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▶ 株式会社ナリス化粧品の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】水中油型日焼け止め化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20240617BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20240617BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240617BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20240617BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20240617BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/89
A61K8/34
A61K8/92
A61K8/55
A61Q17/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020057656
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021155365
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591230619
【氏名又は名称】株式会社ナリス化粧品
(72)【発明者】
【氏名】河内 佑介
(72)【発明者】
【氏名】前田 晶子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕太
(72)【発明者】
【氏名】中村 徹
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-094303(JP,A)
【文献】国際公開第2016/002751(WO,A1)
【文献】特開2012-162481(JP,A)
【文献】特開平04-334309(JP,A)
【文献】特開2017-88568(JP,A)
【文献】特開2004-269502(JP,A)
【文献】Daily Moisturizing Lotion SPF 30 ,ID 7096597,Mintel GNPD[online],2019年12月,[検索日2023.09.15],URL,https://www.portal.mintel.com
【文献】BB Cushion SPF 50+ PA+++,ID 2425035,Mintel GNPD[online],2014年5月,[検索日2023.09.15],URL,https://www.portal.mintel.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(F)
(A):HLBが1~7のPEG-10ジメチコン及び/又はPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 1.2質量%~3.6質量%
(B):紫外線防御剤として疎水化処理酸化亜鉛 5~16%
(C):高級アルコール及び/又はモノアシルグリセロールとして
セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、フィトステロール、モノステアリン酸グリセリル、及びモノベヘン酸グリセリルから選ばれる1種又は2種以上 1.15質量%~3.8質量%
(D):成分(C)以外の液状油
(E):PEG-20フィトステロール及び/又はPEG-30フィトステロール 0.25質量%~0.8質量%
(F):水添レシチン 0.05質量%~1.5質量%
を含む水中油型日焼け止め化粧料。
【請求項2】
前記成分(D)がトリアシルグリセロール、トリアシルグリセロール以外の脂肪酸エステル油、シリコーン油から選ばれる1種又は2種以上を含む、請求項1記載の水中油型日焼け止め化粧料。
【請求項3】
前記成分(E)がPEG-20フィトステロールである請求項1に記載の水中油型日焼け止め化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型日焼け止め化粧料用に関し、更に詳細には、高い耐水性を有しながら洗浄時に肌から容易に除去することができ、使用感、経時安定性に優れる水中油型日焼け止め化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線の害から皮膚を守ることはスキンケアにおける重要な課題のひとつである。紫外線が皮膚に与える悪影響を最小限に抑えるために様々な検討がなされている。例えば紫外線吸収剤や紫外線散乱剤を配合した塗膜で皮膚を覆うことによって紫外線の害から皮膚を守る方法が報告されている(非特許文献1)。
