(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0485 20220101AFI20240617BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20240617BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240617BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240617BHJP
G09G 5/02 20060101ALI20240617BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20240617BHJP
G09G 5/34 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
G06F3/0485
G06F3/0488
H04N1/00 350
G09G5/00 510H
G09G5/00 550C
G09G5/02 B
G09G5/10 R
G09G5/34 C
G09G5/34 E
(21)【出願番号】P 2020129573
(22)【出願日】2020-07-30
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 智也
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-142166(JP,A)
【文献】特開2014-071514(JP,A)
【文献】特開2012-164263(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0201074(US,A1)
【文献】特開2007-232858(JP,A)
【文献】特開2007-328693(JP,A)
【文献】特開2016-038808(JP,A)
【文献】特開2002-230574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048
H04N 1/00
G09G 5/00
G09G 5/02
G09G 5/10
G09G 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル機能を有する表示部を備える画像処理装置であって、
1又は複数のコンテンツを表示可能であり、表示している内容をユーザ操作に基づいて変更可能である所定の領域を前記表示部に表示する表示手段と、
色反転機能を有効か無効に設定する設定手段と、
前記所定の領域が表示されている状態において、所定のユーザ操作が行われた場合、前記所定のユーザ操作が行われてから前記所定の領域に表示されている内容の変更が完了するまでの間に前記所定の領域に表示されている内容が移動する様子を表現する連続した所定の表示処理を前記所定のユーザ操作に基づいて実行するか否かを、前記色反転機能が有効に設定されているか無効に設定されているかに基づいて制御する制御手段と、を有し、
前記色反転機能が有効に設定されておらず、且つ前記所定の領域が表示されている状態において、前記所定のユーザ操作が行われた場合、前記所定の表示処理が実行されるよう制御され、
前記色反転機能が有効に設定されており、且つ前記所定の領域が表示されている状態において、前記所定のユーザ操作が行われた場合、前記所定の表示処理が実行されないよう制御される、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理装置がGPU(Graphics Processing Unit)が使用可能であるか否か判断する判断手段をさらに有し、
前記GPUが使用可能でないと判断されると、前記色反転機能が有効に設定されており、且つ前記所定の領域が表示されている状態において、前記所定のユーザ操作が行われた場合、前記所定の表示処理が実行されないよう制御され、
前記GPUが使用可能であると判断されると、前記色反転機能が有効に設定されており、且つ前記所定の領域が表示されている状態において、前記所定のユーザ操作が行われた場合であっても、前記所定の表示処理が実行されるよう制御されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記色反転機能が有効に設定されており、且つ前記所定の領域が表示されている状態において、前記所定のユーザ操作が行われた場合、前記所定の表示処理が実行されないよう制御されている旨をユーザに通知する通知手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記色反転機能が有効に設定されており、且つ前記所定の領域が表示されている状態において、前記所定のユーザ操作が行われた場合、前記所定の表示処理が実行されないが、前記所定の領域に表示されている内容の変更は実行される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記色反転機能が有効に設定されており、且つ前記所定の領域が表示されている状態において、前記所定のユーザ操作が行われた場合、前記所定の表示処理が実行されず、前記所定の領域に表示されている内容の変更も実行されない、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記所定の表示処理は、前記所定の領域に表示されている内容がスクロールされる様子を表現するアニメーションを表示する処理である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記所定のユーザ操作は、前記表示部に接した指示体を移動させる操作を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記所定のユーザ操作は、フリック操作を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記所定のユーザ操作は、ドラッグ操作を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記所定のユーザ操作は、前記所定の領域が表示されている状態において表示される所定のボタンの押下を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記色反転機能が有効に設定されており、且つ前記所定の領域が表示されている状態において、前記所定のユーザ操作として、フリック操作及びドラッグ操作のうち少なくとも一方が行われた場合、前記所定の表示処理が実行されず、前記所定の領域に表示されている内容の変更も実行されないよう制御され、
