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特許7504708杭頭部材の製造方法、杭頭免震構造及び杭頭免震構造の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】杭頭部材の製造方法、杭頭免震構造及び杭頭免震構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/34 20060101AFI20240617BHJP
   E02D 27/00 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
E02D27/34 B
E02D27/00 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020136088
(22)【出願日】2020-08-12
(65)【公開番号】P2022032382
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】桜井 悦雄
(72)【発明者】
【氏名】塚田 政美
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 信一
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-226066(JP,A)
【文献】特開2018-131740(JP,A)
【文献】特開2006-104863(JP,A)
【文献】特開2011-047201(JP,A)
【文献】特開2013-002076(JP,A)
【文献】特開2004-300754(JP,A)
【文献】特開2016-166446(JP,A)
【文献】特開2019-100087(JP,A)
【文献】特開2000-240069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00-27/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭の杭頭の上面に設けられるとともに、上面に、上部構造体を支持する免震装置が固定される杭頭部材の製造方法であって、
前記杭頭部材は、
前記杭と同一軸線上に配置されるとともに前記杭と同径に設定された鋼管部と、
前記鋼管部よりも大径又は前記鋼管部と同径に設定されて、前記鋼管部の上端面に接合固定されており、前記免震装置が載置され、かつ当該免震装置の下端部が連結される上端プレート部と、
前記鋼管部の内部に形成された充填コンクリート部と、を有しており、
前記上端プレート部の前記免震装置が載置される上面が下向きとなり、前記鋼管部の下端部の開口部が上方を向くように配置した状態で、前記鋼管部の前記開口部からコンクリートを充填して硬化させることで、前記充填コンクリート部を形成することを特徴とする杭頭部材の製造方法。
【請求項2】
前記上端プレート部には、当該上端プレート部の下面のうち前記鋼管部の内部側に位置する箇所に下方に突出する複数のスタッドボルトが設けられていることを特徴とする請求項に記載の杭頭部材の製造方法。
【請求項3】
前記杭頭を有する前記杭と、
請求項1又は2に記載の杭頭部材の製造方法によって製造されて、前記杭の前記杭頭の上面に設けられ杭頭部材と、
前記杭頭部材の上面に固定された免震装置と、を備えており、
前記杭頭部材は、前記杭と同一軸線上に配置されて前記杭頭に接合されていることを特徴とする杭頭免震構造。
【請求項4】
前記杭頭部材と前記杭頭は機械式継手によって接合されており、
前記機械式継手は、
前記杭頭と同径に設定されるとともに前記杭頭の上端面に固定された環形状の第一固定部と、
前記杭頭部材の前記杭頭本体部と同径に設定されるとともに前記杭頭本体部の下端面に固定され、前記第一固定部の上面に載置された環形状の第二固定部と、
前記第一固定部と前記第二固定部に亘って配置されて当該第一固定部と第二固定部とを連結する連結部と、を有することを特徴とする請求項に記載の杭頭免震構造。
【請求項5】
前記杭頭部材は、前記杭頭側に位置し、溶接可能な材料からなる第一被溶接部を有しており、
前記杭頭は、前記杭頭部材側に位置し、溶接可能な材料からなる第二被溶接部を有しており、
前記第一被溶接部と前記第二被溶接部とが溶接によって接合されていることを特徴とする請求項に記載の杭頭免震構造。
【請求項6】
請求項のいずれか一項に記載の杭頭免震構造の施工方法であって、
地盤に打設された前記杭の前記杭頭の上面に、前記杭頭部材を、前記杭と同一軸線上に配置して前記杭頭に接合する工程と、
前記杭頭部材の前記上端プレート部の上面に、前記免震装置を載置し、かつ当該免震装置の下端部を連結する工程と、を有することを特徴とする杭頭免震構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭頭部材製造方法、杭頭免震構造及び杭頭免震構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤に打設された杭の杭頭上面に固定した免震装置によって上部構造体を免震支持する杭頭免震構造が種々提案されている。
