(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240617BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
G03G15/08 345
G03G21/16 109
(21)【出願番号】P 2020070709
(22)【出願日】2020-04-10
【審査請求日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】P 2020020198
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三又 昭範
(72)【発明者】
【氏名】河波 健男
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昌明
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-006111(JP,A)
【文献】特開2018-072611(JP,A)
【文献】特開2005-195704(JP,A)
【文献】特開平09-106123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤が収容された補給容器を着脱可能であって、記録材にトナー像を形成する画像形成装置において、
現像剤を収容する収容部と、前記補給容器から前記収容部へ現像剤が補給されるための補給口と、を有する現像容器と、
トナー像が転写された記録材を排出方向に排出する排出手段と、
前記排出手段によってシートを機外に排出するための排出口と、
前記画像形成装置の外装の上面の一部であり、前記排出方向において前記排出口よりも下流に位置すると共に前記排出手段から排出された記録材を積載する積載手段であって、排出された記録材を積載する第1領域と、前記排出方向に直交する幅方向において前記排出口よりも外側に位置する第2領域と、を有する積載手段と、を備え、
前記補給口は、前記幅方向において前記第1領域に対応する位置に配置され、
前記第2領域の少なくとも一部は、前記排出口よりも下方に位置
し、
前記現像容器が画像形成装置の装置本体に装着されている状態で、画像形成装置の外部から前記補給口を介して前記現像容器に現像剤を補給できるように構成されている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1領域は、前記補給口が露出するように開口した開口部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2領域は、前記第1領域に対して面一となるように設けられる、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2領域の少なくとも一部は、前記第1領域よりも上方に位置する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記排出方向における前記第2領域の下流端は、前記排出方向における前記第1領域の下流端より、高さ方向に関して、下側に位置する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置の外装の上面の一部であって、前記排出口よりも上方に配置される第3領域を備え、
前記積載手段は、前記排出方向における前記第3領域の下流端部と前記第2領域とを接続し、前記排出方向における下流に向かうにしたがって下方に傾斜する傾斜部と、を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記開口部は、前記幅方向において前記第2領域に隣接して配置される、
ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2領域は、前記補給口に装着された前記補給容器の把持部の上端よりも下方に位置する、
ことを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記開口部を覆うカバー部を備える、
ことを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
現像剤が収容された補給容器を着脱可能であって、記録材にトナー像を形成する画像形成装置において、
トナー像が転写された記録材を排出方向に排出する排出手段と、
前記排出手段によってシートを機外に排出するための排出口と、
前記画像形成装置の外装の上面の一部であって、前記排出手段から排出された記録材を積載する積載面と、
現像剤を収容する収容部と、前記補給容器から前記収容部へ現像剤が補給されるための補給口と、を有し、前記排出方向に直交する幅方向において前記積載面に対応する位置に前記補給口が位置する現像容器と、
前記排出方向において前記排出口よりも下流に位置すると共に前記幅方向において前記積載面よりも外側に位置し、画像形成装置の外装の一部を構成し、前記補給口から離れる方向に移動可能な移動部材と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記積載面は、前記補給口が露出するように開口した開口部を有し、
前記移動部材は、前記開口部を覆うカバー部を有する、
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記現像容器を収容する筐体を備え、
前記移動部材は、前記筐体に開閉可能に支持される、
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記移動部材は、前記筐体に対して閉じられた状態で、前記排出口よりも上方に突出する面を備える、
ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記現像容器が画像形成装置の装置本体に装着されている状態で、画像形成装置の外部から前記補給口を介して前記現像容器に現像剤を補給できるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1
0乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式の画像形成装置は、感光ドラムの表面に形成したトナー像を、転写媒体としての転写材に転写することで、画像を形成する。そして、現像剤の補給方式は、例えばプロセスカートリッジ方式やトナー補給方式が知られている。プロセスカートリッジ方式は、感光ドラムと現像容器をプロセスカートリッジとして一体化し、現像剤が切れるとプロセスカートリッジを新品に交換する方式である。
【0003】
一方、トナー補給方式は、トナーが切れると、新たにトナーを現像容器に補給する方式である。従来、トナーが搬送されるトナー搬送路に、トナーを補給可能なトナー供給箱が接続されるトナー補給方式の一成分現像装置が提案されている(特許文献1参照)。トナー供給箱に貯留されたトナーは、搬送スクリューによってトナー搬送路に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、画像形成装置は、上述のプロセスカートリッジ方式やトナー補給方式等の、さまざまな使われ方がユーザから求められている。
【0006】
そこで、本発明は、画像形成装置の一形態を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、現像剤が収容された補給容器を着脱可能であって、記録材にトナー像を形成する画像形成装置において、現像剤を収容する収容部と、前記補給容器から前記収容部へ現像剤が補給されるための補給口と、を有する現像容器と、トナー像が転写された記録材を排出方向に排出する排出手段と、前記排出手段によってシートを機外に排出するための排出口と、前記画像形成装置の外装の上面の一部であり、前記排出方向において前記排出口よりも下流に位置すると共に前記排出手段から排出された記録材を積載する積載手段であって、排出された記録材を積載する第1領域と、前記排出方向に直交する幅方向において前記排出口よりも外側に位置する第2領域と、を有する積載手段と、を備え、前記補給口は、前記幅方向において前記第1領域に対応する位置に配置され、前記第2領域の少なくとも一部は、前記排出口よりも下方に位置し、前記現像容器が画像形成装置の装置本体に装着されている状態で、画像形成装置の外部から前記補給口を介して前記現像容器に現像剤を補給できるように構成されている、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、現像剤が収容された補給容器を着脱可能であって、記録材にトナー像を形成する画像形成装置において、トナー像が転写された記録材を排出方向に排出する排出手段と、前記排出手段によってシートを機外に排出するための排出口と、前記画像形成装置の外装の上面の一部であって、前記排出手段から排出された記録材を積載する積載面と、現像剤を収容する収容部と、前記補給容器から前記収容部へ現像剤が補給されるための補給口と、を有し、前記排出方向に直交する幅方向において前記積載面に対応する位置に前記補給口が位置する現像容器と、前記排出方向において前記排出口よりも下流に位置すると共に前記幅方向において前記積載面よりも外側に位置し、画像形成装置の外装の一部を構成し、前記補給口から離れる方向に移動可能な移動部材と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、画像形成装置の一形態を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施の形態に係る画像形成装置を示す断面図。
【
図3】(a)はトナーパックを示す斜視図、(b)はトナーパックを示す斜視図。
【
図8】(a)はトナーパックの回転容器ユニットを示す斜視図、(b)は回転容器ユニットを示す斜視図。
【
図9】(a)はシャッタ部材及びシール部材を示す分解斜視図、(b)はシャッタ部材及びシール部材を示す斜視図。
【
図10】(a)は遮蔽状態のトナーパックを示す断面図、(b)は開放状態のトナーパックを示す断面図。
【
図11】(a)は遮蔽状態のトナーパックを示す斜視図、(b)は開放状態のトナーパックを示す斜視図。
【
図12】(a)は遮蔽状態のトナー受入部を示す斜視図、(b)は開放状態のトナー受入部を示す斜視図。
【
図13】(a)は遮蔽状態のトナー受入部を示す斜視図、(b)は開放状態のトナー受入部を示す斜視図。
【
図16】(a)は円筒部及びベースシールを示す分解斜視図、(b)は円筒部及びベースシールを示す斜視図。
【
図17】(a)はシャッタ部材及びシャッタシートを示す分解斜視図、(b)はシャッタ部材及びシャッタシートを示す斜視図。
【
図18】円筒部及びシャッタ部材を示す分解斜視図。
【
図19】(a)は遮蔽状態のトナー受入部を示す断面図、(b)は開放状態のトナー受入部を示す断面図。
【
図20】(a)は遮蔽状態のトナー受入部及びトナーパックを示す斜視図、(b)は開放状態のトナー受入部及びトナーパックを示す斜視図。
【
