(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】電力系統安定化装置、周波数低下リレー装置、電力系統安定化方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02H 3/05 20060101AFI20240617BHJP
H02H 3/46 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
H02H3/05 D
H02H3/46 D
(21)【出願番号】P 2020138574
(22)【出願日】2020-08-19
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 哲
(72)【発明者】
【氏名】前田 隆文
(72)【発明者】
【氏名】春日 研
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-089218(JP,A)
【文献】特開2017-017832(JP,A)
【文献】特開昭58-054822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/05
H02H 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統の状態を示
し、負荷の総量を含む系統状態に基づく指標を導出する導出部と、
前記指標に基づいて、前記電力系統における遮断対象を遮断する遮断器を制御する一以上の制御装置に関連し、前記遮断器を制御するか否かを決定する基準となる基準情報を決定する決定部と、
前記制御装置に関して既に設定されている基準情報を、前記決定部により決定された前記基準情報に変更する変更部と、を備える、
電力系統安定化装置。
【請求項2】
前記系統状態は
、前記電力系統における同期発電機の発電
量を含み、
前記指標は、前記電力系統における負荷の総量に対して、前記電力系統における同期発電機の発電量が占める割合を含む、
請求項1に記載の電力系統安定化装置。
【請求項3】
前記系統状態は
、前記電力系統における発電量が最大である同期発電機の発電量を含み、
前記指標は、前記電力系統における負荷の総量に対して、前記電力系統における発電量が最大である同期発電機の発電量が占める割合を含む、
請求項1または2に記載の電力系統安定化装置。
【請求項4】
前記系統状態は
、前記電力系統における同期発電機を備える発電所の中で発電量が最大である発電所の発電
量を含み、
前記指標は、前記電力系統における負荷の総量に対して、前記電力系統における同期発電機を備える発電所の中で発電量が最大である発電所の発電量が占める割合を含む、
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の電力系統安定化装置。
【請求項5】
電力系統の状態を示す系統状態に基づく指標を導出する導出部と、
前記指標に基づいて、前記電力系統における遮断対象を遮断する遮断器を制御する一以上の制御装置に関連し、前記遮断器を制御するか否かを決定する基準となる基準情報を決定する決定部と、
前記制御装置に関して既に設定されている基準情報を、前記決定部により決定された前記基準情報に変更する変更部と、を備え、
前記系統状態は、前記電力系統における日時の情報を含み、
前記指標は、前記日時をグループ化したグループごとに対応付けて導出される、
電力系統安定化装置。
【請求項6】
前記基準情報は、前記電力系統に発生する周波数異常を検出する基準となる前記電力系統における系統電圧の周波数の整定値を含む、
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の電力系統安定化装置。
【請求項7】
電力系統の状態を示す系統状態に基づく指標を導出する導出部と、
前記指標に基づいて、前記電力系統における遮断対象を遮断する遮断器を制御する一以上の制御装置に関連し、前記遮断器を制御するか否かを決定する基準となる基準情報を決定する決定部と、
前記制御装置に関して既に設定されている基準情報を、前記決定部により決定された前記基準情報に変更する変更部と、を備え、
前記基準情報は、前記電力系統に発生する周波数異常を検出する基準となる前記電力系統における系統電圧の周波数低下率の整定値を含む、
電力系統安定化装置。
【請求項8】
電力系統の状態を示す系統状態に基づく指標を導出する導出部と、
前記指標に基づいて、前記電力系統における遮断対象を遮断する遮断器を制御する一以上の制御装置に関連し、前記遮断器を制御するか否かを決定する基準となる基準情報を決定する決定部と、
前記制御装置に関して既に設定されている基準情報を、前記決定部により決定された前記基準情報に変更する変更部と、を備え、
前記基準情報は、前記電力系統に発生する周波数異常が継続した時間に対して前記決定の基準となる設定時間を含む、
電力系統安定化装置。
【請求項9】
前記電力系統は、複数の前記遮断対象を含み、
前記基準情報は、前記遮断対象をどの順で遮断するかを示す優先度を含む、
請求項1から8のうちいずれか1項に記載の電力系統安定化装置。
【請求項10】
電力系統の状態を示す系統状態に基づく指標を導出する導出部と、
前記指標に基づいて、前記電力系統における遮断対象を遮断する遮断器を制御する一以上の制御装置に関連し、前記遮断器を制御するか否かを決定する基準となる基準情報を決定する決定部と、
前記制御装置に関して既に設定されている基準情報を、前記決定部により決定された前記基準情報に変更する変更部と、を備え、
前記電力系統は、複数の電力系統単位を含み、
前記導出部は、前記複数の電力系統単位同士の関係の変化に応じて、変化後の前記電力系統単位に対応する指標を導出し、
前記決定部は、変化した後の前記電力系統における前記基準情報を決定する、
電力系統安定化装置。
【請求項11】
前記複数の電力系統単位同士の関係の変化は、前記複数の電力系統単位の分離を含み、
前記導出部は、分離した前記電力系統単位のそれぞれにおける指標を導出し、
前記決定部は、分離した前記電力系統単位のそれぞれにおける基準情報を決定する、
請求項10に記載の電力系統安定化装置。
【請求項12】
電力系統の状態を示す系統状態に基づく指標を導出する導出部と、
前記指標に基づいて、前記電力系統における遮断対象を遮断する遮断器を制御する一以上の制御装置に関連し、前記遮断器を制御するか否かを決定する基準となる基準情報を決定する決定部と、
前記制御装置に関して既に設定されている基準情報を、前記決定部により決定された前記基準情報に変更する変更部と、を備え、
前記電力系統は、複数の電力系統単位を含み、
前記導出部は第1装置に備えられ、前記決定部は、前記第1装置と異なる第2装置に備えられており、
前記指標は、前記複数の電力系統単位同士の間に発生した発生事象を含み、
前記第1装置の前記導出部は、前記発生事象に対応する発生事象番号を導出し、
前記第1装置は、前記発生事象番号を前記第2装置に出力し、
前記第2装置の前記決定部は、予め定められた前記発生事象番号ごとに対応する複数の基準情報に前記第1装置により出力された前記発生事象番号を参照して、前記基準情報を決定する、
電力系統安定化装置。
【請求項13】
