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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 9/16 20060101AFI20240617BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B65H9/16
B65H7/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020054355
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021155136
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 弘之
(72)【発明者】
【氏名】神成 勲
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 洋
(72)【発明者】
【氏名】田岡 桂太朗
(72)【発明者】
【氏名】関口 肇
(72)【発明者】
【氏名】田村 紅葉
(72)【発明者】
【氏名】松本 崇
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-016468(JP,A)
【文献】特開2018-008759(JP,A)
【文献】特開2019-026452(JP,A)
【文献】特開2016-074543(JP,A)
【文献】特開2012-086914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 9/16
B65H 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを支持するシート支持部と、
前記シート支持部によって支持されるシートの側端を規制する側端規制部と、
前記シート支持部に支持されたシートを給送する給送部と、
前記給送部によって給送されたシートをシート搬送方向に挟持して搬送する第1搬送ローラ対と、
前記シート搬送方向において前記第1搬送ローラ対の下流に設けられ、前記シート搬送方向に沿って延び、前記シート搬送方向と直交するシートの幅方向においてシートの側端に突き当たる突き当て部材と、
前記幅方向においてシートが前記突き当て部材に近づくように、前記シート搬送方向に対して傾斜する傾斜方向にシートを挟持して斜送する斜送ローラ対と、
前記シート搬送方向において前記斜送ローラ対よりも下流に配置され、シートを前記シート搬送方向に挟持して搬送する第2搬送ローラ対と、
前記第1搬送ローラ対がシートを挟持し搬送可能な第1挟持状態と、前記第1搬送ローラ対の2つのローラが互いに離間する第1離間状態と、に前記第1搬送ローラ対を遷移可能な第1接離機構と、
前記斜送ローラ対がシートを挟持し斜送可能な第2挟持状態と、前記斜送ローラ対の2つのローラが互いに離間する第2離間状態と、に前記斜送ローラ対を遷移可能な第2接離機構と、
前記給送部、前記第1搬送ローラ対、前記斜送ローラ対、前記第1接離機構及び前記第2接離機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、給送されたシートの長さが第1長さの場合に、(1)前記第1搬送ローラ対が前記第1接離機構によって前記第1離間状態にあり、かつ、前記斜送ローラ対が前記第2接離機構によって前記第2離間状態にある状態で、シートの先端が前記給送部によって前記シート搬送方向における前記第2搬送ローラ対の上流、かつ、第1搬送ローラ対の下流に給送された後に、シートの搬送を停止させ、(2)それから、前記第1搬送ローラ対が前記第1離間状態から前記第1挟持状態に変更され、かつ、前記斜送ローラ対が前記第2接離機構によって前記第2離間状態にある状態で、停止状態のシートの搬送が再開され、(3)シートが前記第1搬送ローラ対によって前記第2搬送ローラ対に搬送される、第1搬送モードを実行し、
前記制御部は、給送されたシートの長さが前記第1長さより短い第2長さの場合に、(1)前記第1搬送ローラ対が前記第1接離機構によって前記第1挟持状態にあり、かつ、前記斜送ローラ対が前記第2接離機構によって前記第2挟持状態にある状態で、シートの前記先端が前記第1搬送ローラ対によって前記シート搬送方向における前記第2搬送ローラ対の上流に搬送された後に、シートの搬送を停止させ、(2)それから、第1搬送ローラ対が前記第1挟持状態から前記第1離間状態に変更され、かつ、前記斜送ローラ対が前記第2接離機構によって前記第2挟持状態にある状態で、停止状態のシートの搬送が再開され、(3)シートが前記斜送ローラ対によって前記第2搬送ローラ対に搬送される、第2搬送モードを実行する、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記第1搬送ローラ対は複数設けられ、
前記第1長さのシートを給送する場合に、複数の前記第1搬送ローラ対の一部が前記第1離間状態にある状態で、前記停止状態のシートの搬送が再開される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記第1長さのシートを給送する場合に、前記シート搬送方向において、最下流に設けられた複数の前記第1搬送ローラ対のローラが前記第1挟持状態にある状態で、前記停止状態のシートの搬送が再開される、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記第1長さのシートを給送する場合に、前記第1搬送ローラ対が前記第1離間状態であり、かつ、前記斜送ローラ対が前記第2離間状態である状態で、シートの先端が前記シート搬送方向において前記斜送ローラ対と前記第2搬送ローラ対の間に位置するように、前記給送部によって給送されたシートを停止させる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記第1長さのシートが前記第2搬送ローラ対によって搬送されている間に、前記第1搬送ローラ対は、前記第1挟持状態から前記第1離間状態に変更される、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記第1搬送ローラ対を駆動する第1駆動部と、
前記斜送ローラ対を駆動する第2駆動部と、を更に備え、
給送されたシートの長さが前記第1長さの場合、
