(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】負荷推定装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20240617BHJP
【FI】
A61B5/11 230
(21)【出願番号】P 2020184609
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 康晋
(72)【発明者】
【氏名】池 司
(72)【発明者】
【氏名】福永 いづみ
(72)【発明者】
【氏名】谷沢 昭行
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/116597(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0344919(US,A1)
【文献】特開2014-217753(JP,A)
【文献】国際公開第2017/037839(WO,A1)
【文献】特開2020-140609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/11-/113
A61B 5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象からのセンサデータを取得する取得部と、
前記センサデータに基づいて前記計測対象の一つ以上の身体部位に関する一つ以上の姿勢負荷を算出する姿勢負荷算出部と、
前記姿勢負荷の情報を用いて、前記姿勢負荷の情報の次元数よりも高い次元数に分類する第1のクラスタリングを行い第1のクラスタリング結果を生成する第1の生成部と、
前記第1のクラスタリング結果に含まれる各クラスタにおける代表サンプルから、前記姿勢負荷の情報に含まれる複数のサンプルそれぞれまでの距離を用いて、前記第1のクラスタリングにおけるクラスタ数以下に分類する第2のクラスタリングを行い第2のクラスタリング結果を生成する第2の生成部と、
前記第2のクラスタリング結果に基づいて前記計測対象に関する総合負荷特徴を算出する総合負荷特徴算出部と、
前記一つ以上の姿勢負荷を時系列に示した姿勢負荷グラフ
および前記総合負荷特徴に基づくグラフを含む表示データを表示する表示制御部と
を具備する、負荷推定装置。
【請求項2】
前記姿勢負荷算出部は、前記身体部位の姿勢角の分布に基づいて前記姿勢負荷を算出する、
請求項1に記載の負荷推定装置。
【請求項3】
複数の計測対象についての姿勢負荷を記憶する計測対象情報記憶部と、
前記複数の計測対象のうちの特定の計測対象の姿勢負荷を抽出する計測対象抽出部と
を更に具備し、
前記表示制御部は、前記特定の計測対象に関する表示データを表示する、
請求項1または請求項2に記載の負荷推定装置。
【請求項4】
前記第1のクラスタリング結果は、前
記複数のサンプルに割り当てられたサンプルIDと、前記第1のクラスタリングによって分類された
前記各クラスタを区別するための第1のクラスタIDとを対応付けたデータ、および前記各クラスタにおける代表サンプルの情報を含み、
前記姿勢負荷の情報および前記第1のクラスタリング結果に基づいて、前記複数のサンプルそれぞれについて、各代表サンプルまでの距離を対応付けた個別負荷特徴を算出する個別負荷特徴算出部
を更に具備し、
前記第2の生成部は、前記個別負荷特徴の情報に基づいて、前記第2のクラスタリングを行い前記第2のクラスタリング結果を生成する、
請求項
1から請求項3までのいずれか一項に記載の負荷推定装置。
【請求項5】
前記第2のクラスタリング結果は、前記サンプルIDと、前記第2のクラスタリングによって分類された各クラスタを区別するための第2のクラスタIDとを対応付けたデータを含み、
前記総合負荷特徴算出部は、前記第2のクラスタIDに対してクラスタの負荷の種類に関する負荷属性を決定する、
請求項
4に記載の負荷推定装置。
【請求項6】
前記総合負荷特徴は、前記第2のクラスタIDと前記負荷属性とを対応付けたデータを含み、
複数の負荷属性のうちの特定の負荷属性に対応する時間範囲を抽出する負荷属性抽出部、
を更に具備し、
前記表示制御部は、前記姿勢負荷グラフに対して前記時間範囲を強調した前記表示データを表示する、
請求項
5に記載の負荷推定装置。
【請求項7】
前記計測対象が行った作業の種別である作業種と、作業期間とを対応付けて記憶する作業種情報記憶部と、
複数の作業種のうちの特定の作業種に対応する時間範囲を抽出する作業種抽出部と
を更に具備し、
前記表示制御部は、前記姿勢負荷グラフに対して前記時間範囲を強調した前記表示データを表示する、
請求項1から請求項
5までのいずれか一項に記載の負荷推定装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記計測対象を含む作業場所の映像データを取得し、
前記表示制御部は、更に、前記映像データを含んだ前記表示データを表示する、
請求項1から請求項
7までのいずれか一項に記載の負荷推定装置。
【請求項9】
前記取得部は、前記計測対象を含む作業場所の映像データを取得し、
前記作業場所のマップと、前記マップを一つ以上のエリアに分割したエリア情報とを対応付けて記憶する場所情報記憶部と、
映像データに基づいて前記作業場所を特定する作業場所特定部と、
前記作業場所に含まれる複数の作業エリア毎の作業負荷を算出する場所別負荷推定部と
を更に具備し、
前記表示制御部は、前記複数の作業エリア毎の作業負荷を可視化するグラフを含んだ前記表示データを表示する
請求項1から請求項
7までのいずれか一項に記載の負荷推定装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、更に、前記映像データを含んだ前記表示データを表示する、
請求項
9に記載の負荷推定装置。
【請求項11】
計測対象からのセンサデータを取得することと、
前記センサデータに基づいて前記計測対象の一つ以上の身体部位に関する一つ以上の姿勢負荷を算出することと、
前記姿勢負荷の情報を用いて、前記姿勢負荷の情報の次元数よりも高い次元数に分類する第1のクラスタリングを行い第1のクラスタリング結果を生成することと、
前記第1のクラスタリング結果に含まれる各クラスタにおける代表サンプルから、前記姿勢負荷の情報に含まれる複数のサンプルそれぞれまでの距離を用いて、前記第1のクラスタリングにおけるクラスタ数以下に分類する第2のクラスタリングを行い第2のクラスタリング結果を生成することと、
前記第2のクラスタリング結果に基づいて前記計測対象に関する総合負荷特徴を算出することと、
前記一つ以上の姿勢負荷を時系列に示した姿勢負荷グラフ
および前記総合負荷特徴に基づくグラフを含む表示データを表示することと
を具備する、負荷推定方法。
【請求項12】
コンピュータを、
計測対象からのセンサデータを取得する手段と、
前記センサデータに基づいて前記計測対象の一つ以上の身体部位に関する一つ以上の姿勢負荷を算出する手段と、
前記姿勢負荷の情報を用いて、前記姿勢負荷の情報の次元数よりも高い次元数に分類する第1のクラスタリングを行い第1のクラスタリング結果を生成する手段と、
前記第1のクラスタリング結果に含まれる各クラスタにおける代表サンプルから、前記姿勢負荷の情報に含まれる複数のサンプルそれぞれまでの距離を用いて、前記第1のクラスタリングにおけるクラスタ数以下に分類する第2のクラスタリングを行い第2のクラスタリング結果を生成する手段と、
前記第2のクラスタリング結果に基づいて前記計測対象に関する総合負荷特徴を算出する手段と、
前記一つ以上の姿勢負荷を時系列に示した姿勢負荷グラフ
および前記総合負荷特徴に基づくグラフを含む表示データを表示する手段
として機能させるための負荷推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、負荷推定装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造現場および物流現場などにおいて、作業者の作業時間および休憩時間を割り当てる際に、例えば、作業者の負荷推定が必要となる。作業者の負荷推定として、例えば、作業テーブルから負荷を推定する手法が知られている。この手法は、作業者が事前に決められた作業テーブルに従って作業するものと見なし、作業テーブルに含まれる各作業に対応付けられた負荷値に基づいて負荷推定を行う。しかし、この手法では、作業者の動作などが反映されていないため、推定された負荷と実際の負荷とが乖離する可能性がある。
【0003】
また、別の作業者の負荷推定として、動作センサを用いて負荷を推定する手法が知られている。この手法は、作業者に装着された動作センサによって取得されたセンサデータから、負荷を推定し、負荷が一定以上となった場合に警告を発するものである。しかし、この手法では、作業者の姿勢の持続時間に着目して負荷を推定していることから、どのような作業状態において警告が発せられたかを把握するのが困難である。また、この手法では、作業者毎の動作の違いが考慮されていないため、作業者間での作業動作に関する負荷の比較ができず、作業動作の改善も困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-115651号公報
