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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】充電システムおよび充電器
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240617BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20240617BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20240617BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240617BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H02J7/10 L
H02J7/04 L
H02J7/02 J
H01M10/48 301
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020023529
(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公開番号】P2021129447
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】都 大介
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-214463(JP,A)
【文献】特開2000-209701(JP,A)
【文献】特開2004-357481(JP,A)
【文献】特開2012-209135(JP,A)
【文献】特開2007-006628(JP,A)
【文献】特開平08-140282(JP,A)
【文献】特開2003-219573(JP,A)
【文献】特開2007-325500(JP,A)
【文献】特開2001-314045(JP,A)
【文献】国際公開第2017/183395(WO,A1)
【文献】特開平10-144360(JP,A)
【文献】特開2013-099167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並列に接続された複数のバッテリ部と、前記複数のバッテリ部の各々に対応して設けられた複数のバッテリ温度検出部とを含む機器と、
充電器側温度検出部を含み、前記複数のバッテリ部のうちの充電対象のバッテリ部に電力を供給することにより充電する充電器と、
前記複数のバッテリ温度検出部のうちの前記充電対象のバッテリ部に対応する前記バッテリ温度検出部による温度検出結果としてのバッテリ温度と、前記充電器側温度検出部による温度検出結果としての充電器の温度との差分値に基づいて、異常を検知して、前記充電器による充電を制御する制御部とを備える、充電システム。
【請求項2】
互いに並列に接続された複数のバッテリ部と、前記複数のバッテリ部の各々に対応して設けられた複数のバッテリ温度検出部とを含む機器と、
充電器側温度検出部を含み、前記複数のバッテリ部のうちの充電対象のバッテリ部に電力を供給することにより充電する充電器と、
前記複数のバッテリ温度検出部のうちの前記充電対象のバッテリ部に対応する前記バッテリ温度検出部による温度検出結果としてのバッテリ温度と、前記充電器側温度検出部による温度検出結果としての充電器の温度との差分値に基づいて、前記充電器による充電を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記複数のバッテリ温度検出部のうちの前記充電対象のバッテリ部に対応する前記バッテリ温度検出部による温度検出結果としての第1バッテリ温度と、前記複数のバッテリ温度検出部のうちの充電対象以外のバッテリ部に対応する前記バッテリ温度検出部による温度検出結果としての第2バッテリ温度とに基づいて、前記充電器による充電を制御する、充電システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数のバッテリ部のうちから前記充電対象のバッテリ部を切り替えながら、前記複数のバッテリ部を充電させる制御を行うとともに、前記充電対象のバッテリ部に対応する前記バッテリ温度検出部の温度検出結果と前記充電器側温度検出部による温度検出結果とに基づいて、前記充電器による充電を制御するように構成されている、請求項1または2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記機器は、前記バッテリ部に対して供給する電力の大きさが制限されている防爆構造を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記充電器側温度検出部の温度検出結果としての前記充電器の温度と、前記充電対象のバッテリ部に対応する前記バッテリ温度検出部の温度検出結果としてのバッテリ温度との差分値が所定の閾値以上である場合に、前記充電器による充電を停止するか制限する制御を行うように構成されている、請求項1~のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記充電器に配置されている、請求項1~のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項7】
互いに並列に接続された複数のバッテリ部と、前記複数のバッテリ部の各々に対応して設けられた複数のバッテリ温度検出部とを含む機器の前記複数のバッテリ部のうちの充電対象のバッテリ部に電力を供給する電力供給部と、
充電器本体に配置され、前記充電器本体の温度を検出する充電器側温度検出部と、
前記複数のバッテリ温度検出部のうちの前記充電対象のバッテリ部に対応する前記バッテリ温度検出部による温度検出結果としてのバッテリ温度と、前記充電器側温度検出部による温度検出結果としての充電器の温度との差分値に基づいて、異常を検知して、前記電力供給部による電力の供給を制御する制御部とを備える、充電器。
【請求項8】
互いに並列に接続された複数のバッテリ部と、前記複数のバッテリ部の各々に対応して設けられた複数のバッテリ温度検出部とを含む機器の前記複数のバッテリ部のうちの充電対象のバッテリ部に電力を供給する電力供給部と、
充電器本体に配置され、前記充電器本体の温度を検出する充電器側温度検出部と、
