(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】制御又は調整装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/14 20060101AFI20240617BHJP
A61M 1/36 20060101ALI20240617BHJP
A61M 60/205 20210101ALI20240617BHJP
A61M 60/38 20210101ALI20240617BHJP
A61M 60/849 20210101ALI20240617BHJP
【FI】
A61M1/14
A61M1/36 107
A61M60/205
A61M60/38
A61M60/849
(21)【出願番号】P 2020544803
(86)(22)【出願日】2019-02-26
(86)【国際出願番号】 EP2019054723
(87)【国際公開番号】W WO2019162525
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】102018001467.4
(32)【優先日】2018-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(32)【優先日】2018-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(73)【特許権者】
【識別番号】518438346
【氏名又は名称】ヘモベント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルセイユ オリバー
(72)【発明者】
【氏名】コールタウアー ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー マークス
(72)【発明者】
【氏名】ノーツェル シュテファン
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05810759(US,A)
【文献】特開昭62-233166(JP,A)
【文献】特表2017-536198(JP,A)
【文献】特表2002-536126(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0004480(US,A1)
【文献】特表2002-533184(JP,A)
【文献】国際公開第2016/100512(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0057989(US,A1)
【文献】特開2015-167721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00-1/36
A61M 60/00-60/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液ポンプ(3)内を流れる体積血流と、気体交換ユニット(4)内を流れ得る体積気体流の両方を制御又は調整する制御又は調整ユニット(2)を有
する制御又は調整装置(1)であって、
筐体(17)を備え
るとともに、
前記制御又は調整ユニット(2)は前記筐体(17)の空洞内に配置されており、
前記制御又は調整ユニット(2)は、少なくとも2つのガスを混合することができる混合装置(5)を含み、
前記制御又は調整ユニット(2)は、前記体積気体流及び/又は前記混合装置(5)から流出する気体流の組成を制御又は調整できる調整装置(6)有し、
前記制御又は調整ユニット(2)は、血液ポンプ(3)に供給される気体流を制御又は調整できる別の調整装置(9)を有し、
前記血液ポンプ(3)は使い捨て部品ポンプであり、前記血液ポンプ(3)と気体交換
ユニット(4)が直接接続され、それぞれエネルギーと気体が供給されている、
制御又は調整装置(1)。
【請求項2】
前記制御又は調整ユニット(2)が、前記体積血流を制御又は調整すべく、前記血液ポンプ(3)を電気的
に又は空気圧により駆動するよう構成及び意図できることを特徴とする、請求項1に記載の制御又は調整装置(1)。
【請求項3】
前記制御又は調整ユニット(2)が、体積血流に応じて前記体積気体流を制御又は調整するこ
とを特徴とする、請求項1又は2に記載の制御又は調整装置(1)。
【請求項4】
体積気体流と体積血流の関係を制御又は調整する少なくとも1個のアルゴリズムが保存されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の制御又は調整装置(1)。
【請求項5】
前記混合装置(5)
において、酸素が空気及び/又は気体と混合可能であ
ることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の制御又は調整装置(1)。
【請求項6】
前記制御又は調整ユニット(2)が、気体と周囲空気を混合する更なる混合装置(7)を有するこ
とを特徴とする、請求項1~
5のいずれか1項に記載の制御又は調整装置(1)。
【請求項7】
前記制御又は調整ユニット(2)が、前記更なる混合装置(7)から流出する体積気体流又は組成を制御又は調整可能な更なる調節装置(8)を有することを特徴とする、請求項
6に記載の制御又は調整装置(1)。
【請求項8】
前記制御又は調整ユニット(2)が、
前記血液ポンプ(3)に流体接続され、且つ前記気体交換ユニット(4)に流体接続可能な切替装置(10)を有し、前記血液ポンプ(3)が一切替位置で前記切替装置(10)により前記気体交換ユニット(4)に流体接続され、及び/又は前記血液ポンプ(3)が別の切替位置で前記切替装置(10)により環境に流体接続されるこ
とを特徴とする、請求項1~
7のいずれか1項に記載の制御又は調整装置(1)。
【請求項9】