前記色反転機能が有効に設定されており、且つ前記所定の領域が表示されている状態において、前記所定のユーザ操作として、前記所定の領域が表示されている状態において表示される所定のボタンの押下が行われた場合、前記所定の表示処理が実行されないが、前記所定の領域に表示されている内容の変更は実行される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記色反転機能を有効か無効に設定するための設定画面に対するユーザ操作に基づいて、前記色反転機能が有効か無効に設定される、
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記所定の領域は、アドレス帳に含まれる1または複数のアドレスを表示する領域である、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記1または複数のアドレスから選択されたアドレスに、画像データを送信する送信手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項13に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記色反転機能が有効に設定されている場合、前記表示部が表示する画面全体が色反転されて表示される、
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項16】
印刷を実行する印刷手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項17】
スキャンを実行するスキャン手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項18】
タッチパネル機能を有する表示部を備える画像処理装置の制御方法であって、
1又は複数のコンテンツを表示可能であり、表示している内容をユーザ操作に基づいて変更可能である所定の領域を前記表示部に表示する表示ステップと、
色反転機能を有効か無効に設定する設定ステップと、
前記所定の領域が表示されている状態において、所定のユーザ操作が行われた場合、前記所定のユーザ操作が行われてから前記所定の領域に表示されている内容の変更が完了するまでの間に前記所定の領域に表示されている内容が移動する様子を表現する連続した所定の表示処理を前記所定のユーザ操作に基づいて実行するか否かを、前記色反転機能が有効に設定されているか無効に設定されているかに基づいて制御する制御ステップと、を有し、
前記色反転機能が有効に設定されておらず、且つ前記所定の領域が表示されている状態において、前記所定のユーザ操作が行われた場合、前記所定の表示処理が実行されるよう制御され、
前記色反転機能が有効に設定されており、且つ前記所定の領域が表示されている状態において、前記所定のユーザ操作が行われた場合、前記所定の表示処理が実行されないよう制御される、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか1項に記載の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルを有する画像処理装置が普及している。このような画像処理装置は、ユーザによるタッチ操作を検出して、ディスプレイに表示される画面を切り替えることができる。画像処理装置の検出するタッチ操作は、ユーザが指先やタッチペンなどの指示体をタッチパネルに接触させて、タッチパネル上で移動させることなくタッチパネルから指を離すタップ操作や、指示体をタッチパネルに接触させたまま移動させるドラッグ操作、指示体をタッチパネルに接触させた後に払うように移動させるフリック操作などがある。
【0003】
特許文献1には、画像データの送信先をリストから選択する際、宛先リスト一覧が表示された画面上でユーザが上下方向にフリック操作をすると、フリック操作の行われた方向にリストが移動し画面をスクロールできる方法が開示されている。宛先リスト一覧に多数の宛先が含まれている場合、画面に一部の宛先しか表示できない。そのためフリック操作により表示されていない宛先リストを表示させることができる。また、画面をスクロールする際に、リストが滑らかに移動する様子をユーザに示すことで、視認性が向上しユーザビリティが向上する。
【0004】
また、画像処理装置においては、ユニバーサルデザインを実現するための機能としてディスプレイに表示される画面の色を反転して表示できる機能を有するものが有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画面を色反転して表示する機能が有効に設定された画像処理装置は、画面を表示する際、画面データを生成する毎に、その都度色反転処理を行い表示するという処理を行う。そのため、プロセッサの処理負荷の高い処理となる。上述したようにユーザからフリック操作やドラッグ操作を受け付けてコンテンツが滑らかに移動する様子を表現しようとすると、短い時間で連続して画面データを生成しながら色反転処理を行う必要があるため、プロセッサの処理が追い付かず、画面のスクロールに伴う画面表示が非常に緩慢になってしまいユーザにとって煩わしいという問題がある。
【0007】
そこで本発明の目的は、色反転した画面を表示する場合でも、ユーザビリティを低下させない画面表示を行う方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
