(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】投射用ズームレンズおよび投射装置
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20240617BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20240617BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
G03B21/14 D
(21)【出願番号】P 2020167232
(22)【出願日】2020-10-01
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】514274487
【氏名又は名称】リコーインダストリアルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】本多 章悟
(72)【発明者】
【氏名】臼井 彬寿
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-194619(JP,A)
【文献】特開平06-051203(JP,A)
【文献】特開2007-248840(JP,A)
【文献】特開2015-215399(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0226217(US,A1)
【文献】特開2019-174713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
G03B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡大側から縮小側へ向かって順に、負の屈折力の第1群、正の屈折力の第2群、正の屈折力の第3群、開口絞り、正の屈折力の第4群、正の屈折力の第5群を配してなり、前記縮小側がテレセントリックであり、
前記第1群は
、負の屈折力の第1サブレンズ群、負の屈折力の第2サブレンズ群、
正または負の屈折力の第3サブレンズ群を、前記拡大側から順次に配して構成されて、フォーカシング群を構成し、
前記第2群ないし第5群は、ズーミング群を構成し、
前記フォーカシング群は、無限遠から至近距離への合焦時に、前記第1サブレンズ群ないし第3サブレンズ群の隣接する群間隔が変化してフォーカシングを行い、
前記ズーミング群は、広角端から望遠端への変倍時に、少なくとも前記第2群ないし前記第4群が、独立して前記拡大側へ移動してズーミングを行う、投射用ズームレンズ。
【請求項2】
請求項1記載の投射用ズームレンズであって、
前記ズーミングを行う際に、前記第5群が固定される投射用ズームレンズ。
【請求項3】
請求項1または2記載の投射用ズームレンズであって、
前記フォーカシング群は、無限遠から至近距離への合焦時に、前記第2サブレンズ群が固定され、前記第1サブレンズ群と前記第3サブレンズ群が、前記拡大側へ移動してフォーカシングを行い、前記第1サブレンズ群の屈折力が負であって、
前記第1サブレンズ群の焦点距離:f1a、前記第3サブレンズ群の焦点距離:f1cおよび広角端における全系の焦点距離:fwが、条件式:
(1)-30 < f1a/fw < -5
(2)-30 < f1c/fw < -4
を満足する投射用ズームレンズ。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1項に記載の投射用ズームレンズであって、
前記第5群は正の屈折力のレンズを1枚以上含み、最も縮小側のレンズは正の屈折力を持ち、該最も縮小側のレンズの、焦点距離:f5、レンズ材質のアッベ数:νd5、前記広角端における全系の焦点距離:fwが、条件式:
(3) 0.1 < fw/f5 < 0.3
(4) νd5<26
を満足する投射用ズームレンズ。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1項に記載の投射用ズームレンズであって、
前記第2群は、正の屈折力を持つレンズの他に負の屈折力を持つレンズを1枚以上含み、これら正の屈折力を有するレンズおよび負の屈折力を有するレンズのうち、最も縮小側の正の屈折力を有するレンズの材質のアッベ数:νd2p、最も縮小側の負の屈折力を有するレンズの材質のアッベ数:νd2pが、条件式:
(5) 5 < νd2p-νd2n <15
(6) νd2n < 25
を満足する投射用ズームレンズ。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1項に記載の投射用ズームレンズであって、
前記フォーカシング群のうち、最も拡大側のレンズが両面とも非球面であり、該レンズの拡大側面の近軸曲率半径:L11R1、縮小側面の近軸曲率半径:L11R2が、以下の条件式:
(7)-0.5<(L11R1-L11R2)/(L11R1+L11R2)<-0.1
を満足する投射用ズームレンズ。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1項に記載の投射用ズームレンズであって、
前記フォーカシング群のうち、最も拡大側のレンズが両面とも、近軸領域で拡大側に凹、周辺部で拡大側に凸の非球面形状である投射用ズームレンズ。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか1項に記載の投射用ズームレンズであって、
前記フォーカシング群の焦点距離:fg1、前記ズーミング群の前記第2群の焦点距離:fg2、前記広角端における全系の焦点距離:fwが、以下の条件式:
(8) -2.5 < fg1/fw < -1.5
(9) 5 < fg2/fw < 12
を満足する投射用ズームレンズ。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか1項に記載の投射用ズームレンズであって、
前記第3サブレンズ群は、負レンズを含む複数枚のレンズを有し、
前記第3サブレンズ群の最も縮小側の負の屈折力のレンズの材質のアッベ数:νd1cが条件式:
(10) νd1c > 70
を満足する投射用ズームレンズ。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか1項に記載の投射用ズームレンズであって、
前記第1群の前記第1サブレンズ群および前記第2サブレンズ群が共に、1枚の負の屈折力のレンズで構成され、前記第3サブレンズ群が、拡大側から負、負、正の屈折力の3枚のレンズを配して構成されている投射用ズームレンズ。
【請求項11】
請求項1記載の投射用ズームレンズであって、
前記第1群の前記第1サブレンズ群が1枚の負の屈折力のレンズで構成され、前記第2サブレンズ群が2枚の負の屈折力のレンズで構成され、第3サブレンズ群が、拡大側から