【0003】
また、紫外線を防止する効果を保持する観点から、汗・水に強い等、耐水性に対するニーズが多く昨今では耐水性を訴求した製品が多数発売されている。
【0004】
一般的に水中油型乳化系の化粧料は、使用感が良好で油膜閉塞性を示さないが、耐水性に劣るために紫外線防御効果の持続性に問題があった(特許文献1、特許文献2)。
【0005】
特許文献1、特許文献2にもあるように耐水性を高める手段として、撥水効果が高いオイルや樹脂成分、高分子化合物を配合することが知られているが、このような手法で耐水性を付与すると、化粧料を落とす際に通常の洗浄剤で落とすことが困難になる場合がある。洗浄剤で容易に落とせないと、紫外線吸収剤は肌への刺激の懸念があり、紫外線散乱剤は紫外線吸収剤よりも安全といわれているが洗浄後の肌感触が悪いなどの問題がある(特許文献3、特許文献4)。
【0006】
さらに、水中油型乳化系ではオイルや樹脂成分は安定性不良の原因になりやすく、製剤の安定化に関して課題が生じることがある。また、樹脂成分や高分子化合物など皮膜性を有する成分を配合すると使用感も悪くなってしまう。つまり、高い耐水性と製剤安定性、良好な使用感に加え、家庭で一般的に使用されている洗浄剤で化粧料を容易に落とすことができる洗浄性についても同時に求められている。
【0007】
以上のことから、高い耐水性と洗浄性、製剤安定性、良好な使用感を兼ね備えた水中油型日焼け止め化粧料が求められてきた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】「新化粧品学」第2版、光井武夫編、2001年、南山堂発行、第497~504頁
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平7-89834号公報
【文献】特開2010-90074号公報
【文献】特開2003-206214号公報
【文献】特開2015-124172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、高い耐水性と洗浄性、製剤安定性、良好な使用感を兼ね備えた水中油型日焼け止め化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明者が、鋭意研究した結果、特定の成分を組み合わせた水中油型日焼け止め化粧料が上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、
次の成分(A)~(F)を含む水中油型日焼け止め化粧料である。
(A):ポリエーテル変性シリコーン
(B):紫外線防御剤
(C):高級アルコール及び/又はモノアシルグリセロール
(D):成分(C)以外の液状油
(E):ポリオキシエチレンステロール
(F):水添レシチン
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高い耐水性と洗浄性、製剤安定性、良好な使用感を兼ね備えた水中油型日焼け止め化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について更に詳しく説明する。なお、特段注釈のない限り、以下で成分の配合量を「%」で表示する場合は質量%を意味する。
【0015】
本発明に用いる成分(A)ポリエーテル変性シリコーンは、特に限定されないがポリオキシアルキレン基を有するシリコーン誘導体が好適に使用され、ポリエーテル鎖は分岐、直鎖いずれの形態でもよい。ポリエーテルの構成単位種としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、などのポリオキシアルキレンが望ましい。さらに好ましくはポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンが好ましい。成分(A)の具体例としては、PEG/PPG-20/22ブチルエーテルジメチコン、PEG-3ジメチコン、PEG-7ジメチコン、PEG-9ジメチコン、PEG-10ジメチコン、PEG-32メチルエーテルジメチコン、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ポリシリコーン-13などが挙げられる。これら成分の中でも特にPEG-10ジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンが好ましい。成分(A)は、その他構成成分と併用する事で良好な安定性と良好な使用感、高い耐水性と優れた洗浄性を達成することができる。
【0016】
本発明に利用されるポリエーテル変性シリコーンのHLBは特に限定されないが1~10が好ましく、さらに好ましくは3~7が好ましい。
【0017】
本発明に用いる成分(A)の配合量は特に限定されないが、好ましくは0.5質量%~5質量%、さらに好ましくは1.5質量%~3質量%が好ましい。この範囲で、成分(B)~(F)との組み合わせ時に特に洗浄性が優れ、かつ耐水性も付与できる効果が良好である。
