(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】シート束分割把持装置
(51)【国際特許分類】
B31B 50/04 20170101AFI20240617BHJP
B31B 110/10 20170101ALN20240617BHJP
【FI】
B31B50/04
B31B110:10
(21)【出願番号】P 2020172978
(22)【出願日】2020-10-14
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 和久
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 貴之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 悠生
(72)【発明者】
【氏名】武口 史郎
(72)【発明者】
【氏名】畑田 康宏
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-016008(JP,A)
【文献】特開2000-052158(JP,A)
【文献】特開平01-156244(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109625401(CN,A)
【文献】特開平01-139439(JP,A)
【文献】特表2013-545689(JP,A)
【文献】特開平07-237608(JP,A)
【文献】特開2009-214194(JP,A)
【文献】特開2013-052925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/00
B65B 41/00
B65H 1/00- 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートが
水平方向に積層されたシート束の少なくとも一部を分割して搬送するシート束分割把持装置であって、
前記シート束に対して近接または離間する搬送機構と接続されるベース本体と、
前記ベース本体に立設されて、前記シート束を
前記水平方向に第1シート束と第2シート束とに分割するための第1先端ピンを有するセパレートシャフトと、
前記セパレートシャフトと対向して前記ベース本体に立設されて、分割された前記第1シート束を前記セパレートシャフトと協働して挟持するクランプシャフトと、
前記セパレートシャフトおよび前記クランプシャフトの駆動を制御する制御装置と、を含み、
前記クランプシャフトの先端には、前記セパレートシャフトの側に向けて延びた第2先端ピンが設けられ
、
前記第1先端ピンおよび前記第2先端ピンは、それぞれシャフトの軸周りに回動可能とされ、
前記制御装置は、
前記第1先端ピンおよび前記第2先端ピンをシャフトの軸周りにそれぞれ回動させる制御を行い、
前記セパレートシャフト及び前記クランプシャフトで挟持された前記第1シート束の開放時に、前記第1先端ピンの回動を開始した後に前記第2先端ピンの回動を行う、ことを特徴とするシート束分割把持装置。
【請求項2】
前記ベース本体に立設されるクランプシャフトの数は、前記セパレートシャフトの数よりも多い、請求項1に記載のシート束分割把持装置。
【請求項3】
前記第1先端ピンは、
前記第1シート束と前記第2シート束の間に挿入される先端縁と、
前記先端縁から延びるように形成されて、前記シート束の分割時に前記第1シート束と接触して当該第1シート束を把持する把持面と、
前記把持面と反対側で前記先端縁から延びるように形成されて、前記分割時に前記第2シート束と接触する裏側曲面と、
前記把持面と前記裏側曲面との間に配置される一対の側面と、
を具備してなる、請求項1又は2に記載のシート束分割把持装置。
【請求項4】
前記クランプシャフトおよび前記第2先端ピンは、前記ベース本体に少なくとも2本設けられてなり、
前記制御装置は、前記第1シート束の前記開放時に、前記少なくとも2本のクランプシャフトにおける第2先端ピンが互いに対向するように回動させる、請求項
1に記載のシート束分割把持装置。
【請求項5】
前記セパレートシャフトが前記シート束の鉛直方向における下側から前記第1先端ピンを押し上げることで、前記シート束が第1シート束と第2シート束とに分割される、請求項1~
4のいずれか一項に記載のシート束分割把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層されたシート(例えば後述するブランク)から所定枚数のシート束を分割して把持するシート束分割把持装置及びこれを用いたシート束分割搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば紙コップの製造は、公知の打ち抜き機により扇形状に打ち抜いたシート状の紙片(以下、「ブランク」とも称する)を、紙コップ成型機へ移送して成形することで行われている。かようなブランクは、例えばポリエチレンフィルムがラミネートされ、紙コップの柄が印刷された原料紙を概ね扇形の形状に打ち抜く方法で形成される。
【0003】
このとき、上記した打ち抜き機から順次打ち抜かれたシート(ブランク)を所定量の束(以下、「シート束」とも称する)にまとめ、このシート束を上記した紙コップ成形機へ移送するシート束分割装置が知られている(特許文献1や特許文献2参照)。
【0004】