図21】(a)は現像容器とトナーパックとが装着される前の状態を示す断面図、(b)は現像容器にトナーパックが装着された状態を示す断面図、(c)は
図21(b)に示す状態から補給ベースが所定角度回転した状態を示す断面図。
【
図22】(a)はトナー供給口及びトナー排出口が開放した状態を示す断面図、(b)は
図22(a)に示す状態から補給ベースが所定角度回転した状態を示す断面図。
【
図23】(a)は
図22(b)に示す状態から補給ベースが所定角度回転した状態を示す断面図、(b)はトナー供給口及びトナー排出口が遮蔽された状態を示す断面図。
【
図25】ユーザがトナーパックを画像形成装置に装着する際の様子を示す斜視図。
【
図26】(a)は第2の実施の形態に係るシャッタ部材及びトナーパックを示す分解斜視図、(b)は第2の実施の形態に係るシャッタ部材及びトナーパックを示す斜視図。
【
図28】第2の実施の形態に係る画像形成装置を示す斜視図。
【
図30】(a)は第3の実施の形態に係る画像形成装置を示す斜視図、(b)はトナーパックが装着された状態の画像形成装置を示す斜視図。
【
図31】(a)は第3の実施の形態に係る画像形成装置を示す平面図、(b)はトナーパックが装着された状態の画像形成装置を示す平面図。
【
図32】(a)は第3の実施の形態に係る画像形成装置を示す断面図、(b)はトナーパックが装着された状態の画像形成装置を示す断面図。
【
図35】第4の実施の形態に係る画像形成装置を示す斜視図。
【
図36】第5の実施の形態に係る画像形成装置を示す斜視図。
【
図37】(a)は第6の実施の形態に係る画像形成装置を示す斜視図、(b)はトナーパックが装着された状態の画像形成装置を示す斜視図。
【
図38】(a)は第6の実施の形態に係る画像形成装置を示す平面図、(b)はトナーパックが装着された状態の画像形成装置を示す平面図。
【
図39】(a)は第6の実施の形態に係る画像形成装置を示す断面図、(b)はトナーパックが装着された状態の画像形成装置を示す断面図。
【
図40】(a)は第5の実施の形態の変形例を示す斜視図、(b)は第5の実施の形態の変形例を示す側面図。
【
図41】(a)は第3の実施の形態の変形例を示す斜視図、(b)は開閉部材が開いた状態の変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための例示的な形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係る画像形成装置1の構成を示す概略図である。画像形成装置1は、外部機器から入力される画像情報に基づいて記録材に画像を形成するモノクロプリンターである。記録材には、普通紙及び厚紙等の紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート等のプラスチックフィルム、封筒やインデックス紙等の特殊形状のシート、並びに布等の、材質の異なる様々なシート材が含まれる。
【0013】
[全体構成]
画像形成装置1は、
図1及び
図2に示すように、装置本体としてのプリンタ本体100と、プリンタ本体100の外装面に取り付けられた操作部300と、を有している。プリンタ本体100は、記録材にトナー像を形成する画像形成部10と、画像形成部10に記録材を給送する給送部60と、画像形成部10によって形成されたトナー像を記録材に定着させる定着部70と、排出ローラ対80と、を有している。
【0014】
画像形成部10は、不図示のスキャナユニットと、電子写真方式のプロセスカートリッジ20と、プロセスカートリッジ20の感光ドラム21に形成されたトナー像を記録材に転写する転写ローラ12と、を有している。プロセスカートリッジ20は、感光ドラム21と、感光ドラム21の周囲に配置された帯電ローラ22と、前露光装置23と、現像ローラ31を含む現像装置30と、を有している。
【0015】
感光ドラム21は、円筒型に成形された感光体である。本実施の形態の感光ドラム21は、アルミニウムで成形されたドラム状の基体上に、負帯電性の有機感光体で形成された感光層を有している。また、像担持体としての感光ドラム21は、モータによって所定の方向(図中時計周り方向)に所定のプロセススピードで回転駆動される。
【0016】
帯電ローラ22は、感光ドラム21に所定の圧接力で接触し、帯電部を形成する。また、帯電ローラ22は、帯電高圧電源によって所望の帯電電圧を印加されることで、感光ドラム21の表面を所定の電位に均一に帯電させる。本実施の形態では、感光ドラム21は帯電ローラ22により負極性に帯電する。前露光装置23は、帯電部で安定した放電を生じさせるために、帯電部に侵入する前の感光ドラム21の表面電位を除電する。
【0017】
露光手段としてのスキャナユニット(不図示)は、外部機器から入力された画像情報に対応したレーザ光を、ポリゴンミラーを用いて感光ドラム21に照射することで、感光ドラム21の表面を走査露光する。この露光により、感光ドラム21の表面に画像情報に応じた静電潜像が形成される。なお、スキャナユニットは、レーザスキャナ装置に限定されることはなく、例えば、感光ドラム21の長手方向に沿って複数のLEDが配列されたLEDアレイを有するLED露光装置を採用しても良い。
【0018】
現像装置30は、現像剤を担持する現像剤担持体としての現像ローラ31と、現像装置30の枠体となる現像容器32と、現像ローラ31に現像剤を供給可能な供給ローラ33と、を備えている。現像ローラ31及び供給ローラ33は、現像容器32によって回転可能に支持されている。また、現像ローラ31は、感光ドラム21に対向するように、現像容器32の開口部に配置されている。供給ローラ33は現像ローラ31に回転可能に当接しており、現像容器32に収容されている現像剤としてのトナーは供給ローラ33によって現像ローラ31の表面に塗布される。なお、現像ローラ31に十分にトナーを供給できる構成であれば、必ずしも供給ローラ33は必要としない。
【0019】
本実施の形態の現像装置30は、現像方式として接触現像方式を用いている。即ち、現像ローラ31に担持されたトナー層が、感光ドラム21と現像ローラ31とが対向する現像部(現像領域)において感光ドラム21と接触する。現像ローラ31には現像高圧電源によって現像電圧が印加される。現像電圧の下で、現像ローラ31に担持されたトナーが感光ドラム21の表面の電位分布に従って現像ローラ31からドラム表面に転移することで、静電潜像がトナー像に現像される。なお、本実施の形態では、反転現像方式を採用している。即ち、帯電工程において帯電させられた後、露光工程において露光されることで電荷量が減衰した感光ドラム21の表面領域にトナーが付着することでトナー像が形成される。
【0020】
また、本実施の形態では、粒径が6[μm]で、正規の帯電極性が負極性のトナーを用いている。本実施の形態のトナーは一例として重合法により生成された重合トナーを採用している。また、本実施の形態のトナーは磁性成分を含有せず、主に分子間力や静電気力(鏡像力)によってトナーが現像ローラ31に担持される、所謂非磁性の一成分現像剤である。ただし、磁性成分を含有する一成分現像剤を用いてもよい。また、一成分現像剤には、トナー粒子以外にもトナーの流動性や帯電性能を調整するための添加物(例えば、ワックスやシリカ微粒子)が含まれている場合がある。また、現像剤として非磁性のトナーと磁性を有するキャリアとによって構成された二成分現像剤を用いてもよい。磁性を有する現像剤を用いる場合、現像剤担持体としては、例えば内側にマグネットが配置された円筒状の現像スリーブが用いられる。
【0021】
現像容器32には、トナーを収容する収容部36と、収容部36の内部に配置される撹拌手段としての撹拌部材34と、が設けられている。撹拌部材34は、不図示のモータに駆動されて回動することで、現像容器32内のトナーを撹拌すると共に、現像ローラ31及び供給ローラ33に向け、トナーを送り込む。また、撹拌部材34は、現像に使用されず現像ローラ31から剥ぎ取られたトナーを現像容器内で循環させ、現像容器内のトナーを均一化する役割を有する。なお、撹拌部材34は、回動する形態に限定されない。例えば、揺動する形態の撹拌部材を採用しても良い。
【0022】
また、現像ローラ31が配置される現像容器32の開口部には、現像ローラ31に担持されるトナーの量を規制する現像ブレード35が配置されている。現像ローラ31の表面に供給されたトナーは、現像ローラ31の回転に伴って現像ブレード35との対向部を通過することで、均一に薄層化され、また摩擦帯電により負極性に帯電させられる。
【0023】
給送部60は、
図1に示すように、プリンタ本体100に開閉可能に支持される前扉61と、トレイ部62と、昇降可能なピックアップローラ65と、を有している。トレイ部62は、前扉61が開かれることで現れる記録材収容空間の底面を構成している。なお、前扉61は、プリンタ本体100に対して閉じられた状態で記録材収容空間を閉塞し、プリンタ本体100に対して開かれた状態でトレイ部62と共に記録材Pを支持する。
【0024】
定着部70は、記録材上のトナーを加熱して溶融させることで画像の定着処理を行う熱定着方式のものである。定着部70は、定着フィルム71と、定着フィルム71を加熱するセラミックヒータ等の定着ヒータと、定着ヒータの温度を測定するサーミスタと、定着フィルム71に圧接する加圧ローラ72と、を備える。
【0025】
次に、画像形成装置1の画像形成動作について説明する。画像形成装置1に画像形成の指令が入力されると、画像形成装置1に接続された外部のコンピュータから入力された画像情報に基づいて、画像形成部10による画像形成プロセスが開始される。不図示のスキャナユニットは、入力された画像情報に基づいて、感光ドラム21に向けてレーザ光を照射する。このとき感光ドラム21は、帯電ローラ22により予め帯電されており、レーザ光が照射されることで感光ドラム21上に静電潜像が形成される。その後、現像ローラ31によりこの静電潜像が現像され、感光ドラム21上にトナー像が形成される。
【0026】
上述の画像形成プロセスに並行して、給送部60のピックアップローラ65は、前扉61及びトレイ部62に支持された記録材Pを送り出す。記録材Pは、ピックアップローラ65によってレジストレーションローラ対15に給送され、レジストレーションローラ対15のニップに突き当たることで斜行が補正される。そして、レジストレーションローラ対15は、トナー像の転写タイミングに合わせて駆動され、記録材Pを転写ローラ12及び感光ドラム21によって形成される転写ニップに向けて搬送する。
【0027】
転写手段としての転写ローラ12には、転写高圧電源から転写電圧が印加され、レジストレーションローラ対15によって搬送される記録材Pに感光ドラム21に担持されているトナー像が転写される。トナー像を転写された記録材Pは、定着部70に搬送され、定着部70の定着フィルム71と加圧ローラ72との間のニップ部を通過する際にトナー像が加熱及び加圧される。これによりトナー粒子が溶融し、その後固着することで、トナー像が記録材Pに定着する。定着部70を通過した記録材Pは、排出手段としての排出ローラ対80によって排出方向DDに排出される。そして、記録材Pは、記録材を機外に排出するための排出口85を通って画像形成装置1の外部(機外)に排出され、プリンタ本体100の上部に形成された排出トレイ81に積載される。