例えば特許文献1においては、現場で既製杭における杭頭の上にRC躯体を構築し、当該RC躯体の上面に免震装置を固定している。
また、特許文献2においては、現場で拡頭杭の杭頭の上に打設された鋼管杭内部にRC躯体を構築し、当該RC躯体の上面に免震装置を固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-166446号公報
【文献】特開2019-100087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の杭頭免震構造に係る現場での作業は、現場でRC躯体を構築する必要があるため、杭を打設した後に行われる作業量が多い。さらに、杭の径と免震装置の大きさとが合わない場合は、免震装置の大きさに合わせて杭頭を大きくする作業が必要になる場合もある。
【0005】
また、免震装置を固定する際に用いられるベースプレートは、RC躯体のコンクリートを打設した後に、コンクリートとベースプレートの間に無収縮モルタルをグラウトするが、その時にベースプレート下で空気を巻き込み空隙が発生してしまう不具合(コンクリート充填率の低下)が発生する場合があった。このような不具合の発生を防ぐために、無収縮モルタルを使わず、RC躯体の構築に高流動コンクリートを採用し、それを圧入することで空隙を外部に押しやりながら充填する工法もいくつか発案されているが、いずれの工法も、現場ごとに事前に実物大の試験施工を実施する必要があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、杭頭免震構造に係る現場での作業をより簡易に行えるようにするとともに、杭頭免震構造の品質を向上させ、更にコストダウンを図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の課題を解決するため、請求項に記載の発明は、杭の杭頭の上面に設けられるとともに、上面に、上部構造体を支持する免震装置が固定される杭頭部材の製造方法であって、
前記杭頭部材は、
前記杭と同一軸線上に配置されるとともに前記杭と同径に設定された鋼管部と、
前記鋼管部よりも大径又は前記鋼管部と同径に設定されて、前記鋼管部の上端面に接合固定されており、前記免震装置が載置され、かつ当該免震装置の下端部が連結される上端プレート部と、
前記鋼管部の内部に形成された充填コンクリート部と、を有しており、
前記上端プレート部の前記免震装置が載置される上面が下向きとなり、前記鋼管部の下端部の開口部が上方を向くように配置した状態で、前記鋼管部の前記開口部からコンクリートを充填して硬化させることで、前記充填コンクリート部を形成することを特徴とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の杭頭部材の製造方法であって、
前記上端プレート部には、当該上端プレート部の下面のうち前記鋼管部の内部側に位置する箇所に下方に突出する複数のスタッドボルトが設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項に記載の発明は、杭頭免震構造であって、
前記杭頭を有する前記杭と、
請求項1又は2に記載の杭頭部材の製造方法によって製造されて、前記杭の前記杭頭の上面に設けられ杭頭部材と、
前記杭頭部材の上面に固定された前記免震装置と、を備えており、
前記杭頭部材は、前記杭と同一軸線上に配置されて前記杭頭に接合されていることを特徴とする。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の杭頭免震構造であって、
前記杭頭部材と前記杭頭は機械式継手によって接合されており、
前記機械式継手は、
前記杭頭と同径に設定されるとともに前記杭頭の上端面に固定された環形状の第一固定部と、
前記杭頭部材の前記杭頭本体部と同径に設定されるとともに前記杭頭本体部の下端面に固定され、前記第一固定部の上面に載置された環形状の第二固定部と、
前記第一固定部と前記第二固定部に亘って配置されて当該第一固定部と第二固定部とを連結する連結部と、を有することを特徴とする。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の杭頭免震構造であって、
前記杭頭部材は、前記杭頭側に位置し、溶接可能な材料からなる第一被溶接部を有しており、
前記杭頭は、前記杭頭部材側に位置し、溶接可能な材料からなる第二被溶接部を有しており、
前記第一被溶接部と前記第二被溶接部とが溶接によって接合されていることを特徴とする。
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項のいずれか一項に記載の杭頭免震構造の施工方法であって、
地盤に打設された前記杭の前記杭頭の上面に、前記杭頭部材を、前記杭と同一軸線上に配置して前記杭頭に接合する工程と、