なお上記した特許文献2ではシート束がシート束分割装置によって次工程である成型機へ移送される例が示されているが、かような次工程は製造仕様によっても様々であり、例えば打ち抜き後のシート(ブランク)を他工場へ搬送することもあり得る。この場合には、上記した次工程はいわゆる箱詰め工程となり、シート束分割装置の機能としては当該シート束を収容ケースに収容することが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6-143168号公報
【文献】特開2018-16008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献によれば、シート束の搬送を機械的に自動化できて効率化が促進される。しかしながら例えば特許文献1では、そもそもシート束への分割に難があって人手を介して行う形態と大きな差異は実質的にないと言える。一方で上記した特許文献2によれば、次工程へのシート束の搬送を効率化できるものの、例えば搬送ミスの軽減や搬送スピードの向上など更なる改善が求められていた。また特許文献2においては、シート束を収容する収容ケースへの収容については特段言及されておらず、さらにはシート束同士の積重ねも考慮されてはいない。
【0007】
本発明は、上記した課題を一例に鑑みて為されたものであり、例えば紙製のシート束を把持して次工程へより効率的に搬送することが可能なシート束分割把持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態におけるシート束分割把持装置は、(1)複数枚のシートが水平方向に積層されたシート束の少なくとも一部を分割して搬送するシート束分割把持装置であって、前記シート束に対して近接または離間する搬送機構と接続されるベース本体と、
前記ベース本体に立設されて、前記シート束を前記水平方向に第1シート束と第2シート束とに分割するための第1先端ピンを有するセパレートシャフトと、前記セパレートシャフトと対向して前記ベース本体に立設されて、分割された前記第1シート束を前記セパレートシャフトと協働して挟持するクランプシャフトと、前記セパレートシャフトおよび前記クランプシャフトの駆動を制御する制御装置と、を含み、前記クランプシャフトの先端には、前記セパレートシャフトの側に向けて延びた第2先端ピンが設けられ、前記第1先端ピンおよび前記第2先端ピンは、それぞれシャフトの軸周りに回動可能とされ、前記制御装置は、前記第1先端ピンおよび前記第2先端ピンをシャフトの軸周りにそれぞれ回動させる制御を行い、前記セパレートシャフト及び前記クランプシャフトで挟持された前記第1シート束の開放時に、前記第1先端ピンの回動を開始した後に前記第2先端ピンの回動を行う、ことを特徴とする。
【0009】
また、上記(1)に記載のシート束分割把持装置においては、(2)前記ベース本体に立設されるクランプシャフトの数は、前記セパレートシャフトの数よりも多いことが好ましい。
【0010】
また、上記(1)又は(2)に記載のシート束分割把持装置においては、(3)前記第1先端ピンは、前記第1シート束と前記第2シート束の間に挿入される先端縁と、前記先端縁から延びるように形成されて、前記シート束の分割時に前記第1シート束と接触して当該第1シート束を把持する把持面と、前記把持面と反対側で前記先端縁から延びるように形成されて、前記分割時に前記第2シート束と接触する裏側曲面と、前記把持面と前記裏側曲面との間に配置される一対の側面と、を具備してなることが好ましい。
【0013】
また、上記(1)に記載のシート束分割把持装置においては、(4)前記クランプシャフトおよび前記第2先端ピンは、前記ベース本体に少なくとも2本設けられてなり、前記制御装置は、前記第1シート束の前記開放時に、前記少なくとも2本のクランプシャフトにおける第2先端ピンが互いに対向するように回動させることを特徴とする。
【0014】
また、上記(1)~(4)のいずれかに記載のシート束分割把持装置においては、(5)前記セパレートシャフトが前記シート束の鉛直方向における下側から前記第1先端ピンを押し上げることで、前記シート束が第1シート束と第2シート束とに分割されることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シート束を迅速に分割して把持する共に、把持したシート束の一部が意図せず落下するなど搬送ミスを抑制でき、より効率的にシート束を次工程へ搬送することが可能となる。さらに本発明によれば、収納ケース内にシート束を積み込むことや、シート束の上に別のシート束を積み重ねることなども可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態のシート束分割把持装置を含むシート束分割搬送システムの模式図である。
【
図2】本実施形態のシート束分割把持装置を側面から見た模式図である。
【
図3】セパレートシャフトに搭載される第1先端ピンの詳細構造を示した模式図である。
【
図4】セパレートシャフトに搭載される第1先端ピンと、クランプシャフトに搭載される第2先端ピンの動作形態を説明するための模式図である。
【
図5】本実施形態のシート束分割搬送方法を説明するためのフローチャートである。
【
図6】多規格のブランクに対応したハンド載置部を示す模式図である。
【
図7】前工程手段で打ち抜かれたシートが積層されて保持機構上に載置された状態を示す模式図である。
【
図8】
図5に示したフローチャートのうちシート束の取出し工程における詳細を説明するフローチャートである。
【
図9】ブランク保持部に載置された積層シート(シート束)における分割ポイントを検出するときの状態を示した模式図である。
【
図10】ブランク保持部に載置された積層シート(シート束)における下端を検出するときの状態を示した模式図である。
【
図11】ブランク保持部のうちブランク支持壁を退避させるときの状態を示した模式図である。
【
