(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】撮影位置管理装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20240617BHJP
【FI】
H04N23/60 300
(21)【出願番号】P 2020114283
(22)【出願日】2020-07-01
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520240638
【氏名又は名称】スリーアイ インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】キム ケン
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-171269(JP,A)
【文献】特開平10-233985(JP,A)
【文献】特開2017-017649(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0012439(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影者により撮影空間を移動しながら複数の撮影ポイントでそれぞれ撮影された画像を記憶するシステムで使用される撮影位置管理装置であって、
前記複数の撮影ポイントの計測位置情報を前記撮影空間に対応する二次元座標系に関連付けた撮影位置管理情報を生成する管理情報生成部と、
生成された前記撮影位置管理情報を、前記撮影空間に対応する前記二次元座標系に対し予め設定された撮影対象範囲を表す条件と照合し、前記計測位置情報が前記条件を満たしているか否かを判定する判定部と、
前記計測位置情報が前記条件を満たしていないと判定された場合に、前記撮影位置管理情報を修正する修正処理部と
を具備する撮影位置管理装置。
【請求項2】
前記修正処理部は、前記二次元座標系において前記撮影対象範囲を表す座標に対する前記計測位置情報の座標の差分を算出し、算出された前記差分をもとに前記二次元座標系における前記計測位置情報の座標を修正する、
請求項1に記載の撮影位置管理装置。
【請求項3】
撮影者により撮影空間を移動しながら複数の撮影ポイントでそれぞれ撮影された画像を記憶するシステムで使用される情報処理装置が実行する撮影位置管理方法であって、
前記複数の撮影ポイントの計測位置情報を前記撮影空間に対応する二次元座標系に関連付けた撮影位置管理情報を生成する過程と、
生成された前記撮影位置管理情報を、前記撮影空間に対応する前記二次元座標系に対し予め設定された撮影対象範囲を表す条件と照合し、前記計測位置情報が前記条件を満たしているか否かを判定する過程と、
前記計測位置情報が前記条件を満たしていないと判定された場合に、前記撮影位置管理情報を修正する過程と
を具備する撮影位置管理方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の撮影位置管理装置
が備える前記管理情報生成部、前記判定部および前記修正処理部の各処理を、前記撮影位置管理装置が備えるプログラムに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、例えば三次元空間を移動しながら撮影してその撮影画像を記録するシステムにおいて、上記三次元空間の撮影位置を管理するために使用される撮影位置管理装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、事業所やオフィス、住居等の施設を撮影された画像を用いて管理する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、建物内の三次元空間を異なる複数の位置でそれぞれ全方位(360°)を撮影してその撮影画像を記憶媒体に記録し、記録された各全方位画像を接続することにより上記施設内を示す三次元(3D)画像を生成する技術が記載されている。この技術を用いると、例えば施設の管理者または利用者は、現場に出向かなくても施設の状態を3D画像により遠隔的に把握することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開2018/0075652号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来提案されているシステムでは、撮影装置側で計測された撮影位置を撮影画像と関連付けて管理するようにしている。しかし、撮影装置側で計測された撮影位置は計測手段の計測精度によっては誤差を含む場合があるため、撮影位置を正確に管理できないおそれがある。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、撮影位置を正確に管理できるようにする技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る撮影位置管理装置又は撮影位置管理方法の第1の態様は、撮影者により撮影空間を移動しながら複数の撮影ポイントでそれぞれ撮影された画像を記憶するシステムで使用され、前記複数の撮影ポイントの計測位置情報を前記撮影空間に対応する二次元座標系に関連付けた撮影位置管理情報を生成する。そして、生成された前記撮影位置管理情報を、前記撮影空間の二次元座標系に対し予め設定された撮影対象範囲を表す条件と照合することにより前記計測位置情報が前記条件を満たしているか否かを判定し、前記計測位置情報が前記条件を満たしていないと判定された場合に、前記撮影位置管理情報を修正するようにしたものである。
