(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】皮膚の健康のための化粧料組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/60 20060101AFI20240617BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20240617BHJP
A61K 8/66 20060101ALI20240617BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240617BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20240617BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20240617BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20240617BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20240617BHJP
A61K 31/7028 20060101ALI20240617BHJP
A61K 31/7032 20060101ALI20240617BHJP
A61K 31/728 20060101ALI20240617BHJP
A61K 31/78 20060101ALI20240617BHJP
A61K 36/886 20060101ALI20240617BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20240617BHJP
A61K 38/12 20060101ALI20240617BHJP
A61K 38/46 20060101ALI20240617BHJP
A61K 38/47 20060101ALI20240617BHJP
A61K 38/48 20060101ALI20240617BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240617BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240617BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20240617BHJP
A61P 17/08 20060101ALI20240617BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20240617BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20240617BHJP
A61P 17/16 20060101ALI20240617BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240617BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240617BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240617BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240617BHJP
A61Q 7/00 20060101ALI20240617BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20240617BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240617BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
A61K8/60
A61K8/64
A61K8/66
A61K9/06
A61K9/107
A61K9/12
A61K31/05
A61K31/198
A61K31/7028
A61K31/7032
A61K31/728
A61K31/78
A61K36/886
A61K38/02
A61K38/12
A61K38/46
A61K38/47
A61K38/48
A61K45/00
A61P17/00
A61P17/02
A61P17/08
A61P17/10
A61P17/14
A61P17/16
A61P43/00 121
A61Q5/00
A61Q5/02
A61Q5/12
A61Q7/00
A61Q15/00
A61Q19/00
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2020511733
(86)(22)【出願日】2018-04-30
(86)【国際出願番号】 US2018030229
(87)【国際公開番号】W WO2018208530
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-04-08
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-23
(32)【優先日】2017-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519246261
【氏名又は名称】ローカス アイピー カンパニー、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファーマー、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】アリベック、ケン
(72)【発明者】
【氏名】マズンダー、シャーミスサ
【合議体】
【審判長】木村 敏康
【審判官】瀬良 聡機
【審判官】野田 定文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/034007(WO,A1)
【文献】特開2003-113040(JP,A)
【文献】特開2005-306863(JP,A)
【文献】特表平11-512092(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0143316(US,A1)
【文献】国際公開第2007/060956(WO,A1)
【文献】特表平11-508549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99,A61Q1/00-90/00,A61P1/00-43/00,A61K35/00-35/768,36/06-36/068,38/00-38/58,41/00-45/08,48/00,50/00-51/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚症状を治療及び/又は予防するための局所化粧料組成物であって、治療有効量
のソホロリピ
ドと、局所的に許容できるビヒクルとを含み、前記皮膚症状は、日光角化症である、組成物。
【請求項2】
マンノシルエリスリトールリピ
ドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Starmerella bombicola、
Wickerhamomyces anomalus、
Pichia guilliermondii、
Pseudomonas chlororaphis、
Rhodococcus erythropolis、
Pseudozyma aphidis、又は
Bacillusバクテリアにより生成されたタンパク質、酵素、アミノ酸及び/又はペプチドをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
治療有効量のレスベラトロール、ヒアルロン酸及びポリアクリル酸のうち1つ以上をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ラムノリピドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
総組成物のうち、0.01重量%~1.0重量%のマンノシルエリスリトールリピドと、0.01重量%~1.0重量%のソホロリピドと、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
有機溶媒、シリコーン、pH調整剤、キレート化剤、ゲル化剤、タンパク質、ビタミン、皮膚軟化剤、オイル、ヒドロキシ酸、スクラブ剤、粘度調節剤、ポリマー、ミネラル、防虫剤、潤滑剤、保存料、ボタニカル、清澄剤、非生物学的界面活性剤、酸化防止剤、増粘剤、柔軟剤、日焼け止め剤、保湿剤、着色料及び香料から選択される化粧料助剤及び/又は添加剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
液体、クリーム、ゲル、軟膏、拭き取り剤、ローション、石鹸、シャンプー、コンディショナー、スプレーとして処方され、前記処方は、人の外皮に直接適用するのに好適である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
日光角化症を治療及び/又は予防するための方法に用いられる化粧料組成物であって、
日光角化症を有する人の皮膚に直接適用され、
治療有効量
のソホロリピ
ドを含む、組成物。
【請求項10】
1日1回又は2回適用されることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記人の皮膚に擦り込まれることにより適用されることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物を前記人の皮膚に留まらせてから濯ぐことにより適用されることを特徴とする、請求項9に記載の
組成物。
【請求項13】
マンノシルエリスリトールリピ
ドを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
0.01重量%~1.0重量%のマンノシルエリスリトールリピドと0.01重量%~1.0重量%のソホロリピドとを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
エクソ-ベータ-1,3-グルカナーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、グリコシダーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ及び/又はキチナーゼをさらに含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項16】
治療有効量のレスベラトロール、ヒアルロン酸及び/又はポリアクリル酸をさらに含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項17】
ラムノリピドを含む、請求項9に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願を相互参照
本出願は、2017年5月7日出願の米国仮出願第62/502,714号及び2017年7月26日出願の米国仮出願第62/537,057号の優先権を主張するものであり、内容を参照することにより組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
皮膚や外皮は人間の体で最も大きな器官であり、表皮、真皮及び下皮をはじめとする層を含む。ある程度は、皮膚の外部特性や多数の環境因子への露出のせいで、皮膚は、様々な状態に影響を受け、中にはより深刻なものもある。
【0003】
1つの皮膚症状である、日光角化症(加齢によるシミや肝斑として一般的に知られている)は、皮膚の平坦な日焼け、褐色又は黒色のシミである。シミには様々な大きさがあり、通常、顔、手、肩や腕に現れる。加齢によるシミは、肝斑と呼ばれこともあるが、実際に、その原因が肝臓の問題にあるわけではない。加齢によるシミは、色素メラニンの過剰生成の結果である。
【0004】
加齢によるシミが発生する訳には決定的な見解はないが、最近、皮膚の老化、日光暴露、紫外線(UV)露光の他の形態、例えば、日焼け用マシン等が可能性のある原因と一般的に考えられている。さらに、最近の調査によれば、ウイルスや細菌感染剤、皮膚の免疫変化、様々なROS(活性酸素種)分子により生じる酸化ストレスといったその他の因子が角化症の原因をつくっていることが示唆されている。
【0005】