前記制御又は調整ユニット(2)が、前記制御又は調整装置(1)のオプション的に異なる動作モードを調節可能な選択装置(12)を有することを特徴とする、請求項1~
8のいずれか1項に記載の制御又は調整装置(1)。
【請求項10】
前記選択装置(12)によりオプションとして、
a.切替装置(10)が、同種類の気体を前記血液ポンプ(3)及び前記気体交換ユニット(4)の両方に供給可能な切替位置にある第1の動作モードを設定可能であること、又は、
b.前記切替装置(10)が他方の切替位置にあり、混合装置(5)から流出する気体を前記気体交換ユニット(4)に供給できる第2の動作モードを設定可能であること、又は、
c.前記切替装置(10)が他方の切替位置に配置されていて、更なる混合装置(7)から流出する気体を前記気体交換ユニット(4)に供給できる第3の動作モードを設定可能であることを特徴とする、請求項
9に記載の制御又は調整装置(1)。
【請求項11】
前記制御又は調整ユニット
(2)の動作を監視する安全装置を有することを特徴とする、請求項1~1
0のいずれか1項に記載の制御又は調整装置(1)。
【請求項12】
前記制御又は調整ユニット(2)が
、患者の生命パラメータを監視する監視装置を有するこ
とを特徴とする、請求項1~1
1のいずれか1項に記載の制御又は調整装置(1)。
【請求項13】
前記制御又は調整ユニット(2)が気体接続ユニット(13)を有し、前記気体接続ユニット(13)が、1個又は複数の気体源に流体接続可能であることを特徴とする、請求項
1~12のいずれか1項に記載の制御又は調整装置(1)。
【請求項14】
前記制御又は調整ユニット(2)が更なる切替装置(22)を有し、
ある気体源が故障したならば、別の気体源へ自動的に切り替わるように前記更なる切替装置(22)が構成可能であることを特徴とする、請求項1
3に記載の制御又は調整装置(1)。
【請求項15】
前記制御又は調整
ユニット(2)が、
前記血液ポンプ(3)に過剰に大量
の気体流が供給されるのを防止する圧力制御バルブ(15)を有するこ
とを特徴とする、請求項1~1
4のいずれか1項に記載の制御又は調整装置(1)。
【請求項16】
前記筐体(17)がハンドル(28)を有することを特徴とする、請求項1~1
5のいずれか1項に記載の制御又は調整装置(1)。
【請求項17】
前記制御又は調整装置(1)が可搬装置として構成されていることを特徴とする、請求項1~1
6のいずれか1項に記載の制御又は調整装置(1)。
【請求項18】
請求項1~1
7のいずれか1項に記載の血液ポンプ(3)、気体交換ユニット(4)及び制御又は調整装置(1)を有する人工心肺装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制御又は調整装置に関する。更に、本発明は制御又は調整装置を有する人工心肺装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心不全又は肺不全患者は、更に容体が悪化する前に体外で使用する心肺補助装置により安全な、すなわち生命が維持される状態に保たれる。最初に、心臓又は肺が治療できるように負荷が除かれる一方で、同時に、外部の補助装置により器官は機能し続ける。このため、患者は適当な管により、心臓及び肺が機能し続けることを保証する体外回路に接続されている。
【0003】
人工心肺装置は血液ポンプ及び人工肺からなる。血液は静脈血管系から管により末梢又は中心挿入を介して除去され、酸素濃度を高めた後で、静脈又は動脈側に再び戻される。このように、生命維持器官に新鮮な血液が供給される一方、患者を更なる治療のため搬送又は移送することができる。一般に、血液ポンプは操作者のコンソールに堅固に接続されていて、ポンプモータによる血液ポンプのローターへの磁気結合により動作出力が伝達される。ポンプ配管が操作者のコンソールに配置されているローラポンプもまた用いられる。人工肺は酸素濃縮器又は気体交換器とも呼ばれ、流れ方向において血液ポンプの先に位置する。
【0004】
血液ポンプ用の従来方式の制御ユニットは、血流量、血圧に関してシステムのポンピング機能を監視し、必要に応じて警告を発する。血流は制御ユニット側の操作者によるポンプの回転により調節される。
【0005】
酸素濃縮器の気体供給は、酸素及び圧縮空気が供給される制御ユニットとは別の気体混合器により保証される。気体流量及び組成は必要に応じて選択される。複数の例において、酸素濃縮器にはスロットル装置により所望の体積流相当の酸素だけが供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
公知の人工心肺装置の短所は、治療に際して血流の制御と同程度に重要な気体供給が空間的に分れて行われるため困難になって監視できない点である。これは患者の安全及び治療の質に影響を及ぼす。スロットル装置を有する酸素供給源を従来方式で臨床使用する場合は更に、気体源の動作に関するアラーム機能又は情報が無い。人工心肺装置が多数の構成要素を含む点が更なる短所がある。これにより人工心肺装置の搬送及び操作がより困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明の目的は、治療の安全性及び品質を向上させると共に人工心肺装置の搬送を簡素化することである。
【0008】
上述の目的は、血液ポンプ内を流れる血液の体積及び気体交換ユニット内を流れる気体の体積流の両方を制御又は調整する制御又は調整ユニットを有する制御又は調整装置により実現される。
【0009】
本発明による制御又は調整装置は、血流量及び気体交換ユニット内を流れる体積気体流の両方が単一装置により調節可能である点が有利である。これにより動作の安全性、治療の監視が改善すると共に、人工心肺装置の搬送及び操作が容易になる。特に、互いに分離された2台の装置を移動させる必要がなくなり、単一の装置すなわち制御又は調整装置を移動させるだけでよい。本発明による制御又は調整装置の更なる利点は、必須動作ステップが1台の装置で生起するため、動作中、特に起動時の誤動作が避けられる点である。