シートが前記給送部によって前記シート搬送方向における前記第2搬送ローラ対の上流側に搬送される際に、前記第1駆動部及び前記第2駆動部のそれぞれの駆動は、前記第1搬送ローラ対が前記第1離間状態にあり、かつ、前記斜送ローラ対が前記第2離間状態にある状態で、停止しており、
シートの搬送が停止した後であって、前記第2駆動部の駆動が停止し、前記斜送ローラ対が前記第2離間状態にあり、かつ前記第1搬送ローラ対が前記第1離間状態から前記第1挟持状態に切り替わった後に、前記第1駆動部の駆動が開始されることで前記第1搬送ローラ対によるシートの搬送が再開される、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記第1長さのシートは、前記シート搬送方向において前記側端規制部の下流端から前記斜送ローラ対までの距離よりも長い、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置によって搬送されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、斜送ローラにより用紙搬送路の側部に設けられた基準ガイドへシートを突き当てて、シートの斜行を補正する、サイドレジ基準による整合方式の用紙整合部が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-189355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シートを良好に搬送するためには、シートの斜行を補正するだけではなく、シートを確実に搬送するだけの搬送力が必要である。特に近年では、様々なメディアを搬送可能なシート搬送装置が求められており、搬送ローラ等による十分な搬送力が必要である。搬送ローラによる搬送力が不十分な場合、シートの不送り等の搬送不良が発生してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、シートの斜行及び搬送不良を低減可能なシート搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シート搬送装置において、シートを支持するシート支持部と、前記シート支持部によって支持されるシートの側端を規制する側端規制部と、前記シート支持部に支持されたシートを給送する給送部と、前記給送部によって給送されたシートをシート搬送方向に挟持して搬送する第1搬送ローラ対と、前記シート搬送方向において前記第1搬送ローラ対の下流に設けられ、前記シート搬送方向に沿って延び、前記シート搬送方向と直交するシートの幅方向においてシートの側端に突き当たる突き当て部材と、前記幅方向においてシートが前記突き当て部材に近づくように、前記シート搬送方向に対して傾斜する傾斜方向にシートを挟持して斜送する斜送ローラ対と、前記シート搬送方向において前記斜送ローラ対よりも下流に配置され、シートを前記シート搬送方向に挟持して搬送する第2搬送ローラ対と、前記第1搬送ローラ対がシートを挟持し搬送可能な第1挟持状態と、前記第1搬送ローラ対の2つのローラが互いに離間する第1離間状態と、に前記第1搬送ローラ対を遷移可能な第1接離機構と、前記斜送ローラ対がシートを挟持し斜送可能な第2挟持状態と、前記斜送ローラ対の2つのローラが互いに離間する第2離間状態と、に前記斜送ローラ対を遷移可能な第2接離機構と、前記給送部、前記第1搬送ローラ対、前記斜送ローラ対、前記第1接離機構及び前記第2接離機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、給送されたシートの長さが第1長さの場合に、(1)前記第1搬送ローラ対が前記第1接離機構によって前記第1離間状態にあり、かつ、前記斜送ローラ対が前記第2接離機構によって前記第2離間状態にある状態で、シートの先端が前記給送部によって前記シート搬送方向における前記第2搬送ローラ対の上流、かつ、第1搬送ローラ対の下流に給送された後に、シートの搬送を停止させ、(2)それから、前記第1搬送ローラ対が前記第1離間状態から前記第1挟持状態に変更され、かつ、前記斜送ローラ対が前記第2接離機構によって前記第2離間状態にある状態で、停止状態のシートの搬送が再開され、(3)シートが前記第1搬送ローラ対によって前記第2搬送ローラ対に搬送される、第1搬送モードを実行し、前記制御部は、給送されたシートの長さが前記第1長さより短い第2長さの場合に、(1)前記第1搬送ローラ対が前記第1接離機構によって前記第1挟持状態にあり、かつ、前記斜送ローラ対が前記第2接離機構によって前記第2挟持状態にある状態で、シートの前記先端が前記第1搬送ローラ対によって前記シート搬送方向における前記第2搬送ローラ対の上流に搬送された後に、シートの搬送を停止させ、(2)それから、第1搬送ローラ対が前記第1挟持状態から前記第1離間状態に変更され、かつ、前記斜送ローラ対が前記第2接離機構によって前記第2挟持状態にある状態で、停止状態のシートの搬送が再開され、(3)シートが前記斜送ローラ対によって前記第2搬送ローラ対に搬送される、第2搬送モードを実行する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、シートの斜行及び搬送不良を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態に係る画像形成装置を示す全体概略図。
図2】シート整合部を示す平面図。
図3】搬送ローラ対及びその周辺構成を示す斜視図。
図4】(a)は当接状態の搬送ローラ対を示す断面図、(b)は離間状態の搬送ローラ対を示す断面図。
図5】斜送ローラ及びその周辺構成を示す平面図。
図6】(a)は当接状態の斜送ローラ及び接離機構を示す斜視図、(b)は当接状態の斜送ローラ及び接離機構を示す側面図。
図7】画像形成装置の制御系を示すブロック図。
図8】手差し給送部を示す模式図。
図9】シート支持部を示す平面図。
図10】シート支持部を示す斜視図。
図11】シート支持部に支持された長尺シートを示す斜視図。
図12】シートの搬送制御を示すフローチャート。
図13】シートの搬送制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0010】
〔全体構成〕
本実施の形態に係る画像形成装置1は、図1に示すように、中間転写ベルト5066を用いた中間転写タンデム方式のフルカラーレーザープリンタである。この方式の画像形成装置は、シートを転写ドラムや転写ベルト上に保持する必要がないため、超厚紙やコート紙等の多様な転写材に対応できる上、複数の像形成部における並列処理およびフルカラー画像の一括転写という特長から高生産性の実現に適している。