加齢によるシミの着色は、淡褐色から黒色まである。典型的に、シミの質感は皮膚の他の部分と似ていて、シミは、皮膚の日光暴露領域に位置する。場合によっては、シミは目立った構造で、通常の皮膚表面よりも「山」のように膨らんで見えることもある。多くの場合、加齢によるシミに痛みも危険もなく、健康上の問題もない。しかしながら、加齢によるシミの中には、皮膚ガンを発症し得るものもある。このため、見た目の悪さに加え、多くの人々は、加齢によるシミを除去しようとしている。
【0006】
臨床的には、日光角化症は、紅皮角化症斑、丘疹及びプラークとして存在する。大半の患者は、多数のシミや病変を有し、例えば、過去のUV誘発DNA損傷や、持続的なUV暴露による皮膚免疫抑制の結果、新たな病変を発症し続ける。
組織学的には、日光角化症は、異常ケラチノサイトの上皮内増殖として観察される。これらの細胞が、基底膜を超えて伸長すると、シミは悪性となって、浸潤扁平上皮癌へ形質転換され得る。
日光角化症の最も攻撃的な形態は、唇に生じる角化性口唇炎であり、扁平上皮癌へ形質転換することが多い。扁平上皮癌及び日光角化症は、疫学的、細胞学的、分子的特徴を共有するものである。疫学的データによれば、日光角化症病変の少なくとも10%が、10年以内に、扁平上皮癌へ進行し、日光角化症病変の60%は、臨床的に診断された日光角化症から発症していることが示されている。ガン、化学療法、AIDS、臓器移植の結果、免疫抑制された人もまた、高リスクである。
角化症の他の形態である、脂漏性角化症(SK)は、一般的な皮膚成長の結果としての皮膚症状である。SKは、中高年にみられる最も一般的な皮膚病変であり、8千300万人のアメリカ人が罹患している。この種の角化症は、たいていは良性であるが、稀に、脂漏性角化症におけるメラノーマ発症が報告されている。
【0007】
脂漏性角化症は、皮膚のどこでも発症し得るが、最も一般的には、首、顔、胴である。新生物は、円形や楕円形であることが多く、白色、黒色、褐色といった色で、皮膚に平坦又はやや隆起したシミとして現れる。シミは、小さな隆起物となり、厚くなると、イボ、ホクロ、日光角化症又は皮膚ガンのように見える。脂漏性角化症は、ロウ状の「皮膚粘着物」のように見えることが多い。
【0008】
脂漏性角化症が、深刻な健康上の問題を生じることは稀であるが、日光角化症は、皮膚ガンに進行することが多い。これらの2つの皮膚の問題は、病変のみかけに基づいて見分けられることが多いが、皮膚生検では、皮膚の問題を確定診断する必要がある。可能性のある結果にも関わらず、皮膚症状は両方とも、多くの人にとって、美容上望ましくなく、さらには、炎症を起こしたり、不快なものになり得る。
【0009】
加齢によるシミや、色素沈着関連のその他の皮膚症状の治療には、処方箋医薬品がある。加齢によるシミを徐々に薄くする漂白クリームが使われている。こうした処方クリームには、トレチノイン等のレチオイドの入った、又は入っていないヒドロキノンが、通常、含まれている。漂白クリームは、加齢によるシミを薄くするのに、通常、数か月要す。イミキモド、5-フルオロウラシル、ジクロロフェナク系ソーラーゼといった他の局所処方クリームは、前ガン細胞を直接攻撃するか、又は、前ガン細胞を認識するために、体の免疫系を間接的に刺激することにより作用する。しかしながら、これらのクリームは、皮膚の赤らみ、痂皮、痛み、熱、関節痛、口の痛みをはじめとする数多くの望ましくない副作用をもたらす。
【0010】
場合によっては、加齢によるシミ及び/又は色素沈着治療には、処置的な治療法が用いられることがある。日光及び脂漏性角化症を治療するための医療処置としては、メラニンを生成する細胞を破壊し、ケミカルピーリングにより外側皮膚層を焼き、新しい皮膚を適所に成長させ、皮膚の外側層を削って、新しい皮膚を適所に成長させる削皮術を行った後、加齢によるシミを液体窒素で凍らせる冷凍外科術を行うことが挙げられる。処方薬同様、医療処置には、副作用と合併症のリスクが伴う。
【0011】
色素沈着した皮膚や加齢によるシミの見た目を緩和するための、店頭販売用化粧料やクリームが数多く市販されている。こうしたクリームは処方クリームほど強くなく、大半のものが、色素沈着の除去には効果がない。このようなクリームは、たいてい、ヒドロキノン、デオキシアルブチン、グリコール酸、アルファヒドロキシ酸、コウジ酸を含んでいる。
【0012】
加齢によるシミが悪性になる場合に必要となる、さらに侵襲的で大がかりな治療を避けるために、サイズが大きい、数が多い、炎症を起こした日光角化症の扁平上皮癌への転化を予防することが重要である。さらに、皮膚の見た目から、多くの人は、他の色素沈着同様、日光及び脂漏性角化症による見た目をカバーし、緩和しようと多額を支払う。
【0013】
その他の一般的な皮膚症状は、ニキビ、尋常性ざ瘡であり、これは、ホルモンの作用や皮膚の油胞や毛胞にあるその他不純物によるものである。これは、約85%の人が人生において少なからず経験するものである。ニキビは、皮脂腺や毛包が詰まることによる、バクテリアPropionbacterium acnes(P.acnes)の感染による全身性炎症である。皮脂は、P.acnesに栄養源を与え、バクテリアが繁殖するのに理想的な環境を作り、面皰「ニキビ」を生じさせる。
【0014】
面皰は、一般的に、皮脂分泌阻害剤、角化阻害剤、抗菌剤及び/又は抗炎症剤等の活性薬材料を含むクリームや軟膏を用いて治療されるが、これらの薬材料の多くに、副作用がある。例えば、軽症の炎症ニキビは、通常、過酸化ベンゾイル、サリチル酸やレチノイドを含む店頭販売用(OTC)塗り薬で治療する。過酸化ベンゾイルは、皮膚に不透明又は白色に残って、過剰に乾燥させる。さらに、過酸化ベンゾイルは、治療した部分と衣類やリネンが触れると漂白されてしまう。さらに、世界の中の政府規則によれば、潜在的な毒性のために、その使用を制限又は排除しているところもある。
【0015】
過酸化ベンゾイルの代替も知られているが、やはり副作用がある。例えば、避妊薬の形態であることが多いエチニルエストラジオールといったエストロゲン及びエストロゲン様化合物を含むものを女性は処方される。こうした薬剤は、一般的に、皮脂分泌阻害剤としては有効であるが、吐き気、頭痛、体重増加、気分変動、うつやその他副作用に関係する。
【0016】
さらに、ニキビ治療薬の中には、クロルヘキシジングルコン酸塩と塩化ベンザルコニウムとを含む抗菌性成分を用いているものがある。このような抗菌剤は、皮膚に刺激を与えたり、ひどいアカギレを生じさせたりする。さらに、抗菌剤は、野生動物相で発現する耐性菌となる可能性がある。
【0017】
サリチル酸、AHA及び両酸の塩といったコメド溶解剤は、死んだ皮膚細胞を剥離して、ポアを開き空にするので、普及している。コメド溶解剤には限界があり、強酸性pHで高濃度だと、刺激が強い。コメド溶解剤はまた、抗菌活性によってP.acnesの増殖を予防するには、限られた効果しかなく、炎症を直接緩和するには、あったとしても、限定的な効果しかない。
【0018】
皮膚の健康は、健康な長い人生にとって極めて重要である。さらに、皮膚の健康は、美貌と若さの外側の表現であることが多い。様々な皮膚症状を治療したり、予防するために、様々な製品や治療の選択肢がある。しかしながら、治療の多くは、副作用のある、厳密な処方や処置を利用するものである。他の穏やかな選択肢だと、万人に有効なわけではない。このように、例えば、加齢によるシミやニキビをはじめとする様々な皮膚症状を治療し、予防することのできる安全で、有効な化粧料が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、微生物ベースの生成物及び、局所化粧料組成物におけるその使用方法を提供するものである。具体的には、本発明は、局所化粧料組成物を用いて、皮膚の特定の症状を治療する材料及び方法を提供する。利点として、本発明の局所組成物及び方法は、環境にやさしく、無毒で、非薬物的で、費用効果のあるものである。
【0020】
特定の実施形態において、皮膚症状は、日光角化症又は加齢によるシミである。本発明は、生化学生成微生物及び/又はその成長副生成物を用いることにより、加齢によるシミやその他皮膚の色素沈着症状の見た目を治療、予防、除去及び/又は減少させる材料及び方法を提供する。
【0021】
特定の実施形態において、皮膚症状はニキビである。本発明は、生化学生成微生物及び/又はその成長副生成物を用いることにより、ニキビその他皮膚の赤らみ症状の見た目を治療、予防、除去及び/又は減少させる材料及び方法を提供する。
【0022】
特定の実施形態において、皮膚症状は、別の皮膚症状であり、例えば、傷跡、体臭、加齢関連症状(例えば、シワ、タルミ及び乾燥)や頭皮問題(例えば、フケ、脂漏性皮膚炎及び脱毛)、さらに、メイクアップ、オイル、汚れその他不純物によるダメージである。
【0023】
好ましい実施形態において、本発明は、微生物及び/又はその成長副生成物を利用する。例えば、本発明の実施形態は、人間の皮膚症状を治療するための局所組成物を提供する。組成物は、微生物により生成される生物学的両親媒性分子(例えば、バイオサーファクタント)を含む。ある実施形態において、微生物成長副生成物は抗菌性を有する。
【0024】
特定の実施形態において、組成物は、例えば、マンノシルエリスリトールリピド(MEL)、ソホロリピド(SLP)、ラムノリピド(RLP)及びトレハロースリピド及び/又は1つ以上のリポペプチド、例えば、サーファクチン、イツリン及びフェンギシンのような1つ以上のグリコリピドから選択される治療有効量のバイオサーファクタントを含む。特定の実施形態において、本発明によるバイオサーファクタントは、組成物中の他の活性及び不活性成分の皮膚透過を改善することができる。このように、バイオサーファクタントは、活性成分として作用しつつ、治療の有効性を改善することができる。
【0025】
ある実施形態において局所組成物は、治療有効量のレスベラトロール、ヒアルロン酸及び/又はコメド溶解剤、さらに、例えば、皮膚の見た目や健康を治癒、満たす、回復、保湿、保護及び/又は改善する(例えば、傷跡を減らす)ことが知られた他の溶剤をさらに含む。
【0026】
ある実施形態において局所組成物は、さらに、局所的に許容できるビヒクル、油中水型又は水中油型エマルション又は水性血清を含む。
【0027】
ある実施形態において、局所化粧料組成物は、さらに、化粧料組成物に一般的に含まれる追加の化粧料助剤及び添加剤を含むことができ、例えば、有機溶媒、シリコーン、抗菌剤、安定剤、増粘剤、柔軟剤、日焼け止め、保湿剤又は香料が挙げられる。一実施形態において、局所組成物は、さらに、ポリマー安定剤、例えば、ポリアクリル酸を含む。
【0028】
局所組成物は、懸濁液、エマルション、ハイドロゲル、多相溶液、小胞分散液又は局所化粧料のその他公知の形態で処方(例えば、ローション、クリーム、ゲル又は軟膏)として処方される。さらに、局所組成物は、例えば、絞り出しチューブや化粧瓶、ペン、スティック、スプレー、ワイプ又はスポイトで分配できる。
【0029】
一実施形態において、本発明は皮膚症状を治療する方法を提供する。局所化粧料組成物は、かかる症状が存在する皮膚の領域に直接適用される。ある実施形態において、組成物を「適用する」とは、組成物を皮膚に残し、それを皮膚に擦りこんで吸収させることを含む。ある実施形態において、組成物は、治療有効量の時間で皮膚に適用し、例えば、水で、皮膚から濯ぐ。
【0030】
特定の実施形態において、局所化粧料組成物は、例えば、二日に一回、一日に一回又は一日に二回適用される。ある実施形態において、局所組成物は、皮膚症状の治療を行い、続けるため、不定期に、例えば、少なくとも1、2、3週間以上にわたって、二日に一回、一日に一回又は一日に二回適用される。
【0031】
本発明の局所化粧料組成物及び方法を用いて、例えば、加齢によるシミ、ニキビ、傷跡、体臭、加齢関連症状(例えば、シワ、タルミ及び乾燥)や頭皮問題(例えば、フケ、脂漏性皮膚炎及び脱毛)をはじめとする様々なその他皮膚症状を治療及び/又は予防することができる。さらに、局所化粧料組成物をクレンザーとして用いると、メイクアップやその他不純物を除去することができる。
【0032】
特定の実施形態において、本発明は、培養した微生物及び/又はその成長副生成物を含む微生物ベースの組成物を提供する。微生物及びその成長副生成物を製造する方法も提供される。
【0033】
ある実施形態において、微生物は、バイオサーファクタント生成バクテリア(例えば、Bacillus subtilis、Bacillus amyloliquefaciens、Rhodococcus erythropolis、Pseudomonas aeruginosa)又は酵母(例えば、Pseudozyma aphidis、Pichia spp.又はStarmerella bombicola)である。一実施形態において、微生物は、所望の菌株又は種の変異体である。
【0034】