【0010】
制御及び調整装置は小型の装置、特に血液を納めた使い捨て容器、ポンプ、及び気体交換器が直接接続されていて、エネルギー又は気体が供給される筐体を有する装置を含んでいる。更なる接続又は補助装置は必要無い。装置への供給は、1個の気体接続部だけを介して、且つ必要ならば電力グリッドを介して行われる。ポンプの調整及び気体計測機能が本装置に組み込まれている。従って、別個のポンプコンソール又は気体流制御は必要無い。本装置は持ち運び可能に設計されている。
【0011】
本装置の変型例において、血液ポンプを駆動すべく、電気モータ等の再使用可能なアクチュエータを筐体外で配置して、例えばケーブルにより前記アクチュエータに接続することができる。
【0012】
一実施形態において、本装置は、容積が2リットル未満且つ重量が2kg未満の筐体を有していてよい。その構造が小型且つ軽量であるため、本装置の当該変型例は特に患者が持ち運ぶのに適している。また、構造が小型なため患者の極近傍に配置されていてよい。
【0013】
当該気体は1回だけ使用する気体を含んでいてよい。代替的に、当該気体は複数の個別気体及び/又は個別気体と1又は複数の更に別の気体(群)の混合物であってよい。
【0014】
特別な実施形態の場合、制御又は調整ユニットは、体積血流の制御又は調整において、制御又は調整装置に属しない血液ポンプを電気的に及び/又は空気圧により駆動されるよう設計及び意図されていてよい。この場合、血液ポンプは、速度制御を介して電気的に、又は気体供給制御を介して空気圧により制御又は調整される遠心ポンプとして設計されている。血液ポンプにより生じる血液の体積流は速度制御及び/又は気体供給制御に依存する。血液ポンプは、吸入又は拍動流を用いるポンプであってよい。
【0015】
別の独立した発明の態様によれば、制御又は調整ユニットは、制御又は調整装置に属していない気体交換装置内を流れる体積気体流を、体積血流量に従属して、又は独立に、特に自動的に制御又は調整することができる。特に、制御又は調整ユニットは、既に調節されている体積血流量に特に依存して体積気体流を制御することができる。従って、例えば制御ノブを操作することにより、ユーザーが体積気体流を制御又は調整する前に体積血流量を調節することができる。血流に基づく自動制御の場合は特に、気体流の更なる手動調節は無い筈である。
【0016】
この場合、制御又は調整ユニットは、体積気体流と体積血流の間に既定の関係を設定できるように体積気体流及び/又は体積血流を制御及び調整することができる。また、制御又は調整ユニットは少なくとも入力を提供する可能性があり、これによりユーザーが所望の関係を入力することができる。代替的又は追加的に、制御又は調整ユニットは、時間的に可変な関係、又は体積気体流と体積血流との間の測定パラメータにより影響され得る関係が調整できるように、体積血流及び/又は体積気体流を制御及び調整することができる。
【0017】
体積血流が変化した場合、制御又は調整ユニットは体積気体流を体積血流に合わせた値に自動的に制御又は調整することができる。従って、ユーザーが体積血流を常時監視して体積血流に変化が生じた場合に介入する必要がない。特に、ユーザーが体積気体流と体積血流との間の所望の関係を一度入力すれば、制御又は調整装置は体積気体流を新たな体積血流に自動的に合わせる。体積気体流及び体積血流を制御又は調整する制御又は調整装置が1個しかないため、ユーザーは1台の装置だけに所望の関係を入力すればよく、使用が簡素化される。更に、関連付けられた血液ポンプ及び体積血流をスイッチオンした際に制御又は調整ユニットは同時に、体積気体流を血液ポンプにより所望の体積血流に関連付けられた値に制御又は調整する。
【0018】
また、体積気体流と体積血流の関係を制御又は調整する少なくとも1個のアルゴリズムを保存することができる。ユーザーによる体積血流の指定又は変化に基づいて、制御及び調整ユニットは気体交換器への体積気体流を調節する。このため、本装置は、血液及び気体監視等に外部センサを必要とせず、単にユーザーが設定した血流率を利用するだけである。
【0019】
制御は電子機器を必要としない。気体交換器を通る気体流は、血流設定装置(血流制御ノブ)との機械的又は空気圧結合により制御することができる。
【0020】
制御又は調整はまた、時間その他の測定パラメータに応じて実行することができる。少なくとも1個のアルゴリズムを制御又は調整装置の電気記憶ユニットに保存することができる。
【0021】
気体交換ユニットは酸素濃縮器であってよい。酸素濃縮器は、血液の酸素濃度を高めると共に血液から二酸化炭素を除去できる装置である。従って、酸素濃縮器は瞬間的に、又は長時間にわたり肺を代替又は補助する。
【0022】
特定の一実施形態において、制御又は調整ユニットは混合装置を有していてよい。少なくとも2種類の気体を混合装置内で混合することができる。特に、混合装置内で酸素を空気、特に圧縮空気と混合することができる。更に、個々のケースにおいて、混合装置内での混合は、酸素と空気、特に圧搾空気との間で、及び/又はCO2(二酸化炭素)及び/又はNO(一酸化窒素)等の別の気体との間で生起し得る。混合装置から流出する気体を気体交換ユニットに供給することができる。
【0023】
制御又は調整ユニットはまた、混合装置から流出する気体の体積流及び/又は組成を調節可能な調節装置を有していてよい。従って、当該調節装置により、ユーザーは求める混合装置から流出する気体の体積流及び/又は組成を容易に設定することができる。調節装置は、気体の体積流及び/又は組成を特に別々に調節可能な複数の制御ノブを有していてよい。代替的に、調節装置は、ユーザーが所望の入力を入力できるタッチディスプレイを有していてよい。その結果、混合装置と調節装置を用いて気体の体積流及び組成を簡単に調整することができ、前記気体は混合装置から気体交換装置まで流れる。更に、調節装置を介して気体交換ユニットに供給される体積気体流を容易に制御又は調整することができる。