【0009】
第1の態様によれば、生成された撮影位置管理情報が、撮影空間の二次元座標系に対し予め設定された撮影対象範囲を表す条件と照合され、前記計測位置情報が前記条件を満たしているか否か判定される。そして、計測位置情報が条件を満たしていない場合には、上記撮影位置管理情報が修正される。従って、撮影位置管理情報に記録された撮影ポイントの計測位置が実際の位置からずれていても、この位置ずれを自動的に修正することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
すなわちこの発明の第1の態様によれば、撮影位置を正確に管理することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、この発明の第1の実施形態に係る撮影位置管理装置として動作するサーバ装置を含むシステムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したシステムにおけるサーバ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示したシステムにおけるサーバ装置のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図3に示したサーバ装置による撮影位置管理動作の処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図4に示した撮影位置管理動作による撮影位置修正処理の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、この発明の第2の実施形態に係るサーバ装置のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、
図6に示したサーバ装置による撮影位置管理動作の処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
(構成例)
(1)システム
図1は、この発明の第1の実施形態に係るシステムの概略構成図である。
このシステムは、撮影位置管理装置として動作するサーバ装置SVを備えている。そして、このサーバ装置SVと、ユーザが使用するユーザ端末MT,UT1~UTnとの間で、ネットワークNWを介してデータ通信が可能に構成されている。
【0014】
ユーザ端末MT,UT1~UTnには、全方位画像の登録を行うユーザが使用するユーザ端末MTと、登録された画像を閲覧するユーザが使用するユーザ端末UT1~UTnとがあり、いずれも例えばスマートフォンやダブレット型端末等の携帯情報端末により構成される。なお、ユーザ端末としてはノート型のパーソナルコンピュータやデスクトップ型のパーソナルコンピュータを用いてもよく、またネットワークNWへの接続インタフェースについても無線に限らず有線を使用してもよい。
【0015】
ユーザ端末MTは、カメラCMとの間で例えば信号ケーブルまたはBluetooth(登録商標)等の小電力無線データ通信インタフェースを介してデータ伝送が可能となっている。カメラCMは、全方位を撮影可能なカメラからなり、例えば高さ位置を一定に保持することが可能な三脚に固定されている。カメラCMは、撮影された全方位画像データを、上記小電力無線データ通信インタフェースを介してユーザ端末MTへ送信する。
【0016】
またユーザ端末MTは、例えばGPS(Global Positioning System)または無線LAN(Local Area Network)から送信される信号を利用して現在位置を測定する機能を有する。またユーザ端末MTは、例えば建物内のように上記位置測定機能を使用できない場合に備え、ユーザが基準点となる位置座標を手動入力する機能を有している。
【0017】
ユーザ端末MTは、上記カメラCMから一つの位置で撮影された全方位画像データを受信するごとに、当該撮影位置を表す位置座標を、上記基準点の位置座標と、内蔵する動きセンサ(例えば加速度センサとジャイロセンサ)により計測された移動距離および移動方向とをもとに算出する。そして、受信された上記全方位画像データを、計算された上記撮影位置座標と撮影日時を表す情報と共に、ネットワークNWを介してサーバ装置SVへ送信する。これらの処理は、事前にインストールされた専用のアプリケーションにより実行される。
【0018】
ユーザ端末UT1~UTnは、例えばブラウザを有する。そして、上記ブラウザによりサーバ装置SVにアクセスし、ユーザの入力操作に応じて、所望の施設およびフロアの、所望の日時における所望の場所の画像をダウンロードして、ディスプレイに表示する機能を有している。