一実施形態において、本発明は、成長及びバイオサーファクタント、酵素及び/又はタンパク質生成に適切な条件下で本発明の微生物菌株を培養し、バイオサーファクタント、酵素及び/又はその他タンパク質を精製することにより、バイオサーファクタント、酵素及び/又はその他タンパク質を生成する方法を提供する。培養プロセスは、例えば、液内培養、固体発酵(SSF)及び/又はこれらの組み合わせである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1A】対象の額と頭皮にある加齢によるシミの外見の例を示す。
【
図1B】対象の額と頭皮にある加齢によるシミの外見の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、微生物ベースの生成物、及び局所化粧料組成物におけるその使用方法を提供する。具体的には、本発明は、微生物成長副生成物を含む局所化粧料組成物を用いた、例えば、加齢によるシミ及び/又はニキビ等の皮膚の特定の症状を治療するための材料及び方法を提供する。
【0037】
本発明の局所化粧料組成物及び方法を用いてまた、例えば、傷跡、体臭、加齢関連症状(例えば、シワ、タルミ及び乾燥)や頭皮問題(例えば、フケ、脂漏性皮膚炎及び脱毛)をはじめとする様々なその他皮膚症状を治療及び/又は予防することもできる。さらに、局所化粧料組成物をクレンザーとして用いると、メイクアップやその他不純物(例えば、ごみや汚れ)を除去することができる。
【0038】
利点として、本発明の局所組成物及び方法は、環境にやさしく、無毒で、非薬物的で、費用効果のあるものである。
【0039】
定義
本明細書で用いる「皮膚症状」という用語には、人と動物の皮膚に影響する症状、疾患、疾病が含まれる。かかる皮膚症状としては、これらに限られるものではないが、表皮、真皮(結合組織、皮脂腺及び毛包)及び皮下組織(下皮)が挙げられる。皮膚症状の兆候としては、例えば、ざ瘡、色素沈着又は喪失、顔面紅潮、炎症、シワ、乾燥、タルミ、厚化、スケーリング、傷跡、フレーキング、発疹、蕁麻疹、水疱、潰瘍、ピーリング、脱毛及び皮膚の見た目におけるその他変化が挙げられる。特定の実施形態において、本明細書に記載した組成物、生成物及び方法を用いて、治療及び/又は予防することのできる皮膚症状としては、これらに限られるものではないが、ニキビ、傷、酒さ、毛嚢炎、ガン腫、メラノーマ、口周囲皮膚炎、蜂巣織炎、癰、光障害、皮膚の加齢(例えば、シワや乾燥)、加齢によるシミ、傷跡、全身性、乾癬、魚鱗癬、アトピー性皮膚炎、慢性創傷、褥瘡、毛状角化症、脂腺嚢胞、尋常性、メリスマ、イボ、炎症性皮膚疾患、炎症後色素沈着、角化症、湿疹、乾燥症、痒み、扁平苔癬、結節性痒疹、微生物感染、体臭、頭皮症状及び乾疹が挙げられる。
【0040】
本明細書で用いる「対象」という用語は、店頭での医療や予防医学を含めた医療を受ける、動物、特に、哺乳類を指す。本発明における好ましい対象は人間の患者である。対象は、乳幼児、プレティーン、ティーンエイジャー、成人を含む、あらゆる年齢又は発達段階、性別とすることができる。
【0041】
本明細書で用いる「化粧用として許容できる」、「局所的に許容できる」及び「皮膚科学的に許容できる」は、区別なく用いられ、特定の成分が、人間の外皮(例えば、皮膚)に用いるレベルで安全かつ無毒であることを意味する。一実施形態において、組成物の成分は、一般に安全と認められる(GRAS)。
【0042】
本明細書で用いる「治療有効量」及び「有効量」は、対象の症状又は及び疾患を治療できる何か(例えば、化合物、組成物、時間)の量を指すのに用いられる。実際の量は、これらに限られるものではないが、治療の特定の症状又は疾患、症状の重症度、対象の大きさ、年齢及び健康、投与経路等、様々な因子に応じて異なる。
【0043】
本明細書で用いる「治療」という用語は、症状又は疾患の程度、兆候又は症候のある程度の根絶、緩和、改善又は逆進を指し、これを必要とするものではないが、症状又は疾患の完治を含む。治療は、疾患を治癒、改善又は部分的に改善するものである。
【0044】
本明細書で用いる症状又は疾患の「予防」とは、症状又は疾患の特定の兆候又は症候の発病を回避、遅延、未然に防ぐ、又は最小にすることを指す。予防は、これを必要とするものではないが、絶対又は完全なものとすることができる。すなわち、それでも、兆候又は症候が、後に発症することを意味する。予防には、症状や疾患の発病の重症度を緩和し、症状や疾患が、より重度な症状や疾患へと進行するのを阻止することが含まれる。例えば、一実施形態において、色素沈着を予防するとは、皮膚色素沈着に関連する1つ以上の望ましくない特徴を回避、遅延、未然に防ぐ、又は最小にすることを指す。具体的には、最終的に発症する色素沈着領域の濃度やサイズを緩和する。他の一実施形態においては、ニキビを予防する、とは、ニキビに関連する1つ以上の望ましくない特徴を回避、遅延、未然に防ぐ、又は最小にすることを指す。具体的には、最終的に発症する面皰の数、濃度、サイズを減じる、最終的に発症するニキビの重症度を緩和する、及び/又はP.acnesの成長、ニキビ跡の発症、その他ニキビの症状を完全又は略完全に予防するものである。
【0045】
本明細書で用いる、「微生物ベースの組成物」とは、微生物又はその他細胞培養の結果生成された成分を含む組成物を意味する。このように、微生物ベースの組成物は、微生物自体及び/又は微生物成長の副生成物(バイオサーファクタント、溶媒及び/又は酵素)を含む。細胞は、植物状態、胞子形態又はこれらの混合物であってよい。細胞は、プランクトン又はバイオフィルム形態、或いはその混合であってよい。細胞は、無傷又は溶解させてよい。細胞は、それらが成長するブロスで、例えば、組成物1ミリリットル当たり、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010又は1×1011以上の濃度で存在してよい。一実施形態において、微生物ベースの組成物は、細胞が成長し、細胞を除去したブロスのみを含む。成長副生成物は、ブロス中に存在し、例えば、代謝物、細胞膜成分、発現タンパク質及び/又はその他細胞成分を含む。
【0046】
本発明は、さらに、所望の結果を得るために実際に適用すべき生成物である、「微生物ベースの生成物」を提供する。微生物ベースの生成物は、単に、微生物培養プロセスから収穫された微生物ベースの組成物であってよい。或いは、微生物ベースの生成物は、さらに添加済みの成分を含む。追加の成分としては、例えば、安定剤、バッファ、適切な担体、例えば、水、塩溶液、又はその他適切な担体、更なる微生物成長をサポートする添加栄養剤、非栄養素成長促進剤、例えば、植物ホルモン、適用される環境において、微生物及び/又は組成物の追跡を促す薬剤が挙げられる。微生物ベースの生成物はまた、微生物ベースの組成物の混合物を含んでいてもよい。微生物ベースの生成物はまた、これらに限られるものではないが、ろ過、遠心分離、溶解、乾燥、精製等、何らかの方法により処理された微生物ベースの組成物の1つ以上の成分も含んでいてよい。
【0047】
「代謝物」とは、代謝により生成される物質又は特定の代謝プロセスを担うのに必要な物質のことを意味する。代謝物は、代謝の出発材料(例えば、グルコース)、中間体(例えば、アセチル-CoA)又は最終生成物(例えば、n-ブタノール)である有機化合物とすることができる。代謝物としては、これらに限られるものではないが、酵素、毒素、酸、溶媒、アルコール、タンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、微量要素、アミノ酸、ポリマー及び界面活性剤が例示される。
【0048】
本明細書で用いる、「単離」又は「精製」という用語は、核酸分子、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、タンパク質又は有機化合物、例えば、小分子、微生物細胞/菌株又は宿主細胞等、生物学的又は自然材料に関連付けて用いられるとき、材料は、自然に係わる、細胞材料のような他の化合物を実質的に含まないことを意味する。すなわち、材料は、これら他の化合物なしでは自然に生じず、天然材料にあるものと比べて、異なる又は独特な特徴を有している。
【0049】
特定の実施形態において、精製化合物は、当該化合物の少なくとも60重量%である。好ましくは、処方は、所望の化合物の少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%又は100重量%(w/w)である。純度は、例えば、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー又は高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)分析による適切な標準的方法により測定される。
【0050】
本明細書で用いる「界面活性剤」とは、2種類の液体間又は液体と固体間の表面張力(又は界面張力)を下げる化合物を意味する。界面活性剤は、洗剤、湿潤剤、乳化剤、発泡剤及び/又は分散剤として作用する。「バイオサーファクタント」は、生存生物により生成される表面活性物質を意味する。
【0051】
移行句「含む(comprising)」は、「有する(including)」や「含有する(containing)」と類語であり、包括的又は制約がなく、追加の、挙げられていない要素や方法工程を排除しない。対照的に、移行句「からなる(consisting of)」は、請求項に記載されていない要素、工程又は成分は排除する。移行句「から実質的になる(consisting essentially of)は、請求項の範囲を特定の材料や工程に限定し、請求された発明の「基本的かつ新規な特徴に実質的に影響しないもの」である。
【0052】
特に断りのない限り、本明細書で用いる用語「又は」は、包括的と理解される。特に断りのない限り、本明細書で用いる用語「一つの(a, an)」及び「該、その、前記(the)」は単数又は複数と理解される。
【0053】
特に断りのない限り、本明細書で用いる用語「約(about)」は、業界における一般公差の範囲内、例えば、平均の2標準偏差、と理解される。「約」は、示した値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%又は0.01%以内と理解される。
【0054】
本明細書で挙げた化学基は可変で、単一又は組み合わせた基とすることができる。可変の態様として挙げた実施形態は、単一又は組み合わせた実施形態とすることができる。
【0055】
本明細書に記載した組成物や方法は、本明細書に記載した他の組成物や方法のいずれか1つ以上と組み合わせることができる。
【0056】
本発明の他の特徴及び利点は、好ましい実施形態の説明及び請求項から明らかになるであろう。本明細書に挙げた参考文献は全て組み込まれる。
【0057】
局所化粧料組成物
本発明は、スキンケア組成物及びその使用方法を提供する。特に、本発明は、加齢によるシミ、ニキビ、傷跡、体臭、加齢関連症状、頭皮症状及び/又は本明細書に記載したその他を治療及び/又は予防することのできるスキンケア及び化粧料生成物を提供する。
【0058】
特定の実施形態において、本発明は、微生物成長副生成物を用いる。特に、本発明の実施形態は、人間の皮膚症状を治療するための局所組成物を提供する。組成物は、生化学生成微生物の培養により生成される生物学的両親媒性分子(例えば、バイオサーファクタント)を含む。ある実施形態において、生物学的両親媒性分子は、原型で用いる。分子は、微生物が培養され、精製なしでそこから集められたブロス中に存在している。原型は、例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%又は80%の両親媒性分子をブロス中に含む。ある実施形態において、生物学的両親媒分子は、培養生成物から精製しておく。
【0059】
特定の実施形態において、組成物は、治療有効量のグリコリピド、例えば、マンノシルエリスリトールリピド(MEL)、ソホロリピド(SLP)、トレハロースリピド(TL)及びラムノリピド(RLP)、及び/又はリポペプチド、例えば、サーファクチン、イツリンA及びフェンギシンを含む。一実施形態において、組成物は、これらバイオサーファクタントの組み合わせを含む。
【0060】
本発明による生物学的両親媒性分子は、以下のうち1つ以上のことが可能である。すなわち、皮膚にある病原体を殺し、皮膚の免疫系を調節し、メラノサイトを殺して、置換細胞を成長させ、酸化ストレスを減じ、ケラチノサイト及び線維芽細胞の増殖及び機能を改善し、組成物中のバイオサーファクタントと1つ以上の他の活性成分の両方の皮膚透過を改善する。このように、治療上の効果を上げながら、これら有効な分子はまた、例えば、色素沈着や微生物因子の存在に関連する皮膚症状を治療するのに、局所組成物の全体の有効性も向上させることができる。
【0061】
MEL及びSLPは、様々な酵母により生成されたバイオサーファクタントのグリコリピド部類の一部である。MELは主に、各々の種により生成されるMEL構造の中でも大きく変異した酵母属Pseudozymaにより生成される。MELは無毒で、広い温度及びpH範囲で安定である。さらに、MELは、保存料を追加せずに用いることができる。