図12】ブランク保持部に保持された積層シートから所定量のシート束を分割するときの状態およびその遷移を示した模式図である。
【
図13】積層シートから分割されたシート束を持ち直して整列させるときの状態およびその遷移を示した模式図である。
【
図14】積層シートから分割されたシート束を把持するときの状態を示した模式図である。
【
図15】把持したシート束を次工程へ搬送するときの状態を示した模式図である。
【
図16】次工程へ到着したシート束を解放して載置するときの状態およびその遷移を示した模式図(その1)である。
【
図17】次工程へ到着したシート束を解放して載置するときの状態およびその遷移を示した模式図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明のシート束分割把持装置及びシート束分割搬送方法について具体的に説明する。なお、以下の実施形態は本発明の一例を説明するものであり、本発明を意図せず限定するものではなく、他の公知の構成を適宜補完してもよい。例えば以下で詳述する構成以外の装置構成については、例えば上記特許文献2を含む公知の搬送機構を本発明の要旨を阻害しない限りにおいて援用してもよい。
【0018】
[シート束分割搬送システム]
図1に、本実施形態におけるシート束分割搬送システム400を示す。同図に示すとおり、本実施形態のシート束分割搬送システム400は、後述するシート束分割把持装置100、搬送機構TM、前工程手段200、及び次工程手段300などを含んで構成されている。
搬送機構TMは、例えば六軸制御が可能でその先端にシート束分割把持装置100を接続可能なアーム機構を備えた公知の搬送用ロボットである。なお、搬送機構TMは、例えば上記した特許文献2に示された構造を採用してもよい。
【0019】
前工程手段200は、本実施形態のシートを所定の形状に成形する公知の成形機械(打ち抜き機)である。一例として、本実施形態の前工程手段200は、紙製のブランクを扇形状に打ち抜き成形する特許文献2などに開示された公知の打ち抜き機が例示できる。この場合において当該ブランクは、最終的に紙コップ成型機へ移送されて紙コップに成形される。
【0020】
次工程手段300は、シート束分割把持装置100によって搬送された第1シート束1A(後述する)を受け入れる公知の手段である。例えば次工程が紙コップ成形の場合には当該次工程手段300は、紙コップ成型機が例示できる。他方、次工程が他所(物理的に離れた他の製造ラインや他の工場など)となる場合にはシートの輸送が必要となるので、当該次工程手段300は輸送のための収容ケースとなる。かような収容ケースは、例えば
図1などに示すように、シート束分割把持装置100によってシート束が搬入され又は搬出が可能な開口面を有する公知の段ボールなどの直方体状の箱が例示できる。
【0021】
以下では、次工程手段300の一例として、上記した他所へ成形したシートを輸送するための収容ケースを例にして説明を継続する。また、以下では、一例として紙コップに成形される扇形状の紙製シート(ブランク)を例にして説明するが、本発明は上記に限られず他の形状のシートでもよいし樹脂製など紙製以外の材質であってもよい。
【0022】
[シート束分割把持装置]
次に
図1~
図4を参照しつつ、本実施形態におけるシート束分割把持装置100の詳細な構成について説明する。このシート束分割把持装置100は、上記した前工程手段200と次工程手段300の間に介在し、例えば特許文献2と同様に打ち抜き機から連続的に打ち抜かれたブランクが水平方向に積層されて保持機構RMに保持されたシート束1を第1シート束1Aと第2シート束1Bとに分割する機能を有している。
【0023】
より具体的に、例えば
図2などから理解されるとおり、本実施形態のシート束分割把持装置100は、複数枚のシート(ブランク)が積層されたシート束1の少なくとも一部を分割して把持する機能を有し、ベース本体10、セパレートシャフト20、クランプシャフト30、分割ポイント検出センサ40、規格計測センサ50および制御装置CTLなどを含んで構成されている。
【0024】
ベース本体10は、上記した保持機構RMに保持されたシート束1に対して近接または離間可能な搬送機構TMと接続される。また
図2に示すように、ベース本体10は、一端側が上記した搬送機構TMと接続される一方で、他端側では後述するセパレートシャフト20及びクランプシャフト30が立設される。
【0025】
なお後述するとおり、本実施形態では、セパレートシャフト20の第1先端ピン21およびクランプシャフト30の第2先端ピン31は、それぞれ軸周りに回転可能とされている。また、クランプシャフト30は、分割したシート束1の一部をクランプするためにセパレートシャフト20側へ向けて移動することが可能となっている。
【0026】
すなわち本実施形態におけるベース本体10は、クランプシャフト30の第2先端ピン31を回動させるためのクランプピン回動機構12、クランプシャフト30をセパレートシャフト20側へ移動させるクランプ機構13、およびセパレートシャフト20の第1先端ピン21を回動させるためのセパレートピン回動機構14を有して構成されている。
【0027】
なおこれらクランプピン回動機構12、クランプ機構13およびセパレートピン回動機構14の動力については、特に制限はなく圧縮空気や油圧あるいは送りねじ機構など公知の種々の駆動力供給機構が適用できる。本実施形態では、上記した駆動力供給機構の一例として、上記した特許文献2と同様に圧縮空気によるエアシリンダ機構が用いられている。
【0028】