【文献】特開2019-103609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、作業者の動作を考慮した負荷推定を行うことができる負荷推定装置、方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る負荷推定装置は、取得部と、姿勢負荷算出部と、表示制御部とを備える。取得部は、計測対象からのセンサデータを取得する。姿勢負荷算出部は、センサデータに基づいて計測対象の一つ以上の身体部位に関する一つ以上の姿勢負荷を算出する。表示制御部は、一つ以上の姿勢負荷を時系列に示した姿勢負荷グラフを含む表示データを表示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る負荷推定装置を含む負荷推定システムの構成を例示するブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る負荷推定装置の構成を例示するブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る負荷推定装置の動作を例示するフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図3のフローチャートの姿勢負荷算出処理を例示するフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1の実施形態における、センサと、センサ基準軸と、回転角との関係を説明する図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態における、センサの装着部位と、センサの装着方向とを説明する図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態における、上腕に装着されたセンサの姿勢角度を標準化した分布を示すグラフである。
【
図8】
図8は、
図7のグラフにおいて、負荷が小さい場合の上腕の姿勢を説明する図である。
【
図9】
図9は、
図7のグラフにおいて、負荷が大きい場合の上腕の姿勢を説明する図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態における、上腕に装着されたセンサの姿勢角度を標準化した分布を示すグラフと、手首に装着されたセンサの姿勢角度を標準化した分布を示すグラフとの関係を説明する図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態における、3次元の姿勢負荷情報を時系列に示したグラフである。
【
図12】
図12は、第1の実施形態における、姿勢負荷情報の三次元座標上へのプロットを説明する図である。
【
図15】
図15は、特定のサンプルから複数の代表サンプルへの距離を説明する図である。
【
図16】
図16は、第1の実施形態における総合負荷特徴の負荷強度グラフを例示する図である。
【
図17】
図17は、第1の実施形態における総合負荷特徴の負荷属性グラフを例示する図である。
【
図18】
図18は、第2の実施形態に係る負荷推定装置の構成を例示するブロック図である。
【
図19】
図19は、第2の実施形態に係る負荷推定装置の動作を例示するフローチャートである。
【
図20】
図20は、第2の実施形態における時刻と、作業者IDと、姿勢負荷情報と、センサデータとを対応付けたテーブルである。
【
図21】
図21は、第2の実施形態における表示データの一例である。
【
図22】
図22は、第3の実施形態に係る負荷推定装置の構成を例示するブロック図である。
【
図23】
図23は、第3の実施形態に係る負荷推定装置の動作を例示するフローチャートである。
【
図24】
図24は、第3の実施形態における表示データの一例である。
【
図25】
図25は、第4の実施形態に係る負荷推定装置の構成を例示するブロック図である。
【
図26】
図26は、第4の実施形態に係る負荷推定装置の動作を例示するフローチャートである。
【
図27】
図27は、第4の実施形態における作業者IDと、作業種と、作業期間とを対応付けたテーブルである。
【
図28】
図28は、第4の実施形態における表示データの一例である。
【
図29】
図29は、第5の実施形態に係る負荷推定装置を含む負荷推定システムの構成を例示するブロック図である。
【
図30】
図30は、第5の実施形態に係る負荷推定装置の構成を例示するブロック図である。
【
図31】
図31は、第5の実施形態に係る負荷推定装置の動作を例示するフローチャートである。
【
図32】
図32は、第5の実施形態における映像データの画像を例示する図である。
【
図33】
図33は、第5の実施形態における二次元の見取り図を例示する図である。
【
図34】
図34は、
図33の見取り図上に表示される撮像装置および作業者を例示する図である。
【
図35】
図35は、第5の実施形態における見取り図と共に表示されるパイチャートとを例示する図である。
【
図36】
図36は、第5の実施形態における表示データの一例である。
【
図37】
図37は、一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、負荷推定装置の実施形態について詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る負荷推定装置を含む負荷推定システムの構成を例示するブロック図である。
図1の負荷推定システム1は、負荷推定装置100と、出力装置110と、一つ以上のセンサとを備える。
図1では、一つ以上のセンサとして、第1のセンサ121、第2のセンサ122、および第3のセンサ123を例示する。これら三つのセンサは、それぞれ同一計測対象についてのセンサデータを取得する。計測対象は、例えば、工場などの作業現場で作業をする作業者である。負荷推定装置100は、一つ以上のセンサデータに基づいて、作業に関する負荷の特性(負荷特性)を推定する。出力装置110は、負荷特性に基づく表示データを表示する。
【0010】
なお、負荷推定システム1は、他の計測対象についてのセンサデータを取得するセンサを含んでもよい。即ち、負荷推定装置100は、複数の計測対象から、それぞれ一つ以上のセンサデータを取得してもよい。
【0011】
出力装置110は、例えば、モニタである。出力装置110は、負荷推定装置100から表示データを受け取る。出力装置110は、表示データを表示する。尚、出力装置110は、表示データを表示可能であればモニタに限らない。例えば、出力装置110は、プロジェクタおよびプリンタでもよい。また、出力装置110は、スピーカを備えてもよい。
【0012】
一つ以上のセンサは、例えば、計測対象の複数の身体部位に装着されたウェアラブルデバイスに内蔵される。以降では、ウェアラブルデバイスとセンサとは同様の意味で用いることとする。複数の身体部位は、例えば、手首、上腕、足首、上腿、腰、背中、および頭などである。一つ以上のセンサのうちの各センサは、例えば、加速度データ、角速度データ、地磁気データ、気圧データ、温湿度データ、筋電位データ、および脈派データなどの少なくとも一つの計測データをセンサデータとして取得する。好適には、各センサは、少なくとも加速度データをセンサデータとして取得する。計測データは、複数のチャネルを含んでもよい。例えば、計測データが加速度データである場合、センサデータは、加速度の各方向(例えば、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向)成分に対応する3チャネル分の計測データを含む。本実施形態では、一つ以上のセンサとして、第1のセンサ121、第2のセンサ122、および第3のセンサ123を利用する場合について説明される。また、これらのセンサは、例えば加速度センサである。
【0013】
第1のセンサ121は、例えば、計測対象の手首に装着される。第1のセンサ121は、計測対象の手首の状態をセンサデータとして計測する。第1のセンサ121は、計測したセンサデータを負荷推定装置100へと出力する。
【0014】
第2のセンサ122は、例えば、計測対象の上腕に装着される。第2のセンサ122は、計測対象の上腕の状態をセンサデータとして計測する。第2のセンサ122は、計測したセンサデータを負荷推定装置100へと出力する。
【0015】
第3のセンサ123は、例えば、計測対象の腰に装着される。第3のセンサ123は、計測対象の腰の状態をセンサデータとして計測する。第3のセンサ123は、計測したセンサデータを負荷推定装置100へと出力する。
【0016】
図2は、第1の実施形態に係る負荷推定装置の構成を例示するブロック図である。
図2の負荷推定装置100は、データ取得部201と、姿勢負荷算出部202と、第1のクラスタリング部203(第1の生成部)と、個別負荷特徴算出部204と、第2のクラスタリング部205(第2の生成部)と、総合負荷特徴算出部206と、表示制御部207とを備える。
【0017】
データ取得部201は、第1のセンサ121、第2のセンサ122、および第3のセンサ123のそれぞれからセンサデータを取得する。以降では、これら三つのセンサデータを区別する必要が無い場合、単にセンサデータと称する。データ取得部201は、取得したセンサデータを姿勢負荷算出部202へと出力する。センサデータは、例えば、時刻と、各センサの3チャネル分の計測データが対応付けられたデータを含む。尚、データ取得部201は、取得したセンサデータを、記憶部(
図2には図示せず)へ記憶させてもよいし、外部のサーバへ送信してもよい。
【0018】
姿勢負荷算出部202は、データ取得部201からセンサデータを受け取る。姿勢負荷算出部202は、センサデータに基づいて姿勢負荷を算出する。姿勢負荷算出部202は、算出した姿勢負荷の情報(姿勢負荷情報)を第1のクラスタリング部203および個別負荷特徴算出部204へとそれぞれ出力する。尚、姿勢負荷算出部202は、算出した姿勢負荷情報を、記憶部へ記憶させてもよいし、外部のサーバへ送信してもよい。
【0019】