順に、負の屈折力のレンズと正の屈折力のレンズとを配して構成されている投射用ズームレンズ。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れか1項に記載の投射用ズームレンズであって、
前記第5群が正の屈折力のレンズ1枚で構成されている投射用ズームレンズ。
【請求項13】
請求項1ないし12の何れか1項に記載の投射用ズームレンズを用いた投射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は投射用ズームレンズおよび投射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子やDMD等の「画像表示素子」の画像表示面に表示された小さい原画像をスクリーン等の被投射面上に拡大投射する投射装置はプロジェクタ等として広く知られている。
「投射用ズームレンズ」を搭載したプロジェクタは、被投射面との距離に煩わされることなく投射画像のサイズを変更でき、使い易すいため、広く普及している。
投射用ズームレンズの「縮小側」は画像表示素子の側であり、「拡大側」は被投射面の側である。
【0003】
投射用ズームレンズは、従来から種々のタイプのものが知られている。
なかでも、最も拡大側に「負の屈折力のレンズ群」を配した「ネガティブリード」型のものは、広画角や、縮小側のテレセントリック性、長いバックフォーカス等、投射用ズームレンズに適した光学的特性を実現し易く、広く知られている(特許文献1~4等)。
【0004】
投射距離の変化に応じて、投射画像を被投射面に合焦させるフォーカシング機構も種々知られている。
ネガティブリード型の投射用ズームレンズのフォーカシング機構として、拡大側の「負の屈折力のレンズ群」や、このレンズ群内のレンズを光軸方向へ変位させてフォーカシングを行うものが知られている。
例えば、特許文献1~4に開示されたものでも、そのようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、ネガティブリード型で、拡大側の負の屈折力を持つレンズ群にフォーカシング機能を持たせた、新規な投射用ズームレンズの実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の投射用ズームレンズは、拡大側から縮小側へ向かって順に、負の屈折力の第1群、正の屈折力の第2群、正の屈折力の第3群、開口絞り、正の屈折力の第4群、正の屈折力の第5群を配してなり、縮小側がテレセントリックであり、前記第1群は、負の屈折力の第1サブレンズ群、負の屈折力の第2サブレンズ群、正または負の屈折力の第3サブレンズ群を、拡大側から順次に配して構成されて、フォーカシング群を構成し、前記第2群ないし第5群は、ズーミング群を構成し、前記フォーカシング群は、無限遠から至近距離への合焦時に、前記第1サブレンズ群ないし第3サブレンズ群の隣接する群間隔が変化してフォーカシングを行い、前記ズーミング群は、広角端から望遠端への変倍時に、少なくとも前記第2群ないし前記第4群が、独立して拡大側へ移動してズーミングを行う。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、ネガティブリード型で、拡大側の負の屈折力を持つレンズ群にフォーカシング機能を持たせた、新規な投射用ズームレンズを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1の投射用ズームレンズの広角端および望遠端におけるレンズ配置を示す図である。
【
図2】実施例2の投射用ズームレンズの広角端および望遠端におけるレンズ配置を示す図である。
【
図3】実施例3の投射用ズームレンズの広角端および望遠端におけるレンズ配置を示す図である。
【
図4】実施例4の投射用ズームレンズの広角端および望遠端におけるレンズ配置を示す図である。
【
図5】実施例5の投射用ズームレンズの広角端および望遠端におけるレンズ配置を示す図である。
【
図6】実施例6の投射用ズームレンズの広角端および望遠端におけるレンズ配置を示す図である。
【
図7】実施例7の投射用ズームレンズの広角端および望遠端におけるレンズ配置を示す図である。
【
図8】実施例1の投射用ズームレンズのデータを示す図である。
【
図9】実施例1の投射用ズームレンズにおける非球面データを示す図である。
【
図10】実施例1の投射用ズームレンズの光学データを示す図である。
【
図11】実施例1の投射用ズームレンズの各群の焦点距離を示す図である。
【
図12】実施例1の投射用ズームレンズの広角端・中間焦点距離・望遠端における可変間隔を示す図(a)およびフォーカシングにおける近距離・中距離・遠距離における可変間隔を示す図(b)である。
【
図13】実施例1の投射用ズームレンズのズーミングにおける広角端および望遠端における群間隔を示す図(a)およびフォーカシングにおける近距離及び遠距離におけるフォーカシング群および第2群の群間隔変化を示す図(b)である。
【
図14】実施例1の投射用ズームレンズにおける条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図15】実施例1の投射用ズームレンズの収差図である。
【
図16】実施例2の投射用ズームレンズのデータを示す図である。
【
図17】実施例2の投射用ズームレンズにおける非球面データを示す図である。
【
図18】実施例2の投射用ズームレンズの光学データを示す図である。
【
図19】実施例2の投射用ズームレンズの各群の焦点距離を示す図である。
【
図20】実施例2の投射用ズームレンズの広角端・中間焦点距離・望遠端における可変間隔を示す図(a)およびフォーカシングにおける近距離・中距離・遠距離における可変間隔を示す図(b)である。
【
図21】実施例2の投射用ズームレンズのズーミングにおける広角端および望遠端における群間隔を示す図(a)およびフォーカシングにおける近距離及び遠距離におけるフォーカシング群および第2群の群間隔変化を示す図(b)である。
【
図22】実施例2の投射用ズームレンズにおける条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図23】実施例2の投射用ズームレンズの収差図である。
【
図24】実施例3の投射用ズームレンズのデータを示す図である。
【
図25】実施例3の投射用ズームレンズにおける非球面データを示す図である。
【
図26】実施例3の投射用ズームレンズの光学データを示す図である。
【
図27】実施例3の投射用ズームレンズの各群の焦点距離を示す図である。
【
図28】実施例3の投射用ズームレンズの広角端・中間焦点距離・望遠端における可変間隔を示す図(a)およびフォーカシングにおける近距離・中距離・遠距離における可変間隔を示す図(b)である。
【
図29】実施例3の投射用ズームレンズのズーミングにおける広角端および望遠端における群間隔を示す図(a)およびフォーカシングにおける近距離及び遠距離におけるフォーカシング群および第2群の群間隔変化を示す図(b)である。