また、本実施形態のベース本体10は、後述する分割ポイント検出センサ40及び規格計測センサ50も搭載する機能を有している。かようなベース本体10は、例えば金属材など公知の材料が材質として特に制限なく適用できるとともに、上記した機能を発揮できる限りにおいて公知の他部材や機能をさらに有していてもよい。
【0029】
セパレートシャフト20は、上述のとおりベース本体10に立設されて、シート束1を第1シート束1Aと第2シート束1Bとに分割する機能を有している。すなわち「第1シート束1A」とは、本実施形態のシート束分割把持装置100が一度に把持可能な量で構成されたシート束である。また、「第2シート束1B」とは、シート束1から第1シート束1Aが分割して離脱された直後の残部としてのシート束を言う。従って、後述するシート束の分割および把持が繰り返される態様であれば、2回目以降の分割処理では第2シート束1Bから所定量の第1シート束1Aが分割されていくことになる。
【0030】
具体的に本実施形態のセパレートシャフト20は、保持機構RMに保持されたシート束1の円弧面(各シートの内弧面又は外弧面で構成されるシート束の側面。特許文献2も適宜参照されたい)などと接触して上記分割を行う第1先端ピン21と、この第1先端ピン21を先端部に搭載するとともに基端が上記ベース本体10に取り付けられて立設する支柱22と、を含んで構成されている。なお本実施形態では、第1先端ピン21がシート束1の上記した円弧面に接触する例を説明するが、シート束の他の側面(例えば内弧面や外弧面以外の非弧面)に第1先端ピン21が接触して上記分割を行う態様であってもよい。
【0031】
<第1先端ピン21の詳細構造>
次に
図3を参照しつつ、本実施形態におけるセパレートシャフト20の第1先端ピン21の構造について詳述する。
同図から理解されるとおり、本実施形態の第1先端ピン21は、前記した第1シート束1Aと第2シート束1Bの間に挿入される先端縁21aと、この先端縁21aから延びるように形成されてシート束1の分割時に第1シート束1Aと接触して当該第1シート束1Aを把持する把持面21bと、この把持面21bと反対側で先端縁21aから延びるように形成されて前記した分割時に第2シート束1Bと接触する裏側曲面21cと、これら把持面21bと裏側曲面21cとの間に配置される一対の側面21dと、上記した支柱22と回転可能に接続される接続孔21eと、を含んで構成されている。
【0032】
このうち把持面21bは、上記した分割時に第1シート束1Aの主面(把持面21bと対向する面)と平行になるよう先端縁21aからほぼ垂下するようにして形成されている。これにより第1シート束1Aを次工程手段300へ搬送する際に、当該第1シート束1Aの主面を把持面21bがより確実に把持することが可能となっている。
【0033】
一方で裏側曲面21cは、上記した先端縁21aから接続孔21eにかけて緩やかな曲面状あるいはテーパー状となるように形成されている。これにより、シート束1を分割するために先端縁21aが第1シート束1Aの円弧面から挿入される際に第2シート束1Bが意図せず折れてしまうことなどが抑制される。
【0034】
なお本実施形態では、第1先端ピン21は接続孔21eを介して支柱22に接続されているが、第1先端ピン21と支柱22との接続態様は上記に限られない。すなわち第1先端ピン21の回転(回動機能)が阻害されない限りにおいて、例えば上記接続孔21eに代えて凸状の突起を形成するとともに、支柱22側では上記突起が挿入される凹部を形成するなど他の公知の接続構造を採用してもよい。
以上のごとき構成によって、本実施形態の第1先端ピン21は、上記したセパレートピン回動機構14を介して支柱22(シャフト)の軸周りに回動することが可能とされている。
【0035】
図2に戻り、本実施形態のシート束分割把持装置100に含まれる各構成についての説明を継続する。
クランプシャフト30は、前記したセパレートシャフト20と対向してベース本体10に立設されて、分割された第1シート束1Aをセパレートシャフト20と協働して挟持する機能を有して構成されている。
【0036】
より具体的に本実施形態のクランプシャフト30は、
図2などから理解されるとおり、上記した第1シート束1Aの搬送時に当該第1シート束1Aを保持可能な第2先端ピン31と、この第2先端ピン31を先端部に搭載するとともに基端が上記ベース本体10に取り付けられて立設する支柱32と、を含んで構成されている。
【0037】
このようにクランプシャフト30の先端には、セパレートシャフト20の側に向けて延びた第2先端ピン31が設けられている。これにより、第1シート束1Aの搬送時においてセパレートシャフト20の第1先端ピン21とクランプシャフト30の第2先端ピン31とが互いに対向することで、第1シート束1Aをこれらの先端ピンによって支持することが可能となっている。
【0038】
なお上述のとおりベース本体10には、上記したクランプピン回動機構12及びクランプ機構13が搭載されている。従って、第2先端ピン31は、セパレートシャフト20の側に向けて延びた状態となるだけでなく、このクランプピン回動機構12を介して支柱32(シャフト)の軸周りに回動可能とされている。また、支柱32は、このクランプ機構13を介してセパレートシャフト20側へ移動することが可能となっている。
【0039】
また
図1及び
図2から理解されるとおり、前記したベース本体10に立設されるクランプシャフト30の数は、セパレートシャフト20の数よりも多くなるように設定されていることが好ましい。より具体的には
図4に示すとおり、本実施形態のクランプシャフト30は、一対のクランプシャフト30Aとクランプシャフト30Bとで構成されている。換言すれば、本実施形態では1本のセパレートシャフト20に対して少なくとも2本(2組)のクランプシャフト30がベース本体10に立設されている。
