側管又はプルワイヤ310から解放することができる。プルワイヤ310が解放されると、シャトル130及びスライダ120は近位方向に移動されて、プルワイヤ310を近位方向に並進させることなくシステム100を開始位置に復帰させることができる。システム100は、手動又は自動で開始位置に復帰され得る。
【0050】
図5Aは、インプラント取外し工程(又は他のそのような腔内治療工程)の完了に続いてプルワイヤ310を解放した直後の、例示的な後退システム100を示す断面図である。治療工程の完了後、ユーザは、スライダ120にクランプ144、146を係合解除させることを可能にし得る。ユーザは後退ハンドル122を開放することができ、第1のばね力及び第2のばね力は、第1のクランプ144及び第2のクランプ146を開放位置に移動させるのに十分であり得る。プルワイヤ310は、一対のクランプ144、146を閉鎖位置から開放位置へと移動させることによって、係合解除され得る。プルワイヤ310がクランプ144、146から係合解除されると、シャトル130及びクランプ144、146は、プルワイヤ310を送達カテーテル410に対して移動させることなく移動され得る。
図5Aは、プルワイヤ310を解放するために分離された第1の把持領域145と第2の把持領域147を示している。
【0051】
図5Bは、
図5Aに示すように位置付けられた後退システム100を上面図で示している。後退システム100は、シャトル130内に摺動可能に装着されたスペーサピン138を含んでもよい。スライダ120が移動してクランプ144を係合解除すると、スライダはシャトル130から離れて移動し得る。各スペーサピン138は、スライダ120に固定され、シャトル130を通じた滑り嵌めによって摺動可能に装着されてもよく、それにより、各スペーサピン138の端部はスライダ120に取り付けられ、各ピン138は、スライダ120がシャトル130から離れて遠位方向に移動する(スライダ120が
図4D及び
図4Eに示す位置から
図5A及び
図5Bに示す位置へと移動する)ときに、シャトル130を通じて摺動するようになる。この構成は、スライダ120が遠位方向に引っ張られるとき、シャトル130とスライダ120の両方が遠位方向に並進され得るため、有利となり得る。各スペーサピンのヘッドはシャトル130と係合することができ、シャトルは、スライダが遠位方向に引っ張られるとき、ピン138によって遠位方向に引き摺られ得る。
【0052】
図5Cは、
図5A及び
図5Bに示すようなプルワイヤ310の解放に続く、シャトル130及びスライダ120の遠位方向への移動を示す上面図である。シャトル130及びスライダ120は、
図5における矢印によって示すように各スペーサピン138に力を加えるか、又はプルハンドル122を介してスライダ120を遠位方向に押すことによって、遠位方向に移動され得る。いずれの場合でも、スペーサピン138はシャトル130とスライダ120との間の間隔を維持し得る。各スペーサピン138は、シャトル130と係合し得るヘッドを有してもよい。シャトル130は、スペーサピン138に抗う力を更に与えることによって遠位方向に移動されてもよく、スペーサピン138は、シャトル130及びスライダ120が遠位方向に移動されるときに接点124、126がクランプ144、146と係合しないように接点124、126とクランプ144、146との間隔を維持し得る。シャトル130及びスライダ120が遠位方向に移動されるとき、クランプ144、146は開放位置に残留することができ、プルワイヤ310及び送達カテーテル410は、シャトル130及びスライダ120が遠位方向に移動されるとき、それらの延長位置を維持することができる。
【0053】
図5Dは、初期位置に復帰した後退システム100を示している。スライダ120は、遠位マウンティングブロック114によって停止されるまで、レール116に沿って遠位方向に摺動され得る。シャトル130は、クランプ144、146が開放位置に残留する限り、遠位方向に移動され得る。シャトル130は、クランプ144、146がスライダ上の接点124、126に遭遇するまで、遠位方向に移動され得る。スペーサピン138は、シャトル130が走行の遠位端に到達したときに接点124、126がクランプ144、146に接触しないように、シャトル130とスライダ120との間の空間を維持するように位置付けられ得る。
【0054】