前記複数のバッテリ温度検出部のうちの前記充電対象のバッテリ部に対応する前記バッテリ温度検出部による温度検出結果としてのバッテリ温度と、前記充電器側温度検出部による温度検出結果としての充電器の温度との差分値に基づいて、前記電力供給部による電力の供給を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記複数のバッテリ温度検出部のうちの前記充電対象のバッテリ部に対応する前記バッテリ温度検出部による温度検出結果としての第1バッテリ温度と、前記複数のバッテリ温度検出部のうちの充電対象以外のバッテリ部に対応する前記バッテリ温度検出部による温度検出結果としての第2バッテリ温度とに基づいて、前記電力供給部による電力の供給を制御する、充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、充電システムおよび充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、充電システムおよび充電器が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、充電装置が開示されている。この充電装置は、充電装置の環境温度を検出する第1のサーミスタと、バッテリの温度を検出する第2のサーミスタとを含む。そして、充電装置のコントローラーは、環境温度とバッテリの温度との温度差を取得する。そして、コントローラーは、取得した温度差に基づいて取得される温度上昇率が、連続して所定の温度上昇率となった場合に、充電を終了するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-153418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1には記載されていないが、上記特許文献1の充電装置を、互いに並列に接続された複数のバッテリ部を含む機器に対して充電を行うように構成することが考えられる。この場合、複数のバッテリ部のうちの一のバッテリ部の近傍に上記第2のサーミスタを配置することが考えられる。そして、コントローラーは、第1のサーミスタにより検出された充電装置の温度に対して第2のサーミスタにより検出された一のバッテリ部の温度の上昇率を取得して、取得した温度の上昇率に基づいて、充電が制御されると考えられる。このため、取得した温度の上昇率に対して、第2のサーミスタの近傍に配置された一のバッテリ部の温度の上昇率が適切に反映されるので、一のバッテリ部に充電を行う場合には、取得した温度の上昇率に基づいて、適切に充電を行うことができると考えられる。しかしながら、他のバッテリ部が第2のサーミスタから一のバッテリ部よりも遠方に離れて配置されていることに起因して、他のバッテリ部の温度の上昇率は、取得した温度の上昇率に対して適切には反映されないと考えられる。これにより、他のバッテリ部に充電を行う場合には、取得した温度の上昇率に基づくことによっては適切に充電の制御を行うことはできないと考えられる。したがって、上記の複数のバッテリ部を含む機器に対して充電する充電装置では、互いに並列に接続された複数のバッテリ部を含む機器に対して充電を行う場合に、複数のバッテリ部のうちの他のバッテリ部(一部のバッテリ部)に対しては、バッテリ部の温度および充電装置(充電器)の温度に基づいて、適切に充電の制御を行うことができないという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、互いに並列に接続された複数のバッテリ部を含む機器に対して充電を行う場合に、複数のバッテリ部のうちのいずれのバッテリ部に充電を行う際にも、バッテリ部の温度および充電器の温度に基づいて、適切に充電の制御を行うことが可能な充電システムおよび充電器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による充電システムは、互いに並列に接続された複数のバッテリ部と、複数のバッテリ部の各々に対応して設けられた複数のバッテリ温度検出部とを含む機器と、充電器側温度検出部を含み、複数のバッテリ部のうちの充電対象のバッテリ部に電力を供給することにより充電する充電器と、複数のバッテリ温度検出部のうちの充電対象のバッテリ部に対応するバッテリ温度検出部による温度検出結果としてのバッテリ温度と、充電器側温度検出部による温度検出結果としての充電器の温度との差分値に基づいて、異常を検知して、充電器による充電を制御する制御部とを備える。
【0008】
この発明の第1の局面による充電システムでは、上記のように、機器に、複数のバッテリ部の各々に対応して複数のバッテリ温度検出部を設ける。そして、制御部を、複数のバッテリ温度検出部のうちの充電対象のバッテリ部に対応するバッテリ温度検出部による温度検出結果と、充電器側温度検出部による温度検出結果とに基づいて、充電器による充電を制御するように構成する。これにより、互いに並列に接続された複数のバッテリ部のうちのいずれが充電対象のバッテリ部となった場合でも、対応するバッテリ温度検出部と充電器側温度検出部とにより、適切に充電対象のバッテリ部の温度と充電器の温度とを検出することができる。そして、適切に検出された充電対象のバッテリ部の温度と充電器の温度とに基づいて、充電器による充電を制御することができる。このため、複数のバッテリ部のうちのいずれのバッテリ部に充電を行う際にも、適切に充電の制御を行うことができる。この結果、互いに並列に接続された複数のバッテリ部を含む機器に対して充電する場合に、複数のバッテリ部のうちのいずれのバッテリ部に充電を行う際にも、バッテリ部の温度および充電器の温度に基づいて、適切に充電の制御を行うことができる。
この発明の第2の局面による充電システムは、互いに並列に接続された複数のバッテリ部と、複数のバッテリ部の各々に対応して設けられた複数のバッテリ温度検出部とを含む機器と、充電器側温度検出部を含み、複数のバッテリ部のうちの充電対象のバッテリ部に電力を供給することにより充電する充電器と、複数のバッテリ温度検出部のうちの充電対象のバッテリ部に対応するバッテリ温度検出部による温度検出結果としてのバッテリ温度と、充電器側温度検出部による温度検出結果としての充電器の温度との差分値に基づいて、充電器による充電を制御する制御部とを備え、制御部は、複数のバッテリ温度検出部のうちの充電対象のバッテリ部に対応するバッテリ温度検出部による温度検出結果としての第1バッテリ温度と、複数のバッテリ温度検出部のうちの充電対象以外のバッテリ部に対応するバッテリ温度検出部による温度検出結果としての第2バッテリ温度とに基づいて、充電器による充電を制御する。
【0009】
上記第1および第2の局面による充電システムにおいて、好ましくは、制御部は、複数のバッテリ部のうちから充電対象のバッテリ部を切り替えながら、複数のバッテリ部を充電させる制御を行うとともに、充電対象のバッテリ部に対応するバッテリ温度検出部の温度検出結果と充電器側温度検出部による温度検出結果とに基づいて、充電器による充電を制御するように構成されている。このように構成すれば、充電対象のバッテリ部が切り替えられる場合でも、充電中(充電対象)のバッテリ部の温度を、対応するバッテリ温度検出部により適切に検出することができる。
