(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】記録装置及び記録ヘッドの装着状態判定方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240617BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J2/01 303
B41J2/14 611
(21)【出願番号】P 2020173608
(22)【出願日】2020-10-14
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】石川 真也
(72)【発明者】
【氏名】仲 寛徳
(72)【発明者】
【氏名】新澤津 祐太
(72)【発明者】
【氏名】植木 秀行
(72)【発明者】
【氏名】木元 鴻太郎
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-320660(JP,A)
【文献】特開2008-296561(JP,A)
【文献】特開平8-39899(JP,A)
【文献】特開2006-297826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する記録ヘッドを着脱可能に搭載する記録装置本体と、
前記記録ヘッドのグランド接続用端子に接続された第1ダイオードに印加されている電圧を検出電圧として検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記検出電圧に基づいて前記記録ヘッドのグランド接続用端子と前記記録装置本体のグランド端子との電気的な接続状態を判定する判定手段と、
前記記録ヘッドを駆動するための駆動電圧を前記記録ヘッドの電源入力端子に供給する電源部と、を有し、
前記記録ヘッドは、前記第1ダイオードと同一の信号ラインに接続されると共に前記電源入力端子に接続される第2ダイオードを有する記録装置であって、
前記電源入力端子に対する最大供給可能電流値が第1の値である通常動作モードと、前記電源入力端子に対する最大供給可能電流値が前記第1の値より小さい第2の値である電流制限モードと、を含む複数のモードからいずれかを前記電源部に選択的に設定する電源制御手段を備え、
前記判定手段は、前記電源制御手段によって前記電流制限モードが設定された状態において前記検出手段により検出された前記検出電圧に基づき、前記記録ヘッドの前記グランド接続用端子と前記記録装置本体のグランド端子との電気的な接続状態を判定することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記第2ダイオードは、前記記録ヘッドに設けられるロジック部を保護する静電気保護ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記電源部は、前記駆動電圧を供給する電圧源に接続された第1スイッチと、前記第1スイッチに並列に接続された第2スイッチと、前記第2スイッチに前記第2の値以下の電流を流す電流源と、を含み、
前記電源制御手段は、前記第1スイッチと前記第2スイッチのON/OFFを選択的に切り換えることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記電源制御手段は、前記第1スイッチをOFFとし、かつ前記第2スイッチをONとすることにより前記電流制限モードを設定し、前記第1スイッチをONとし、かつ前記第2スイッチをOFFとすることにより前記通常動作モードを設定することを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記電源制御手段は、前記第1スイッチをOFFとし、かつ前記第2スイッチをONとすることにより前記電流制限モードを設定し、前記第1スイッチをONとし、かつ前記第2スイッチをONとすることにより前記通常動作モードを設定することを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記検出手段によって検出された電圧が予め定めた閾値を超えた場合には前記記録ヘッドの前記グランド接続用端子が前記記録装置本体の前記グランド端子に電気的に接続されていないと判定し、前記検出手段によって検出された電圧が前記閾値を超えていない場合には前記記録ヘッドの前記グランド接続用端子が前記記録装置本体の前記グランド端子に電気的に接続されていると判定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記判定手段は、前記検出手段によって検出された検出電圧と予め定めた閾値との比較を複数回繰り返し、前記検出電圧が前記閾値を越えたことを示す比較結果が複数回連続した場合には前記記録ヘッドの前記グランド接続用端子が前記記録装置本体の前記グランド端子に電気的に接続されていないと判定し、前記検出電圧が前記閾値を越えていないことを示す比較結果が複数回連続した場合には、前記記録ヘッドの前記グランド接続用端子が前記記録装置本体の前記グランド端子に電気的に接続されていると判定することを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
【請求項8】
