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特許7504767信用調査支援装置、方法、およびプログラム
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  • 特許-信用調査支援装置、方法、およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】信用調査支援装置、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0635 20230101AFI20240617BHJP
【FI】
G06Q10/0635
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020182636
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022072928
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】522389715
【氏名又は名称】株式会社サムポローニア
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 剛史
(72)【発明者】
【氏名】森山 紘次
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-038735(JP,A)
【文献】特開2004-302879(JP,A)
【文献】特開2016-151894(JP,A)
【文献】特開2020-113235(JP,A)
【文献】特開2016-009323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調査対象として指定された事業体について、商号、所在地、および役員の氏名を含む事業体情報の登記および/またはその変更を表す登記情報を取得する登記情報取得部と、
前記取得された登記情報に基づき、前記登記情報に記載された事業体の変更前の事業体を抽出する変更情報抽出部と、
前記抽出された事業体の登記情報を取得し、記録する登記物件登録部と、
前記指定された事業者の登記情報および前記抽出された事業体の登記情報から、商号を示す商号情報と所在地を示す所在地情報と役員の氏名を示す役員情報とを抽出する商号役員情報抽出部と、
前記指定された事業者の登記情報および前記抽出された事業体の登記情報から抽出された商号情報と所在地情報と役員情報とを提示する情報提示部と、
を有する調査支援装置。
【請求項2】
前記変更情報抽出部は、前記登記情報に移転、会社分割、吸収合併のひとつ以上の項目の情報が含まれていれば、前記登記情報の事業体に変更があったとし、該項目から前記事業体の変更前の事業体の情報を抽出する、
請求項1に記載の調査支援装置。
【請求項3】
前記指定された事業者および前記抽出された事業体について商号をキーワードとしてインターネット検索する検索部を更に有し、
前記検索部は、移転により抽出された事業体の情報をインターネット検索するときには、商号と所在地のアンド条件で検索を行う、
請求項2に記載の調査支援装置。
【請求項4】
前記検索部は、前記移転により抽出された事業体の情報をインターネット検索するとき、前記商号と前記所在地と予め登録されているキーワードとのアンド条件で検索を行う、
請求項3に記載の調査支援装置。
【請求項5】
前記変更情報抽出部は、前記登記物件登録部により取得された登記情報に基づき、前記登記情報に記載された事業体の変更前の事業体を再帰的に抽出し、
前記登記物件登録部は、前記再帰的に抽出された事業体の登記情報を取得し、記録する、
請求項1に記載の調査支援装置。
【請求項6】
前記情報提示部は、前記指定された事業者の登記情報をルートとし、前記再帰的に抽出された事業体の登記情報をツリー構造に表示する、
請求項5に記載の調査支援装置。
【請求項7】
コンピュータにより事業体の調査を支援する調査支援方法であって、
調査対象として指定された事業体について、商号、所在地、および役員の氏名を含む事業体情報の登記および/またはその変更を表す登記情報を取得し、
前記取得された登記情報に基づき、前記登記情報に記載された事業体の変更前の事業体を抽出し、
前記抽出された事業体の登記情報を取得し、記録し、
前記指定された事業者の登記情報および前記抽出された事業体の登記情報から、商号を示す商号情報と所在地を示す所在地情報と役員の氏名を示す役員情報とを抽出し、