【0010】
上記第1および第2の局面による充電システムにおいて、好ましくは、機器は、バッテリ部に対して供給する電力の大きさが制限されている防爆構造を有する。このように構成すれば、機器を防爆性能が要求される場所に持ち込むことができる。そして、防爆構造を有する機器のバッテリ部に充電を行う場合にも、適切に検出されたバッテリ部の温度と充電器の温度とに基づいて充電を制御することができる。
【0011】
上記第1および第2の局面による充電システムにおいて、好ましくは、制御部は、充電器側温度検出部の温度検出結果としての充電器の温度と、充電対象のバッテリ部に対応するバッテリ温度検出部の温度検出結果としてのバッテリ温度との差分値が所定の閾値以上である場合に、充電器による充電を停止するか制限する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、充電器の温度と、充電対象のバッテリ部のバッテリ温度との差分値(バッテリ温度の上昇量)が比較的大きい場合に、充電器による充電を停止するか制限することができる。この結果、互いに並列に接続された複数のバッテリ部を含む機器に対して充電する場合にも、複数のバッテリ部を効果的に保護することができる。
【0012】
上記第1および第2の局面による充電システムにおいて、好ましくは、上記制御部は、充電器に配置されている。ここで、上記制御部が機器に設けられている場合には、充電器による充電の制御を行うために、機器から充電器に制御信号を送信するための構成が必要になる。このため、充電システムの構成が複雑化すると考えられる。これに対して、本発明では、上記制御部を、充電器に配置することにより、充電器内で制御信号のやり取りを行うことができるので、機器から充電器に制御信号を送信するための構成が不要となる。この結果、充電システムの構成が複雑化するのを抑制しながら、充電器による充電を適切に制御することができる。
【0013】
この発明の第の局面による充電器は、互いに並列に接続された複数のバッテリ部と、複数のバッテリ部の各々に対応して設けられた複数のバッテリ温度検出部とを含む機器の複数のバッテリ部のうちの充電対象のバッテリ部に電力を供給する電力供給部と、充電器本体に配置され、充電器本体の温度を検出する充電器側温度検出部と、複数のバッテリ温度検出部のうちの充電対象のバッテリ部に対応するバッテリ温度検出部による温度検出結果としてのバッテリ温度と、充電器側温度検出部による温度検出結果としての充電器の温度との差分値に基づいて、異常を検知して、電力供給部による電力の供給を制御する制御部とを備える。
【0014】
この発明の第の局面による充電器では、上記ように構成することにより、上記第1の局面による充電システムと同様に、互いに並列に接続された複数のバッテリ部を含む機器に対して充電を行う場合に、複数のバッテリ部のうちのいずれのバッテリ部に充電を行う際にも、バッテリ部の温度および充電器の温度に基づいて、適切に充電の制御を行うことが可能な充電器を提供することができる。
この発明の第4の局面による充電器は、互いに並列に接続された複数のバッテリ部と、複数のバッテリ部の各々に対応して設けられた複数のバッテリ温度検出部とを含む機器の複数のバッテリ部のうちの充電対象のバッテリ部に電力を供給する電力供給部と、充電器本体に配置され、充電器本体の温度を検出する充電器側温度検出部と、複数のバッテリ温度検出部のうちの充電対象のバッテリ部に対応するバッテリ温度検出部による温度検出結果としてのバッテリ温度と、充電器側温度検出部による温度検出結果としての充電器の温度との差分値に基づいて、電力供給部による電力の供給を制御する制御部とを備え、制御部は、複数のバッテリ温度検出部のうちの充電対象のバッテリ部に対応するバッテリ温度検出部による温度検出結果としての第1バッテリ温度と、複数のバッテリ温度検出部のうちの充電対象以外のバッテリ部に対応するバッテリ温度検出部による温度検出結果としての第2バッテリ温度とに基づいて、電力供給部による電力の供給を制御する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上記のように、互いに並列に接続された複数のバッテリ部を含む機器に対して充電を行う場合に、複数のバッテリ部のうちのいずれのバッテリ部に充電を行う際にも、バッテリ部の温度および充電器の温度に基づいて、適切に充電の制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】充電システムの構成を示す模式図である。
図2】充電器および検知器の構成を示すブロック図である。
図3】電池収容部を背面側から見た図である。
図4】充電システムによる充電制御処理(急速充電)を説明するためのフロー図である。
図5】充電システムによる充電制御処理(補充電)を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1図3を参照して、一実施形態による充電システム100の構成について説明する。
【0019】
図1に示すように、充電システム100は、充電器1と、第1バッテリ部21および第2バッテリ部22を含む検知器2とを備える。そして、充電システム100は、商用電源101からの電力を第1バッテリ部21または第2バッテリ部22に供給することにより、第1バッテリ部21または第2バッテリ部22を充電させるように構成されている。なお、検知器2は、特許請求の範囲の「機器」の一例である。
【0020】
(充電器の構成)
充電器1は、検知器2に電力を供給することにより、第1バッテリ部21または第2バッテリ部22を充電させるように構成されている。たとえば、充電器1は、検知器2が充電器ケース部11に配置(載置または装着)された状態で、第1バッテリ部21または第2バッテリ部22を充電させるように構成されている。
【0021】
充電器ケース部11は、上面11aから下方に窪む凹部11bが設けられている。凹部11bは、検知器2が載置されることにより、検知器2が凹部11bに嵌るように構成されている。そして、充電器ケース部11は、検知器2が凹部11bに配置された状態で、後述する端子部15と検知器2の後述する端子部25とが互いに接触することにより、端子部15と端子部25とを電気的に接続するように構成されている。
【0022】
図2に示すように、充電器1は、制御部12と、電力供給部13と、スイッチ部14と、端子部15と、温度検出部16と、報知部17とを含む。なお、温度検出部16は、特許請求の範囲の「充電器側温度検出部」の一例である。また、制御部12は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。
【0023】