前記遮断器を制御する制御装置は、通常時に利用する周波数低下リレー及びタイマーと、前記基準情報が通常時から変更されているときに利用する予備周波数低下リレー及び予備タイマーとを含み、
前記周波数低下リレー及び前記タイマーに対応して、通常整定値及び通常設定時間が設定され、
前記予備周波数低下リレー及び前記予備タイマーに対応して、前記通常整定値と異なる予備整定値及び前記通常設定時間と異なる予備設定時間が設定されており、
前記電力系統安定化装置は、通常時から非常時に移行したときに、前記予備周波数低下リレー及び前記予備タイマーの利用を許可する許可部を備える、
請求項1から12のうちいずれか1項に記載の電力系統安定化装置。
【請求項14】
電力系統の状態を示
し、負荷の総量を含む系統状態に基づく指標を導出する導出部と、
前記指標に基づいて、遮断対象を遮断する遮断器を制御するか否かを決定する基準となる基準情報を決定する決定部と、
既に設定されている基準情報を、前記決定部により決定された前記基準情報に変更する変更部と、を備え、
前記遮断器を制御する制御装置は、通常時に利用する周波数低下リレー及びタイマーと、前記基準情報が通常時から変更されているときに利用する予備周波数低下リレー及び予備タイマーとを含み、
前記周波数低下リレー及び前記タイマーに対応して、通常整定値及び通常設定時間が設定され、
前記予備周波数低下リレー及び前記予備タイマーに対応して、前記通常整定値と異なる予備整定値及び前記通常設定時間と異なる予備設定時間が設定されており、
電力系統安定化装置は、通常時から非常時に移行したときに、前記予備周波数低下リレー及び前記予備タイマーの利用を許可する許可部を備える、
電力系統安定化装置。
【請求項15】
電力系統の状態を示
し、負荷の総量を含む系統状態に基づく指標を導出する導出部と、
前記指標に基づいて、遮断対象を遮断する遮断器を制御するか否かを決定する基準となる基準情報を決定する決定部と、
既に設定されている基準情報を、前記決定部により決定された前記基準情報に変更する変更部と、を備える電力系統安定化装置に制御され、
通常時に利用する周波数低下リレー及びタイマーと、
前記基準情報が通常時から変更されているときに利用する予備周波数低下リレー及び予備タイマーと、
通常時から非常時に移行したときに、前記予備周波数低下リレー及び前記予備タイマーの利用を許可する許可部と、を備え、
前記周波数低下リレー及び前記タイマーに対応して、通常整定値及び通常設定時間が設定され、
前記予備周波数低下リレー及び前記予備タイマーに対応して、前記通常整定値と異なる予備整定値及び前記通常設定時間と異なる予備設定時間が設定されている、
周波数低下リレー装置。
【請求項16】
コンピュータが、
電力系統の状態を示
し、負荷の総量を含む系統状態に基づく指標を判定し、
判定された前記指標に基づいて、遮断対象を遮断する遮断器を制御する制御装置に設定される基準情報を決定し、
決定された前記基準情報に基づいて、前記制御装置に設定された基準情報を変更する
電力系統安定化方法。
【請求項17】
コンピュータに、
電力系統の状態を示
し、負荷の総量を含む系統状態に基づく指標を判定させ、
判定された前記指標に基づいて、遮断対象を遮断する遮断器を制御する制御装置に設定される基準情報を決定させ、
決定された前記基準情報に基づいて、前記制御装置に設定された基準情報を変更させる プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、周波数低下リレー装置、電力系統安定化装置、電力系統安定化方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力系統の周波数低下対策のための装置として、例えば、周波数低下リレー(Under Frequency Relay、以下、「UFR」)を備える事象検出形UFR装置と、個別周波数低下対策装置がある。事象検出形UFR装置は、原因を特定せずに周波数の異常低下度合に応じて、負荷などを制御する装置であり、個別周波数低下対策装置は、予め想定した事象に限定して負荷などを制御する装置である。
【0003】
事象検出形UFR装置では、例えば、想定される最も過酷な事象が発生した場合までは電力系統の周波数を維持できる設定がされている。このため、事象検出形UFR装置では、想定よりもさらに過酷な事象が発生した場合に、制御が間に合わず、電力系統の周波数を維持できない可能性がある。一方、個別周波数低下対策装置では、予め想定した事象が発生しないと動作しない。このため、予め想定した事象以外の事象に起因する周波数低下対応策を補完する対策の併用が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、発生した事象の規模によらず、適切に電力系統を制御することができる電力系統安定化装置、周波数低下リレー装置、電力系統安定化方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の電力系統安定化装置は、導出部と、決定部と、変更部と、を持つ。導出部は、電力系統の状態を示す系統状態に基づく指標を導出する。決定部は、前記指標に基づいて、前記電力系統における遮断対象を遮断する遮断器を制御する一以上の制御装置に関連し、前記遮断器を制御するか否かを決定する基準となる基準情報を決定する。変更部は、前記制御装置に関して既に設定されている基準情報を、前記決定部により決定された前記基準情報に変更する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態の電力系統安定化システム1の構成を示す図。
【
図2】第1基準情報決定テーブル154♯1の内容及び決定される設定時間の例を示す図。
【
図3】第2基準情報決定テーブル154♯2の内容及び決定される設定時間の例を示す図。
【
図4】日時情報に基づく系統状態導出テーブルの内容を示す図。
【
図5】第3基準情報決定テーブル154♯3の内容及び決定される設定時間の例を示す図。
【
図6】第4基準情報決定テーブル154♯4の内容及び決定される周波数の整定値の例を示す図。
【
図7】第5基準情報決定テーブル154♯5の内容及び決定される優先度の例を示す図。
【
図8】第6基準情報決定テーブル154♯6の内容及び決定される設定時間の例を示す図。
【
図9】発生事象導出テーブル156及び第7基準情報決定テーブル154♯7の内容を示す図。
【
図10】第2の実施形態の電力系統安定化システム1の構成を示す図。
【
図11】第2の実施形態の電力系統安定化システム1の他の例の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の電力系統安定化装置、周波数低下リレー装置、電力系統安定化方法、及びプログラムを、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の電力系統安定化システム1の構成を示す図である。電力系統安定化システム1は、例えば、電力系統安定化装置100と、UFR装置(周波数低下リレー装置)200と、複数の第k遮断器300-kと、複数の第k負荷400-k(k=1、2、…、n、以下、同じ)と、を備える。何番目の遮断器または負荷であるかを区別しない場合には、「第k」及びハイフン以下の符号を省略し、遮断器300、負荷400と記載する。この例において、遮断器300は、複数の負荷400のそれぞれに対応し、1つの遮断器300が1つの負荷400を遮断するようにされている。これに代えて、1つの遮断器300が複数の負荷400を遮断するようにしてもよい。この場合、遮断器300は、複数の負荷400を同時に遮断するようにしてもよいし、複数の負荷400を個別に遮断するようにしてもよい。負荷400は、遮断対象の一例である。