【
図30】実施例3の投射用ズームレンズにおける条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図31】実施例3の投射用ズームレンズの収差図である。
【
図32】実施例4の投射用ズームレンズのデータを示す図である。
【
図33】実施例4の投射用ズームレンズにおける非球面データを示す図である。
【
図34】実施例4の投射用ズームレンズの光学データを示す図である。
【
図35】実施例4の投射用ズームレンズの各群の焦点距離を示す図である。
【
図36】実施例4の投射用ズームレンズの広角端・中間焦点距離・望遠端における可変間隔を示す図(a)およびフォーカシングにおける近距離・中距離・遠距離における可変間隔を示す図(b)である。
【
図37】実施例4の投射用ズームレンズのズーミングにおける広角端および望遠端における群間隔を示す図(a)およびフォーカシングにおける近距離及び遠距離におけるフォーカシング群および第2群の群間隔変化を示す図(b)である。
【
図38】実施例4の投射用ズームレンズにおける条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図39】実施例4の投射用ズームレンズの収差図である。
【
図40】実施例5の投射用ズームレンズのデータを示す図である。
【
図41】実施例5の投射用ズームレンズにおける非球面データを示す図である。
【
図42】実施例5の投射用ズームレンズの光学データを示す図である。
【
図43】実施例5の投射用ズームレンズの各群の焦点距離を示す図である。
【
図44】実施例5の投射用ズームレンズの広角端・中間焦点距離・望遠端における可変間隔を示す図(a)およびフォーカシングにおける近距離・中距離・遠距離における可変間隔を示す図(b)である。
【
図45】実施例5の投射用ズームレンズのズーミングにおける広角端および望遠端における群間隔を示す図(a)およびフォーカシングにおける近距離及び遠距離におけるフォーカシング群および第2群の群間隔変化を示す図(b)である。
【
図46】実施例5の投射用ズームレンズにおける条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図47】実施例5の投射用ズームレンズの収差図である。
【
図48】実施例6の投射用ズームレンズのデータを示す図である。
【
図49】実施例6の投射用ズームレンズにおける非球面データを示す図である。
【
図50】実施例6の投射用ズームレンズの光学データを示す図である。
【
図51】実施例6の投射用ズームレンズの各群の焦点距離を示す図である。
【
図52】実施例6の投射用ズームレンズの広角端・中間焦点距離・望遠端における可変間隔を示す図(a)およびフォーカシングにおける近距離・中距離・遠距離における可変間隔を示す図(b)である。
【
図53】実施例6の投射用ズームレンズのズーミングにおける広角端および望遠端における群間隔を示す図(a)およびフォーカシングにおける近距離及び遠距離におけるフォーカシング群および第2群の群間隔変化を示す図(b)である。
【
図54】実施例6の投射用ズームレンズにおける条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図55】実施例6の投射用ズームレンズの収差図である。
【
図56】実施例7の投射用ズームレンズのデータを示す図である。
【
図57】実施例7の投射用ズームレンズにおける非球面データを示す図である。
【
図58】実施例7の投射用ズームレンズの光学データを示す図である。
【
図59】実施例7の投射用ズームレンズの各群の焦点距離を示す図である。
【
図60】実施例7の投射用ズームレンズの広角端・中間焦点距離・望遠端における可変間隔を示す図(a)およびフォーカシングにおける近距離・中距離・遠距離における可変間隔を示す図(b)である。
【
図61】実施例7の投射用ズームレンズのズーミングにおける広角端および望遠端における群間隔を示す図(a)およびフォーカシングにおける近距離及び遠距離におけるフォーカシング群および第2群の群間隔変化を示す図(b)である。
【
図62】実施例7の投射用ズームレンズにおける条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図63】実施例7の投射用ズームレンズの収差図である。
【
図64】投射装置の実施の1形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態に即して説明する。
【0010】
図1ないし
図7に、この発明の投射用ズームレンズの実施の形態を7例示す。
これらの図において、図の左方が「拡大側」であり、右方が「縮小側」である。
図の上部の図は、広角端におけるレンズ配置を示し、下部の図は、望遠端におけるレンズ配置を示す。
【0011】
繁雑を避けるため、
図1ないし
図7において、混同の恐れが無いと思われるものについて符号を共通化する。
即ち、符号iG(i=1~5)で「第i群」を示し、符号Sで「開口絞り」を表す。また、符号PRで「色合成プリズム」を示す。符号1aで「第1サブレンズ群」、符号1bで「第2サブレンズ群」、符号1cで「第3サブレンズ群」を示す。
【0012】
即ち、
図1ないし
図7に実施の形態を示す投射用ズームレンズは、拡大側から縮小側へ向かって順に、第1群1G、第2群2G、第3群3G、開口絞りS、第4群4G、第5群5Gを配してなる。
第1群G1は、第1サブレンズ群1a、第2サブレンズ群1b、第3サブレンズ群1cを、拡大側から縮小側に向かって順次に配して構成されている。
第1群1Gは「負の屈折力」を有し、第2群2Gないし第5群5Gは何れも「正の屈折力」を有する。 即ち、投射用ズームレンズは、
図1ないし
図7に示す実施の形態のように「ネガティブリード型」である。
第1サブレンズ群1aは「
負の屈折力」を有し、第2サブレンズ群1b
は「負の屈折力」を有し、第3サブレンズ群1cは「正または負の屈折力」を有する。以下において「屈折力」については「正」または「負」で表すこととする。
即ち、以下において、例えば「負の屈折力の第1群G1」は単に「負の第1群G1」と称し、
「負または正の屈折力の第3サブレンズ群1c」は単に「負または正の第3サブレンズ群1c」と称する。
投射用ズームレンズは「縮小側がテレセントリック」である。
第1サブレンズ群1a、第2サブレンズ群1bおよび第3サブレンズ群1cで構成される第1群1Gは「フォーカシング群」を構成する。
フォーカシング群は「無限遠から至近距離への合焦時」に、第1サブレンズ群1aないし第3サブレンズ群1cの「隣接する群間隔」が変化してフォーカシングを行う。
第2群2Gないし第5群5Gは「ズーミング群」を構成する。 そして、広角端から望遠端への変倍時に、少なくとも第2群2Gないし第4群4Gが、独立して拡大側へ移動してズーミングを行う。