制御部12は、演算処理を行うプロセッサおよびメモリ等を有する制御回路を含む。そして、制御部12は、充電器1の各制御を行うように構成されている。なお、制御部12による制御の詳細については、後述する。
【0024】
電力供給部13は、検知器2の第1バッテリ部21および第2バッテリ部22のうちの充電対象のバッテリ部(第1バッテリ部21または第2バッテリ部22)に電力を供給するように構成されている。具体的には、電力供給部13は、商用電源101(図1参照)からの交流の電力を、所定の電圧を有する直流の電力に変換する電力変換部として構成されている。また、電力供給部13は、過電流および過電圧の少なくとも一方を検出して保護動作を行う保護回路部13aを含む。たとえば、保護回路部13aは、たとえば、ヒューズを含み、過電流が生じた場合にヒューズが断線することにより、電力経路を遮断するように構成されている。また、保護回路部13aは、たとえば、ツェナーダイオードを含み、過電圧が生じた場合にツェナーダイオードが降伏することにより、電圧を低減させるように構成されている。
【0025】
スイッチ部14は、たとえば、制御部12による指令に基づいて動作するリレー(リレー回路)として構成されている。具体的には、スイッチ部14は、第1バッテリ部21および第2バッテリ部22のうちから充電対象のバッテリ部(第1バッテリ部21または第2バッテリ部22)を切り替えるように構成されている。
【0026】
詳細には、端子部15は、第1端子15aと、第2端子15bと、第3端子15cと、第4端子15dと、第5端子15eとを含む。そして、スイッチ部14は、第1端子15aと電力供給部13とが電気的に接続される状態と、第2端子15bと電力供給部13とが電気的に接続される状態とを切り替えるように構成されている。第3端子15cは、接地されている。第4端子15dおよび第5端子15eは、制御部12に接続されている。
【0027】
そして、第1端子15a、第2端子15b、第3端子15c、第4端子15dおよび第5端子15eは、検知器2が充電器1に配置された状態で、検知器2の第1端子25a、第2端子25b、第3端子25c、第4端子25dおよび第5端子25eに、それぞれ、電気的に接続されるように構成されている。そして、充電器1は、検知器2に対して、第1端子15aまたは第2端子15bを介して、電力を供給するように構成されている。また、充電器1は、検知器2から、第4端子15dおよび第5端子15eを介して、後述する温度情報d1およびd2を取得するように構成されている。なお、温度情報d1およびd2は、特許請求の範囲の「バッテリ温度検出部による温度検出結果」の一例である。
【0028】
温度検出部16は、たとえば、サーミスタを含む。たとえば、図1に示すように、温度検出部16は、充電器ケース部11の内部に配置された基板上に実装されている。そして、制御部12は、温度検出部16から温度情報d3(図2参照)を取得するように構成されている。具体的には、制御部12は、サーミスタの抵抗値に基づいて、温度情報d3としての充電器1の温度T3(環境温度)を取得するように構成されている。言い換えると、温度検出部16は、充電器ケース部11に配置され、充電器ケース部11の温度T3を検出するように構成されている。なお、温度情報d3は、特許請求の範囲の「充電器側温度検出部による温度検出結果」の一例である。
【0029】
報知部17は、たとえば、発光部またはスピーカとして構成されている。そして、報知部17は、制御部12によって充電異常または検知器異常と判断された場合に、操作者(ユーザ)に対して発光または発声により充電異常または検知器異常を報知するように構成されている。
【0030】
(検知器の構成)
検知器2は、検知対象ガスを検知して、検知対象ガスの存在を報知する可搬型のガス検知装置である。具体的には、図1に示すように、検知器2は、操作者(ユーザ)が手に把持して使用可能なハンディタイプのガス検知器である。検知器2は、たとえば屋内および屋外のガス漏れ検査(ガス漏れ箇所の特定)などに用いられる。なお、検知対象ガスは、特許請求の範囲の「所定のガス」の一例である。
【0031】
図2に示すように、検知器2は、第1バッテリ部21と、第2バッテリ部22と、検知器ケース部23(図1参照)と、ガスセンサ24と、端子部25と、制御部26と、表示部27aと、報知部27bと、操作部28と、第1温度検出部29aと、第2温度検出部29bとを含む。なお、第1温度検出部29aおよび第2温度検出部29bは、特許請求の範囲の「バッテリ温度検出部」の一例である。
【0032】
図1に示すように、検知器ケース部23は、ケース本体部23aと、電池収容部23bとを含む。ガスセンサ24および制御部26は、ケース本体部23a内に配置されている。また、表示部27aおよび操作部28は、ケース本体部23aの正面(Y1方向側の面)に設けられている。また、第1バッテリ部21および第2バッテリ部22は、電池収容部23b内に配置されている。第1温度検出部29aおよび第2温度検出部29bは、たとえば、ケース本体部23a内の電池収容部23bに隣接する位置に配置されている。たとえば、電池収容部23bは、ケース本体部23aの背面側に設けられている。
【0033】
図3に示すように、第1バッテリ部21は、互いに電気的に直列に接続された第1電池21aおよび第2電池21bを含む。また、第2バッテリ部22は、互いに電気的に直列に接続された第3電池22aと第4電池22bとを含む。第1バッテリ部21と第2バッテリ部22とは、端子部25(電力供給部13)に対して互いに並列に接続されている。そして、検知器2のガスセンサ24、制御部26、表示部27aおよび報知部27bを含む各部は、第1バッテリ部21および第2バッテリ部22からの電力供給によって動作する。
【0034】
そして、第1電池21a、第2電池21b、第3電池22aおよび第4電池22bの各々は、柱状を有する。たとえば、第1電池21a、第2電池21b、第3電池22aおよび第4電池22bの各々は、直径よりも高さが大きい円柱状を有する。そして、電池収容部23b内において、第1電池21a、第2電池21b、第3電池22aおよび第4電池22bはこの順に、第1電池21aの短手方向(図3のZ2方向)に並んで配置されている。また、第1電池21aは、正極Pが第1電池21aの長手方向の一方側(図3のX2方向側)に配置され、負極Nが第1電池21aの長手方向の他方側(図3のX1方向側)に配置されるように、電池収容部23bに収容(装着)されている。また、第2電池21bは、正極Pが第2電池21bの長手方向の他方側(図3のX1方向側)に配置され、負極Nが第2電池21bの長手方向の一方側(図3のX2方向側)に配置されるように、電池収容部23bに収容(装着)されている。第3電池22aは、第1電池21aと同様の向きで、電池収容部23bに収容(装着)されている。第4電池22bは、第2電池21bと同様の向きで、電池収容部23bに収容(装着)されている。