前記判定手段は、前記記録ヘッドのグランド接続用端子が前記記録装置本体のグランド端子に接続されていると判定した後、前記記録装置本体に設けられた他の本体側の端子と、前記記録ヘッドに設けられた記録ヘッド側の他の端子とが接続されているか否かの判定をさらに行うことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項9】
前記記録装置本体は、所定の方向に沿って往復移動可能なキャリッジを備え、前記記録ヘッドは、前記キャリッジに着脱可能に搭載されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項10】
前記通常動作モードは、前記記録ヘッドが、インクを吐出する動作を含む記録動作を実行するために必要な電流を供給可能なモードであることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項11】
インクを吐出する記録ヘッドを着脱可能に搭載する記録装置本体と、
前記記録ヘッドを駆動するための駆動電圧を前記記録ヘッドの電源入力端子に供給する電源部と、を有し、
前記記録ヘッドは、当該記録ヘッドのグランド接続用端子に接続された第1ダイオードと、前記第1ダイオードと同一の信号ラインに接続されると共に前記電源入力端子に接続される第2ダイオードとを有する記録装置において、前記記録ヘッドのグランド接続用端子と前記記録装置本体のグランド端子とが電気的に接続されているか否かを判定する記録ヘッドの装着状態判定方法であって、
前記電源入力端子に対する最大供給可能電流値が第1の値である通常動作モードと、前記電源入力端子に対する最大供給可能電流値が前記第1の値より小さい第2の値である電流制限モードと、を含む複数のモードからいずれかを前記電源部において選択的に設定する工程と、
前記電流制限モードが設定された状態において前記グランド接続用端子に接続された第1ダイオードに印加される電圧を検出電圧として検出する工程と、
前記検出電圧に基づき、前記グランド接続用端子と前記グランド端子との電気的な接続状態を判定する工程と、を備えることを特徴とする記録ヘッドの装着状態判定方法。
【請求項12】
前記記録ヘッドのグランド接続用端子が前記記録装置本体のグランド端子に接続されていると判定された後、前記記録装置本体に設けられた複数の端子のうち前記グランド端子以外の他の本体側端子と、前記記録ヘッドに設けられた複数の端子のうち前記グランド接続用端子以外の他の記録ヘッド側端子とが接続されているか否かの判定を、さらに行うことを特徴とする請求項11に記載の記録ヘッドの装着状態判定方法。
【請求項13】
前記他の本体側端子と、前記他の記録ヘッド側端子とが接続されていると判定された後、前記記録ヘッドの駆動に要する電流を前記電源入力端子に供給する通常動作モードを前記電源部に設定する工程を、さらに備えることを特徴とする請求項12に記載の記録ヘッドの装着状態判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出する記録ヘッドを着脱可能に搭載する記録装置、及び記録ヘッドの装着状態を判定する記録ヘッドの装着状態判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置には、記録ヘッドの交換あるいはメンテナンス等において、ユーザが記録装置本体から記録ヘッドを着脱できるように構成したものが知られている。このような記録装置では、記録装置本体に記録ヘッドが装着された際に、記録装置本体に設けられている端子等と、記録ヘッド内の電気回路に接続されている各端子とが適正に接続されることが必要となる。そこで、端子間で電気的な接続が適切に行われているかどうかを判定する技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、記録ヘッドと記録装置本体との電気的接続が適正に行われているか否かを検出する技術が開示されている。ここでは、記録装置本体の電源から記録ヘッドに駆動電圧を投入した後、記録ヘッドの駆動制御端子に入力された信号を論理圧縮して特定の出力端子から出力させることで、複数の駆動制御端子の接触状態の確認を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、端子間で電気的な接続が適切に行われているかどうかを判定する技術が普及するにつれ、端子間で電気的な接続が適切に行われているかどうかを判定する処理をより適切に実行することが求められている。
【0006】
そこで本発明は、端子間で電気的な接続が適切に行われているかどうかを判定する処理をより適切に実行することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、インクを吐出する記録ヘッドを着脱可能に搭載する記録装置本体と、前記記録ヘッドのグランド接続用端子に接続された第1ダイオードに印加されている電圧を検出電圧として検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記検出電圧に基づいて前記記録ヘッドのグランド接続用端子と前記記録装置本体のグランド端子との電気的な接続状態を判定する判定手段と、前記記録ヘッドを駆動するための駆動電圧を前記記録ヘッドの電源入力端子に供給する電源部と、を有し、前記記録ヘッドは、前記第1ダイオードと同一の信号ラインに接続されると共に前記電源入力端