前記杭頭部材の前記上端プレート部の上面に、前記免震装置を載置し、かつ当該免震装置の下端部を連結する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、杭頭免震構造に係る現場での作業をより簡易に行えるようにすることができるとともに、杭頭免震構造の品質を向上させ、更にコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】免震装置における積層ゴムと杭径が等しい場合の杭頭免震構造の側面図である。
図2図1に示す杭頭免震構造の断面図である。
図3】機械式継手の概略構成を示す斜視図である。
図4】免震装置における積層ゴムよりも杭径が小さい場合の杭頭免震構造の側面図である。
図5図4に示す杭頭免震構造の断面図である。
図6】免震装置における積層ゴムよりも杭径が大きい場合の杭頭免震構造の側面図である。
図7図5に示す杭頭免震構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0020】
本実施形態の杭頭免震構造は、地盤Gに打設された杭1の杭頭1aの上面に載置固定された免震装置2によって上部構造体3を免震支持するためのものであり、図1及び図2に示すように、杭1と、杭1の杭頭1aの上面に設けられた杭頭部材10と、杭頭部材10の上面に固定された免震装置2と、を備えている。
そして、杭頭免震構造は、例えばビルやマンション等の建物(上部構造体3)の免震構造として採用することができる。また、杭頭免震構造は、建物の新築時に採用してもよいし、既設の建物の耐震補強時に採用してもよい。さらに、杭頭免震構造は、建物に対して複数採用されている(例えば杭1の本数分)。
【0021】
本実施形態の杭1としては、特に限定されるものではないが、例えばSC杭(外殻鋼管付きコンクリート杭)やPC杭(プレストレストコンクリート杭)、PHC杭(高強度プレストレストコンクリート杭)、PRC杭(高強度プレストレスト鉄筋コンクリート杭)等が好適に採用される。
このような杭1は地盤に打ち込まれており、上端部である杭頭1aが地面に露出した状態となっている。
【0022】
免震装置2は、装置本体である積層ゴム支承部2aと、積層ゴム支承部2aの下端部に接合された下フランジ2bと、積層ゴム支承部2aの上端部に接合された上フランジ2cとを備える。
積層ゴム支承部2aは、高減衰ゴムや天然ゴム等の免震機能を発揮する免震用ゴムと鋼板が交互に重ねられて構成されている。
下フランジ2b及び上フランジ2cは、積層ゴム支承部2aを上下から挟み込むようにして設けられており、上下のフランジ2b,2cは互いに平行に設けられている。これら上下のフランジ2b,2cの直径は、積層ゴム支承部2aの直径よりも大きく設定されている。また、上下のフランジ2b,2cのうち積層ゴム支承部2aよりも水平方向に突出する部位には、上下のフランジ部2b,2cを厚さ方向に貫通し、ボルト(固定ボルト3b、連結ボルト12a)が通される複数のボルト通し孔が、上下のフランジ部2b,2cの周方向に間隔(例えば等間隔)を空けて設けられている。
【0023】
なお、免震装置2(積層ゴム支承部2a、上下のフランジ2b,2c)は平面視で円形状になっているが、例えば四角形などの多角形にすることもできる。
また、免震装置2として、積層ゴム支承部2aを備えた所謂ゴム支承タイプの免震装置を採用したが、これに限られるものではない。すなわち、杭頭部材10と上部構造体3との間に設けられて免震機能を発揮するものであれば、例えば転がり支承タイプや滑り支承タイプ等、その他のタイプの免震装置に適宜変更可能である。
【0024】
上部構造体3は、上記のビルやマンション等の建物における躯体の一部であり、免震装置2の上フランジ2cが下面に固定される。
より詳細に説明すると、上部構造体3の下面には、免震装置2の上フランジ2cと同径に設定された下地プレート3aが一体的に設けられており、免震装置2の上フランジ2cは、この下地プレート3aに接している。また、下地プレート3aには、免震装置2の上フランジ2cに形成された複数のボルト通し孔に対応する複数のボルト通し孔が形成されている。免震装置2の固定は、上フランジ2cにおける複数のボルト通し孔と、下地プレート3aにおける複数のボルト通し孔のそれぞれに通される固定ボルト3bによって行われる。
【0025】
杭頭部材10は、杭1の杭頭1aの上面に設けられるとともに、上面に、上部構造体3を支持する免震装置2が固定される部材であり、予め工場等で製造され、現場に輸送されて用いられる。また、杭頭部材10は、杭1の杭頭1aの上面に設けられて杭1と一体化し、杭1の一部として機能する。
そして、本実施形態の杭頭部材10は、鋼管部11及び充填コンクリート部13を有する杭頭本体部と、上端プレート部12と、複数のリブプレート14と、つなぎ梁用スタッドボルト15と、を有する。
【0026】
鋼管部11は、充填コンクリート部13と共に杭頭本体部を構成し、円筒状に形成された鋼管であり、杭頭1aの上面から免震装置2における下フランジ2bの下面までの高さに設定されている。