【0019】
なお、ネットワークNWは、インターネットを含むIP網と、このIP網にアクセスするためのアクセスネット網とから構成される。アクセス網としては、例えば公衆有線網や携帯電話網、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、CATV(Cable Television)等が用いられる。
【0020】
(2)サーバ装置SV
図2および
図3は、それぞれサーバ装置SVのハードウェア構成およびソフトウェア構成を示すブロック図である。
サーバ装置SVは、クラウド上またはWeb上に設置されたサーバコンピュータからなり、中央処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)等のハードウェアプロセッサを有する制御部1Aを備える。そして、この制御部1Aに対しバス4を介して記憶部2および通信インタフェース(通信I/F)3を接続したものとなっている。
【0021】
通信I/F3は、制御部1Aの制御の下、ネットワークNWを介して上記ユーザ端末MT,UT1~UTnとの間でデータの送受信を行うもので、例えば有線ネットワーク用のインタフェースが用いられる。
【0022】
記憶部2は、例えば、主記憶媒体としてHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリを使用する。なお、記憶媒体としては、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を組み合わせて使用してもよい。
【0023】
記憶部2の記憶領域には、プログラム記憶領域とデータ記憶領域が設けられている。プログラム記憶領域には、OS(Operating System)等のミドルウェアに加えて、この発明の第1の実施形態に係る各種制御処理を実行するために必要なプログラムが格納される。
【0024】
データ記憶領域には、第1の実施形態を実施する上で必要な記憶部として、撮影画像記憶部21と、平面図テンプレートデータ記憶部22と、平面図データ記憶部23が設けられている。
【0025】
撮影画像記憶部21は、撮影ポイントごとに上記カメラCMにより撮影された全方位画像を、撮影日時および撮影位置を表す情報と関連付けた状態で記憶するために用いられる。
【0026】
平面図テンプレートデータ記憶部22には、撮影対象となる施設の各フロアの二次元座標空間を表す平面図テンプレートと、撮影条件を表す情報が記憶されている。平面図テンプレートは、上記フロアごとにその部屋や設備等の配置を表すレイアウトを二次元座標空間に反映した平面図として表される。撮影条件は、二次元座標空間における撮影対象範囲を規定するもので、上記フロアごとに予め設定される。
【0027】
平面図データ記憶部23は、上記フロアごとにその平面図テンプレートに、計測された撮影ポイントの位置座標をプロットした平面図データを、撮影位置管理情報として記憶するために使用される。
【0028】
制御部1Aは、この発明の第1の実施形態に係る制御処理機能として、撮影画像取得部11と、平面図データ生成部12と、撮影ポイント手動修正部13とを備えている。これらの処理部11~13は、何れも記憶部2内のプログラム記憶領域に格納されたプログラムをハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
【0029】
撮影画像取得部11は、ユーザ端末MTから、各撮影ポイントで撮影された撮影画像データが送られるごとに、この撮影画像データを通信I/F3を介して受信し、受信された上記撮影画像データを、当該撮影画像データと共に受信された撮影位置座標および撮影日時を表す情報と関連付けて撮影画像記憶部21に記憶させる処理を行う。
【0030】
平面図データ生成部12は、撮影ポイントごとにその撮影画像と撮影位置および撮影日時を表す情報が取得されるごとに、平面図テンプレートに上記撮影ポイントの撮影位置座標をプロットした平面図データを生成する。そして、生成された上記平面図データを通信I/F3からユーザ端末MTへ送信する処理を行う。なお、上記平面図データの生成に際処理において平面図データ生成部12は、平面図テンプレートを平面図テンプレートデータ記憶部22から読み出し、また撮影ポイントの撮影位置座標を撮影画像記憶部21から読み出す。
【0031】
撮影ポイント手動修正部13は、上記平面図データの送信に対し、ユーザ端末MTから撮影ポイントのプロット位置の修正要求を受信した場合に、上記平面図データにおける該当する撮影ポイントのプロット位置を修正し、修正された平面図データを平面図データ記憶部23に記憶させる処理を行う。
【0032】
(動作例)
次に、以上のように構成されたサーバ装置SVの動作例を説明する。
図4はその処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【0033】
(1)撮影開始前の初期設定