姿勢負荷情報は、例えば、時刻と、各センサにそれぞれ対応する部位に関する姿勢負荷とが対応付けられたデータを含む。姿勢負荷とは、身体的な負荷を生じ得る作業姿勢における負荷である。よって、作業者の姿勢によっては、姿勢負荷情報が算出されない時刻があってもよい。また、姿勢負荷情報は、少なくとも一つのセンサに対応する部位の姿勢負荷が含まれていればよい。以降において、ある時刻と、その時刻に対応する各部位の姿勢負荷との組み合わせは「サンプル」と呼ばれてもよい。即ち、姿勢負荷情報は、複数のサンプルが含まれている。この複数のサンプルの個数は、センサデータを取得する期間と、センサデータを取得するサンプリング周期とによって決定される。サンプリング周期は、例えば10msecである。尚、複数のサンプルのそれぞれには、個別のサンプルを特定するためのサンプルIDが割り当てられてもよい。
【0020】
具体的には、姿勢負荷算出部202は、センサデータに基づいて姿勢角を算出する。より具体的には、姿勢負荷算出部202は、例えば、加速度成分から推定した重力方向のベクトルと、装着したセンサの基準軸との成す角度を姿勢角として算出する。或いは、姿勢負荷算出部202は、センサデータを入力すると姿勢角を出力するように学習された機械学習の学習済みモデルを用いて姿勢角を算出してもよい。
【0021】
さらに、姿勢負荷算出部202は、算出した姿勢角に対して標準化処理を行い、標準姿勢角を算出する。そして、姿勢負荷算出部202は、算出した標準姿勢角を用いて姿勢角分布を生成し、生成した姿勢角分布を用いて閾値処理を行い、姿勢負荷を算出する。
【0022】
第1のクラスタリング部203は、姿勢負荷算出部202から姿勢負荷情報を受け取る。第1のクラスタリング部203は、姿勢負荷情報を用いて第1のクラスタリングを行い、第1のクラスタリング結果を生成する。第1のクラスタリング部203は、生成した第1のクラスタリング結果を個別負荷特徴算出部204へと出力する。
【0023】
クラスタリングの手法としては、例えば、k平均法(k-meansclustering)が用いられる。または、階層クラスタリング、DBSCAN(Density-based spatial clustering of application with noise)など、任意の手法が用いられてもよい。このことは、後述される第2のクラスタリングについても同様である。
【0024】
第1のクラスタリング結果は、サンプルIDと、第1のクラスタリングにおける各クラスタを区別するためのクラスタID(第1のクラスタID)とを対応付けたデータを含む。さらに、第1のクラスタリング結果には、各クラスタにおける代表サンプルの情報を含む。代表サンプルは、例えばクラスタ内に含まれるサンプルのうちの平均的なサンプルに相当する。
【0025】
個別負荷特徴算出部204は、姿勢負荷算出部202から姿勢負荷情報を受け取り、第1のクラスタリング部203から第1のクラスタリング結果を受け取る。個別負荷特徴算出部204は、姿勢負荷情報および第1のクラスタリング結果に基づいて個別負荷特徴を算出する。個別負荷特徴算出部204は、算出した個別負荷特徴の情報(個別負荷特徴情報)を第2のクラスタリング部205へと出力する。
【0026】
個別負荷特徴情報は、例えば、複数のサンプルそれぞれについて、サンプルと複数の代表サンプルそれぞれとの距離とが対応付けられたデータである。個別負荷特徴算出部204は、例えば、二つのサンプル間の姿勢負荷の差の絶対値を距離として算出する。二つのサンプル間の距離がゼロに近いほど、二つのサンプルは同様の姿勢負荷を有することがわかる。
【0027】
第2のクラスタリング部205は、個別負荷特徴算出部204から個別負荷特徴情報を受け取る。第2のクラスタリング部205は、個別負荷特徴情報を用いて第2のクラスタリングを行い、第2のクラスタリング結果を生成する。第2のクラスタリング部205は、生成した第2のクラスタリング結果を総合負荷特徴算出部206へと出力する。
【0028】
第2のクラスタリング結果は、例えば、サンプルIDと、第2のクラスタリングにおける各クラスタを区別するためのクラスタID(第2のクラスタID)とを対応付けたデータを含む。尚、第2のクラスタリング結果には、各クラスタにおける代表サンプルの情報が含まれてもよい。
【0029】
総合負荷特徴算出部206は、第2のクラスタリング部205から第2のクラスタリング結果を受け取る。総合負荷特徴算出部206は、第2のクラスタリング結果に基づいて総合負荷特徴を算出する。総合負荷特徴算出部206は、算出した総合負荷特徴の情報(総合負荷特徴情報)を表示制御部207へと出力する。尚、総合負荷特徴算出部206は、第2のクラスタIDに対して負荷属性を決定してもよい。負荷属性とは、クラスタの負荷の種類に関する情報である。以降では、第2のクラスタリングによって分類された各クラスタには、それぞれ何らかの属性が付与されているものとする。
【0030】
総合負荷特徴情報は、例えば、クラスタの属性を決定するための負荷強度のデータ(負荷強度データ)および作業者についての負荷の属性を表す負荷属性に関するデータ(負荷属性データ)を含む。負荷強度データは、例えば、クラスタ毎(或いは、属性毎)に、クラスタに含まれるサンプルの姿勢負荷毎の平均値のグラフ(負荷強度グラフ)である。負荷属性データは、例えば、クラスタ毎(或いは、属性毎)にサンプルを時系列にプロットしたグラフ(負荷属性グラフ)である。尚、総合負荷特徴情報は、第2のクラスタIDと負荷属性とが対応付けられたデータが含まれてもよい。
【0031】
表示制御部207は、総合負荷特徴算出部206から総合負荷特徴情報を受け取る。表示制御部207は、総合負荷特徴情報に基づく表示データを生成し、出力装置110であるディスプレイに表示させる。または、表示制御部207は、姿勢負荷を時系列に示した姿勢負荷グラフを含む表示データをディスプレイに表示する。
【0032】
以上、第1の実施形態に係る負荷推定システム1および負荷推定装置100の構成について説明した。次に、負荷推定装置100の動作について
図3のフローチャートを用いて説明する。
【0033】
図3は、第1の実施形態に係る負荷推定装置の動作を例示するフローチャートである。
図3のフローチャートの処理は、ユーザによって負荷推定プログラムが実行されることで開始する。
【0034】
(ステップS310)
負荷推定プログラムが実行されると、データ取得部201は、計測対象からのセンサデータを取得する。
【0035】
(ステップS320)
センサデータが取得された後、姿勢負荷算出部202は、センサデータに基づいて姿勢負荷を算出する。以降では、ステップS320の処理を「姿勢負荷算出処理」と称する。姿勢負荷算出処理の具体例について
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0036】
図4は、
図3のフローチャートの姿勢負荷算出処理を例示するフローチャートである。
図4のフローチャートは、ステップS320から遷移する。
【0037】
(ステップS321)
センサデータが取得された後、姿勢負荷算出部202は、センサデータに基づいて姿勢角を算出する。具体的には、姿勢負荷算出部202は、センサデータのパターンから、センサ基準軸と重力方向との角度を算出し、センサ装着部位の姿勢とする。
【0038】
図5は、第1の実施形態における、センサと、センサ基準軸と、回転角との関係を説明する図である。
図5のセンサ500は、例えば加速度センサである。センサ500は、直交する三つのセンサ基準軸(X軸、Y軸、Z軸)に対応するセンサデータを取得する。このとき、X軸周りの回転角をロール角と呼び、Y軸周りの回転角をピッチ角と呼び、Z軸周りの回転角をヨー角と呼ぶ。
【0039】
図6は、第1の実施形態における、センサの装着部位と、センサの装着方向とを説明する図である。
図6では、ユーザの手首、上腕、および腰に対して、それぞれ第1のセンサ601、第2のセンサ602、および第3のセンサ603が装着されている様子が示されている。
【0040】
第1のセンサ601は、例えば、手首の延伸方向(即ち、肘から指先までの方向)にX軸を対応させて装着されている。姿勢負荷算出部202は、第1のセンサ601のセンサデータのパターンから、基準とするX軸と重力方向との角度θyを算出する。算出した角度θyは、第1のセンサ601のピッチ角に相当する。そして、姿勢負荷算出部202は、算出した角度θyとオフセット角度とに基づいて、手首の姿勢角を算出する。
【0041】
オフセット角度は、装着部位の静止状態を基準として決定される。例えば、手首の姿勢角を算出する場合、X軸の正方向と重力方向とを一致させた状態を静止状態とすれば、オフセット角度は0度となり、X軸と重力方向とを直交させた状態を静止状態とすれば、オフセット角度は90度となる。以降では、オフセット角度が0度の場合について説明される。
【0042】
第2のセンサ602は、例えば、上腕の延伸方向(即ち、肩から肘までの方向)にX軸を対応させて装着されている。姿勢負荷算出部202は、第2のセンサ602のセンサデータに基づいて上腕の姿勢角を算出する。具体的な算出方法などについては、第1のセンサ601の場合と同様であるため説明を省略する。
【0043】
第3のセンサ603は、例えば、腰回りの方向にX軸を対応させて装着されている。換言すると、第3のセンサ603は、例えば、背骨の延伸方向にY軸を対応させて装着されている。姿勢負荷算出部202は、第3のセンサ603のセンサデータのパターンから、基準とするY軸と重力方向との角度θxを算出する。算出した角度θxは、第3のセンサ603のロール角に相当する。そして、姿勢負荷算出部202は、算出した角度θxとオフセット角度とに基づいて、腰の姿勢角を算出する。腰の姿勢角を算出する場合、Y軸の正方向と重力方向とを一致させた状態を静止状態とすれば、オフセット角度は0度となる。
【0044】
本実施形態におけるセンサについて概括すると、センサの静止状態は、作業者が腕を地面に対して垂直におろして直立している状態(直立状態)である。よって、作業者の直立状態からの姿勢変化を検出できるため、姿勢負荷算出部202は、作業者の姿勢を身体各部の角度として算出することができる。