また、鋼管部11の直径は、杭1の杭頭1aの直径と同一に設定されており、使用時には、杭1と同一軸線上に配置される。換言すれば、鋼管部11は、杭1の長さを延長するような形で杭1の長さ方向に沿って配置されている。
【0027】
上端プレート部12は、鋼製であって、かつ円板状(非環形状)に形成されており、鋼管部11の上端面に対し、例えば溶接により接合固定されている。鋼管部11は、上記のように円筒状に形成された鋼管であるため、上下方向に開口した状態となっているが、上端プレート部12が上端面に接合されるので、鋼管部11における上端部の開口部を、上端プレート部12によって閉塞できるようになっている。
そして、このような上端プレート部12には、免震装置2が載置され、かつ当該免震装置2の下端部(下フランジ2b)が連結される。
【0028】
本実施形態における上端プレート部12は、鋼管部11よりも大径に設定されており、その中心部が、鋼管部11の軸線上に位置するように配置されている。そのため、上端プレート部12の中央に鋼管部11が設けられて、側面視においてT字型となっている。
【0029】
また、上端プレート部12の直径は、免震装置2の下フランジ2bの直径と同一に設定されており、使用時には、上端プレート部12の中心部が、免震装置2の軸線上に位置するように配置される。
【0030】
さらに、上端プレート部12には、免震装置2の下フランジ2bに形成された複数のボルト通し孔に対応する複数のボルト通し孔が形成されている。免震装置2の連結は、下フランジ2bにおける複数のボルト通し孔と、上端プレート部12における複数のボルト通し孔のそれぞれに通される連結ボルト12aと、連結ボルト12aに取り付けられるナット12bによって行われる。
【0031】
上端プレート部12は、当該上端プレート部12の下面のうち鋼管部11の内部側に位置する箇所に設けられて下方に突出する複数のスタッドボルト12cを有する。
各スタッドボルト12cは、上端プレート部12の下面に接合された本体軸部と、この本体軸部の下端部に設けられた頭部と、からなる。これにより、スタッドボルト12cの頭部は、充填コンクリート部13に食い込んだ状態となる。
なお、本実施形態における上端プレート部12には、複数のスタッドボルト12cが設けられるものとしたが、充填コンクリート部13の一体性が確保できる場合は設けられなくてもよい。
【0032】
充填コンクリート部13は、鋼管部11と共に杭頭本体部を構成し、極力、気泡の無い状態で鋼管部11の内部に充填されて硬化したものであり、鋼管部11を中実化している。また、本実施形態の充填コンクリート部13には、上記の複数のスタッドボルト12cが食い込んだ状態となるため、鋼管部11と充填コンクリート部13との一体性は高い状態となっている。
【0033】
複数のリブプレート14は、鋼管部11と上端プレート部12とを連結し、杭頭部材10を補強するための鋼製プレートであり、鋼管部11の周方向に間隔(例えば等間隔)を空けて配置されている。
より詳細に説明すると、各リブプレート14は、鋼管部11側の端部が鋼管部11の外周面に溶接され、上端部が上端プレート部12の外周部下面に溶接されて、鋼管部11と上端プレート部12とを連結している。さらに、各リブプレート14は、直角台形状に形成されており、下方に向かうにつれて先細りしている。
また、隣り合うリブプレート14間に、上端プレート部12と免震装置2の下フランジ2bとを連結する連結ボルト12aが配置されている。
なお、本実施形態においては、鋼管部11と上端プレート部12との間に複数のリブプレート14が設けられるものとしたが、上端プレート部12の強度が確保できる場合は設けられなくてもよい。
【0034】
つなぎ梁用スタッドボルト15は、建物に設けられる複数の杭頭部材10同士を繋ぐための、つなぎ梁4の端部に埋設されるものであり、つなぎ梁用スタッドボルト15は、つなぎ梁4の端部に食い込んだ状態となる。
なお、つなぎ梁4は、例えば鉄筋コンクリート構造で形成されている。また、つなぎ梁4は必要に応じて設ければよく、杭頭免震構造は、つなぎ梁4を有していなくてもよい。
【0035】
以上のように構成された杭頭部材10と杭1の杭頭1aは機械式継手20によって接合されている。本実施形態における機械式継手20は、図1図3に示すように、第一固定部21と、第二固定部22と、連結部23と、を有する。
【0036】
第一固定部21は、環形状(ドーナツ型)とされており、杭頭1aと同径に設定されるとともに杭頭1aの上端面に固定されている。
本実施形態における第一固定部21は、図3に示すように、外周面に溝21aが形成されている。また、この溝21aには、後述するボルト23cが取り付けられるボルト孔21bが、複数形成されている。
さらに、本実施形態における第一固定部21の上面には、ピン24の下端部が差し込まれるピン穴21cが複数形成されている。
【0037】