【0040】
従って
図4に示すように、第1シート束1Aを支持して搬送する際には、第1先端ピン21と第2先端ピン31(31a及び31b)とが互いに対向するよう互いが内側を向くように配置される。一方で後述する収容ケースへ第1シート束1Aを載置する時には、これらの第1先端ピン21と第2先端ピン31がそれぞれ回動することで互いの支柱に沿って第1シート束1Aを自重で落下させて解放することが可能となっている。
【0041】
また
図2などからも明らかなとおり、本実施形態のシート束分割把持装置100においては、ベース本体10の基準位置(例えば中心)からの第1先端ピン21と第2先端ピン31の距離が互いに異なっていることが好ましい。換言すれば本実施形態では第1先端ピン21と第2先端ピン31はベース本体10から同じ高さで向き合っておらず、
図2におけるX方向に関して第1先端ピン21の方が第2先端ピン31よりもベース本体10に近い位置に配置されている。これにより、後述する収容ケース300に第1シート束1Aを載置する際に若干傾斜した状態で載置することができ、第1シート束1Aを構成する端部側のシートがバラついたりすることが抑制されている。
【0042】
なお本実施形態では、第1先端ピン21と第2先端ピン31の双方がそれぞれ支柱の軸周りに回動する好適な構成であるが、本発明はかかる形態には限定されない。すなわち、例えば第1先端ピン21が回動する一方で第2先端ピン31は外側にスライド移動する構成としてもよいし、その逆の構成としてもよい。換言すれば、本実施形態の第1先端ピン21と第2先端ピン31は、必ずしも双方が回動することを要せず、第1先端ピン21および第2先端ピン31の少なくとも一方が軸周りに回動可能とされていればよい。
【0043】
分割ポイント検出センサ40は、
図2に示すように、例えばベース本体10に搭載されて、後述するシート束1における分割ポイントAを算出する機能を有している。かような分割ポイント検出センサ40としては、例えばレーザー変位センサなど公知の測距センサが例示できる。なお本実施形態では分割ポイント検出センサ40としてレーザー変位センサを用いているが、このような光学式センサに限られず例えば電波式や超音波式など他の測距センサを用いてもよい。
【0044】
また、後述のとおり、本実施形態の分割ポイント検出センサ40は、測距機能を有しているため、複数の保持機構RM(RM1~RM4、
図7参照)に保持されたそれぞれのシート束1の分量を計測する機能も兼備させてもよい。
【0045】
規格計測センサ50は、
図2に示すように、例えばベース本体10に搭載されて、上述した複数の保持機構RM(RM1~RM5、
図7参照)に備えられた規格マークMkを検出する機能を有している。かような規格計測センサ50としては、例えばCCDカメラやCMOSセンサなどの公知の撮像手段が例示できる。これにより、保持機構RMで保持されたシート(ブランク)に関する規格を判別することが可能となり、次工程手段300へ誤った規格のシート(ブランク)が搬送されてしまうことを抑制できる。
【0046】
制御装置CTLは、不図示のメモリやCPUを備えた公知のコンピューターが例示できる。これにより、例えばプログラム化されたシート束分割搬送方法(後述)をシート束分割把持装置100で実行することが可能となっている。
【0047】
<シート束分割搬送方法>
次に
図5~17もさらに参照しつつ、本実施形態におけるシート束分割搬送方法について詳述する。このシート束分割搬送方法は、例えば上記したメモリにプログラムとして保存されて制御装置CTLによって実行可能な、上記したセパレートシャフト20及びクランプシャフト30を有するシート束分割把持装置100を用いた搬送方法である。なおこのシート束分割搬送方法を実行するプログラムは、上記メモリに格納される他、クラウドなどの公知のネットワークを介して上記した制御装置CTLダウンロードされる形態であってもよい。
【0048】
図5に示すステップ1-1では、まずハンドチェンジが必要か否かが判定される。ここで、上記したシート(ブランク)が例えば紙コップなどの飲料容器に用いられる場合には、その用途や容量に応じて多数の規格に基づいて形状がそれぞれ決定される。従って、まず本実施形態のシート束分割搬送方法においては、前工程手段200から供給されるシート(ブランク)に応じて適切なハンド(シート束分割把持装置100)が選択されているか否かが判定される。
【0049】
なおこのステップ1-1における上記判定は、例えばシート束分割把持装置100を操作する作業者が行ってもよいし、不図示のマークや作業者からの入力などによって制御装置CTLが実行するようにしてもよい。
【0050】
そしてステップ1-1でハンドチェンジが不要と判定されればステップ2へ移行する一方で、ハンドチェンジが必要と判定されれば続くステップ1-2でハンドチェンジが実行される。なお
図6に、一例として、上記した多数の規格にそれぞれ対応して機能や形状が互いに異なった複数種類のシート束分割把持装置100を載置するハンド載置部HDの例を示す。これにより、多規格のシート(ブランク)にも対応して適切なハンド(シート束分割把持装置)を用いて当該シートを迅速に分割して搬送することが可能となっている。
【0051】
続くステップ2では、搬送するシート(ブランク)の規格が照合されるとともに、分割把持すべきシート束の取出し順番が決定される。すなわち、
図7に示すように、本実施形態においては、前工程手段200から打ち抜かれたシート(ブランク)は、一例として5つ並置された保持機構RMのガイドシャフトSFa及びSFbでそれぞれ保持される。なお保持機構RMの詳細構造は、以下で詳述する部分以外については上記した特許文献2と同様であるので、必要に応じてこの特許文献2に開示された「保持部100」の構成を本明細書に援用する。
