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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】ダイポールアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 5/48 20150101AFI20240617BHJP
   H01Q 9/16 20060101ALI20240617BHJP
   H01Q 9/28 20060101ALI20240617BHJP
   H01Q 19/10 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
H01Q5/48
H01Q9/16
H01Q9/28
H01Q19/10
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020174122
(22)【出願日】2020-10-15
(65)【公開番号】P2022065499
(43)【公開日】2022-04-27
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】中野 雅之
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-135038(JP,A)
【文献】特開2006-054847(JP,A)
【文献】特表2011-501567(JP,A)
【文献】特開2013-240050(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0256767(US,A1)
【文献】特開2004-363693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 5/48
H01Q 9/28
H01Q 19/10
H01Q 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地板の給電部から給電線を介して給電される第1ダイポールアンテナ素子及び第2ダイポールアンテナ素子を備え、
前記第1ダイポールアンテナ素子は、前記給電部に近い側に配置される平板状の第1の導体であって当該第1の導体の面が前記地板に対向するように配置され、
前記第2ダイポールアンテナ素子は、前記給電部から遠い側に配置される平板状の第2の導体であって当該第2の導体の面が前記地板に対向するように配置され、
前記第1ダイポールアンテナ素子は前記第2ダイポールアンテナ素子よりも面積が大きい、
ダイポールアンテナであり、
前記第1ダイポールアンテナ素子は、前記地板に対向する面が前記第2ダイポールアンテナ素子側に折れ曲がっている、
ダイポールアンテナ。
【請求項2】
地板の給電部から給電線を介して給電される第1ダイポールアンテナ素子及び第2ダイポールアンテナ素子を備え、
前記第1ダイポールアンテナ素子は、前記給電部に近い側に配置される平板状の第1の導体であって当該第1の導体の面が前記地板に対向するように配置され、
前記第2ダイポールアンテナ素子は、前記給電部から遠い側に配置される平板状の第2の導体であって当該第2の導体の面が前記地板に対向するように配置され、
前記第1ダイポールアンテナ素子は前記第2ダイポールアンテナ素子よりも面積が大きい、
ダイポールアンテナであり、
複数の前記ダイポールアンテナが配置基準点を囲むように配置され、
前記第2ダイポールアンテナ素子が前記配置基準点側に配置された、
ダイポールアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイポールアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダイポールアンテナの広帯域化を図る技術が知られている(例えば特許文献1、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-021836号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】電子情報通信学会編「アンテナ工学ハンドブック」、オーム社、第2版、2008年7月(第134-135ページ、図4・66、図4・67)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、移動通信システムが利用可能な複数の周波数帯に広く適用することができるアンテナが要望されている。このため、アンテナのさらなる広帯域化が課題である。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、ダイポールアンテナの広帯域化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、地板の給電部から給電線を介して給電される第1ダイポールアンテナ素子及び第2ダイポールアンテナ素子を備え、前記第1ダイポールアンテナ素子は、前記給電部に近い側に配置される平板状の第1の導体であって当該第1の導体の面が前記地板に対向するように配置され、前記第2ダイポールアンテナ素子は、前記給電部から遠い側に配置される平板状の第2の導体であって当該第2の導体の面が前記地板に対向するように配置され、前記第1ダイポールアンテナ素子は前記第2ダイポールアンテナ素子よりも面積が大きい、ダイポールアンテナであり、前記第1ダイポールアンテナ素子は、前記地板に対向する面が前記第2ダイポールアンテナ素子側に折れ曲がっている、ダイポールアンテナである。