第二固定部22は、杭頭部材10の鋼管部11と同径に設定されるとともに、第一固定部21と略同一の構成とされている。すなわち、図示はしないが、第二固定部22は、第一固定部21と同様に、外周面の溝と、この溝に形成された複数のボルト孔と、複数のピン穴と、を有する。
複数のボルト孔は、第一固定部21における複数のボルト孔と、上下に隣り合う位置関係となるように配置されている。
複数のピン穴は、第二固定部22の下面に形成されており、第一固定部21の上面に形成された複数のピン穴と位置が合致するように配置されている。
このように構成された第二固定部22は、鋼管部11の下端面に固定されており、第一固定部21の上面に載置される。
【0038】
連結部23は、第一固定部21と第二固定部22に亘って配置されて当該第一固定部21と第二固定部22とを連結する。第一固定部21と第二固定部22が、連結部23で連結されることにより、杭1と杭頭部材10とが連結されることになる。
より詳細に説明すると、本実施形態における連結部23は、複数に分割されている。複数に分割された連結部23は、全てを連続させて並べると環状になるように構成されている。換言すれば、環状の連結部23を円周方向に複数に分割した状態となっている。なお、本実施形態においては、三つに分割されている。
【0039】
複数の連結部23のそれぞれは、第一固定部21の溝21aと、第二固定部22の溝に嵌まる上下の突条部23aを備えており、上下の突条部23aの間は溝になっている。これにより、連結部23と、第一固定部21及び第二固定部22とが強固に噛み合うことになるので、結果的に、杭1と杭頭部材10とが連結されることになる。
また、複数の連結部23には、第一固定部21の溝21aに形成された複数のボルト孔21b及び第二固定部22の溝に形成された複数のボルト孔に対応する複数のボルト通し孔23bが形成されている。複数のボルト通し孔23bにはボルト23cが通され、ボルト23cは、第一固定部21の溝21aに形成された複数のボルト孔21b及び第二固定部22の溝に形成された複数のボルト孔に、ねじ込まれて設けられる。
【0040】
ピン24は、下端部が、第一固定部21の上面に形成された複数のピン穴21cに差し込まれる。上端部は、図示はしないが、第二固定部22の下面に形成された複数のピン穴に差し込まれる。複数のピン24を用いることで、杭1と杭頭部材10は、軸方向と直交する方向への一体性が高まるようになっている。
【0041】
なお、機械式継手20は、以上のような構成に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、連結部23と第一固定部21及び第二固定部22とが強固に噛み合う構造(溝21aと上下の突条部23a)は省略してもよい。また、一方を凸型継手(外周面に雄ネジを形成してもよい)とし、他方を凹型継手(内周面に雌ネジを形成してもよい)として凹凸嵌合させて側面からボルト固定するタイプの機械式継手を採用してもよい。
【0042】
次に、杭頭部材10の製造方法について説明する。
杭頭部材10の製造は、工場(非現場)にて行われるものとするが、これに限られるものではなく、現場で製造されてもよい。また、途中までを工場で製造し、残りを現場で製造するといった形で、製造工程を工場と現場で分けてもよい。
【0043】
まず、上端プレート部12を、鋼管部11の上端面に、溶接等によって接合して固定する。その後、鋼管部11及び上端プレート部12(側面視T字型)を、開口部が上方を向くように配置する(側面視逆T字型)。
杭頭部材10における鋼管部11は、上記のように円筒状に形成された鋼管であり、上端部の開口部は、上端プレート部12によって閉塞されている。一方で、下端部の開口部は閉塞されておらず、開放された状態となっている。鋼管部11の下端面には、上記のように第二固定部22は固定されているものの、当該第二固定部22は環形状であるため、鋼管部11の下端部における開口部は閉塞されない。したがって、開口部が上方を向くように配置することで、鋼管部11を、上方が開口し、かつ底のある容器として使用することができる。
【0044】
また、複数のスタッドボルト12cは、容器として使用される鋼管部11の内部にコンクリートが充填されるよりも前に、上端プレート部12に設けられる。コンクリートが充填されるよりも前であれば、上端プレート部12を鋼管部11の上端面に接合固定する前でもよいし、接合固定した後でもよい。
【0045】
続いて、容器として使用される鋼管部11の開口部からコンクリートを充填して硬化させることで充填コンクリート部13を形成する。これにより、杭頭本体部が形成される。
なお、鋼管部11へのコンクリートの充填は、例えば鋼管部11内周面と第二固定部22との間の隅部を始めとする隅々まで充填される。
【0046】
複数のリブプレート14が設けられるタイミングは、コンクリートに対してリブプレート14の溶接時の熱影響があるため、鋼管部11の内部にコンクリートが充填されるよりも前とされている。