前記指定された事業者の登記情報および前記抽出された事業体の登記情報から抽出された商号情報と所在地情報と役員情報とを提示する、
ことをコンピュータが実行する調査支援方法。
【請求項8】
事業体の調査を支援する調査支援方法をコンピュータに実行させるための調査支援プログラムであって、
調査対象として指定された事業体について、商号、所在地、および役員の氏名を含む事業体情報の登記および/またはその変更を表す登記情報を取得し、
前記取得された登記情報に基づき、前記登記情報に記載された事業体の変更前の事業体を抽出し、
前記抽出された事業体の登記情報を取得し、記録し、
前記指定された事業者の登記情報および前記抽出された事業体の登記情報から、商号を示す商号情報と所在地を示す所在地情報と役員の氏名を示す役員情報とを抽出し、
前記指定された事業者の登記情報および前記抽出された事業体の登記情報から抽出された商号情報と所在地情報と役員情報とを提示する、
ことをコンピュータに実行させるための調査支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業の信用調査を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
企業においては取引先による被害を防止することが求められる。取引先による被害を防止するには、例えば取引を開始する前に取引先となる企業の情報を収集し、収集した情報を基にその企業が信用できるものであるかどうか調査するのが有効である。
【0003】
特許文献1には、企業のデータを収集する方法が開示されている。特許文献1に記載された方法によれば、企業のコーポレーションリンケージ(すなわち複数の会社間の系列関係ないしは提携関係)についてのチェックが行われ、コーポレーションファミリーが企業と対応づけられる。できるかぎり完全なデータを収集する目的で、カスタマ、プロスペクト、サプライヤに関してデータが収集される。いくつかのデータソースはたとえば直接調査、取引データ、公記録、ウェブソースなどである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2006-518512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の方法では、合併または買収が行われた場合には、更新されたコーポレーションファミリーの情報が用いられる。そのため、企業が合併等で閉鎖された過去の情報を企業の信用の判断に有効に活用することができなかった。
【0006】
本開示のひとつの目的は、過去の情報を企業の信用の判断に有効に活用することを可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のひとつの態様によれば、調査支援装置は、調査対象として指定された事業体について、商号、所在地、および役員の氏名を含む事業体情報の登記および/またはその変更を表す登記情報を取得する登記情報取得部と、前記取得された登記情報に基づき、前記登記情報に記載された事業体の変更前の事業体を抽出する変更情報抽出部と、前記抽出された事業体の登記情報を取得し、記録する登記物件登録部と、前記指定された事業者の登記情報および前記抽出された事業体の登記情報から、商号を示す商号情報と所在地を示す所在地情報と役員の氏名を示す役員情報とを抽出する商号役員情報抽出部と、前記指定された事業者の登記情報および前記抽出された事業体の登記情報から抽出された商号情報と所在地情報と役員情報とを提示する情報提示部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示のひとつの態様によれば、過去の情報を企業の信用の判断に有効に活用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態のシステム構成を示す図である。
図2図2は、本実施形態の調査支援装置のブロック図である。
図3図3は、コンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図4は、登記情報の一例を示す図である。
図5図5は、本実施形態における調査支援処理のフローチャートである。
図6図6は、本実施形態における商号役員情報取得処理のフローチャートである。
図7図7は、本実施形態の調査支援装置の表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