【0035】
そして、電池収容部23bには、収容部内端子31a、31b、31c、32a、32bおよび32cが設けられている。収容部内端子31aは、第1電池21aの正極Pと第2電池21bの負極Nに接触することにより、第1電池21aと第2電池21bとを直列に接続するように構成されている。収容部内端子31bは、第2電池21bの正極Pに接触している。収容部内端子31cは、第1電池21aの負極Nに接触している。収容部内端子32aは、第4電池22bの正極Pと第3電池22aの負極Nに接触することにより、第3電池22aと第4電池22bとを直列に接続するように構成されている。収容部内端子32bは、第3電池22aの正極Pに接触している。収容部内端子32cは、第4電池22bの負極Nに接触している。
【0036】
図1に示すように、ガスセンサ24は、ケース本体部23a内に取り込まれた検知対象ガスを検出するように構成されている。具体的には、ガスセンサ24は、ケース本体部23a内に取り込まれた検知対象ガスと接触可能に設けられた感応部(図示せず)を有するガス検知素子である。ガスセンサ24としては、たとえば熱線型半導体式センサ、基板型半導体式センサ、接触燃焼式センサなどが採用される。ガスセンサ24は、ケース本体部23a内に1つ以上設けられる。たとえば、本実施形態では、ガスセンサ24は、検知対象ガスごとに設けられており、複数設けられている。
【0037】
検知対象ガスとしては、プロパン、イソブタン、メタン、水素などの可燃成分を含む可燃性ガス、悪臭の原因となる成分(硫黄化合物、アミン類、カルボン酸類、ケトン類、アルデヒド類など)を含む悪臭ガス、アルコールなどの揮発成分を含む揮発ガスなどの種々のガスがある。ガスセンサ24は、検知対象ガスの種類に応じて選択される。
【0038】
図2に示すように、端子部25は、第1端子25a、第2端子25b、第3端子25c、第4端子25dおよび第5端子25eを含む。たとえば、端子部25は、検知器ケース部23の下面(図1参照)に設けられている。そして、端子部25は、検知器2が充電器1に載置された状態で、端子部15に接触する。
【0039】
詳細には、第1端子25aは、第1バッテリ部21の正極Pに電気的に接続されている。具体的には、第1端子25aは、収容部内端子31bに接続されている。また、第2端子25bは、第2バッテリ部22の正極Pに電気的に接続されている。具体的には、第2端子25bは、収容部内端子32bに接続されている。第3端子25cは、第1バッテリ部21の負極Nおよび第2バッテリ部22の負極Nに電気的に接続されている。具体的には、第3端子25cは、収容部内端子31cおよび32cに接続されている。
【0040】
ここで、本実施形態では、検知器2は、第1バッテリ部21および第2バッテリ部22に対して供給する電力の大きさが制限されている防爆構造を有する。すなわち、第1端子25aおよび第2端子25bを用いて、互いに並列に接続された第1バッテリ部21および第2バッテリ部に対して個別に電力を供給することが可能なように、検知器2が構成されている。このため、後述するように、第1バッテリ部21および第2バッテリ部の一方のみに電力を供給すれば、第1バッテリ部21および第2バッテリ部の両方に同時に電力を供給する場合と異なり、供給される電力の大きさを、任意の防爆規格に沿った電力の大きさに制限することが可能になる。
【0041】
制御部26は、検知器2の全体の動作を制御する。制御部26は、演算処理を行うプロセッサおよびメモリ等を含む。そして、制御部26は、表示部27aの表示制御、ガスセンサ24の出力値に基づく検知判定、検知時の報知制御などを行う。たとえば、制御部26は、ガスセンサ24の出力値が感度レベルの設定に応じた閾値を超えた場合に、検知対象ガスを検知したと判定する。制御部26は、検知対象ガスを検知したと判定すると、報知部27bにより警報動作(ランプ点灯または報知音鳴動)を行う。
【0042】
表示部27aは、検知器2の各種情報を表示する機能を有する。表示部27aは、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのモニタからなる。表示部27aは、制御部26の制御により検知したガスのガス濃度(検知結果)や、検知器2の設定情報などを表示することが可能である。
【0043】
報知部27bは、ランプおよびスピーカの少なくとも1つを含む。そして、報知部27bは、制御部26により検知対象ガスを検知したと判定された場合に、報知部27bにより警報動作(ランプ点灯または報知音鳴動)を行うように構成されている。
【0044】
操作部28は、検知器2に対する操作者による操作入力を受け付けるように構成されている。操作部28は、1または複数のスイッチにより構成されている。操作部28は、たとえば、機械式の押しボタンスイッチにより構成されてもよいし、タッチセンサ、トグルスイッチなどの他のスイッチでもよい。操作部28は、入力を受け付けると、制御部26に入力信号を出力する。操作部28は、たとえば、ケース本体部23aの前面(Y1方向側の面)に設けられている。
【0045】
第1温度検出部29aおよび第2温度検出部29bの各々は、たとえば、サーミスタとして構成されている。たとえば、図1に示すように、第1温度検出部29aおよび第2温度検出部29bの各々は、検知器ケース部23内に設けられた基板上に実装されている。そして、図3に示すように、Y1方向に見て(背面側から見て)、第1温度検出部29aは、Z方向(第1電池21aの短手方向)において、第1電池21aと第2電池21bとの間に配置されている。第2温度検出部29bは、Y1方向に見て、Z方向(第3電池22aの短手方向)において、第3電池22aと第4電池22bとの間に配置されている。また、第1温度検出部29aおよび第2温度検出部29bの各々は、X方向において(左右方向)において、第1電池21aの略中央部分に配置されている。
【0046】
(充電器の制御部の構成)
充電器1の制御部12は、第1温度検出部29aおよび第2温度検出部29bのうちの充電対象のバッテリ部(第1バッテリ部21または第2バッテリ部22)に対応する第1温度検出部29aによる温度情報d1または第2温度検出部29bによる温度情報d2と、温度検出部16による温度情報d3とに基づいて、電力供給部13による電力の供給を制御するように構成されている。
【0047】
具体的には、制御部12は、第1温度検出部29aによる温度情報d1および第2温度検出部29bによる温度情報d2を取得するように構成されている。たとえば、制御部12は、第1温度検出部29aの抵抗値に基づいて、温度情報d1を取得するとともに、第2温度検出部29bの抵抗値に基づいて、温度情報d2を取得する。温度情報d1には、第1バッテリ部21の温度T1の情報が含まれる。温度情報d2には、第2バッテリ部22の温度T2の情報が含まれる。