【0018】
成分(A)ポリエーテル変性シリコーンは、これらのうち1種を単独で用いても、またはこれらを混合して用いても差支えない。
【0019】
本発明に用いる成分(B)紫外線防御剤は紫外線散乱剤(B1)および/または紫外線吸収剤(B2)が該当する。
【0020】
成分(B1)紫外線散乱剤は特に制限がなく、通常化粧料に用いられるものを使用することができるが、疎水化処理金属酸化物が好適に用いられる。紫外線防御の観点から、走査型電子顕微鏡を用いて、任意の視野の粒子10個について、粒子径を測定した平均一次粒子径が100nm以下の微粒子を用いることが好ましい。特に好ましい金属酸化物としては酸化チタンや酸化亜鉛、酸化セリウムなどが挙げられる。疎水化処理の方法は特に制限無く、被覆処理、焼付処理、およびシランカップリング剤処理等の一般的に用いられている処理方法等が挙げられる。疎水化処理剤は特に限定されず、金属石鹸、シリコーン、脂肪酸、リン脂質、フッ素化合物、シリル化剤、およびアシルアミノ酸などが好適に使用できる。特に脂肪酸のイソステアリン酸処理及びシリコーン処理が、組成物の安定性、耐水性、洗浄性の観点から好適である。シリコーン処理に用いるシリコーンとしては特に限定されないが、メチコン、ジメチコン、ハイドロゲンジメチコンなどが挙げられる。
【0021】
本発明に用いる成分(B1) 紫外線散乱剤の配合量としては、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限はないが、通常全組成中に3質量%~35質量%、好ましくは5質量%~25質量%の範囲で用いられる。この範囲では良好な安定性と良好な使用感、高い耐水性と洗浄性が非常に優れている。
【0022】
成分(B1) 紫外線散乱剤は、これらのうち1種を単独で用いても、またはこれらを混合して用いても差支えない。
【0023】
成分(B2)紫外線吸収剤は、特に制限がなく、通常化粧料に用いられるものを使用することができる。好ましい紫外線吸収剤としては、オクチルメトキシシンナメート(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、オクトクリレン、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、オキシベンゾン-3、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ホモサレート、サリチル酸エチルへキシルのような紫外線吸収剤が挙げられる。
【0024】
本発明に用いる成分(B2)紫外線吸収剤の配合量としては、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限はないが、通常全組成中に0.1質量%~25質量%、好ましくは1質量%~20質量%の範囲で用いられる。この範囲では良好な安定性と良好な使用感、高い耐水性と洗浄性が非常に優れている。
【0025】
成分(B2)紫外線吸収剤は、これらのうち1種を単独で用いても、またはこれらを併用しても差支えない。
【0026】
成分(B1)紫外線散乱剤と(B2)紫外線吸収剤は、それぞれ1種を単独で用いても、併用しても、または2種以上を混合して用いても差し支えない。
【0027】
本発明に用いる成分(C)のうち高級アルコールは、炭化水素基の炭素数が12以上のアルコールであり、16以上の炭素数のものが好ましい。モノアシルグリセロールは、1分子の脂肪酸に対し、1分子のグリセリンが結合している物質であり、脂肪酸の炭素数は12以上が好ましく、16以上がより好ましい。いずれも炭化水素部分ついて直鎖、分岐、不飽和などの構造は特に制限はなく、通常化粧料に用いられるものを使用することができる。成分(C)は、他の構成成分と併用する事で良好な安定性と良好な使用感、高い耐水性と優れた洗浄性を達成することができる。
【0028】
本発明に用いる成分(C)の好適な例は、高級アルコールとしてはセタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、フィトステロール、ラノリンアルコール、コレステロールなどが挙げられる。モノアシルグリセロールとしては、モノステアリン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル等が挙げられる。特に高級アルコールとしては、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、フィトステロールが好ましい。モノアシルグリセロールとしてはモノステアリン酸グリセリルが望ましい。
【0029】
本発明に用いる成分(C)高級アルコール及び/又はモノアシルグリセロールの配合量は本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限はないが、好ましくは、全組成中に0.5質量%~10質量%、さらに好ましくは1質量%~5質量%である。この範囲では良好な安定性と良好な使用感、高い耐水性と効果的な洗浄性が非常に優れている。