【0028】
排出トレイ81は、記録材の排出方向DDにおける下流に向けて上り傾斜しており、排出トレイ81に排出された記録材Pは、排出トレイ81を滑り下りることで、後端が規制面84によって整合される。排出口85は、規制面84に形成される開口であり、排出方向DDに直交する幅方向WDにおいて、画像形成装置1が搬送可能な最大幅サイズの記録材が通過可能なだけの幅を有している。なお、以下では、操作部300を正面に臨んだ状態を基準にして、前後方向、左右方向及び上下方向を規定する。
【0029】
排出トレイ81には、延長トレイ86を取付け可能に構成されており、排出トレイ81及び延長トレイ86によって、排出口85から排出された記録材Pを支持することができる。なお、延長トレイ86は、排出トレイ81に対して回動可能に支持され、記録材Pを支持可能な使用位置と、非使用時に位置する格納位置と、に移動可能に構成されてもよい。また、延長トレイ86は、排出トレイ81に対して着脱可能に構成されてもよい。
【0030】
また、排出トレイ81には、開口部82aが形成されており、開口部82aは、カバー部としての開閉部材83によって覆われている。開閉部材83は、トナーパック40が現像容器32に装着できないように補給口32aを覆う閉位置と、トナーパック40が現像容器32に装着できるように補給口32aを露出させる開位置と、の間を移動可能に構成される。開閉部材83は、閉位置において、排出トレイ81の一部として機能する。開閉部材83及び開口部82aは、排出トレイ81の右側に形成されている。
【0031】
排出トレイ81の開口部82aは、現像容器32の上部に形成されたトナー補給用の補給口32aが露出するように開口しており、開閉部材83が開かれることで、ユーザは補給口32aにアクセスすることができる。なお本実施の形態では、現像装置30が画像形成装置1に装着されている状態のまま、ユーザが補給用のトナーが充填されているトナーパック40から現像装置30へとトナーを補給する方式(直接補給方式)を採用している。
【0032】
このため、プロセスカートリッジ20のトナー残量が少なくなった場合に、プロセスカートリッジ20をプリンタ本体100から取り出して新品のプロセスカートリッジに交換する作業が不要になるので、ユーザビリティを向上することができる。また、プロセスカートリッジ20全体を交換するよりも安価に現像容器32にトナーを補給することができる。なお、直接補給方式は、プロセスカートリッジ20の現像装置30のみを交換する場合に比しても、各種のローラやギヤ等を交換する必要が無いので、コストダウンできる。なお、画像形成装置1及びトナーパック40は、画像形成システム1000を構成している。
【0033】
[転写残トナーの回収]
本実施の形態は、記録材Pに転写されずに感光ドラム21に残留した転写残トナーを現像装置30に回収し再利用するクリーナーレス構成を採用している。転写残トナーは、以下の工程で除去される。転写残トナーには正極性に帯電しているトナーや、負極性に帯電しているものの充分な電荷を有していないトナーが混在する。前露光装置23により転写後の感光ドラム21を除電し、帯電ローラ22による均一な放電を生じさせることで、転写残トナーは再び負極性に帯電させられる。帯電部において再び負極性に帯電させられた転写残トナーは、感光ドラム21の回転に伴い現像部に到達する。そして、帯電部を通過した感光ドラム21の表面領域は、転写残トナーが表面に付着した状態のまま、スキャナユニットにより露光されて静電潜像を書き込まれる。
【0034】
ここで、現像部に到達した転写残トナーの挙動について、感光ドラム21の露光部と非露光部に分けて説明する。感光ドラム21の非露光部に付着している転写残トナーは、現像部において感光ドラム21の非露光部の電位(暗部電位)と現像電圧との電位差により現像ローラ31に転移し、現像容器32に回収される。これは、トナーの正規帯電極性が負極性であるものとして、現像ローラ31に印加される現像電圧が、非露光部の電位に対して相対的に正極性だからである。なお、現像容器32に回収されたトナーは、撹拌部材34によって現像容器内のトナーと撹拌されて分散すると共に、現像ローラ31に担持されることで再び現像工程に使用される。
【0035】
一方、感光ドラム21の露光部に付着している転写残トナーは、現像部において感光ドラム21から現像ローラ31に転移せずにドラム表面に残る。これは、トナーの正規帯電極性が負極性であるものとして、現像ローラ31に印加される現像電圧が、露光部の電位(明部電位)よりもさらに負極性の電位となっているためである。ドラム表面に残った転写残トナーは、現像ローラ31から露光部へと転移する他のトナーと共に感光ドラム21に担持されて転写部へ移動し、転写部において記録材Sに転写される。
【0036】
このように、本実施の形態は、転写残トナーを現像装置30に回収し再利用するクリーナーレス構成としたが、従来公知の感光ドラム21に当接するクリーニングブレードを使用して転写残トナーを回収する構成としてもよい。その場合、クリーニングブレードによって回収された転写残トナーは、現像装置30とは別に設置される回収容器に回収される。ただし、クリーナーレス構成とすることで、転写残トナー等を回収する回収容器の設置スペースが不要となって画像形成装置1のより一層の小型化が可能となり、また、転写残トナーを再利用することで印刷コストの低減を図ることもできる。
【0037】
[トナーパックの構成]
次に、画像形成装置1に着脱可能であって、トナーを収容する補給容器としてのトナーパック40の構成について説明する。
図3(a)乃至
図5に示すように、トナーパック40は、シャッタ部材41、シール部材504、補給ベース501、外輪部材510、内輪部材511及びパウチ503を有しており、これらの部材が組付けられて構成されている。パウチ503は、トナーを収容する可撓性容器である。
図3(a)乃至
図5に1点破線で示す回転軸線zは、トナーパック40の回転中心線である。
【0038】
容器ベース部としての補給ベース501は、回転軸線zに平行な軸線方向D1に沿って延びる側面としての外周部501bと、外周部501bに形成されるトナー排出口501rと、を有している。また、補給ベース501は、外周部501bに対して径方向内側に窪んだ凹部501fと、外周部501bから径方向外側に突出する凸部501y,501yと、を有している。トナー排出口501rは、パウチ503に通ずる貫通孔である。凸部501y,501yは、互いに180度位相を異ならせて配置されている。
【0039】
図4乃至
図7に示すように、外輪部材510は、外周面が略六角形状に形成された樹脂部材であり、外輪部材510には、補給ベース501の凸部501y,501yが係合可能な係合部510y,510yが形成されている。外輪部材510は、内輪部材511を覆うように配置され、トナーパック40を把持する際の把手としての機能を果たすように、トナーパック40の最外形を形成している。すなわち、外輪部材510は、回転軸線zから径方向により離れた位置で操作されるため、ユーザが外輪部材510を操作する際に必要な力を低減し、ユーザビリティを向上することができる。
【0040】
支持部材としての内輪部材511は、外輪部材510と同様に、外周面が略六角形状に形成された樹脂部材であり、パウチ503の開口部503a(
図10(a)参照)に対して結合されている。これにより、パウチ503は、内輪部材511によって開口部503aが開いた状態で維持されるように開口部503aが支持される。そして、内輪部材511は、後述するように、開口部503aとトナー排出口501rとが通ずるように補給ベース501に固定される。内輪部材511とパウチ503との結合は、どのような方法であってもよく、例えば、ホットメルトなどの各種接着剤を用いた方法や、内輪部材511に対してパウチ503を熱溶着して結合する方法などがある。なお、外輪部材510の外周面は、多角形などユーザが掴んで回転させるときに滑りにくい形状であると好適である。
【0041】
また、内輪部材511には、凸部501y,501yが係合可能な凹部511y,511yが形成されている。凹部511y,511yは、凸部501y,501yが貫通可能な溝形状を有しており、係合部510y,510yは、凸部501y,501yを囲むようなリブ形状を有している。
【0042】
図6に示すように、内輪部材511は、補給ベース501に対して、凸部501yと凹部511yとが係合するように組付けられる。そして、
図7に示すように、外輪部材510は、凸部501yと係合部510yとが係合するように組付けられる。これにより、外輪部材510及び内輪部材511は、補給ベース501に対する相対回転が規制されるように補給ベース501に支持される。
【0043】
更に、凸部501yは、これら凹部511y及び係合部510yに対して、回転軸線zの軸線方向D1及び該軸線方向D1に直交する径方向において結合されている。例えば、凸部501yは、凹部511y及び係合部510yに対して圧入されてもよく、溶着や接着剤を用いて結合されてもよい。これにより、補給ベース501、外輪部材510、内輪部材511及びパウチ503は、
図8(a)(b)に示すように、一体的に結合される。なお、外輪部材510は、軸線方向D1に直交する径方向において補給ベース501よりも回転軸線zから離れた位置に外周面510dを有する筒状部材である。また、内輪部材511は、外輪部材510の内側において、補給ベース501に固定されている。
【0044】
以下、一体に結合された補給ベース501、外輪部材510、内輪部材511及びパウチ503を回転容器ユニット401とし、後述するように一体に結合されたシャッタ部材41及びシール部材504を容器シャッタユニット402とする。すなわち、トナーパック40は、
図5に示すように、容器シャッタユニット402と、容器シャッタユニット402に対して相対回転可能な回転容器ユニット401と、を含む。回転容器ユニット401は、
図8(a)示すように、容器シャッタユニット402に対して回転軸線zを中心に、z1方向及びz1方向とは反対のz2方向に回転可能に設けられている。
【0045】
図9(a)(b)に示すように、容器シャッタとしてのシャッタ部材41は、略円筒形状の樹脂部材から構成されており、シャッタ部材41には、切欠き部41f及び溝部41g,41hが形成されている。切欠き部41f及び溝部41gは、シャッタ部材41の外周部に形成され、溝部41hは、シャッタ部材41の底面部に形成されている。切欠き部41fは、略矩形状であり、溝部41gは、シャッタ部材41の周方向における一部の範囲(約90°)で周方向に延びるように形成されている。また、溝部41hは、底面部においてシャッタ部材41の周方向における一部の範囲(約90°)で周方向に延びるように形成されている。
【0046】
