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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】半導体記憶装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20240617BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20240617BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240617BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20240617BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
H10B43/27
H10B41/27
H01L29/78 371
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020031962
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021136346
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】矢内 有美
(72)【発明者】
【氏名】吉水 康人
(72)【発明者】
【氏名】石田 貴士
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-142654(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109496357(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0288038(US,A1)
【文献】米国特許第09741737(US,B1)
【文献】特開平06-029375(JP,A)
【文献】特開2017-034144(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0083102(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0213009(US,A1)
【文献】米国特許第09627405(US,B1)
【文献】特開2015-149413(JP,A)
【文献】特開2005-277236(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0148802(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0299076(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0069152(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 43/27
H10B 41/27
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物を含む第1半導体層と、
前記第1半導体層の上方に、絶縁層と導電層とを交互に積層して構成された積層体と、 前記積層体を前記積層体の積層方向に貫通し、前記第1半導体層に達し、前記第1半導体層側の下部領域と、前記下部領域の上方に位置する上部領域とを有する半導体ボディと、
前記半導体ボディと前記導電層との間に設けられた電荷蓄積部と、
前記積層体と前記第1半導体層との間に設けられ、上面が前記上部領域と前記下部領域との間の接合部より高い位置にあり、下面が前記接合部よりも低い位置にあるゲート層とを備え、
前記半導体ボディの前記下部領域の不純物濃度は、該第1半導体層の不純物濃度より高く、
前記下部領域は、前記上部領域の不純物濃度より高い不純物濃度を有する高濃度不純物層であり、
前記上部領域は、第1不純物および前記第1不純物とは逆導電型の第2不純物の両方を含む、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記下部領域の不純物濃度は、前記半導体ボディの前記上部領域の不純物濃度より2桁以上高い、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記積層方向に対して略垂直方向に前記第1半導体層と前記下部領域とを接続する接続部をさらに備えている、請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記接続部の不純物濃度は、前記下部領域の不純物濃度より低く、前記第1半導体層の不純物濃度より高い、請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
基板上方に第1犠牲層およびゲート層を形成し、
前記第1犠牲層および前記ゲート層の上方に、絶縁層と第2犠牲層とを交互に積層して積層体を形成し、
前記第2犠牲層を前記積層体の積層方向に貫通し、前記第1犠牲層に達するホールを形成し、
前記ホールの内面に電荷蓄積層の材料を堆積し、
前記ホールの内面の前記電荷蓄積層上に半導体ボディの材料を堆積し、
前記ホールの側面よりも該ホールの底部に厚く、第1不純物を含む第1不純物含有層を形成し、
前記第1不純物含有層を熱処理することによって、前記半導体ボディの上部領域の不純物濃度より高い不純物濃度を有する高濃度不純物層を前記半導体ボディの下部領域に形成し、前記ゲート層の上面が前記上部領域と前記下部領域との間の接合部より高い位置にあり、下面が前記接合部よりも低い位置にあり、
前記第1不純物含有層を除去することを具備した半導体記憶装置の製造方法。
【請求項6】
前記下部領域の不純物濃度は、前記半導体ボディの前記上部領域の不純物濃度より2桁以上高い、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