【0013】
このように、この発明の投射用ズームレンズは、拡大側に「負の第1群1G」を有し、縮小側は「正の第2群2Gないし第5群5G」で構成される「ネガティブリード」型であり、縮小側はテレセントリックである。
この構成を生かして、広画角、長いバックフォーカス等、投射用ズームレンズに適した性能を容易に実現できる。
【0014】
「フォーカシング群」は、3つのサブレンズ群1aないし1cで構成され、これら3つのサブレンズ群の「隣接する群間隔の変化」によりフォーカシングを行うことにより、近距離、中距離、遠距離とも、良好なフォーカシング性能を実現できる。
また、「ズーミング群」を、正の「第2群2Gないし第5群5G」で構成し、少なくとも第2群2Gないし第4群4Gが、独立して拡大側へ移動して「広角端から望遠端への変倍」を行うことにより、ズーム全域で良好な光学性能を実現できる。
第5群5Gは、ズーミングに際して移動するようにすることもできるし、固定群として定位置に固定することもできる。
【0015】
図1ないし
図7において、上部の図と下部の図の間に描かれた矢印は、広角端から望遠端へのズーミングの際の第1群G1ないし第5群5Gの移動の様子を示す。
図1ないし
図7の示す実施の形態においては、ズーミングに際して、第1群G1および第5群5Gは移動しない。即ち、第1群G1と第5群5Gは「固定群」である。
第2群G2、第3群G3、第4群G4は、広角端から望遠端にズーミングするに連れて拡大側へ移動し、これら第2群G2ないし第4群G4の「相互の群間隔」が変化する。
図1ないし
図7に示す例では、広角端から望遠端にズーミングに際して、第2群G2と第3群G3との群間隔は縮小し、第3群G3と第4群G4との群間隔は拡大する。
広角端から望遠端にズーミングに際して、第2群G2ないし第4群G4は何れも「拡大側へ移動する」ので、第1群G1と第2群G2の群間隔は縮小し、第4群G4と第5群5Gの群間隔は拡大する。
最も縮小側に配置される第5群5Gを「ズーミングに際して固定」することにより、変倍時のテレセントリック性(主光線角度)の変動を有効に抑制できる。
【0016】
前述の通り、フォーカシングは、フォーカシング群をなす第1サブレンズ群1aないし第3サブレンズ群1cの「隣接する群間隔」を変化させることにより行われる。
この場合、第1サブレンズ群1aの屈折力を負とするとともに、第2サブレンズ群1bを固定し、第1サブレンズ群1aと第3サブレンズ群1cとを拡大側へ移動させて、無限遠(遠距離)から至近距離(近距離)への合焦を行うようにすることができる。
上記のようにフォーカシングを行う場合、第1サブレンズ群1aの焦点距離:f1a(<0)、第3サブレンズ群1cの焦点距離:f1c(<0)および、広角端における全系の焦点距離:fwが、以下の条件式を満足することが好ましい。
(1)-30 < f1a/fw < -5
(2)-30 < f1c/fw < -4
負の第2サブレンズ群1bを固定し、第1サブレンズ群1a、第3サブレンズ群1cを移動させるようにすると、第1サブレンズ群1aと第3サブレンズ群1cに「別の役割」を付与することができる。従って、これら第1、第3サブレンズ群を独立した調整機構として用いることにより機能性・利便性を向上できる。
【0017】
第1サブレンズ群1aを移動させることには「主に周辺部の像面湾曲補正」に効果があり、第3サブレンズ群1cを移動させることには「中心から周辺部までのデフォーカス調整」に効果がある。
条件式(1)の上限を超えると第1サブレンズ群1aの負のパワーが過大となり、中心部のフォーカス感度が高くなり、周辺部の像面湾曲の補正の際に、中心部のフォーカスが変化し易い。
条件式(1)の下限を超えると、第1サブレンズ群1aの負のパワーが過小となり、低像高ないし中間像高の収差補正に不利となり易い。
【0018】
条件式(2)は、第3サブレンズ群1cの屈折力が負である場合を前提とする条件である。
条件式(2)の上限を超えると、第3サブレンズ群1cの負のパワーが過大となり、フォーカシングに伴う収差変化が大きくなり易い。
条件式(2)の下限を超えると、第3サブレンズ群1cの負のパワーが過少になって、「フォーカシングの際の第3サブレンズ群1cの移動量が大きく」なり、投射用ズームレンズの全長が過大となり易い。
【0019】
第5群5Gは「正のレンズを1枚以上含む複数枚のレンズ」で構成できる。
第5群5Gの最も縮小側のレンズを正レンズとし、この正レンズの焦点距離:f5、レンズ材質のアッベ数:νd5、広角端における全系の焦点距離:fwが、以下の条件式を満足するようにするのが好ましい。
(3) 0.1 < fw/f5 < 0.3
(4) νd5 < 26
条件式(3)、(4)を満足することにより、コマ収差と色収差の補正の両立が可能である。
【0020】
条件式(3)の上限を超えると、前記「最も縮小側の正レンズ」の屈折力に対して相対的に全系の屈折力が弱くなり、縮小側のテレセントリック性の実現が難しくなり易く、また、レンズ全長が過大となり易い。
条件式(3)の下限を超えると、前記「最も縮小側の正レンズ」の屈折力に対して相対的に全系の屈折力が過大となり、コマ収差を始めとした諸収差が補正過剰になり易い。
条件式(4)の上限を超えると、色収差の良好な補正が困難になり易い。
【0021】
ズーミング群に含まれる第2群2Gは「正の屈折力」を持つが、正レンズの他に「負レンズを1枚以上」含むことができる。
このように、第2群2Gが「正レンズと1枚以上の負レンズ」により構成される場合、以下の条件式を満足するようにすることが好ましい。
(5)5 < νd2p-νd2n <15
(6)νd2n < 25
条件式(5)、(6)において「νd2p」は、第2群2Gに含まれる正・負レンズのうち「最も縮小側の正レンズの材質のd線に対するアッベ数」である。また「νd2n」は「最も縮小側の負レンズの材質のd線に対するアッベ数」である。
【0022】
条件式(5)は、第2群2Gの「最も縮小側の負レンズと最も縮小側の正レンズの、d線に対するアッベ数の差」を規制するものである。
前記負レンズが「より高分散」であることになり、「前記負レンズと前記正レンズとのアッベ数の差」を適切にすることで、良好な色収差補正効果を得ることができる。
条件式(5)の下限を超えると「正・負の2つのレンズ」のアッベ数の差が過小となり、色収差補正効果が不足し易い。条件式(5)の上限を超えると前記アッベ数差が過大となり色収差の過剰補正を招来し易い。
【0023】
第1サブレンズ群1aないし第3サブレンズ群1cで構成されるフォーカシング群(第1群1G)のうち、最も拡大側のレンズ(第1サブレンズ群1aの最も拡大側のレンズ)は両面をとも非球面とし、且つ、以下の条件式を満足することが好ましい。
(7)-0.5<(L11R1-L11R2)/(L11R1+L11R2)<-0.1
条件式(7)における「L11R1」は、第1サブレンズ群1aの最も拡大側の両面非球面レンズの拡大側面の近軸曲率半径であり、「L11R2」は、縮小側面の近軸曲率半径である。
