(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】画像形成装置用のケーブル及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240617BHJP
H02G 3/22 20060101ALI20240617BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20240617BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20240617BHJP
H01R 4/64 20060101ALI20240617BHJP
H01R 13/648 20060101ALI20240617BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240617BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
H04N1/00 519
H02G3/22
H05K9/00 K
H05K7/00 B
H01R4/64 A
H01R13/648
G03G21/16 152
B41J29/00 C
(21)【出願番号】P 2020091510
(22)【出願日】2020-05-26
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 穣
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-263928(JP,A)
【文献】特開2016-062006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/00
H02G 3/22
H05K 7/00
H05K 9/00
H01R 4/64
H01R 13/648-13/6599
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の可動体に接続されるケーブルであって、
電線と、
前記電線に接続され、前記可動体の有する可動体側コネクタに接続されるためのケーブル側コネクタと、
前記電線を囲むシールド材と、
前記シールド材に接続された一端、および、前記可動体の有するグランド部に接続されるための他端を有するグランド線と、を備え、
前記ケーブルの長さに基づいて規定される範囲を超える位置に向けて前記可動体を移動させようとする力が前記可動体に印加されるときに、前記ケーブル側コネクタへかかる張力よりも前記グランド線の前記他端へかかる張力が大きくなるように、前記グランド線の長さ、および、前記電線の長さが構成されていることを特徴とする画像形成装置用のケーブル。
【請求項2】
画像形成装置の可動体に接続されるケーブルであって、
電線と、
前記電線に接続され、前記可動体の有する可動体側コネクタに接続されるためのケーブル側コネクタと、
前記電線を囲むシールド材と、
前記シールド材に接続された一端、および、前記可動体の有するグランド部に接続されるための他端を有するグランド線と、を備え、
前記ケーブルには、前記電線と、前記グランド線との配線経路が分岐する分岐点が設けられ、
前記グランド線の長さは、前記ケーブルの長さに基づいて規定される範囲の外縁まで前記可動体が移動した状態における、前記分岐点から前記可動体の前記グランド部の接続点までの距離に相当する長さであり、
前記電線の長さは、前記ケーブルの長さに基づいて規定される範囲の外縁まで前記可動体が移動した状態における、前記分岐点から前記可動体側コネクタまでの距離よりも長い長さであることを特徴とする画像形成装置用のケーブル。
【請求項3】
前記グランド線の前記他端には、前記グランド部に設けられたネジ穴に螺合するネジによって前記グランド部に接続されるための丸型端子が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置用のケーブル。
【請求項4】
前記グランド線の前記他端は、前記グランド線の前記一端と前記可動体側コネクタとの間で前記グランド部に接続されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置用のケーブル。
【請求項5】
前記電線に前記ケーブル側コネクタが前記可動体側コネクタから抜ける方向に力が加えられたときに、前記
電線がぴんと張らないように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置用のケーブル。
【請求項6】
前記グランド線に設けられる余長は、前記電線に設けられる余長より短いことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置用のケーブル。
【請求項7】
前記電線を束ねるケーブルガイドを更に備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成装置用のケーブル。
【請求項8】
記録媒体に画像を形成する画像形成部を有する画像形成装置であって、
前記可動体としての操作部と、
前記操作部に接続された請求項1乃至7のいずれか一項に記載のケーブルと、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記可動体の前記グランド部は、板金であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記ケーブルは、もう一つのグランド線と、前記もう一つのグランド線の一端を前記シールド材に接続するもう一つの接続部と、前記電線の他端および前記もう一つのグランド線の他端に接続された第三のコネクタと、を備え、