NAND型フラッシュメモリのように、メモリセルを三次元的に配列した立体型メモリセルアレイを有する半導体記憶装置が開発されている。このような半導体記憶装置は、メモリホールの底部で発生するGIDL(Gate Induced Drain Leakage)によってチャネル領域へホールを供給し、消去動作を実行する場合がある。GIDLを効率良く発生させるためには、メモリホールの底部に急峻な電圧勾配を形成する必要がある。そのためにはメモリホールの底部のチャネル領域に高濃度不純物層を形成する必要がある。
【0003】
しかし、高アスペクト比を有するメモリホールの底部に急峻な濃度勾配を有する高濃度不純物層を形成することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許公開第2016/0079267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メモリホールの底部のチャネル領域に急峻な濃度勾配を有する高濃度不純物層を有する半導体記憶装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態による半導体記憶装置は、不純物を含む第1半導体層を含む。積層体が第1半導体層の上方に、絶縁層と導電層とを交互に積層して構成される。半導体ボディは、積層体を積層体の積層方向に貫通し、第1半導体層に達し、第1半導体層側の下部領域と、下部領域の上方に位置する上部領域とを有する。電荷蓄積部は、半導体ボディと導電層との間に設けられている。半導体ボディの下部領域の不純物濃度は、該第1半導体層の不純物濃度より高い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態のメモリセルアレイの模式斜視図。
図2】メモリセルアレイの模式断面図。
図3A図2における破線枠Aの部分の拡大断面図。
図3B図2における破線枠Bの部分の拡大断面図。
図4】第1実施形態による半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面図。
図5図4に続く、製造方法を示す断面図。
図6図5に続く、製造方法を示す断面図。
図7図6に続く、製造方法を示す断面図。
図8図7に続く、製造方法を示す断面図。
図9図8に続く、製造方法を示す断面図。
図10A図9に続く、製造方法を示す断面図。
図10B図10Aに続く、製造方法を示す断面図。
図11A図10Bに続く、製造方法を示す断面図。
図11B図11Aに続く、製造方法を示す断面図。
図11C図11Bに続く、製造方法を示す断面図。
図12図11に続く、製造方法を示す断面図。
図13図12に続く、製造方法を示す断面図。
図14図13に続く、製造方法を示す断面図。
図15図14に続く、製造方法を示す断面図。
図16図15に続く、製造方法を示す断面図。
図17図16に続く、製造方法を示す断面図。
図18図17に続く、製造方法を示す断面図。
図19図18に続く、製造方法を示す断面図。
図20図19に続く、製造方法を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。以下の実施形態において、半導体基板の上下方向は、半導体素子が設けられる面を上とした場合の相対方向を示し、重力加速度に従った上下方向と異なる場合がある。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
実施形態では、半導体装置として、例えば、3 次元構造のメモリセルアレイを有する半導体記憶装置を説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のメモリセルアレイ1の模式斜視図である。図2は、メモリセルアレイ1の模式断面図である。
【0011】
図1において、基板10の主面に対して平行な方向であって相互に直交する2方向をX方向およびY方向とし、これらX方向およびY方向の双方に対して直交する方向をZ方向(積層方向)とする。図2のY方向およびZ方向は、それぞれ、図1のY方向およびZ方向に対応する。
【0012】
メモリセルアレイ1は、ソース層SLと、ソース層SL上に設けられた積層体100と、ソース層SLと積層体100との間に設けられたゲート層80と、複数の柱状部CLと、複数の絶縁部160と、積層体100の上方に設けられた複数のビット線BLとを有する。ソース層SLは、基板10上に絶縁層41を介して設けられている。基板10は、例えばシリコン基板である。
【0013】
柱状部CLは、積層体100内をその積層方向(Z方向)に貫通した略円柱状の部分である。柱状部CLは、さらに積層体100の下のゲート層80を貫通し、ソース層SL(図2の半導体層12,13)に達している。複数の柱状部CLは、平面レイアウトにおいて、例えば千鳥配列されている。または、複数の柱状部CLは、平面レイアウトにおいて、X方向およびY方向に沿って正方格子配列されてもよい。
【0014】
図2に示すように、絶縁部160は、積層体100およびゲート層80をY方向に複数のブロック(またはフィンガー部)に分離している。絶縁部160は、後述するスリットST内に絶縁膜163が埋め込まれた構造を有する。
【0015】
配線部170は、積層体100およびゲート層80をY方向に複数のブロック(またはフィンガー部)に分離しつつ、半導体層12と電気的に接続する。配線部170は、絶縁部160と同様にスリットST内に形成される。スリットSTの内側面には、絶縁膜26が設けられ、絶縁膜26の内側には、ドープトポリシリコンまたはタングステン等の導電体材料を用いた配線層27が設けられている。絶縁膜26は、メモリセルアレイ1の積層体100、ゲート層80から配線層27を電気的に絶縁しており、かつ、スリットSTの底部において配線層27を半導体層12に接続している。これにより、配線部170は、メモリセルアレイ1の上方から半導体層12(ソース層SL)までの電気的なコンタクトとして機能する。