タッチパネル機能を有する表示部を備える画像処理装置であって、1又は複数のコンテンツを表示可能であり、表示している内容をユーザ操作に基づいて変更可能である所定の領域を前記表示部に表示する表示手段と、色反転機能を有効か無効に設定する設定手段と、前記所定の領域が表示されている状態において、所定のユーザ操作が行われた場合、前記所定のユーザ操作が行われてから前記所定の領域に表示されている内容の変更が完了するまでの間に前記所定の領域に表示されている内容が移動する様子を表現する連続した所定の表示処理を前記所定のユーザ操作に基づいて実行するか否かを、前記色反転機能が有効に設定されているか無効に設定されているかに基づいて制御する制御手段と、を有し、前記色反転機能が有効に設定されておらず、且つ前記所定の領域が表示されている状態において、前記所定のユーザ操作が行われた場合、前記所定の表示処理が実行されるよう制御され、前記色反転機能が有効に設定されており、且つ前記所定の領域が表示されている状態において、前記所定のユーザ操作が行われた場合、前記所定の表示処理が実行されないよう制御される、ことを特徴とする画像処理装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像処理装置に表示する画面を色反転させている状態でも、ユーザビリティを低下させない画面表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態における画像処理装置のハードウェア構成を示す図である
【
図2】本発明の実施形態における画像処理装置のディスプレイに表示される画面の例である。
【
図3】本発明の実施形態における画像処理装置の画面の色反転設定画面の例である。
【
図4】本発明の実施形態における画像処理装置のディスプレイに表示される画面色反転状態の画面の例である。
【
図5】本発明の実施形態において、画像処理装置がディスプレイに画面を表示するときに実行する処理を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態において、画像処理装置がタッチ操作を検出した時に実行する処理を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の実施形態において、画像処理装置が上もしくは下矢印ボタンの押下を検出した時に実行する処理を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の第2の実施形態における画像処理装置のハードウェア構成を示す図である
【
図9】本発明の第2の実施形態において、画像処理装置がディスプレイに画面を表示するときに実行する処理を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の第3の実施形態における、画像処理装置のディスプレイに表示される画面の例である。
【
図11】本発明の第4の実施形態において、画像処理装置がタッチ操作を検出した時に実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0012】
(第1の実施形態)
<画像処理装置のハードウェア構成>
図1は、本発明の各実施形態を適用可能な画像処理装置101のハードウェア構成を示す図である。画像処理装置101は、例えばスキャン機能やプリント機能など複数の機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)である。
【0013】
画像処理装置101は、CPU111乃至プリンタ123を備える。CPU111、RAM112、ROM113、SRAM114、入力制御部115、表示制御部116、外部メモリI/F117、通信I/Fコントローラ118、スキャナ122、プリンタ123は、システムバス110に接続されている。また、タッチパネル119、ディスプレイ120、外部メモリ121が、制御部やI/Fを介してシステムバス110に接続されている。各処理部は、システムバス110を介して互いにデータのやりとりを行うことができるように構成されている。CPU111、RAM112、及びROM113はそれぞれ、Central Processing Unit、Random Access Memory、Read Only Memoryの略称である。
【0014】
ROM113は、不揮発性のメモリであり、画像データやその他のデータ、CPU111が動作するための各種プログラムなどが、それぞれ所定の領域に格納される。RAM112は、揮発性のメモリであり、CPU111の主メモリ、ワーク領域等の一時記憶領域として用いられる。CPU111は、例えばROM113に格納されるプログラムに従い、RAM112をワークメモリとして用いて、この画像処理装置101の各部を制御する。なお、CPU111が動作するためのプログラムは、ROM113に限らず、外部メモリ(ハードディスク等)121に予め記憶されているようにしても良い。SRAM114は高速動作可能な不揮発性の記録媒体である。SRAM114は、Static Random Access Memoryの略称である。本実施形態では1つのCPU111が1つのメモリ(RAM112、外部メモリ121等)を用いて後述のフローチャートに示す各処理を実行するものとするが、これに限定されない。例えば、複数のCPUや複数のRAMまたは外部メモリを協働させて各処理を実行してもよい。
【0015】
入力制御部115は、ユーザ操作を受け付け、操作に応じた制御信号を生成し、CPU111に供給する。例えば、入力制御部115は、入力デバイスとして機能するキーボード(不図示)や、マウス(不図示)やタッチパネル119を介してユーザ操作を受付ける。なお、タッチパネル119は、例えば平面的または立面的に構成された入力制御部に対して指示体が接触した位置に応じた座標情報が出力されるように構成した入力デバイスである。CPU111は、入力デバイスに対してなされたユーザ操作に応じて入力制御部115で生成される制御信号を受け取る。これにより、画像処理装置101はユーザ操作に応じた動作を行うことができる。
【0016】
表示制御部116は、ディスプレイ120に対して画面を表示させるための表示信号を出力する。例えば、CPU111は、プログラムに従い生成した表示制御信号を表示制御部116に供給する。表示制御部116は、この表示制御信号に基づき表示信号を生成してディスプレイ120に対して出力する。
【0017】