【0045】
(ステップS322)
姿勢角を算出した後、姿勢負荷算出部202は、姿勢角に対して標準化処理を行い、標準姿勢角を算出する。具体的には、姿勢負荷算出部202は、装着部位の各部について、センサデータの取得期間に亘って、取得サンプル毎に算出された複数の姿勢角に対して標準化処理を行う。標準化処理とは、例えば、平均をゼロ、分散を1とするような、データのスケーリング処理およびシフト処理である。標準化処理を行うことによって、作業者毎の標準的な作業姿勢を考慮することができる。
【0046】
(ステップS323)
標準姿勢角を算出した後、姿勢負荷算出部202は、標準姿勢角を用いて姿勢角分布を生成する。具体的には、姿勢負荷算出部202は、姿勢角と発生頻度との関係をグラフで示した姿勢角分布を生成する。
【0047】
図7は、第1の実施形態における、上腕に装着されたセンサの姿勢角度を標準化した分布を示すグラフである。
図7のグラフ700は、平均姿勢角Paを中心とした姿勢角の分布を示している。平均姿勢角Paは、算出された姿勢角の平均を示す。グラフ700において、平均姿勢角Paよりも小さい姿勢角度(例えば、グラフ700の姿勢角P1)は、身体的な負荷が小さく、平均姿勢角Paよりも大きい姿勢角度(例えば、グラフ700の姿勢角P2)は、身体的な負荷が大きいものとする。
【0048】
図8は、
図7のグラフ700において、負荷が小さい場合の上腕の姿勢を説明する図である。
図8では、センサ800から出力されるセンサデータは、上腕の平均姿勢角Paよりも小さい姿勢角P1を示す。作業者の上腕が平均姿勢角Paよりも下がっているため、作業者の負荷は、小さくなる
図9は、
図7のグラフ700において、負荷が大きい場合の上腕の姿勢を説明する図である。
図9では、センサ900から出力されるセンサデータは、上腕の平均姿勢角Paよりも大きい姿勢角P2を示す。作業者の上腕が平均姿勢角Paよりも上がっているため、作業者の負荷は、大きくなる。
【0049】
(ステップS324)
姿勢角分布が生成された後、姿勢負荷算出部202は、姿勢角分布を用いて閾値処理を行い、姿勢負荷を算出する。具体的には、姿勢負荷算出部202は、部位毎の姿勢角分布のそれぞれについて閾値処理を行い、姿勢負荷を算出する。ステップS324の後、処理は
図3のステップS330へと進む。
【0050】
例えば、
図7のグラフ700において、姿勢角Pthを閾値として、この姿勢角Pthよりも大きい姿勢角について姿勢負荷を算出するものとする。姿勢負荷算出部202は、計測された姿勢角と姿勢角Pthとの差の値を姿勢負荷として算出する。閾値となる姿勢角Pthは、姿勢角分布に基づいて決定される。尚、姿勢角Pthは任意に設定されてよく、例えば、平均姿勢角Paよりも大きい値であればよい。
【0051】
上記では上腕について述べたが、姿勢負荷算出部202は、手首および腰についても同様に姿勢角分布を生成し、それぞれ閾値処理を行って姿勢負荷を算出する。例えば、上腕の姿勢角分布と手首の姿勢角分布とを比較すると、手首の姿勢角分布の方が全体的に大きな値を示すことが多い。このことから、姿勢負荷算出部202は、各部位で異なる閾値を設定し、それぞれ閾値処理を行うことによって、算出される姿勢負荷の精度を向上させることができる。
【0052】
図10は、第1の実施形態における、上腕に装着されたセンサの姿勢角度を標準化した分布を示すグラフと、手首に装着されたセンサの姿勢角度を標準化した分布を示すグラフとの関係を説明する図である。
図10のグラフ1000は、手首における、平均姿勢角Pbを中心とした姿勢角の分布を示している。平均姿勢角Pbは、グラフ700における平均姿勢角Paよりも大きい。これにより、部位毎に負荷の大小を基準とする平均姿勢角は異なることがわかる。
【0053】
図11は、第1の実施形態における、3次元の姿勢負荷情報を時系列に示したグラフである。
図11の姿勢負荷グラフ1100は、手首に関する姿勢負荷のグラフ1101と、上腕に関する姿勢負荷のグラフ1102と、腰に関する姿勢負荷のグラフ1103とを含む。それぞれのグラフにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は負荷強度を示している。姿勢負荷グラフ1100では、縦軸の値が大きいほど負荷強度が高いことを示す。
【0054】
(ステップS330)
姿勢負荷情報が算出された後、第1のクラスタリング部203は、姿勢負荷情報を用いて第1のクラスタリングを行い、第1のクラスタリング結果を生成する。具体的には、第1のクラスタリング部203は、姿勢負荷情報に含まれる3次元のサンプルデータをクラスタリング処理することによって、任意のクラスタ数に分類する。そして、第1のクラスタリング部203は、分類した各クラスタのそれぞれについて、クラスタに含まれるサンプルを集計し、平均化することによって、代表サンプルを決定する。
【0055】
第1のクラスタリングにおいて、分類するクラスタ数は、サンプルデータの次元数よりも高いことが望ましく、例えば4以上である。これは、後述される個別負荷特徴の次元数を姿勢負荷情報の次元数よりも高くすることによって、センサの装着部位に依存させないようにするためである。また、分類するクラスタ数は、ユーザによって決定される。第1のクラスタリング結果は、例えば、各クラスタで決定した代表クラスタの三次元座標である。
【0056】
以下では、第1のクラスタリングとして、姿勢負荷情報の3次元のサンプルデータを7つのクラスタに分類する具体例を
図12から
図14を用いて説明する。
【0057】
図12は、第1の実施形態における、姿勢負荷情報の三次元座標上へのプロットを説明する図である。
図12では、三次元座標における三つの軸に、手首の姿勢負荷、上腕の姿勢負荷、および腰の姿勢負荷をそれぞれ対応させている。
図12のサンプル集合1200は、姿勢負荷情報の複数のサンプルの集合を表している。
【0058】
図13は、
図12のクラスタリング結果を説明する図である。
図13には、7つのクラスタとして、第1のクラスタ1301、第2のクラスタ1302、第3のクラスタ1303、第4のクラスタ1304、第5のクラスタ1305、第6のクラスタ1306、および第7のクラスタ1307が示されている。第1のクラスタリング部203は、サンプル集合1200を上記の7つのクラスタに分類する。
【0059】
図14は、
図13の各クラスタにおける代表サンプルを説明する図である。
図14には、上記の7つのクラスタのそれぞれの代表サンプルとして、第1の代表サンプル1401、第2の代表サンプル1402、第3の代表サンプル1403、第4の代表サンプル1404、第5の代表サンプル1405、第6の代表サンプル1406、および第7の代表サンプル1407、が示されている。第1のクラスタリング部203は、分類した7つのクラスタそれぞれについて、クラスタに含まれるサンプルを集計し、平均化することによって、上記の7つの代表サンプルを決定する。
【0060】
(ステップS340)
第1のクラスタリング結果が生成された後、個別負荷特徴算出部204は、姿勢負荷情報および第1のクラスタリング結果に基づいて個別負荷特徴を生成する。具体的には、個別負荷特徴算出部204は、取得された全てのサンプル(例えば、
図12のサンプル集合1200)について、複数の代表サンプルそれぞれとの距離を算出する。そして、個別負荷特徴算出部204は、全てのサンプルの各々について、サンプルと代表サンプルとの距離を一つの要素とした複数の要素を有する個別負荷特徴を生成する。
【0061】
図15は、特定のサンプルから複数の代表サンプルへの距離を説明する図である。
図15には、サンプル集合1200のうちの特定のサンプル1500から、複数の代表サンプルまでの距離が矢印で示されている。個別負荷特徴算出部204は、例えば、サンプル1500の座標と、第1の代表サンプル1401の座標との差の絶対値を用いて距離を算出する。同様に、他の代表サンプルとの距離を算出することによって、個別負荷特徴算出部204は、サンプル1500について、7つの距離を要素とする7次元の距離データを生成する。
【0062】
(ステップS350)
個別負荷特徴が生成された後、第2のクラスタリング部205は、個別負荷特徴情報を用いて第2のクラスタリングを行い、第2のクラスタリング結果を生成する。具体的には、第2のクラスタリング部205は、個別負荷特徴情報に含まれる7次元の距離データをクラスタリング処理することによって、任意のクラスタ数に分類する。第2のクラスタリングにおいて、分類するクラスタ数は、距離データの次元数以下であることが望ましい。即ち、第2のクラスタリングは、第1のクラスタリングにおけるクラスタ数以下に分類する。また、分類するクラスタ数は、ユーザによって決定される。
【0063】
(ステップS360)
第2のクラスタリング結果が生成された後、総合負荷特徴算出部206は、第2のクラスタリング結果に基づいて総合負荷特徴を生成する。具体的には、総合負荷特徴算出部206は、分類した各クラスタのそれぞれについて、クラスタに含まれるサンプルを集計し、平均化することによって、負荷強度グラフおよび負荷属性グラフを生成する。
【0064】
図16は、第1の実施形態における総合負荷特徴の負荷強度グラフを例示する図である。
図16の負荷強度グラフ1600には、クラスタ(属性)毎に、クラスタに含まれる全てのサンプルの姿勢負荷毎の平均値が示されている。例えば、属性1では、手首の姿勢負荷、上腕の姿勢負荷、および腰の姿勢負荷がそれぞれ等しくなっている。属性2および属性3では、それぞれ腰の姿勢負荷および手首の姿勢負荷がそれ以外の部位の姿勢負荷よりも高くなっている。また、属性4では、手首の姿勢負荷が他の属性も含めた部位の中で最も高くなっている。