【0010】
電力系統安定化装置100は、複数の発電機が接続された電力系統Eに事故が発生した際に電力系統Eの安定化を図る。電力系統安定化装置100は、例えば、電力系統Eに事故が発生して電力系統Eの周波数が低下した場合に、負荷を切り離したり、電力系統Eを発電機の出力合計と負荷合計が均等する電力系統とそれ以外の電力系統に系統分離したりすることにより、電力系統の安定化を図る。負制は、事故発生時に負荷400を電力系統Eから切り離す制御である。負荷を電力系統Eから切り離す制御や電力系統Eを分離する制御を「遮断」という場合もある。
【0011】
電力系統安定化システム1は、例えば、中央給電指令所に設けられた中央演算装置と、複数の変電所に分散設置される制御端末装置を備える。電力系統安定化装置100は、例えば、中央演算装置に設けられていてもよいし、制御端末装置に設けられていてもよい。電力系統安定化装置100の一部が中央演算装置に設けられ、他の一部が制御端末装置に設けられていてもよい。
【0012】
電力系統Eは、電力を発電し、発電した電力を需要家の負荷400まで送電するための一連の設備の集合である。電力系統Eは、例えば、複数の電力系統単位が互いに接続されて構成されている。電力系統単位は、例えば地域ごとに区切られて構成されている。電力系統Eは、例えば、発電機、母線、変圧器あるいは送電線、負荷、調相設備、遮断器、断路器等の電力設備を含む。電力系統Eは、電力設備に供給される電力を計測するための電圧計測用変成器、及び電流計測用変成器を備える。
【0013】
電力系統Eにおける発電機は、例えば、同期発電機と同期発電機以外の非同期発電機を含む。同期発電機は、タービンなどの回転体が存在し、その回転が電力系統Eの周波数と同期する発電機であり、例えば、火力発電機や原子力発電機などを含む。非同期発電機は、例えば、太陽光発電機や風力発電機などの再生可能エネルギー発電機を含む。
【0014】
電力系統安定化装置100は、例えば、取得部110と、導出部120と、決定部130と、変更部140と、記憶部150と、を備える。取得部110、導出部120、決定部130、及び変更部140は、例えば、CPU(Central Processing Unit)(コンピュータ)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めコントローラのHDDやフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。プログラムは、記憶部150に記憶されていてもよい。記憶部150は、系統状態導出テーブル152及び複数の第1基準情報決定テーブル154♯1~第6基準情報決定テーブル154♯6を記憶する。
【0015】
取得部110は、電力系統Eから系統情報を一定周期で取り込んで取得する。系統情報は、例えば、中央演算装置により提供される。系統情報は、例えば、電力系統Eにおける負荷の総量(以下、「系統容量」)、電力系統Eにおける同期発電機の発電量(以下、「同期機発電量」)、電力系統Eにおける発電機1台当たりの最大発電量(以下「最大単機発電量」)、電力系統Eにおける暦(年月日)を特定する暦情報(カレンダー情報)、電力系統Eにおける時刻を特定する時刻情報、電力系統Eが複数の電力系統単位で構成される場合の電力系統単位同士の接続・分離状態情報を含む。取得部110は、暦情報及び時刻情報(以下、日時情報)については、中央演算装置により提供される系統情報以外の系統情報を取得してもよい。例えば、電力系統安定化装置100がカレンダー機能及び時計機能を備えており、これらのカレンダー機能及び時計機能により提供される日時情報を取得してもよい。取得部110は、系統情報を取得するごとに導出部120に出力する。
【0016】
導出部120は、取得部110により出力された系統情報に基づいて、系統状態に基づく指標を導出する。導出部120は、例えば一定周期で指標を導出する。導出部120は、例えば、系統状態に基づく指標として、同期機発電量が系統容量に占める割合(以下、「同期機発電比率」)、最大単機発電量が系統容量に占める割合(以下、「最大発電量脱落比率」)を算出し、算出結果を指標として導出する。導出部120は、日時情報に基づいて、日時情報に基づく系統状態(以下、「暦時刻系統状態」)を導出し、導出した暦時刻系統状態を指標とする。日時情報は、日時の情報の一例である。導出部120は、導出した指標を決定部130に出力する。
【0017】
決定部130は、導出部120により出力された指標に基づいて、電力系統Eにおける一以上のUFR装置200に関連し、遮断器を制御するか否かを決定する基準となる基準情報を決定する。決定部130は、導出部120により出力された指標を、記憶部150に予め記憶されたマップに参照することにより、基準情報を決定する。基準情報には複数種類のものがあり、それらの決定手順は、後に順次説明する。決定部130は、決定した基準情報を、図示しない通信装置を利用してUFR装置200に出力する。
【0018】
変更部140は、決定部130により出力された基準情報に基づいて、UFR装置200に既に設定されている基準情報を変更する。変更部140の動作は、UFR装置200の構成を説明した後に説明する。第1の実施形態において、電力系統安定化装置100のうち、取得部110、導出部120、決定部130、及び記憶部150は、中央演算装置に設けられ、変更部140は制御端末装置に設けられている。中央演算装置は、第1装置の一例であり、制御端末装置は、第2装置の一例である。
【0019】
UFR装置200は、例えば、複数の変電所における制御端末装置にそれぞれ設けられる。UFR装置200は、電力系統Eにおける周波数の異常低下度合をそれぞれ独立に検出し、検出した周波数の異常低下度合に応じて負荷400を逐次制御する。UFR装置200は、中央演算装置に設けられてもよいし、一部が中央演算装置に設けられ、他の一部が制御端末装置に設けられてもよい。
【0020】
UFR装置200は、例えば、電圧取込部210と、異常検出部220と、タイマー230と、制御出力部240と、を備える。UFR装置200において、異常検出部220には整定値が設定され、タイマー230には設定時間が設定され、制御出力部240には優先度が設定される。整定値、設定値、及び優先度は、基準情報としてUFR装置200に設定されている。整定値は、電力系統Eに発生する周波数異常を検出する基準となり、電力系統Eにおける系統電圧の周波数に対する整定値である。設定時間は、電力系統Eに発生する周波数異常が継続した時間に対して、遮断器300を制御することの決定の基準となる。優先度は、複数の負荷400をどの順で遮断するかを示す。UFR装置200は、制御装置の一例である。
【0021】