【0030】
成分(C)高級アルコール及び/又はモノアシルグリセロールは、これらのうち1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いても差支えない。
【0031】
本発明に用いる成分(D)は25℃環境下で液体状の油剤である。なお成分(C)が25℃で液状である場合にも成分(D)には含まれない。成分(D)の種類は特に限定されないが、炭化水素油、エーテル油、エステル油、トリアシルグリセロール、植物油、シリコーン油などが例示される。具体的には、軽質流動パラフィン、スクワラン、ワセリン等の炭化水素油;セチルジメチルブチルエーテル、エチレングリコールジオクチルエーテル、グリセロールモノオレイルエーテル等のエーテル油;ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸イソデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、エチルヘキサン酸セチル等のエステル油;トリミリスチン酸グリセリン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリルなどのトリアシルグリセロール;マカデミアナッツ油、ホホバ油、オリーブ油などの植物油;ジメチコン、シクロペンタシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、フェニルトリメチコン、カプリリルメチコンなどのシリコーン油が挙げられる。特に好ましくはトリアシルグリセロールである。これら成分を用い、その他本発明の必須成分と併用する事で良好な安定性と良好な使用感、高い耐水性と優れた洗浄性を達成することができる。
【0032】
本発明に用いる成分(D)の配合量は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に限定されないが通常全組成中に1質量%~40質量%が好ましく、5質量%~30質量%がより好ましい。 この範囲では乳化安定性、使用感の点で好適である。
【0033】
成分(D)は、これらのうち1種を単独で用いても、併用しても、またはこれらを混合して用いても差支えない。
【0034】
本発明に用いる成分(E)ポリオキシエチレンステロールは、特に制限はなく、通常化粧料に用いられるものを使用することができる。具体的にはPEG-10フィトステロール、PEG-15フィトステロール、PEG-20フィトステロール、PEG-10ダイズステロールなどが挙げられる。中でも好ましくはポリオキシエチレンフィトステロールが望ましい。この成分を用い、その他構成成分と併用する事で良好な安定性と良好な使用感、高い耐水性と優れた洗浄性を達成することができる。
【0035】
本発明に用いる成分(E)の配合量は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限はないが、通常全組成中に0.01質量%~2質量%が好ましく、0.3質量%~0.8質量%がより好ましい。この範囲では乳化安定性、使用感の点で好適である。
【0036】
成分(E)ポリオキシエチレンステロールは、これらのうち1種を単独で用いても、またはこれらを混合して用いても差支えない。
【0037】
本発明に用いる成分(F)水添レシチンは、特に制限はないが例えば大豆や卵黄から抽出されたリン脂質を水素添加したものが挙げられる。抽出方法や性状に制限はなく、通常化粧料に用いられるものを使用することができ、医薬部外品原料規格などの規格値を満たすものが好適である。これら成分を配合することにより製剤の安定性が向上し、さらには成分(B)によるきしみ感を改善し、より使用感の向上が期待できる。
【0038】
本発明に用いる成分(F)水添レシチンの配合量は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限はないが、通常全組成中に0.01質量%~2質量%が好ましく、0.05質量%~1.0質量%がより好ましい。この範囲では良好な安定性と良好な使用感、高い耐水性と洗浄性が非常に優れている。
【0039】
本発明の組成物には、上記の必須成分のほかに、必要に応じ一般的に化粧料などに用いられる成分を配合することも可能である。例えば、パール剤、保湿剤、増粘剤、水溶性高分子、香料、殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、抗炎症剤、抗酸化剤、清涼剤、生薬抽出物やビタミン類等の添加物を適時配合することができる。これら成分を含有させる場合の配合割合は、その種類や目的に応じて適宜選択することができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【実施例