また、つなぎ梁用スタッドボルト15が設けられるタイミングも特に限定されるものではない。つなぎ梁4は、必要に応じて設けられるものであるため、つなぎ梁用スタッドボルト15は、つなぎ梁4が必要になった場合に鋼管部11に設けられるものとする。
【0047】
杭頭部材10は、以上のようにして製造される。
杭頭部材10は、品質管理を行いながら製造されるので、コンクリートの充填性が保証されるようになる。また、杭1の規格に合わせて製造すれば、製品としていつでも準備しておくことができるので好ましい。
【0048】
次に、杭頭免震構造の施工方法について説明する。
杭1は、予め地盤Gに打設されている。さらに、杭1の杭頭1a上端面には、第一固定部21が予め固定されている。
また、上部構造体3は、免震装置2の設置よりも後に構築される場合と、免震装置2の設置よりも前に構築される場合がある。
【0049】
まず、地盤Gに打設された杭1の杭頭1aの上面に、杭頭部材10を、杭1と同一軸線上に配置する。
すなわち、予め地盤Gに打設された杭1の杭頭1a上面に、製品として製造された杭頭部材10を、上端プレート部12を上に向けた状態で載置する。このとき、ピン24を、第一固定部21のピン穴21cに差し込むとともに第二固定部22のピン穴に差し込み、杭頭部材10の軸線と杭1の軸線とが揃うように配置する。
【0050】
続いて、杭1の杭頭1a上面に載置された杭頭部材10を、機械式継手20によって杭1の杭頭1aに接合する。
すなわち、複数の連結部23によって、杭頭1aの上端面に固定された第一固定部21と、杭頭部材10の下端面に固定された第二固定部22と、を連結する。
【0051】
続いて、杭頭部材10の上端プレート部12の上面に、免震装置2を載置し、かつ当該免震装置2の下フランジ2bを連結する。
すなわち、杭頭部材10の上端プレート部12に形成された複数のボルト通し孔と、免震装置2の下フランジ2bに形成された複数のボルト通し孔の位置を合致させ、連結ボルト12a及びナット12bによって連結する。
【0052】
杭頭免震構造は、以上のように施工される。
なお、免震装置2の上方に上部構造体3がない場合は、免震装置2の上方に、下地プレート3aを含む上部構造体3を構築する。
免震装置2の上方に上部構造体3がある場合は、免震装置2の上フランジ2cに形成された複数のボルト通し孔と、上部構造体3における下地プレート3aに形成された複数のボルト通し孔の位置を合致させ、固定ボルト3bによって免震装置2の上フランジ2cを上部構造体3に固定する。なお、杭頭部材10と上部構造体3との間の間隔が狭い場合は、ジャッキ装置によって建物をジャッキアップして間隔を広げてもよい。
【0053】
本実施形態によれば、杭1の杭頭1aの上面に設けられるとともに、上面に、上部構造体3を支持する免震装置2が固定される杭頭部材10が、杭1と同一軸線上に配置されるとともに杭1と同径に設定され、かつ、硬化したコンクリートを含んで構成された杭頭本体部と、杭頭本体部の上端面に固定されて、免震装置2が載置され、かつ当該免震装置2の下端部が連結される上端プレート部12と、を備えるので、杭頭部材10は、一部材としての十分な品質を事前に確保することができる。そのため、従来のように、杭頭1aの上に免震装置2が固定されるRC躯体を現場で構築する必要がなくなるだけでなく、無収縮モルタルも使う必要がなく、高流動コンクリートを採用する必要もなく、現場ごとに事前に実物大の試験施工を実施する必要もなくなる。これにより、杭頭免震構造に係る現場での作業をより簡易に行えるようにすることができるとともに、杭頭免震構造の品質を向上させ、更にコストダウンを図ることができる。
【0054】
また、上端プレート部12は、杭頭本体部を構成する鋼管部11よりも大径に設定されているので、免震装置2の装置本体である積層ゴム支承部2a又は下フランジ2bの径が、杭1の杭頭1aの径よりも大径である場合に、免震装置2の大きさに合わせて杭頭1aを大きくする作業を行う必要がなくなる。すなわち、免震装置2の大きさが杭1の径に影響を及ぼしにくくなる。そのため、杭頭免震構造に係る現場での作業をより簡易に行えるようにすることができるとともに、コストダウンを図ることができる。
【0055】
また、杭頭本体部は、杭1と同一軸線上に配置されるとともに杭1と同径に設定され、かつ、上端面に上端プレート部12が接合固定された鋼管部11と、鋼管部11の内部に充填されて硬化した充填コンクリート部13と、を有するので、杭頭本体部を形成する際に型枠を組む必要がなくなる。そのため、型枠の形成に必要な部材を省略することができるので、杭頭部材の製造に係るコストや手間を低減できる。さらに、鋼管部11によって杭頭本体部の強度を向上させることができる。
【0056】
また、上端プレート部12は、当該上端プレート部12の下面のうち鋼管部11の内部側に位置する箇所に設けられて下方に突出する複数のスタッドボルト12cを有するので、複数のスタッドボルト12cが充填コンクリート部13に食い込んだ状態となる。これにより、鋼管部11及び上端プレート部12と充填コンクリート部13との一体性を向上させることができるので、杭頭部材10の品質を向上させることができる。