【0062】
好ましい実施形態において、局所化粧料組成物中のMEL濃度は、総組成物の0.001重量%~90重量%、0.01重量%~50重量%、0.05重量%~10重量%、好ましくは、0.1重量%~2.0重量%である。
【0063】
SLPは、いくつかの非病原性酵母種により大量に生成される。中でも最も研究されているのは、Starmerella bombicolaである。SLPは、環境適合性、高生物分解性、低毒性、高選択性、広い範囲の温度、pH及び衛生条件において比活性度を有する。
【0064】
好ましい実施形態において、局所化粧料組成物中のSLP濃度は、総組成物の0.001重量%~90重量%、0.01重量%~50重量%、0.05重量%~10重量%、好ましくは、0.1重量%~2.0重量%である。一実施形態において、局所組成物は、酸性形態のSLPを含む。
【0065】
RLPは、Pseudomonasバクテリアにより主に生成されるグリコリピドである。それらは、天然乳化剤であり、本発明に従って用いて、化粧料組成物中のラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム及びラウレス硫酸ナトリウム等の非生物学的界面活性剤と置き換えることができる。さらに、RLPを処方すると、保湿を高めたり、皮膚の潤いを保ち、シワを減らし、皮膚を滑らかにすることができる。さらに、RLPは抗菌(グラム陽性)及び抗真菌薬として用いることができる。
【0066】
好ましい実施形態において、局所化粧料組成物中のRLP濃度は、総組成物の0.001重量%~90重量%、0.01重量%~50重量%、0.05重量%~10重量%、好ましくは、0.1重量%~2.0重量%である。
【0067】
トレハロースリピド(TL)は、例えば、バクテリアRhodococcus erythropolisにより生成されたグリコリピドである。TLは、乳化及び分散特性を有する。それらの表面活性は高く、抗ウイルス及び抗菌性を有する。
【0068】
好ましい実施形態において、局所化粧料組成物におけるTL濃度は、総組成物の0.001重量%~90重量%、0.01重量%~50重量%、0.05重量%~10重量%、好ましくは、0.1重量%~2.0重量%である。
【0069】
サーファクチンは、特定のバクテリア菌株、主にBacillus subtilisにより生成されるリポペプチドである。サーファクチンは、高い表面活性機能を有し、極めて親水性で、他のバイオサーファクタントよりも広い濃度範囲で透明なゲルを形成する。このバイオサーファクタントは、化粧料製品の皮膚透過剤、発泡剤及び乳化剤として作用する。さらに、サーファクチンは、有効な抗菌(グラム陽性)、抗真菌及び抗ウイルス性を示す。
【0070】
好ましい実施形態において、局所化粧料組成物中のサーファクチン濃度は、総組成物の0.001重量%~90重量%、0.01重量%~50重量%、0.05重量%~10重量%、好ましくは、0.1重量%~2.0重量%である。
【0071】
本発明において有用なさらなる生物学的両親媒性分子としては、マンノプロテイン、ベータグルカン、バイオ乳化及び表面/界面張力減少特性を有するその他代謝物が挙げられる。
ある実施形態において、局所化粧料組成物は、微生物により生成された、治療有効量の酵素及び/又はタンパク質を含む。例えば、約0.001重量%~約20重量%、好ましくは、約0.01重量%~約15重量%、約0.05重量%~約10重量%の1つ以上の酵素及び/又はタンパク質が含まれる。これらに限られるものではないが、皮膚の健康を改善するのに有益なエクソ-ベータ-1,3-グルカナーゼ、「キラー毒素」、キチナーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、グリコシダーゼ、アミラーゼ及びプロテアーゼを挙げることができる。
【0072】
ある実施形態において、局所組成物は、さらに、治療有効量のレスベラトロールを含む。特定の実施形態において、本局所組成物の総重量に対するレスベラトロールの量は、0.001重量%~5.0重量%、より好ましくは、0.05重量%~2.0重量%、最も好ましくは、0.2重量%~1.0重量%である。
【0073】
レスベラトロールは、グレープ、ブルーベリー、ラズベリー、マルベリーといった果物の皮にある天然起源の物質である。極めて強力な抗酸化剤、シグナル伝達による遺伝子発現の調節剤、炎症仲介物質の阻害剤となると報告されており、同時に、様々な機構で作用させることにより、ガン予防と治療の両方に関して、有望なマルチターゲット抗がん剤として着目されている。さらに、レスベラトロールは、メラニンの合成を減じるため、独特の皮膚漂白能力を有している。
【0074】
一実施形態において、局所組成物は、ポリマー安定剤、例えば、約0.01%~約5.0%、約0.05%~約2.0%、約0.5%~約1.0%のポリアクリル酸をさらに含むことができる。ポリアクリル酸は、レスベラトロールの結晶化を防ぐのを助ける。
【0075】
ある実施形態において局所組成物は、治療有効量のヒアルロン酸をさらに含む。ヒアルロン酸は、人間の皮膚の線維芽細胞に自然に生成され、火傷や潰瘍などの皮膚の創傷を治癒したり、皮膚の保湿剤として用いることができる。ヒアルロン酸は、保湿、組織修復、皮膚の構造成分を形成するコラーゲンやエラスチンを保持するのを補助する。望ましくない微生物に対する保護バリアを形成する手助けもする。
【0076】
一実施形態において、局所組成物は、約0.01重量%~約~10.0重量%、約0.05重量%~約8.0重量%、約0.5重量%~約5.0重量%、又は約1.0重量%~約3.0重量%のヒアルロン酸を含む。
【0077】
ある実施形態において、局所組成物は、局所又は化粧用として許容できるビヒクルをさらに含む。
【0078】
化粧用として許容できるビヒクルは、エマルションの形態である。好適なエマルションとしては、クリーム、ゲル又はマイクロエマルションの外観を有する、油中水型エマルション、水中油型エマルション、水中シリコーン型エマルション、シリコーン中水型エマルション、水中ワックス型エマルション、水油水トリプルエマルション等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0079】
本明細書で用いる「オイル」という用語には、特に断りのない限り、シリコーンオイルが含まれる。エマルションは、ノニオン、アニオン又は両性界面活性剤や乳化剤を、典型的には、約0.001重量%~約5重量%の量で含む。
【0080】
化粧用として許容できるビヒクルとしては、水、植物油、鉱油、パルミチン酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル及びパルミチン酸イソプロピル等のエステル油、ジカプリルエーテルやジメチルイソソルバイド等のエーテル、エタノール及びイソプロパノール等のアルコール、セチルアルコール、セテアリルアルコール、ステアリルアルコールやベヘニルアルコール等のアルコール、イソオクタン、イソドデカン(IDD)やイソヘキサデカン等のイソパラフィン、シクロメチコン、ジメチコン、ジメチコンクロスポリマー、ポリシロキサンやその誘導体等のシリコーンオイル、好ましくは、PDMS、ジメチコンコポリオール、ジメチコノールやアモジメチコノール等の有機変性誘導体、鉱油、石油、イソエイコサンやポリオレフィン等の炭化水素油、例えば(水素化)ポリイソブテン、プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコールやカプリリルグリコール等のポリオール、蜜蝋、カルナウバ、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックスやボタニカルワックス等のワックス、これらの組み合わせや混合物が挙げられる。水性ビヒクルは、水と混和する1つ以上の溶媒を含み、例えば、エタノール、イソプロパノールといった低級アルコール等である。ビヒクルは、組成物の約1重量%~約99重量%、10重量%~約85重量%、25重量%~75重量%又は50重量%~約65重量%含まれる。
【0081】
ある実施形態において、局所化粧料組成物は、化粧料組成物に一般的に含まれる追加の化粧料助剤や添加剤、例えば、有機溶媒、安定剤、シリコーン、増粘剤、柔軟剤、日焼け止め剤、保湿剤や香料等を含むことができる。各活性又は不活性成分の量は、意図する目的を達成するために、化粧料分野で従来用いられているものであり、一般的には、組成物の約0.0001%~約25%、又は約0.001%~約20%である。ただし、この範囲外の量でも構わない。これらの成分の性質や量は、本開示の組成物の生成や機能と適合するものでなければならない。
【0082】
一実施形態において、組成物は、追加の皮膚活性剤を含んでいてよく、いくつか挙げると、レチノイド、ボタニカル、角質溶解剤、ケラチノサイト増殖促進剤、コラゲナーザ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、脱色素剤、抗炎症剤、ステロイド、抗ニキビ剤、酸化防止剤及び高度糖化最終産物(AGE)阻害剤があるがこれらに限られるものではない。
【0083】
一実施形態において、組成物は、さらに抗老化成分を含んでいてもよく、例えば、これらに限られるものではないが、ボタニカル(例えば、Butea frondosaエキス、アロエベラエキス)、フィトール、フィタン酸、リン脂質、シリコーン、ワセリン、トリグリセリド、オメガ脂肪酸、レチノイド、ヒドロキシ酸(アルファヒドロキシ酸及びベータヒドロキシ酸を含む)、サリチル酸及びアルキルサリチル酸、剥離剤(例えば、グリコール酸、3,6,9-トリオキサウンデカンジオン酸、等)、エストロゲンシンテターゼ刺激化合物(例えば、カフェイン及び誘導体)、5-アルファレダクターゼ活性を阻止できる化合物(例えば、リノレン酸、リノール酸、フィナステリド及びその混合物)並びにバリア機能促進剤(例えば、セラミド、グリセリド、コレステロール及びそのエステル、アルファヒドロキシ及びオメガヒドロキシ脂肪酸及びそのエステル)が挙げられる。
【0084】
例示のレチノイドとしては、限定されるものではないが、レチノイン酸(例えば、オールトランス、又は9シス、又は13シス)及びその誘導体、レチンアルデヒド、レチノール(ビタミンA)及びそのエステル、例えば、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール及びプロピオン酸レチノール、及びその塩が挙げられる。存在するとき、レチノイドは、約0.0001重量%~約5重量%、より一般的には、約0.01重量%~約2.5重量%、約0.1重量%~約1.0重量%の量で含まれる。本実施形態による組成物は、典型的に、アスコルビン酸のような酸化防止剤及び/又はBHT及び/又はEDTAやその塩(例えば、二ナトリウムEDTA)のようなキレート化剤を含む。
【0085】
他の実施形態において、本発明の局所組成物はまた、皮膚透過促進剤、皮膚軟化剤、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、石油、揮発性又は不揮発性シリコーンオイル(例えば、メチコン、ジメチコン)、エステルオイル、鉱油及び脂肪酸エステル、保湿剤、例えば、グリセリン、ヘキシレングリコール又はカプリリルグリコール、スキンプランパー、例えば、パルミトイルオリゴペプチド、コラーゲン、及び/又はグリコサミノグリカン(GAG)促進剤、日焼け止め剤、例えば、アボベンゾン又はメトキシけい皮酸オクチル、剥離剤及び酸化防止剤のうち1つ以上を含んでいてもよい。
【0086】
好適な剥離剤としては、例えば、アルファヒドロキシ酸、ベータヒドロキシ酸、酸素酸、酸素二酸及びその誘導体、例えば、エステル、無水物及び塩が挙げられる。好適なヒドロキシ酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、2-ヒドロキシアルカン酸、マンデル酸、サリチル酸及びその誘導体が挙げられる。剥離剤の一例を挙げると、グリコール酸である。存在するとき、剥離剤は、組成物の約0.001重量%~約20重量%である。
【0087】
本組成物に用いられる酸化防止剤としては、フェノールヒドロキシ基を有する化合物、例えば、アスコルビン酸及びその誘導体/エステル、ベータカロテン、カテキン、クルクミン、フェルラ酸誘導体(例えば、フェルラ酸エチル、フェルラ酸ナトリウム)、没食子酸誘導体(例えば、没食子酸プロピル)、リコピン、還元酸、ロスマリン酸、タンニン酸、テトラヒドロクルクミン、トコフェロール及びその誘導体、例えば、酢酸トコフェノール、尿酸又はその混合物が挙げられる。その他の好適な酸化防止剤は、還元又は非還元形態の1つ以上のチオール基(-SH)を有するもの、例えば、グルタチオン、リポ酸、チオグリコール酸及びその他スルフィドリル化合物がある。酸化防止剤は、無機、例えば、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩、亜硫酸塩又はイオンを含有するその他無機塩及び酸である。酸化防止剤は、個々に、又は併せて、組成物の総重量の約0.001%~約10%(w/w)又は約0.01%~約5%(w/w)である。