【0016】
複数のビット線BLは、Y方向に延びる例えば金属膜である。複数のビット線BLは、X方向に互いに分離している。
【0017】
柱状部CLの後述する半導体ボディ20の上端部は、図1に示すコンタクトCbおよびコンタクト(ビア)V1を介してビット線BLに接続されている。
【0018】
図2に示すように、ソース層SLは、半導体層12~14を有する。
【0019】
ソース層SLは、絶縁層41上に設けられている。ソース層SLにおいて、半導体層12上に半導体層13が設けられ、半導体層13上に半導体層14が設けられている。
【0020】
半導体層12~14は、不純物を含み、導電性をもつ多結晶シリコン層である。半導体層12~14は、導電材料として例えばリンまたはヒ素がドープされたn型の多結晶シリコン層である。半導体層14は、不純物が意図的にドープされていないアンドープ多結晶シリコン層でもよい。半導体層14の厚さは、半導体層12の厚さおよび半導体層13の厚さよりも薄い。
【0021】
半導体層14上に絶縁層44が設けられ、絶縁層44上にゲート層80が設けられている。ゲート層80は、半導体層13と積層体100との間に設けられおり、ソース側選択ゲートSGSの一部として機能する。ゲート層80は、不純物を含み、導電性をもつ多結晶シリコン層である。ゲート層80は、例えばリンまたはヒ素がドープされたn型の多結晶シリコン層、あるいは、タングステン等のメタルゲートでよい。ゲート層80の厚さは、半導体層14の厚さよりも厚い。
【0022】
ゲート層80上に積層体100が設けられている。積層体100は、基板10の主面に対して垂直な方向(Z方向)に積層された複数の電極層70を有する。上下で隣り合う電極層70の間に絶縁層72が設けられている。即ち、積層体100は、半導体層13の上方に、絶縁層72と電極層70とを交互に積層して構成されている。最下層の電極層70とゲート層80との間に絶縁層72が設けられている。最上層の電極層70上に絶縁層45が設けられている。
【0023】
電極層70は導電性の金属層である。電極層70は、例えば、タングステンを主成分として含むタングステン層、またはモリブデンを主成分として含むモリブデン層である。また、電極層70には、バリアメタル層として例えばTiN/Tiなどを含んでもよい。絶縁層72は、酸化シリコンを主成分として含むシリコン酸化層である。
【0024】
複数の電極層70のうち、少なくとも最上層の電極層70はドレイン側選択トランジスタSTD(図1)のドレイン側選択ゲートSGDであり、少なくとも最下層の電極層70はソース側選択トランジスタSTS(図1)のソース側選択ゲートSGSの一部である。例えば、最下層の電極層70を含む下層側の複数層(例えば3層)の電極層70がソース側選択ゲートSGSである。従って、ソース側選択ゲートSGSは、ゲート層80および最下層側の一または複数の電極層70によって構成されている。尚、ドレイン側選択ゲートSGDも複数層設けられてもよい。
【0025】
ドレイン側選択ゲートSGDとソース側選択ゲートSGSとの間に、複数層の電極層70がセルゲートCGとして設けられている。
【0026】
ゲート層80は、電極層70の1層の厚さ、および絶縁層72の1層の厚さよりも厚い。したがって、ゲート層80は、ドレイン側選択ゲートSGDの1層の厚さ、ソース側選択ゲートSGSの1層の厚さ、およびセルゲートCGの1層の厚さよりも厚い。
【0027】
複数の柱状部CLは、積層体100内をその積層方向に延び、さらに、ゲート層80、絶縁層44、半導体層14、および半導体層13を貫通して、半導体層12に達している。
【0028】
図3Aは、図2における破線枠Aの部分の拡大断面図である。
【0029】
柱状部CLは、メモリ膜30と、半導体ボディ20と、絶縁性のコア膜50とを有する。メモリ膜30は、トンネル絶縁膜31と、電荷蓄積膜(電荷蓄積部)32と、ブロック絶縁膜33とを有する絶縁膜の積層膜である。
【0030】
図2に示すように、半導体ボディ20は、積層体100内およびゲート層80内をZ方向に連続して延び、ソース層SLに達するパイプ状に形成されている。コア膜50は、パイプ状の半導体ボディ20の内側に設けられている。
【0031】
半導体ボディ20の上端部は、図1に示すコンタクトCbおよびコンタクトV1を介してビット線BLに接続している。半導体ボディ20の下端側の下部領域20aは、ソース層SLの半導体層13に接している。
【0032】
メモリ膜30は、積層体100と半導体ボディ20との間、およびゲート層80と半導体ボディ20との間に設けられ、半導体ボディ20を外周側から囲んでいる。
【0033】
メモリ膜30は、積層体100内およびゲート層80内をZ方向に連続して延びている。半導体ボディ20における半導体層13と接している下部領域(ソースコンタクト部)20aにはメモリ膜30が設けられていない。下部領域20aはメモリ膜30で覆われていない。なお、半導体ボディ20と半導体層13の間で、半導体ボディ20の外周の一部分にメモリ膜30が配置されていてもよい。
【0034】
半導体ボディ20の下端部は、下部領域20aに連続して、下部領域20aよりも下に位置し、半導体層12内に位置する。その半導体ボディ20の下端部と半導体層12との間にはメモリ膜30が設けられている。したがって、メモリ膜30は、半導体ボディ20の下部領域20aの位置でZ方向に分断されながら、さらにその下方では、半導体ボディ20の下端部外周を囲む位置及び半導体ボディ20の底面下に配置されている。
【0035】
図3Aに示すように、トンネル絶縁膜31は、半導体ボディ20と電荷蓄積膜32との間に設けられ、半導体ボディ20に接している。電荷蓄積膜32は、半導体ボディ20と電極層70との間に位置し、トンネル絶縁膜31とブロック絶縁膜33との間に設けられている。ブロック絶縁膜33は、電荷蓄積膜32と電極層70との間に設けられている。