)本発明の一態様は、地板の給電部から給電線を介して給電される第1ダイポールアンテナ素子及び第2ダイポールアンテナ素子を備え、前記第1ダイポールアンテナ素子は、前記給電部に近い側に配置される平板状の第1の導体であって当該第1の導体の面が前記地板に対向するように配置され、前記第2ダイポールアンテナ素子は、前記給電部から遠い側に配置される平板状の第2の導体であって当該第2の導体の面が前記地板に対向するように配置され、前記第1ダイポールアンテナ素子は前記第2ダイポールアンテナ素子よりも面積が大きい、ダイポールアンテナであり、複数の前記ダイポールアンテナが配置基準点を囲むように配置され、前記第2ダイポールアンテナ素子が前記配置基準点側に配置された、ダイポールアンテナである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ダイポールアンテナの広帯域化を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係るダイポールアンテナの構成を示す図である。
図2】第1実施形態に係るダイポールアンテナの構成を示す図である。
図3】第1実施形態に係るダイポールアンテナの構成を示す図である。
図4】第1実施形態に係るダイポールアンテナの寸法図である。
図5】第1実施形態に係るダイポールアンテナの寸法図である。
図6】第1実施形態に係るダイポールアンテナのシミュレーション結果のグラフ図である。
図7】第2実施形態に係るダイポールアンテナの構成を示す図である。
図8】第2実施形態に係るダイポールアンテナのシミュレーション結果のグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
[第1実施形態]
図1図3を参照して第1実施形態に係るダイポールアンテナ1の構成を説明する。図1図3は、第1実施形態に係るダイポールアンテナ1の構成を示す図である。図1は、第1実施形態に係るダイポールアンテナ1の全体の外観図である。図2は、第1実施形態に係るダイポールアンテナ1の側面側の外観図である。図3は、第1実施形態に係るダイポールアンテナ1の上面側の外観図である。
【0012】
ダイポールアンテナ1は、絶縁体50によって、地板30から一定の高さに配置されている。地板30は、平板状の導体である。地板30には給電部40が設けられている。ダイポールアンテナ1は、給電部40から給電線60を介して給電される。
【0013】
図3において、ダイポールアンテナ1は、第1ダイポールアンテナ素子121と、第2ダイポールアンテナ素子122とを備える。
【0014】
図2図3に示されるように、第1ダイポールアンテナ素子121及び第2ダイポールアンテナ素子122は、給電部40から給電線60を介して給電される。第1ダイポールアンテナ素子121は、給電部40に近い側に配置される。第2ダイポールアンテナ素子122は、給電部40から遠い側に配置される。
【0015】
第1ダイポールアンテナ素子121は、平板状の導体である。第1ダイポールアンテナ素子121は、当該平板状の導体の面が地板30に対向するように配置される。図1図3の例では、第1ダイポールアンテナ素子121は、同一形状の2個の平板状の第1サブ導体121-1,121-2から構成される。第1ダイポールアンテナ素子121は、給電部40から給電線60を介して、中間部分である第1サブ導体121-1と第1サブ導体121-2の間から給電される。
【0016】
第2ダイポールアンテナ素子122は、平板状の導体である。第2ダイポールアンテナ素子122は、当該平板状の導体の面が地板30に対向するように配置される。図1図3の例では、第2ダイポールアンテナ素子122は、同一形状の2個の平板状の第2サブ導体122-1,122-2から構成される。第2ダイポールアンテナ素子122は、給電部40から給電線60を介して、中間部分である第2サブ導体122-1と第2サブ導体122-2の間から給電される。
【0017】
第1ダイポールアンテナ素子121は、第2ダイポールアンテナ素子122よりも面積が大きい。
【0018】
図1図3の例では、第1ダイポールアンテナ素子121(121-1,121-2)と第2ダイポールアンテナ素子122(122-1,122-2)とは、絶縁体123(123-1,123-2)によって固定されている。
【0019】
次に図4図5を参照して第1実施形態に係るダイポールアンテナ1の寸法を説明する。図4図5は、第1実施形態に係るダイポールアンテナ1の寸法図である。
【0020】
図4には、ダイポールアンテナ1の寸法が示される。第1ダイポールアンテナ素子121の各第1サブ導体121-1,121-2は、幅がWaであり、長さがLXaである。第2ダイポールアンテナ素子122の各第2サブ導体122-1,122-2は、幅がWbであり、長さがLXbである。第1ダイポールアンテナ素子121(121-1,121-2)と第2ダイポールアンテナ素子122(122-1,122-2)との間隔はLXcである。
【0021】
図5には、ダイポールアンテナ1の高さの配置寸法が示される。ダイポールアンテナ1は、地板30から高さHaに配置される。
【0022】
ダイポールアンテナ1の使用周波数帯として、800メガヘルツ(MHz)帯と、1.8ギガヘルツ(GHz)帯から4.5GHz帯までとを適用する場合の寸法の一例を以下に示す。単位はミリメートル(mm)である。
Wa=44
LXa=10
Wb=25.5
LXb=13
LXc=15
Ha=26
また、第1サブ導体121-1,121-2及び第2サブ導体122-1,122-2の平板状の導体の厚さQaは0.5mmである。
【0023】
次に図6を参照して第1実施形態に係るダイポールアンテナ1の効果を説明する。図6は、第1実施形態に係るダイポールアンテナ1のシミュレーション結果のグラフ図である。図6に示されるシミュレーションに使用するダイポールアンテナ1は、上記した寸法の例「Wa=44、LXa=10、Wb=25.5、LXb=13、LXc=15、Ha=26、Qa=0.5」を適用したものである。