【0057】
また、杭頭部材10を製造するにあたって、上端プレート部12を、免震装置2が載置される面が下向きとなるように配置することで、鋼管部11の開口部が上方を向くように配置され、当該開口部からコンクリートを充填して硬化させることで充填コンクリート部13を形成するので、使用時と逆さまの状態(天地を逆にした状態)でコンクリートの充填を行うことができ、充填コンクリート部13の品質管理を行いやすくなる。そのため、杭頭免震構造の品質を格段に向上させやすい。
【0058】
また、杭頭免震構造は、杭頭1aを有する杭1と、杭1の杭頭1aの上面に設けられるとともに品質が事前に確保された杭頭部材10と、杭頭部材10の上面に固定された免震装置2と、を備えており、杭頭部材10は、杭1と同一軸線上に配置されて杭頭1aに接合されているので、従来のように、杭頭1aの上に免震装置2が固定されるRC躯体を現場で構築する必要がなくなる。これにより、杭頭免震構造に係る現場での作業をより簡易に行えるようにすることができるとともに、杭頭免震構造の品質を向上させ、更にコストダウンを図ることができる。
【0059】
また、杭頭部材10と杭頭1aは機械式継手20によって接合されており、機械式継手20は、杭頭1aと同径に設定されるとともに杭頭1aの上端面に固定された環形状の第一固定部21と、杭頭部材10の鋼管部11と同径に設定されるとともに鋼管部11の下端面に固定され、第一固定部21の上面に載置された環形状の第二固定部22と、第一固定部21と第二固定部22に亘って配置されて当該第一固定部21と第二固定部22とを連結する連結部23と、を有するので、連結部23によって第一固定部21と第二固定部22とを連結することで、結果的に、杭1と杭頭部材10とを連結することができる。特に、杭頭部材10と杭頭1aは機械式継手20によって接合するので、現場での作業を軽減でき、杭頭免震構造に係る現場での作業をより簡易に行えるようにすることができる。
【0060】
また、杭頭免震構造の施工方法は、地盤Gに打設された杭1の杭頭1aの上面に、品質が事前に確保された杭頭部材10を、杭1と同一軸線上に配置して杭頭1aに接合する工程と、杭頭部材10の上端プレート部12の上面に、免震装置2を載置し、かつ当該免震装置2の下端部を連結する工程と、を有するので、従来のように、杭頭1aの上に免震装置2が固定されるRC躯体を現場で構築する必要がなくなる。これにより、杭頭免震構造に係る現場での作業をより簡易に行えるようにすることができるとともに、杭頭免震構造の品質を向上させ、更にコストダウンを図ることができる。
【0061】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。また、以下の各変形例において、上述の実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
【0062】
〔変形例1〕
上記の実施形態においては、杭頭部材10と杭頭1aは機械式継手20によって接合されているものとしたが、本変形例においては、図示はしないが、杭頭部材10と杭頭1aは溶接によって接合されている。
【0063】
より詳細に説明すると、杭頭部材10は、杭頭1a側に位置し、溶接可能な材料からなる第一被溶接部を有しており、杭頭1aは、杭頭部材10側に位置し、溶接可能な材料からなる第二被溶接部を有している。そして、第一被溶接部と第二被溶接部とが溶接によって接合されている。その結果、第一被溶接部及び第二被溶接部を介して杭頭部材10と杭頭1aを接合することができる。
【0064】
杭頭部材10が、上記の実施形態のように鋼管部11を備える場合は、鋼管部11をそのまま第一被溶接部として利用することができる。一方、鋼管部11を備えない場合は、例えば鋼製の端板(第一被溶接部)を、杭頭本体部の杭頭1a側(下端部)に一体に設けるようにする。
【0065】
杭1がSC杭である場合は、SC杭の外殻鋼管をそのまま第一被溶接部として利用することができる。一方、SC杭でない場合は、杭頭1aの上端面に鋼製の端板(第二被溶接部)を、杭頭1aの杭頭部材10側(上端部)に一体に設けるようにする。
【0066】
本変形例によれば、上記の実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、最低限の部材で、杭1と杭頭部材10とを溶接によって接合することができるので、更にコストダウンを図ることができる。
【0067】
〔変形例2〕
上記の実施形態においては、杭1と、免震装置2の装置本体である積層ゴム支承部2aとが同径となっているが、本変形例においては、図4及び図5に示すように、積層ゴム支承部2aの径よりも、杭1Aの方が小径となっている。
そして、このような場合であっても、鋼管部11Aの径は、杭1Aと同径に設定されている。
【0068】