なお、タッチパネル119はディスプレイ120と一体的に構成され、操作部としても表示部としても機能するようにする。例えば、光の透過率がディスプレイ120の表示を妨げないように構成されるタッチパネル119が、ディスプレイ120の表示面の上層に取り付けられる。タッチパネル119における入力座標は、ディスプレイ120上の表示座標と対応付けられている。これにより、ユーザがディスプレイ120上に表示された画面を直接的に操作できるGUI(Graphical User Interface)が構成される。
【0018】
外部メモリI/F117は、例えばハードディスクやフロッピーディスク、又はCDやDVD、メモリーカード等の外部メモリ121と情報をやり取りするためのインターフェースである。外部メモリI/F117は、CPU111の制御に基づき、装着された外部メモリ121からデータを読み出したり、外部メモリ121にデータを書き込む。通信I/Fコントローラ118は、CPU111の制御に基づき、例えばLAN(Local Area Network)等の各種ネットワーク102に接続するためのインターフェースである。ネットワーク102には、PC(パーソナルコンピュータ)や他のMFP、プリンタ、サーバ等、様々な装置が画像処理装置101と通信可能に接続される。
【0019】
スキャナ122は原稿を読み取り、画像データを生成する。プリンタ123は、入力制御部115を介して入力されたユーザの指示や通信I/Fコントローラ118を介して外部装置から入力されたコマンドに基づいて、印刷処理を実行する。
【0020】
CPU111は、ユーザの操作内容を特定する特定手段として機能し、タッチパネル119へのタッチ操作やタッチ状態を特定することができる。CPU111が特定することのできるタッチ操作とは、例えばユーザがタッチパネルを指やペンなどの指示体で触れたこと(以下、押下と称する)、指示体がタッチパネルに触れたまま移動していること(以下、移動と称する)、ユーザがタッチパネルへ触れていた指示体を離したこと(以下、乖離と称する)等である。また、CPU111が上記の押下、移動、乖離等の組み合わせを特定することにより、ユーザのタッチ操作の内容を判定する。タッチ操作の内容とは、たとえば指示体でタッチパネルに触れ、所定距離以上移動させることなく乖離させるタップ操作や、指示体でタッチパネルを押下した後、指示体をタッチパネル上で移動させてから乖離させるドラッグ操作がある。また、指示体でタッチパネルを押下した後、素早く払うような動作で指示体を所定距離以上移動させてから乖離させる操作であるフリック操作もCPU111が特定可能である。
【0021】
タッチパネル119は、抵抗膜方式や静電容量方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、画像認識方式、光センサ方式等、様々な方式のタッチパネル機能のうちいずれの方式のものを用いても良い。
【0022】
画像処理装置101は、画像データをRAM112もしくは外部メモリ121に保存することができる。例えば、画像処理装置101は、スキャナ122によって原稿を読み取って生成した画像データをRAM112もしくは外部メモリ121に保存する。また、画像処理装置101は、通信I/Fコントローラ118を介してネットワーク102上に接続されているPC等の外部装置から受信した画像データをRAM112もしくは外部メモリ121に保存する。さらに、画像処理装置101は、外部メモリI/F117に装着された取り付け、取り外しが可能な記憶媒体(USBメモリやメモリーカード等)から受信した画像データをRAM112もしくは外部メモリ121に保存する。その他、画像処理装置101は、別の保存方法によって画像データをRAM112もしくは外部メモリ121に保存してもよい。なお、RAM112もしくは外部メモリ121に保存される画像データは印刷設定内容等、各種設定内容が反映されたデータであってもよい。
【0023】
画像処理装置101は、標準の色情報を用いて、つまり色を反転せずにディスプレイ120に画面を表示する通常表示モードと、色を反転した画面を表示する色反転表示モードの2つの表示モードを有する。色反転表示モードは、色覚に特異性をもつ利用者に対して画面の表示色を反転して提供するモードで、そのような利用者の視認性を向上させることを目的としている。
【0024】
図3を用いて、ユーザが通常表示モードと色反転表示モードとを切り替える、つまり画面の色反転機能の有効・無効を設定する方法について説明する。
図3(a),(b)は、ユーザが画面色反転機能の有効・無効を設定するときにディスプレイ120に表示される画面の一例である。
【0025】
図3(a)は、画像処理装置101のディスプレイ120に表示される画像処理装置101のすべての機能に共通する設定を行う設定画面の一例である。「設定/登録」画面300は、画面表示や操作入力等の画像処理装置101全体に共通する設定項目が表示された画面である。
【0026】
図3(b)に示す画面は、ユーザが「設定/登録」画面300で、「画面色反転」ボタン301をタップ操作したときにディスプレイ120に表示される「画面色反転設定」画面302である。画面色反転の設定は初期状態(例えば工場出荷時の状態)ではOFFに設定されており、当該設定値はROM113に格納されている。つまり画面色反転の設定がOFFであれば
図2に示す画面のように標準の色情報で画面が表示される(ここでは背景色が白色である)。
【0027】
「画面色反転設定」画面302は、画面色反転を「ON」又は「OFF」に設定することができる画面である。ユーザが「ON」ボタン303をタップ操作してから、「OK」ボタン306をタップ操作すると、画面色反転が有効に設定される。ユーザが「OFF」ボタン304をタップ操作してから「OK」ボタン306をタップ操作すると、画面色反転が無効に設定される。「キャンセル」ボタン305は、押下されると設定を反映させることなく「画面色反転設定」画面302を閉じるボタンである。CPU111が「OK」ボタン306へのタップ操作を検知すると、「画面色反転設定」画面302で設定されている画面色反転の「ON」又は「OFF」の設定値がRAM112に格納される。画面色反転が有効に設定された場合、
図4に示す画面のように通常の色情報を反転した画面が表示される(ここでは背景色が黒色となる)。
【0028】