【0065】
総合負荷特徴算出部206は、負荷強度グラフ1600の属性毎に、それぞれの属性名を決定してもよい。例えば、属性1であれば、各部位のそれぞれの姿勢負荷がどれも略等しいため、総合負荷特徴算出部206は、属性1のクラスタに対して「平均負荷タイプ」の属性名を決定する。また、属性4であれば、手首の姿勢負荷がそれ以外の部位の姿勢負荷よりも高いため、総合負荷特徴算出部206は、属性4のクラスタに対して「手首負荷タイプ」の属性名を決定する。尚、属性名は、各部位の特徴に関して決定されるだけでなく、各部位の負荷を合計した全体の負荷に関して決定されてもよい。例えば、総合負荷特徴算出部206は、全体の負荷が高い場合には、「高負荷タイプ」の属性名を決定し、全体の負荷が低い場合には、「低負荷タイプ」の属性名を決定してもよい。
【0066】
図17は、第1の実施形態における総合負荷特徴の負荷属性グラフを例示する図である。
図17の負荷属性グラフ1700には、属性毎にサンプルを時系列にプロットしたグラフが示されている。グラフの縦軸には、属性が設定され、各属性のそれぞれの姿勢負荷の合計に基づいてソートされている。姿勢負荷の合計とは、手首の姿勢負荷、上腕の姿勢負荷、および腰の姿勢負荷の合計である。負荷属性グラフ1700では、姿勢負荷の合計が最も大きい属性4が縦軸の一番上に設定されている。これにより、グラフの上方に負荷の高い属性が集まるため、ユーザは、改善が必要となる高負荷の作業区間を効率良く探すことができる。また、属性別にサンプルがプロットされているため、例えば属性に属性名が付いている場合には、負荷の特徴に着目して改善が必要な作業区間を効率良く探すことができる。
【0067】
(ステップS370)
総合負荷特徴が生成された後、表示制御部207は、総合負荷特徴情報に基づく表示データを表示させる。具体的には、表示制御部207は、表示データを出力装置110であるディスプレイに表示させる。ステップS370の処理の後、負荷推定プログラムは終了する。
【0068】
以上説明したように、第1の実施形態に係る負荷推定装置は、計測対象からのセンサデータを取得し、センサデータに基づいて計測対象の一つ以上の身体部位に関する一つ以上の姿勢負荷を算出し、一つ以上の姿勢負荷を時系列に示した姿勢負荷グラフを含む表示データを表示する。更に、本負荷推定装置は、身体部位の姿勢角の分布に基づいて姿勢負荷を算出してもよい。
【0069】
従って、第1の実施形態に係る負荷推定装置は、身体部位毎に姿勢負荷を算出して、これらを時系列に表示することにより、作業者の動作を考慮した負荷推定を行うことができる。
【0070】
または、第1の実施形態に係る負荷推定装置は、計測対象からのセンサデータを取得し、センサデータに基づいて計測対象の一つ以上の身体部位に関する一つ以上の姿勢負荷を算出し、姿勢負荷の情報を用いて、姿勢負荷の情報の次元数よりも高い次元数に分類する第1のクラスタリングを行い第1のクラスタリング結果を生成し、姿勢負荷の情報および第1のクラスタリング結果に基づいて、第1のクラスタリングの次元数以下に分類する第2のクラスタリングを行い第2のクラスタリング結果を生成し、第2のクラスタリング結果に基づいて計測対象に関する総合負荷特徴を算出する。
【0071】
従って、第1の実施形態に係る負荷推定装置は、身体部位に依存しない負荷特徴を算出することができるため、作業者の動作を考慮した負荷推定を行うことができる。
【0072】
よって、第1の実施形態に係る負荷推定装置を利用することによって、製造や物流における作業工程の見直し、作業者に対する作業の割り当て、および休憩時間の適切な設定など、作業現場におけるオペレーションの最適化が可能となる。
【0073】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、特定の作業者に関する負荷推定について説明した。他方、第2の実施形態では、複数の作業者から作業者を選択し、選択した作業者に関する負荷推定を行うことについて説明する。
【0074】
図18は、第2の実施形態に係る負荷推定装置の構成を例示するブロック図である。
図18の負荷推定装置1800は、データ取得部1801と、姿勢負荷算出部1802と、第1のクラスタリング部1803(第1の生成部)と、個別負荷特徴算出部1804と、第2のクラスタリング部1805(第2の生成部)と、総合負荷特徴算出部1806と、表示制御部1807と、作業者情報記憶部1808(計測対象情報記憶部)と、作業者抽出部1809(計測対象抽出部)とを備える。
【0075】
なお、データ取得部1801、姿勢負荷算出部1802、第1のクラスタリング部1803、個別負荷特徴算出部1804、第2のクラスタリング部1805、および総合負荷特徴算出部1806は、
図2のデータ取得部201、姿勢負荷算出部202、第1のクラスタリング部203、個別負荷特徴算出部204、第2のクラスタリング部205、および総合負荷特徴算出部206と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0076】
作業者情報記憶部1808は、データ取得部1801からセンサデータを受け取り、姿勢負荷算出部1802から姿勢負荷情報を受け取り、総合負荷特徴算出部1806から総合負荷特徴情報を受け取る。作業者情報記憶部1808は、センサデータ、姿勢負荷情報、および総合負荷特徴情報を対応付けて記憶する。また、作業者情報記憶部1808は、これらの情報を複数の計測対象のそれぞれについて記憶している。
【0077】
具体的には、作業者情報記憶部1808は、例えば、時刻と、作業者の名前(作業者ID)と、姿勢負荷情報と、センサデータとを対応付けた作業者情報テーブルを記憶する。作業者情報記憶部1808は、作業者情報テーブルを、表示制御部1807および作業者抽出部1809へと出力する。尚、姿勢負荷情報とセンサデータとを対応付けた情報を、作業情報と称してもよい。
【0078】
作業者抽出部1809は、ユーザから作業者の選択を受け付け、作業者情報記憶部1808から作業者情報テーブルを読み出す。そして、作業者抽出部1809は、選択された作業者の作業情報を作業者情報テーブルから抽出する。作業者抽出部1809は、抽出した作業情報を表示制御部1807へと出力する。
【0079】
表示制御部1807は、作業者抽出部1809から抽出された作業情報を受け取る。表示制御部1807は、抽出された作業情報に基づく表示データを表示する。
【0080】
図19は、第2の実施形態に係る負荷推定装置の動作を例示するフローチャートである。
図19のフローチャートの処理は、ユーザによって負荷推定プログラムが実行され、例えば、
図3のフローチャートの処理の後(ステップS370の処理の後)に開始する。
【0081】
(ステップS1910)
ステップS370の処理の後、作業者情報記憶部1808は、センサデータ、姿勢負荷情報、および総合負荷特徴情報を対応付けて記憶する。具体的には、作業者情報記憶部1808は、総合負荷特徴情報が生成されている間の様々な情報を作業者情報テーブルに記憶する。作業者情報テーブルの具体例について
図20を用いて説明する。
【0082】
図20は、第2の実施形態における時刻と、作業者IDと、姿勢負荷情報と、センサデータとを対応付けたテーブルである。
図20のテーブル2000(作業者情報テーブル)は、時刻と、作業者IDと、姿勢負荷情報(上腕の負荷値、手首の負荷値、および腰の負荷値)と、センサデータ(X軸に関する加速度、Y軸に関する加速度、およびZ軸に関する加速度)とが対応付けられている。尚、テーブル2000では、例として一つのセンサから取得されたセンサデータが対応付けられているが、全てのセンサからのデータが対応付けられていてもよい。また、作業者情報テーブルは、更に負荷属性が対応付けられていてもよい。
【0083】
(ステップS1920)
作業者情報記憶部1808での記憶処理が終了した後、負荷推定装置100は、ユーザからの作業者の選択を受け付ける。この時、ユーザは、後述する表示データに表示されているプルダウンメニューから作業者を選択することができる。
【0084】
(ステップS1930)
作業者が選択された後、作業者抽出部1809は、作業者情報記憶部1808から作業者情報テーブルを読み出し、選択された作業者の作業情報を抽出する。
【0085】
(ステップS1940)
作業情報が抽出された後、表示制御部1807は、抽出された作業情報に基づく表示データを表示する。ステップS1940の処理の後、
図23のフローチャートの処理は終了する。
【0086】
図21は、第2の実施形態における表示データの一例である。
図21の表示データ2100は、例えば、作業者名の表示領域2110と、再生時刻の表示領域2120と、姿勢負荷グラフの表示領域2130と、負荷値の表示領域2140と、負荷属性グラフの表示領域2150とを有する。
【0087】
表示領域2110には、作業者の名前が表示・格納されたプルダウンメニュー2111が表示されている。表示領域2120には、取得された作業情報の再生時刻が表示されている。表示領域2130には、姿勢負荷グラフが表示されている。また、姿勢負荷グラフには、上記再生時刻の位置を示すスライダ2131が重畳されている。表示領域2140には、上記再生時刻の姿勢負荷値が表示されている。表示領域2150には、負荷属性グラフが表示されている。
【0088】
ユーザが、例えば、プルダウンメニュー2111から作業者ID「重筋肉作業者A」を選択すると、表示制御部1807は、表示領域2120、表示領域2130、表示領域2140、および表示領域2150について、選択された作業者IDに応じた情報を表示する。
【0089】
なお、表示データは、上記の情報およびグラフの表示に限らない。例えば、表示データには、更に、
図16の負荷強度グラフ1600が表示されてもよい。また例えば、表示データには、負荷属性グラフが表示されなくてもよい。