【0052】
本実施形態では、上述のとおり5つの保持機構RM1~RM5にそれぞれシート(ブランク)が前工程手段200から供給される。各シート(ブランク)は、その面内方向が鉛直方向に平行な状態(起立した状態)でガイドシャフトSFa及びSFb上で集積される。なお本実施形態でも、ガイドシャフトSFa及びSFb上で端部に位置するシート(ブランク)は、支持壁SWによってシート(ブランク)が意図せず倒れてしまうことが抑制されている。この支持壁SWの具体的な構造は、特許文献2の「ブランク押さえユニット130」と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0053】
このときいずれか一方のガイドシャフト(本例ではガイドシャフトSFa)の端部には上記した規格マークMkが添加されている。この規格マークMkは上記した各種のシート規格に対応しており、この規格マークMkを検出することでシートの形状を把握することが可能となっている。
このように上記したステップ2では、制御装置CTLは、シート束分割把持装置100の規格計測センサ50を制御して、複数の保持機構RMにそれぞれ備えられた規格マークMkを検出する制御を実行する。
【0054】
またステップ2では、上記した規格の照合を終えた後に、シート束の取出し順番が決定される。より具体的に制御装置CTLは、上記した分割ポイント検出センサ40を転用して、上記複数の(本例では5つ)の保持機構RMにそれぞれ保持されたシート束1の分量を計測する制御を行う。上述のとおり分割ポイント検出センサ40は測距センサであるので、並置された複数の保持機構RMに対向して並置される方向にスキャンすることでそれぞれの保持機構RMに保持されたシート束1の最前面までの距離(すなわちそれぞれのシートの分量・積載量)が判定できる。
【0055】
このように本実施形態のシート束1は、複数のシートが積層された方向と交差する方向(
図7のY方向)に対して所定の間隙を有して複数並んでそれぞれ保持部(保持機構RM)に載置されている。そして本実施形態のシート束分割把持装置100は、シート束1の分量を計測する分量計測センサ(分割ポイント検出センサ40)をさらに有し、この分量計測センサはそれぞれ前記した保持部に載置されたシート束に対して前記分量を計測する機能を有している。
【0056】
従ってステップ2において、制御装置CTLは、例えば積層しているシート(ブランク)の積載量が多い保持機構RMから順にシート束を取り出すように取出し順番を決定することができる。なお上記した取出し順番は一例であって、制御装置CTLは、例えば上記した積載量が少ない保持機構RMから順にシート束を取り出すように取出し順番を決定してもよい。なお以下の説明では、複数の保持機構RMのうち左端に位置する第1保持機構RM1に保持されたシート束1を分割して搬送する例を説明する。
【0057】
続くステップ3では、上記した次工程手段としての収容ケース300の位置確認および必要に応じた補正が実行される。すなわち本実施形態における収容ケース300は、上述のとおり直方体状の段ボールであって、四隅に位置検出用マーク(不図示)が付加されている。そこで本実施形態では、シート束分割把持装置100の規格計測センサ50を転用して上記収容ケース300の四隅に付加された位置検出用マークを撮像することで、収容ケース300の配置の傾きやその位置を確定している。
【0058】
なお上記した位置検出用マークは、撮像装置としての規格計測センサ50で識別可能であれば特に制限はなく公知の種々の計測用マークを活用することができる。このステップ3において、上記の手法で収容ケース300の位置を確認しつつ必要に応じて収容ケース300の位置情報を補正することで、後述する第1シート束1Aを収容ケース300内に整理して効率的に収容することが可能となっている。
【0059】
次いでステップ4では、上述したシート束分割把持装置100を用いてシート束の取出し処理が実行される。このステップ4におけるシート束の取出し態様については、
図8~
図15を用いて後に詳述する。
【0060】
そしてステップ4でシート束の取出しを終えると、続くステップ5では取出したシート束の収容ケース300への積込み処理が実行される。このステップ5におけるシート束の積込み態様については、
図16及び
図17を用いて後に詳述する。
【0061】
上記のとおりステップ5の積込み処理が完了すると、ステップ6では規定数のシート(ブランク)の積込みが完了したか否かが判定される。そしてステップ6で未だ規定数に到達していないと判定された場合には、ステップ4に戻って、第2シート束1Bが新たなシート束1となって新たな第1シート束1Aの取出し処理から積込み処理が繰り返される。一方、ステップ6で規定数のシート(ブランク)を次工程に搬送したと判定された場合にはこの搬送処理を終了する。
【0062】
<シート束の取出し処理>
次に
図8~
図15を用いて上記したステップ4におけるシート束の取出し処理を詳述する。
図8に示すように、本実施形態のシート束取出し処理においては、まず制御装置CTLは、ステップ41で切り離し箇所(分割ポイントA)を設定する。
【0063】
より具体的には、