【0024】
混合装置に供給される気体は、制御又は調整装置に関連付けられていない複数の異なる気体源から来たものであってよい。気体源は、制御又は調整装置に流体接続されている。当該構成において、酸素は第1の供給源により制御又は調整装置に供給される。第2の供給源は、空気、特に圧縮空気を制御又は調整装置に供給する。更に、制御又は調整装置に酸素も供給可能な第3の供給源が存在してもよい。第3の供給源は、第1の供給源が故障した場合の緊急予備機として役割を果たす。更なる混合気体を他の供給源から供給することができる。
【0025】
更に、制御又は調整ユニットは、気体と周囲空気を混合する更なる混合装置を有していてよい。特に、更なる混合装置内の周囲空気と酸素を混合することができる。周囲空気を吸入すべく、更なる混合装置はベンチュリ要素を有していてよい。更なる混合装置から流出する気体を気体交換ユニットに供給することができる。
【0026】
制御又は調整ユニットは、更なる混合装置から流出する気体の体積流及び/又は組成を調節可能な更なる調節装置を有していてよい。更なる調節装置は、気体の体積流及び/又は組成を調節可能な複数の制御ノブを有していてよい。代替的に、調節装置は、ユーザーが所望の入力を入力できるタッチディスプレイを有していてよい。その結果、気体の体積流及び組成は更なる混合装置及び更なる調節装置により容易に調節することができ、前記組成の気体が更なる混合装置から気体交換ユニットまで流れている。更に、気体交換ユニットに供給される体積気体流を更なる調節装置により容易に制御又は調整することができる。
【0027】
特定の一実施形態のケースにおいて、制御又は調整ユニットは、血液ポンプまで流れる気体の体積流を制御又は調整可能な別の調節装置を有していてよい。当該装置は、血液ポンプが空気圧により駆動される実施形態において提供される。血液ポンプは、ポンピング機能が影響を受けるため体積血流が促進されるよう気体により制御される。従って、体積血流量は調節装置により簡単に制御又は調整することができる。
【0028】
他方の調節装置が血液ポンプの上流に配置されていてもよい。酸素は血液ポンプだけに供給することができる。血液ポンプに供給される気体は、血液ポンプに供給される前に別の気体と混じることはない。従って、血液ポンプまで流れる気体の組成を調節可能な調節装置も必要でない。
【0029】
制御又は調整ユニットは、血液ポンプに流体接続されていて気体交換ユニットに流体接続可能な切替装置を有していてよい。切替装置は、気体流方向において血液ポンプの下流及び/又は気体流方向において気体交換ユニットの上流に配置されていてよい。気体及び/又は流体が一方の構成要素から他方の構成要素へ、及び逆向きに流れることができる場合、2個の構成要素は互いに流体接続されている。切替装置により、血液ポンプから流れる気体を気体交換ユニットに供給するか又は環境へ放出するかを選択すべく調節を行うことができる。環境はまた、制御又は調整ユニットの筐体の空洞を意味する場合がある。
【0030】
切替装置のあるスイッチ設定において、切替装置により血液ポンプを気体交換ユニットに流体接続することができる。従って、血液ポンプから流出する気体は切替装置内を流れ、更に気体交換ユニットまで流れることができる。切替装置の別の設定において、血液ポンプを環境に流体接続することができる。これは他方のスイッチ設定において、切替装置内に流入する気体が完全に環境に放出されることを意味する。
【0031】
制御又は調整ユニットはスイッチ調節装置を有していてよい。スイッチ調節装置は、切替装置から気体交換ユニットに供給される気体の体積流を制御又は調整する役割を果たす。従って、気体交換ユニットに供給する体積流を簡単に設定することができる。これは気体交換ユニット内で二酸化炭素が過剰に除去された場合に生じる恐れがある患者の呼吸アルカローシスを回避するために必要である。この場合、気体交換ユニットに供給されなかった分の気体が環境に放出されるようにスイッチ調節装置を設定することができる。
【0032】
特定の一実施形態において、制御又は調整ユニットは、当該制御又は調整装置のオプションとして異なる動作モードを調節できるようにする選択装置を有していてよい。従って、選択装置により、同種類の気体を血液ポンプと気体交換ユニットの両方に供給できるスイッチ位置に切替装置が設定される第1の動作モードを選択することができる。特に当該動作モードで、血液ポンプと気体交換ユニットの両方に純酸素を供給することができる。第1の動作モードは、気体交換ユニット内の血液を大量の酸素で富化する必要がある個々のケースに適している。気体交換ユニットに供給された気体は、血液が酸素で富化された後で環境に放出することができる。
【0033】
選択装置により、切替装置が他方のスイッチ位置にあって混合装置から流出する気体が気体交換ユニットに供給される第2の動作モードを設定することができる。当該動作モードで、血液ポンプから切替装置に供給された気体は全て環境に放出される。第2の動作モードの利点は、気体交換ユニットに供給される気体の酸素濃度を混合装置内で調節できることである。従って、気体交換ユニットの血液が過剰に大量の酸素で富化されるのを容易に防止できることである。第2の動作モードでは異なる種類の気体が血液ポンプと気体交換ユニットに供給される。酸素と圧縮空気の混合気等の気体が血液ポンプに供給される一方、混合装置から流出する酸素と圧縮空気の混合気等の気体が気体交換ユニットに供給される。
【0034】