シール部材504は、弾性変形可能な発泡ウレタンや不織布等の材質で構成されており、両面テープ等でシャッタ部材41の内面に固定されている。より具体的には、シール部材504は、シャッタ部材41の切欠き部41fとは異なる位置に配置されている。すなわち、シール部材504及びシャッタ部材41は、互いに一体に結合され、容器シャッタユニット402を構成している。これにより、容器シャッタユニット402は、シール部材504とシャッタ部材41の界面でのトナー漏れを抑制できる。
【0047】
図8(a)乃至
図10(b)に示すように、回転容器ユニット401を容器シャッタユニット402に組み付ける際には、補給ベース501の外周部501bから突出するリブ501xとシャッタ部材41に形成された凹部41xとを位置合わせする。そして、リブ501xを凹部41xに貫通して組付けた状態が
図10(a)となる。この時、補給ベース501の端部に形成された溝形状の内径部501eにシャッタ部材41の円筒部41cが挿入される。内径部501e及び円筒部41cは、それぞれ回転軸線zを同心とする円筒状の溝及び突起部である。このため、内径部501e(環状溝)に円筒部41c(環状リブ)が挿入されることで、補給ベース501がシャッタ部材41に対して回転軸線zを中心に回転可能に案内される。
【0048】
更に、補給ベース501には、内径部501eの径方向内側に配置される穴部501k設けられている(
図6参照)。そして、シャッタ部材41には、穴部501kに挿入される装着部41d(
図9(a)参照)が設けられている。装着部41dには、トナーパック40の先端側に開口する被係合部41kが形成されており、被係合部41kは、2面取りされた形状の穴を画定する。このため、装着部41dは、被係合部41kの形状に合わせて、2面取りされた凸形状となっている。装着部41dの最外径は、穴部501kの内径よりも小さくなるように設定されており、装着部41dは、穴部501kの内部で自由に回転可能になっている。
【0049】
また、外輪部材510のシャッタ部材41側の端面510xには、軸線方向D1に延びる複数(本実施の形態では4つ)のリブ510bが形成されている。そして、
図10(b)に示すように、シャッタ部材41の基端部41bは、端面510x及びリブ501xによって囲まれて、軸線方向D1及び軸線方向D1に直交する径方向の移動が規制されている。これにより、補給ベース501を含む回転容器ユニット401は、シャッタ部材41を含む容器シャッタユニット402に対して、回転軸線zを中心に相対回転可能になるようにかつ軸線方向D1及び径方向の移動が規制されるように取り付けられる。
【0050】
そして、シャッタ部材41に固定されたシール部材504は、補給ベース501の外周部501bに対して摺動する摺動面504bを有している。シール部材504は、外周部501bによってシャッタ部材41に近づく方向、すなわち軸線方向に直交する径方向における外側に押圧されて変形し、外周部501bと摺動面504bとの間に面圧を発生させる。これにより、シール部材504と補給ベース501との界面でのトナー漏れを抑制できる。
【0051】
より詳しくは、回転軸線zの軸線方向D1に見た時に、補給ベース501及びシャッタ部材41は、円筒状の部材である。補給ベース501は、シャッタ部材41の内側においてシャッタ部材41の内周面41jに沿って回転軸線zを中心に回転するように構成されている。
【0052】
図10(a)及び
図11(a)は、補給ベース501に形成されたトナー排出口501rが、シャッタ部材41及びシール部材504によって遮蔽された状態を示している。この時、パウチ503に収容されているトナーは、パウチ503の開口部503a、内輪部材511の内方空間、補給ベース501の開口部501a及び補給ベース501の内方空間を通過して、トナー排出口501rまで移動することができる。しかしながら、トナー排出口501rは、シャッタ部材41及びシール部材504によって遮蔽されているため、トナーパック40単体の状態で、パウチ503内に収容されているトナーは外部に漏れださないようにシールされている。なお、パウチ503の開口部503aは、パウチ503の軸線方向D1における一端部に設けられている。
【0053】
図10(b)及び
図11(b)は、補給ベース501に形成されたトナー排出口501rが、シャッタ部材41及びシール部材504によって遮蔽されずに開放された状態を示している。この時、トナー排出口501rは、シャッタ部材41の切欠き部41fに臨む位置となっており、パウチ503に収容されたトナーは、トナー排出口501r及び切欠き部41fを介して、トナーパック40の外部に排出可能となっている。
【0054】
例えば、
図11(a)に示すトナーパック40の状態を遮蔽状態、
図11(b)に示すトナーパック40の状態を開放状態とする。この場合、トナーパック40は、遮蔽状態から回転容器ユニット401を回転軸線zを中心に矢印z1方向におよそ90°回転させると、開放状態となる。また、トナーパック40は、開放状態から回転容器ユニット401を回転軸線zを中心に矢印z2方向におよそ90°回転させると、遮蔽状態となる。なお、回転容器ユニット401をどの程度回転させればトナーパック40が開放状態と遮蔽状態に遷移するかについては自由に設定してよい。
【0055】
図11(a)に示すように、トナーパック40が遮蔽状態の時の補給ベース501の位置を遮蔽位置及び第1遮蔽位置、
図11(b)に示すように、トナーパック40が開放状態の時の補給ベース501の位置を開放位置及び第1開放位置とする。
【0056】
補給ベース501は、遮蔽位置において、シャッタ部材41によってトナー排出口501rが遮蔽される。また、補給ベース501は、開放位置において、パウチ503のトナーがトナー排出口501rを介してトナーパック40の外部に排出されるようにシャッタ部材41によってトナー排出口501rが開放される。
【0057】
なお、ユーザは、トナーパック40を現像容器32に装着した後、外輪部材510の外周面を把持し、外輪部材510を回転軸線zを中心に矢印z1方向に回動させる。これにより、補給ベース501も回転軸線zを中心に矢印z1方向に回動し、補給ベース501のトナー排出口501rが切欠き部41fを介して露出する。その結果、トナーパック40が遮蔽状態から開放状態となり、パウチ503内のトナーをトナーパック40の外部へ排出することが可能となる。ここで、回転軸線zに平行な軸線方向D1は、鉛直方向に沿った方向であり、トナーパック40の画像形成装置1に対する装着方向は、軸線方向D1に沿った方向である。すなわち、トナーパック40は、回転軸線zの方向である軸線方向Dが鉛直方向に沿う方向となるように画像形成装置1に装着するように構成されている。
【0058】
パウチ503の材質は、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)などの樹脂シートやそれらの複合材や、不織布や紙及びそれらの樹脂との複合材などから構成されている。パウチ503がユーザにより弾性変形可能な部材で構成されている場合、ユーザが指でパウチ503を押したり絞ったりすることで、パウチ503内のトナーを容易に排出することができる。
【0059】
ユーザは、パウチ503内のトナーを現像容器32へ排出し終わると、外輪部材510の外周面510dを把持し、外輪部材510を回転軸線zを中心に矢印z2方向へ回動させる。これにより、補給ベース501も回転軸線zを中心に矢印z2方向に回動し、補給ベース501のトナー排出口501rがシャッタ部材41及びシール部材504によって遮蔽される。その結果、トナーパック40が開放状態から遮蔽状態となり、現像容器32からトナーパック40を取り外すことが可能となる。
【0060】
[現像容器のトナー受入部]
次に、現像容器32に設けられたトナー受入部600について説明する。トナー受入部600は、
図12(a)乃至
図15に示すように、受入ベースユニット602と、受入ベースユニット602に対して回転軸線zを中心に回転可能に支持される受入シャッタユニット601と、を有している。
【0061】
図12(a)及び
図13(a)は、収容部36に通ずるトナー供給口32rが遮蔽された状態を示し、
図12(b)及び
図13(b)は、トナー供給口32rが開放された状態を示す。以下、
図12(a)及び
図13(a)に示すように、トナー供給口32rが遮蔽されたトナー受入部600の状態を遮蔽状態とし、
図12(b)及び
図13(b)に示すように、トナー供給口32rが開放されたトナー受入部600の状態を開放状態とする。
【0062】
受入ベースユニット602は、略円筒形状の本体ベース部としての円筒部32gと、ベースシール506と、シャッタ抑え部材512と、を有している。なお、本実施の形態では、円筒部32gは、現像容器32(
図1(a)参照)に一体形成されているが、これに限定されない。例えば、円筒部32gは、現像容器32とは別部材から構成され、現像容器32に固定されていてもよい。また、円筒部32gは、現像容器32ではないプリンタ本体100の部分に設けられ、円筒部32gを介して現像容器32にトナーが補給される構成であっても良い。
【0063】
円筒部32gは、トナーパック40から現像容器32の収容部36(
図1(a)参照)へトナーが補給されるための補給口32aと、軸線方向D1に沿って延びる側面としての外周部32bと、外周部32bに形成されるトナー供給口32rと、を有している。また、円筒部32gは、その底面32h(
図19(a)参照)から軸線方向D1において上方に突出する係合部32eを有している。係合部32eは、後述するように、シャッタ部材41の被係合部41kに係合する。すなわち、係合部32eは、2面取りされた穴形状の被係合部41kに対応して、2面取りされたボス形状を有している。
【0064】
また、係合部32eには、シャッタ抑え部材512の孔部512eに圧入される。このため、孔部512eは、係合部32eと同様に、2面取りされた孔形状を有している。なお、シャッタ抑え部材512は、円筒部32gに受入シャッタユニット601のシャッタ部材507が組付けられた後に、円筒部32gの係合部32eに取り付けられる。また、本実施の形態では、シャッタ抑え部材512は、円筒部32gの係合部32eに圧入されて固定されたが、これに限定されない。例えば、シャッタ抑え部材512は、円筒部32gに対して溶着や接着剤を用いた方法等で固定されてもよい。
【0065】
ベースシール506は、
図16(a)(b)に示すように、弾性変形可能な発泡ウレタンや不織布等の材質で構成されており、両面テープ等で円筒部32gに固定される。これにより、ベースシール506は、ベースシール506と円筒部32gの界面でのトナー漏れを抑制できる。また、ベースシール506には、トナー供給口32rに対応する位置に開口部506aが設けられており、開口部506aを通過したトナーは、トナー供給口32rを通って現像容器32の収容部36(
図1(a)参照)へ供給される。
【0066】
受入シャッタユニット601は、
図12(a)乃至
図15及び
図17に示すように、シャッタ部材507と、シャッタシート505と、を有している。なお、現像容器32(
図1(a)参照)は、収容部36と、円筒部32gと、シャッタ部材507と、を含むと共に現像ローラ31を回転可能に支持する。そして、トナーパック40は、現像容器32に装着可能に構成される。