子に接続される第2ダイオードを有する記録装置であって、インクを吐出する駆動を含む、前記記録ヘッドの駆動に要する電流を前記電源入力端子に供給する通常動作モードと、前記通常動作モードにおいて前記電源入力端子に供給される電流より小さい制限電流を前記電源入力端子に供給する電流制限モードと、を前記電源部に選択的に設定する電源制御手段を備え、前記判定手段は、前記電源制御手段によって前記電流制限モードが設定された状態において前記検出手段により検出された前記検出電圧に基づき、前記記録ヘッドの前記グランド接続用端子と前記記録装置本体のグランド端子との電気的な接続状態を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、端子間で電気的な接続が適切に行われているかどうかを判定する処理をより適切に実行することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本実施形態におけるインクジェット記録ヘッドの構成図。
【
図3】本実施形態における記録装置の制御系を示すブロック図。
【
図4】比較例における記録装置本体と記録ヘッドとの電気的接続を示す模式図。
【
図5】本実施形態における記録装置本体と記録ヘッドとの電気的接続を示す模式図。
【
図6】実施形態における記録ヘッドの駆動開始処理を示すフローチャート。
【
図7】実施形態におけるVSSオープンチェック処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態における記録装置及び記録ヘッドの装着状態判定方法について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成や印刷をする、又は媒体の加工を行う場合も表すものとする。また、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。
【0011】
また、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成や印刷、又は記録媒体の加工、あるいはインクの処理に供され得る液体を表すものとする。インクの処理としては、例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固又は不溶化させることが挙げられる。
【0012】
図1は、本実施形態における記録装置の記録装置本体201を示す斜視図、
図2は
図1に示す記録装置本体201に搭載される記録ヘッド300を示す斜視図である。
図1において、記録装置本体201には、X方向に延在するガイドシャフト204に沿って往復移動可能に保持されたキャリッジ202を有する。キャリッジ202には、
図2に示す後述の記録ヘッド300が着脱可能に搭載される。また、記録装置本体201には、キャリッジ202の移動方向に沿って、スケール203が設けられている。スケール203には一定の間隔でスリットが設けられており、キャリッジ202に搭載されたエンコーダ(不図示)はキャリッジ202の移動に応じて、そのスリットを読み取ることでエンコーダ信号を生成する。このエンコーダ信号はキャリッジ202の移動方向のキャリッジ位置(すなわち、記録ヘッド300の位置)を表わし、インク吐出のためのタイミング制御のための信号として用いられる。
【0013】
また、記録装置本体201には、記録紙等の記録媒体をX方向と直交するY方向に搬送する搬送部(不図示)が設けられている。搬送部は、記録媒体に圧接する搬送ローラの回転によって、記録媒体を所定量毎に間欠的に搬送する。この搬送部による間欠的な搬送動作とキャリッジ202のX方向への移動とを繰り返しながら、記録ヘッドからインクを吐出することにより、記録媒体全体に画像を記録することが可能となる。このように、本実施形態における記録装置は、記録ヘッドを移動させつつ記録を行う、所謂シリアル型の記録装置となっている。なお、記録装置本体201には、各部の駆動を制御する後述のCPU(制御部)401や種々の入力操作や装置の状態表示等を行う操作部(表示部)409が設けられている(
図3参照)。
【0014】
図2は、本実施例における記録ヘッドの構成を示す図であり、
図2(a)は記録ヘッドの一部を示す斜視図を、
図2(b)は
図2(a)に示す記録ヘッドをZ方向からに見たときの下面図である。
【0015】
記録ヘッド300は、筐体301と、筐体301の底面部に保持された記録チップ303と、筐体301の底面部および背面部に保持された電気配線基板302等を有する。筐体301はキャリッジ202への装着及びキャリッジ202からの取り外しを可能とする構成を備える。記録チップ303は、インクを吐出する複数の吐出口を配列した吐出口列を有する。
図3(b)に示す例では、シアンのインクを吐出する吐出口列305、マゼンタのインクを吐出する吐出口列306、イエローのインクを吐出する吐出口列307が設けられている。いずれの吐出口列も、筐体301をキャリッジ202に装着した状態において、Y方向と平行する方向に延在するように複数の吐出口が配置されている。
【0016】