本実施形態では、画面色反転が有効に設定された場合、ディスプレイ120に表示する画面を色反転すると同時に、ユーザからスクロール可能な画面に対してフリック操作もしくはドラッグ操作を受け付けても画面のスクロールは行わないように制御する。一方で、画面色反転が無効に設定された場合、通常の色情報で画面を表示し、フリック操作もしくはドラッグ操作による画面のスクロールを許容するように制御する。
【0029】
以降スクロールとは、所定の画面領域やウィンドウに表示されていなかったコンテンツの一部をユーザ操作に応じて移動させて、所定の画面領域やウィンドウに表示させることを指す。つまり画面がスクロールするとは、コンテンツが表示されていない画面から、当該コンテンツが表示される画面に遷移することを指す。
【0030】
またスクロール中画面とはスクロールの最中、つまりコンテンツが移動している最中に表示される画面である。例えば画像処理装置101は設定された所定の時間間隔毎(フレームレート)に従って画面の描画が行われる。フレームレートが30fps(frame per second)の場合、1秒間に30回、画面の描画が行われる。異なる画面を連続的に表示することでコンテンツが滑らかに移動する様子を表現できる。このように連続的に画面を切り替えてコンテンツが移動する様子を表現するために表示される画面をスクロール中画面という。
【0031】
図2を用いて画面色反転が無効に設定されている時に、フリック操作やドラッグ操作をユーザから受け付けた時の画面の表示について説明する。ここでは画像処理装置101がスキャンして生成した画像データを送信する宛先を設定する設定画面を例にして説明を行う。
図2(a)~(d)は、画面色反転が無効に設定されている時にディスプレイ120に表示される画面である。
【0032】
図2(a)は、ユーザが画像処理装置101のメニュー画面から「スキャンして送信」ボタンを選択し、画像データの送信先を選択するために「アドレス帳」を呼び出すボタンを押下したときにディスプレイ120に表示される画面である。アドレス帳は、画像処理装置101の外部メモリ121等やネットワークを介して接続された装置に格納されている。
【0033】
アドレス表示領域200には、呼び出された「アドレス帳」に含まれるアドレスをリスト形式で表示する領域である。アドレス帳に含まれるアドレスが多数の場合、アドレス表示領域200に全てのアドレスを表示することができない。そのため、ユーザはアドレス表示領域200に対してフリック操作等を行うことで画面をスクロールさせ、表示されていないリストを表示することが可能である。
【0034】
図2(a)に示すようにユーザが上方向にフリック操作202を行うと、表示されているリストは上方向に移動する。
図2(b)はフリック操作201を受け付けた際のスクロール中画面の一例である。
図2(a)でリストの一番上に表示されていた「あいざわ」のリストの一部が上部に隠れ、代わりに
図2(a)で表示されていなかった「えんどう」のリストの一部がアドレス表示領域200表示されている。ここでは、フリック操作に応じたリストの移動処理をページ単位や行単位に行うのではなく、
図2(b)に示すようにフリック操作に従ってピクセル単位で滑らかに移動させて表示する。
図2(b)のスクロール中画面は一例であり、スクロールの開始から終了までの間にリストが移動する様子を表現するために連続して表示される異なる画面のすべてがスクロール中画面である。
【0035】
図2(c)は
図2(a)の画面で受け付けたフリック操作に応じて画面がスクロールした後の画面を示す。
図2(a)で表示されていた「あいざわ」から「あいば」までのリストが非表示となる一方で、
図2(a)で非表示であった「えんどう」から「おおつか」までのリストが表示される。
【0036】
またフリック操作以外の操作でも画面のスクロールを指示することができる。たとえば、ユーザがアドレス表示領域200でドラッグ操作を実行すると、当該ドラッグ操作に追従してスクロール中画面を表示しながら画面がスクロールする。ドラッグ操作は、指示体がタッチパネル119を押下した後、所定の距離以上移動させてタッチパネル119から乖離させる操作である。
【0037】
また、ユーザが、ディスプレイ120に表示された上矢印ボタン210または下矢印ボタン211を押下することでも画面をスクロールさせることができる。例えばユーザが
図2(a)の画面で、下矢印ボタン211を押下すると、リスト一覧が1ページ分(この画面の場合は1画面にリスト7件表示されるので1ページ分は7件分である)、切り替わる。つまり
図2(a)でアドレス表示領域200に表示されていた「あいざわ」から「あかい」までのリスト一覧が、
図2(d)に示すように「あかい」の次のリストから7件つまり、「えんどう」から「かねこ」までのリストが表示されるようになる。上矢印ボタン210または下矢印ボタン211が押下されることで画面がスクロールする場合も
図2(b)のスクロール中画面が表示される。画面をスクロールする方法はこれらの方法に限るものではない。
【0038】
以上のように画面色反転が有効に設定されていない場合は、ユーザから画面をスクロールする操作を受け付けるとスクロール中画面を表示しながら画面のスクロールが行われる。そのためユーザは自らの操作に対するレスポンスとしての画面の遷移を直感的に認識することができる。また、画面色反転が有効に設定されていない状態で、スクロール中画面の表示を行う場合、CPU111は表示する画面データの生成、描画という処理を行うだけであるので、CPU111に対する処理負荷はそれほどかからない。
【0039】
図2(d)に示すように、アドレス表示領域200に表示されるリスト一覧からユーザが所望のリストに対してタップ操作行うことでリストを選択できる。選択されたリストはチェックマーク207に示すようなマークが付与される。選択されたリストに対応するアドレスに対して画像処理装置101は画像データを送信することが可能である。
【0040】
図4を用いて画面色反転が有効に設定されている時に、フリック操作やドラッグ操作をユーザから受け付けた時の画面の表示について説明する。
図2と同様に画像データの送信先を選択する画面を例に説明を行う。
図4(a)、(b)は、画面色反転が有効に設定されている時にディスプレイ120に表示される画面である。
【0041】