本実施形態では、例えば取引先候補である企業等の事業者の信用調査を支援するシステムを例示する。
【0012】
図1は、本実施形態のシステム構成を示す図である。図1を参照すると、調査支援装置10がインターネット91にされている。インターネット91上では様々なウェブサイト(不図示)により情報が提供されている。また、インターネット91上では様々なウェブサービスが提供されている。登記情報提供サービス92はウェブサービスのひとつであり、商業登記および法人登記の登記情報を提供する。登記情報提供サービス92は、サービスに接続したコンピュータにサービス画面を表示し、サービス画面上で商号および所在地の情報が指定されると、それに該当する登記情報をそのコンピュータに送信する。
【0013】
登記情報には、会社およびそれ以外の法人を含む事業体の商号、本店の所在地、役員の役職および氏名、本店移転による登記である旨、会社分割による設立による登記である旨、吸収合併をした旨および合併した会社の商号などの情報が含まれる。本店移転があった場合、通常、事業は継続されるが登記情報は新たな登記手続きにより新たな登記情報が登録される。また、会社分割により設立された会社は、通常、分割前の会社の一部の事業を継続するが、新たな登記手続きにより新たな登記情報が登録される。また、吸収合併が行われると、吸収された会社の事業は吸収した会社によって継続されるが、吸収された会社の登記情報は閉鎖される。事業体の信用調査では、移転、会社分割、吸収合併があってもその前後の事業体の一連の情報を調査することが望ましい。
【0014】
調査支援装置10は、事業体の信用調査を行うユーザの作業を支援する装置であり、一例として、ユーザのコンピュータで調査支援プログラム(不図示)を実行することにより実現される。調査支援プログラムは、パーソナルコンピュータ等のコンピュータ上で動作するアプリケーションプログラムである。ただし、調査支援装置10の構成は本実施形態に示す例に限定されない。他の構成として、ユーザのコンピュータからインターネット経由で利用可能なサービスをクラウド上で実現するものであってもよい。
【0015】
図2は、本実施形態の調査支援装置のブロック図である。調査支援装置10は、登記情報取得部11と、変更情報抽出部14と、登記物件登録部13と、商号役員情報抽出部12と、情報提示部15と、検索部16とを有している。
【0016】
登記情報取得部11は、登記情報提供サービス92に接続し、調査対象として指定された事業体の登記情報を取得する。上述したように、登記情報には、事業体の商号、所在地、および役員の氏名を含む事業体情報の登記および/またはその変更を表す情報が含まれている。登記の変更には、移転、会社分割、および吸収合併が含まれる。
【0017】
変更情報抽出部14は、取得された登記情報に基づき、その登記情報に記載された事業体の変更前の事業体を抽出する。ここでいう取得された登記情報には、登記情報取得部11にて取得された登記情報と、登記物件登録部13にて取得された登記情報とが含まれる。
【0018】
登記物件登録部13は、変更情報抽出部14にて抽出された事業体の登記情報を取得し、記録する。
【0019】
商号役員情報抽出部12は、調査対象として指定された事業者の登記情報と、変更情報抽出部14にて抽出された事業体の登記情報とから、商号を示す商号情報と所在地を示す所在地情報と役員の氏名を示す役員情報とを抽出する。
【0020】
情報提示部15は、調査対象として指定された事業者の登記情報および抽出された事業体の登記情報から抽出された商号情報と所在地情報と役員情報とを画面に表示することにより、ユーザに提示する。
【0021】
以上のように、指定された事業体の登記情報だけでなくその変更前の事業体の登記情報も収集し、ユーザに提示するので、ユーザは過去の情報を事業体の信用の判断に有効に活用することが可能になる。
【0022】
検索部16は、情報提示部15がユーザに提示した情報の中からユーザが指定した情報に関するインターネット検索し、検索結果をユーザに提示する。例えば、検索部16は、調査対象として指定された事業者が画面上で選択され検索の実行が指示されると、その事業者の商号をキーワードとしてインターネット検索を実行する。また、検索部16は、抽出された事業体が画面上で指定され検索の実行が指示されると、その事業体の商号をキーワードとしてインターネット検索を実行する。ユーザは、遡って取得された登記情報から事業体や役員を指定して検索できるので、信用調査に有益な情報を容易に取得することができる。