また、記録チップ303には、3つの吐出口列を囲むようにサブヒータ308が設けられている。サブヒータ308は、電圧が印加されると記録チップ303及びインクを加熱する。記録装置200では、インクを適正に吐出するために記録チップ303の温度を調整する必要がある。そのため、記録チップ303には、温度検出用の素子が設けられている。温度検出用の素子は、ダイオード109によって構成され、このダイオードの温度特性を用いて記録チップ303の温度を検出する。そして、検出した温度に基づき、記録チップ303の温度を目標温度に近づくようにサブヒータ308の制御を行う。なお、記録チップ303の温度を検出するダイオード109を、以下の説明において、ダイオードセンサ109と称す。また、後に詳述するが、本実施形態では、記録装置本体201と記録ヘッド300とが電気的な接続状態を検出する際にも、このダイオードセンサ109を用いる。
【0017】
電気配線基板302は、記録チップ303に電気的に接続される複数の端子からなる端子群310を有している。複数の端子のそれぞれは、記録ヘッド300がキャリッジ202に適正に装着された場合に、キャリッジ202に設けられた各端子に接触し、記録装置本体201と記録ヘッド300とが電気的に接続される。例えば、記録ヘッド300は、後述の複数の端子を介して記録ヘッド制御部404、記録ヘッド電源部406及び検出部407等に接続される。
【0018】
これにより、記録ヘッド300には、記録装置本体201から記録ヘッド駆動電源電圧HVDD、記録ヘッド300の駆動制御信号などが供給される。本実施形態では、記録ヘッド300のモードには、待機モード及び印刷モードがあるものとする。
【0019】
待機モードは、記録ヘッド300による記録動作(印刷動作)を実行しないモードである。記録動作とは具体的には、インクを吐出する動作やキャリッジを移動させる動作を含む。記録ヘッド300は、印刷装置が印刷ジョブを受け付けておらず、記録ヘッド300に対してインク吐出のための制御が実行されない状態において、待機モードで動作する。また待機モードでの動作において、記録ヘッド300は、最大10mAの電流を必要とする。これは、待機モードの記録ヘッド300の動作に最低限必要な電流値には個体差があるが、待機モードの記録ヘッド300の動作に最低限必要な電流値は、どのような個体であっても10mA以下となるためである。そのため、記録ヘッド300は、最大10mAの電流を要求する。
【0020】
印刷モードは、記録ヘッド300による記録動作を実行するモードである。記録ヘッド300は、印刷装置が印刷ジョブを受け付けており、記録ヘッド300に対してインク吐出のための制御が実行される状態において、印刷モードで動作する。また印刷モードでの動作において、記録ヘッド300は、最大100mAの電流を必要とする。これは、印刷モードの記録ヘッド300の動作に最低限必要な電流値には個体差があるが、印刷モードの記録ヘッド300の動作に最低限必要な電流値は、どのような個体であっても100mA以下となるためである。そのため、記録ヘッド300は、最大で100mAの電流を要求する。
【0021】
記録ヘッド電源部406は、上述のモードで動作する記録ヘッド300に対して電流を供給する。本実施形態では、記録ヘッド電源部406のモードには、制限電流モードと通常動作モードとがあるものとする。
【0022】
制限電流モードは、記録ヘッド300が損傷しない程度に制限された電流(制限電流)を記録ヘッド300に供給するモードである。具体的には本実施形態では、最大で15mAの大きさの電流までしか記録ヘッド300に供給しない(最大供給可能電流値(第2の値)が15mAである)モードである。なお制限電流モードにおける最大供給可能電流値はこの値に限定されず、通常動作モードにおける最大供給可能電流値より小さい値であれば良い。例えば制限電流モードにおける最大供給可能電流値は、通常モードにおける最大供給可能電流値の1/4以下の値である。本実施形態では、後述の接触判定処理が実行される場合に、記録ヘッド電源部406は、制限電流モードで動作する。
【0023】
通常動作モードは、記録ヘッド300の駆動に用いられる電力を供給するためのモードである。具体的には本実施形態では、最大供給可能電流値(第1の値)が500mAであるモードである。本実施形態では、後述の接触判定処理が実行され、記録ヘッド300が記録装置本体201に正しく装着されていると判定された場合に、記録ヘッド電源部406は、通常動作モードで動作する。なお上述したように、記録ヘッド300は、待機モード又は印刷モードで動作するため、通常動作モードは、記録ヘッド300が待機モードと印刷モードどちらで動作していても記録ヘッド300を駆動させることが可能な電流を供給可能なモードである。そして記録ヘッド電源部406は、記録ヘッド300が待機モードである場合は、最大10mAの電流を供給し、記録ヘッド300が印刷モードである場合は、最大100mAの電流を供給する。
【0024】
なお記録ヘッド電源部406は、上述の2つのモードに限定されず、最大供給可能電流値が異なる他のモードで動作可能であっても良い。そして、記録ヘッド300のモードや、記録装置のその他の構成のモードに基づいて、適宜、記録ヘッド電源部406のモードが複数のモードの中から変更されてよい。
【0025】