【0090】
以上説明したように、第2の実施形態に係る負荷推定装置は、計測対象からのセンサデータを取得し、センサデータに基づいて計測対象の一つ以上の身体部位に関する一つ以上の姿勢負荷を算出し、一つ以上の姿勢負荷を時系列に示した姿勢負荷グラフを含む表示データを表示する。更に、本負荷推定装置は、複数の計測対象についての姿勢負荷を記憶し、複数の計測対象のうちの特定の計測対象の姿勢負荷を抽出し、特定の計測対象に関する表示データを表示する。
【0091】
従って、第2の実施形態に係る負荷推定装置は、複数の作業者について負荷推定を行うことができるため、作業者間での比較を行うことができる。
【0092】
(第3の実施形態)
第2の実施形態では、複数の作業者から作業者を選択し、選択した作業者に関する負荷推定を行うことについて説明した。第3の実施形態では、さらに、負荷属性を選択して、選択した負荷属性に対応する作業区間を姿勢負荷情報のグラフへ表示することについて説明する。
【0093】
図22は、第3の実施形態に係る負荷推定装置の構成を例示するブロック図である。
図22の負荷推定装置2200は、データ取得部2201と、姿勢負荷算出部2202と、第1のクラスタリング部2203(第1の生成部)と、個別負荷特徴算出部2204と、第2のクラスタリング部2205(第2の生成部)と、総合負荷特徴算出部2206と、表示制御部2207と、作業者情報記憶部2208と、負荷属性抽出部2209とを備える。
【0094】
なお、データ取得部2201、姿勢負荷算出部2202、第1のクラスタリング部2203、個別負荷特徴算出部2204、第2のクラスタリング部2205、総合負荷特徴算出部2206、および作業者情報記憶部2208は、
図18のデータ取得部1801、姿勢負荷算出部1802、第1のクラスタリング部1803、個別負荷特徴算出部1804、第2のクラスタリング部1805、総合負荷特徴算出部1806、および作業者情報記憶部1808と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0095】
負荷属性抽出部2209は、ユーザから負荷属性の選択を受け付け、作業者情報記憶部2208から作業者情報テーブルを読み出す。そして、負荷属性抽出部2209は、選択された負荷属性に対応する時間範囲を作業者情報テーブルから抽出する。負荷属性抽出部2209は、抽出した時間範囲の情報を表示制御部2207へと出力する。
【0096】
表示制御部2207は、負荷属性抽出部2209から抽出された時間範囲を受け取る。表示制御部2207は、姿勢負荷グラフに対して抽出された時間範囲を強調した表示データを表示する。尚、表示制御部2207は、姿勢負荷グラフに対して抽出された時間範囲に含まれる一つ以上の姿勢負荷を抜き出した(抽出した)表示データを表示してもよい。
【0097】
図23は、第3の実施形態に係る負荷推定装置の動作を例示するフローチャートである。
図23のフローチャートの処理は、ユーザによって負荷推定プログラムが実行され、例えば、
図3のフローチャートの処理の後(ステップS370の処理の後)に開始する。尚、
図23のフローチャートの処理は、
図19のフローチャートの処理と同時に行われてもよい。
【0098】
(ステップS2310)
ステップS370の処理の後、負荷推定装置100は、ユーザからの負荷属性の選択を受け付ける。この時、ユーザは、後述する表示データに表示されているプルダウンメニューから負荷属性を選択することができる。
【0099】
(ステップS2320)
負荷属性が選択された後、負荷属性抽出部2209は、作業者情報記憶部2208から作業者情報テーブルを読み出し、選択された負荷属性に対応する時間範囲を抽出する。
【0100】
(ステップS2330)
時間範囲が抽出された後、表示制御部2207は、姿勢負荷グラフに対して抽出された時間範囲を強調した表示データを表示する。ステップS2330の処理の後、
図23のフローチャートの処理は終了する。
【0101】
図24は、第3の実施形態における表示データの一例である。
図24の表示データ2400は、
図21の表示データ2100に対して、負荷属性の表示領域2410を更に有する。表示領域2410には、負荷属性が表示・格納されたプルダウンメニュー2411が表示されている。
【0102】
ユーザが、例えば、プルダウンメニュー2411から負荷属性「腰負荷」を選択すると、表示制御部2207は、腰に関する姿勢負荷のグラフにおいて、特に負荷が大きい時間範囲を強調表示する。例えば、
図24では、時間範囲2421、時間範囲2422、および時間範囲2423がハイライトされて強調表示されている。特に、時間範囲2422の負荷強度は、時間範囲2421および時間範囲2423よりも負荷強度が高くなっている。よって、時間範囲2422のハイライトは、時間範囲2421および時間範囲2423のハイライトよりも、更に強調されている。
【0103】
以上説明したように、第3の実施形態に係る負荷推定装置は、計測対象からのセンサデータを取得し、センサデータに基づいて計測対象の一つ以上の身体部位に関する一つ以上の姿勢負荷を算出し、一つ以上の姿勢負荷を時系列に示した姿勢負荷グラフを含む表示データを表示する。更に、本負荷推定装置は、姿勢負荷の情報の次元数よりも高い次元数に分類する第1のクラスタリングを行い第1のクラスタリング結果を生成し、姿勢負荷の情報および第1のクラスタリング結果に基づいて、第1のクラスタリングの次元数以下に分類する第2のクラスタリングを行い第2のクラスタリング結果を生成し、第2のクラスタリング結果に基づいて計測対象に関する総合負荷特徴を算出する。更に、本負荷推定装置は、第2のクラスタリングによって分類された各クラスタに対して負荷の種類に関する負荷属性を決定し、複数の負荷属性のうちの特定の負荷属性に対応する時間範囲を姿勢負荷グラフ上で強調表示させる。よって、第3の実施形態に係る負荷推定装置は、負荷属性ごとの作業期間を確認することができる。
【0104】
(第4の実施形態)
第3の実施形態では、負荷属性を選択して、選択した負荷属性に対応する作業区間を姿勢負荷情報のグラフへ表示することについて説明した。他方、第4の実施形態では、作業種を選択して、選択した作業種に対応する作業区間を姿勢負荷情報のグラフへ表示することについて説明する。
【0105】
図25は、第4の実施形態に係る負荷推定装置の構成を例示するブロック図である。
図25の負荷推定装置2500は、データ取得部2501と、姿勢負荷算出部2502と、第1のクラスタリング部2503(第1の生成部)と、個別負荷特徴算出部2504と、第2のクラスタリング部2505(第2の生成部)と、総合負荷特徴算出部2506と、表示制御部2507と、作業者情報記憶部2508と、作業種情報記憶部2509と、作業種抽出部2510とを備える。
【0106】
なお、データ取得部2501、姿勢負荷算出部2502、第1のクラスタリング部2503、個別負荷特徴算出部2504、第2のクラスタリング部2505、総合負荷特徴算出部2506、および作業者情報記憶部2508は、
図18のデータ取得部1801、姿勢負荷算出部1802、第1のクラスタリング部1803、個別負荷特徴算出部1804、第2のクラスタリング部1805、総合負荷特徴算出部1806、および作業者情報記憶部1808と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0107】
作業種情報記憶部2509は、作業者IDと、作業の種別である作業種と、作業期間とを対応付けて記憶する。具体的には、作業種情報記憶部2509は、作業IDと、作業種と、作業期間の開始時間と、作業期間の終了時間とを対応付けた作業種情報テーブルを記憶する。作業種情報記憶部2509は、作業種情報テーブルを、作業種抽出部2510へと出力する。
【0108】
なお、作業種および作業期間は、例えば、センサデータに基づいて推定されるものとする。具体的には、例えば、負荷推定装置100は、センサデータを入力すると作業種および作業期間を出力するように学習された機械学習の学習済みモデルを用いて作業種および作業期間を推定してもよい。
【0109】
作業種抽出部2510は、ユーザから作業種の選択を受け付け、作業者情報記憶部2508から作業者情報テーブルを読み出し、作業種情報記憶部2509から作業種情報テーブルを読み出す。そして、作業種抽出部2510は、選択された作業種に対応する作業期間(時間範囲)を作業種情報テーブルから抽出する。作業種抽出部2510は、抽出した時間範囲の情報を表示制御部2507へと出力する。
【0110】
表示制御部2507は、作業種抽出部2510から抽出された時間範囲を受け取る。表示制御部2507は、姿勢負荷グラフに対して抽出された時間範囲を強調した表示データを表示する。尚、表示制御部2507は、姿勢負荷グラフに対して抽出された時間範囲に含まれる一つ以上の姿勢負荷を抜き出した(抽出した)表示データを表示してもよい。
【0111】
図26は、第4の実施形態に係る負荷推定装置の動作を例示するフローチャートである。
図26のフローチャートの処理は、ユーザによって負荷推定プログラムが実行され、例えば、
図3のフローチャートの処理の後(ステップS370の処理の後)に開始する。尚、
図26のフローチャートの処理は、
図19のフローチャートの処理と同時に行われてもよい。
【0112】
(ステップS2610)
ステップS370の処理の後、負荷推定装置100は、ユーザからの作業種の選択を受け付ける。この時、ユーザは、後述する表示データに表示されているプルダウンメニューから作業種を選択することができる。
【0113】
(ステップS2620)
作業種が選択された後、作業種抽出部2510は、作業種情報記憶部2509から作業種情報テーブルを読み出し、選択された作業種に対応する時間範囲を抽出する。作業種情報テーブルの具体例について