更に、選択装置は、切替装置が他方のスイッチ位置に配置されて混合装置から流出する気体が気体交換ユニットに供給される第3の動作モードを選択可能にする。この状況において、酸素と周囲空気からなる混合気を気体交換ユニットに供給することができる。従って、第3の動作モードの場合も第2の動作モードと同様に、各種類の気体が血液ポンプ及び気体交換ユニットに供給される。第3の動作モードは、ユーザーが圧縮空気を入手できない個々のケースに適している。これは人工心肺装置を病院の外で用いる場合にあてはまる。
【0035】
特定の一実施形態において、制御及び調整ユニットは安全装置を有していてよい。安全装置は、制御及び調整装置の動作を監視する役割を果たすことができる。従って、適当なセンサ又は空気圧-電気スイッチにより正常動作からの逸脱を検出すること及び/又は安全装置により警報を発することができる。安全装置は標準的な、又は再充電可能な電池を備えていてよく、従って電源から独立している。
【0036】
警報は音響的及び/又は光学的にユーザーに通報することができる。警報を発することができるのは、供給されている気体圧が閾値を下回ったか、制御又は調整装置が1個の気体源だけで駆動されているか、又は血液ポンプ又は気体交換ユニットの動作が正常動作から逸脱している場合である。
【0037】
本システムにおいて、警報はまた、気体交換ユニットに供給されている気体の体積流が閾値を下回った場合に発することができる。従って、ユーザーは体積気体流が低過ぎることを簡単に知ることができる。
【0038】
また、制御又は調整装置の接続部を病院内の中央監視装置に結合することができる。これは、中央ナースコールスイッチを介したオン/オフ接触による簡単な接続により実現することができる。
【0039】
更に、制御又は調整ユニットは、患者の必須パラメータを監視するための監視装置を有していてよい。その結果、多数の機能を提供する制御又は調整装置を利用することができる。
【0040】
制御又は調整ユニットはまた、血液の温度を制御及び調整する役割を果たすこともできる。従って、人工心肺装置は、患者から取り出した血液を加熱又は冷却する加熱又は冷却装置を有していてよい。制御又は調整ユニットは、血液の温度が所望の温度であるように加熱又は冷却を制御又は調整することができる。血液の加熱が必要とされるのは、患者に接続された管が極めて長い、及び/又は環境の温度は極めて低いために管を流れる血液の温度が低下する場合である。冷却は、患者の器官を保護する治療目的で実行されてよい。冷却は、化学冷却及び/又は相転移により実現することができる。代替的に、冷却は他の仕方で行われてもよい。
【0041】
特定の一実施形態において、制御又は調整ユニットは、気体源に又は複数の気体源に流体接続可能な気体接続ユニットを有していてよい。気体接続ユニットは、各々が気体源に流体接続可能な複数の接続部を有していてよい。気体接続ユニットは、混合装置及び/又は更なる混合装置に流体接続することができる。
【0042】
制御又は調整ユニットは更なる切替装置を有していてよい。気体接続ユニットは、更なる切替装置によりオプションとして混合装置又は更なる混合装置に流体接続することができる。従って、更なる切替装置の第1のスイッチ位置において、気体接続ユニットは混合装置に流体接続されている。特に、少なくとも2個の気体源、例えば第1の供給源及び第2の供給源を混合装置に流体接続することができる。この場合、酸素及び空気、特に圧縮空気を混合装置に供給することができる。更に、更なる切替装置は、混合装置及び更なる混合装置のいずれも気体接続ユニットに流体接続されていない閉位置を有するように構成することができる。
【0043】
更なる切替装置の第2のスイッチ位置において、気体接続ユニットを更なる混合装置に流体接続することができる。特に、更なる混合装置は、気体源、特に単一の気体源に流体接続することができる。この状況では第2のスイッチ設定において、更なる混合装置に酸素だけを供給することができる。更なる切替装置はまた、自身の位置とは無関係に、他方の調節装置が常に気体接続ユニットに流体接続されるよう構成及び製造することができる。これにより酸素等の気体が常に他方の調節装置に供給され、前記気体がポンプの駆動に用いられることが保証される。
【0044】
更に、更なる切替装置は、気体源が故障した場合、別の気体源に自動的に電源投入すべく設定することができる。これが行われるのは例えば、第1の供給源が利用可能な酸素を充分に有しておらず、且つ気体交換ユニットへの酸素の供給が保証されない場合である。この場合、気体接続ユニットは、利用可能な酸素を有する第3の供給源に自動的に切り替える。その結果、酸素等の気体が更なる切替装置に常に充分供給されるよう容易に構成することができる。
【0045】
更に、制御又は調整ユニットは、血液ポンプが過剰に大量の体積気体流を供給するのを防止する圧力制御バルブを有していてよい。更に、制御又は調整ユニットは、過剰に大量の体積気体流が気体交換ユニットに供給されるのを防止する別の圧力制御バルブを有していてよい。
【0046】
制御又は調整ユニットは、ハンドルを備えた筐体を有していてよい。ハンドルを用いて制御又は調整装置を楽に持ち運ぶことができる。更に筐体は、制御又は調整ユニットが筐体の空洞内に少なくとも部分的に、特に全体が収納されるように構成することができる。調節装置、更なる調節装置、及び他方の調節装置が筐体の同じ側に配置されていてよい。
【0047】
人工心肺装置は、血液ポンプ、気体交換ユニット、及び本発明の制御又は調整装置を備えた状態で特に有利である。制御又は調整装置は血液ポンプ及び気体交換ユニットに流体接続されている。更に、制御又は調整装置は複数の気体源に流体接続されている。
【0048】