上記のように、記録ヘッド300がキャリッジ202に適正に装着されている場合には、記録ヘッド300の各端子は、キャリッジ202に設けられた各端子に接触し適正な電気的接続状態が得られる。これに対し、記録ヘッド300がキャリッジ202に適正に装着されていない場合、キャリッジ202に設けられている端子と記録ヘッド300の端子とが適正に接続されず、動作不良が発生することがある。特に、記録装置本体201から記録ヘッド300に電源電圧を印加する際、端子群310の中のグランド端子に対して記録ヘッド300の端子が適正に接触していない場合には、記録ヘッド300へ大電流が流れ、記録ヘッド300が損傷する虞がある。このため、電源電圧を印可する前に記録ヘッド300がグランド端子に正しく接触しているかどうかを検出する必要がある。この記録ヘッド300と記録装置本体201のキャリッジ202に設けられたグランド端子との電気的接続状態の検出方法については、後に詳述する。
【0026】
図3に、本実施形態における記録装置200の制御系のブロック図を示す。記録装置本体201には、前述した記録媒体の搬送部408、操作部409の他、後述する記録ヘッド制御部404、記録ヘッド電源部(電源部)406、記録ヘッド電源制御部(電源制御手段)405及び検出部(検出手段)407等が設けられている。さらに、記録装置本体201には、記録装置200内に設けられている各部の動作及び記録装置本体201に搭載される記録ヘッド300等、記録装置200を統括的に制御するCPU401と、これに接続されたROM402及びRAM403等を備える。CPU401は、ROM402に格納されているプログラムに基づき種々の演算、比較、判定及び制御等の処理を行う。また、RAM403はROM402のプログラムまたは記録データを展開するための一時領域として使用される。
【0027】
記録ヘッド制御部404は、記録データに応じて、クロック信号、データ信号、ラッチ信号といった記録ヘッド300の駆動に必要な制御信号を記録ヘッド300の制御端子に入力する制御を行う。また、記録ヘッド制御部404は、記録ヘッド300の各端子と記録装置本体201の各端子との電気的な接続状態を確認するコンタクトチェックにおいて、記録ヘッド300のコンタクトチェック端子からチェック用の信号を出力するための制御を行う。記録ヘッド電源部406は、記録ヘッド300の電源入力端子131に対して記録ヘッド300を駆動するためのヘッド駆動電源電圧HVDD及び駆動電流を供給する。記録ヘッド電源制御部405は、記録ヘッド電源部406から電源入力端子131に供給する電流の制御を行う。この制御の詳細は後述する。検出部407は、記録ヘッド300に設けられているダイオードセンサ(第1ダイオード)109に印加される電圧の検出を行う。
【0028】
次に、この記録ヘッド300と記録装置本体201のキャリッジ202に設けられたグランド端子との電気的接続状態の検出処理(接触判定処理)の方法について説明する。なお、以下の説明では、本実施形態において行われる検出方法の特徴的構成を明確にするため、まず、本実施形態に対する比較例を
図4において説明し、その後、その比較例における課題を解決することが可能な本実施形態の構成及び検出方法を説明する。
【0029】
図4は、比較例における記録装置本体101のキャリッジに設けられているグランド端子と記録ヘッド102との電気的接続状態を検出するための基本構成を示す図である。
【0030】
図4(a)は、記録装置本体101と記録ヘッド102とが電気的に適正に接続されている状態を示している。すなわち、記録装置本体101の定電流源103に接続されている端子104が、記録ヘッド102に設けられたダイオード109のアノードに接続されている端子107に適正に接触し、両端子が電気的に接続されている状態を示している。さらに、記録装置本体101のグランドVSSに接続されているグランド端子105は、ダイオード109のカソードに接続されているグランド接続用端子108(以下、単に端子108と称す)に適正に接触し、両端子も電気的に接続されている。なお、ここに示すダイオード109は、本実施形態におけるダイオードセンサ109と同等のものであり、記録ヘッド102の記録チップの温度を検出するダイオードセンサである。以下、
図4の説明においてダイオード109をダイオードセンサ109と称す。
【0031】
図4(a)に示す状態において、定電流源103の電流は、ダイオードセンサ109を介してグランドVSSに流れる。このとき、ダイオードセンサ109のアノード部の電圧は、ダイオードセンサ109の特性により電圧Vfとなり、この電圧がADコンバータ106で検出され、制御部(CPU)に検出信号として入力される。この検出信号(電圧Vfに対応する信号)を受けて、制御部は、記録装置本体101のグランド端子105と記録ヘッド102の端子とが適正な接続状態にあるとの判定を下す。
【0032】
一方、
図4(b)は、記録装置本体101のグランド端子105と記録ヘッド102の端子108とが電気的に接続されていない状態を示している。記録装置本体101の定電流源103は、端子104と端子107を介してダイオードセンサ119のアノード部に接続されているが、ダイオードセンサ109のカソード部は、記録装置本体101のグランド端子105に電気的に接続されていない。このため、ダイオードセンサ109に電流は流れず、ダイオードセンサ109のアノード部に印加される電圧(検出電圧)は、定電流源103の電源電圧VDDとなる。そして、この電圧がADコンバータ106で検出され、制御部に検出信号として入力される。この検出信号(電圧VDDに対応する信号)を受けて、制御部は、記録装置本体101のグランド端子105と記録ヘッド102の端子108とが適正な接続状態にないとの判定を下す。