UFR装置200に設定される基準情報は、電力系統安定化装置100の変更部140により出力される基準情報に基づいて変更される。UFR装置200は、設定された基準情報と異なる基準情報が電力系統安定化装置100により出力された場合、基準情報を出力された基準情報に変更して設定する。UFR装置200は、電力系統Eの系統電圧と、設定された基準情報との比較結果に基づいて、遮断器300をオン状態(導通状態)からオフ状態(遮断状態)に制御する。遮断器300がオン状態(導通状態)からオフ状態(遮断状態)に制御されることにより、負荷400は電力系統Eから遮断される。
【0022】
電圧取込部210は、電力系統Eにおける系統電圧を取り込む。電圧取込部210は、取り込んだ系統電圧を異常検出部220に出力する。異常検出部220は、例えば、UFR(周波数低下リレー)である第kUFR220-kを備える。第kUFR220-kには、それぞれ、第k整定値UFkが各UFRにそれぞれ対応付けて設定されている。異常検出部220は、電圧取込部210により出力された系統電圧の周波数を第kUFR220-kの整定値と比較することにより、周波数異常を検出する。
【0023】
第kUFR220-kは、設定された第1整定値UF1と電圧取込部210により出力された系統電圧の周波数を比較し、系統電圧の周波数が第1整定値UF1以下となる場合に、周波数異常を検出する。第1UFR220-1は、周波数異常を検出した場合に、異常信号をタイマー230に出力する。
【0024】
タイマー230は、例えば、第kタイマー230-kを備える。第1タイマー230-1は、例えば、第k設定時間Tkを記憶している。第kタイマー230-kは、第1UFR220-1により異常信号が出力された場合に異常信号が出力された異常発生時間を計測する。第kタイマー230-kは、計測した時間(以下、「計測時間」)が、設定された設定時間を経過したか否かを判定する。
【0025】
設定時間は、複数の負荷400にそれぞれ対応付けて設定され、1つの負荷400に対して1つの設定時間が設定されている。例えば、第1設定時間T1は第1負荷400-1、第2設定時間T2は第2負荷400-2、第n設定時間Tnは第n負荷400-nにそれぞれ対応付けられている。第1設定時間T1は、第2設定時間T2よりも短く、第2設定時間T2は、第n設定時間Tnよりも短い時間に設定されている。この関係を一般化すると、第m設定時間Tmは、第(m+1)設定時間T(m+1)よりも短い時間に設定されている。
【0026】
第kタイマー230-kは、計測時間が第1設定時間T1~第n設定時間Tnのそれぞれを経過した場合、設定時間に対応する負荷400を遮断させる遮断情報を制御出力部240に出力する。例えば、第1タイマー230-1は、計測時間が第1設定時間T1を経過した場合に第1遮断器300-1に遮断指令を出力させる第1遮断情報、計測時間が第n設定時間Tnを経過した場合に第n遮断器300-nに遮断指令を出力させる第n遮断情報を制御出力部240に出力する。
【0027】
第2タイマー230-2における第1設定時間~第n設定時間は、それぞれ第1タイマー230-1における第1設定時間T1~第n設定時間Tnよりも長い時間に設定されている。この関係を一般化すると、第mタイマー230-mにおける第k設定時間は、それぞれ第(m+1)タイマー230-(m+1)における第k設定時間よりも短い時間に設定されている。第kタイマー230-kは、計測時間が第k設定時間のそれぞれを経過した場合、設定時間に対応する負荷400を遮断させる第k遮断情報を制御出力部240に出力する。ここでの各タイマーの設定時間は一例であって、設定時間を他のように設定してもよい。例えば、周波数低下が小さい場合には、比較的長い間隔で遮断してもよいが、周波数低下が大きい場合には、短い間隔で遮断する必要がある。このため、計測時間が他到達する時間が上記の順番とならずに、他の順番となるように各タイマーの設定時間を設定してもよい。
【0028】
制御出力部240は、タイマー230により遮断情報が出力された場合に、遮断情報に応じた遮断指令を遮断器300に出力する。制御出力部240は、第kタイマー230-kのいずれかから第k遮断情報が出力された場合に、遮断情報に応じた遮断指令を遮断器300に出力する。制御出力部240は、複数の負荷400に対してそれぞれ優先度を設定している。制御出力部240は、複数の負荷400を遮断する遮断情報が出力され、遮断する負荷400が複数となる場合には、設定された優先度が高い順に負荷400を遮断させるように遮断器300に遮断指令を出力する。
【0029】
電力系統安定化装置100における変更部140は、決定部130により出力された基準情報をUFR装置200に出力する。UFR装置200は、変更部140により出力された基準情報が異常検出部220及びタイマー230に設定された基準情報と異なる場合に、出力された基準情報を異常検出部220及びタイマー230に設定する。変更部140は、異常検出部220及びタイマー230に設定された基準情報を決定部130により決定された基準情報に変更する。
【0030】
UFR装置200は、電圧取込部210で系統電圧を取り込み、系統電圧の周波数が整定値以下となり周波数異常が発生したことを検出する。UFR装置200は、周波数異常が発生してから経過した時間をタイマー230によって計測する。UFR装置200は、タイマー230によって計測した時間が設定時間を経過した場合に、遮断器300に遮断指令を出力する。
【0031】
遮断器300は、UFR装置200の制御出力部240により出力される遮断指令に基づいて、対応する負荷400を電力系統Eから遮断する。例えば、第1遮断器300-1は、第1負荷400-1を電力系統Eから遮断する。制御出力部240は、タイマー230における1つの設定時間に対して、1つの負荷400を対応させるが、1つの設定時間に対して複数の負荷400を対応させるようにしてもよい。遮断器300は、1つの負荷400に対応して、対応する負荷400を遮断するが、遮断器300は、複数の負荷400の中から制御出力部240の遮断指令に基づく負荷400を選定して遮断するものでもよい。
【0032】
続いて、基準情報の決定手順の例について説明する。決定部130は、以下に説明する複数の基準情報の決定手順のいずれかを実行するものでもよいし、条件に応じて決定手順を変えて実行するものでもよい。決定される基準情報は、以下に説明する複数の基準情報の全てでもよいし、その一部でもよい。
【0033】
まず、第1基準情報及びその決定手順について説明する。
図2は、第1基準情報決定テーブル154♯1の内容及び決定される第1基準情報(設定時間)の例を示す図である。導出部120は、第1基準情報を決定する際の系統状態として、同期機発電比率Ksを用いる。第1基準情報は、同期機発電比率Ksを用いて決定される設定時間である。導出部120は、取得部110により出力される同期機発電量及び系統容量を用いて、下記(1)式により同期機発電比率Ksを算出して導出する。
同期機発電量/系統容量=同期機発電比率Ks ・・・(1)
導出部120は、導出した同期機発電比率Ksを決定部130に出力する。
【0034】