撮影対象フロアに対する撮影を開始するために、ユーザ端末MTから撮影開始要求が送信されると、サーバ装置SVは基準点を取得するための処理を実行する。すなわち、サーバ装置SVは、平面図テンプレートデータ記憶部22から撮影対象フロアの平面図テンプレートデータを読み出し、読み出された平面図テンプレートデータを通信I/F3から要求元のユーザ端末MTへ送信する。この平面図テンプレートデータは、ユーザ端末MTで受信されてディスプレイに表示される。
【0034】
この状態で、ユーザは撮影対象フロアの平面図テンプレートデータを用いて、フロアの撮影を開始しようとする位置を基準点として設定する。そして、ユーザはこの基準点の位置座標を上記平面図テンプレートデータの座標系から求め、入力部を操作してユーザ端末MTに入力する。ユーザ端末MTは、入力された上記基準点の位置座標を保存すると共に、サーバ装置SVへ送信する。なお、上記基準点の設定は、撮影対象フロア内のどの位置に設定してもよい。
【0035】
サーバ装置SVは、上記ユーザ端末MTから上記基準点の位置座標データが送信されると、上記基準点の位置座標データを通信I/F3を介して受信し、制御部1A内の記憶領域に保存する。
【0036】
(2)ユーザによる撮影動作と撮影画像データの取得
ユーザは、撮影対象フロアにおいて上記基準点からカメラCMを撮影ポイントに移動させ、撮影操作を行う。そうすると、カメラCMにより全方位に渡り撮影された撮影画像データがユーザ端末MTへ送信され、このユーザ端末MTからサーバ装置SVへ送信される。またこのときユーザ端末MTでは、上記基準点の位置座標と、内蔵する動きセンサ(例えば加速度センサとジャイロセンサ)により計測された移動距離および移動方向とをもとに、上記撮影ポイントの位置座標が算出される。そして、算出された上記撮影ポイントの位置座標が、撮影日時を表す情報と共に、上記撮影ポイントにおける全方位画像データに付加されてサーバ装置SVへ送信される。
【0037】
以後ユーザ端末MTでは、ユーザが新たな撮影ポイントに移動して撮影操作をするごとに、当該新たな撮影ポイントの位置座標が、例えば一つ前の撮影ポイントの位置座標をもとに算出され、算出された撮影ポイントの位置座標が上記新たな撮影ポイントで撮影された全方位画像データと共にサーバ装置SVへ送信される。
【0038】
これに対しサーバ装置SVは、ステップS10において上記ユーザ端末MTから送信された撮影開始要求を受信すると、撮影画像取得部11の制御の下で、撮影ポイントごとに撮影画像データを取得する処理を実行する。すなわち、撮影画像取得部11は、ステップS11において、撮影ポイントごとに上記ユーザ端末MTから送信された全方位画像データを、通信I/F3を介して受信する。そして、受信された全方位画像データを、当該全方位画像データと共に受信された上記撮影ポイントの位置座標および撮影日時を表す情報と関連付けた状態で、撮影画像記憶部21に記憶させる。
【0039】
(3)平面図データの生成
撮影ポイントごとに全方位画像データが取得されると、サーバ装置SVは平面図データ生成部12の制御の下、ステップS12において平面図データを生成する。すなわち、平面図データ生成部12は、先ず平面図テンプレートデータ記憶部22から撮影対象フロアに対応する平面図テンプレートを読み出す。そして、ステップS13において、読み出された上記平面図テンプレートの二次元座標空間上に、上記ユーザ端末MTから送られた上記撮影ポイントの撮影位置座標を上記撮影画像記憶部21から読み出して、プロットする。かくして、上記撮影ポイントの位置座標がプロットされた平面図データが生成される。
【0040】
続いて平面図データ生成部12は、ステップS14において、生成された上記平面図データを通信I/F3からユーザ端末MTへ送信する。なお、このとき平面図データ生成部12は、例えば「いま撮影を行った撮影ポイントの位置を確認し、修正が必要な場合はプロット位置を正しい位置に修正して下さい」のようなメッセージを同時に送信するようにしてもよい。
【0041】
(4)撮影ポイントのプロット位置の修正
ユーザ端末MTにおいて、ユーザはディスプレイに表示された平面図データを見ることで、当該平面図データに表示された撮影ポイントの位置が、撮影対象フロアにおける実際の撮影ポイントの位置に対応しているか否かを判断する。そして、平面図データに表示された撮影ポイントの位置の修正が必要な場合は、撮影ポイント表示位置の修正データを手動操作で入力する。
【0042】
例えば、いま平面図データ上に表示された撮影ポイントのプロット位置が
図5に示すP1だったとする。この場合、ユーザはマウス操作により、上記プロット位置P1を平面図データ上の正しい位置P1′へ移動させる。なお、修正の必要がない場合には、ユーザは例えば平面図データに表示された「修正無しボタン」をクリックすることにより、修正不要データを入力する。ユーザ端末MTは、上記撮影ポイントの修正データまたは修正不要データを修正要求に含め、この修正要求をサーバ装置SVへ送信する。
【0043】