【0048】
また、制御部12は、第1バッテリ部21または第2バッテリ部22のうちから充電対象のバッテリ部(第1バッテリ部21または第2バッテリ部22)を切り替えながら、第1バッテリ部21または第2バッテリ部22を充電させる制御を行う。
【0049】
詳細には、まず、制御部12は、第1バッテリ部21に対して充電を開始する一方、第2バッテリ部22に対しては充電を行わない。すなわち、充電器1では、スイッチ部14により、第1端子15aと電力供給部13とが接続された状態となっている。そして、第1の期間経過後に、制御部12は、第1バッテリ部21に対して充電を停止する一方、第2バッテリ部22に対しては充電を開始させる。すなわち、充電器1では、スイッチ部14により、第2端子15bと電力供給部13とが接続された状態となっている。そして、制御部12は、第1の期間を経過するごとにスイッチ部14を切り替えながら、第1バッテリ部21または第2バッテリ部22を充電させる制御(急速充電)を行う。
【0050】
そして、制御部12は、第1バッテリ部21および第2バッテリ部22の電池電圧値が所定の値以上となった場合(充電完了条件となった場合)に、第1バッテリ部21または第2バッテリ部22に対して間欠的に充電を行う補充電を行う。補充電では、第2の期間を経過するごとにスイッチ部14が制御部12により切り替えられる。また、補充電では、第2の期間の間に、充電する期間と充電を停止する期間とが設けられている。なお、第1の期間と第2の期間とは、同一の長さであってもよいし、互いに異なる長さであってもよい。
【0051】
そして、制御部12は、第1バッテリ部21に対して充電(急速充電または補充電)を行っている場合には、温度情報d1およびd3に基づいて、充電器1(電力供給部13)による充電を制御する。また、制御部12は、第2バッテリ部22に対して充電(急速充電または補充電)を行っている場合には、温度情報d2およびd3に基づいて、充電器1(電力供給部13)による充電を制御する。
【0052】
本実施形態では、制御部12は、温度情報d3に基づく充電器1の温度T3と、充電対象のバッテリ部(第1バッテリ部21または第2バッテリ部22)に対応する温度検出部(第1温度検出部29aまたは第2温度検出部29b)の温度(温度T1またはT2)との差分値ΔTが、温度閾値Tt以上である場合に、充電器1による充電を停止する制御を行うように構成されている。
【0053】
たとえば、制御部12は、第1バッテリ部21に対して急速充電または補充電を開始した時点の温度T3を取得する。そして、制御部12は、第1バッテリ部21に対して急速充電または補充電を行っている間の温度T3に対する温度T1の上昇量(差分値ΔT)を取得する。そして、制御部12は、差分値ΔTが温度閾値Tt以上となった場合に、検知器2に対する電力の供給を停止するとともに、報知部17により、充電異常を報知させるように構成されている。
【0054】
また、制御部12は、温度情報d1およびd2に基づいて、検知器2の異常(検知器異常)を検出する制御を行うように構成されている。たとえば、制御部12は、温度情報d1に基づく温度T1と、温度情報d2に基づく温度T2との差分値ΔTaが、温度閾値Tta以上となった場合に、検知器2に対する電力の供給を停止するとともに、報知部17により、検知器異常を報知させるように構成されている。ここで、検知器異常とは、たとえば、第1温度検出部29aまたは第2温度検出部29bの異常である。
【0055】
[充電制御方法]
次に、図4および図5を参照して、本実施形態の充電システム100による検知器2に対する充電制御方法について説明する。
【0056】
まず、図4に示すように、ステップS1において、充電対象のバッテリ部が選択される。たとえば、充電開始時(検知器2が充電器1に載置された際)には、第1バッテリ部21が充電対象のバッテリ部として選択される。また、直前まで第1バッテリ部21が充電対象のバッテリ部であった場合には、第2バッテリ部22が充電対象のバッテリ部として選択される。また、直前まで第2バッテリ部22が充電対象のバッテリ部であった場合には、第1バッテリ部21が充電対象のバッテリ部として選択される。その後、ステップS2に進む。
【0057】
ステップS2において、充電対象のバッテリ部に対して急速充電が行われる。すなわち、スイッチ部14により、電力供給部13と充電対象のバッテリ部とが接続される一方、スイッチ部14により、電力供給部13と充電対象でないバッテリ部とが遮断される。その後、ステップS3に進む。
【0058】
ステップS3において、温度異常または検知器異常が検出されたか否かが判断される。すなわち、差分値ΔTが温度閾値Tt以上となったか、または、差分値ΔTaが温度閾値Tta以上となったかが判断される。温度異常および検知器異常が検出されていない場合、ステップS4に進み、温度異常または検知器異常が検出された場合、ステップS5に進む。すなわち、差分値ΔTが温度閾値Tt未満で、かつ、差分値ΔTaが温度閾値Tta未満の場合、ステップS4に進み、差分値ΔTが温度閾値Tt以上の場合、または、差分値ΔTaが温度閾値Tta以上の場合、ステップS5に進む。
【0059】
ステップS4において、第1の期間が経過したか否かが判断される。第1の期間が経過していない場合、ステップS6に進み、第1の期間が経過した場合、ステップS1に戻る。
【0060】
ステップS5において、充電対象のバッテリ部(検知器2)への電力の供給を停止し、報知部17により報知が行われ、充電システム100による充電制御が終了される。たとえば、温度異常または検知器異常が検出された場合、報知部17による発光または発声により、温度異常または検知器異常が検出されたことが報知される。また、温度異常と検知器異常とは、互いに異なる報知方法により報知されてもよいし、同一の報知方法により報知されてもよい。また、報知部17による報知は、充電対象のバッテリ部(検知器2)への電力の供給停止前に行われてもよいし、充電対象のバッテリ部(検知器2)への電力の供給停止から一定の期間継続して行われてもよい。
【0061】
ステップS6において、充電完了条件となったか否かが判断される。充電完了条件となっていない場合、ステップS2に戻り、充電完了条件となった場合、ステップS7(図5)に進む。
【0062】
図5に示すように、ステップS7において、補充電対象のバッテリ部が選択される。たとえば、直前まで第1バッテリ部21が充電対象または補充電対象のバッテリ部であった場合には、第2バッテリ部22が補充電対象のバッテリ部として選択される。また、直前まで第2バッテリ部22が充電対象または補充電対象のバッテリ部であった場合には、第1バッテリ部21が補充電対象のバッテリ部として選択される。その後、ステップS8に進む。