決定部130は、導出部120により同期機発電比率Ksが出力された場合に、記憶部150に予め記憶された第1基準情報決定テーブル154♯1を参照する。第1基準情報決定テーブル154♯1は、第1基準情報として、同期機発電比率Ksに応じた設定時間を表すテーブルである。第1基準情報決定テーブル154♯1に示される設定時間としては、第k設定時間Tkが含まれる。決定部130は、導出部120により出力された同期機発電比率Ksを第1基準情報決定テーブル154♯1に参照して、設定時間として、第k設定時間Tkを決定する。
【0035】
電力系統Eでは、別途定める値以下に周波数が低下した場合に、負荷400の遮断などの措置を講じないと、周波数低下が進行してしまう。この点、電力系統Eにおいては、同期機発電比率Ksが高いほど、周波数低下が進行することに対して周波数を運用値に戻す力が大きくなる。このため、第1基準情報決定テーブル154♯1において、各設定時間は、同期機発電比率Ksが高いほど長く設定されている。
【0036】
決定部130は、例えば、同期機発電比率Ksが50%である場合、同期機発電比率Ksが40(%)を超えて60(%)以下となる範囲の基準情報を第1基準情報として決定する。具体的に、決定部130は、第1設定時間T1を1.2(s)、第2設定時間T2を2.4(s)、…、第n設定時間Tnを3.6(s)に決定する。
【0037】
次に、第2基準情報及びその決定手順について説明する。
図3は、第2基準情報決定テーブル154♯2の内容及び決定される設定時間の例を示す図である。導出部120は、第2基準情報を決定する際の系統状態として、最大発電量脱落比率Kmを用いる。第2基準情報は、最大発電量脱落比率Kmを用いて決定される設定時間である。導出部120は、取得部110により出力される最大単機発電量及び系統容量を用いて、下記(2)式により最大発電量脱落比率Kmを算出して導出する。
最大単機発電量/系統容量=最大発電量脱落比率Km ・・・(2)
導出部120は、導出した最大発電量脱落比率Kmを系統状態として、決定部130に出力する。
【0038】
決定部130は、導出部120により最大発電量脱落比率Kmが出力された場合に、記憶部150に予め記憶された第2基準情報決定テーブル154♯2を参照する。第2基準情報決定テーブル154♯2は、第2基準情報として、最大発電量脱落比率Kmに応じた設定時間を基準情報として表すテーブルである。第2基準情報決定テーブル154♯2に示される設定時間としては、第k設定時間Tkが含まれる。決定部130は、導出部120により出力された最大発電量脱落比率Kmを第2基準情報決定テーブル154♯2に参照して、設定時間として、第k設定時間Tkを決定する。
【0039】
電力系統Eにおいては、最大発電量脱落比率が低いほど、周波数低下が進行することに対して周波数を運用値に戻す力が大きくなる。このため、第2基準情報決定テーブル154♯2において、各設定時間は、最大発電量脱落比率が低いほど長く設定されている。
【0040】
決定部130は、例えば、最大発電量脱落比率Kmが45(%)である場合、最大発電量脱落比率Kmが40を(%)超える範囲の基準情報を第2基準情報として決定する。具体的に、決定部130は、第1設定時間T1を1.2(s)、第2設定時間T2を2.4(s)、・・・、第n設定時間Tnを3.6(s)に決定する。
【0041】
ここでは、取得部110は、系統情報として最大単機発電量を取得するが、取得部110は、最大単機発電量に代えて、電力系統Eにおける同期発電機を備える発電所の中で発電量が最大である発電所の発電量(以下、「最大発電所発電量」)を取得して導出部120に出力してもよい。この場合、記憶部150は、基準情報決定テーブルとして、最大発電所発電量が系統容量に占める割合(以下、「最大発電所発電量占有割合」)に応じた設定時間を基準情報として表す決定テーブルを記憶しておくようにすればよい。導出部120は、取得部110により出力される最大発電所発電量に基づいて、最大発電所発電量占有割合を求めて決定部130に出力し、決定部130は、最大発電所発電量占有割合及び上記の基準情報決定テーブルに基づいて、最大発電所発電量占有割合に応じた基準情報(設定時間)を決定してもよい。
【0042】
次に、第3基準情報及びその決定手順について説明する。
図4は、日時情報に基づく系統状態導出テーブルの内容を示す図、
図5は、第3基準情報決定テーブル154♯3の内容及び決定される設定時間の例を示す図である。導出部120は、取得部110により日時情報が出力された場合に、記憶部150に予め記憶された系統状態導出テーブルを参照する。系統状態導出テーブルは、暦時刻系統状態を表すテーブルであり、電力系統における日時をグループ化している。
【0043】
導出部120は、例えば、日時をグループ化したグループごとに対応付けて暦時刻系統状態を導出する。導出部120は、例えば、暦情報に示される暦が5月または10月である場合は、電力系統Eにおける負荷が各月の中で相対的に軽い「軽負荷期」、それ以外の月である場合は、電力系統Eにおける負荷が各月の中で通常程度または重い「重負荷期」を暦時刻系統状態として導出する。導出部120は、例えば、時刻情報が示す時刻が10時から15時の間は「昼間」、16時から翌日の6時の間までは「夜間」、それ以外の時刻の間は「朝夕」暦時刻系統状態として導出する。導出部120は、導出した暦時刻系統状態を決定部130に出力する。
【0044】
決定部130は、導出部120により暦時刻系統状態が出力された場合に、記憶部150に予め記憶された第3基準情報決定テーブル154♯3を参照する。第3基準情報決定テーブル154♯3は、暦時刻系統状態に応じた設定時間を表すテーブルである。第3基準情報決定テーブル154♯3に示される設定時間は、第k設定時間Tkを含む。第3基準情報は、暦時刻系統状態に基づく設定時間である。
【0045】
電力系統Eにおいては、重負荷期の方が低負荷期よりも周波数低下が進行することに対して周波数を運用値に戻すが大きくなる。さらに、時刻との関係において、夜間は太陽光発電の発電量はなく、昼間や朝夕よりも同期機発電比率Ksが高く、朝夕は昼間よりも同期機発電比率Ksが高い傾向にある。このため、第3基準情報決定テーブル154♯3において、各設定時間は、軽負荷期よりも重負荷期の方が長く設定され、昼間よりも朝夕、朝夕よりも夜間の方が長く設定されている。
【0046】
決定部130は、導出部120により出力された暦時刻系統状態を第3基準情報決定テーブル154♯3に参照して、設定時間として、第k設定時間Tkを決定する。決定部130は、例えば、暦時刻系統状態が示す暦が「軽負荷期」、時刻が「朝夕」である場合、第1設定時間T1を1.6(s)、第2設定時間T2を3.2(s)、・・・、第n設定時間Tnを4.8(s)に決定する。
【0047】
第3基準情報を決定するにあたり、取得部110は、電力系統安定化装置100が備えるカレンダー機能及び時計機能により提供される日時情報を取得してもよい。この場合、第3基準情報を決定するための電力系統安定化装置100は、中央演算装置等から系統情報の提供を受けることなく、単独で基準情報を決定することができる。
【0048】
次に、第4基準情報及びその決定手順について説明する。
図6は、第4基準情報決定テーブル154♯4の内容及び決定される周波数の整定値の例を示す図である。導出部120は、第4基準情報を決定する際の系統状態として、第1基準情報を決定する場合と同様、上記(1)式により算出して導出する同期機発電比率Ksを用いる。第4基準情報は、同期機発電比率Ksを用いて決定される周波数の整定値である。導出部120は、算出した同期機発電比率Ksを決定部130に出力する。