【0067】
シャッタ部材507は、内径部507hと、外径部507kと、これら内径部507hと外径部507kとを接続する凸部507eと、を有している。凸部507eは、外径部507kよりも径方向内側に突出しており、
図13に示すように、略扇形形状の水平部507xと、軸線方向D1に延びる立ち上がり部507sと、を有している。水平部507xは、トナーパック40のシャッタ部材41の溝部41g(9(a)参照)を通過可能に構成されている。また、立ち上がり部507sは、シャッタ部材41の溝部41h(9(a)参照)を通過可能に構成されている。
【0068】
図17(a)(b)に示すように、立ち上がり部507sの外周面には、シャッタシート505が両面テープ等で固定されている。シャッタシート505は、厚み100[μm]程度のフィルムであり、シャッタシート505の先端部505aが立ち上がり部507sのエッジ部507aからはみ出るように配置されている。シャッタシート505の摺動面505kは、ベースシール506の摺動面506d(
図16(a)参照)に対して摺動可能に構成されている。
【0069】
シャッタ部材507の外径部507kには、トナーパック40の外輪部材510に形成されたリブ510b(
図8(a)参照)が係合可能な溝部507p,507pが形成されている。これら溝部507p,507pは、径方向において互いに対向して配置されていると共に、外径部507kの周方向における一部の範囲(約90°)で周方向に延びるように形成されている。このため、溝部507p,507pによって、外径部507kの上部は、4つの区画に分けられ、これら4つの区画に対して、外輪部材510の4つのリブ510bが係合する。これにより、トナーパック40は、トナー受入部600に装着された状態で、約90°の範囲でのみ回転可能に構成される。よって、トナーパック40から現像容器32にトナーを補給する際に、トナーパック40の回転容器ユニット401を回転操作する範囲が明確となり、ユーザビリティを向上できる。
【0070】
図18に示すように、シャッタ部材507の内径部507hには、案内溝部507cが形成されており、案内溝部507cには、円筒部32gの案内リブ32kが挿入される。
図18(a)乃至
図19(b)に示すように、案内溝部507c及び案内リブ32kはそれぞれ回転軸線zを同心とする円筒状の溝及び突起部である。このため、案内溝部507cに案内リブ32kが挿入されることで、シャッタ部材507が円筒部32gに対して回転軸線zを中心に回転可能に案内される。
【0071】
また、シャッタ部材507の内周面507dは、円筒部32gのリブ32mに摺接可能に設けられている。このように、シャッタ部材507は、円筒部32gに対して、回転軸線zを中心に回転可能に支持されている。
【0072】
更に、シャッタ部材507の内径部507hには、案内溝部507cの径方向内側に配置される孔部507qが形成されている。孔部507qには、係合部32eが貫通するが、孔部507qの外径は、係合部32eの最外径よりも大きくなるように設定されており、シャッタ部材507は、係合部32eに干渉することなく自由に回転可能になっている。
【0073】
そして、シャッタ部材507が円筒部32gに組み付けられた後に、シャッタ抑え部材512が係合部32eに圧入される。これにより、シャッタ部材507のリブ507jは、軸線方向D1において、円筒部32gの底面32hとシャッタ抑え部材512との間に挟まれる。この結果、シャッタ部材507は、軸線方向D1の移動が規制される。すなわち、シャッタ部材507を含む受入シャッタユニット601は、円筒部32g及びシャッタ抑え部材512を含む受入ベースユニット602に対して、回転軸線zを中心に相対回転可能かつ軸線方向D1及び径方向に移動不能に取り付けられている。
【0074】
円筒部32gに固定されたベースシール506は、シャッタ部材507に固定されたシャッタシート505によって円筒部32gに近づく方向、すなわち軸線方向D1に直交する径方向における外側に押圧されて変形する。これにより、ベースシール506の摺動面506dとシャッタシート505の摺動面505k(
図17(a)参照)との間に面圧を発生させる。このため、現像容器32単体の状態で、現像容器32内にトナーが収容されていても、ベースシール506とシャッタシート505との界面でのトナー漏れを抑制できる。
【0075】
[トナーパックと現像容器の円筒部との結合]
次に、トナーパック40と現像容器32との結合動作、離脱動作及びトナー排出口501r及びトナー供給口32rの開閉動作について説明する。
図3(a)及び
図11(a)は、トナー排出口501rがシャッタ部材41に取り付けられたシール部材504によって遮蔽された、トナーパック40の遮蔽状態を示している。
図12(a)及び
図13(a)は、トナー供給口32rがシャッタ部材507に取り付けられたシャッタシート505によって遮蔽された、トナー受入部600の遮蔽状態を示している。
【0076】
通常、現像容器32へのトナーの補給を開始する際には、トナーパック40及びトナー受入部600のいずれも遮蔽状態となっている。言い換えれば、補給ベース501が第1遮蔽位置にある時は、軸線方向D1に直交する径方向から見たときにトナー排出口501rは円筒部32gのトナー供給口32rとオーバーラップしない位置にあり且つシャッタ部材507は第2遮蔽位置にある。
【0077】
そして、ユーザは、
図20(a)に示すように、トナーパック40をトナー受入部600に嵌め合わせる。この時、トナーパック40のシャッタ部材41に形成された被係合部41k(
図3(a)参照)は、トナー受入部600の円筒部32gに形成された係合部32eに係合する。
【0078】
被係合部41k及び係合部32eは、それぞれ2面取り形状を有しており、これらが係合するため、シャッタ部材41は、円筒部32gに対して、回転軸線zを中心に回動不能に取り付けられる。すなわち、被係合部41kは、トナーパック40が画像形成装置1に装着されたときに、画像形成装置1の係合部32eと係合することでシャッタ部材41の回転軸線zを中心とする回転が規制されるように構成される。
【0079】
言い換えれば、トナーパック40は、円筒部32gに対するシャッタ部材507の回転軸線zを中心とする回転が規制されるように、且つ、補給ベース501がシャッタ部材507と共に回転するように、画像形成装置1に装着される。
【0080】
また、トナー受入部600のシャッタ部材507に形成された凸部507e(
図13(a)参照)が、トナーパック40のシャッタ部材41の切欠き部41fを貫通すると共に補給ベース501に形成された凹部501f(
図8(a)参照)に係合する。なお、トナーパック40及びトナー受入部600のいずれも遮蔽状態の場合には、トナーパック40をトナー受入部600に嵌め合わせた際に、被係合部41k及び係合部32eの係合と、凸部507eと凹部501fの係合と、を同時に行うことができる。
【0081】
ここで、ユーザが、
図20(a)に示す状態から、外輪部材510の外周面510dを、回転軸線zを中心に矢印z1方向に回動させ、トナーパック40のトナーを現像容器32に補給する場合を考える。外輪部材510を矢印z1方向に回動させると、補給ベース501も連動して矢印z1方向に回動する。このとき、補給ベース501の凹部501fの段部501n(
図8(a)参照)が、シャッタ部材507の凸部507eの被当接部としての端面507f(
図13(a)参照)を押圧する。
【0082】
言い換えれば、当接部としての段部501nは、トナーパック40が画像形成装置1に装着されたときに、シャッタ部材507が回転軸線zを中心としてシャッタ部材42と共に回転するように端面507fに当接する。これにより、本体シャッタとしてのシャッタ部材507は、補給ベース501と共に回転軸線zを中心に矢印z1方向に回動する。
【0083】
一方で、トナー受入部600の円筒部32g及びトナーパック40のシャッタ部材41は、上述したように回動規制されているため、回動しない。このため、
図11(b)に示すように、トナーパック40の補給ベース501が、シャッタ部材41に対して矢印z1方向に相対的に回動し、トナー排出口501rがシャッタ部材41の切欠き部41fに臨むようになる。すなわち、トナーパック40は、開放状態となって、トナーパック40内に収容されたトナーを排出可能となる。
【0084】
これと同時に、
図13(b)に示すように、トナー受入部600のシャッタ部材507が、円筒部32gに対して矢印z1方向に相対的に回動し、シャッタ部材507に固定されたシャッタシート505がトナー供給口32rから離間する。すなわち、トナー受入部600は、開放状態となって、トナーパック40から排出されるトナーを受け入れ可能となる。言い換えれば、シャッタ部材507は、トナーパック40から補給されたトナーがトナー供給口32rを介して現像容器32の収容部36に受け入れられるようにトナー供給口32rを開放する第2開放位置に位置している。また、補給ベース501が第1開放位置にある時は、軸線方向D1に直交する径方向から見たときにトナー排出口501rは円筒部32gのトナー供給口32rとオーバーラップする位置にあり且つシャッタ部材507は第2開放位置にある。
【0085】
これにより、
図20(b)に示すように、トナーパック40に収容されたトナーが、トナー供給口32r及びトナー排出口501rを通って現像容器32に補給される。なお、外輪部材510の回動角は、シャッタ部材507の凸部507eとシャッタ部材41の溝部41g,41hとの係合と、外輪部材510のリブ510bとシャッタ部材507の溝部507pとの係合と、によって、略90°に規制される。なお、外輪部材510の回動角は、略90°に限らず、90°未満や90°以上であってもよい。
【0086】
また、シャッタ部材507の凸部507eがシャッタ部材41の溝部41gに係合することで、トナーパック40は、トナー受入部600に対して軸線方向D1に移動不能となり、トナーパック40をトナー受入部600に対してロックすることができる。これにより、トナー補給中に意図せずトナーパック40がトナー受入部600から外れて、トナーが画像形成装置1の内部に飛散してしまうことを低減し、トナー補給作業の作業性を向上することができる。
【0087】
次に、ユーザが、
図20(b)に示す状態から、外輪部材510の外周面510dを、回転軸線zを中心に矢印z2方向に回動させて、トナーパック40を現像容器32の円筒部32gから離脱させる場合を考える。外輪部材510を矢印z2方向に回動させると、補給ベース501も連動して矢印z2方向に回動する。このとき、補給ベース501の凹部501fの段部501m(
図8(a)参照)が、シャッタ部材507の凸部507eの端面507g(
図13(b)参照)を押圧する。これにより、シャッタ部材507は、補給ベース501と共に回転軸線zを中心に矢印z2方向に回動する。
【0088】
一方で、トナー受入部600の円筒部32g及びトナーパック40のシャッタ部材41は、上述したように回動規制されているため、回動しない。このため、