図4(a)は、アドレス表示領域401に対してユーザが上方向にフリック操作402を行ったときに表示される画面である。アドレス表示領域401は、
図2のアドレス表示領域201と同等であり、フリック操作402も
図2のフリック操作202と同等のものであるとする。画面色反転が有効に設定されている場合は、ユーザがフリック操作を行ったとしても
図2のように画面はスクロールされず、スクロール中画面も表示されない。つまり、ここでは、フリック操作の前後でアドレス表示領域401に表示されるリストの内容は変化しない。アドレス表示領域401に対してユーザからドラッグ操作を受け付けた場合も同様に、画面はスクロールされず、スクロール中画面も表示されない。
【0042】
図4(b)は、
図4(a)においてユーザが下矢印ボタン411を押下した時に表示される画面を示している。
図4(b)の画面ではでは、
図4(a)の画面で表示されていた「あいざわ」から「あかい」までの1ページ分のリストが非表示となる。一方で
図4(a)の画面で非表示であった次の1ページ分のリスト、つまり「えんどう」から「かねこ」までのリストが表示される。つまり
図2(a)の画面から
図2(d)の画面への画面遷移と同様の画面遷移を行う。しかし
図4(a)の画面からから
図4(b)の画面への遷移の際は、
図2(a)の画面から
図2(d)の画面への遷移と異なり、スクロール中画面(例えば
図2(b))は表示されない。ここでは
図4(a)の画面から
図4(b)の画面に一気に切り替わる。
【0043】
このように、画面色反転が有効に設定されている場合、フリック操作やドラッグ操作による画面のスクロールは行わない。一方、上矢印ボタン410や下矢印ボタン411を用いたページ単位の画面のスクロールは可能であるが、スクロール中画面は表示されない。これは、画面色反転が有効に設定されている状態でスクロール中画面の表示を行うと、CPU111は表示する画面データの生成、色反転、描画という処理を連続して行わなければならないからである。つまり画面色反転が有効に設定されている状態でスクロール中画面の表示を行うと、CPU111の処理負荷が大きく、コンテンツが移動する様子を表現する際の動作が緩慢になってしまうため、スクロール中画面を表示しないようにしている。
【0044】
図5は、画像処理装置101が、スクロール可能な領域を含む画面(例えば
図2や
図4に示す画面)をディスプレイ120に表示するときに実行する処理を示すフローチャートである。
図5の各ステップは、ROM113や外部メモリ121に格納されたプログラムをCPU111が実行することによって実現される。
【0045】
S501でCPU111は、RAM112から画面色反転の有効/無効の設定情報を取得する。ここで取得される画面色反転の有効/無効の設定は、
図3(b)に示す「画面色反転設定」画面302において設定された値である。
【0046】
S502でCPU111は、S501において取得した設定情報に基づいて、画面色反転が有効に設定されているか否かを判定する。S502において、画面色反転が有効に設定されていないと判定した場合、S503に進み、CPU111は色反転しない通常の画面をディスプレイ120に表示する。S503において、CPU111は、表示制御部116に表示制御信号を送信する。表示制御部116は、CPU111から受け取った信号に従って、表示する画面データを生成し、ディスプレイ120に表示する。S503においてディスプレイ120に表示される画面は、たとえば
図2に示す画面である。続いて、S504においてCPU111はS503で表示される画面に対してスクロール表示処理のON/OFFを示すフラグをONに設定して、本フローチャートに記載の処理を終了する。設定されたフラグ情報はRAM112に記憶する。
【0047】
S502において、画面色反転が有効に設定されていると判定された場合、S505でCPU111は色反転処理を行った画面をディスプレイ120に表示する。S505においてディスプレイ120に表示される画面は、たとえば
図4に示す、通常モードの画面から色が反転した画面である。続いて、S506でCPU111はS505において表示される画面に対してスクロール表示処理のON/OFFを示すフラグをOFFに設定して、本フローチャートに記載の処理を終了する。設定されたフラグ情報はRAM112に記憶する。
【0048】
図6は、画像処理装置101のCPU111がタッチパネル119においてタッチ操作を受け付けたことを検出した時に実行する処理を示すフローチャートである。
図6の各ステップは、ROM113や外部メモリ121に格納されたプログラムをCPU111が実行することによって実現される。
【0049】
S601でCPU111は、受け付けたタッチ操作がフリック操作もしくはドラッグ操作であるか否か判断する(つまり指やペンなどの指示体がタッチパネル119に接した後、移動したことを検知したか否かを判断する)。フリック操作もしくはドラッグ操作であると判断された場合、S602に進み、そうでない場合、後述する
図7のフローチャートに進む。
【0050】
S602でCPU111は受け付けた操作が所定の領域内であるか否か判断する。ここで所定の領域とは画面のスクロールが可能な領域であり、
図2のアドレス表示領域201、
図4のアドレス表示領域401が該当する。S602において、所定の領域つまりスクロール可能な領域であると判断されるとS603に進み、そうでない場合処理を終了する。
【0051】
S603で、CPU111はRAM112に記憶されているスクロール表示処理のON/OFFを示すフラグを取得する。つまり、CPU111はS504またはS506で設定したフラグを取得する。
【0052】
次にS604でCPU111は、S603で取得したフラグを参照して、スクロール表示処理が有効か否かを判定する。スクロール表示処理が有効である場合、S605でCPU111は受け付けたフリック操作もしくはドラッグ操作に基づいてスクロール中画面を表示しながら画面をスクロールして処理を終了する。
【0053】
S604でスクロール表示処理が無効である場合、CPU111は受け付けたフリック操作もしくはドラッグ操作に基づく画面のスクロールは行わず、処理を終了する。
【0054】