【0049】
決定部130は、導出部120により同期機発電比率Ksが出力された場合に、記憶部150に予め記憶された第4基準情報決定テーブル154♯4を参照する。第4基準情報決定テーブル154♯4は、第4基準情報として、同期機発電比率Ksに応じたUFRの整定値を表すテーブルである。第4基準情報決定テーブル154♯4に示される整定値としては、第k整定値UFkが含まれる。決定部130は、導出部120により出力された同期機発電比率Ksを第4基準情報決定テーブル154♯4に参照して、整定値として、第k整定値UFkを決定する。
【0050】
決定部130は、例えば、同期機発電比率Ksが50(%)である場合、同期機発電比率Ksが40(%)を超えて60(%)以下となる範囲の指標を第1指標として決定する。具体的に、決定部130は、第1整定値UF1を59.0(Hz)、第2整定値UF2を58.7(Hz)、・・・、第n整定値UFnを58.4(Hz)に決定する。
【0051】
ここでは、導出部120は、同期機発電比率Ksを決定部130に出力するが、導出部120は、同期機発電比率Ksに代えて、第2基準情報を決定する場合と同様に最大発電量脱落比率Kmを導出して決定部130に出力してもよい。この場合、記憶部150は、基準情報決定テーブルとして、最大発電量脱落比率Kmに応じたUFRの整定値を基準情報として表すテーブルを記憶しておけばよい。決定部130は、導出部120により出力される最大発電量脱落比率Km及び上記の基準情報決定テーブルに基づいて、異常検出部220に設定する最大発電量脱落比率Kmに応じた整定値を決定してもよい。
【0052】
さらに、導出部120は、周波数の整定値を基準情報としているが、導出部120は、例えば、周波数の整定値に代えてまたは加えて、周波数低下率の整定値(以下、「低下率整定値」を基準情報としてもよい。この場合、取得部110は、例えば、電力系統Eから周波数の変動値を取得する。周波数の変動値は、例えば、UFR装置200に設けられた周波数変化率リレーにより検出されて電力系統Eに提供される。
【0053】
導出部120は、取得部110が取得した周波数の変動値に基づいて周波数低下率を算出して導出するが、例えば、
図6に示す第4基準情報決定テーブル154♯4における周波数の整定値に代えて低下率整定値を記憶する基準情報決定テーブルを記憶しておいてもよい。導出部120は、算出した周波数低下率を、この基準情報決定テーブルに参照して、算出した周波数低下率が低下率整定値以下である場合に、タイマー230に異常信号を出力するようにしてもよい。電力系統Eにおいて、周波数の低下は小さいものの、急激な電力の変動が生じた場合でも負荷400を遮断することにより、電力系統の安定化を図ることができる。
【0054】
次に、第5基準情報及びその決定手順について説明する。
図7は、第5基準情報決定テーブル154♯5の内容及び決定される優先度の例を示す図である。取得部110は、電力系統Eにより出力される各負荷400における消費電力Pをさらに取得する。導出部120は、指標として、第1の実施形態における電力系統Eにおける第1基準情報を決定する場合と同様にして、(1)式によって同期機発電比率を導出する。決定部130は、導出部120が導出した同期機発電比率等に基づいて、基準情報として、負荷400に設定する優先度を決定する。変更部140は、決定部130により決定された各負荷400の優先度に応じて、制御出力部240に設定された各負荷400の優先度を変更する。
【0055】
第5基準情報は、異常検出部220の各段(第kUFR220-kの各段、以下、「UF各段」)が遮断する対象となる負荷400の消費電力の加算値が、UF各段の制御量を超えた場合に、設定された優先度の高い負荷400から順に負荷400を遮断する場合の優先度である。UF各段の制御量とは、各UFR装置における系統容量に対する制御量である。
【0056】
決定部130は、導出部120により同期機発電比率Ksが出力された場合に、記憶部150に予め記憶された第5基準情報決定テーブル154♯5を参照する。第5基準情報決定テーブル154♯5は、第5基準情報として、同期機発電比率Ksに応じたUF各段の制御量を表すテーブルである。
【0057】
決定部130は、例えば、導出部120により出力された同期機発電比率Ksが50%である場合、同期機発電比率Ksが40(%)を超えて60(%)以下となる範囲の基準情報を第5基準情報として決定する。具体的に、決定部130は、UF各段の制御量を5.4(%)に決定する。
【0058】
取得部110は、各負荷400における消費電力Pを取得して系統容量とともに決定部130に出力する。決定部130は、決定したUF各段の制御量、取得部110により出力される各負荷400の消費電力P、及び系統容量に基づいて、UF各段の制御目標量を選択する。決定部130は、UF各段の制御目標量に基づいて、各負荷400の優先度を決定する。ここで決定された各負荷400の優先度が第5基準情報となる。
【0059】
第5基準情報決定テーブル154#5は、各負荷400において、同期機発比率Ksに対応するUF各段の制御量を上回り、かつUF各段の制御量を超える数値が最も小さくなる負荷の組み合わせを記憶する。負荷の組み合わせは、第1負荷400-1~第n付k400-nのそれぞれにおいて選択され、例えば、第1負荷400-1では、第1-1負荷~第1-q負荷(q=1、2、…、n、以下、同じ)の中から選択される。
【0060】
ここで、例えば、同期機発電比率Ksが、Ks>80(%)の場合、UF各段の制御量は5.0(%)となる。このとき、第5基準情報決定テーブル154#5は、UF第1段に対して、各負荷400において選択した5.0(%)の負荷の組み合わせを記憶する。ここでの5.0(%)の負荷の組み合わせは、例えば、5.0(%)を超えて、5.0(%)を超える数値が最も小さい負荷の組み合わせとされる。同様に、第5基準情報決定テーブル154#5は、UF第1~第2段に対して選択した10(%)の組み合わせを記憶し、UF第1~第3段に対して選択した15(%)の組み合わせを記憶する。ここで選択された負荷が遮断の採用対象となる。第1の実施形態では、採用対象となることが採用対象とならないことよりも優先度が高いこととなる。
【0061】
各負荷400に含まれる負荷は、多くても0.5(%)程度である。このため、各負荷400において、UF第1段で選択され負荷の数は、10以上であると考えられる。第5基準情報決定テーブル154#5は、UF第2段に対して選択した、第1段と第2段の合計で10(%)の制御量となる負荷の組み合わせを記憶する。
【0062】
さらに、例えば、同期機発電比率Ksが、(20≧)Ks>0(%)の場合、UF各段の制御量は5.8(%)である。このため、第5基準情報決定テーブル154#5は、UF第1段に対して、各負荷400において選択した5.8(%)の負荷の組み合わせ、UF第1~第2段に対して選択した11.6(%)の負荷の組み合わせ、UF第1段~第3段に対して選択した17.4(%)の負荷の組み合わせを記憶する。
【0063】