図11(a)に示すように、トナーパック40の補給ベース501が、シャッタ部材41に対して矢印z2方向に相対的に回動し、トナー排出口501rがシャッタ部材41に固定されたシール部材504(
図10(a)参照)に臨むようになる。すなわち、トナーパック40は、遮蔽状態となって、トナーパック40内に収容されたトナーを排出不能となる。
【0089】
これと同時に、
図13(a)に示すように、トナー受入部600のシャッタ部材507が、円筒部32gに対して矢印z2方向に相対的に回動し、シャッタ部材507に固定されたシャッタシート505がトナー供給口32rを覆う。すなわち、トナー受入部600は、遮蔽状態となって、トナーパック40から排出されるトナーを受け入れ不能となる。このとき、シャッタ部材507は、トナー供給口32rを遮蔽する第2遮蔽位置に位置している。
【0090】
この状態では、シャッタ部材507の凸部507eがシャッタ部材41の溝部41g,41hから離脱するため、トナーパック40をトナー受入部600から取り外すことができる。また、トナーパック40及びトナー受入部600のいずれも遮蔽状態となっているため、トナーを飛散させることなくトナーパック40をトナー受入部600から取り外すことができる。
【0091】
[トナー漏れ抑制構成]
次に、トナーパック40とトナー受入部600との間でトナーの漏れを抑制するための構成について、
図21(a)乃至
図23(b)を参照して説明する。
図21(a)乃至
図23(b)は、トナーパック40と現像容器32のトナー受入部600との配置関係を示す模式断面図である。シール部材504やベースシール506は、それぞれ円筒状の曲面に配置されているが、ここでは平面として模式的に示している。
【0092】
図21(a)乃至
図23(b)は、トナーパック40及びトナー受入部600を軸線方向D1に視ている。なお、トナーパック40の外輪部材510(
図20(a)参照)を矢印z1方向に回動すると、
図21(a)乃至
図23(b)では、補給ベース501が紙面左方向に移動する。
【0093】
図21(a)は、現像容器32とトナーパック40とが結合される前の状態を示している。
図21(b)は、
図21(a)に示す状態から、トナーパック40を現像容器32に装着した状態であり、トナーパック40の補給ベース501やトナー受入部600のシャッタ部材507が回転する前の状態である。
図21(b)に示す状態では、トナー供給口32r及びトナー排出口501rが遮蔽されており、パウチ503(
図3(a)参照)内に収容されたトナーはトナーパック40の外部へ排出されることはない。
【0094】
また、
図21(c)は、
図21(b)に示す状態から補給ベース501及びシャッタ部材507が回転軸線zを中心に矢印z1方向(
図20(a)参照)に角度Θ1(0°<Θ1<90°)だけ回転した状態を示している。
図22(a)は、
図21(b)に示す状態から補給ベース501及びシャッタ部材507が矢印z1方向(
図20a参照)に90°だけ回転した状態であり、トナー供給口32r及びトナー排出口501rが開放した状態を示している。
【0095】
図21(b)に示すように、遮蔽状態のトナーパック40を遮蔽状態のトナー受入部600に装着した状態では、シャッタシート505の先端部505aは、補給ベース501の外周部501bに接触するように配置されている。また、補給ベース501の段部501nは、シャッタ部材507の端面507fに対して、回転軸線zを中心とする周方向において、隙間δ1を有して配置されている。補給ベース501の段部501mは、シャッタ部材507の端面507gに対して、回転軸線zを中心とする周方向において、隙間δ2を有して配置されている。
【0096】
これらの隙間δ1,δ2は、ユーザが現像容器32に対してトナーパック40を装着する際の隙間(遊び)に相当する。隙間δ1,δ2があることで、トナーパック40を現像容器32に容易に装着することができ、トナーパック40の装着性を向上することができる。
【0097】
トナーパック40を現像容器32のトナー受入部600に装着された後、ユーザは、補給ベース501を矢印z1方向に回動させる。すると、
図21(c)に示すように、
図21(b)において存在していた隙間δ1が無くなり、補給ベース501の段部501nがシャッタ部材507の端面507fに対して接触する。そして、端面507fは、段部501nによって押圧され、補給ベース501とシャッタ部材507とが一体となって矢印z1方向に回動する。なお、このとき隙間δ2は、初期状態より広い空間を有することとなる。また、シャッタシート505の先端部505aは、補給ベース501の外周部501bから離間することなく、外周部501bに当接するように構成されている。
【0098】
更に、ユーザが補給ベース501を矢印z1方向に回動させると、
図22(a)に示すように、トナー排出口501r及びトナー供給口32rがシャッタシート505及びシャッタ部材507によって覆われることなく開放される。すると、トナーパック40内に収容されたトナーは、トナー排出口501r及びトナー供給口32rを介して現像容器32内に供給される。このトナー供給の際、ベースシール506は、補給ベース501との界面へのトナーの進入を抑制している。
【0099】
次に、トナーパック40からのトナー排出を終了してトナーパック40を取り外す場合、
図22(b)に示すように、ユーザは
図22(a)の状態から補給ベース501を矢印z2方向(紙面右方向)に角度Θ3(0°<Θ3<90°)回動させる。これにより、補給ベース501の段部501mがシャッタ部材507の端面507gに接触し、
図22(a)において存在していた隙間δ2が無くなる。そして、端面507gは、段部501mによって押圧され、補給ベース501とシャッタ部材507とが一体となって矢印z2方向に回動する。なお、このとき隙間δ1は、初期状態より広い空間を有することとなる。
【0100】
更に、ユーザが補給ベース501を矢印z2方向に回動させると、
図23(a)に示すように、補給ベース501の段部501nとシャッタ部材507の端面507fとで形成される隙間δ1が、トナー供給口32rの上方に位置する。この時、シャッタシート505の先端部505aが補給ベース501の外周部501bに当接しているため、隙間δ1へのトナーの進入を抑制することができる。
【0101】
ユーザが更に補給ベース501を矢印z2方向に回動させると、
図23(b)に示すように、トナー排出口501rがシール部材504によって遮蔽され、トナー供給口32rがシャッタシート505及びシャッタ部材507によって遮蔽される。なお、この状態でトナーパック40を現像容器32の円筒部32gから離脱させることができ、トナーパック40を円筒部32gから離脱させると
図21(a)に示す状態に戻る。
【0102】
[比較例]
ここで、
図24を用いて、比較例としての画像形成装置1Kについて説明する。画像形成装置1Kは、排出口85から排出された記録材を積載する排出トレイ81Kを有しており、排出トレイ81Kには、開口部82aKが形成されている。開口部82aKは、開閉部材83Kによって開閉可能に覆われている。
【0103】
また、画像形成装置1Kには、排出トレイ81Kの幅方向WDにおける両側に、柱部333L,333Rが設けられている。これら柱部333L,333Rは、画像形成装置1Kの外装の一部を構成しており、排出トレイ81K及び排出口85よりも上方に延びている。より具体的には、画像形成装置1Kの、排出口85よりも排出方向DDにおける上流に位置する上面87と、柱部333Lの上面333tLと、柱部333Rの上面333tRと、は略水平面に沿って面一に形成されている。
【0104】
また、開口部82aKは、柱部333Rの近傍に配置されているため、ユーザは、開口部82aKから現像容器32にアクセスしてトナーを補給しようとする際に、作業スペースが狭いと感じる場合がある。
【0105】
[排出トレイの構成]
そこで、本実施の形態では、
図2に示すように、排出トレイ81は、画像形成装置1の幅方向WDにおける全幅に亘って、フラットに構成されている。ここで、排出トレイ81は、排出ローラ対80(
図1参照)から排出された記録材を積載する領域を含み、画像形成装置1の外装の上面の一部を構成する積載手段である。以下、排出トレイ81を、第1領域91及び第2領域92L,92Rに分けて説明する。第1領域91は、排出方向DDにおいて排出口85よりも下流に位置すると共に排出ローラ対80(
図1参照)から排出された記録材を積載する領域である。
【0106】
第2領域92L,92Rは、排出方向DDにおいて排出口85よりも下流に位置すると共に幅方向WDにおいて排出口85よりも外側に位置する領域である。なお、以下では、第2領域92と表現した場合、第2領域92L,92Rの両方を指すが、第2領域92Lと表現した場合、第1領域91の左側の領域のみを指し、第2領域92Rと表現した場合、第1領域91の右側の領域のみを指す。
【0107】
画像形成装置1は、排出口85よりも排出方向DDにおける上流に位置し、排出口85よりも上方に位置する上面87を有する。上面87は、画像形成装置1の外装の上面の一部であり、第1の領域91及び第2の領域92よりも高い位置に位置する第3領域である。画像形成装置1は、上面87と、第1領域91と、第2領域92と、によって画像形成装置1の外装の上面である上面部95を形成する。また、現像容器32の補給口32aは、幅方向WDにおいて第1領域91に対応する位置に配置されているが、補給口32aを露出させる開口部82aは、第1領域91及び第2領域92Rに跨って形成される。なお、開口部82aは、第1領域91のみに形成してもよい。
【0108】
本実施の形態では、第2領域92は、第1領域91に対して面一となるように設けられており、且つ第2領域92の少なくとも一部が排出口85よりも下方に位置している。より好適には、第2領域92は、その全てが排出口85よりも下方に位置している。
【0109】
このため、開閉部材83を開いた際に、現像容器32に対してユーザのアクセス性が増し、トナーパック40を回動する際のユーザの作業スペースを容易に確保することができる。
図25は、ユーザがトナーパック40を画像形成装置1に装着する際の様子を示す斜視図である。
図25に示すように、ユーザは、トナーパック40の例えば外輪部材510及びパウチ503を把持して、画像形成装置1の現像容器32にトナーパック40を装着する。この時、本実施の形態の画像形成装置1には、比較例のように柱部333L,333R(
図24参照)が設けられていないので、十分にユーザの作業スペースを確保することができる。また、ユーザは、トナーパック40の外輪部材510を把持してトナー補給作業を行うが、外輪部材510を含む回転容器ユニット401(
図8(a)参照)を回動操作しても、ユーザの手の動きを阻害するような障害物はない。よって、現像容器32にトナーを補給する際に、作業性を向上することができる。また、以上のように、画像形成装置の一形態を提供することができる。
【0110】