【0088】
非生物学的界面活性剤もまた、処方に添加することができる。界面活性剤としては、これらに限られるものではないが、硫酸アルキル、硫酸アルキルエーテル(例えば、硫酸ナトリウム/アンモニウムラウリル及び硫酸ナトリウム/アンモニウムラウレス)、両性(例えば、アンホアセテート及びアンホプロピオネート)、スルホサクシネート、アルキルポリグリコシド、ベタイン(例えば、コカミドプロピルベタイン(CAPB)、スルタイン、サルコシナート、イセチオナート、タウレート、エトキシ化ソルビタンエステル、アルカノールアミド及びアミノ酸系界面活性剤が挙げられる。
【0089】
粘度調節剤もまた、組成物に添加することができ、例えば、コカミドDEA、オレアミドDEA、塩化ナトリウム、セルロースポリマー、ポリアクリレート、エトキシ化エステル、アルコール、グリコール、キシレンスルホネート、ポリソルベート20、アルカノールアミド及びセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース)が挙げられる。
【0090】
ポリマーもまた、添加することができ、例えば、キサンタンガム、グアーガム、ポリクオタニウム10、PEG120メチルグルコースジオレエート、PEG150ジステアレート、PEG150ポリグリセリル2トリステアレート及びPEG150ペンタエリスリチルテトラステアリン酸が挙げられる。
【0091】
その他の添加剤としては、ビタミン、例えば、トコフェロール及びアスコルビン酸、ビタミン誘導体、例えば、モノパルミチン酸アスコルビル、酢酸トコフェリル及びパルミチン酸ビタミンE、増粘剤、例えば、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボマー、植物ガム、例えば、キサンタンガム、ゲル化剤、例えば、エステル末端ポリエステルアミド、構造剤、金属キレート化剤、例えば、EDTA又はその塩、顔料、着色剤、タンパク質、例えば、ラクトフェリン、及びpH調整剤(クエン酸、エタノールアミン、水酸化ナトリウム、等)が挙げられる。
【0092】
組成物は、任意で、当業者に知られたその他の成分を含んでいてもよく、これらに限られるものではないが、膜形成剤、保湿剤、ミネラル、粘度及び/又はレオロジー調節剤、抗ニキビ剤、防虫剤、皮膚清涼化合物、皮膚保護剤、潤滑剤、香料、保存料、安定剤及びこれらの混合物が挙げられる。上記のものに加え、本発明の化粧料組成物は、皮膚症状又は異常の治療のための他の化合物を含んでいてもよい。
【0093】
さらに、本開示による組成物は、一般的に用いられ当業者により知られた1つ以上の適合性のある化粧用として許容できる助剤を含むことができる。例えば、着色料、真珠、クロマライト、マイカ、顔料、染料、香料、皮膚軟化剤、保湿剤、保存料、コンディショナー、ビタミン、キレーター、増粘剤、麻酔薬、抗アレルギー薬、抗真菌薬、抗菌薬、その他抗炎症剤、酸化防止剤、殺菌剤、脱色剤、膜形成剤、防虫剤、医薬品、光安定剤、日焼け止め剤、安定剤、界面活性剤、増粘剤、粘度調節剤及びボタニカルがある。本開示の局所組成物はまた、皮膚透過促進剤、表面スムーサー、スキンプランパー、光学デフューザー、剥離促進剤及び抗酸化剤を含むこともできる。これらの及びその他の好適な化粧料成分に関する詳細は、「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」、第10版(2004)、Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association(CTFA)発行、2177-2299頁にあり、これは、参考文献として組み込まれる。これらの様々な物質の量は、化粧又は製薬分野で通常使われるものであり、例えば、組成物の総重量の約0.01%~約20%である。
【0094】
日焼け止め剤又は日焼け止め剤の組み合わせを入れて、皮膚をUVAとUVBの両方から皮膚を保護する。本組成物に用いることのできる日焼け止め剤としては、アボベンゾン、けい皮酸誘導体(例えば、メトキシけい皮酸オクチル)、サリチル酸オクチル、オキシベンゾン、オクトクリレン、二酸化チタン、酸化亜鉛又はその混合物がある。日焼け止め剤は、組成物の総重量の約1wt%~約30wt%存在する。
【0095】
さらに、組成物は、角化症の暗色及び赤色を漂白することのできる化合物を含んでいてよく、化合物は、皮膚の弾力を改善し、他の化合物の皮膚のより深い層への浸透を増大する。
【0096】
組成物は、懸濁液、エマルション、ハイドロゲル、多相溶液、小胞分散液又は局所化粧料組成物のその他公知の形態で処方してよい。
【0097】
特定の実施形態において、局所化粧料組成物は、例えば、ペン、管、瓶、ブラシ、スティック、スポンジ、綿棒、ウェットティッシュ(ワイプ)、噴霧器、点滴器、手又は指で適用できるように処方してもよい。
【0098】
組成物は、様々な製品形態で処方してよく、例えば、ローション、クリーム、セラム、スプレー、エーロゾル、液体ケーク、軟膏、エッセンス、ゲル、ペースト、パッチ、ペンシル、パウダー、ウェットティッシュ、石鹸、シャンプー、コンディショナー、スティック、泡、ムース、エリキシル剤又は濃縮物とすることができる。好ましい実施形態において、組成物は、皮膚への局所投与に特に好適となるように処方される。
【0099】
組成物は、様々なpHレベルで処方することができる。一実施形態において、局所組成物のpHの範囲は、1.0~13.0である。ある実施形態において、局所組成のpHの範囲は、2.0~12.0である。本組成物に好適なその他のpH範囲は、3.5~7.0、又は7.0~10.5である。水酸化ナトリウム、クエン酸及びトリエタノールアミンのような好適なpH調整剤を、添加して、pHを所望の範囲にしてもよい。
【0100】
微生物の成長及び微生物成長副生成物の生成
本発明は、微生物の培養と、微生物代謝物及び/又はその他の微生物成長副生成物の製造方法を提供する。微生物培養システムは、典型的に、液内培養を用いるが、表面培養やバイブリッドシステムも用いることができる。本明細書で用いる「発酵」は、制御された条件下での細胞の成長を指す。成長は、好気性又は嫌気性とすることができる。
【0101】
一実施形態において、本発明は、バイオマス(例えば、成長可能な気泡材料)、細胞外代謝物(例えば、小分子及び排出タンパク質)、残渣栄養素及び/又は細胞内(例えば、酵素及びその他タンパク質)を生成するための材料及び方法を提供する。
【0102】
本発明で用いる微生物成長容器は、産業用であれば、任意の発酵槽又は培養リアクターとすることができる。一実施形態において、容器は、機能制御/センサを有している、又は機能制御/センサに接続されて、培養プロセスにおいて重要な因子、例えば、pH、酸素、圧力、温度、攪拌機軸動力、湿度、粘度、微生物密度、及び/又は代謝物濃度を測定するものであってよい。
【0103】
更なる実施形態において、容器はまた、容器内の微生物の成長をモニター(例えば、細胞数及び成長相の測定)できるものであってもよい。或いは、デイリーサンプルを容器から取り出して、希釈平板法等、業界で公知の技術により列挙してもよい。希釈平板は、サンプル中の微生物の数を推定するのに用いられる簡易な技術である。この技術はまた、異なる環境や処理を比べるための指標も提供することができる。
【0104】
一実施形態において、本方法は、窒素源によって培養を補助する。窒素源は、例えば、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、アンモニア、尿素及び/又は塩化アンモニウムとすることができる。これらの窒素源は、独立して、又は2つ以上の組み合わせで用いてよい。
【0105】
本方法は、成長培養物に酸素を供給することができる。一実施形態によれば、緩慢な空気流により、低酸素含有空気を除去し、酸素供給された空気を導入する。酸素供給された空気は、液体の機械的撹拌のためのインペラと、酸素を液体に溶解するための気体の泡を液体に供給するエアスパージャを含む機構により、デイリーに補充される周囲空気である。
【0106】
本方法は、さらに、炭素源によって培養を補助する。炭素源は、典型的に、グルコース、スクロース、ラクトース、フルクトース、トレハロース、マンノース、マンニトール及び/又はマルトースといった炭水化物、酢酸、フマル酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、マロン酸及び/又はピルビン酸といった有機酸、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソブタノール及び/又はグリセロールといったアルコール、大豆油、米糠油、キャノーラ油、ココナツ油、オリーブ油、コーン油、胡麻油及び/又は亜麻仁油といった油脂等である。これらの炭素源は、独立して、又は2つ以上の組み合わせで用いてよい。
【0107】
一実施形態において、微生物のための成長因子及び微量栄養素が媒体に含まれる。これは、成長微生物が、必要な全てのビタミンを生成できないときは特に好ましい。鉄、亜鉛、銅、マンガン、モリブデン及び/又はコバルトといった微量要素を含む無機栄養素もまた媒体に含まれる。さらに、ビタミン、必須アミノ酸及び微量元素の源を、例えば、コーンフラワーのような小麦粉又は挽き割り粉の形態、酵母エキス、ジャガイモエキス、ビーフエキス、大豆エキス、バナナ果皮エキス等のエキスの形態、或いは精製形態で含めることができる。タンパク質の生合成に有用なアミノ酸、例えば、L-アラニンを含めることもできる。
【0108】
一実施形態において、無機塩も含めてよい。有用な無機塩は、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸鉄、塩化鉄、硫酸マンガン、塩化マンガン、硫酸亜鉛、塩化鉛、硫酸銅、塩化カルシウム、炭酸カルシウム及び/又は炭酸ナトリウムである。これらの無機塩は、独立して、又は2つ以上の組み合わせで用いてよい。
【0109】
ある実施形態において、培養方法はさらに、追加の酸及び/又は抗菌剤を、培養プロセスの前及び/又は最中に液体媒体に添加することを含む。抗菌剤又は抗生物質は、培養物を汚染から守るために用いられる。さらに、消泡剤も添加して、培養中気体が発生するときに、発泡及び/又は泡の蓄積から守る。
【0110】
混合物のpHは、当該微生物に好適なものとしなければならない。炭酸塩やリン酸塩のようなバッファ及びpH調整剤を用いて、好ましい値近くにpHを安定化させてもよい。培養は、一定のpHで連続して行ってもよいし、pHを変えてもよい。高濃度の金属イオンが存在するときは、液体媒体中でキレート化剤を用いる必要がある。
【0111】
微生物の培養及び微生物副生成物の精製の方法及び機器は、バッチ、半バッチ又は連続プロセスで用いることができる。
【0112】
一実施形態において、微生物の培養方法は、約5℃~約100℃、好ましくは、15~60℃、より好ましくは、25~50℃で行う。更なる実施形態において、培養は、一定の温度で連続して行う。他の実施形態において、培養は、温度を変更して行ってもよい。
【0113】
一実施形態において、本方法及び培養プロセスで用いる機器は殺菌されている。リアクター/容器等の培養機器は、殺菌ユニット、例えば、オートクレーブと離して接続する。培養機器はまた、イノキュレートを開始する前に、現場で殺菌する殺菌ユニットを有していてもよい。空気は、業界に知られた方法により殺菌することができる。例えば、周囲空気は、容器に入る前に、少なくとも1つのフィルタを通過する。他の実施形態において、細菌成長を制御するために、低水分活性及び低pHを用いる場合は、媒体は、低温殺菌、又は、任意で、全く加熱しないで殺菌する。
【0114】
一実施形態において、本発明は、成長及びバイオサーファクタント、酵素及び/又はタンパク質生成に適切な条件下で、本発明の微生物菌株を培養し、バイオサーファクタント、酵素及び/又はその他タンパク質を精製することにより、バイオサーファクタント、酵素及び/又はその他タンパク質を生成する方法を提供する。
【0115】
一実施形態において、本発明はさらに、エタノール、乳酸、ベータグルカン、タンパク質、ペプチド、代謝中間体、多価不飽和脂肪酸、リピド等の微生物代謝物を生成する方法を提供する。本方法により生成される代謝物含量は、例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%である。
【0116】
発酵ブロスのバイオマス含量は、例えば、5g/l~180g/l以上である。一実施形態において、ブロスの固体含量は、10g/l~150g/lである。