【0011】
画像形成装置1は、パーソナルコンピュータ等の情報端末やイメージリーダ等の外部装置入力された画像信号に基づきシートSにトナー像を形成する。画像形成装置1には、記録媒体として用紙及び封筒等の紙、光沢紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート(OHT)等のプラスチックフィルム、並びに布等の様々なシートを用いることができる。
【0012】
画像形成装置1は、後述するシート搬送系と、画像形成部80と、を有している。画像形成部80は、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックのトナー像を形成する4つのプロセスユニットPY,PM,PC,PKと、中間転写体である中間転写ベルト506と、を備えている。プロセスユニットPY~PKは、それぞれ感光体である感光ドラムを有する電子写真ユニットである。
【0013】
プロセスユニットPY~PKは、現像に用いるトナーの色が異なる以外は同様に構成されるため、イエローのプロセスユニットPYを例にプロセスユニットの構成及びトナー像の形成プロセス(画像形成動作)について説明する。プロセスユニットPYは、感光ドラム508の他に、不図示の帯電装置、露光装置511、現像装置510及びドラムクリーナ509を有する。感光ドラム508は、外周部に感光層を有するドラム状の感光体であり、中間転写ベルト506の回転方向に沿った矢印A方向に回転する。感光ドラム508の表面は、帯電装置から電荷を供給されることで帯電する。
【0014】
露光装置511は、画像情報に応じて変調されたレーザ光を発し、回折手段512等を適宜経由して感光ドラム508を走査することで、感光ドラム508の表面に静電潜像を描き込む。現像装置510は、トナーを含む現像剤を収容し、感光ドラム508にトナーを供給することで静電潜像をトナー像に現像する。感光ドラム508に形成されたトナー像は、一次転写装置である一次転写ローラ507と中間転写ベルト506との間のニップ部である一次転写部において中間転写ベルト506に一次転写される。転写後に感光ドラム508に残留した残トナーは、ドラムクリーナ509によって除去される。
【0015】
中間転写ベルト506は、駆動ローラ504、テンションローラ505及び二次転写内ローラ503等に巻き掛けられ、駆動ローラ504により図中矢印B方向に回転駆動される。上述の画像形成動作は各プロセスユニットPY~PKにおいて並行して進められ、4色のトナー像が互いに重なるように多重転写されることで、中間転写ベルト506にフルカラーのトナー像が形成される。このトナー像は、中間転写ベルト506に担持されて二次転写部に搬送される。二次転写部は、転写部としての二次転写ローラ56と二次転写内ローラ503の間のニップ部として構成され、二次転写ローラ56にトナーの帯電極性とは逆極性のバイアス電圧が印加されることでトナー像がシートSに二次転写される。転写後に中間転写ベルト506に残留した残トナーは、ベルトクリーナによって除去される。
【0016】
トナー像を転写されたシートSは、定着前搬送部57により定着ユニット58へと受け渡される。定着ユニット58は、シートSを挟持して搬送する定着ローラ対と、ハロゲンヒータ等の熱源とを有し、シートSに担持されたトナー像に圧力及び熱を加える。これにより、トナー粒子が溶融・固着して、シートSに定着した定着画像が得られる。
【0017】
次に、シートSを給送し、画像が形成されたシートSを排出トレイ500に排出するシート搬送系の構成及び動作について説明する。シート搬送系は、大まかにカセット給送部70と、合流搬送部54と、手差し給送装置40と、第1搬送部50と、第2搬送部55と、レジストレーションローラ対7と、分岐搬送部59と、反転搬送部501と、両面搬送部502と、を含む。
【0018】
カセット給送部70は、シートSを収容する給送カセット51と、給送カセット51内に設けられ、シートSが積載されるシート積載部52と、給送装置53と、を有している。給送装置53は、エアによってシート積載部52に積載された最上位のシートを吸着して分離すると共に、給送する。なお、このようなエア分離方式の給送装置53に限らず、静電気力によってシートSを分離する方式や、給送ローラや分離ローラ等によってシートを分離する摩擦分離方式のものを用いてもよい。
【0019】
給送装置53によって給送されたシートS及び後述する手差し給送装置40によって給送されたシートSは、合流搬送部54を介して第1搬送部50に搬送される。そして、第1搬送部50によってシート搬送方向VDに搬送されたシートSは、第2搬送部55において斜行が補正され、レジストレーションローラ対7へ搬送される。レジストレーションローラ対7は、シートSを挟持して搬送しながら、シート搬送方向VDに直交する幅方向WD(図2参照)にシートSをスライドさせることができる。これにより、シートSの幅方向WDにおける位置が補正される。
【0020】
そして、シートSは、レジストレーションセンサ8によるシートSの検知タイミングに基づいて、二次転写部での転写タイミングに同期するようにレジストレーションローラ対7によって搬送される。二次転写部においてトナー像を転写され、定着ユニット58によって画像の定着が行われたシートSは、シートSの搬送経路を切換可能な不図示の切換部材を有する分岐搬送部59に搬送される。シートSに対する画像形成が完了している場合には、シートSは排出トレイ500へ排出される。
【0021】
シートSの裏面に画像を形成する場合、シートSは反転搬送部501を介して両面搬送部502に受け渡される。反転搬送部501は、正転及び逆転可能な反転ローラ対を有し、シートSをスイッチバックさせて両面搬送部502に受け渡す。両面搬送部502は、給送パス54aに合流する両面搬送パス54bを介してシートSを合流搬送部54に搬送する。合流搬送部54において、給送パス54a及び両面搬送パス54bが合流する。そして、シートSは、裏面に画像を形成された後、排出トレイ500へと排出される。
【0022】
なお、本実施の形態に係るシート搬送装置700は、手差し給送装置40、第1搬送部50、第2搬送部55、レジストレーションローラ対7及びコントローラ600(図7参照)を含む。また、上述の構成に加え画像形成部80を含め、画像形成装置1をシート搬送装置としてもよい。
【0023】