前記画像形成装置は、基板と、前記基板に設けられた第四のコネクタと、を備え、
前記第三のコネクタと、前記第四のコネクタとが接続されていることを特徴とする請求項8または9に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の可動体に接続される画像形成装置用のケーブル及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機には、操作、設定項目や装置状態を使用者に対して表示すると共に、使用者からのコピーやスキャンなどの動作指示、及び、これら動作に関わる設定等の操作入力を受け付ける操作部が備えられている。操作部は、複合機全体の動作を制御するメインコントローラとケーブルを介して接続され、メインコントローラの表示制御に従った表示画面の出力、タッチパネルや各種ハードキーからの入力を、ケーブルを介して通信する。
【0003】
一般的に、操作部は、使用者が使いやすいよう複合機の前面に配置されている。一方、使用者が直接触ることのないメインコントローラは、複合機の背面に配置されることが多い。このような配置関係から、メインコントローラと操作部を接続するケーブルは、複合機が大型になれば必然的に長くなる。そして、ケーブルが長くなるほど、操作部とメインコントローラの双方で生じたノイズが信号線を通じてケーブルへ伝播した際、ケーブルをアンテナとして気中に放射され易くなる。
【0004】
このようなノイズの放射は、信号線をシールド材で覆ったシールド付きのケーブルで抑制することが可能である。すなわち、ケーブル内の信号線からノイズが放射された際、ノイズのエネルギーはシールドの内側で抑えられ、ノイズ電流としてシールド内を伝播し、ケーブルの両端のグランドを介してアースへ流れる。このメカニズムによって、放射ノイズが抑制される。
【0005】
そのため、ケーブルのシールドによるノイズ抑制効果を期待するならば、シールド材をケーブルの両端でグランドに接続することが必要である。例えば、特許文献1のようなシールドケーブルの構成が考えられる。特許文献1によると、コネクタを通じてシールド材をフレームグランドに接続することで、簡単且つ確実にケーブルのシールドの両端をグランドに落とすことが可能となる。
【0006】
一方、複合機によっては、備え付けの操作部は、複合機の本体とケーブルのみによって接続される構成のものもある。例えば、商業印刷向けの大型の複合機は、複合機の本体が大きいため、操作部を特定の場所に固定せず、用紙の給送段や排出段の付近にも配置できるようにしている。そうすることで、複合機の利便性を高めているものも存在する。
【0007】
このような複合機の場合、操作部の板金は複合機の本体のフレームグランドと接続されていないため、フレームグランドに対して操作部のインピーダンスが高くなる。これに対しても、ケーブルの両端部分のシールド材を、共にグランドに接続することで、メインコントローラが搭載された複合機の本体と、操作部のグランド接続を強化させ、操作部を電気的に安定させる役割を果たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述の大型複合機のように、操作部が複合機の本体とケーブルのみで接続される構成の場合、使用者が操作部を持って移動させ、操作部の置き場所を変えることが想定される。この場合、使用者が予期せず操作部を引っ張ってしまうと、ケーブルが接続されているコネクタに力がかかってしまい、コネクタが抜けたり損傷したりして、通信が切断されてしまうおそれがある。
【0010】
これに対して、ケーブルを束ねて筐体板金に固定する部材や機構を用いたりすることで対策可能であるが、その分部材コストがかかる、設計難易度が上がる、スペースを確保する必要がある、という問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、移動体に接続されたケーブルが引っ張られてもコネクタにかかる力を低減することができるケーブルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施例による画像形成装置用のケーブルは、
画像形成装置の可動体に接続されるケーブルであって、
電線と、
前記電線に接続され、前記可動体の有する可動体側コネクタに接続されるためのケーブル側コネクタと、
前記電線を囲むシールド材と、
前記シールド材に接続された一端、および、前記可動体の有するグランド部に接続されるための他端を有するグランド線と、を備え、
前記ケーブルの長さに基づいて規定される範囲を超える位置に向けて前記可動体を移動させようとする力が前記可動体に印加されるときに、前記ケーブル側コネクタへかかる張力よりも前記グランド線の前記他端へかかる張力が大きくなるように、前記グランド線の長さ、および、前記電線の長さが構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、移動体に接続されたケーブルが引っ張られてもコネクタにかかる力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図5】別の実施例による操作部内のケーブルの配線を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(複合機)