図6は、戻しばね160を含んだ例示的な後退システム100の説明図である。戻しばね160は、スライダ120と遠位マウンティングブロック114との間に装着されてもよく、その結果、戻しばね160は、スライダ120を初期位置に向かって遠位方向に引っ張るか、あるいはスライダ120を初期位置に維持するばね力を与える。戻しばね160は、スライダ120が初期位置にあるときは弛緩状態にあってよく、スライダ120が初期位置から近位方向に移動されるときには伸長状態にあってよい。ばね力を上回ってスライダ120を近位に移動させ、次いでスライダ120を解放して戻しばね160がスライダ120を初期位置に戻すことを可能にするように、ユーザが力を与えてもよい。スライダ120が最初に近位方向に移動されると、スライダ120はクランプ144、146と係合して、クランプ144、146がプルワイヤ310を把持し、シャトル130を近位方向に移動させるようにし得る。スライダ120がその後に解放されると、スライダ120はクランプ144、146から係合解除され、スライダ120が初期位置に戻る間、シャトル130がその存在位置に残留することを可能にし得る。後退システム100は、スライダ120が再び近位方向に移動されてクランプ144、146と係合し、プルワイヤ310を把持し、シャトル130を第2の距離にわたって移動させ、それによって、カテーテル410からプルワイヤ310を更に延在させるように構成され得る。追加的にあるいは代替的に、システム100は、スライダ120を初期位置に復帰及び/又は維持するように機能する、スライダ120と近位マウンティングブロック112とを接続するように装着された張力ばねを含んでもよい。
【0055】
図7A及び
図7Bは、スライダ120及びシャトル130が走行の遠位端に位置付けられ、クランプアーム144、146が開放する初期位置にある、例示的な後退システム100の上面及び側面の斜視図(
図7A)及び側面斜視図(
図7B)の説明図である。
【0056】
図8A及び
図8Bは、クランプ144、146が閉鎖位置にある例示的な後退システム100の側面斜視図(
図8A)及び上面斜視図(
図8B)の説明図である。システム100は、
図7A及び
図7Bに示すような伸長位置から
図8A及び
図8Bに示すような後退位置へと移動され得るスペーサピン138を含んでもよい。伸長位置において、スペーサピン138は、接点124、126がクランプアーム144、146から分離されるように、スライダ120とシャトル130との間隔を規定し得る。後退位置において、スペーサピンは、接点124、126がクランプアーム144、146と係合可能であるように移動し得る。
【0057】
図9A及び
図9Bは、接点124、126がクランプ144、146と接触しており、クランプ144、146が開放位置にある、例示的な後退システム100の側面斜視図(
図9A)及び上面斜視図(
図9B)の説明図である。後退システム100は、スライダ120に取り付けられ、シャトル130を通じて摺動可能に装着された、スペーサピン138を含んでもよい。スライダ120が
図8A及び
図8Bに示すような位置から
図9A及び
図9Bに示すような位置へと移動するとき、ピン138はシャトル138を通じて摺動し得る。
【0058】
図10A及び
図10Bは、後退システム100のための一対のクランプアーム144、146の代替的な構成の説明図である。一対のクランプアーム144、146は、1つの回転可能なクランプアーム144及び1つの非回転式クランプアーム146を含み得る。
図10Aは、クランプアーム144、146を開放位置で示している。回転式クランプアーム144は、継手154にてシャトル130に装着されてよく、継手154を中心として回転し得る。非回転式クランプ146はシャトルに固定され得て、シャトル130と共に近位方向及び遠位方向に並進し、シャトル130に対して移動しない。
【0059】
図10Bは、クランプアーム144、146を閉鎖位置で示している。スライダ120は回転式クランプアーム144に接触し得て、それによって回転式クランプアーム144が回転して非回転式クランプアーム146に接近し、一対のクランプアーム144、146がプルワイヤ310を把持する。非回転式クランプアーム146は、回転式クランプアーム144が回転されるときにプルワイヤ310がわずかに曲げられるように、プルワイヤ320と面外であってもよい。このようにして構成されると、いくつかの構成では、プルワイヤ310は、2つの回転式クランプアームを利用する例と比較して、非回転式クランプアーム146上のより大きな把持領域147と係合することができ、それによって、相対的に向上した把持強度を有することができる。
【0060】