条件式(7)を満足させることによって、歪曲収差とコマ収差のより良好な補正が可能になる。
条件式(7)の上限を超えると、歪曲収差の補正効果が小さくなり、下限を超えるとコマ収差の補正効果が小さくなる。
また、第1サブレンズ群1aないし第3サブレンズ群1cで構成されるフォーカシング群のうち、最も拡大側のレンズは「両面とも、近軸領域で拡大側に凹、周辺部で拡大側に凸の非球面形状」であることが好ましい。
コマ収差と像面湾曲の補正のためには、最も拡大側のレンズの周辺部の形状を拡大側に凸の形状とし、周辺光線を光軸側へ曲げるのが良い。その一方で、中心部で拡大側に凹の形状とすることで、周辺部のパワーを維持しつつ、周辺部の面角度が大きくなりすぎることを抑制し、レンズ面の成形性を向上させることができる。なお、両面とも、最周辺では「再び拡大側に凹」となっても良い。
【0024】
フォーカシング群(第1群1G)の焦点距離:fg1、ズーミング群における第2群2Gの焦点距離:fg2、広角端における全系の焦点距離:fwは、以下の条件式を満足することが好ましい。
【0025】
(8) -2.5 < fg1/fw < -1.5
(9) 5 < fg2/fw < 12
焦点距離:fg1は勿論「無限遠に合焦したときの焦点距離」である。
これらの条件式(8)、(9)を満足することにより、投射用ズームレンズのバックフォーカスを長く確保しつつレンズ系の小型化を達成できる。
条件式(8)のパラメータが大きく(小さく)なると、第1群1Gの負の屈折力が増大(減少)し、条件式(8)の上限を超えると、収差が過剰補正になり易い。また、下限を超えると、長いバックフォーカスの確保が難しくなる。
条件式(9)のパラメータが大きく(小さく)なると、ズーミング群(2G~5G)の屈折力が減少(増大)し、条件式(9)の上限を超えると、正の屈折力の減少に伴い変倍時におけるズーミング群の移動量が増大してレンズ全長が長くなり易い。
条件式(9)の下限を超えると、正の屈折力が過大となって収差の過剰補正を招来し易い。
【0026】
第3サブレンズ群1cは「負レンズを含む複数枚のレンズ」を有することができる。この場合「最も縮小側の負レンズの材質のアッベ数:νd1c」が以下の条件式を満足することが好ましい。
(10) νd1c > 70
フォーカシングの際に移動する「最も縮小側の負レンズ」を「条件式(10)を満足する低分散ガラス」とすることにより、フォーカシング範囲全域で色収差を良好に補正できる。
【0027】
図1ないし
図6に示す実施の形態は、フォーカシング群を構成する第1サブレンズ群1a、第2サブレンズ群1b、第3サブレンズ群1cの好ましい構成を示している。
即ち、
図1ないし
図6に示す実施の形態のように、第1サブレンズ群1aおよび第2サブレンズ群1bを共に「1枚の負レンズ」で構成し、第3サブレンズ群1cを「拡大側から負、負、正の3枚のレンズを配した構成」とすることができる。
【0028】
または、
図7に示す実施の形態のように、第1群1Gの第1サブレンズ群1aを1枚の負レンズで構成し、第2サブレンズ群1bを2枚の負レンズで構成し、第3サブレンズ群1cを、拡大側から順に、負レンズと正レンズとを配した2枚構成とすることもできる。
【0029】
後述する実施例1と実施例7において、第1サブレンズ群1aは同一のレンズである。実施例1と実施例7とでは、第2サブレンズ群1b、第3サブレンズ群1cのレンズ構成が異なり、第2群G2ないし第5群5Gの各レンズも異なっている。
このように、第1サブレンズ群1aを共通化しつつ、「第2サブレンズ群以下の構成」を異ならせることにより、焦点距離の異なる2種類以上の投射用ズームレンズを実現可能である。
即ち、2種以上の投射用ズームレンズを開発するにあたり、第1サブレンズ群1aを共通化することにより、開発の初期投資費用を抑えることが可能となる。
第5群5Gは前述の如く、正の屈折力のレンズを1枚以上含む複数枚のレンズで構成することができるが、「正レンズ1枚のみ」で構成することもできる。
【0030】
上に説明した如き投射用ズームレンズを用いることにより、被投射面との距離に煩わされることなく、投射画像のサイズを変更できる新規な投射装置を構成できる。
【0031】
「実施例」
以下、投射用ズームレンズの具体的な実施例を7例挙げる。
以下に挙げる実施例1ないし実施例7はこの順に、
図1ないし
図7に示した実施の形態を具体化した例である。
【0032】
「実施例1」
実施例1は
図1に示した例であり、その構成は上に説明した通りである。
実施例1のデータを
図8に示す。
図8において、左欄における「面番号」は、拡大側の被投射面から縮小側の画像表示面までの、絞りを含む面の番号を表している。面番号:0は「被投射面」であり、面番号最下の「IMG」は「画像表示面」である。面番号:40および41は「色合成プリズムPRのプリズム面」である。
【0033】
投射用ズームレンズの「ズーミングに伴う面間隔変化」と「フォーカシングに伴う面間隔変化」を見易くするため、「仮想的な平面」を設定している。即ち、
図8における面番号における面番号:1、面番号:14が仮想的な平面である。
このように、仮想的な平面を含む面番号:0~面番号:IMGにおける面間隔を図の如く面間隔:d(d0~dIMG)とする。
なお、全実施例を通じて「長さの次元を持つ量の単位」は、特に断らない限り「mm」である。
【0034】
図8において、「R」の欄は「仮想的な平面及び絞りの面」を含む各面番号の面の曲率半径(非球面にあっては「近軸曲率半径」)を示す。また、「Nd、νd」は、レンズの材質の「d線に対する屈折率及びアッベ数」である。
【0035】
また、面番号において「*印をつけた面」は非球面である。
以下の実施例において、非球面は周知の次式で表す。
Z=(h2/R)/[1+√(1―(1+k)(h/R)2]+ΣAi・hi(i=1~20)
この式において、「Z」は非球面量、「R」は近軸曲率半径、「h」は非球面における光軸からの距離であり、「K」は円錐定数、「Ai(i=1~20)」は1~20次の非球面係数である。
【0036】
「非球面データ」
図9に、実施例1の投射用ズームレンズの非球面のデータを示す。
図9に示す非球面データにおいて、例えば、「2.320884E-02」は「2.320884E-02×10
-2」を意味する。以下の他の実施例においても同様である。
【0037】
図10に、実施例1の投射用ズームレンズの、広角端(Wide)、中間焦点距離(Middle)、望遠端(Tele)における「光学データ」を示す。
「光学データ」は、焦点距離:f、画角:ω(度)、最大物体高:Ymax、Fナンバ:Fno、全長:TL、および空気換算されたバックフォーカス:BF(in air)である。
【0038】
図11には、実施例1における各群の焦点距離を示す。この図においては「f」は群ごとの焦点距離であり、第1群1Gないし第5群5GをG1ないしG5で示す。また、G1a、G1b、G1cはそれぞれ、第1サブレンズ群1a、第2サブレンズ群1b、第3サブレンズ群1cを意味する。「始面」は、これらの群の最も拡大側の面番号である。