【0023】
図3は、コンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ20は、一例として、インターネットに接続可能なパーソナルコンピュータである。コンピュータ20は、ハードウェアとして、入力装置21、出力装置22、通信装置23、CPU24、メモリ25を有している。
【0024】
CPU24は、メモリ25を利用してソフトプログラムを実行するプロセッサである。図2に示した登記情報取得部11、変更情報抽出部14、登記物件登録部13、商号役員情報抽出部12、情報提示部15、および検索部16は、CPU24が調査支援プログラムを実行することにより実現される。
【0025】
通信装置23は、CPU24にて処理された情報を有線または無線あるいはそれら両方を含む通信ネットワークを介して送信し、また通信ネットワークを介して受信した情報をCPU24に伝達する。受信した情報はCPU24にてソフトウェアプログラムの処理に利用される。
【0026】
入力装置21は、キーボードやマウスなどユーザによる操作入力による情報を受け付ける装置であり、入力された情報はCPU24にてソフトウェアプログラムの処理に利用される。
【0027】
出力装置22は、CPU24による処理に伴って画像やテキストの情報をディスプレイ画面に表示する装置である。
【0028】
図4は、登記情報およびその相互関係の一例を示す図である。図4には、調査支援装置10により取得される一連の4つの登記情報31、32、33、34およびその相互関係が示されている。登記情報31は、調査対象として指定された事業体の最新の登記情報である。調査対象の事業体は、商号が株式会社〇〇〇〇〇であり、所在地が東京都品川区東品川四丁目であり、代表取締役が日立太郎である。登記情報31は、神奈川県横浜市西区高島一丁目からの本店移転により登録された登記情報である。
【0029】
登記情報32は、株式会社〇〇〇〇〇の移転前の登記情報である。登記情報32は閉鎖されている。登記情報32には、株式会社〇〇〇〇〇〇の所在地が神奈川県横浜市西区高島一丁目であり、代表取締役が横浜花子であることが記載されている。また、登記情報32には、株式会社〇〇〇〇〇が、東京都台東区根岸一丁目に所在する株式会社△△△△△と、東京都品川区東品川四丁目に所在する株式会社□□□□□とを吸収合併したことが記載されている。
【0030】
登記情報33は、株式会社〇〇〇〇〇に吸収合併される前の株式会社△△△△△の登記情報である。登記情報33には、株式会社△△△△△の所在地が東京都台東区根岸一丁目であり、代表取締役が根岸次郎であることが記載されている。
【0031】
登記情報34は、株式会社〇〇〇〇〇に吸収合併される前の株式会社□□□□□の登記情報である。登記情報34には、株式会社□□□□□の所在地が東京都品川区東品川四丁目であり、代表取締役が品川良子であることが記載されている。
【0032】
図5は、本実施形態における調査支援処理のフローチャートである。
【0033】
ステップ101にて、調査支援装置10は、ユーザから調査対象の事業者(例えば会社)の商号および所在地の情報の入力を受け付ける。ステップ102にて、調査支援装置10は、指定された調査対象の事業者の商号および役員の情報を過去まで溯って取得する。
【0034】
図6は、本実施形態における商号役員情報取得処理のフローチャートである。
【0035】
ステップ201にて、調査支援装置10は、取得対象の登記物件を選択する。このとき調査支援装置10は、取得済みの登記情報から抽出された変更前の事業者の登記物件を、取得対象の登記物件として選択する。変更前の事業者の登記物件が複数ある場合には任意の順序でひとつずつ選択すればよい。
【0036】
ステップ202にて、調査支援装置10は、登記情報提供サービス92から、取得対象の登記物件の登記情報を取得する。ステップ203にて、調査支援装置10は、ステップ202で取得された登記情報から商号の情報および役員の情報を抽出する。更に、ステップ204にて、調査支援装置10は、ステップ202で取得された登記情報から、移転、会社分割、および吸収分割に関する情報を抽出する。そして、ステップ205にて、調査支援装置10は、移転、会社分割、あるいは吸収合併の情報があったか否か判定する。このとき、調査支援装置10(の変更情報抽出部14)は、登記情報に移転、会社分割、吸収合併のひとつ以上の項目の情報が含まれていれば、事業体に変更があったとし、その項目から変更前の事業体の情報を抽出する。変更前の事業体の情報は、会社分割または吸収合併前の商号、および移転前の事業体の所在地の情報を含む。