以上のフローチャートの処理により、画面色反転が有効に設定されている場合は、画面のスクロールを指示するような操作(フリック操作やドラッグ操作)をユーザが行っても画面のスクロール表示を行わない。一方で、画面色反転が無効に設定されている場合、フリック操作やドラッグ操作を受け付けるとスクロール中画面の表示を行いながら画面のスクロールを行う。なお、ここではスクロール表示が無効である場合にもS601でフリック操作やドラッグ操作を検知する例を説明したが、スクロール表示が無効である場合にはフリック操作やドラッグ操作を検知しないようにしても良い。
【0055】
以上のフローチャ―トの効果を示す。画面色反転が有効に設定されている場合にユーザから画面のスクロールを指示する操作を受け付けると画面をスクロールしない。そのため、スクロール中画面を表示することで画面をスクロールする動作が緩慢になるといった問題を防ぐことができる。
【0056】
図7は、画像処理装置101のCPU111がタッチパネル119においてタッチ操作を受け付けたことを検出した時に実行する処理を示すフローチャートであり、
図6のS601でタッチ操作がフリック操作やドラッグ操作でないと判断されると実行される。
図7の各ステップは、ROM113や外部メモリ121に格納されたプログラムをCPU111が実行することによって実現される。
【0057】
S701でCPU111は、上もしくは下矢印ボタンが押下されたかを判定する。具体的には、CPU111は、タッチパネル119からタッチパネル119において押下されている位置、すなわちタッチ位置を示す情報を取得する。タッチパネル119から取得した位置情報に基づいて、CPU111はタッチ位置が上もしくは下矢印ボタン上であるか否かを判断する。S701において、上もしくは下矢印ボタンが押下されていると判断された場合、S702に進み、そうでなければCPU111は処理を終了する。
【0058】
S702でCPU111はRAM112に記憶されるスクロール表示処理の有効/無効を示すフラグを取得する。具体的には、CPU111はS504またはS506で設定したフラグを取得する。
【0059】
次にS703でCPU111は、S702で取得したフラグの値を参照して、スクロール表示処理が有効かを判定する。スクロール表示処理が有効である場合、S704でCPU111はスクロール中画面を表示しながら画面をスクロールする。ここでは、
図2(a)から
図2(d)への遷移のようにアドレス表示領域200に表示されるリストが滑らかに移動しながら画面がスクロールし、処理が終了する。
【0060】
S703でスクロール表示処理が無効であると判断されるとスクロール中画面は表示せずに画面を切り替える。つまりここでは
図4(a)の画面からから
図4(b)の画面への画面遷移のようにアドレス表示領域400に表示されるリストが1ページ単位で、瞬時に切り替わる。
【0061】
以上のフローチャ―トの効果を示す。画面色反転が無効に設定されている場合にユーザから画面のスクロールを指示する操作を受け付けるとスクロール中画面を表示しながら画面をスクロールさせる。これにより、ユーザは画面のスクロールによりリストがどちら方向に移動しているかを直感的に把握し、識別可能にすることができる。一方、画面色反転が有効に設定されている場合にユーザから画面のスクロールを指示する操作を受け付けるとスクロール中画面を表示せずに画面をスクロールする。画面色反転が有効に設定されている場合に、スクロール中画面の表示を行おうとすると、CPUへの処理負荷が大きくなり、動きが緩慢になってしまう。これではユーザ操作に対するレスポンスが遅くなり、ユーザビリティが低下する。そこで画面色反転が有効に設定されている場合には、スクロール中画面の表示を行わないようにする。
【0062】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では画像処理装置101に対して画面色反転が有効に設定されている場合は、画面のスクロールを行わない、もしくはスクロール中画面の表示を行わないようにした。これはCPUへの処理負荷が大きくなり動作が緩慢になることを防ぐためである。しかし画像処理装置によっては画面表示を高速に処理できるGPU(Graphics Processing Unit)を搭載しているものが有る。そこで本実施形態ではGPUを搭載している画像処理装置であれば画面色反転が有効に設定されている場合でも、画面のスクロール及びスクロール中画面の表示を行う例を説明する。第二の実施形態の基本構成は第一の実施形態の構成と同じであるため差分のみ示す。
【0063】
図8は、第2の実施形態における画像処理装置801のハードウェア構成を示す図である。画像処理装置801は、画像処理装置101と同様の構成に加えて、さらにGPU802がシステムバス110に接続される。GPU802は、画面表示に特化した演算装置であり、CPU111と協調してディスプレイ120に対して画面を表示させる表示制御信号を生成する。GPUを備える画像処理装置であれば、画面の色反転処理を高速に実行することが可能であり画面の色反転の設定を有効にしていても、スクロール中画面を表示することにより動作が緩慢になることがない。
【0064】
図9は、画像処理装置101または801がスクロール可能な領域を含む画面(例えば
図2や
図4に示す画面)をディスプレイ120に表示するときに実行する処理を示すフローチャートである。
図9の各ステップは、ROM113や外部メモリ121に格納されたプログラムをCPU111が実行することによって実現される。なお
図9のフローチャートは
図5のフローチャートと基本構成が同じであるため差分のみ示す。
【0065】
S502で画面色反転の設定が有効であると判断されると、S901に進む。S901でCPU111は自装置のGPUが使用可能か否か判断する。GPUが使用可能であると判断されるとS904に進み、そうでない場合S902に進む。CPU111は画像処理装置101もしくは801の起動時に、システムバス110に接続されている各部から通知を受けて、それをシステム構成情報としてRAM112に保持する。その情報を元にCPU111はGPUが使用可能であるか否かを判断する。ここでは、GPUが画像処理装置101に備えられている場合に使用可能であると判断し、画像処理装置101に備えられていない場合に使用可能でないと判断するものとするが、他の態様でも構わない。例えば、画像処理装置101に備えられているGPUを有効または無効に設定できるように構成し、有効に設定されている場合に使用可能であると判断するようにしても良い。ここでは画像処理装置801の備えるGPUが有効であり、画像処理装置801の場合はS904に進み、画像処理装置101の場合はS902に進む。S902からS903の処理は、ステップS505からS506の処理と同じであるため説明を省略する。