【0036】
半導体ボディ20、メモリ膜30、および電極層70(セルゲートCG)は、メモリセルMCを構成する。メモリセルMCは、半導体ボディ20の周囲を、メモリ膜30を介して、電極層70(セルゲートCG)が囲んだ縦型トランジスタ構造を有する。
【0037】
その縦型トランジスタ構造のメモリセルMCにおいて、半導体ボディ20は例えばシリコンのチャネルボディであり、電極層70(セルゲートCG)はコントロールゲートとして機能する。電荷蓄積膜32は半導体ボディ20から注入される電荷を蓄積するデータ記憶層として機能する。
【0038】
実施形態の半導体記憶装置は、データの消去・書き込みを電気的に自由に行うことができ、電源を切っても記憶内容を保持することができる不揮発性半導体記憶装置である。
【0039】
メモリセルMCは、例えばチャージトラップ型のメモリセルである。電荷蓄積膜32は、絶縁性の膜中に電荷を捕獲するトラップサイトを多数有するものであって、例えば、シリコン窒化膜を含む。または、電荷蓄積膜32は、まわりを絶縁体で囲まれた、導電性をもつ浮遊ゲートであってもよい。
【0040】
トンネル絶縁膜31は、半導体ボディ20から電荷蓄積膜32に電荷が注入される際、または電荷蓄積膜32に蓄積された電荷が半導体ボディ20に放出される際に電位障壁となる。トンネル絶縁膜31は、例えばシリコン酸化膜を含む。
【0041】
ブロック絶縁膜33は、電荷蓄積膜32に蓄積された電荷が電極層70へ放出されるのを防止する。また、ブロック絶縁膜33は、電極層70から柱状部CLへの電荷のバックトンネリングを防止する。
【0042】
ブロック絶縁膜33は、例えばシリコン酸化膜を含む。または、ブロック絶縁膜33は、シリコン酸化膜と金属酸化膜との積層構造であってもよい。この場合、シリコン酸化膜は電荷蓄積膜32と金属酸化膜との間に設けられ、金属酸化膜はシリコン酸化膜と電極層70との間に設けることができる。金属酸化膜は、例えば、アルミニウム酸化膜である。
【0043】
図1に示すように、積層体100の上層部にはドレイン側選択トランジスタSTDが設けられている。積層体100の下層部にはソース側選択トランジスタSTSが設けられている。
【0044】
ドレイン側選択トランジスタSTDは、前述したドレイン側選択ゲートSGD(図2)をコントロールゲートとしてもつ縦型トランジスタであり、ソース側選択トランジスタSTSは、前述したソース側選択ゲートSGS(図2)をコントロールゲートとしてもつ縦型トランジスタである。
【0045】
半導体ボディ20のドレイン側選択ゲートSGDに対向する部分はチャネルとして機能し、そのチャネルとドレイン側選択ゲートSGDとの間のメモリ膜30はドレイン側選択トランジスタSTDのゲート絶縁膜として機能する。
【0046】
半導体ボディ20のソース側選択ゲートSGSに対向する部分はチャネルとして機能し、そのチャネルとソース側選択ゲートSGSとの間のメモリ膜30はソース側選択トランジスタSTSのゲート絶縁膜として機能する。
【0047】
半導体ボディ20を通じて直列接続された複数のドレイン側選択トランジスタSTDが設けられてもよく、半導体ボディ20を通じて直列接続された複数のソース側選択トランジスタSTSが設けられてもよい。複数のドレイン側選択トランジスタSTDの複数のドレイン側選択ゲートSGDには同じゲート電位が与えられ、複数のソース側選択トランジスタSTSの複数のソース側選択ゲートSGSには同じゲート電位が与えられる。
【0048】
ドレイン側選択トランジスタSTDとソース側選択トランジスタSTSとの間に、複数のメモリセルMCが設けられている。複数のメモリセルMC、ドレイン側選択トランジスタSTD、およびソース側選択トランジスタSTSは、柱状部CLの半導体ボディ20を通じて直列接続され、1つのメモリストリングを構成する。このメモリストリングが、XY面に対して平行な面方向に例えば千鳥配置され、複数のメモリセルMCがX方向、Y方向およびZ方向に3次元的に設けられている。
【0049】
ここで、半導体ボディ20の下部領域20aについて説明する。図3Bは、図2の破線枠Bの部分の概略断面図である。半導体ボディ20の下部領域20aは、n型不純物(例えばリン)がドープされた半導体層13に接し、下部領域20aもn型不純物を含む。下部領域20aは、半導体ボディ20のうちソース側選択ゲートSGSまたはゲート層80より下にある半導体ボディ20である。下部領域20aの不純物濃度は、その周囲にあるソース層SL(半導体層12~14)の不純物濃度より高い。また、下部領域20aのn型不純物濃度は、半導体ボディ20の上部領域20b(メモリセルMCおよびドレイン側選択トランジスタSTDのチャネル)のn型不純物濃度よりも高い。これは、後述するように、下部領域20aには、高濃度のn型不純物がメモリホールMHの内側から選択的に固相拡散されているからである。上部領域20bは、下部領域20aの上にある半導体ボディ20の部分であり、ソース側選択ゲートSGSまたはゲート層80より上にある。
【0050】
このように、半導体ボディ20の下部領域20aは、積層方向(Z方向)に対して略垂直方向(Y方向)にソース層SL(半導体層13)と電気的に接続されている。この下部領域20aとソース層SLとの間の接続部をCONとする。下部領域20aのn型不純物濃度は、半導体層13のそれよりも高いので、接続部CONのn型不純物濃度は、下部領域20aの不純物濃度より低く、半導体層13の不純物濃度より高くなっている。即ち、接続部CONは、下部領域20aから半導体層13へ向かってn型不純物濃度が低くなるように濃度勾配を有する。
【0051】