【0040】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に説明する。なお、これら実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【0041】
<洗浄性の評価>
10人の専門パネルに実際に使用してもらい、洗浄性(落ち易さ)について、以下の基準で判定した。塗布後、4時間後に下記洗浄剤にて洗浄した。
【0042】
[洗浄剤組成]
配合成分 配合量(%)
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 4.0
ミリスチン酸 2.5
ラウリン酸 1.8
アルキル(8~16)グルコシド 1.5
水酸化カリウム 1.4
イソステアリン酸 0.4
塩化ナトリウム 0.15
水 残余
合計 100
[評価基準]
◎:8~10人が洗浄し易いと回答した。
○:5~7人が洗浄し易いと回答した。
△:2~4人が洗浄し易いと回答した。
×:0~1人が洗浄し易いと回答した。
【0043】
<耐水性評価方法>
所定のPMMAプレート(ポリメタクリル酸メチル) HELIOPLATE HD6 (5×5cm 表面粗さ6μm HELIOSCREEN社製)に各例の化粧料を2mg/cm2の量で滴下し、60秒間指で塗布し、15分間乾燥した後、SPFアナライザー(LABSPHERE社製 UV TRANSMITTANCE ANALYZER/UV-1000S)にて測定した。次いで、上記PMMAの板(各組成物を塗布したもの)を流水に40分さらし、十分に乾燥させた後、SPF値を再度測定した。耐水性試験後のSPF値が耐水性試験前のSPF値に対して何パーセントに該当するかを算出し、その値を残存率(%)とした(下記数式1)。
[評価基準]
◎:75%以上の残存率
○:50%以上から75%未満の残存率
×:50%未満の残存率
【0044】
【数1】
【0045】
安定性に関しては下記項目で評価を行った。
<安定性(分離)>
調製した製剤を40度下で2週間静置させ、2週間後の状態(分離)を目視にて確認する。
◎:分離が全く起こっていない。
○:分離がわずかに起こっているが、使用に際し製品品質上問題ない程度である。
×:分離が目立つ状態でおこっており、製品品質上好ましくない。
【0046】
<官能特性評価試験B:みずみずしさ>
官能特性評価試験は、評価試料を顔面に塗布した時の感触(みずみずしさ)について、10名の専門判定員が以下の評価基準に従ってみずみずしさを感じるものほど高い評価点とし、実施例・比較例それぞれのサンプルに評価点をつけた。その平均点に従って、4.0以上を◎、3.0以上4.0未満を○、2.0以上3.0未満を△、2.0未満を×とした。また、塗布後5時間経過後、同様に感触(みずみずしさ)を評価した。
【0047】
[評価基準]
5:非常に好ましい。
4:好ましい。
3:どちらともいえない。
2:好ましくない。
1:非常に好ましくない。
【0048】
使用感に関しては2つの項目にて評価を行った。
<官能特性評価試験A:べたつき感>
官能特性評価試験は、評価試料を顔面に塗布した時の感触(べたつき感)について、10名の専門判定員が以下の評価基準に従って評価点をつけ、その平均点に従って、4.0以上を◎、3.0以上4.0未満を○、2.0以上3.0未満を△、2.0未満を×とした。また、塗布後5時間経過後、同様に感触(べたつき感)を評価した。
【0049】
[評価基準]
5:全くべたつかず、非常に好ましい。
4:べたつかず、好ましい。
3:どちらともいえない。
2:べたつきを感じ、好ましくない。
1:非常にべたつき、好ましくない。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
※1 HLB4.5
※2 HLB4.0
※3 メチコン処理酸化亜鉛
※4 ハイドロゲンジメチコン処理酸化亜鉛
※5 トリエトキシカプリリルシラン処理酸化亜鉛
※6 イソステアリン酸処理酸化亜鉛
【0052】
実施例からもわかるように、本発明の成分を配合した実施例1~8は優れた洗浄性、経時安定性、耐水性、使用感を有していることがわかる。
【0053】
実施例1~実施例3によると成分A、Bによって耐水性、安定性、使用感に変化がみられる。一般的に疎水化処理酸化亜鉛のような撥水性紛体の配合量を高めると耐水性が向上し、洗浄性が著しく悪くなるが、実施例1~3では耐水性や使用感、安定性にわずかに変化がみられるが、洗浄性については非常に良好な結果が得られている。またさらに高級アルコールや液状油といった油性の基剤である成分C、Dを増やしても、本組み合わせであれば洗浄性を悪くすることなく高い耐水性や洗浄性を発揮することができている(実施例5)。また、成分(A)を配合しない比較例1は成分Bの分散も悪くなり乳化物としてそもそも状態が悪く、洗浄性、安定性、耐水性、使用感など各種項目も非常に悪い結果となった。成分(B)をカットした比較例2は耐水性以外の項目は比較的良好であるが、そもそも日焼け止め化粧料ではなくなってしまう。