図1は、複合機100の斜視図である。本実施例において、複合機100は、商業印刷機である。複合機100は、用紙などの記録媒体に画像を形成する画像形成装置を含む。複合機100は、複合機100の本体100aの外部で移動可能に配置される操作部200と、複合機100の本体100aの内部に設けられたメインコントローラ400と、を備える。操作部200は、液晶とタッチパネルを備える。操作部200は、複合機100の各種機能、設定項目及び装置状態を表示し、使用者によるタッチパネルの操作に応じた入力を受け付ける。メインコントローラ400は、複合機100の背面に配置されている。メインコントローラ400は、印刷などの機能に関わる動作制御、装置の状態監視及び外部との通信などの複合機100に関わる制御全般を行う。
【0016】
メインコントローラ400と操作部200は、ケーブル300によって接続される。電源は、ケーブル300を介して操作部200へ供給される。操作部200とメインコントローラ400との間では、ケーブル300を介して、表示画面データ及びタッチパネル操作などの通信データがやり取りされる。操作部200は、複合機100の本体100aに固定されていないので、ケーブル300が届く所定の範囲内で移動可能な移動体である。操作部200は、所定の範囲内に設置可能である。操作部200を複合機100の端部に設置可能なように、ケーブル300は、複合機100の本体100a内に余長301を有する。使用者は、必要に応じて、ケーブル300の余長301を複合機100の本体100aから引き出し、操作部200を所定の範囲内で所望の位置に配置することができる。
【0017】
ケーブル300の余長301の部分の所定の箇所(不図示)は、後述するように、複合機100の本体100a内に配置された板金315(
図2)にケーブル固定部材314(
図2)によって固定されている。したがって、使用者が操作部200を引っ張ってもメインコントローラ400とケーブル300との接続部に力が及ぶことがないように構成されている。
【0018】
(ケーブル)
図2は、ケーブル300を示す図である。説明の便宜上、ケーブル300を部分300A、300B及び300Cに区分する。部分300Aは、操作部200内を這うケーブル300の部分である。部分300Bは、操作部200及び複合機100の本体100aの外側の機外501を這うケーブル300の部分である。部分300Cは、複合機100の本体100a内を這うケーブル300の部分である。ケーブル300は、複数の電線303と、電線303の一端部303aに接続された第一のコネクタ302と、電線303の他端部303bに接続された第三のコネクタ311と、を備える。ケーブル300は、更に、電線303を覆うシールド材305と、グランド線(アース線)306と、シールド材305にグランド線306の一端部306aを接続する接続部307と、を備える。ケーブル300は、更に、グランド線(もう一つのグランド線)312と、シールド材305にグランド線312の一端部312aを接続する接続部(もう一つの接続部)313と、を備える。
【0019】
電線303は、金属などの導体である芯線(線材)と、芯線を覆う被覆から成る。電線303は、芯線に電流を流して電気信号を通す信号線を含む。電線303は、芯線に電流を流して電源を通す電源線を含んでいてもよい。シールド材305は、複数の電線303の全ての外周を覆う導電性の金属箔または編組素材によって構成される。操作部200は、ノイズ源となる素子を有する電子回路が搭載された基板309(
図3)を有する。メインコントローラ400は、ノイズ源となる素子を有する電子回路が搭載された基板409を有する。したがって、例えば、操作部200とメインコントローラ400とをシールド構成のないケーブルで接続すると、ケーブルを伝播したノイズが気中に放射され、周辺の機器に誤作動の影響を及ぼす可能性がある。そこで、本実施例のケーブル300は、ノイズ放射を抑制するために、シールド材305によって複数の電線303が遮蔽されている。
【0020】
グランド線306は、シールド材305と操作部200の板金などのグランド部(フレームグランド)204(
図3)とを接続する。グランド線306は、複数の電線303とは独立して、接続部307によってシールド材305に接続されている。グランド線306は、接続部(半田付け部)307でシールド材305に半田接合されている。グランド線306の先端部(他端部)306bには、丸型端子308が固着されている。グランド線312は、接続部(半田付け部)313でシールド材305に半田接合されている。グランド線312の先端部(他端部)312bは、第三のコネクタ311に接続されている。第三のコネクタ311は、メインコントローラ400の基板409に実装されている第四のコネクタ410に接続される。グランド線312は、第三のコネクタ311及び第四のコネクタ410を通じて複合機100の本体100aのフレームグランドに接続される。
【0021】
電線303は、シールド材305によって覆われている。ケーブル300の部分300Aの側において、シールド材305は、接続部307、グランド線306及び丸型端子308を介して、操作部200のフレームグランドに接続される。また、ケーブル300の部分300Cの側において、シールド材305は、接続部313、グランド線312、第三のコネクタ311及び第四のコネクタ410を介して、複合機100の本体100aのフレームグランドに接続される。したがって、電線303から放射されるノイズは、フレームグランドに接続されたシールド材305によってシールド材305の外側へ放射されることが抑制される。
【0022】