本発明の構成要素を図面に示すと共に、図面を参照しながら以下に記述するが、同一又は等価な要素には多くの場合同一参照符号を付与している。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明の第1の実施形態による制御又は調整装置を有する人工心肺装置の構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態による制御又は調整装置を有し、当該制御又は調整装置が第1の動作モードで動作している人工心肺装置の構成図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態による制御又は調整装置を有し、当該制御又は調整装置が第2の動作モードで動作している人工心肺装置の構成図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態による制御又は調整装置を有し、当該制御又は調整ユニットが第3の動作モードで動作している人工心肺装置の構成図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態による制御又は調整装置の外観図である、
【
図7】本発明の第3の実施形態による制御又は調整装置を有する人工心肺装置の外観図である。
【
図8】本発明の第4の実施形態による制御又は調整装置の外観図である。
【
図9】本発明の第5の実施形態による制御又は調整装置の外観図である。
【
図10】本発明の第6の実施形態による制御又は調整装置の外観図である。
【
図11】本発明の第7の実施形態による制御又は調整装置の外観図である。
【
図12】本発明の第8の実施形態による制御又は調整装置の外観図である。
【
図13】本発明の第9の実施形態による制御又は調整装置を有する人工心肺装置の構成図である。
【
図14】本発明の第9の実施形態による制御又は調整装置を有する人工心肺装置を流体接続無しで示す構成図である。
【
図15】本発明の第9の実施形態による制御又は調整装置の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1に、本発明の制御又は調整装置1、血液ポンプ3、及び酸素濃縮器等の気体交換ユニット4を有する人工心肺装置の構成図を示す。制御又は調整装置1は、血液ポンプ3により供給されている体積血流及び気体交換ユニット4内を流れる気体の体積流の両方を制御又は調整する制御又は調整ユニット2を有している。制御又は調整ユニット2は制御又は調整装置1の筐体17の空洞内に配置されている。
【0051】
制御又は調整ユニット2は、制御又は調整装置1を複数の気体源に流体接続する役割を果たす気体接続ユニット13を有している。このため、気体接続ユニット13は、各々が流体線により気体源に接続された複数の接続部を有している。
【0052】
従って、気体接続ユニット13は第1の供給源19に流体接続されている。第1の供給源19により制御又は調整装置1に酸素を供給することができる。更に、気体接続ユニット13は第2の供給源20に流体接続されている。第2の供給源20により制御又は調整装置1に空気、特に圧縮空気を供給することができる。更に、気体接続ユニット13は第3の供給源21に流体接続されている。同様に第3の供給源21により制御又は調整装置1に酸素を供給することができる。第1及び第2の供給源19、20は例えば、病室の壁に組み込まれている。第3の供給源21は例えば、第1の供給源19が故障した場合に非常用の電源としての役割を果たす気体容器であってよい。図示しない更なる気体源が存在して、制御又は調整装置1に接続することができる。
【0053】
制御又は調整ユニット2は、第1の供給源19又は第3の供給源21から来た酸素と第2の供給源20から来た圧縮空気を混合する役割を果たす混合装置5を有していてよい。本構成では、制御又は調整ユニット2は、混合装置5から流出する気体の組成を制御又は調整可能な
図6に示す調節装置6を有している。更に、混合装置5から流出して下流に配置された気体交換ユニット4に供給され気体の体積流は、制御又は調節装置6により調整することができる。調節装置6は、構成及び体積流を調節可能な複数の制御ノブを有している。
【0054】
制御又は調整ユニット2はまた、第1の供給源19又は第3の供給源21から供給される酸素を周囲空気と混合する役割を果たす更なる混合装置7を有していてよい。これを行うため、制御又は調整ユニット2は、更なる混合装置7から流出する気体の組成を制御又は調整可能な
図6に示す更なる調節装置8を有している。更に、更なる混合装置7から流出して、下流に配置された気体交換ユニット4に供給される気体の体積流を更なる調節装置8により制御又は調整することができる。更なる調節装置8は、組成及び体積流を調節可能な複数の制御ノブを有している。
【0055】
更に、制御又は調整ユニット2は、気体流内で血液ポンプ3の上流に配置された、及び/又は気体接続ユニット13に永久に流体接続された別の調節装置9を有している。血液ポンプ3に供給される気体の体積流を他方の調節装置9により制御又は調整することができる。本構成では、最初に第1の供給源19又は第3の供給源21から流れる酸素は血液ポンプ3だけに供給することができる。血液ポンプ3に供給された酸素は制御又は調整装置1に戻される。血液ポンプ3への酸素の流入及び流出によりポンピング動作が生じて体積血流を生起させる。これを行う際に、圧力制御バルブ15が他方の調節装置9と血液ポンプ3の間に流体的に配置されている。圧力制御バルブ15は、血液ポンプ3に過剰に大量の体積気体流が供給されるのを防止できる。
【0056】
血液の流路を
図1に概略的に示す。ここで、患者から採取された血液が血液ポンプ3内に流入し、そこから気体交換ユニット4まで流れる。気体交換ユニット4において、血液は酸素で富化されて患者に戻される。血液の流路を
図1に3個の矢印で示している。
【0057】
制御又は調整ユニット2は、血液ポンプ3の下流且つ気体交換装置4の前方上流に配置された切替装置10を有している。切替装置10のあるスイッチ位置において、血液ポンプ3は気体交換ユニット4に流体接続されている。切替装置10の別のスイッチ位置において、血液ポンプ3から来た体積気体流の全てを環境に放出することができる。