図9に示すように、制御装置CTLは、分割ポイント検出センサ40を介してシート束1における分割ポイントAを算出する。すなわちベース本体10に対するセパレートシャフト20の第1先端ピン21の位置は既知であることから、分割ポイント検出センサ40によってシート束1までの距離を測定すれば、どの程度だけシート束分割把持装置100をシート束1まで近接させれば目的の分割ポイントAに第1先端ピン21が位置付けられるかは算出可能となっている。このような趣旨のもとで、本実施形態では、一例として、分割ポイント検出センサ40の検出光をシート束1の下端からZ方向上方へ15mmの位置に照射し、これによってシート束1までの距離を測定している。
【0064】
ここで本実施形態における「分割ポイントA」とは、保持機構RMに保持されたシート束1のうちで把持及び搬送を行う第1シート束1Aと、残部の第2シート束1Bとを分けるポイントを言う。なお第1シート束1Aの分量は、例えば数十枚~百数十枚などシート束分割把持装置100の把持能力や搬送効率などの観点から決定される。
【0065】
次いでステップ42において、制御装置CTLは、
図10に示すように、保持機構RMに保持されたシート束1の下端の位置を検出する。これにより上記したシート束1における上下方向の座標原点(
図10における「B」位置)が決定されることとなる。
【0066】
なお上述のとおり搬送するシート(ブランク)の規格は既知であることから、保持機構RMに保持されたシート束1の上端位置も上記座標原点を基準に算出することが可能となっている。あるいは上記した分割ポイント検出センサ40を援用して先端ピンからシート束までの距離を常時監視するように構成してもよい。
【0067】
続くステップ43で、制御装置CTLは、
図11に示すように、セパレートシャフト20の第1先端ピン21を介して第1保持機構RM1をスライド移動させることでストッパ(支持壁SW)によるシート束1の支持を解放させる。より具体的に、制御装置CTLは、第1先端ピン21を第1保持機構RM1の凹部などに引っ掛けてシート束分割把持装置100を後退(+X方向に移動)させる。
【0068】
続くステップ44で、制御装置CTLは、
図12に示すように、セパレートシャフト20を介して第1保持機構RM1(ガイドシャフトSFa及びSFb)に保持されたシート束1を第1シート束1Aと第2シート束1Bとに分割する。より具体的に制御装置CTLは、前記したセパレートシャフト20がシート束1の鉛直方向(
図12中のZ方向)における下側から第1先端ピン21を押し上げる制御を行うことで、この第1保持機構RM1に保持されたシート束1が上記分割ポイントAを境にして第1シート束1Aと第2シート束1Bとに分割される。
【0069】
なおこのとき、
図12(b)に示すように、本実施形態では第1先端ピン21の厚みを考慮して、制御装置CTLは、第1先端ピン21がシート束1の分割ポイントAに挿入されるのと並行してセパレートシャフト20を後退方向(
図12中の+X方向、第2シート束1Bから離間する方向)へ移動させることが好ましい。これにより、意図しないシート(ブランク)の上方飛び出しを極力抑制しつつ第1シート束1Aと第2シート束1Bへの分割処理をスムーズに実行することが可能となっている。
【0070】
上述のとおり第1先端ピン21の把持面21bは第1シート束1Aの主面と平行になるよう先端縁21aから垂下していることから、
図12(b)に示すように、分割された第1シート束1Aの一部が上方に押し上げられて飛び出す場合も想定できる。すなわち上記分割時に第1シート束1Aのうち第1先端ピン21側の一部のシートが摩擦などによって上方へ押し上げられる可能性もある。
【0071】
そこで本実施形態では、続くステップ45において、制御装置CTLは、
図13に示すように、分割した第1シート束1Aの整列処理を実行する。より具体的に
図13(a)に示すように、制御装置CTLは、まずセパレートシャフト20を前進(上記後退方向と逆の方向へ移動させることであり、
図13中の-X方向への移動である)させると共に下降させて、再び第1保持機構RM1(ガイドシャフトSFa及びSFb)に一時的に第1シート束1Aを保持させる。
【0072】
これにより、仮に分割された第1シート束1Aの一部が上方へ飛び出していたとしても、再び他のシートと同様に端部を揃えて整列させることができる。その後、
図13(b)に示すように、制御装置CTLは、セパレートシャフト20を上方(
図13における+Z方向)に移動させることで、整列した第1シート束1Aを保持し直す制御を行う。
【0073】
そして続くステップ46では、制御装置CTLは、
図14に示すように、分割及び整列した第1シート束1Aの把持処理を実行する。より具体的に制御装置CTLは、上記したクランプ機構13を介してクランプシャフト30をセパレートシャフト20側へ移動させる制御を実行する。これにより、セパレートシャフト20に保持されていた第1シート束1Aは、当該セパレートシャフト20とクランプシャフト30との間で把持(挟持)されることとなる。
【0074】
なおこのとき、クランプ機構13としてエアシリンダを採用する場合には、制御装置CTLは、クランプシャフト30を自重により第1シート束1Aまで落下させるように制御することが好ましい。これにより、エアシリンダによる不必要な加速などを抑制することができ、上記した挟持の際にシート(ブランク)が損傷したり折れ曲がったりすることが抑制される。
【0075】
また
図14に示すように、ステップ14における把持処理においては、クランプシャフト30の第2先端ピン31が第2シート束1Bの一部と対向する位置に位置付けられることが好ましい。これにより、上記把持処理の間で第2シート束1Bの一部(端部のシート)が意図せず倒れてしまうことを抑制できる。
【0076】
次いでステップ47で、制御装置CTLは、