本明細書に含まれる記述は、本発明の実施形態の例であり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。本明細書に記載されているように、本発明は、構成部品のための代替的な幾何学的形状、構造のための代替的な材料、可動構成要素を装着するための代替的な手段、後退システムをリトラクタ又はより大きい装置に組み込むための代替的な手段など含めて、後退システムの多数の変形形態及び修正形態を企図するものである。これらの修正形態は、本発明が関連する当業者には明らかであり、以下の特許請求の範囲に含まれることを意図したものである。
【0061】
〔実施の態様〕
(1) カテーテルからインプラント送達システムの内側細長部材を引き抜くための後退システムであって、
第1の把持領域を備える第1のクランプと、
第2の把持領域を備える第2のクランプと、
近位方向及び遠位方向に並進可能なシャトルであって、前記第1のクランプ及び前記第2のクランプが装着されている、シャトルと、
前記近位方向及び前記遠位方向に並進可能なスライダであって、第1の接点を備える、スライダと、を備え、
前記近位方向における前記スライダの第1の並進が前記第1の接点を近位方向に並進させることで、前記第1の接点から前記第1のクランプに第1の力が加えられ、前記第1の力は前記第1のクランプを開放位置から閉鎖位置へと移動させるものであり、
前記開放位置において、前記第1の把持領域及び前記第2の把持領域は、前記インプラント送達システムの前記内側細長部材が通過可能であるように位置付けられており、
前記閉鎖位置において、前記第1の把持領域及び前記第2の把持領域は、前記内側細長部材と係合するように位置付けられており、
前記近位方向における前記スライダの第2の並進が前記第1のクランプ及び前記第2のクランプを近位方向に並進させることで、前記カテーテルを定位置に保持しながら前記インプラント送達システムの前記カテーテルから前記内側細長部材を近位方向に引き抜く、後退システム。
(2) 前記スライダは第2の接点を更に備え、
前記スライダの前記第1の並進が前記第2の接点を近位方向に並進させることで、前記第2の接点から前記第2のクランプに第2の力が加えられ、前記第2の力は前記第2のクランプを前記開放位置から前記閉鎖位置へと移動させるものである、実施態様1に記載の後退システム。
(3) 遠位マウンティングブロックと、
近位マウンティングブロックと、
前記遠位マウンティングブロックと前記近位マウンティングブロックとの間に延在するレールであって、前記シャトル及び前記スライダがそれぞれ前記レール上に摺動可能に取り付けられている、レールと、を更に備える、実施態様1に記載の後退システム。
(4) 前記遠位マウンティングブロックは、前記インプラント送達システムを受容するための第1の開口部を更に備え、
前記第1の開口部は、前記カテーテルの近位方向の移動を阻止するように、また前記内側細長部材が通過することを可能にするようにサイズ決めされている、実施態様2に記載の後退システム。
(5) 前記スライダ及び前記遠位マウンティングブロックと連通し、前記スライダを前記遠位方向に移動させるのに十分な戻しばね力を加える戻しばねを更に備える、実施態様2に記載の後退システム。
【0062】
(6) 前記遠位方向における前記スライダの第3の並進が、前記第1の接点を移動させて前記第1のクランプを係合解除させる、実施態様1に記載の後退システム。
(7) 前記第1のクランプに第1のばね力を加えるように位置付けられた第1のばねを更に備え、前記第1のばね力は、前記第1の接点が前記第1のクランプから係合解除されたときに前記第1のクランプを前記閉鎖位置から前記開放位置へと移動させるのに十分である、実施態様6に記載の後退システム。
(8) 前記第1のクランプは第1の回転継手を中心として回転可能であり、前記第1の回転継手にて前記シャトルに取り付けられている、実施態様1に記載の後退システム。
(9) 前記第1の接点からの前記第1の力は、前記第1の回転継手を中心とした前記第1のクランプの第1の回転を発生させる、実施態様8に記載の後退システム。
(10) インプラントを配備するためのシステムであって、
インプラント送達システムの細長解放部材を受容し、前記インプラント送達システムのカテーテルの近位方向への移動を阻止するようにサイズ決めされた入口部と、
一対のクランプアームであって、前記一対のクランプアームのうちの少なくとも1つのクランプアームは開放位置から閉鎖位置へと回転可能であり、前記開放位置では前記細長解放部材から係合解除されており、前記閉鎖位置では前記細長解放部材と係合されている、一対のクランプアームと、
近位方向及び遠位方向に並進可能なシャトルであって、前記一対のクランプアームが装着されている、シャトルと、