【0039】
図12(a)に、ズーミングに伴う面間隔の変化を、広角端(Wide)、中間焦点距離(Middle)、望遠端(Tele)について示す。
ズーミングは、第2群G2ないし第4群G4が移動することにより行われるので、面間隔:15、20、23、39が変化する。
図12(b)に、フォーカシングに伴う面間隔の変化を、近距離、中距離、遠距離について示す。
「近距離」は、広角端の群配置において、近距離にフォーカシングしたときのフォーカス群のレンズ配置である。「遠距離」は、望遠端の群配置において、無限遠にフォーカシングしたときのレンズ配置である。
「中距離」は、中間焦点距離の状態におけるフォーカス群のレンズ配置である。この配置は「基準的な配置」であって、フォーカス群の各サブレンズ群は前述の「仮想的な平面(実施例1において面番号:1、14)は変位しない。
【0040】
フォーカシングは、第1群1Gの第1サブレンズ群1a、第2サブレンズ群1b、第3サブレンズ群1cの間隔が変化するので、面間隔:d0、d1、d4、d7、d14が変化する。
フォーカシングにおける「中距離」は、フォーカシング動作を行わない「フォーカシングの基準状態」であり、この状態においては、面間隔:d1、d4、d7、d14は何れも0である。また、このとき、面間隔:d0の値は、
図12(a)におけるd0と同一である。
【0041】
「近距離」では、投射用ズームレンズは、広角端の群配置であり、d0=59mmとなり、第1サブレンズ群1aが拡大側へ移動して、d1=-0.0317mmとなる。この値は、面間隔:d4の増加量:+0.0317mmに等しい。
同様に、第3サブレンズ群1cが拡大側へ移動して、面間隔:d7がd7=-0.0709mmとなり、この値は、面間隔:d14の増加量:+0.0709mmに等しい。
【0042】
「遠距離」では、投射用ズームレンズは望遠端の群配置となっており、被投射面(面番号:0)と仮想的な面(面番号:1)の面間隔:d0はd0=595mmに拡大し、第1サブレンズ群1aは縮小側へ移動してd1=0.0183mmとなる。この値は、面間隔:d4の減少量:―0.0183に等しい。
同様に、第3サブレンズ群1cが縮小側へ移動して、面間隔:d7がd7=+0.0339mmとなる。この値は、面番号:14の仮想的な面に対応する面間隔:d14の減少量:-0.00339mmに等しい。
【0043】
図13(a)に、ズーミングに伴う、第1群1G、第2群2G、第3群3G、第4群4G、第5群5Gの「隣接群間の間隔」を「広角端と望遠端」について示す。
また、
図13(b)には、フォーカシングに伴う、第1サブレンズ群1a、第2サブレンズ群1b、第3サブレンズ群1cの間隔変化および第3サブレンズ群1cと第2群2Gの間隔変化を「近距離および遠距離」につき示す。
【0044】
図14には、実施例1の投射用ズームレンズに関する条件式(1)ないし条件式(10)の各パラメータの値を示す。実施例1の投射用ズームレンズは、条件式(1)ないし条件式(10)を満足する。
図15に、実施例1の投射用ズームレンズの収差図を示す。
図15(a)は広角端における収差図、(b)は望遠端における収差図である。
非点収差の図における実線はサジタル光線、破線はメリディオナル光線を示す。
各収差図に示すように、実施例1は良好な性能を有している。
【0045】
「実施例2」
実施例2は
図2に示した例であり、構成は上に説明した通りである。
実施例2のデータを、実施例1のデータを示す
図8に倣って
図16に示す。
図16において、面番号:0は「被投射面」であり、面番号最下の「IMG」は「画像表示面」である。
図16においても、投射用ズームレンズの「ズーミングに伴う面間隔変化」と「フォーカシングに伴う面間隔変化」を見易くするため、仮想的な平面(面番号:1、14)を設定している。
仮想的な平面を含む面番号:0~面番号:IMGにおける面間隔を図の如く面間隔:d(d0~dIMG)とする。面番号:40および41は「色合成プリズムPRのプリズム面」である。
【0046】
「非球面データ」
図17に、実施例2の投射用ズームレンズの非球面のデータを示す。
【0047】
図18に、実施例2の投射用ズームレンズの、広角端(Wide)、中間焦点距離(Middle)、望遠端(Tele)における「光学データ」を
図10に倣って示す。
図19に、実施例2における各群の焦点距離を
図11に倣って示す。
【0048】
図20(a)に、ズーミングに伴う面間隔の変化を、広角端(Wide)、中間焦点距離(Middle)、望遠端(Tele)について示す。
図20(b)に、フォーカシングに伴う面間隔の変化を、近距離、中距離、遠距離について示す。
図21(a)に、ズーミングに伴う、第1群1G、第2群2G、第3群3G、第4群4G、第5群5Gの隣接群間の間隔を「広角端と望遠端」について示す。
図21(b)には、フォーカシングに伴う、第1サブレンズ群1a、第2サブレンズ群1b、第3レンズ群1cの間隔変化および第3サブレンズ群1cと第2群2Gの間隔変化を「近距離および遠距離」につき、
図13に倣って示す。
【0049】
図22には、実施例2の投射用ズームレンズに関する条件式(1)ないし条件式(10)の各パラメータの値を示す。実施例2の投射用ズームレンズは、条件式(1)ないし条件式(10)を満足する。
図23に、実施例2の投射用ズームレンズの収差図を
図15に倣って示す。
【0050】
各収差図に示すように、実施例2は良好な性能を有している。
【0051】
「実施例3」
実施例3は
図3に示した例であり、構成は上に説明した通りである。
実施例3のデータを、
図8に倣って
図24に示す。
図24においても、面番号:0は「被投射面」であり、面番号最下の「IMG」は「画像表示面」である。
実施例1、2と同様、実施例3においても、仮想的な平面(面番号:1、15)を設定している。
仮想的な平面を含む面番号:0~面番号:IMGにおける面間隔を図の如く面間隔:d(d0~dIMG)とする。面番号:42および43は「色合成プリズムPRのプリズム面」である。また、面番号:44、45は画像表示素子の画像表示面に設けられたカバーガラスの面である。
【0052】
「非球面データ」
図25に、実施例3の投射用ズームレンズの非球面のデータを示す。
【0053】
図26に、実施例3の投射用ズームレンズの、広角端(Wide)、中間焦点距離(Middle)、望遠端(Tele)における「光学データ」を
図10に倣って示す。
図27に、実施例3における各群の焦点距離を
図11に倣って示す。
【0054】
図28(a)に、ズーミングに伴う面間隔の変化を、広角端(Wide)、中間焦点距離(Middle)、望遠端(Tele)について示す。
ズーミングは、第2群G2ないし第4群G4が移動することにより行われるので、面間隔:15、20、23、39が変化する。被走査面(面番号:0)と面番号:1の仮想的な面の面間隔:d0は一定である。