【0063】
ステップS8において、補充電が行われる。その後、ステップS9に進む。
【0064】
ステップS9において、温度異常または検知器異常が検出されたか否かが判断される。温度異常および検知器異常が検出されていない場合、ステップS10に進み、温度異常または検知器異常が検出された場合、ステップS11に進む。
【0065】
ステップS10において、第2の期間が経過したか否かが判断される。第2の期間が経過していない場合、ステップS8に戻り、第2の期間が経過した場合、ステップS7に戻る。
【0066】
ステップS11において、充電対象のバッテリ部(検知器2)への電力の供給を停止し、報知部17により報知が行われる。その後、充電システム100による充電制御が終了される。
【0067】
[本実施形態の効果]
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0068】
本実施形態では、上記のように、検知器2に、第1バッテリ部21に対応する第1温度検出部29aおよび第2バッテリ部22対応する第2温度検出部29bを設ける。そして、制御部12を、第1温度検出部29aおよび第2温度検出部29bのうちの充電対象のバッテリ部に対応する温度検出部(第1温度検出部29aまたは第2温度検出部29b)による温度情報d1またはd2と、温度検出部16による温度情報d3とに基づいて、充電器1による充電を制御するように構成する。これにより、互いに並列に接続された第1バッテリ部21および第2バッテリ部22のうちのいずれが充電対象のバッテリ部となった場合でも、対応する温度検出部(第1温度検出部29aまたは第2温度検出部29b)と温度検出部16とにより、適切に充電対象のバッテリ部の温度(T1またはT2)と充電器1の温度T3を検出することができる。そして、適切に検出された温度情報d1またはd2と温度検出部16による温度情報d3とに基づいて、充電器1による充電を制御することができる。このため、第1バッテリ部21および第2バッテリ部22のうちのいずれのバッテリ部に充電を行う際にも、適切に充電の制御を行うことができる。この結果、互いに並列に接続された第1バッテリ部21および第2バッテリ部22を含む検知器2に対して充電する場合に、第1バッテリ部21および第2バッテリ部22のうちのいずれのバッテリ部に充電を行う際にも、温度T1またはT2および充電器1の温度T3に基づいて、適切に充電の制御を行うことができる。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、制御部12を、第1バッテリ部21および第2バッテリ部22のうちから充電対象のバッテリ部を切り替えながら、第1バッテリ部21および第2バッテリ部22を充電させる制御を行うとともに、充電対象のバッテリ部に温度検出部(第1温度検出部29aまたは第2温度検出部29b)による温度情報d1またはd2と温度検出部16による温度情報d3とに基づいて、充電器1による充電を制御するように構成する。これにより、充電対象のバッテリ部が切り替えられる場合でも、充電中(充電対象)のバッテリ部の温度(T1またはT2)を、対応する温度検出部(第1温度検出部29aまたは第2温度検出部29b)により適切に検出することができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、検知器2に、第1バッテリ部21および第2バッテリ部22に対して供給する電力の大きさが制限されている防爆構造を設ける。これにより、検知器2を防爆性能が要求される場所に持ち込むことができる。そして、防爆構造を有する検知器2の第1バッテリ部21および第2バッテリ部22に充電を行う場合にも、適切に検出された温度情報d1~d3に基づいて充電を制御することができる。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように、制御部12を、温度検出部16の温度情報d3としての充電器1の温度T3と、第1バッテリ部21の温度T1または第2バッテリ部22の温度T2との差分値ΔTが温度閾値Tt以上である場合に、充電器1による充電を停止する制御を行うように構成する。これにより、充電器1の温度T3と、充電対象のバッテリ部のバッテリ温度(T1またはT2)との差分値ΔT(バッテリ温度の上昇量)が比較的大きい場合に、充電器1による充電を停止することができる。この結果、互いに並列に接続された第1バッテリ部21および第2バッテリ部22を含む検知器2に対して充電する場合にも、第1バッテリ部21および第2バッテリ部22を効果的に保護することができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記のように、制御部12を、充電器1に配置する。これにより、充電器1内で制御信号のやり取りを行うことができるので、検知器2から充電器1に制御信号を送信するための構成が不要となる。この結果、充電システム100の構成が複雑化するのを抑制しながら、充電器1による充電を適切に制御することができる。
【0073】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0074】
たとえば、上記実施形態では、本発明の機器を、検知器2として構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、本発明の機器を、圧力計、スマートフォンおよびタブレット端末として構成してもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、第1バッテリ部21および第2バッテリ部22の2つのバッテリ部を検知器2に設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、バッテリ部の数を3以上としてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、第1バッテリ部21に直列に接続された2つの電池を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1バッテリ部21を1つの電池により構成してもよいし、3つ以上の電池により構成してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、充電器の温度検出部、第1温度検出部および第2温度検出部に、サーミスタを設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、充電器の温度検出部、第1温度検出部および第2温度検出部に、サーミスタ以外の温度検出部品を設けてもよい。