[シート整合部]
次に、第1搬送部50、第2搬送部55及びレジストレーションローラ対7等によって構成されるシート整合部90について説明する。図2に示すように、シート搬送方向VDにおいて、第1搬送部50の下流に第2搬送部55が配置され、第2搬送部55の下流に第3搬送部としてのレジストレーションローラ対7が配置されている。
【0024】
第1搬送部50は、シート搬送方向VDにおける上流から下流に向けて順番に配置される搬送ローラ対341,342,342,343を有している。第2搬送部55は、シート搬送方向VDに沿って延びる基準部材31と、シート搬送方向VDに間隔を存して並設される3つの斜送ローラ35,36,37と、を有している。
【0025】
斜送ローラ35,36,37のシート搬送方向は、基準部材31の基準面31aに対して、角度αだけ傾斜している。従って、斜送ローラ35,36,37は、シートSに当接して回転することにより、シート搬送方向VDの下流に向かう程、幅方向WDにおいて基準部材31の基準面31aに近付くように傾斜した方向の搬送力をシートSに付与する。
【0026】
レジストレーションローラ対7は、シートSを挟持した状態で幅方向WDにスライド可能であり、側端が基準部材31の基準面31aに当接していたシートSを二次転写部において転写される画像の位置に合わせて幅方向WDに移動させる。なお、基準部材31は幅方向WDに移動可能であり、搬送されるシートSの幅に合わせて予め位置決めされる。また、シートとシートに形成する画像との位置調整を行う方法はこれに限らず、例えば基準部材31の幅方向位置を固定し、プロセスユニットPY~PKが形成するトナー像の主走査方向位置を調整する構成としてもよい。
【0027】
第1搬送部50のシート搬送方向VDにおける下流端部には、プレレジセンサP1が配置されている。なお、プレレジセンサP1は、搬送路の幅方向WDにおける中央部に配置されている。第2搬送部55のシート搬送方向VDにおける下流端部には、斜送センサR1と、レジ前センサQ1と、が配置されている。プレレジセンサP1、斜送センサR1及びレジ前センサQ1は、発光部と受光部をそれぞれ有している。そして、発光部と受光部の間をシートSが通過すると、シートSに反射した光が受光部で検知され、これらセンサの各検知位置でシートSの通過タイミングが検知される。
【0028】
[搬送ローラ対の周辺構成]
次に、第1搬送部50の搬送ローラ対341,342,342,343の周辺構成について説明する。搬送ローラ対341,342,342,343のそれぞれは、接離機構によってローラ対が接離される。そして、搬送ローラ対341,342,342,343及びそれらの接離機構は、同様の構成を有しているので、以下では、搬送ローラ対341及びその接離機構のみを説明する。
【0029】
図3乃至図4(b)に示すように、搬送ローラ対341は、駆動ローラ13と、従動ローラ14と、を有している。駆動ローラ13は、図3に示すように、駆動軸13aに支持されており、駆動軸13aの端部には、プーリ13bが固定されている。プーリ13bには、プレレジモータMpによって駆動されるベルト302が巻き掛けられており、プレレジモータMpが駆動することで、駆動ローラ13が駆動する。
【0030】
第1駆動部としてのプレレジモータMpは、ステッピングモータから構成され、プレレジモータMpは、プレレジセンサP1の検知結果に応じて、駆動タイミング、停止タイミング及び駆動速度が制御される。これにより、駆動ローラ13の駆動タイミング、停止タイミング及び回転速度(搬送速度)が制御される。
【0031】
搬送ローラ対341の従動ローラ14は、図4(a)(b)に示すように、接離機構100によって駆動ローラ13に対して接離される。第1接離機構としての接離機構100は、ニップ解除モータ104と、ギヤ105,106と、偏芯カム103と、アーム部材101と、を有している。ニップ解除モータ104は、ステッピングモータから構成される。ギヤ105は、ニップ解除モータ104によって駆動されると共に、ギヤ106に噛合する。
【0032】
ギヤ106は、ギヤ105によって偏芯カム103と一体に回転する。アーム部材101は、画像形成装置1のフレームに固定されるステー部材18に、揺動軸102を中心に揺動可能に支持される。アーム部材101は、偏芯カム103が回転することで押圧される一端部101aと、従動ローラ14の回転軸14bを支持する他端部101bと、を有している。
【0033】
図4(a)に示すように、偏芯カム103が第1回転位置に位置する際には、不図示のバネによって従動ローラ14は駆動ローラ13に圧接している。そして、駆動ローラ13及び従動ローラ14によって、ニップN1が形成される。また、図4(b)に示すように、偏芯カム103が第1回転位置から180度回転した第2回転位置に位置する際には、偏芯カム103の膨出部分によってアーム部材101の一端部101aが押圧され、他端部101bが上方に揺動する。これにより、従動ローラ14が駆動ローラ13から離間し、ニップN1が解除される。
【0034】
このように、搬送ローラ対341は、接離機構100によって、搬送ローラ対341を構成する2つのローラである駆動ローラ13と従動ローラ14とが当接する当接状態と、駆動ローラ13と従動ローラとが離間する離間状態と、の間で遷移可能である。ニップ解除モータ104は、プレレジセンサP1の検知結果に応じて駆動され、搬送ローラ対341が当接状態と離間状態との間を遷移させる。
【0035】
例えば、斜送ローラ35,36,37による幅寄せ動作が開始された場合に、シートの後端部がニップ部を通過していない全ての搬送ローラ対341,342,343,344は離間状態となる。これにより、搬送ローラ対341,342,343,344がシートSの幅寄せを妨げることを防ぐと共に、シートSに対する摩擦やストレスによってシートSのダメージが生じることを避けることが可能となる。
【0036】
[斜送ローラの周辺構成]
次に、斜送ローラ35,36,37の周辺構成について説明する。図2及び図5に示すように、斜送ローラ35は、回転軸35dを中心に回転し、ユニバーサルジョイント325を介して、回転軸325aに支持されている。斜送ローラ36は、回転軸36dを中心に回転し、ユニバーサルジョイント326を介して、回転軸326aに支持されている。斜送ローラ37は、回転軸37dを中心に回転し、ユニバーサルジョイント327を介して、回転軸327aに支持されている。
【0037】