図15に示すように、シート束分割把持装置100を後退及び上昇させることで、次工程手段300へ第1シート束1Aを搬送する制御を行う。なお本実施形態ではステップ47においてシート束分割把持装置100が後退及び上昇して離間したが、この形態に限られない。すなわち制御装置CTLは、シート束分割把持装置100を後退させることと上昇させることの少なくとも一方を実行させるように制御してもよい。
【0077】
また、同図に示すように、第1保持機構RM1のストッパ(支持壁SW)が第2シート束1Bを支持するまで、少なくとも一部が当該第2シート束1Bと対向するように当該第2シート束1Bと近接した位置にシート束分割把持装置100を維持しておくことが好ましい。これによりシート束分割把持装置100(例えば第1先端ピン21)が暫定的にストッパの機能を発揮することで、支持壁SWによる支持が再開される前に意図せず第2シート束1Bの一部が倒れてしまうことが抑制できる。
【0078】
<シート束の積込み処理>
次に
図16及び
図17を用いて上記したステップ5におけるシート束の積込み処理を詳述する。すなわち、まず
図16に示すように、制御装置CTLは、次工程手段300へ第1シート束1Aを搬送した後に当該第1シート束1Aを載置する制御を行う。本実施形態において次工程手段は収容ケース300であるので、制御装置CTLは、収容ケース300内に第1シート束1Aを移送して収容ケース300の底面付近まで当該第1シート束1Aを位置付ける。
【0079】
その後、制御装置CTLは、第1先端ピン21および第2先端ピン31をそれぞれ順次回動させて、把持した第1シート束1Aを解放する制御を行う。より具体的には
図16(a)に示すように、制御装置CTLは、第1先端ピン21および第2先端ピン31を軸周りにそれぞれ回動させる制御を行い、セパレートシャフト20及びクランプシャフト30で挟持された第1シート束1Aの開放時に、まず第1先端ピン21の回動を開始した後に第2先端ピン31の回動を行う。
【0080】
これにより、
図16(b)に示すように、まず第1先端ピン21が支柱22を回転軸として回動することで第1シート束1Aの片側が解放されて収容ケース300の底面に接触する。次いで第2先端ピン31が支柱32を回転軸としてそれぞれ回動することで、第1シート束1Aのうち残りの片側が解放されて収容ケース300の底面に残部が接触する。
【0081】
上述のとおり本実施形態のクランプシャフト30は少なくとも2本(一対のクランプシャフト30A及び30B)設けられていることから、
図16(a)に示すように、制御装置CTLは、第1シート束1Aの開放時にこの少なくとも2本のクランプシャフト30A及び30Bにおける第2先端ピン31(31a及び31b)が互いに対向するようにそれぞれ回動させる制御を行ってもよい。これにより、収容ケース300内に移送された第1シート束1Aの一部が意図せず載置ズレを起こしてしまうことが抑制される。
【0082】
また、上記のとおり対向する一対の先端ピン(第1先端ピン21および第2先端ピン31)のうち相対的に少数の先端ピン側(本例では1つの第1先端ピン21)から回動を行っている。これにより、片側の先端ピンが解放された際に残部での第1シート束による荷重が分散されてシートへの損傷や折れ目などの発生を抑制することが可能となっている。
【0083】
なお
図17に示すように、制御装置CTLは、収容ケース300内で第1シート束1Aを解放した後で、再びクランプ機構13を介してクランプシャフト30をセパレートシャフト20側に移動させて再クランプ動作を行ってもよい。これにより、第1シート束1Aの収容ケース300内への落下の衝撃などによって発生し得るシート(ブランク)のばらつきを整えることが可能となる。その後、制御装置CTLは、同図に示すように、再クランプ動作を解除してシート束分割把持装置100を上昇させて収容ケース300内から離脱させる制御を行う。
【0084】
また、本実施形態の制御装置CTLは、一対の先端ピン(第1先端ピン21および第2先端ピン31)を回動させて収容ケース300内に第1シート束1Aを解放する制御を行っている。これにより、収容ケース300に第1シート束1Aを複数回に渡って収容する際、ケース底面から単純に高さ方向にセパレートシャフト20及びクランプシャフト30を引き抜く(引き上げる)ことができ、このような引き抜きのために水平方向に動作することを要せず(セパレートシャフト20やクランプシャフト30が収容済のシート束などに対して邪魔にならず)、必要最小限の隙間でシート束同士を収容することが可能となっている。
【0085】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、上述した実施形態に対して更なる修正を試みることは明らかであり、これらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0086】
すなわち、例えば上記したステップ1~ステップ3は適宜省略してもよい。
また、上記した実施形態において、
図12では第1先端ピン21をシート束1の下側から押し上げて第1シート束1Aと第2シート束1Bに分割したが、これに代えて上側から第1先端ピン21を降下させて上記分割を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、シート(ブランク)の分割から目的場所までの搬送時間の効率化と落下抑制とを高い次元で両立したシート束搬送を実現するのに適している。
【符号の説明】
【0088】
100 シート束分割把持装置
10 ベース本体
20 セパレートシャフト
30 クランプシャフト
40 分割ポイント検出センサ
50 規格計測センサ
CTL 制御装置
200 前工程手段(打ち抜き機)
300 次工程手段(収容ケース)
400 シート束分割搬送システム