絶縁物である被覆304は、シールド材305、グランド線306の一部、接続部307、グランド線312の一部及び接続部313を覆い、これらを外部に対して電気的に絶縁する。ケーブル300の部分300Cの被覆304で覆われた部分の所定の箇所は、複合機100の本体100a内に配置されたグランド部としての板金315に固定されたケーブル固定部材314によって固定されている。ケーブル300が操作部200の側から使用者によって引っ張られても、ケーブル300のケーブル固定部材314によって固定された箇所は動かないように固定されている。
【0023】
使用者が操作部200を移動する際にケーブル300が引っ張られても、ケーブル固定部材314によって固定された箇所は動かないので、使用者がケーブル300を引っ張る力は、第三のコネクタ311と第四のコネクタ410の嵌合部にかからない。ゆえに、第三のコネクタ311が第四のコネクタ410から抜けたり、第三のコネクタ311又は第四のコネクタ410が損傷したりするリスクを低減することができる。
【0024】
(操作部内のケーブルの配線)
図3は、操作部200内のケーブル300の配線を示す図である。操作部200内には、基板309が配置されている。基板309の上には、ケーブル300の第一のコネクタ302に嵌合する第二のコネクタ310が実装されている。ケーブル300の第一のコネクタ302は、第二のコネクタ310に挿入される。第一のコネクタ302が第二のコネクタ310に接続されたケーブル300は、操作部200の外装202に設けられた開口部203を直線的に通って配線される。
【0025】
接続部307と第一のコネクタ302との間の電線303には、余長3031が意図的に設けられている。グランド線306の先端部306bの丸型端子308は、操作部200のグランド部204に設けられたネジ穴206に螺合するネジ(固定部材)201によってグランド部204に固定される。グランド部204は、基準電位のフレームグランドになる。グランド線306には、余長がほとんど設けられていない。
【0026】
本実施例において、グランド線306の丸型端子308は、第二のコネクタ310と接続部307との間でグランド部204に固定されている。しかし、グランド線306の丸型端子308は、接続部307から第二のコネクタ310より遠い位置でグランド部204に固定されていてもよい。本実施例において、接続部307と丸型端子308との間のグランド線306の長さは、接続部307と第一のコネクタ302との間の電線303の長さより短い。しかし、接続部307と丸型端子308との間のグランド線306の長さは、接続部307と第一のコネクタ302との間の電線303の長さ以上であってもよい。
【0027】
使用者が操作部200を持って引っ張ると、複合機100の本体100a内でケーブル300の他端部が固定されているため、ケーブル300には、
図3の矢印Dで示す方向に力がかかる。この時、電線303及びグランド線306が同時に矢印Dで示す方向に引っ張られる。グランド線306に設けられる余長は、電線303に設けられる余長3031より短いので、ケーブル300は、グランド線306の先端部306bを固定するネジ201によって突っ張る形となる。すなわち、グランド線306は、矢印Dで示す方向の力によってゆるみなく、まっすぐにぴんと張る。しかし、電線303には、余長3031が設けられているので、矢印Dで示す方向の力によってぴんと張ることはない。電線303がぴんと張らないので、矢印Dで示す方向の力によって第一のコネクタ302と第二のコネクタ310の嵌合部が力を受けることがない。
【0028】
このように、使用者が操作部200を移動するときにケーブル300に矢印Dで示す方向に力がかかっても、電線303よりもグランド線306が先に突っ張るように、ケーブル300及びケーブル300の配線が構成されている。したがって、操作部200又はケーブル300が引っ張られたとしても、第一のコネクタ302と第二のコネクタ310の嵌合部に力がかからない。ゆえに、第一のコネクタ302が第二のコネクタ310から抜けたり、第一のコネクタ302又は第二のコネクタ310が損傷したりするリスクを低減することができる。使用者が複合機100の本体100aに対して移動可能な操作部200を移動する際にケーブル300が引っ張られても、ケーブル300は、操作部200の引っ張りに対する耐性と、ケーブル300に伝播したノイズ放射の抑制とを、同時に実現可能である。
【0029】
図4は、電線303の長さA1、A2とグランド線の長さB1、B2の説明図である。
図4(a)は、ケーブル300が矢印Dで示す方向に最も引っ張られたときに電線303とグランド線306の分岐点502が操作部200の外装202の内側にある場合の電線303の長さA1とグランド線の長さB1の説明図である。
図4(a)において、第一のコネクタ302及びネジ201は、簡略化されて点で表されている。電線303の長さA1は、第一のコネクタ302と分岐点502とを結ぶ最短の長さを表す。グランド線306の長さB1は、操作部200に固定されたネジ201と分岐点502とを結ぶ最短の長さを表す。
【0030】
シールド材305にグランド線306の一端部306aを接続する接続部307の位置は、分岐点502の位置であるとみなすことができる。第二のコネクタ310に接続された第一のコネクタ302の位置及び操作部200に固定されたネジ201の位置が決定される。電線303の長さA1に余長3031の長さαを加えて、接続部307と第一のコネクタ302との間の電線303の長さが決定される。グランド線306の長さB1に基づいて、接続部307とネジ201との間のグランド線306の長さが決定される。なお、分岐点502の位置は、接続部307の近傍であればよい。分岐点502の位置は、必ずしも接続部307の近くでなくてもよい。本実施例では、分岐点502の位置は、接続部307の位置であるとする。