また、n型不純物(例えばリン)は、ソース側選択ゲートSGSに対向する半導体ボディ20にまでZ方向に或る程度拡散しているが、メモリセルMCのゲート(ワード線)として機能する電極層70と対向する半導体ボディまでは大きく拡散していない。即ち、n型不純物は、一部のソース側選択トランジスタSTSのチャネルに拡散しても構わないが、全ソース側選択トランジスタSTSのチャネルに亘って拡散しないように調節される。半導体ボディ20の上部領域20bには、後述するように、n型不純物が或る程度拡散されるが、p型不純物がカウンタドープされる。これにより、上部領域20bは、n型不純物およびp型不純物の両方を含み、ほぼ中性に近い導電型となっている。あるいは、上部領域20bは、n型不純物およびp型不純物の両方を含むが、p型不純物濃度がn型不純物濃度より高く、若干p型半導体となっている。また、下部領域20aの不純物濃度(例えば、1020~1021/cm)は、上部領域20bの不純物濃度(例えば、1017~1019/cm)より2桁以上高い。従って、下部領域20aと上部領域20bとの間には、急峻な濃度勾配(接合部)が設けられている。これにより、消去動作時においてGIDLが効率良く発生され得る。
【0052】
読み出し動作時、電子はソース層SLから半導体ボディ20の下部領域20aを通じてメモリセルMCのチャネルに供給される。このとき、ゲート層80に適切な電位を印加することで、半導体ボディ20の上部領域20bの全領域にチャネル(n型チャネル)を誘起することができる。半導体ボディ20の上部領域20bと、ゲート層80との間のメモリ膜30はゲート絶縁膜として機能する。
【0053】
ゲート層80は、後述するスリットST1、ST2を形成するときのエッチングストッパとして機能する。そのため、ゲート層80は、比較的厚く形成され、例えば、約200nmの厚みを有する。また、ゲート層80が厚いので、半導体層14は薄くできる。半導体層14の厚さは、例えば、約30nmである。
【0054】
例えば、ゲート層80に消去電位(例えば数ボルト)を印加して、半導体ボディ20の上部領域20bに高電界を与えることで生成される正孔がメモリセルMCのチャネルに供給され、チャネル電位を上昇させる。そして、セルゲートCGの電位を例えばグランド電位(0V)にすることで、半導体ボディ20とセルゲートCGとの電位差で、電荷蓄積膜32に正孔が注入されデータの消去動作が行われる。即ち、GIDLによる消去動作が実行される。
【0055】
次に、半導体記憶装置の製造方法について説明する。
図4図20は、第1実施形態による半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面図である。尚、図4図20では、便宜的に、1つの柱状部CL、1つの絶縁部160および1つの配線部170を並べて示す。実際には、基板10の上方から見た平面レイアウトにおいて、千鳥状に配置された複数の柱状部CLの両側に、絶縁部160または配線部170が設けられている。
【0056】
図4に示すように、基板10上に絶縁層41が形成される。絶縁層41上に半導体層12が形成される。半導体層12は、例えばリンがドープされた多結晶シリコン層である。半導体層12の厚さは、例えば、約200nmである。
【0057】
半導体層12上に保護膜42が形成される。保護膜42は、例えばシリコン酸化膜である。
【0058】
基板10の上方の保護膜42上に犠牲層91が形成される。犠牲層91は、例えばアンドープの多結晶シリコン層である。犠牲層91の厚さは、例えば30nmほどである。
【0059】
犠牲層91上に保護膜43が形成される。保護膜43は、例えばシリコン酸化膜である。
【0060】
保護膜43上に半導体層14が形成される。半導体層14は、例えばアンドープまたはリンがドープされた多結晶シリコン層である。半導体層14の厚さは、例えば、約30nmである。
【0061】
半導体層14上に絶縁層44が形成される。絶縁層44は、例えばシリコン酸化層である。
【0062】
犠牲層91の上方の絶縁層44上にゲート層80(半導体層またはメタルゲート層などの導電層)が形成される。ゲート層80は、例えばリンがドープされた多結晶シリコン層である。ゲート層80の厚さは、半導体層14の厚さおよび絶縁層44の厚さよりも厚く、例えば200nmほどである。
【0063】
ゲート層80上に積層体100が形成される。ゲート層80上に、絶縁層72と、犠牲層71とが交互に積層される。絶縁層72と犠牲層71とを交互に積層する工程が繰り返され、ゲート層80上に複数の犠牲層71と複数の絶縁層72との積層体が形成される。最上層の犠牲層71上に絶縁層45が形成される。例えば、犠牲層71はシリコン窒化層であり、絶縁層72はシリコン酸化層である。ゲート層80の厚さは、犠牲層71の1層の厚さ、および絶縁層72の1層の厚さよりも厚い。これにより、図4に示す構造が得られる。
【0064】
次に、図5に示すように、絶縁層45から半導体層12まで達する複数のメモリホールMHが形成される。メモリホールMHは、リソグラフィ技術およびエッチング技術(例えば、RIE(Reactive Ion Etching)法)で形成される。メモリホールMHは、絶縁層45、積層体100、ゲート層80、絶縁層44、半導体層14、保護膜43を貫通して犠牲層91に達し、さらに、犠牲層91および保護膜42を貫通して半導体層12に達する。メモリホールMHのボトムは半導体層12中に位置する。
【0065】
複数の犠牲層(シリコン窒化層)71および複数の絶縁層(シリコン酸化層)72は、ガス種を切り替えることなく、同じガス(例えばCF系ガス)を用いて連続してエッチングされる。このときゲート層(多結晶シリコン層)80はエッチングストッパとして機能し、ゲート層80の位置で一旦エッチングをストップする。厚いゲート層80によって複数のメモリホールMH間のエッチングレートばらつきが吸収され、複数のメモリホールMH間のボトム位置のばらつきが低減される。
【0066】
その後、ガス種を切り替えて各層をステップエッチングする。すなわち、絶縁層44をストッパとして用いてゲート層80の残りの部分をエッチングし、半導体層14をストッパとして用いて絶縁層44をエッチングし、保護膜43をストッパとして用いて半導体層14をエッチングし、犠牲層91をストッパとして用いて保護膜43をエッチングし、保護膜42をストッパとして用いて犠牲層91をエッチングし、半導体層12をストッパとして用いて保護膜42をエッチングする。そして、厚い半導体層12の途中でエッチングをストップさせる。