本実施の形態では、トナーパック40を遮蔽状態から開放状態にする際には、トナー排出口501rがシール部材504及びシャッタシート505の先端部505aによって確実に遮蔽される。このため、トナーパック40内のトナーがトナー排出口501rから漏れ出ることが抑制され、ユーザビリティを向上できる。
【0111】
また、トナーパック40を開放状態から遮蔽状態にする際には、
図23(a)に示す隙間δ1に相当する段部501nと端面507fとの間の空間がシャッタシート505の先端部505aによって確実に遮蔽されている。このため、隙間δ1にトナーが入り込み、トナーパック40を取り外したときに隙間δ1内のトナーが飛散することが抑制され、ユーザビリティを向上できる。
【0112】
また、トナーパック40のトナー排出口501rは、補給ベース501の軸線方向D1に延びる外周部501bに形成されている。このため、例えばトナー排出口501rをトナーパック40の軸線方向D1における端部(例えば軸線方向D1に垂直な端面)に形成する場合に比して、トナー排出口501rの開口面積を広くとることができ、トナーの補給効率を向上できる。また、補給ベース501及び円筒部32gの外径を小さく構成することができる。
【0113】
また、本実施の形態では、シャッタ部材41の内周面側に補給ベース501が配置されている。例えば、現像容器32に収容されるトナーがトナー補給途中で満タンとなってトナーパック40のトナーが一部しか補給できなかった場合に、補給ベース501のトナー排出口501rにはトナー(摺り切りトナー)が溜まっている。トナーパック40は、現像容器32から離脱される前に、現像容器32に装着された状態で回動されて開放状態から遮蔽状態となるが、この時、トナー排出口501rは、トナー排出口501rの外周面側からシャッタ部材41によって遮蔽される。このため、トナー排出口501rに溜まった摺り切りトナーがシャッタ部材41によって確実に封止された状態でトナーパック40が現像容器32から離脱し、摺り切りトナーが現像容器32の外部に飛散することを低減できる。
【0114】
なお、本実施の形態では、トナーパック40のシャッタ部材41に形成された被係合部41kが、円筒部32gの係合部32eに係合する構成を用いて説明したが、これに限定されない。被係合部41k及び係合部32eは、それぞれ2面取り形状を有していたが、これに限定されない。例えば、被係合部41kを2面取りされたボス形状から構成し、係合部32eを2面取りされた穴形状から構成してもよい。また、被係合部41k及び係合部32eの形状に拘わらず、互いに圧入されたりスナップフィット形状によって係合されたりしてもよい。
【0115】
<第2の実施の形態>
次いで、本発明の第2の実施の形態について説明するが、第2の実施の形態は、第1の実施の形態のトナー受入部600のシャッタ部材507を、シャッタ部材507Bに変更して構成したものである。このため、第1の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0116】
なお、第2の実施の形態に係るシャッタ部材507は、第1の実施の形態と同様に、
図15に示すように、内径部507hと、外径部507kと、凸部507eと、を有している。すなわち、シャッタ部材507Bは、第1の実施の形態のシャッタ部材507に追加して、嵌合部513が設けられた点のみが異なる。
【0117】
シャッタ部材507Bの嵌合部513は、
図26(a)乃至
図27に示すように、トナーパック40の外輪部材510が係合する略六角形状の開口部513aと、ユーザが回動操作可能なレバー部513bと、を有している。
【0118】
図28は、第2の実施の形態に係る画像形成装置1Bを示す斜視図であり、
図29は、第2の実施の形態に係る画像形成装置1Bを示す平面図である。画像形成装置1Bは、第1の実施の形態の画像形成装置1と基本的に同様の構成及び機能を有している。画像形成装置1Bの排出トレイ81には、
図28及び
図29に示すように、開口部82aが形成されており、開口部82aは、装置右側に配置されている。
【0119】
シャッタ部材507Bの嵌合部513は、開口部82aを介して外部に露出しており、ユーザは、現像容器32(
図1参照)にトナーを補給する際には、トナーパック40を嵌合部513に嵌合させる。より具体的には、トナーパック40の外輪部材510を嵌合部513に嵌合させる。
【0120】
そして、ユーザは、開口部82aから露出しているレバー部513bを操作して、レバー部513bを回転軸線z(
図26(b)参照)を中心に回動させる。これにより、シャッタ部材507B及びトナーパック40の回転容器ユニット401(
図5参照)が回動し、トナーパック40及びトナー受入部600Bが遮蔽状態から開放状態となる。この結果、トナーパック40内のトナーを現像容器32に補給することができる。
【0121】
以上のように本実施の形態では、第1の実施の形態のように外輪部材510を操作するのではなく、シャッタ部材507Bのレバー部513bを操作することで、トナーパック40及びトナー受入部600Bを遮蔽状態から開放状態にすることができる。
【0122】
レバー部513bを把持するためのスペースは、外輪部材510を把持するためのスペースよりも小さくて済むので、例えば開口部82aが小さい場合でもレバー部513bの操作性が良く、ユーザビリティを向上できる。なお、開口部82aは、画像形成装置1Bの筐体の強度上、及び画像形成装置1Bの内部への異物の侵入等を防ぐためには、小さい方が有利である。
【0123】
また、ユーザによっては、レバー部513bを操作する際に作業スペースが広い構成を望む場合がある。本実施の形態においても、排出トレイ81は、画像形成装置1Bの幅方向WDにおける全幅に亘ってフラットであるので、トナーパック40を回動する際のユーザの作業スペースを容易に確保することができる。よって、現像容器32にトナーを補給する際に、作業性を向上することができる。
【0124】
また、レバー部513bは、トナーパック40の外輪部材510よりも回転軸線zから径方向により離れた位置に配置されているため、ユーザがレバー部513bを操作する際に必要な力を低減し、ユーザビリティを向上することができる。
【0125】
なお、本実施の形態では、シャッタ部材507Bの嵌合部513に、トナーパック40の外輪部材510を嵌合させていたが、これに限定されない。例えば、外輪部材510ではなく、補給ベース501、内輪部材511及びパウチ503の少なくともいずれか1つをシャッタ部材507Bに対して固定してもよい。
【0126】
<第3の実施の形態>
次いで、本発明の第3の実施の形態について説明するが、第3の実施の形態は、第1の実施の形態の画像形成装置の外装の構成を変更したものである。このため、第1の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0127】
本実施の形態では、第1の実施の形態と異なり、排出トレイをフラットに構成していない。
図30(a)乃至
図31(b)に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置1Cの上面部395は、上面87と、第1領域91と、第2領域392L,392Rと、を有する。積載手段としての排出トレイ381は、第1領域91と、第2領域392L,392Rと、によって構成される。
【0128】
第1領域91は、排出方向DDにおいて排出口85よりも下流に位置すると共に排出ローラ対80(
図1参照)から排出された記録材を積載する領域である。第2領域392L,392Rは、排出方向DDにおいて排出口85よりも下流に位置すると共に幅方向WDにおいて排出口85よりも外側に位置する領域である。なお、以下では、第2領域392と表現した場合、第2領域392L,392Rの両方を指すが、第2領域392Lと表現した場合、第1領域91の左側の領域のみを指し、第2領域392Rと表現した場合、第1領域91の右側の領域のみを指す。
【0129】
第2領域392Lは、第1領域91の左側に設けられる段部334Lの上面に相当し、第2領域392Rは、第1領域91の右側に設けられる段部334Rの上面に相当する。第2領域392は、第1領域91よりも上方に位置している。すなわち、段部334L,334Rは、第1領域91よりも高い位置に位置する。
【0130】
補給口32a及び補給口32aを露出させる開口部82aは、第1領域91に対応する位置に配置されており、第2領域392には配置されていない。開口部82aは、カバー部としての開閉部材383によって覆われている。また、補給口32a及び開口部82aは、段部334Rに隣接して配置されている。ここで、段部334Rの高さが高いほど、トナー補給時の作業スペースが狭くなり、作業性が低下してしまう。
【0131】
そこで、本実施の形態では、
図32(a)(b)に示すように、少なくとも第2領域392の一部が、排出口85よりも下方に位置するように設けられている。より好ましくは、第2領域392は、トナーパック40を補給口32aに装着した際に、パウチ503の高さHの半分以下の高さに収まっている。
【0132】
このように、パウチ503の高さHの半分以下の高さに第2領域392が収まるように段部334L,334Rを構成することで、トナーパック40を視認及び把持しやすい構成とすることができ、作業性を向上できる。また、第1領域91よりもわずかに高くなるように段部334L,334Rを構成したので、ユーザによっては外観性を向上できる。また、僅かであってもこのような段部334L,334Rを設けることで、排出された記録材をユーザが排出トレイ381から取り出す際に、段部334L,334Rのどちらか一方に記録材を突き当てて取り出すことが可能になる。この構成により、記録材を取り出す際のユーザビリティを向上させることができる。
【0133】
更に、
図33及び
図34に示すように、現像容器32を高い位置に保持し、現像容器32の補給口32aに装着されたトナーパック40の外輪部材510が、第2領域392よりも上方に突出するように構成してもよい。言い換えれば、第2領域392は、補給口32aに装着されたトナーパック40の把持部としての外輪部材510の上端510tよりも下方に位置する。これにより、トナーパック40を視認及び把持しやすい構成とすることができ、作業性を向上できる。
【0134】
<第4の実施の形態>
次いで、本発明の第4の実施の形態について説明するが、第4の実施の形態は、第1の実施の形態の画像形成装置の外装の構成を変更したものである。このため、第1の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0135】
図35に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置1Dの上面部495は、上面87と、第1領域91と、第2領域492L,492Rと、傾斜部493L,493Rと、を有する。積載手段としての排出トレイ481は、第1領域91と、第2領域492L,492Rと、傾斜部493L,493Rと、によって構成される。
【0136】
第1領域91は、排出方向DDにおいて排出口85よりも下流に位置すると共に排出ローラ対80(