【0058】
スイッチ調節装置11が切替装置10と気体交換ユニット4の間に流体的に配置されている。気体交換ユニット4に供給される体積気体流は制御又はスイッチ調節装置11により調整することができる。スイッチ調節装置11は、気体交換装置4への供給を意図されていない、血液ポンプ3から流れた体積気体流の一部が環境に放出されるように設計されている。
【0059】
別の圧力放出弁16が気体交換ユニット4の上流に配置されている。気体交換ユニット4への体積気体流の過剰に大きい供給を他方の圧力制御バルブ16により防止することができる。気体交換ユニット4に供給された体積気体流は血液を酸素で富化した後で環境に放出される。
【0060】
制御又は調整ユニット2は、更なる切替装置22を有している。気体接続ユニット13は、オプションとして、更なる切替装置22により混合装置5又は更なる混合装置7に流体接続されている。更に、混合装置5は、気体接続ユニット13が特に永久的に他方の調節装置9に流体接続されるように設計されている。特に、他方の調節装置9は第1の供給源19又は第3の供給源21に永久的に流体接続することができる。更なる混合装置7もまた、第1の供給源19が故障した場合に第3の供給源21に自動的に切り替わるように構成されている。
【0061】
制御又は調整ユニット2はまた、以下に更に詳細に記述する異なる動作モードを設定可能な選択装置12を有している。選択装置12は、各々の場合に1本の電力線32により切替装置10、更なる切替装置22、混合装置5及び更なる混合装置7に電気的に接続されている。切替装置10及び/又は更なる切替装置22の位置は選択装置12の位置に依存する。
【0062】
図2に本発明の第1の実施形態による制御又は調整装置1を有する人工心肺装置の構成図を示しており、制御又は調整装置1は第1の動作モードで動作している。第1の動作モードは、ユーザーが特に選択装置12のノブを対応位置まで回わして選択装置12を適切に起動することにより選択可能である。
【0063】
図2において気体が流れる経路を矢印で示す。従って、第1の動作モードでは酸素が気体源から流出して気体接続ユニット13内に流入し、そこから他方の調節装置9まで流れる。他方の調節装置9から出発して、酸素は血液ポンプ3まで流れ、そこからに制御又は調整装置1に戻る。特に、酸素は血液ポンプ3から切替装置10内に流入する。切替装置10はスイッチ位置にあるため、気体は更にスイッチ調節装置11まで流れる。スイッチ調節11は、破線矢印で示すように切替装置10から流出する気体の一部が環境に放出されるように設定されている。環境に放出されない一部は気体交換ユニット4まで流れる。気体交換ユニット4内を流れる気体の一部は破線矢印で示すように環境に放出される。
【0064】
第1の動作モードにおいて、更なる切替装置22は閉鎖位置にあり、混合装置5及び更なる混合装置7のいずれにも気体は供給されない。更に、気体は混合装置5及び更なる混合装置7のいずれからも気体交換ユニット7まで流れない。
【0065】
図3に本発明の第1の実施形態による制御又は調整装置1を有する人工心肺装置の構成図を示しており、制御又は調整装置1は第2の動作モードで動作している。第2の動作モードは、ユーザーが特に選択装置12のノブを対応位置まで回して選択装置12を適切に起動することにより選択可能である。
【0066】
図3において、気体が流れる経路を矢印で示している。第2の動作モードにおいて、更なる切替装置22は第1のスイッチ位置にあり、第1又は第3の供給源19、21及び第2の供給源20が混合装置5に流体接続されている。混合装置5から流出する気体の組成及び/又体積流は調節装置6により制御又は調整される。混合装置5から流出した気体は気体交換ユニット4内を流れ、次いで破線矢印で示すように環境に放出される。
【0067】
更に、第2の動作モードにおいて、酸素は血液ポンプ3まで流れ、そこから制御又は調整装置1へ戻る。血液ポンプ3まで流れる酸素の体積流は他方の調節装置9により制御又は調整することができる。第1の動作モードとは対照的に、切替装置10は他方のスイッチ位置にあり、血液ポンプ3及び気体交換ユニット4は切替装置10により互いに流体接続されていない。これは、破線矢印で示すように血液ポンプ3から流出する酸素が環境に放出されることを意味する。
【0068】
第2の動作モードにおいて、気体は更なる混合装置7内を一切流れない。更に、混合装置5から流出する気体は気体交換ユニット4だけに供給される。
【0069】
図4に、本発明の第1の実施形態による制御又は調整装置1を有する人工心肺装置の構成図を示しており、制御又は調整装置1は第3の動作モードで動作している。第3の動作モードは、ユーザーが特に選択装置12のノブを対応位置まで回して選択装置12を適切に起動することにより選択可能である。
【0070】
図4において、気体が流れる経路を矢印で示している。第3の動作モードにおいて、更なる切替装置22は第2のスイッチ位置にあり、更なる混合装置7は第1の供給源19に流体接続されている。更に、矢印で示すように更なる混合装置7に周囲空気が供給される。更なる混合装置7から流出する気体は気体交換ユニット4に供給される。
【0071】
一方、第2の動作モードとの違いは無い。ここで、切替装置10は他方のスイッチ位置にあるため、血液ポンプ3から流出する酸素は環境に放出される。
【0072】
図5に更なる混合装置7の構成図を示す。
図5から分かるように、更なる混合装置7はベンチュリ要素23を有している。ベンチュリ要素23は第1の線24により第1の供給源19又は第3の供給源21に流体接続されている。更に、ベンチュリ要素23は第2の線25により気体交換ユニット4に流体接続されている。また、ベンチュリ要素23は、第3の線26により環境に流体接続することができる。
【0073】