【0067】
厚いゲート層80によってアスペクト比の高い積層体100に対するホール加工のエッチング停止位置の制御が容易になる。
【0068】
次に、図6に示すように、ブロック絶縁膜33、電荷蓄積膜32、トンネル絶縁膜31および半導体ボディ20の各材料をこの順番にメモリホールMHの内側面およびボトムに沿ってコンフォーマルに形成する。
【0069】
次に、図7に示すように、スピンコート処理を用いて、高濃度のn型不純物を含むn型ドーパント材22を半導体ボディ20上に塗布することによって、n型ドーパント材22をメモリホールMHの底に溜める。n型ドーパント材22は、例えば、リンの酸化物を含む膜でよい。p型ドーパント材23は、例えば、ボロンの酸化物を含む膜でよい。メモリホールMHの底部に形成されるn型ドーパント材22の膜厚(Z方向の膜厚)は、メモリホールMHの側面に形成されるn型ドーパント材22の膜厚(Y方向の膜厚)よりも厚く形成される。
【0070】
メモリホールMHの底部に溜まるn型ドーパント材22の上面は、ゲート層80の上面よりも低くかつ犠牲層91の上面よりも高い位置にある。n型ドーパント材22は、添加剤を加えることによって、メモリホールMHの底部に溜めることができる。メモリホールMHの底部におけるn型ドーパント材22の膜厚(Z方向の高さ)は、n型ドーパント材22の塗布工程における基板10のスピン速度等によって調節可能である。
【0071】
その後、n型ドーパント材22の溶剤を揮発させるために基板10をベークする。
【0072】
メモリホールMHの側面には、n型ドーパント材22は、被膜する必要はないが、結果的に薄く残る場合がある。この場合、図7に示すように、スピンコート処理を用いて、n型不純物の逆導電型となる高濃度のp型不純物を含むp型ドーパント材23をn型ドーパント材22の上に重ねて塗布する。このとき、p型ドーパント材23は、メモリホールMHの底に溜めないように、メモリホールMHの底面および側面に薄く塗布する。尚、下部領域20aのn型不純物濃度は、n型ドーパント材22の膜厚、熱処理の温度または時間、n型ドーパント材22の溶液中のn型不純物濃度によって制御可能である。また、p型ドーパント材23には、添加剤を加えずに、メモリホールMH内にコンフォーマルに成膜することができる。
【0073】
p型ドーパント材23をn型ドーパント材22上に塗布した後、p型ドーパント材23の溶剤を揮発させるために基板10をベークする。
【0074】
尚、本実施形態では、n型ドーパント材22を塗布した後、p型ドーパント材23を塗布しているが、p型ドーパント材23を塗布した後、n型ドーパント材22を塗布してもよい。即ち、図7のn型ドーパント材22およびp型ドーパント材23の位置関係は逆であってもよい。ただし、n型ドーパント材22をメモリホールMHの底部に厚く形成し、p型ドーパント材23をメモリホールMHの内面に薄くコンフォーマルに形成する点は上記実施形態と同じである。
【0075】
次に、図8に示すように、被膜の不純物を拡散させるための熱処理を行う。この熱処理により、n型不純物が、メモリホールMHの底部に残置された厚いn型ドーパント材22から半導体ボディ20の下部領域20aへ拡散する。これにより、半導体ボディ20の下部領域20aは、高濃度のn型半導体層になる。n型ドーパント材22から半導体ボディ20への固相拡散は、比較的低温(例えば、750℃~850℃)の熱処理でもよい。従って、基板10にCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路が形成されている場合であっても、CMOS回路(図示せず)に影響を与えることなく、半導体ボディ20の下部領域20aへn型不純物を拡散させることができる。
【0076】
一方、メモリホールMHの下部領域20aより上方にある側面には、同程度の厚みのn型ドーパント材22およびp型ドーパント材23が積層されている。従って、メモリホールMHの内面のうち下部領域20aより上方の上部領域20bには、n型不純物およびp型不純物の両方が同等の濃度で混在する状態となり、導電型としてほぼ中性となる。しきい値調整のために、p型またはn型のどちらかを濃くしてもよい。これにより、半導体ボディ20の下部領域20aを選択的に高濃度のn型不純物層にすることができる。かつ、下部領域20aよりも高いメモリホールMHの内面には、導電型においてほぼ中性の半導体ボディ20(上部領域20b)が形成される。下部領域20aは、半導体ボディ20の底部からゲート層80の途中まで形成され、その上に上部領域20bが形成される。下部領域20aと上部領域20bとの間には、急峻な濃度勾配(pn接合)が形成される。
【0077】
尚、n型ドーパント材22を塗布した後、メモリホールMHの底部に溜まったn型ドーパント材22を残置させ、メモリホールMHの側面にある薄いn型ドーパント材22をウェットエッチング液で選択的にエッチングバックすることが考えられる。しかし、実際には、メモリホールMHの底部に溜まっているn型ドーパント材22のエッチングレートは比較的高く、メモリホールMHの側面にあるn型ドーパント材22を選択的に除去することは困難である。従って、本実施形態にように、p型ドーパント材23を薄く塗布して、メモリホールMHの側面にp型不純物をn型不純物に対してカウンタドープすることが好ましい。
【0078】
次に、図9に示すように、ウェットエッチング法等を用いて、p型ドーパント材23およびn型ドーパント材22を除去する。
【0079】
次に、図10Aに示すように、メモリホールMHの内部を埋め込むように半導体ボディ20上にコア膜50が形成される。コア膜50は、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁膜である。