【0033】
図4(a)の状態において検出された電圧Vfと、
図4(b)の状態において検出された電圧VDDとは大きく異なる。制御部は、電圧Vfより小さく電圧VDDより大きい所定の閾値より検出信号に対応する電圧が大きいか否かを判定することで記録装置本体101のグランド端子105と記録ヘッド102の端子が適正に接続されているか否かを検出することが可能となる。
【0034】
しかしながら、実際の記録ヘッドには、内部に設けられているロジック部(
図4(a)、(b)では不図示)等を静電気放電等から保護するための静電気保護ダイオード(ESD保護ダイオード)が設けられているものがある。このため、上述の基本構成に示した検出方法では、ESD保護ダイオードの影響により、ダイオードセンサ109に印加される電圧に基づいて、記録ヘッドとグランド端子との接続状態の検出を適正に行うことができないことがある。以下、
図4(c)を参照しつつ、ESD保護ダイオードによる影響を説明する。
【0035】
図4(c)に示す記録ヘッド102には、吐出口からインクを吐出させるための制御を行う制御ロジック部133と、この制御ロジック部133などを、静電気放電等から保護するための静電気保護ダイオード(ESD保護ダイオード)130が示されている。制御ロジック部133は、記録ヘッド102の電源入力端子131に接続されると共に、端子108に接続されている。ESD保護ダイオード130は、ダイオードセンサ109のアノードが接続されている端子107と制御ロジック部133との間に接続されており、ダイオードセンサ109と同一の信号ラインに接続されている。すなわち、ESD保護ダイオード130のアノードは、ダイオードセンサ109のアノードと共に端子107に接続される一方、ESD保護ダイオード130のカソードは、制御ロジック部133と電源入力端子131との間に接続されている。その他の構成は、上述の基本構成(
図4(b))と同様である。
【0036】
記録ヘッド102が記録装置本体101に適正に装着されている場合には、記録装置本体101の端子132、104、105は、記録ヘッド102の端子131、107、108にそれぞれ接続される。この場合、ダイオードセンサ109のカソード部は、端子108からグランド端子105を介して記録装置本体101のグランドVSSに接続される。但し、
図4(c)では、
図4(b)と同様に、端子108とグランド端子105が接続されていない状態となっている。
【0037】
記録装置本体101のグランド端子105に記録ヘッド102の端子108が接続されているか否かの検出は、記録ヘッド102の電源入力端子131に駆動電圧HVDDが印加されていない状態、すなわち電源入力端子131が0Vにある状態で行う。このとき、
図4(a)と同様に、グランド端子105が記録ヘッド102の端子108に接続されている場合には、ダイオードセンサ109には定電流源103からの電流が流れ、ダイオードセンサ109に対する印加電圧は、Vfとなる。これに対し、
図4(c)のように、グランド端子105が記録ヘッド102の端子108に接続されていない場合、ダイオードセンサ109には電流が流れない。但し、端子107にはESD保護ダイオード130が接続されており、そのカソードの電位は0Vとなっているため、ESD保護ダイオード130には電流が流れる。その結果、グランド端子105と端子108とが接続されていない状態にあるにも拘わらず、ADコンバータ106で検出される電圧(検出電圧)は、定電流源103の電源電圧VDDとはならず、Vfまたはそれに近い電圧となる。つまり、グランド端子105と端子108とが接続されていないにも拘わらず、両端子105と108とが接続されている場合と同様の検出結果になる。つまり、誤検出が生じ、結果として、接触判定処理において誤判定が生じる。
【0038】
そこで本実施形態では、このようなESD保護ダイオード130に電流が流れることによる誤検出及び誤判定を回避するため、記録装置本体101の電源部から記録ヘッド102の電源入力端子131に駆動電源HVDDを印加する。これによれば、ESD保護ダイオード130への電流の流入を抑制することができる。しかし、この場合には、記録ヘッド102がグランド端子105に接続されていない状態で記録ヘッド102に駆動電圧HVDDが印加されることとなる。このとき、記録ヘッド電源部406が、通常動作モードで動作していると、通常動作モードは最大供給可能電流値が大きいため、大電流が記録ヘッド102に流れ、制御ロジック部133が損傷する可能性がある。そこで本実施形態では、記録ヘッド電源部406に、制限電流モードを設けており、制限電流モードにて、検出を行うことで、制御ロジック部133が損傷することを抑制できる。すなわち本実施形態では、制御ロジック部133が損傷することを抑制しつつ、接触判定処理の誤判定を抑制することができる。
【0039】
そこで、本実施形態の記録装置本体201には、
図5に示すような構成が設けられている。
図5には、
図3に示した前述の記録ヘッド電源制御部405、記録ヘッド電源部406、検出部407と、記録ヘッド300との電気的接続状態がより具体的に示されている。なお、本実施形態において使用する記録ヘッド300は、前述の
図4(c)に示す比較例に用いられる記録ヘッド102と同一であり、
図5中、