【0117】
当該微生物により生成される微生物成長副生成物は、微生物に保持されるか、液体媒体に分泌される。他の実施形態において、微生物成長副生成物を生成する方法はさらに、当該微生物成長副生成物を濃縮し精製する工程を含む。更なる実施形態において、液体媒体は、微生物成長副生成物を安定化させる化合物を含有していてよい。
【0118】
一実施形態において、微生物培養組成物は、培養完了時に(例えば、所望の細胞密度、ブロスにおける特定の代謝物の密度が達成された時点で)全て取り出される。このバッチ手順において、第1のバッチを取り出した時点で、全く新しいバッチが開始される。
【0119】
他の実施形態において、どの時点でも、発酵生成物の一部のみを取り出す。本実施形態において、生存細胞のバイオマスは、新たな培養バッチのためのイノキュレートとして容器に残る。取り出された組成物は、細胞フリーのブロス又は細胞を含む。このようにして、半連続システムが作られる。
【0120】
利点として、本方法は、複雑な機器や高エネルギー消費を必要としない。当該微生物は、媒体と混合されたままでも、現場で小規模又は大規模で培養でき、用いることができる。同様に、微生物代謝物もまた、必要な場所で大量に生産することができる。
【0121】
本発明のシステム及び方法により成長した微生物は、例えば、バクテリア、酵母及び/又は菌類とすることができる。微生物は、天然又は遺伝子組み換え微生物であってよい。例えば、微生物は、特異遺伝子により転換され、特別な特性を示す。微生物はまた、所望の菌株の変異体であってもよい。本明細書で用いる、「突然変異」とは、参照微生物の菌株、遺伝子変異体又はサブタイプを意味し、突然変異は、参照微生物と比べたとき、1つ以上の遺伝子変異(例えば、点突然変異、ミスセンス突然変異、ナンセンス突然変異、欠失、複製、フレームシフト突然変異又はリピート伸長)を有する。突然変異を生じる手順は微生物分野において周知されている。例えば、UV突然変異誘発及びニトロソグアニジンはこの目的で大規模に使われている。
【0122】
好ましい実施形態において、微生物は、バイオサーファクタント生成及び/又は酵素生成微生物である。一実施形態において、微生物は、酵母又は菌類である。本発明により用いるのに好適な酵素及び菌類としては、例えば、Candida、Saccharomyces(S.cerevisiae、S.boulardii sequela、S.torula)、Issatchenkia、Kluyveromyces、Pichia、Wickerhamomyces(例えば、W.anomalus)、Starmerella(例えば、S.bombicola)、Mycorrhiza、Mortierella、Phycomyces、Blakeslea、Thraustochytrium、Phythium、Entomophthora、Aureobasidium pullulans、Pseudozyma aphidis、Aspergillus、及び/又はRhizopus spp.が挙げられる。
【0123】
一実施形態において、酵母は、キラー酵母である。本明細書で用いる、「キラー酵母」とは、菌株自体が免疫性である、毒性タンパク質又は糖タンパク質の分泌を特徴とする酵母の菌株を意味する。キラー酵母が分泌する外毒素は、酵母、菌類又はバクテリアの他の菌株を殺すことができる。例えば、キラー酵母により制御できる微生物としては、Fusarium及びその他糸状菌類が挙げられる。かかる酵母としては、これらに限られるものではないが、Wickerhamomyces(例えば、W.anomalus)、Pichia(例えば、P.anomala、P.guielliermondii、P.occidentalis、P.kudriavzevii)、Hansenula、Saccharomyces、Hanseniaspora、(例えば、H.uvarum)、Ustilago maydis、Debaryomyces hansenii、Candida、Cryptococcus、Kluyveromyces、Torulopsis、Ustilago、Williopsis、Zygosaccharomyces(例えば、Z.bailii)等が挙げられる。
【0124】
一実施形態において、本発明で用いる微生物は、Pseudozyma aphidisである。Pseudozyma aphidisは、マンノシルエリスリトールリピド(MEL)の効率的な生成源である。
【0125】
一実施形態において、微生物は、キラー酵母の菌株から選択できる。より好ましい実施形態において、酵母は、Pichia菌株、例えば、P.anomalus(Wickerhamomyces anomalus)、P.kudriavzevii(Wickerhamomyces kudriavzevii)及び/又はP.guilliermondii(Meyerozyma guilliermondii)である。
【0126】
一実施形態において、微生物菌株は、Starmerella bombicolaである。Starmerella bombicolaは、ソホロリピド(SLP)の効率的な生成源である。
【0127】
一実施形態において、微生物は、グラム陽性及びグラム陰性バクテリアをはじめとするバクテリアである。バクテリアは、例えば、Agrobacterium radiobacter, Arthrobacter、Azobacter(例えば、A.vinelandii、A.chroococcum)、Azospirillum brasiliensis、Bacillus(例えば、B.subtilis、B.licheniformis、B.firmus、B.laterosporus、B.megaterium、B.amyloliquifaciens)、Clostridium(例えば、C.butyricum、C.tyrobutyricum、C.acetobutyricum、Clostridium NIPER 7及びC.beijerinckii)、Gordonia、Mycobacterium、Nocardia、Pseudomonas(例えば、P.chlororaphis subsp.aureofaciens(Kluyver)、P.aeruginosa)、Ralslonia eulropha、Rhodococcus(例えば、Rhodococcus erythropolis)、Rhodospirillum rubrum、Rhizobium及び/又はSphingomonas paucimobilisである。
【0128】
一実施形態において、微生物は、Pseudomonas(例えば、P.aeruginosa)の非病原性菌株である。好ましくは、菌株は、ラムノリピドバイオサーファクタント(RLP)の生成源である。
【0129】
一実施形態において、微生物は、Rhodococcus erythropolis、トレハロースリピド(TL)の効率的な生成源である。
【0130】
一実施形態において、微生物は、B.subtilisの菌株、例えば、B.subtilis var.locuses B1またはB2であり、例えば、サーファクチンとイツリンの効率的な生成源である。本明細書は、本明細書に開示された教示と一致する範囲において、国際公開WO2017/044953A1号を参考文献として組み込む。
【0131】
他の実施形態において、微生物は、Bacillus amyloliquefaciensの菌株であり、同じく、サーファクチンの効率的な生成源である。
【0132】
例えば、大量のグリコリピドバイオサーファクタント又はリポペプチドバイオサーファクタントを蓄積可能なその他の菌株をはじめとする他の微生物菌株を本発明に従って用いることができる。本発明による有用な追加の代謝物としては、マンノプロテイン、ベータグルカン、バイオ乳化及び表面/界面張力減少特性を有するその他生物学的両親媒性分子が挙げられる。
【0133】
微生物ベースの生成物の調製
本発明の1つの微生物ベースの生成物は、単に、微生物及び/又は残渣栄養素により生成される微生物及び/又は微生物代謝物を含有する発酵ブロスである。発酵生成物は、抽出や精製なしで直接用いることができる。
【0134】
しかしながら、抽出及び精製は、標準的な抽出及び/又は精製方法又は文献に記載された技術を用いて容易に行うことができる。例えば、特定の実施形態において、微生物ベースの生成物は、粗製か、精製形態の微生物成長副生成物を含む。特定の実施形態において、副生成物は、本発明に従って成長した微生物により生成されたバイオサーファクタントである。
【0135】
微生物成長により得られた微生物及び/又はブロスは、成長容器から取り出して、例えば、すぐ利用できるよう管を通して移される。
【0136】
他の実施形態において、組成物(微生物、ブロス、微生物とブロス)は、例えば、意図する用途、予定された適用方法、発酵タンクのサイズ、微生物成長設備から使用場所までの輸送形式を考慮して、適切なサイズの容器に入れることができる。このように、微生物ベースの組成物を入れる容器は、例えば、1ガロン~1,000ガロン以上である。他の実施形態において、容器は、2ガロン、5ガロン、25ガロン以上である。
【0137】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、例えば、バイオサーファクタント単体よりも有利である。すなわち、次のような1つ以上の利点がある。酵母細胞壁の外側表面に高濃度のマンノタンパク質がある(マンノタンパク質は、80%の乳化指数に達する、極めて効率的な生物乳化剤である)、酵母細胞壁にバイオポリマーベータグルカン(乳化剤)が存在する、表面及び界面張力の両方を減じることのできるバイオサーファクタントが培養物中に存在する、代謝物(例えば、乳酸、エタノール等)が存在する。
【0138】
微生物ベースの組成物を成長容器から取り出す際、更なる成分を収穫生成物として添加し、容器に入れたり、管に通す(或いは、使用するために輸送する)。添加剤は、例えば、バッファ、担体、同じ又は異なる設備で生成されたその他微生物ベースの組成物、粘度調節剤、保存料、追跡剤、溶媒、殺生物剤、意図する用途向けのその他の微生物及びその他成分である。
【0139】
本発明により処方に含まれていてよい他の好適な添加剤としては、かかる処方に通常用いられる物質が含まれる。このような添加剤としては、界面活性剤、乳化剤、潤滑剤、バッファ、溶解度制御剤、pH調整剤、保存料、安定剤及び耐紫外線剤が例示される。
【0140】
一実施形態において、組成物は、有機及びアミノ酸又はその塩を含むバッファをさらに含んでいてもよい。好適なバッファとしては、クエン酸塩、グルコン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、アスパラギン酸塩、マロン酸塩、グルコヘプトン酸塩、ピルビン酸塩、ガラクタル酸塩、サッカリン酸、タルトロン酸塩、グルタミン酸、グリシン、リシン、グルタミン、メチオニン、システイン、アルギニン及びこれらの混合物が挙げられる。リン酸及び亜リン酸又はその塩も用いてよい。合成バッファは、用いるのに好適であるが、上記の有機及びアミノ酸、又はその塩のような天然バッファを用いるのが好ましい。
【0141】
更なる実施形態において、pH調整剤としては、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸又は重炭酸カリウム、塩酸、硝酸、硫酸又はこれらの混合物が挙げられる。
【0142】
一実施形態において、重炭酸又は炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、重リン酸ナトリウム等の多塩基酸として、塩の調製水溶液のような追加の成分を、処方に含めることができる。
【0143】
利点として、本発明によれば、微生物ベースの生成物は、微生物が成長したブロスを含むことである。生成物は、例えば、少なくとも1重量%、5重量%、10重量%、25重量%、50重量%、75重量%又は100重量%のブロスであってよい。生成物中のバイオマスの量は、例えば、0重量%~100重量%であり、その間のパーセンテージも含まれる。
【0144】
任意で、生成物は、使用前貯蔵することができる。貯蔵時間は短い方が好ましい。このように、貯蔵時間は、60日、45日、30日、20日、15日、10日、7日、5日、3日、2日、1日又は12時間未満である。好ましい実施形態において、生きた細胞が生成物中に存在する場合は、生成物は、例えば、20℃、15℃、10℃、5℃未満といった冷温で貯蔵する。一方、バイオサーファクタント組成物は、典型的に、周囲温度で貯蔵することができる。
【実施例】
【0145】
例として挙げる以下の実施例により、本発明とその多くの利点をより良く理解できるであろう。以下の実施例は、本発明の方法、応用、実施形態、及び変形を例証するものであり、本発明を限定するものではない。数多くの変更及び修正を本発明に対して行うことができる。
【0146】