【0080】
次に、図10Bに示すように、コア膜50はエッチバックされる。さらに、図11Aに示すように、キャップ膜25をコア膜50および絶縁膜45上に堆積する。キャップ膜25は、例えば、アモルファスシリコンであり、導電性とするために燐(P)などがドーピングされていてもよい。図11Bに示すように、表面のキャップ膜25、半導体ボディ20、メモリ膜30を、RIE(Reactive Ion Etching)処理によるエッチングで除去する。次に、図11Cに示すように、キャップ膜25および絶縁膜45上に絶縁膜45をさらに形成する。絶縁膜45は、例えば、シリコン酸化膜で形成される。
【0081】
次に、リソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、図12に示すように、積層体100に複数のスリットST1を形成する。スリットST1は、絶縁層45、積層体100、ゲート層80、絶縁層44、半導体層14、半導体層13、保護膜42,43、犠牲層91を貫通して、半導体層12に達する。尚、図12では、スリットST1を1つのみ示しているが、複数のスリットST1は、所定数の柱状部CLごとに略等間隔に設けられている。
【0082】
このとき、メモリホールMHの形成と同様、複数の犠牲層71および複数の絶縁層72は、ガス種を切り替えることなく、同じガス(例えばCF系ガス)を用いて連続してエッチングされる。ゲート層80はエッチングストッパとして機能し、ゲート層80の位置で一旦スリットST1のエッチングをストップする。厚いゲート層80によって複数のスリットST1間のエッチングレートばらつきが吸収され、複数のスリットST1間のボトム位置のばらつきが低減される。
【0083】
次に、ガス種を切り替えて各層をステップエッチングする。すなわち、絶縁層44をストッパとして用いてゲート層80の残りの部分をエッチングする。スリットST1のボトムに絶縁層44が露出する。以降、半導体層14をストッパとして用いて絶縁層44をエッチングし、保護膜43をストッパとして用いて半導体層14をエッチングする。さらに、犠牲層91をストッパとして用いて保護膜43をエッチングし、保護膜42をストッパとして用いて犠牲層91をエッチングし、半導体層12をストッパとして用いて保護膜42をエッチングする。これにより、半導体層12がスリットST1の底部で露出される。スリットST1は、半導体層12の途中まで形成される。
【0084】
次に、図13に示すように、スリットST1の内面全体に絶縁膜26を成膜する。絶縁膜26は、例えば、シリコン窒化膜等の絶縁膜である。次に、絶縁膜26を異方的にエッチングバックする。これにより、スリットST1の底部にある絶縁膜26を除去し、半導体層12を露出させる。一方、スリットST1の側面には、絶縁膜26を残置させる。次に、スリットST1内にドープトポリシリコンまたは金属材料が配線層27の材料として埋め込まれる。これにより、配線層27は、スリットST1内において、絶縁膜26によって積層体100、ゲート層80、半導体層14から電気的に絶縁されつつ、半導体層12に電気的に接続される。絶縁膜26および配線層27は、半導体層12との電圧を印加するための配線部170(図2参照)として用いられる。次に、絶縁膜28をスリットST1および絶縁層45上に形成する。これにより、図13に示す構造が得られる。
【0085】
次に、リソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、図14に示すように、積層体100に複数のスリットST2を形成する。スリットST2は、絶縁膜28,45、積層体100、ゲート層80、絶縁層44、半導体層14、半導体層13、保護膜42,43を積層体100の積層方向に貫通して、犠牲層91に達する。尚、図14では、スリットST2の1つのみ示しているが、複数のスリットST2は、所定数の柱状部CLごとに略等間隔に設けられている。
【0086】
スリットST2の形成工程は、スリットST1の形成工程とほぼ同じである。ただし、犠牲層91をストッパとして用いて保護膜43をエッチングした後、スリットST2は、犠牲層91の途中まで形成される。スリットST2は、半導体層12までは形成されない。
【0087】
次に、図14に示すように、スリットST2の内面全体に絶縁膜29を成膜する。絶縁膜29は、例えば、シリコン窒化膜等の絶縁膜である。次に、絶縁膜29を異方的にエッチングバックする。これにより、スリットST2の底部にある絶縁膜29を除去し、犠牲層91を露出させる。一方、スリットST1の側面には、絶縁膜29を残置させる。
【0088】
次に、図15に示すように、ウェットエッチング法を用いて、スリットST2を介して、犠牲層91を除去する。犠牲層91がポリシリコンである場合、エッチング液は、例えば、ホットTMY(トリメチル-2ヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド)でよい。これにより、犠牲層91が除去され、犠牲層91が位置に空洞90が形成される。このとき、絶縁膜29は、積層体100、ゲート層80、半導体層14がエッチングされないように、スリットST2の側面を保護する。また、保護膜42、43は、半導体層12、14がエッチングされないように、半導体層12、14をそれぞれ保護する。空洞90には、柱状部CLの側壁の一部、即ち、メモリ膜30の一部が露出される。
【0089】
次に、図16に示すように、等方性エッチング法を用いて、空洞90に露出されたメモリ膜30の一部を、スリットST2を介して除去する。例えば、CDE(Chemical Dry Etching)法によりメモリ膜30をエッチングする。このとき、メモリ膜30に含まれる膜と同種の保護膜42、43も除去される。スリットST2の側面に形成された絶縁膜29は、メモリ膜30に含まれる電荷蓄積膜32と同種のシリコン窒化膜である。しかし、絶縁膜29の膜厚は電荷蓄積膜32の膜厚よりも厚いので、絶縁膜29はスリットST2の側面に残る。