サーバ装置SVは、ユーザ端末MTから上記修正要求が送信されると、撮影ポイント手動修正部13の制御の下、先ずステップS15において、上記修正データを含む修正要求が受信されたのか、或いは修正不要データを含む修正要求が受信されたのかを判定する。そして、この判定の結果、修正データを含む修正要求が受信された場合には、ステップS16において、先に平面図データ生成部12で生成された平面図データにおける撮影ポイントのプロット位置を、上記修正データに従い修正する。そして、修正された平面図データを平面図データ記憶部23に記憶させる。
【0044】
これに対し、上記判定の結果、修正不要データを含む修正要求が受信された場合には、ステップS17において、先に平面図データ生成部12で生成された平面図データを無修正のまま平面図データ記憶部23に記憶させる。
【0045】
以上述べた撮影画像データの取得から平面図データの生成およびその手動修正処理は、撮影ポイントごと繰り返し行われる。そして、ステップS18において、ユーザ端末MTから撮影対象フロアに対するすべての撮影が終了した旨の通知が受信されると、一連の処理を終了する。
【0046】
なお、サーバ装置SVは、平面図データ記憶部23に、撮影ポイントごとに新たな平面図データを記憶するようにしてもよいが、平面図データ記憶部23に記憶された平面図データを撮影ポイントごとに読み出して更新し、これにより最終的にすべての撮影ポイントがプロットされた平面図データを平面図データ記憶部23に記憶するようにしてもよい。
【0047】
(作用・効果)
以上述べたように第1の実施形態では、撮影ポイントに対する撮影動作が行われるごとに、サーバ装置SVにより、上記撮影ポイントの位置座標をプロットした平面図データを生成してユーザ端末MTへ送信し、ユーザによる上記プロット位置の修正要求に応じて、上記平面図データにおける撮影スポットのプロット位置を修正し、修正された平面図データを撮影位置管理情報として記憶するようにしている。
【0048】
従って、撮影ポイントの位置計測手段に計測誤差があり、これにより平面図データにおける撮影ポイントのプロット位置に位置ずれが生じたとしても、この平面図データに基づくユーザの修正操作に応じて上記平面図データにおける撮影ポイントの位置座標を修正することが可能となる。
【0049】
第1の実施形態では、ユーザにより任意に設定された基準点に基づいて、ユーザ端末MTが内蔵された動きセンサにより計測される移動距離と移動方向をもとに撮影ポイントの位置座標を算出し、サーバ装置SVがこの位置座標を平面図データにプロットするようにしている。このため、撮影ポイントごとに位置座標の誤差が蓄積され、平面図データにプロットされた撮影ポイントの位置が、実際の撮影ポイントの位置に対し大きくずれてしまう心配がある。しかしながら、第1の実施形態では、前述したように撮影ポイントごとに撮影ポイントのプロット位置をユーザに提示してユーザの操作に応じて修正するようにしているので、位置計測手段による計測誤差の影響を低減することができる。
【0050】
[第2の実施形態]
この発明に係る第2の実施形態は、平面図データにおける撮影ポイントのプロット位置を、平面図テンプレートデータ記憶部22に事前に記憶された撮影対象フロアに対する撮影条件に基づいて、サーバ装置SVにおいて自動的に修正するようにしたものである。
【0051】
(構成例)
図6は、この発明の第2の実施形態における撮影位置管理装置として動作するサーバ装置SVのソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。なお、
図6において、前記
図3と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0052】
図6において、サーバ装置SVの制御部1Bは、撮影画像取得部11および平面図データ生成部12に加え、撮影ポイント自動修正部14を備えている。この撮影ポイント自動修正部14による処理も、撮影画像取得部11および平面図データ生成部12の処理と同様に、プログラム記憶部に格納されたプログラムを上記制御部1Bに実行させることにより実現される。
【0053】
撮影ポイント自動修正部14は、平面図データ生成部12により生成された平面図データにプロットされた撮影ポイントの位置座標を、平面図テンプレートデータ記憶部22に記憶されている撮影条件により定義されている撮影対象範囲と比較することで、上記撮影ポイントのプロット位置座標が撮影対象範囲内であるか範囲外であるかを判定する処理を行う。
【0054】
また撮影ポイント自動修正部14は、上記判定処理により撮影ポイントのプロット位置座標が上記撮影対象範囲外と判定された場合に、上記撮影ポイントのプロット位置座標の撮影対象範囲からの差分値を算出し、算出された差分値に基づいて上記平面図データにおける撮影ポイントのプロット位置座標を修正する処理を行う。
【0055】
(動作例)
次に、以上のように構成されたサーバ装置SVの動作例を説明する。
図7は、その処理手順と処理内容を示すフローチャートである。なお、
図7においても前記
図4と同一の処理を行う部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0056】