第5基準情報決定テーブル154#5は、第2負荷400-2から第n負荷400-nについても同様に、第2負荷400-2から第n負荷400-nごとの負荷の組み合わせを選択して記憶しておく。実施形態において、優先度は、採用対象となるか否かによって定められるが、その他の態様で定められてもよい。優先度は、採用されるか否かのような2段階ではなく、採用される度合いなどで定められてもよい。優先度は、他の態様で決定してもよい。例えば、複数の負荷400の消費電力を加算した場合に、消費電力が最もUF各段の目標制御量に近くなる負荷400の組み合わせの優先度を「1」としてもよい。第5基準情報を決定するにあたり、異常検出部220は、他の基準情報を決定する場合と同様に、例えば、複数の整定値を利用し、タイマー230は、複数の設定時間を利用して遮断器300を制御してもよい。
【0064】
次に、第6基準情報及びその決定手順について説明する。
図8は、第6基準情報決定テーブル154♯6の内容及び決定される設定時間の例を示す図である。導出部120は、電力系統単位の関係に変化が生じた場合に、変化の内容に応じて、変化後の電力系統単位に対応する指標を導出する。例えば、取得部110は、電力系統単位の1つである第1系統と第2系統が分離されたという内容の接続・分離状態情報を取得した場合に、第1系統及び第2系統のそれぞれの系統容量及び最大単機発電量を含む系統情報を取得する。
【0065】
導出部120は、複数の電力系統単位に変化が生じた場合、例えば、複数の電力系統単位同士の接続が切断された場合に、変化の内容に応じた変化後の電力系統単位に対応する指標、例えば複数の電力系統単位ごとの系統状態として、第1系統の最大発電量脱落比率(以下、「第1最大発電量脱落比率」)Km1及び第2系統の最大発電量脱落比率(以下、「第2最大発電量脱落比率」)Km2を算出して導出する。第1最大発電量脱落比率Km1及び第2最大発電量脱落比率Km2は、第6基準情報を決定する際の系統情報である。第6基準情報は、第1最大発電量脱落比率Km1及び第2最大発電量脱落比率Km2を用いて決定される設定時間である。導出部120は、導出した第1最大発電量脱落比率Km1及び第2最大発電量脱落比率Km2を決定部130に出力する。
【0066】
決定部130は、導出部120により第1最大発電量脱落比率Km1及び第2最大発電量脱落比率Km2が出力された場合に、記憶部150に予め記憶された第6基準情報決定テーブル154♯6を参照する。第6基準情報決定テーブル154♯6は、第6基準情報として、第1最大発電量脱落比率Km1及び第2最大発電量脱落比率Km2に応じたタイマー230の設定時間を表すテーブルである。第6基準情報決定テーブル154♯6に示される設定時間としては、第k設定時間Tkが含まれる。決定部130は、導出部120により出力された第1最大発電量脱落比率Km1及び第2最大発電量脱落比率Km2をそれぞれ第6基準情報決定テーブル154♯6に参照して、設定時間として、第1系統及び第2系統のそれぞれにおける第k設定時間Tkを決定する。
【0067】
決定部130は、例えば、第1最大発電量脱落比率Km1が10%である場合、第1最大発電量脱落比率Km1が0(%)を超えて20(%)以下となる範囲の基準情報を第6基準情報の1つとして決定する。具体的に、決定部130は、第1系統の第1設定時間T1を2.0(s)、第2設定時間T2を4.0(s)、・・・、第n設定時間Tnを6.0(s)に決定する。決定部130は、例えば、第2最大発電量脱落比率Km2が45%である場合、第2最大発電量脱落比率Km2が40(%)を超える範囲の基準情報を第6基準情報の1つとして決定する。具体的に、決定部130は、第2系統の第1設定時間T1を1.2(s)、第2設定時間T2を2.4(s)、・・・、第n設定時間Tnを3.6(s)に決定する。決定部130は、第6基準情報として設定時間を決定するが、第6基準情報として周波数又は周波数低下率の整定値を決定してもよい。
【0068】
次に、第7基準情報及びその決定手順について説明する。
図9は、発生事象導出テーブル156及び第7基準情報決定テーブル154♯7の内容を示す図である。記憶部150は、第7基準情報決定テーブル154♯7とともに、発生事象導出テーブル156を記憶している。発生事象導出テーブル156は、電力系統Eに発生した事象(以下、「発生事象」)に対応する発生事象番号を導出するためのテーブルである。
【0069】
取得部110は、潮流条件や遮断器条件などの系統情報を常時取得して導出部120に出力する。続いて、導出部120は、取得部110により出力された系統情報を記憶部150に予め記憶された発生事象導出テーブル156に参照し、発生事象に応じた発生事象番号を導出する。発生事象導出テーブル156は、特定の事象について、発生事象に応じた発生事象番号を記憶する。
【0070】
例えば、「XX発電所の出力停止」には発生事象番号2、「第1系統と第2系統の分離」には発生事象番号3、「第3系統と第4系統の分離」には発生事象番号4、「〇〇連系線分離」には発生事象番号5がそれぞれ対応付けられている。導出部120は、取得部110により出力された系統情報を発生事象導出テーブル156に参照し、系統情報が相当すると判定した発生事象に付された発生事象番号を決定部130に出力する。導出部120は、取得部110により出力された系統情報がこれらの発生事象のいずれにも相当しない場合、及び取得部110により系統情報が出力されない場合には、「特定の事象無し」と判定し、「特定の事象無し」に付された発生事象番号1を決定部130に出力する。発生事象番号は、さらに多くの発生事象に対して対応付けられていてよい。
【0071】
決定部130は、導出部120により発生事象番号が出力された場合に、記憶部150に予め記憶された第7基準情報決定テーブル154♯7を参照する。第7基準情報決定テーブル154♯7は、第7基準情報として、発生事象番号に応じたUFRの整定値を表すテーブルである。第7基準情報決定テーブル154♯7に示される整定値としては、第k整定値UFkが含まれる。
【0072】
記憶部150は、第1系統及び第2系統のそれぞれに対応する第7基準情報決定テーブル154♯7を記憶している。決定部130は、導出部120により出力された発生事象番号を第7基準情報決定テーブル154♯7に参照して、第1系統及び第2系統のそれぞれにおける第k整定値UFkを決定する。
【0073】
決定部130は、例えば、導出部120により発生事象番号3が出力された場合、第1系統の第1整定値UF1を59.0(Hz)、第2整定値UF2を58.5(Hz)、・・・、第n整定値UFnを58.0(Hz)に決定する。決定部130は、例えば、第2系統の第1整定値UF1を59.3(Hz)、第2整定値UF2を59.0(Hz)、・・・、第n整定値UFnを58.7(Hz)に決定する。
【0074】
第1の実施形態の電力系統安定化装置100は、基準情報を決定してUFR装置200に出力する。例えば、UFR装置200では、最も過酷な事象が発生した場合にも周波数維持ができるように基準情報が設定されているが、この場合でも、想定を超える事象が発生した場合には、周波数維持が困難となることがある。その一方で、想定を超えるような事象にまで対応させる基準情報を設定することもできるが、この場合には、過酷である度合が低い事象が生じた場合でも負荷400を遮断してしまう懸念がある。