図27を用いて説明する。
【0114】
図27は、第4の実施形態における作業者IDと、作業種と、作業期間とを対応付けたテーブルである。
図27のテーブル2700(作業種情報テーブル)は、作業者IDと、作業種と、作業期間(開始時間および終了時間)とが対応付けられている。尚、テーブル2700では、作業期間が重複した作業種があってもよい。
【0115】
(ステップS2630)
時間範囲が抽出された後、表示制御部2507は、姿勢負荷グラフに対して抽出された時間範囲を強調した表示データを表示する。ステップS2630の処理の後、
図26のフローチャートの処理は終了する。
【0116】
図28は、第4の実施形態における表示データの一例である。
図28の表示データ2800は、
図21の表示データ2100に対して、作業種の表示領域2810を更に有する。表示領域2810には、作業種が表示・格納されたプルダウンメニュー2811が表示されている。
【0117】
ユーザが、例えば、プルダウンメニュー2811から作業種「電源設置」を選択すると、表示制御部2507は、姿勢負荷グラフにおいて特に負荷が大きい部位の姿勢負荷グラフにおいて、電源設置に対応する時間範囲を強調する。例えば、
図28では、手首の姿勢負荷グラフおよび上腕の姿勢負荷グラフにおける時間範囲2821がハイライトされて強調表示されている。
【0118】
以上説明したように、第4の実施形態に係る負荷推定装置は、計測対象からのセンサデータを取得し、センサデータに基づいて計測対象の一つ以上の身体部位に関する一つ以上の姿勢負荷を算出し、一つ以上の姿勢負荷を時系列に示した姿勢負荷グラフを含む表示データを表示する。更に、本負荷推定装置は、計測対象が行った作業の種別である作業種と作業期間とを対応付けて記憶し、複数の作業種のうちの特定の作業種に対応する時間範囲を姿勢負荷グラフ上で強調表示させる。よって、第4の実施形態に係る負荷推定装置は、作業種ごとの作業期間に着目して、負荷の高い作業を確認することができる。
【0119】
(第5の実施形態)
第1の実施形態から第4の実施形態までは、作業者に装着されたセンサデータを用いて負荷推定を行うことについて説明した。他方、第5の実施形態では、さらに、撮像装置を用いた映像データを用いて作業場所を特定し、作業場所に基づく作業負荷情報を表示することについて説明する。
【0120】
図29は、第5の実施形態に係る負荷推定装置を含む負荷推定システムの構成を例示するブロック図である。
図29の負荷推定システム1Aは、負荷推定装置100Aと、出力装置110と、一つ以上のセンサと、撮像装置2900とを備える。
図29では、一つ以上のセンサとして、第1のセンサ121、第2のセンサ122、および第3のセンサ123を例示する。これらのセンサは、
図1の一つ以上のセンサと同様である。負荷推定装置100Aは、一つ以上のセンサデータおよび映像データに基づいて、負荷特性を推定する。
【0121】
撮像装置2900は、例えば、ビデオカメラである。撮像装置2900は、作業者によって作業が行われている作業場所(例えば、工場における組立作業場など)を撮影し、静止画像または動画像を取得する。本実施形態では、撮像装置2900で取得された静止画像または動画像を映像データと称する。撮像装置2900は、取得した映像データを負荷推定装置100Aへと出力する。尚、映像データは、撮影時刻が含まれてもよい。
【0122】
図30は、第5の実施形態に係る負荷推定装置の構成を例示するブロック図である。
図30の負荷推定装置100Aは、データ取得部3001と、姿勢負荷算出部3002と、第1のクラスタリング部3003(第1の生成部)と、個別負荷特徴算出部3004と、第2のクラスタリング部3005(第2の生成部)と、総合負荷特徴算出部3006と、表示制御部3007と、作業者情報記憶部3008と、映像データ取得部3009と、場所情報記憶部3010と、作業場所特定部3011と、場所別負荷推定部3012とを備える。
【0123】
なお、データ取得部3001、姿勢負荷算出部3002、第1のクラスタリング部3003、個別負荷特徴算出部3004、第2のクラスタリング部3005、総合負荷特徴算出部3006、および作業者情報記憶部3008は、
図18のデータ取得部1801、姿勢負荷算出部1802、第1のクラスタリング部1803、個別負荷特徴算出部1804、第2のクラスタリング部1805、総合負荷特徴算出部1806、および作業者情報記憶部1808と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0124】
映像データ取得部3009は、撮像装置2900から映像データを取得する。映像データ取得部3009は、取得した映像データを作業場所特定部3011へと出力する。尚、映像データ取得部3009は、撮像装置2900によって撮影された映像データが予め記憶された記憶部から映像データを取得してもよい。また、映像データ取得部3009は、データ取得部3001に含まれてもよい。この場合、データ取得部3001が映像データを取得する。
【0125】
場所情報記憶部3010は、作業場所の見取り図(マップ)を記憶している。具体的には、場所情報記憶部3010は、撮像装置2900の設置位置に対応した見取り図を記憶している。場所情報記憶部3010は、作業場所の見取り図を作業場所特定部3011へと出力する。尚、見取り図には、作業場所を複数の作業エリアに分割したエリア情報が対応付けられていてもよい。
【0126】
作業場所特定部3011は、映像データ取得部3009から映像データを受け取り、場所情報記憶部3010から作業場所の見取り図を受け取る。作業場所特定部3011は、映像データに基づいて作業者の作業場所(或いは、作業エリア)を特定する。作業場所特定部3011は、特定した作業場所の情報(作業場所情報)を場所別負荷推定部3012へと出力する。
【0127】
具体的には、作業場所特定部3011は、映像データから作業者を検出する。作業者の検出には、例えば、背景差分法や、人体検出技術、骨格抽出技術、および顔検出技術などの画像認識技術が用いられる。
【0128】
次に、作業場所特定部3011は、見取り図上における作業者の位置を特定する。具体的には、作業場所特定部3011は、映像データにおける作業者の位置(例えば、作業者の足の座標)を特定する。次に、作業場所特定部3011は、見取り図を床面とした三次元空間を想定し、三次元空間内でのカメラ位置を起点として見取り図の平面に映像データを透視投影する。そして、作業場所特定部3011は、投影された映像データにおける作業者の位置と見取り図の座標とを対応付けることによって、見取り図上における作業者の位置を特定する。
【0129】
さらに、作業場所特定部3011は、見取り図上に設定された複数の作業エリアのそれぞれについて、作業者が作業をしていた時間を特定してもよい。この場合、作業場所情報には、例えば、複数の作業エリアのそれぞれについて作業時間を対応付けたデータが含まれる。
【0130】
場所別負荷推定部3012は、作業者情報記憶部3008から姿勢負荷情報を受け取り、作業場所特定部3011から特定された作業場所情報を受け取る。場所別負荷推定部3012は、作業場所情報に含まれる複数の作業エリアのそれぞれについて、作業時間分の作業負荷を積算、或いは平均化することによって、作業エリア毎の作業負荷(場所別負荷)を算出する。場所別負荷推定部3012は、算出した場所別負荷の情報(場所別負荷情報)を表示制御部3007へと出力する。
【0131】
表示制御部3007は、場所別負荷推定部3012から場所別負荷情報を受け取る。表示制御部3007は、場所別負荷情報に基づいて作業エリア毎の作業負荷を可視化するグラフを生成する。ここでのグラフは、例えば、パイチャートで表現される。表示制御部3007は、姿勢負荷グラフと、生成したグラフ(パイチャート)とを含んだ表示データを表示する。尚、表示制御部3007は、更に、映像データを含んだ表示データを表示してもよいし、姿勢負荷グラフおよび映像データを含んだ表示データを表示してもよい。
【0132】
図31は、第5の実施形態に係る負荷推定装置の動作を例示するフローチャートである。
図31のフローチャートの処理は、ユーザによって負荷推定プログラムが実行され、例えば、
図3のフローチャートの処理の後(ステップS370の処理の後)に開始する。尚、
図31のフローチャートの処理は、
図19のフローチャートの処理と同時に行われてもよい。
【0133】
(ステップS3110)
ステップS370の処理の後、映像データ取得部3009は、映像データを取得する。
【0134】
図32は、第5の実施形態における映像データの画像を例示する図である。
図32の画像3200は、作業場所を撮影したものである。作業場所は、例えば、製品3201を含む。また、画像3200は、作業場所にいる作業者3202を写している。作業者3202は、製品3201の右隣で作業をしている。
【0135】
(ステップS3120)
映像データが取得された後、作業場所特定部3011は、映像データに基づいて作業者の作業場所を特定する。具体的には、作業場所特定部3011は、映像データから作業者を検出し、見取り図上における作業者の位置を特定する。
【0136】
図33は、第5の実施形態における見取り図を例示する図である。
図33の見取り
図3300は、作業場所を上方から俯瞰したものである。見取り
図3300には、
図32の作業場所に配置されている製品3201に対応する製品3301が示されている。
【0137】
また、見取り
図3300は、製品3201を中心とする四つの作業エリア(エリア1、エリア2、エリア3、およびエリア4)に分割されている。エリア1は製品3201の上側の領域に相当し、エリア2は製品3201の右側の領域、エリア3は製品3201の下側の領域、エリア4は製品3201の左側の領域に相当する。