【0024】
図6のグラフ図において、横軸は周波数(単位はギガヘルツ(GHz)、縦軸はリターンロス(単位はデシベル(dB))である。図6のグラフ図に示されるように、使用周波数帯である800MHz帯と1.8GHz帯から4.5GHz帯までとにおいて、リターンロスが「-4.1dB」以下であり、良好な結果が得られている。この図6のグラフ図に示されるリターンロスは、使用周波数帯が800MHz帯と1.8GHz帯から4.5GHz帯までとである移動通信システムに適用可能な良好な結果である。これにより、ダイポールアンテナ1は、使用周波数帯が800MHz帯と1.8GHz帯から4.5GHz帯までとである移動通信システムに共用することができる。
【0025】
上述したように本実施形態に係るダイポールアンテナ1によれば、ダイポールアンテナの広帯域化を図ることができる。これにより、従来、例えば使用周波数帯が800MHz帯である移動通信システムと使用周波数帯が1.8GHz帯から4.5GHz帯までである移動通信システムとではそれぞれの使用周波数帯に対応する専用のアンテナを使用していたが、本実施形態によれば、それらの移動通信システムに対してダイポールアンテナ1を共用することができる。
【0026】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態に係るダイポールアンテナ1aの構成を示す図であって上面側の外観図である。図7において、図1図3の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。図7に示す第2実施形態に係るダイポールアンテナ1aは、図1図3に示す第1実施形態のダイポールアンテナ1とは、第1ダイポールアンテナ素子121の形状が異なる。具体的には、図7の第1ダイポールアンテナ素子121aは、図3に示されるダイポールアンテナ1において、地板30に対向する第1ダイポールアンテナ素子121の平板状の導体の面が第2ダイポールアンテナ素子122側に曲がっている。これにより、図7において、第1ダイポールアンテナ素子121aが地板30からはみ出す面積を小さくすることができる。さらには、第1ダイポールアンテナ素子121aが地板30からはみ出す面積をなくすことができる。このことは、ダイポールアンテナ1aの小型化に寄与する。
【0027】
また、図7に示されるように、複数のダイポールアンテナ1aが配置基準点70を囲むように配置されている。さらには、第2ダイポールアンテナ素子122が配置基準点70側に配置されている。図7の例では、3個のダイポールアンテナ1aが配置基準点70を囲むように配置されている。図7の例では、配置基準点70は、円形状の地板30の中心である。図7の例では、3個のダイポールアンテナ1aが配置基準点70を中心にして地板30の円周に沿って配置されている。
【0028】
図7に例示されるように、複数のダイポールアンテナ1aが配置基準点70を囲むように配置され、第2ダイポールアンテナ素子122が配置基準点70側に配置されることにより、無指向性(オムニアンテナ)化を実現することができる。
【0029】
図8は、図7に示される3個のダイポールアンテナ1aから構成されるダイポールアンテナのシミュレーション結果のグラフ図である。図8に示されるシミュレーションに使用するダイポールアンテナ1aは、上記した第1実施形態の寸法の例「Wa=44、LXa=10、Wb=25.5、LXb=13、LXc=15、Ha=26、Qa=0.5」を適用したものである。但し、第1ダイポールアンテナ素子121は図7に例示されるように第2ダイポールアンテナ素子122側に曲がっている。
【0030】
図8のグラフ図において、横軸は周波数(単位はGHz、縦軸はリターンロス(単位はdB)である。図8のグラフ図に示されるように、使用周波数帯である800MHz帯と1.8GHz帯から4.5GHz帯までとにおいて、リターンロスが「-4.1dB」以下であり、良好な結果が得られている。この図8のグラフ図に示されるリターンロスは、使用周波数帯が800MHz帯と1.8GHz帯から4.5GHz帯までとである移動通信システムに適用可能な良好な結果である。これにより、ダイポールアンテナ1は、使用周波数帯が800MHz帯と1.8GHz帯から4.5GHz帯までとである移動通信システムに共用することができる。
【0031】
第2実施形態に係るダイポールアンテナ1aにおいても、第1実施形態に係るダイポールアンテナ1と同様に、ダイポールアンテナの広帯域化を図ることができる。これにより、例えば、使用周波数帯が800MHz帯である移動通信システムと使用周波数帯が1.8GHz帯から4.5GHz帯までである移動通信システムとに対してダイポールアンテナ1aを共用することができる。さらに、第2実施形態に係るダイポールアンテナ1aによれば小型化を図ることができる。また、無指向性(オムニアンテナ)化を図ることができる。
【0032】
なお、図7において、第1実施形態に係るダイポールアンテナ1をダイポールアンテナ1aの代わりに使用してもよい。
【0033】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0034】
例えば、導体として、PEC(Perfect Electric Conductor)を使用してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1,1a…ダイポールアンテナ、121,121a…第1ダイポールアンテナ素子、122…第2ダイポールアンテナ素子、30…地板、40…給電部、50,123…絶縁体、60…給電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8