回転軸35d,36d,37dは、搬送路を搬送されるシートの搬送方向であるシート搬送方向VD及びシート搬送方向VDに直交する幅方向WDに対して交差する方向に延びている。そして、斜送ローラ35,36,37のシート搬送方向は、それぞれユニバーサルジョイント325,326,327によって、基準部材31の基準面31aに対して、角度αだけ傾斜している。
【0038】
回転軸325aには、プーリ325bが固定されており、回転軸326aには、プーリ326b,326cが固定されている。プーリ325b,プーリ326cには、それぞれベルト321,322が巻き掛けられており、これらベルト321,322は、第2駆動部としての斜送駆動モータMsによって駆動される。回転軸327aには、プーリ327bが固定されており、プーリ326b,327bには、ベルト323が巻き掛けられている。このような構成により、斜送駆動モータMsが駆動することで、斜送ローラ35,36,37が駆動する。
【0039】
図6(a)(b)に示すように、第2搬送部55には、斜送ローラ35,36,37のそれぞれに対応する従動ローラと、該従動ローラを斜送ローラに対して接離させる接離機構と、が設けられている。これら従動ローラ及び接離機構は、それぞれ斜送ローラの数だけ設けられている。このため、以下では、斜送ローラ35に対応する従動ローラ331及び接離機構200について説明し、その他の従動ローラ及び接離機構の説明を省略する。
【0040】
第2接離機構としての接離機構200は、アーム部材332、リンク部材333、加圧ギヤ334、加圧バネ335、及び斜送加圧モータMkを有している。挟持ローラとしての従動ローラ331は、アーム部材332によって回転可能に支持され、アーム部材332の揺動軸332aを中心とした揺動によって斜送ローラ35に対して接近又は離間する方向に移動可能である。従動ローラ331は、斜送ローラ35と共にシートSを挟持して搬送可能に構成される。
【0041】
本実施形態における従動ローラ331は、幅方向WDに延びる軸線を中心にシート搬送方向に沿って回転するが、対応する斜送ローラ35と平行な軸線上に配置する構成としてもよい。アーム部材332は、加圧バネ335及びリンク部材333を介して加圧ギヤ334に連結される。加圧ギヤ334は、駆動源である斜送加圧モータMkによって駆動される。
【0042】
図6(a)に示すように、加圧ギヤ334が図中反時計回り方向に回動すると、加圧バネ335に引っ張られたアーム部材332が揺動軸332aを中心に反時計回り方向に揺動する。これにより、従動ローラ331が斜送ローラ35に圧接した圧接状態となる。一方、図6(b)に示すように、加圧ギヤ334が図中時計回り方向に回動してリンク部材333を押圧すると、リンク部材333がアーム部材332を時計回り方向に揺動させる。これにより、従動ローラ331が斜送ローラ35から離間するか、少なくとも斜送ローラ35に対する当接圧が圧接状態に比べて小さい離間状態となる。
【0043】
斜送加圧モータMkはステッピングモータであり、加圧ギヤ334の回転角を制御することにより、圧接状態における加圧バネ335の伸び量を変更可能である。即ち、本実施形態に係る接離機構200は、圧接状態・離間状態の変更、及び圧接状態における加圧力の変更のいずれをも行うことが可能である。
【0044】
[制御系]
次に、シート整合部90の制御系について説明する。図7に示すように、シート整合部90は、画像形成装置1に搭載された制御部としてのコントローラ600によって制御される。コントローラ600は、CPU600aと、各種のプログラムを格納するROM600bと、CPU600aのワークスペースとして使用されるRAM600cと、を有している。
【0045】
コントローラ600には、操作パネルや物理ボタンを有する操作部412が接続され、ユーザは、操作部412を用いて画像形成装置1の各種設定を変更したりジョブの指示を出したりすることができる。
【0046】
また、コントローラ600には、レジストレーションセンサ8、斜送センサR1、プレレジセンサP1、レジ前センサQ1、プレレジモータMp、斜送駆動モータMs、斜送加圧モータMk及びニップ解除モータ104等が接続されている。
【0047】
[手差し給送装置]
次に、手差し給送装置40について詳しく説明する。図8に示すように、手差し給送装置40は、シートSを支持するシート支持部41と、給送部429と、を有している。給送部429は、シート支持部41に支持されたシートSを給送する給送ローラ42と、シート搬送方向VDにおける給送ローラ42の下流に配置され、給送ローラ42によって給送されたシートSを搬送する引抜ローラ対49と、を有している。なお、本実施の形態では、引抜ローラ対49が2つ設けられているが、1つ又は3つ以上設けられてもよい。また、引抜ローラ対49は、ニップを解除不能に設けられており、引抜ローラ対49を接離させる構成はない。
【0048】
シート支持部41には、図9乃至図11に示すように、1対の第1サイド規制板48が設けられている。この第1サイド規制板48は、シート支持部41に設けられた幅方向WDに延びるガイド溝48aに沿って、幅方向WDに移動可能である。
【0049】
また、シート支持部41には、幅方向WDに延びる回動軸46が支持されており、回動軸46には、取付プレート45が固定されている。回動軸46は、幅方向WDにおける一端に設けられた固定部47により、任意の回動位置で固定される。取付プレート45には、1対の第2サイド規制板43が設けられている。規制部としての第2サイド規制板43は、取付プレート45に設けられた幅方向WDに延びるガイド溝43aに沿って、幅方向WDに移動可能である。そして、1対の第2サイド規制板43は、固定ネジ44によって取付プレート45に固定されることで、幅方向WDにおいて位置決めされる。
【0050】
これら第1サイド規制板48及び第2サイド規制板43は、シート支持部41に支持されたシートSのサイズに応じた位置に位置決めされることで、シートSの幅方向WDにおける位置を規制(整合)する。また、第1サイド規制板48及び第2サイド規制板43は、シート搬送方向VDにおいて十分な長さを有しているため、給送されるシートSの斜行を良好に規制する。また、第2サイド規制板43は、取付プレート45の取付け角度が調整されることで、軸としての回動軸46を中心とした回動方向の位置を調整可能であり、画像形成装置1に対するシートSの位置ずれを補正することができる。
【0051】