【0138】
図34は、
図33の見取り図上に表示される撮像装置および作業者を例示する図である。
図34の見取り
図3300には、エリア2とエリア3との間に撮像装置3401が表示され、エリア2に作業者3402が表示されている。尚、見取り
図3300上の作業者3402の位置は、映像データの作業者の位置に対応して変化する。
【0139】
(ステップS3130)
作業者の作業場所が特定された後、表示制御部3007は、特定された作業場所(作業エリア)に基づく表示データを表示する。具体的には、表示制御部3007は、作業エリア毎の作業負荷を可視化するパイチャートを生成する。そして、表示制御部3007は、生成したパイチャートを含んだ表示データを表示する。
【0140】
図35は、第5の実施形態における見取り図と共に表示されるパイチャートとを例示する図である。
図35には、見取り図におけるエリア1からエリア4までのそれぞれに対応するパイチャート3501、パイチャート3502、パイチャート3503、およびパイチャート3504が示される。パイチャートの大きさは、作業負荷の積算値、或いは平均値に対応している。パイチャートの比率は、部位別の負荷特性(負荷強度)の割合である。
【0141】
パイチャート3501は、腰の負荷強度の割合が他の部位に比べて高くなっているため、「「腰負荷」比率高い」という属性が付けられている。パイチャート3502は、他のパイチャートと比べて大きくなっており、腕の負荷強度の割合が殆どを占めているため、「「腕負荷大」支配的」という属性が付けられている。パイチャート3503は、腰の負荷強度の割合が殆どを占めているため、「「腰負荷」支配的」という属性が付けられている。パイチャート3504は、手首の負荷強度の割合が他の部位に比べて高くなっているため、「手首負荷」比率高い」という属性が付けられている。
【0142】
図36は、第5の実施形態における表示データの一例である。
図36の表示データ3600は、
図21に表示データ2100に対して、映像データの画像の表示領域3610および見取り図およびパイチャートの表示領域3620を更に有する。表示領域3610には、例えば、
図32の画像3200が表示されている。表示領域3620には、例えば、
図35の見取り図および四つのパイチャートが表示されている。
【0143】
以上説明したように、第5の実施形態に係る負荷推定装置は、計測対象からのセンサデータを取得し、センサデータに基づいて計測対象の一つ以上の身体部位に関する一つ以上の姿勢負荷を算出し、一つ以上の姿勢負荷を時系列に示した姿勢負荷グラフを含む表示データを表示する。更に、本負荷推定装置は、計測対象を含む作業場所の映像データを取得し、作業場所のマップと、マップを一つ以上のエリアに分割したエリア情報とを対応付けて記憶し、映像データに基づいて作業場所を特定し、作業場所に含まれる複数の作業エリア毎の作業負荷を算出し、複数の作業エリア毎の作業負荷を可視化するグラフを含んだ表示データを表示する。更に、本負荷推定装置は、映像データを含んだ表示データを表示してもよい。
【0144】
従って、第5の実施形態に係る負荷推定装置は、作業エリア毎に異なる作業負荷を定量的に把握することが可能となるため、作業負荷の高い作業エリアに注目して改善の施策を考えることができる。さらに、本負荷推定装置は、作業負荷の高い作業エリアについて、映像データも合わせて確認することができるため、より具体的な作業状況の把握も可能となる。
【0145】
図37は、一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成を例示するブロック図である。コンピュータ3700は、ハードウェアとして、CPU(Central Processing Unit)3710、RAM(Random Access Memory)3720、プログラムメモリ3730、補助記憶装置3740、入出力インタフェース3750を備える。CPU3710は、バス3760を介して、RAM3720、プログラムメモリ3730、補助記憶装置3740、および入出力インタフェース3750と通信する。
【0146】
CPU3710は、汎用プロセッサの一例である。RAM3720は、ワーキングメモリとしてCPU3710に使用される。RAM3720は、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリを含む。プログラムメモリ3730は、負荷推定プログラムを含む種々のプログラムを記憶する。プログラムメモリ3730として、例えば、ROM(Read-Only Memory)、補助記憶装置3740の一部、またはその組み合わせが使用される。補助記憶装置3740は、データを非一時的に記憶する。補助記憶装置3740は、HDDまたはSSDなどの不揮発性メモリを含む。
【0147】
入出力インタフェース3750は、他のデバイスと接続、或いは通信するためのインタフェースである。入出力インタフェース3750は、例えば、
図1、
図29に示される出力装置110、第1のセンサ121、第2のセンサ122、第3のセンサ123、および
図29に示される撮像装置2900との接続、或いは通信に使用される。
【0148】
プログラムメモリ3730に記憶されている各プログラムはコンピュータ実行可能命令を含む。プログラム(コンピュータ実行可能命令)は、CPU3710により実行されると、CPU3710に所定の処理を実行させる。例えば、負荷推定プログラムは、CPU3710により実行されると、CPU3710に
図3、
図4、
図19、
図23、
図26、および
図31の各部に関して説明された一連の処理を実行させる。
【0149】
プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態でコンピュータ3700に提供されてよい。この場合、例えば、コンピュータ3700は、記憶媒体からデータを読み出すドライブ(図示せず)をさらに備え、記憶媒体からプログラムを取得する。記憶媒体の例は、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD-ROM、DVD-Rなど)、光磁気ディスク(MOなど)、半導体メモリを含む。また、プログラムを通信ネットワーク上のサーバに格納し、コンピュータ3700が入出力インタフェース3750を使用してサーバからプログラムをダウンロードするようにしてもよい。
【0150】
実施形態において説明される処理は、CPU3710などの汎用ハードウェアプロセッサがプログラムを実行することにより行われることに限らず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用ハードウェアプロセッサにより行われてもよい。処理回路(処理部)という語は、少なくとも1つの汎用ハードウェアプロセッサ、少なくとも1つの専用ハードウェアプロセッサ、または少なくとも1つの汎用ハードウェアプロセッサと少なくとも1つの専用ハードウェアプロセッサとの組み合わせを含む。
図37に示す例では、CPU3710、RAM3720、およびプログラムメモリ3730が処理回路に相当する。
【0151】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0152】
1,1A…負荷推定システム、100,100A,1800,2200,2500…負荷推定装置、110…出力装置、121,601…第1のセンサ、122,602…第2のセンサ、123,603…第3のセンサ、201,1801,2201,2501,3001…データ取得部、202,1802,2202,2502,3002…姿勢負荷算出部、203,1803,2203,2503,3003…第1のクラスタリング部、204,1804,2204,2504,3004…個別負荷特徴算出部、205,1805,2205,2505,3005…第2のクラスタリング部、206,1806,2206,2506,3006…総合負荷特徴算出部、207,1807,2207,2507,3007…表示制御部、500,800,900…センサ、700,1000,1101,1102,1103…グラフ、1100…姿勢負荷グラフ、1200…サンプル集合、1301…第1のクラスタ、1302…第2のクラスタ、1303…第3のクラスタ、1304…第4のクラスタ、1305…第5のクラスタ、1306…第6のクラスタ、1307…第7のクラスタ、1401…第1の代表サンプル、1402…第2の代表サンプル、1403…第3の代表サンプル、1404…第4の代表サンプル、1405…第5の代表サンプル、1406…第6の代表サンプル、1407…第7の代表サンプル、1500…サンプル、1600…負荷強度グラフ、1700…負荷属性グラフ、1808,2208,2508,3008…作業者情報記憶部、1809…作業者抽出部、2000,2700…テーブル、2100,2400,2800,3600…表示データ、2110,2120,2130,2140,2150,2410,2810,3610,3620…表示領域、2111,2411,2811…プルダウンメニュー、2131…スライダ、2209…負荷属性抽出部、2421,2422,2423,2821…時間範囲、2509…作業種情報記憶部、2510…作業種抽出部、2900,3401…撮像装置、3009…映像データ取得部、3010…場所情報記憶部、3011…作業場所特定部、3012…場所別負荷推定部、3200…画像、3201,3301…製品、3202,3402…作業者、3501,3502,3503,3504…パイチャート、3700…コンピュータ、3730…プログラムメモリ、3740…補助記憶装置、3750…入出力インタフェース、3760…バス、P1,P2…姿勢角、Pa,Pb…平均姿勢角、Pth…姿勢角、θx,θy…角度。