本変形例によれば、杭1Aの径が、たとえ積層ゴム支承部2aの径よりも小さい場合であっても、上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。換言すれば、地盤Gに打設された杭1Aの径が小さい場合であっても、その径に適合する鋼管部11Aを備えた杭頭部材10を接合することで、免震装置2を確実に設けることができる。
【0069】
〔変形例3〕
上記の実施形態においては、杭1と、免震装置2の装置本体である積層ゴム支承部2aとが同径となっているが、本変形例においては、図6及び図7に示すように、積層ゴム支承部2aの径よりも、杭1Bの方が大径となっている。
そして、このような場合であっても、鋼管部11Bの径は、杭1Bと同径に設定されている。さらに、本変形例においては、上端プレート部12も、杭1B及び鋼管部11Bと同径に設定されている。
【0070】
上端プレート部12が、杭1B及び鋼管部11Bと同径に設定されているため、免震装置2の下フランジ2bと上端プレート部12とを連結する連結ボルト120は、鋼管部11Bの内部に向かって通されることになる。そして、このような連結ボルト120を受ける袋ナット121が、上端プレート部12に形成された複数のボルト通し孔の位置に対応して、上端プレート部12の下面に溶接されて設けられている。これにより、鋼管部11Bの内部にコンクリートを充填しても、コンクリートが袋ナット121の内部に入ることを防ぎつつ、連結ボルト120を免震装置2の下フランジ2b側からねじ込んで設けることができる。
なお、袋ナット121は、多角形状に形成されているため、硬化した充填コンクリート部13に食い込んだ状態となり、連結ボルト120をねじ込んでも共回りしにくくなっている。
また、袋ナット121が外部に露出せず、連結ボルト120を強固に締めにくいため、連結ボルト120の本体軸部の長さを、上記の実施形態における連結ボルト12aの本体軸部の長さよりも長く設定し、連結ボルト120と袋ナット121の一体性を高めるようにしている。
【0071】
また、上端プレート部12が、杭1B及び鋼管部11Bと同径に設定されているため、複数のリブプレート14Bも、鋼管部11Bの内部に設けられている。
より詳細に説明すると、各リブプレート14Bは、鋼管部11B側の端部が鋼管部11の内周面に溶接され、上端部が上端プレート部12の外周部下面に溶接されて、鋼管部11Bと上端プレート部12とを連結している。さらに、各リブプレート14Bは、四角形状に形成されており、充填コンクリート部13に接触する面積を広く確保している。
また、隣り合うリブプレート14B間に、上端プレート部12と免震装置2の下フランジ2bとを連結する連結ボルト120が配置されている。
【0072】
本変形例によれば、杭1Bの径が、たとえ積層ゴム支承部2aの径よりも大きい場合であっても、上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。換言すれば、地盤Gに打設された杭1Bの径が大きい場合であっても、その径に適合する鋼管部11Bを備えた杭頭部材10を接合することで、免震装置2を確実に設けることができる。
【0073】
〔変形例4〕
上記の実施形態及び各変形例においては、杭頭本体部が、鋼管部11及び充填コンクリート部13を有する構成となっているが、本変形例においては、図示はしないが、杭頭本体部が、鋼管部11を有さず、硬化したコンクリートを含んで構成されている。
【0074】
本変形例における杭頭本体部は、コンクリート内部に少なくともPC鋼材が内蔵された状態に構成されている。すなわち、上記のPC杭やPHC杭、PRC杭と同様に構成されている。
本変形例における杭頭部材を製造する場合は、上端プレート部12を、免震装置2が載置される面(載置面)が下向きとなるように配置した状態で、上端プレート部12の上に杭頭本体部を形成する。より具体的には、上端プレート部12のうち上記の載置面とは反対側の面(製造時においては上面)に型枠を形成し、型枠内にコンクリートを充填して硬化させる。なお、PC鋼材は、上端プレート部12に対して例えば溶接によって接合されている(溶接以外の接合方法を採用してもよい)。
【0075】
本変形例によれば、杭頭本体部が、鋼管部11を有さず、硬化したコンクリートを含んで構成されている場合であっても、上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 杭
1a 杭頭
2 免震装置
2a 積層ゴム支承部
2b 下フランジ
2c 上フランジ
3 上部構造体
3a 下地プレート
3b 固定ボルト
4 つなぎ梁
10 杭頭部材
11 鋼管部
12 上端プレート部
12a 連結ボルト
12b ナット
12c スタッドボルト
13 充填コンクリート部
14 リブプレート
15 つなぎ梁用スタッドボルト
20 機械式継手
21 第一固定部
21a 溝
21b ボルト孔
21c ピン穴
22 第二固定部
23 連結部
23a 突条部
23b ボルト通し孔
23c ボルト
24 ピン
120 連結ボルト
121 袋ナット
G 地盤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7