前記近位方向及び前記遠位方向に並進可能なスライダと、を備え、
前記スライダが近位方向に並進すると、前記スライダは前記一対のクランプアームのうちの前記少なくとも1つと接触し、前記スライダは前記一対のクランプアームのうちの前記少なくとも1つを前記開放位置から前記閉鎖位置へと回転させるための力を加え、前記スライダは前記シャトル及び前記一対のクランプアームを近位方向に並進させるための力を加え、前記一対のクランプアームが前記近位方向に並進することで前記細長解放部材が前記カテーテルから近位方向に引き抜かれる、システム。
【0063】
(11) 前記シャトル及び前記スライダが摺動可能に装着される、手持ち式となるようにサイズ決めされたハウジングを更に備える、実施態様10に記載のシステム。
(12) 前記入口部は、前記遠位マウンティングブロック内のテーパ開口部である、実施態様10に記載のシステム。
(13) 前記スライダが遠位方向に並進すると、前記スライダは前記シャトルから分離し、前記一対のクランプアームのうちの前記少なくとも1つのクランプアームから係合解除する、実施態様10に記載のシステム。
(14) 前記シャトルは、前記一対のクランプのうちの前記少なくとも1つに力を加えて、前記一対のクランプアームのうちの前記少なくとも1つのクランプアームを前記閉鎖位置から前記開放位置へと移動させるように位置付けられた少なくとも1つのばねを更に備える、実施態様13に記載のシステム。
(15) インプラントを配備するための方法であって、
カテーテルと、前記カテーテル内に位置付けられて前記カテーテルから近位方向に延在する内側細長部材と、を備えるインプラント送達システムを設ける工程と、
入口部と、スライダと、シャトルと、前記シャトルに装着された一対のクランプアームと、を備える後退システムを設ける工程と、
前記一対のクランプアームを開放位置に位置付ける工程と、
前記入口部を通じて、また前記開放位置にある前記一対のクランプアームの間に、前記内側細長部材を位置付ける工程であって、前記クランプアームは、前記開放位置において前記内側細長部材から係合解除されている、工程と、
前記カテーテルを前記後退システムの前記入口部に係合させる工程と、
前記クランプアームのうちの少なくとも1つと接触するように、第1の距離にわたって近位方向に前記スライダを移動させる工程と、
前記クランプアームのうちの前記少なくとも1つを移動させ、それによって前記一対のクランプアームを前記開放位置から閉鎖位置へと移動させるために、第2の距離にわたって近位方向に前記スライダを移動させる工程であって、前記クランプアームは、前記閉鎖位置において前記内側細長部材と係合する、工程と、
前記シャトル及びクランプアームを近位方向に移動させ、それによって、前記カテーテルの前記位置を維持しながら、前記内側細長部材を前記カテーテルから近位方向に引き抜くために、第3の距離にわたって近位方向に前記スライダを移動させる工程と、を含む、方法。
【0064】
(16) 前記内側細長部材の位置を維持しながら、前記クランプアームのうちの前記少なくとも1つから前記スライダを係合解除するために、第4の距離にわたって遠位方向に前記スライダを移動させる工程を更に含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記第4の距離にわたって遠位方向に前記スライダを移動させる工程は、前記シャトルの位置を維持する工程を更に含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記後退システムは少なくとも1つのばねを更に備え、前記方法は、前記クランプアームを前記閉鎖位置から前記開放位置へと移動させるために、前記少なくとも1つのばねのそれぞれから前記クランプアームのうちの前記少なくとも1つのそれぞれに力を与える工程を更に含む、実施態様15に記載の方法。
(19) 前記クランプアームはそれぞれ、対応する回転継手を中心として回転可能であり、
第2の距離にわたって近位方向に前記スライダを移動させる工程は、前記対応する回転継手を中心として前記クランプアームのそれぞれを回転させる工程を更に含む、実施態様15に記載の方法。
(20) 前記後退システムは、遠位マウンティングブロックと、近位マウンティングブロックと、レールとを更に備え、前記方法は、
前記遠位マウンティングブロックと前記近位マウンティングブロックとの間に前記レールを延在させる工程と、
前記レールに前記スライダを摺動可能に装着する工程と、
前記スライダの近位側で前記レールに前記シャトルを摺動可能に装着する工程と、を更に含む、実施態様15に記載の方法。