【0031】
図4(a)に示す例において、第一のコネクタ302と分岐点502とを結ぶ電線303の最短の長さA1は、100mmに設定されている。余長3031の長さαは、30mmに設定されている。接続部307と第一のコネクタ302との間の電線303の長さは、電線303の長さA1(100mm)に余長3031の長さα(30mm)を加えて、130mmに決定される。操作部200に固定されたネジ201と分岐点502とを結ぶグランド線306の最短の長さB1は、70mmで設定されている。接続部307とネジ201との間のグランド線306の長さは、グランド線306の長さB1(70mm)に基づいて、70mmに決定される。
【0032】
このように長さを決定することによって、ケーブル300が最初に配置された位置から矢印Dで示す方向に引っ張られて
図4(a)に示す位置へ移動しても、電線303がぴんと張らずにグランド線306がぴんと張るように構成することができる。ケーブル300が矢印Dで示す方向に引っ張られても、電線303がぴんと張らないので、第一のコネクタ302が第二のコネクタ310から抜けたり、第一のコネクタ302又は第二のコネクタ310が損傷したりするリスクを低減することができる。
【0033】
図4(b)は、ケーブル300が矢印Dで示す方向に最も引っ張られたときに電線303とグランド線306の分岐点502が操作部200の外側の機外501にある場合の電線303の長さA2とグランド線の長さB2の説明図である。
図4(b)において、第一のコネクタ302及びネジ201は、簡略化されて点で表されている。電線303の長さA2は、第一のコネクタ302と開口部203とを結ぶ最短の長さを表す。グランド線の長さB2は、操作部200に固定されたネジ201と開口部203とを結ぶ最短の長さを表す。
【0034】
第二のコネクタ310に接続された第一のコネクタ302の位置及び操作部200に固定されたネジ201の位置が決定される。電線303の長さA2に開口部203と分岐点502との間の長さL及び余長3031の長さαを加えて、接続部307と第一のコネクタ302との間の電線303の長さが決定される。グランド線306の長さB2に開口部203と分岐点502との間の長さLを加えて、接続部307とネジ201との間のグランド線306の長さが決定される。
【0035】
このように長さを決定することによって、ケーブル300が最初に配置された位置から矢印Dで示す方向に引っ張られて
図4(b)に示す位置へ移動しても、電線303がぴんと張らずにグランド線306がぴんと張るように構成することができる。ケーブル300が矢印Dで示す方向に引っ張られても、電線303がぴんと張らないので、第一のコネクタ302が第二のコネクタ310から抜けたり、第一のコネクタ302又は第二のコネクタ310が損傷したりするリスクを低減することができる。
【0036】
なお、余長3031の長さαが長すぎると、電線303が他の部品に引っかかったり、新たにケーブルガイドが必要となったりする。また、余長3031の長さαが短すぎると、使用者による操作部200又はケーブル300の引っ張り方又は引っ張り方向によっては、第一のコネクタ302に力がかかってしまうおそれがある。そのため、余長3031の長さαは、20~40mm程度であるとよい。しかし、余長3031の長さαは、これに限定されるものではない。余長3031の長さαは、ケーブル300が実装される操作部200及び電線303の配線構成によっては、20mmより短くても、40mmより長くてもよい場合もある。
【0037】
(別の実施例による操作部内のケーブルの配線)
図5は、別の実施例による操作部200内のケーブル300の配線を示す図である。
図3に示す実施例と同様の構造には同様の参照符号を付して説明を省略する。ケーブル300が矢印Dで示す方向に最も引っ張られたときに、電線303とグランド線306の分岐点502が操作部200の外装202の内側にある。分岐点502の位置は、接続部307の位置であるとみなすことができる。しかし、分岐点502の位置は、接続部307の近傍であればよい。分岐点502の位置は、必ずしも接続部307の近くでなくてもよい。
【0038】
複数の電線303の余長3031を束ねるために、二つのケーブルガイド205が設けられている。ケーブルガイド205は、操作部200に固定されている必要はない。しかし、ケーブルガイド205は、操作部200に固定されていてもよい。使用者が操作部200を引っ張り、ケーブル300に矢印Dで示す方向に力がかかっても、電線303がぴんと張らないようにグランド線306がネジ201によってぴんと張られる。グランド線306がネジ201によって突っ張るので、第一のコネクタ302が第二のコネクタ310から抜けたり、第一のコネクタ302又は第二のコネクタ310が損傷したりするリスクを低減することができる。
【0039】
本実施例によれば、操作部200に接続されたケーブル300が引っ張られても第一のコネクタ302及び第二のコネクタ310にかかる力を低減することができる。
【符号の説明】
【0040】
200 操作部
201 ネジ
204 グランド部
300 ケーブル
302 第一のコネクタ
303 電線
305 シールド材
306 グランド線
307 接続部
309 基板
310 第二のコネクタ