【0066】
S904でCPU111は画面を色反転して表示する。この時、CPU111はGPU802に画面色反転処理を依頼し、依頼を受けたGPU802は画面色を反転する処理を行う。表示される画面はステップS905で表示する画面と同じ(例えば
図4に示す画面)であるが、その処理の少なくとも一部をGPU802が実行する点が異なる。続いて、S906でCPU111はスクロール表示処理のON/OFFを示すフラグをONに設定して、本フローチャートに記載の処理を終了する。
【0067】
第2の実施形態おいて、CPU111がタッチパネル119に対するユーザからのタッチ操作を検知した場合の処理は、
図6、
図7に示すとおりである。
【0068】
つまり第2の実施形態では、画像処理装置の画面色反転が有効に設定されていても、画像処理装置がGPUを備え、GPUが使用可能である場合は、ユーザからの画面のスクロールを指示する操作を受け付けて、画面のスクロールおよびスクロール中画面の表示を行うようにする。
【0069】
このように画面の色反転をしながらでもスクロール中の画面表示が緩慢とならない画像処理装置においては、スクロール中画面の表示を行うことでユーザビリティを高めることができる。
【0070】
(第3の実施形態)
第1の実施形態では画像処理装置101に対して画面色反転が有効に設定されている場合は、フリック操作やドラッグ操作を受け付けても画面のスクロールを行わないようにした。第3の実施形態は、画面色反転が有効に設定されている場合に、フリック操作やドラッグ操作を受け付けた場合、画面のスクロールが無効であることをユーザに通知する例を示す。基本構成は第一の実施形態と同じであるため差分のみ示す。
【0071】
本実施形態では
図6のS604でスクロール表示処理が有効でないと判断される(S604でNo)と、CPU111は
図10に示すように画面のスクロールが無効であることをユーザに通知する通知画面1001を
図4(a)の画面の上にポップアップ表示する。こうすることでフリック操作やドラッグ操作に基づく画面のスクロールが無効であることをユーザに認識させることができる。
【0072】
ユーザが通知画面1001の内容を確認した後、OKボタン1002を押下すると、通知画面1001を閉じて、
図4(a)の画面に戻る。また通知画面1001には上もしくは下矢印ボタン410および411を操作することで、アドレス表示領域400に表示されるリストを変更できる内容を表示しても良い。なお、フリック操作、ドラッグ操作を検知した時に画面のスクロールが無効であることを通知するのではなく、
図4(a)の画面内に予め画面のスクロールが無効である旨を表示しておいても良い。
【0073】
(第4の実施形態)
以上の実施形態では画像処理装置101に対して画面色反転が有効に設定されている場合は、フリック操作やドラッグ操作を受け付けても画面がスクロールしない例を示した。しかし、スクロール中画面の表示を行うことで動作が緩慢になるだけであって、フリック操作やドラッグ操作を受け付けて画面をスクロールさせることは可能である。そこで本実施形態では、フリック操作やドラッグ操作を受け付けると画面色反転が有効に設定されている場合であっても画面のスクロールは行う例を示す。本実施形態の基本構成は第一の実施形態と同じであるため差分のみ示す。
【0074】
図11は、実施形態における画像処理装置101のCPU111がタッチパネル119によるタッチ操作を受け付けたことを検出した時に実行する処理を示すフローチャートである。
図11のフローチャートは
図6のフローチャートと基本構成が同じであるため差分のみ示す。
【0075】
S604でスクロール表示処理が無効であると判断される(S604でNo)と、S1101で、CPU111はタッチパネル119に接触している指などの指示部が乖離したか否か判断する。乖離したと判断されるとS1102に進み、そうでなければS1101の処理を繰り返す。
【0076】
S1102でCPU111は、画面をスクロールする。この時スクロール中画面の表示は行われず、画面は一気に切り替わる。例えば、アドレス表示領域400に表示されるリストを次の1ページ分のリストに一気に切り替える。また次の1ページ分のリストに切り替えるのではなく、ドラッグ操作、フリック操作の移動距離に応じてアドレス表示領域400に表示されるリストが変化するようにしても良い。
【0077】
(その他の実施例)
なお、上記各実施形態では、スクロール可能な領域に表示される「リスト」を例に説明を行ったが、リストに限定されるものではない。例えば画像データを表示するための「プレビュー画面」、テキストデータを表示するための「テキストボックス」、複数の各種GUI部品を載せて表示を切り替えるための「フリッカブルパネル」などに適用しても良い。
【0078】
なお、上記実施形態ではコピー機能、スキャナ機能等の複数の機能を有する画像処理装置101を例として説明したが、このうち一部の機能のみを有する画像処理装置にも本発明は適用可能である。また、パーソナルコンピュータやPDA、携帯電話、FAX、カメラ、ビデオカメラ、その他の画像ビューワ等、他の情報処理装置に適用しても構わない。
【0079】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。この場合、そのコンピュータプログラム、及び該コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0080】
111 CPU
112 RAM
113 ROM
114 SRAM
115 入力制御部
116 表示制御部
117 外部メモリI/F
118 通信I/Fコントローラ
119 タッチパネル
120 ディスプレイ
121 外部メモリ
122 スキャナ
123 プリンタ