シート搬送方向VDにおける長さが長いシート(長尺シート)が給送される場合、シートが第2搬送部55に到達しても、シートの後端が依然としてシート支持部41上にあることがある。この場合、第2搬送部55において、斜送ローラ35,36,37によって基準部材31にシートを幅寄せしようとしても、第1サイド規制板48及び第2サイド規制板43がシートの搬送を妨げ、逆に斜行が助長されてしまう。このため、本実施の形態では、長尺シートを給送する場合、第2搬送部55による幅寄せは行わず、斜送ローラ35,36,37の全てを離間状態にした状態で、長尺シートを搬送する制御を行う。
【0052】
また、斜送ローラ35,36,37が離間状態であっても、搬送経路上にある斜送ローラ35,36,37が回転したままでは、シートが基準部材31に向かう成分の力を受けて斜行補正が行われてしまう。このため、本実施の形態では、斜送ローラ35,36,37の駆動を停止したままシートの搬送を行う。
【0053】
[シートの搬送制御]
次に、シートの搬送制御について図12及び図13のフローチャートに沿って説明する。なお、図12及び図13において、「Y」はYESを意味し、「N」はNOを意味する。
【0054】
操作部412を介してシートの坪量、サイズ、枚数等の情報が入力された状態で画像形成ジョブが開始されると(ステップS1)、コントローラ600は、予め設定されたシートの長さ判定制御に基づいて長尺シートか否かを判断する(ステップS2)。本実施の形態では、例えば操作部412によって設定されたシートの長さが、シート搬送方向VDにおいて給送部429の最下流のローラである引抜ローラ対49から斜送ローラ35までの間の距離よりも長い場合に長尺シートであると判断する。また、例えばシートの長さが、シート搬送方向VDにおいて第2サイド規制板43の下流端43b(図11参照)から斜送ローラ35までの間の距離よりも長い場合に長尺シートであると判断する。
【0055】
そして、長尺シートであると判断された場合(ステップS2:Y)、コントローラ600は、ステップS3~S18を含むモードとしての長尺シート搬送モードを実行する。また、長尺シートでないと判断された場合(ステップS2:N)、コントローラ600は、ステップS19~S36を含む通常シート搬送モードを実行する。
【0056】
まず、長尺シート搬送モードについて説明する。図12に示すように、コントローラ600は、搬送ローラ対341~344の全て及び斜送ローラ35~37の全てを離間状態にするように接離機構100,200を制御する(ステップS3)。次に、コントローラ600は、画像形成部80によって画像形成動作を開始する(ステップS4)。そして、コントローラ600は、画像形成動作の開始タイミングを基準に、給送開始のディレイ時間をカウントして(ステップS5)、給送部429によってシートSを給送する給送処理を実行する(ステップS6)。
【0057】
なお、本実施の形態では、給送部429の給送ローラ42及び引抜ローラ対49によってシートSが給送される。そして、給送ローラ42を駆動する第1給送モータと引抜ローラ対49を駆動する第2給送モータは別個に設けられ、シートSの給送が開始されると、第1給送モータ及び第2給送モータが駆動される。シートSの先端が引抜ローラ対49に到達すると、第1給送モータの駆動が停止される。シート給送時には、プレレジモータMp及び斜送駆動モータMsは停止しているため、シートSは、引抜ローラ対49のみによって停止位置まで搬送される。
【0058】
ここで、下流ローラとしての引抜ローラ対49は、シート支持部41に設けられた第1サイド規制板48及び第2サイド規制板43との距離が近いため、第2サイド規制板43によって斜行が矯正されたまま、シートを搬送することができる。一方、搬送ローラ対341~344及び斜送ローラ35~37は、第1サイド規制板48及び第2サイド規制板43との距離が遠いため、例えばアライメントずれによってシートに斜行を発生させる一因となり得る。しかしながら、搬送ローラ対341~344及び斜送ローラ35~37の全ては、離間状態となっていると共に駆動停止しているため、シートに斜行を発生させることは無い。なお、給送ローラ42及び引抜ローラ対49を1つのモータによって駆動するように構成してもよい。
【0059】
そして、コントローラ600は、プレレジセンサP1がONとなったか否かを判断する(ステップS7)。プレレジセンサP1は、プレレジセンサP1の検知位置にシートSが到達することでOFFからONとなる。プレレジセンサP1がONとなった場合(ステップS7:Y)、コントローラ600は、停止ディレイ時間をカウントし(ステップS8)、シートSを停止位置にて停止させる停止処理を実行する(ステップS9)。シートSの停止は、引抜ローラ対49が駆動停止されることで行われる。また、停止位置に位置するシートSの先端は、シート搬送方向VDにおいて給送部429よりも下流かつレジストレーションローラ対7よりも上流の位置に位置する。より詳しくは、停止位置に位置するシートSの先端は、シート搬送方向VDにおいて引抜ローラ対49よりも下流かつレジストレーションローラ対7よりも上流の位置に位置する。
【0060】
なお、給送開始から所定時間経過してもプレレジセンサP1がシートSを検知しない場合、シート詰まりを表す画面が操作部412に表示され(ステップS18)、ジョブの実行が終了する。
【0061】
ステップS9の後、コントローラ600は、シートSが停止した状態で、複数のローラ対である搬送ローラ対341~344の少なくとも1つが離間状態から当接状態に遷移するように接離機構100を制御する当接処理を実行する(ステップS10)。本実施の形態では、4対の搬送ローラ対341~344の内、2対の搬送ローラ対342,344を離間状態から当接状態に遷移させる。
【0062】
そして、コントローラ600は、画像形成動作の進捗に合わせて駆動開始のディレイ時間をカウントし(ステップS11)、プレレジモータMpの駆動を開始する(ステップS12)。このとき、当接状態となった搬送ローラ対342,344を駆動するプレレジモータMpが駆動されれば十分であるが、依然として離間状態の搬送ローラ対341,343を駆動するプレレジモータを駆動してもよい。そして、当接状態の搬送ローラ対342,344によって、シートSをレジストレーションローラ対7に搬送する搬送処理が実行される。プレレジモータMpの駆動開始タイミングが画像形成動作に合わせて調節されることから、シートSがプレレジセンサP1に到達するまでの時間のばらつきが吸収される。
【0063】