更なる混合装置7は、第3の線26を介してベンチュリ要素23に供給される周囲空気を調節可能な弁27を有している。
【0074】
図6に、本発明の第2の実施形態による制御又は調整装置1の外観図を示す。本実施形態が
図1に示す実施形態と異なるのは、制御又は調整装置1が筐体17と一体形成されたハンドル28を有している点である。制御又は調整装置1は、例えば体積気体流の値を表示可能なインジケータ31を有している。
【0075】
図7に、本発明の第3の実施形態による制御又は調整装置1を有する人工心肺装置の外観図を示す。制御又は調整装置1が
図1に示す制御又は調整装置1と異なるのは、制御又は調整装置1が単に、気体交換ユニット4に供給される気体の体積流を制御又は調整する調節装置6及び血液ポンプ3に供給される気体の体積流を制御可能な他方の調節装置9を有している点である。従って、制御又は調整装置1は更なる調節装置7を有していない。
【0076】
図8に、本発明の第4の実施形態による制御又は調整装置1の外観図を示す。本実施形態が
図7に示す実施形態と異なるのは、混合装置5から流出する気体の組成もまた調節装置6により調節可能な点である。特に、混合装置5から流出する気体の酸素濃度を調節することができる。
【0077】
図9に、本発明の第5の実施形態による制御又は調整装置1の外観図を示す。当該実施形態が
図7に示す実施形態と異なるのは、体積気体流と体積血流の比率が調節装置6により調節可能な点である。調節された関係に応じて、混合装置5内を流れる体積気体流及び/又は血液ポンプ3に供給される体積気体流が所望の関係を実現すべく制御又は調整される。
【0078】
図10に、本発明の第6の実施形態による制御又は調整装置1の外観図を示す。本実施形態が
図8に示す実施形態と異なるのは、混合装置5から流出する気体の一酸化窒素濃度もまた調節装置6により調節可能な点である。本実施形態により、混合装置5もまた一酸化窒素を有する第4の供給源に流体接続されている。
【0079】
図11に、本発明の第7の実施形態による制御又は調整装置1の外観図を示す。本実施形態が
図1に示す実施形態と異なるのは、制御又は調整装置1により、2個の動作モードだけが選択装置12により実装可能な点である。
【0080】
図12に、本発明の第8の実施形態による制御又は調整装置1の外観図を示す。本実施形態が上述の実施形態と異なるのは、制御又は調整ユニット2が人工心肺装置の加熱器29を制御又は調整する役割をも果たす点である。加熱器29を用いて患者から採取委した血液を加熱する。
【0081】
加熱器29は血流方向において血液ポンプ3と気体交換ユニット4の間に配置されている。制御又は調整ユニット2は、ユーザーが所望の血液温度を制御又は調整できる調節要素30を有している。
【0082】
図13に、本発明の第9の実施形態による制御又は調整装置1を有する人工心肺装置の構成図を示す。
図13に示す実施形態が
図1に示すものと異なるのは、
図1に示す実施形態よりも構造が簡単な点である。ここで、制御又は調整装置1は他方の調節装置9及び他方の切替装置11を有している。
【0083】
他方の調節装置9は、気体接続ユニット13により第3の供給源21及び血液ポンプ3に流体接続されている。特に、血液ポンプ3を供給される体積気体流、従って血液ポンプ3内を流れる体積血流は他方の調節装置9により調節可能である。供給される気体は酸素であってよい。
【0084】
切替装置11は血液ポンプ3及び気体交換ユニット4に流体接続されている。ここで、制御切替装置11は血液ポンプ3への血流方向下流に接続されている。切替装置11は、血液ポンプから来る気体の一部が環境に放出可能なように構成されている。残りの気体は気体交換ユニット4に供給され、次いで環境に放出される。
【0085】
環境に放出される気体を各々の場合について破線矢印で示す。
【0086】
図14に第9の実施形態による制御又は調整装置1を示すが、流体接続は描いていない。制御又は調整装置1のユーザーは破線矢印で示すように、他方の調節装置9を操作することにより体積血流を調節することができる。より具体的には、他方の調節装置9を用いて血液ポンプ3に供給される体積気体流を調節することができ、これにより体積血流も調節される。他方の調節装置9の位置は破線矢印で示すように他方の切替装置11に送信される。
【0087】
制御又は調整装置1は他方の切替装置11により気体交換器4を通る気体流を制御又は調整する。これを行うため、制御又は調整装置11のユーザーは、他方の切替装置11を操作することにより気体流を調節することができる。特に、気体流の複数の制御曲線を保存することができる。他方の切替装置11を操作することにより、ユーザーは所望の制御曲線を設定することにより気体交換ユニット4を通る気体流を調節することができる。
【0088】
その結果、本実施形態において体積血流はユーザーが他方の調節装置9を操作することにより指定される。体積血流に応じて、制御又は調整装置1は制御又は気体交換ユニット4を通る気体流を、特に他方の切替装置11を介して制御又は調整する。
【0089】
図15に、第9の実施形態による制御又は調整装置11の透視図を示す。ここで
図15は、他方の調節装置9及び他方の切替装置11が各々制御ノブと共に作成されていることを示す。
【符号の説明】
【0090】
1 制御又は調整装置、2 制御又は調整ユニット、3 血液ポンプ、4 気体交換ユニット、5 混合装置、6 調節装置、7 更なる混合装置、8 更なる調節装置、9 他方の調節装置、10 切替装置、11 スイッチ調節装置、12 選択装置、13 気体接続ユニット、15 圧力制御バルブ、16 他方の圧力制御バルブ、17 筐体、19 第1の供給源、20 第2の供給源、21 第3の供給源、22 更なる切替装置、23 ベンチュリ要素、24 第1の線、25 第2の線、26 第3の線、27 弁、28 ハンドル、29 加熱器、30 調節要素、31 インジケータ、32 電力線。