図4(c)と同一もしくは相当部分には同一符号を付している。
【0040】
本実施形態において記録装置本体201に記録ヘッド300が適正に装着された場合、記録装置本体201に設けられた端子211、212、213が記録ヘッド300に設けられた端子131、107、108にそれぞれ接触する。また、本実施形態の記録装置本体201に設けられた検出部407は、CPU401によって制御されるADコンバータ501と、定電流源505とを備える。ADコンバータ501及び定電流源505は、
図4(c)に示したADコンバータ106及び定電流源103と同様である。すなわち定電流源505は、端子212、107を介してダイオードセンサ109に一定の電流を供給可能であり、ADコンバータはダイオードセンサ109に印加される電圧を検出電圧として検出することができる。
【0041】
一方、本実施形態における記録装置本体201には、端子211を介して記録ヘッド300に対して所定の電力を供給するための記録ヘッド電源部406が設けられている。記録ヘッド電源部406は、電源電圧VDDを供給する電圧源に対して互いに並列に接続された2つのスイッチSW502、SW503と、スイッチSW502と電圧源との間に接続された定電流源504と、を備える。また、記録ヘッド電源制御部405は、前述のCPU401の指示に従い、スイッチSW502とSW503のON/OFFを選択的に切換える制御を行う。すなわち、記録ヘッド電源制御部405は、2つのスイッチSW502、SW503のうち、一方のスイッチがON(閉状態)の場合には、他方のスイッチをOFF(開状態)とする制御を行う。定電流源504は、記録ヘッド300に一定の電流を供給する。
【0042】
以上の構成において、記録ヘッド電源制御部405が、2つのスイッチSW502、SW503のいずれか一方をONとすることにより、電源電圧VDDが記録ヘッド駆動電源HVDDとして端子211に供給される。また、記録ヘッド電源制御部405は、2つのスイッチSW502とSW503のON/OFFを切り換えることによって、装着状態検出時に使用する電流制限モードと、記録動作の際に使用する通常動作モードとを選択的に記録装置に設定可能になっている。すなわち、SW502がON、かつ、SW503がOFFのとき、記録ヘッド電源部406から一定の制限電流を供給する電流制限モードとなる。また、SW503がON、かつSW502がOFFのときは、記録動作において必要とされる電流を供給することが可能な通常動作モードとなる。なお通常動作モードは、SW503がONであれば良く、例えば、SW503がON、かつSW502がONである状態を通常動作モードとしても良い。
図6は、本実施形態において、記録ヘッドの駆動開始時に実行される制御動作を示すフローチャートである。なお、
図6に示すフローチャート及び
図7に示すフローチャートにおいて、各工程番号に付したSはステップを意味する。記録装置本体201に設けられたCPU401は、記録装置本体201に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)からの印刷ジョブを受信すると、記録ヘッド300の駆動に先立ち、S601からS604の処理を実行する。なお制御動作には、接触判定処理が含まれる。すなわち、本実施形態では、接触判定処理は、印刷ジョブが受信されたことに基づいて実行される。しかしながらこの形態に限定されず記録ヘッド300が記録装置本体201に装着されたことに基づいて実行されても良い。また例えば、記録装置本体201の電源がONされたことに基づいて実行されても良い。また例えば、記録装置本体が有するタイマーによって管理される所定の時間間隔が経過するごとに実行されても良い。
【0043】
まず、CPU401は、接触判定処理を開始する。具体的にはCPU401は、記録ヘッド電源制御部405に対し電流制限モードの設定を指示する。この指示を受けて記録ヘッド電源制御部405は、記録ヘッド電源部406に設けられたスイッチSW502をON、スイッチSW503をOFFとして電流制限モードを設定する。これにより、記録ヘッド電源制御部405の電源電圧VDDが記録ヘッド駆動電圧HVDDとして記録ヘッド300に供給される(S601)。次に、CPU401は、記録装置本体201のグランド端子213に記録ヘッド300の端子108が電気的に接続されているか否かを判定するためのチェックを行う(S602)。このチェックは、ADコンバータ501からの検出電圧に基づき行う。以下、このチェックをVSSオープンチェックと称す。なお、このVSSオープンチェックについては、後に、
図7のフローチャートに基づきより詳細に説明する。
【0044】