その後、コントローラ600は、レジ前センサQ1がONとなったか否かを判断する(ステップS13)。レジ前センサQ1は、レジ前センサQ1の検知位置にシートSが到達することでOFFからONとなる。レジ前センサQ1がONとなったと判断された場合(ステップS13:Y)、搬送ローラ対342,344の当接(加圧)を解除するためのディレイ時間がカウントされ(ステップS14)、搬送ローラ対342,344が離間状態となる(ステップS15)。なお、所定時間内にレジ前センサQ1がシートSを検知しない場合、シート詰まりを表す画面が操作部に表示され(ステップS18)、ジョブの実行が終了する。
【0064】
シートが二次転写部に送られると、画像形成すべきシートの残り枚数Kを管理するカウンタにより、Kの値がデクリメントされる(ステップS16)。残り枚数Kが0でない場合、つまり画像形成すべきシートが残っている場合(ステップS17:N)、以上の動作(ステップS4~S17)が繰り返される。残り枚数Kが0である場合(S17:Y)、画像形成動作が完了したと判断されてジョブの実行が終了する。
【0065】
次に、通常シート搬送モードについて説明する。図13に示すように、コントローラ600は、搬送ローラ対341~344の全て及び斜送ローラ35~37の全てを当接状態にするように接離機構100,200を制御する(ステップS19)。次に、コントローラ600は、画像形成部80によって画像形成動作を開始する(ステップS20)。そして、コントローラ600は、画像形成動作の開始タイミングを基準に、給送開始のディレイ時間をカウントして(ステップS21)、給送部429によってシートSを給送する(ステップS22)。
【0066】
通常シート搬送モードにおいては、シート給送時に、プレレジモータMpが駆動し、斜送駆動モータは駆動停止している。このため、シートSは、給送部429の引抜ローラ対49及び搬送ローラ対341~344によって停止位置まで搬送される。
【0067】
そして、コントローラ600は、プレレジセンサP1がONとなったか否かを判断する(ステップS23)。プレレジセンサP1がONとなった場合(ステップS23:Y)、コントローラ600は、停止ディレイ時間をカウントし(ステップS24)、シートSを停止させる(ステップS25)。シートSの停止は、不図示の第2給送モータ及びプレレジモータMpが停止され、引抜ローラ対49及び搬送ローラ対341~344が駆動停止されることで行われる。
【0068】
なお、給送開始から所定時間経過してもプレレジセンサP1がシートSを検知しない場合、シート詰まりを表す画面が操作部412に表示され(ステップS36)、ジョブの実行が終了する。
【0069】
ステップS25の後、コントローラ600は、画像形成動作の進捗に合わせてリスタートのディレイ時間をカウントし(ステップS26)、プレレジモータMpの駆動を再開する(ステップS27)。この時、斜送駆動モータMsも駆動され、斜送ローラ35~37は駆動する。その後、コントローラ600は、搬送ローラ対341~344の当接(加圧)を解除するためのディレイ時間をカウントし(ステップS28)、搬送ローラ対341~344を離間状態に遷移させる(ステップS29)。
【0070】
これにより、シートSを基準部材31に突き当てて斜行を補正する突き当て整合動作が開始される。図12に示すフローにおける突き当て整合動作は、搬送ローラ対341~344の加圧解除から、斜送ローラ35~37が離間状態となるまでの期間(ステップS29~S32)である。
【0071】
搬送ローラ対341~344の加圧が解除されると、図2に示すように、シートSは第2搬送部55から受ける搬送力によって、基準部材31に近付くようにシート搬送方向VDに対して斜めに移動を開始する。すなわち、シートSは、シート搬送方向VDに対して傾斜した斜送ローラ35~37の接線方向に沿って斜送され、基準部材31の基準面31aに向かって幅寄せされる。そして、シートSは基準部材31にさらに近づいて基準面31aに側端が当接する。これにより、補正前の状態でシートSの側端がシート搬送方向VDに対して傾斜していた場合には、側端が基準面31aに倣うようにしてシートSの斜行が補正される。なお、実際のシートの移動方向は、シートの慣性やシートに対する搬送抵抗等の影響により斜送ローラのスリップが生じることから、斜送ローラの接線方向とは必ずしも一致しない。
【0072】
その後、コントローラ600は、レジ前センサQ1がONとなったか否かを判断する(ステップS30)。レジ前センサQ1がONとなったと判断された場合(ステップS30:Y)、斜送ローラ35~37の当接(加圧)を解除するためのディレイ時間がカウントされ(ステップS31)、斜送ローラ35~37の当接が解除され離間状態となる(ステップS32)。このディレイ時間は、シートの先端がレジストレーションローラ対7のニップ部に突入した後に斜送ローラ35~37が離間状態となるように設定される。なお、所定時間内にレジ前センサQ1がシートSを検知しない場合、シート詰まりを表す画面が操作部412に表示され(ステップS36)、ジョブの実行が終了する。
【0073】
ステップS36の後、レジストレーションローラ対7にシートSが受け渡されると、図2に示すように、レジストレーションローラ対7がシートを搬送しながら幅方向WDに移動する。これにより、幅方向WDにおけるシートの中心位置が、プロセスユニットPY~PKによって形成される画像の中心位置に合わせて位置決めされる(ステップS33)。
【0074】
シートSが二次転写部に送られると、画像形成すべきシートSの残り枚数Kを管理するカウンタにより、Kの値がデクリメントされる(ステップS34)。残り枚数Kが0でない場合、つまり画像形成すべきシートが残っている場合(ステップS35:N)、以上の動作(ステップS20~S35)が繰り返される。残り枚数Kが0である場合(S35:Y)、画像形成動作が完了したと判断されてジョブの実行が終了する。
【0075】
以上のように、本実施の形態では、上述した長尺シート搬送モードを実行可能である。長尺シート搬送モードでは、第1搬送部50の搬送ローラ対341~344及び第2搬送部55の斜送ローラ35~37によってシートSを搬送せず、引抜ローラ対49によって停止位置までシートSを搬送する。これら搬送ローラ対341~344及び斜送ローラ35~37は、離間状態及び駆動停止状態となっている。
【0076】