成分(C)、(D)、(E)、(F)をカットした比較例3~5を見ると、洗浄性や安定性が著しく悪くなっていることからも本願構成成分がこれらの効果をすべて同時に達成するために必要な構成だということがわかる。さらに、一般的によく水中油型乳化化粧料で用いられるノニオン性の界面活性剤を応用した通常の日焼け止め化粧料(比較例9、10)を調製したが、通常のノニオン性界面活性剤だけではそもそも水中油型乳化化粧料が調製できない(比較例9)、調製が可能な組み合わせがあっても安定性や使用感、耐水性などの項目が悪い結果(比較例10)が得られている。これは一般的に油中水型に用いられる成分(A)により水中油型系の乳化を安定して形成すること自体がそもそも難しいことが示唆されている。この観点からも本発明の優位性が高いことがわかる。
【0054】
常法にて、各処方の組成物を作製した。いずれの処方においても本発明の効果を奏することが確認された。
【0055】
(1)日焼け止め化粧料
配合成分 配合量(%)
疎水化処理酸化亜鉛※3 13
シクロペンタシロキサン 15
PEG-10ジメチコン 3
メチルフェニルポリシロキサン 2
ジメチコン 1
ネオペンタン酸イソデシル 3
セタノール 0.2
ステアリルアルコール 0.9
ベヘニルアルコール 0.9
フィトステロールズ 0.2
モノステアリン酸グリセリル 0.1
PEG-20フィトステロール 0.5
水添レシチン 0.1
エチルヘキシルトリアゾン 0.1
イソステアリン酸PEG-60グリセリル 1
1,3-ブチレングリコール 10
キサンタンガム 0.1
ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル 0.05
シロキクラゲ多糖体 0.02
アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム
共重合体/イソヘキサデカン/ポリソルベート80 1.0
防腐剤 適量
安定化剤 適量
精製水 残余
【0056】
(2)日焼け止め化粧料
配合成分 配合量(%)
疎水化処理酸化亜鉛※3 13
シクロペンタシロキサン 15
PEG-10ジメチコン 2
セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン 0.1
PEG-32メチルエーテルジメチコン 0.1
メチルフェニルポリシロキサン 2
ジメチコン 1
ネオペンタン酸イソデシル 3
セバシン酸イソプロピル 1
パルミチン酸デキストリン 0.5
セタノール 0.2
ステアリルアルコール 0.9
ベヘニルアルコール 0.9
フィトステロールズ 0.2
ステアリン酸グリセリル 0.1
PEG-20フィトステロール 0.5
水添レシチン 1.5
PEG-50水添ヒマシ油 1
1,3-ブチレングリコール 10
キサンタンガム 0.1
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)
コポリマー 0.4
防腐剤 適量
安定化剤 適量
精製水 残余
【0057】
(3)日焼け止め化粧料
配合成分 配合量(%)
疎水化処理酸化亜鉛※3 13
イソステアリン酸処理微粒子酸化チタン(平均一次粒子径10nm) 2
シリカ 3
シクロペンタシロキサン 15
PEG-10ジメチコン 3
メチルフェニルポリシロキサン 2
ジメチコン 1
ネオペンタン酸イソデシル 3
セバシン酸イソプロピル 1
パルミチン酸デキストリン 0.5
セタノール 0.2
ステアリルアルコール 0.9
ベヘニルアルコール 0.9
フィトステロールズ 0.2
モノステアリン酸グリセリル 0.1
PEG-20フィトステロール 0.4
PEG-30フィトステロール 0.1
水添レシチン 0.1
PEG-50水添ヒマシ油 1
1,3-ブチレングリコール 10
キサンタンガム 0.1
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)
コポリマー 0.4
防腐剤 適量
安定化剤 適量
精製水 残余
【0058】
(4)日焼け止め化粧料
配合成分 配合量(%)
疎水化処理酸化亜鉛※3 13
イソステアリン酸処理微粒子酸化チタン(平均一次粒子径10nm) 2
シリカ 3
シクロペンタシロキサン 15
PEG-10ジメチコン 3
メチルフェニルポリシロキサン 2
ジメチコン 1
ネオペンタン酸イソデシル 3
セバシン酸イソプロピル 1
パルミチン酸デキストリン 0.5
セタノール 0.2
ステアリルアルコール 0.9
ベヘニルアルコール 0.9
フィトステロールズ 0.2
PEG-20フィトステロール 0.4
PEG-30フィトステロール 0.1
水添レシチン 0.1
PEG-50水添ヒマシ油 1
1,3-ブチレングリコール 10
キサンタンガム 0.1
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)
コポリマー 0.4
防腐剤 適量
安定化剤 適量
精製水 残余