【0037】
移転、会社分割、あるいは吸収合併の情報があれば、ステップ206にて、調査支援装置10は、移転、会社分割、および吸収合併による変更前の事業者の登記情報を登記情報提供サービス92から取得する。このとき、調査支援装置10では、変更情報抽出部14が、登記物件登録部13により取得された登記情報に基づき、登記情報に記載された事業体の変更前の事業体を再帰的に抽出する。
【0038】
ステップ205で移転、会社分割、あるいは吸収合併の情報がなかった場合、あるいはステップ206の後、ステップ207にて、調査支援装置10は、移転、会社分割、あるいは吸収合併による変更前の事業者の登記情報を取得したか否か判定する。変更前の事業者の登記情報を取得したのであれば、ステップ208にて、調査支援装置10は、登記情報を取得すべき登記物件が残っているか否か判定する。登記情報を取得すべき登記物件が残っていれば、調査支援装置10はステップ201に戻って処理を繰り返す。
【0039】
ステップ207にて取得された登記情報がなかった場合、あるいはステップ208にて登記情報を取得すべき登記物件が残っていなかった場合、調査支援装置10は、商号役員情報取得処理102を終了する。
【0040】
ここに示したように、調査支援装置10の変更情報抽出部14は、登記情報に移転、会社分割、吸収合併のひとつ以上の項目の情報が含まれていれば、その登記情報の事業体に変更があったとし、その項目から事業体の変更前の事業体の情報を抽出する。これにより、移転、会社分割、吸収合併があった場合にそれ以前の事業体の情報を遡って収集することができる。
【0041】
また、ここに示したように、調査支援装置10の変更情報抽出部14は、登記物件登録部13により取得された登記情報に基づき、登記情報に記載された事業体の変更前の事業体を再帰的に抽出する。そして、登記物件登録部13は、再帰的に抽出された事業体の登記情報を取得し、記録する。このように、登記情報を再帰的に取得するので、事業体の過去の情報を的確に効率よく取得することができる。
【0042】
ステップ103にて、調査支援装置10は、取得した商号および役員の情報を画面に表示する。画面表示の詳細は後述する。ステップ104にて、調査支援装置10は、画面に表示した事業体あるいは役員の中でユーザが指定したものについてインターネット検索を実行する。事業体についてインターネット検索を行う場合、調査支援装置10の検索部16は、事業体について商号をキーワードとしてインターネット検索を行う。また、検索部16は、移転により抽出された事業体の情報をインターネット検索するときには、商号と所在地のアンド条件で検索を行ってもよい。移転により抽出された過去の事業体の情報を抽出するときに移転後の事業体の情報との重複を抑制することができる。また、役員についてインターネット検索を行う場合、検索部16は、役員の氏名をキーワードとしてインターネット検索を行う。また、検索部16は、上記キーワードと予め登録されているキーワードとのアンド条件でインターネット検索を行うことにしてもよい。例えば、検索部16は、移転により抽出された事業体の情報をインターネット検索するとき、前記商号と前記所在地と予め登録されているキーワードとのアンド条件で検索を行う。予め登録されているキーワードとして、例えば、「逮捕」などのようなネガティブな意味を持った単語を用いればよい。ネガティブワードを予め登録しておけば、事業体の取引リスクに関する情報を検索により容易に得ることができる。
【0043】
ステップ105にて、調査支援装置10は、検索結果を画面に表示する。
【0044】
図7は、本実施形態の調査支援装置の表示画面の一例を示す図である。画面40は、上記ステップ103にて調査支援装置10が表示する画面である。画面40には、商業・法人変遷画面41と、役員一覧画面42と、修正ボタン43と、登記情報取得ボタン44と、Web検索ボタン45とが含まれている。
【0045】