【0075】
この点、第1の実施形態の電力系統安定化システム1において、電力系統安定化装置100は、系統状態に応じて判定された指標に基づいて、基準情報を決定してUFR装置200に出力する。UFR装置200は、出力された基準情報に基づいて、異常検出部220やタイマー230に設定される整定値や設定時間を変更する。このため、発生した事象の規模によらず、適切に電力系統を制御することができるとともに、過酷である度合が低い事象が生じた場合に負荷400を遮断することを防止できる。
【0076】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
図10は、第2の実施形態の電力系統安定化システム1の構成を示す図である。第2の実施形態の電力系統安定化システム1において、電力系統安定化装置100は、許可部160を更に備える。さらに、UFR装置200は、異常検出部220は、第kUFR220-kのほか、予備UFR(予備周波数低下リレー)220-xを備え、タイマー230は、第kタイマー230-kのほか、予備タイマー230-xを備える。第kUFR220-k及び第kタイマー230-kは、通常時に利用するUFR及びタイマーであり、予備UFR220-x及び予備タイマー230-xは、通常時から非常時に移行されているときに利用するUFR及びタイマーである。
【0077】
電力系統安定化装置100における変更部140は、決定部130により出力される基準情報に基づいて、予備UFR220-xにおける整定値または予備タイマー230-xにおける設定時間を変更する。第2の実施形態の電力系統安定化装置100は、上記の第1基準情報から第7基準情報に含まれる整定値及び設定時間のいずれかまたは両方をUFR装置200に出力する。
【0078】
変更部140は、例えば、整定値を含む基準情報を決定部130により出力された場合には、予備UFR220-xにおける整定値を変更し、設定時間を含む基準情報を出力された場合には、予備タイマー230-xにおける設定時間を変更する。変更部140は、整定値を含む基準情報を出力された場合には、例えば、出力された整定値を予備整定値UFxとして予備UFR220-xに設定する。変更部140は、設定時間を含む基準情報を出力された場合には、出力された設定時間を予備設定時間Txとして予備タイマー230-xに設定する。
【0079】
許可部160は、例えば、予備UFR220-xに設定される予備整定値UFxが第1整定値UF1~第n整定値UFnの最小値よりも小さい場合に、UFR装置200の予備UFR220-x及び予備タイマー230-xに向けて許可情報を出力する。予備UFR220-x及び予備タイマー230-xは、許可部160による許可がある前には作動せず、許可部160による許可があった場合に作動する。
【0080】
予備UFR220-x及び予備タイマー230-xには、予め予備整定値UFx及び予備設定時間Txが設定されていてもよい。この場合、例えば、予備UFR220-xには、第1UFR220-1に設定される第1整定値UF1よりも小さい予備整定値UFxが設定される。予備タイマー230-xに設定される予備設定時間Txは、第1タイマー230-1に設定される第k設定時間Tkよりも短い時間が設定される。決定部130は、第k設定時間Tkに対応させて予備設定時間Txを決定してもよい。第kUFR220-kに設定される第k整定値UFkは、通常整定値の一例であり、第kタイマー230-kに設定される第k設定時間Tkは、通常設定時間の一例である。
【0081】
予備UFR220-xに設定される予備整定値UFx及び予備タイマー230-xに設定される予備設定時間Txは、その他の数値でもよい。例えば、予備UFR220-xに設定される予備整定値UFxは、第kUFR220-kに設定される第k整定値UFkのいずれか1つよりも小さい整定値でもよいし、その全てよりも小さい整定値でもよい。例えば、予備タイマー230-xに設定される予備設定時間Txは、第kタイマー230-kに設定される第k設定時間Tkのいずれか1つよりも短い整定値でもよいし、その全てよりも短い整定値でもよい。
【0082】
第2の実施形態の電力系統安定化装置100は、予備UFR220-x及び予備タイマー230-xに予め予備整定値UFx及び予備設定時間Txを設定しておき、通常時は、許可部160により許可情報を出力せずにロックしておく。許可部160は、予備整定値UFxが、第k整定値UFkの最小値よりも小さい場合や予備設定時間Txが第k設定時間Tkの最短時間よりも短い場合に通常時から非常時に移行したと判定する。許可部160は、非常時となった場合に、予備UFR220-x及び予備タイマー230-xに許可情報を出力する。このため、発生した事象の規模によらず、適切に電力系統を制御することができる。通常時から非常時に移行したか否かは、許可部160により判定しなくてもよく、許可部160は、例えば、通常時から非常時に移行したという移行情報を中央演算装置に別途設けられた判定部等から取得してもよい。
【0083】
第2の実施形態において、許可部160は、電力系統安定化装置100に設けられているが、許可部160は、電力系統安定化装置100以外に設けられていてもよい。
図11は、第2の実施形態の電力系統安定化システム1の他の例の構成を示す図である。
図11に示すように、例えば、UFR装置200に許可部260が設けられていてもよい。
【0084】
上記の各実施形態において、遮断対象は負荷400であるが、遮断対象は、負荷400以外でもよい。例えば、遮断対象は、発電所などに設けられる発電機でもよいし、負荷と発電機の両方でもよい。遮断対象が発電機と負荷などである場合には、遮断対象に応じて発電条件を変えるようにしてもよい。
【0085】
電力系統安定化装置100の決定部130は、上記の各実施形態で説明した基準情報の中から、複数の基準情報を適宜組み合わせて決定してもよい。例えば、決定部130は、第1基準情報と第4基準情報を組み合わせて、異常検出部220における各UFRの整定値とタイマー230の設定時間をそれぞれ決定できるようにしてもよい。
【0086】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、電力系統の状態を示す系統状態に基づく指標を導出する導出部と、前記指標に基づいて、前記電力系統における遮断対象を遮断する遮断器を制御する一以上の制御装置に関連し、前記遮断器を制御するか否かを決定する基準となる基準情報を決定する決定部と、前記制御装置に関して既に設定されている基準情報を、前記決定部により決定された前記基準情報に変更する変更部と、を持つことにより、発生した事象の規模によらず、適切に電力系統を制御することができる。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0088】
1…電力系統安定化システム、100…電力系統安定化装置、110…取得部、120…導出部、130…決定部、140…変更部、150…記憶部、160…許可部、200…UFR装置、210…電圧取込部、220…異常検出部、220-x…予備UFR、230…タイマー、230-x…予備タイマー、240…制御出力部、250…許可部、300…遮断器、400…負荷、E…電力系統