図1参照)から排出された記録材を積載する領域である。第2領域492L,492Rは、排出方向DDにおいて排出口85よりも下流に位置すると共に幅方向WDにおいて排出口85よりも外側に位置する領域である。なお、以下では、第2領域492と表現した場合、第2領域492L,492Rの両方を指すが、第2領域492Lと表現した場合、第1領域91の左側の領域のみを指し、第2領域492Rと表現した場合、第1領域91の右側の領域のみを指す。
【0137】
第2領域492は、第1領域91に対して面一となるように設けられており、且つ第2領域492の少なくとも一部が排出口85よりも下方に位置している。より好適には、第2領域492は、その全てが排出口85よりも下方に位置している。
【0138】
また、傾斜部493L,493Rは、排出方向DDにおける上面87の下流端部87aと第2領域492とを接続しており、排出方向DDにおける下流に向かうにしたがって下方に傾斜している。なお、以下では、傾斜部493と表現した場合、傾斜部493L,493Rの両方を指すが、傾斜部493Lと表現した場合、第1領域91の左側の領域のみを指し、傾斜部493Rと表現した場合、第1領域91の右側の領域のみを指す。
【0139】
以上のように、本実施の形態では、上面87及び第2領域492を傾斜部493によって滑らかに接続している。これにより、現像容器32にトナーを補給する際に、作業性を向上させると共に、外観性を向上できる。
【0140】
<第5の実施の形態>
次いで、本発明の第5の実施の形態について説明するが、第5の実施の形態は、第4の実施の形態の画像形成装置の外装の構成を変更したものである。このため、第4の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0141】
図36に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置1Eの上面部595は、上面87と、第1領域91と、傾斜部593L,593Rと、を有する。
【0142】
第1領域91は、排出方向DDにおいて排出口85よりも下流に位置すると共に排出ローラ対80(
図1参照)から排出された記録材を積載する領域である。傾斜部593L,593Rは、排出方向DDにおける上面87の下流端部87aから延びており、排出方向DDにおける下流に向かうにしたがって下方に傾斜している。なお、以下では、傾斜部593と表現した場合、傾斜部593L,593Rの両方を指すが、傾斜部593Lと表現した場合、第1領域91の左側の領域のみを指し、傾斜部593Rと表現した場合、第1領域91の右側の領域のみを指す。
【0143】
傾斜部593L,593Rは、その前端部593aL,593aRにおいて、第1領域91と同等の高さとなるように傾斜している。そして、前端部593aL,593aRは排出口85よりも下方に位置している。前端部593aL,593aRは、
図36の破線γと同じ高さに位置している。第1領域91は、排出方向DDにおける下流に向かうしたがって上方に傾斜しているため、第1領域91の前端部91aは、破線γよりも高い位置に位置している。すなわち、第1領域91の前端部91aは、傾斜部593L,593Rの前端部593aL,593aRよりも高くなるように構成されている。
【0144】
図40(a)は、第5の実施の形態の変形例を示す斜視図であり、
図40(b)は、第5の実施の形態の変形例を示す側面図である。
図40(a)(b)に示すように、変形例に係る画像形成装置1Gの上面部795は、上面87と、第1領域791と、第2領域792L,792Rと、を有する。積載手段としての排出トレイ781は、第1領域791と、第2領域792L,792Rと、によって構成される。
【0145】
第1領域791は、排出方向DDにおいて排出口85よりも下流に位置すると共に排出ローラ対80(
図1参照)から排出された記録材を積載する領域である。第2領域792L,792Rは、排出方向DDにおいて排出口85よりも下流に位置すると共に幅方向WDにおいて排出口85よりも外側に位置する領域である。なお、以下では、第2領域792と表現した場合、第2領域792L,792Rの両方を指すが、第2領域792Lと表現した場合、第1領域791の左側の領域のみを指し、第2領域792Rと表現した場合、第1領域791の右側の領域のみを指す。
【0146】
第2領域792は、上面87と同様に、略水平に延びている。一方で、第1領域791は、排出方向DDにおける下流に向かうしたがって上方に傾斜している。第1領域791の後端部791b、すなわち排出方向DDにおける上流端は、第2領域792よりも低い位置に位置している。第1領域791の前端部791a、すなわち、排出方向における下流端は、第2領域792L,792Rの前端部792aL,792aRよりも高い位置に位置している。
【0147】
このように、第1領域791は、
図40(b)に示すように、側面視において第2領域792L,792Rと交差するように構成されている。よって、第2領域792の少なくとも一部は、第1領域791よりも上方に位置している。また、排出方向DDにおける第2領域792L,792Rの下流端としての前端部792aL,792aRは、排出方向DDにおける第1領域791の下流端としての前端部791aより、高さ方向に関して、下側に位置している。
【0148】
以上のように、第5の実施の形態や変形例の構成であっても、第4の実施の形態と同様に、現像容器32にトナーを補給する際に、作業性を向上させると共に、外観性を向上できる。
【0149】
<第6の実施の形態>
次いで、本発明の第6の実施の形態について説明するが、第6の実施の形態は、第1の実施の形態の画像形成装置の外装の構成を変更したものである。このため、第1の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0150】
図37(a)乃至
図39(b)に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置1Fには、排出口85から排出された記録材を積載する積載面としての排出トレイ681が設けられている。排出トレイ681の幅方向WDにおける両側には、柱部335L,335Rが設けられている。これら柱部335L,335Rは、画像形成装置1Fの外装の一部を構成しており、排出トレイ681及び排出口85よりも上方に延びている。
【0151】
より具体的には、画像形成装置1Fの外装の上面部695は、上面87と、排出トレイ681と、柱部335Lの上面335tLと、柱部335Rの上面335tRと、を有している。そして、上面87,335tL,335tRは、略水平面に沿って面一に形成されている。
【0152】
ここで、
図24を用いて比較例で説明したように、補給口32aは、柱部335Rの近傍に配置されているため、ユーザは、現像容器32にアクセスしてトナーを補給しようとする際に、作業スペースが狭いと感じる場合がある。なお、補給口32aを排出トレイ681の左側の領域に配置する構成も考えられるが、トナーパック40を両手の指で絞り出すような動作を想定した場合、左側の柱部335Rが作業スペースを狭めてしまい、作業性を低下させる虞がある。すなわち、例えばトナーパック40を両手の指で絞り出す動作を行う場合、補給口32aの幅方向における左右両側を作業空間として確保する必要がある。
【0153】
そこで、本実施の形態では、現像容器32を収容する画像形成装置1Fの筐体700が、柱部335Rを開閉可能に支持するように構成している。移動部材としての柱部335Rは、筐体700のヒンジ部701を中心に、右側に開くように構成されており、カバー部683を有している。柱部335Rが筐体700に対して閉じられた状態では、カバー部683は、補給口32aを露出可能な開口部82aを覆っている。柱部335Rは、筐体700に対して閉じられた状態で、排出口85よりも上方に突出するように配置されている。言い換えれば、柱部335Rは、筐体700に対して閉じられた状態で、排出口85よりも上方に突出する面である上面335tRを備える。
【0154】
そして、柱部335Rが筐体700に対して右側、すなわち補給口32aから離れる方向に開かれると、カバー部683は開口部82aを開放し、補給口32aが露出する。
【0155】
以上のように本実施の形態では、柱部335Rを筐体700に対して開くことで、柱部335Rが補給口32aから離間し、補給口32aの周りに十分な作業スペースを確保することができる。また、柱部335Rと一体にカバー部683が開くので、柱部335Rとカバー部683とを別々に開く必要が無く、作業性を向上できる。
【0156】
なお、本実施の形態では、柱部335Rのみが筐体700に対して開閉可能に構成されたが、これに限定されない。例えば、柱部335Lも筐体700に対して開閉可能に構成してもよい。また、柱部335Rは、ヒンジ部701を中心に開閉する構成に限らず、スライドしたり、筐体700から取り外されるように構成したりしてもよい。
【0157】
また、本実施の形態では、柱部335Rと一体にカバー部683を設けたが、これに限定されない。例えば、柱部335Rとカバー部683とを別体に設けてもよい。
【0158】
また、既述のいずれの形態においても、第2領域は第1領域の幅方向における両側に設けたが、これに限定されない。例えば、左右の第2領域の内、補給口32aに近い側の第2領域だけを設け、他方の第2領域は設けなくてもよい。例えば、
図2において、第2領域92Rの構成は変えずに、第2領域92Lに代えて、比較例において説明した柱部333L(
図24参照)を設けてもよい。
【0159】
また、既述のいずれの形態においても、開閉部材83,383は、第1領域内に収まるサイズであったが、これに限定されない。例えば、画像形成装置1Hの開閉部材883は、
図41(a)(b)に示すように、第1領域91の前端部91aの一部を構成してもよい。また、既述のいずれの形態及び変形例は、適宜互いに組み合わせて構成してもよい。
【0160】
また、既述のいずれの形態においても、排出ローラ対80によって機外に記録材を排出していたが、これに限定されない。例えば、ベルト搬送装置や、軸方向に互い違いに配置される櫛歯ローラによって記録材を排出してもよい。
【符号の説明】
【0161】
1,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H:画像形成装置/36:収容部/40:補給容器(トナーパック)/80:排出手段(排出ローラ対)/81,381,481,781:積載手段(排出トレイ)/82a:開口部/83,383,683,883:カバー部(開閉部材)/85:排出口/87:第3領域(上面)/91,791:第1領域/92,392,492,792:第2領域/95,395,495,595,695,795:上面(上面部)/335tR:面(上面)/335R:移動部材(柱部)/493:傾斜部/510:把持部(外輪部材)/510t:上端/681:積載面(排出トレイ)/700:筐体/791a:下流端(前端部)/792aL,792aR:下流端(前端部)/DD:排出方向/WD:幅方向