図28(b)に、フォーカシングに伴う面間隔の変化を、近距離、中距離、遠距離について示す。
フォーカシングは、第1群1Gの第1サブレンズ群1a、第2サブレンズ群1b、第3サブレンズ群1cの間隔が変化するので、面間隔:d0、d1、d4、d7、d14が変化する。
図29(a)に、ズーミングに伴う、第1群1G、第2群2G、第3群3G、第4群4G、第5群5Gの隣接群間の間隔を「広角端と望遠端」について示す。
図29(b)には、フォーカシングに伴う、第1サブレンズ群1a、第2サブレンズ群1b、第3サブレンズ群1cの間隔変化および第3サブレンズ群1cと第2群2Gの間隔変化を「近距離および遠距離」につき示す。
【0055】
図30には、実施例3の投射用ズームレンズに関する条件式(1)ないし条件式(10)の各パラメータの値を示す。実施例3の投射用ズームレンズは、条件式(1)ないし(10)を満足する。
図31に、実施例3の投射用ズームレンズの収差図を
図15に倣って示す。
【0056】
各収差図に示すように、実施例3は良好な性能を有している。
【0057】
「実施例4」
実施例4は
図4に示した例であり、構成は上に説明した通りである。
実施例4のデータを、
図8に倣って
図32に示す。
図32においても、面番号:0は「被投射面」であり、面番号最下の「IMG」は「画像表示面」である。
実施例1~3と同様、実施例4においても、仮想的な平面(面番号:1、14)を設定している。
仮想的な平面を含む面番号:0~面番号:IMGにおける面間隔を図の如く面間隔:d(d0~dIMG)とする。面番号:35および36は「色合成プリズムPRのプリズム面」である。また、面番号:37、38は画像表示素子の画像表示面に設けられたカバーガラスの面である。
【0058】
「非球面データ」
図33に、実施例4の投射用ズームレンズの非球面のデータを示す。
【0059】
図34に、実施例4の投射用ズームレンズの、広角端(Wide)、中間焦点距離(Middle)、望遠端(Tele)における「光学データ」を
図10に倣って示す。
図35に、実施例4における各群の焦点距離を
図11に倣って示す。
【0060】
図36(a)に、ズーミングに伴う面間隔の変化を、広角端(Wide)、中間焦点距離(Middle)、望遠端(Tele)について示す。
ズーミングは、第2群G2ないし第4群G4が移動することにより行われるので、面間隔:15、18、21、32が変化する。被走査面(面番号:0)と面番号:1の仮想的な面の面間隔:d0は一定(153mm)である。
図36(b)に、フォーカシングに伴う面間隔の変化を、近距離、中距離、遠距離について示す。
フォーカシングは、第1群1Gの第1サブレンズ群1a、第2サブレンズ群1b、第3サブレンズ群1cの間隔が変化するので、面間隔:d0、d1、d4、d7、d14が変化する。
図37(a)に、ズーミングに伴う、第1群1G、第2群2G、第3群3G、第4群4G、第5群5Gの隣接群間の間隔を「広角端と望遠端」について、
図13に倣って示す。
【0061】
図37(b)には、フォーカシングに伴う、第1サブレンズ群1a、第2サブレンズ群1b、第3サブレンズ群1cの間隔変化および第3サブレンズ群1cと第2群2Gの間隔変化を「近距離および遠距離」につき示す。
【0062】
図38には、実施例4の投射用ズームレンズに関する条件式(1)ないし条件式(10)の各パラメータの値を示す。実施例4の投射用ズームレンズは、条件式(1)ないし(10)を満足する。
図39に、実施例4の投射用ズームレンズの収差図を
図15に倣って示す。
【0063】
各収差図に示すように、実施例4は良好な性能を有している。
【0064】
「実施例5」
実施例5は
図5に示した例であり、構成は上に説明した通りである。
実施例5のデータを、
図8に倣って
図40に示す。
図40においても、面番号:0は「被投射面」であり、面番号最下の「IMG」は「画像表示面」である。
実施例1~4と同様、実施例5においても、仮想的な平面(面番号:1、14)を設定している。
仮想的な平面を含む面番号:0~面番号:IMGにおける面間隔を図の如く面間隔:d(d0~dIMG)とする。面番号:42および43は「色合成プリズムPRのプリズム面」である。また、面番号:44、45は画像表示素子の画像表示面に設けられたカバーガラスの面である。
【0065】
「非球面データ」
図41に、実施例5の投射用ズームレンズの非球面のデータを示す。
【0066】
図42に、実施例5の投射用ズームレンズの、広角端(Wide)、中間焦点距離(Middle)、望遠端(Tele)における「光学データ」を
図10に倣って示す。
図43に、実施例5における各群の焦点距離を
図11に倣って示す。
【0067】
図44(a)に、ズーミングに伴う面間隔の変化を、広角端(Wide)、中間焦点距離(Middle)、望遠端(Tele)について示す。
ズーミングは、第2群G2ないし第4群G4が移動することにより行われるので、面間隔:15、20、23、39が変化する。被走査面(面番号:0)と面番号:1の仮想的な面の面間隔:d0は一定(148mm)である。
図44(b)に、フォーカシングに伴う面間隔の変化を、近距離、中距離、遠距離について示す。
フォーカシングは、第1群1Gの第1サブレンズ群1a、第2サブレンズ群1b、第3サブレンズ群1cの間隔が変化するので、面間隔:d0、d1、d4、d7、d14が変化する。
図45(a)に、ズーミングに伴う、第1群1G、第2群2G、第3群3G、第4群4G、第5群5Gの隣接群間の間隔を「広角端と望遠端」について、
図13に倣って示す。
【0068】
図45(b)には、フォーカシングに伴う、第1サブレンズ群1a、第2サブレンズ群1b、第3サブレンズ群1cの間隔変化および第3サブレンズ群1cと第2群2Gの間隔変化を「近距離および遠距離」につき示す。
【0069】
図46には、実施例5の投射用ズームレンズに関する条件式(1)ないし条件式(10)の各パラメータの値を示す。実施例5の投射用ズームレンズは、条件式(1)ないし(10)を満足する。
図47に、実施例5の投射用ズームレンズの収差図を
図15に倣って示す。
【0070】
各収差図に示すように、実施例5は良好な性能を有している。
【0071】
「実施例6」
実施例6は
図6に示した例であり、構成は上に説明した通りである。
実施例6のデータを、
図8に倣って
図48に示す。
図48においても、面番号:0は「被投射面」であり、面番号最下の「IMG」は「画像表示面」である。
実施例1~5と同様、実施例6においても、仮想的な平面(面番号:1、14)を設定している。
仮想的な平面を含む面番号:0~面番号:IMGにおける面間隔を図の如く面間隔:d(d0~dIMG)とする。面番号:42および43は「色合成プリズムPRのプリズム面」である。また、面番号:44、45は画像表示素子の画像表示面に設けられたカバーガラスの面である。
【0072】
「非球面データ」