実施例1-パーソナルケア組成物の生成に用いるPICHIA種の培養
Pichia酵母を用いて、様々なパーソナルケア組成物を生成することができる。というのは、その細胞誘導体は、皮膚を汚染する菌類を排除し、皮膚や粘膜表面で成長する病原体酵母を減じ、皮膚及び粘膜の細菌汚染を減じ、皮膚細胞におけるコラーゲン及びエラスチンの生成を刺激するからである(いくつか例を挙げると)。
【0147】
Pichia anomala(Wickerhamomyces anomalus)、Pichia kudriavzevii及びPichia guilliermondii(Meyerozyma guilliermondii)を精製するための基本培養媒体は、これら3種について同一である。媒体は、2%グルコース、1%酵母エキス、1%キャノーラ油、5%グリセロール及び50mMクエン酸バッファを含む。Pichia guilliermondiiをキチナーゼの生成のために培養する場合は、0.1%の微粒子化キチンを添加する。有機状態が、化粧料製品に望ましい場合には、無機塩は用いず、全栄養媒体成分は、有機状態に対して認証されたものでなければならない。
【0148】
発酵温度は、25~30℃であり、初期pHは5.5~6.0の範囲とする。飽和酸素は、15~25%(周囲空気100%の)である。合計発酵時間は、72時間まで(固定相に達することで判断)とする。
【0149】
培養物がいったん生成されたら、上澄み液中の活性物質の分解を防ぐために、5~10℃まで即座に冷やす。プロセスの温度が10℃より高くならないよう保持しながら、酵母バイオマスと酵母上澄み液が、0.1ミクロンのフィルタを通した遠心分離又は精密ろ過(又はこれらの組み合わせ)により分離される。
【0150】
タンパク質分子は、塩析法を用いて沈殿させることができる。タンパク質は、塩、すなわち、硫酸アンモニウムの濃度を増やすことにより塩析される。タンパク質を10~20倍(又はそれ以上、最終パーソナルケア製品に必要な濃度に応じて)濃縮した後、集め、冷塩水溶液で2~3回洗う(各回1時間混合)。
【0151】
濃縮生成物の酵素活性は、アルギニン酸ナトリウムと、最終濃度が1%アルギニン酸ナトリウムになるまで混合するか、又は、キサンタンガムと、最終濃度が0.5%キサンタンガムになるまで混合することにより安定化させることができる。
【0152】
最終的に得られる基質の抗菌活性及び抗カビ活性を試験する。抗カビ能はCandida酵母(臨床的に重要)及びMalassezia菌類によるウェルプレートアッセイにより試験し、抗菌活性については、E.coli及びP.aeruginosaの培養物を用いることができる。増殖阻止は、ウェル周囲のミリメートルでの阻止直径を用いて測定する。
【0153】
試験を実施したら、得られた組成物を用いて、化粧料軟膏、クリーム、シャンプー、石鹸、バスソルト、手足用殺菌溶液及びオイル、洗顔料及びクリーム等をはじめとする様々なパーソナルケア製品を生成することができる。
【0154】
こうした培養方法から得られた酵母バイオマスを、タンパク質、フィターゼ、ビタミン及びミネラル源としての動物及び魚飼料をはじめとする他の製品の作製に用いたり、生存又は不活性酵母細胞が有用なその他用途、例えば、農業や園芸の土壌改良、石油掘削作業における原油回収増進に用いることができる。
【0155】
実施例2-550ガロンのリアクターにおけるソホロリピド(SLP)生成のためのSTARMERELLA BOMBICOLAの発酵
発酵成長及びバイオサーファクタント生成用に特別に設計されたポータブルの完全密閉リアクターは、水ろ過、温度管理ユニット、インペラ及びマイクロスパージャを含み、PLCにより操作される。SLP生成のためのS.bombicolaを成長させるときのリアクターの作動容積は500ガロンである。
【0156】
好ましい実施形態において、SLP生成のための栄養素は、グルコース、尿素、酵母エキス及び使用済み植物調理油を含む。
【0157】
リアクターは、他のリアクターで成長させた50リットルの液体培養物によりイノキュレートされる。SLP生成のための培養サイクルの期間は、25℃及びpH3.5で5日間である。SLPの最終濃度は、作動容積のおおよそ10~15%であり、70~75ガロンのSLPを含有している。
【0158】
培養物は別のタンクに集めることができる。SLPをタンク下部に沈殿させたら、所望により取り出して処理することができる。タンク中の培養物の残り(約)420ガロンは、3~5g/Lの残渣SLPを含む。
【0159】
実施例3-皮膚症状の治療方法
一実施形態において、本発明は、皮膚症状を治療する方法を提供する。局所化粧料組成物は、かかる症状のある、皮膚の領域、すなわち、外皮に直接適用する。組成物は、例えば、顔、耳、頭皮、首、肩、腕、手、胸、胃、脇、足、臀部及び脚の皮膚に適用することができる。
【0160】
ある実施形態において、組成物を「適用」するとは、組成物を、皮膚の領域に広げ、皮膚に組成物を放置し、完全に吸収されるまで、皮膚に擦り付ける。ある実施形態において、組成物は、一定の時間、皮膚に適用してから、例えば、水を用いて、皮膚から濯ぐ。
【0161】
特定の実施形態において、局所化粧料組成物は、二日に一回、一日に一回又は一日に二回適用される。ある実施形態において、局所組成物は、皮膚症状の治療を行い、続けるため、不定期に、例えば、少なくとも1、2、3週間以上にわたって、二日に一回、一日に一回又は一日に二回適用される。
【0162】
一実施形態において、組成物は、皮膚1cm2当たり約0.001~約100mg、より一般的には、約0.01~約20mg/cm2、又は約0.1~約10mg/cm2の量で皮膚に適用される。しかしながら、治療する皮膚の領域のサイズに応じて、これより多かったり少なかったりしてよい。
【0163】
好ましい実施形態において、組成物は、グリコリピド(例えば、SLP、MEL、TL及びRLP)及びリポペプチド(例えば、サーファクチン、イツリン及びフェンギシン)から選択される1つ以上のバイオサーファクタントを含む。更なる実施形態において、組成物は、好ましくは、微生物により生成される治療有効量の酵素及び/又はタンパク質、例えば、皮膚の健康を改善するのに有益なエクソ-ベータ-1,3-グルカナーゼ、キチナーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、グリコシダーゼ、アミラーゼ及びプロテアーゼを含む。
【0164】
皮膚の健康を改善するのを助けるその他の成分を、治療する皮膚症状に応じて、組成物と共に適用することができる。
【0165】
本発明の局所化粧料組成物及び方法を用いて、例えば、加齢によるシミ(例えば、色素沈着)、ニキビ、傷跡、体臭、加齢関連症状(例えば、シワ、タルミ及び乾燥)や頭皮問題(例えば、フケ、脂漏性皮膚炎及び脱毛)をはじめとする様々なその他皮膚症状を治療及び/又は予防することができる。さらに、局所化粧料組成物をクレンザーとして用いると、メイクアップやその他不純物を除去することができる。本方法は、以下の実施例のいずれにも適用することができるが、それに限定しようとするものではない。
【0166】
実施例4-色素沈着症状
ある実施形態において、対象の皮膚の加齢によるシミやその他色素沈着症状を治療する方法が提供される。かかる症状が存在する皮膚の領域に、色素沈着を減じるのに十分な時間にわたって、局所組成物を直接適用する。好ましい実施形態において、局所化粧料組成物は、MELとSLPの組み合わせを含む。一実施形態において、組成物は、ローション、ゲル又はクリームとして処方される。
【0167】
特定の実施形態において、組成物は、一日に少なくとも一回又は二回、少なくとも1、2、3週間以上適用される。ある実施形態において、局所組成物は、皮膚の色素沈着の減少レベルを達成し、維持するために、不定期に、デイリーに適用される。
【0168】
特定の実施形態において、本発明は、本発明の局所化粧料組成物を、治療の必要な皮膚に適用することにより、皮膚症状の見た目の治療や緩和、かかる症状の予防をはじめとする、皮膚の肝斑、脂漏性角化症その他色素沈着症状を治療する方法を提供する。
【0169】
ある実施形態において、本方法はまた、皮膚全体を明るくしたり、環境、加齢関連又はUV関連皮膚エージングのサインを改善することによって、望まない色素沈着を減少させるのにも有用である。
【0170】
本明細書で用いる「色素沈着症状」とは、皮膚の変色や異常な着色増殖の生じた皮膚の症状又は疾患を指す。色素沈着には、過度の望まない着色が含まれる。色素沈着は、皮膚や毛包で生合成され、毛髪や皮膚に堆積した、1つ以上の異なる種類のメラミンの存在が、対象のベースラインの着色に対して、増大した結果である。エージング、環境ストレス及びUV露光が、色素沈着の発症の一因となり得る。色素沈着症状の例としては、これらに限られるものではないが、加齢によるシミ、肝斑、そばかす、斑状及び離散色素沈着等が挙げられる。
【0171】
色素沈着、又は色素沈着した皮膚や毛髪の治療とは、影響を受けた領域の皮膚や毛髪が認識できる程度に明るくなる等、色素沈着に関連する1つ以上の望まない特徴を根絶、減少、緩和、逆進又は予防することを指す。皮膚の色素沈着領域が明るくなることは望ましく、一実施形態においては、加齢によるシミを減らす、日焼けを明るくする、例えば、斑状色素沈着の領域における皮膚の色合いを均一又は最適化する、色素沈着及び肝斑による斑点、そばかす及び受傷後色素沈着の治療がある。
【0172】
本方法のある実施形態において、組成物は、皮膚の色素沈着の部位に直接適用される(すなわち、加齢によるシミに直接)。ある実施形態においては、組成物を毎日適用して、皮膚の色素沈着を減少させ、それを保つ。
【0173】
局所組成物は、適用モードに応じて、明るくしたい領域に残してもよいし、濯ぐ等して除去してもよい。
【0174】
特定の実施形態において、局所化粧料組成物の適用は、適用領域における色素沈着が減少するのに十分な時間繰り返してよい。所望の効果を維持するために、効果が望まれる限り本方法を続けることができる。これには、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも4週間又は少なくとも8週間以上、少なくとも1日に1回局所適用をすることが必要とされる。局所組成物の適用を中止すると、色素沈着の減少も弱まる。
【0175】
本方法を予防的に用いて、皮膚の色素沈着症状の発症を未然に防いでもよい。
【0176】
ある実施形態において、本組成物及び方法は、皮膚を明るくするのに有用であり、対象のベースラインの色素沈着を根絶、減少、緩和及び/又は逆進する。皮膚を明るさの測定は、対象のフィッツパトリックスケール値の変化を観察することによる。フィッツパトリックスケール、フィッツパトリック皮膚タイプ試験又はフィッツパトリックフォトタイプスケールは、皮膚の色の数値分類スキーマであり、皮膚の色についての皮膚科学リサーチにおいて認識されたツールとなっている。
【0177】
フィッツパトリックスケールは、遺伝的素因、太陽露出に対する反応、日焼けの習慣といったいくつかの構成要素を測定して、6つのタイプに皮膚を分類するものである。タイプI(スコア0~7)は、非常に色白で、そばかすはあるが、典型的なアルビノ皮膚で、日に焼けても赤くなるだけで、小麦色にはならない。タイプII(スコア8~16)は色白の皮膚で、日に焼けると、通常は赤くなり、小麦色にはなりにくい。タイプIII(スコア17~24)は、最も一般的なベージュ色の皮膚で、日に焼けると、小麦色から薄茶に徐々に変化する。タイプIV(スコア25~30)は、褐色の色合いのベージュ色の皮膚で、典型的な地中海コーカサス皮膚で、日に焼けにくく、小麦色になっても温和な褐色になりやすい。タイプV(スコア30以上)は、暗褐色の皮膚で、ほとんど日に焼けず、小麦色になりやすい。タイプVIは、黒色の皮膚で、日に焼けず、小麦色になりやすく、濃く色素沈着する。
【0178】
本発明のある実施形態において、治療により、フィッツパトリックスケールの少なくとも1又は2の皮膚タイプにより、皮膚の治療領域を変えることができる。皮膚を明るくするときは、組成物を、皮膚の広い領域(例えば、顔の全皮膚を覆うように)に適用するのが望ましい。
【0179】
本組成物が有用な皮膚としては、これらに限られるものではないが、色を明るくしたり、着色を減じたい、変色やむらのある皮膚、色黒、色素沈着の皮膚、受傷後色素沈着の皮膚、加齢によるシミのある皮膚、肝斑、黒皮症、そばかす、黄変の皮膚、変色した爪、皮膚、頭皮、脚、顔又はその他領域が挙げられる。
【0180】
得られる具体的な利点としては、これらに限られるものではないが、暗色、色素沈着の皮膚の色素沈着の減少、加齢によるシミ又は肝斑の減少、色素沈着母斑、日焼けによるダメージ、小麦色の日焼け、色素沈着したニキビ跡の減少、皮膚変色の均一又は最適化、目の下のクマの減少、肝斑、そばかす、皮膚黄変、炎症後及び受傷後色素沈着の治療、頭皮、脚、顔及びホワイトニングや色減少が望ましいその他領域における毛の脱色、及び爪の着色の除去又は減少が挙げられる。