VSSオープンチェックにより記録装置本体201のグランド端子213と記録ヘッド300の端子108とが電気的に接続されていることを確認した場合、CPU401は、記録ヘッド電源制御部405に対し通常モードの設定を指示する。指示を受けた記録ヘッド電源制御部405は、スイッチSW502をOFF、スイッチSW503をONに切り換え、電源供給モードを通常動作モードに切り換える(S603)。記録ヘッド300を駆動する場合、電流制限モードでは、記録ヘッドを通常動作させるために必要な50mA以上の電流を出力できない。このS603において通常動作モードに切り換えることにより、記録ヘッド300に対して十分な電流を供給できるようにする。この後、記録装置本体201に設けられた複数の端子のうち、グランド端子以外の他の本体側端子と、記録ヘッド300に設けられた複数の端子のうち、グランド接続用端子以外の他の記録ヘッド側端子の接続状態の検出(コンタクトチェック)を行う(S604)。このコンタクトチェックは、例えば、記録ヘッドの駆動制御端子に入力された信号を論理圧縮して特定の出力端子から出力させ、その出力を確認する従来の方法を用いて行うことができる。以上の一連の処理により、CPU401は、記録ヘッド300が記録装置本体201に正しく装着されているかを判定する判定手段としての機能を果し、正しく装着されていると判定した場合には、記録ヘッド300を用いて記録動作を開始する(S605)。
【0045】
図7は、VSSオープンチェックの具体的な処理を示すフローチャートである。VSSオープンチェックでは、記録装置本体201のグランド端子213と記録ヘッド300の端子108とが電気的に接続されているか否かを確認する。これは、定電流源505からの電流が流れているか否かによって変化する電圧をADコンバータに入力することによって行う。この際、
図4(c)に示す比較例では、グランド端子213と端子108とが接触せず、ダイオードセンサ109に電流が流れない場合にも、ESD保護ダイオード130(第2ダイオード)に電流が流れてしまい正しい検出結果が得られないことがある。
【0046】
本実施形態では、VSSオープンチェックに際し、予め電流制限モードを設定し、記録ヘッド300の電源入力端子131に駆動電圧HVDDを印加する。これにより、ESD保護ダイオード130のカソードに印加される電圧は、ESD保護ダイオードのアノードに印加される電圧Vfより高くなり、ESD保護ダイオード506のカソード側へ電流が流れることを防ぐことができる。また、グランド端子213と端子108とが接触していない場合、電流制限モードでは、記録ヘッド300の制御ロジック部133には、定電流源504によって制限された電流(最大15mA)しか流れない。このため、記録ヘッド300の制御ロジック部133が損傷することを避けることができる。
【0047】
VSSオープンチェックでは、ダイオードセンサ109の電圧が検出電圧としてADコンバータ501によって取得される(S701)。グランド端子213に記録ヘッド300の端子108が接触している場合はダイオードセンサ109の電圧Vfは、ダイオードの特性から約0.7Vとなる。また、グランド端子213に記録ヘッド300の端子108に接触していない場合は、定電流源505の電圧VDDが取得されることとなる。よって、本実施形態では0.7Vと電圧VDDとの間(例えば中央)の電圧を閾値として定め、この閾値とADコンバータ501が取得した電圧を超えたか否かを判定することによりグランド端子213と端子108との接続状態を判定する。すなわち、ADコンバータ501が取得した電圧が閾値以上の場合には、グランド端子213と端子108とが接続されていない(NG)と判定する。また、ADコンバータ501が取得した電圧値が閾値以下もしくは0.7V程度の場合にグランド端子213と端子108とが接触している(OK)と判定する。いずれの場合も、外来ノイズ等の影響を考慮して、一度の比較結果だけで接触状態を判定せず、一定時間後に、再度、検出電圧の取得と比較を複数回繰り返す。そして、同一の比較結果が複数回連続した場合に、その比較結果に基づいてグランド端子213と端子108との接続状態を判定することが好ましい。本実施形態では、閾値を連続で3回超えた場合に電圧が安定したとみなし、OK(S702)もしくはNG(S703)の判定を下す。
【0048】
NGと判定した場合、CPU401は、記録装置本体201に対して記録ヘッド300が適正に装着されていないエラー状態が発生していると判定し、操作部409等によってユーザに通知を行う(S704)。ここで実行される通知とは具体的には例えば、記録装置本体201に対して記録ヘッド300が適正に装着されていない旨をユーザに通知するための処理である。また例えば、記録装置本体201に対して記録ヘッド300が適正に装着するようユーザを促す処理である。この際、CPU401は、記録ヘッド300への電力供給を中止してもよい。通知によってユーザが記録ヘッドの再装着を行った場合には、再度、VSSオープンチェックを行い、その結果を通知するようにしてもよい。
【0049】
以上の構成によれば、記録ヘッドが装着されているかどうかを、記録ヘッドに損傷を与えることなく、より確実に検出することができる。
(他の実施形態)
上記実施形態では、記録装置本体201のグランド端子と記録ヘッド300との電気的な接続状態の検出に、記録チップ303の温度検出に使用するダイオードセンサ109を用いる例を示したが、これに限定されない。記録装置本体201のグランド端子と記録ヘッド300との電気的な接続状態を検出するための専用のダイオードを、温度検出に使用するダイオードセンサとは別に設けることも可能である。
【符号の説明】
【0050】
108 グランド接続用端子
131 電源入力端子
130 ESD保護ダイオード(第2ダイオード)
200 記録装置
201 記録装置本体
300 記録ヘッド
109 ダイオードセンサ(第1ダイオード)
401 CPU(判定手段)
406 記録ヘッド電源部(電源部)
407 検出部(検出手段)
405 記録ヘッド電源制御部(電源制御手段)