図49に、実施例6の投射用ズームレンズの非球面のデータを示す。
【0073】
図50に、実施例6の投射用ズームレンズの、広角端(Wide)、中間焦点距離(Middle)、望遠端(Tele)における「光学データ」を
図10に倣って示す。
図51に、実施例6における各群の焦点距離を
図11に倣って示す。
【0074】
図52(a)に、ズーミングに伴う面間隔の変化を、広角端(Wide)、中間焦点距離(Middle)、望遠端(Tele)について示す。
ズーミングは、第2群G2ないし第4群G4が移動することにより行われるので、面間隔:15、20、23、39が変化する。被走査面(面番号:0)と面番号:1の仮想的な面の面間隔:d0は一定(148mm)である。
図52(b)に、フォーカシングに伴う面間隔の変化を、近距離、中距離、遠距離について示す。
フォーカシングは、第1群1Gの第1サブレンズ群1a、第2サブレンズ群1b、第3サブレンズ群1cの間隔が変化するので、面間隔:d0、d1、d4、d7、d14が変化する。
図53(a)に、ズーミングに伴う、第1群1G、第2群2G、第3群3G、第4群4G、第5群5Gの隣接群間の間隔を「広角端と望遠端」について、
図13に倣って示す。
【0075】
図53(b)には、フォーカシングに伴う、第1サブレンズ群1a、第2サブレンズ群1b、第3サブレンズ群1cの間隔変化および第3サブレンズ群1cと第2群2Gの間隔変化を「近距離および遠距離」につき示す。
【0076】
図54には、実施例6の投射用ズームレンズに関する条件式(1)ないし条件式(10)の各パラメータの値を示す。実施例6の投射用ズームレンズは、条件式(1)ないし(10)を満足する。
図55に、実施例6の投射用ズームレンズの収差図を
図15に倣って示す。
【0077】
各収差図に示すように、実施例6は良好な性能を有している。
【0078】
「実施例7」
実施例7は
図7に示した例であり、構成は上に説明した通りである。
実施例7は、第3サブレンズ1cのパワーを正とした例である。
実施例7のデータを、
図8に倣って
図56に示す。
図56においても、面番号:0は「被投射面」であり、面番号最下の「IMG」は「画像表示面」である。
実施例1~6と同様、実施例7においても、仮想的な平面(面番号:1、14)を設定している。
仮想的な平面を含む面番号:0~面番号:IMGにおける面間隔を図の如く面間隔:d(d0~dIMG)とする。面番号:42および43は「色合成プリズムPRのプリズム面」である。
【0079】
「非球面データ」
図57に、実施例7の投射用ズームレンズの非球面のデータを示す。
【0080】
図58に、実施例7の投射用ズームレンズの、広角端(Wide)、中間焦点距離(Middle)、望遠端(Tele)における「光学データ」を
図10に倣って示す。
図59に、実施例7における各群の焦点距離を
図11に倣って示す。
【0081】
図60(a)に、ズーミングに伴う面間隔の変化を、広角端(Wide)、中間焦点距離(Middle)、望遠端(Tele)について示す。
ズーミングは、第2群G2ないし第4群G4が移動することにより行われるので、面間隔:15、20、23、39が変化する。被走査面(面番号:0)と面番号:1の仮想的な面の面間隔:d0は一定(148mm)である。
図60(b)に、フォーカシングに伴う面間隔の変化を、近距離、中距離、遠距離について示す。
フォーカシングは、第1群1Gの第1サブレンズ群1a、第2サブレンズ群1b、第3サブレンズ群1cの間隔が変化するので、面間隔:d0、d1、d4、d9、d14が変化する。
図61(a)に、ズーミングに伴う、第1群1G、第2群2G、第3群3G、第4群4G、第5群5Gの隣接群間の間隔を「広角端と望遠端」について、
図13に倣って示す。
【0082】
図61(b)には、フォーカシングに伴う、第1サブレンズ群1a、第2サブレンズ群1b、第3サブレンズ群1cの間隔変化および第3サブレンズ群1cと第2群2Gの間隔変化を「近距離および遠距離」につき示す。
【0083】
図62には、実施例7の投射用ズームレンズに関する条件式(1)ないし条件式(10)の各パラメータの値を示す。実施例7の投射用ズームレンズは、
条件式(2)、(9)を除いて、条件式(1)ないし(10)を満足する。
図63に、実施例7の投射用ズームレンズの収差図を
図15に倣って示す。
【0084】
各収差図に示すように、実施例6は良好な性能を有している。
【0085】
以下、
図64を参照して、この発明の投射用ズームレンズを用いる投射装置(プロジェクタ)の実施の1形態を説明する。
【0086】
図64は、プロジェクタの実施の1形態を説明図的に示している。
プロジェクタ本体のケーシング1内には、投射用ズームレンズPZLと、液晶パネル等の「画像表示素子」を用いる画像生成装置ISR、ISB、ISGと、色合成用プリズムPRが装荷されている。
【0087】
画像生成装置ISRは、投射されるべきカラー画像の「赤色成分画像」を画像表示素子の画像表示面に表示し「赤色成分画像光LR」を生成して色合成プリズムPRに向けて放射する。
【0088】
画像生成装置ISGは、カラー画像の「緑色成分画像」を画像表示素子の画像表示面に表示し「緑色成分画像光LG」を生成して色合成プリズムPRに向けて放射する。
【0089】
画像生成装置ISBは、カラー画像の「青色成分画像」を画像表示素子の画像表示面に表示し「青色成分画像光LB」を生成して色合成プリズムPRに向けて放射する。
【0090】
色合成プリズムPRは、赤色成分画像光LR、緑色成分画像光LG、青色成分画像光LBを合成して「カラー画像光IML」とし、投射用ズームレンズPZLに入射させる。
【0091】
投射用ズームレンズPZLは、入射してくるカラー画像光IMLを、投射用結像光PRLとして、スクリーンに向けて放射する。
【0092】
投射用ズームレンズPZLとしては、実施例1ないし7等、上述のものを用いることができる。
以上、発明の好ましい実施の形態について説明したが、この発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
この発明の実施の形態に記載された効果は、発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、発明による効果は「実施の形態に記載されたもの」に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0093】
1G 第1群
1a 第1サブレンズ群
1b 第2サブレンズ群
1c 第3サブレンズ群
2G 第2群
3G 第3群
4G 第4群
5G 第5群
PR 色合成プリズム
S 開口絞り
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【文献】特許第5253604号公報
【文献】特開2014-240909号公報
【文献】特開2017-107112号公報
【文献】特開2014-235217号公報