言い換えれば、少なくとも給送処理(ステップS6)が開始されてから搬送処理(ステップS12)が終了するまでの間、斜送ローラ35が従動ローラ331に対して離間した状態を維持すると共に斜送駆動モータMsの駆動が停止される。また、少なくとも給送処理(ステップS6)が開始されてから当接処理(ステップS10)が終了するまでの間、プレレジモータMpの駆動が停止される。そして、搬送処理(ステップS12)において、搬送ローラ対341~344の内の当接状態のローラ対である搬送ローラ対342,344が駆動するようにプレレジモータMpが駆動される。
【0077】
このため、たとえアライメントずれや部品交差によってレジストレーションローラ対7に対して平行に搬送ローラ対341~344を配置できなかったとしても、シートSの傾き(斜行)に対しては影響がない。また、斜送ローラ35~37によってシートSに幅方向WDに向かう成分の力が付与されず、シートSの斜行を低減できる。
【0078】
そして、停止位置で停止されたシートSは、搬送ローラ対341~344の一部のローラ対である搬送ローラ対342,344によって挟持され、レジストレーションローラ対7に向けて搬送される。この時、長尺のシートSは、第2搬送部55において突き当て整合を行われないが、第1サイド規制板48及び第2サイド規制板43によって幅方向WDにおける整合が行われるため、シートSの斜行を低減することができる。
【0079】
また、長尺シートの場合、シートのサイズが大きいことでシートの搬送を再開する際(ステップS11)の搬送抵抗が特に大きいために、シートSを加速するときに必要な搬送力が大きく、搬送不良が生じやすい。ここで、例えば搬送ローラ対341~344のアライメントずれ等を考慮して搬送ローラ対341~344の全てを離間状態及び駆動停止状態にさせ、引抜ローラ対49のみによってシートSの搬送を再開させると、搬送力が不十分な場合がある。しかし、本実施の形態では、搬送ローラ対342,344を当接状態にして搬送ローラ対342,344によってシートSが搬送されるため、搬送力不足によるシートSの不送り等の搬送不良を低減できる。なお、当接状態の搬送ローラ対342,344だけでなく、引抜ローラ対49によってもシートSを搬送してもよい。
【0080】
<その他の実施形態>
なお、本実施の形態では、第1搬送部50に搬送ローラ対が4つ設けられ、第2搬送部55に斜送ローラが3つ設けられているが、これに限定されない。第1搬送部50には、搬送ローラ対が2つ以上設けられていればよく、第2搬送部55には、斜送ローラが1つ以上設けられていればよい。
【0081】
また、本実施の形態では、ステップS10に示す当接処理において、搬送ローラ対342,344を当接状態に遷移させたが、これに限定されない。すなわち、搬送ローラ対341~344の少なくとも1つが当接状態に遷移すればよく、例えば搬送ローラ対341~344の全てが当接状態に遷移してもよい。なお、給送されるシートSの属性に応じて、搬送ローラ対341~344の内、上記当接処理において当接状態に遷移させるローラ対の数を変更してもよい。シートSの属性とは、シートSの坪量、サイズ及び種類(コート紙、非コート紙等)等の情報を含む。例えば、第1の坪量のシートSを搬送する際には、当接処理において搬送ローラ対341~344の内の第1の数(例えば1つ)のローラ対のみを当接状態に遷移させてもよい。そして、第1の坪量よりも大きい第2の坪量のシートSを搬送する際には、当接処理において搬送ローラ対341~344の内の第1の数よりも多い第2の数(例えば3つ)のローラ対を当接状態に遷移させてもよい。例えば、第1のサイズのシートSを搬送する際には、当接処理において搬送ローラ対341~344の内の第1の数(例えば1つ)のローラ対のみを当接状態に遷移させてもよい。そして、第1のサイズよりも大きい第2のサイズのシートSを搬送する際には、当接処理において搬送ローラ対341~344の内の第1の数よりも多い第2の数(例えば3つ)のローラ対を当接状態に遷移させてもよい。
【0082】
また、本実施の形態では、シートSを挟持しながら幅方向WDにスライド移動可能なレジストレーションローラ対7を設けたが、これに限定されない。例えば、レジストレーションローラ対7は、画像形成タイミングに同期してシートSを搬送するものの、幅方向WDにスライド移動不能に構成されていてもよい。
【0083】
また、本実施の形態では、接離機構200は、従動ローラ331を斜送ローラ35に対して接離可能に構成されていたが、これに限定されない。すなわち、接離機構200は、斜送ローラ35及び従動ローラ331の少なくともいずれか一方を斜送ローラ35及び従動ローラ331のいずれか他方に対して接離するように構成されていればよい。また、斜送駆動モータMsは、斜送ローラ35を駆動していたが、斜送ローラ35及び従動ローラ331の少なくともいずれか一方を駆動すればよい。
【0084】
また、本実施の形態では、長尺シート搬送モードにおいて、当接処理(ステップS10)が終了するまでの間、プレレジモータMpの駆動が停止されていたが、これに限定されない。例えば、給送処理(ステップS6)が開始されてから当接処理(ステップS12)が開始されるまでの間、プレレジモータMpが駆動されていてもよい。
【0085】
また、既述のいずれの形態においても、電子写真方式の画像形成装置1を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ノズルからインク液を吐出させることでシートに画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置にも本発明を適用することが可能である。
【0086】
本発明は上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0087】
1:画像形成装置/7:第3搬送部(レジストレーションローラ対)/13,14:2つのローラ(駆動ローラ、従動ローラ)/31:基準部材/35d:回転軸/35:斜送ローラ/41:シート支持部/42:給送ローラ/43:規制部(第2サイド規制板)/43b:下流端/46:軸(回動軸)/49:下流ローラ、最下流のローラ(引抜ローラ)/50:第1搬送部/55:第2搬送部/80:画像形成部/100:接離機構、第1接離機構/200:第2接離機構/331:挟持ローラ/341~344:複数のローラ対(搬送ローラ対)/429:給送部/600:制御部(コントローラ)/700:シート搬送装置/Mp:第1駆動部(プレレジモータ)/Ms:第2駆動部(斜送駆動モータ)/S:シート/VD:シート搬送方向/WD:幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13