商業・法人変遷画面41は、調査支援装置10が取得した登記情報の相互関係をツリー構造に表示する画面である。情報提示部15は、調査対象として指定された事業者の登記情報をルートとし、そこから再帰的に抽出された事業体の登記情報をツリー構造に表示する。これにより、過去に遡る方向で登記情報がツリー構造で表示されるので、事業体の過去に遡る情報を容易に知得することができる。商業・法人変遷画面41には、調査支援装置10が取得した登記情報の相互関係をツリー構造にし、登記情報ごとに種別、商号・名称、所在地、登録日、および最終取得日の一覧表が表示される。種別は、当該登記情報が、調査対象か、本店移転の前のものか、吸収合併の前のものか等を示す。商号・名称は、当該登記情報の事業体の商号を示す。所在地は、当該登記情報における事業体の本店の概略の所在地を示す。登録日は当該登記情報が登録されて日付を示す。最終取得日は当該登記情報が最後に取得された日付を示す。
【0046】
役員一覧画面42は、調査支援装置10が取得した登記情報から抽出された役員の商号・名称、役職、氏名、住所、日付、および原因を一覧表にした画面である。商号・名称は、当該役員が抽出された登記情報における事業体の商号を示す。役職は、当該役員の役職を示す。氏名は当該役員の氏名を示す。住所は当該役員の概略の住所を示す。日付は、当該役員が抽出された登記情報が登録された日付を示す。原因は当該役員が就任した原因を示す。
【0047】
修正ボタン43は、調査支援装置10の商号役員情報抽出部12にて抽出された商号あるいは所在地をユーザが手入力により修正することを可能にするボタンである。商号役員情報抽出部12が登記情報から抽出した商号や所在地などの情報に不備があった場合に、商業・法人変遷画面41あるいは役員一覧画面42における修正すべき箇所を選択状態にし、修正ボタン43をクリックすると、その箇所に記載されている情報が編集可能となる。
【0048】
登記情報取得ボタン44は、上記ステップ202および206における登記情報の取得をユーザが許可する操作を行うためのボタンである。調査支援装置10の登記情報取得部11は、ステップ202およびステップ206において、登記情報を取得しようとするとき、ユーザに登記情報の取得の可否の判断を促す。そして、ユーザが登記情報の取得を許可したら、登記情報取得部11は、登記情報提供サービス92から登記情報を取得する。
【0049】
Web検索ボタン45は、上記ステップ104にて、インターネット検索を実行するためのボタンである。調査支援装置10の検索部16は、商業・法人変遷画面41の商号・名称の項目にあるいずれかの商号を選択した状態でWeb検索ボタン45がクリックされると、選択されている商号をキーワードとしてインターネット検索を実行する。また調査支援装置10の検索部16は、役員一覧画面42の氏名の項目にあるいずれかの役員の氏名を選択した状態でWeb検索ボタン45がクリックされると、選択されている氏名をキーワードとしてインターネット検索を実行する。
【0050】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の範囲を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【0051】
例えば、調査支援装置10は、情報提示部15によりユーザに提示した登記情報および検索結果の情報を、ユーザに提示した日付とともに記録することにしてもよい。例えば、ユーザが新たな事業体と取引を開始するのに際して、その事業体を調査対象として信用調査を行う。そのとき、ユーザは調査支援装置10を利用して登記情報および検索結果を閲覧し、その事業体との取引を許可するか否か判断する。調査支援装置10の情報提示部15が記録した情報は、ユーザがどのような信用調査を行ったかを示すエビデンスとなる。
【0052】
また、調査支援装置10は、役員一覧画面42に表示した情報をcsv等のデータファイルとして出力可能としてもよい。調査対象である事業体の歴代の役員と、予め作成しておいた注意すべき人物のリスト(例えばブラックリスト)に含まれる人物とを照合するときにデータによる照合が可能となる。
【符号の説明】
【0053】
10…調査支援装置、11…登記情報取得部、12…商号役員情報抽出部、13…登記物件登録部、14…変更情報抽出部、15…情報提示部、16…検索部、20…コンピュータ、21…入力装置、22…出力装置、23…通信装置、24…CPU、25…メモリ、31…登記情報、32…登記情報、33…登記情報、34…登記情報、40…画面、41…法人変遷画面、42…役員一覧画面、43…修正ボタン、44…登記情報取得ボタン、45…Web検索ボタン、91…インターネット、92…登記情報提供サービス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7