たとえば、充電器の温度検出部、第1温度検出部および第2温度検出部に、熱電対および測温抵抗体等の温度検出部品を設けてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、第1電池21a等の電池を円柱状に構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、電池を角柱状に構成してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、充電器1の上に検知器2が載置される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、充電器1と検知器2とをケーブル等により電気的に接続してもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、充電器1および検知器2に、それぞれ、端子部15および25を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、充電器1および検知器2の各々にアンテナを設けて、ワイヤレス給電により充電を行うように充電システムを構成してもよい。また、充電器1および検知器2の各々にアンテナを設けて、無線通信により温度情報のやり取りを行うように充電システムを構成してもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、充電制御を行う制御部12を、充電器1に設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、充電制御を行う制御部12を、検知器2に設けてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、制御部12を、差分値ΔTが温度閾値Tt以上である場合に、充電器1による充電を停止する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部12を、差分値ΔTが温度閾値Tt以上である場合に、充電器1から検知器2に供給される電力の大きさ(電流値)を小さくして充電を継続するように構成してもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、充電器1の制御部12により、第1温度検出部29aの抵抗値および第2温度検出部29bの抵抗値を取得して、取得した抵抗値に基づいて、温度情報d1およびd2を取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、検知器2の制御部26によって、第1温度検出部29aの抵抗値に基づく温度情報d1および第2温度検出部29bの抵抗値に基づく温度情報d2を取得するとともに、取得した温度情報d1およびd2を、充電器1に送信するように構成してもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、充電対象のバッテリ部が自動で切り替えられる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、操作部に対する入力操作に基づいて、充電対象のバッテリ部が手動で切り替えられてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、バッテリ部の温度T1またはT2と充電器1の温度(環境温度)T3との差分値ΔTと温度閾値Ttとを比較する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、バッテリ部の温度T1またはT2と充電器1の温度T3と充電器1の制御内容とが関連付けられたテーブルを、制御部12が参照することにより、充電器1の制御が行われるように充電システムを構成してもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、温度T1およびT2の差分値ΔTaと温度閾値Ttaとを比較する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、温度T1と温度T2と充電器1の制御内容とが関連付けられたテーブルを、制御部12が参照することにより、充電器1の制御が行われるように充電システムを構成してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、防爆構造を有するように検知器2を構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、防爆構造を有しない検知器に本発明を適用してもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、図2において電力供給部13を検知器2内に図示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、電力供給部13が検知器2の外部に設けられていてもよい。この場合、電力供給部13の電力変換部としての部分がコンセント内に設けられ、保護回路部13aが検知器2内に設けられていてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、第1温度検出部29aおよび第2温度検出部29bを、ケース本体部23aに設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、第1温度検出部29aおよび第2温度検出部29bを、電池収容部23bに設けてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、第1バッテリ部21と第2バッテリ部22との両方に充電を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、バッテリ部に乾電池を収容できるように検知器を構成してもよい。すなわち、検知器を、第1バッテリ部と第2バッテリ部とに、それぞれ乾電池と充電池とを収容して使用可能な機器として構成してもよい。この場合、充電開始前(ステップS1の前)に、バッテリ部に収容されている電池の種類(乾電池および充電池のいずれであるか)を判別する制御を行ってもよい。そして、この検知器は、第1バッテリ部と第2バッテリ部に、それぞれ乾電池と充電池を収容している場合には、充電池が収容されているバッテリ部のみに充電を行うように制御する。
【符号の説明】
【0091】
1 充電器
2 検知器
12 制御部
13 電力供給部
16 温度検出部(充電器側温度検出部)
21 第1バッテリ部(バッテリ部)
22 第2バッテリ部(バッテリ部)
29a 第1温度検出部(バッテリ温度検出部)
29b 第2温度検出部(バッテリ温度検出部)
100 充電システム
図1
図2
図3
図4
図5