サーバ装置SVは、撮影ポイントごとに、撮影画像データが取得され、平面図データ生成部12により平面図データが生成されると、撮影ポイント自動修正部14の制御の下、以下のように撮影ポイントの修正処理を実行する。
【0057】
すなわち、撮影ポイント自動修正部14は、先ずステップS20において、平面図テンプレートデータ記憶部22から撮影条件を読み出す。撮影条件では、撮影対象フロアの二次元座標空間における撮影対象範囲が定義されている。例えば、
図5に示した例では撮影対象範囲はWEに設定されている。そして撮影ポイント自動修正部14は、平面図データ生成部12により生成された平面図データにプロットされた撮影ポイントの位置座標を上記撮影対象範囲と比較し、ステップS21により上記撮影ポイントのプロット位置座標が撮影対象範囲内であるか範囲外であるかを判定する。
【0058】
上記判定の結果、上記撮影ポイントのプロット位置座標が撮影対象範囲外であれば、撮影ポイント自動修正部14はステップS16に移行して、上記撮影ポイントのプロット位置座標の撮影対象範囲からの差分値を算出する。差分値としては、例えば座標値のずれの距離と方向が算出される。撮影ポイント自動修正部14は、算出された上記差分値に基づいて、当該差分値が零以下になるように上記平面図データにおける撮影ポイントのプロット位置座標を修正する。そして、このプロット位置座標が修正された平面図データを平面図データ記憶部23に記憶させる。
【0059】
一方、ステップS21による判定の結果、上記撮影ポイントのプロット位置座標が撮影対象範囲内であれば、撮影ポイント自動修正部14はステップS17に移行して、上記平面図データを、撮影ポイントのプロット位置を修正せずに、そのまま撮影位置管理情報として平面図データ記憶部23に記憶させる。
【0060】
(作用・効果)
以上述べたように第2の実施形態では、撮影ポイント自動修正部14により、平面図データにプロットされた撮影ポイントの位置座標を、撮影条件により定義されている撮影対象範囲と比較することで、上記撮影ポイントのプロット位置座標が撮影対象範囲内であるか範囲外であるかを判定する。そして、撮影ポイントのプロット位置座標が上記撮影対象範囲外と判定された場合に、上記撮影ポイントのプロット位置座標の撮影対象範囲からの差分値を算出して、算出された差分値をもとに上記平面図データにおける撮影ポイントのプロット位置座標を修正するようにしている。
【0061】
従って、撮影ポイントの位置計測手段に計測誤差があり、これにより平面図データにおける撮影ポイントのプロット位置に位置ずれが生じたとしても、事前に修正条件として設定された撮影対象範囲に基づいて上記位置ずれが検出され、そのずれを表す差分値に基づいて上記平面図データにおける撮影ポイントの位置座標を修正することが可能となる。すなわち、ユーザの手動による修正操作に頼ることなく、プロット位置の位置ずれを自動的に修正することが可能となる。
【0062】
[その他の実施形態]
(1)前記各実施形態では、撮影ポイントで撮影動作が行われるごとにその撮影位置座標をプロットした平面図データを生成してユーザ端末MTへ送信し、ユーザの修正操作に応じて上記プロット位置を修正するようにした。しかし、この発明はそれに限るものではなく、撮影対象フロアのすべての撮影ポイントに対する撮影動作が終了した時点で、すべての撮影ポイントの位置座標をプロットした平面図データを生成してユーザ端末MTへ送信し、これに対するユーザの修正操作に応じて、すべての撮影ポイントのうち修正が要求された撮影ポイントに対し一括して修正処理を行うようにしてもよい。
【0063】
(2)前記各実施形態では、ユーザ端末MTにおいて撮影ポイントの位置座標を算出し、サーバ装置SVは算出された上記位置座標を撮影画像データと共に取得するようにした。しかし、それに限らず、ユーザ端末MTにおいて撮影ポイントの移動距離および移動方向を計測してその計測データをサーバ装置SVへ送信し、サーバ装置SVが上記計測データをもとに撮影ポイントの位置座標を算出するようにしてもよい。
【0064】
(3)前記各実施形態は、撮影位置管理の機能をサーバ装置SVに設けた場合を例にとって説明したが、エッジルータ等のネットワーク間接続装置やユーザ端末MTに設けてもよい。また、制御部と記憶部とを別々のサーバ装置または端末装置に分散して設け、これらを通信回線またはネットワークを介して接続するようにしてもよい。
【0065】
(4)その他、撮影位置管理装置の構成や撮影位置管理動作の処理手順および処理内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【0066】
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0067】
SV…サーバ装置
MT,UT1~UTn…ユーザ端末
NW…ネットワーク
CM…カメラ
1…制御部
2…記憶部
3…通信I/F
4…バス
11…撮影画像取得部
12…平面図データ生成部
13…撮影ポイント手動修正部
14…撮影ポイント自動修正部
21…撮影画像記憶部
22…平面図テンプレートデータ記憶部
23…平面図データ記憶部