【0181】
実施例5-日光角化症(1%のSLP水とクリーム溶液を用いる)
1重量%のSLPの水溶液を、対象となる人の顔の平坦な褐色のシミで試験した。最初、右目近くに2つの大きなシミがあり、大きさはそれぞれ10セント大であった。溶液を毎日適用して2か月後、上のシミはほぼ消え、下のシミはだいぶ明るくなった。
【0182】
1重量%のSLPを含むクリーム組成物を、市販の保湿クリームと混合することにより調製した。日光角化症の3つのシミにクリームを塗って治療した。クリームは1日2回塗った。1つのシミが、膨らんで、平坦になり、色が明るくなった。2つ目のシミは、平坦になって、明るくなり、2つのシミに分かれ、中間の明るい皮膚色になった。3つ目のシミは、褐色の明るい色合いになった。
【0183】
実施例6-尋常性ざ瘡
特定の実施形態において、本組成物及び方法を、ニキビ及び/又は傷の原因となる症状のような皮膚症状を治療するのに用いることができる。ニキビの治療は、ニキビ及び/又は皮膚のその他の傷を予防、除去、減少することである。
【0184】
一実施形態において、ニキビの治療方法は、MEL、SLP又はこれらの組み合わせを含む本発明の局所化粧料組成物を、対象の皮膚に適用することを含む。一実施形態において、MELは、組成物に、約0.5重量%~2.0重量%、好ましくは、約1重量%の量で組成物に添加される。一実施形態において、SLPは、約0.1重量%、好ましくは、約0.5重量%の量で添加される。
【0185】
一実施形態において、組成物は、ゲル、ローション又はクリームとして処方される。他の実施形態において、組成物は、クレンザー又は石鹸として処方される。
【0186】
ニキビの治療方法はさらに、治療有効量の既知のコメド溶解剤又は抗ニキビ剤を適用することを含む。例えば、約0.001重量%~約5.0重量%のヒドロキシ酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、レチノイド、過酸化ベンゾイル、エリスロマイシン、トレチノイン、タザロテン、アゼライン酸、アダパレン、ダプソン及びクリンダマイシンを適用することができる。これらの化合物の塩形態も用いることができる。
【0187】
ニキビ又はニキビ様症状の兆候としては、これらに限られるものではないが、炎症、疼痛、赤らみ、膨潤、隆起、痂皮及び感染などの兆候を引き起こす様々な種類の皮膚の傷の見た目(例えば、病変、面皰、斑、吹き出物、黒ニキビ、膿疱、丘疹、結節及び包嚢)が挙げられる。
【0188】
「病変」という用語は、通常、皮膚の感染又は罹患パッチを指す。病変には、感染した脂腺も含まれる。病変の中にはより深刻なものもある。皮膚の病変としては、面皰、斑、膿疱、丘疹、結節及び包嚢が挙げられる。「コメド」(複数は「面皰」)という用語を用いて、汚れ、その他細胞、毛髪片又はバクテリアの詰まった皮脂腺を指す。面皰には、いわゆる「黒ニキビ」が含まれ、「開放面皰」とも呼ばれ、黒く見えるスポット又は表面を有する。面皰はまた、僅かに炎症した、白く見えるスポット又は表面を有する着色皮膚隆起、「吹き出物」も含まれる。「斑」という用語は、概して、赤色スポット等、色の変化した皮膚の平坦なスポット又は領域を指す。「膿疱」という用語は、概して、炎症した、膿が詰まった病変又は膿が詰まった皮膚の小さな炎症性隆起を指す。「丘疹」という用語は、概して、膿を含まない皮膚の小さな均質な炎症性隆起を指す。「結節」という用語は、概して、丘疹に似ているが、白でドーム型の皮膚の隆起を指す。口語では、丘疹、膿疱又は結節は、「ニキビ」と言う。「包嚢」という用語は、概して、白血球、死細胞、バクテリアを含む液体又は半液体物質を含む、異常膜嚢を指す。包嚢は、痛みを伴い、皮膚の深層に及ぶ。
【0189】
重症度に応じて、ニキビは、軽症、中等症、重症となる。軽症ニキビは、概して、黒ニキビや吹き出物に分類されるが、丘疹や膿疱も含まれる。中等症ニキビは、概して、より疼痛のある、根の深い、炎症病変という特徴があり、傷跡になり得る。重症ニキビは、包嚢と結節を含む根の深い炎症病変の見た目という特徴があり、疼痛があり、傷跡になり得る。集簇性ざ瘡は、膿瘍、穿孔洞管と皮膚の下で連通する高炎症性包嚢を特徴とするニキビの部類である。
【0190】
具体的に、ニキビ又は関連兆候の治療は、影響を受けた領域の面皰の赤み、疼痛、炎症及び全体の見た目を減少する等、ニキビに関連する1つ以上の望まない特徴を根絶、減少、緩和、逆進又は予防することを指す。ニキビの治療によってまた、患者のニキビの重症度も減じる方向にすることもできる。
【0191】
本組成物及び方法を用いて、軽症、中等症、重症及び包嚢ニキビにより生じる傷を治療することができる。一実施形態において、本方法は、組成物を一日に少なくとも一回又は二回、少なくとも1、2、3週間以上適用するものである。本組成物は、傷及び関連兆候の減少とそれを維持するために、不定期に、デイリーに適用される。
【0192】
実施例7-皮膚補給
特定の実施形態において、本組成物及び方法は、皮膚補給に用いることができる。一実施形態において、本方法は、MELを含む本発明による局所化粧料組成物を皮膚に適用することにより、必要とされる皮膚補給を行う。好ましい実施形態において、組成物中のMELの量は、約0.5重量%~2.0重量%、好ましくは、約1.0重量%である。組成物は、例えば、ゲル、ローション又はクリームとして処方することができる。
【0193】
本明細書で用いる補給の必要な皮膚とは、乾燥、粗さ、脆さ、タルミ、柔軟性の欠如、くすみ、シワ、エージング関連皮膚症状から選択される皮膚症状、又は、日光、風、熱、寒冷、メイクアップ、オイル、汚れ又は公害等環境因子により生じる皮膚症状に悩まされている皮膚である。
【0194】
一実施形態において、皮膚へ補給する方法はさらに、治療有効量の既知の皮膚補給化合物を適用することを含む。例えば、約0.001重量%~約5.0重量%のヒアルロン酸、セラミド、ナトリウムPCA、グリセリン、グリセロール、コレステロール及び/又はホスホリピドを、シリコーン、石油、トリグリセリド、オメガ脂肪酸、AHA(例えば、グリコール酸)及び/又はBHA(例えば、サリチル酸)と共に添加することができる。
【0195】
一実施形態において、皮膚へ補給する方法はさらに、タンパク質ラクトフェリンを皮膚へ適用することを含む。
【0196】
本方法を予防的に用いて、皮膚エージングの顕在化したサインの現れていない、例えば、25歳未満の人を含め、皮膚のエージングを未然に防いでもよい。本方法はまた、25歳以上の人の大半がそうであるように、顕在化したエージングのサインを逆進又は治療したり、かかる人の皮膚科学的エージングの進行を遅くする。
【0197】
実施例8-頭皮及び毛髪の健康
特定の実施形態において、本組成物及び方法を用いて、頭皮症状又は毛髪症状を治療することができる。一実施形態において、本方法は、MELと酸性形態SLPを含む本発明による局所化粧料組成物を頭髪及び/又は毛髪に適用することにより、頭髪及び/又は毛髪を治療するものである。一実施形態において、組成物中のMELの量は、約0.1重量%~約1.0重量%、好ましくは、約0.2重量%である。一実施形態において、組成物中の酸性形態SLPの量は、約0.01重量%~1.0重量%、好ましくは、約0.1重量%である。
【0198】
本明細書で用いる「頭皮症状」及び「毛髪症状」という用語には、頭髪及び/又は毛髪に影響する人及び動物の症状、疾病又は疾患が含まれる。かかる症状としては、これらに限られるものではないが、乾燥毛髪又は頭皮、薄毛、脆い毛、脱毛、男性型脱毛症、脱毛、白癬、脂漏性湿疹、脂漏性皮膚炎、乳痂、ニキビ、尋常性乾癬、アタマジラミ、結節性裂毛症、フケ、例えば、マラセチア菌によるもの、毛包炎、例えば、黄色ブドウ球菌によるもの、その他が挙げられる。
【0199】
一実施形態において、局所化粧料組成物は、シャンプー、コンディショナー、ムース、ヘアゲル又はヘアローションとして処方される。一実施形態において、組成物は、さらに、特定の添加剤、例えば、タンパク質(例えば、加水分解植物タンパク質、加水分解小麦タンパク質、加水分解乳タンパク質、加水分解シルク及び加水分解コラーゲン)、ビタミン(例えば、パンテノール、ビオチン、酢酸ビタミンE、パルミチン酸ビタミンA及びD)、保湿剤(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ナトリウムPCA、アミノ酸ベースの界面活性剤及びHLA)、皮膚軟化剤(例えば、エステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸ドデシル、C12~15安息香酸アルキル)、オイル(例えば、ココナツ、ホホバ、アロエベラ、ベニバナ、アーモンド、アルゴン)、ボタニカル(例えば、カモミール、アロエ、ローズマリー)、香料(例えば、ラベンダー、イランイラン、パチョリ)、保存料、染料、pH調整剤及びキレート化剤を含むことができる。
【0200】
本方法は、約10ml、ティースプーン2杯~テーブルスプーン2杯の組成物を、頭皮及び/又は毛髪に適用して(例えば、組成物を擦り込んだり、泡立てたりする)、組成物を1分~5分留まらせてから、水で組成物を濯ぐ。一実施形態において、濯ぎなしで、頭皮及び/又は毛髪に組成物を擦り込んだり、泡立てたりする。頭皮及び/又は毛髪に適用される組成物の量は、対象の毛髪の長さ、量及び厚みに応じて異なる。
【0201】
実施例9-体臭
特定の実施形態において、本組成物及び方法を体臭の治療に用いることができる。
体臭は、典型的に、皮脂腺の汗管で生息し、プロピオン酸やイソ吉草酸を生成するグラム陽性Propionibacteria及びStaphylococcus epidermisの存在により引き起こされる。これらの化合物が、望ましくない悪臭を生成する。
【0202】
一実施形態において、本方法は、体臭の源、例えば、脇の下の皮膚に、本発明の局所化粧料組成物を適用することにより、体臭を治療するものである。局所化粧料組成物は、MEL及びSLPを含む。一実施形態において、組成物中のMELの量は、約0.01重量%~約1.0重量%、好ましくは、約0.1重量%である。一実施形態において、組成物中のSLPの量は、約0.01重量%~約1.0重量%、好ましくは、約0.1重量%である。
【0203】
一実施形態において、組成物は、液体、スティック、ゲル、スプレー又はワイプとして処方される。
【0204】
組成物はさらに、例えば、担体(例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及び水)、ゲル化剤(例えば、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウム、ベヘン酸ナトリウム)、清澄剤(例えば、ノニオン界面活性剤)、香料、キレート化剤(例えば、二ナトリウム又は四ナトリウムEDTA)、pH調整剤(例えば、アミノメチルプロパノール、ポロキサミン、水酸化ナトリウム)、酸化防止剤(例えば、BHT)及び着色料(例えば、水及び/又はアルコール可溶性染料)と共に適用することができる。
【0205】
実施例10-傷跡の減少
特定の実施形態において、本組成物及び方法を用いて、皮膚の傷跡、例えば、傷、ニキビ、形成外科/再建手術を含む手術による傷跡、の見た目を減じることができる。傷跡は、調整皮膚線維芽細胞又は筋線維芽細胞によるコラーゲンの過剰生成によるものであることが多い。普通肌では、線維芽細胞はコラーゲン繊維を生成し、これが配列して不規則「バスケット織」パターンを形成する。
【0206】
傷に応答して、線維芽細胞は、炎症刺激剤により形質転換されて、筋線維芽細胞となる。筋線維芽細胞は、架橋パターンでコラーゲンを堆積し、コラーゲン繊維は、皮膚に平行に一方向に配列される。さらに、通常組織に比べて、傷跡におけるコラーゲン密度は高く、繊維サイズは大きい。豊富な筋線維芽細胞は、アポトーシスを受けずに、コラーゲンマトリックスを巡回し、新たなコラーゲンを生成して、新しい皮膚を硬化収縮させる。
【0207】
一実施形態において、方法は、MEL及びSLP及び/又はその他皮膚の健康のための薬剤を含む本発明の局所化粧料組成物を傷跡に適用することにより、傷跡の見た目を減少させるものである。一実施形態において、組成物は、ゲル又はクリームとして処方することができる。好ましい実施形態において、組成物は、さらに、例えば、ゲル形態のアロエベラエキスを含む。
【0208】
一実施形態において、組成物中のMELの量は、約0.1重量%~2.0重量%、好ましくは、約1.0重量%である。一実施形態において、組成物中のSLPの量は、約0.01重量%~約1.0重量%、好ましくは、約0.5重量%である。
【0209】
利点として、一実施形態において、本組成物は、皮膚の傷跡を形成するずれたコラーゲンマトリックスの溶解を助け、傷跡の見た目を減じるために、真皮に存在する筋線維芽細胞の数を抑制することができる。