【0090】
絶縁膜29は、空洞90に露出した上記メモリ膜30の一部を除去するときに、積層体100、ゲート層80および絶縁層44を保護し、それらのサイドエッチングを抑制する。また、半導体層14が絶縁層44の下面を被覆しているので、絶縁層44の下面側からのエッチングも抑制される。
【0091】
メモリ膜30の一部の除去により、下部領域20aの一部が空洞90に露出される。即ち、メモリ膜30は、図16に示すように下部領域20aの一部において上下に分断される。エッチング時間の制御により、ゲート層80と半導体ボディ20との間のメモリ膜30はエッチングされないようにする。
【0092】
また、エッチング時間の制御により、下部領域20aの下方においても半導体層12と半導体ボディ20の下部領域20aとの間にメモリ膜30が残るようにする。半導体ボディ20における下部領域20aの下方の下端部が、メモリ膜30を介して半導体層12に支えられた状態が保持される。
【0093】
メモリ膜30の一部が除去されると、空洞90に半導体ボディ20の下部領域20aの一部が露出される。
【0094】
空洞90内に、図17に示すように半導体層13が形成される。半導体層13は、ゲート層80の下方に形成され、下部領域20aと接続する。半導体層13は、例えばリンがドープされた多結晶シリコン層である。
【0095】
シリコンを含むガスがスリットST2を通じて空洞90に供給され、半導体層13が、半導体層12の上面、半導体層14の下面、および空洞90に露出された半導体ボディ20の下部領域20aからエピタキシャル成長して、空洞90内は半導体層13で埋まる。
【0096】
次に、絶縁膜29を除去した後あるいはそれに続けて、スリットST2を通じて供給されるエッチング液またはエッチングガスにより、犠牲層71を除去する。例えば、熱リン酸溶液を用いて、シリコン窒化層である犠牲層71を除去する。これにより、図18に示すように、犠牲層71が除去され、上下で隣接する絶縁層72の間に空隙75が形成される。空隙75は、最上層の絶縁層72と絶縁層45との間にも形成される。
【0097】
複数の絶縁層72は、複数の柱状部CLの側面を囲むように、柱状部CLの側面に接している。複数の絶縁層72は、このような複数の柱状部CLとの物理的結合によって支えられ、絶縁層72間の空隙75が保たれる。
【0098】
次に、図19に示すように、空隙75に電極層70が埋め込まれる。例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、スリットST2を通じてソースガスが空隙75に供給され、電極層70が積層体100の積層方向に隣接する絶縁層72間に形成される。スリットST2の側面(絶縁層72の側面)に形成された電極層70は除去される。
【0099】
次に、スリットST2内に、図20に示すように、絶縁膜163が埋め込まれ、絶縁部160が形成される。その後、さらに、絶縁層45等の上に多層配線構造が形成され、本実施形態による半導体記憶装置が完成する。
【0100】
以上のように本実施形態によれば、半導体ボディ20の下部領域20aには、メモリホールMH内部に形成されたn型ドーパント材22からn型不純物が拡散される。n型ドーパント材22は、メモリホールMHの底部に厚く形成されており、その側面には非常に薄く形成される。従って、下部領域20aのn型不純物濃度は、半導体層13および上部領域20bのそれよりも高くなる。
【0101】
また、p型ドーパント材23が、メモリホールMHの側面にn型ドーパント材22上に形成される。p型ドーパント材23は、n型ドーパント材22からのn型不純物に対するカウンタドープとしてp型不純物を半導体ボディ20の上部領域20bに拡散する。これにより、上部領域20bは、n型不純物およびp型不純物の両方を含み、ほぼ中性の導電型になる。これにより、下部領域20aと上部領域20bとの間に急峻な濃度勾配が形成され、GIDLを効率良く発生することができる。
【0102】
もし、メモリホールMHの外側の半導体層13から半導体ボディ20へn型不純物を拡散させる場合、850℃以上の高温熱処理が必要となり、メモリセルアレイ1の下方のCMOS回路の特性に影響を与えるおそれがある。また、高温熱処理が可能であっても、半導体層13から半導体ボディ20へn型不純物を拡散させる場合、拡散量を制御することが困難である。従って、n型不純物がゲート層80の上まで拡散するおそれがあり、ソース側選択トランジスタSTSのカットオフ特性が劣化してしまう。
【0103】
また、イオン注入法では、高アスペクト比を有するメモリホールMHの底部に確実に不純物を注入することは困難である。
【0104】
これに対し、本実施形態のように、メモリホールMH内部からn型ドーパント材22を用いて不純物を拡散させることによって、850℃以下の比較的低温で制御性よく不純物を半導体ボディ20へ拡散させることができる。これにより、下部領域20aと上部領域20bとの間の急峻な濃度勾配の高さ位置を、ソース層SLまたはゲート層80の位置に対応させることができる。また、メモリセルアレイ1の下のCMOS回路(周辺回路領域)に与える影響が小さい。
【0105】
また、本実施形態では、n型ドーパント材22を用いて下部領域20aにn型不純物を固相拡散させている。従って、イオン注入による半導体ボディ20のダメージが少ない。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0107】
1 メモリセルアレイ、SL ソース層、100 積層体、80 ゲート層、CL 柱状部、160 分離部、170 配線部、20 半導体ボディ、20a 下部領域、20b 上部領域、SGS ソース側選択ゲート、80 ゲート層、12~14 半導体層
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20